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偏差値偏重意識に支配された日本人たちへ MARCHってくくるのいい加減やめません?

  2018/02/22    Uncategorized

AI vs. 教科書が読めない子どもたち 「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」という本が評判らしい。著者は「東ロボ」くんプロジェクトリーダーで国立情報学研究所教授教授新井紀子氏であり、この本は日本のこどもの国語教育の危機を憂える内容だそうだ。ネット上のレビューを読むと、この本を絶賛する声ばかりである。 しかし、自分はこの本の帯の「人工知能はすでにMARCH合格レベル」という偏差値偏重意識が結晶化したような文言に驚愕した。 「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」お蔭様で、三刷が決まりました。 こちら↓からご購入いただきますと、無償でリーディングスキルテストを受検できる中学生がさらに増えます。よろしくお願いいたします。https://t.co/TEdoyT7Oyl — 新井紀子/ Noriko Arai (@noricoco) 2018年2月7日 MARCH(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学をまとめた呼称)は、もともと予備校関係者が作り出した言葉だそうだが、偏差値が似た大学をひとくくりにしたこの呼び方が今の日本で定着してしまっているのは、いかにみんなの意識が偏差値漬けになっているかということを物語っている。公立高校のウェブサイトでも頻繁にMARCHという言葉を見かけるが、教育者が使うべき言葉ではない。予備校関係者(営業)や高校生や受験生が使うのならいざ知らず、高校の先生どころか、国立大学の先生までもが使ってしまうところまで来てしまったのかと、もう世も末かなという気分になった。 ご主張の前半と後半の論理的整合性がないように思います。 — 新井紀子/ Noriko Arai (@noricoco) 2018年2月21日 著者にツイートしたが、「論理的整合性がない」と一蹴されてしまったので、自分の日本語が理解されなかったのかと思い、できるだけわかりやすい言葉に変えてみた。 独自の教育理念を持って教育にあたっている私立大学をいっしょくたにしてMARCHと呼ぶだけでも大学関係者に対して失礼極まりないし、さらに、MARCHレベルなどと表現することにより日本に蔓延する偏差値信仰の悪弊を増長させるのは、教育者として極めて不適切な行為だとは思いませんか?ということです。 — 日本の科学と技術 (@scitechjp) 2018年2月22日 結局、返答はいただけなかった。この本は、東洋経済新報社という大手出版社から発行されていることを考えると、「MARCHレベル」という言葉は著者だけでなく、編集者や校正など多くの人を素通りしたのだろう。オトナがみな麻痺しているというのは、重大な問題だと思う。2020年に入試改革があるが、入試をいじる正当性として、1点差で合否が決まるのがおかしいという主張がある。しかし、自分は1点差で合否が決まるのは公正さと言う点ではむしろいいことだと思う。高校の先生の主観が入る内申書などを使うよりも、ずっとましだろう。問題なのはそれよりも、偏差値が1違うだけで、大学の優劣、ひいては、人間の優劣まで判断してしまう人たちが少なくない数存在するということのほうだろう。そしてこのような偏差値による輪切りを助長しているのが、「MARCHレベル」などといった言葉なのである。教育を論じる本でこのような言葉が無神経に使われ、誰もがその異常さをスルーしているのが不思議でならない。もはやほとんどの日本人にとって、当たり前すぎて問題と感じられないのだろうか?人々の意識から、このような感覚を払拭しないかぎり、入試の形態を変えたところで、教育改革は成功しない。 自分の最初の文章を読み返したが、(棘はあるが)論理的に不整合な部分がみつけられなかったので、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」を今度図書館で借りて読んで、少し国語力をアップさせてから、続きを書こうと思う(だれか、論理的不整合なところを具体的に教えてください)。この本は、人気みたいでずっと「貸し出し中」なので、いつになったら読めるかわからないが。   読んでないけど、レビューで中身について触れられているので少し書いておく。東ロボくんはこれ以上賢くなりそうにないので打ち切られたらしく、本書ではAIの限界やSINGULARITYは来ないといった主張があるらしい。しかし、そもそも人工知能はこれ以上なかなか賢くならないと誰もが思っていたところでヒントン氏がブレークスルーを達成して今の流行があるわけで、単にこの著者のプロジェクト内では限界がありますというだけのことだろう。現在の技術を全て試したけどだめだったらしいのだが、新規技術を開発することが本来の研究ではなかったの?と疑問符が頭の中に浮かんでしまった。レビューしている人たちがあまりにも従順に本書の主張を受け入れているのも不安要素。   書きたいことがたくさんあるが、とりあえず、今日はここまで。   …

