不正行為が存在する疑いはない論文12報 東京大学が類似画像論文に関する予備調査結果を発表

      2017/09/06

⇒ 新着関連記事 2016年9月1日 「もはや看過すべきではない」東大医学系4教授(4研究室)の基礎医学系論文における研究不正疑義の告発を受けて東大が予備調査を開始 アディポネクチン受容体NATURE論文など11報が対象

 

 

類似画像を含む論文の指摘を受けて予備調査を行っていた東京大学が2015年7月31日に結果を発表しました。

インターネット上で指摘のあった論文の画像データに係る調査結果について
平成27年7月31 東京大学

本年1月に新聞報道等された本学を含めた複数の大学の研究者が発表した生命科学系の論文84報に関して、切り貼りや使い回しの疑われる画像データがある旨インターネット上で指摘された件について、本学に係る12報(別添)において調査・審議を行いました。その結果、不正行為が存在する疑いはないと判断しましたのでお知らせします。

 84報の論文のうち、本学での研究活動成果として発表された論文12報(著者の所属先は、うち8報が医学系研究科、うち4報が医科学研究所)について、それぞれの部局において生命科学系の専門家並びに外部有識者により構成された予備調査委員会を設置し調査を実施しました。

医学系研究科及び医科学研究所での予備調査委員会では、論文8報及び4報について、著者に対して実験データ及び実験ノートの提出を求め、ヒアリング等を実施しました。

予備調査実施後、本学科学研究行動規範委員会において、予備調査結果の検証を行いました。審議の結果、各論文について東京大学科学研究行動規範委員会規則第2条に規定する不正行為が存在する疑いはないと判断しました。

東京大学理事(研究倫理担当) 境 田 正 樹
東京大学科学研究行動規範委員会委員長(副学長)
相 原 博 昭
(http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_270731_01_j.html)

疑いがないとした根拠を具体的に示すことが、世の中の研究者を納得させるためには必要でしょう。

Todai20150731ReportPoll

以下のリストは、東京大学が、”東京大学科学研究行動規範委員会規則第2条に規定する不正行為が存在する疑いはない”とした論文12報。

#1
Yamauchi T, Tobe K, Tamemoto H, Ueki K, Kaburagi Y, Yamamoto-Honda R, Takahashi Y, Yoshizawa F, Aizawa S, Akanuma Y, Sonenberg N, Yazaki Y, Kadowaki T. Insulin Signalling and Insulin Actions in the Muscles and Livers of Insulin- Resistant, Insulin Receptor Substrate 1-Deficient Mice.  Molecular and Cellular Biology. 1996, 16(6): 3074-3084.

(指摘された84報のリストの#7  http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 7C. Lane a is similar to Lane b.)

#2
Yamauchi T, Kamon J, Waki H, Murakami K, Motojima K, Komeda K, Ide T, Kubota N, Terauchi Y, Tobe K, Miki H, Tsuchida A, Akanuma Y, Nagai R, Kimura S, Kadowaki T. The Mechanisms by Which Both Heterozygous Peroxisome Proliferator-activated Receptor γ (PPARγ) Deficiency and PPARγ Agonist Improve Insulin Resistance. The Journal of Biological Chemistry. 2001, 276(44): 41245-41254.

(指摘された84報のリストの#8 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 4G. PIPs are similar to those of Fig. 5d in another paper (J Clin Invest. 2001 Oct;108(7):1001-13. #9 in this list.))

#3
Yamauchi T, Waki H, Kamon J, Murakami K, Motojima K, Komeda K, Miki H, Kubota N, Terauchi Y, Tsuchida A, Tsuboyama-Kasaoka N, Yamauchi N, Ide T, Hori W, Kato S, Fukayama M, Akanuma Y, Ezaki O, Itai A, Nagai R, Kimura S, Tobe K, Kagechika H, Shudo K, Kadowaki T. Inhibition of RXR and PPARγ ameliorates diet-induced obesity and type 2 diabetes. The Journal of Clinical Investigation. 2001, 108(7): 1001-1013.

