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NHK土曜ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』第1話、第2話 研究不正告発のもみ消し #ここぼく

NHKの土曜ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』の第2話の中で研究不正の話が取り上げられたようです。

ネタばれ

岸谷教授は「整えて」という言葉で、日常的に論文データの改ざんを指示していた。けれども、不正を追及されて「今度は言葉の意味の方を変えてきた」。「整えて」は、データの改ざんではなく「机の上を掃除しろ」という意味であると研究室内に周知徹底したのだ。(『ここぼく』が告発する意味の捏造 松坂桃李演じる危機感のない主人公のリアル 2021/5/2(日) 6:05 リアルサウンド YAHOO!JAPAN

 

元カノで非正規研究者のみのり(鈴木杏)は、岸谷教授(辰巳琢郎)の論文不正を世間に告発。大学当局は本調査に乗り出すことを余儀なくされる。だが、理事の須田(國村隼)らから過小報告のプレッシャーを受けた調査委員・上田教授(国広富之)が‥ 

(【土曜ドラマ】今ここにある危機とぼくの好感度について(2) 5/1(土) 午後9:00-午後9:49 nhk.jp

 

関連notes

私自身は責任者ではないものの、同ドラマに研究不正調査考証という形で協力させていただきました。ストーリーに責任を負う立場ではないのですが、そのような形で協力させていただいた立場としてはコメントしないわけにはいかないだろうということで、この件について、以下、コメントします。

「今ここにある危機とぼくの好感度について」第2話について Masaki Nakamura 2021/05/04 00:02 note.com

上のノートでは研究不正調査に関して一般論が説明されていました。かなり抑制の効いたコメントで、正直、自分はもどかしいものを感じます。

 

NHKドラマの不正隠蔽の描き方は誇張なのかI

上のノートでは、”ドラマではかなり誇張されて描かれているとはいえ、本ドラマで描かれているような形での研究不正調査への介入が” とドラマだからオーバーに描いているかのようにも説明しています。また研究不正隠蔽の描き方に関して憤っている大学教授もおられるようです(下のツイート)。しかし、私はOrdinary_Researchersの告発に対する東大の行動や、岡山大の事件などを見れば、むしろドラマで描かれた内容よりも今日本で現実に起きていることのほうがもっと恐ろしいと思います。ドラマでは告発したポスドク一人がキャリアを潰されただけかもしれませんが、岡山大では告発した教授二人が解雇の憂き目にあっているのです(ポスドクを軽んじるつもりはありませんが、ポスドクよりはるかに立場が強いはずの教授ですら学長に解雇されているという意味です)。要職についておられる方々はそうそう本音を表明できないとは思いますが、それにしても、正直、この温度差は一体なんなんだろうと思ってしまいます。

匿名掲示板には、匿名A氏による下のような書き込みもありました。真偽のほどは自分にはわかりませんが、Ordinary_Researchersの告発に関する東大のあの支離滅裂でデタラメな対応を目の当たりにすると、この文章が非常にリアリティを帯びて感じられます。

773匿名A ◆Zm8FyprZhE 2019/06/02(日) 03:11:58.86ID:lJqnTEYta
卒論生の時から捏造データの再現性の追試を担当させられた私と同僚は、みんなからとことん冷笑された。
辛いこと、爆発させたいことがたくさんあった。
そして、同僚は自殺した。教授室に殴り込みに来た同僚のお母さんは、未だに死の真相をしらない。
私と同僚は、愚直に誠実にやって、あれだけ馬鹿にされ、罵倒された。
もう同僚は死んだ。この世には帰ってこない。
だったら、もうこうなったら、私は真実にこだわることでとことん罵倒されたいのだよ。
東大医学部の捏造家が生き延びていることを甘受しているお前ら全員に嫌われたい。馬鹿にされたい。
(捏造、不正論文、総合スレネオ50 https://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/life/1555990307/770-n)

NHKドラマの不正隠蔽の描き方は誇張なのかII

上はドラマを見ずに書きましたが、第1話を見て少し細かいストーリーがわかったので書き直します。第1話では、研究不正がなかったことにするために、告発した女性が昔好意を寄せていた男を近づけて抑え込もうとしたり、この女性ポスドクが任期切れで行先がないので助教の口を与えるかわりに黙らせようとしたりしていたり画策していました。そんな目論見は見透かされていたわけですが、このようななりふり構わぬ裏工作が本当に有り得るのかというと、あり得なくないかもしれないけれどもそうそうないんじゃないのと思います。コメディー仕立てにするために、ドラマの制作者が思いっきりありそうにないことを持ち出したのかなと思いました。その一方で、森友事件のように悪いことをした連中がみな出世していたという現実もありますので、見て見ぬふりをできる人間がいい職に就くという現実からして、絶対にないとも言えない気がします。

NHKドラマの不正隠蔽の描き方は誇張なのかIII

第2話まで見ました。ネタバレになりますが、女性ポスドクの木嶋みのりが自分のラボで起きている不正を告発すると決めたときに相談した教授が、研究分野が近いから調査委員を引き受けると言ってくれて、しかし気苦労のせいか理事たちの強硬な姿勢のせいか途中で倒れてしまい、学内一の変人教授に一時的に調査委員長のおはちが回ったのですが、その変人教授がスナックで暴力行為を働いたのがすっぱ抜かれて停職処分となり、回復したくだんの教授が再び調査委員長を務めるのですが、大学から懐柔され、来年度の研究予算を倍増するから穏便に済ませるということを受け入れてしまったようです。

こんなこと(買収)が実際に起こるのかと言えば、まああり得ないんじゃないかと思います。東大医学部の不正調査を見てもわかるように、医学部の不正の調査には他大学の医学部の研究者を調査委委員長に当てたわけで、買収するまでもなく医学の権威たちに忖度せざるをえない人達を調査委員長や調査員にしたのだろうと思います。調査委委員は公開されなかったので、自分の推測にすぎませんが。理学部の不正を担当したメンバーが、同時に医学部の調査まで引き受ければ、不正なしの1行で済ませることなどあり得なかっただろうと思います。

NHKがフィクションのドラマの中で不正調査委員長を大学が買収したことにしたことを問題視するよりも、実際に日本で起きていることが、不正調査委員長や調査委員が忖度したのではないかと強く疑われるような調査報告書になっていることのほうを問題視すべきでしょう。不正調査報告を一切せずに不正なしで済ませているような大学の関係者がNHKにケチをつけるのは、感覚がマヒしているような気がします。

 

関連tweets

不正がない場合には調査内容を報告しなくて良いということにすると、研究機関が一言「不正はなかった」というだけで、不正は完全に隠蔽できてしまいます。東大は調査報告書の全面開示を拒んでいますが、わずかに開示された部分だけでも、手作業が通常だとか、不正としか思えない記述、支離滅裂な文言が垣間見えます。ですから、東京大学医学部に関する調査と判断が本当に妥当性のあるものだったのかどうかを第三者が検証できるように、すべての調査内容を公開すべきだと自分は考えます。


 


 

『今ここにある危機とぼくの好感度について』第2話のストーリーに対する評価


 

 

 


 

『今ここにある危機とぼくの好感度について』第2話の感想

 

 

『今ここにある危機とぼくの好感度について』第1話


 

NHKドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」1話のクライマックス 2021/04/25 rena rerena

  1. Watch Ima Koko ni Aru Kiki to Boku no Kokando ni Tsuite Episode 1 2021/04/26 Michael Noonan

STAP細胞事件の真相 小保方晴子氏の頭の中にあったもの

STAP細胞は結局あったのか無かったのか、何だったのか?という疑問をいまだに持っている人も多いかと思います。

STAP細胞事件

STAP細胞事件で炙り出されたのは、日本の生命科学研究がいかに杜撰に行われていたかということでした。2014年1月30日付けのNATURE誌に掲載された2報のSTAP細胞論文の内容を伝えた最初のニュースに接して、凄い研究者が出現したものだと自分も思い、このウェブサイトでも記事にしましたが、今から考えるとマヌケだったと思います。研究者も変わったなあ、こんな見た目の人がこんなすごいことをやってのけるんだ?と当時はびっくりしました。

記者会見&報道を鵜呑みにした、当時のマヌケな記事↓信じられないくらい簡単に体細胞を万能細胞に転換させる方法を日本人女性研究者(30)が発見!

 

STAP細胞とは

STAP細胞とは、Stimulus-triggered acquisition of pluripotency (STAP)という現象を示す細胞ことで、STAP細胞を日本語でいえば刺激惹起性多能性獲得細胞(しげきじゃっきせいたのうせいかくとくさいぼう)となります。2014年に小保方晴子研究員らを中心とする研究グループによりNATURE誌に論文報告されましたが、現在ではそんなものは存在しなかったことになっています。

STAP現象を発見したと宣伝する理研のプレスリリース↓。

マウスのリンパ球などの体細胞を⽤いて、こうした体細胞の分化型を保持している制御メカニズムが、強い細胞ストレス下では解除されることを⾒いだしました。さらに、この解除により、体細胞は「初期化」され多能性細胞へと変化することを発⾒しました。この多能性細胞は胎盤組織に分化する能⼒をも有し、ごく初期の受精胚に⾒られるような「全能性[5]」に近い性質を持つ可能性が⽰唆されました。この初期化現象は、遺伝⼦導⼊によるiPS細胞(⼈⼯多能性幹細胞)の樹⽴とは全く異質のものです。共同研究グループは、この初期化現象を刺激惹起性多能性獲得(STAP)、初期化された細胞をSTAP細胞と名付けました。(2014年1⽉29⽇ 理化学研究所 報道発表資料 PDF)

 

STAP細胞とiPS細胞との違い

STAP細胞はひとりの人間の妄想の産物およびその妄想が共同研究者の脳にも宿った結果、論文報告という意味において現実化したものですが、実在はしません。それに対して、iPS細胞は実際に存在する細胞です。

 

「STAP細胞はあります」

小保方晴子氏が記者会見で記者からの「STAP細胞はあるんでしょうか?ないんでしょうか?」という質問に答えた「STAP細胞はあります」という発言は、2014年の流行語大賞にノミネートされるほど社会的なインパクトがありました。

「STAP細胞はあります!」 4月9日反論会見 小保方氏本人と守護霊が激白!!【ザ・ファクト REPORT #3】

 

  • 流行語大賞はどれ? 「STAP細胞はあります」「ありのままで」など50語ノミネート (2014.11.19 16:25 産経ニュース)今年話題となった言葉に贈られる「2014ユーキャン新語・流行語大賞」の候補が19日、「現代用語の基礎知識」を発行する自由国民社から発表された。今年は、小保方晴子氏の「STAP(スタップ)細胞はあります」やアニメ映画「アナと雪の女王」の「ありのままで」、お笑いコンビ「日本エレキテル連合」の「ダメよ~ダメダメ」など50語がノミネート。大賞とトップ10は12月1日に発表される。
  • こっちが流行語大賞? 小保方さんの「レシピある」発言はすごい(2014.12.18 11:30 AERAdot.) やく:私は一貫して、小保方さんを擁護しています。かみさんには「あなたはインテリ女に弱い」と言われるんですが、まことにそのとおり。疑惑に答えるため4月に開いた会見で発した、「STAP細胞はあります」という言葉が新語・流行語大賞の候補になりましたが、私はそれより、「STAP細胞は200回以上作製に成功した」という言葉に重きを置きたい。検証実験の結果はまだ公表されていませんが、201回目の成功を待てばいいだけです。 ぺリー:小保方さんの「レシピのようなものはある」という発言はすごいと思いました。科学者は、レシピとは言わないでしょ。かっぽう着でレシピですからね。

 

STAP細胞の真実

結局、STAP細胞は存在しなかったと思います。あったとすれば小保方さんの頭の中にだけあったのでしょう。そして、周囲の研究者は、すくなくとも当初は、それを信じたのです。研究の過程で、アーチファクトをうっかり大発見と見間違うことはありがちです。思い込みが激しければ、死にゆく細胞の自家蛍光をGFPの蛍光と見間違った可能性は大きかったと思います。

 

関連書籍(アマゾンへのリンク)

  1. 小保方 晴子『あの日』 講談社 2016年1月29日
  2. 小保方 晴子『小保方晴子日記』 中央公論新社 2018年3月20日
  3. 須田 桃子『捏造の科学者 STAP細胞事件』文藝春秋 2015年1月7日
  4. 小畑 峰太郎『STAP細胞に群がった悪いヤツら』新潮社 2014年11月27日
  5. 黒木 登志夫『研究不正』中央公論新社 2016年4月19日
  6. 渋谷 一郎『STAP細胞はなぜ潰されたのか』ビジネス社 2016年4月22日
  7. 船瀬 俊介『STAP細胞の正体』花伝社 2015年5月25日
  8. 佐藤 貴彦『STAP細胞 事件の真相』パレード 2016年12月14日 
  9. 佐藤 貴彦『STAP細胞 残された謎』パレード 2015年12月7日
  10. 大川 隆法『小保方晴子さん守護霊インタビュー』幸福の科学出版 2014年4月18日
  11. W.ブロード, N.ウェイド『背信の科学者たち』講談社2014年6月20日
  12. 村松 秀『論文捏造』中央公論新社 2006年9月1日
  13. 田中 智之、小出 隆規、安井 裕之『科学者の研究倫理』東京化学同人 2018年6月8日

ちなみに、東京化学同人から出版された『科学者の研究倫理』は、これから科学者を目指す大学生や大学院生にぜひとも読んでいただきたい本です。研究生活を送る上で何に注意したらよいのか、どんな問題が待ち受けているのかが解説されています。
 

理研STAP細胞NATURE論文捏造事件のカテゴリー内の記事

2018年11月19日ディオバン論文不正事件の控訴審判決

アンジオテンシンII受容体拮抗系高血圧治療薬・ディオバン(一般名:バルサルタン)を巡る医師主導の臨床研究でデータを改ざんしたとして、薬事法(現・医薬品医療機器法)の第66条に基づく誇大記述・広告違反に問われたノバルティスファーマの元社員・白橋伸雄被告と同法両罰規定により起訴された法人としてのノバルティスファーマに対する控訴審判決で、東京高裁は11月19日午後、一審の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。 同裁判は、日本人の高リスク高血圧患者を対象にノバルティスのディオバンの上乗せによる心血管イベント発症抑制効果を比較検討した「Kyoto Heart Study(KHS、主任研究者:松原弘明・京都府立医科大学循環器内科教授)」の2つのサブ解析論文での不正について問われたもの。(一審の無罪判決を支持。「66条1項での対応は無理があり、新たな立法措置が必要」 2018年11月19日 PM04:38 医療NEWS QLifePro)

  1. 「ディオバン」データ改ざん、2審も無罪判決 (2018年11月19日 21時34分 読売新聞 YOMIURI ONLINE) 高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究データを改ざんしたとして薬事法(現・医薬品医療機器法)違反(誇大記述・広告)に問われた製薬大手「ノバルティスファーマ」の元社員・白橋伸雄被告(67)と法人としての同社の控訴審判決で、東京高裁は19日、無罪とした1審・東京地裁判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。 芦沢政治裁判長は、「たとえ白橋被告が虚偽のデータを提供し、それを基に虚偽の論文を学術雑誌に掲載させたとしても、薬事法が禁じる誇大記述・広告にはあたらない」と述べた。
  2. 薬事法違反を巡る裁判で一審を支持 ディオバン論文不正事件で判決、二審も無罪 (2018/11/19 満武 里奈=日経メディカル) 降圧薬バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床研究論文不正事件で医薬品医療機器等法(旧薬事法)違反の罪に問われ、一審で無罪を言い渡されたノバルティスファーマ元社員の白橋伸雄被告とノバルティスファーマの控訴審判決が11月19日、東京高裁であった。東京高裁は一審の判決を支持し、検察側の主張を棄却した。論文を掲載した行為は、旧薬事法第66条第1項の「虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」には抵触せず、違法性はないと判断した。

 


 

ノバルティスファーマ社の降圧薬バルサルタン(商品名:ディオバン)の論文不正で、ノバ社の元社員と同社が薬事法(現・医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)の罪に問われた事件の控訴審初公判が12日に東京高等裁判所で開かれ、即日結審した。判決は11月19日。元社員と同社に対して無罪とした東京地裁の判決を不服として、東京地検が控訴していた。… 昨年3月の判決で東京地裁は、元社員がディオバン群に有利にするために意図的にデータを改竄したとの検察の主張を認めたものの、学術雑誌の論文掲載に購入意欲を喚起する性質があるとはいえず、薬事法が規制する虚偽広告には当たらないと判断し、無罪判決を言い渡した。(NEWS ディオバン論文不正事件の控訴審判決は11月19日  2018-09-14 日本医事新報社

ノバルティスファーマ社の降圧剤(一般名バルサルタン:商品名ディオバン)を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件の控訴審が9月13日、東京高裁(芦澤政治裁判長)で開かれ、即日結審した。開廷時間は3分程度で、裁判所は事実関係については一審判決を踏襲し、学術論文を作成する行為が薬事法66条1項の虚偽広告に当たるかどうかを改めて判断すると見られる。(ディオバン裁判、高裁は即日結審、11月に判決 学術論文を作成する行為が薬事法違反かどうかが争点レポート 2018年9月13日 (木)高橋直純 m3.com編集部

白橋被告らは、薬事法で禁じられている「虚偽記述・広告」をしたとして起訴された。一審・東京地裁は白橋被告が臨床データを改ざんしたと認定しつつ、「論文は広告にあたらない」と判断し、無罪とした。検察側はこの日、「誇大な事柄を広く知らしめれば、法律に違反する」と主張した。(「一審は法解釈を誤った」ノバルティス論文不正で検察側
2018年9月14日14時00分 APITAL 朝日新聞DIGITAL

一審は17年3月、データ改ざんを認定したが、データに基づく論文投稿は「購入意欲を喚起させる手段と言えず、誇大広告に当たらない」として無罪を言い渡した。(2018/09/13-16:48)

一審は17年3月、データ改ざんを認定したが、データに基づく論文投稿は「購入意欲を喚起させる手段と言えず、誇大広告に当たらない」として無罪を言い渡した。(二審判決は11月19日=ノバルティス論文改ざん-東京高裁 2018/09/13-16:48  JIJI.COM

 

 

参考

  1. 金子勝の「天下の逆襲」 これは深い病だ…文書やデータの改竄に社会が驚かない異常 2018/05/30 06:00 日刊ゲンダイDIGITAL
  2. 意外な無罪判決で検察に衝撃 ディオバン事件の経過と今後 前田恒彦 | 元特捜部主任検事 2017/3/21(火) 6:00 YAHOO!JAPAN

 

 

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サイエンス誌が弘前大学の故 佐藤能啓氏の論文不正に関する詳細な解説記事を掲載

サイエンス誌が、弘前大学の故 佐藤能啓氏の論文不正を取り上げています。不正調査に関わった研究者の1人は、これを「史上最大級の研究不正の一つ」と位置づけています。

Researcher at the center of an epic fraud remains an enigma to those who exposed him
(By Kai KupferschmidtAug. 17, 2018 , 9:15 AM sciencemag.org)

Sato’s fraud was one of the biggest in scientific history. The impact of his fabricated reports—many of them on how to reduce the risk of bone fractures—rippled far and wide. Meta-analyses that included his trials came to the wrong conclusion; professional societies based medical guidelines on his papers. To follow up on studies they did not know were faked, researchers carried out new trials that enrolled thousands of real patients. Exposing Sato’s lies and correcting the literature had been a bruising struggle for Avenell and her colleagues. 

佐藤氏は多作でした。生涯で200以上の論文を発表したそうです。

A team of four researchers has worked since 2012 to expose scientific misconduct by Japanese boneresearcher Yoshihiro Sato, who published more than 200 papers before he died in 2016. The team hasfocused on Sato’s 33 clinical trials, together involving 5894 patients. 
… 
Today, 21 of Sato’s 33 trials have been retracted by the journals or Sato himself;

このサイエンスの記事によれば、佐藤氏は研究不正が明らかになったことで自殺したと見られているそうです。

“What happened with Sato?” I ask. “People say he committed suicide over this,” Saya says. But he doesn’t know whether that’s true.

なぜ論文を捏造したのかという疑問に対する納得のいく説明は得られていません。

But none of that explains why Sato decided to embark on his fraud—and nobody seems to be able to shed much light on that question. “Given the number of papers he published, he must have spent a very large amount of time on them,” Bolland says. “I don’t understand what his gain was. … There must have been some reason to do it.” The Keio University panel is just as puzzled. “We discussed this a lot in the committee,” Saya says. It might have been like a hobby, he suggests. A thrill. Saya uses the word “otaku,” a Japanese term often applied to people who read manga obsessively.

オタクがアニメに興じるように、論文捏造に興じたのではないかという考えが紹介されていますが、どうなんでしょう?データ捏造を面白がってやっているかどうかなど第三者には知りえません。私が個人的に最もしっくりくるのは、

「捏造研究者の研究能力」 < 「期待される研究成果」

という説明です。捏造論文に基づいて研究費を得て、さらに論文捏造を繰り返すしかないという悪循環がよく説明できます。

このサイエンス誌の記事では佐藤氏の多数の論文において共著者となった慶應大学の研究者の関わりについても紙面を割いており、この事件に関するかなり詳細なレポートになっています。

 

参考

  1. STAP細胞事件が覆い隠した科学技術立国ニッポンの「ヤバい現実」 「史上最悪の研究不正」をご存知か? (榎木 英介 2019.11.27 genda.ismedia YAHOO!JAPAN 90コメント)
  2. サイエンス誌があぶり出す「医学研究不正大国」ニッポン (榎木英介 | 病理専門医かつ科学・技術政策ウォッチャー YAHOO!JAPANニュース 2018/8/22(水) 15:19) 「嘘の大波(TIDE OF LIES)」と第されたその記事は、サイエンスの2018年8月17日号に掲載された。紙面では見開き2ページに渡り、上述の北斎風の絵が掲載されている。 記事は骨の研究者で医師の佐藤能啓氏を取り上げている。 佐藤能啓氏は、骨折とビタミンなどに関する大規模な臨床試験を行ったとして論文を発表してきた。佐藤氏の論文はほかの論文にも引用され、骨折予防の治療指針の根拠となっていた。その論文にデータの捏造、改ざんという研究不正(研究ネカト)があったのだ。
  3. 「今年の研究不正」をグローバルに振り返る 論文撤回監視サイトの「日本コーナー」18本の記事を中心に(高橋真理子 朝日新聞 科学コーディネーター 2017年12月28日 WEBRONZA) 朝日新聞11月16日付朝刊青森県版で弘前大の調査結果が伝えられているので、まずはこの記事の概略を紹介しよう。 佐藤元教授は2000年11月から03年3月まで弘前大に在籍し、その後に福岡県内の病院に移り、17年1月に64歳で死去した。米国の専門誌が16年6月に元教授の論文3本を取り下げたことなどから問題が発覚、大学が調査委員会を設置して調べ、14本の研究論文にデータ捏造などの不正があったと認定した。
  4. 弘前大学医学部所属教員による研究活動上の不正行為(捏造・盗用)の認定について文科省 報告受理日 平成29年11月16日)弘前大学医学部元教授(在職期間:平成12年11月~平成15年3月)の7本の論文取下げが平成28年6月~9月にマスコミで等で報道されたことを受け、弘前大学で予備調査(平成28年10月12日~平成29月2月1日)を行った。さらに、平成28年11月11日に匿名のメールにより弘前大学及び文部科学省に対して研究不正に関する告発があった。被告発者は、弘前大学医学部元教授及び共著者であり、その告発は平成28年11月9日にNeurology 2016; 87: 1-12に掲載されたレポートに基づくもので、上記の研究者による33本の論文には捏造、改ざんの疑いがあることを指摘したものである。この告発についての予備調査(平成28年11月28日~平成29年2月1日)と前述の予備調査を合わせた本調査委員会を平成29年3月1日に設置し、関係者へのヒアリング及び書面調査によって調査を行った。 調査の結果、研究活動における特定不正行為である「捏造」が13本、「盗用」が1本の論文において行われたものと認定した。
  5. 弘前大医学部の元教授が論文不正 症例数などデータ捏造(佐藤孝之 朝日新聞DIGITAL 2017年11月16日15時00分)弘前大学(佐藤敬学長)は14日、佐藤能啓(よしひろ)・元医学部教授(故人)が筆頭著者として2002~06年に発表した14本の研究論文にデータ捏造(ねつぞう)などの不正があったと発表した。
  6. <弘前大>元教授の論文14本に不正 大学、捏造や盗用認定河北新報 2017年11月15日) データの妥当性に疑いがあるなどとして、弘前大に在籍していた教授の論文が取り下げられた問題で、同大は14日、計14本の論文に捏造(ねつぞう)や盗用があったと発表した。共著者の1人だった佐藤敬学長の不正への関与はなかったとしている。
  7. 弘大元教授の14論文に研究不正陸奥新報 2017/11/15)弘前大学は14日、弘大医学部元教授の佐藤能啓氏が筆頭著者を務め、米国や日本の医学雑誌に掲載(1997~2006年)された論文38本のうち、14本にデータのねつ造や、論文著作者が適正に公表されない不適切なオーサーシップが認められ、研究不正があったと公表した。
  8. 研究活動の不正行為に関する調査結果について弘前大学 2017.11.15 更新)元弘前大学医学部教授(平成12年11月~平成15年3月に在職)の7本の論文取り下げが平成28年6月~9月にマスコミ等で報道されたことを受け、本学で予備調査(平成28年10月12日~平成29月2月1日)を行いました。さらに、平成28年11月11日に匿名のメールにより弘前大学及び文部科学省に対して研究不正に関する告発がありました。被告発者は、元医学部教授及び共著者であり、その告発は平成28年11月9日にNeurology 2016; 87: 1-12に掲載されたレポートに基づくもので、上記の研究者による33本の論文には捏造、改ざんの疑いがあることを指摘したものです。この告発についての予備調査(平成28年11月28日~平成29年2月1日)と前述の予備調査を合わせた本調査委員会を平成29年3月1日に設置し、関係者へのヒアリング及び書面調査によって調査を行いました。
  9. 弘大元教授の論文14本不正認定/弘大、学長責任なしWeb東奥2017年11月14日)弘前大学元医学部教授の男性(故人)が筆頭著者の論文を海外の掲載雑誌が相次いで取り下げた問題で、弘大は14日、論文14本に捏造(ねつぞう)などの研究不正があったと発表した。いずれも佐藤敬学長が共著者となっていたが、不正への関与はなく、研究内容に責任を負う立場にないと結論づけた。
  10. 元教授の論文14本に不正 弘前大が調査結果公表共同通信 2017/11/14 21:15) 弘前大(青森県弘前市)は14日、元医学部教授の男性(今年1月死去)が2002~06年、米国の医師会雑誌に発表した論文14本に捏造や盗用があったと発表した。佐藤敬学長が共著者となっていたが、英文の校正を担当したにすぎず、専門分野が異なるとして「不正には該当しない」と結論付けた。 調査対象は1997~11年に発表された骨折の予防などに関する論文38本。調査の結果、元教授の生前の証言などから、13本に症例数の水増しなどの「捏造」、1本に「盗用」があったと認定した。 元教授は00~03年、弘前大に在籍。その後、福岡県内の病院に勤務し、今年1月に64歳で死去した。
  11. 佐藤能啓、佐藤敬 弘前大学長らの33論文に対する不正や不適切さを調査した論文発表!世界変動展望 2016-11-10 21:30:00)
  12. Systematic review and statistical analysis of the integrity of 33 randomized controlled trials. Neurology December 06, 2016; 87 (23) Mark J. Bolland, Alison Avenell, Greg D. Gamble, Andrew Grey. First published 
  13. 弘前大 論文撤回で学長、第三者委設置へ /青森毎日新聞2016年9月28日 地方版)弘前大の佐藤敬学長が共著者として参加した英文の論文が主著者のデータ疑義などから今年6月に撤回され、佐藤学長のオーサーシップ(論文著者資格)が不適切とされた問題で、佐藤学長は27日の定例会見で「近く学内に第三者委員会を設け、この問題への対応を検討してもらう」と明らかにした。
  14. 佐藤能啓らの不正論文が撤回、計10報!世界変動展望 2016-07-23 00:00:01)
  15. 弘前大 元教授、論文撤回 データ疑義 佐藤学長が共著者 /青森(会員限定有料記事 毎日新聞2016年6月25日 地方版)弘前大の佐藤敬学長(66)が米医師会雑誌などに共著者として発表した英文論文3編がデータの妥当性への疑義などから撤回されたことが24日までに分かった。
  16. 見立病院、弘前大の研究不正の究明はマスコミにかかっている!世界変動展望 2016-06-18 17:35:00)
  17. JAMA取り消し、「不適切な執筆者名」 「今考えると問題」、“名誉著者”の形(2016年6月17日 成相通子 m3.com 編集部)弘前大学学長の佐藤敬氏が最終著者となっていた論文3本が6月3日に、米医師会誌JAMAとInternal Medicineから取り消された問題で、取り消しの理由がデータの整合性と執筆著者の不適切な割り当てなど、科学における不正行為に関するものだったことが分かった。
  18. 弘前大学、佐藤敬学長の論文不正を調査せず!ガイドライン無視!世界変動展望 2016-06-16 21:10:00)
  19. 佐藤能啓、佐藤敬らの論文3報が研究不正で撤回! (世界変動展望 2016-06-03 23:00:00)佐藤能啓(Yoshihiro Sato、医療法人 昌和会 見立病院 元副院長、元弘前大学教授)、佐藤敬(Kei Satoh、経歴)弘前大学学長らの論文3報が研究不正で撤回された。
  20. 佐藤能啓(Yoshihiro Sato)が筆頭、責任著者で慶応大、弘前大との共同研究論文に不正疑義! JAMAが懸念表明(世界変動展望 2015-05-21 21:10:56)

 


当初この位置に書いた記事は、独立した記事にしました。

⇒ 東大医論文(5)医学系論文に関する報告がまだ済んでいない東大


間違った医学論文・捏造論文で取得した博士号を徳島大学が取り消し

徳島大学大学院医歯薬学研究部50歳代男性教授が停職6月

2020年5月13日の徳島大学の発表によれば、教授には停職6か月の処分が下されたそうです。徳島新聞のニュース記事によれば、大学院生は3月に博士号を取り消されているとのことなので(令和2年4月20日の徳島大の発表では、令和2年3月13日に学位の授与を取り消し)、このニュースは新しい話ではなくて、下で記事にした学位取り消し事件に関して、まだ処分が定まっていなかった教授に関する処分内容の発表ということのようです。

  1. 徳島大論文ねつ造 男性教授停職6カ月 (2020/5/14(木) 15:16 徳島新聞 YAHOO!JAPAN)

 

教授がストーリーを強要、大学院生がデータ捏造

徳島大学でまた学位取り消しがありました。下の記事とは別件です。捏造の動機が、二人の言葉からうかがい知れます。

院生「教授からのプレッシャーがあり、教授の求める実験データを得ようとした

教授「厳しい言い方をし過ぎたかもしれない

つまり、教授が描いたストーリーに合う実験データを出せずにいた大学院生が、学位取得の締め切りが迫ってきたこともあり、教授の要求するデータを捏造して教授に渡し、教授が自分のストーリーで論文を執筆したというものです。今まで全然期待したデータが取れていなかった大学院生が急に都合の良いデータばかりもってきたときに、教授が信憑性をチェックしなかったのは重大な過失だと認定しています

産経WESTとNHKの記事をもとに時系列を整理すると、

2020年(令和2年)4月20日 徳島大学が研究不正を公表
2020年(令和2年)3月 博士号を取り消し
2019年 捏造論文の取り下げ
2018年(平成30年)3月 匿名のメールによる不正告発
2014年(平成26年)学術誌に捏造論文掲載

