早稲田大学が小保方氏のD論に関する記者会見

      2018/04/28




早稲田大学は小保方晴子氏の博士号取り消しに際して1年間の”執行猶予”を与えていましたが、猶予期間内に博士号取得に十分な内容の博士論文が提出されなかったとして、小保方晴子氏の博士号取り消しを確定し、その説明のための記者会見 を2015年11月2日に開きました。早稲田大学のウェブサイトでも、その概要を公表しています(「本学先進理工学研究科における博士学位論文の取扱いについて」)。

大学は、本学学位規則23条に則って、2014年10月6日付で、小保方晴子氏に授与された学位を取り消すが、学位を授与した先進理工学研究科にお ける指導・審査過程には重大な不備・欠陥があったと認められるため、一定の猶予期間を設けて再度の博士論文指導、研究倫理の再教育を行い、博士論文を訂正 させ、これが適切に履行された場合は学位を維持できることとした。

この決定に従い、先進理工学研究科では2014年11月に指導教員を選出し、論文提出・審査のスケジュールなどと共に本人への通知を行い、再度の論文指導体制を整えていたが、小保方氏の事情により、6月になるまで指導を始めることができなかった。

指導教員らは、小保方氏の来校が困難であることを考慮して、直接本人のもとを複数回訪れることに加え、メールや電話によって、草稿の内容確認や訂正 指示等の指導を行った。また、倫理教育についてもe-ラーニングでの受講環境を提供し、本人は9月までに所定の講座を修了した。

し かしながら、指導教員らの指示に従って何度か改訂稿が提出されたものの、それらの改訂稿は、なされるべき訂正作業が終了しておらず、審査に付すべ き完成度に達していないことから、先進理工学研究科では10月29日の運営委員会で協議を行い、論文審査に付すことができないことを確認した。また、小保 方氏より猶予期間の延長を求められていたが、これには応じないことをあわせて決定した。

これを受けて、大学は、10月30日の研究科長会の議を経て、「博士学位論文として相応しいもの」が提出されないまま、猶予期間が満了し、学位の取消しが確定したことを確認した。
本学先進理工学研究科における博士学位論文の取扱いについて

記者会見の模様。

【小保方氏の博士論文について】早稲田大学 記者会見 2015年11月2日


登壇者
鎌田薫 (早稲田大学 総長)
橋本周司(早稲田大学 副総長)
佐藤正志(早稲田大学 理事)
古谷修一(早稲田大学 教務部長)

1:50- (鎌田薫早稲田大学 総長)
15:30- (質疑応答)

21:20-26:40 (WILL編集 しが)2点。水準に達していないというが具体的に何が問題だったのか?もう1点、7月の時点では学位審査会での訂正要求にしたがって訂正すればそれでOKという発表だった。ところが10月だと追加事項が増えて行って、今回の発表では水準に達していなかったという。どんどんどんどん要求水準が高くなって学位取り消しの流れをつくろうとしているようにしか見えないが?
25:03- (回答)(科学的根拠の記述が不十分な具体的例)B6系統のGFP陽性細胞を用いてキメラマウスを作出したという記載があるが、用いた細胞の由来や実験結果の科学的根拠を説明しうる記述が不足している。ハードルをあげたというよりは、論文として当然記載されているはずだということの要請であります。
48:00-49:04 (毎日新聞 須田)もう一点、博士論文のもとになっているティッシューエンジニアリングパートAや小保方さんが筆頭著者になっているネイチャープロトコールなどについても疑義が指摘されている。小保方さんが早稲田大学に在学中に発表した論文なので早稲田大学が調査する義務があると思うが調査はされていないのか、その理由は。
2:19:00-2:28:04 日本経済新聞 古田。(博士論文の根拠になったTissue Engineering誌の論文の疑義に関して調査をしない)早稲田大学というのはいったい科学の研究機関なのでしょうか?
2:32:15-2:38:15 Tissue Engineeringの論文で科学の部分は担保されたと考えているのか?2点目、ハーバード大学に調査を依頼するなどの連絡をとったのか?

