「 論文データ捏造 」 一覧

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”アディポネクチン受容体”の機能 AdipoR1 and AdipoR2 maintain membrane fluidity in most human cell types and independently of adiponectin

トップジャーナルに出た日本の研究成果がことごとく再現されていないということを指摘した論文を紹介します。 学会などで研究者同士はたいてい知り合いになるので、他の研究者の実験結果が自分の手で再現されなかったとしても、そうそう露骨に論文内でそれを指摘することはなく、せいぜい、実験条件の微妙な違いかもとか、手技の違いかもとか、使った実験動物の系統の差かもしれないなどと言ってお茶を濁すものだと思っていました。 この論文の著者らはイントロにおいて、再現性がないアディポネクチン受容体(AdipoR1, AdipR2)の実験結果を、分野外の人間にも理解できるくらい明解に整理してくれています。   論文サイト(オープンアクセス、著作権CC-BY)→http://www.jlr.org/content/60/5/995.full 論文タイトル:AdipoR1 and AdipoR2 maintain membrane fluidity in most human cell types and independently of adiponectin 論文著者:Mario Ruiz, Marcus Ståhlman, Jan Borén, Marc Pilon.   著者の所属大学:Department of Chemistry and Molecular Biology;* University of Gothenburg, Gothenburg, Sweden, Department of Molecular and …

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STAP細胞事件の真相は結局何だったのか?

STAP細胞は結局あったのか無かったのか、何だったのか?という疑問をいまだに持っている人も多いかと思います。 STAP細胞事件で炙り出されたのは、日本の生命科学研究がいかに杜撰に行われていたかということでした。2014年1月30日付けのNATURE誌に掲載された2報のSTAP細胞論文の内容を伝えた最初のニュースに接して、凄い研究者が出現したものだと自分も思い、このウェブサイトでも記事にしましたが、今から考えるとマヌケだったと思います。研究者も変わったなあ、こんな見た目の人がこんなすごいことをやってのけるんだ?と当時はびっくりしました。 記者会見&報道を鵜呑みにした、当時のマヌケな記事↓信じられないくらい簡単に体細胞を万能細胞に転換させる方法を日本人女性研究者(30)が発見!   STAP細胞とは STAP細胞とは、Stimulus-triggered acquisition of pluripotency (STAP)という現象を示す細胞ことで、STAP細胞を日本語でいえば刺激惹起性多能性獲得細胞(しげきじゃっきせいたのうせいかくとくさいぼう)となります。2014年に小保方晴子研究員らを中心とする研究グループによりNATURE誌に論文報告されましたが、現在ではそんなものは存在しなかったことになっています。 STAP現象を発見したと宣伝する理研のプレスリリース↓。 マウスのリンパ球などの体細胞を⽤いて、こうした体細胞の分化型を保持している制御メカニズムが、強い細胞ストレス下では解除されることを⾒いだしました。さらに、この解除により、体細胞は「初期化」され多能性細胞へと変化することを発⾒しました。この多能性細胞は胎盤組織に分化する能⼒をも有し、ごく初期の受精胚に⾒られるような「全能性[5]」に近い性質を持つ可能性が⽰唆されました。この初期化現象は、遺伝⼦導⼊によるiPS細胞(⼈⼯多能性幹細胞)の樹⽴とは全く異質のものです。共同研究グループは、この初期化現象を刺激惹起性多能性獲得(STAP)、初期化された細胞をSTAP細胞と名付けました。(2014年1⽉29⽇ 理化学研究所 報道発表資料 PDF)   STAP細胞とiPS細胞との違い STAP細胞はひとりの人間の妄想の産物およびその妄想が共同研究者の脳にも宿った結果、論文報告という意味において現実化したものですが、実在はしません。それに対して、iPS細胞は実際に存在する細胞です。   STAP細胞はありまぁす 小保方晴子氏が記者会見で記者からの「STAP細胞はあるんでしょうか?ないんでしょうか?」という質問に答えた「STAP細胞はあります」という発言は、2014年の流行語大賞にノミネートされるほど社会的なインパクトがありました。 「STAP細胞はあります!」 4月9日反論会見 小保方氏本人と守護霊が激白!!【ザ・ファクト REPORT #3】   流行語大賞はどれ? 「STAP細胞はあります」「ありのままで」など50語ノミネート (2014.11.19 16:25 産経ニュース)今年話題となった言葉に贈られる「2014ユーキャン新語・流行語大賞」の候補が19日、「現代用語の基礎知識」を発行する自由国民社から発表された。今年は、小保方晴子氏の「STAP(スタップ)細胞はあります」やアニメ映画「アナと雪の女王」の「ありのままで」、お笑いコンビ「日本エレキテル連合」の「ダメよ~ダメダメ」など50語がノミネート。大賞とトップ10は12月1日に発表される。 こっちが流行語大賞? 小保方さんの「レシピある」発言はすごい(2014.12.18 11:30 AERAdot.) やく:私は一貫して、小保方さんを擁護しています。かみさんには「あなたはインテリ女に弱い」と言われるんですが、まことにそのとおり。疑惑に答えるため4月に開いた会見で発した、「STAP細胞はあります」という言葉が新語・流行語大賞の候補になりましたが、私はそれより、「STAP細胞は200回以上作製に成功した」という言葉に重きを置きたい。検証実験の結果はまだ公表されていませんが、201回目の成功を待てばいいだけです。 ぺリー:小保方さんの「レシピのようなものはある」という発言はすごいと思いました。科学者は、レシピとは言わないでしょ。かっぽう着でレシピですからね。   STAP細胞の真実 結局、STAP細胞は存在しなかったと思います。あったとすれば小保方さんの頭の中にだけあったのでしょう。そして、周囲の研究者は、すくなくとも当初は、それを信じたのです。研究の過程で、アーチファクトをうっかり大発見と見間違うことはありがちです。思い込みが激しければ、死にゆく細胞の自家蛍光をGFPの蛍光と見間違った可能性は大きかったと思います。   参考 小保方晴子『あの日』 講談社 2016年1月29日 小保方晴子『小保方晴子日記』 中央公論新社 2018年3月20日   理研STAP細胞NATURE論文捏造事件のカテゴリー内の記事

