ムーンショットPM筑波大教授が強制猥褻で逮捕

筑波大教授逮捕のニュース

【逮捕】女子学生に“わいせつ” 筑波大教授の男を逮捕 Dec 7, 2021【公式】日テレNEWS (動画削除済)

筑波大学の教授の男が、大学内で20代の女子学生に複数回にわたってわいせつな行為をしたとして逮捕されました。 強制わいせつの疑いで逮捕されたのは筑波大学・生命環境系の教授の大沢良容疑者(61)です。 警察によりますと大沢容疑者はことし4月から9月にかけて複数回にわたり、大学内の建物の中で20代の女子学生の胸などを無理やり触るなどのわいせつな行為をした疑いがもたれています。先月、女子学生が警察に被害を訴えたことから発覚したものです。 調べに対し大沢容疑者は、「強制的にわいせつな行為をした認識はない」と容疑を否認しています。(2021年12月7日放送「news every.」より)

逮捕の筑波大教授を送検

【指導後も】筑波大教授を送検 女子学生に“わいせつ” Dec 8, 2021 【公式】日テレNEWS (動画削除済)

報道に基づく事実関係

  • 2021年4月~9月 筑波大学生命環境系 系長 大澤良教授(61)が学内で複数回にわたって20代の女子学生の胸を触るなどのわいせつな行為
  • 9月下旬 女子学生が大学の「ハラスメント相談センター」に相談
  • 10月中旬 加藤副学長が教授に対して、女子学生と会ったり連絡を取ったりしないよう指導
  • 11月18日 女子学生が警察署に相談
  • 12月 警察が捜査し逮捕

参考:筑波大学幹部の教授 強制わいせつ疑いで逮捕 容疑を否認 12月07日 18時08分 茨城 NHK NEWS WEB

筑波大学の発表

本学教員の逮捕について

令和3年12月7日

筑 波 大 学

本学教員の逮捕について

 本日(令和3年12月7日)、本学の教員が、強制わいせつの容疑でつくば警察署に逮捕されたことは、誠に遺憾であり、大学としても大きな衝撃を受けております。

 警察の発表によると、同教員は、今年4月から9月にかけて、本学構内において県内在住の20代女性に数回にわたりわいせつな行為を行ったとされています。

 国立大学法人の教員という立場の者が、構内において、かかる行為を行ったことは許されざることであり、大学としてこのたびの事態を極めて重く受け止めています。被害者の女性に対しまして、心からお詫び申し上げます。

 今後、詳細が明らかになった段階で、大学として厳正な処分を行います。

 本学におきましては、これまでにも法令順守や職員倫理について指導を徹底してまいりましたが、このたびの事態を受けて、全学を挙げて更なる取り組みの強化を進めてまいります。

https://www.tsukuba.ac.jp/news/20211207173000.html

この筑波大学の公式発表を見て、呆れかえりました。「県内在住の20代女性に」ってなんですか?この文言だと、まるで筑波大学とは無関係な女性に対してのわいせつ行為であるかのように思えます。しかし実際には、自分が指導する大学院生(D3)の女性に対するわいせつ行為です。大学の事なかれ主義がよくわかる文章だと思います。「本学構内において」というのも、まるでキャンパスのどこかベンチかと思いました。実際には教授室という密室の中で行われたわいせつ行為です。「逮捕されたことは、誠に遺憾であり、大学としても大きな衝撃」というのもおかしな反応で、被害者は事前に大学に相談したにも関わらず、ほとんどなんの対応もせずに放置したため、被害者が弁護士や警察に相談したといういきさつがあるようです。

 

逮捕された教授はムーンショット型研究開発制度のPM

今回逮捕された教授は内閣府の1000億円規模の予算の研究事業「ムーンショット型研究開発制度」のプロジェクトマネージャー(PM)の一人です。

サイバーフィジカルシステムを利用した作物強靭化による食料リスクゼロの実現

プロジェクトマネージャー 筑波大学 生命環境系 教授 大澤 良
Researchmap

実施体制

被害を受けた女子大学院生にしてみれば、大規模な予算を獲得しているようなビッグボスを告発するのは非常に勇気の要ることだったと思います。普通に大学に通報しても、大学は学生よりもまず教授を守ろうとするのではないでしょうか。大学の公式発表の心無い文章ひとつみても、自分にはそのようにしか思えません。

被害者の女子学生は、ツイッターで告発に至る経緯を、拡散希望として詳細に説明していましたが、現在は削除したようです。


告発の経緯を説明した文章(削除前)を一読しましたが、重要なこととして、会話の一部が録音されていて、相手はセクハラ(強制わいせつ)をしていることを自覚してる発言があったこと、被害者は行為をやめてくれるように頼んでいること、被害にあった日付、時刻、場所の情報までないと証拠として取り上げられてもらえないこと、逐次記録された文書の存在が大事のようです。大学に相談したが放置され(大学からは他言しないように口止めされた)、弁護士や警察に頼ったといういきさつも書かれていました。セクハラやわいせつ行為は立証することが困難で、できるだけ客観的な証拠を残すことが大事だと思います。

”大沢容疑者は、調べに対し「強制的にわいせつな行為をした認識はない」と容疑を否認”(ヤフーニュース)とのことなので、合意があったかなかったかが裁判での焦点になるのかもしれませんが、大学教員が自分が指導する博士課程の学生に対してラボ内でわいせつ行為を働いたという事実だけで、断罪されるに十分事足りるのではないかと思います。研究者生命に関して言えば、博士課程の学生は教授に生殺与奪の権利を持たれている状態なので、弱い立場の学生から拒絶しづらい条件がそもそも存在しており、強制したつもりはないという言い訳は通りません。

勘違いする大学教授

今回の報道で、容疑者の言い訳「強制的にわいせつな行為をした認識はない」を見て思い出したのが、以前、日本化学会がつくった、教授の勘違いを助長させそうなこの動画。

関連記事 ⇒ 日本化学会のPR動画 教授への恋愛感情

学部学生や大学院生は、指導してくれる大学教授に対してはほとんど無条件に尊敬の念を抱くのではないかと思います。それを、何をやっても許されると勘違いしてしまうのだとしたら大間違いです。

 

参考

  1. 2021-12-07 ■筑波大の教授にセクハラされていた女子学生の件 はてな匿名ダイアリー

『今ここにある危機とぼくの好感度について』NHK土曜ドラマ第5話(最終回)2021年5月29日(土)

『今ここにある危機とぼくの好感度について』の放送が完結しました。腐敗した組織や社会に対する批判を、ありそうにないドタバタをふんだんに盛り込んで、楽しめる娯楽番組にまとめていたように思います。研究不正を告発した木嶋みのりが、いかにも理系の研究者にいそうな雰囲気で、いいキャスティングでした。木嶋みのりの口から出てきた言葉がすごい説得力を持って響いてきたのが印象的。ドラマ自体も、木嶋みのりを軸に全てが作られていたんじゃないかと思いました。

 

三芳総長の言葉

 

ここぼく 最終話 ネタバレ

いまここにある危機と僕の好感度について における木嶋みのりの存在の重さについて

今ここにある危機とNHKの好感度について

今ここにある危機と僕の好感度について 第4話 2021年5月22日(土)放送 #ここぼく

今ここにある危機と僕の好感度について

第4話ネタバレ

科学考証に関して

キャストについて

松坂桃李さんの好感度について

大学というところについて

総長の好感度について

コロナ禍の五輪強行との類似性について

第2話で去って行った木嶋みのりの存在のとてつもない大きさについて

今ここにある危機と僕の好感度についての面白さについて

 

参考

  1. NHK『今ここにある危機とぼくの好感度について』と菅首相の危機と好感度について 5/22/2021(土) 12:30 QJWeb クイック・ジャパン ウェブ
  2. 『半径5メートル』『ここぼく』勝田夏子CPに聞く “いま”を切り取る2作が生まれた背景 田幸和歌子 2021.05.22 10:00 Real Sound
  3. NHK土曜ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』第1話、第2話 研究不正告発のもみ消し 

NHK土曜ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』第1話、第2話 研究不正告発のもみ消し #ここぼく

NHKの土曜ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』の第2話の中で研究不正の話が取り上げられたようです。

ネタばれ

岸谷教授は「整えて」という言葉で、日常的に論文データの改ざんを指示していた。けれども、不正を追及されて「今度は言葉の意味の方を変えてきた」。「整えて」は、データの改ざんではなく「机の上を掃除しろ」という意味であると研究室内に周知徹底したのだ。(『ここぼく』が告発する意味の捏造 松坂桃李演じる危機感のない主人公のリアル 2021/5/2(日) 6:05 リアルサウンド YAHOO!JAPAN

 

元カノで非正規研究者のみのり(鈴木杏)は、岸谷教授(辰巳琢郎)の論文不正を世間に告発。大学当局は本調査に乗り出すことを余儀なくされる。だが、理事の須田(國村隼)らから過小報告のプレッシャーを受けた調査委員・上田教授(国広富之)が‥ 

(【土曜ドラマ】今ここにある危機とぼくの好感度について(2) 5/1(土) 午後9:00-午後9:49 nhk.jp

 

関連notes

私自身は責任者ではないものの、同ドラマに研究不正調査考証という形で協力させていただきました。ストーリーに責任を負う立場ではないのですが、そのような形で協力させていただいた立場としてはコメントしないわけにはいかないだろうということで、この件について、以下、コメントします。

「今ここにある危機とぼくの好感度について」第2話について Masaki Nakamura 2021/05/04 00:02 note.com

上のノートでは研究不正調査に関して一般論が説明されていました。かなり抑制の効いたコメントで、正直、自分はもどかしいものを感じます。

 

NHKドラマの不正隠蔽の描き方は誇張なのかI

上のノートでは、”ドラマではかなり誇張されて描かれているとはいえ、本ドラマで描かれているような形での研究不正調査への介入が” とドラマだからオーバーに描いているかのようにも説明しています。また研究不正隠蔽の描き方に関して憤っている大学教授もおられるようです(下のツイート)。しかし、私はOrdinary_Researchersの告発に対する東大の行動や、岡山大の事件などを見れば、むしろドラマで描かれた内容よりも今日本で現実に起きていることのほうがもっと恐ろしいと思います。ドラマでは告発したポスドク一人がキャリアを潰されただけかもしれませんが、岡山大では告発した教授二人が解雇の憂き目にあっているのです(ポスドクを軽んじるつもりはありませんが、ポスドクよりはるかに立場が強いはずの教授ですら学長に解雇されているという意味です)。要職についておられる方々はそうそう本音を表明できないとは思いますが、それにしても、正直、この温度差は一体なんなんだろうと思ってしまいます。

匿名掲示板には、匿名A氏による下のような書き込みもありました。真偽のほどは自分にはわかりませんが、Ordinary_Researchersの告発に関する東大のあの支離滅裂でデタラメな対応を目の当たりにすると、この文章が非常にリアリティを帯びて感じられます。

773匿名A ◆Zm8FyprZhE 2019/06/02(日) 03:11:58.86ID:lJqnTEYta
卒論生の時から捏造データの再現性の追試を担当させられた私と同僚は、みんなからとことん冷笑された。
辛いこと、爆発させたいことがたくさんあった。
そして、同僚は自殺した。教授室に殴り込みに来た同僚のお母さんは、未だに死の真相をしらない。
私と同僚は、愚直に誠実にやって、あれだけ馬鹿にされ、罵倒された。
もう同僚は死んだ。この世には帰ってこない。
だったら、もうこうなったら、私は真実にこだわることでとことん罵倒されたいのだよ。
東大医学部の捏造家が生き延びていることを甘受しているお前ら全員に嫌われたい。馬鹿にされたい。
(捏造、不正論文、総合スレネオ50 https://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/life/1555990307/770-n)

NHKドラマの不正隠蔽の描き方は誇張なのかII

上はドラマを見ずに書きましたが、第1話を見て少し細かいストーリーがわかったので書き直します。第1話では、研究不正がなかったことにするために、告発した女性が昔好意を寄せていた男を近づけて抑え込もうとしたり、この女性ポスドクが任期切れで行先がないので助教の口を与えるかわりに黙らせようとしたりしていたり画策していました。そんな目論見は見透かされていたわけですが、このようななりふり構わぬ裏工作が本当に有り得るのかというと、あり得なくないかもしれないけれどもそうそうないんじゃないのと思います。コメディー仕立てにするために、ドラマの制作者が思いっきりありそうにないことを持ち出したのかなと思いました。その一方で、森友事件のように悪いことをした連中がみな出世していたという現実もありますので、見て見ぬふりをできる人間がいい職に就くという現実からして、絶対にないとも言えない気がします。

NHKドラマの不正隠蔽の描き方は誇張なのかIII

第2話まで見ました。ネタバレになりますが、女性ポスドクの木嶋みのりが自分のラボで起きている不正を告発すると決めたときに相談した教授が、研究分野が近いから調査委員を引き受けると言ってくれて、しかし気苦労のせいか理事たちの強硬な姿勢のせいか途中で倒れてしまい、学内一の変人教授に一時的に調査委員長のおはちが回ったのですが、その変人教授がスナックで暴力行為を働いたのがすっぱ抜かれて停職処分となり、回復したくだんの教授が再び調査委員長を務めるのですが、大学から懐柔され、来年度の研究予算を倍増するから穏便に済ませるということを受け入れてしまったようです。

こんなこと(買収)が実際に起こるのかと言えば、まああり得ないんじゃないかと思います。東大医学部の不正調査を見てもわかるように、医学部の不正の調査には他大学の医学部の研究者を調査委委員長に当てたわけで、買収するまでもなく医学の権威たちに忖度せざるをえない人達を調査委員長や調査員にしたのだろうと思います。調査委委員は公開されなかったので、自分の推測にすぎませんが。理学部の不正を担当したメンバーが、同時に医学部の調査まで引き受ければ、不正なしの1行で済ませることなどあり得なかっただろうと思います。

NHKがフィクションのドラマの中で不正調査委員長を大学が買収したことにしたことを問題視するよりも、実際に日本で起きていることが、不正調査委員長や調査委員が忖度したのではないかと強く疑われるような調査報告書になっていることのほうを問題視すべきでしょう。不正調査報告を一切せずに不正なしで済ませているような大学の関係者がNHKにケチをつけるのは、感覚がマヒしているような気がします。

 

関連tweets

不正がない場合には調査内容を報告しなくて良いということにすると、研究機関が一言「不正はなかった」というだけで、不正は完全に隠蔽できてしまいます。東大は調査報告書の全面開示を拒んでいますが、わずかに開示された部分だけでも、手作業が通常だとか、不正としか思えない記述、支離滅裂な文言が垣間見えます。ですから、東京大学医学部に関する調査と判断が本当に妥当性のあるものだったのかどうかを第三者が検証できるように、すべての調査内容を公開すべきだと自分は考えます。


 


 

『今ここにある危機とぼくの好感度について』第2話のストーリーに対する評価


 

 

 


 

『今ここにある危機とぼくの好感度について』第2話の感想

 

 

『今ここにある危機とぼくの好感度について』第1話


 

NHKドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」1話のクライマックス 2021/04/25 rena rerena

  1. Watch Ima Koko ni Aru Kiki to Boku no Kokando ni Tsuite Episode 1 2021/04/26 Michael Noonan

東京大学が医学部研究不正疑惑論文に関する調査報告書を国民に開示しないのは妥当(総務省審査会第5部会の判断)

以前、総務省の判断を紹介しました。

東京大学が医学部研究不正疑惑論文に関する調査報告書を国民に開示しないのは違法(総務省審査会第4部会の判断)

新たな総務省の答申が公開されていたので転載します。不開示にする場合には具体的な理由を示す必要がありますが、前回、東大が示した理由は法律の条文をコピペしただけのお粗末なもので第4部会に違法と認定されていました。きっと、不開示とする具体的な理由が自分でも見いだせず、苦し紛れに条文のコピペで済ませてしまったのでしょう。

違法と認定されて困った東大、今度は法律の条文のコピペに毛が生えた程度の理由を示したところ、総務省審査会第5部会は驚いたことに東大の示した理由をそのままオウム返しにして認めてしまったようです。東大も第五部会も、判断の理由をろくに示さずに不開示が妥当と言っているわけで、情報公開法が全く機能していません。日本の司法は死んでますね。

個別の図表パターンについては,当該調査において,不正の疑いありと指摘のあった事項について,図表の作成の過程を調査委員会において検証した結果を補足説明するために図示したものであるため,請求者による「誤魔化すための苦肉の策」という指摘は当たらない。したがって,東京大学の決定は妥当なものであると判断する。 … 審査請求人は,その他種々主張するが,いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。” というのですから、この答申は、常識も良識も研究者の世界の実情も無視した、東大に迎合しただけの判断でしかありません。妥当と判断した理由をちゃんと説明する責任を放棄した答申にしかなっておらず、自分の役目から逃げた司法の人間が東大に尻尾を振っただけに見えます。

東大医学部では手描きでグラフを作成してよいということに、国がお墨付きを与えたということなのでしょう。この国には研究倫理という概念がないのでしょうか。エラーバーを棒グラフの中に押し込んで、バラつきが小さく、有意差があるように見せていたことが露呈したにも関わらず、グラフと実験で得られた値は確かに一致していないけど、わざとやったわけじゃないので不正ではないという人間が正気だと言えるでしょうか。そんなセリフが東大のリーダーたち(=科学者)から出てきているのです。ほんと、この国の科学は終わってます。

いや、まあ、理研のSTAP細胞事件の対応を見たときも、この国の科学は終わっていると思ったので、別に何も終わっちゃいないのでしょうが、それでも絶望的な気持ちになります。STAPのときは、不正を疑われた調査委員長の先生が翌日には実験ノートをネット上にあげて身の潔白を証明しました。あの対応には感銘を受けました。実験した結果を論文にしたのだから、実験ノートが当然存在する。当たり前のことといえば当たり前のことです。東大医学部の疑惑論文には、実験ノートが存在するのでしょうか?論文の値が測定値と異なることは東大もはっきりと認めているわけです。だったら、測定値で本当に有意差が出るのか、示してもらいたいものです。それを示さずに不正はなかったので、何も説明しませんですって?それって研究不正があったことを知りつつ、隠蔽しているだけではないのですか???