SDGsの課題解決とデータの捏造とがどう関係するのか、さっぱりわかりませんが徳島大学がお詫びの声明を出していました。

独創的研究及びSDGsの課題解決に向けた研究や教育に本学の教員全体が取り組む中で、このような研究不正行為があったことは、誠に遺憾であり深くお詫び申し上げます。 加えて、…

学長 野地 澄晴

具体的な捏造箇所の説明はありませんが、どのようにして捏造に至ったのかの説明は、大学が公表していました。一部を掲載します。これを読むと、このデータ捏造を実行したのは大学院生ですが、自分の描いたストーリーを大学院生に押し付け、捏造データを受け取って吟味することなくそのまま論文を書いた教授にもかなりの責任があると思います。

3 調査結果

調査の結果、告発対象論文1報について、次のとおり認定した。

(1)不正行為の具体的な手法・内容
① 特定不正行為
・ねつ造:出所不明データの付け足し
・改ざん:実験データの不正な方法による解析
② 特定不正行為以外の不正行為(研究活動上の不適切な行為)
・不適切なオーサーシップ

(2)不正行為に係る研究者
・A教授
研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる,ねつ造,改ざん」及び「研究活動上の不適切な行為であって,科学者の行動規範及び社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の甚だしい行為(不適切なオーサーシップ)」に関与した者と認定した。
・B元大学院生
「故意による、ねつ造、改ざん」に関与した者と認定した。

(3)判断理由
ア)認定した事実
① 特定不正行為(ねつ造、改ざん)
告発対象論文について、論文の結論にとって都合が良いデータを選択して作成された図があることと、出所不明のデータを付け加えることにより、複数の不正な図(改ざん及びねつ造が行われた図、改ざんが行われた図)が掲載されたことを確認し、特定不正行為(ねつ造、改ざん)が行われたことを認定した。
② 特定不正行為以外の不正行為(不適切なオーサーシップ)
告発対象論文において、論文の作成にほとんど関わっていない者を共著者として記載し、論文を投稿するに当たり、共著者全員に了解を得ないまま手続きを行い、受理されてから連絡するなどの行為を確認し、これは不適切なオーサーシップに当たると認定した。

イ)認定の理由
① A教授(責任著者)
特定不正行為
・本件研究が行われた研究室の主宰者であり、B元大学院生の指導教員であった。
・B元大学院生に対して、実験の方法や実験データの解析等に係る基本的事項を含む研究全般について、十分な指導をしていなかった。
・研究成果を発表するにあたっては、自らが用いる実験データが科学的に適正な方法と手続でなされたものであることを確認すべきであるが、それができていなかった。
・筆頭著者であるB元大学院生の作成したグラフや図を用いながら、本件論文のほぼすべてを自ら執筆した。
B元大学院生が行った実験は、相当期間、多数回に渡ってA教授の仮説と異なる結果を示しており、このことをA教授自身も十分に認識していた。
設定した締切りが近づいた時期になって、突如、B元大学院生がそれまでの実験結果と異なる実験データを提示したことについては、実験結果全体の信用性について特に慎重な検証を要すると感じるのが当然の状況にあった。
生データや実験・観察ノートを提示させ、それらを確認することを一切していなかった
・提示された実験データに再現性があるものかどうかといった事柄すら把握しておらず、後日、それらの検証を可能とするデータや資料なども保管していなかった。
これらを総合的に判断し、研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことにより、不正に作成された図を利用して論文を執筆したことは、A教授自らが研究結果等をねつ造、改ざんしたものであることと何ら変わりがなく、特定不正行為に該当すると認定した。
特定不正行為以外の不正行為(研究活動上の不適切な行為)
・責任著者でありながら、論文の作成にほとんど関わっていない者を共著者として記載し、論文を投稿するに当たり、共著者全員の了承を得ないまま投稿手続きを行い、受理されてから連絡した。
以上の行為は、特定不正行為以外の不正行為として不適切なオーサーシップに該当すると認定した。

② B元大学院生(筆頭著者)
・複数の図において、データの恣意的な取捨選択出所不明のデータの付加を行っていた。
・論文に掲載された実験を実際に担当し、A教授の求める実験データを得ようとしていた。
・A教授から適切なデータの取扱い、解析方法及び研究倫理について指導されていなかったことによる知識不足のため、独自の誤った方法で論文に記載する図を作成していた。
・A教授から学位取得についてプレッシャーをかけられ、A教授の意図した実験データを厳しく要求し続けられていた。
・A教授や研究室内の指導者への相談等が十分に行えていなかった。
実験データから選択した過程を容易に追跡できる資料を保存していた。
以上のことから、B元大学院生がねつ造、改ざんを積極的に行う意思が乏しかったとはいえ、この行為は故意に研究結果等をねつ造、改ざんしたものとして、特定不正行為に該当すると認定した。

(転載元:https://www.tokushima-u.ac.jp/fs/1/4/6/5/9/9/_/gaiyou.pdf 太字強調は当サイト)

  1. 【お詫び】研究不正(ねつ造、改ざん)の調査結果及び対応について令和2年4月20日 徳島大学
  2. 徳島大大学院生が論文データ捏造、博士号取り消し(2020.4.20 21:50 産経WEST
  3. 徳島大大学院 教授ら論文不正か(2020年04月20日 18時49分 NHK NEWSWEB
  4. 徳大で論文データ不正 教授処分審議 元院生博士号取り消し (5:00 徳島新聞(要有料会員登録))
  5. https://twitter.com/plagiarismfraud/status/1252291411543638016
  6. 取り消された博士研究論文:カチオン性リポソームを担体としたmyostatin-siRNA局所導入による骨格筋量制御効果の検討 Effectiveness of cationic liposome-mediated local delivery of myostatin-targeting small interfering RNA in vivo. Dev Growth Differ2014 Apr;56(3):223-32. doi: 10.1111/dgd.12123. Epub 2014 Mar 13. (PubMed)

 

以下の記事は、上とはまた別の事件です。

学位取り消し

徳島大学では,元大学院学生(徳島大学大学院医科学教育部医学専攻博士課程(平成29年3月23日修了))の学位論文「A significant causal association between C-reactive protein levels and schizophrenia」(甲医第 1318 号・博士(医学))に関して,下記のとおり「学位を授与された者が,その名誉を汚辱する行為をしたとき」と判断し,学位授与の取り消しを決定し,学位記の返還を命じた。(徳島大学 平成30年7月6日)

 

論文の間違いが発覚した経緯

学位授与の根拠となった論文に関連し,外国人研究者が同じ公開データを使用した同じテーマの論文が,結果が逆の内容で別学術雑誌に掲載された。今回対象の論文を掲載している学術雑誌の編集者から,研究内容を確認して回答するよう要請があった。著者らは,要請を受けて再確認し,計算自体に間違いがなかったが,当初の公開データの取り間違いがあったことに気づき,論文の根幹に係る主張の間違いだと言うことで,論文撤回(H30.2.21)という結果になった。(徳島大学 平成30年7月6日)

 

研究不正の有無

特に公開データの場合は,誰もが同じことを直ぐにでも試みることができるので,データを故意に間違えて計算するという蓋然性は低く,この論文撤回に関して不正はなかったと判断した。(徳島大学 平成30年7月6日)

 

学位を取り消す根拠

  1. 学位授与の前提となる論文が事実上なくなった
  2. 研究者として当然持っているべき基本的な慎重さが欠け,主張が間違った論文を学位論文として申請した (徳島大学 平成30年7月6日)

 

徳島大学学長のコメント

このたびの事態によって損なわれた徳島大学の学位に対する社会的信頼を回復するため、大学院生に対する研究者倫理教育の醸成を図ることはもちろんのこと、論文の作成段階及び学位の申請段階において、教育・研究の達成を見る上でも、実験内容を適切に記録していることを確認させるとともに、論文審査体制を一層厳格化することにより、学位審査体制の充実、透明性、客観性の確保を図り、学位の質保証に結びつけてまいります。(学長 野地澄晴)(学位授与の取消しについて 徳島大学 2018年7月6日)

 

参考

  1. 学位授与の取消しについて(概要) 平成30年7月6日 徳島大学
  2. Retraction: A significant causal association between C-reactive protein levels and schizophrenia (Published: 21 February 2018, Scientific Reports)
  3. A significant causal association between C-reactive protein levels and schizophrenia. Scientific Reports volume 6, Article number: 26105 (2016). Published: 19 May 2016
  4. 徳島大 医学博士号取り消し 元院生の論文に誤り /徳島 (毎日新聞2018年7月7日 地方版) 論文は16年5月、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載。男性は17年3月に博士号を取得した。だが同誌は今年2月、公開データの取り違えで結論などが誤っていたとの撤回記事を出した。
  5. 徳島大、元院生の博士学位取り消し 論文データに誤り、論文掲載誌から指摘 (産経WEST 2018.7.6 13:49)
  6. A university is revoking a student’s PhD — but not because of misconduct (Retraction Watch)
  7. 捏造、不正論文、総合スレネオ47(5ch) 82名無しゲノムのクローンさん2018/07/27(金) 22:11:37.93 https://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/life/1532266799/

 

東大H26行動規範委員会資料不開示問題の答申

匿名A氏が指摘した類似画像を含む84報のうち東大の医学系研究者が著者であった12報に関して東大が予備調査の結果不正無しと結論したことに関して情報の開示請求がありましたが、東大が一部不開示の決定をしたため、それを不服とする開示請求者が審査請求を行い、それを受けて審査会が審査を行い、その結果を答申として公開していました。以下、その内容です。東大が不開示としたのは違法であると結論しています。

以下、http://www.soumu.go.jp/main_content/000506048.pdf の内容の転載。太字強調は当サイト。


 

諮問庁:国立大学法人東京大学
諮問日:平成29年6月8日(平成29年(独情)諮問第31号)
答申日:平成29年9月6日(平成29年度(独情)答申第24号)
事件名:平成26年度科学研究行動規範委員会資料等の一部開示決定に関する件

答 申 書

第1 審査会の結論
別紙に掲げる文書1ないし文書5(以下「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした決定については,理由の提示に不備がある
違法なものであり,取り消すべきである。

第2 審査請求人の主張の要旨

1 審査請求の趣旨
独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく開示請求に対し,平成29年2月8日付け第2
016-45号により国立大学法人東京大学(以下「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った一部開示決定(以下「原処分」という。)について,原処分を取り消し,出席者を除く不開示部分(以下「本件不開示部分」という。)の開示を求める。

2 審査請求の理由

(1)審査請求書
不開示とされた各議事などについて,調査・事案処理の方法・方針,委員の発言内容に係る記載は,調査委員会での審議が適切に行われたか知る上で必要な情報である。開示された各議事はほぼ全てが黒塗りされており,ひとつひとつの論文について十分に審議されたか否かが,現状の開示資料では推測することすら困難である。これでは審議内容が適切か否かを判断することができず,かえって疑念を抱かせる原因となる。「東京大学の科学研究における行動規範」にあるように研究不正は,「科学研究の本質そのものを否定し,その基盤を脅かす,人類に対する重大な背信行為」である。奇しくも ,現在,同じ研究者に対する研究不正の告発が行われており,過去の調査が適切に行われたかどうかを示すことは,研究不正に貴大学がどのような姿勢で臨んできたのかを示すことにもつながる。同じ行動規範には,「科学者コミュニティの一員として,研究活動について透明性と説明性を自律的に保証することに,高い倫理観をもって努めることは当然である」と明記され,それに続く総長声明では「この行動規範を大学自ら担保するための委員会制度を規則として定めることにした」と委員会の位置づけを説明している。こうした規範や総長声明の理念を守り,調査の審議過程及び内容の適切さを担保するためにも,貴大学には当該資料を開示して調査が適正に行われたことを示す責務がある。
発言者の特定をしなければ,審議内容を情報開示することにより,特定の者に不当に利益を与え,または不利益を及ぼすとは到底考えられない。また,個人が特定されなければ,人事に支障を及ぼすおそれもない。仮に,社会の公器としての貴大学が,原則として開示すべき資料を,例外的に不開示とするためにこのような主張を行うならば,具体的な根拠を示して主張する必要がある。そうでなければ,この主張自体が極めて不合理であり,世間から疑惑の目で見られることを,自ら容認することになろう。そのような姿勢は上記行動規範に反するものである。貴大学として,発言者が特定されないとしても,将来予定される審議において委員の意見等が公表されることを前提にすると,委員が部外の評価等を意識して素直な意見を述べることを控えるなど,意思決定の中立性や独立性が不当に損なわれるおそれがあると主張されるかもしれない。しかし,発言者が特定されないのであれば,委員の意見等が公表されたとしても素直な意見を控えるとは到底考えられない。もし意思決定の中立性や独立性が不当に損なわれるなどと主張するのであれば,発言者が特定されないにもかかわらず,素直な意見を述べることができないような調査委員を選任することを前提としており,専門家としての各調査委員を愚弄するのみならず,調査委員会の適正さそのものに疑義を生じさせる主張と言わざるを得ない。一連の資料の開示を拒むことは,研究不正を真摯に取り扱おうとする姿勢に真っ向から反するものである。さらに審議が終わった研究不正調査に関する議事の公開は,将来他の研究不正事案を審議する場合の参考となりうるものであり,貴大学の対応は,社会的に評価されるものではあれ,非難されることはありえない。なお,調査対象者については対象となった論文が公開されていることから,少なくとも責任著者と筆頭著者については対象となることが明らかなため,ヒアリングなどの議事録を含め公開すべきと考える。その他の調査対象者について個人名などは不開示でも構わない。
既に審議が終わり調査の結論は貴大学のホームページでも公開されている。そのため,議事内容が公開されることで本件の事務や事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれはない。また,同じ理由から,たとえ,審議のある時点で生じた,未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報を公にしたとしても,その後,結論に至った過程を合わせて公開すれば新たに混乱を生じさせるおそれもない。加えて,結論が「不正なし」というものであるため,公開することで当該研究者の今後の研究活動にも影響を与えるおそれもない
将来に行われる類似の審議・検討・協議に係る意思決定に不当に影響を与えるおそれについては,研究不正事案というものは,事案ごとにその内容や性質が異なるものである。それぞれ個別に審議されるものであり,その都度適切に審議されることで問題は生じない。これは,本件と同じ研究者が対象となり,現在行われている研究不正調査への影響についても同様である。また,審議,検討の内容を公にすることにより,調査にあたっての考え方,主張等が明らかになり,今後の同種の調査にあたり,正確な事実の把握を困難にするおそれ又は不当な行為を容易にするおそれがあるという主張についても,同様に事案ごとに内容や性質が異なるため懸念は当たらない。逆に「何が不正に当たるのか」といった考え方などはむしろ公開することで不正の防止につながる情報で,これらを不開示の理由とすることは調査の正当性に疑念を抱かせるだけでなく,研究機関として不正に真撃に対応できているのか,その姿勢を問われかねない事態にもつながると考える。
独立行政法人は,原則として保有する情報を公開しなければならず,不開示はあくまで例外規定である。個別具体的な事情なく漫然と不開示とするのであれば,世間に対し,情報公開をする気がない大学であることを表明するに等しい。また,調査方針・手法自体は,調査委員会の判断の公正さを担保するために開示は必須であると考えられるのみならず,開示を拒むことは,逆に調査委員会の判断に対する疑義を生じさせるものであり,不開示とすることによりあたかも不正があったかのように流布されるおそれもある。現実に,一部マスコミ報道やインターネット上では本件論文の研究者に対する記事が多数掲載されており,研究者個人のみならず大学にとっても不利益が生じる事態につながっている。なお,調査過程の開示は,例えば貴大学の「分子細胞生物学研究所・旧特定研究室における論文不正に関する調査報告書(第一次)」の資料「不正な図の例」においても行われている。特定URL調査が適正に行われていることが示されており,こうした開示によって他の不正調査に悪影響が出る問題も生じていない
貴大学として,不正がなかったと認定されたにもかかわらず,議事内容が公表されることで,再び,当該調査事案が注目され,公表された一部の情報だけをもって新たに誹誘中傷が行われる可能性があるとの主張を行う可能性もある。しかしながら,そもそも本件調査事案は,同じ研究者が新たに告発を受けたことで ,現在,非常に注目されており,過去の調査内容が公表されたからといって「再び」注目されるという状況にはない。加えて,新たに誹誘中傷が繰り広げられるというのも,憶測の域を出ず,研究不正を厳に取り締まる立場にある貴大学が,法的に公表が原則となっている情報を不開示にする理由としては著しく正義に反するものである。
以上,アからカで述べた通り,貴大学が示した見解は,いずれも資料の中の個人名以外を不開示とする理由には該当しない。各議事は不正行為か否かの判定が適切に行われたかどうかを知る上で必要な情報である。議事などの資料を公開して当該委員会が研究不正事案に真摯に取り組んだ事を示し,結論に対する信頼を得ることは,上記行動規範や規則を制定した貴大学の責務である。発言者の個人が特定できる氏名等は伏せて,資料を公開すべきである。

(2)意見書
審査請求人から平成29年7月10日付け(同月11日受付)で意見書が当審査会宛てに提出された(諮問庁の閲覧に供することは適当でない旨の意見が提出されており,その内容は記載しない。)。

第3 諮問庁の説明の要旨

1 本件対象文書について不開示とした理由について
本件対象文書は「「インターネット上で指摘のあった論文の画像データに係る調査結果について」として調査結果が平成27年7月31日付けで公表されている,研究行動規範委員会の調査に関わる資料の一切。具体的には,調査にかかる会議に提出された資料,会議の議事次第,調査委員が示された資料,会議の議事録,調査報告書とその案,調査対象者から提出された実験データなどの資料,その他調査に使われた資料,調査で行われた関係者のヒアリングの記録,外部機関に調査や分析を行っていればその報告書。加えて,調査にかかった費用とその使途がわかる資料(外部調査委員への支払なども含む)」である。本学では,研究不正の事案については,科学研究行動規範委員会において調査を行っているが,請求にかかる文書は以下の5つの理由に該当する部分について不開示とする決定を行った。
① 個人名その他個人を識別できる情報であって法5条1号ただし書イ,ロ,ハのいずれにも該当しないものが記されている部分を不開示とする。
② 審議,検討又は協議に関する情報であって,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意志決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるものについては,法5条3号に該当するため不開示とする。
③ 公にすることにより,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものについては,法5条4号柱書きに該当するため不開示
とする。
④ 公にすることにより,正確な事実の把握を困難にするおそれ,若しくはその発見を困難にするおそれがあるものについては,法5条4号ハに該当するため不開示とする。
⑤ 公にすることにより,人事管理に係る事務に関し,その公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある部分については,法5条4号
ヘに該当するため不開示とする。よって,本件対象文書を平成26年度~27年度科学研究行動規範委員会資料並びに支給調書として,部分開示決定を行ったものである。これについて,審査請求人は,平成29年4月4日受付の審査請求書のなかで,原処分の取消しを求めている。

2 審査請求人の主張について
審査請求人は「開示された各議事がほぼ全て黒塗りされており,ひとつひとつの論文について十分に審議されたか否かが現状の資料では推測することすら困難であり,これでは審議内容が適切か否かを判断することができず,かえって疑念を抱かせる原因となる。調査委員会の適正さそのものに疑念を生じさせると言わざるを得ない。対象となった論文が公開されていることから,少なくとも責任著者については対象となることが明らかなため,ヒアリングなどの議事録を含め公開すべきと考えるし,結論が「不正なし」というものであれば公開することで当該研究者の今後の研究活動にも影響を与えるおそれもない。いずれの資料の中の個人名以外を不開示とする理由には該当しない。発言者の個人が特定できる氏名等は伏せて,資料を公開すべきである。」等と主張している。しかしながら,研究不正の調査については,その判定結果の如何によらず,対象となる研究者の研究活動に大きな影響を与えるものであり,かかる調査については,限りなく公平中立なものとして実施されなければならないと理解している。調査の内容について必要以上に開示することは,調査機関として担保すべき,正確な事実の把握,率直な意見の交換,意思決定の中立性などを困難にするおそれがあり,ひいては,調査機関として行う不正行為の判定結果の信頼性をも損なうことになる。また,「不正なし」と認定した場合には,これらの要請に加えて,不正行為の認定がなされなかった被申立者への配慮も当然考慮すべき事項となってくる。そのため,今回開示した内容については,上記の理由から必要かつ十分なものであると認識している。したがって,本学の決定は妥当なものであると判断する。以上のことから,諮問庁は,本件について原処分維持が妥当と考える。

第4 調査審議の経過
当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
① 平成29年6月8日 諮問の受理
② 同日 諮問庁から理由説明書を収受
③ 同月20日 審議
④ 同年7月11日 審査請求人から意見書及び資料を収受
⑤ 同月31日 本件対象文書の見分及び審議
⑥ 同年9月4日 審議

第5 審査会の判断の理由
1 本件開示請求について
本件開示請求は,「「インターネット上で指摘のあった論文の画像データに係る調査結果について」として調査結果が平成27年7月31日付け
で公表されている,研究行動規範委員会の調査に関わる資料の一切。具体的には,調査にかかる会議に提出された資料,会議の議事次第,調査委員が示された資料,会議の議事録,調査報告書とその案,調査対象者から提出された実験データなどの資料,その他調査に使われた資料,調査で行われた関係者のヒアリングの記録,外部機関に調査や分析を行っていればその報告書。加えて,調査にかかった費用とその使途がわかる資料(外部調査委員への支払なども含む)」の開示を求めるものであり,処分庁は,法11条に規定する開示決定等の期限の特例を適用し,先行開示文書(平成28年11月9日付け第2016-45号により特定され,開示された文書)及び文書1ないし文書5(本件対象文書)を特定し,先行開示文書については全部開示したが,本件対象文書については,その一部を法5条1号,3号並びに4号柱書き,ハ及びへに該当するとして不開示とする原処分を行った。これに対し,審査請求人は,上記の不開示部分のうち,出席者などの個人名の特定につながる情報以外の部分(本件不開示部分)の開示を求めているが,諮問庁は,原処分を妥当としていることから,以下,本件対象文書を見分した結果を踏まえ,原処分の妥当性について検討する。

2 理由の提示について
(1)開示請求に係る法人文書の一部又は全部を開示しないときには,法9条1項及び2項に基づき,当該決定をした旨の通知をしなければならず,この通知を行う際には,行政手続法8条に基づく理由の提示を書面で行うことが必要である。理由の提示の制度は,処分庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を相手方に知らせて不服申立てに便宜を与える趣旨から設けられているものである。かかる趣旨に照らせば,この通知に提示すべき理由としては,開示請求者において,不開示とされた箇所が法5条各号の不開示事由のいずれに該当するのかが,その根拠とともに了知し得るものでなければならない。上記の理由の提示として,不開示事由が複数あるときに,具体的な不開示部分を特定していない場合には,各不開示事由と不開示とされた部分との対応関係が明確であり,当該行政文書の種類,性質等とあいまって開示請求者がそれらを当然知り得るような場合を除き,通常,求められる理由の提示として十分とはいえない。
(2)そこで,まず,原処分における理由の提示の妥当性について検討すると,当審査会において,諮問書に添付された原処分に係る法人文書開示決定通知書を確認したところ,原処分においては,本件対象文書(総ページ数553ページ)のうちの不開示部分とその理由について,「個人名その他個人を識別できる情報であって法5条1号ただし書イ,ロ,ハのいずれにも該当しないものが記されている部分を不開示とする。」,「審議,検討又は協議に関する情報であって,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるものについては,法5条3号に該当するため不開示とする。」,「公にすることにより,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものについては,法5条4号柱書きに該当するため不開示とする。」,「公にすることにより,正確な事実の把握を困難にするおそれ,若しくはその発見を困難にするおそれがあるものについては,法5条4号ハに該当するため不開示とする。」及び「公にすることにより,人事管理に係る事務に関し,その公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある部分については,法5条4号ヘに該当するため不開示とする。」とされているだけで,どの不開示部分が上記の不開示事由のいずれに該当するのか不明であるばかりか,不開示事由についても,各不開示条項の規定をほぼそのまま引用したに等しい内容が書かれているにすぎず,当該不開示事由に該当すると判断した理由を具体的に示しているとはいえない。なお,各開示実施文書を見てみると,不開示部分がある各ページの上部には不開示条項が付記されているが,これを理由の提示又はそれを補うものと見ることはできない。
(3)以上を踏まえると,確かに,原処分においては,不開示の理由として,法5条1号,3号並びに4号柱書き,ハ及びヘは示されているものの,本件対象文書のどの部分が,どのような根拠により,これら不開示事由のいずれに該当するのかが開示請求者において了知し得るものになっているとはいえないから,理由の提示の要件を欠くといわざるを得ず,法9条1項及び2項の趣旨並びに行政手続法8条に照らして違法であるの
で,原処分は取り消すべきである。

3 本件一部開示決定の妥当性について
以上のことから,本件対象文書につき,その一部を法5条1号,3号並びに4号柱書き,ハ及びヘに該当するとして不開示とした決定については,その理由の提示に不備がある違法なものであり,取り消すべきであると判断した。

(第1部会)
委員 岡田雄一,委員 池田陽子,委員 下井康史

別紙(本件対象文書)
文書1 平成26年度科学研究行動規範委員会資料(67枚67頁)
文書2 平成27年度科学研究行動規範委員会資料(216枚216頁)
文書3 平成27年度科学研究行動規範委員会資料(128枚128頁)
文書4 平成27年度科学研究行動規範委員会資料(132枚132頁)
文書5 支給調書(8枚10頁)

 


 

参考

  1. 情報公開(独立行政法人等平成29年度答申 001~050 平成29年度(独情)024
  2. 答申状況<情報公開・個人情報保護審査会<総務省
  3. 情報公開・個人情報保護関係 答申データベース検索 (総務省)【 行情:10308件、独情:1123件、行個:1987件、独個:627件 (平成30年4月20日00:26現在) 】
  4. 情報公開・個人情報保護関係 判決データベース検索(総務省)

京都大iPS細胞研究所で論文不正

★2018.1/22放送 NHKニュース7 京大iPS細胞研究所で論文のねつ造や改ざん★

経緯

経緯

iPS細胞研究所相談室に、同研究所所属の助教が著者である論文の信憑性について疑義があるとの情報が寄せられた。これを受け、相談室において研究所に保存されていた1次データ(実験機器の測定値をそのままエクセルファイルに写したもの)から論文の一部のグラフの再構成を試みたところ、論文通りのグラフを再現することができず、論文の主張を裏付けることができなかったことから、平成29年7月3日、大学の通報窓口へ通報が行われた。通報を受け、予備調査を行った結果、本格的な調査を行うことが必要であると判断し、外部委員を含む調査委員会を設置し、調査を開始した。

結論

調査の結果、論文を構成する主要な図6個すべて、また補足図6個中5個において捏造と改ざんが認められる。これらの捏造または改ざん箇所の多くは、論文の根幹をなす部分において論文の主張にとって重要なポイントで有利な方向に操作されており、論文の結論に大きな影響を与えていると認められる。かつ、論文の図作成過程において、正しい計算方法に基づき正しい数値を入力するという基本事項が徹底されていなかった。

(京都大学における研究活動上の不正行為に係る調査結果について(概要) PDF)

 

データ捏造が認定された論文

  1. In Vitro Modeling of Blood-Brain Barrier with Human iPSC-Derived Endothelial Cells, Pericytes, Neurons, and Astrocytes via Notch Signaling. Stem Cell Reports Volume 8, Issue 3, 14 March 2017, Pages 634-647 Available online 23 February 2017. 論文著者:Kohei YamamizuMio Iwasaki2 Hitomi Takakubo1 Takumi Sakamoto3 Takeshi Ikuno1Mami Miyoshi1 Takayuki KondoYoichi Nakao3 Masato Nakagawa2 Haruhisa Inoue4 Jun K.Yamashita1  所属1:Laboratory of Stem Cell Differentiation, Department of Cell Growth and Differentiation, Center for iPS Cell Research and Application (CiRA), Kyoto University, 53 Shogoin Kawahara-cho, Sakyo-ku, Kyoto 606-8507, Japan 2:Department of Life Science Frontier, CiRA, Kyoto University, Kyoto 606-8507, Japan 3:Department of Chemistry and Biochemistry, Waseda University, Tokyo 169-8555, Japan 4:Laboratory of Stem Cell Medicine, Department of Cell Growth and Differentiation, CiRA, Kyoto University, Kyoto 606-8507, Japan

オピニオン

記者会見で質問された流れで、山中伸弥所長が自身の進退に言及する発言があったようです。所内の助教が単独で働いたと思われる不正行為の責任をとって所長が辞職するようなことはおかしいという意見がツイッター等で数多くみられました。また、研究不正の指摘を受けてきちんとした調査を行い公表した大学をむしろ評価すべきだという声もあります。

山中先生は、この問題となった論文の著者ではない。研究所長として管理責任はあるとしても、大学の組織上、研究所長がそれぞれの研究室が発表する論文の内容に立ち入ることは、普通はない。論文に関しては、筆頭著者を含め、全著者が責任を取るべきである。大きな研究所のトップは、自分自身の研究室の研究内容について全責任を負うのは当然だが、他者の研究室の内容・運営に口出しする事はない。研究の内容・指導・予算管理は研究室単位で独立して管理される。常識的に考えても、研究所長が多くの研究室の細かい生のデータまですべて目を通すことなど不可能だ。山中先生は日本の宝であり、この研究所が山中先生がいなくなっても存立しうるものかどうか、わずかな常識があればわかるはずだ。この件で、山中先生が辞職することなどあってはならない。(京大論文不正;これでいいのか、日本メディア 中村祐輔のシカゴ便り 01232018)(一部のみ抜粋して紹介)

  1.  山中教授が悪いみたいな感じのニュースになっていますが、あくまで組織の長として謝罪しているのであって、彼を辞任に追い込むのは早計でしょう。これで辞職して海外に行ってしまったら、日本は大きな宝を失う。
  2. きちんと調査をして、不正認定した組織の長が辞任しなくてはならない状況になれば、組織はますます隠蔽するようになるだろう。>山中所長、辞職の可能性に言及 助教の論文不正問題(テレビ朝日系) – Yahoo!ニュース
  3. 研究不正疑義に対して、適切に調査して公表した組織は「プラス評価」をすべき。 不正があったと公表したら、組織にとって「マイナス評価」になってしまうと、不正隠蔽した方が得策という事になってしまいます。
  4. 山中所長に「やめないで」の声続々 記者から「辞任」質問も出るが… (JCASTニュース 2018/1/23 15:50)

 