2018年11月19日ディオバン論文不正事件の控訴審判決

アンジオテンシンII受容体拮抗系高血圧治療薬・ディオバン(一般名:バルサルタン)を巡る医師主導の臨床研究でデータを改ざんしたとして、薬事法(現・医薬品医療機器法)の第66条に基づく誇大記述・広告違反に問われたノバルティスファーマの元社員・白橋伸雄被告と同法両罰規定により起訴された法人としてのノバルティスファーマに対する控訴審判決で、東京高裁は11月19日午後、一審の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。 同裁判は、日本人の高リスク高血圧患者を対象にノバルティスのディオバンの上乗せによる心血管イベント発症抑制効果を比較検討した「Kyoto Heart Study(KHS、主任研究者:松原弘明・京都府立医科大学循環器内科教授)」の2つのサブ解析論文での不正について問われたもの。(一審の無罪判決を支持。「66条1項での対応は無理があり、新たな立法措置が必要」 2018年11月19日 PM04:38 医療NEWS QLifePro) 「ディオバン」データ改ざん、2審も無罪判決 (2018年11月19日 21時34分 読売新聞 YOMIURI ONLINE) 高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究データを改ざんしたとして薬事法(現・医薬品医療機器法)違反(誇大記述・広告)に問われた製薬大手「ノバルティスファーマ」の元社員・白橋伸雄被告(67)と法人としての同社の控訴審判決で、東京高裁は19日、無罪とした1審・東京地裁判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。 芦沢政治裁判長は、「たとえ白橋被告が虚偽のデータを提供し、それを基に虚偽の論文を学術雑誌に掲載させたとしても、薬事法が禁じる誇大記述・広告にはあたらない」と述べた。 薬事法違反を巡る裁判で一審を支持 ディオバン論文不正事件で判決、二審も無罪 (2018/11/19 満武 里奈=日経メディカル) 降圧薬バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床研究論文不正事件で医薬品医療機器等法(旧薬事法)違反の罪に問われ、一審で無罪を言い渡されたノバルティスファーマ元社員の白橋伸雄被告とノバルティスファーマの控訴審判決が11月19日、東京高裁であった。東京高裁は一審の判決を支持し、検察側の主張を棄却した。論文を掲載した行為は、旧薬事法第66条第1項の「虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」には抵触せず、違法性はないと判断した。     ノバルティスファーマ社の降圧薬バルサルタン(商品名:ディオバン)の論文不正で、ノバ社の元社員と同社が薬事法(現・医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)の罪に問われた事件の控訴審初公判が12日に東京高等裁判所で開かれ、即日結審した。判決は11月19日。元社員と同社に対して無罪とした東京地裁の判決を不服として、東京地検が控訴していた。… 昨年3月の判決で東京地裁は、元社員がディオバン群に有利にするために意図的にデータを改竄したとの検察の主張を認めたものの、学術雑誌の論文掲載に購入意欲を喚起する性質があるとはいえず、薬事法が規制する虚偽広告には当たらないと判断し、無罪判決を言い渡した。(NEWS ディオバン論文不正事件の控訴審判決は11月19日  2018-09-14 日本医事新報社) ノバルティスファーマ社の降圧剤(一般名バルサルタン:商品名ディオバン)を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件の控訴審が9月13日、東京高裁(芦澤政治裁判長)で開かれ、即日結審した。開廷時間は3分程度で、裁判所は事実関係については一審判決を踏襲し、学術論文を作成する行為が薬事法66条1項の虚偽広告に当たるかどうかを改めて判断すると見られる。(ディオバン裁判、高裁は即日結審、11月に判決 学術論文を作成する行為が薬事法違反かどうかが争点レポート 2018年9月13日 (木)高橋直純 m3.com編集部) 白橋被告らは、薬事法で禁じられている「虚偽記述・広告」をしたとして起訴された。一審・東京地裁は白橋被告が臨床データを改ざんしたと認定しつつ、「論文は広告にあたらない」と判断し、無罪とした。検察側はこの日、「誇大な事柄を広く知らしめれば、法律に違反する」と主張した。(「一審は法解釈を誤った」ノバルティス論文不正で検察側 2018年9月14日14時00分 APITAL 朝日新聞DIGITAL) 一審は17年3月、データ改ざんを認定したが、データに基づく論文投稿は「購入意欲を喚起させる手段と言えず、誇大広告に当たらない」として無罪を言い渡した。(2018/09/13-16:48) 一審は17年3月、データ改ざんを認定したが、データに基づく論文投稿は「購入意欲を喚起させる手段と言えず、誇大広告に当たらない」として無罪を言い渡した。(二審判決は11月19日=ノバルティス論文改ざん-東京高裁 2018/09/13-16:48  JIJI.COM)   【タブー】ディオバン事件は一部マスコミ関係者の地道な追及で、大学教授、製薬会社員の犯罪の事実関係を解明。だが、捏造が明らかでも、裁判所が無罪に、関係教授が学会理事長に。日頃、社会保障の金がかかりすぎると騒ぐ提灯マスコミは、健康保険にたかる詐欺企業の控訴審の存在すら国民に伝えない。 — 金子勝 (@masaru_kaneko) 2018年11月18日   参考 金子勝の「天下の逆襲」 これは深い病だ…文書やデータの改竄に社会が驚かない異常 2018/05/30 06:00 日刊ゲンダイDIGITAL 意外な無罪判決で検察に衝撃 ディオバン事件の経過と今後 前田恒彦 | …

サイエンス誌が弘前大学の故 佐藤能啓氏の論文不正に関する詳細な解説記事を掲載

サイエンス誌が、弘前大学の故 佐藤能啓氏の論文不正を取り上げています。不正調査に関わった研究者はの1人はこれを史上最大級の研究不正の一つと位置づけています。 Researcher at the center of an epic fraud remains an enigma to those who exposed him (By Kai KupferschmidtAug. 17, 2018 , 9:15 AM sciencemag.org) Sato’s fraud was one of the biggest in scientific history. The impact of his …