 (指摘された84報のリストの#9 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 6b. The CD36 band in the lane HF is similar to the UCP2 band in the lane HF+BADGE (horizontal flip). The CD36 band in the lane HF+BADGE is similar to the UCP2 band in the lane HF+HX531 (horizontal flip).)

#4
Yamauchi T, Oike Y, Kamon J, Waki H, Komeda K, Tsuchida A, Date Y, Li MX, Miki H, Akanuma Y, Nagai R, Kimura S, Saheki T, Nakazato M, Naitoh T, Yamamura K, Kadowaki T. Increased insulin sensitivity despite lipodystrophy in Crebbp heterozygous mice. Nature Genetics. 2002, 30(2): 221-226.

(指摘された84報のリストの#10 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 6. 28S in a (WAT) is similar to that of in d (BAT). )

#5
Kamon J, Yamauchi T, Muto S, Takekawa S, Ito Y, Hada Y, Ogawa W, Itai A, Kasuga M, Tobe K, Kadowaki T. A novel IKKβ inhibitor stimulates adiponectin levels and ameliorates obesity-linked insulin resistance. Biochemical and Biophysical Research Communications. 2004, 323(1): 242-248.

(指摘された84報のリストの#11 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2A. The control lanes are similar to the salicylate lanes. Fig 3B. p-Akt in Lane 3 is similar to that in Lane 7. p-Akt in Lane 5 is similar to that in Lane 6. Akt in Lane 4 is similar to that in Lane 6. Fig 4. Lane 5 is similar to Lane 7 (horizontal flip).)

#6
Fukino K, Suzuki T, Saito Y, Shindo T, Amaki T, Kurabayashi M, Nagai R. Regulation of angiogenesis by the aging suppressor gene klotho. Biochemical and Biophysical Research Communications. 2002, 293(1): 332-337.

(指摘された84報のリストの#15 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1. The mice of 2 weeks are similar to those of 3 weeks (vertically enlarge).)

#7
Lapteva N, Ide K, Nieda M, Ando Y, Hatta-Ohashi Y, Minami M, Dymshits G, Egawa K, Juji T, Tokunaga K. Activation and suppression of renin–angiotensin system in human dendritic cells. Biochemical and Biophysical Research Communications. 2002, 296(1):194-200.

(指摘された84報のリストの#22 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 3A. Lane 1 is similar to Lane2 for GluSyn.)

#8
Lapteva N, Nieda M, Ando Y, Nicol A, Ide K, Yamaura A, Hatta-Ohashi Y, Egawa K, Juji T, Tokunaga K. Gene Expression Analysis in Human Monocytes, Monocyte-Derived Dendritic Cells, and α-Galactosylceramide-Pulsed Monocyte-Derived Dendritic Cells. Biochemical and Biophysical Research Communications. 2001, 289(2): 531-538.

(指摘された84報のリストの#23 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1 and Fig 2. 18S rRNA of Lane 2 (monocytes) in Fig 1 is similar to that of Lane 2 (alpha-GalCer-imDCs) in Fig 2.)

#9
Tulin EE, Onoda N, Maeda M, Hasegawa M, Nosaka T, Nomura H, Asano S, Kitamura T. A Novel Secreted Form of Immune Suppressor Factor with High Homology to Vacuolar ATPases Identified by a Forward Genetic Approach of Functional Screening Based on Cell Proliferation. The Journal of Biological Chemistry. 2001, 276(29): 27519-27526.

(指摘された84報のリストの#12 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 6. E is similar to f. Fig 9. D is similar to e and f (enlarge).)

#10
Tulin EE, Onoda N, Hasegawa M, Nosaka T, Nomura H, Kitamura T. Genetic Approach and Phenotype-Based Complementation Screening for Identification of Stroma Cell-Derived Proteins Involved in Cell Proliferation. Experimental Cell Research. 2002, 272(1):23-31.