学位論文の修正が不十分であったと早稲田大学が判断した理由として、博士論文のもととなった米国雑誌 「Tissue Engineering Part A」に掲載された論文(Obokata et al., 2011)の内容との不一致が挙げられています。そうであれば、Tissue Engineering Part A論文における研究不正の有無を早稲田大学が調査しないのも不可解な話で、記者会見でも記者らがその点を追及しています(上の動画48:00-、2:19:00-、および2:32:15-)。

小保方氏の学位論文について具体的には、「論文中にコピー&ペーストした箇所があったこと、企業Webサイトからの写真の盗用があったこと、参考文 献情報が適切に掲載されていないこと、科学的根拠・論理性に乏しかったこと、以上の4点に問題があった」とし、再指導によって改訂稿ではコピー&ペースト や写真の盗用が行われている箇所の修正・差し替えが行われたというが、やはり「科学的根拠、および論理性が不十分」であったという。

その詳細について同大学は「現在提出されている博士論文自体は途中稿なので、コメントは差し控える」としたが、博士論文のもととなった米国雑誌 「Tissue Engineering Part A」に掲載された論文の内容との不一致があったこと、実験手順などの記述が不足していることなどがあったとした。
小保方氏学位論文取消しについて「科学的根拠、論理性に問題」 – 早稲田大 マイナビニュース 周藤瞳美 2015/11/03

早稲田大学の今回の決定に対して、小保方晴子氏は不満の意を表明しています。

2015年11月2日

小保方晴子

私は、学位論文について、実質的な審査対象論文と異なった初期構想時の論文を誤って提出したことに対し、論文訂正と再度の論文指導を受 ける機会を与えて頂きました。このため、大学設置の調査委員会によって指摘された問題点をすべて修正して論文を再提出したところ、このたび、前回の授与時 判断と異なった結論を出されました。

昨年、総長からは、指導過程および学位授与の審査過程に重大な不備・欠陥があったとの理由から、猶予期間を設けて論文訂正と再度の論文 指導を受ける機会を与えるとし、これが適切に履行された場合には取り消さず学位を維持する、とのご決定を戴きました。私はこれに従い履行したにも関わらず の今回の決定には失望しています。

このような経緯の下での今回の判断は、総長のご決定の趣旨及びその背景にある大学調査委員会報告書のご意見に大きく外れるものであり、学位規則の取消要件にも合致しないものであると思います。

前回の学位授与は、私の在学中に研究活動を指導し研究の進捗状況等の報告をさせて頂いていた教官の先生方らによって、正式な審査過程を 経たうえで授与されたものです。しかし、今回の同じ研究科における再度の審査過程では、今回の修正論文は博士に値しないとされることは、前回の授与時判断 と大きくかい離する結論であり、指導過程、審査過程の正当性・公平性について大きな疑問があります。

今回は、修正論文提出前から、担当教官によって、「今回は合格する可能性はとても低い」と伝えられ、不合格の理由においても、審査教官 から「博士として認めることのできないのは一連の業界の反応を見ても自明なのではないか」とのコメントがあり、学術的な理由とはかけ離れ、社会風潮を重視 した結論を出されたことは明らかです。また、今回の修正作業は、入院中、加療中での修正作業となり、思考力・集中力などが低下しており博士論文に能力を発 揮できる健康状態ではないとの診断書を大学に提出しておりましたが、ほぼ6年前の米国に保存されている研究資料を提出することなどを求められ、しかも厳し い時間制限等が課されるなど、心身への状況配慮などは一切なされず、むしろそれが不合格の理由にも採用されました。

修正論文提出後、「審査教官とのやり取りは始まったばかり」との説明を受けましたが、一回のやり取りだけで不合格の判定をされ、それに 対する私の意見も聞く耳を全く持って頂けない状況でした。これでは、当初から不合格を前提とした手続きであり、とても不公正なものであったと思います。こ の点については、大学にも改善をお願いしましたが、残念ながら聞き入れて頂けませんでした。

博士論文の骨子となる内容はSTAP研究の足掛かりとなった研究成果であり、理研で行われた検証実験においても一定の再現性が認められているものです。

博士論文執筆当時、この研究が広く役立つ研究に成長していく事を夢見て日々を過ごしていました。私の研究者の道は不本意にも門が閉じら れてしまいましたが、いつか議論が研究の場に戻る日を期待し、今回の再提出した博士論文や関連するデータは年度内をめどに随時公開して参る所存です。

以上
小保方さん「早稲田大学の決定はとても不公正」博士号「取り消し」にコメント(全文)弁護士ドットコム 2015年11月02日

 