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WPIサイエンスシンポジウム聴講レポート

2018年2月11日(日)に未来科学館で世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)シンポジウムが開催され、ニコニコ生放送でもインターネット中継されました(開演10:30 終了17:42 来場者数:15451人 コメント数:5489 nicovideo.jp)。科学研究の世界のトップランナーたちが熱いトークを繰り広げて、とても面白いシンポジウムでした。以下、自分が聞いたセッションについてのレポート。 Part1:宇宙×地球 Part1:宇宙×地球のセッションでは、吉田直紀氏(東京大学 カブリ数物連携宇宙機構 主任研究者)が星(太陽のような恒星)が、宇宙が始まってすぐまだ何もない状態からどうやって形成されるのかを語り、コンピュータシミュレーションにより星の誕生する様子をビデオで紹介しました。難しい方程式に基づいた数値計算により、宇宙で初めて星が誕生する様子をビビッドに示して見せたのには驚きを覚えました。 続いて廣瀬敬氏(東京工業大学 地球生命研究所 所長)が地球の内部構造をどうやって明らかにしてきたかについて語りました。地球の構造を調べたくても、掘削しサンプルを取って来られるのは地表近くのみ。6400mもの深い地球の中心の状態を調べるためには、そのような高気圧、高温の状態を実験室で再現しているのだそうです。最も硬い物質であるダイアモンドを2つ押し合わせて地球の中心と同じ高圧状態を作り出し、さらにレーザーをあてることで地球内部の温度を実現。調べたい物質をこのような条件下において、その挙動を調べることにより、地球の中心部分の謎に迫ろうというわけです。地球の内部のマントル層は固体で、そのさらに内部のコアと呼ばれる領域は鉄が溶けた液体状態ですが、純粋に鉄だけだとすると観測される他の実験結果と合わないため、何か軽い元素との混合物のはずと理論的に予想されていました。金属より軽い元素として、水素、炭素、硫黄などの候補がありますが研究者によって意見が割れていて定説がありませんでした。廣瀬氏は、地球内部の圧力と温度で、マントル層が固体の状態に保たれ、なおかつコアが液体でいられるような条件を満たすためには、コアの成分としては鉄と水素でしか有り得ないという結論を得ました。実験事実に基づいて、地球の姿を正しく理解するための仮説を立て、さらに実験によりそれを検証するという科学研究の進め方がわかりやすく説明されていました。 誰しも子供のときは夜空を見上げて、多数の星を見ながら宇宙ってどうなっているんだろう?と疑問を抱くわけですが、吉田氏いわく、素人が抱く素朴な疑問が、実は現在の宇宙物理学の最先端のテーマそのものなんだそうです。このセッションの企画の意図は、研究者は一体何を考えているのかを知るということだったと思いますが、専門の研究者も実は疑問そのものは素朴なものなのだということを聞いて、へぇーっ、そうなんだ、と思いました。 廣瀬氏は、実験は1年のほとんどはうまくいかなくてがっかりするようなことの連続だけれども、1年に数日、エキサイティングな実験結果を得られることがあり、そのワクワク感が研究の原動力だと語っていました。実験は上手くいかないことがほとんどというのは、実験科学であればどんな分野でも共通するようです。   Part2:動物×植物 Part2:動物×植物のセッションでは、東山哲也氏(名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所 副拠点長)が植物の受精の研究について語りました。めしべの内部、奥深くで起きる受精現象は、両生類の受精などとは異なり、直接観察することが非常に難しいわけです。それをいかにして可視化することに成功したかという話から始まりました。地球上にはおよそ25万種の植物があるそうですが、卵細胞が存在する部分がめしべの組織の内部になくて外側にあるような風変わりな種であるトレニア(Torenia fournieri)を実験材料に選んだことが実験成功の鍵となったそうです。多数の論文を読んでそのような種が存在することを知ったのだとか。また、シャーレの中で受精させて観察しようという試みにおいては、花粉から伸びてきた花粉管が卵細胞と合体させることがなかなかできなくて、試行錯誤の末、実は、伸びた花粉管がめしべの中を通過した場合に受精が起きることがわかったそうです。