間違った医学論文で取得した博士号を徳島大学が取り消し

  2018/07/28    論文データ捏造, 研究倫理

学位取り消し 徳島大学では,元大学院学生(徳島大学大学院医科学教育部医学専攻博士課程(平成29年3月23日修了))の学位論文「A significant causal association between C-reactive protein levels and schizophrenia」(甲医第 1318 号・博士(医学))に関して,下記のとおり「学位を授与された者が,その名誉を汚辱する行為をしたとき」と判断し,学位授与の取り消しを決定し,学位記の返還を命じた。(徳島大学 平成30年7月6日)   論文の間違いが発覚した経緯 学位授与の根拠となった論文に関連し,外国人研究者が同じ公開データを使用した同じテーマの論文が,結果が逆の内容で別学術雑誌に掲載された。今回対象の論文を掲載している学術雑誌の編集者から,研究内容を確認して回答するよう要請があった。著者らは,要請を受けて再確認し,計算自体に間違いがなかったが,当初の公開データの取り間違いがあったことに気づき,論文の根幹に係る主張の間違いだと言うことで,論文撤回(H30.2.21)という結果になった。(徳島大学 平成30年7月6日)   研究不正の有無 特に公開データの場合は,誰もが同じことを直ぐにでも試みることができるので,データを故意に間違えて計算するという蓋然性は低く,この論文撤回に関して不正はなかったと判断した。(徳島大学 平成30年7月6日)   学位を取り消す根拠 学位授与の前提となる論文が事実上なくなった 研究者として当然持っているべき基本的な慎重さが欠け,主張が間違った論文を学位論文として申請した (徳島大学 平成30年7月6日)   徳島大学学長のコメント このたびの事態によって損なわれた徳島大学の学位に対する社会的信頼を回復するため、大学院生に対する研究者倫理教育の醸成を図ることはもちろんのこと、論文の作成段階及び学位の申請段階において、教育・研究の達成を見る上でも、実験内容を適切に記録していることを確認させるとともに、論文審査体制を一層厳格化することにより、学位審査体制の充実、透明性、客観性の確保を図り、学位の質保証に結びつけてまいります。(学長 野地澄晴)(学位授与の取消しについて 徳島大学 2018年7月6日)   参考 学位授与の取消しについて(概要) 平成30年7月6日 徳島大学 Retraction: A significant causal association between C-reactive protein levels and …

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第115回日本内科学会理事選に異議あり!

第115回日本内科学会総会が、2018年4月13日(金)~15日(日)の日程で京都で開催されました。内科学会理事の選出の際にハプニングがあったようなので、ネット上の噂をまとめておきます 現場を目撃した人の証言 674名無しゲノムのクローンさん2018/04/16(月) 02:02:27.12ID:SZp399Cyx 某医療コミュニティサイトより いやはや、驚きました! 通常は学会の定時総会など〇〇先生を理事にします。〇〇先生を評議員にします。賛成の方は拍手を・・・という感じでまったりと進んで行くのですが・・・ 今年の内科学会は会場が一つしかなく他に行くところもなく居眠りしようと会場に入った途端、女性の声で「小M先生を理事にするのはおかしい。これほどグレーな先生を理事にするのは理解できない!」という内容の罵声が耳に入り、演台の門W先生がたじたじになっていました。 小M先生の事は全く知りませんでしたのでネットで検索すると、ディオバン論文の責任者の方の様で、それならグレーじゃなくてブラックじゃない!と思ってしましました。 会場の中には女性の方の発現に「そうだ!」という賛同の声をあげる方や、「会をぶち壊しにするな!」という否定的な声をあげる方もいました。 私は個人的には疑問を感じたことに自分の考えを述べるのは間違ってはいないと思いますし、言われている事も正しいと思いました。 ネットでさらに検索すると小M先生と門W先生は同門なのですね。それと両方とも論文不正の問題を抱えていることも共通してるなと思って見ていました。今日の内科学会の一番の見どころでしたね。 (一部割愛及び複数の投稿を取り纏め 引用元:http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/life/1520931117/ )   反響 755名無しゲノムのクローンさん2018/04/19(木) 03:33:21.15ID:LL1qvnoox >>753 国内では、権威を振りかざす、三内なんて今まで逆らえなかった まして面と向かって物申す!なんて、内科学会のジャンヌダルクの降臨だったわ  でもね、よく考えたら、MDとしてちゃんとやってけば、捏造してまで権威を振るうような人達に遠慮する事も無いわね 捏造告発の道すじを作ってきた、11jigen,ordinary researchers や匿名の貢献は大きいと思う (引用元:http://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/life/1520931117/)   発言者本人の弁 医師の世界では、エムスリーという会社に医師用の掲示板があり。そちらで書かれているのでご存知の方も多くなっているのですが。… 会場で小室先生の理事就任を認めるか、と当時の理事長の門脇先生が言うので異議あり!とすくっと立ち上がりました。… 小室先生は黒ではないが、白でもなくグレーです。そのような理事をお迎えしてなぜ運営しなければなりませんか。こんなことをやれば日本はまた海外から失笑される。日本の研究の国際的信用が失墜している中、グレーな人をお迎えして運営するのだ、と示せばまた信用が落ちる。容認できません。これに対して門脇先生は、手続きの適正性を盾に否決するのを拒みました。しかし。わたしの質問は、なぜあまた白い人がいる中グレーな人を幹部に迎えねばならないのかというものであり議論がかみ合っていません。… (【内科学会総会】ディオバン問題:総会を荒らしてしまいました【NIPT】Posted on 2018年4月22日 by minerva-clinic 医術と戦術の女神ミネルバ 仲田洋美 オフィシャルブログ)   参考 第115回日本内科学会総会・講演会 テーマ:『 明治維新150年目の内科学 ~難治性疾患への挑戦~』主宰会長 …