報道

  1. iPS細胞研の山中所長をめぐる記事に批判集中 共同通信は内容「差し替え」認める 炎上を受け、BuzzFeed Newsは共同通信に取材した。 (BUZZFEED NEWS 2018/01/26 17:59 Kensuke Seya 瀬谷健介 BuzzFeed News Reporter, Japan):”共同通信は通信社として、契約する全国の新聞社にニュースを提供している。ネット上では、少なくとも東京新聞、北海道新聞、西日本新聞、佐賀新聞が、共同通信に提供された初報の「山中氏、科学誌創刊に深く関与か」の記事を配信したとわかる。”
  2. 共同通信さん、京大iPS研の論文不正に山中伸弥所長が関わっているかのような記事を公開し非難轟々→しれっとタイトル&内容改変 (togetter)
  3. 山中所長が給与全額寄付 京大iPS研、論文不正 (共同通信 2018/1/25 20:45 https://this.kiji.is/329123813377803361) 京都大iPS細胞研究所の論文不正問題を受け、山中伸弥所長が、給与を当面の間、研究所に全額寄付するとの考えを示していることが25日、分かった。今月の給与から寄付するとしている。 論文の研究費約310万円のうち、一般の人から募った寄付金「iPS細胞研究基金」の二百数十万円が使われていたための措置という。 山中所長は不正を発表した22日の記者会見で「多くの方から頂いた支援が使われてしまった」と謝罪。発表後に対応を検討し、寄付する考えを担当者らに伝えた。 24日に京都市内で行われた講演では、寄付金が使われていたことや今後の寄付活動について、「どうしたら皆さまに納得していただき、自分自身が納得できるのか。最良の方法を探したい」と発言していた。 問題の論文を掲載した米科学誌ステム・セル・リポーツは、山中氏が国際幹細胞学会の理事長を務めていた2012年に、学会と出版社が提携する形で創刊を発表。 科学誌のホームページなどによると、山中氏は現在この科学誌の編集委員の一人だが、既に不正問題とは関係なく理事長を退任している。研究所は「科学誌の編集委員は通常、所属する研究機関の論文の審査には関与しない」としている。 京大は22日、山水康平特定拠点助教(36)の論文で捏造と改ざんがあったと発表した。
  4.  山中氏、科学誌創刊に深く関与か 京大、iPS研の論文不正発表 (共同通信 2018/1/25 14:25 https://this.kiji.is/329123813377803361) (archive.org) 京都大iPS細胞研究所の研究不正で、問題の論文を掲載した米科学誌ステム・セル・リポーツの創刊に、当時、国際幹細胞学会の理事長を務めていた山中伸弥・研究所長が深く関わったことが25日、分かった。 この論文の審査に山中氏は関与していないとみられるが、現在も編集委員の一人となっている。科学誌の論文審査制度に対しては、不正を見抜く仕組みが不十分だとの声もある。 山中氏はノーベル賞を受賞した2012年、学会と米出版社が提携し新たな科学誌を創刊すると発表。無料公開を原則とし、iPS細胞などの幹細胞に関する基礎研究から医療応用までの幅広い領域の論文を扱うとした。(注:14:25のこの記事は、思わせぶりな書き方で悪意に満ちており、実際ツイッターなどでも多くの人が批判していました。炎上したせいか、20:45には異なる印象を与える記事に差し替えられています。)
  5. 「不正防げず後悔、反省」山中所長、表情険しく 辞任可能性も (産経WEST 2018.1.22 21:22):”約2時間に及ぶ会見の終わり際、責任の取り方として所長を辞める場合もあるかどうか問われると「もちろん全ての可能性は考えている」と前を見据えた。”
  6. 山中所長「辞任も検討」 京大iPS研・助教の論文不正 (京都新聞 2018年01月22日 22時20分):”同研究所長の山中伸弥教授は京都市左京区の京大で開いた会見で、「論文不正を防げなかったことについて強く反省している。所長の辞任を含めて責任の取り方を検討したい」と謝罪した。”
  7. 京大iPS論文不正 再生医療 金看板に傷 (毎日新聞2018年1月22日 22時30分 最終更新 1月23日 01時40分):”データの捏造や改ざんに手を染めた山水(やまみず)康平・特定拠点助教(36)は2014年11月に同研究所に着任し、18年3月までの任期付きの研究者。… 同研究所は、不正防止のために研究内容を厳しく管理する体制を敷いている。3カ月に1回は全ての研究者の実験ノートを確認し、論文を発表する場合は元データや画像などの提出をルール化している。‥‥ ただ、提出させるだけで詳しい内容までは確認しない体制になっており、実際には100%の提出実績に至っていないという。山水助教のノートの提出率は86%だったが、かなり高い割合で、問題の論文についてもデータや画像を全て提出していた。”
  8. iPS研の特定拠点助教、論文に捏造や改ざん (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2018年01月22日 19時20分):”京都大は22日、同大iPS細胞研究所に所属する山水康平・特定拠点助教(36)(幹細胞生物学)が昨年2月に米科学誌に発表したiPS細胞(人工多能性幹細胞)に関する研究論文で、グラフ12個のうち11個に捏造や改ざんの不正行為があったと発表した。 山水助教は「論文の見栄えを良くしたかった」と不正を認めているという。京大は既に科学誌の出版社に対し、論文の取り下げを申請している。”
  9. 山中所長、辞職の可能性に言及 助教の論文不正問題 (KFB福島放送 2018-01-22 20:11:57) :”山中所長も会見で自身の辞職の可能性について言及しています。”
  10. 京大iPS細胞研究所で論文のねつ造や改ざん (NHK NEWS WEB 1月22日 17時45分):”京都大学はiPS細胞研究所に所属する助教が中心となって去年発表した論文の11の図にねつ造などの不正があったと発表しました。大学は、不正はこの助教が行ったと認定し、論文が掲載された雑誌に撤回を申請するとともに、近く関係者を処分することにしています。京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長らは記者会見を開き、所属する山水康平助教が中心となって、去年2月に発表した論文に不正があったと発表しました。論文は、ヒトのiPS細胞から脳の血管にある「血液脳関門」という組織を作ることに成功したという内容で、主要な6つの図のすべてと補足データの5つの図の合わせて11の図にねつ造や改ざんが認められたということです。改ざんやねつ造は、論文の結論に合わせて操作されていて、大学ではデータの解析や図の作成を行った山水助教が不正をしたと認定しました。助教は「私がやりました。論文の見栄えをよくしたかった」と話しているということです。”
  11. 京大iPS研助教らの論文で捏造・改ざん発表 (日本経済新聞 2018/1/22 17:37):”京都大学は22日、iPS細胞研究所の山水康平特定拠点助教らの論文について捏造(ねつぞう)と改ざんの不正があったと発表した。研究所に保存していた実験データから成果の根拠となるグラフを再現できず、調査を進めていた。”

 

参考

  1. 研究活動上の不正行為に係る調査結果について(京都大学 2018年1月22日)

  2. 京都大学iPS細胞研究所 CiRA(サイラ)増殖分化機構研究部門(山下 潤 教授)
  3. iPS細胞から血液脳関門モデルの作製に成功  (京都大学 研究成果 2017年02月27日):”山水康平 iPS細胞研究所(CiRA=サイラ)特定拠点助教、山下潤 同教授らの研究グループは、ヒトiPS細胞から血液脳関門(物質が血中から脳内へ入るのを制限している脳毛細血管)のモデルを作製することに初めて成功しました。今後、このモデルを用いることで、血液脳関門の機能やアルツハイマー病などの神経変性疾患と脳血管の関連についてのさらなる理解や薬の開発に役立つことが期待されます。 本研究成果は、2017年2月24日午前2時に米国の科学誌「Stem Cell Reports」でオンライン公開されました。”
  4. 「(ノートを)出さない人は不正をしているとみなします」

現代ラボ用語の基礎知識

ラボでは当たり前に使われている言葉でも、一般の人には新鮮に響くことがあるようです。そんな、ラボ特有の言い回しをまとめてみました。(生物系のラボ。随時追加、変更あり)

  1. アクセプト【accept】投稿した論文が受理(掲載許可)されること。「リバイスに1年もかかったけど、やっとアクセプトされたよ!」「おめでとう!」
  2. アクティビティ【activity】いい論文をコンスタントに出している状態。「あのラボはアクティビティが高いね。」
  3. あてうま【当て馬】採用される人が予め決まっている公募の面接に呼ばれる他の候補者のこと。「東○大に面接に呼ばれたんだって?」「どうせ当て馬だと思うけど、しっかり準備して行くよ。」
  4. あとがない【後が無い】①研究職の任期が切れる寸前だが、次の職がまだ決まっていない状態。「この論文、絶対通ってくれないと。俺、後が無いから。」 ②出すジャーナルを下げすぎて、もうこれ以上下げられない状態。 「サイレポにも蹴られて、もう後が無いよ。」「大丈夫、ジャーナルなんて、ほかにいくらでもあるから。」「いや、俺もう、後がないから。」
  5. あれ、どうなった?【あれ、どうなった?】何も考えていないボスが、学生に進捗状況を聞くときに使う、いい加減な言葉。「おい、あれ、どうなった?」「今、実験している最中です。」「おお、そうか!」 「あれ、どうなった?」「あれってなんですか?」「あれだよ、あれ、ほら、その‥。」

  1. いいしごと【いい仕事】雑誌のインパクトファクターが、その雑誌の個々の論文の価値を示すものではないという批判は常に存在するが、現実的なこととして、インパクトファクターの高いジャーナルに出た論文や人を高く評価する傾向が多くの人に見られる。そのため、「いい仕事=いい論文」と、同義語のように用いられることが多い。「これはきっといい仕事になると思うよ。」「彼は凄くいい仕事をしていてね。」
  2. いいとこねらう【いいとこ狙う】トップジャーナルへの掲載を目指すこと。「これなら、いいとこ狙えるんじゃない?」
  3. イエローチップ【yellow tip】ピペットマンで200マイクロリットルまでを測りとるためのチップ。もともと純正のものは黄色だったことから。他社製品であろうと、色が何色であろうと、イエローチップと言えばこのサイズのチップのことを意味する。「昔は、貧乏なラボでは、イエローチップを洗って再利用していたんだぞ。」「昔は、ラボに新しく入って最初の仕事は、イエローチップを(ラックに)詰めることだったんだよ。」「いつの時代だよ?」
  4. いきのこる【生き残る】アカデミアにおいて大学教員などのパーマネントの研究職を得ること。あるいは、任期付きであっても順調に次の職を得るか任期更新が行われ、コンスタントに仕事ができている状態。サバイブする、と同義。「なんとか生き残ることができた。」 「もう自分は生き残れないと思う。」 「今の時代、生き残るだけでも大変だね。」
  5. いちゃもん【イチャモン】投稿論文に対する差読者のコメントの中で、差読者が、実行不可能な実験などを著者に要求してくること。「(査読コメントに目を通した後、)こんなの、イチャモンだよ!(怒)」
  6. いっぱつアクセプト【一発アクセプト】リバイスを経ることなく速やかに投稿論文が受理されること。「ジャーナル下げたら、一発アクセプトだった。」
  7. いわれたことだけ【言われたことだけ】①最近の若者が、言われたことだけしかやらないこと。論文投稿中の研究者が、リバイスの際に、差読者に言われたことだけしかやらないこと。「原稿の修正や追加実験は、言われたことだけにしといたほうがいいよ。」
  8. インパクトファクター【impact factor】雑誌のランキングを決める数値指標で毎年算出される。「PLOS ONEのインパクトファクターって今いくつくらいだっけ?」

  1. うえから【上から】少しでもインパクトファクターの高いジャーナルに論文を出すことを目的として、駄目もとでトップジャーナルからから順番に投稿を試みること。最初にネイチャーやセル、サイエンスのどれかに投稿し、リジェクトされた場合には、同じ出版社の姉妹紙でもう少し通りやすいところや、あるいはインパクトファクターなどを考慮して他の出版社の学術誌に、ランキングを下げながら順にトライしていくこと。 「(この仕事、)どこに出すの?」「上からトライしてみようかな、と。」
  2. うつくしい【美しい】研究者が用いる場合には、美しい女性でも、美しい絵画でもなく、美しい「ストーリー」を持った研究成果を指すことが多い。「今週のネイチャーのあの論文、美しいストーリーだね。」”Beautiful work! Congratulations!”
  3. うぷす【Oops!】オッと。アメリカ帰りの研究者が、何かちょっとした失敗をしたときに思わず発してしまう言葉。英語がさほどしゃべれるようになっていなくても、感情を表す言葉だけは、なぜか口をついて出てくる。ただし、発音は日本語化している。「うっぷす。(試薬を)入れる量、間違えた!」

  1. えいぶんこうせい【英文校正】論文原稿の中に、ネイティブに意味が取れない箇所がないかチェックすること。「違う意味に直されちゃったよ。」「誤解される表現だったんじゃない?」
  2. エディターキック【editor kick】査読にまわされずに、編集者や編集部の判断で蹴られること。「だめもとでネイチャーに出したら、あっさりエディターキックを食らった。」
  3. エネルギー【energy】研究を行なうために必要な情熱やエネルギーのこと。「ボスと話をすると、エネルギーを吸い取られちゃうなあ。」
  4. エラーバー【error bar】平均値を表す棒グラフなどにおいて、標準誤差や標準偏差などを示した線分のこと。通常は、統計処理ソフトで自動的に計算・描画が行なわれる。例外的に、東京大学医学部においてはエラーバーの作成は手作業で行なわれるのが通常である(出典)。「エラーバー、もっと短くならないの?」
  5. えぬ【n】実験サンプルの例数。「nを増やせば、有意差出るかも。」
  6. エタチン【エタ沈】エタノール沈殿の略。DNAの精製過程で、塩とエタノールの混合液中でDNAを沈殿させるステップ。「行こうよ。エタ沈で止めておけばいいじゃん。」
  7. エッペン【Eppendorf tube】エッペンドルフチューブの略。生物系のラボで最も多用される1.5mlチューブのこと。本来はエッペンドルフ社の製品を指すが、高価なため安価な他社製品を使うラボが多い。しかし、どの会社の製品であっても1.5mlチューブのことをエッペンと呼ぶことが通常になっている。「エッペンちょっと分けてもらっていい?」「エッペンなくなりかけているから、次、注文しておいて。」「このラボ、エッペン、エッペンドルフのを使ってるんだ?金持ちだね。」

  1. おかね【お金】研究費のこと。「あのラボはお金がないから、(そこに進学するのは)やめといたほうがいいよ。」 「今年はお金があまりない。」 「金持ちのラボ」
  2. おけしょう【お化粧】一般的な意味は、女性(最近は男性も)が粉末や液体など様々な化学物質を顔などの皮膚表面に付着させることにより、強調すべき顔のパーツを強調し、強調したくない部分を目立たなくするなど、自分の見栄えを良くする行為のことである。そこから転じて、画像データなどでストーリーに合わない部分を隠したり、目立たなくさせたり、また、見せたい部分だけを強調するなどして論文の図を作成する行為。「あれはほんのお化粧の範疇であり、データ捏造にはあたらない。」
  3. おしこむ【押し込む】権威のある研究者が、出来の悪い(=論文業績が足りない)部下の研究者を、無理やりどこかの大学のパーマネント職に就けてしまうこと。「最近は状況が厳しすぎて、昔みたいにどこかに押し込むこともできなくなった。」(想像)
  4. おちる【落ちる】①大学教員公募に落ちること。「今回もまた落ちた。」 申請していた研究費が審査の結果、不採択になること。「今年もまた落ちた。」
  5. オーディナリーリサーチャーズ【Ordinary_researchers】「普通の研究者たち」。東京大学医学部および東京大学分子細胞生物学研究所の研究不正疑惑を2016年8月に告発した研究者たちが、匿名で告発を行なう際に名乗ったニックネーム。
  6. おとす【落とす】投稿するジャーナルのランクを下げること。「これ以上落としたくない。」
  7. オネストエラー【honest error】うっかりミス。または、データ捏造を誤魔化すための見え透いた言い訳。「指摘された論文の図に関してですが、すべてオネストエラーであり、雑誌編集部に修正を依頼しております。」
  8. おもいつく【思い付く】何か新しいアイデアが自分の頭の中に浮かぶこと。または、部下からの提案を却下してしばらく経ったあとで、そのアイデアがボスの頭の中で想起されること。
  9. オリジナルデータ【original data】論文の図表のもととなる、観察や測定によって得られた数値や、画像などの生データ。通常は論文の数値と一致するが、東大医においてはほとんど一致しない。

  1. カウントする【countする】論文業績として評価する数に入れること。「ファーストじゃないとカウントされないよ。」 「理研BSIでは、NEURON以上じゃないとカウントされないって聞いたけど、ホント?」
  2. かえってくる【返ってくる】投稿していた論文が、査読を終えて雑誌編集部から返されてくること。「論文どうだった?」「まだ返ってこない。」「遅いね。」
  3. かえる【帰る】留学先から帰国して日本で職を得ること。または、海外でPIの職についていた人が、日本にポジションを得て帰国すること。「日本に帰りたいけど、職がない。」 「ハーバードの●●先生、日本に帰ってたんだ?知らなかった。」
  4. かきました【書きました】論文草稿や研究費の申請書を書けたと思っている学生が返事に使う言葉。日本語の文章であっても、主部と述部の対応がなっていなかったり、英語の場合には中学生レベルの文法の間違いやスペルミスのオンパレードであったりと、想像を絶するレベルで、全く書けていないことが多い。本人の言葉を鵜呑みにせず、一刻も早く見せてもらってチェックすることが重要である。「書いた?」「書きました!」
  5. がくせい【学生】通常の日本語では大学生のことを指す言葉だが、学部学生がいない研究環境においては、大学院生のことを指す。 「最近の学生は研究一辺倒じゃなくて、プライベートな時間もしっかり確保する人が多いんだね。」
  6. がくちょうのけんげん【学長の権限】研究不正を告発した教員を逆に解雇したり、気に入らない教員の雇用延長を取り消す力。また、白日の下に晒され、誰がどう見ても明らかとしか言いようのない研究不正を揉み消す力。「最近あちこちの大学で起きていることをみれば、学長の権限強化が非常に危険なことは明らかだと思う。」
  7. かけんひ【科研費】科学研究費補助金の略称。「科研費の締め切りっていつだっけ?」「そろそろ科研費、書き始めないと。」「今年、科研費が一つも獲れなかった。」
  8. かせつ【仮説】研究の対象としている自然現象に関して、最も合理的と思われる説明を”仮”に設定したもの。多くの科学研究においては、この仮説の正しさを検証することを目的として、実験が行なわれる。いわば、研究の芯となる部分。本来、大学院生を含めた研究者一人一人が、自分が現在行なっている研究に関する仮説を持っていて然るべきであるが、実際には、仮説なしに研究生活を送っている人が相当数存在する。仮説不在の研究は、研究目的が曖昧になり、しばしば迷走し、何年経っても論文としてまとまらない恐れがある。また、労働集約型ラボにおいては、そもそも研究室全体に仮説不在のことがある。現実的には、執筆の段階になってから、論文をうまく構成する都合上、実験結果に合わせて仮説が立てられることもある。仮説検証型ではないタイプの科学研究も存在するが、そのような場合でも、「仮説」の意味を広く捉えれば、何らかの意味でそこに仮説が存在している(と、個人的には考えている)。「TESTABLEでないものは、仮説とは呼ばないよ。」
  9. ガチ【ガチ】大学教員公募において、候補者が予め決まっておらず、応募者の中での真剣勝負になること。「この公募ってガチかなぁ?」「ガチ公募なんて、そうそうないよ。」
  10. がんばんなきゃだめだよ【頑張んなきゃ駄目だよ】ボスが大学院生を叱咤激励するときに使う言葉。何をどう頑張れば良い実験結果を出せるのかがわからず途方に暮れている大学院生にとっては、このような励まされ方はあまりうれしくない。「頑張んなきゃ駄目だよ!」「はぁ。」
  11. かく【書く】①論文の原稿を書くこと。「データもたまってきたし、そろそろ書き始めよっかな。」  論文を出すこと。「最近、書いてないのでやばい。」

  1. キムワイプ【Kimwipe】ラボ内で最も普通に使われている「ちり紙」みたいなもの。拭いたり、吸ったり、あらゆる実験用途に使われる。もちろん、家庭で使われるちり紙よりもずっと高価。「こら、キムワイプで鼻かむな!」
  2. きょうはきげんがいい【今日は機嫌がいい】ボスの機嫌が良い日であること。感情の振れが激しく、独裁者として振舞うボスの下で働く者にとって、日々変化するボスの機嫌の状態を把握しておくことは、仕事のストレスを最小化するうえで大変重要である。そのため、ボスの機嫌の状態に関して、ラボ内で緊密に情報交換が行なわれるのが常である。「ボス、今、鼻歌うたってなかった?」「うん。今日は、かなり機嫌がいいよね。」「頼みごとを切り出すなら今だよ。」
  3. ギルソン【Gilson】ギルソン社のピペットマンのこと。ピペットマン(←商品名)のシェアが余りにも大きいため、どの会社の製品であってもマイクロピペットのことはピペットマンと呼ばれる。そこで、「ギルソンのピペットマン」であることを明示するために使われる言葉。「このラボ、(ピペットマンが)全部ギルソンなんだ?金持ちだね。」「ギルソンは堅いから、自分はこっち(Finnpipette)のほうが好きなんだよね。」

  1. グレー【gray(米) grey(英)】研究不正を「クロ」、不正のない実験・研究を「シロ」としたときに、好ましくないが不正とまではいえないような行為をグレーと呼ぶことがある。また、新聞などのメディアは断定的な表現を避ける意図で、限りなくクロに近いものであっても、単にグレーと呼ぶことがある。実際には、グレーゾーンに、万人が納得するようなシロクロの境界を引くことは難しい。「研究って、どうしてもグレーな部分ってあるよね。」「あの論文は、ちょっとグレーじゃない?」
  2. クレジット【credit】その人がその研究をしたという評価、仕事に対する貢献度を認めること。研究成果を論文発表するときには、複数の著者場合の並び順や、コレスポンディングオーサーになるかどうかにより、クレジットの度合いが表される。また、論文執筆において他人の研究成果を正しく引用することは、その人の貢献を認めて正統なクレジットを与えているということになる。「共同研究の場合、クレジットをどう分け合うかが難しい。」「共同研究者にクレジットを全部持っていかれた。」「共同研究は歓迎だけど、クレジットはちゃんと欲しい。」

  1. けられる【蹴られる】論文がリジェクトされること。「ネイチャーに蹴られた。」
  2. けんきゅうをやめる【研究を辞める】アカデミアの研究職を辞めること。民間などで研究以外の職に就いたり、アカデミアの中でもURAなど事務系の研究支援職に転ずることが多い。「彼、研究辞めちゃったんだって?」 「君が研究を辞めるなんて、もったいないよ。」
  3. けんきゅうふせい【研究不正】①わかりやすく言えば、実験ノートが存在しないこと、または、実験ノートが提出できないこと。捏造(fabrication)、改竄(falsification)、盗用(plagiarism)の3つをまとめて、研究不正(research misconduct)とする定義が一般的(参照:文科省)。実験はしたが期待した有意差が出なかったときにエラーバーを短く見せかけて有意差があったかのようにする行為は、文科省の定義では、「改竄」になるが、有意差をでっちあげているわけだから一般的な言葉遣いでの”捏造”であり、「捏造」と「改竄」を厳密に分けることには意味がない。「実験ノートを出さない人は、研究不正をしていると見なします。」(参考)「やっぱり科学における犯罪ですよね、不正は。」(2008年分生シンポ記録PDF) ②〔東大・医〕定義されない。存在しない。「不正行為はない」(参考

  1. コネ【connection】大学教員になるときに(しばしば)必要とされる、研究者(採用側)と研究者(応募者)との間の人間的な強い繋がり。「公募に出しても、呼ばれもしないんです。」「コネがないとねぇ。」
  2. コピペ【copy & paste】コピーアンドペーストを縮めた言い方。一つのアプリケーションで対象物をコピーし、別のあるいは同一のアプリケーションでそれを貼り付ける行為。例えば、ウェブブラウザ上でNIHのウェブサイトの文章をコピーし、マイクロソフトワード上で書きかけのD論に貼り付けるなどすれば、非常に効率よく博士論文をでっちあげることができる。別の使い方として、図1のゲルの写真のバンドの一部をコピーし、図2や図3、図4のゲルの写真にペーストすれば、簡単に複数データを作り出すことができるため、実験をせずに論文を作成できる。東京大学分子細胞生物学研究所の一部のラボでは論文量産にあたってこのテクニックが多用されていた。コピペの応用範囲は思ったよりも広く、棒グラフのエラーバーのコピペもまた実験データ量産に有効で、東京大学医学部の研究者らがそれを実践していたことが2016年8月に明らかとなり、世間を驚嘆させた(詳細)。「コピペは駄目だぞ!」「コピペは文化だという大学もあるらしいw。」「エラーバーまでコピペしちゃうという発想は、普通の研究者の頭じゃ絶対に出てこないよね。」
  3. ごりおし【ゴリ押し】大御所の研究者が、ペーペーのエディターに、権威をもってして論文を通させること。雑誌社に雇用されている編集者は多少の研究経験の後すぐに編集者になっている場合もあり、このような力関係のアンバランスが生じる恐れがある(と個人的に想像している)。「なぜこれがネイチャー?」「ゴリ押ししたんじゃないの?」
  4. コレスポ【Corresponding author】コレスポンディングオーサー(責任著者)を短く縮めた言い方。文字通りの意味は編集部とやりとりをする著者のことだが、通常は研究代表者で、研究の全責任を負う人になる。「この仕事は全部自分の研究費でやったし、論文も全部自分で書いたのだから、コレスポ取らせてほしいよね。」
  5. こんせぷちゅあるあどばんす【conceptual advance】研究成果が、既成の概念の変更を迫るくらいに革新的であること。トップジャーナルには必須とされ、これがないとリジェクトされる理由になる。「コンセプチュアル・アドバンスがないと、ネイチャーなんて通りっこないよ。」”The paper does not provide the conceptual advance needed for publication in Science.” “Manuscripts may be rejected because they represent a relatively small conceptual advance on our present state of knowledge.” “A referee has raised major conceptual concerns about the advance your findings represent.”
  6. コンタミ【Contamination】細胞を培養しているときに、酵母やカビ、雑菌がシャーレの中に混入して繁殖してしまうこと。または、生きものや試薬に関して、本来あるべきでないものが、混じってきてしまうこと。「コンタミさせないように、注意しろよ。」 「コンタミで、培養細胞を駄目にした。」  「きっと、RNaseがコンタミしてたんじゃないの?」
  7. コントロール【control】対照実験のこと。ネガティブコントロールやポジティブコントロールのこと。「コントロールが甘いと論文にならないよ。」

  1. さ【差】実験群と対照群の間でみられる有意差のこと。「なかなか差が出せなくて苦労してる。」 「ところであの実験、差は出たの?」 「残念、差が出なかった。」
  2. サイエンス【Science】①アメリカの学術誌でネイチャーと並んで最も権威があるジャーナルとされる。研究者が考える理想的な科学研究の在り方。「そんなの、サイエンスじゃないよ。」
  3. さいげんされた【再現された】データ捏造などの論文不正を疑われた著者が、実験をやり直して論文の主張どおりの実験結果を見せることにより、不正行為があったかどうかをウヤムヤにするときに使う常套句。当たり前のことだが、仮に実験結果が再現されたとしても、それは最初の実験に不正行為がなかったことの証明にはならない。「指摘のあった論文の図に関しては、残念ながら実験ノートの存在を確認できませんでした。しかしながら、実験をやり直したところ論文と同様の結果が得られましたので、不正行為はなかったものと考えております。」

  4. さいげんできない【再現できない】トップラボに留学した日本人ポスドクがしばしば陥る罠。そのラボでセル、サイエンス、ネイチャーなどのトップジャーナルに論文を出したポスドクのあとを引き継ぐ研究テーマを任されたにも拘らず、その論文のメインデータが自分の手では再現できないこと。「実はあの論文、再現できないんだよね‥。」

  5. サイレポ【Scientific Reports】サイエンティフィックリポーツは、ネイチャーを出版しているのと同じ出版社によるオープンアクセスジャーナルで、掲載に係る審査において研究意義の大きさを問わないという特色がある。また、掲載料(ライセンス料)が比較的高額なため、お金を出せば誰でも掲載できる雑誌でしょ?という誤解をする人がたまにいる。ネイチャーの姉妹紙の中で最も掲載が容易であることは間違いない。 「研究費いっぱい貰っているくせに、サイレポにばかり論文出してるラボってどうなの?」
  6. さちる【飽和る】saturateするという英語から。蛍光画像取得時などにおいて、シグナル強度が強い部分では、測定された値との直線性が失われ、値の伸びが飽和状態にあること。「GFPの発現が強すぎて、この部分、さちってるね。」  「8ビットじゃなくて16ビットで画像取得しないと、さちっちゃうよ。」
  7. さんい【3位】3位とは、大阪大学のことである。(編注) マグロでなら日本一の大学と豪語する近畿大学の広告戦略を是非見習ってほしい。「3位じゃダメなんです。」(阪大)「マグロ大学って言うてるヤツ、誰や?」(近畿大学
  8. さんかげつ【三ヶ月】投稿論文がREVISIONとなった場合に著者に与えられる期間は3ヶ月(90日)であることが多い。

  1. シーエヌエス【CNS】セル(Cell)、ネイチャー(Nature)、サイエンス(Science)という生命科学分野のトップジャーナル3つをまとめた呼称。「CNSに論文があっても、職をとるのは難しい。」
  2. じだいがよかった【時代が良かった】古き良き時代に、あまり論文業績がなくても大学教員(パーマネント)になれた人が、現在の暗澹たるジョブマーケットの状態を目にして口にする安堵の言葉。「いやぁ、自分はラッキーだった。まだ、時代が良かったから。今だったら、絶対に生き残れていない。」
  3. じっけんノート【実験ノート】研究者が実験を行なう際に実験内容すなわち、実験日、実験目的、実験条件、実験手順、実験結果、考察などを逐次記録したノートのこと。〔東大・医〕定義されない。
  4. じぶんもそれをかんがえていた【自分もそれを考えていた】上の立場の人間が、研究のクレジットを奪取しようとして意図的に、あるいは無意識に発する言葉。「先輩、こんな実験やってみたら結構面白いことになるんじゃないかと思ったんですけど?」「あ、それ自分も考えていたんだよね。どう?やってみない?」「‥‥(誰の研究だと思ってやがんでぃ。。)」
  5. しめきり【締め切り】原稿を書き上げて、編集者に送ることが期待されている最終的なタイミング。または、原稿を書き始めるきっかけとなる最初のタイミング。「ねえ、原稿を依頼されているのがあるんだけど、僕は忙しいから、君、書かない?」「締め切りはいつですか?」「一応、昨日までなんだけど。」「‥‥。」
  6. しょく【職】パーマネントの職。またはテニュアトラックの職。ジョブ。 「職が見つからない。」
  7. しょくさがし【職探し】パーマネントの職、またはテニュアトラックの職を探すこと。 「職探し、うまくいってる?」 「いやぁ、なかなか、難しいです。」
  8. ジャーナル【journal】①学術誌のこと。「今の仕事は、どこのジャーナルに出すの?」 ジャーナルクラブ(学術雑誌に掲載された論文をひとつ選んで、ラボのみんなで読む会合)のこと。「今日ってジャーナルの日だっけ?」「今週のジャーナル、俺当たってるんだけど、論文何にしよう?」
  9. ジョブ【job】職に同じ。
  10. しょくをとる【職をとる】パーマネントの職やテニュアトラックの職、すなわちPIの職に就くこと。「彼は職が取れなかったので、研究を辞めた。」

  1. スクープ【scoop】良い実験結果に関する情報を競合する研究者が手に入れて、先にその実験結果に関する論文を出すこと。「プレプリントサーバーに出して、スクープされたりしないの?」
  2. ストーリー【story】論文において、実験データに基づき、論理的に一貫性があるように構成された一連の主張のこと。「ストーリーありきの論文。」「あのラボは、ストーリーに合わないデータを出しても教授が絶対に認めないから、不正が起きたんだよ。」「今やってる実験の結果次第でストーリーが変わってしまうので、結果を知るのが恐い。」「なかなかいいストーリーにならなくて、苦労している。」
  3. すぺーすがない【スペースがない】エディターが論文をリジェクトするときの定番の表現。電子ジャーナル全盛の時代になって、あまり見かけなくなったような気がする。デートに誘ったときに返ってくる言葉、「忙しくて時間がないの。ゴメンね。」と同じようなもの(だと個人的には思う)。
  4. すべてはつながってくる【全ては繋がってくる】①世の中における真理の一つ。“You can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.” (Steve Jobs)  ラボのメインの仕事ではない研究テーマや、メインストーリーから外れる実験を学生に無理強いするときにボスが使う言葉。「全ては繋がって来るんだよ!」「‥」

  1. そうじ【掃除】研究費申請書や論文が書けなくて煮詰まっているボスが突然始める生産的な作業。「先生が急に教授室の中のそうじ始めたよ。」「だいぶ煮詰まってんだね。」

