Category Archives: 論文データ捏造

間違った医学論文・捏造論文で取得した博士号を徳島大学が取り消し

徳島大学大学院医歯薬学研究部50歳代男性教授が停職6月

2020年5月13日の徳島大学の発表によれば、教授には停職6か月の処分が下されたそうです。徳島新聞のニュース記事によれば、大学院生は3月に博士号を取り消されているとのことなので(令和2年4月20日の徳島大の発表では、令和2年3月13日に学位の授与を取り消し)、このニュースは新しい話ではなくて、下で記事にした学位取り消し事件に関して、まだ処分が定まっていなかった教授に関する処分内容の発表ということのようです。

  1. 徳島大論文ねつ造 男性教授停職6カ月 (2020/5/14(木) 15:16 徳島新聞 YAHOO!JAPAN)

 

教授がストーリーを強要、大学院生がデータ捏造

徳島大学でまた学位取り消しがありました。下の記事とは別件です。捏造の動機が、二人の言葉からうかがい知れます。

院生「教授からのプレッシャーがあり、教授の求める実験データを得ようとした」

教授「厳しい言い方をし過ぎたかもしれない」

つまり、教授が描いたストーリーに合う実験データを出せずにいた大学院生が、学位取得の締め切りが迫ってきたこともあり、教授の要求するデータを捏造して教授に渡し、教授が自分のストーリーで論文を執筆したというものです。今まで全然期待したデータが取れていなかった大学院生が急に都合の良いデータばかりもってきたときに、教授が信憑性をチェックしなかったのは重大な過失だと認定しています

産経WESTとNHKの記事をもとに時系列を整理すると、

2020年(令和2年)4月20日 徳島大学が研究不正を公表
2020年(令和2年)3月 博士号を取り消し
2019年 捏造論文の取り下げ
2018年(平成30年)3月 匿名のメールによる不正告発
2014年(平成26年)学術誌に捏造論文掲載

SDGsの課題解決とデータの捏造とがどう関係するのか、さっぱりわかりませんが徳島大学がお詫びの声明を出していました。

独創的研究及びSDGsの課題解決に向けた研究や教育に本学の教員全体が取り組む中で、このような研究不正行為があったことは、誠に遺憾であり深くお詫び申し上げます。 加えて、…

学長 野地 澄晴

具体的な捏造箇所の説明はありませんが、どのようにして捏造に至ったのかの説明は、大学が公表していました。一部を掲載します。これを読むと、このデータ捏造を実行したのは大学院生ですが、自分の描いたストーリーを大学院生に押し付け、捏造データを受け取って吟味することなくそのまま論文を書いた教授にもかなりの責任があると思います。

3 調査結果

調査の結果、告発対象論文1報について、次のとおり認定した。

(1)不正行為の具体的な手法・内容
① 特定不正行為
・ねつ造:出所不明データの付け足し
・改ざん:実験データの不正な方法による解析
② 特定不正行為以外の不正行為(研究活動上の不適切な行為)
・不適切なオーサーシップ

(2)不正行為に係る研究者
・A教授
「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる,ねつ造,改ざん」及び「研究活動上の不適切な行為であって,科学者の行動規範及び社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の甚だしい行為(不適切なオーサーシップ)」に関与した者と認定した。
・B元大学院生
「故意による、ねつ造、改ざん」に関与した者と認定した。

(3)判断理由
ア)認定した事実
① 特定不正行為(ねつ造、改ざん)
告発対象論文について、論文の結論にとって都合が良いデータを選択して作成された図があることと、出所不明のデータを付け加えることにより、複数の不正な図(改ざん及びねつ造が行われた図、改ざんが行われた図)が掲載されたことを確認し、特定不正行為(ねつ造、改ざん)が行われたことを認定した。
② 特定不正行為以外の不正行為(不適切なオーサーシップ)
告発対象論文において、論文の作成にほとんど関わっていない者を共著者として記載し、論文を投稿するに当たり、共著者全員に了解を得ないまま手続きを行い、受理されてから連絡するなどの行為を確認し、これは不適切なオーサーシップに当たると認定した。

イ)認定の理由
① A教授(責任著者)
特定不正行為
・本件研究が行われた研究室の主宰者であり、B元大学院生の指導教員であった。
・B元大学院生に対して、実験の方法や実験データの解析等に係る基本的事項を含む研究全般について、十分な指導をしていなかった。
・研究成果を発表するにあたっては、自らが用いる実験データが科学的に適正な方法と手続でなされたものであることを確認すべきであるが、それができていなかった。
・筆頭著者であるB元大学院生の作成したグラフや図を用いながら、本件論文のほぼすべてを自ら執筆した。
・B元大学院生が行った実験は、相当期間、多数回に渡ってA教授の仮説と異なる結果を示しており、このことをA教授自身も十分に認識していた。
・設定した締切りが近づいた時期になって、突如、B元大学院生がそれまでの実験結果と異なる実験データを提示したことについては、実験結果全体の信用性について特に慎重な検証を要すると感じるのが当然の状況にあった。
・生データや実験・観察ノートを提示させ、それらを確認することを一切していなかった。
・提示された実験データに再現性があるものかどうかといった事柄すら把握しておらず、後日、それらの検証を可能とするデータや資料なども保管していなかった。
これらを総合的に判断し、研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことにより、不正に作成された図を利用して論文を執筆したことは、A教授自らが研究結果等をねつ造、改ざんしたものであることと何ら変わりがなく、特定不正行為に該当すると認定した。
特定不正行為以外の不正行為(研究活動上の不適切な行為)
・責任著者でありながら、論文の作成にほとんど関わっていない者を共著者として記載し、論文を投稿するに当たり、共著者全員の了承を得ないまま投稿手続きを行い、受理されてから連絡した。
以上の行為は、特定不正行為以外の不正行為として不適切なオーサーシップに該当すると認定した。

② B元大学院生(筆頭著者)
・複数の図において、データの恣意的な取捨選択や出所不明のデータの付加を行っていた。
・論文に掲載された実験を実際に担当し、A教授の求める実験データを得ようとしていた。
・A教授から適切なデータの取扱い、解析方法及び研究倫理について指導されていなかったことによる知識不足のため、独自の誤った方法で論文に記載する図を作成していた。
・A教授から学位取得についてプレッシャーをかけられ、A教授の意図した実験データを厳しく要求し続けられていた。
・A教授や研究室内の指導者への相談等が十分に行えていなかった。
・実験データから選択した過程を容易に追跡できる資料を保存していた。
以上のことから、B元大学院生がねつ造、改ざんを積極的に行う意思が乏しかったとはいえ、この行為は故意に研究結果等をねつ造、改ざんしたものとして、特定不正行為に該当すると認定した。

(転載元:https://www.tokushima-u.ac.jp/fs/1/4/6/5/9/9/_/gaiyou.pdf 太字強調は当サイト)

  1. 【お詫び】研究不正(ねつ造、改ざん)の調査結果及び対応について令和2年4月20日 徳島大学
  2. 徳島大大学院生が論文データ捏造、博士号取り消し(2020.4.20 21:50 産経WEST)
  3. 徳島大大学院 教授ら論文不正か(2020年04月20日 18時49分 NHK NEWSWEB)
  4. 徳大で論文データ不正 教授処分審議 元院生博士号取り消し (5:00 徳島新聞(要有料会員登録))
  5. https://twitter.com/plagiarismfraud/status/1252291411543638016
  6. 取り消された博士研究論文:カチオン性リポソームを担体としたmyostatin-siRNA局所導入による骨格筋量制御効果の検討 Effectiveness of cationic liposome-mediated local delivery of myostatin-targeting small interfering RNA in vivo. Dev Growth Differ2014 Apr;56(3):223-32. doi: 10.1111/dgd.12123. Epub 2014 Mar 13. (PubMed)

 