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東大H26行動規範委員会資料不開示問題の答申

匿名A氏が指摘した類似画像を含む84報のうち東大の医学系研究者が著者であった12報に関して東大が予備調査の結果不正無しと結論したことに関して情報の開示請求がありましたが、東大が一部不開示の決定をしたため、それを不服とする開示請求者が審査請求を行い、それを受けて審査会が審査を行い、その結果を答申として公開していました。以下、その内容です。東大が不開示としたのは違法であると結論しています。 以下、http://www.soumu.go.jp/main_content/000506048.pdf の内容の転載。太字強調は当サイト。   諮問庁:国立大学法人東京大学 諮問日:平成29年6月8日(平成29年(独情)諮問第31号) 答申日:平成29年9月6日(平成29年度(独情)答申第24号) 事件名:平成26年度科学研究行動規範委員会資料等の一部開示決定に関する件 答 申 書 第1 審査会の結論 別紙に掲げる文書1ないし文書5(以下「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした決定については,理由の提示に不備がある 違法なものであり,取り消すべきである。 第2 審査請求人の主張の要旨 1 審査請求の趣旨 独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく開示請求に対し,平成29年2月8日付け第2 016-45号により国立大学法人東京大学(以下「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った一部開示決定(以下「原処分」という。)について,原処分を取り消し,出席者を除く不開示部分(以下「本件不開示部分」という。)の開示を求める。 2 審査請求の理由 (1)審査請求書 ア 不開示とされた各議事などについて,調査・事案処理の方法・方針,委員の発言内容に係る記載は,調査委員会での審議が適切に行われたか知る上で必要な情報である。開示された各議事はほぼ全てが黒塗りされており,ひとつひとつの論文について十分に審議されたか否かが,現状の開示資料では推測することすら困難である。これでは審議内容が適切か否かを判断することができず,かえって疑念を抱かせる原因となる。「東京大学の科学研究における行動規範」にあるように研究不正は,「科学研究の本質そのものを否定し,その基盤を脅かす,人類に対する重大な背信行為」である。奇しくも ,現在,同じ研究者に対する研究不正の告発が行われており,過去の調査が適切に行われたかどうかを示すことは,研究不正に貴大学がどのような姿勢で臨んできたのかを示すことにもつながる。同じ行動規範には,「科学者コミュニティの一員として,研究活動について透明性と説明性を自律的に保証することに,高い倫理観をもって努めることは当然である」と明記され,それに続く総長声明では「この行動規範を大学自ら担保するための委員会制度を規則として定めることにした」と委員会の位置づけを説明している。こうした規範や総長声明の理念を守り,調査の審議過程及び内容の適切さを担保するためにも,貴大学には当該資料を開示して調査が適正に行われたことを示す責務がある。 イ 発言者の特定をしなければ,審議内容を情報開示することにより,特定の者に不当に利益を与え,または不利益を及ぼすとは到底考えられない。また,個人が特定されなければ,人事に支障を及ぼすおそれもない。仮に,社会の公器としての貴大学が,原則として開示すべき資料を,例外的に不開示とするためにこのような主張を行うならば,具体的な根拠を示して主張する必要がある。そうでなければ,この主張自体が極めて不合理であり,世間から疑惑の目で見られることを,自ら容認することになろう。そのような姿勢は上記行動規範に反するものである。貴大学として,発言者が特定されないとしても,将来予定される審議において委員の意見等が公表されることを前提にすると,委員が部外の評価等を意識して素直な意見を述べることを控えるなど,意思決定の中立性や独立性が不当に損なわれるおそれがあると主張されるかもしれない。しかし,発言者が特定されないのであれば,委員の意見等が公表されたとしても素直な意見を控えるとは到底考えられない。もし意思決定の中立性や独立性が不当に損なわれるなどと主張するのであれば,発言者が特定されないにもかかわらず,素直な意見を述べることができないような調査委員を選任することを前提としており,専門家としての各調査委員を愚弄するのみならず,調査委員会の適正さそのものに疑義を生じさせる主張と言わざるを得ない。