  1. たからくじみたい【宝くじみたい】大学教員公募で一つのポジションに数百人の応募者が殺到して、ほとんど当たる可能性がない状態。実際には、一つの当たりくじが特定の人に既に配布済みである(ことが多い)点で、宝くじとは異なる(自分の個人的な見解)。「最近の若い人(=研究者)は本当に可哀想だと思うよ。大学のポジションが少なすぎて、(ほとんど当たることのない)宝くじみたいな状態になっているから。」
  2. だす【出す】①論文を投稿すること。「(今書いている論文は)どこに出すの?」「もうどこかに出したの?」 ②論文発表すること。 「最近、出してないなあ。」 大学教員公募に応募すること。「君は今、どこか、出してる?」「とりあえず、出し続けるしかないですかねぇ。」
  3. たたかう【戦う】研究者が戦う相手といえば、それはエディターやレビューアーのことである。戦いは、リジェクトのメールを受け取った瞬間から始まる。エディターキックの場合には、査読に回すようエディターにアピールする。良いレビューが得られずにリジェクトされた場合には、レビューアーのコメントに対して反論する。反論のやりかたは、コメントが誤解に基づく場合にはそれを指摘し、また、反駁するために追加実験が必要な場合にはそれを行ない、その実験結果を根拠に反論したりする。「論文どうなった?」「蹴られたよ。」「戦わないんだ?」「もう、(学位の締め切りに間に合わせるためには、査読や論文受理までのプロセスが)速いジャーナルに出すしかないと思うんだよね。」
  4. たんじゅんか【単純化】(ストーリーに合わない実験データを無視することにより)ストーリーをシンプルにして差読者が理解しやすい論文構成にし、トップジャーナルに通る可能性を高める行為。個人的にはどうかと思う。「ちょっと単純化しすぎじゃない?」

  1. つうじょう【通常】①普通のことが行なわれているさま。 〔東大〕異常なことが行なわれているさま。注)Ordinary_Researchersの告発に答えて、東京大学は、エラーバーを手作業でいじって出鱈目な図を作成することが医・生命科学の研究分野においては「通常」という見解を出した。しかしながら、(東大医学部に足を踏み入れたことがない自分が知る限り、)エラーバーを手作業でいじる操作は、論文作成において決して一般的ではない。よって、東大のいう「通常」は、一般的な日本語での「異常」に対応すると考えられる。
  2. つかいすて【使い捨て】①ピペットマンのチップ、エッペン、PCRチューブ、細胞培養用のディッシュやプレート、コーニング、ファルコン、スライドガラス、カバーガラス、保護手袋など、ディスポーザブルな器具や製品のこと。「それは使い捨てだから、プラスチックのほう(のゴミ箱)に捨ててくれる?」
    任期付きポジションで働く研究者・大学教員の大部分のこと。「日本の研究力が急速に落ちてきてるんだって!」「これだけ研究者を使い捨てにしているんだから、当然じゃないの?」[参考] 「成果と連動しない任期制度は人の使い捨てにほかならない。」[参考] 「ポスドクが使い捨てにされる現状は、どう考えても異常。」[参考] 「プロジェクト研究のような期限付き資金で大学に雇用された研究者は、プロジェクトの終了とともに使い捨てられる。」[参考] 「研究を支えている若手研究者が使い捨てにされる一方、その成果を享受する立場の教授だけは研究の世界を末永く生き続ける。」[参考]
    (特に、雇い止めを強行する大学に勤務する)事務職員、研究補助職員(ラボ・テクニシャン)のこと。
    (特に、雇い止めを強行する大学に勤務する)非常勤講師のこと。「日本の大学は非常勤講師を使い捨てるブラック大学」 [参考]

  1. でぃすくりぷてぃぶ【descriptive】自然現象を観察し記載しただけで、その現象を作り出しているメカニズムに迫れていない研究。それ自体は決して悪いことではないが、トップジャーナルに投稿した論文が却下されるときの理由としては、しばしば使われる表現。descriptiveに対する言葉として、mechanisticがある。「今のところまだディスクリプティブだからなあ(メカニスティックなところまで踏み込めていないので、現状だといいジャーナルを狙うのが難しい)。」
  2. でぃーろん【D論】博士論文のこと。「D論、書いてる?」「D論、間に合わない。。」
  3. でき【出来】大学教員公募における出来レースのこと。「ねえ、JREC-INに東工大の准教授の募集が出てたよ!」「どうせ出来だよ。」
  4. できました【出来ました】出来たと思っている学生が返事に使う言葉。実際にはまったく出来ていないことが多い。本人の言葉で判断せず、実験結果や生データをチェックすることが非常に重要である。「出来た?」「出来ました!」
  5. でる【出る】論文が受理されること。学術誌に論文が掲載されること。「学会でしゃべってた仕事、どこに出たの?」「あの研究室は論文出てるよね。」

  1. とうだいいがくぶ【東大医学部】(東大の発表に基づき)以下に述べる5個の性質を持つ実体を「東大医学部」と定義する。
    1)研究室から発表された論文の図に示されるデータと、オリジナルデータ(実験で得られる生データ)とはほとんど一致しないこと。(そのような論文を出すラボが組織内に存在すること)
    2)論文の図作成にあたり、数値データをグラフにする際に、まずマイクロソフトエクセルを用いてグラフを描くこと。
    3)エクセルで描いたグラフは、必ずコピペによりマイクロソフトパワーポイント(パワポ)やアドビイラストレーター(イラレ)など別のアプリケーション上に移し変えること。
    4)パワポやイラレ上に移されたグラフはそのまま論文の図に使用することはせず、かならず、X軸、Y軸、棒グラフ、エラーバーを手作業でなぞる(トレース)ことにより、手書きのグラフとすること。このとき、オリジナルデータとの一致を消失せしめること。
    5)論文の図で示された値がオリジナルデータとどれほど一致していなくても、不正調査委員会、大学執行部、研究資金配分機関、監督省庁からは研究不正と認定されないこと。
  2. とおる【通る】論文が受理されること。「ネイチャー通ったんだ、おめでとう!」
  3. どうてい【同定】ある働きを持つ物質を特定すること。 「アルツハイマー病の原因遺伝子のひとつが同定された。」
  4. とくめいエー【匿名A】画像類似論文88報(他での指摘も含めれば111報)をインターネット上で匿名で指摘した人物のこと。(参考
  5. どこ?【何処?】普段まったく実験しない教授が何を思いついたのか急に実験を始めたときに、試薬の場所がわからないため、近くの研究員に保管場所を尋ねるときに使われる言葉。「ねえ、コンピテントセルって何処だっけ?」
  6. どりょくしょう【努力賞】卒業論文(学士号)や修士号は、ネガティブデータしか出なくても、すなわち、学術誌への論文発表ができなくても、取れるという意味。「修士までは努力賞だけど、博士は違うぞ。」
  7. どう?【どう?】ボスが大学院生に、良い実験結果が出たかどうかを聞くときに使うことば。「最近、どう?」「いやーっ、なかなか難しくて。」

  1. なぜこれがねいちゃー?【何故これがNature?】自分はいい研究をしていると自惚れている、思い込みの激しい研究者が、毎週木曜日に発する、負け惜しみの言葉。ちなみに木曜日は週刊誌Natureの発売(刊行)日である。ネイチャーに掲載される論文は、話題性があったり、ほんとうにいい研究成果であったり、一見凡庸な実験データであっても新しい視点から解釈されていてストーリーのまとめ方やライティングがうまかったり(要するに、見せ方、売り方がうまい)、何かしらアクセプトされるだけの理由がある(と個人的には思っている)。「なぜ、この論文がネイチャーなんだろう?」「うちの論文なんて、レビューにすら回らなかったのに。」「(著者が)エディターとお友達なんじゃないの?」「大御所のところからは出やすくて、いいよね。」
  2. なぜやっていない?【何故、やっていない?】論文をまとめる段階になって、ストーリーを構成する上で必要な実験データが足りないことがわかったときにボスが発する言葉。「こんなの、必要になることがわかりきっていた実験なのに、なぜ、やっていないんだ?」「‥‥(そんな実験やるだけ無駄だから止めろと言ったのはボスなんだけどなぁ。。)」
  3. ななえた【7エタ】ラボで滅菌を目的として多用される、70%エタノールのことらしい。自分は使ったことも、周りで使っているのを聞いたこともないが。「7エタで ラベルが消えた 君の名は?」(研究者川柳「川柳 in the ラボ2017」より)

  1. ネイチャー【Nature】①最高の権威があるとされる学術雑誌の一つ。ちょっと良さげな実験結果を出した学生をおだててるために、お調子者のボスが使う言葉。「おー、すごいねー。ネイチャーいけるよ!」「これ、ネイチャーだよ、ネイチャー!」
  2. ネガコン【negative control】シグナルが出ないことが期待されるように実験条件を設定した、対照実験のこと。「しまった、ネガコン置くの忘れた。」
  3. ねつぞう【捏造】実験していない(実験ノートがない、実験ノートに記述がない)のに、実験データを存在せしめること。「今の大学院は研究するところではない 捏造するところだ こうなるはずだ』『こう応用できるはずだ』『役に立たないことはするな』とボスから言われる場所、それが今の大学 例えば、捏造の追試だとしてもこれがお前の仕事だ。誇りを持てよ。誇りをもてないお前は不純だ』と私は言われた。誇りを持ち私は頑張った。スクリーニングで使えたはずの系がなぜシングルクローンで上手くいかないのか?プライマーがなぜ2つともセンス鎖なのか? 同じ形の図の縦軸がなぜ概念的に全く違うのか? 疑問は沢山あったが頑張った 数年後、大型予算が切り替わり、私は捨てられた 『君はネガティブだ。もう手に負えない。勝手にしろ』 ネガティブなのは前任者のデータだろ。その後、共に苦しんだ同僚が一人自殺した。」(匿名A)
  4. ねばる【粘る】投稿論文に対する差読者からの否定的な評価を覆し、アクセプトを勝取るために、反論を試みたり、忍耐強く何度ものリバイスを繰り返すこと。「リジェクトされてすぐに諦めたけど、もうちょっと粘ってみればよかった。」

  1. ノンスペ【non-specific】非特異的な効果による実験結果。「この一番濃いバンドは、ノンスペじゃないの?」
  2. のーととらなくてだいじょうぶ?【ノート取らなくて大丈夫?】学生に実験の手順を教えているときに、メモを取らないでも全部頭に入るんだ、すごい、この学生はかなり優秀に違いないと思いながら説明し終えたところ、いざ学生にやってもらおうとすると一人では何もできず、説明したことをもう一度全部聞かれて脱力させられることがあるため、メモを取らずに聞こうとする学生に対しては、予め一言声をかけておいたほうがよいと思われるフレーズ。

  1. はかせ【博士】博士号のこと。「このままだと、博士とれそうにない。」
  2. ばかやろう!【馬鹿野郎!】かつて、ボスが学生を励ますために用いられた言葉。現在では、アカデミックハラスメントになる恐れがあるため、この言葉の使用は推奨されない。
  3. パブリケーション【publication】論文業績のこと。「彼は、パブリケーションがいい。」

  1. ぴーあい【PI】Principal Investigator 研究室の主宰者、研究代表者。教授や准教授。テニュアトラック助教がPIになることもある。PI染色と言う場合のPIはpropidium iodideという、核酸を染める色素のこと。 「金沢大でテニュア・トラック助教を募集してたね。」「それって、PI?」
  2. ピーせん【P-1000】ギルソン社のピペットマンのシリーズで1000マイクロリットルまでの容量を扱うためのモデル。または、他社製品の同様のモデル。「P-1000借してもらっていい?」
  3. ひっかかる【引っ掛かる】ランクを下げたジャーナルに論文を投稿した結果、その雑誌に掲載を受理されること。「サイレポに何とか引っ掛かって良かった。」
  4. ひっかける【引っ掛ける】よそのラボに先を越されないうちに、論文を投稿しておくこと。同じジャーナルであれば、よそのグループからの同じ内容の論文が掲載されたとしても、それ以前に投稿していた場合には「同時」とみなしてもらえることが多いことから。「どこか(のジャーナル)にひっかけておかないと。よそに出されたらお終いだからな。」
  5. ひとのことにかまっているばあいではない【人のことにかまっている場合ではない】任期つきの教員が、自分が生き残ることに精一杯で、大学院生の研究の指導を行うだけの精神的な余裕、時間的な余裕がないこと。「もともと、指導していた学生の仕事だったのに、結果が出はじめたとたん、助教の先生がテーマを自分のものにしちゃって、ファーストで論文を書いて出しちゃったらしいよ。」「任期付きだから、人のことにかまっている場合ではないんじゃない?」「あの助教の先生、いつも自分の実験で忙しそうにしていて、ちょっと、学生の面倒見が悪くない?」「任期付きだから、人のことにかまっている場合ではないんじゃない?」
  6. ピーにじゅう【P-20】ギルソン社のピペットマンのシリーズで20マイクロリットルまでの容量を扱うためのモデル。または、他社製品の同様のモデル。P-20,P-200,P-1000の3モデルがラボで最もよく使われ、実験を遂行するための必須アイテムといえる。ピペットマンは高価なため、P-2やP-10が無い場合には、1マイクロリットルであってもP-20で代用することが多い。「P-20ちょっと借りていい?」「P-2が必要なんだけど、ボスが買ってくれない。」「P-10も、あると便利なんだけどなぁ。」
  7. ピーにひゃく【P-200】ギルソン社のピペットマンのシリーズで200マイクロリットルまでの容量を扱うためのモデル。または、他社製品の同様のモデル。「P-200借りるね。」
  8. ピペットマン【Pipetman】ギルソン社のマイクロピペット(溶液をマイクロリットル吸入、排出できる精巧なピペット)の商品名。あまりにも普及しているため、他社製品であっても、マイクロピペットのことはピペットマンと呼ばれることが多い。「ちょっと、ピペットマン借りていい?」「液吸いすぎて、ピペットマンの中に入っちゃった。」「今度からフィルター付きのチップを使ったら?」
  9. ひょうしだけ【表紙だけ】時代錯誤も甚だしい教授が、科研費申請書や博士論文の所内締め切り日に、とりあえず表紙だけ出しておけばいいと考えている場合に、発せられる言葉。「そんなの、表紙だけ出しとけばいいんだよ。」「‥‥」
  10. ひょうじゅんごさ【標準誤差】棒グラフにエラーバーをつけるときに使う短いほうのやつ。「標準偏差だとエラーバーが大きくなるから、標準誤差にしとけよ。」

  1. ファースト【first】共著者による連名の論文において、著者名の順番が一番最初にくる人、すなわち第一著者(first author)のこと。第一著者が論文のほとんどの仕事を行なったとみなされることが多いため(仮にそうでなかったとしても)、複数の研究者がかかわった仕事でファーストオーサーになることは、研究者にとって非常に重要である。「ファースト何報持ってる?」「ファーストで書かなきゃね。」
  2. フェノクロ【phenol-chroloform extraction】フェノール=クロロフォルム抽出。DNAの精製過程における一ステップ。「フェノクロやるの面倒臭い。」
  3. ふせいこういはない【不正行為はない】不正行為がない場合には、不正疑惑に関する調査報告を公表しなくてよいという時代錯誤な規則を逆手にとって、不正行為を揉み消したい大学が使う言葉。「調査結果の概要(医学系研究科関係)(結論)申立のあった5名について不正行為はない」
  4. I am/We are pleased【be pleased】 ”喜んで‥” 論文投稿後にエディターから送られて来るdecisionメールを読み始めた研究者が、一番期待して探し求める言葉。論文が受理されたことを伝えるときに必ず含まれている語句。”I am pleased to inform you that your manuscript has been accepted for publication in XXXX (ジャーナル名). ”  “We are pleased to inform you that your manuscript ‘XXXXXX(論文タイトル)’ has been provisionally accepted for publication in XXXX (ジャーナル名).”
  5. ブルーチップ【blue tip】ピペットマンで1000マイクロリットルまでを測りとるためのチップ。もともと純正のものは青色だったことから。他社製品であろうと、色が何色であろうと、ブルーチップと言えばこのサイズのチップのことを意味する。「ブルーチップの先を切って使えば?」
  6. プロナス【Proceedings of the National Academy of Science】中堅どころの学術誌のひとつ。 ピーエヌエーエス(PNAS)とも呼ばれる。ピーナスと呼ぶ日本人も結構な数いるが、penis(ペニス)の英語の発音と同じに聞こえるため、控えたほうがいいと個人的には思う。
  7. プログレス【progress】プログレスミーティング、研究の進捗状況をボスに報告するために研究室内で定期的に開かれるミーティングのこと。ラボミーティングとも呼ばれる。「今週プログレスが当たってるんだけど、しゃべることない。どうしよう?」

  1. ほうりつがない【法律が無い】セクハラ行為を働いて相手の精神を破壊したり、アカハラにより学生や部下の人生を滅茶苦茶にしたり、データを捏造して論文を出したり、明らかな研究不正を揉み消したり、研究不正が常態化したラボに巨額の研究費を配分し続けるような行為は、いずれも「犯罪(的)」だ(と自分は思う)が、そのような行為を裁く法律が現時点で存在しないこと。「人が亡くなっているのに誰も裁かれないなんておかしいよね。」「法律がないんだよね。」
  2. ポスドク【postdoc】ポストドクトラルフェロー(postdoctoral fellow)のこと。「卒業したあともポスドクで残るの?さっさと(今のラボから)出たほうがいいよ。」 「彼は学生時代の業績が凄くて、ポスドクをやらずにいきなりPIになった。」
  3. ポジコン【positive control】必ずうまくいくはずの対照実験。「何がポジコンになるかなぁ。」
  4. ボス【boss】研究室の主宰者である教授や准教授のこと。「こないだ駅でボスに会っちゃった。」
  5. ボスめし【ボス飯】お昼ごはんや夕食で、学生やボスドクがボスと一緒に食事をすること、またはその食事。「ボス飯になっちゃったよ。」
  6. ボスカッション【boss-cussion】ボスとディスカッションをすること。

  1. まける【負ける】自分がやっているのと同じ研究内容の論文を、競合するよその研究グループに先に出されてしまうこと。「頑張んないと、負けちゃうよ!」
  2. まつ【待つ】論文を投稿したあと、査読されて編集部から返事が来るのを待っていること。「もう投稿したの?」「うん、今(返事を)待っているところ。」

  1. めし、いく【飯、行く】大学院生や研究者がみんなでそろって学食などでお昼ご飯を食べるラボで、お互いを誘うために掛ける言葉。「メシ、行く?」「俺、ゲル流してる最中だから、後にするわ。」「ご飯、行きますか?」「先に行っててくれる?反応かけてから、行くから。」

  1. もってる【持っている】(ある特定のトップジャーナルに)論文を掲載されている業績がある。「彼はネイチャーを持っているのに、なかなか職が取れない。」
  2. もどる【戻る】学外の場所にいる大学院生が、再びラボに行くこと。全ての時間を研究に捧げている大学院生にとって、ラボは「行く」場所ではない。ラボがホームポジションであり、「戻る」と表現される。(研究室の飲み会が終わって)「(家に)帰る?、(それともラボに)戻る?」
  3. ものとり【モノ取り】 特定の働きを持つ未知の遺伝子を同定する仕事。「ゲノムが全部解読されて、ものとりで論文が書ける時代は終わった。」

  1. やられる【やられる】他のグループに同じ内容の論文を先に出されること。「やられちゃったよ。どうしよう?」「ジャーナル下げるしかないんじゃない?」
  2. やりました【やりました】実験等をちゃんとやれたと思っている学生が返事に使う言葉。実際にはまったくやれていないことが多いので、本人の言葉で判断せず、実験結果や生データをチェックすることが非常に重要である。「やった?」「やりました!」

  1. よばれる【呼ばれる】①大学教員に応募した人が、書類選考を通過し、面接試験に呼ばれること。「全然、呼ばれないの?」「何箇所かに呼ばれてはいるんだけど。」 大型の研究費の申請において、書類選考を通過し、面接試験に呼ばれること。「毎年呼ばれるんだけど、なかなか通らない。」

  1. ラスト【last】ラストオーサー(last author)のこと。ラストオーサーの人は通常、研究代表者とみなされる。「職が取れたので、この論文のラストをもらった。」「ラストをくれるなんて、いい教授だね。」
  2. ラボ【lab】大学の研究室(laboratory)のこと。「晩御飯のあと、またラボに戻らなきゃ。」 「えーっ、そうなの?(悲)」
  3. ラボミーティング【lab meeting】大学院生や研究員が進捗状況をボスに報告するためにラボ内で定期的に開かれるミーティングのこと。「来週ラボミーティング当たっているから、気が重い。」

  1. I/We regret 【regret】 ”残念ながら‥” 論文投稿後にエディターから送られて来るdecisionメールの中で、研究者が一番目にしたくない言葉。悪い知らせを伝える文に必ず含まれている語句  “I regret to inform you that we cannot publish your manuscript in XXXX (ジャーナル名).” “I regret that we are unable to publish it in XXXX (ジャーナル名).”  “We regret to say that we will not be able to accept this manuscript for publication in XXXX (ジャーナル名)”
  2. リジェクト【reject】投稿論文の却下。英語で名詞形だとrejectionだが、日本語では名詞としても使われる。「ネイチャーに出したけど、速攻でリジェクトされた。」「PNASにリジェクトを食らった。」
  3. リトラ【re-transformation】もともと精製してあるDNAの量を増やすために、大腸菌に再度トランスフォーメーションすること。「(DNAの)量が少ないから、リトラしてから使ってね。」
  4. リバイス【revise】投稿論文の改訂。英語で名詞形だとrevisionだが、日本語の中では名詞としても使われる。「論文のリバイス中なので忙しい。」「論文が返ってきた。リバイスだった。ラッキー。」
  5. りゅうがくする【留学する】博士課程を終えた人間が、海外でポスドクをすること。「最近は留学する人が減ったね。」「留学しても、帰る場所がないからね。」

  1. るいじ【類似】似ているように見えて異なること。または、似ているように見えて、実際に、同一である(疑いが強い)こと。「匿名Aを名乗る人物が、類似画像を含む論文を多数指摘した。」

  1. ろんぶんがある【論文がある】(ある特定の学術誌に)論文が掲載された業績がある。「論文はあるんだけど、なかなか職が見つからない。」「彼はネイチャーに論文がある。」
  2. ろんぶんがない【論文がない】年齢相応の論文業績がないこと。論文業績が不足していること。「彼は論文がないからなぁ。」
  3. ろんぶんのけつろんはかわらない【論文の結論は変わらない】「論文データ捏造発覚→オネストエラーであったと主張→論文訂正→論文の結論は変わらない→不正はなかった」という、不正逃れのフローを構成する、常套句。実際のところ、論文の結論が変わろうが変わるまいが、研究不正の疑わしさも変わらないことに注意。

 

  1.          【       】①朝研究室に入るときや、夜帰るときに、研究室の誰にも声をかけないで出入りしている状態。無言でラボに入ったりラボから帰る大学院生やポスドクが、結構多い。ただし、これはラボに長くいて馴染んでいる人の場合の話で、新しくラボに入ったばかりであったり、よそのラボにお邪魔する場合には、「お早うございます。」「お先に失礼します。」と、普通に挨拶するのが一般的。もちろん、毎回常に声に出してほがらかに挨拶をする人も存在する。教官や技術補佐職員などのスタッフは、声に出して挨拶する人が多いように思う。また、挨拶の動作が最小化された結果、アイコンタクトやかすかな会釈など、当事者同士のみで意志の疎通が行なわれていることもある。 大学院生がいつのまにか来なくなっても、誰も話題にしない状態。もちろん、望ましいことではない。「●●って最近見ないね。」「大学院辞めて、田舎に帰ったらしいよ。」 アメリカで日本人ポスドクが、アメリカ人らとの会話の中で言葉をはさむタイミングが見つからなくてずっと黙っていると、いつまでも、存在しないものとして扱われる、その状態。”●×△, △■□◇◆.” “△●×△◆◇?” “△●■□◆×△×◇”. “△●!” “△×◇!” “△, ◆×●■□◆◆×△■□◆×□×◇.” “■□◆.”

編注

阪大の広告に関して

  • さんい【3位】3位とは、大阪大学のことである。

「3位じゃダメなんです」という広告には、いろいろ考えさせられた。

まず、ダメーっ!と恐い顔をしている阪大学長さんの顔をみると、子供が学年3番の好成績を取って帰ってきたのに、「なぜ1番が取れないの!」と怒り出す親を思い出した(空想)。ダントツで学年トップの生徒は、勉強が好きでやっているだけで順位なんてそもそも気にもしていない。成績が2位や3位、それ以下の生徒は順位を気にしながら、親から競争心を煽られて勉強していたりする。

この広告はまた、「ピンクの象を想像 しないでください」という、心理系自己啓発本にありがちな教訓を思い起こさせる。自分で自分にこんな「万年3位」という暗示をかけてしまっていいのだろうか。また、学内外の皆の脳裏に焼きついた「3位」という言葉を完全に消去するためには、この先いったいいくら広告料を使えばいいのだろうか?

さらに、阪大といえば、世界一の研究成果を挙げている先生がたくさんいるのに、たった一つのモノサシで測っただけの3位という自虐的なイメージを、莫大な広告料を払って全世界にアピールするのってどうなんだろう?

そもそも、順位というのは結果であって、目的ではない。順位を上げようという意識で努力する人間は、なかなかトップにはなれないと思うし、一時的になったとしても、すぐにその座から転落するのがオチである。だいたい、何処の誰かわからない人たちが勝手につくった大学ランキングを気にするのは、受験産業が作り出した偏差値を信仰して歪んだ感覚になっている受験生と大差ないのではないか。「うちは日本で3番の大学なんです」という大学に行きたいと思う学年成績トップの高校生が、はたして、いるだろうか?自分を測るモノサシなんて、自分でつくればええやんか!

いろいろ書いてきて、あらためてこの広告を見てみたら、キャッチコピーの後にはゴニャゴニャと良いことも書かれていた。しかし、そんなものはほとんど読まれないので(自分は読んでなかったか、読んでもすぐ忘れてた)、メインのフレーズの中に一番伝えたいメッセージが込められていない広告は、効果がないか、今回のように逆効果だと思う。

どうもこの広告は中身は研究者、業界の人に向けられたもののように感じるが、新聞広告を打った以上、一般の人を対象にしたかったのであろう。しかし、一般の人は阪大が3位なんてことを誰も意識していないと思う。大阪の人にとって阪大は1番だし、東京の人からみれば一地方大学でしかない。つまり、阪大関係者以外の誰も、阪大が3番と意識していない。そんなわけで、広告の内容と広告の訴求対象がマッチしていないように思う。

いずれにせよ、催眠心理学が教えるところによれば、人間はイメージした通りのものになるというから、ネガティブなメッセージを伝えたいわけでもない限り、ネガティブなイメージを広告の前面に出すやり方はやめたほうがいいと思う。

以上、広告って難しい!という感想でした。

 

 

参考

  1. クレジット【credit】「科学者の研究への貢献を認めることをクレジット(credit)といいます。」(科学の健全な発展のために -誠実な科学者の心得ー 日本学術振興会 PDF14ページ). Caudri et al., Doing science: how to get credit for your scientific work. Breathe (Sheff). 2015 Jun; 11(2): 153–155. (PubMed)
  2. じぶんもそれをかんがえていた【自分もそれを考えていた】今、ちょうどそれを云おうと思ってたんだ。 何も考えていないボスが、下から出て来た自分が思い付きもしなかった良いアイディアを聞いて、恰も自分も同じことを考えていたかの様に取り繕う際の常套句。@Xenopus007
  3. たたかう【戦う】最後に「受理」という甘美な果実を手にするためには、投稿誌の編集者や査読者という強敵と戦い抜くだけの知力と忍耐力、そして決断力が必要である。(ポール・J・シルヴィア著『できる研究者の論文作成メソッド』 推薦の言葉 三中信宏 より)
  4. でぃすくりぷてぃぶ【descriptive】「この研究は基本的にしっかりした内容であるが、記載的過ぎる難がある。」(The ‘Descriptive’ Curse). Arturo Casadevall. Mechanistic Science. Infect Immun. 2009 Sep; 77(9): 3517–3519.(PubMed)

参考(その他)

  1. あなたの大学でしか通用しない「用語」(マイナビ 2015/04/18)

 

研究生活カテゴリーの記事一覧

ディオバン臨床研究不正事件まとめ

(不完全なまとめ 随時変更あり)

ディオバン事件の概要

今回の問題は、ノ社の依頼で臨床研究をした大学の研究者が、降圧剤としての効能自体ではなく、高血圧以外の疾病、例えば、心疾患などに対しても効能があるとする論文を発表し、それが、医学専門誌等での広告宣伝に使われたことで、他社の同種薬より優れている、との認識を医療関係者に持たせた。ところが、その根拠となった臨床試験のデータが不正に作られていたことが判明し、論文が撤回された、というものです。(高血圧薬ディオバン問題、難航する真相解明 検察、公取委の出方は?Asahi Judiciary 2013/08/26)

 

ノバルティス社の関与

ノバルティスの薬ディオバンの効果を調べる5つの臨床研究で、ノバルティスの社員がデータの統計処理を一手に引き受けていました。

ノバルティスの三谷元社長は、臨床試験や論文執筆への会社としての関与を否定していた。 しかし、3月28日に毎日新聞が、京都府立医大が実施した臨床試験の統計解析に、ノバルティスの元社員(既に退職)が関与していたことをすっぱ抜く。 この元社員は、臨床試験データの統計処理のプロで、大阪市立大学などの非常勤講師の肩書も持っていた。ノバルティス社員の立場を表に出さず、京都府立医大のほか、東京慈恵会医科大、千葉大、滋賀医科大、名古屋大で、ディオバンの論文作業にかかわっていたという。 (製薬業界の資金提供に疑惑の目 医学論文捏造疑惑、「ディオバン事件」の罪深さ 経済界 2013年7月2日)

ノバルティス社の報告書の中に、元社員が市大の非常勤講師の身分を使えば許されると思い込んでいたとか、会社も同様に解釈していたと書かれていました。大きな製薬企業の報告書として、そのような恥ずかしいことが堂々と書かれていること自体に問題の深刻さを感じました。(山口委員 2014年4月17日 第1回 臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会 議事録 厚生労働省

当該元社員は、当時、ある学術機関(大阪市立大学)の非常勤講師でもありました。このため、当該元社員は、臨床研究に関わる活動と弊社の業務とを区別しておけば、臨床研究に深く携わることができると理解していました。つまり、学術機関における立場により、臨床研究への関与が正当化されると考えていたのです。また、当該元社員だけでなく、当時の上司や他の社員、研究者も同様の考えをもっていました。(バルサルタンを用いた5つの医師主導臨床研究におけるノバルティスファーマ株式会社の関与に関する報告書  ノバルティスファーマ株式会社 2013年7月29日 PDF)

ノバルティスの報告書には臨床研究への関与は一個人でなく会社の業務と認めたような記述があります。厚生労働省の報告書では、ノバルティス社が臨床研究に会社として関与したと断定しています。

当該元社員らの上司とノバルティスファーマの経営陣の一部の者は、当該元社員の研究への関与の程度について認識していた、ないしは認識して然るべきであったといえます。一方、経営陣のうちの上層部の者は 当該元社員の日々の業務については把握していなかった と考えられます。(バルサルタンを用いた5つの医師主導臨床研究におけるノバルティスファーマ株式会社の関与に関する報告書  ノバルティスファーマ株式会社 2013年7月29日 PDF 6ページ)
 
これらを総合的に判断すると、当該元社員が今回の事案に深く関与していた実態がノバルティス社にとって最近になって判明したものとは言い難い。また、当該元社員の関与のみならずその上司及び一部の経営陣による認識などの人的状況、並びに当該元社員にかかる必要経費の会社負担及び会社の意図及び期待等を伴った奨学寄附金の提供などの金銭的状況などから、今回の事案は、当該元社員一個人が関与していたというよりは、実態としてはノバルティス社として今回の事案に関与していたと判断すべきものである。(高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた 対応及び再発防止策について (報告書) 平成26年4月11日 高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する 検討委員会 参考資料1 PDF)

 

何が問題なのか

ノバルティスの社員が論文の上で身分を隠して関与し、しかもデータの統計処理の段階で不正に操作していたことを問題視する報道が多いですが、仮に、この社員が論文上で身分を明かしており、統計処理でも不正を働いていなかったとしたら、問題はなかったと言えるのでしょうか?