以下の記事は、上とはまた別の事件です。

学位取り消し

徳島大学では,元大学院学生(徳島大学大学院医科学教育部医学専攻博士課程(平成29年3月23日修了))の学位論文「A significant causal association between C-reactive protein levels and schizophrenia」(甲医第 1318 号・博士(医学))に関して,下記のとおり「学位を授与された者が,その名誉を汚辱する行為をしたとき」と判断し,学位授与の取り消しを決定し,学位記の返還を命じた。(徳島大学 平成30年7月6日)

 

論文の間違いが発覚した経緯

学位授与の根拠となった論文に関連し,外国人研究者が同じ公開データを使用した同じテーマの論文が,結果が逆の内容で別学術雑誌に掲載された。今回対象の論文を掲載している学術雑誌の編集者から,研究内容を確認して回答するよう要請があった。著者らは,要請を受けて再確認し,計算自体に間違いがなかったが,当初の公開データの取り間違いがあったことに気づき,論文の根幹に係る主張の間違いだと言うことで,論文撤回(H30.2.21)という結果になった。(徳島大学 平成30年7月6日)

 

研究不正の有無

特に公開データの場合は,誰もが同じことを直ぐにでも試みることができるので,データを故意に間違えて計算するという蓋然性は低く,この論文撤回に関して不正はなかったと判断した。(徳島大学 平成30年7月6日)

 

学位を取り消す根拠

  1. 学位授与の前提となる論文が事実上なくなった
  2. 研究者として当然持っているべき基本的な慎重さが欠け,主張が間違った論文を学位論文として申請した (徳島大学 平成30年7月6日)

 

徳島大学学長のコメント

このたびの事態によって損なわれた徳島大学の学位に対する社会的信頼を回復するため、大学院生に対する研究者倫理教育の醸成を図ることはもちろんのこと、論文の作成段階及び学位の申請段階において、教育・研究の達成を見る上でも、実験内容を適切に記録していることを確認させるとともに、論文審査体制を一層厳格化することにより、学位審査体制の充実、透明性、客観性の確保を図り、学位の質保証に結びつけてまいります。(学長 野地澄晴)(学位授与の取消しについて 徳島大学 2018年7月6日)

 

参考

  1. 学位授与の取消しについて(概要) 平成30年7月6日 徳島大学
  2. Retraction: A significant causal association between C-reactive protein levels and schizophrenia (Published: 21 February 2018, Scientific Reports)
  3. A significant causal association between C-reactive protein levels and schizophrenia. Scientific Reports volume 6, Article number: 26105 (2016). Published: 19 May 2016
  4. 徳島大 医学博士号取り消し 元院生の論文に誤り /徳島 (毎日新聞2018年7月7日 地方版) 論文は16年5月、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載。男性は17年3月に博士号を取得した。だが同誌は今年2月、公開データの取り違えで結論などが誤っていたとの撤回記事を出した。
  5. 徳島大、元院生の博士学位取り消し 論文データに誤り、論文掲載誌から指摘 (産経WEST 2018.7.6 13:49)
  6. A university is revoking a student’s PhD — but not because of misconduct (Retraction Watch)
  7. 捏造、不正論文、総合スレネオ47(5ch) 82名無しゲノムのクローンさん2018/07/27(金) 22:11:37.93 https://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/life/1532266799/

 

Ordinary_researchersの告発2通め11論文

東大の論文不正を告発する文書が2016年8月に2回に分けて東大などの関係各所へ送付されました。1つめの告発文書の論文は以前紹介しましたので(記事)、2016年8月29日の2つめの告発文書に記載された論文を紹介します。

小室一成氏の研究室より出された論文

Nature Communications 7, Article number: 11635 (2016) doi:10.1038/ncomms11635 Published online:18 May 2016. HIF-1α-PDK1 axis-induced active glycolysis plays an essential role in macrophage migratory capacity. Hiroaki Semba, Norihiko Takeda, Takayuki Isagawa, Yuki Sugiura, Kurara Honda, Masaki Wake, Hidenobu Miyazawa, Yoshifumi Yamaguchi, Masayuki Miura, Dana M. R. Jenkins, Hyunsung Choi, Jung-whan Kim, Masataka Asagiri, Andrew S. Cowburn, Hajime Abe, Katsura Soma, Katsuhiro Koyama, Manami Katoh, Keimon Sayama, Nobuhito Goda, Randall S. Johnson, Ichiro Manabe, Ryozo Nagai & Issei Komuro 問題点:エラーバーの長さが2種類のみの図

International Heart Journal Vol. 57 (2016) No. 2 p. 198-203. http://doi.org/10.1536/ihj.15-332. Shorter Heart Failure Duration Is a Predictor of Left Ventricular Reverse Remodeling During Adaptive Servo-Ventilator Treatment in Patients With Advanced Heart Failure.Teruhiko Imamura1), Koichiro Kinugawa1), Daisuke Nitta1), Issei Komuro2) 1) Department of Therapeutic Strategy for Heart Failure, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo 2) Department of Cardiovascular Medicine, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo. Released on J-STAGE 20160322   [Advance Publication] Released 20160311. 問題点:奇妙なまでに一致する平均値とSD PubPeer.comでの議論:https://pubpeer.com/publications/26973264

Scientific Reports 5, Article number: 14453 (2015) doi:10.1038/srep14453. Published online: 25 September 2015. Angiotensin II receptor blockade promotes repair of skeletal muscle through down-regulation of aging-promoting C1q expression. Chizuru Yabumoto, Hiroshi Akazawa, Rie Yamamoto, Masamichi Yano, Yoko Kudo-Sakamoto, Tomokazu Sumida, Takehiro Kamo, Hiroki Yagi, Yu Shimizu, Akiko Saga-Kamo, Atsuhiko T. Naito, Toru Oka, Jong-Kook Lee, Jun-ichi Suzuki, Yasushi Sakata, Etsuko Uejima & Issei Komuro 問題点:Fig.7 完全に一致するエラーバーの長さ PubPeer.comでの議論:https://pubpeer.com/publications/26571361

Scientific Reports 6, Article number: 25009 (2016) doi:10.1038/srep25009. Published online:05 May 2016. Activation of endothelial β-catenin signaling induces heart failure. Akito Nakagawa, Atsuhiko T. Naito, Tomokazu Sumida, Seitaro Nomura, Masato Shibamoto, Tomoaki Higo, Katsuki Okada, Taku Sakai, Akihito Hashimoto, Yuki Kuramoto, Toru Oka, Jong-Kook Lee, Mutsuo Harada, Kazutaka Ueda, Ichiro Shiojima, Florian P. Limbourg, Ralf H. Adams, Tetsuo Noda, Yasushi Sakata, Hiroshi Akazawa & Issei Komuro 問題点:繰り返される数字;均一化された背景

 

渡邊嘉典氏の研究室より出された論文

Cell  123(5):803–817; 2 December 2005.DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2005.09.013 The Kinetochore Protein Moa1 Enables Cohesion-Mediated Monopolar Attachment at Meiosis I. Shihori Yokobayashi ,Yoshinori Watanabe 問題点:異なる実験なのに非常に良く似た画像;不自然に揃うネガティブデータと縦軸が違うのに揃う高さ PubPeer.comでの著者らの回答:https://pubpeer.com/publications/16325576

Nature 455, 251-255 (11 September 2008) | doi:10.1038/nature07217; Received 8 April 2008; Accepted 27 June 2008; Published online 17 August 2008. Heterochromatin links to centromeric protection by recruiting shugoshin. Yuya Yamagishi, Takeshi Sakuno, Mari Shimura & Yoshinori Watanabe 問題点:異なるSDを持つ同一データ;背景が均一なウェスタンブロット画像;背景が均一化された蛍光顕微鏡画像;グラフのデータは実在するのか?;切り貼りされ、縁の奇妙な酵母培養ディッシュ