つまり、めしべは花粉管伸長のは単なる通り道でなく、精細胞に受精する能力を与える役割を担うことが分かったのです。花粉管が卵細胞のほうへ伸びていくことは知られていたわけですが、なぜそうなるのかは140年間もの間謎だったそうです。めしべの中のどの細胞が花粉管を誘引するのかを調べる目的で、めしべを構成する細胞を一つずつ破壊してやることにより、助細胞(じょさいぼう、SY)という細胞が花粉管誘引に必要ということがわかりました。それだけでなく、さらにこの誘引物質の正体を突き止め、その小さなたんぱく質をルアーと名づけました。ここまででも大発見の連続なのですが、さらに驚いたことに、このルアーと名づけられた物質は、植物の種ごとに働きが限定されており、近縁種であっても花粉管を誘引する能力はないことがわかったそうです。逆に、トレニアとは遠縁の種であるシロイヌナズナにトレニアのルアーを分泌させると、トレニアの花粉管はシロイヌナズナのめしべに引きつけられたそうです。受精の際に同種を認識する重要な遺伝子だったという発見です。これらの一連の成果は、好奇心に基づく実験が発端だったわけですが、研究の進展によって、異種植物が交雑するしないの条件が明らかになり、人為的に雑種をつくることにより人間の役にたつ新種を生み出す技術の基礎研究となり得ることがわかりました。 Part2で動物の話をしたのが、柳沢正史氏(筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構)。柳沢氏は、科学研究者は、役に立つかどうかという観点から研究を始めるものではない、そういう態度でいては日本の科学研究は滅びると強く警鐘を鳴らすメッセージを発していました。柳沢氏はエンドセリン(強力な血管収縮作用を有する生理活性物質)の発見者としても知られていますが、現在は睡眠のメカニズムの研究を推進しています。研究では仮説駆動型研究が主流です。この生命現象に重要な役割を果たしているのは、この遺伝子だあろう、だからこの遺伝子を破壊してみて、その効果が確かに予測どおりに現れるかを調べてみよう、というリバースジェネティクス(逆遺伝学)のアプローチが、仮説駆動型と言えます。それに対して、何かの遺伝子が破壊された結果、期待した現象が生じるような動物個体を選びだして、後からその遺伝子の正体を突き止めてやろうという、最初に仮説を持たないアプローチが存在し、フォワードジェネティクス(順遺伝学)と呼ばれます。柳沢氏は、マウスを実験動物として用いて、このフォワードジェネティクスのアプローチを用いた研究を行い、8000匹以上ものマウスの睡眠時の脳波や筋電図を測定することにより、期待通りに、睡眠に異常があるマウスの系統(sleepyと命名)を見つけだしました。そして、その系統ではどんな遺伝子が破壊されているのかを調べています。このようにして、いまだに謎である睡眠のメカニズムに迫ろうとしているというお話でした。柳沢氏は、良いサイエンスをするためのアドバイスとして、専門的度胸(Technical Courage)を持ちなさいと説いていました。重要な問いを立てたら、その問いに答えるためには、自分の得意な手法、自分の専門分野内で必ずしも解決しようとはせずに、使えるものは何でもやる、場合によっては実験手法や専門分野を変えてでもその問題に取り組むという勇気が必要だということです。 今日の科学業界においては、自分の仮説にあうようにデータをでっちあげたり、データの取捨選択をするような研究不正が蔓延っていますが、柳沢氏は、自分の仮説を得られる実験データよりも上に位置づけて(データが仮説に合わない場合に)仮説のほうを優先するような態度は研究不正を誘発する行為であり、してはいけないと警告を発していました。 東山氏は、研究はとにかくワクワクしてやるもの。新しい現象の発見の瞬間が一番気持ちが盛り上がる。その後、論文を書くのは苦しいが、プロフェッショナルという意識を持って、産みの苦しむを乗り越えて、論文にまで持っていくことが重要であるということを述べていました。職業としての研究者の生き方がわかる言葉でした。 柳沢氏は、日本の科学教育のあり方についても言及し、今の日本の教育は、与えられた問いに答える訓練に終始してしまっているが、科学研究で重要なことは、良い問いを見つけることであると述べていました。