(指摘された84報のリストの#13 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig7. Bone marrow cells of LZP is similar to those of CRP.)

#11
Kato A, Kiyotani K, Hasan MK, Shioda T, Sakai Y, Yoshida T, Nagai Y. Sendai Virus Gene Start Signals Are Not Equivalent in Reinitiation Capacity:Moderation at the Fusion Protein Gene. Journal of Virology. 1999, 73(11): 9237-9246.

(指摘された84報のリストの#16 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 5B. Some bands seem to be pasted in the figures. For example, lane 3 in the left SeV/mSF figure.)

#12
Hasan MK, Kato A, Muranaka M, Yamaguchi R, Sakai Y, Hatano I, Tashiro M, Nagai Y. Versatility of The Accessory C Proteins of Sendai Virus: Contribution to Virus Assembly as an Additional Role. Journal of Virology. 2000, 74(12): 5619-5628.

(指摘された84報のリストの#17 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2A. In the upper figure, 4C(-) 20 is simiar to 4C(-) 26. Fig 2B. GAPDHs of Wt 14, Wt 38, 4C(-) 14, and 4C(-) 20 are similar.)

東京大学の研究不正の定義は以下の通りです。

東京大学科学研究行動規範委員会規則 平成18年3月17日  東大規則第79号
(定義) 第2条 「不正行為」とは、研究成果の作成及び報告の過程において、悪意のない誤り及び意見の相違並びに当該研究分野の一般的慣行に従ってデータ及び実験記録を取り扱う場合を除き、次に掲げる行為をいう。
(1) データその他研究成果の捏造、改ざん又は盗用
(2) 前号に掲げる行為の証拠隠滅又は立証妨害(追試又は再現を行うために不可欠な実験記録等の資料又は実験試料等の隠蔽、廃棄及び未整備を含む。)(http://www.u-tokyo.ac.jp/content/400033442.pdf)

今回の東大の発表を受けて、インターネット上で「類似画像」論文を大量に列挙した匿名A氏が「捏造問題にもっと怒りを」(日本の科学を考える)のコメント欄に、大量のコメントを書いていますが、その中のいくつかのコメントの一部を抜粋して紹介します。

匿名A •   …… 須田さんには、東大医学部旧第三内科について本を書いていただきたい。Evi-1 Nature、IGFBP-4 Nature、AdipoR Natureについて取材をしていただきたい。…

 匿名A •   偉い人が捏造問題をなんとかしてくれる、ポスドク問題をなんとかしてくれると思ったら大間違いです。捏造論文は高々数万報。ポスドクは高々数万人。戦争は数百万人が死んでやっと終わったのです。現状では何も起こるわけがありません。

匿名A •  東京大学は、加藤研の調査が遅れた理由を、東大に限らず日本にも影響を与える問題だから、などと言ってました。なら、なぜ、何が起きていたのかを具体的に日本に教えないのでしょうか。

匿名A • ここを見ている若い人は、私の姿を見て、嘲笑していた方がよいです。感化され、捏造はよくないと思ったら大変です。捏造家は問答無用で完全無罪の方針が東京大学では固まりつつあります。ラ ボで捏造を見つけても、抗議しては絶対にいけません。…

匿名A •  捏造問題に怒りをまだ持っている人は日本にいますか?

匿名A •  東大病院についてはあまり指摘はしたくありませんでした。しかし、BBRCで明らかにおかしい大量の類似を見つけました。Nature姉妹誌でも類 似を見つけました。Journal of Clinical Investigationでひとつひとつ反転した複数の反転類似を見つけました。論文間の大量類似も見つけました。遡ると1996年にも見つけました。 1stも一人ではありませんでした。例の受容体の最初のNature論文でも90度回転の類似を見つけました。しかもその90度回転類似にはコレクション がされていました。類似画像が質量ともに充実していて、著者数も異様に多く、組織的で、年季が入っていて、尾形教授を守っているらしく、当時気づいていた のに目をつぶった可能性もNatureコレクションから伺えることから、これを指摘しないのは国益に反すると判断し、指摘することにしました。見つける経 験を皆さんに得てもらうため、指摘箇所は最小限にしました。どのような実験ノートが残っていれば全部不正なしになるのか、想像できません。