Science 08 Oct 2010:Vol. 330, Issue 6001, pp. 239-243 DOI: 10.1126/science.1194498. Two Histone Marks Establish the Inner Centromere and Chromosome Bi-Orientation. Yuya Yamagishi, Takashi Honda, Yuji Tanno, Yoshinori Watanabe 問題点:数学的にあり得ないSD

Nature Cell Biology 12, 500 – 506 (2010)  Published online: 11 April 2010 | doi:10.1038/ncb2052 Shugoshin–PP2A counteracts casein-kinase-1-dependent cleavage of Rec8 by separase. Tadashi Ishiguro, Koichi Tanaka, Takeshi Sakuno & Yoshinori Watanabe 問題点:部分的に諧調を変更した培養ディッシュ;粗雑なグラフ PubPeer.comでの著者らの回答:https://pubpeer.com/publications/20383139

Nature 2011 Jun 1;474(7352):477-83. doi: 10.1038/nature10179. Condensin association with histone H2A shapes mitotic chromosomes. Kenji Tada,Hiroaki Susumu,Takeshi Sakuno & Yoshinori Watanabe 問題点:エラーバーが調節された可能性;ノイズが消失した背景;その他グラフについて

EMBO Reports 2011 Oct 28;12(11):1189-95. doi: 10.1038/embor.2011.188. Acetylation regulates monopolar attachment at multiple levels during meiosis I in fission yeast. Ayano Kagami, Takeshi Sakuno, Yuya Yamagishi, Tadashi Ishiguro, Tatsuya Tsukahara, Katsuhiko Shirahige, Koichi Tanaka, Yoshinori Watanabe 問題点:背景が均一なウェスタン画像

Science 2015 Sep 11;349(6253):1237-40. doi: 10.1126/science.aaa2655. The inner centromere-shugoshin network prevents chromosomal instability. Yuji Tanno,Hiroaki Susumu,Miyuki Kawamura,Haruhiko Sugimura,Takashi Honda, Yoshinori Watanabe 問題点:SDも含めて高さの同じデータ;データの10%に揃うSEM;背景が白紙の画像

 

Ordinary_researchersは、告発文書を東京大学、文部科学省、厚生労働省、JST, JSPS, AMED, 内閣府、掲載誌の編集部、マスコミ各社に送付したそうですが、私の知る限り、一般には公開しませんでした。誰がアップロードしたものかはわかりませんが、2つめの告発文書PDFへのリンクが2chで紹介されているのをたまたま見かけたので、ここに転載します。

注意:この文書で指摘された問題の一部に関しては、PubPeer.com上で議論されており、著者らが回答しているものもあります。そちらも合わせてご覧ください。

東京大学医学部および東京大学分子生物学研究所(以下,分生研)の研究者らが発表した論文について,8月15日に投函した告発に続き,ここに新たに追加の告発を行う.… 2016年8月29日 Ordinary_researchers (http://toudai20168.up.seesaa.net/image/E69DB1E5A4A7E5918AE799BAE7ACACE4BA8CE5BCBE20-20E382B3E38394E383BC.pdf)

 

 

ベクター画像とは?

ベクトルデータの図は、Adobe Illustratorなどの作図ソフトで開くと、誌面上では1枚に見えるグラフが、X軸、数字、棒グラフのデータの棒の枠、塗りつぶしにするための黒い長方形、エラーバーを構成する横棒と縦棒など、いくつもの構成要素(オブジェクト)から成り立っていることがわかる。そして、個々のオブジェクトをずらしたり、消したりできるのだ。  (論文不正の告発を受けた東京大学(2) その解析方法の衝撃YAHOO!JAPANニュース)

エラーバーの長さをチェックする方法

資料

  1. 告発文1 5cvq.pdf (12ページPDF はじめに~ 2016年8月14日)
  2. 告発文2 5cvr.pdf (5ページPDF 研究資金リスト 2016年8月14日)
  3. 告発文3.pdf (52ページPDF  不自然なデータの指摘 2016年8月14日)
  4. 追加の告発文 http://toudai20168.up.seesaa.net/image/E69DB1E5A4A7E5918AE799BAE7ACACE4BA8CE5BCBE20-20E382B3E38394E383BC.pdf (2016年8月29日)

 

参考

  1. 東京大学医学部付属病院 循環器内科(小室一成教授)
  2. KAKEN科学研究費助成事業データベース
  3. 渡邊研究室 東京大学分子細胞生物学研究所 染色体動態研究分野
  4. KAKEN科学研究費助成事業データベース
  5. 捏造、不正論文 総合スレネオ 34 :0159名無しゲノムのクローンさん2017/02/18(土) 16:47:18.74
  6. 論文不正の告発を受けた東京大学(1) どこまで調査をするのか? (YAHOO!JAPANニュース詫摩雅子  | 科学ライター&科学編集者 2016/10/15(土) 16:00):”9月1日までに東京大学は2通目の告発書を受け取る。今度は2人の教授、11本の論文が挙げられていた。・医学部のE教授研究室から出ている2015年の3本と2016年の1本の合計4本・分子細胞生物学研究所(分生研)のF教授研究室から2005年から2015年に出された7本 ネットにはその前から流れていたようだが、大手メディアがこの件を報じたのは9月1日からだ。 “
  7. 論文不正の告発を受けた東京大学(2) その解析方法の衝撃 (YAHOO!JAPANニュース 詫摩雅子  | 科学ライター&科学編集者 2016/10/15(土) 22:00)
  8.  

 

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黄博士 崩れたところにレンガを改めて積む心情

黄禹錫(ファン・ウソク)博士は、体細胞由来のヒトクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作製することに成功したとして、2004年と2005年にサイエンス誌に論文を出しました。

Woo Suk Hwang et al., Evidence of a Pluripotent Human Embryonic Stem Cell Line Derived from a Cloned Blastocyst. Science  12 Mar 2004:Vol. 303, Issue 5664, pp. 1669-1674 DOI: 10.1126/science.1094515

Woo Suk Hwang et al., Patient-Specific Embryonic Stem Cells Derived from Human SCNT Blastocysts. Science  17 Jun 2005:Vol. 308, Issue 5729, pp. 1777-1783 DOI: 10.1126/science.1112286

しかし、それらの論文はデータ捏造によるものであったことがわかり、サイエンス誌編集部により撤回され、韓国で有罪判決を受け研究の世界から追われました。

博士はソウル大学を追われ、政府から与えられた名誉はすべて剥奪された。研究費詐取や生命倫理法違反の疑いで起訴もされた(今年2月に最高裁で懲役1年6ヶ月、執行猶予2年の判決が確定)。 そんな博士を救ったのは、支援者たちだった。06年7月に350万ドル相当の基金を集めて「スワム生命工学研究財団」を作ったのである。スワムとは、黄博士の愛称だという。(クローンES細胞論文を捏造した黄禹錫博士の「復活」webronza.asahi.com 2014年09月08日 高橋真理子)

黄禹錫(ファン・ウソク)氏(元ソウル大学獣医学部教授)は06年、ソウル大学から解任された後、同年7月、自分を慕った約20人の研究員とスアム生命工学研究院を設立した。ソウル九老洞(クロドン)のある建物に研究室を設け、研究を進めたものの、住民抗議が殺到し、廃業に追い込まれるなど、最初はなかなか定着できなかった。(黄禹錫氏、外部と接触せずに研究活動…これまでどんなことが?東亜日報 October. 27, 2009)

ヒトES細胞の研究ができなくなった黄博士は、クローン動物の研究を続け、愛犬クローン作製ビジネスを成功させました。愛犬クローン作製の価格は10万ドル(約1,000万円)もしますが、希望者は多いといいます。

The science behind dog cloning
(記事:This Korean lab has nearly perfected dog cloning, and that’s just the start. Tech Insider Sep. 12, 2015 By Drake Baer)