実は、データ取得時に不適切なデータの取り扱いを行っていた医師が存在した可能性を追及する報道があります。

当時の医局員の雰囲気では「これは慈恵 HEART Study」ではなく「望月 HEART Study」と揶揄する声もあり、皆きちんと報告していた。望月氏の症例だけで一次エンドポイントの症例に80件の差が付いている。バルサルタンが心血管系イベントの発生を抑制したという論文の結果は、ほぼ望月氏の症例だけから出されている。(「JHSから手を引いたわけ」元慈恵医大医師の供述調書 m3.com 2016年1月23日

 

東大の調査報告書の中では、千葉大に在籍時の研究について、「(千葉大在籍時の)不正行為を直接の理由として、当該教員を処分する権限もない」としている。さらに千葉大に対して、「既に退職した研究者に対し、懲戒処分を行うことができないとしても、一定の範囲で措置を取ることができる」と指摘している。一方の千葉大は、処分を現在の在籍者に限定した上で、東大に処分を検討するように伝えてきた経緯がある。 (「小室氏処分の権限なし」、東大と千葉大  m3.com 2015年4月2日)

もしも、臨床研究を率いたリーダーたちが自らデータ操作をしていたのだとしたら、論外です。しかし、仮に研究者に捏造の強い意思がなくても、データの不適切な操作が起きる余地はいくらでもあります。実験では、いくら実験条件を予め決めていても、例数に入れていいのかどうかという微妙なサンプルの例が出てきてしまい、その匙加減が有意差のありなしにつながる恐れがあるからです。研究室がノバルティス社から数千万円~億の資金援助を受けているのに、ノバルティス社の不利になること、すなわち、そのラボの教授の希望に沿わないようなことを、下の人間ができるはずがありませんから、意識して、あるいは、無意識に、実験群や対照群の例数にこれを含めるべきかどうかという段階で強いバイアスがかかってしまうことは容易に想像できます。

バルサルタンの効能に関する臨床研究を行うに際して、もっとも重要な患者データの統計解析を、バルサルタンの販売会社であるノバルティス社の現職社員が身分を明示せずに行うということは、明らかに不公正といわざるをえない。
 この点に関して、Lancet論文には、「データ解析は大阪市立大学統計解析グループが担当したが、本グループは本試験実施グループ及び資金提供者とは独立していた。」「資金提供者は、試験計画、データ回収、データ解析、データ解釈及び報告書作成には関与しなかった。」との記述がある。しかし、これらの記述中の「資金提供者」がノバルティス社を指していることは明白であって、患者データの統計解析がすべてA社員の下で行われた事実、A社員の下で作成した表及び図がそのまま論文中に掲載されている事実に照らし、これらの記述は不実であることが明白である。
  Lancet論文は、この不実記述の一事をもって、すでに科学論文としての価値がないといっても過言ではなく、そのような不実記述をした望月教授の責任は極めて重い。(臨床試験『Jikei Heart Study』に関する 調査委員会(中間)報告書(訂正版)2013年7月30日 2013年8月29日訂正 PDF)

本事件は、利益相反状況の下においてデータ操作という科学的不正が行われたという点に問題の核心がある。すなわち、血圧値の操作があったことが明らかとなっている慈恵医大試験では、まさに臨床研究の客観性・正当性が損なわれているのであって、その点を無視して、開示されていたから利益相反の観点からは問題がない、とするのは全くの詭弁である。(ディオバン事件に関する意見書 薬害オンブズパースン会議 2013年9月11日 PDF)

 

使途が自由な多額のお金を研究室に与えることにより大手製薬会社は自社に有利な研究論文を期待し、資金援助を受けた研究室もまたそれに応えるという”ズブズブの関係”が成立していたことは、ノバルティスの報告書でも認めています。

その後の懇親会ではノバ社社長が「早く論文化して広報活動に使わせてください」とお願いしてきたと言う。2010年12月に松原氏は、白橋氏に「年明けには論文を進めます。来年の奨学寄付金について社長に頼んでください」とメールしていた。(「詰問すると白橋さんは目を見開いて睨んできた」府立医大元教授 ノバ社・府立医大論文改ざん事件、第18回公判 m3.com 2016年3月21日 高橋直純)

これら5つの研究は、ノバルティスファーマの奨学寄附金による支援を受けていました。これらの奨学寄附金は、名目上は使途を特定していませんが、ノバルティスファーマは奨学寄附金が当該研究の支援に用いられることを意図及び期待し、また奨学寄附金を受け取る側も、奨学寄附金が研究の支援を意図していることを認識していました。(バルサルタンを用いた5つの医師主導臨床研究におけるノバルティスファーマ株式会社の関与に関する報告書  ノバルティスファーマ株式会社 2013年7月29日 PDF 6~7ページ)

最近ネットでは、「広告記事」が多くみられますが、今の場合は、「広告論文」みたいなものです。共著者の一人の所属が論文にはっきりとノバルティスと書いてあれば、「広告論文」だということに読者は気付けます。

しかし、所属を表示しなかったことが問題の本質ではありません。大学の研究室が一企業から多額の研究費を援助してもらって、その企業の商品の効能を調べて論文を出すという行為自体が問題です。なぜなら、これは不正行為を容易に生み出す構図になっているからです。今回はたまたま、第三者が気づく極端なデータ操作があったために発覚しただけで、もっと微妙な不正行為だったら、気付かれずに済んだでしょう。

○宮田委員 曽根先生に1つ質問があります。Reporting Biasというのは大問題だと思うのですが、これはCOIを厳密化する、マネージメントを厳密化するだけで防げるものなのですか。海外ではどのような手段が講じられているのでしょうか。
○曽根委員 Reporting Biasというのは、臨床研究のファンディングが企業からであれば人間の場合起こるのだという理解でマネージメントをすべきだと私は理解しています。性善説よりはむしろ性悪説。だから、マネージメントが必要だということです。その場合に企業との利害関係の開示が非常に重要です。開示あるいは公開ですね。最初から企業との金銭の関係について開示、公開しておけば、その研究者は報告あるいは発表する場合に、自律的に中立的な立場で発表するのではないかということが、1つの大きなポイントです。それから、臨床試験であれば、先ほどのゲルシンガー事件、ペンシルバニア大学の場合には、あの遺伝子治療薬が効けば儲かるということをB教授は当然考えていたのです。効けば薬になる。しかし、結果的に臨床試験の途中で見付かったのでペナルティとなったのです。あの遺伝子治療そのものの臨床試験の実施は正しいという理解でいいと思うのです。しかし、COIマネージメントは、疑惑を招かないようにするためには、深刻なCOI状態にあるB教授は臨床研究チームのメンバーになっても単なる分担医師としてであり、責任医師(Principal Investigator)はベンチャー企業と関係のない人にすることがマネージメントです。
○宮田委員 公開だけでは不足ということですね。
○曽根委員 公開だけでは駄目です (第2回高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会 議事録 2013年9月2日 厚生省)

さらに見逃せないのは、臨床研究で不正行為が明らかになった医学部の研究者らの一部は、他の論文でも不正行為が発覚していることです。日頃からデータ捏造論文を出していた人たちが、ディオバンの臨床研究でも不正論文を出したという事実をどう受け止めればいいのでしょうか?

 

医師主導臨床試験

東京慈恵会医科大学 JIKEI HEART Study 責任者::望月正武教授(2007年に、慈恵医大を退職)

京都府立医大学 KYOTO Heart Study

千葉大学 VART (The Valsartan Amlodipine Randomized Trial) 責任者:循環器内科学 小室一成教授

滋賀医科大学 SMART (the Shiga Microalbuminuria Reduction Trial)

名古屋大学 NAGOYA HEART Study

 

問題となった論文リスト

JIKEI HEART STUDY

  1. Lancet 2007;369:1431-9

KYOTO HEART Study

  1. Eur Heart J 2009;30:2461-9

VART

  1. Effects of valsartan and amlodipine on cardiorenal protection in Japanese hypertensive patients: the Valsartan Amlodipine Randomized Trial. Hiroya Narumi, Hiroyuki Takano, Satoshi Shindo, Miwa Fujita, Hiroshi Mizuma, Yoichi Kuwabara & Issei Komuro on behalf of the VART Investigators. Hypertension Research (2011) 34, 62–69 (2011) doi:10.1038/hr.2010.186. Received:07 June 2010 Revised:01 July 2010 Accepted:01 July 2010 Published online:07 October 2010 Corrigendum: 05 January 2011 Corrigendum: 23 May 2013

NAGOYA HEART Study

  1. Comparison Between Valsartan and Amlodipine Regarding Cardiovascular Morbidity and Mortality in Hypertensive Patients With Glucose Intolerance NAGOYA HEART Study. Takashi Muramatsu, Kunihiro Matsushita, Kentaro Yamashita, Takahisa Kondo, Kengo Maeda, Satoshi Shintani, Satoshi Ichimiya, Miyoshi Ohno, Takahito Sone, Nobuo Ikeda, Masato Watarai, Toyoaki Murohara, for the NAGOYA HEART Study Investigators  https://doi.org/10.1161/HYPERTENSIONAHA.111.184226 Hypertension 2012;59:580-586. Originally published January 9, 2012 Correction – July 01, 2015
  2. Rationale and design of the NAGOYA HEART Study: Comparison between valsartan and amlodipine regarding morbidity and mortality in patients with hypertension and glucose intolerance. Kunihiro Matsushita, MD, PhD, Takashi Muramatsu, MD, Takahisa Kondo, MD, PhD, Kengo Maeda, MD, PhD, Satoshi Shintani, MD, PhD, Toyoaki Murohara, MD, PhD, on behalf of the NAGOYA HEART Study Group. Department of Cardiology, Nagoya University Graduate School of Medicine, 65 Tsurumai, Showa-ku, Nagoya 466-8550, Japan. Journal of Cardiology July 2010 Volume 56, Issue 1, Pages 111–117 DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.jjcc.2010.03.004
  3. Effects of Valsartan Versus Amlodipine in Diabetic Hypertensive Patients With or Without Previous Cardiovascular Disease. Kentaro Yamashita, MD, PhD, Takahisa Kondo, MD, PhD, Takashi Muramatsu, MD, PhD, Kunihiro Matsushita, MD, PhD, Takanori Nagahiro, MD, Kengo Maeda, MD, PhD, Satoshi Shintani, MD, PhD, Toyoaki Murohara, MD, PhD. Department of Cardiology, Nagoya University Graduate School of Medicine, Nagoya, Japan. DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.amjcard.2013.07.043 The American Journal of Cardiology December 1, 2013 Volume 112, Issue 11, Pages 1750–1756

SMART

  1. Reduction of Microalbuminuria in Patients With Type 2 Diabetes: The Shiga Microalbuminuria Reduction Trial (SMART). Diabetes Care 2007;30:1581–1583. DOI: 10.2337/dc06-2493. 2014年3月論文撤回

  2. Impact of Renin-Angiotensin System Inhibition on Microalbuminuria in Type 2 Diabetes: A Post Hoc Analysis of the Shiga Microalbuminuria Reduction Trial (SMART). Hypertension Research 2008  論文撤回: 27 March 2014

 

捏造論文の後始末

このうち京都府立医科大学が行ったKYOTO HEART Studyと東京慈恵会医科大学が行ったJikei heart Studyでは両大学の調査で人為的なデータ操作の可能性が指摘され、滋賀医科大学が行ったSMART研究、千葉大学が行ったVART Studyではデータの不一致などから大学側の調査で科学論文として不適切と結論づけられた。このうちVART studyの試験デザイン論文以外は既に撤回されている。この中でNHSは唯一論文撤回まで行われていなかったが、今回撤回を求める勧告が出たことにより、関連研究すべてが撤回に追い込まれる可能性が高まった。(【ディオバン問題】NAGOYA HEART Study追加調査、論文撤回が妥当と判断 QLifePro 医療NEWS 2017年11月24日)

 

裁判のゆくえ

元社員側の主張は、多額の奨学寄付金を目論む医師らがノバ社に有利なように自らデータ改ざんに及んだ、などというものだった。そのため、一連の臨床研究に関与した医師らが次々と証人出廷し、お互いに責任をなすりつけ合う泥仕合の様相を呈した。 (意外な無罪判決で検察に衝撃 ディオバン事件の経過と今後 前田恒彦 元特捜部主任検事 YAHOO!JAPAN NEWS 2017/3/21)

辻川靖夫裁判官は、心血管イベントの水増しなどについて「意図的な改ざんであった」などと不正を認定した。ただ、論文掲載の過程自体は通常の過程と同様であり、「それ自体が購入意欲を喚起・昂進させる手段としての性質を有するとは言い難い」として、旧薬事法(現・医薬品医療機器等法)第66条1項の誇大広告に当たらないと判断した。 (ディオバン臨床研究不正 ノバルティスと白橋被告に無罪判決 ミクス Online 2017/03/17)

製薬大手ノバルティスの高血圧治療薬「ディオバン」に関する論文不正事件で、東京地検は29日、薬事法(現・医薬品医療機器法)違反の罪に問われた同社と元社員の白橋伸雄被告(66)を無罪とした東京地裁判決を不服として控訴した。(ノバルティス論文不正、検察が控訴 法解釈の誤り主張へ 朝日新聞 DIGITAL 2017年3月29日18時37分)

 

再発防止策

薬の効果を調べる臨床研究で、データ監視や情報公開などの実施手続きを定めた臨床研究法が成立した。 製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤「バルサルタン」(商品名ディオバン)の研究データ改ざん事件などで浮き彫りになった製薬会社と医師らとの癒着をただし、臨床研究を適正化する狙いがある。(製薬会社からの資金提供 新法を不正抑止の契機に 毎日新聞 2017年4月16日 THE社説一覧)

 

公式発表・報告書

厚生労働省

  1. 高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた 対応及び再発防止策について (報告書) 平成26年4月11日 高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する 検討委員会 参考資料1 PDF)

ノバルティスファーマ株式会社

  1. バルサルタンを用いた5つの医師主導臨床研究におけるノバルティスファーマ株式会社の関与に関する報告書 (ノバルティスファーマ株式会社 2013年7月29日)(PDF)

東京慈恵会医科大学 Jikei Heart Study

  1. 臨床試験『Jikei Heart Study』に関する調査委員会最終報告書 2014年12月12日 東京慈恵会医科大学 Jikei Heart Study調査委員会 委員長橋本和弘(副学長、学術担当理事 (PDF
  2. 臨床試験『Jikei Heart Study』に関する 調査委員会(中間)報告書(訂正版) 2013年7月30日 2013年8月29日訂正 東京慈恵会医科大学 Jikei Heart Study調査委員会委員長 橋本和弘(医学科長)(PDF)

京都府立医科大学 Kyoto Heart Study

  1. 「Kyoto Heart Study」臨床研究の調査報告について公表資料(7月11日記者発表):「Kyoto Heart Study」臨床研究に係る調査報告書(PDFファイル)

名古屋大学 NAGOYA HEART Study

  1. 「NAGOYA HEART Study」に関する追加調査について 平成29年11月22日 名古屋大学 (PDF

千葉大学 VART study

  1. 臨床研究「VART study」についての調査報告(最終)掲載日:2014/07/15

滋賀医科大学 SMART

  1. 臨床研究「SMART」に関する調査報告 国立大学法人滋賀医科大学 平成25年12月19日 PDF(厚生労働省ウェブサイト上)

 

 

ディオバン事件に関する分析的な論文・論考

  1. 週刊日本医事新報 4808号 2016年06月18日 特別企画:ディオバン事件 問題点と教訓を考える  (1)第一部 由井芳樹氏 インタビュー ARBを用いた臨床試験の問題点 [特別企画:ディオバン事件 問題点と教訓を考える] PDF
  2. 「ミニゼミ」報告から ディオバン臨床研究問題と利益相反(その1) 早川浩司 新しい薬学をめざして43, 23-31(2015).(PDF)
  3. 「バルサルタン事件」の倫理・規制・政策論的分析─ 被験者の保護と研究の公正性の確保に向けて ─ 栗原千絵子1)* 1  齊尾 武郎2)* 2 1)独立行政法人放射線医学総合研究所分子イメージング研究センター 2)フジ虎ノ門健康増進センター Clin Eval 41(4)2014 (PDF)
  4. Valsartan撤回論文を読む:その基本的な欠陥について 齊尾 武郎* フジ虎ノ門健康増進センター Clin Eval 41(4) 2014 (PDF)
  5. バルサルタン臨床研究不正疑惑などについてー重大な研究不正の事例リストの部分的改訂ー 菊地重秋 IL SAGGIATORE, No.41 (2014) pp. 72-93所収(投稿版)(PDF
  6. ディオバン事件に関する意見書 (薬害オンブズパースン会議 2013年9月11日 PDF):”かつて、研究者が企業と経済的関係を持つことは、産学の「癒着」として学問研究の中立・公正を守るために回避すべきものとされていた。しかしそれはいつしか産学「連携」と名を変えて、むしろ積極的に推進すべきものと言われるようになった。”

 

一般向けの分析的な記事など

  1. 2017年7月15日公開シンポジウム「臨床試験・治験は誰のためのものか?~患者の語りから考える」第1部講演:隈本邦彦(江戸川大学)「適正かつ公正な臨床試験とは:ディオバン事件から見えてきたもの」
  2. ノバルティス、1兆円売上の薬で研究不正発覚…巨額寄付得た医学部、劇的効果の論文撤回 (Business Journal 2016.11.19):”この事件について、研究論文が発表された当時から疑義を呈してきたのが、医師で臨床研究適正評価教育機構理事長の桑島巌氏だ。今年9月に『赤い罠 ディオバン臨床研究不正事件』(日本医事新報社)を上梓した桑島氏に、ディオバン事件および日本の臨床研究の現状について聞いた。”
  3. 関係者は責任逃れに必死 「ディオバン裁判」呆れた実態 (集中 Medical Confidential 15Jul2016):”「自発的に虚偽の報告をした」などと自ら改ざんを認める医師の存在に加え、6月初旬に開かれた公判では、検察側が指摘した改ざん以外にも、カルテとデータが異なる例が複数存在していることが明らかにされた。 仮に白橋被告が一部の改ざんを行っていたとしても、被告以外の手による改ざんも混在しているとなれば、あまりのいいかげんさにあきれる他ない。「白橋被告がデータを改ざんしたとしても、それは自社商品を有利に売り込むためと説明がつくし、同情もできる。それに対して、医師側が行った改ざんの理由として考えられるのは人事やカネ。まったく同情できません」(業界誌記者)。”
  4. ノバルティスファーマの不祥事 高額年収・給料のからくり、MBS近藤光史が大暴露 2014/07/27 に公開 こんちわコンちゃんお昼ですのMBSアナウンサー近藤光史さんがスイスの製薬会社ノバルティスの 高血圧治療薬「ディオバン(一般名バルサルタン)の不正操作を詳細に暴露します。
  5. スクープ!逮捕された元社員の「盟友」ウソつきノバルティス社に協力した「疑惑の医師」を直撃! (週刊現代 gendai.ismedia.jp 2014.07.08 プレミアム会員限定記事):”彼の名は松原弘明医師(57歳)。彼こそが、白橋容疑者と二人三脚で、京都府立医科大学で大規模な臨床試験を行っていた責任者である。だが、ディオバンが問題になり始めた昨年2月末、松原医師の姿は京都府立医大病院から忽然と消えた。”
  6. 「理事長が責任逃れ」慈恵会医科大の醜聞 (FACTA ONLINE 2014年1月号 DEEP):”五つの大学で論文の臨床データが不正操作されていた、いわゆる「ディオバン問題」。京都府立医科大の吉川敏一学長や滋賀医大の馬場忠雄学長らが謝罪に追われたのは記憶に新しい。しかし、火中にあって今日に至るまで、トップが責任逃れを決め込んでいる大学がある。”
  7. 高血圧薬ディオバン問題、難航する真相解明 検察、公取委の出方は?郷原信郎弁護士に聞く (法と経済のジャーナル Asahi Judiciary 2013/08/26 朝日新聞社 聞き手・筆者:村山治 ):”今回の問題は、ノ社の依頼で臨床研究をした大学の研究者が、降圧剤としての効能自体ではなく、高血圧以外の疾病、例えば、心疾患などに対しても効能があるとする論文を発表し、それが、医学専門誌等での広告宣伝に使われたことで、他社の同種薬より優れている、との認識を医療関係者に持たせた。ところが、その根拠となった臨床試験のデータが不正に作られていたことが判明し、論文が撤回された、というものです。”
  8. 疑惑の薬 ~論文データ操作の闇~ NHK クローズアップ現代 No.3388 2013年7月31日(水)放送:”まず、ほかの高血圧の薬を飲んだ111人。論文では、脳卒中などの患者が34人も出た、としていました。ところが、カルテを調べると、20人しかいませんでした。14人も増やす操作が行われていました。一方、「ディオバン」を飲んでいた112人。脳卒中などを起こした患者は、論文では14人とされていましたが、カルテを調べると、2人多い、16人でした。調査の結果、薬の効果に大きな違いはなかったのです。”
  9. 製薬業界の資金提供に疑惑の目 医学論文捏造疑惑、「ディオバン事件」の罪深さ (経済界 2013年7月2日 ジャーナリスト/山下剛平):”論文は、京都府立医科大学の松原弘明教授(当時、今年2月末に辞職)が中心となってまとめられたもの。論文撤回当初、ノバルティスの三谷元社長は、臨床試験や論文執筆への会社としての関与を否定していた。 しかし、3月28日に毎日新聞が、京都府立医大が実施した臨床試験の統計解析に、ノバルティスの元社員(既に退職)が関与していたことをすっぱ抜く。 この元社員は、臨床試験データの統計処理のプロで、大阪市立大学などの非常勤講師の肩書も持っていた。ノバルティス社員の立場を表に出さず、京都府立医大のほか、東京慈恵会医科大、千葉大、滋賀医科大、名古屋大で、ディオバンの論文作業にかかわっていたという。”

 

インターネット上のまとめ記事

  1. ノバルティス ディオバン(バルサルタン)臨床研究データ捏造疑惑 (diovan-novartis.blogspot.jp)
  2. ディオバン事件ウィキペディア
  3. 京都府立医科大学 松原弘明の不正 京都府立医科大学循環器内科、関西医科大学第二内科の松原弘明氏の論文での研究不正疑惑について (blog.goo.ne.jp/matsubaralaboratory)

 

報道記事

  1. 【ディオバン問題】NAGOYA HEART Study追加調査、論文撤回が妥当と判断 (QLifePro.com 医療NEWS 2017年11月24日 PM04:30):”名古屋大学公正研究委員会は11月22日、降圧薬・ディオバン(一般名:バルサルタン、ノバルティスファーマ)をめぐり同大学医学部で実施された臨床研究・NAGOYA HEART Study(略称:NHS、研究責任者:同大循環器内科教授・室原豊明氏)ついて追加調査を実施した結果、「Hypertension」誌に掲載された同研究の試験デザイン論文、主論文、サブ解析論文の3本の撤回が適当との判断に至ったと発表した。”
  2. 名古屋大、ディオバン論文に撤回勧告、2014年の「最終報告」から一転 学外からの指摘で再調査、疑惑症例除外で「有意差が出なかった」(m3.com 2017年11月23日 高橋直純):”ノバルティスファーマ社の降圧剤であるARB「ディオバン」を巡る研究不正で、名古屋大学は11月22日、同大における臨床研究「Nagoya Heart Study」(NHS)において、妥当性に欠けるエンドポイントの判定があったなどとして、「論文撤回が適当」と勧告する追加調査を公表した。過去にも調査が行われており、2014年12月の「最終報告」では、「データの恣意的な操作はなかった」として、「イベントの定義やNHSに関わったノバ社員の肩書に関する修正」のみを求めていたが、新たな調査の結果、判断が大きく変わることになった。”
  3. バルサルタン 臨床研究データ改ざん 名大「論文撤回が妥当」 手順不適切 追加調査結果毎日新聞 2017年11月23日 中部朝刊):”製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤「バルサルタン」を巡る臨床研究データ改ざん事件で、名古屋大の学内委員会は22日、同大医学部教授らのチームが行った臨床試験の論文3本を「適切な手順を踏んでおらず、撤回が妥当」と判定した。近く論文掲載誌の編集部に通知する。 “
  4. 製薬会社からの資金提供 新法を不正抑止の契機に (毎日新聞 2017年4月16日 THE社説一覧):”薬の効果を調べる臨床研究で、データ監視や情報公開などの実施手続きを定めた臨床研究法が成立した。 製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤「バルサルタン」(商品名ディオバン)の研究データ改ざん事件などで浮き彫りになった製薬会社と医師らとの癒着をただし、臨床研究を適正化する狙いがある。”
  5. 意外な無罪判決で検察に衝撃 ディオバン事件の経過と今後 (前田恒彦 元特捜部主任検事 YAHOO!JAPAN NEWS 2017/3/21)
  6. データ改ざん論文 ノバルティスと元社員無罪 広告に当たらず (東京新聞 2017年3月17日 朝刊):”<医薬品問題に取り組む民間団体「薬害オンブズパースン会議」事務局長の水口真寿美弁護士の話> 大規模な研究不正があっても、刑事責任を問うには、薬事法(現医薬品医療機器法)の広告規制に引っかけるしかないのが現状で、その枠組みの限界を露呈したと言える。研究不正を罰する法制度が必要だ。”
  7. ディオバン臨床研究不正 ノバルティスと白橋被告に無罪判決 (ミクス Online 2017/03/17 03:52):”辻川靖夫裁判官は、心血管イベントの水増しなどについて「意図的な改ざんであった」などと不正を認定した。ただ、論文掲載の過程自体は通常の過程と同様であり、「それ自体が購入意欲を喚起・昂進させる手段としての性質を有するとは言い難い」として、旧薬事法(現・医薬品医療機器等法)第66条1項の誇大広告に当たらないと判断した。”
  8. バルサルタンデータ改ざん事件 結審、来年3月に判決毎日新聞 2016年12月15日 20時59分 最終更新 12月15日 20時59分):”製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤「バルサルタン」を巡る臨床研究データ改ざん事件で、医薬品医療機器法(旧薬事法)違反(虚偽記述・広告)に問われた元社員、白橋伸雄被告(65)と同社に対する東京地裁(辻川靖夫裁判長)の公判は15日、結審した。”
  9. 「JHSから手を引いたわけ」元慈恵医大医師の供述調書 ノバ社・府立医大論文改ざん事件、第4-6回公判 (高橋直純 m3.com 2016年1月23日 閲覧は要登録)
  10. 降圧剤データ改ざん ノバルティス社も否認 初公判毎日新聞 2015年12月16日 19時31分 最終更新 12月16日 23時23分):”製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)を巡る臨床試験データ改ざん事件で、薬事法(現医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)に問われた元社員、白橋伸雄被告(64)は16日、東京地裁(辻川靖夫裁判長)であった初公判で「改ざんしていない。統計に関わったが、医師の研究を手伝っただけ」と起訴内容を否認し、無罪を主張した。法人としてのノ社も「白橋被告による不正は確認できない」と否認した。”
  11. 「小室氏処分の権限なし」、東大と千葉大 東大が「研究不正なし」の報告書、言い分食い違いも (池田宏之 m3.com 2015年4月2日):”東大の調査報告書の中では、千葉大に在籍時の研究について、「(千葉大在籍時の)不正行為を直接の理由として、当該教員を処分する権限もない」としている。さらに千葉大に対して、「既に退職した研究者に対し、懲戒処分を行うことができないとしても、一定の範囲で措置を取ることができる」と指摘している。一方の千葉大は、処分を現在の在籍者に限定した上で、東大に処分を検討するように伝えてきた経緯がある。”
  12. 千葉大、不可解証言放置で幕引き、VART論文調査 小室氏の責任指摘も、関与は見えないまま (池田宏之 m3.com 2014年7月16日):”降圧剤「ディオバン」(販売元:ノバルティスファーマ社)を巡る論文不正疑惑で、千葉大学は7月15日、同大のディオバンの臨床試験「the Valsartan Amlodipine Randomized Trial(VART study)」に関する「研究活動の不正行為対策委員会」(委員長:松元亮治千葉大理事)による内部調査の最終報告書を公表した(報告書は、同大ホームページに掲載)。”
  13. 降圧剤 データ改ざん前、脳卒中抑制効果なし (中日新聞 中日メディカルサイト 2014年6月14日):”製薬会社ノバルティスファーマの降圧剤ディオバンをめぐる京都府立医大の臨床研究データ改ざん事件で、東京地検特捜部が改ざん前のデータを解析したところ、論文でうたわれていた脳卒中の抑制効果を確認できなかったことが、関係者への取材で分かった。”
  14. 降圧剤不正事件 産学の根深い癒着を断て (琉球新報 2014年6月13日 08:16):”大手製薬会社ノバルティスファーマが販売する降圧剤「ディオバン」をめぐり、東京地検特捜部は、京都府立大の臨床試験で得たデータを有利になるように操作して医学論文に掲載させたとして、薬事法違反(虚偽広告)の疑いで元社員を逮捕した。‥‥ 寄付を受けた研究者がその薬を投与して効果を検証し、データは売れ行きを伸ばすように改ざんされていた。詐欺のような話である。 欧米では、製薬会社が不正なデータを用いて利益を上げれば、数百億円から数千億円単位の賠償金を科す制度があるが、国民の負担が支える医療保険から製薬会社の利益を得ている日本にはない。”
  15. ディオバン問題 JIKEI HEART Study LANCET誌掲載のメイン図表に重大な誤り (ミクス Online 2013/10/21 03:53):”降圧薬・ディオバン(一般名:バルサルタン)をめぐり、東京慈恵会医科大学などで実施された大規模臨床試験「JIKEI HEART Study」で、医学誌「The LANCET」に掲載されたメイン図表のカプランマイヤー(Kaplan-Meier)曲線(図1)に重大な誤りがあることが明らかになった。”
  16. ディオバン問題検討委が初会合 新たに2試験で論文とカルテデータに食い違いも (ミクス Online 2013/08/12 03:53):”降圧薬・ディオバン(一般名:バルサルタン、ノバルティス ファーマ)をめぐる臨床研究でデータの改ざんがあったことを受け、厚労省は「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」(委員長:森嶌昭夫名古屋大学名誉教授)を設置し、8月9日に省内で初会合を開いた。検討委で、新たに大学の内部調査の中間結果が報告された、「VART Study(研究の中心となった施設:千葉大学)」、「SMART Study(滋賀医科大学)」の2試験でも、新たにカルテデータと論文データの食い違いが発見されたことが分かった。”
  17. 「ディオバン」の本当の効能とは?疑惑があっても使い続けられるのか? (HUFFINGTONPOST.JP 2013年07月31日 19時30分 JST | 更新 2013年08月01日 00時23分 JST):”製薬大手ノバルティスの高血圧治療薬ディオバンをめぐる一連の論文不正事件で、京都府立医大に続き、東京慈恵会医大でもデータ操作などの不正が確認された。”
  18. クローズアップ2013:降圧剤 京都府立医大の論文撤回騒動 製薬社員も名連ね (毎日新聞 2013年03月28日 東京朝刊) 京都府立医大のチームによる降圧剤「バルサルタン」の臨床試験論文3本が、掲載した学会誌から「重大な問題がある」との理由で撤回された。血圧を下げる本来の効能は否定されていないが、脳卒中などのリスクを下げる働きもあるとした論文の信頼性は揺らいでいる。論文をPRに利用してきた製薬会社「ノバルティスファーマ」(東京)の社員が、試験に関係する別の論文で統計解析責任者として名を連ねていたことや、ノ社が論文責任者側に1億円余の奨学寄付金を提供していたことが取材で判明した。関係者の説明責任が問われている。【河内敏康、八田浩輔】(blog.goo.ne.jp/matsubaralaboratory)

 

書籍

  1. 赤い罠 ディオバン臨床研究不正事件 桑島 巖 日本医事新報社 2016/9/16
  2. 偽りの薬 バルサルタン臨床試験疑惑を追う 毎日新聞科学環境部 河内 敏康,‎ 八田 浩輔 毎日新聞出版 2014/12/5 「論文不正」―記者の元に届いた1通のメールから全てが始まった。ノバルティスファーマ日本法人社長への直接取材、臨床試験に関与した元社員宅への訪問、たび重なる謝罪会見、厚労省の検討委員会、内部告発者の出現…二人の新聞記者が、地を這うように現場を駆ける!降圧剤「バルサルタン」をめぐる、巨大製薬企業・ノバルティスファーマと大学病院の癒着に迫った900日―!日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞、調査報道の真骨頂!