一連の資料の開示を拒むことは,研究不正を真摯に取り扱おうとする姿勢に真っ向から反するものである。さらに審議が終わった研究不正調査に関する議事の公開は,将来他の研究不正事案を審議する場合の参考となりうるものであり,貴大学の対応は,社会的に評価されるものではあれ,非難されることはありえない。なお,調査対象者については対象となった論文が公開されていることから,少なくとも責任著者と筆頭著者については対象となることが明らかなため,ヒアリングなどの議事録を含め公開すべきと考える。その他の調査対象者について個人名などは不開示でも構わない。 ウ 既に審議が終わり調査の結論は貴大学のホームページでも公開されている。そのため,議事内容が公開されることで本件の事務や事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれはない。また,同じ理由から,たとえ,審議のある時点で生じた,未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報を公にしたとしても,その後,結論に至った過程を合わせて公開すれば新たに混乱を生じさせるおそれもない。加えて,結論が「不正なし」というものであるため,公開することで当該研究者の今後の研究活動にも影響を与えるおそれもない。 エ 将来に行われる類似の審議・検討・協議に係る意思決定に不当に影響を与えるおそれについては,研究不正事案というものは,事案ごとにその内容や性質が異なるものである。それぞれ個別に審議されるものであり,その都度適切に審議されることで問題は生じない。これは,本件と同じ研究者が対象となり,現在行われている研究不正調査への影響についても同様である。また,審議,検討の内容を公にすることにより,調査にあたっての考え方,主張等が明らかになり,今後の同種の調査にあたり,正確な事実の把握を困難にするおそれ又は不当な行為を容易にするおそれがあるという主張についても,同様に事案ごとに内容や性質が異なるため懸念は当たらない。逆に「何が不正に当たるのか」といった考え方などはむしろ公開することで不正の防止につながる情報で,これらを不開示の理由とすることは調査の正当性に疑念を抱かせるだけでなく,研究機関として不正に真撃に対応できているのか,その姿勢を問われかねない事態にもつながると考える。 オ 独立行政法人は,原則として保有する情報を公開しなければならず,不開示はあくまで例外規定である。個別具体的な事情なく漫然と不開示とするのであれば,世間に対し,情報公開をする気がない大学であることを表明するに等しい。また,調査方針・手法自体は,調査委員会の判断の公正さを担保するために開示は必須であると考えられるのみならず,開示を拒むことは,逆に調査委員会の判断に対する疑義を生じさせるものであり,不開示とすることによりあたかも不正があったかのように流布されるおそれもある。現実に,一部マスコミ報道やインターネット上では本件論文の研究者に対する記事が多数掲載されており,研究者個人のみならず大学にとっても不利益が生じる事態につながっている。なお,調査過程の開示は,例えば貴大学の「分子細胞生物学研究所・旧特定研究室における論文不正に関する調査報告書(第一次)」の資料「不正な図の例」においても行われている。特定URL調査が適正に行われていることが示されており,こうした開示によって他の不正調査に悪影響が出る問題も生じていない。 カ 貴大学として,不正がなかったと認定されたにもかかわらず,議事内容が公表されることで,再び,当該調査事案が注目され,公表された一部の情報だけをもって新たに誹誘中傷が行われる可能性があるとの主張を行う可能性もある。しかしながら,そもそも本件調査事案は,同じ研究者が新たに告発を受けたことで ,現在,非常に注目されており,過去の調査内容が公表されたからといって「再び」注目されるという状況にはない。加えて,新たに誹誘中傷が繰り広げられるというのも,憶測の域を出ず,研究不正を厳に取り締まる立場にある貴大学が,法的に公表が原則となっている情報を不開示にする理由としては著しく正義に反するものである。 キ 以上,アからカで述べた通り,貴大学が示した見解は,いずれも資料の中の個人名以外を不開示とする理由には該当しない。各議事は不正行為か否かの判定が適切に行われたかどうかを知る上で必要な情報である。議事などの資料を公開して当該委員会が研究不正事案に真摯に取り組んだ事を示し,結論に対する信頼を得ることは,上記行動規範や規則を制定した貴大学の責務である。発言者の個人が特定できる氏名等は伏せて,資料を公開すべきである。 (2)意見書 …