アメリカでは小さい子供のときから学校でShow&Tellという授業があって、ぬいぐるみでもなんでもいいから何か自分の気に入ったものを学校に持っていき、クラスのみんなのまえで、それが自分にとってどんな意味を持つのかを語らせる授業があるのだそうです。こういう教育を小さいときからずっとやっているので、考える訓練が十分なされると言います。   ホンキギロン(プレゼン) さて、15時30分からはトークセッションが開催されました。最初にパネリストたちが1人ずつ自分の主張や研究内容をプレゼンし、その後、パネルディスカッションに移りました。 プレゼンのトップバッターはNATURE誌を発行しているシュプリンガー・ネイチャーのアントワーン・ブーケ(Antoine Bocquet, Tony)氏。トニーさんは日本で学位を取っていて日本語がペラペラでした。Tonyさんは、近年失速する日本の科学研究の状態を、数値グラフを見せながら説明しました。もう、どんな指標でもはっきりと数字で日本の失速ぶりが露わになっているという、キツイお話でした。 2番目の登壇は黒川清氏(政策研究大学院大学)。PCとプロジェクタの接続が不調でいつになっても用意したスライドが映し出されないというトラブルに見舞われましたが、そんなことを気にもしないで、日本の研究業界の問題点の指摘に熱弁をふるっていました。会社や組織など自分が所属する組織に忠誠を誓うのでなく、その職種のプロフェッショナルとして行動せよというお話でした。エンジニアやバンカーが日本ではメジャーな会社から同業の別のメジャーな会社に移れないという状態はおかしいと言います。研究者に関しても同様で、博士号を取得した後も同じ研究室に残って仕事をするのは、ラボのPIがその博士号取得者をテクニシャン扱いしているのと変わらないと指摘していました。プロフェッショナルであれば、組織にとらわれずに仕事ができないといけないということです。また、日本の現政権は、大学は社会の役に立つことをやれという圧力を強めていますが、黒川氏は、科学は本来curiosty-driven(好奇心に基づいて行なうべきもの)であると断言します。 JSTさきがけ研究員の戸田陽介氏は、もともとイネの研究で農学博士を取得されたのだそうですが、その後、農学x化学、農学x情報学という異分野融合の機会に恵まれることにより、農学x化学x情報学というユニークな研究分野を開拓されています。異なる分野の研究者は研究のカルチャーや考え方が違いすぎて、共同研究を行なうことも非常に難しいことが多いのですが、戸田氏のように1人で異なる分野に通じていれば、学際的な研究プロジェクトを立ち上げることが可能になり、ユニークな研究を実現できる可能性を示していたと思います。 続いて登壇したのが東大大学院時代にGENEQUEUESTというベンチャー企業を立ち上げた高橋祥子氏。GENEQUEUEST社は、個人が唾液サンプルを送付するとそこからDNAを抽出しゲノム解析を行なうことにより、個人のゲノムの特徴を特定して遺伝子カウンセリングを行なうサービス。日本の研究が失速している一つの理由が、研究費が減っていることと先に話したトニーさんが指摘していましたが、研究を加速するために会社をつくったという高橋氏の行動は、研究費問題に関して一つの解答を与えるものです。何しろ会社を作った目的がそうなので、会社社長という立場でありながら、アカデミアの研究者のマインドも持ち続けているということでした。 このセッションの最後に登場したのが落合陽一氏。大学を辞めて椅子取りゲームからめでたく抜け出しましたという言葉には驚きました。自分で会社を立ち上げて利益を出し、そのお金を大学に還元して自分の大学のポストの給料をそこから出す仕組みにしているのだそうです。これまた、日本の研究が失速した要因として大学のポスト不足が挙げられるわけですが、落合氏のやり方はこのような困難な状況をものともしない生き方で、大変大変驚かされました。1年間に65個ものプロジェクトを走らせているという多作の人です。学生数が44人、会社で雇用しているエンジニアが6人。仕事の効率がどんだけいいの?と凡人の理解をはるかに超えていました。   ホンキギロン(パネルディスカッション) さて、個々のプレゼンのあと、トークセッションに移りました。ニコニコ生放送らしい企画で、パネルディスカッションの議題はインターネットの視聴者がその場の投票で選びました。投票結果は、 科学・テクノロジー 未来予測 29.4% …