参考

  1. 小保方氏の博士論文に関する早稲田大学記者会見 島田さんによる文字おこし TOGETTER
  2. <STAP細胞問題>小保方氏の博士論文取り消し でも早稲田大学の責任は? (THE PAGE 粥川準二 2015.11.03):”… 以上を理解する限り、研究機関としての早稲田大学は、研究や論文のどの部分に責任を持っているのかが曖昧なままです。”
  3. 早大:小保方氏の博士号取り消しへ 再提出論文で判断 (毎日新聞 2015年10月30日):”小保方氏は博士論文に盗用や不適切な記述があると認定され、大学の指示で再提出したが、学内の審査委員会が検討した結果、博士号取り消しが妥当と判断したとみられる。”
  4. 早大 小保方さんの博士号取り消しへ 猶予期間の延長認めず (スポニチアネックス2015年10月31日):”早稲田大は30日までに、STAP細胞を発見したと主張した理化学研究所の元研究者、小保方晴子氏の博士号を取り消す方針を固めた。…関係者によると、小保方氏側は猶予期間の延長を求めたが、認められなかったという。”
  5. 「小保方晴子氏の博士学位論文に対する調査報告書」に対する早稲田大学大学院先進理工学研究科 教員有志の所見 2014年7月24日:”1. Tissue Engineering 誌論文におけるデータの改竄疑惑への言及が存在しない点 科学研究論文において,データの信頼性を損なう改竄・捏造が致命傷であることは,改めて言うまで もありません。しかし,博士論文のもととなっているTissue Engineering 誌の論文には,明白と言ってよい画像の改竄(報告書における「実験結果欺罔行為」)が認められています。具体的には,Tissue Engineering 誌論文の図2、図3、図4 に電気泳動写真が掲載されていますが,まったく異なる遺伝子群の発現パターンに関して,同じゲルの写真を上下反転したり,一部切り抜いて流用したりすると いった改竄・捏造が既にネット上でも指摘されています。このうち,図3 は,博士論文においても図16 として採録されています。Tissue Engineering 誌の図3 は,ネット上での指摘を受け,責任著者のVacanti 教授によって,改竄が指摘された4 つの遺伝子群のデータを削除する形で修正(correction)されています。その理由は,「類似した見かけのデータを,複数の著者が編集したために起 きた過失」とされています。しかしながら,同様の図の改竄は,多くの場合Correction で済むものではなく,様々な科学論文誌においてRetraction(論文撤回)の対象となってきました。実際の写真を検討すると,「過失」というレベル ではないことは明らかで,学位取り消しの条件である「不正の方法」に相当するのではないかとの疑義があります。にもかかわらず,調査報告書では,「そもそ も博士学位論文の条件として査読付き欧文論文が前提となっており,このTissue Engineering 誌論文には修正がなされていること」を理由にデータの意図的な改竄(調査報告書に言う実験結果欺罔行為)には該当しないと結論付けています。しかしなが ら,Tissue Engineering 誌において,Vacanti 教授は強い影響力を持つと推測されるFounding Editor であり,軽微な「過失による修正」にとどめている編集方針には疑義があります。したがって,この論点については改めて独自の調査がなされてしかるべきと考 えます。”
  6. 調査報告書 早稲田大学大学院先進理工研究科における博士位論文関す調査委員会 平成 26 年 7月 17 日 (PDF 82ページ)
  7. ”アイデア&データの盗用、実験しなくても論文になる、事実の捏造、研究妨害、広報やネットと連携させた情報操作は、早稲田バイオサイエンスの『文化』と思っています。気の毒なことに彼女はその中で育ったのだと思います。実験のための基礎研究教育も極めて不十分です。特にTWInsには、そういった研究者が多く、『科学者の行動規範を纏めたシンガポール宣言』が出された、もとのもとのもとをたどれば、早稲田大学理工、化学科と生命医科に行き着きます。…”(尾崎 美和子  2014年3月10日
  8. 小保方晴子氏、早稲田大学博士号取り消しに1年間の猶予期間 (2014年10月13日投稿記事)
  9. 早稲田大学 先進理工学研究科有志教員が「小保方氏博士論文の調査報告書に対する所見」を公開(2014年7月24日投稿記事)
  10. 早稲田大学が、小保方晴子氏の博士論文に関する調査書を公開(2014年7月19日投稿記事)
  11. ハーバード大学バカンティ教授らがデータ捏造疑惑論文(Obokata et al., 2011)を「訂正」(2014年3月19日投稿記事)

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