EMBO J 2000の先生にウイルスベクターを渡した方の論文は、指摘した論文と同じように派手なことをしている同じ筆頭著者の別の論文が前にリトラクションされていました。当時気づいていたのに目をつぶった可能性が伺え、指摘することにしました。

 匿名A • … 捏造問題の現状は、平時とはとても呼べません。研究者の紫綬褒章は捏造論文に与えられるものなんだろうか、と勘違いする人が出かねない状況は、戦時でしょう。 …

匿名A •   … 処分なんかどうでもよくて、論文の修正だけしてもらえればそれで良いのですが、修正がほとんどの論文でなされていません。今回の東大の報告のように、事実の開示もありません。根拠なく「不正の疑いはない」とだけ端的に示すのは、 「STAP細胞はあります」という端的なセリフを繰り返したマスコミに追随しているのでしょうか。 … どうすれば東大などの大学が事実を開示する大学になるか、アイデアがある人は教えてください。

匿名A • 研究不正は大罪です。ドーピングにたとえる人を私は許せません。殺人事件を20円のキセルにたとえるようなものです。 匿名A 匿名A •  修正します 研究不正 → 論文捏造

匿名A •  東大病院は、AdipoRが本当にアディポネクチンと結合するかを公開実験で示した方が良いでしょう。いろいろな媒体で疑惑が公に指摘されてますか ら、包み隠している場合ではありません。集中confidentialでは、このラボは再現が取れないことで有名とはっきりと書かれてます。AdipoR の結晶構造が解かれた直後、構造生物学分野の若手のツイッターで、あでぃ○と結合しないんじゃ、と明確に書かれています。そもそも、Wikipediaに 指摘されてます。AdipoRを最初に報告したNature論文の最初のFACSの図は90度回転コピペです。今回5報全部シロになりましたが、BBRC はさすがに理解不能です。

糾弾しているわけではなく、再現出来るのであれば公開した方が、東大病院の為に絶対になります。BBRCなら捏造 でも構わないのかもしれませんが、Natureの疑惑はよくありません。文科省も、特別推進とERATOの代表論文くらいはこっそり再現確認してはどうで しょうか。

匿名A •  捏造問題と戦っていたつもりが、東大から、全部捏造ではないと示されると、むなしいです。ジャングルで頑張っていたら戦争が既に終わっていたような感じでしょうか。むしろ、ジャングルで頑張っていたら日本という国がなくなっていたような感じかもしれません。…

匿名A •  東大病院長のBBRCが捏造でないなら、この世に捏造論文など存在しないです。 … この世に捏造論文が存在しないなら、幸せなことです。私は、時事通信が紹介した通り、捏造のない世界をつくりたいと願いました。夢見ました。私は意外な形で夢を叶えたのかもしれません。ユートピアを目指したつもりが、すでにユートピアだったと。…

 

参考

  1. 東大、論文画像「不正行為なし」 調査結果を発表 (日本経済新聞2015/8/1):”東京大は1日までに、画像データに切り貼りや使い回しの疑いがあるとインターネットで指摘された生命科学系の論文12本を調査した結果、不正行為はなかったと発表した。…”
  2. 大阪大学、類似画像データ論文の調査を打ち切り 本調査を行わないことを決定
  3. 酷似する画像を含む生命科学論文がインターネット上で大量に指摘される

記事更新

  1. 2016年9月6日 当サイトが実施した簡易投票の結果を記事中に埋め込みました。また匿名A氏の指摘も論文リスト中に併記しました。
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 - 東大医学部論文不正疑惑, 論文データ捏造