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エラーバーを短くするのは研究不正ですよ

論文のストーリーに合う有意差を作り出すために、エラーバーを手作業で動かして短くしてしまうのは、もちろん研究不正です。当たり前のことですが、実例をいくつか拾って紹介し確認しておきたいと思います。新入生が実験を始める時期ですし。 不正例1 Science Signaling 7:ra114, 2014 (hereafter referred to as “Paper 1”) Chemistry & Biology 21:453-458, 2014 (hereafter referred to as “Paper 2”) ORI found that Respondent knowingly falsified and/or fabricated data and related text by altering the experimental data …

京都大iPS細胞研究所で論文不正

★2018.1/22放送 NHKニュース7 京大iPS細胞研究所で論文のねつ造や改ざん★ 経緯 経緯 iPS細胞研究所相談室に、同研究所所属の助教が著者である論文の信憑性について疑義があるとの情報が寄せられた。これを受け、相談室において研究所に保存されていた1次データ(実験機器の測定値をそのままエクセルファイルに写したもの)から論文の一部のグラフの再構成を試みたところ、論文通りのグラフを再現することができず、論文の主張を裏付けることができなかったことから、平成29年7月3日、大学の通報窓口へ通報が行われた。通報を受け、予備調査を行った結果、本格的な調査を行うことが必要であると判断し、外部委員を含む調査委員会を設置し、調査を開始した。 結論 調査の結果、論文を構成する主要な図6個すべて、また補足図6個中5個において捏造と改ざんが認められる。これらの捏造または改ざん箇所の多くは、論文の根幹をなす部分において論文の主張にとって重要なポイントで有利な方向に操作されており、論文の結論に大きな影響を与えていると認められる。かつ、論文の図作成過程において、正しい計算方法に基づき正しい数値を入力するという基本事項が徹底されていなかった。 (京都大学における研究活動上の不正行為に係る調査結果について(概要) PDF)   データ捏造が認定された論文 In Vitro Modeling of Blood-Brain Barrier with Human iPSC-Derived Endothelial Cells, Pericytes, Neurons, and Astrocytes via Notch Signaling. Stem Cell Reports Volume 8, Issue 3, 14 March 2017, Pages …