2017年阪大&京大入試 音波の問題の解説

  2018/02/04    大学入試

出題ミスへの対応が遅れて、実に1年近くも経ってから大阪大学と京都大学がそれぞれ追加合格者が出すことになった、いわくつきの音波のの問題を、出題ミスを指摘していた予備校物理講師の吉田弘幸氏が解説。 吉田弘幸先生の物理① 2017年度大学入試考察 音波の反射 吉田弘幸先生の物理② 2017年度大阪大学入試考察 10:11~ 問5でnが整数から遠い値になってしまうことについて 12:58~ 大阪大学の追加説明に関して 吉田弘幸先生の物理③ 2017年度京都大学入試考察   参考 音波の干渉と反射について 2017年度大阪大学および京都大学入試出題内容の検討 吉田弘幸氏による解説 (PDF) 高校物理における音波の解説 2018年1月12日 京大理 佐々真一 (PDF) 2017年度 京都大学入試問題「物理」 出題ミスとの指摘あり (四谷学院大学受験予備校 公開日:2018/01/23 最終更新日:2018/02/01)指摘のポイントは何か?大阪大学、そして京都大学、いずれも大きなポイントが2点あります。POINT1 1つの音源から異なる方向に出される音波の位相はどう考えればよいか POINT2 壁で反射された音波の位相はどう変わるか 京都大学の出題を解説 京都大学の出題の問題点(1)四方八方に出る音は、同位相で送り出されると見てよいのか?(2)壁で音波が固定端反射するとはどういうことか? 京大入試ミス 「もっと早く気付けた」6月外部会合で疑問 (鳥井真平、飼手勇介、池田知広 毎日新聞2018年2月1日 22時06分 最終更新 2月1日 22時06分) 京大がミスの可能性について、外部から初めて指摘を受けたのは1月15日。‥ 1月15日に文科省にメールで指摘した予備校「四谷学院」の教務部長、栗山潔さん(47)は「阪大も京大も条件設定の不備だったが、阪大は複数の解答を正解にして、根本的なミスを認めていない。それと比べると、京大は全面的にミスを認め、良心的だと思う」と話す。阪大のミスを指摘し、同19日に京大のミスも直接指摘した予備校講師の吉田弘幸さん(54)は「京大も文科省も早く対応したのは、阪大のケースがあったからではないか」と語った。   大学が公開した解説 …

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ネイチャー姉妹紙Communications Biologyが創刊

  2018/02/02    Uncategorized

ネイチャーブランドの雑誌(ネイチャー、ネイチャーの名前を冠する姉妹紙)やサイエンティフィックレポーツを発行してい出版社シュプリンガーネイチャーが、新たにオープンアクセスジャーナルCommunications Biologyを創刊しました。最初の論文は、2018年1月22日付けで公開されています。 ネイチャーシュプリンガー社の人気オープンアクセスジャーナルとしては、Nature CommunicationsとScientific Reportsがありますが、Communications Biologyは、投稿規程の記述によるとその中間のランクに位置づけられていることがわかります。 Communications Biology は、Nature Researchが提供するオープンアクセス・ジャーナルで、生物科学の全分野における高品質な論文・総説・論評を出版します。本ジャーナルで出版される論文は、特定の研究分野に新たな生物科学的知見をもたらす重要な進展情報です。 NatureおよびNature 関連誌はその編集過程において、影響度と重要度に関する最高レベルの審査基準を採用しています。学際的オープンアクセス・ジャーナルのポートフォリオ内で先駆けとなったNature Communications は、編集過程において高度な審査基準を採用し、特定分野の専門家にとって重要な進展情報を出版しています。Communications Biology は、Nature Communications を補完する役割を担っています。すなわち、生物学において比較的専門性の高いコミュニティーが注目する可能性のある重要な進展情報を出版する一方、広範な影響度・重要性を考慮したNature関連誌(Nature Communications を含む)の高度な編集基準を満たさない進展情報を提供しています。 論文が1つのNature・Nature 関連誌により不受理となった場合、自動原稿転送サービスを利用して、Communications Biologyに投稿することができます(当該原稿を担当したエディターから投稿先リンクが提供されます)。 Communications Biologyにより原稿が不受理となった場合、著者は同一の原稿転送サービスを利用して、Scientific Reports や他のNature Research出版誌に投稿することができます。 (投稿規程より)(太字強調は当サイト)   Communications Biology fills a specific need within the Nature Research …