黄博士のクローン動物事業は拡大、発展を遂げ、科学者として再び脚光を浴びるに至っています。

「クローン牛、年100万頭生産プロジェクト」は、黄禹錫(ファン・ウソク)博士にとっても新しい挑戦だ。(韓国人博士の黄禹錫「世界初の商業用クローン牛を作る」中央日報日本語版 2015年11月25日)

成功を収めている愛犬クローン事業ですが、黄博士にとってビジネスでの成功は目的ではないそうです。

スアム研究院はクローン犬事業を通じて今年100億ウォン(約10億7600万円)程度の売り上げを予想している。しかし、儲けるために犬のクローニングをするのではないと明らかに一線を画した。非営利機関として他のプロジェクトを遂行するための研究資金づくりのための手段に過ぎないというのだ。…黄博士は最後に「人間生命の延長と価値ある人生のために意味あるレンガを積みたい。自分のせいで崩れたところにレンガを改めて積む心情で生きている」とし「2006年以後、『逆境と苦痛がない人生は生きている価値がない』という文を毎日午前に読みながら自分自身に『まだ終わっていない』と言い聞かせている」と話した。(韓国、「世界初の産業用クローン犬を生産…仏英からも技術研修に来る」 中央日報日本語版 2015年03月11日)

 

参考

クローン作製の夢

  1. 「バイオの悪童」は、クローンマンモスを実現できるか (WIRED 2015.04.27 BY NICK STOCKTON):”マンモスのクローン作成を夢見る科学者がいる。遺伝学界の悪童、黄禹錫(ファン・ウソク)だ。”

クローンビジネスの展開

  1. 世界最大のクローン動物工場、中国・天津にオープン予定 (WIRED 2016.01.20 BY SANDRO IANNACCONE):”2016年上半期中に、中国の天津に世界最大のクローン動物作製センターがオープンする。肉用牛や警察犬、競走馬を「取り扱う」予定だという。”
  2. 本当に大丈夫? 中国の動物クローン工場建設 ES細胞捏造の韓国教授とタッグで不安倍増(産経ニュース 2015.12.6):”中韓共同による世界最大の動物クローン工場建設計画が、物議を醸している。”

スワム生命工学研究財団の愛犬クローンビジネス

  1. 1千万円で愛犬「復活」 韓国研究所の“クローンビジネス” (YAHOO!JAPAN ニュース 2017年 1/12):”亡くなった愛犬がもう一度、自分の元に戻ってきたら? 何もかもそっくりなペットをもう1匹、そばに置くことができたら? クローン技術によってそれを実現させてくれる施設が韓国・ソウルにあるという。”
  2. 永遠に愛犬と共に?韓国のクローン研究所 (AFP BB NEWS 2016年07月13日):”韓国の首都ソウル(Seoul)西部でフェンスに囲まれた芝生の上を駆け回っている子犬たち。1匹の値段は10万ドル(約1000万円)もするが、少なくとも買い手たちはその価値をよく分かっている。 その芝生はペットクローン技術で世界をけん引するスアム生命工学研究院(Sooam Biotech Research Foundation)にある。同研究院は過去10年間、文字通り永遠に愛犬と暮らし続けたいと願う人々を相手にビジネスを行い、商業的な成功を収めてきた。”
  3. あなたの愛犬を1070万円でもう1匹-世界初のクローン工場 (Bloomberg 2014年10月23日 By Jessica Dean):”黄博士は今、中国・山東省の威 海市に8日間の突貫工事で建設した仮施設で最終チェックをしている。 ここで数時間内に、中国で初のクローン犬の出産が行われる。”

スワム生命工学研究財団の作製したクローン動物

  1. クローン警察犬2匹、サハ共和国の内務省に採用予定 ロシアの警察と保安局は、爆発物や麻薬の捜査においてクローン犬を実験的に使用する予定。(jp.sputniknews.com 2016年12月13日):”3匹のベルジアン・シェパードは、韓国の生物学者、黄禹錫教授がクローン技術を用いて作成された。1匹当たりおよそ1,000万円の価格が付けられているが、今回は人が住む地域としては世界で最も寒いとされるロシア連邦のサハ共和国の警察と公安局にプレゼントされたという。”
  2. コヨーテ複製に成功した黄禹錫氏「マンモスの復活が目標」(東亜日報 October. 18, 2011 ):”黄禹錫(ファン・ウソク)博士の研究チームが、コヨーテの体細胞をイヌの卵子に移植する体細胞核移植の技術で、コヨーテのクローンに成功した。”
  3. 「地に堕ちた英雄」、論文ねつ造の黄氏がコヨーテのクローン作製に成功 (AFP BB NEWS 2011年10月18日):”胚性幹細胞(ES細胞)に関する研究論文のねつ造などで有罪判決を受けた韓国の黄禹錫(ファン・ウソク、Hwang Woo-Suk)元ソウル大教授が17日、コヨーテのクローン8頭の作製に成功したことを明らかにした。”
  4. 黄禹錫博士チーム、チベタン・マスティフ17匹を複製 (中央日報日本語版 2008年06月18日):”スアム生命工学研究院は黄禹錫(ファン・ウソク)博士が中国の絶滅危惧種で、一般に獅子犬と呼ばれているチベタン・マスティフ17匹のクローニングに成功したと17日、発表した。 “

特許取得

  1. 黄禹錫氏のES細胞 韓国で週内にも正式登録 (聯合 ニュース 2016/11/15):”疾病管理本部は、黄氏側がNT―1を体細胞クローン技術によるES細胞として登録するよう求めて提出した関連資料を、専門家でつくる検証委員会で検討した結果、体細胞クローン技術で樹立されたES細胞株と見なす科学的な根拠はないと判断した。ただ、単為発生のヒトES細胞であるのは確かだとして、登録することにした。”
  2. 黄禹錫元教授が米国で特許登録「研究再開させてくれれば…」(中央日報日本語版 2014年02月12日):”黄禹錫(ファン・ウソク)元ソウル大学獣医学部教授が作ったNT-1幹細胞株(1番幹細胞株)が11日に米国で特許登録された。”

捏造事件に関する報道

  1. ソウル高裁、“幹細胞論文ねつ造”黄禹錫ソウル大教授の罷免は不当(中央日報日本語版 2011年11月04日):”‘幹細胞論文ねつ造’事件で06年に罷免された黄禹錫(ファン・ウソク)元ソウル大獣医科大学大学院教授(59)が罷免取り消し訴訟の控訴審で勝訴した。”
  2. 黄教授宅など26カ所を押収捜索 (東亜日報 January. 13, 2006):”黄禹錫(ファン・ウソク)ソウル大名誉教授が12日、押収捜索のためソウル市江南区論硯洞(カンナムグ・ノンヒョンドン)の自宅を訪れたソウル中央地検捜査官に、門を開けている。”
  3. 黄禹錫教授「論文の捏造、ミズメディが主導」(innolife.net2006/01/12):”黄教授は「チームワークと信頼を土台に、ミズメディの言葉をすべて信じた。2004年に成立された1回目のES細胞はパク・チョンヒョク研究員が、2005年の2・3回目のES細胞はキム・ソンジョン研究員が研究、報告した」とミズメディが操作に関与したことを主張した。”
  4. <2005年を反省します>真実知らぬまま「黄禹錫神話」作り(中央日報日本語版 2005年12月30日):” 「黄禹錫(ファン・ウソク)教授論文疑惑」から多くのことを自省させられます。マスコミも被害者だとは弁解しません。  2つの点を深く反省しています。第一に「黄禹錫神話」を作ることに加担した責任です。…2つ目は黄教授論文をめぐる論争が起こったとき、読者の皆さんを混乱させてしまった責任です。 “
  5. <ES細胞論文ねつ造の波紋>「ねつ造」どうして可能だったか(中央日報日本語版 2005年12月26日):”論文ねつ造の共謀の疑いを受けている人はピッツバーグ大に派遣されていたキム・ソンジョン研究員、黄教授チーム員であるソウル大獣医学部姜成根(カン・ソングン)教授と数人の研究員だ。 キム研究員は17日、ピッツバーグで行った記者会見で「黄教授の指示で幹細胞写真2個を11個に増やし、姜成根教授もその事実を知っている」と述べた。”