 

関連する話題

  1. 武田薬品に飛び火する誇大広告疑惑 米医学誌で指摘した京大医師に直撃 (週刊ダイヤモンド  DIAMOND ONLINE 2014.3.2):”国内製薬最大手である武田薬品工業が、高血圧治療に使う自社の降圧剤の効き目を誇大宣伝していた疑惑が浮上している。ノバルティス ファーマの降圧剤「ディオバン」に関する論文の問題を、英医学誌「ランセット」で統計的な矛盾点として示した京都大学病院循環器内科の医師、由井芳樹氏が、今度は武田の降圧剤「ブロプレス」に関する論文に対して、疑問点を指摘したのだ。”

 

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岡大教授自宅待機の無効確認を岡山地裁が棄却

大学側による自宅待機命令の無効確認などを求めて、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の森山芳則元教授(63)と榎本秀一元教授(53)が大学側を訴えていた裁判の判決が2017年8月22日に岡山地裁でありました。地裁は「命令は正当」として2人の請求を退けています。

 

報道など

  1. 本学に関する裁判の結果について (岡山大学 17.08.22):本学元教員2名が、本学が行った自宅待機命令が無効であるとして、岡山地方裁判所に同命令の無効確認と慰謝料(各300万円)を求めていた訴訟の判決が、平成29年8月22日にあり、同裁判所は元教員2名の自宅待機命令の無効確認請求を却下し、慰謝料請求を棄却する旨の判決を行ないました。 この判決に対する学長のコメントは以下のとおりです。 本学の主張の正当性が認められたものと考えています。今後も適正な運用を行っていくよう、努める所存です。
  2. 岡山大元教授2人の請求退ける 自宅待機命令無効訴訟で地裁判決 (山陽新聞 2017年08月22日 20時27分 更新)(会員限定有料記事)

 

参考

  1. 製薬会社と医学部の癒着 現役国立大学教授が実名で現状告発 (NEWSポストセブン 2014.02.10 07:00)
  2. 今、岡山大学で何が起きているのか? 岡山大学の抱える問題点を告発し、大学執行部による懲戒処分の背景を解説します。
  3. twilog 片瀬久美子@kumikokatase 【岡山大の件】
  4. 森山先生を支援する会

 

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データ捏造論文が生まれる瞬間 実況説明

以前も紹介しましたが、2008年12月 日本分子生物学会 若手教育シンポジウム 記録全文『今こそ示そう科学者の良心2008 -みんなで考える科学的不正問題-』(PDF)の中の、夏目徹氏による分析を再び紹介したいと思います。現場を知る研究者にしかわからない、データ捏造の心理メカニズムを理解する一助になります。

不正論文が告発され調査委員会が不正の有無を認定し報告書をまとめる際、単に個々のデータに関して不正の状況を明らかにしてお終い、では誰も納得しません。研究組織を改編したところで、中にいる人間の中身が変わらない限り同じことが起きます。ここに示されたような徹底的な心理分析を行ってその結果を公表しないと、真に効果的な再発防止策は生まれてこないでしょう。

(以下、本文部分は議事録中の夏目氏の発言の一部を転載したもの。見出しは当サイトによる)

 

データ捏造の心理メカニズム

捏造が生まれる瞬間、捏造の温床、それから、まさに捏造が発覚する瞬間というのをですね、まあ幸か不幸か、自慢にも何にもならないんですが、結構な数を見てしまいました。それを見てしまってですね、その後、何が見えてきたかということなんですけども、だいたい私の見るところによると、捏造というのは4つのパターンに分類されます。

 

捏造レベル1

基本的には、まずボトムアップ型というのが非常に基本的ですね。ボトムアップ出来心。あなたが実験をやったとします。「ここに、バンドが出ればなぁ…」、「この濃淡がひっくり返ってくれたらなぁ…」なんて思いながらですね、ついデータをいじってまった。これは全く遊びでやったんですけども、やってるうちに何か妙に熱中してくるんですね。「この濃淡、意外に自然じゃないか」とかですね。悪いことにですね、それをボスに見つかっちゃうんですよ。「お、A君、やったな、とってもいいじゃないか」、「いや、先生これは…」、「よくやったな。君はいつかやってくれると思ってたんだ」、なーんてやってるうちにデータが一人歩きしてですね、言い出せなくなってしまう。で、それがパブリッシュされる。それがたまたま某プレミアムジャーナルで、記者会見までしてしまって・・・。最悪のパターン。これはボトムアップ出来心型という、一番レベルの低い捏造です。

 

捏造レベル2

レベル2というのはですね、ボトムアップ確信犯型というやつですね。レビューアーから「確かめの実験をしなさい。ここの再現性をもう少し見なさい」、あるいは「このデータは数値が少し差が少ない。もう一回確認しなさい」。これはもう何回やったって同じだと。でもしょうがないからやろう。やろうと思ったんですが、それをやるにはですね、抗体が要るんですが、「あっ、抗体が切れてる。ストックが尽きた。しょうがない、ハイブリドーマを起こさなきゃいけないな」。そしたらですね、もう正月休みだったんですね。正月返上で、レビューアーが、「リバイズしなさい」。誰もいない正月の研究室で、ストックを開けてみたらですね、液体窒素が切れてるんですよ。(笑)ハイブリドーマ全滅。どうしようと途方に暮れてる時に除夜の鐘がボ~ンなんて鳴ってね。僕がやったんじゃないですよ。そこで、ですよ。ところが、それで仕方ないと途方に暮れてエクセルに向かってですね、カシャカシャ…。そこに立ち話をしにボスが来たっていうのも知らないのに、やってしまった。というのもあるんですね。これがボトムアップ確信犯型です。どうせバレない。これは非常にたち悪いです。最近ハイテク化したので、こういうのをほぼ生業としているプロの方もいらっしゃって、皆さん「えっ?!」と思うような、ものすごい手口があるんです。それはなかなか見破られません。

 

捏造レベル3

それから、次のレベル3は、もっとたち悪いですね。ボトムアップがあるということは、当然トップダウンもあるんですね。トップダウン恫喝型というのがありますけれども。これはですね、ボスが非常に思い込みの激しい情熱家だったりする場合が多いんですけども、このストーリーの実験でこういうデータが出るまで絶対許さない。データを出さない限りは家にも帰っちゃだめ。全くコントロールと差のないデータを先生に出しても、「心の目で見てみろ」とすごいことを言われて… 泣く泣く捏造に近いことを、なかば強制される。恫喝される。これをトップダウン恫喝型って言うんですね。で、これはレベル3です。

 

捏造レベル4

レベル4はどういうやつだと思いますか? トップダウン洗脳型というやつです。これはですね、これは私、見て本当に驚いたんですけども「捏造は悪ではない」。こんなのやったってやんなくても変わらないようなものはやる必要はない。それによってコストと人件費を大幅に節約できるのだと。「だからバレそうもない捏造は大いにやりなさい」というようなことを激励するような人を、私はたった1人ですが、見たことがあります。(笑)

 

研究不正を防ぐためにPI(研究室主宰者)ができること

実はボトムアップというのも、出来心っていうのもですね、これは、実はボスの責任ですね。PIの責任ですね。そんなうかつにいいデータが出たのを喜んじゃいけないんです。きちんとしたモラルがあれば、こういう捏造というのは未然に防がれるはずです。それからですね、先ほど非常にたち悪いと言いました確信犯型ですね。ボトムアップ確信犯型。もう全然最初からモラル、ある一種の精神異常者に近いと言われてますけど、犯罪が嬉しいんですよね。で、そういう人たちというのも、実はですね、ボスの目から、PIの目からは見えないんですけども、そういうことをやる人間ってやっぱり、何となく雰囲気がおかしいので、周りの人間には何となく伝わってるんです。ということは、ボスがですね、周りの人間によく話を聞いて、データが出た時、ビッグデータが出た時、それをいろんな人間に意見を聞いて検証すれば、これも実は未然に防げるんです。
私の意見としては、鉄則としてはですね、若手の方に「モラルを持って良心を示せ」というPRをもっとしっかりしなきゃいけない。それからですね、先ほども議論があったと思うんですけども、恫喝型の捏造をやむなくしなかった人というのは、ものすごい苦しかったと思うんですね。やっぱり告白する場所がないというのが非常に大変で、ましてや洗脳されなんかしたりすると、悪い宗教に引っかかっちゃったようなもので、抜け出すの大変ですよ。ということは、4つのタイプの捏造も、実際はそのミックスのタイプなんですけども、だいたいの原因、捏造を生む温床というものは、まあ我々自身、研究所のスタッフがつくっている。というふうに私は思ってですね、全然趣旨のない、関係のない話をしました、どうもすみませんでした。

引用元:http://www.mbsj.jp/admins/ethics_and_edu/doc/081209_wakate_sympo_all_final.pdf

 

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東大分生研渡邊教授が論文不正疑惑を説明

NHKニュースなどによれば、東京大学分子細胞生物学研究所の渡邊嘉典教授はOrdinary_researchersによって告発された論文に関して、コメントを発表しました。また、告発で指摘された図表に関して説明した文書、および、雑誌編集者とのやり取りなど論文の訂正に関する対応状況を説明した文書を、関連分野の研究者らに対して開示しました。

 


写真:NHKニュースサイト(既にリンク切れ)の画面のキャプチャー

 

 

Corrections in our papers

コミュニティーの皆様へ                           2017.6.17
このたび東京大学に対する匿名の論文不正の告発があり、私どもの研究室から出された7報の
論文について全てのデータに渡る詳細な調査を受けることになり、研究室を上げて全面的に調
査に協力してきました。8ヶ月に及ぶ調査の結果、5報の論文において、いくつかのデータの表示
において不適切な操作およびミスがあったことが調査委員会により指摘されました。私は今回の
調査結果を真摯に受け止め、これらの論文の責任著者として、論文に正確さに欠ける図表が
載ってしまったことに大きな責任を感じております。指摘を受けたいずれの記載も、当該論文自体
の科学的な結論に影響を与えるものではないと考えておりますが、論文の訂正あるいは取り下
げに関しましては、掲載誌と相談した上で最も適切な処置を速やかにとらせて頂く所存です。私
どもの論文疑惑が関連分野の研究者の皆様をいたずらに惑わすことのないように、委員会より
不適切の指摘を受けた記載についての詳細な情報と、それに対する生データに基づいた修正を、
以下に開示いたします。このたびの私どもの軽率な行いにより、研究者コミュニティーの皆様には
大変なご迷惑をおかけしましたことを心より陳謝いたします。
東京大学分子細胞生物学研究所 染色体動態研究分野 渡邊嘉典

 

追記(20170622):Science誌のニュース欄で、渡邊氏が開示した文書Corrections in our papers全文のリンク(link on a personal website)を含む記事が報道されています。

Watanabe goes through the 23 allegations one-by-one in a document placed in a Dropbox reached by following a link on a personal website. He explains where he believes Ordinary_researchers went wrong or misunderstood the image.
(University of Tokyo scientist hit by anonymous allegations fights back By Dennis Normile Science News Jun. 21, 2017 , 1:00 PM)

指摘された図の生データを開示した例が見られるほか、大半の指摘箇所に関しては調査委員会に対して生データ(”original data”)を呈示したという記述がみられます。

  1. We showed unassembled original data, validating the conclusion.
  2. We showed original data. Figures were correctly assembled (Potential aberration in figures pointed by this accuser can be explained by the limited ability of powerpoint operation).
  3. Original data show identical error bars. But another issue arose through the investigation (see Corrections in our papers).
  4. We showed the original image, which excluded the possibility of a copy and paste. However, a faint band in the IP IgG lane was partly erased by flaFening (see Corrections in our papers).
  5. We showed original data. No image manipulation occurred.
  6. We showed original data. All figures were correctly assembled. In graph e, the fold enrichment to the arm region (zfs) is shown (as described in the legend). Therefore, a set of zfs scores is always ‘1’.
  7. We showed original data. Graphs were correctly assembled.
  8. We showed original data. Graphs were correctly assembled.
  9. We showed the original pictures. All pictures were similarly assembled from two parts in the same plate, so they are valid. Erroneously introduced different adjustment does not influence the conclusion.
  10. The original data indicate that there are minus scores in the ChIP assays. The indicated error bars derive from scores near zero or minus. Graphs were correctly assembled.
  11. We explain that the plates contain phloxin B so that the dead cells become darker. No image manipulation occurred.
  12. We showed original graph, which we traced to produce the published version.
  13. We showed original data in all these panels. No image manipulation occurred. The accentuated contrast, however, erased faint bands in the panels of Tubulin (Fig 3e), CAP-H (Fig 3g), Cdc13 (Fig 5a) and Ac-n (Fig S16) (see Corrections in our paper).
  14. We showed original data. No image manipulation occurred.
  15. These are artifacts arising from the PDF conversion. We showed the original data in Powerpoint file. No image aberration occurred.
  16. We showed original data of all panels, including the right upper panel. Although the leZ two panels derive from the same sample, these were concatenated to assemble the published figure (see Corrections in our papers).
  17. We showed original data in the Excel file. These errors were caused by a mis-calculation of the Excel file (see Corrections in our papers).
  18. We showed original data. No image manipulation occurred.
    (出典:Accusation(E).pdf 太字強調は当サイトによる)

 

報道

  1.  University of Tokyo scientist hit by anonymous allegations fights back (By Dennis Normile Science News Jun. 21, 2017 , 1:00 PM)
  2. 東大教授、実験データ“改ざん”研究不正か (日テレNEWS24 2017年6月21日 02:46):”不正が認定されるのは、東大・分子細胞生物学研究所に所属する50歳代の男性教授。教授は、2003年から2016年にかけてアメリカの科学誌「サイエンス」などに掲載された染色体などに関する複数の論文で、実際には行っていない実験のデータをねつ造したグラフを掲載したり、顕微鏡画像の色や明るさを加工して、実験結果に差があるかのように改ざんしたという。” (注:下線太字の強調は当サイトによる)
  3. 東大論文「不正の疑い」 調査委が報告書案 (日本経済新聞 2017/6/20 20:37):”東大では、渡辺教授を含めた生命科学系や医学系の教授6人を責任著者とする計22本の論文に不正の疑いがあるとの告発があり、外部の有識者らで構成する調査委が調べていた。〔共同〕”
  4. 東大教授、科学論文で不正…顕微鏡画像を加工か (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2017年06月20日 07時14分):”東京大学は、同大分子細胞生物学研究所(分生研)に所属する50歳代の男性教授が発表した複数の科学論文について、画像の改ざんなどが行われていたとして、研究不正と認定する方針を固めた。… 学内で調査した結果、教授が中心となって2015年までに発表した染色体にかかわる論文で、顕微鏡画像の色や明るさを加工し、実験結果に差があるように見せかける改ざんなどが少なくとも3本の論文で判明したという。調査に対し、教授は「分かりやすくした」と釈明しているという。”
  5. 東大教授が論文の訂正など検討 大学は不正ないか調査 (NHK NEWS WEB 6月19日 17時01分):”東京大学の教授が、ネイチャーなどの科学雑誌で発表した分子生物学の論文5本について、「正確さに欠ける図表が載ってしまった」として、論文の訂正や取り下げについて検討を始めたことがわかりました。”

 

参考

 

更新 20170625 東大分生研の捏造ラボに関するツイートを参考に追加 20170622 サイエンス誌の記事を追加、投稿記事タイトルにも追加 20170620 読売新聞等の報道を追加

 

 

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東大医学部の疑惑論文等を画像ソフトで確認

対立する主張

ネットには真偽不明な情報が氾濫しています。正反対の主張を目にしたとき、どちらを信じればよいのでしょうか?

Ordinary_researchersの主張

東京大学は、この夏に2回にわたって届いた研究不正の告発書を受けて、規程に従って予備調査を行い、正式に調査に入ると9月20日に発表した。医学部を中心とした6つの研究室から出ている合計22本の論文で、不自然な点があるという。6つの研究室の主宰者は、いずれもその分野では名前の知れた大物教授ばかりだ。国から受けている研究費の額も大きい。 (ヤフーニュース 2016/10/15)

告発された東大教授らの一人の反論

“This is a totally groundless and false accusation by a faceless complainant,” Kadowaki told ScienceInsider in an email. “We have absolute confidence in all of our data,” he wrote. (University of Tokyo to investigate data manipulation charges against six prominent research groups.  Science News ScienceInsider By Dennis Normile Sep. 20, 2016)

 

実験データに自信があるというのなら、さっさと実験ノートを見せて実験が行われていた事実を示し、生データを全て開示して、エラーバーをいじった棒グラフに関してp値を計算して有意差が確かにあることをみせてくれればよい

 

Ordinary_researchersの告発文書 Documents of accusation by Ordinary_researchers

Ordinary_researchersは告発文書には、論文の図のおかしさが言葉と図で説明されています。

  1. http://ow.ly/d/5cvq (12ページPDF はじめに~ 2016年8月14日)(PDF コピー
  2. 告発文1 5cvq.pdf )
  3.   http://ow.ly/d/5cvr (5ページPDF 研究資金リスト 2016年8月14日)(PDF コピー 告発文2 5cvr.pdf
  4. http://toudai20168.up.seesaa.net/image/E5918AE799BAE69687EFBC93.pdf(52ページPDF  不自然なデータの指摘 2016年8月14日) (PDF コピー 告発文3.pdf  )
  5. 追加の告発文 http://toudai20168.up.seesaa.net/image/E69DB1E5A4A7E5918AE799BAE7ACACE4BA8CE5BCBE20-20E382B3E38394E383BC.pdf (2016年8月29日)(PDFコピー

 

報道でも、不正が疑われる図の解析手法について、説明があります。

ベクトルデータの図は、Adobe Illustratorなどの作図ソフトで開くと、誌面上では1枚に見えるグラフが、X軸、数字、棒グラフのデータの棒の枠、塗りつぶしにするための黒い長方形、エラーバーを構成する横棒と縦棒など、いくつもの構成要素(オブジェクト)から成り立っていることがわかる。そして、個々のオブジェクトをずらしたり、消したりできるのだ。告発の対象になった論文で、棒グラフのデータ本体の棒を横にずらしたり削除したりすると、エラーバーがデータの下に埋め込まれていた例が多数あった。また、本来であれば1枚の図であるはずなのに複数のパーツからできていたり、あるパーツを90度回転させると、別の図でのパーツに酷似していたりする。(論文不正の告発を受けた東京大学(2) その解析方法の衝撃 ヤフーニュース 2016/10/15

 

DIY: Exposing hidden error bars in Nature papers

ところで、一次情報である論文にアクセスできる場合には、真偽のほどを自分で判断することが可能です。しかし、告発された論文の図をウェブサイトで確認してみると、JPEG形式になっており、自分も最初そうでしたしたが、どうしてあのような解析ができたのかがわからない人もいるようです(897)。そこで、告発文書で指摘されている疑惑のごく一部ではありますが、「棒グラフの背後に隠されたエラーバー」、および「使いまわされた同一のエラーバー」を実際に確認してみたいと思います。高価なアドビイラストレーターがなくても、フリーウェアで事足ります。どちらの主張が本当にgroundless(事実無根)なのか、是非ご自分の目で確かめてみてください。

 See which claim is groundless and make your own judgement

用意するもの What you need

  1. インターネットがつながるパソコン A PC with an Internet connection
  2. ベクター形式の図を取り扱える画像編集ソフト。Inkscape(インクスケープ)(無料)やアドビイラストレーター(有料)など。Vector graphics software
  3. 疑惑論文PDFへのアクセス権 Access to the paper PDF of your interest

 

手順 Step-by-step instructions to reveal hand-written error bars

ベクター形式の図を含む論文PDFの入手 Get the full paper in PDF format, not each JPEG image

不正が疑われている論文のPDFを入手します。図単体のJPEGファイルは、ベクター形式でないため解析できません。必ず論文のPDFを入手してください。もちろんPDF中の画像がベクター形式でないような論文の場合、この解析は適用できません。

一つめの例として、告発文書で指摘された東大医学部の論文の一つ、Adiponectin and AdipoR1 regulate PGC-1α and mitochondria by Ca2+ and AMPK/SIRT1をみてみます。まずは、PDFをダウンロードします。


Fig. 1, On the website, the bar graphs seem to show significant differences. 例として用いた論文の図。解析のためには、このような図単体の画像ファイルではなく、論文全体のPDFに含まれる図を対象とする必要がある。

 

画像編集ソフトで論文PDFを開く  Open the PDF in Inkscape and “un-group” the objects in the PDF

この論文PDFをInkscapeで開きます。これで、図の個々のオブジェクトを編集できる状態になります。ただし、論文によっては図を構成するオブジェクトがグループ化されている場合もあるので、その場合は個々のオブジェクトがばらばらになるまで「グループを解除」する必要があります。

それではいよいよ、バーグラフを構成するオブジェクトのうち、白色や黒色に塗られた部分に相当するオブジェクトを脇にどけてみます。今回の例では、棒グラフの枠の部分のオブジェクトと、内部のオブジェクトが重なって配置されていましたが、クリックを繰り返すことにより選択するオブジェクトを変更できました。

Fig.1a, bの白塗り、あるいは黒塗りのオブジェクトを上の方に全部ずらしてみると、告発文書の説明通り、エラーバーが棒グラフの中に深く埋もれている様子が露わになりました(下図)。


Fig. 1, If you open the paper PDF in Inkscape or Adobe Illustrator, and put aside some objects on the bar graphs, the hidden parts of the error bars come into sight. You can find similar inappropriate data presentation all over this paper, as Ordinary_researchers pointed out in the documents.

この論文のほかの棒グラフも同様に処理してみると、驚いたことに全てのグラフでこのようになっています。

 

2つめの例として、東大医学部の別のラボから出たこの論文HIF-1α-PDK1 axis-induced active glycolysis plays an essential role in macrophage migratory capacityを見てみましょう。

 

告発文書によれば、この論文の図4のバーグラフでは、なんとエラーバーの長さが複数のグラフに対して2種類しかないそうです。先ほどと同様に論文のPDFファイルInkscapeで開きます。不自然な箇所の指摘は多数ありますが、とりあえず、Figure 4a i のグラフに絞ってみてみます。ここには9個の棒グラフおよびエラーバーがありますが、エラーバー以外を全て取り去り、「グループ解除」「グループ化」「整列」「配置」などを使って、エラーバーの高さがわかりやすいように整列させてみました(下図)。告発文書の指摘通り、9つのエラーバー(標準偏差)なのに、大きさが2種類しかありません。


Fig.4a i, When aligned, it becomes obvious that some error bars are identical to each other. You can find similar inappropriate data presentation in other graphs in this paper, as pointed out by Ordinary_researchers in the documents. Semba et al., 2016 Nat Commun Fig.4a iで用いられていた9つのエラーバーを整列させたところ、高さが2種類しかない

 

 

3つめの例として、東京大学分子細胞生物学研究所(分生研)からの論文Condensin association with histone H2A shapes mitotic chromosomes Fig.3dをみてみます。棒グラフの黒い部分を脇にどけてみると、おかしなエラーバーが現れます。図の説明によれば、Error bars represent s.e.m. (n=15 cells). ***,P<0.001. エラーバーはSEMだそうですが、やはり中に押し込んで短く見せかけています。

それだけでなく、上図3つのエラーバーを拡大して整列させてみると、大きさが同一で、しかもなぜかほんのわずか傾いていることがわかります。告発文書が指摘している通りでした。


(Fig.3d, When aligned, it becomes obvious that the error bars in Fig.3d are identical. For more detailed information, see the Ordinary_researchers’ documents.)

 

考察 Some thoughts

1番めの例のように、片側表示しているエラーバーが棒グラフの内側に入り込むなどということは、通常の論文図作成過程ではあり得ません。念のため、他の不正の疑いがない論文PDF中の棒グラフも試しましたが、このようなおかしなことは生じませんでした。この論文にはここで示した以外にも多数の棒グラフが含まれますが、ほぼ全てでエラーバーの陥没が認められました。エラーバーを短くして有意差があったかのように見せかける意図が伺われます。論文の主張を裏付けるはずの多数の実験データが、実はどれも”有意差無し”だったのだとしたら、実に衝撃的です。操作された図の多さからすると、「この実験で有意差が出てくれないと困る!」という切羽詰った動機によるものではなく、このような”作業”が常態化していることが伺われます。

2番目や3番目の例のように実験群のエラーバーがこんなふうに同一になることはあり得ません。標準偏差や標準誤差の計算すら端折って、コピペで同じエラーバーを使いまわしていることから、このような”作業”が常態化していることが伺われます。統計ソフトを使うと数値データからグラフを描くのはソフトが自動的にやってくれますので、エラーバーの位置や長さに関して手作業が介入する余地はありません。標準偏差や標準誤差の計算をはしょったどころか、計算に使うべき数値データがそもそも存在していなかった可能性すら考えられます。

 

結論 Concluding remarks

実験データを統計処理してグラフを描いた経験がある人であれば、これぞまさしくデータ捏造の動かぬ証拠と考えるのが普通でしょう。これがデータ捏造ではないというのであれば、東京大学の調査委員会や論文著者は、実験ノートを開示して実験が本当に行なわれていたことを示し、実験ノートに記載され図作成に用いられた全ての数値から有意差があることを計算してみせ、何の意図でどのような操作をすればこんなデタラメな図が作成できるのかを、研究者コミュニティおよび国民に対して早急に説明する必要があります。仮に、そういった情報の開示なしに「不正はありませんでした」と言われたところで、そんな根拠のない主張を受け入れる人はあまりいないでしょう。

 

(20170807追記) m3.comに調査書本文の一部と思われる部分が記載されていたので、転載しコメントを追加します。

【医学系研究科5教授の論文の調査結果の概要】
 調査においては、実験ノート、オリジナルデータの確認を行い、これらの全部または一部失われた場合は、関連する実験ノート、その他のデータ・記録の存在および内容を確認した。その結果、全ての論文について、実験は実施されたものと認められ、本件においては捏造はないと判断した。
 他方で、雑誌に掲載された論文の図および再現データ(出版社のWebサイト上の論文の図等から得られる「ベクトルデータ」から再現された数値データ)を確認したところ、ほとんどの図で、申立者の指摘するような、再現データとオリジナルデータは一致していないという事実が確認された。
 そのため、さらにその原因を調査し、不一致が改ざんによるものか否かの確認、検討を行ったが、いずれも改ざんによって生じたものとは認められなかった。(引用元:東大・分生研教授ら、5報の論文で不正行為 調査結果を公表、医学系研究科5教授は不正なし m3.com 2017年8月2日)

実に興味深いことに、東大の不正調査委員会は、「ほとんどの図で、申立者の指摘するような、再現データとオリジナルデータは一致していない」とOrdinary_researchersの指摘を認めました。生データが図に一致しない論文を出すのは、研究不正の定義そのものですから、事実上研究不正を認めた文言と受け取れます(少なくとも自分には)。

改ざん:データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。文科省

それにもかかわらず、東京大学は何の根拠も示さずに、図とオリジナルデータの不一致は改ざんではないと主張しています。改竄ではないと判断するならその根拠を説明すべきです。改竄ではないので調査内容は公開しないという主張は、論理が破綻しています。

 

 

このような不適切なデータを含む論文が、2016年8月14日付けの告発以来長期にわたって著者からの何の釈明もなく、訂正も撤回もされないまま現在に至るまで放置されています。何も知らない世界中の研究者らは今日もこの論文を読み、引用し続けていることが、論文のArticle metricsから伺えます。

 

追記(6月20日)

T大糖○△内科の論文著者の一人が「手作業でエクセル変換したらズレただけ」と釈明したというツイートを見かけました。仮にこの発言が真実だとすれば、この著者はズレる前のエラーバーの長さとズレた後のエラーバーの長さを見ていたということになります。研究者であれば実験結果のエラーバーの大きさは非常に気になることなので、これほど長さが変われば、気付かないはずがありません。仮に、気付かなかったという言い訳が出たとしても、質や量を考えればこれは「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる捏造」(文科省ガイドラインPDF)に該当すると思います。また、エラーバーがズレたのかどうかは別にしても、実験ノートに記録されているデータに対して正しい検定方法を適用した場合に有意差があること、さらに、このエラーバーの長さも再現されることを示す責任が論文著者にはあります。また、そのような調査を行ったかどうかを国民に報告する責任が、東京大学の調査委員会にはあります。

関連記事 ⇒ 医学系論文に関する報告がまだ済んでいない東大

 

参考

  1. 22報論文に関する調査報告書
  2. 東京大学病院糖尿病・代謝内科(科長 門脇 孝 教授)
  3. 東京大学医学部附属病院 循環器内科(小室 一成 教授)
  4. 東京大学分子細胞生物学研究所 染色体動態研究分野 渡邊 嘉典 研究室

 

論文不正疑惑のラボで起きていたもっと恐ろしい出来事

研究をやってきた人間としては、トップジャーナルの論文の図の棒グラフやエラーバーが全部デタラメという様を見せつけられるのは、一般の人が人殺しの現場を見せられるくらいのおぞましさじゃないかと思います。ところが、上で紹介した臨床系のラボが関わった東大病院の手術でトンデモないことが起きていたという報道がありました。手術で患者さんが亡くなったのですが、その経過を読んだら、基礎研究の論文におけるデータ捏造のおぞましさが吹っ飛ぶくらいの衝撃を受けました。

  1. シリーズ「検証東大病院 封印した死」(TANSA (旧称:ワセダクロニクル))

 

更新:20180221 誤字訂正 20170814 記事タイトルを短く「東大医・分生研論文疑惑を画像ソフトで確認」と変更していたのですが、旧タイトル「不正疑惑渦中の東大医学部論文および東大分生研論文の告発内容を画像編集フリーソフトで確認する方法」に戻しました。ヤフー解説記事に旧タイトルでリンクしていただいたため。 20170807 m3.comの資料を転載 20170702 簡潔な英語の注釈を付記 20170621 解析例を2つ追加

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Ordinary_researchersの告発2通め11論文

東大の論文不正を告発する文書が2016年8月に2回に分けて東大などの関係各所へ送付されました。1つめの告発文書の論文は以前紹介しましたので(記事)、2016年8月29日の2つめの告発文書に記載された論文を紹介します。

小室一成氏の研究室より出された論文

Nature Communications 7, Article number: 11635 (2016) doi:10.1038/ncomms11635 Published online:18 May 2016. HIF-1α-PDK1 axis-induced active glycolysis plays an essential role in macrophage migratory capacity. Hiroaki Semba, Norihiko Takeda, Takayuki Isagawa, Yuki Sugiura, Kurara Honda, Masaki Wake, Hidenobu Miyazawa, Yoshifumi Yamaguchi, Masayuki Miura, Dana M. R. Jenkins, Hyunsung Choi, Jung-whan Kim, Masataka Asagiri, Andrew S. Cowburn, Hajime Abe, Katsura Soma, Katsuhiro Koyama, Manami Katoh, Keimon Sayama, Nobuhito Goda, Randall S. Johnson, Ichiro Manabe, Ryozo Nagai & Issei Komuro 問題点:エラーバーの長さが2種類のみの図