京大も2017年物理出題ミスを認め追加合格

  2018/02/01    大学入試

京大2017年入試物理でも出題ミスが指摘されていましたが、京都大学は入試ミスを認め、2018年2月1日16時から記者会見を行い、今回の件に関して謝罪および説明しました(NHKがインターネット中継し、18:19分ころに会見が終了)。 KyodoNews 2018/02/01 北野正雄 副学長は記者会見し「極めて遺憾」と謝罪。   採点のやり直しにより、17名が追加合格。追加合格の内訳は、理学部4人、工学部10人、農学部3人。第1志望に合格していたのに、第2志望以降に入学していたのは工学部7人、農学部4人。 これらの学生は、転科が認められるとのこと。他の追加合格者に関しては、2018年4月からの入学が望ましいが、既に他大学に在籍しているなど個々の状況が異なる可能性があるため、個別に希望を聞いて対応するそうです(参考:記者会見の質疑応答)。 山極寿一学長のコメント「影響を受けた受験生や学生の立場に立って、誠意をもって対応していく」(JIJI.COM 2018/02/01-16:59)   入試ミスの指摘と問題点の解説 京大がミスの可能性について、外部から初めて指摘を受けたのは1月15日。‥ 1月15日に文科省にメールで指摘した予備校「四谷学院」の教務部長、栗山潔さん(47)は「阪大も京大も条件設定の不備だったが、阪大は複数の解答を正解にして、根本的なミスを認めていない。それと比べると、京大は全面的にミスを認め、良心的だと思う」と話す。阪大のミスを指摘し、同19日に京大のミスも直接指摘した予備校講師の吉田弘幸さん(54)は「京大も文科省も早く対応したのは、阪大のケースがあったからではないか」と語った。(京大入試ミス 「もっと早く気付けた」6月外部会合で疑問 鳥井真平、飼手勇介、池田知広 毎日新聞2018年2月1日 22時06分 最終更新 2月1日 22時06分) 昨日,京大に送ったメールの文面 pic.twitter.com/szAyQKqMSP — よしだひろゆき (@y__hiroyuki) 2018年1月20日 2月12日に開催する講演会「音波の反射と干渉」のレジュメ(暫定版)です。https://t.co/62xMIRrzoj — よしだひろゆき (@y__hiroyuki) 2018年1月19日   入試ミスの内容 該当する問題:物理問題Ⅲ(4)「せ」(別紙2参照) 配点3点 (入学試験問題PDF) ミスの内容:問題文中に条件設定が不足していたため、正解が一つに定まらない設問となっていた。 ※ 問題の解説については「物理問題Ⅲ(4)の解説」(別紙3)を参照 (京都大学 2018年02月01日)   京都大学による問題点の解説 壁での反射について …

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論文数の世界ランキングで日本は6位に後退

  2018/01/25    研究力強化, 科学出版

全米科学財団(National Science Foundation, NSF)が、世界の科学技術の動向をまとめた報告書Science and Engineering Indicators 2018を発表しました。2016年の論文数世界ランキングで、日本は6位。論文総数が減少傾向にある国は日本だけで、その凋落ぶりが際立ちます。 論文数ランキング1位は中国 、以下、2.アメリカ、3.インド、4.ドイツ、5.イギリス、6.日本。7.フランス、8.イタリア、9.韓国、10.ロシア、11.カナダ、12.ブラジルの順。 (出典:Science and Engineering Indicators 2018) 中国の台頭は、総論文数だけでなく被引用数ランキングトップ1%論文のランキングで見ても、著しいものがあります。 (出典:Science and Engineering Indicators 2018)   ちなみに前回の報告書Science and Engineering Indicators 2016では、日本は3位でした。Science and Engineering Indicators 2018のレポートでは、ドイツ、イギリス、インドに抜かれて6位に転落したということになります。 (出典:Science and Engineering Indicators 2016)   10年前の報告書 日本が論文数2位という時代が、かつてありました。 (出典:Science …

