大学受験は点取りゲームなのか?

大学受験に限らず、テストの点数というものは勉強した結果に過ぎず、勉強するための目的ではありません。問題(学問)にどう向き合うかが一番大事なことだと自分は思ってきたのですが、その考えが世間で多数派というわけでもなさそうです。

大学受験は点取りゲームなのか

大学受験は点取りゲームだという塾や予備校の先生がたの主張をネットでよく見かけます。合格させてなんぼの立ち場からすれば当然という面もありますし、ゲームで育った子供にしてみれば、大学受験をゲームと見立てるのは勉強意欲を書きたてるよい方法なのでしょうか。

試験とは「点取りゲーム」だと言えます。解ける問題は「宝箱」、解けない問題は「落とし穴」です。問題用紙の上にそれらがバラバラに配置されています。いかにうまく落とし穴を避けて宝箱をゲットしていくかが大事です。(試験は点取りゲームだ! 修学塾 *太字強調は当サイト https://www.shugakujuku-kyoto.com/archive_detail23.html)

自分はほぼ全くゲームをやらない(やったことがない)人間なので、受験をゲームとみなす上のブログ記事の説明は、非常にわかりやすく、なるほどと思いました。

ゲームのボスを倒すのにどんな装備が良いのか?何が弱点なのか?どんな立ち回りが良いのか?など考えていると思います。勉強も全く同じです。自分の志望校に受かるためには何が必要なのか?何をすれば良いのか?どのくらい頑張ればクリア出来るのか?を理解できるようになれば、短時間・最短距離で合格可能です。(受験やテストは点取りゲームと考えるべき 札幌市WISDOM *太字強調は当サイト)

上の説明も説得力があります。ゲーム攻略も大学受験も「目標を達成する過程」という点では共通することが多いので、このアナロジーは当然と言えば当然かもしれません。

 

  1. 塾で受験対策の授業をしていると,受験は点取りゲームだなということをつくづく実感する。時間内にいかに多くの点をたたき出すか,に焦点を当て,それにコミットすることが受験においては何よりも大切であって,こだわりやプライド,強すぎる感情,好奇心などがあると点を稼ぐことは難しくなる。(点取りゲームの受験 2017/01/12 ゆきさん の ひとりごと)*太字強調は当サイト
  2. 受験は学問ではなく、いかに得点を得ることができるかの点取りゲーム 朝日新聞 広告特集 企画・制作 朝日新聞社メディア事業本部
  3. ゲームとして見る大学受験 ~合格までの戦略的プロセス~ 2023年08月08日(火) 武田塾垂水校
  4. 受験はゲームだと考えたほうがいい理由 まなびレーダー 2024年1月11日 06:30 受験というのは、一言でいうと点取りゲームです。
  5. 【特別公開】大学受験のゲーム性について 二者面談 チャンネル登録者数 1330人 https://www.youtube.com/watch?v=0ogvhxw44pw

よく受験はゲームだなんていうけど、その通りだと思う。世の中にはその解釈に同感する人は結構多いように感じるけど、でもその「ゲームのようだ」ということがどんなことか理解している人は実は少ないんじゃないだろうか。(大学受験勉強とゲーム 2022-04-19 Math x Life Style!!)

しかし、受験を点取りゲームと考えて日頃の勉強に向かうのは、大学合格以降の人生まで考えたときには、あまりお勧めできないことです。特に、大学卒業後に大学院に進学し、研究者を目指すような場合は、学問に対する態度として全くお勧めできません。

 

受験を点取りゲームと考えるのが良くないわけ

人生における大学の位置づけは人それぞれなので、大学に合格したあとで勉強しようがしなかろうがその人の自由だとは思います。ただし正論を言えば、大学は勉強するところ、学問をするところですから、大学での学問につながるようなやり方で大学受験勉強をしていたほうが、高大接続がスムーズなんじゃないかと思います。

自分は理系の大学に行ったので理系のことしかわかりませんが、理系の学生が学ぶべき自然科学の量は膨大で、高校3年間で学ぶ量の軽く10倍以上、100倍くらいかもしれません。高校3年間かけて学ぶような重要な概念でも、大学の授業の中では数分で通過します。新しいことを勉強することが好きでない限り、理系の大学の勉強内容をこなすのはかなりしんどいでしょう。ゲーム攻略とのアナロジーが成立するとも思えません。

下のブログの記事が、自分が伝えたい内容をズバリ言語化してくれていました。

どうやら、大学というのは点取りゲームの会場ではないということがだんだんわかってきた。じゃあここはなんなんだと思った。どうやら大学は「知ることそのものを楽しむ場所」らしい。研究とかいうものをするために専門的な知識を得る場所。そしてそれに気づいたときに僕は絶望した。ここは地獄だと思った。だって、知ることは全然楽しくなかったから。点を取ることが楽しかっただけだから。

大学に入ってから勉強は好きじゃないことに気づいた やき 2019年1月19日 22:53 https://note.com/hack_yuck/n/nd16c4e869a8d *太字強調は当サイト

下の記事も、大学受験をゲームと捉えることの落とし穴を指摘しており、全くその通りだと思いました。

基本的に日本の入試(大学、高校、中学問わず)は、何をすれば高い評価を得られるか極めて明白な、シンプルなルールのパターン化された点取りゲームです。

与えられた課題に対しては好パフォーマンスができても、頼まれてもいないことを突き詰めて考えたり、「答えのない問題」や「答えが複雑で状況に応じ変化する問題」に太刀打ちできる"能動的な想像力・創造力"は身につきません。

モーリーがあえて言う。「日本の”受験教育”はもう終わりにしたほうがいい」2023年09月04日 週プレNEWS *太字強調は当サイト

  1. 受験と学問と研究は本当に違うゲームなのか?(かきかけ) 2016-04-22
  2. 受験は課金ゲーなのか 2021年03月06日 お受験ブルーズ
  3. 鉄緑会やサピの過剰教育で悲しいパターンにならないために(パターン演習の功罪)2024年05月16日お受験ブルーズ ”「点数だけをとる」ことに特化すれば、網羅的に全問題を洗い出してパターン化し、それを繰り返し演習するに決まっています。それを節操もなくやっているのが有名塾である側面があるのです。”

 

参考

  1. 【Q&Q&A夏期特別編】Q7.「進学振り分けってやっぱり点取りゲームなんですか?どんな授業取りました?」 東大入試.com
  2. 受験勉強を対戦ゲームにしたら超楽しかった 2012-03-21 シロクマの屑籠

 

まだ受験までに何年もあるのに、その時点での高校や塾、予備校におけるテストの順位を気にする人も多いですが、塾や高校での成績の順位が、大学合格を保証するわけではありません。行きたい大学の入試問題が受験当日に解けるかどうかで合格・不合格が決まります。