International Heart Journal Vol. 57 (2016) No. 2 p. 198-203. http://doi.org/10.1536/ihj.15-332. Shorter Heart Failure Duration Is a Predictor of Left Ventricular Reverse Remodeling During Adaptive Servo-Ventilator Treatment in Patients With Advanced Heart Failure.Teruhiko Imamura1), Koichiro Kinugawa1), Daisuke Nitta1), Issei Komuro2) 1) Department of Therapeutic Strategy for Heart Failure, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo 2) Department of Cardiovascular Medicine, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo. Released on J-STAGE 20160322   [Advance Publication] Released 20160311. 問題点:奇妙なまでに一致する平均値とSD PubPeer.comでの議論https://pubpeer.com/publications/26973264

Scientific Reports 5, Article number: 14453 (2015) doi:10.1038/srep14453. Published online: 25 September 2015. Angiotensin II receptor blockade promotes repair of skeletal muscle through down-regulation of aging-promoting C1q expression. Chizuru Yabumoto, Hiroshi Akazawa, Rie Yamamoto, Masamichi Yano, Yoko Kudo-Sakamoto, Tomokazu Sumida, Takehiro Kamo, Hiroki Yagi, Yu Shimizu, Akiko Saga-Kamo, Atsuhiko T. Naito, Toru Oka, Jong-Kook Lee, Jun-ichi Suzuki, Yasushi Sakata, Etsuko Uejima & Issei Komuro 問題点:Fig.7 完全に一致するエラーバーの長さ PubPeer.comでの議論https://pubpeer.com/publications/26571361

Scientific Reports 6, Article number: 25009 (2016) doi:10.1038/srep25009. Published online:05 May 2016. Activation of endothelial β-catenin signaling induces heart failure. Akito Nakagawa, Atsuhiko T. Naito, Tomokazu Sumida, Seitaro Nomura, Masato Shibamoto, Tomoaki Higo, Katsuki Okada, Taku Sakai, Akihito Hashimoto, Yuki Kuramoto, Toru Oka, Jong-Kook Lee, Mutsuo Harada, Kazutaka Ueda, Ichiro Shiojima, Florian P. Limbourg, Ralf H. Adams, Tetsuo Noda, Yasushi Sakata, Hiroshi Akazawa & Issei Komuro 問題点:繰り返される数字;均一化された背景

 

渡邊嘉典氏の研究室より出された論文

Cell  123(5):803–817; 2 December 2005.DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.cell.2005.09.013 The Kinetochore Protein Moa1 Enables Cohesion-Mediated Monopolar Attachment at Meiosis I. Shihori Yokobayashi ,Yoshinori Watanabe 問題点:異なる実験なのに非常に良く似た画像;不自然に揃うネガティブデータと縦軸が違うのに揃う高さ PubPeer.comでの著者らの回答:https://pubpeer.com/publications/16325576

Nature 455, 251-255 (11 September 2008) | doi:10.1038/nature07217; Received 8 April 2008; Accepted 27 June 2008; Published online 17 August 2008. Heterochromatin links to centromeric protection by recruiting shugoshin. Yuya Yamagishi, Takeshi Sakuno, Mari Shimura & Yoshinori Watanabe 問題点:異なるSDを持つ同一データ;背景が均一なウェスタンブロット画像;背景が均一化された蛍光顕微鏡画像;グラフのデータは実在するのか?;切り貼りされ、縁の奇妙な酵母培養ディッシュ

Science 08 Oct 2010:Vol. 330, Issue 6001, pp. 239-243 DOI: 10.1126/science.1194498. Two Histone Marks Establish the Inner Centromere and Chromosome Bi-Orientation. Yuya Yamagishi, Takashi Honda, Yuji Tanno, Yoshinori Watanabe 問題点:数学的にあり得ないSD

Nature Cell Biology 12, 500 – 506 (2010)  Published online: 11 April 2010 | doi:10.1038/ncb2052 Shugoshin–PP2A counteracts casein-kinase-1-dependent cleavage of Rec8 by separase. Tadashi Ishiguro, Koichi Tanaka, Takeshi Sakuno & Yoshinori Watanabe 問題点:部分的に諧調を変更した培養ディッシュ;粗雑なグラフ PubPeer.comでの著者らの回答https://pubpeer.com/publications/20383139

Nature 2011 Jun 1;474(7352):477-83. doi: 10.1038/nature10179. Condensin association with histone H2A shapes mitotic chromosomes. Kenji Tada,Hiroaki Susumu,Takeshi Sakuno & Yoshinori Watanabe 問題点:エラーバーが調節された可能性;ノイズが消失した背景;その他グラフについて

EMBO Reports 2011 Oct 28;12(11):1189-95. doi: 10.1038/embor.2011.188. Acetylation regulates monopolar attachment at multiple levels during meiosis I in fission yeast. Ayano Kagami, Takeshi Sakuno, Yuya Yamagishi, Tadashi Ishiguro, Tatsuya Tsukahara, Katsuhiko Shirahige, Koichi Tanaka, Yoshinori Watanabe 問題点:背景が均一なウェスタン画像

Science 2015 Sep 11;349(6253):1237-40. doi: 10.1126/science.aaa2655. The inner centromere-shugoshin network prevents chromosomal instability. Yuji Tanno,Hiroaki Susumu,Miyuki Kawamura,Haruhiko Sugimura,Takashi Honda, Yoshinori Watanabe 問題点:SDも含めて高さの同じデータ;データの10%に揃うSEM;背景が白紙の画像

 

Ordinary_researchersは、告発文書を東京大学、文部科学省、厚生労働省、JST, JSPS, AMED, 内閣府、掲載誌の編集部、マスコミ各社に送付したそうですが、私の知る限り、一般には公開しませんでした。誰がアップロードしたものかはわかりませんが、2つめの告発文書PDFへのリンクが2chで紹介されているのをたまたま見かけたので、ここに転載します。

注意:この文書で指摘された問題の一部に関しては、PubPeer.com上で議論されており、著者らが回答しているものもあります。そちらも合わせてご覧ください。

東京大学医学部および東京大学分子生物学研究所(以下,分生研)の研究者らが発表した論文について,8月15日に投函した告発に続き,ここに新たに追加の告発を行う.… 2016年8月29日 Ordinary_researchers (http://toudai20168.up.seesaa.net/image/E69DB1E5A4A7E5918AE799BAE7ACACE4BA8CE5BCBE20-20E382B3E38394E383BC.pdf

 

 

ベクター画像とは?

ベクトルデータの図は、Adobe Illustratorなどの作図ソフトで開くと、誌面上では1枚に見えるグラフが、X軸、数字、棒グラフのデータの棒の枠、塗りつぶしにするための黒い長方形、エラーバーを構成する横棒と縦棒など、いくつもの構成要素(オブジェクト)から成り立っていることがわかる。そして、個々のオブジェクトをずらしたり、消したりできるのだ。  (論文不正の告発を受けた東京大学(2) その解析方法の衝撃YAHOO!JAPANニュース)

エラーバーの長さをチェックする方法

資料

  1. 告発文1 5cvq.pdf (12ページPDF はじめに~ 2016年8月14日)
  2. 告発文2 5cvr.pdf (5ページPDF 研究資金リスト 2016年8月14日)
  3. 告発文3.pdf (52ページPDF  不自然なデータの指摘 2016年8月14日)
  4. 追加の告発文 http://toudai20168.up.seesaa.net/image/E69DB1E5A4A7E5918AE799BAE7ACACE4BA8CE5BCBE20-20E382B3E38394E383BC.pdf (2016年8月29日)

 

参考

  1. 東京大学医学部付属病院 循環器内科(小室一成教授)
  2. KAKEN科学研究費助成事業データベース
  3. 渡邊研究室 東京大学分子細胞生物学研究所 染色体動態研究分野
  4. KAKEN科学研究費助成事業データベース
  5. 捏造、不正論文 総合スレネオ 34 :0159名無しゲノムのクローンさん2017/02/18(土) 16:47:18.74
  6. 論文不正の告発を受けた東京大学(1) どこまで調査をするのか? (YAHOO!JAPANニュース詫摩雅子  | 科学ライター&科学編集者 2016/10/15(土) 16:00):”9月1日までに東京大学は2通目の告発書を受け取る。今度は2人の教授、11本の論文が挙げられていた。・医学部のE教授研究室から出ている2015年の3本と2016年の1本の合計4本・分子細胞生物学研究所(分生研)のF教授研究室から2005年から2015年に出された7本 ネットにはその前から流れていたようだが、大手メディアがこの件を報じたのは9月1日からだ。 “
  7. 論文不正の告発を受けた東京大学(2) その解析方法の衝撃 (YAHOO!JAPANニュース 詫摩雅子  | 科学ライター&科学編集者 2016/10/15(土) 22:00)
  8.  

 

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岡山大不正告発解雇無効仮処分を高裁が取消し

研究不正の告発をした教授を岡山大学学長が解雇した事件で、岡山地裁の解雇無効仮処分決定を広島高裁岡山支部が取り消しました。

 

本学に関する裁判の結果について

本学が普通解雇した大学院医歯薬学総合研究科の元教授2名が、本学に対して労働契約上の仮地位の確認及び賃金相当額の仮払いを求める仮処分申立てを行い、岡山地方裁判所が賃金の仮払いを認める仮処分決定を行ったことに関する保全抗告決定が平成29年3月30日にあり、広島高等裁判所岡山支部は上記仮処分決定を取り消し、仮処分申立てを却下する旨の決定を行いました。
この保全抗告は、平成28年6月6日、岡山地方裁判所が元教授2名への賃金仮払いを認める仮処分決定を行い、同年10月18日に同裁判所が同仮処分決定を認可する旨の保全異議決定を行ったことに対して、本学が保全異議決定を不服として、申し立てていたものです。この保全抗告では、元教授2名について解雇事由が認められると判断され、仮処分決定を取り消す旨の決定がなされました。

この決定に対する学長からのコメントは以下のとおりです。

本学の主張の正当性が認められ、安堵しております。係属中の訴訟等においても、引き続き、本学の正当性を主張していく所存です。

【本件問い合わせ先】
総務・企画部法務・コンプライアンス対策室
TEL:086-251-7146

(17.03.30)(引用元:岡山大学ウェブサイト

報道

  1. 高裁は岡大の解雇権乱用は認めず (NHK NEWS WEB 岡山 NEWS WEB 03月31日 19時41分):”岡山大学薬学部の元教授2人が医学部の論文に不正があるとして告発したことなどを理由に大学から解雇されたことについて広島高等裁判所岡山支部は解雇権の乱用だとして大学側に給与の支払いを命じた地裁の仮処分の決定を取り消しました。 … これについて広島高等裁判所岡山支部は30日、「不正と確定されていない論文を外部に公表し岡大の権威や研究への信用性を大きく揺るがしたことなどを踏まえると解雇の理由は認められる」として地裁の出した仮処分の決定を取り消しました。森山元教授は「最高裁判所に抗告するかは弁護士と相談して決めたい」と話していました。”

 

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Nスペ「STAP細胞不正の深層」で名誉毀損

小保方晴子元理研CDBユニットリーダーの申し立てを放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会が認める NHKスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の深層」番組内で名誉毀損

平成26年7月27日に放送されたNHKスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の深層」は、小保方晴子元理研CDBグループリーダーがES細胞を盗んだ犯人だと視聴者に思わせるような恣意的な番組構成になっていたとして、小保方氏が人権侵害だとして放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立てを行っていましたが、BPOは名誉毀損を認める判断を下しました。

調査報告 STAP細胞 不正の深層 4−1 (YOUTUBE動画削除)

調査報告 STAP細胞 不正の深層 4−2 (YOUTUBE動画削除)

調査報告 STAP細胞 不正の深層 4−3 (YOUTUBE動画削除)

調査報告 STAP細胞 不正の深層 4−4 (YOUTUBE動画削除)

 

http://www.bpo.gr.jp/wordpress/wp-content/themes/codex/pdf/brc/determination/2016/62/dec/k_nhk_62.pdf

参考

  1. 放送人権委員会 委員会決定 2016年度 第62号 「STAP細胞報道に対する申立て」に関する委員会決定 2017年2月10日 放送局:日本放送協会(NHK) 勧告:人権侵害(補足意見、少数意見付記) NHKは2014年7月27日、大型企画番組『NHKスペシャル』で、英科学誌ネイチャーに掲載された小保方晴子氏らによるSTAP細胞に関する論文を検証した特集「調査報告 STAP細胞 不正の深層」を放送した。この放送について小保方氏は、「ES細胞を『盗み』、それを混入させた細胞を用いて実験を行っていたと断定的なイメージの下で作られたもので、極めて大きな人権侵害があった」などと訴え、委員会に申立書を提出した。これに対しNHKは、「『STAP細胞はあるのか』という疑問に対し、客観的な事実を積み上げ、表現にも配慮しながら制作したものであって、申立人の人権を不当に侵害するようなものではない」などと反論した。委員会は2017年2月10日に「委員会決定」を通知・公表し、「勧告」として名誉毀損の人権侵害が認められると判断した。なお、本決定には補足意見と、2つの少数意見が付記された。
  2. NHK 小保方氏の「人権侵害ない」主張変えず…BPO勧告に (デイリースポーツ 2017.2.10):”NHKは10日、2014年7月27日に放送したNHKスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の深層」について、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会が小保方晴子・元理化学研究所研究員の名誉を毀損(きそん)する人権侵害を認め、再発防止に努めるよう勧告したのを受け、会見を開いた。”
  3. 小保方さん「人生に及ぼした影響は一生消えない」「正当な認定に感謝」とコメント…法的措置は検討せず BPO、NHKに勧告 (産経 WEST 2017.2.10 20:56更新):”STAP(スタップ)細胞の論文不正問題を特集したNHKのドキュメンタリー番組「NHKスペシャル」に関する「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の放送人権委員会の認定を受けて、理化学研究所の元研究員の小保方晴子さんは10日、代理人弁護士を通じ「名誉毀損(きそん)の人権侵害や放送倫理上の問題点を正当に認定していただき、BPOに感謝している」とのコメントを出した。”
  4. STAP細胞 NHK番組にBPOが再発防止を勧告 (NHK NEWS WEB 2月10日 19時19分):”NHKが3年前に放送したSTAP細胞の問題を検証した報道番組で、理化学研究所元研究員の小保方晴子氏が人権を侵害されたと申し立てたことについて、BPO=放送倫理・番組向上機構の委員会は「名誉毀損の人権侵害が認められる」として、NHKに対し、再発防止に努めるよう勧告しました。”
  5. NHKスペシャル「小保方氏への人権侵害」 BPO勧告 (朝日新聞 DIGITAL 2017年2月10日14時24分):” 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は10日、STAP細胞論文の研究不正問題を検証したNHKスペシャルについて、「名誉毀損(きそん)の人権侵害が認められる」とする勧告を出した。”

黄博士 崩れたところにレンガを改めて積む心情

黄禹錫(ファン・ウソク)博士は、体細胞由来のヒトクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作製することに成功したとして、2004年と2005年にサイエンス誌に論文を出しました。

Woo Suk Hwang et al., Evidence of a Pluripotent Human Embryonic Stem Cell Line Derived from a Cloned Blastocyst. Science  12 Mar 2004:Vol. 303, Issue 5664, pp. 1669-1674 DOI: 10.1126/science.1094515

Woo Suk Hwang et al., Patient-Specific Embryonic Stem Cells Derived from Human SCNT Blastocysts. Science  17 Jun 2005:Vol. 308, Issue 5729, pp. 1777-1783 DOI: 10.1126/science.1112286

しかし、それらの論文はデータ捏造によるものであったことがわかり、サイエンス誌編集部により撤回され、韓国で有罪判決を受け研究の世界から追われました。

博士はソウル大学を追われ、政府から与えられた名誉はすべて剥奪された。研究費詐取や生命倫理法違反の疑いで起訴もされた(今年2月に最高裁で懲役1年6ヶ月、執行猶予2年の判決が確定)。 そんな博士を救ったのは、支援者たちだった。06年7月に350万ドル相当の基金を集めて「スワム生命工学研究財団」を作ったのである。スワムとは、黄博士の愛称だという。(クローンES細胞論文を捏造した黄禹錫博士の「復活」webronza.asahi.com 2014年09月08日 高橋真理子)

黄禹錫(ファン・ウソク)氏(元ソウル大学獣医学部教授)は06年、ソウル大学から解任された後、同年7月、自分を慕った約20人の研究員とスアム生命工学研究院を設立した。ソウル九老洞(クロドン)のある建物に研究室を設け、研究を進めたものの、住民抗議が殺到し、廃業に追い込まれるなど、最初はなかなか定着できなかった。(黄禹錫氏、外部と接触せずに研究活動…これまでどんなことが?東亜日報 October. 27, 2009)

ヒトES細胞の研究ができなくなった黄博士は、クローン動物の研究を続け、愛犬クローン作製ビジネスを成功させました。愛犬クローン作製の価格は10万ドル(約1,000万円)もしますが、希望者は多いといいます。

The science behind dog cloning
(記事:This Korean lab has nearly perfected dog cloning, and that’s just the start. Tech Insider Sep. 12, 2015 By Drake Baer)

黄博士のクローン動物事業は拡大、発展を遂げ、科学者として再び脚光を浴びるに至っています。

「クローン牛、年100万頭生産プロジェクト」は、黄禹錫(ファン・ウソク)博士にとっても新しい挑戦だ。(韓国人博士の黄禹錫「世界初の商業用クローン牛を作る」中央日報日本語版 2015年11月25日)

成功を収めている愛犬クローン事業ですが、黄博士にとってビジネスでの成功は目的ではないそうです。

スアム研究院はクローン犬事業を通じて今年100億ウォン(約10億7600万円)程度の売り上げを予想している。しかし、儲けるために犬のクローニングをするのではないと明らかに一線を画した。非営利機関として他のプロジェクトを遂行するための研究資金づくりのための手段に過ぎないというのだ。…黄博士は最後に「人間生命の延長と価値ある人生のために意味あるレンガを積みたい。自分のせいで崩れたところにレンガを改めて積む心情で生きている」とし「2006年以後、『逆境と苦痛がない人生は生きている価値がない』という文を毎日午前に読みながら自分自身に『まだ終わっていない』と言い聞かせている」と話した。(韓国、「世界初の産業用クローン犬を生産…仏英からも技術研修に来る」 中央日報日本語版 2015年03月11日)

 

参考

クローン作製の夢

  1. 「バイオの悪童」は、クローンマンモスを実現できるか (WIRED 2015.04.27 BY NICK STOCKTON):”マンモスのクローン作成を夢見る科学者がいる。遺伝学界の悪童、黄禹錫(ファン・ウソク)だ。”

クローンビジネスの展開

  1. 世界最大のクローン動物工場、中国・天津にオープン予定 (WIRED 2016.01.20 BY SANDRO IANNACCONE):”2016年上半期中に、中国の天津に世界最大のクローン動物作製センターがオープンする。肉用牛や警察犬、競走馬を「取り扱う」予定だという。”
  2. 本当に大丈夫? 中国の動物クローン工場建設 ES細胞捏造の韓国教授とタッグで不安倍増(産経ニュース 2015.12.6):”中韓共同による世界最大の動物クローン工場建設計画が、物議を醸している。”

スワム生命工学研究財団の愛犬クローンビジネス

  1. 1千万円で愛犬「復活」 韓国研究所の“クローンビジネス” (YAHOO!JAPAN ニュース 2017年 1/12):”亡くなった愛犬がもう一度、自分の元に戻ってきたら? 何もかもそっくりなペットをもう1匹、そばに置くことができたら? クローン技術によってそれを実現させてくれる施設が韓国・ソウルにあるという。”
  2. 永遠に愛犬と共に?韓国のクローン研究所 (AFP BB NEWS 2016年07月13日):”韓国の首都ソウル(Seoul)西部でフェンスに囲まれた芝生の上を駆け回っている子犬たち。1匹の値段は10万ドル(約1000万円)もするが、少なくとも買い手たちはその価値をよく分かっている。 その芝生はペットクローン技術で世界をけん引するスアム生命工学研究院(Sooam Biotech Research Foundation)にある。同研究院は過去10年間、文字通り永遠に愛犬と暮らし続けたいと願う人々を相手にビジネスを行い、商業的な成功を収めてきた。”
  3. あなたの愛犬を1070万円でもう1匹-世界初のクローン工場 (Bloomberg 2014年10月23日 By Jessica Dean):”黄博士は今、中国・山東省の威 海市に8日間の突貫工事で建設した仮施設で最終チェックをしている。 ここで数時間内に、中国で初のクローン犬の出産が行われる。”

スワム生命工学研究財団の作製したクローン動物

  1. クローン警察犬2匹、サハ共和国の内務省に採用予定 ロシアの警察と保安局は、爆発物や麻薬の捜査においてクローン犬を実験的に使用する予定。(jp.sputniknews.com 2016年12月13日):”3匹のベルジアン・シェパードは、韓国の生物学者、黄禹錫教授がクローン技術を用いて作成された。1匹当たりおよそ1,000万円の価格が付けられているが、今回は人が住む地域としては世界で最も寒いとされるロシア連邦のサハ共和国の警察と公安局にプレゼントされたという。”
  2. コヨーテ複製に成功した黄禹錫氏「マンモスの復活が目標」(東亜日報 October. 18, 2011 ):”黄禹錫(ファン・ウソク)博士の研究チームが、コヨーテの体細胞をイヌの卵子に移植する体細胞核移植の技術で、コヨーテのクローンに成功した。”
  3. 「地に堕ちた英雄」、論文ねつ造の黄氏がコヨーテのクローン作製に成功 (AFP BB NEWS 2011年10月18日):”胚性幹細胞(ES細胞)に関する研究論文のねつ造などで有罪判決を受けた韓国の黄禹錫(ファン・ウソク、Hwang Woo-Suk)元ソウル大教授が17日、コヨーテのクローン8頭の作製に成功したことを明らかにした。”
  4. 黄禹錫博士チーム、チベタン・マスティフ17匹を複製 (中央日報日本語版 2008年06月18日):”スアム生命工学研究院は黄禹錫(ファン・ウソク)博士が中国の絶滅危惧種で、一般に獅子犬と呼ばれているチベタン・マスティフ17匹のクローニングに成功したと17日、発表した。 “

特許取得

  1. 黄禹錫氏のES細胞 韓国で週内にも正式登録 (聯合 ニュース 2016/11/15):”疾病管理本部は、黄氏側がNT―1を体細胞クローン技術によるES細胞として登録するよう求めて提出した関連資料を、専門家でつくる検証委員会で検討した結果、体細胞クローン技術で樹立されたES細胞株と見なす科学的な根拠はないと判断した。ただ、単為発生のヒトES細胞であるのは確かだとして、登録することにした。”
  2. 黄禹錫元教授が米国で特許登録「研究再開させてくれれば…」(中央日報日本語版 2014年02月12日):”黄禹錫(ファン・ウソク)元ソウル大学獣医学部教授が作ったNT-1幹細胞株(1番幹細胞株)が11日に米国で特許登録された。”

捏造事件に関する報道

  1. ソウル高裁、“幹細胞論文ねつ造”黄禹錫ソウル大教授の罷免は不当(中央日報日本語版 2011年11月04日):”‘幹細胞論文ねつ造’事件で06年に罷免された黄禹錫(ファン・ウソク)元ソウル大獣医科大学大学院教授(59)が罷免取り消し訴訟の控訴審で勝訴した。”
  2. 黄教授宅など26カ所を押収捜索 (東亜日報 January. 13, 2006):”黄禹錫(ファン・ウソク)ソウル大名誉教授が12日、押収捜索のためソウル市江南区論硯洞(カンナムグ・ノンヒョンドン)の自宅を訪れたソウル中央地検捜査官に、門を開けている。”
  3. 黄禹錫教授「論文の捏造、ミズメディが主導」(innolife.net2006/01/12):”黄教授は「チームワークと信頼を土台に、ミズメディの言葉をすべて信じた。2004年に成立された1回目のES細胞はパク・チョンヒョク研究員が、2005年の2・3回目のES細胞はキム・ソンジョン研究員が研究、報告した」とミズメディが操作に関与したことを主張した。”
  4. <2005年を反省します>真実知らぬまま「黄禹錫神話」作り(中央日報日本語版 2005年12月30日):” 「黄禹錫(ファン・ウソク)教授論文疑惑」から多くのことを自省させられます。マスコミも被害者だとは弁解しません。  2つの点を深く反省しています。第一に「黄禹錫神話」を作ることに加担した責任です。…2つ目は黄教授論文をめぐる論争が起こったとき、読者の皆さんを混乱させてしまった責任です。 “
  5. <ES細胞論文ねつ造の波紋>「ねつ造」どうして可能だったか(中央日報日本語版 2005年12月26日):”論文ねつ造の共謀の疑いを受けている人はピッツバーグ大に派遣されていたキム・ソンジョン研究員、黄教授チーム員であるソウル大獣医学部姜成根(カン・ソングン)教授と数人の研究員だ。 キム研究員は17日、ピッツバーグで行った記者会見で「黄教授の指示で幹細胞写真2個を11個に増やし、姜成根教授もその事実を知っている」と述べた。”

匿名A氏のリスト:類似画像を含む論文 111報

当ウェブサイトは以前、「日本の科学を考えるガチ議論」の記事『捏造問題にもっと怒りを』のコメント欄に匿名A氏が書き込んだ84報を紹介しました。このコメント欄に、類似画像を含む論文等総計111報がリストアップされていたので転載します。新たな論文を指摘するものではなく、匿名A氏がこれまでに2chや『捏造問題にもっと怒りを』のコメント欄で指摘してきた論文の総まとめだそうです。