 

諮問庁 国立大学法人東京大学
諮問日 令和 2年10月 5日(令和2年(独情)諮問第39号)
答申日 令和 3年 3月 8日(令和2年度(独情)答申第45号)
事件名 22報論文に関する調査報告書等の一部開示決定に関する件

 

答 申 書
 

第1  審査会の結論

別紙に掲げる文書1ないし文書5(以下,併せて「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした各決定は,妥当である。

第2  審査請求人の主張の要旨

1 審査請求の趣旨

独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく開示請求に対し,令和2年3月26日付け第2017-58号,第2017-58の2号,第2017-58の3号及び第2017-58の4号により国立大学法人東京大学(以下「東京大学」,「東大」,「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った各一部開示決定(以下,順に「原処分1」ないし「原処分4」といい,併せて「原処分」という。)について,不開示部分のすべての開示を求める。

2 審査請求の理由

審査請求人が主張する審査請求の理由は,審査請求書の記載によると,おおむね以下のとおりである。

(1)東京大学は,22報論文に関する調査報告の骨子しかウェブ上で公開していない。特定研究科Bに関しては,「論文(図)5報(16図)について不正行為があったと認められた。」と結論している。それに対して,特定研究科Aに関しては,「申立のあった5名について不正行為はない」としか述べていない。これは,なんとも不可解な日本語表現である。「朝,ごはんを食べましたか?」と聞かれて,パンを食べていたのに「朝,ごはんを食べていません。」と答える「ご飯論法」は,不正を隠したい政治家の常套手段であるが,東大のこの発表の仕方はまさにご飯論法である。特定告発者が告発したのは,5名の人間ではなく5名の教授の研究室から出版された個々の論文の個々の図に関してである。なぜ,特定研究科Aに関しては特定研究科Bの調査報告と同様に,「申立てのあった論文の図に関して不正行為はない」と言えなかったのか?東大が用いたこの不可解な日本語表現は,研究不正が隠蔽されたのではないかという強い疑念を生じさせる。実際のところ,調査報告書には,むしろ,データ捏造の事実を強く示唆する文章が存在する。これまでにわずかばかり開示されたところを読んでみると,論文の図表が示すデータはオリジナルデータ(実験で得られた測定値)とほとんど異なっていたという意味合いの文章や,論文の図表作成において手作業を加えるのは特定分野の研究においては通常のことであると主張する文章が存在する。実際と異なる数値を発表するのはデータの捏造そのものであるし,統計ソフトを用いれば平均値や標準誤差などは自動的に計算され,グラフの描画まで自動的に行われるのが通常であって,人間が手作業でグラフを作成する必要性などどこにもない。報告書のこれらの記述は,図表が捏造されていたことを不正調査委員らが認めていると解釈できる。不正行為を追及された政治家が,「広く募ったが募集はしていない。」などと日本語として意味のなさない答弁をして失笑を買ったというニュースがあったが,東大の言っていることは,それと同レベルである。手作業でグラフを作成するのが通常だというのなら,それは東大特定学部Aではデータを捏造することが通常だと自ら認めているようなものであろう。

研究業績に基づいて年間およそ○円もの研究助成を受けている,日本の頂点に立つ大学には,それ相応のresearchintegrityというものが要求される。不正の有無を詳細に報告する義務があるのは当たり前すぎて,論を待たない。

東京大学は平成18年に研究倫理に関する行動規範を発表している。そこには,「研究活動について透明性と説明性を自律的に保証することに,高い倫理観をもって努めることは当然である。」「広く社会や科学者コミュニティによる評価と批判を可能とするために,その科学的根拠を透明にしなければならない」「十分な説明責任を果たすことにより研究成果の客観性や実証性を保証していくことは,研究活動の当然の前提であり・・・その責任を果たすことによってこそ,東京大学において科学研究に携わる者としての基本的な資格を備えることができる。」などの言葉がある。今回の東大が調査報告書や調査資料のほぼすべてを不開示としたのは,東大自らが過去に示した規範から大きく逸脱するものであり,現執行部による裏切り行為と言えよう。文部科学省も「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」の中で「研究者間相互の吟味・批判によって成り立つチェックシステムが不可欠である」と,相互批判の重要性を力説している。また,日本学術振興会は,「研究活動の公正性の確保及び適正な研究費の使用について確認・誓約すべき事項」において,「研究成果の発表とは,研究活動によって得られた成果を,客観的で検証可能なデータ・資料を提示しつつ,研究者コミュニティに向かって公開し,その内容について吟味・批判を受けることである」と述べており,やはりデータを研究者コミュニティが吟味・批判できるようにすることの必要性を述べている。つまり,東大が調査報告書や調査資料を全面的に開示して,外部の研究者によるデータの吟味・批判的な分析を受けることは,研究の世界において当然のことである。このような相互批判は科学者にとって通常の営みにすぎず,東大が不開示理由とするような,将来にわたって研究が妨げられるとか,調査が妨げられるなどということはあり得ないのである。現実離れしたことを言い訳に持ち出して,法的な根拠なしにほぼすべてを不開示することは,許されない。

不正がなかったから説明しないという東大のやり方を認めると,研究不正の組織的な隠蔽を許すことになり,日本の研究倫理を大きく後退させることになる。研究者コミュニティや,さらには一般の国民が東大特定学部A論文における研究不正の有無を検証できるように,調査報告書および調査資料は全面的に開示されるべきと考える。

特定告発者の告発は,特定ニュースなどで大きく取り上げられており,特定ニュースの記事のリンクから容易にその告発文書の内容を閲覧できるほか,特定誌のウェブサイトもこの事件を取り上げており,告発文を紹介している日本のブログ記事にリンクが張られているので,こちらからも告発内容を読むことができる。この事件が報道されたときには研究者の間で大きな話題になったわけであるし,今でもこのように,世界中の研究者が容易に告発内容を閲覧できるため,特定告発者の告発内容は事実上,公開されたものといえる。よって,東大が調査報告書において告発内容を不開示にする理由も全くない。

(2)第2017-58号(原処分1)に関して

研究不正に関する告発がなされた場合に,どのような調査が行われるべきかは,文科省によりガイドラインが示されている。東京大学はこのガイドラインに従って調査したことを社会に示す責任があるし,そのガイドラインに従った事実を示したからといって「事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」ことはない。報告書の開示が,過去にさかのぼって報告書作成事務に影響することは物理的にありえない。将来に関しても,ガイドラインに従う限り何ら支障は生じ得ない。したがって,不開示とする法的根拠がない。

委員名・構成委員名を開示すれば「今後,同種の委員会が設置された際に,申立者,調査対象者及び関係者等から当該委員への圧力や干渉等が生じ」というが,既に終了している調査に関して圧力や干渉が生じて調査が妨げられることはないし,将来の調査に関しては調査終了まで氏名を公表しなければ,圧力や干渉が生じる恐れはない。実際,他大学における同様の不正調査報告では調査委員の氏名が全て公開されている(インターネットを検索すればそのような例が見つかる)。ほかの大学で当たり前にやっていることが,東大にできない理由はない。委員の氏名を不開示にすると,非告発者らと親しい人間ばかりが選出されていたのではないかという疑念すら生じさせる。調査委員会が公明正大に構成されていたのであれば調査委員氏名を不開示にする理由や根拠は存在しない。

「今後,同種の審議,検討に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがある」というが,研究不正の判断基準に関しては文科省や日本学術振興会のガイドラインなど研究者コミュニティ全体のコンセンサスが存在するのだから,今後の意思決定に不当な影響が生じる恐れは全くない。よって,不開示とする根拠はない。

「調査内容等の詳細な情報を公にすれば正確な事実の把握を困難にするおそれがある」というが,調査内容の詳細な情報を公にしたからといって,将来の研究不正疑惑に関して正確な事実の把握が困難になる恐れは全くないし,どうしてそうなるのかの説明が全くなされておらず,理由になっていない。

「公にすることにより,公正かつ円滑な人事の確保が困難になる」というが,懲戒の基準を公表しないことのほうが,公正かつ円滑な人事が確保されていないことを懸念させる。

研究論文は,著者名,所属,内容等全て公開されており,その内容に関して他の研究者が疑問を抱いたときにはあらゆる質問に対して答えるのは論文著者の責務であり,実際に,そのような議論は論文出版後に研究者コミュニティにおいて活発に行われている。したがって,調査報告書や調査資料の中の論文の内容に関する記述を公開したからといって,「研究に係る事務に関し,公にすることにより自由な発想,創意工夫や研究意欲が不当に妨げられ,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ」は全くない。よって,法5条4号ホは不開示理由とはならない。

(3)第2017-58の2号(原処分2)に関して

研究不正の告発に対して大学がどのように対応すべきかは文科省がガイドラインを示しており,特定委員会がガイドラインに則って対応した内容を開示したからといってそれが将来的に同様の事例が生じたときに影響を与えうるものではない。また,論文は公開されているものなので,論文の内容に触れる部分を開示したからといって,その開示が研究者の将来の研究に何ら影響を与える恐れはない。よって,不開示にする法的根拠はない。

(4)第2017-58の3号(原処分3)に関して

「22報論文に関する調査報告書」の中のこれまでに開示されたわずかな部分を読んでも,オリジナルデータ(実験で得られた値)と論文の図表の値はほとんど異なっていたとか,図表は手作業で作成されたなどといった,データ捏造を強く示唆する文言が存在する。それに対して,東大が発表した結論は,申立のあった5名に不正はないというチグハグなものであった。不正行為の認定は疑義を呈された個々の論文の個々の図表に関して一つ一つ行われるべきものであることを考えれば,特定研究科Aの不正疑惑論文に関する発表は,不正の有無にすら言及されておらず,あたかも不正がなかったかのように見せかけているだけである。東大が不正を隠蔽するために不正無しの一言で誤魔化したようにしかみえない。東大特定研究科Aが受けている巨額の研究助成は国民の税金を原資とするものであり,捏造論文の業績に基づいて,毎年,億単位の巨額な研究助成金がこれらの捏造疑惑論文を出した研究室に配分されている。もしも研究不正が存在するのであれば,公金の横領という犯罪行為となんら変わりがない。特定告発者の詳細な告発内容を見れば,研究不正が存在している可能性が極めて高いにも関わらず,そして,実際に調査報告書にも不正を示唆する記述があるにも関わらず,なぜ東大現執行部が不正無しの一言で誤魔化したのか,審議の過程が公開されるべきである。そうでなければまともな研究者が何年も実験した結果ようやく得られる図表を,捏造者がほんの数分ででっち上げて真偽不明の結論のもと論文を作成しトップジャーナルに掲載させて,その業績に基づいて何億円もの研究助成を受けるという詐欺行為がまかり通ることになる。研究助成は,競争的な資金である。この文書を全面的に公開しないことは,日本の研究者間の競争における公平さを損ない,国民に著しい不利益をもたらす。

(5)第2017-58の4号(原処分4)に関して

エラーバーを短く見せるために手作業を入れるなどの手口は特定学B系,特定学A系に共通してみられたにも関わらず,研究不正が認定されたのは特定学B系の論文のみであった。特定学B系では当然のように研究不正とされる手口が,なぜ特定学A系では「通常」とされ,不正無しとなるのか?これは不正の隠蔽ではないのか?特定研究科Aにおける部局内調査がどのように行われ,どのような議論がなされたのかが公開されない限り,隠蔽の疑念が払拭されない。文科省や日本学術振興会が研究倫理に関しては明解なガイドラインを示しておりそれが研究者コミュニティにおけるコンセンサスとなっているのだから,部局調査の過程がそのガイドラインに沿ったものであるかぎり,将来,同様の調査がなされるときにも,問題が生じる余地はない。よって,今後の事務や研究に支障をきたすから不開示というのは理由にならない。部局内特定会議資料や部局内調査結果報告書は,特定研究科Aにおいて不正調査が公明正大に行われていたかどうかを示す重要な資料であり,東大はこれらを開示して説明責任を果たすべきである。

ヒアリング反訳資料は,すでに文字になっているのであるから,音声の場合のように個人が特定される恐れはない。個人が特定される恐れがある部分のみを不開示とし,それ以外に関しては開示すべきである。固定された長さのエラーバーを使用してグラフを作成したり,エラーバーを棒グラフの中に押し込むなど,不正行為以外の何物でもないと考えられるが,それでももし釈明の余地があるのだとすれば,このヒアリング反訳資料を公開することにより,研究者コミュニティに対して批判的な吟味を行う機会を与えるべきである。

「個別の論文説明資料」について。全体の報告書の開示部分を読むと,図表作成方法に関するパターンごとにまとめてしまうことにより,個別の図表に関しては言及しないという誤魔化しをしている。不正の認定は,疑義がもし20か所にあれば20か所に関して個々の説明があるべきで,20か所をいくつかのパターンにまとめて,パターンの説明しかしないというのは,誤魔化すための苦肉の策なのかもしれないが,不正調査報告の方法としては許容されない。研究不正の有無を第三者が検証する機会を与えるためには,個別の論文説明資料の開示が必須である。そもそも,論文の内容は学術誌に掲載されて広く公開されているものであること,個別のデータに関して疑問があれば研究者は学会や個人間のやりとりなどの場で活発なコミュニケーションをとり,疑問を解消するというのが,通常の研究者の慣習であることを考えれば個別の図表がどのような経緯を経て作成されたのかを公にすることは,研究者が普段から行っているコミュニケーションと何ら変わることはなく,それによって論文著者が不利益を将来被ることはあり得ず,開示できない理由にはならない。また,全ての論文は複数の著者からなるものであり,どの図表をどの著者が作成したかということは誰にもわからないので,個人が特定される恐れもまったくなく,その個人が説明した内容のせいで不利益を被る恐れもない。個別の論文の個別の図表の説明が,全体報告書に存在していないことを考えると,個別の論文説明資料を公開しないことは,研究不正の隠蔽を容認することになり,公益を著しく害する。

(6)結語

科学研究は,たとえ相反する研究結果が得られたとしても,研究者同士の活発な議論によりデータが吟味され,時の試練を経て正しい結論が導かれるようになっている。実験データに関する議論が公に行われることは,東大が過去に示した研究行動規範(特定年)や,文科省や日本学術振興会のガイドラインにある通り,通常のことであって,議論を公にすると将来の研究に影響するから不開示にするという言い訳は,全くもってナンセンスで,不開示理由になり得ない。東大の報告書の開示された部分には,特定分野研究の世界では図表を手作業でいじることが「通常」なのだから研究不正ではないという主旨の,思わず目を疑うような記述が存在する。このように,異常なことを「通常」と言って不正疑惑調査資料の開示を拒む姿勢を見ると,東大の現執行部が研究不正を助長する土壌をつくりだし,維持しているとみなさざるを得ない。捏造疑惑を持たれている図表作成過程において,東大がいうように本当に不正がないというのなら,他の研究者の批判や判断を仰ぐために,調査報告書や調査資料の全面的な開示を行うべきである。東大の開示拒否がまかり通れば,東大特定学部Aにおいては捏造研究者らは捏造し放題であり,捏造論文の業績に基づいて巨額の研究費を得るという犯罪的な行為が許されることになり,公益を著しく損なう。

法は適切に執行されることは,税金が正当に使用されているかどうかを国民が知るために必須である。東大からの回答に示された不開示の理由は,正当性や具体性に欠けており,法的根拠が存在しない。

第3  諮問庁の説明の要旨

本説明書は,令和2年3月26日付け第2017-58号,58の2号,58の3号及び58の4号で審査請求人あてに行った「22報論文に関する調査報告」,「平成28年度特定委員会資料」,「平成29年度特定委員会資料」及び「特定研究科A部局内特定会議資料・特定研究科A部局調査結果報告書」(本件対象文書)に係る部分開示決定につき,審査請求人から審査請求がなされた件についての理由説明である。

1 本件対象文書について部分開示とした理由について

本件対象文書は「22報論文に関する調査報告書」,「平成28年度特定委員会資料」,「平成29年度特定委員会資料」及び「特定研究科A部局内特定会議資料・特定研究科A部局調査結果報告書」である。

東京大学では,研究不正の事案については,特定委員会において調査を行っているが,22報論文に関する調査報告書等については,以下の理由に該当する部分について不開示とする決定を行った。

(1)特定委員会,調査委員会及び部局内特定会議の開催日時及び調査報告書の年月日については,東京大学として,当該委員会をどの程度の頻度で開催し,審議・検討していることが公になることにより,東京大学にとっての特定委員会事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり,法5条3号及び4号柱書きに該当するため不開示とする。特定研究科A部局特定会議については,会議の回数も不開示とする。

(2)当該委員会委員長以外の委員名,調査委員会委員長以外の委員名及び部局内特定班長以外の構成員名については,研究不正が行われたかどうか等を審査するという設置の趣旨に鑑みれば,当該不開示部分を公にした場合,今後,同種の委員会が設置された際に,申立者,調査対象者及び関係者等から当該委員への圧力や干渉等が生じ,当該委員会においてだけでなく,今後の委員の選任に際して協力を得られなくなるなど,今後の当該委員会業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり,法5条3号及び4号柱書きに該当するため不開示とする。

(3)22報論文に関する調査報告書(報告書の調査の経緯,調査の概要,調査結果等),特定年度A特定委員会資料(申立書,予備調査結果(案)),特定年度B特定委員会資料(裁定(案),調査報告書(案),弁明音声反訳,弁明書,裁定,不服申立書,裁定確定後の措置),部局内特定会議資料(指摘論文・指摘内容一覧,調査結果報告書(案))及び部局調査結果報告書(調査の経緯,調査の概要,調査結果)のうち,

① 審議,検討又は協議に関する情報で,既に意思決定が行われた場合においても,今後,同種の審議,検討等に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがある部分については,法5条3号に該当するため不開示とする。

② 特定委員会及び部局内特定会議の事務に関する情報で,当該事務の目的,その目的達成のための手法等に照らし,その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある部分については,法5条4号柱書きに該当するため不開示とする。

③ 内容確認に関する情報で,事実を正確に把握し,その事実に基づいて評価,判断を加えて一定の決定を伴うもので,調査内容等の詳細な情報を公にすれば正確な事実の把握を困難にするおそれがある部分については,法5条4号ハに該当するため不開示とする。

④ 教職員の懲戒を伴うことになりうる人事管理に該当する事務であり,公にすることにより,公正かつ円滑な人事の確保が困難になるおそれがある部分については,法5条4号ヘに該当するため不開示とする。

⑤ 研究に係る事務に関し,公にすることにより自由な発想,創意工夫や研究意欲が不当に妨げられ,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれがある部分については,法5条4号ホに該当するため不開示とする。

(4)ヒアリング反訳資料(291枚291頁)は,被申立者からの聞き取り調査資料であり,既に意思決定が行われた場合においても,事後的に公開されることとなると,今後,同種の聞き取り調査での率直な意見の交換等を困難にするおそれがあり,法5条3号に該当するとともに,特定委員会の事務の適正な遂行に支障をおよぼすおそれがあり,同条4号柱書きに該当するため不開示とする。特に,ヒアリング内容については,プライバシー遵守を前提にヒアリングを実施しており,ヒアリング内容が公にされてしまうと,申立者からの反論や苦情等が寄せられ,そうした反論や苦情等を避けるために関係者が申告を拒んだり,真実を申告することをちゅうちょするおそれがあり,今後,同種の調査に支障を及ぼすため,係る事務の性質上,開示することはできない。

(5)個別の論文説明資料(1214枚1214頁)については,

ア 研究者の実験データ等であり,その一部でも公にされた場合,当該研究者の今後の研究活動において,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれがあるため,法5条4号ホに該当する情報として不開示とする。

イ 特定委員会部局内特定会議の事務に関する情報で,当該事務の目的,その目的達成のための手法等に照らし,その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり,法5条4号柱書きに該当するため不開示とする。

ウ 審議,検討又は協議に関する情報で,既に意思決定が行われた場合においても,今後,同種の審議,検討等に係る意思決定に不当な影響を与えるおそれがあり,法5条3号に該当するため不開示とする。

エ 内容確認に関する情報で,事実を正確に把握し,その事実に基づいて評価,判断を加えて一定の決定を伴うもので,調査内容等の詳細な情報を公にすれば正確な事実の把握を困難にするおそれがあり,法5条4号ハに該当するため不開示とする。

オ 教職員の懲戒を伴うことになりうる人事管理に該当する事務であり,公にすることにより,公正かつ円滑な人事の確保が困難になるおそれがあり,法5条4号ヘに該当するため不開示とする。