データ捏造で研究費2億ドル 損害賠償請求訴訟

2016年9月1日のサイエンス誌のニュース記事によると、アメリカのデューク大学らの研究者は不正な研究データに基づいて総額2億ドルの研究費助成金を国から得ていたとして、研究者および大学は国に与えた損害額の3倍を支払うよう訴えられていることが明らかになりました。

デューク大学のWilliam Foster教授の研究室で働いていたErin Potts-Kant博士が研究データの捏造などの不正を行い、Potts-Kant博士とFoster教授の共著で論文を出していましたが、結果的に、彼女が関与した15報の論文が現在までに撤回されていす。Potts-Kant博士およびFoster教授は不正論文に基づいて研究費を獲得しさらに不正論文を生産することを長期わたって繰り返した結果、不正に得た研究資金の総額が2億ドル(助成件数60件以上)にも上っていました。データ捏造に直接関与したPotts-Kant博士、不正を隠蔽したFoster教授およびデューク大学は、国に与えた損害を弁済すべしというのが、今回の訴えの内容です。

Relator Joseph M. Thomas brings this action on behalf of the United States of America under the False Claims Act (“FCA”), 31 U.S.C.§§3729-33,  against Defendants Duke University, Duke University Health System, Inc,(“DUHS”), William M.Foster, Ph.D. (“Foster”), and Erin N. Potts-Kant (“Potts-Kant”) to recover losses sustained by the Public Health Service (“PHS”), the National Institutes of Health (“NIH”), the Environmental Protection Agency (“EPA”), and other Federal agencies responsible for administrering scientific aresearch grants. (Civil Action No.4:13-cv-00017)

裁判でこの訴えが認められると、実際に支払いを求められるのは不正で獲得した研究費の金額ではなく、ペナルティが科せられます。訴状によると、デューク大学、Foster教授、Potts-Kant博士らの被告側に対して、国に与えた損害金額の3倍の金額の支払いなどが求められています。

WHEREFORE, Relator, on be half of the United Sates, prays that judgment be entered in their favor and against Defendants as follows:
1. That Defendants pay the United States triple the amount of its damages to be determined, plus civil penalties of up to $11,000 for each false claim, statement, or record; (Civil Action No.4:13-cv-00017)

告発者は、当時デューク大学に所属していた研究者で、訴えが認められた場合、インセンティブとして数百万ドル(数億円)を手にする可能性があるとのことです。今回のこの訴訟は、国のお金を横領した個人や会社などに対して、その返還を求めて、個人が国を代表して訴訟を起こす制度False Claims Actに基づくものです。

ちなみに、Potts-Kant博士は今回問題にされている研究そのものに関する不正とは別に、25000ドル以上の研究費を着服し、アマゾンやウォルマート、ターゲットなどでの買い物に使っていたかどで2013年に逮捕されています。

サイエンスの記事:

”And last month, a U.S. district court unsealed a whistleblower lawsuit filed by a former colleague of Potts-Kant. It accuses the researcher, her former supervisor, and the university of including fraudulent data in applications and reports involving more than 60 grants worth some $200 million. If successful, the suit—brought under the federal False Claims Act (FCA)—could force Duke to return to the government up to three times the amount of any ill-gotten funds, and produce a multimillion-dollar payout to the whistleblower.” (Whistleblower sues Duke, claims doctored data helped win $200 million in grants. Science News By Alison McCook, Retraction WatchSep. 1, 2016 , 2:00 PM)

訴状は公開されていて、内容を読むことが可能です。

DukeSuedCivilActionNo4-13-cv-00017

(Former researcher sues Duke, alleges Uni used improper data to receive funding. Duke University The Chronicle By Staff Reports | Friday, September 2 訴状へのリンク)

 

参考

  1. Duke Is Wake-up Call for Research Compliance (bna.com April 4, 2018) The case is in the discovery phase in preparation for a possible trial, according to filings tracked by Bloomberg Law.
  2. Judge Refuses to Dismiss Whistleblower’s False Research Data Suit Against Duke University and Two Faculty Members (The Health Law Firm Thursday, May 11, 2017) On April 27, 2017, a federal judge in North Carolina refused to dismiss a False Claims Act (FCA) lawsuit against Duke University and some of its faculty.
  3. Survival of Duke Research Whistle-Blower Case Could Mean More Suits (bna.com May 2, 2017)  Duke University and two Duke researchers will have to face claims they defrauded the government on NIH research grants ( United States ex rel. Thomas v. Duke Univ. , M.D.N.C., No. 1:17-cv-00276-CCE-JLW, order 4/25/17 ). Former Duke University employee Joseph M. Thomas sufficiently stated claims against Duke and the researchers, Judge Catherine C. Eagles of the U.S. District Court for the Middle District of North Carolina said in an April 25 order refusing the defendants’ bid to dismiss the suit.
  4. Joseph Thomas vs. Duke University: Lawsuit Update 4.28.17 (Scribd)
  5. Former researcher sues Duke, alleges Uni used improper data to receive funding (Duke University The Chronicle By Staff Reports | Friday, September 2)
  6. Whistleblower sues Duke, claims doctored data helped win $200 million in grants. (Science News By Alison McCook, Retraction Watch Sep. 1, 2016 , 2:00 PM)
  7. Embezzlement, 15 retractions, and a whistleblower could add up to trouble for Duke (Retraction Watch Written by Ivan Oransky September 1st, 2016 at 2:00 pm)
  8. William Michael Foster, PhD Professor in Medicine Depart of Medicin Duke University School of Medicine
  9. Lawsuit: Scientific fraud at Duke cost government $200 million in grant awards (The News&Observer By Jane Stancill September 2, 2016 7:22 PM)
  10. Duke researcher adds another retraction in JCI, bringing count to 15 (Retraction Watch Written by Alison McCook May 11th, 2016 at 12:05 pm):”We’ve found another retraction for Erin Potts-Kant, a former researcher at Duke, bringing her total to 15.”
  11. So you want to be a whistleblower? A lawyer explains the process (Retraction Watch Written by Alison McCook March 18th, 2015 at 9:30 am)
  12. False Claims Act (Wikipedia): The False Claims Act (31 U.S.C. §§ 3729–3733, also called the “Lincoln Law”) is an American federal law that imposes liability on persons and companies (typically federal contractors) who defraud governmental programs. It is the federal Government’s primary litigation tool in combating fraud against the Government.[1] The law includes a qui tam provision that allows people who are not affiliated with the government, called “relators” under the law, to file actions on behalf of the government (informally called “whistleblowing” especially when the relator is employed by the organization accused in the suit). Persons filing under the Act stand to receive a portion (usually about 15–25 percent) of any recovered damages. As of 2012, over 70 percent of all federal Government FCA actions were initiated by whistleblowers.