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現代ラボ用語の基礎知識

ラボでは当たり前に使われている言葉でも、一般の人には新鮮に響くことがあるようです。そんな、ラボ特有の言い回しをまとめてみました。(生物系のラボ。随時追加、変更あり) あ アクセプト【accept】投稿した論文が受理(掲載許可)されること。「リバイスに1年もかかったけど、やっとアクセプトされたよ!」「おめでとう!」 アクティビティ【activity】いい論文をコンスタントに出している状態。「あのラボはアクティビティが高いね。」 あてうま【当て馬】採用される人が予め決まっている公募の面接に呼ばれる他の候補者のこと。「東○大に面接に呼ばれたんだって?」「どうせ当て馬だと思うけど、しっかり準備して行くよ。」 あとがない【後が無い】①研究職の任期が切れる寸前だが、次の職がまだ決まっていない状態。「この論文、絶対通ってくれないと。俺、後が無いから。」 ②出すジャーナルを下げすぎて、もうこれ以上下げられない状態。 「サイレポにも蹴られて、もう後が無いよ。」「大丈夫、ジャーナルなんて、ほかにいくらでもあるから。」「いや、俺もう、後がないから。」 あれ、どうなった?【あれ、どうなった?】何も考えていないボスが、学生に進捗状況を聞くときに使う、いい加減な言葉。「おい、あれ、どうなった?」「今、実験している最中です。」「おお、そうか!」 「あれ、どうなった?」「あれってなんですか?」「あれだよ、あれ、ほら、その‥。」 い いいしごと【いい仕事】雑誌のインパクトファクターが、その雑誌の個々の論文の価値を示すものではないという批判は常に存在するが、現実的なこととして、インパクトファクターの高いジャーナルに出た論文や人を高く評価する傾向が多くの人に見られる。そのため、「いい仕事=いい論文」と、同義語のように用いられることが多い。「これはきっといい仕事になると思うよ。」「彼は凄くいい仕事をしていてね。」 いいとこねらう【いいとこ狙う】トップジャーナルへの掲載を目指すこと。「これなら、いいとこ狙えるんじゃない?」 イエローチップ【yellow tip】ピペットマンで200マイクロリットルまでを測りとるためのチップ。もともと純正のものは黄色だったことから。他社製品であろうと、色が何色であろうと、イエローチップと言えばこのサイズのチップのことを意味する。「昔は、貧乏なラボでは、イエローチップを洗って再利用していたんだぞ。」「昔は、ラボに新しく入って最初の仕事は、イエローチップを(ラックに)詰めることだったんだよ。」「いつの時代だよ?」 いきのこる【生き残る】アカデミアにおいて大学教員などのパーマネントの研究職を得ること。あるいは、任期付きであっても順調に次の職を得るか任期更新が行われ、コンスタントに仕事ができている状態。サバイブする、と同義。「なんとか生き残ることができた。」 「もう自分は生き残れないと思う。」 「今の時代、生き残るだけでも大変だね。」 いちゃもん【イチャモン】投稿論文に対する差読者のコメントの中で、差読者が、実行不可能な実験などを著者に要求してくること。「(査読コメントに目を通した後、)こんなの、イチャモンだよ!(怒)」 いっぱつアクセプト【一発アクセプト】リバイスを経ることなく速やかに投稿論文が受理されること。「ジャーナル下げたら、一発アクセプトだった。」 いわれたことだけ【言われたことだけ】①最近の若者が、言われたことだけしかやらないこと。