これについて,審査請求人は,令和2年6月17日受付の審査請求書のなかで,原処分の取消しを求めている。

2 審査請求人の主張とそれに対する東京大学の見解

(1)審査請求人は次のように主張する。

ア 研究不正に関する告発がなされた場合に,どのような調査が行われるべきかは,文科省によりガイドラインが示されており,東京大学はこのガイドラインに従って調査したことを社会に示す責任があるし,そのガイドラインに従った事実を示したからと言って「事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」ことはない。報告書の開示が,過去にさかのぼって報告書作成事務に影響することは物理的にありえず,将来に関しても,ガイドラインに従う限り何ら支障は生じ得ない。したがって,不開示とする法的根拠がない。

イ 委員名・構成委員名については,調査委員会が公明正大に構成されていたのであれば,調査委員氏名を不開示にする理由や根拠は存在しない。

ウ 東京大学は,「正確な事実の把握を困難にするおそれがある」というが,調査内容の詳細な情報を公にしたからといって,将来の研究不正疑惑に関して正確な事実の把握が困難になる恐れは全くない。

エ 東京大学は,「公にすることにより,公正かつ円滑な人事が確保できなくなる」というが,懲戒の基準を公表しないことのほうが,公正かつ円滑な人事が確保されていないことを懸念させる。

オ 調査報告書や調査資料の中の論文の内容に関する記述を公開したからと言って法5条4号ホのようなことは全くないので,同号ホは不開示理由とはならない。

カ 特定研究科における部局内調査がどのように行われ,どのような議論がなされたのかが公開されない限り隠蔽の疑念が払拭されない。東大はこれらを開示して説明責任を果たすべきである。

キ ヒアリング反訳資料は,すでに文字になっているのであるから,音声の場合のように個人が特定される恐れはない。このヒアリング反訳資料を公開することにより,研究者コミュニティに対して批判的な吟味を味わう機会を与えるべきである。

ク 「個別の論文説明資料」は,図表作成方法に関するパターンごとにまとめてしまうことにより,個別の図表に関しては言及しないという誤魔化しをしている。いくつかのパターンにまとめて,パターンの説明しかしないというのは,誤魔化すための苦肉の策かもしれないが,不正調査報告の方法としては許容されないし,公益を著しく害する。

ケ よって,不開示部分の全ての開示を求める。

(2)しかしながら,研究不正に係る調査が調査対象となった研究者並びに所属する研究機関に対して与える影響力を鑑みると,当該調査に関する情報の公開については,慎重な対応をせざるを得ない。まして,今回のように研究不正とは認定されなかった研究者を含む調査に関しては,細心の注意を払うことを必要としている。

研究不正調査において秘匿性を確保することは,各事案において調査対象の研究者が,調査対象とされることのみを理由として,社会や研究者コミュニティにおいて不利益を被ることの回避を目的としている。

平成26年8月26日文部科学省「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」第3節「研究活動における特定不正行為への対応」の「(6)調査結果の公表」には,「①調査機関は,特定不正行為が行われたとの認定があった場合は,速やかに調査結果を公表する。②調査機関は,特定不正行為が行われなかったとの認定があった場合は,原則として調査結果を公表しない。ただし,調査事案が外部に漏えいしていた場合及び論文等に故意によるものでない誤りがあった場合は,調査結果を公表する」と明記されており,東京大学の場合,研究不正があったかどうかを調査した場合,不正行為が認定された事案については,本ガイドラインに沿って公表しているが,不正行為が認定されなかった事案については,公表していない。今回の事案については,不正行為が認定されなかった事案についても,一部具体事例を示して不正行為がなかったことを説明しており,公表した部分については,審査請求人に対しても開示しているが,その余の部分については,明らかにできない。

また,研究不正の調査については,その判定結果の如何によらず,対象となる研究者の研究活動に大きな影響を与えるものであり,かかる調査については,限りなく公平中立なものとして実施されなければならないと理解している。調査の内容について必要以上に開示することは,調査機関として担保すべき,正確な事実の把握,率直な意見の交換,意思決定の中立性などを困難にするおそれがあり,ひいては,調査機関として行う不正行為の判定結果の信頼性をも損なうことになる。

そのため,今回開示した内容は,必要かつ十分なものであると認識している。

なお,審査請求人は,懲戒の基準を公表しないことのほうが,公正かつ円滑な人事が確保されていないことを懸念させるというが,公表することにより,懲戒処分を逃れたり,量定を軽くしたりすることを意図して,調査に真実を述べなくなるおそれがあるとともに,円滑な職務遂行の妨げになるおそれがあり,懲戒の基準を公表することはできない。

また,個別の図表パターンについては,当該調査において,不正の疑いありと指摘のあった事項について,図表の作成の過程を調査委員会において検証した結果を補足説明するために図示したものであるため,請求者による「誤魔化すための苦肉の策」という指摘は当たらない。

したがって,東京大学の決定は妥当なものであると判断する。

3 結論

以上のことから,東京大学は,本件について原処分維持が妥当と考える。

第4  調査審議の経過

当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。

① 令和2年10月5日  諮問の受理

② 同日         諮問庁から理由説明書を収受

③ 同月25日      審議

④ 同年12月10日   本件対象文書の見分及び審議

⑤ 令和3年3月1日   審議

第5  審査会の判断の理由

1 本件開示請求について

本件開示請求は,本件対象文書の開示を求めるものであり,処分庁は,その一部を法5条3号並びに4号柱書き,ハ,ホ及びヘに該当するとして不開示とする決定(原処分)を行った。

これに対し,審査請求人は,不開示部分の開示を求めているところ,諮問庁は原処分を妥当としていることから,以下,本件対象文書の見分結果を踏まえ,不開示部分の不開示情報該当性について検討する。

2 不開示部分の不開示情報該当性について

(1)本件対象文書は,「22報論文に関する調査報告書」(文書1)並びに当該調査に係る関係委員会・会議資料及び関係調査文書である「特定年度特定委員会資料」(文書2),「特定年度B特定委員会資料」(文書3),「大学院特定研究科A・特定学部A保有の特定研究科A部局内特定会議資料」(文書4)及び「大学院特定研究科A・特定学部A保有の東京大学特定委員会A規則10条の2に基づく部局調査結果報告書」(文書5)であるところ,当該調査及び委員会等に係る情報の一部が開示されているのみで,その他具体的な調査・検証等に係る審議・検討内容等の情報の大半は不開示とされていることが認められる。

(2)文書1に係る不開示部分について

ア 当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,当該不開示部分の主たる不開示理由について,改めて確認させたところ,諮問庁は,以下のとおり説明する。

(ア)文書1は,東京大学が匿名の申立てを受け,複数の特定論文の内容に係る研究不正の疑いについて,大学内の研究不正事案等を調査・審議するため設置される特定委員会において,当該研究不正事案に関する調査・検証・分析・審議等を行い,その調査結果を取りまとめた報告書(22報論文に関する調査報告書)であり,当該調査報告書(文書1)自体としては,当該文書を一般及び学内に対し,一切公にしていない。

(イ)文書1の取りまとめに当たっては,特定委員会の下に調査委員会が設置されるとともに,当該調査委員会の要請を受け,調査対象者が所属する特定研究科及び特定研究所に各部局内特定会議が設置され,当該各部局内特定会議及び調査委員会によって,研究不正が疑われた調査対象の研究内容及び論文内容等に対する実験データの検証や対象者に対するヒアリング実施等を通して,様々な観点・角度から研究不正に対する詳細な調査・検証・分析等が行われ,それらの調査等の状況を踏まえつつ,特定委員会によって,最終的な調査・検証・分析・審議等が行われ,当該研究不正事案に対する調査結果(文書1)を取りまとめたものであり,当該特定委員会A並びにその下に設置される調査委員会及び各部局内特定会議においては,研究不正の調査・検証という機密情報を取り扱うその設置趣旨・目的から,各委員会・会議の委員構成,審議・運営内容及び調査手法等については一切公にしていない(なお,各委員会・会議に係る構成委員の情報は公にはしていないが,各委員会・会議の委員長及び班長については,通知文等の記載により事実として判明することがあることから,各委員会・会議の委員長及び班長のみ本件対象文書の中でその氏名について開示している。)。

(ウ)特定委員会が,本件研究不正事案調査・検証等の結果として取りまとめた文書1(22報論文に関する調査報告書)の最終的な結論は,研究不正は認定されなかった対象(研究者・研究内容・論文等)と研究不正が認定された対象(研究者・研究内容・論文等)の双方に分かれた裁定判断としての結論内容となっており,東京大学においては,当該調査結果を受け,文部科学省の「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日)(以下「ガイドライン」という。)等にも基づき,特定不正行為が行われたとの認定があった事案について,その調査結果の概要として「22報論文に関する調査報告(骨子)」を,そのデータ解析資料とともに,不正行為認定の事実及びその調査結果として一般に公表している。

したがって,文書1(22報論文に関する調査報告書)自体については,飽くまで,研究不正が疑われる事案に対する結論全体を導くための東京大学内の事案の調査・検証・分析・審議等の課程を取りまとめた内部機密資料であり,また,上記のとおり,当該調査の過程及び結論として,不正が認定されなかった対象(研究者・研究内容・論文等)が含まれており,当該研究者の権利・利益を保護する必要がある内容が記載された複合的な調査検討報告書であることから,文書1(22報論文に関する調査報告書)自体を一般に公にすることはできず,文部科学省のガイドライン等も踏まえ,上記のとおり当該特定不正行為が認定された事案とその調査結果の概要等について,適正に公表を行ったものである。

(エ)文書1は,当該研究不正事案に対する上記(ア)ないし(ウ)の経緯・目的のもとに取りまとめられた調査報告書であるところ,文書1の記載内容の一部である,特定不正行為が行われたとの認定があった事案の認定事実及び調査結果については,調査結果の概要(22報論文に関する調査報告(骨子))及びそのデータ解析資料として,上記(ウ)のとおり一般に公表しており,本件開示請求に当たり,文書1の中で,一般に公表済みである当該特定不正行為が行われたとの認定があった事案の認定事実及び調査結果(調査結果の概要・データ解析資料)については,全て開示している。また,上記(イ)のとおり,各委員会・会議の委員構成,審議・運営内容及び調査手法等については一切公にしていないところ,各委員会・会議の委員長及び班長については,通知文等の記載により事実として判明することがあることから,各委員会・会議の委員長及び班長のみ文書1の中でその氏名について開示している。

(オ)一方,上記を除く文書1の不開示部分には,当該研究不正事案について,特定委員会,調査委員会及び各部局内特定会議が,調査・検証・分析等を行うに当たり,当該事案に対する事実認定・審議・検討等を行った各委員会・会議の調査運営の方法と体制,調査方針や調査の方向性,調査活動に用いた分析情報,調査に対する検討内容や判断等といった,具体的な調査手法や審議・運営内容等の極めて機微な情報が記載されており,また,当該研究不正調査の対象となり,その調査・検証の結果,不正が認定されなかった対象(研究者・研究内容・論文等)情報が記載されている。これらは,いずれも東京大学が,多様な研究分野に対する研究不正に係る調査方法とその運営体制等を恒常的に確保し,当該研究不正行為等を適正に調査・検証するための審議・検討上の内部管理情報であるとともに,研究不正が認定されなかった対象(研究者・研究内容・論文等)が調査対象とされたことのみをもって研究上の不利益を被ることのないよう,当該研究者の権利・利益を保護する必要がある情報であり,一般に公にできない非公表の機密情報である。

(カ)これら当該不正研究調査に関する各委員会・会議の調査運営の方法と体制,調査方針や調査の方向性,調査活動に用いた分析情報,調査に対する検討内容や判断等といった,具体的な調査手法や審議・運営内容等の情報及び不正が認められなかった対象に関する情報が公になった場合,今後,同種研究不正事案の調査を行う際にその研究不正事案の検証や不正の判断・分析をするための調査・審議・検討に係る具体的な調査手法や個々の分析・判断基準等を推測することが可能となってしまい,調査対象者が種々の対策を講じることを容易にし,また,調査・検証・分析等を行う当該各委員会・会議及びその構成員に対する批判,非難及び責任追及等が生じることとなり,各委員会・会議において,委員が批判や非難等を受けることを恐れて率直な意見を述べることをちゅうちょし,各委員会・会議において十分な調査,審議ができなくなり,さらに,不正が認められなかった対象となる研究者や研究内容が,いわれのない非難や中傷を受け,研究者の健全な研究体制の確保ができなくなる等,東京大学における今後の研究不正事案の調査・運営及びそれに関連する研究体制の確保等,東京大学全体の運営及び事務の適正な遂行に多大な支障を及ぼすおそれがあることから,法5条4号柱書きに該当する。

イ 以下,上記諮問庁の説明も踏まえ,検討する。

(ア)文書1は,研究不正の調査・審議等を行った東京大学の特定委員会が,その調査結果を取りまとめた報告書(22報論文に関する調査報告書)であることが認められる。

(イ)上記ア(ウ)及び(エ)の諮問庁の説明によると,文書1自体は一般に公表はしていないが,文書1の記載内容の一部である特定不正行為が行われたとの認定があった事案とその調査結果概要等については,別途一般に公表していることから,それら一般に公表した情報については,本件開示請求に当たり,文書1の中で全て開示しているとのことであり,また,公にされていない各委員会・会議の委員構成について,事実として判明することがある各委員会・会議の委員長及び班長の氏名等に係る情報については開示しているとのことであり,当審査会において,諮問庁から当該公表資料等の提示を受け,確認したところ,公表された情報等の内容については,開示されていることが認められる。

(ウ)文書1の不開示部分を見分したところ,当該不開示部分には,東京大学における特定研究不正事案について調査・検証・分析・審議等を行う特定委員会,調査委員会及び各部局内特定会議等の各委員会・会議の調査運営の方法と体制,調査方針や調査の方向性,調査活動に用いた分析情報,調査に対する検討内容や判断等といった,具体的な調査手法や審議・運営内容等の情報が記載されているとともに,当該研究不正調査の対象となり,その調査・検証の結果,不正が認定されなかった対象(研究者・研究内容・論文等)情報が記載されていることが認められる。

諮問庁の説明によると,これらの情報は,いずれも東京大学が,多様な研究分野に対する研究不正に係る調査方法とその運営体制等を恒常的に確保し,当該研究不正行為等を適正に調査・検証するための審議・検討上の内部管理情報であるとともに,研究不正が認定されなかった対象(研究者・研究内容・論文等)が調査対象とされたことのみをもって研究上の不利益を被ることのないよう,当該研究者の権利・利益を保護する必要がある情報であり,一般に公にできない非公表の機密情報であるとのことである。

そうすると,当該不開示部分を公にした場合,今後,同種研究不正事案の調査を行う際にその研究不正事案の検証や不正の判断・分析をするための調査・審議・検討に係る具体的な調査手法や個々の分析・判断基準等を推測することが可能となってしまい,調査対象者が種々の対策を講じることを容易にし,また,調査・検証・分析等を行う当該各委員会・会議及びその構成員に対する批判,非難及び責任追及等が生じることとなり,各委員会・会議において,委員が批判や非難等を受けることを恐れて率直な意見を述べることをちゅうちょし,各委員会・会議において十分な調査,審議ができなくなり,さらに,不正が認められなかった対象となる研究者や研究内容が,いわれのない非難や中傷を受け,研究者の健全な研究体制の確保ができなくなる等,東京大学における今後の研究不正事案の調査・運営及びそれに関連する研究体制の確保等,東京大学全体の運営及び事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとする諮問庁の説明は否定し難い。

(エ)したがって,当該不開示部分は,法5条4号柱書きに該当すると認められることから,同条3号並びに4号ハ,ホ及びヘについて判断するまでもなく,不開示としたことは妥当である。

(3)文書2ないし文書5に係る不開示部分について

ア 当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,当該不開示部分の主たる不開示理由について,改めて確認させたところ,諮問庁は,以下のとおり説明する。

(ア)文書2ないし文書5は,文書1(22報論文に関する調査報告書)を取りまとめるに当たり,上記(2)ア(イ)の設置経緯の下で当該研究不正事案に関する調査・検証・分析・審議等を行った各委員会及び会議の資料であり,そのうち,文書2は,特定委員会の「特定年度A特定委員会資料」であり,文書3は,同委員会の「特定年度B特定委員会資料」であり,文書4は,特定委員会の下に設置される調査委員会の要請を受け,調査対象者が所属する特定研究科Aに設置された部局内特定会議の「大学院特定研究科A・特定学部A保有の特定研究科A部局内特定会議資料(ヒアリング反訳資料及び個別の論文説明資料を含む)」であり,文書5は,同特定会議が取りまとめた「大学院特定研究科A・特定学部A保有の東京大学特定委員会規則10条の2に基づく部局調査結果報告書」であり,これら文書2ないし文書5は,いずれも文書1を取りまとめるに当たっての事前の調査・検証・分析を行った審議・検討段階の資料であり,研究不正の調査・検証という機密情報を取り扱うその設置趣旨・目的から,各委員会・会議の委員構成,審議・運営内容及び調査手法等については一切公にしていない(なお,各委員会・会議に係る構成委員の情報は公にはしていないが,各委員会・会議の委員長及び班長については,通知文等の記載により事実として判明することがあることから,各委員会・会議の委員長及び班長のみ本件対象文書の中でその氏名について開示している。)。

(イ)文書2ないし文書5の不開示部分には,当該研究不正事案について,特定委員会,調査委員会及び各部局内特定会議が,調査・検証・分析等を行うとともに,当該事案に対する事実認定・審議・検討等を行った各委員会・会議の調査運営の方法と体制,調査方針や調査の方向性,調査活動に用いた分析情報,調査に対する検討内容や判断等といった,具体的な調査手法や審議・運営内容等の極めて機微な情報が記載されており,また,当該研究不正調査の対象となった調査・検証段階の対象(研究者・研究内容・論文等)情報が記載されている。これらは,いずれも東京大学が,多様な研究分野に対する研究不正に係る調査方法とその運営体制等を恒常的に確保し,当該研究不正行為等を適正に調査・検証するための審議・検討上の内部管理情報であるとともに,一般に公にできない非公表の機密情報である。

(ウ)これら当該不正研究調査に関する各委員会・会議の調査運営の方法と体制,調査方針や調査の方向性,調査活動に用いた分析情報,調査に対する検討内容や判断等といった,具体的な調査手法や審議・運営内容等の情報及び当該研究不正調査の対象となった調査・検証段階の対象(研究者・研究内容・論文等)情報が公になった場合,今後,同種研究不正事案の調査を行う際にその研究不正事案の検証や不正の判断・分析をするための調査・審議・検討に係る具体的な調査手法や個々の分析・判断基準等を推測することが可能となってしまい,調査対象者が種々の対策を講じることを容易にし,また,調査・検証・分析等を行う当該各委員会・会議及びその構成員に対する批判,非難及び責任追及等が生じることとなり,各委員会・会議において,委員が批判や非難等を受けることを恐れて率直な意見を述べることをちゅうちょし,各委員会・会議において十分な調査,審議ができなくなり,さらに,調査・検証段階における対象(研究者・研究内容・論文等)情報が流出し,対象となる研究者や研究内容が,いわれのない非難や中傷を受け,研究者の健全な研究体制の確保ができなくなる等,東京大学における今後の研究不正事案の調査・運営及びそれに関連する研究体制の確保等,東京大学全体の運営及び事務の適正な遂行に多大な支障を及ぼすおそれがあることから,法5条4号柱書きに該当する。