学長権限強化が学問の自由を脅かす危険性

岡山大学不正告発教授解雇事件で曝け出された、学長権限強化が学問の自由を脅かす危険性

岡山大学で研究不正を告発した教授が学長から解雇処分を受けた事件は、告発した教授らが処分の不当性を訴えて裁判で係争中ですが、世間に大きな衝撃を与えています。大竹まことゴールデンラジオ(文化放送)でもこのトピックが取り上げられました。このラジオ番組では事件の概要が説明され、さらにこの事件の背景が考察されています。

AM1134文化放送 大竹まことゴールデンラジオ!〜大竹紳士交友録。深澤真紀さんが語る大学の自治。2014年から「国立大学の学長の権限強化」。馳文科大臣が「学長選挙に反対」とコメント。教員人事は大学の管理が基本。

AM1134文化放送 大竹まことゴールデンラジオ!〜15時台、大竹紳士交友録はオープニングで発表したテーマを変更します。「岡山大学で何が起きているか。そして大学の自治」というテーマでお届けします。

【大竹まこと×深澤真紀×倉田真由美】 岡山大学の不正研究と2人の教授解雇! 政府が大学人事関与

理研 遠藤氏がSTAP細胞解析データを説明

【全録速報】 理研・遠藤高帆研究員が記者会見~STAP細胞のデータ解析を説明 2014.10.01

 

【全録速報】 理研・遠藤高帆研究員が記者会見~STAP細胞のデータ解析を説明 2014.10.01

参考

  1. 「STAP論文の説明は成立しない」理研・遠藤氏がデータ解析で指摘(要点資料全文)(弁護士ドットコム2014年10月01日):”STAP細胞のデータ解析をしていた理化学研究所統合生命医科学研究センター・統合ゲノミクス研究グループの遠藤高帆氏が10月1日、記者会見を開き、分析結果を報道関係者向けに発表した。”
  2. STAP細胞論文の疑惑を指摘した遺伝子発現解析結果が、論文として日本分子生物学会誌Genes to Cellsに掲載

理研がようやくSTAP細胞論文の本調査へ

STAP細胞論文捏造疑惑の全容解明に関して、理化学研究所はなぜか非常に消極的な態度をとってきました。筆頭著者のデータ捏造も大きな驚きでしたが、それよりもさらに大きな驚きだったのがこの理研の不可解な対応です。

STAP「理研は科学に対して誠実か?」川合眞紀の答弁 日経サイエンス記者の質問

この期に及んで、ようやく理化学研究所も重い腰を上げるようです。

”理研は「科学研究上の不正行為の防止等に関する規程(平成24年9月13日規程第61号)」に基づき6月30日から開始した研究論文(STAP細胞)の疑義に関する予備調査の結果を受けて、本調査を実施することとし、9月3日に外部有識者のみにより構成される調査委員会を設置しました。..”

(http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140904_1/)

参考

  1. 研究論文(STAP細胞)の疑義に関する本調査の実施について(独立行政法人理化学研究所 2014年9月4日)

西塚泰美先生曰く「すべての論文は 嘘だと思って読みなさい」

本庶佑博士がSTAP問題についてコメントした「新潮45」の記事(全文PDF)の中で、他人の書いた論文を読むときの心得が説かれています。これから研究者を目指す人、大学院生にとっては必読の教育的な内容です。

子供の頃から、教科書や本の内容、新聞記事など、印刷されて世に出回っているものは「真実」であると信じて、疑うことを知らずに育って大人になってしまった人は、学術論文も当然真実だけが書かれていると思い込んでいるかもしれません。そのような素直で正直な性格の人は、要注意です。

中世イスラムの科学者イブン・アル=ハイサムも、過去の科学者が書いた書物を鵜呑みにするなと戒めています。

真実を捜し求める者というのは、古い書物から学ぶ際に、書かれていることを性格的に信頼してしまうような人間ではなく、むしろ、自分が書物を信じてしまうことに疑いを持ち、書物から集めた事柄に問いかけるような人間である。

論拠や実演には従うが、あらゆる種類の不完全さや欠陥でいっぱいの人間の言葉には従わないような人間である。このように、科学者の書いたものを吟味する人間の義務というのは、もし真実を学ぶことが目的なのであれば、読んだこと全てを敵にまわすこと、書かれた内容の中核および周辺に注意を向けながら、あらゆる側面からその書物に挑むことである。

また、読んだ内容を批判的に吟味する際には、自分自身を信用しないようにしなければならない。そうすることにより、偏見や甘さに陥ることを避けることができよう。(イブン・アル=ハイサム, 965-1040 訳:当サイト)

The seeker after the truth is not one who studies the writings of the ancients and, following his natural disposition, puts his trust in them, but rather the one who suspects his faith in them and questions what he gathers from them, the one who submits to argument and demonstration, and not to the sayings of a human being whose nature is fraught with all kinds of imperfection and deficiency. Thus the duty of the man who investigates the writings of scientists, if learning the truth is his goal, is to make himself an enemy of all that he reads, and, applying his mind to the core and margins of its content, attack it from every side. He should also suspect himself as he performs his critical examination of it, so that he may avoid falling into either prejudice or leniency.(イブン・アル=ハイサム, 965-1040.https://en.wikiquote.org/wiki/Alhazen)

 

本庶先生いわく、

”しばしば秀才が陥る罠ですが論文に書いてあることがすべて正しいと思い一生懸命知識の吸収に励むあまり、真の科学的批判精神を失うという若者が少なくありません”

では一体どのような態度で他人の論文に接するべきなのでしょうか?

”重要なことは雑誌に公表された論文をそのまま信じてはいけないと言うことです。私は大学院の指導教官であった西塚泰美先生(元神戸大学長)から「すべての論文は嘘だと思って読みなさい」と教えられました。まず、疑ってかかることが科学の出発点です。教科書を書きかえなければ科学の進歩はありません。”

なぜ他人の論文を疑ってかからないといけないのか?それは論文を書いた科学者も所詮は人間のため、自分の思い込みによってデータを取捨選択してしまったり、データの解釈を誤ってしまう可能性があるからです。

”データの加工ということは多くの論文である意味で避けられないところがあります。例えば、顕微鏡下で見た写真の中で自分の考え方に合うと思われる一部分の場所を拡大したり、その部分を集めてくるという作業は意識的・無意識的に係わらず多くの研究者たちが行うことだと思います。通常はそれが意図的な変更でないことを別の方法で検証したデータをつけます。読む方としては当然そういうことも計算に入れて論文を読む必要があります。”

実際のところ、世に出回っている論文のうち、どれくらいの割合で間違いが存在するのでしょうか?

”私の大雑把な感覚では論文が公表されて1年以内に再現性に問題があるとか、実験は正しいけれども、解釈が違うとか、実験そのものに誤りがあるとか言った理由で誰も読まなくなる論文が半分はあります。2 番目のカテゴリーとしては、数年ぐらいはいろいろ議論がされ、まともに話題になりますが、やがてこの論文が先と同様に様々な観点から問題があり、やはり消えていくもの30%ぐらいはあるでしょう。論文が出版されてから20 年以上も生き残る論文というのはいわゆる古典的な論文として多くの人が事実と信じるようになる論文で、まず20%以下だと考えております。中には最初誰も注目しなかったのに5~10年と次第に評価が上がる論文もあります。”

以前、「医学生物学論文の70%以上が、再現できない!」というネイチャーの記事が話題になりましたが、ウソや間違いが論文発表されている割合は思いのほか高いようです。

STAP細胞はまだ詳細な調査報告結果が発表されましたが、不正の疑義が呈されても、「研究不正はなかった」の一言で誤魔化して、実験が正しく行われていた証拠を一切見せない大学もあります。そんな論文を信じていいいのかどうか、ご自分でご判断ください。

関連記事 ⇒ 東大医学部疑惑論文をフリーソフトで確認

 

参考

  1. STAP 論文問題私はこう考える (分子生物学会ウェブサイト内 PDFリンク 本庶 佑 元役員 2014年7月9日 新潮社「新潮45」July 2014 p28~p33より転載)
  2. NIH mulls rules for validating key results (31 July 2013):”…In a 2011 internal survey, pharmaceutical firm Bayer HealthCare of Leverkusen, Germany, was unable to validate the relevant preclinical research for almost two-thirds of 67 in-house projects. Then, in 2012, scientists at Amgen, a drug company based in Thousand Oaks, California, reported their failure to replicate 89% of the findings from 53 landmark cancer papers….
  3. ”白楽は、大学院生の頃から、論文を吟味しながら読む習慣がある。というか、まともな研究者は全部そうだろう。論文をハナから信じることはない。むしろ、間違っている点はどこか、不備な点・足りない点はどこかと思って読む。そうでなければ、その論文を越える研究ができない。他の研究者の研究成果は、まず、吟味する。しつこく、徹底的に吟味する。イヤラシイほど吟味する。そして、ほとんどの場合、間違っている点・不備な点・足りない点を見つけてしまう。” (研究倫理 白楽ロックビルのバイオ政治学 研究界の不祥事の全体像)