京都大iPS細胞研究所で論文不正

★2018.1/22放送 NHKニュース7 京大iPS細胞研究所で論文のねつ造や改ざん★ 経緯 経緯 iPS細胞研究所相談室に、同研究所所属の助教が著者である論文の信憑性について疑義があるとの情報が寄せられた。これを受け、相談室において研究所に保存されていた1次データ(実験機器の測定値をそのままエクセルファイルに写したもの)から論文の一部のグラフの再構成を試みたところ、論文通りのグラフを再現することができず、論文の主張を裏付けることができなかったことから、平成29年7月3日、大学の通報窓口へ通報が行われた。通報を受け、予備調査を行った結果、本格的な調査を行うことが必要であると判断し、外部委員を含む調査委員会を設置し、調査を開始した。 結論 調査の結果、論文を構成する主要な図6個すべて、また補足図6個中5個において捏造と改ざんが認められる。これらの捏造または改ざん箇所の多くは、論文の根幹をなす部分において論文の主張にとって重要なポイントで有利な方向に操作されており、論文の結論に大きな影響を与えていると認められる。かつ、論文の図作成過程において、正しい計算方法に基づき正しい数値を入力するという基本事項が徹底されていなかった。 (京都大学における研究活動上の不正行為に係る調査結果について(概要) PDF)   データ捏造が認定された論文 In Vitro Modeling of Blood-Brain Barrier with Human iPSC-Derived Endothelial Cells, Pericytes, Neurons, and Astrocytes via Notch Signaling. Stem Cell Reports Volume 8, Issue 3, 14 March 2017, Pages …

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京大2017年入試物理でも出題ミスの指摘

  2018/01/21    大学入試

追記 新しい記事 → 京大も2017年物理出題ミスを認め追加合格が17名(うち、既に京大の他学科在籍者11名)になったことが2018年2月1日の記者会見で発表されました。 * * * 以上、追記 * * *   2017年阪大入試物理の出題ミスを2017年8月に指摘していた予備校の先生が、京都大学の2017年物理においても出題ミスがあったのではないかという指摘をしています。 2017年京都大学前期日程物理IIIの問題文     京都大学 前期日程 物理 Ⅲ 問題文(代々木ゼミナール)   京大に対する出題ミスの指摘 京大の2017年入試物理でも出題ミスがあるという指摘がなされました。 昨日,京大に送ったメールの文面 pic.twitter.com/szAyQKqMSP — よしだひろゆき (@y__hiroyuki) 2018年1月20日   問題点の解説 いちおう完成しました。今度は図も少し入れました。https://t.co/NB3tJiKCWd — よしだひろゆき (@y__hiroyuki) 2018年1月17日   割れている予備校の解答 (せ)の選択問題の解答が駿台は①、河合塾と代ゼミは②と割れています。 駿台の解答 大学入試解答速報 京都大(物理問題III) せ① 河合塾 2017年国公立大二次試験 解答速報 京都大学(前期)物理 解答例 物理問題III せ② 代々木ゼミナール 2017年入試問題と解答例 京都大学 前期日程 物理III せ②   新しい記事 → 京大も2017年物理出題ミスを認め追加合格   京大の2017年入試物理IIIに関するツイート ツイッター上の様々な意見を紹介します(*随時追加、変更) あらきけいすけ@OUS‏ @arakik10京大の問題(車が壁に平行に走るときの波の干渉の部分だけ)を解いてみた。反射での位相の振る舞いは難しいかも。SEGの先生の「車の位置での波が云々」は、言いがかりに過ぎないように思われる。 …