イ 以下,上記諮問庁の説明も踏まえ,検討する。

(ア)文書2ないし文書5は,文書1(22報論文に関する調査報告書)を取りまとめるに当たり,当該研究不正事案に関する調査・検証・分析・審議等を行った各委員会及び会議の資料であることが認められる。また,上記ア(ア)の諮問庁の説明によると,これら文書2ないし文書5は,いずれも文書1を取りまとめるに当たっての事前の調査・検証・分析を行った審議・検討段階の資料であり,研究不正の調査・検証という機密情報を取り扱うその設置趣旨・目的から,各委員会・会議の委員構成,審議・運営内容及び調査手法等については一切公にしていない情報であるとのことである。

(イ)文書2ないし文書5の不開示部分を見分したところ,当該各不開示部分には,当該研究不正事案について,特定委員会,調査委員会及び各部局内特定会議が,調査・検証・分析等を行うとともに,当該事案に対する事実認定・審議・検討等を行った各委員会・会議の調査運営の方法と体制,調査方針や調査の方向性,調査活動に用いた分析情報,調査に対する検討内容や判断等といった,具体的な調査手法や審議・運営内容等の極めて機微な情報が記載されており,また,当該研究不正調査の対象となった,調査・検証段階の対象(研究者・研究内容・論文等)情報が記載されていることが認められ,その余の部分については,開示されていることが認められる。

諮問庁の説明によると当該不開示部分の情報は,いずれも東京大学が,多様な研究分野に対する研究不正に係る調査方法とその運営体制等を恒常的に確保し,当該研究不正行為等を適正に調査・検証するための審議・検討上の内部管理情報であるとともに,一般に公にできない非公表の機密情報であるとのことである。そうすると,当該不開示部分を公にした場合,今後,同種研究不正事案の調査を行う際にその研究不正事案の検証や不正の判断・分析をするための調査・審議・検討に係る具体的な調査手法や個々の分析・判断基準等を推測することが可能となってしまい,調査対象者が種々の対策を講じることを容易にし,また,調査・検証・分析等を行う当該各委員会・会議及びその構成員に対する批判,非難及び責任追及等が生じることとなり,各委員会・会議において,委員が批判や非難等を受けることを恐れて率直な意見を述べることをちゅうちょし,各委員会・会議において十分な調査,審議ができなくなり,さらに,調査・検証段階における対象(研究者・研究内容・論文等)情報が流出し,対象となる研究者や研究内容が,いわれのない非難や中傷を受け,研究者の健全な研究体制の確保ができなくなる等,東京大学における今後の研究不正事案の調査・運営及びそれに関連する研究体制の確保等,東京大学全体の運営及び事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとする諮問庁の説明は否定し難い。

(ウ)したがって,当該不開示部分は,法5条4号柱書きに該当すると認められることから,同条3号並びに4号ハ,ホ及びヘについて判断するまでもなく,不開示としたことは妥当である。

3 審査請求人のその他の主張について

審査請求人は,その他種々主張するが,いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。

4 本件各一部開示決定の妥当性について

以上のことから,本件対象文書につき,その一部を法5条3号並びに4号柱書き,ハ,ホ及びヘに該当するとして不開示とした各決定については,不開示とされた部分は,同号柱書きに該当すると認められるので,同条3号並びに4号ハ,ホ及びヘについて判断するまでもなく,妥当であると判断した。

(第5部会)

委員 藤谷俊之,委員 泉本小夜子,委員 磯部 哲

別紙(本件対象文書)

文書1 22報論文に関する調査報告書

文書2 特定年度A特定委員会資料

文書3 特定年度B特定委員会資料

文書4 大学院特定研究科A・特定学部A保有の特定研究科A部局内特定会議資料

文書5 大学院特定研究科A・特定学部A保有の東京大学特定委員会規則10条の2に基づく部局調査結果報告書

 

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ラボは何時間労働?ボスからの手紙

沼研には正月休みが1日しかなかったそうですが、そこまでとはいわなくてもボスはやはりポスドクにはできるだけ長時間働いて欲しいみたいです。似たような話があったので紹介。

下の記事によれば、カルテックや他のエリート大学ではこの程度の労働時間は通常だそう。

Note that in this missive, Carreira does not impose his own rules on Guido, but those of Caltech. In fact, sources assured me that such work practices were and still are perfectly standard at Caltech. Working in the lab late and on weekends was normal, everyone had to do it, as the sources said. Caltech used to be infamous for people working ungodly hours. Sometimes, lights were on in the labs even at 2 AM on a Saturday morning. Other US elite universities were not really much better, or same. (New JACS EiC Erick Carreira: “correct your work-ethic immediately” SEPTEMBER 6, 2020 For Better Science)

ちなみにこのエリック・カレイラさんは、この手紙がネットに出回り、時折話が蒸し返されることを非常に不快に思い実際かなり迷惑しているみたいですが、事態を収拾するためなのか、その後、この手紙に関して反省文のような声明を出しています。

  1. New JACS EiC Erick Carreira: “correct your work-ethic immediately” SEPTEMBER 6, 2020 For Better Science
     

大学院生やポスドクは何時間働けば良いのか

自分が大学4年生のときの隣のラボのボスは、「1日12時間も働けばクタクタになるよ」と言っていました。それを聞いて、このボスの期待は1日12時間くらいということなのかなと思いました。実際、こんをつめて12時間働くとクタクタになります。途中で息抜きをしながらだと12時間以上働くことは可能です。

自分が大学院のときは、朝8時半始まりで夜は特にルールはなかったのですが、みな終電(24時前頃)まで実験していました。一番早く帰る人が21時くらいに帰っていたと思います。それを見て、結果を出している人は21時に帰っても誰も文句を言わないんだなと思っていました。

自分がアメリカにポスドクで行ったときのラボは、朝は9時~10時の間にみな来ていました。夜は早く帰る人が18時半~19時頃。一番遅く帰る大学院生が21時頃。研究所の日本人のポスドクだけは夜中近くまでいることもあったようです。ただし、夜中に帰るのは安全上の問題があるため、”足”(車)があるかどうかで22時~24時の間に帰っていたのではないかと思います。土日は大学院生も既婚者のポスドクも、あまり来ていませんでした。自分がいたラボには、週末には日本人のポスドクとボスしかいなくて、ボスは「俺が大学院生の時は土曜も実験してたのになぁ。」とぼやいていました。しかし、夜遅くまで実験しろとか、朝早く来いとか、週末も来いなどと強要することは全くありませんでした。

日本の大学院生に比べればアメリカの自分のいたラボの大学院生は圧倒的に少ない労働時間だったと思いますが、セル、サイエンス、ネイチャー、それらの姉妹紙に大学院生が論文を出すようなアクティビティの高いラボでした。この違いは一体なんなんだろうとずっと不思議でした。正直言って今でもはっきりとはわかりません。ただ思うのは、やはりテーマ選びが一番大事なのだろうということです。面白くない仮説を検証しても良い論文にはなりません。だからといって当初のアイデア通りに事が運ぶことなどそうそうなくて、ボスが提示した研究テーマや実験がみなうまくいくということなど決してありませんでした。みな試行錯誤、暗中模索する部分は当然あって、その点に関しては、日本で研究していたときとなんら変わりませんでした。どこで違いが出てくるのかわからないのですが、どうやって良いストーリーにしていくかを実験データを見ながら柔軟に対応していたのかもしれません。あるいは、良いストーリーにならないようなテーマは見切りを付けたり、ストーリーを作るために最低限必要な実験(=必要性、十分性を示す実験)が実現可能なテーマだけに手を出すようにするなどの工夫があったかもしれません。少なくとも、ラボのボスが、手持ちのデータから最大限の知見を引き出す能力に長けていて、ストーリー性のある論文を書く能力が高かったのだろうとは思います。もちろん、エディターキックを回避して、査読にまわしてもらい、査読者の要求にひとつずつ答えていくという忍耐力や覚悟がどれくらいあるかも大事です。

結局のところ、論文を書くのに不必要な実験を何か月もやって無駄にする人もいますので、労働時間と生産性は必ず比例するというものでもありません。長時間労働してしまう学生の中には、実験を失敗したり、論文に必要ない実験をやってしまったりということに原因がある場合もあります。自分を振り返ってみたとき、がむしゃらに馬車馬のように働いたのにぜんぜん結果が出せない期間もありましたが、仕事量が結構落ちてるにも関わらずなぜか研究は順調に進んだ時期もありました。ただし、ストーリーが見えてきて論文が行けるとなったら、集中してアクセプトに漕ぎ着けるまで全速力でやるしかありません。

関連記事 ⇒ イシューからはじめよ【書評】

関連記事 ⇒ 研究テーマの選び方 21のポイント 

関連記事 ⇒ ネイチャー(Nature)に論文を出す方法 

 

 

参考

  1. 研究室メンバーに向けて書かれた恐ろしい手紙 2016年1月23日 アレ待チ
  2. エリック・カレイラ Erick M. Carreira ケムステ
  3. Something Deeply Wrong With Chemistry

京大霊長類研で研究費不正 松沢哲郎元所長らを懲戒解雇 松沢氏は事実誤認を主張

松沢哲郎氏の説明

今回の研究費不正に関して松沢氏は個人のウェブサイトで説明をしています。一部をかいつまんで紹介します(太字強調は、当サイト)。

  • 不正使用」と報道されてまいりましたが、私的流用はありません業者への預け金もありません
  • 業者との長年の癒着などもありません
  • 日本学術振興会や文科省から交付された全額がケージ建設の事業のみに使われ、国民の皆様に由来するお金はいっさい無駄に使われていません
  • 一般競争入札の手続きが適正におこなわれていなかったという「不適正」の認定が、一般競争入札である高額契約12件すべてについてなされました。その契約総額が9億7019万円で会計検査院が指摘した総額の86%を占めます。しかし、これは「入札手続きが不適正」とされた契約の総額であり、損失額ではありません
  • サル類のケージを作製し納入できる業者は、国内に2社しかありませんでした。チンパンジーの大型ケージのように既製品がまったくない、まだ誰も作ったことがないものを作り、かつ仕様書や見積書などの物品購入手続きを規定どおりに進めるのは、むずかしかったと思います。
  • 不正の判定の基礎となる大学の調査そのものが事実を誤認しており、このため誤った事実認定に基づく不正の認定になっていること、及びそうした点の不当性を指摘して、不服申立てをして再調査をお願いしてきました。

(引用元:懲戒の知らせを受けて 松沢哲郎 https://www.tetsuro-matsuzawa.net/

 

松沢氏の説明と報道内容に食い違いもあるため、実際のところ何がどうだったのか自分にはわかりませんが、おそらく2社しかない会社の一方が必ず落札するようしていたということなのでしょう。”既製品がまったくない、まだ誰も作ったことがないものを作り、かつ仕様書や見積書などの物品購入手続きを規定どおりに進めるのは、むずかしかった”という説明には、理解できる部分があります。あくまで一般論として言うならば、仕様書が完全に完成品を表すことはないでしょうから、単純に安いほうに発注することになって期待外れのものが納品される危険があることは想像に難くありません。しかしながら競争原理が働かない状態だと、言い値で買う恐れがあり必要以上に高いお金を払って発注していた可能性もあります。もしもそういうことであれば、やはり国民の税金が無駄に使われたということになります。具体的にどんな仕様のものがいくらだったのかを世間に公表すれば、不正の度合いが判断できるでしょう。

今回のニュースを見ると、ネットで話題になっていた「カッシーナ」問題が思い出されます。おなじく「一般競争入札」で理研が高級イタリア製家具を計954万4500円で購入していた事件ですが、なぜかあれは研究不正としての追及がありませんでした。ソファーとしての機能だけを仕様書に記すならば、カッシーナを公費で一般競争入札により購入することは不可能なはずです。研究にイタリア製家具が必要な理由もわかりません。

幹細胞研究開発棟2Fセミナー室等什器類 平成23年3月8日 (株)カッシーナ・イクスシー 4,672,500
幹細胞研究開発棟2階交流スペース及び居室用什器 平成23年3月18日 (株)カッシーナ・イクスシー 4,872,000 (理化学研究所の無駄遣いが酷い! 税金で1000万円の高級家具を買っていたことが判明 ガジェット通信 2014年3月20日 18:45 エキサイトニュース

 

研究費不正で懲戒解雇解雇

  1. 京大特別教授ら2人を懲戒解雇 チンパンジー研究の権威・松沢氏ら研究費不正(2020年11月24日 16:25 京都新聞)チンパンジー研究の世界的権威で文化功労者である京都大の松沢哲郎特別教授(70)らが京大霊長類研究所(愛知県犬山市)などに関わる研究資金約5億円を不正支出していた問題で、京大は24日、松沢氏と同研究所の友永雅己教授(56)を懲戒解雇するなど、研究者と事務職員の計6人に懲戒処分を行った。… 2人のほかは野生動物研究センターの平田聡教授(47)を停職1カ月、森村成樹准教授(50)を同2カ月。当時同研究所の事務方トップだった60代男性事務職員、契約担当の掛長だった50代男性事務職員を戒告とした。
  2. 京大霊長類研究所 不正支出で懲戒解雇 (11/24(火) 20:11 ABCニュース YAHOO!JAPAN

 

研究費不正で返金

  1. 研究費9億円を返還 霊長類研の不正経理問題で (2020.11.9 18:24産経WEST)京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)のチンパンジー飼育施設の整備工事をめぐり、公的研究費など約5億円が不正支出された問題で、研究費の一部を支給した独立行政法人「日本学術振興会」が京大に対して加算金を含めた約9億円の返還を求め、京大が全額返還していたことが9日、文部科学省への取材で分かった。京大は9月に返還していたが、公表はしていなかった。

次期(第31代)東大総長は藤井輝夫理事・副学長(財務、社会連携・産学官協創担当)~予備選挙トップ候補者が第2次候補リストから消えていた謎~

 

次期(第31代)東大総長は藤井輝夫理事・副学長(財務、社会連携・産学官協創担当)に決まりました。

2020年10月2日、東京大学は五神真総長の任期満了に伴う次期総長予定者選考のための総長選考会議を開催し、次期総長予定者として藤井輝夫理事・副学長を選出しました。(次期総長予定者の藤井輝夫理事・副学長が会見 東京大学 本部広報課 2020年10月2日)

  1. 【速報・東大総長選考】次期総長が藤井理事・副学長に事実上決定(2020年10月2日 東大新聞オンライン)

現在の東大の役員・監事

現在の理事・副学長が昇進するのですね。下は、役職、任期、氏名、略歴の一部です。

  • 総長H27.04.01R03.03.31五神 真  S55.03 東京大学理学部卒業 S60.04 理学博士(東京大学) H10.08 東京大学大学院工学系研究科教授
  • 理事・ 副学長 (R02.04.01 ~R03.03.31) 福田 裕穂 担当:総務、入試・高大接続、評価 S52.03 東京大学理学部卒業 S57.03 理学博士(東京大学) H06.05 東北大学理学部教授 H07.10 東京大学理学部附属植物園教授
  • 理事・ 副学長 (R02.04.01 ~R03.03.31)宮園 浩平 担当:研究、懲戒 S56.03 東京大学医学部卒業 H01.12 医学博士(東京大学) H12.08 東京大学大学院医学系研究科教授
  • 理事・ 副学長 (R02.04.01 ~R03.03.31)藤井 輝夫 担当:財務、社会連携・産学官協創 S63.03 東京大学工学部卒業 H05.03 博士(工学)(東京大学) H19.02 国立大学法人東京大学生産技術研究所教授
  • 理事・ 副学長  (R02.04.01 ~R03.03.31)大久保 達也 担当:教育、学生支援、施設 S58.03 東京大学工学部卒業 S63.03 工学博士(東京大学) H18.04 国立大学法人東京大学大学院工学系研究科教授
  • 理事・ 副学長  (R02.04.01 ~R03.03.31)白波瀬 佐和子  担当:国際、総長ビジョン広報 S56.03 同志社女子大学家政学部卒業 H09.03 社会学博士(オックスフォード大学) H22.08 国立大学法人東京大学大学院人文社会系研究科教授
  • 理事  (R02.04.01 ~R03.03.31) 境田 正樹 担当:コンプライアンス、監査、病院 H17.10 弁護士登録(第二東京弁護士会) H27.04 ~R02.03 国立大学法人東京大学理事
  • 理事 (R02.04.01 ~R03.03.31)里見 朋香 担当:事務組織、法務、人事労務 H02.03 早稲田大学法学部卒業 H18.04 国立大学法人東京大学企画調整役・総長秘書室長
  • 理事  (R02.08.01 ~R03.03.31)石井 菜穂子 担当:経営改革特命 S56.03 東京大学経済学部卒業 S56.04 大蔵省(現財務省)入省
  • 監事 (R02.09.01 ~R06.08.31) 田 民 S63.03 横浜国立大学経営学部卒業 S63.10 中央新光監査法人
  • 監事 (R02.09.01 ~R06.08.31)棚橋 元 H02.03 東京大学法学部卒業 H04.04 弁護士登録・森綜合法律事務所入所
  1. 役員・監事略歴 令和2年9月1日現在 東京大学

 

東京大学総長選挙の怪文書について

予備選挙の結果と、次のステップである第二次候補者選びの結果とがあまりにも食い違っていて、波紋を呼んでいるようです。二次候補者は、予備選挙の結果だけでなく「調査」結果も加味されるという内規の変更が効いたということのようです。予備選挙トップだった候補者が2次候補から消えたのは、「調査」の結果ということでしょうか。

PRESIDENT Onlineの10月2日の記事によれば、宮園浩平氏に関する怪文書が流れたのだそうです。中身はというと、過去の共著論文が研究不正論文と認定されていたというもの。このことは、研究不正ウォッチをしてきた人間にしてみれば、ニュースでもなんでもありません。当サイトでも、取り上げたことがあります。

関連記事:加藤茂明研究室から出された51報の「不適切」な論文リスト

該当する論文は、取り下げられています。

J Biol Chem. 1999 May 7;274(19):12971-4. Positive and negative modulation of vitamin D receptor function by transforming growth factor-beta signaling through smad proteins. Yanagi Y, Suzawa M, Kawabata M, Miyazono K, Yanagisawa J, Kato S.

これだけなら怪文書と呼ぶほどのものではありません。東大は、東大自らフタをした臭いものを取り出すわけにもいかないので、対応済み過去を蒸し返しただけのような気がします。そんなことよりも、こちらのほうが問題なのでは?