STAP細胞検証について日本学術会議が提言

STAP細胞捏造論文に関する理化学研究所の中間報告の記者会見が2014年3月14日に行われましたが、これを受けて日本学術会議はこの調査委員会の中立性に疑問を呈し、調査委員会のメンバーを明らかにすること、調査委員長は外部の人間にすること、また、STAP細胞作製の真偽にまで踏み込んだ調査を行うことなどを提言しました。

日本学術会議会長談話 STAP 細胞をめぐる調査・検証の在り方について 平成26 年3 月19 日
日本学術会議会長 大西 隆 (PDFリンク)

この談話の中で、「調査委員会の構成が明らかにされておらず、委員長も内部の方が務めるなど、その的確性や透明性において必ずしも十分とは言い難い」と理研の対応を厳しく批判しています。そして

(1) 今後の調査スケジュールを示すこと、
(2) 調査メンバーを明らかにし、委員長は外部の人にすること、
(3) STAP細胞作製という主張の科学的妥当性を検証すること、
(4)研究実施及び論文作成・発表の過程における理化学研究所の組織ガバナンスの問題を検証すること、
の4点を要望しています。
参考
  1. 日本学術会議とは:日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、昭和24年(1949年)1月、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。
  2. 科学者の社会的責任と科学の発展(2014年1月 第22期日本学術会議会長大西隆):研究論文のねつ造、改ざん、盗用をはじめとする不正行為や研究費の不正使用等は、科学者や科学が社会にもたらす損失であり、科学の信頼を失墜させます。日本学術会議は、高度に発達した科学の内包する危険を自覚し、その回避のために叡智を結集するとともに、不正行為や不正使用の撲滅のために、大学、研究機関、学協会等とともに具体的な取組を進めることにしました。

理化学研究所の体質

毎日新聞の報道によれば、2014年3月18日に自民党本部で開かれた科学技術・イノベーション戦略調査会などの合同会議で、理研の野依良治理事長らは「今の段階で捏造があったとは認められない。」と説明したそうです。

データ捏造や研究不正が明らかな事項を「調査継続中」として結論を先延ばしにしておき、「現段階では捏造があったとはみとめられない」というのは詭弁です。今回のデータ捏造の事実関係を把握していない人に対してこのような言葉を伝えるのは、その人を騙す行為です。日本の科学技術政策の決定に関わる場面で、このような詭弁を用いることが許されていいのでしょうか?真面目に研究している多くの科学者や納税者を愚弄しています。

参考

  1. STAP細胞:理研「再現実験に3カ月、まとめに1年」(毎日新聞 2014年03月18日 19時48分 最終更新 03月18日 20時21分):会議終了後、塩谷立同調査会長は「(理研によると)今の段階で捏造(ねつぞう)があったとは認められないとのことだった。再発を防ぐため、研究体制がどうあるべきか、できるだけ早い時期に提示してほしいと要望した」と述べた。
  2. 理化学研究所人員・予算(理化学研究所ウェブサイト):理化学研究所平成25年度予算844億4300万円
  3. 理研・野依理事長が研究・出版倫理と不正行為についてAdv. Synth. Catal.誌に寄稿(ワイリーサイエンスカフェ):すべての科学者は、不正行為が科学に対する裏切りだということを肝に銘じるべきである
  4. 野依良治(ウィキペディア):キラル触媒による不斉反応の研究で2001年ノーベル化学賞を受賞。

今こそ示そう科学者の良心2008

分子生物学会はここ数年間にわたって研究不正問題に取り組んできました。2008年の年回において若手教育シンポジウム「今こそ示そう科学者の良心2008 -みんなで考える科学的不正問題」の司会進行役を務めていたのが東京大学加藤茂明教授(2012年辞職)でした。

この時点ではまだ加藤茂明研究室の不正は世に知られておらず、当時大きな問題になっていたのは、大阪大学の杉野明雄教授による論文捏造事件でした。2008年のこのシンポジウムの内容の詳細は公表されています(PDFリンク)。データ捏造に関して深く議論されており、論文不正問題を考える上での貴重な資料になります。

研究費を私的に流用すればもちろん犯罪ですが、データ捏造論文をバレた後で撤回し公的な研究費を無駄にしても、研究者が賠償責任を問われたとか法で裁かれたという話は聞きません。せいぜい辞職するなり解雇されるなりしてお終いのようです。科学者から見た場合、科学研究における不正行為は一体どれくらい悪いことなのでしょうか?

やっぱり科学における犯罪ですよね、不正は。(柳田)(13ページ)

真理の探究という崇高な目的のために生きているはずの科学者がなぜデータ捏造という考えられないような不正行為に手を染めてしまうのか?データ捏造が発生するメカニズムをまず理解する必要があります。これに関しては、このシンポジウムで夏目徹氏がまるで捏造の瞬間を実況中継しているかのように、非常に臨場感溢れる解説をしています。

捏造というのは4つのパターンに分類されます。基本的には、まずボトムアップ型というのが非常に基本的ですね。ボトムアップ出来心。あなたが実験をやったとします。「ここに、バンドが出ればなぁ…」、「この濃淡がひっくり返ってくれたらなぁ…」なんて思いながらですね、ついデータをいじってまった。これは全く遊びでやったんですけども、やってるうちに何か妙に熱中してくるんですね。「この濃淡、意外に自然じゃないか」とかですね。悪いことにですね、それをボスに見つかっちゃうんですよ。「お、A君、やったな、とってもいいじゃないか」、「いや、先生これは…」、「よくやったな。君はいつかやってくれると思ってたんだ」、なーんてやってるうちにデータが一人歩きしてですね、言い出せなくなってしまう。で、それがパブリッシュされる。それがたまたま某プレミアムジャーナルで、記者会見までしてしまって・・・。最悪のパターン。これはボトムアップ出来心型という、一番レベルの低い捏造です。

レベル2というのはですね、ボトムアップ確信犯型というやつですね。レビューアーから「確かめの実験をしなさい。ここの再現性をもう少し見なさい」、あるいは「このデータは数値が少し差が少ない。もう一回確認しなさい」。これはもう何回やったって同じだと。でもしょうがないからやろう。やろうと思ったんですが、それをやるにはですね、抗体が要るんですが、「あっ、抗体が切れてる。ストックが尽きた。しょうがない、ハイブリドーマを起こさなきゃいけないな」。そしたらですね、もう正月休みだったんですね。正月返上で、レビューアーが、「リバイズしなさい」。誰もいない正月の研究室で、ストックを開けてみたらですね、液体窒素が切れてるんですよ。(笑)ハイブリドーマ全滅。どうしようと途方に暮れてる時に除夜の鐘がボ~ンなんて鳴ってね。僕がやったんじゃないですよ。そこで、ですよ。ところが、それで仕方ないと途方に暮れてエクセルに向かってですね、カシャカシャ…。そこに立ち話をしにボスが来たっていうのも知らないのに、やってしまった。というのもあるんですね。これがボトムアップ確信犯型です。どうせバレない。これは非常にたち悪いです。最近ハイテク化したので、こういうのをほぼ生業としているプロの方もいらっしゃって、皆さん「えっ?!」と思うような、ものすごい手口があるんです。それはなかなか見破られません。