#1 Nature. 1998 Jan 1;391(6662):96-9.
Fig 1a. Lane 1 is similar to Lane 5. Lane 6 is similar to Lane 10.
#2 J Biol Chem. 2000 Mar 17;275(11):8091-6.
Fig 3A. Lane 3 is similar to Lane 8, 9, and 10. Fig 3B. Lane 1 is similar to Lane 2.
#3 Arch Biochem Biophys. 2001 Apr 1;388(1):91-9.
Fig 2A. Lanes 2-3 are similar to lanes 9-10. Fig 4B. Lanes 2-3 are similar to lanes 9-10.
#4 Diabetes. 2002 Oct;51(10):2915-21.
Fig 5. 18S of B is similar to that of C (horizontal flip).
#5 Nat Med. 2002 Jul;8(7):731-7. Epub 2002 Jun 17.
Fig 1b. +/- is partially similar to -/-. Fig 2. 18S of a is similar to that of b. Fig 5a. 28s of TNF-alpha(-) and Adiponectin(+) is similar to that of TNF-alpha(+) and Adiponectin(+).
#6 J Biol Chem. 2003 Jun 13;278(24):21344-51. Epub 2003 Apr 1.
Fig 5. Lane 2 is partially similar to lane3.
#7 Mol Cell Biol. 1996 Jun;16(6):3074-84.
Fig 7C. Lane a is similar to Lane b.
#8 J Biol Chem. 2001 Nov 2;276(44):41245-54. Epub 2001 Aug 31.
Fig 4G. PIPs are similar to those of Fig. 5d in another paper (J Clin Invest. 2001 Oct;108(7):1001-13. #9 in this list.) The date of submission of this paper is later than that of #9.
#9 J Clin Invest. 2001 Oct;108(7):1001-13.
Fig 6b. The CD36 band in the lane HF is similar to the UCP2 band in the lane HF+BADGE (horizontal flip). The CD36 band in the lane HF+BADGE is similar to the UCP2 band in the lane HF+HX531 (horizontal flip).
#10 Nat Genet. 2002 Feb;30(2):221-6. Epub 2002 Jan 30.
Fig 6. 28S in a (WAT) is similar to that of in d (BAT).
#11 Biochem Biophys Res Commun. 2004 Oct 8;323(1):242-8.
Fig 2A. The control lanes are similar to the salicylate lanes. Fig 3B. p-Akt in Lane 3 is similar to that in Lane 7. p-Akt in Lane 5 is similar to that in Lane 6. Akt in Lane 4 is similar to that in Lane 6. Fig 4. Lane 5 is similar to Lane 7 (horizontal flip).
#12 J Biol Chem. 2001 Jul 20;276(29):27519-26. Epub 2001 May 24.
Fig 6. E is similar to f. Fig 9. D is similar to e and f (enlarge).
#13 Exp Cell Res. 2002 Jan 1;272(1):23-31.
Fig7. Bone marrow cells of LZP is similar to those of CRP.
#14 Oncogene. 2002 Jan 24;21(5):844-8.
Fig 1b. These figures (HUVEC and ST2 cells) are similar to those of the COS7 cells in another paper (Fig. 6 in J Biol Chem. 2001 Jul 20;276(29):27519-26. #12 in this list.)
#15 Biochem Biophys Res Commun. 2002 Apr 26;293(1):332-7.
Fig 1. The mice of 2 weeks are similar to those of 3 weeks (vertically enlarge).
#16 J Virol. 1999 Nov;73(11):9237-46.
Fig 5B. Some bands seem to be pasted in the figures. For example, lane 3 in the left SeV/mSF figure.
#17 J Virol. 2000 Jun;74(12):5619-28.
Fig 2A. In the upper figure, 4C(-) 20 is simiar to 4C(-) 26. Fig 2B. GAPDHs of Wt 14, Wt 38, 4C(-) 14, and 4C(-) 20 are similar.
#18 J Virol. 2001 Apr;75(8):3802-10.
Fig 4C. Y1+ is similar to Y2+.
#19 J Virol. 2002 Jul;76(14):7114-24.
Fig 4B. Y2.5+ is similar to Y3+.
#20 J Virol. 2004 Jul;78(14):7443-54.
Fig 5. STAT2 of None is similar to that of Cm5.
#21 J Virol. 2007 Apr;81(7):3264-71. Epub 2007 Jan 10.
Fig 4. In the most upper figure, Sev Wt 0 is similar to Sev Wt 6 in both 2fTGH STAT1(+/+) cells and U3A STAT1(-/-) cells.
#22 Biochem Biophys Res Commun. 2002 Aug 9;296(1):194-200.
Fig 3A. Lane 1 is similar to Lane2 for GluSyn.
#23 Biochem Biophys Res Commun. 2001 Nov 30;289(2):531-8.
Fig 1 and Fig 2. 18S rRNA of Lane 2 (monocytes) in Fig 1 is similar to that of Lane 2 (alpha-GalCer-imDCs) in Fig 2.
#24 Circ Res. 2004 Jun 11;94(11):1492-9. Epub 2004 Apr 29.
Fig 2 and Fig 3. E1A in the lanes 1-2 of Fig 2A is similar to that in the lanes 2-3 of Fig 3C.
#25 J Biol Chem. 2002 Apr 5;277(14):12351-8. Epub 2002 Jan 22.
Fig 1B. D is similar to g. Fig 3B. The right part of Myc-MST1 WT is similar to that of Flag-MST1 444P.
#26 J Biol Chem. 1999 Apr 23;274(17):11995-2000.
Fig 4. EDTA is similar to Fuc.
#27 J Biol Chem. 2000 Jun 9;275(23):17233-6.
Fig 2B. Input of 0-45 is similar to that of 90-180. Fig 4. ECT2-N1(-) 45 is simialr to ECT2-N1(+) 45.
#28 J Biol Chem. 2002 Dec 27;277(52):50966-72. Epub 2002 Oct 21.
Fig 2B and Fig 4C. The actin in Fig 2B is similar to that of Fig 4C (horizontally flip.) Fig 4C and Fig 5D. The six COX bands in Fig 5D is similar to six bands of actin in Fig 4C.
#29 J Biol Chem. 2001 Mar 23;276(12):9460-7. Epub 2000 Dec 19.
Fig 1B. In the lower figure, RET-2B is similar to RET-2B/LAR.
#30 J Biol Chem. 1999 Dec 31;274(53):38251-9.
Fig 2A. 37 degrees Celsius is partially similar to 30 degrees Celsius.
#31 Nucleic Acids Res. 2000 Mar 15;28(6):1355-64.
Fig 7A. 18S rRNA of placenta is similar to that of mammary gland in another paper (Fig 2A in Mol Biol Cell. 1999 May;10(5):1637-52.)
#32 DNA Repair (Amst). 2007 Jun 1;6(6):760-9. Epub 2007 Feb 5.
Fig 5A. GAPDH of W in 5 weeks is similar to that of SP in 16 weeks.
#33 J Biol Chem. 2000 Aug 18;275(33):25146-54.
Fig 6D. pMAPK of S10A is similar to that of WT-DMSO (horizontally flip). You can pay attention to the noise of the rim.
#34 J Biol Chem. 2002 Apr 26;277(17):14355-8. Epub 2002 Mar 11.
Fig 1B. Tubulin in cytoplasm is similar to that in whole cell.
#35 EMBO J. 2002 Dec 2;21(23):6312-20.
Fig 2C. p47phox is similar to p67phox.
#36 J Biol Chem. 2003 Jul 4;278(27):25234-46. Epub 2003 Apr 25.
Fig 3A. The two lower left cells are similar between wt and P156Q.
#37 J Biol Chem. 2003 Jun 20;278(25):22908-17. Epub 2003 Apr 7.
Fig 2. MRP11-116/MRP2 is similar to MRP11-1480/MRP2.
#38 J Virol. 1999 Oct;73(10):7981-7.
Fig 1A. Lane 1 is similar to Lane 3 and 6. Lane 2 is similar to Lane 8. Lane 4 is similar to Lane 7.
#39 J Biol Chem. 2002 Jan 18;277(3):2132-7. Epub 2001 Oct 22.
Fig 2b. The FLAG band of GST-WT is similar to the GST band of WT-WT. Fig 3A. The left upper figure is similar to the left lower figure (horizontally flip).
#40 J Biol Chem. 2004 Jun 11;279(24):25474-82. Epub 2004 Mar 22.
Fig 5A. Lanes 8-9 are similar to lanes 12-13.
#41 Diabetes. 2003 Nov;52(11):2657-65.
Fig 3B. APS bands in GFP lanes seem to be pasted in. IR beta bands in GFP lanes are similar to those in APS(YF) lanes.
#42 J Biol Chem. 1999 Nov 5;274(45):32309-17.
Fig 4A. Lane 1 is similar to Lane 15 (horizontally flip). Lanes 12-13 are similar to Lane 16-17 (horizontally flip).
#43 J Biol Chem. 2000 Sep 1;275(35):26856-63.
Fig 9C. Mock-transfected cell (-) is somewhat similar to Mutant probe (-). Mock-transfected cell oligo TRE is somewhat similar to Mutant probe Ang II.
#44 J Biol Chem. 2000 Feb 11;275(6):4369-73.
Fig 3. GAPDHs of Time 4, 5, and 6 are similar in PAO+. Fig 4. iNOS mRNA of Lane +-+- is similar to that of Lane +–+.
#45 Hepatology. 2000 Nov;32(5):1037-44.
Fig 3. 3h None is similar to 5h Hypo.
#46 J Hepatol. 2004 Apr;40(4):616-23.
Fig 4A. Phospho-Akt of 2h(-) is similar to that of 2h(+).
#47 Am J Physiol Endocrinol Metab. 2005 May;288(5):E876-82. Epub 2004 Dec 21.
Fig 4A. 28S and 18S in lanes 1-6 are similar to those in another paper (Fig 1A in Biochem Biophys Res Commun. 2004 May 14;317(4):1075-9.)
Fig 5A. In the adiponectin bands, Lanes 1-4 are similar to lanes 12-15. Lanes 6-7 are similar to lanes 9-10.
#48 Biochem Biophys Res Commun. 2001 Apr 27;283(1):255-9.
Fig 2. V/Vsp in lanes 1-3 is similar to V/Vsp in lanes 7-9, STAT1 in lanes 10-12, and STAT1 in lanes 13-15. IRF9 in lanes 10-12 are similar to that in lanes 13-15.
#49 J Virol. 2002 Dec;76(24):12683-90.
Fig 8. In the Blot:FLAG, FL is similar to FLMT in the two middle lanes (vertically enlarge).
#50 J Biol Chem. 2003 Oct 24;278(43):41654-60. Epub 2003 Aug 13.
Fig 4. HSF-1s of OSC19-MP(mock) C and IFN in Fig 4A, from total cell lysate, are similar to those of OSC19 cytosol C and IFN in Fig 4C. HSF-1s of OSC19-MP(STAT-1) C and IFN in Fig 4A, from total cell lysate, are similar to those of OSC19-MP cytosol C and IFN in Fig 4D.
#51 J Med Virol. 2006 Apr;78(4):417-24.
Fig 2. GAPDH of RSV 5 is similar to that of inactivated SARS 1. GAPDH of FluAV 1 is similar to that of inactivated SARS 2. Fig 5. GAPDH of RSV 5 is similar to that of inactivated SARS 1. GAPDH of FluAV 1 is similar to that of inactivated SARS 2.
#52 Cancer Lett. 1999 Jul 19;142(1):23-30.
Fig 2B. hTERT of lane D is similar to that of lane F2.
#53 Leukemia. 2000 Jul;14(7):1260-5.
Fig 1b and 3b. hTERT of Fig 1b is similar to that of Fig 3b (horizontally flip).
#54 Biochem Biophys Res Commun. 2004 Apr 2;316(2):528-32.
Fig 1. 15 N is partially similar to 30 N.
#55 Cancer Lett. 2008 Mar 18;261(2):226-34. Epub 2007 Dec 21.
Fig 1. K562/hTERT 1 is similar to K562/hTERT 10.
#56 Cancer Res. 2006 Oct 15;66(20):9913-20.
Fig 4C. ADAM28 of Day3 is similar to that of Day 31 (vertically enlarge). Fig 5C. Lane 1 is similar to Lane 4.
#57 Biochem Biophys Res Commun. 2005 Mar 25;328(4):1232-43.
Fig 2. Two exon 3 figures are similar.
#58 Biochem Biophys Res Commun. 2000 Aug 11;274(3):603-8.
Fig 5. Two right lower bands in Fig 5A are similar to two left lower bands in Fig 5B.
#59 Biochem Biophys Res Commun. 2001 May 11;283(3):707-14.
Fig 3C. In the lower figure, the left four bands are similar to the middle four bands and the right four bands.
#60 Nat Cell Biol. 1999 Dec;1(8):479-85.
Fig 4a. Western(PS) of A246E is partially similar to that of delta E9.
#61 J Biol Chem. 2001 Jan 19;276(3):2108-14. Epub 2000 Oct 12.
Fig 1. Lanes N and H in Fig 1C are similar to Fig 1D.
#62 J Biol Chem. 2001 Nov 16;276(46):43446-54. Epub 2001 Sep 10.
Fig 1a and Fig 2a. Ten actin bands of Fig 1a are similar to those of Fig 2a.
#63 J Biol Chem. 2002 Apr 12;277(15):12931-6. Epub 2002 Jan 25.
Fig 3b. PY20 of Src is similar to Lysate of Src.
#64 Circulation. 2002 Jun 18;105(24):2893-8.
Fig 2. ERK of Fig 2C is similar to that of Fig 2D (horizontally flip, change brightness and contrast).
#65 J Biol Chem. 2002 Mar 8;277(10):8076-82. Epub 2002 Jan 4.
Fig 3. Cyclin D1 and actin of 694F are somewhat different with those of delta p85.
#66 J Biol Chem. 2005 Feb 11;280(6):4929-39. Epub 2004 Nov 24.
Fig 2A. Bcl-2 and actin of ED(-) are similar to those of ED(+).
#67 J Biol Chem. 2005 Apr 1;280(13):13163-70. Epub 2005 Jan 25.
Fig 5E. The left four lanes of CHO-B are similar to the right four lanes of CHO-B.
#68 J Biol Chem. 2001 Mar 30;276(13):9688-98. Epub 2000 Dec 14.
Fig 2C. Lane +— is similar to Lane +-+-. Fig 5B. Lane 1 is similar to Lane 3.
#69 J Biol Chem. 2001 Dec 14;276(50):47642-9. Epub 2001 Oct 10.
Fig 1B. Lane 2 is similar to Lane 4 (horizontally flip). Fig 5A. ERKs of lanes 1-4 are similar to those of lanes 5-8 (horizontally flip). Fig 7A. The upper two bands of pSG5 are similar to those of ER beta (horizontally flip).
#70 J Biol Chem. 2001 Feb 2;276(5):3459-67. Epub 2000 Oct 23.
Fig 7B. pSG5 is similar to ER beta (horizontally flip).
#71 J Biol Chem. 2002 Sep 6;277(36):33490-500. Epub 2002 Jun 26.
Fig 1B. ERKs of lanes 1-3 are similar to those of lanes 4-6. Fig 3A. Lanes 1-2 of Caov-3 are similar to lanes 3-4 of Caov-3 (horizontally flip). Fig 4A. Lanes 1-2 of BAD are similar to lanes 3-4 of BAD. Fig 6B. Phospho-Raf of Lane 2 is similar to that of Lane 5.
#72 Endocrinology. 2004 Jan;145(1):49-58. Epub 2003 Sep 18.
Fig 3B. Akt of lanes 1-2 is similar to that of lanes 3-4.
#73 Clin Cancer Res. 2004 Nov 15;10(22):7645-54.
Fig 1D. Akt of lanes 1-2 is similar to that of lanes 3-4.
#74 Endocrinology. 2004 Mar;145(3):1302-13. Epub 2003 Nov 26.
Fig 8B. Lane 1 of A2780 is similar to Lane 3 of Caov-3.
#75 J Biol Chem. 2004 May 28;279(22):23477-85. Epub 2004 Mar 16.
Fig 2A. Lanes 2-4 of actin are similar to lanes 6-8 of actin (horizontally flip).
#76 J Biol Chem. 2000 Nov 10;275(45):35051-62.
Fig 7C. Lanes i, j and k of abDbf4p are somewhat similar.
#77 Proc Natl Acad Sci U S A. 2000 Dec 5;97(25):13824-9.
Fig 4A. The most upper figure of insulin is similar to that of IGF-1.
#78 J Biol Chem. 1999 Mar 26;274(13):8531-8.
Fig 5C. In the Ad5IkB lane, Bcl-2 is similar to Bcl-x (horizontally flip and vertically enlarge). In the Ad5LacZ+TNF lane, Bcl-2 is partially similar to Bcl-x (vertically enlarge).
#79 FASEB J. 2001 May;15(7):1218-20.
Fig 1A. Akt of Cont is similar to that of VEGF.
#80 Nat Med. 2001 Mar;7(3):317-23.
Fig 2a. Actin of Astrocytes is similar to that of another paper (Fig 5C in J Biol Chem. 2001 Feb 2;276(5):3046-53. Epub 2000 Oct 20.)
#81 J Biol Chem. 2003 Jan 17;278(3):2058-65. Epub 2002 Nov 7.
Fig 2. wt is similar to delta alpha 1.
#82 J Biol Chem. 2001 Sep 7;276(36):34259-69. Epub 2001 Jul 2.
Fig 7. SRE-352 is similar to SRE-344 (vertically enlarge).
#83 J Biol Chem. 2005 Mar 18;280(11):10468-77. Epub 2005 Jan 7.
Fig 5B. IB:anti-V5 of STAM1 is similar to that of STAM1-mUIM.
#84 Cancer Res. 2007 Jun 1;67(11):5162-71.
Fig 2A. The well of WT is similar to that of control.
#85 Nature. 2008 Jul 17;454(7202):345-9.
Fig. 1c. The beta-actin of the lane 1 is similar to that of the lane 2.
Fig. 3b. The beta-actin of the lane 1 is similar to that of the lane 2.
Fig. 3e. The alpha-MHCs of the lanes 1, 4, and 6 and the GATA-4 of the
lane 5 are similar.
Fig. 3e. The GATA-4 of the lane 1 is similar to that of the lane 6.
Supplementary Fig. S3e. The bands of Nkx2.5 (-) and GATA4 BP4-2 are similar.
Supplementary Fig. S3f. The bands of Nkx2.5 (-) and beta-actin (-) are
similar (resized).
#86 J Biol Chem. 2004 Mar 19;279(12):11384-91.
Fig. 3. The MLC-2v is similar to the cardiac alpha-actin.
#87 Nat Med. 2009 Sep;15(9):1082-7.
The CT scan of WT (HS/HS) of Supplemental Fig. 2c is similar to those
of Pre operation of Supplemental Fig. 2d, G4 (HS/HS) of Supplemental
Fig. 2c, and G4 Trp53+/-(HS/HS) of Supplemental Fig. 2c.
The bars of G4 (HS/HS) and G4 Trp53+/- (HS/HS) for lean tissue/BW in
the right of Supplemental Fig. 2c are identical for mean and SEM.
#88 Nat Cell Biol. 2004 Jun;6(6):499-506.
The lower right band in the Fig. 2f is similar to the right band of Fig. 2h.
The upper band in the lane 3 in Fig. 2e is similar to the band in the
lane 2 in Fig. 3e.
#89 Biochem Biophys Res Commun. 2004 Sep 10;322(1):310-9.
Fig. 2b. The 28Ss of the lane 1-3 are similar to those of the lane 4-6.
#90 J Biol Chem. 1999 Mar 19;274(12):8231-9.
TTF1 of Fig. 2b is similar to NKE2 of Fig. 2c and CSX+ GATA-4+ of Fig. 7.
#91 Biochem Biophys Res Commun. 2000 Apr 21;270(3):1074-9.
Fig. 2a. GAPDH of WT At is similar to that of TG At. GAPDHs of WT Vt,
TG Vt, and TG Sk are similar.
#92 Circulation. 1999 Nov 16;100(20):2100-7.
Fig. 3b. DM 10 min in GST-c-Jun (1-79) is similar to DM 60 min
(horizontally flip.)
#93 Circulation. 2003 Dec 16;108(24):3024-30.
Fig. 5c. The upper band in Sham TG is similar to that of I/R TG.
#94 Circulation. 1998 May 19;97(19):1952-9.
Fig. 4. 18S of the right of Wild Type Banding is similar to that of
AT1a KO Banding.
18S of the left of Wild Type Sham is similar to that of Wild Type Banding.
18S of the right of Wild Type Sham is similar to those of the both
lanes of AT1a KO and that of the left lane of ShamAT1a KO Banding.
#95 Circ Res. 1999 Mar 5;84(4):458-66.
Fig. 2. The (-) in the upper MBP is similar to D.N.Cdc42.
#96 EMBO J. 2000;19(20):5533-41.
Fig. 3a. The upper band of +/- is similar to the band of -/-. Pay
attention to that the three “+” over the figure are not identical.
Fig. 7b. The eight error bars in the right panel are similar.
#97 Hypertension. 1998 Jan;31(1):50-6.
Fig. 5. The two lanes of S(SHRSP) in 24 wk are similar.
#98 Circ Res. 1998 Oct 5;83(7):752-60.
Fig. 1c. The 5 min is similar to the 3h (horizontally flip.)
#99 J Am Soc Nephrol. 2003 Mar;14(3):584-92.
Fig. 1c. The three lanes of ERK are similar to those of p38.
#100 Hypertens Res. 2005;28(5):447-55.
Fig. 2b. Con is similar to ALD/Spi.
#101 J Pharmacol Sci. 2005;98(4):372-9.
Fig. 4. BNP is similar to MCP-1.
#102 Circulation. 2003;107(10):1411-7.
Fig. 5. The lanes 1 and 2 of alpha-tubulin are similar to the lanes 3 and 4.
#103 Hypertension. 2006; 48:628-636.
All of the pictures and graphs of Fig. 1 HT are similar to those of
Fig. 5 HT-SD for.
All of the pictures and graphs of Fig. 2 HT is similar to Fig. 7 HT-SD
for except for the ICAM Western.
The ICAM Western in Fig. 2 NT is similar to that of Fig. 7 HT-SD
(horizontally flip.)
The actin of NT in Fig. 2 is similar to that of HT-Chimera in Fig. 7.
#104 Mol Pharmacol. 2005;67(5):1666-73.
Fig. 2A p-Src is similar to Fig. 2A Ser-STAT3 and Fig. 2C Tyr-STAT3.
The left 7 lanes of Fig. 2A Src are similar to the right 7 lanes of Fig. 2C Src.
The right 7 lanes of Fig. 2A ERK are similar to the left 7 lanes of Fig. 6A ERK.
The right 7 lanes of Fig. 2A Jak2 are similar to the left 7 lanes of
Fig. 2C Jak2.
Fig. 2C p-Pyk2 is similar to Fig. 2C Pyk2.
Fig. 2C Ser-STAT1 is similar to Fig. 2C Ser-STAT3.
The right 5 lanes of Fig. 2C Ser-STAT1 are similar to the right 5
lanes of Fig. 4A siRNA-MKP-1 MKP-1 (horizontally flip.)
The left 2 lanes of Fig. 4A siRNA-Lamin A/C alpha-SM actin are similar
to the left 2 lanes of Fig. 4A siRNA-MKP-1 alpha-SM actin.
The rightest lane of Fig. 4A siRNA-Lamin A/C alpha-SM actin is similar
to that of Fig. 4A siRNA-MKP-1 alpha-SM actin.
The left 7 lanes of Fig. 4B siRNA-Lamin A/C ERK are similar to the
right 7 lanes of Fig. 4B siRNA-MKP-1 ERK.
Fig. 6A Pyk2 is similar to Fig. 6C Pyk2.
Fig. 6A Src is similar to Fig. 6A Jak2.
Fig. 6A p-ERK is similar to Fig. 6C p-ERK.
The left 4 lanes of Fig. 6A p-Tyk2 are similar to the left 4 lanes of
Fig. 6A Tyr-STAT1 and the left 4 lanes of Fig. 6C Tyr-STAT3.
The right 4 lanes of Fig. 6A Tyr-STAT1 are similar to the right 4
lanes of Fig. 6A STAT3.
The left 7 lanes of Fig. 6A Tyr-STAT3 are similar to the left 7 lanes
of Fig. 6C Tyr-STAT1.
The right 4 lanes of Fig. 6A Tyr-STAT3 are similar to the left 4 lanes
of Fig. 6A STAT3 (horizontally flip.)
Fig. 6C p-Src is similar to Fig. 6C p-Tyk2 and Fig. 6C Ser-STAT1.
Fig. 6C Src is similar to Fig. 6C Tyk2 and Fig. 6C STAT1.
Fig. 2C Src is similar to Fig. 2C STAT3 (horizontally flip.)
#105 Arterioscler Thromb Vasc. 2012 Jun;32(6):1453-9.
Fig. 5. oxLDL (-) of A is similar to oxLDL (50ug/ml) of B.
#106 Nature. 1998 Jul 2;394(6688):92-6.
Fig. 2b. -TGF-beta, M-2[Evi-1(-)] is similar to +TGF-beta, E-5[Evi-1(+)].
#107 Circulation. 2006 Aug 29;114(9):953-60.
Supplemental Fig. IV. Something wrong in DKO+Vehicle of ICAM-1.
#108 Circulation. 2002 Sep 10;106(11):1397-402.
Fig. 3. 2-c is similar to 3-c (rotate.) The experimental condition for
3-c is different between the main text and the figure legend.
#109 Circulation. 2002 Mar 12;105(10):1240-6.
The lanes 1-3 in Skeletal alpha-actin in Fig. 3a is similar to the
lanes 2-4 of Skeletal alpha-actin in Fig. 1B.
#110 Arthritis Rheum. 2000 Feb;43(2):259-69.
There are a lot of duplications in the actin of Fig. 3B.
#111 J Clin Invest. 1999; 104(2):137-146
Fig. 2a. Src. Control is similar to AxCATcsk(moi) 100 (horizontally flip.)
Fig. 4b. IL-6. Control is similar to AxCASLacZ. Actin. Control is
partially similar to AxCATcsk(moi) 100.
Fig. 6d. Csk. Ax1w1 is similar to AxCATcsk Day42.

参考

  1. 新参者のために私がこれまで2ちゃんねるやこのコメント欄でしてきた111報の指摘を再び紹介します。匿名Aとは何か? この指摘をした人物のことです。あとはどーでもいい低脳な話をしているだけ。全て新規指摘ではないので騒がないでください。騒いだらか恥ずかしいです。新しく科学部に配属されたマスコミの方々は、一つ一つ丁寧に調べ、私が隠した数百万人の命に関わるリスクを見つけてください。(日本の科学を考えるガチ議論 捏造問題にもっと怒りを コメント欄 匿名A)
  2. 酷似する画像を含む生命科学論文がインターネット上で大量に指摘される

東大医教授ら6人の不正疑惑論文22報 本調査へ

2016年9月20日の報道等によると、論文不正の疑いを指摘する2通の匿名告発文書を8月に受け取り予備調査を行ってきた東京大学が、本調査を行うことを決定しました。

匿名による申立て事案にかかる本調査への移行について  平成28年9月20日  東京大学広報室

東京大学は、平成28年8月14日付け及び同年8月29日付けで匿名により本学に捏造及び改ざんの疑いがあるとして申立てのあった事案(6名、22報の論文)について、東京大学科学研究行動規範委員会規則に基づき、申立てを受理(第7条第5項)し、予備調査(第8条)を行いました。

その結果、申立ての正否を明らかにするため、本日、本調査(第10条)を開始することを決定しましたのでお知らせいたします。

なお、報道の取扱いに関しては、本調査の開始が被申立者の不正行為を認定するものではないことに留意いただき、被申立者の現在の研究活動への影響を含め、ご配慮いただきますようお願いいたします。東京大学ホーム > 広報・情報公開 > 記者発表 > 記者発表一覧 > 2016年度 > 匿名による申立て事案にかかる本調査への移行について

東大は告発内容を公表していませんが、サイエンス誌はこの事件を詳しく伝えています。サイエンスの記事は、告発文書の内容を紹介したブログ記事(世界変動展望)へもリンクしており、さらに、告発された教授らのうちの一人、門脇孝教授のコメントも伝えています。

“This is a totally groundless and false accusation by a faceless complainant,” Kadowaki told ScienceInsider in an email. “We have absolute confidence in all of our data,” he wrote. (University of Tokyo to investigate data manipulation charges against six prominent research groups. Science News ScienceInsider By Dennis NormileSep. 20, 2016 , 10:45 AM)

20160920scienceutokyotoinvestigate

(サイエンス誌記事の見出しのキャプチャー。但し、スペースを省くために東大キャンパスの写真を除去。)

 

参考

学術誌のニュース記事

  1. University of Tokyo to investigate data manipulation charges against six prominent research groups (Science News ScienceInsider By Dennis Normile Sep. 20, 2016 , 10:45 AM)

テレビ報道(ニュース動画あり)

  1. 東大教授6人に研究不正の告発 大学が調査へ (NHK NEWS WEB 9月21日 4時20分):”関係者によりますと6人の教授は、国内外の賞を受けるなど各分野でトップクラスの研究者で、告発の対象となった論文の中には国民の多くがかかる病気の治療法にもつながるテーマで多額の国の研究費が使われたものも含まれているということです。”
  2. 東大研究室の論文に不正疑惑 東大が調査に (日テレNEWS24 2016年9月21日 14:23):”東大は、予備調査で不正の疑いがあると判断し、学外の有識者らによる調査委員会を設置することを決めた。”
  3. 研究論文不正疑惑 東大、近く本格調査実施へ (フジテレビ系(FNN)/YAHOO!JAPANニュース 9月21日(水)8時38分配信):”この問題は、8月17日と9月1日の2度にわたり、匿名の告発文が、東京大学や文部科学省などに届いたもの。”

 

新聞報道

  1. 東大、不正疑惑を本格調査 教授6人、論文22本(産経ニュース 2016.9.20 20:28):”6人には前東大病院長の門脇孝教授も含まれる。門脇氏の研究室は取材に「広報を通してほしい」と回答。東大広報は「(調査対象者の)名前は発表できない」と話している。”
  2. 東大 論文不正疑惑、本格調査 調査委設置へ(毎日新聞2016年9月20日 21時22分):”東大の研究室を主宰する教授6人が関係する研究の不正疑惑が一度に本格調査に入るのは極めて異例だ。 ”
  3. 東大、論文不正疑いで本格調査 医学系など6研究室(日本経済新聞 2016/9/20 20:36):”調査の対象となるのは、医学系の生活習慣病や神経疾患などの5研究室と、分子細胞生物学研究所の1研究室。”
  4. 東大、22論文で不正調査へ…匿名告発文書届く(読売新聞 YOMIURI ONLINE 2016年09月20日 21時35分):”学外の有識者を交えた調査委員会を今後30日以内に設置し、150日以内に不正の有無を判断する。”
  5. 東大論文不正疑惑、本調査へ 調査委設置、22本対象(朝日新聞DIGITTAL 2016年9月20日19時03分):”東京大学の医学系と生命科学系の計6研究室22本の論文に捏造(ねつぞう)や改ざんが指摘されている問題で、東京大学は20日、22本すべてについて本調査を始めると発表した。”

 

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データ捏造で研究費2億ドル 損害賠償請求訴訟

2016年9月1日のサイエンス誌のニュース記事によると、アメリカのデューク大学らの研究者は不正な研究データに基づいて総額2億ドルの研究費助成金を国から得ていたとして、研究者および大学は国に与えた損害額の3倍を支払うよう訴えられていることが明らかになりました。

デューク大学のWilliam Foster教授の研究室で働いていたErin Potts-Kant博士が研究データの捏造などの不正を行い、Potts-Kant博士とFoster教授の共著で論文を出していましたが、結果的に、彼女が関与した15報の論文が現在までに撤回されていす。Potts-Kant博士およびFoster教授は不正論文に基づいて研究費を獲得しさらに不正論文を生産することを長期わたって繰り返した結果、不正に得た研究資金の総額が2億ドル(助成件数60件以上)にも上っていました。データ捏造に直接関与したPotts-Kant博士、不正を隠蔽したFoster教授およびデューク大学は、国に与えた損害を弁済すべしというのが、今回の訴えの内容です。

Relator Joseph M. Thomas brings this action on behalf of the United States of America under the False Claims Act (“FCA”), 31 U.S.C.§§3729-33,  against Defendants Duke University, Duke University Health System, Inc,(“DUHS”), William M.Foster, Ph.D. (“Foster”), and Erin N. Potts-Kant (“Potts-Kant”) to recover losses sustained by the Public Health Service (“PHS”), the National Institutes of Health (“NIH”), the Environmental Protection Agency (“EPA”), and other Federal agencies responsible for administrering scientific aresearch grants. (Civil Action No.4:13-cv-00017)

裁判でこの訴えが認められると、実際に支払いを求められるのは不正で獲得した研究費の金額ではなく、ペナルティが科せられます。訴状によると、デューク大学、Foster教授、Potts-Kant博士らの被告側に対して、国に与えた損害金額の3倍の金額の支払いなどが求められています。

WHEREFORE, Relator, on be half of the United Sates, prays that judgment be entered in their favor and against Defendants as follows:
1. That Defendants pay the United States triple the amount of its damages to be determined, plus civil penalties of up to $11,000 for each false claim, statement, or record; (Civil Action No.4:13-cv-00017)

告発者は、当時デューク大学に所属していた研究者で、訴えが認められた場合、インセンティブとして数百万ドル(数億円)を手にする可能性があるとのことです。今回のこの訴訟は、国のお金を横領した個人や会社などに対して、その返還を求めて、個人が国を代表して訴訟を起こす制度False Claims Actに基づくものです。

ちなみに、Potts-Kant博士は今回問題にされている研究そのものに関する不正とは別に、25000ドル以上の研究費を着服し、アマゾンやウォルマート、ターゲットなどでの買い物に使っていたかどで2013年に逮捕されています。

サイエンスの記事:

”And last month, a U.S. district court unsealed a whistleblower lawsuit filed by a former colleague of Potts-Kant. It accuses the researcher, her former supervisor, and the university of including fraudulent data in applications and reports involving more than 60 grants worth some $200 million. If successful, the suit—brought under the federal False Claims Act (FCA)—could force Duke to return to the government up to three times the amount of any ill-gotten funds, and produce a multimillion-dollar payout to the whistleblower.” (Whistleblower sues Duke, claims doctored data helped win $200 million in grants. Science News By Alison McCook, Retraction WatchSep. 1, 2016 , 2:00 PM)

訴状は公開されていて、内容を読むことが可能です。

DukeSuedCivilActionNo4-13-cv-00017

Former researcher sues Duke, alleges Uni used improper data to receive funding. Duke University The Chronicle By Staff Reports | Friday, September 2 訴状へのリンク)

 

参考

  1. Duke Is Wake-up Call for Research Compliance (bna.com April 4, 2018) The case is in the discovery phase in preparation for a possible trial, according to filings tracked by Bloomberg Law.
  2. Judge Refuses to Dismiss Whistleblower’s False Research Data Suit Against Duke University and Two Faculty Members (The Health Law Firm Thursday, May 11, 2017) On April 27, 2017, a federal judge in North Carolina refused to dismiss a False Claims Act (FCA) lawsuit against Duke University and some of its faculty.
  3. Survival of Duke Research Whistle-Blower Case Could Mean More Suits (bna.com May 2, 2017)  Duke University and two Duke researchers will have to face claims they defrauded the government on NIH research grants ( United States ex rel. Thomas v. Duke Univ. , M.D.N.C., No. 1:17-cv-00276-CCE-JLW, order 4/25/17 ). Former Duke University employee Joseph M. Thomas sufficiently stated claims against Duke and the researchers, Judge Catherine C. Eagles of the U.S. District Court for the Middle District of North Carolina said in an April 25 order refusing the defendants’ bid to dismiss the suit.
  4. Joseph Thomas vs. Duke University: Lawsuit Update 4.28.17 (Scribd)
  5. Former researcher sues Duke, alleges Uni used improper data to receive funding (Duke University The Chronicle By Staff Reports | Friday, September 2)
  6. Whistleblower sues Duke, claims doctored data helped win $200 million in grants. (Science News By Alison McCook, Retraction Watch Sep. 1, 2016 , 2:00 PM)
  7. Embezzlement, 15 retractions, and a whistleblower could add up to trouble for Duke (Retraction Watch Written by Ivan Oransky September 1st, 2016 at 2:00 pm)
  8. William Michael Foster, PhD Professor in Medicine Depart of Medicin Duke University School of Medicine
  9. Lawsuit: Scientific fraud at Duke cost government $200 million in grant awards (The News&Observer By Jane Stancill September 2, 2016 7:22 PM)
  10. Duke researcher adds another retraction in JCI, bringing count to 15 (Retraction Watch Written by Alison McCook May 11th, 2016 at 12:05 pm):”We’ve found another retraction for Erin Potts-Kant, a former researcher at Duke, bringing her total to 15.”
  11. So you want to be a whistleblower? A lawyer explains the process (Retraction Watch Written by Alison McCook March 18th, 2015 at 9:30 am)
  12. False Claims Act (Wikipedia): The False Claims Act (31 U.S.C. §§ 3729–3733, also called the “Lincoln Law”) is an American federal law that imposes liability on persons and companies (typically federal contractors) who defraud governmental programs. It is the federal Government’s primary litigation tool in combating fraud against the Government.[1] The law includes a qui tam provision that allows people who are not affiliated with the government, called “relators” under the law, to file actions on behalf of the government (informally called “whistleblowing” especially when the relator is employed by the organization accused in the suit). Persons filing under the Act stand to receive a portion (usually about 15–25 percent) of any recovered damages. As of 2012, over 70 percent of all federal Government FCA actions were initiated by whistleblowers.