東京大学が医学部研究不正疑惑論文に関する調査報告書を国民に開示しないのは違法

これを引きずったのだとしたら、今回の東大総長選挙のごたごたは、むしろ東大の良心のなせるわざなのかもしれないとも思えてきます。臭いものにフタをした責任者である(当時の)医学研究科長が次期総長になったら、東大医学部の「膿み」を(もしそうなら)出してほしいというOrdinary_Researchersの願いは永久に叶わないでしょう。

部外者には何もわかりませんが、東大医学部の不正疑惑潰し(棒グラフのエラーバーを手でいじって小さく見せているのにそれを研究における通常の作業と正式な報告書の中で言ってのけたり、医学系の調査内容内容は報告書を黒塗りしてほとんど何も公開しないなど)は誰の目から見ても異常なことであって、東大の中でそれが問題にならないということは考えにくいと思います。22報の調査報告書内のあの支離滅裂な文章を誰が実際に作成したのかはわかりませんが、医学部長・医学研究科長には責任があるでしょう。

宮園浩平氏の略歴

2011年(平成23年)4月 東京大学大学院医学系研究科長・医学部長 (~平成31年3月)

参考:東京大学大学院医学系研究科病因・病理学専攻分子病理学分野宮園子研究室

東大医学部研究不正疑惑関連記事紹介:

  1. 東大医学部論文の告発内容を 画像編集フリーソフトで確認する方法
  2. 医学系論文に関する報告がまだ済んでいない東大
  3. 国民の知る権利を蹂躙する東大
  4. 東京大学は医学部の不正調査をやり直すべき
  5. 東京大学医学部不正疑惑論文調査の懐疑点

 

報道

  1.  「いったい誰が土下座するのか」東大総長選をめぐるドロドロの権力争い 「怪文書」すら飛び交う異例の事態 (2020/10/02 6:00 PRESIDENT Online)  YAHOO!JAPAN NEWS  
  2. 東大総長選挙の選考過程に疑義 結果は10月2日 (中庸時評 2020/10/01 22:31 note.com)
  3. 【速報・東大総長選考】選考過程「透明ではない」が77.2% 本紙独自アンケート分析① (2020年9月30日 東大新聞オンライン)
  4. 東大総長選 “候補者の選考過程に疑義” と4学部長らが要望書 2020年9月25日 17時09分 NHK NEWS WEB
  5. 東大総長選で教員から「透明性」に疑義 有力候補者が選考から漏れる (石田かおる2020.9.25 17:52 AERA)

 

9月7日発表 第二次総長候補者

予備選でダントツトップだった宮園浩平氏が、なぜか第二次総長候補者のリストから消えています。

  • 藤井 輝夫 (理事・副学長) (予備選は54票で2位)
  • 染谷 隆夫(工学系研究科長) (予備選は14票で8位)
  • 永井 良三 (自治医科大学学長、宮内庁皇室医務主管、元東大医学部付属病院長)(経営協議会推薦)

参考

  1.  「いったい誰が土下座するのか」東大総長選をめぐるドロドロの権力争い 「怪文書」すら飛び交う異例の事態 (2020/10/02 6:00 PRESIDENT Online チーム)  YAHOO!JAPAN NEWS  

 

7月7日 予備選の結果

1位 宮園浩平 67票 :理事・副学長、元医学系研究科長

2位 藤井輝夫 54票 :理事・副学長、元生産技術研究所長

3位 (梶田隆章 24票) :宇宙線研究所長(ノーベル物理学賞を受賞)

4位 白波瀬佐和子 23票 :理事・副学長、人文社会系研究科教授

5位 大久保達也 20票  :理事・副学長、元工学系研究科長 

6位 福田裕徳 18票 :理事・副学長、元理学系研究科長

7位 石井洋二郎 16票  :中部大学教授、元理事・副学長、元総合文化研究科長

8位 染谷隆夫 14票:工学系研究科長

9位 相原博昭 14票 :大学執行役・副学長、元理事・副学長、元理学系研究科長 

10位 太田邦史  13票 :総合文化研究科長

11位 (佐藤岩夫 13票):社会科学研究所長

参考

  1.  「いったい誰が土下座するのか」東大総長選をめぐるドロドロの権力争い 「怪文書」すら飛び交う異例の事態 (2020/10/02 6:00 PRESIDENT Online チーム)  YAHOO!JAPAN NEWS  

 

4月28日 総長選考会議の内規が改定

変更点

  • 第二次総長候補者を「5名程度」から「3人以上5人以内」に
  • 「総長予定者の決定」の条の「投票の結果を考慮して総長予定者を決定する」を「調査及び意向投票の結果を考慮して総長予定者を決定する」に。

参考

  1.  「いったい誰が土下座するのか」東大総長選をめぐるドロドロの権力争い 「怪文書」すら飛び交う異例の事態 (2020/10/02 6:00 PRESIDENT Online チーム)  YAHOO!JAPAN NEWS  

参考

  1. 2020東京大学総長選考を考える
  2. 総長選考会議 次期総長予定者の選出について 東京大学

 

宮崎・早野論文が撤回 博士号も取り消し

 

 

  1. 不透明な「宮崎早野論文」撤回~宮崎氏は博士号取り消し (07/30/2020 – 14:09 OurPlanet-TV)福島県立医科大学の宮崎真講師と東京大学の早野龍五名誉教授が、福島県伊達市住民の被曝データを使って執筆した2つの論文について、英国の学術雑誌「Journal of Radiological Protection(以下 JRP誌)」が7月28日付けで撤回を公表した。… また福島医大は、宮崎氏の学位論文撤回が決定されたことの報告と学位取り消しの申し出があったため、今月15日に審査を実施。博士号の学位取消しを承認したことを明らかにした。
  2. 福島県伊達市 被ばくデータ論文撤回 7/31(金) 22:00配信 テレビュー福島 YAHOO!JAPANニュース
  3. 同意なく被ばくデータ使用の論文2本を撤回 早野東大名誉教授ら執筆 2020年7月31日 12時40分 東京新聞
  4. 不透明な「宮崎早野論文」撤回~宮崎氏は博士号取り消し 07/30/2020 – 14:09 OurPlanet-TV
  5. 伊達市民の被曝解析データを前規制委員長へ提供〜宮崎早野論文 ( 03/02/2020 – 01:43 OurPlanet-TV)伊達市民の被ばくデータを同意を得ずに論文に使用していた問題で、論文の著者が投稿前の解析データを原子力規制委員会の田中俊一委員長(当時)に提供していたことがわかった。
  6. 実測数より多いデータ解析〜宮崎早野論文に新疑惑 (02/28/2020 – 02:14 OurPlanet-TV)伊達市が、2014年の第3期(10月〜12月)に住民に配布したガラスバッチは約1万6000だったにもかかわらず、論文では2万1,080人のデータが解析されていた。2万1,080人という人数は、2013年7月から2014年6月までの1年間に、年間を通してガラスバッチを計測した人口と一致するため、前年のデータを流用した可能性がある。
  7. 宮崎早野論文に関するフォーラム開催 東大調査の不備指摘 (2019年9月16日 東大新聞ONLINE)
  8. 「日本の科学は危機的」〜「宮崎早野論文」と研究不正調査を検証 (09/14/2019 – 17:00 OurPlanet-TV )本人の同意を得ずに、福島県伊達市の全住民の被ばく線量を解析していた「宮崎早野論文」問題をめぐり、研究不正調査の結果を問う東京大学出身の研究者らが9月14日、「科学の健全な発展を望む会」を結成し、科学コミュニティの問題を考えるオープンフォーラムを開催した。
  9. 東大・福島医大「研究不正なし」〜宮崎・早野論文 (07/19/2019 – 08:36 OurPlanet-TV )
  10. 福島の放射線量過小評価か 早野名誉教授らの論文不正疑惑を概観 2019年4月3日  東大新聞ONLINE
  11. 「早野(龍五)氏はめちゃくちゃ!伊達市民の人権や尊厳を一切無視。許せない!」 黒川眞一名誉教授(高エネルギー加速器研究機構)による宮崎真・早野龍五論文に関する記者会見 2019.2.22 (記事公開日:2019.2.26 IWJ)ツイッターで「原子力安全神話」に沿った情報発信を行っていたのが東京大学大学院教授(当時。現在は東大名誉教授)の早野龍五氏である。一時はフォロワーが15万人を超えていた。 早野氏は当初、メルトダウンは起きておらず、格納容器も壊れていないと言い切っており、「東大の学者がそう言うのなら大丈夫だろう」と受け止めた人も多かったはずだ。2014年には「ほぼ日刊イトイ新聞」の糸井重里氏との共著『知ろうとすること。』(新潮社)を出版。放射能の影響を懸念する人々に安心を与える科学者として、「3.11後の安全神話」の旗振り役となっている。 その早野氏が、福島県立医科大学講師の宮崎真氏と共同で発表し、英国の放射線防護専門誌「Journal of Radiological Protection」(JRP誌)に掲載された2本の研究論文が問題視されている。
  12. 疑惑の宮崎早野論文を報じた朝日新聞に看過できない「改ざん」。不誠実な「訂正」は許されない2019.02.21 HARBOR BUSINESS Online(ハーバー・ビジネス・オンライン)
  13. 「被曝に関するウソあり」東大名誉教授論文を先輩学者が指摘 (2019/02/15 11:00 最終更新日:2019/02/15 19:43 女性自身)黒川さんは、「少しでも除染の効果を低く見せるための印象操作ではないか」と推察する。
  14. 千代田テクノルのデータを研究に使用認める〜宮崎・早野論文 (02/08/2019 – 17:00  OurPlanet-TV)第一著者の宮崎真福島医科大講師は5日、個人線量測定会社千代田テクノル(本社:東京都文京区)」から提供を受けたデータを使っていたことを認めた。また研究は、仁志田昇司前市長に持ちかけられたことも明かした。… 宮崎氏が使用を認めたのは、伊達市の個人線量計測を受託している千代田テクノルから入手したデータ。伊達市から個人線量分析業務を受託している同社は2015年2月13日金曜日、「成果物の品質向上を図る」との名目で、宮崎氏と早野氏にデータを開示したいと求める文書を仁志田前市長に提出。土日を挟んだ16日月曜日、市は個人情報保護審査会にかけることなく承認した。
  15.  
  16. 被ばく線量誤り論文修正へ 東大・早野氏 福島の住民データ (2019/1/8 17:10 日本経済新聞)著者の早野龍五東京大名誉教授(原子物理学)は8日、「累積線量を3分の1に評価する重大な誤りがあった」として、掲載した英専門誌に修正を求めたと明らかにした。… 16年12月空間線量との関係を調べた第1論文が掲載された。誤りがあったのは、人が生涯に被ばくする放射線量との関係を検証し17年7月に掲載された第2論文

50代東大教授が自分の大学院生に交際を強要して停職4か月の処分を受けるもセクハラの自覚なし

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東大のウェブサイト上の記者発表資料を、以下に転載します(太字強調は当サイト)。

東京大学のプレスリリース

懲戒処分の公表について 令和2年2月6日 東京大学

東京大学は、大学院教授(男性・50歳代)に対し、1月29日付けで、停職4月の懲戒処分を行った。

教授は、2年以上にわたり、指導する本学大学院学生に対して恋愛感情を示し続け、当該学生が教授との交際を望んでいないことを十分に認識しながらなお、執拗に交際を申し込み、交際を拒まれるたびに、研究に関する予定を変更したり、不機嫌になったりするなど当該学生を翻弄し、結果的に研究が続けられなくなるほど精神的に追い詰めた。さらに、意に反する身体接触も行った。

教授の行為は、セクシュアルハラスメントに該当する行為であり、就業規則第38条第5号に定める「大学法人の名誉又は信用を著しく傷つけた場合」及び同条第8号に定める「その他この規則及び大学法人の諸規則によって遵守すべき事項に違反し、又は前各号に準ずる不都合な行為があった場合」に該当することから、同規則第39条第4号に定める停職4月の懲戒処分としたものである。

付 記
本件に関する行為の詳細や被害者に関する情報については、被害者のプライバシーを侵害したり、被害者に対して二次被害を与えるおそれがあることなどから、公表を差し控えます。

<添付資料>
東京大学教職員就業規則(抄) (PDFファイル: 63KB)
東京大学における懲戒処分の公表基準 (PDFファイル: 7KB)


本学教員としてあるまじき行為であり、かかる行為は決して許されるものではなく、厳正な処分をいたしました。
大学として、このことを厳粛に受け止め、今後このようなことがおこらないよう、再発防止にあたっていく所存です。

東京大学 理事・副学長
宮 園 浩 平

(転載元:懲戒処分の公表について記者発表 本部広報課 掲載日:2020年2月6日)


 

 

東大教授のやったこと

教授は2年以上にわたり、無料通信アプリ「LINE(ライン)」や対面で数十回、大学院生に恋愛感情を示し、複数回交際を申し込んだ。教授は拒否されるたび、大学院生の研究の予定を急に変更したり、不機嫌になったりした。無理やり体を触ることもあったという。(読売新聞 msn.com

 

東大教授の主張

「セクハラはしていない」

(読売新聞 msn.com

 

痴漢行為を働いたら逮捕されたり懲戒免職になると思いますが、自分の大学院生に対して無理やり体を触るなどのセクハラ行為を働いても停職4か月で済むというのは処分が軽すぎるのではないでしょうか?東大の声明に「今後このようなことがおこらないよう、再発防止にあたっていく」とありますが、この教授がセクハラだったと考えていないのだから、またお気に入りの女子大学院生が入学してきたら同じことを繰り返しそうです。

 

 

この事件に関するツイートの一部を紹介

東京大学が医学部研究不正疑惑論文に関する調査報告書を国民に開示しないのは違法(総務省審査会第4部会の判断)

続報:日本における研究倫理の存在の耐え難い軽さ(というか、存在しない)

東京大学が医学部研究不正疑惑論文に関する調査報告書を国民に開示しないのは妥当(総務省審査会第5部会の判断)


東大における研究倫理の存在の耐え難い軽さ(というか、存在しない)

2016年の8月にOrdinary_Researchersが告発した東大の論文不正疑惑では、エラーバーを棒グラフの内部に押し込むなど同じような手口が、医学系、理学系のラボからの論文で見られました。

関連記事 ⇒ Ordinary_researchersの告発2通め11論文

グラフが手作業で適当にでっちあげられているのを見て、自分はゾッとしました。見てはいけない犯行現場を目撃してしまったような嫌な気分にさせられたのです。これ以上の不正の証拠はないだろうと思いました。

関連記事 ⇒ 告発内容を画像編集フリーソフトで確認する方法

ところが非常に驚いたことに、理学系では研究不正が認定されラボがお取り潰しになったのに対して、医学系に関しては不正無しの一言で片づけられてしまいました。それどころか、このような論文作成作法が「通常」だと東大がのたまったのです(22報論文調査報告 17~21ページ)。それが本当なら、東大医学部から出る論文は誰からも信用されなくなりますから、東大執行部によるこのようなステートメントは、東大の評判を落とし、東大の名誉を著しく傷つけると思います。

関連記事 ⇒ 医学系論文に関する報告がまだ済んでいない東大

 

東大医学部の不正疑惑論文に関しては、本当にすべての図に関して実験がなされていたのでしょうか?エラーバーを棒グラフの裏に手作業で押し込んでいた論文の図に該当する生データで、有意差は出るのでしょうか?東大にはそれを納税者や研究コミュニティに対して説明する義務があります。もちろん、すべての図に関して個別に!

分生研の不正だけやけに詳細に報告し、医学部のほうは情報がほぼなかったので医学部のほうは調査すらしなかったのかなと当初思いました。しかし、答申にある文書名から察する限り、医学部でも調査は行われていたようです。外部の研究者が調査委員として加わり、科学者としての良心と常識に基づいて調査したのでしょうから、第三者が研究不正の有無を判断する上で十分な情報量が調査資料にあるのではないかと思われます。

「22報論文に関する調査報告書」および、医学部保有の「調査班会議資料」、「部局調査結果報告書」、「個別の論文説明資料(1214頁)」、「ヒアリング反訳資料(291頁)」を公表して、科学コミュニティの判断を仰ぐのは東大執行部の責務でしょう。そもそも国民の知る権利は法的に保障されており、公開しない理由がないのです。

関連記事 ⇒ 東大医論文疑惑 知る権利を蹂躙する東大

東大では生データと発表データが食い違うのがほとんどらしいので(22報論文報告書 14ページ)、調査の生データともいうべき「個別の論文説明資料(1214頁)」と「ヒアリング反訳資料(291頁)」を吟味する必要がありそうです。みなさん、是非、東大に資料の開示請求をしてみてください。

外部リンク ⇒ 法人文書の情報公開について(東京大学)

 

さて、東大がなぜ調査内容を国民や研究者コミュニティに対して公開できないのかが謎なのですが、東京大学理事の中には科学者だけでなく弁護士もいますから、調査報告書を隠すことの違法性を承知しているはずです。法を犯してまで隠さなければいけないことって一体何なのでしょう?まさかとは思いますが、デタラメな論文業績(註:東大の報告書いわく、ほとんどの場合において、オリジナルデータすなわち実験で得られた測定値≠論文のグラフが表す数値)に基づいてAMEDや文科省から何十億円もの研究助成を受け取っている現状を現東大理事たちが積極的に守ろうとしているのだとすれば、かなりたちが悪いと言わざるを得ません。文科省やAMED、厚労省がこれを黙認しているのも、国民に対する裏切り行為だと思います。

関連記事 ⇒ 東大医 異常な論文図表作成でも不正なし

アメリカでは研究不正を隠蔽した大学が訴えられたというケースもあります。

関連記事 ⇒ デューク大学、研究不正隠しで損害賠償請求訴訟

医学部の研究室では棒グラフのエラーバーを手でいじるのが「通常」だとしたら、そんな環境にあって、まともに実験して結果を出そうと努力している多くの研究者や大学院生がハラスメントの被害に合う危険が大きいのではないですか?