それから、次のレベル3は、もっとたち悪いですね。ボトムアップがあるということは、当然トップダウンもあるんですね。トップダウン恫喝型というのがありますけれども。これはですね、ボスが非常に思い込みの激しい情熱家だったりする場合が多いんですけども、このストーリーの実験でこういうデータが出るまで絶対許さない。データを出さない限りは家にも帰っちゃだめ。全くコントロールと差のないデータを先生に出しても、「心の目で見てみろ」とすごいことを言われて… 泣く泣く捏造に近いことを、なかば強制される。恫喝される。これをトップダウン恫喝型って言うんですね。で、これはレベル3です。

レベル4はどういうやつだと思いますか? トップダウン洗脳型というやつです。これはですね、これは私、見て本当に驚いたんですけども「捏造は悪ではない」。こんなのやったってやんなくても変わらないようなものはやる必要はない。それによってコストと人件費を大幅に節約できるのだと。「だからバレそうもない捏造は大いにやりなさい」というようなことを激励するような人を、私はたった1人ですが、見たことがあります。

夏目氏はボトムアップとトップダウンという考え方で4つに分けていますが、(1)あと一歩でアクセプト(論文の受理)されそうな論文を通すために絶対に必要なデータを「成り行きで」捏造する不正行為と、(2)トップジャーナルに通るような良いストーリーを作り上げるために研究の早い段階で、ストーリーに沿う内容のメインデータを作り上げてしまう「確信犯的」不正行為、の2種類に分けることも出来そうです。

前者の場合は、結論が変わるほどの重要なデータではないために、見過ごされてしまいかねない研究不正。データの不備を指摘された場合には、「手違いでした」と後から正しいデータを差し出して逃げ切ろうとするパターンです。不正の件数としてはこちらの方が圧倒的に多いでしょう。バレても誤魔化して事なきを得ることができる可能性が高いだけにたちの悪いものです。論文を掲載した雑誌社も穏便に済ませたいでしょうから、「正しいデータ」を受け取って一件落着になりそうです。

後者は、論文が出版されたあと多くの研究者が追試して結果が食い違ったり再現されなかったりして問題になることが多い、つまり結論が間違ってしまうようなデータ捏造。もちろん、捏造した内容がたまたま真実と同じなら気付かれないままになる可能性もあります。

加藤研究室の場合は、関与した研究者(論文著者)の数や不正論文の数が多く、捏造されたものもメインのデータであったり、対照実験のデータであったりするため両者の複合型といえるでしょう。

非常に興味深いことに、このシンポジウムの記録には加藤研究室に過去在籍していた金氏の発言があります。

以前、私は加藤茂明先生のところの研究室で研究をしていたんですけれども、その時は、自分たち世代までは結構そういうことが問題になって、いい研究を正しいルールでやりたいと、そういうのがカッコいいという考え方がありまして、例えば再現がよくとれないんだけども、「何回、n層何回あったらこの実験はみんなに公表してもいいと思う?」とか友達に聞いたりすると、誰かが「これは3回なんだよ」とか言ったり、「3回じゃ足りないから、3回じゃいけないから」とか「5回以上しないと自分は認めない」とか、そういうことがあるので、やはりいい研究をやるというのは、正しいルールでやったほうがカッコいいという。「魂を捨てたら、もう研究者の生命は終わりよ」という話もしますが、そういうだめな魂は絶対つくってはいけないと思わないと、長い間、研究は楽しくやっていけないと思います。

「いい研究を正しいルールでやることがカッコいい」という風潮が当時の加藤研にあったようです。研究をまるでゲームか何かのように捉えているようで、とてもサイエンスをやる態度とは思えません。この発言内容からすると金氏がデータ捏造に積極的に関与したとは考えにくいのですが、不思議なことに加藤研から出た不正論文の中でも際立って捏造箇所が多いNature論文の筆頭著者です。この論文は、

2008年8月18日投稿
2009年8月24日受理
2011年12月1日訂正
2012年6月14日撤回

という経過をたどりました。東京大学の中間報告では誰がどう不正に関与したかに関しては全く何の情報もありませんが、ヤフーニュースによると

多くの場合、論文の筆頭著者と、不正を働いた研究者は別人だった。不正の大部分は、当時、助手を務めた一部の研究者によって行われていた。 (http://bylines.news.yahoo.co.jp/kamimasahiro/20130904-00027838/)

という驚くべき内容が報道されています。真相の究明に関しては東京大学の最終報告が待たれます。

研究不正防止対策に関してですが、このシンポジウムではいくつかの提言がなされています。

データの管理というのは非常に重要です。皆さん個人のノートを持っているかもしれませんけれども、それはinstituteに所属するものであって、決して個人のものではないということが、ほとんどの研究所、大学で規定されていると思います。

一番多いのがですね「電子データだったのでなくなってしまった」という言い訳が多いんですけれども、そういうのを許さないためにも、きちんとしたデータ管理を心がけるというのを少し呼びかけておきたいと思います。(16~17ページ)

不正の疑惑が生じた場合、実験ノートが存在しなくて実験データだけがある場合には不正とみなすというくらいの強い態度で臨めば不正は減りそうです。加藤茂明教授は「性善説」に基づいた研究室運営を行っていたことがアダになったという発言をされていますが、部下にデータ捏造をさせないためにはPIはどうすれば良いのでしょうか?

いろいろな実験は学生にやらせているんですけど、その時に伝えているのは、どっちでもいいから、本当の答えが知りたい。白でも黒でも、赤でも青でもどっちでもいいから、ともかくきちっとした実験をやって、コントロールをちゃんとおいて、本当は赤なのか青なのかを示してくれて、それが、本当は赤が欲しかったんだけど青になるとか、結果がどうであっても全然ハッピーだということを伝えて。青だったら論文書きやすいとか、いろんなことがあるんですけど、でも逆に赤のほうがいい論文になることも往々にしてあるわけですから、ともかく真実を教えてよとしか言いようがなくて。(山中)(17~18ページ)

お互いに生データレベルで、常にみんなが何をやっているかというのを知り合える状態というのをつくり、かつ、その中でやっぱり厳しい、厳しいというか、フィードバックチェック機構が働く、というのを実現していきたい。(後藤)(18ページ)

僕の今の工夫は1つはオープンにするということです。1対1のミーティングもやりますが、必ず全員の前で自分の仕事を月にいっぺんは発表する。で、誰が何をしてるかをみんなが知っているというオープンにすることが、やっていることの1つです。もう1つは、もう当たり前の結果だったらいいんですけれども、iPSができたという結果、ジャームラインに入ったという結果、プラスミドでできたという結果、こういうときは、必ず違う人に、やや違う手法でやってもらっています。(山中)(23~24ページ)

つまりやる人はいるんです、必ず。犯罪と同じですよ。犯罪ゼロっていうことはない。犯罪が起きそうなときに、それを抑止するという発想のほうが、学問とい うのは制度的なものですので、やっぱり抑止するということは、我々の倫理観、高いものを持っていて、問題が出たときには、その行為自身を許さない。そっち のほうが教育のために、不正行為をやらないようにという教育よりも効果出るんじゃないかなあと。(柳田)(13ページ)

研究不正が発覚したときに誰がどう責任を負うべきなのかは、状況にもよるでしょうし非常に難しい問題です。

自分が関知していなければ、非常に恥ずかしいことですが、やめる必要はまったくないのであって…それはしょうがないですよ。罪じゃないですよ。それは仕方がない。だけど自分の能力がなかったことは認める必要があります。(柳田)(23ページ)

学生さんがもし自発的に変なことをやったとしても、それを見抜けなかったコレスポンディングオーサーが悪いわけですし。まず、そのPIでコレスポンディングオーサーになるんだったら、もうこの論文の責任は全部僕だと。だって、その論文でいい面は全部コレスポンディングオーサーが取っちゃうわけですから、悪いことが起こっても当然同じ、全部受け止めるべきであって。それは、僕は当然と思ってます。

辞める以外の責任の取り方というのは、いかにそれをちゃんと説明責任、世間に知らせて、恥ずかしいですけど、その場に留まってやるというのも大変つらい目に遭うと思うので。(山中)(23ページ)