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阪大が2017年入試「物理」出題ミスを解説

阪大2017年入試「物理」出題ミスを2018年1月6日に公表した大阪大学が、正答が3つあるという主張に関して1月12日に追加説明を公表しました。模範解答および採点にあたっての考え方が、非常に詳細に述べられています。 しかし、”問題Aの前文に、音叉は常に決まった振動数の音を発することが明示されているため、問題の前提条件としてはどちらかのモードのみで振動していると考える。”と言いつつ、”A-I. では逆位相振動モードを設定していた。A-III. の問4では振動モードを特定していなかった。”という説明自体、ロジックが完全に破綻しています。 矛盾した説明しかできないということは、つまりは、この説明は苦し紛れでつくっただけで、本当のことを伝えていないということでしょう 音叉とは、軸についている二本の腕が振動することにより、ある特定の振動数をもつ音波を発生する装置である。音叉の腕の振動の様子(モード) にはさまざまなタイプがあり、主に、二本の腕が互いに逆向きに振動するモード(以下、「逆位相振動モード」と呼ぶ、A-I. で設定した振動モード) と二本の腕が同じ向きに振動するモード(以下、「同位相振動モード」と呼ぶ) がある。音叉の基本的な振動モードは一般に逆位相振動モードであり、逆位相振動モードの方が実験的に観測されやすいと思われる。ただ音叉の振動を実験的に観測した著者による参考文献Russell, D. A. (2000). \On the sound eld radiated by a tuning fork.” American Journal ofPhysics, 68(12), 1139-1145. https://doi.org/10.1119/1.1286661 および同著者によるWeb ページhttp://www.acs.psu.edu/drussell/Demos/TuningFork/fork-modes.html によると、同位相振動モードで振動している様子も実際に観測されている。音叉を一つ定めたとき、同位相振動モードおよび逆位相振動モードはどちらもその音叉に対して可能な振動モードであるが、一般にそれぞれ異なる振動数の音波を発生する(前述の参考文献)。問題Aの前文に、音叉は常に決まった振動数の音を発することが明示されているため、問題の前提条件としてはどちらかのモードのみで振動していると考える。 A-I. では逆位相振動モードを設定していた。A-III. の問4では振動モードを特定していなかった。しかし、問5においては同位相振動モードで振動していることを前提として問題が作られていた。 理科問題(物理) 〔3〕Aの解説(1月12日追記)(大阪大学) (一部を抜粋。太字強調は当サイト) 阪大がこのよう模範解答を公表したことは、非常に歓迎すべきで、高校生、受験生の物理の勉強にも有益でしょう。しかし、出題ミスの釈明部分に関して言えば、全くなんの正当化にもなっていません。 〔3〕Aの問題文中には、、音叉に複数の振動モード(同位相または逆位相)が存在するという記述はありません。この物理の問題は、音叉がどのように振動して音を出すのかという予備知識を受験生に要求しておらず、むしろ、A-Iで受験生を誘導するような形で、逆位相振動モードによって音が発生する様子を図で丁寧に説明していたわけです。音叉の振動モードの可能性を複数考えると答えが一つに定まらないため、出題者の意図として、この段階で問題の条件設定をそのように絞ったということのはずです。ですから、受験生にしてみれば、A-Iでの誘導に則って、A-III問4も音叉が「逆位相振動モード」で音を発生させているという前提で解くのが当然でしょう。 A-Iの中で音叉が「逆位相振動モード」で音を出すことを丁寧に説明して受験生を誘導しておきながら、突然、A-IIIでは「同位相振動モード」で考えた答えのほうが「正答」で、「逆位相振動モード」で考えた答えも追加で正答とする阪大の態度は、矛盾しています。当然、外部からの最初の2回の指摘を却下した理由として、「同位相振動モード」で考えた答え2d=(n-1/2)λが正答だからというロジックは成り立ちません。 この追加説明は、物理の説明に関する部分は納得のいくものですが、出題ミスに関する釈明としては全く説得力がないと思います。大問のなかで分かれている小問ごとに、実は問題設定はバラバラなんですよというのは、これまでの入試の出題方法の常識を否定するような主張です。 …

阪大2017年入試「物理」出題ミスの真相

  2018/01/07    大学入試

新しい記事⇒阪大が2017年入試「物理」出題ミスを解説 2018年1月6日の報道によれば、大阪大学が2017年前期日程の物理の問題で出題ミスおよびそれに伴う採点ミスをしていたことが明らかになりました。 出題・採点においてミスがあった問題 注意:この問題を解くうえで、〔3〕のA.の問題文中の実験条件、および、問A-I,A-IIで説明されている条件設定なども重要になりますので、問題文全体(PDF)(10ページ~)をご覧ください。   大阪大学の説明 問4 には複数の解答が存在したが、採点時において特定の解答(下記「当初の正答」) のみを正解として扱ってしまった(採点誤り)。また、問5 については問4 の特定の解答の みを前提とした出題であったため、問4 の複数の解答(下記「検討後の正答」)と整合しな いこととなった(出題誤り)。 問4:当初の正答 2d=(n-1/2)λ → 検討後の正答 2d=nλ ,2d=(n-1)λ ,2d=(n-1/2)λ のうちのいずれか一つ 問5:問題の数値設定に不整合 → 全員に4 点を付与 (大阪大学 2018年1月6日(土))   しかし、物理の問題なのに、異なる答えがどちらも正解(←意味わからへん) というのは不可解です。大手予備校はどのような解答を出していたのでしょうか?   大手予備校や大手出版社の解答例 注意:以下は、2018年1月6日の報道以前の解答です。報道後、リンク先の予備校の解答は修正・変更されたものがあります。 駿台予備校  2d=nλ  駿台 2017年度 大学入試解答速報 大阪大前期日程  …