情報を隠蔽することにより、研究や教育に極めて不適切な環境を積極的に維持しようと努めている(ように自分には見える)現東大執行部の責任は重大だと考えます。

 

Ordinary_Researchersの告発文を今読み返すと、非常に切迫感があります。

常習性、頻度、公正性、論文の与える影響の深刻さ等を鑑みれば、もはや看過すべきではないという結論に至った。ここで告発するのは、発見したもののごく一部に過ぎないことも申し添えておく。 … あらぬ疑いをかけられている研究室の潔白を証明する良い機会になるか、それとも膿を出すことになるか、どちらにしても東京大学にとってのみならず、日本の生命科学研究にとって良い方向へと進むきっかけになるはずである。(2016年8月14日 Ordinary_researchers 告発文1PDF

しかし、Ordinary_researchersの思惑とは裏腹に、期待されたどちらにもならず、東大が臭いものにフタをしてしまっただけでした。東大のこの行動によって、日本の研究倫理を高める努力が大きくくじかれたのではないでしょうか。

 

日本では、相変わらず研究力の低下が叫ばれる状態が続いており、日本の生命医科学研究は何一つ良い方向へ向かっていないように思います。

研究倫理や研究不正に関する概念は徹底的に破壊され、自分の頭の中の辞書は書き換えを余儀なくされました。

【え】

エラーバー【error bar】平均値を表す棒グラフなどにおいて、標準誤差や標準偏差などを示した線分のこと。通常は、統計処理ソフトで自動的に計算・描画が行なわれる。例外的に、東京大学医学部においてはエラーバーの作成は手作業で行なわれるのが通常である。

【お】

オリジナルデータ【original data】論文の図表のもととなる、観察や測定によって得られた数値や、画像などの生データ。通常は論文の数値と一致するが、東大医においてはほとんど一致しない。

【け】

けんきゅうふせい【研究不正】①実験ノートが存在しないこと、または、実験ノートが提出できないこと。〔東大・医〕定義されない。

【つ】

つうじょう【通常】①普通のことが行なわれているさま。〔東大〕異常なことが行なわれているさま。

【と】

とうだいいがくぶ【東大医学部】(東大の発表に基づき)以下に述べる5個の性質を持つ実体を「東大医学部」と定義する。
1)研究室から発表された論文の図に示されるデータと、オリジナルデータ(実験で得られる生データ)とはほとんど一致しないこと。(そのような論文を出すラボが組織内に存在すること)
2)論文の図作成にあたり、数値データをグラフにする際に、まずマイクロソフトエクセルを用いてグラフを描くこと。
3)エクセルで描いたグラフは、必ずコピペによりマイクロソフトパワーポイント(パワポ)やアドビイラストレーター(イラレ)など別のアプリケーション上に移し変えること。
4)パワポやイラレ上に移されたグラフはそのまま論文の図に使用することはせず、かならず、X軸、Y軸、棒グラフ、エラーバーを手作業でなぞる(トレース)ことにより、手書きのグラフとすること。このとき、オリジナルデータとの一致を消失せしめること。
5)論文の図で示された値がオリジナルデータとどれほど一致していなくても、不正調査委員会、大学執行部、研究資金配分機関、監督省庁からは研究不正と認定されないこと。

【ふ】

ふせいこういはない【不正行為はない】不正行為がない場合には、不正疑惑に関する調査報告を公表しなくてよいという時代錯誤な規則を逆手にとって、不正行為を揉み消したい大学が使う言葉。「調査結果の概要(医学系研究科関係)(結論)申立のあった5名について不正行為はない」

(『現代ラボ用語の基礎知識』より)

 

WORDS WITHOUT DEEDS

東京大学の科学研究における行動規範

1 科学研究は、人類の幸福と社会の発展のために欠くべからざる活動である。科学研究の成果は公開されることにより研究者相互の厳密な評価と批判にさらされ、それに耐え抜いた知識が人類共有の財産として蓄積され活用される。科学研究に携わる者は、この仕組みのもとで人類社会に貢献する責務を負っており、またそれを誇りとしている。この科学者コミュニティの一員として、研究活動について透明性と説明性を自律的に保証することに、高い倫理観をもって努めることは当然である。
2 科学研究における不正行為は、こうした研究者の基本的な行動規準に真っ向から反するものである。のみならず、研究者の活動の場である大学に対する社会の信頼をいちじるしく損ない、ひいては科学の発展を阻害する危険をもたらす。それは、科学研究の本質そのものを否定し、その基盤を脅かす、人類に対する重大な背信行為である。それゆえ、科学研究を行うにあたっては、捏造、改ざん、盗用を行わないことはもとより、広く社会や科学者コミュニティによる評価と批判を可能とするために、その科学的根拠を透明にしなければならない。科学研究に携わる者は、実験・観測等の実施者、共同研究者、研究グループの責任者など立場のいかんを問わず、説明責任を果たすための具体的な措置をとらなければならない。
3 科学研究に携わる者の責任は、負託された研究費の適正使用の観点からも重要である。大学における科学研究を有形無形に支える無数の人々に思いをいたし、十分な説明責任を果たすことにより研究成果の客観性や実証性を保証していくことは、研究活動の当然の前提であり、それなしには研究の自由はあり得ない。その責任を果たすことによってこそ、東京大学において科学研究に携わる者としての基本的な資格を備えることができる。

行動規範及び規則制定にあたっての総長声明

科学研究は、人類が未踏の領域に挑戦して知の拡大をはかり、その成果を人類全体が共有して社会に還元することを目的とする活動である。科学研究において研究者は、科学的手法を用いた研究によって得られた知識を学術論文として公知のものとし、人類共有の資産として蓄積していく。それらの知識は、客観性や実証性に裏付けられたものであり、同時代もしくは後代の研究者による追試や評価を可能とするものであるがゆえに、その科学的根拠を科学者コミュニティが自ら保証するものである。近代科学の歴史の中で人類が築いて来たこの科学研究の作法にしたがって行動することは、研究者の活動の自明の前提であり、現代においても研究者の基本的な行動規準である。また、今日のように、科学研究が細分化し専門化する状況の中においては、研究者がこうした行動規準を確実に遵守していることを、より積極的に社会に説明することが求められる。東京大学は大学憲章において研究の説明責任の重要さを掲げており、東京大学において科学研究に携わる者はそれを当然の原理としてきている。しかしながら近時、この自明のはずの研究作法が遵守されていないのではないかという疑いをよぶ事態が生じていることは、まことに遺憾であると言わなければならない。大学は、科学研究を行うとともにそれを次世代に伝えるという教育機関としての責務を負っており、研究にあたっての行動規準は学問の自由と一体のものとして、きわめて厳格に遵守されなければならない。この規準に対する違反は大学の存立の根幹を脅かす重大な行為であり、大学がそうした違反を防止するための自律的な取組みを責任をもって行うことは、大学の自治の一部である。そこで、このたび、東京大学として、科学研究の基本的な作法を行動規範として再確認するとともに、この行動規範を大学が自ら担保するための委員会制度を規則として定めることとした。こうした行動規範は、東京大学で科学研究に携わる者すべてが当然に血肉化しているはずのものであるが、万一の違反行為に対していっそう厳正かつ確実な対応が行われるようにすることが、あえてここに明文化することの目的である。今後、研究費の獲得をめぐる競争が激しくなる中でも、科学研究の原点に対する意識をたえず喚起し、研究者が相互に忌憚なく論じ合える風通しのよい研究環境を整えることによって、東京大学における科学研究の質をさらに高めていくことに努めたいと考えている。

(引用元:PDF 東京大学)*太字強調は当サイト

上の東大の声明は平成18年3月のもので、非常に力強い言葉です。残念ながらこの決意を今の東大執行部が反故にしてしまったようです。行動が伴わない言葉に、どれほどの意味があるというのでしょうか?

 

前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

東京大学が医学部研究不正疑惑論文に関する調査報告書を国民に開示しないのは違法

法律の専門家ら(総務省の審査部会)によれば、東大現執行部が不正調査資料の公開を拒んでいるのは理由に正当性がなく違法だとのことです。結論の部分だけ先に紹介。

22報論文に関する調査報告書」(以下「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした決定は,理由の提示に不備がある違法なものであり,取り消すべきである。((独情)056 総務省 PDF

別紙に掲げる4文書(以下,併せて「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした決定は,理由の提示に不備がある違法なものであり,取り消すべきである。
別紙(本件対象文書)
文書1 調査班会議資料
文書2 部局調査結果報告書
文書3 個別の論文説明資料
文書4 ヒアリング反訳資料
((独情)059 総務省 PDF

平成28年度 科学研究行動規範委員会資料」(以下「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした決定は,理由の提示に不備がある違法なものであり,取り消すべきである。((独情)057 総務省 PDF)

平成29年度 科学研究行動規範委員会資料」(以下「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした決定は,理由の提示に不備がある違法なものであり,取り消すべきである。((独情)058 総務省 PDF)

以下、総務省のウェブサイトで公開されている答申(PDF)の内容を転載します。それぞれの大見出しは当サイトがつけたものです。なお、文書内の「一部開示」というのは言葉が紛らわしいですが、大部分を墨塗りにしてどうでもいい部分だけを部分的に開示したり、複数の資料があった中のどうでもよい資料のごく一部だけを開示したりしていることであり、実質的には全面的な不開示の様相です。

 

東京大学が公文書『医学部研究不正疑惑に関する「22報論文に関する調査報告書」』を国民に開示しないのは違法

諮問庁:国立大学法人東京大学
諮問日:平成30年6月14日(平成30年(独情)諮問第37号)
答申日:令和元年12月2日(令和元年度(独情)答申第56号)
事件名:22報論文に関する調査報告書の一部開示決定に関する件

答 申 書

第1 審査会の結論

「22報論文に関する調査報告書」(以下「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした決定は,理由の提示に不備がある違法なものであり,取り消すべきである。

第2 審査請求人の主張の要旨

1 審査請求の趣旨

独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく開示請求に対し,平成30年2月9日付け第2017-58号により国立大学法人東京大学(以下「東京大学」,「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った一部開示決定(以下「原処分」という。)について,その取消しを求める。

2 審査請求の理由

(1)不開示とした理由には根拠や正当性がない

過去の会議の日時を公開することは,会議の開催頻度を公開することになり事業遂行に支障があるというが,会議の開催頻度は目的やそのときどきの状況により異なるのが通常であろうから,今回の不正調査の会議の日時を公開したからといって,それが今後の不正調査等の会議開催頻度においてなんらかの縛りを与えるものにはならず,支障があるとは考えられない。

調査委員会の構成員名を公にすると,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるというが,これは理屈が全く逆である。意思決定の中立性を保証するためには,構成員名を公にすべきである。支障をきたす場合があるとすれば,それは委員の構成に中立性がなかった場合のみであるから,この部分を開示できないというのは,そのような疑念を生じさせる。この疑念を払拭させるためには,開示する必要がある。

審議,検討又は協議に関する情報を開示すると,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある,というのも論理が逆になっていて,不開示の根拠にならない。調査書の目的の一つは,調査が公正に行われたことを示すことである。第三者の研究者からみてデータ捏造としか考えられないような多数の図表がなぜ不正と認定されなかったのか,どのような審議,検討がなされた結果そうなったのかを明らかにしない限り,不正なしという意思決定が中立性のもとに下されたかどうかの疑念が払拭されない。

内容確認に係る事務に関する情報を開示すると,当該事務及び事業の適正な遂行に支障があるおそれ,という理由も理由になっていない。内容確認の意味が不明であるが,これが研究不正を疑われた論文著者らの釈明や実験データの存在の有無などの内容を指すのであれば,むしろ開示することにより,内容確認が適正に遂行されたかどうかを明らかにできるはずである。

研究に関する情報を開示するとその公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれがあるという理由は,まったくもってナンセンスである。研究者が論文発表を行う場合には,どのようにして実験データが得られて,どのようなデータ処理によって論文の図表を作成したかの記述は論文の中に含めるのが通常である。研究者が不正に手を染めずにまっとうに研究をしているかぎり,論文作成にいたるプロセスの全てを公開することになんの支障もないのが,普通の研究者の感覚である。論文著者が実験ノートの片隅に殴り書きしたようなその場限りの思いつきといったものならいざしらず,このような大学の公式な最終報告書に記載された研究に関する情報が開示できない理由はない。

(2)不開示の決定は東大の行動規範に反する

「東京大学の科学研究における行動規範」には研究者の責務として,「研究活動について透明性と説明性を自律的に保証する」,「広く社会や科学者コミュニティによる評価と批判を可能とするために,その科学的根拠を透明にしなければならない」,「十分な説明責任を果たすことにより研究成果の客観性や実証性を保証していくことは,研究活動の当然の前提」といった文言が並んでいるが,不正の疑いが研究者の目からみて非常に濃いにもかかわらず調査報告書を不開示とするのは,科学者コミュニティによる評価や批判を不可能にしており,不正であるとする科学的根拠が不透明なものになっている。

不正の疑義がなぜ晴れるのかの説明を公表しないということは,これらの疑惑論文の研究成果の客観性が保証されていないということである。そのような疑惑に満ちた論文業績に基づいてこれらの論文著者らが数億円規模の研究費(=税金)を獲得しているのは,到底許容されない。

(3)不開示の決定は文科省のガイドラインに反する

論文の図に疑問がある場合に,論文読者が論文筆者に質問したり,議論したりすることは,科学者,研究者の間ではごく普通のことであり,疑義を呈された図に関してどのような過程で図が作成されたのかを説明することは,著者や研究機関の誰にとっても,何の不利益も生じ得ない。わざわざ隠す理由などどこにもない。

科学コミュニケーションを著しく阻害する東大執行部の行為は,東大自身の規範及び文科省が示す「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」の文言「研究者間相互の吟味・批判によって成り立つチェックシステムが不可欠である。」という精神に真っ向から対立するものであり,到底許されざることである。

(4)理学系と医学系における研究倫理にダブルスタンダードを持ち込んでいる

分生研の論文も同時に告発されているが,告発内容は同程度もしくは量,質においてそれ以上の悪質性があると見受けられる。それにもかかわらず,分生研の論文のみに不正を認め,医学系論文にはまったく不正行為がなかったという判断は,信じがたく,もし東大がそう主張したいのであれば,通常の研究者に対して信じるに足る説明を行う責任がある。そうでなければ,東大執行部が医学部の不正隠蔽を目的に,不開示の権限を乱用しているとしか考えられない。

(5)納税者への説明責任をまったく果たしていない

東大は,年間1000億円近い研究費,交付金を得ており,この巨額な資金が東大の研究者によって適正に使われていることを納税者に対する説明責任がある。研究不正の疑義に関する調査報告書を公開しないということは,この説明責任を放棄する行為である。

(6)発表論文は公開されており報告書で非公開とする理由がない

学術誌に掲載された論文は,著者名や所属が明記されており,これらは公開されている以上,個人情報の保護対象にする理由がない。不正疑惑を指摘された論文リスト及び告発内容も,特定ニュースの複数の記事のリンクから閲覧可能であり,事実上,公開されている。よって,論文リストや告発内容の部分を不開示とする理由もない。研究者コミュニティにおいては,実験結果や実験方法に関して読者が疑問を持てば,論文著者らに対して気軽に質問し回答を得るという文化が定着している。このような研究者間のコミュニケーションの常識に照らせば,不正が疑われるような図表の作成がどのように行われたのかの調査結果を公開することは,研究者コミュニティ内の通常の活動の範疇でしかなく,なんら著者や所属機関に不利益をもたらすものではない。仮に不利益が生じるとすれば,それは不開示により隠蔽されていたデータ捏造が露呈する場合のみであろう。

(7)不開示は公共の利益を著しく損なう

このような調査報告書の不開示がまかりとおるなら,東大医学部においてはデータ捏造がやり放題であり,それで特定雑誌等の一流誌に論文を掲載して,その業績により何億円もの研究費を獲得するということがまかり通ることになってしまう。このような行為は,日本の科学研究の進展を著しく阻害するものであり,また,特に医学部でこのような不正活動が放任されるのであれば,本来は病気や患者のための医科学研究であるべきであるのに,患者の期待に対する重大な裏切り行為でもある。

東大が公開されて当然の最終報告書を不公開にしたこと,論文著者らが告発後,反論も訂正も論文撤回もせずに1年以上沈黙していることなどを考えれば,これらが単なる図表の取扱いミスであったと考える合理性はほとんどなく,これらの状況に対するもっとも合理的な説明(仮説)は,重大な不正行為があったとするものである。東大はこの仮説を反証する証拠(今回不開示とされたすべての資料)を公開して,私の仮説が間違っていたことを証明していただきたい。研究不正を隠蔽する工作自体も,新たな研究不正であることから,不開示を認めてしまうと組織的な不正を阻止する手段が完全に失われてしまうことになり,反社会的で公益に反するこのような隠蔽行為を認める訳にはいかない。

第3 諮問庁の説明の要旨

1 本件対象文書について不開示とした理由について

本件対象文書は,「22報論文に関する調査報告書」である。本学では,研究不正の事案については,科学研究行動規範委員会において調査を行っているが,22報論文に関する調査報告書については,以下の理由に該当する部分について不開示とする決定を行った。

(1)当該委員会の開催日時については,本学として当該委員会をどの程度の頻度で開催していることが公になることが本学にとっての当該事業の適正な遂行に支障がでるため,法5条4号柱書きに該当するため不開示とする。

(2)当該委員会委員長以外の委員名及び部局内調査班班長以外の構成員名については,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあり,法5条3号に該当するため不開示とする。

(3)調査の経緯,調査の概要,調査結果等に関する文書のうち,審議,検討又は協議に関する情報であって,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,本学の事務及び事業に関する情報であって,当該事務及び事業の適正な遂行に支障がでるおそれ,内容確認に係る事務に関する情報であって,正確な事実の把握を困難にするおそれ,研究に関する情報であって,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ,及び人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報に該当する部分については,法5条3号,法5条4号柱書き,法5条4号ハ,法5条4号ホ及び法5条4号ヘに該当するため不開示とする。
これについて,審査請求人は,平成30年4月16日受付けの審査請求書のなかで,原処分の取消しを求めている。

2 審査請求人の主張について

審査請求人は,「肝心な部分が全部黒塗りでは,実質的に全面的な不開示と変わらない。全面的な開示,最低でも研究(疑惑の論文の図の説明)に関する記述は全て公開すべきである。」と主張し,「今回の不正調査の会議の日時を公開したからといって,それが今後の不正調査等の会議開催頻度においてなんらかの縛りを与えるものにはならず,支障があるとは考えられない。調査委員会構成員を公表できないというのは,それは委員の構成に中立性がなかった場合のみであり,この疑念を払拭させるには開示する必要がある。審議,検討に関する情報は,どのような審議,検討がなされた結果そうなったのかを明らかにしない限り,不正なしという意思決定が中立性のもとに下されたかどうかの疑念が払拭されない。内容確認に係る事務についても,むしろ開示することにより内容確認が適正に遂行されたかどうか明らかにできるはずである。研究に関する情報についても,大学として公式な最終報告書に記載された研究に関する情報が開示できない理由はない。」不開示の決定は,東大の科学研究における行動規範に反している,不開示の決定は文科省のガイドラインに反する,理学系と医学系における研究倫理にダブルスタンダードを持ち込んでいる,納税者への説明責任をまったく果たしていない,発表論文は公開されており,報告書で非公開とする理由がない,不開示は公共の利益を著しく損なう。」等と主張している。

しかしながら,22報論文に関する調査報告書は,審議,検討又は協議に関する情報であって,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,本学の事務及び事業に関する情報であって,当該事務及び事業の適正な遂行に支障がでるおそれ,内容確認に係る事務に関する情報であって,正確な事実の把握を困難にするおそれ,研究に関する情報であって,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ,及び人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報に該当する部分については,法5条3号,法5条4号柱書き,法5条4号ハ,法5条4号ホ及び法5条4号ヘに該当するため開示することはできない。

また,当該委員会開催日や当該委員会委員長・部局内調査班班長以外の委員名・構成員についても上記1にある不開示理由により開示することはできない。研究不正の調査については,その判定結果の如何によらず,対象となる研究者の研究活動に大きな影響を与えるものであり,係る調査については,限りなく公平中立なものとして実施されなければならないと理解している。調査の内容について必要以上に開示することは,調査機関として担保すべき,正確な事実の把握,率直な意見の交換,意思決定の中立性などを困難にするおそれがあり,ひいては,調査機関として行う不正行為の判定結果の信頼性をも損なうことになる。また,「不正なし」と認定した場合には,これらの要請に加えて,不正行為の認定がなされなかった被申立者への配慮も当然考慮すべき事項となってくる。そのため,今回開示した内容については,上記の理由から必要かつ十分なものであると認識としている。したがって,本学の決定は妥当なものであると判断する。以上のことから,諮問庁は,本件について原処分維持が妥当と考える。

第4 調査審議の経過

当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
① 平成30年6月14日 諮問の受理
② 同日 諮問庁から理由説明書を収受
③ 同月28日 審議
④ 令和元年9月5日 本件対象文書の見分及び審議
⑤ 同年10月17日 審議
⑥ 同年11月7日 審議
⑦ 同月28日 審議