②論文投稿中の研究者が、リバイスの際に、差読者に言われたことだけしかやらないこと。「原稿の修正や追加実験は、言われたことだけにしといたほうがいいよ。」 インパクトファクター【impact factor】雑誌のランキングを決める数値指標で毎年算出される。「PLOS ONEのインパクトファクターって今いくつくらいだっけ?」 う うえから【上から】少しでもインパクトファクターの高いジャーナルに論文を出すことを目的として、駄目もとでトップジャーナルからから順番に投稿を試みること。最初にネイチャーやセル、サイエンスのどれかに投稿し、リジェクトされた場合には、同じ出版社の姉妹紙でもう少し通りやすいところや、あるいはインパクトファクターなどを考慮して他の出版社の学術誌に、ランキングを下げながら順にトライしていくこと。 「(この仕事、)どこに出すの?」「上からトライしてみようかな、と。」 うつくしい【美しい】研究者が用いる場合には、美しい女性でも、美しい絵画でもなく、美しい「ストーリー」を持った研究成果を指すことが多い。「今週のネイチャーのあの論文、美しいストーリーだね。」”Beautiful work! Congratulations!” うぷす【Oops!】オッと。アメリカ帰りの研究者が、何かちょっとした失敗をしたときに思わず発してしまう言葉。英語がさほどしゃべれるようになっていなくても、感情を表す言葉だけは、なぜか口をついて出てくる。ただし、発音は日本語化している。「うっぷす。(試薬を)入れる量、間違えた!」 え えいぶんこうせい【英文校正】論文原稿の中に、ネイティブに意味が取れない箇所がないかチェックすること。「違う意味に直されちゃったよ。」「誤解される表現だったんじゃない?」 エディターキック【editor kick】査読にまわされずに、編集者や編集部の判断で蹴られること。「だめもとでネイチャーに出したら、あっさりエディターキックを食らった。」 エネルギー【energy】研究を行なうために必要な情熱やエネルギーのこと。「ボスと話をすると、エネルギーを吸い取られちゃうなあ。」 エラーバー【error bar】平均値を表す棒グラフなどにおいて、標準誤差や標準偏差などを示した線分のこと。通常は、統計処理ソフトで自動的に計算・描画が行なわれる。例外的に、東京大学医学部においてはエラーバーの作成は手作業で行なわれるのが通常である(出典)。「エラーバー、もっと短くならないの?」 えぬ【n】実験サンプルの例数。「nを増やせば、有意差出るかも。」 エタチン【エタ沈】エタノール沈殿の略。DNAの精製過程で、塩とエタノールの混合液中でDNAを沈殿させるステップ。「行こうよ。エタ沈で止めておけばいいじゃん。」 エッペン【Eppendorf tube】エッペンドルフチューブの略。生物系のラボで最も多用される1.5mlチューブのこと。本来はエッペンドルフ社の製品を指すが、高価なため安価な他社製品を使うラボが多い。しかし、どの会社の製品であっても1.5mlチューブのことをエッペンと呼ぶことが通常になっている。「エッペンちょっと分けてもらっていい?」「エッペンなくなりかけているから、次、注文しておいて。」「このラボ、エッペン、エッペンドルフのを使ってるんだ?金持ちだね。」 お おかね【お金】研究費のこと。「あのラボはお金がないから、(そこに進学するのは)やめといたほうがいいよ。」 「今年はお金があまりない。」 「金持ちのラボ」 …