第5 審査会の判断の理由

1 本件対象文書について

本件開示請求は,本件対象文書の開示を求めるものである。処分庁は,本件対象文書の一部について,法5条3号並びに4号柱書き,
ハ,ホ及びヘに該当するとして不開示とする原処分を行った。これに対して,審査請求人は,原処分の取消しを求めている。

2 理由の提示について

(1)開示請求に係る行政文書の一部又は全部を開示しないときには,法9条1項及び2項に基づき,当該決定をした旨の通知をしなければならず,この通知を行う際には行政手続法8条に基づく理由の提示を書面で行うことが必要である。理由の提示の制度は,処分庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を相手方に知らせて不服申立てに便宜を与える趣旨から設けられているものである。かかる趣旨に照らせば,この通知に提示すべき理由としては,開示請求者において,不開示とされた箇所が法5条各号の不開示理由のいずれに該当するのかが,その根拠とともに了知し得るものでなければならず,当該法人文書及び不開示箇所を特定できる記載がなければ,開示請求者に,その種類,性質等が分からず,通常,求められる理由の提示として十分とはいえない。

(2)当審査会において原処分の法人文書開示決定通知書(以下「通知書」という。)を確認したところ,「不開示とした部分とその理由」欄には,以下のとおり記載されている。

「①当該調査委員会の開催日時については,本学として当該会議をどの程度の頻度で開催していることが公になることが本学にとっての当該事業の適正な遂行に支障がでるため,法5条4号柱書きに該当するため不開示とする。

②当該調査委員会委員長以外の委員名及び部局内調査班
班長以外の構成員名については,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあり,法5条3号に該当するため不開示とする。

③調査の経緯,調査の概要,調査結果等に関する文書のうち,審議,検討又は協議に関する情報であって,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,本学の事務及び事業に関する情報であって,当該事務及び事業の適正な遂行に支障が生じるおそれ,内容確認に係る事務に関する情報であって,正確な事実の把握を困難にするおそれ,研究に関する情報であって,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ,及び人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障をおよぼすおそれがある情報に該当する部分については,法5条3号,法5条4号柱書き,法5条4号ハ,法5条4号ホ及び法5条4号ヘに該当するとして不開示とする。」

(3)上記(2)①ないし③の理由で不開示とした部分のうち,③の理由で不開示とした部分は,調査の経緯,調査の概要,調査結果等に関する文書のうち,「審議,検討又は協議に関する情報」,「本学の事務及び事業に関する情報」,「内容確認に関する情報」,「研究に関する情報」及び「人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報」に該当するものと抽象的な記載にとどまり,具体的な不開示部分が特定されておらず,頁単位での特定もされていない。また,不開示とされた部分に記載された「審議,検討又は協議に関する情報」や「本学の事務及び事業に関する情報」が,研究不正に係る調査委員会のどのような審議や検討等に関するものか,東京大学のいかなる事務や事業に関するものかといったことも全く不明である上,不開示事由についても,複数の不開示条項の規定をほぼそのまま引用したに等しい内容が書かれているにすぎない。例えば,不開示部分を公にすることによって,法5条3号にいう「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」があるとする場合には,何に関する情報を公にすることにより,どのような者から誰に対していかなる圧力や干渉等が加えられることが考えられるのかといったことを示す必要があるところ,通知書では,これらが何も示されておらず,当該各不開示事由に該当すると判断した理由を具体的に示しているとは認められない。そして,当審査会において,本件対象文書を見分したところ,本件対象文書の不開示部分は多数の箇所が文字ないし頁単位で不開示とされていることが認められ,この見分結果及び上記(2)③の不開示理由の記載を踏まえると,上記(2)③の理由で不開示とされた部分は,本件対象文書の不開示部分のどの箇所であるのかを正確に把握できない。また,上記(2)①の理由で不開示とした部分は,不開示とされた情報の内容が「当該委員会の開催日時」と具体的に示されており,一部推測できる部分もあるが,具体的な不開示部分の特定がされていないことから,上記(2)①又は③のいずれの不開示部分に該当するのか正確に把握できない部分もあり,必ずしも明らかにされているとはいえない。なお,上記(2)②の理由で不開示とした部分は,「当該委員会委員長名及び部局内調査班班長以外の構成員名」と記載されており,具体的な不開示部分の特定はされていないものの,不開示とされた情報の内容
及び理由は示されていることから,直ちに理由の提示に不備があるとはいえないと思われるが,文書を全体としてみた場合,上記(2)③に該当する部分がほとんどであり,本件一部開示決定は,全体として理由の提示に不備があるといわざるを得ない。

(4)また,本件開示実施文書を確認したところ,不開示部分がある各頁の上部等には,不開示条項が付記されているが,これを理由の提示又はそれを補うものと見ることはできない。

(5)したがって,原処分は,理由の提示の要件を欠くといわざるを得ず,法9条2項の趣旨及び行政手続法8条1項に照らして違法であり,取り消すべきである。

3 本件一部開示決定の妥当性について

以上のことから,本件対象文書につき,その一部を法5条3号並びに4号柱書き,ハ,ホ及びヘに該当するとして不開示とした決定については,理由の提示に不備がある違法なものであり,取り消すべきであると判断した。

(第4部会)委員 山名 学,委員 常岡孝好,委員 中曽根玲子

 

東京大学が公文書「医学部の部局調査結果報告書等」を国民に公開しないのは違法

諮問庁:国立大学法人東京大学
諮問日:平成30年6月14日(平成30年(独情)諮問第40号)
答申日:令和元年12月2日(令和元年度(独情)答申第59号)
事件名:大学院医学系研究科・医学部が保有する部局調査結果報告書等の一部開示決定に関する件

答 申 書

第1 審査会の結論

別紙に掲げる4文書(以下,併せて「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした決定は,理由の提示に不備がある違法なものであり,取り消すべきである。

第2 審査請求人の主張の要旨

1 審査請求の趣旨

独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく開示請求に対し,平成30年2月9日付け第2017-58号の4号により国立大学法人東京大学(以下「東京大学」,「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った一部開示決定(以下「原処分」という。)について,その取消しを求める。

2 審査請求の理由

研究に関する情報を不開示にする理由として,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれがあるとしているが,これには根拠がない。なぜなら,論文のデータに疑問が生じたときに,論文読者である研究者が論文著者に連絡をとって質問し,回答を得るという行為は通常研究者コミュニティにおいて当たり前のように行われている行為であって,何らかの支障を生じる恐れは全くないからである。

今回の研究不正告発により,一般の研究者の常識からは理解できないような不適切な論文図表の数々が指摘されたわけであるから,著者からの聞き取り調査の資料を全面的に公開するのは,通常行われている科学コミュニケーションの範疇でしかなく,不開示とする理由にはなり得ない。科学者同士のコミュニケーションを阻害する不開示は,「東京大学の科学研究における行動規範」にある文言,「広く社会や科学者コミュニティによる評価と批判を可能とするために,その科学的根拠を透明にしなければならない」にも反している。このような言行不一致は断じて許されない。

第3 諮問庁の説明の要旨

1 本件対象文書について不開示とした理由について

本件対象文書は,医学系研究科の「調査班会議資料」,「部局調査結果報告書」,「個別の論文説明資料」及び「ヒアリング反訳資料」である。本学では,研究不正の事案については,科学研究行動規範委員会において調査を行っているが,本件対象文書は,以下の理由に該当する部分について不開示とする決定を行った。

(1)当該会議の開催日時・回数・場所については,本学として当該会議をどの程度の頻度で開催していることが公になることが本学にとっての当該事業の適正な遂行に支障がでるため,法5条4号柱書きに該当するため不開示とする。

(2)調査委員会委員長以外の委員名及び部局内調査班班長以外の構成員については,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあり,法5条3号に該当するため不開示とする。

(3)当該会議資料の調査の経緯,調査の概要,調査結果等に関する文書のうち,審議,検討又は協議に関する情報であって,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,本学の事務及び事業に関する情報であって,当該事務及び事業の適正な遂行に支障がでるおそれ,内容確認に係る事務に関する情報であって,正確な事実の把握を困難にするおそれ,研究に関する情報であって,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ,及び人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報に該当する部分については,法5条3号,法5条4号柱書き,法5条4号ハ,法5条4号ホ及び法5条4号ヘに該当するため不開示とする。

(4)個別の論文説明資料,ヒアリング反訳資料については,上述と同様な理由により不開示とする。

(5)調査結果報告書のうち,上述に該当する部分については同様な理由により不開示とする。

(6)個人名その他個人を識別できる情報であって,法第5条1号ただし書イ,ロ,ハのいずれにも該当しないものが記されている部分を不開示とする。これについて,審査請求人は,平成30年4月16日受付けの審査請求書のなかで,原処分の取消しを求めている。

2 審査請求人の主張について

審査請求人は,「一連の法人文書開示を求める最大の理由は,理学系論文と医学系論文が別々の調査委員会によって調査され,研究者の目からすれば同じような悪質なデータ捏造の疑いがあるにもかかわらず,理学系論文が厳格に不正認定されたのに対して,医学系論文の不正が一切認定されなかったいきさつを明らかにするためである。医学系論文に関して個別の説明がなく,告発された図の不適切さをパターンごとに整理して,個別には不正の度合いを明らかでなくしている。「部局調査報告書」にある「Ⅱ.各論文に対する部局内調査の結果」というセクションの開示は絶対に必要である。また,同様の理由により「個別の論文説明資料」及び「ヒアリング反訳資料」の中の,研究に関する一切の部分の開示も求める。研究に関する情報を不開示にする理由として,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれがあるとしているが,論文のデータに疑問が生じたときに,論文読者である研究者が論文著者に連絡をとって質問し,回答を得るという行為は通常研究者コミュニティにおいて当たり前であり,何らかの支障が生じる恐れは全くないからである。著者からの聞き取り調査資料を全面的に公開するのは,通常行われている科学コミュニティの範疇でしかなく,不開示とする理由にはなり得ない。「東京大学の科学研究における行動規範」にある「広く社会や科学者コミュニティによる評価と批判を可能とするためには,その科学的根拠を透明にしなければならない」にも反しており,このような言行不一致は断じて許されない」等と主張している。

しかしながら,部局調査班会議資料については,審議,検討又は協議に関する情報であって,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,本学の事務及び事業に関する情報であって,当該事務及び事業の適正な遂行に支障がでるおそれ,内容確認に係る事務に関する情報であって,正確な事実の把握を困難にするおそれ,研究に関する情報であって,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ,及び人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報に該当する部分については,法5条3号,法5条4号柱書き,法5条4号ハ,法5条4号ホ及び法5条4号ヘに該当するため開示することはできない。

また,当該委員会開催日時や当該委員会委員長以外の委員名についても上記1にある不開示理由により開示することはできない。また,「個別の論文説明資料」については,研究者一個人の研究ノートや生データの根拠を記載した私的メモであり,研究者の公正かつ能率的な研究の遂行を不当に阻害するおそれがあるとともに,本資料は研究不正の調査のために本学が提供を受けて大学として保有しているものであり,この種の資料を開示すると今後の調査に支障を及ぼすため,開示することはできない。ヒアリング反訳資料については,プライバシー遵守を前提に,今回の調査の目的のみにヒアリングを実施しており,ヒアリング内容が公開されてしまうと今後同種の調査において関係者が申告を拒んだり,真実を申告することを回避する等の事態を誘発するおそれがあるとともに,かかる情報の開示は,当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれもあるため開示できない。研究不正の調査については,その判定結果の如何によらず,対象となる研究者の研究活動に大きな影響を与えるものであり,係る調査については,限りなく公平中立なものとして実施しなければならないと理解している。調査の内容について必要以上に開示することは,調査機関として担保すべき,正確な事実の把握,率直な意見の交換,意思決定の中立性などを困難にするおそれがあり,ひいては,調査機関として不正行為の判定結果の信頼性をも損なうことになる。

また,「不正なし」と認定した場合には,これらの要請に加えて,不正行為の認定がなされなかった被申立者への配慮も当然考慮すべき事項となってくる。そのため,今回開示した内容については,上記の理由から必要かつ十分なものであると認識している。したがって,本学の決定は妥当なものであると判断する。

以上のことから,諮問庁は,本件について原処分維持が妥当と考えている。

第4 調査審議の経過

当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
① 平成30年6月14日 諮問の受理
② 同日 諮問庁から理由説明書を収受
③ 同月28日 審議
④ 令和元年9月5日 本件対象文書の見分及び審議
⑤ 同年10月17日 審議
⑥ 同年11月7日 審議
⑦ 同月28日 審議

第5 審査会の判断の理由

1 本件対象文書について

本件開示請求は,本件請求文書の開示を求めるものであり,処分庁は,本件対象文書を特定し,その一部を法5条1号,3号並びに4号柱書き,ハ,ホ及びヘに該当するとして不開示とする原処分を行った。これに対して,審査請求人は,原処分の取消しを求めている。

2 理由の提示について

(1)開示請求に係る行政文書の一部又は全部を開示しないときには,法9条1項及び2項に基づき,当該決定をした旨の通知をしなければならず,この通知を行う際には行政手続法8条に基づく理由の提示を書面で行うことが必要である。理由の提示の制度は,処分庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を相手方に知らせて不服申立てに便宜を与える趣旨から設けられているものである。かかる趣旨に照らせば,この通知に提示すべき理由としては,開示請求者において,不開示とされた箇所が法5条各号の不開示理由のいずれかに該当するのかが,その根拠とともに了知し得るものでなければならず,当該法人文書及び不開示箇所を特定できる記載がなければ,開示請求者に,その種類,性質等が分からず,通常,求められる理由の提示としては十分とはいえない。

(2)当審査会において原処分の法人文書開示決定通知書(以下「通知書」という。)を確認したところ,「不開示とした部分とその理由」欄には,以下のとおり記載されている。

「①当該会議の開催日時・回数・場所については,本学として当該会議をどの程度の頻度で開催していることが公になることが本学にとっての当該事業の適正な遂行に支障がでるため,法5条4号柱書きに該当するため不開示とする。

②調査委員会委員長以外の委員名及び部局内調査班班長以外の構成員名については,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあり,法5条3号に該当するため不開示とする。

③当該会議資料の調査の経緯,調査の概要,調査結果等に関する文書のうち,審議,検討又は協議に関する情報であって,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,本学の事務及び事業に関する情報であって,当該事務及び事業の適正な遂行に支障が生じるおそれ,内容確認に係る事務に関する情報であって,正確な事実の把握を困難にするおそれ,研究に関する情報であって,その公正かつ能率的な遂行を不当に害するおそれ,及び人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報に該当する部分については,法5条3号,法5条4号柱書き,法5条4号ハ,法5条4号ホ及び法5条4号ヘに該当するため不開示とする。

④個別の論文説明資料(1214枚1214頁),ヒアリング反訳資料(291枚291頁)については,上述と同様な理由により不開示とする。

⑤調査結果報告書のうち,上述に該当する部分については同様な意
見により不開示とする。

⑥個人名その他個人を識別できる情報であって法5条1号ただし書イ,ロ,ハのいずれにも該当しないものが記されている部分を不開示とする。」

(3)上記(2)①ないし⑥の理由で不開示とした部分のうち,③の理由で不開示とした部分は,当該会議資料の調査の経緯,調査の概要,調査結果等に関する文書のうち,「審議,検討又は協議に関する情報」,「本学の事務及び事業に関する情報」,「内容確認に係る事務に関する情報」,「研究に関する情報」及び「人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報」と抽象的な記載にとどまり,具体的な不開示部分が特定されておらず,頁単位での特定もされていない。

また,不開示とされた部分に記載された「審議,検討又は協議に関する情報」や「本学の事務及び事業に関する情報」が,研究不正に係る調査委員会のいかなる審議や検討等に関するものか,東京大学のいかなる事務や事業に関するものかといったことも全く不明である上,不開示事由についても,複数の不開示条項の規定をほぼそのまま引用したに等しい内容が書かれているにすぎない。

例えば,不開示部分を公にすることによって,法5条3号にいう「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」があるとする場合には,何に関する情報を公にすることにより,どのような者から誰に対していかなる圧力や干渉等が加えられることが考えられるのかといったことを示す必要があるところ,通知書では,これらが何も示されておらず,当該各不開示事由に該当すると判断した理由を具体的に示しているとは認められない。

(4)次に,上記(2)④の理由については,文書3及び文書4の名称が記載されているものの,不開示部分の理由が「上述と同様な理由」としか記載されておらず,どのような情報が,どの理由で不開示とされたのか何ら説明されておらず,文書3及び文書4の全てが上記(2)①ないし③の理由全てに該当するのか,一部がいずれかの理由に該当し,結果として全部が不開示となったのかも不明である。

(5)さらに,上記(2)⑤の理由で不開示とした部分は,調査結果報告書のうち,「上述に該当する部分」としか記載されておらず,不開示とされた部分も,そこに記載された情報の内容も,上記(2)の①ないし③のいずれの理由に該当するのかも説明されていない。

(6)そして,上記(2)⑥の理由で不開示とした部分は,具体的な不開示部分の特定はされておらず,頁単位での特定もされていない上,「個人名その他個人を識別できる情報であって法5条1号ただし書イ,ロ,ハのいずれにも該当しないもの」としか記載されておらず,本件対象文書にどのような情報が記載されているか不明である。

(7)当審査会において,本件対象文書を見分したところ,本件対象文書の不開示部分は多数の箇所が文字ないし頁単位で不開示とされていることが認められ,この見分結果及び上記(2)③ないし⑥の不開示理由の記載を踏まえると,上記(2)③ないし⑥の理由で不開示とされた部分は,本件対象文書の不開示部分のどの箇所であるのかを正確に把握できない。なお,上記(2)①及び②の理由で不開示とした部分は,「当該会議の開催日時・回数・場所」,「調査委員会委員長以外の委員名及び部局内調査班班長以外の構成員名」と記載されており,具体的な不開示部分の特定はされていないものの,不開示とされた情報の内容及び理由は示されていることから,直ちに理由の提示に不備があるとはいえないと思われるが,文書を全体としてみた場合,上記(2)③ないし⑤に該当する部分がほとんどであり,本件一部開示決定は,全体として理由の提示に不備があるといわざるを得ない。

(8)また,本件開示実施文書を確認したところ,不開示部分がある各頁の上部には,不開示条項が付記されているが,これを理由の提示又はそれを補うものと見ることはできない。

(9)したがって,原処分は,理由の提示の要件を欠くといわざるを得ず,法9条2項の趣旨及び行政手続法8条1項に照らして違法であり,取り消すべきである。

3 本件一部開示決定の妥当性について

以上のことから,本件対象文書につき,その一部を法5条1号,3号並びに4号柱書き,ハ,ホ及びヘに該当するとして不開示とした決定については,理由の提示に不備がある違法なものであり,取り消すべきであると判断した。

(第4部会)委員 山名 学,委員 常岡孝好,委員 中曽根玲子

別紙(本件対象文書)

文書1 調査班会議資料
文書2 部局調査結果報告書
文書3 個別の論文説明資料
文書4 ヒアリング反訳資料

 

東京大学が公文書「平成28年度科学研究行動規範委員会資料」を国民に開示しないのは違法

諮問庁:国立大学法人東京大学
諮問日:平成30年6月14日(平成30年(独情)諮問第38号)
答申日:令和元年12月2日(令和元年度(独情)答申第57号)
事件名:平成28年度科学研究行動規範委員会資料の一部開示決定に関する件

答 申 書

第1 審査会の結論

「平成28年度 科学研究行動規範委員会資料」(以下「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした決定は,理由の提示に不備がある違法なものであり,取り消すべきである。

第2 審査請求人の主張の要旨

1 審査請求の趣旨

独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく開示請求に対し,平成30年2月9日付け第2017-58の2号により国立大学法人東京大学(以下「東京大学」,「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った一部開示決定(以下「原処分」という。)について,その取消しを求める。

2 審査請求の理由

22報論文の研究不正を告発した申立書は,東大が不正調査を適切に行ったかどうかを判断する上で重要である。発表論文には著者名や図表作成の方法などが公開されており,論文データに関する疑問は特定ウェブサイトや学術誌の論文掲載ウェブページなどインターネット上で活発に議論されることが普通である。告発内容を公表したからといって,研究の遂行が阻害されることはないし,その他,理由として挙げられたどの項目にも当てはまるものではない。告発内容は,特定ニュースなどの複数の記事で詳細に解説されており,リンクをたどれば告発文書そのものも閲覧できる状態にある。このようにほとんど公開されている告発内容を不開示にしないと業務に支障をきたすということは考えにくく,不開示の理由にならない。

第3 諮問庁の説明の要旨

1 本件対象文書について不開示とした理由について

本件対象文書は,「平成28年度 科学研究行動規範委員会資料」である。本学では,研究不正の事案については,科学研究行動規範委員会において調査を行っているが,当該委員会資料は,以下の理由に該当する部分について不開示とする決定を行った。

(1)当該委員会の開催日時については,本学として当該委員会をどの程度の頻度で開催していることが公になることが本学にとっての当該事業の適正な遂行に支障がでるため,法5条4号柱書きに該当するため不開示とする。

(2)当該委員会委員長以外の委員名については,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあり,法5条3号に該当するため不開示とする。

(3)当該委員会資料の調査の経緯,調査の概要,調査結果等に関する文書のうち,審議,検討又は協議に関する情報であって,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,本学の事務及び事業に関する情報であって,当該事務及び事業の適正な遂行に支障がでるおそれ,内容確認に係る事務に関する情報であって,正確な事実の把握を困難にするおそれ,研究に関する情報であって,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ,及び人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報に該当する部分については,法5条3号,法5条4号柱書き,法5条4号ハ,法5条4号ホ及び法5条4号ヘに該当するため不開示とする。これについて,審査請求人は,平成30年4月16日受付けの審査請求書のなかで,原処分の取消しを求めている。

2 審査請求人の主張について

審査請求人は,「22報論文の研究不正を申告した申立書は,東大が不正調査を適切に行ったかどうかを判断する上で重要である。発表論文には著者名や図表作成の方法などが公開されており,論文データに関する疑問は特定ウェブサイトや学術誌の論文掲載ウェブページなどインターネット上で活発に議論されることが普通である。告発内容を公表したからといって,研究の遂行が阻害されることはないし,その他,理由として挙げられたどの項目にも当てはまるものではない。告発内容は,特定ニュースなどの複数の記事で詳細に解説されており,リンクをたどれば告発文書そのものも閲覧できる状態にある。このようにほとんど公開されている告発内容を不開示にしないと業務に支障をきたすということは考えにくく,不開示
の理由にはならない。」等と主張している。

しかしながら,告発内容のわかる文書を本学として公表していることはなく,その内容についても,関係部局や研究者等に確認するためにも最初の科学研究行動規範委員会の資料としていたところである。告発文書並び予備調査結果文書については,審議,検討又は協議に関する情報であって,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,本学の事務及び事業に関する情報であって,当該事務及び事業の適正な遂行に支障がでるおそれ,内容確認に係る事務に関する情報であって,正確な事実の把握を困難にするおそれ,研究に関する情報であって,その構成かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ,及び人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報に該当する部分については,法5条3号,法5条4号柱書き,法5条4号ハ,法5条4号ホ及び法5条4号ヘに該当するため開示することはできない。

また,当該委員会開催日時や当該委員会委員長以外の委員名についても上記1にある不開示理由により開示することはできない。研究不正の調査については,その判定結果の如何によらず,対象となる研究者の研究活動に大きな影響を与えるものであり,係る調査については,限りなく公平中立なものとして実施しなければならないと理解している。調査の内容について必要以上に開示することは,調査機関として担保すべき,正確な事実の把握,率直な意見の交換,意思決定の中立性などを困難にするおそれがあり,ひいては,調査機関として行う不正行為の判定結果の信頼性をも損なうことになる。

また,「不正なし」と認定した場合には,これらの要請に加えて,不正行為の認定がなされなかった被申立者への配慮も当然考慮すべき事項となってくる。そのため,今回開示した内容については,上記の理由から必要かつ十分なものであると認識している。したがって,本学の決定は妥当なものであると判断する。

以上のことから,諮問庁は,本件について原処分維持が妥当と考える。

第4 調査審議の経過

当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
① 平成30年6月14日 諮問の受理
② 同日 諮問庁から理由説明書を収受
③ 同月28日 審議
④ 令和元年9月5日 本件対象文書の見分及び審議
⑤ 同年10月17日 審議
⑥ 同年11月7日 審議
⑦ 同月28日 審議

第5 審査会の判断の理由

1 本件対象文書について

本件開示請求は,本件対象文書の開示を求めるものである。処分庁は,本件対象文書の一部について,法5条3号並びに4号柱書き,
ハ,ホ及びヘに該当するとして不開示とする原処分を行った。これに対し,審査請求人は原処分の取消しを求めている。

2 理由の提示について

(1)開示請求に係る行政文書の一部又は全部を開示しないときには,法9条1項及び2項に基づき,当該決定をした旨の通知をしなければならず,この通知を行う際には行政手続法8条に基づく理由の提示を書面で行うことが必要である。理由の提示の制度は,処分庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を相手方に知らせて不服申立てに便宜を与える趣旨から設けられているものである。かかる趣旨に照らせば,この通知に提示すべき理由としては,開示請求者において,不開示とされた箇所が法5条各号の不開示理由のいずれかに該当するのかが,その根拠とともに了知し得るものでなければならず,当該法人文書及び不開示箇所を特定できる記載がなければ,開示請求者に,その種類,性質等が分からず,通常,求められる理由の提示としては十分とはいえない。

(2)当審査会において原処分の法人文書開示決定通知書(以下「通知書」という。)を確認したところ,「不開示とした部分とその理由」欄には,以下のとおり記載されている。

「①当該委員会の開催日時については,本学として当該会議をどの程度の頻度で開催していることが公になることが本学にとっての当該事業の適正な遂行に支障がでるため,法5条4号柱書きに該当するため不開示とする。

②当該委員会委員長以外の委員名については,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあり,法5条3号に該当するため不開示とする。

③当該委員会資料の調査の経緯,調査の概要,調査結果等に関する文書のうち,審議,検討又は協議に関する情報であって,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,本学の事務及び事業に関する情報であって,当該事務及び事業の適正な遂行に支障が生じるおそれ,内容確認に係る事務に関する情報であって,正確な事実の把握を困難にするおそれ,研究に関する情報であって,その公正かつ能率的な遂行を不当に害するおそれ,及び人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報に該当する部分については,法5条3号,法5条4号柱書き,法5条4号ハ,法5条4号ホ及び法5条4号ヘに該当するため不開示とする。」

(3)上記(2)①ないし③の理由で不開示とした部分のうち,③の理由で不開示とした部分は,当該委員会資料の調査の経緯,調査の概要,調査結果等に関する文書のうち,「審議,検討又は協議に関する情報」,「本学の事務及び事業に関する情報」,「内容確認に係る事務に関する情報」,「研究に関する情報」及び「人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報」と抽象的な記載にとどまり,具体的な不開示部分が特定されておらず,頁単位での特定もされていない。また,不開示とされた部分に記載された「審議,検討又は協議に関する情報」や「本学の事務及び事業に関する情報」が,研究不正に係る調査委員会のどのような審議や検討等に関するものか,東京大学のいかなる事務や事業に関するものかといったことも全く不明である上,不開示事由についても,複数の不開示条項の規定をほぼそのまま引用したに等しい内容が書かれているにすぎない。

例えば,不開示部分を公にすることによって,法5条3号にいう「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」があるとする場合には,何に関する情報を公にすることにより,どのような者から誰に対していかなる圧力や干渉等が加えられることが考えられるのかといったことを示す必要があるところ,通知書では,これらが何も示されておらず,当該各不開示事由に該当すると判断した理由を具体的に示しているとは認められない。そして,当審査会において,本件対象文書を見分したところ,本件対象文書の不開示部分は多数の箇所が文字ないし頁単位で不開示とされていることが認められ,この見分結果及び上記(2)③の不開示理由の記載を踏まえると,上記(2)③の理由で不開示とされた部分は,本件対象文書の不開示部分のどの箇所であるのかを正確に把握できない。なお,上記(2)①及び②の理由で不開示とした部分は,「当該委員会の開催日時」,「当該委員会委員長以外の委員名」と記載されており,具体的な不開示部分の特定はされていないものの,不開示とされた情報の内容及び理由は示されていることから,直ちに理由の提示に不備があるとはいえないと思われるが,文書を全体としてみた場合,上記(2)③に該当する部分がほとんどであり,本件一部開示決定は,全体として理由の提示に不備があるといわざるを得ない。

(4)また,本件開示実施文書を確認したところ,不開示部分がある各頁の上部には,不開示条項が付記されているが,これを理由の提示又はそれを補うものと見ることはできない。

(5)したがって,原処分は,理由の提示の要件を欠くといわざるを得ず,法9条2項の趣旨及び行政手続法8条1項に照らして違法であり,取り消すべきである。

3 本件一部開示決定の妥当性について

以上のことから,本件対象文書につき,その一部を法5条3号並びに4号柱書き,ハ,ホ及びヘに該当するとして不開示とした決定については,理由の提示に不備がある違法なものであり,取り消すべきであると判断した。

(第4部会)委員 山名 学,委員 常岡孝好,委員 中曽根玲子

 

東京大学が公文書「平成29年度科学研究行動規範委員会資料」を国民に開示しないのは違法

諮問庁:国立大学法人東京大学
諮問日:平成30年6月14日(平成30年(独情)諮問第39号)
答申日:令和元年12月2日(令和元年度(独情)答申第58号)
事件名:平成29年度科学研究行動規範委員会資料の一部開示決定に関する件

答 申 書

第1 審査会の結論

「平成29年度 科学研究行動規範委員会資料」(以下「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした決定は,理由の提示に不備がある違法なものであり,取り消すべきである。

第2 審査請求人の主張の要旨

1 審査請求の趣旨

独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3条の規定に基づく開示請求に対し,平成30年2月9日付け第2017-58号の3号により国立大学法人東京大学(以下「東京大学」,「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った一部開示決定(以下「原処分」という。)について,その取消しを求める。

2 審査請求の理由

「22報論文に関する調査報告書」において裁定が導かれる過程は,論理的に矛盾している。論文の図のデータは実験で得られた数値とはほとんど異なります。でも不正ではありません。という非倫理的な裁定がどのような経緯で下されたのかを知るためには,この資料の開示が不可欠である。年間数百億円もの科学研究助成を受けている東京大学が,このような支離滅裂な物言いで不正なしの結論だけを発表するのは,あまりにも無責任すぎる。納税者や他の研究者が納得できる公正な議論が行われた証拠として,この文書を開示すべきである。不開示の理由として,審議,検討又は協議に関する情報であって,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるとしているが,これは,全く逆の話であり,このような支離滅裂な裁定を何の説明もなしに公表したということは,意思決定の中立性が危ぶまれる状況なのであり,不開示の理由として適切ではない。

第3 諮問庁の説明の要旨

1 本件対象文書について不開示とした理由について

本件対象文書は,「平成29年度 科学研究行動規範委員会資料」である。本学では,研究不正の事案については,科学研究行動規範委員会において調査を行っているが,当該委員会資料は,以下の理由に該当する部分について不開示とする決定を行った。

(1)当該委員会の開催日時については,本学として当該委員会をどの程度の頻度で開催していることが公になることが本学にとっての当該事業の適正な遂行に支障がでるため,法5条4号柱書きに該当するため不開示とする。

(2)当該委員会委員長以外の委員名については,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあり,法5条3号に該当するため不開示とする。

(3)当該委員会資料の調査の経緯,調査の概要,調査結果等に関する文書のうち,審議,検討又は協議に関する情報であって,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,本学の事務及び事業に関する情報であって,当該事務及び事業の適正な遂行に支障がでるおそれ,内容確認に係る事務に関する情報であって,正確な事実の把握を困難にするおそれ,研究に関する情報であって,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ,及び人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報に該当する部分については,法5条3号,法5条4号柱書き,法5条4号ハ,法5条4号ホ及び法5条4号ヘに該当するため不開示とする。

(4)個人名その他個人を識別できる情報であって法5条1号ただし書イ,ロ,ハのいずれにも該当しないものが記されている部分を不開示とする。これについて,審査請求人は,平成30年4月16日受付けの審査請求書のなかで,原処分の取消しを求めている。

2 審査請求人の主張について

審査請求人は,「文書には,研究不正の有無を裁定したときの資料が含まれているが,医学系研究科の不正疑惑論文に関して,「22報論文に関する調査報告書」の黒塗りされていない部分によれば,論文の図のデータと実験の生データ(オリジナルデータ)はほとんど一致しなかったにもかかわらず,不正なしという裁定が下された。これは研究者の常識に反する,極めて奇異な裁定であって,東京大学執行部が医学系研究科の研究不正を隠蔽しようとしているのではないかという疑念を生じさせるものである。この疑念を晴らすためには,どのようにしてこのような裁定が下されたのか,そのいきさつを東大が公開する責任がある。不開示の理由として,審議,検討又は協議に関する情報であって,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるとしているが,これは全く逆の話であり,このような支離滅裂な裁定を何の説明もなしに公表したということは,意思決定の中立性が危ぶまれる状況なので,不開示の理由として適切ではない。」等と主張している。

しかしながら,裁定については,審議,検討又は協議に関する情報であって,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,本学の事務及び事業に関する情報であって,当該事務及び事業の適正な遂行に支障がでるおそれ,内容確認に係る事務に関する情報であって,正確な事実の把握を困難にするおそれ,研究に関する情報であって,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ,及び人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報に該当する部分については,法5条3号,法5条4号柱書き,法5条4号ハ,法5条4号ホ及び法5条4号ヘに該当するため開示することはできない。

また,当該委員会開催日時や当該委員会委員長以外の委員名についても上記1にある不開示理由により開示することはできない。研究不正の調査については,その判定結果の如何によらず,対象となる研究者の研究活動に大きな影響を与えるものであり,係る調査については,限りなく公平中立なものとして実施しなければならないと理解している。調査の内容について必要以上に開示することは,調査機関として担保すべき,正確な事実の把握,率直な意見の交換,意思決定の中立性などを困難にするおそれがあり,ひいては,調査機関として行う不正行為の判定結果の信頼性をも損なうことになる。

また,「不正なし」と認定した場合には,これらの要請に加えて,不正行為の認定がなされなかった被申立者への配慮も当然考慮すべき事項となってくる。そのため,今回開示した内容については,上記の理由から必要かつ十分なものであると認識している。したがって,本学の決定は妥当なものであると判断する。

以上のことから,諮問庁は,本件について原処分維持が妥当と考える。

第4 調査審議の経過

当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。
① 平成30年6月14日 諮問の受理
② 同日 諮問庁から理由説明書を収受
③ 同月28日 審議
④ 令和元年9月5日 本件対象文書の見分及び審議
⑤ 同年10月17日 審議
⑥ 同年11月7日 審議
⑦ 同月28日 審議

第5 審査会の判断の理由

1 本件対象文書について

本件開示請求は,本件請求文書の開示を求めるものであり,処分庁は,本件対象文書を特定し,その一部を法5条1号,3号並びに4号柱書き,ハ,ホ及びヘに該当するとして不開示とする原処分を行った。これに対して,審査請求人は,原処分の取消しを求めている。

2 理由の提示について

(1)開示請求に係る行政文書の一部又は全部を開示しないときには,法9条1項及び2項に基づき,当該決定をした旨の通知をしなければならず,この通知を行う際には行政手続法8条に基づく理由の提示を書面で行うことが必要である。理由の提示の制度は,処分庁の判断の慎重・合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を相手方に知らせて不服申立てに便宜を与える趣旨から設けられているものである。かかる趣旨に照らせば,この通知に提示すべき理由としては,開示請求者において,不開示とされた箇所が法5条各号の不開示理由のいずれかに該当するのかが,その根拠とともに了知し得るものでなければならず,当該法人文書及び不開示箇所を特定できる記載がなければ,開示請求者に,その種類,性質等が分からず,通常,求められる理由の提示としては十分とはいえない。

(2)当審査会において原処分の法人文書開示決定通知書(以下「通知書」という。)を確認したところ,「不開示とした部分とその理由」欄には,以下のとおり記載されている。

「①当該委員会の開催日時については,本学として当該会議をどの程度の頻度で開催していることが公になることが本学にとっての当該事業の適正な遂行に支障がでるため,法5条4号柱書きに該当するため不開示とする。

②当該委員会委員長以外の委員名については,公にすることにより,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれ
るおそれがあり,法5条3号に該当するため不開示とする。

③当該委員会資料の調査の経緯,調査の概要,調査結果等に関する文書のうち,審議,検討又は協議に関する情報であって,率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ,本学の事務及び事業に関する情報であって,当該事務及び事業の適正な遂行に支障が生じるおそれ,内容確認に係る事務に関する情報であって,正確な事実の把握を困難にするおそれ,研究に関する情報であって,その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ,及び人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報に該当する部分については,法5条3号,法5条4号柱書き,法5条4号ハ,法5条4号ホ及び法5条4号ヘに該当するため不開示とする。

④個人名その他個人を識別できる情報であって法5条1号ただし書イ,ロ,ハのいずれにも該当しないものが記されている部分を不開示とする。」

(3)上記(2)①ないし④の理由で不開示とした部分のうち,③の理由で不開示とした部分は,当該委員会資料の調査の経緯,調査の概要,調査結果等に関する文書のうち,「審議,検討又は協議に関する情報」,「本学の事務及び事業に関する情報」,「内容確認に係る事務に関する情報」,「研究に関する情報」及び「人事管理の公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報」と抽象的な記載にとどまり,具体的な不開示部分が特定されておらず,頁単位での特定もされていない。また,不開示とされた部分に記載された「審議,検討又は協議に関する情報」や「本学の事務及び事業に関する情報」が,研究不正に係る調査委員会のどのような審議や検討等に関するものか,東京大学のいかなる事務や事業に関するものかといったことも全く不明である上,不開示事由についても,複数の不開示条項の規定をほぼそのまま引用したに等しい内容が書かれているにすぎない。

例えば,不開示部分を公にすることによって,法5条3号にいう「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」があるとする場合には,何に関する情報を公にすることにより,どのような者から誰に対していかなる圧力や干渉等が加えられることが考えられるのかといったことを示す必要があるところ,通知書では,これらが何も示されておらず,当該不開示事由に該当すると判断した理由を具体的に示しているとは認められない。

そして,当審査会において,本件対象文書を見分したところ,本件対象文書の不開示部分は多数の箇所が文字ないし頁単位で不開示とされていることが認められ,この見分結果及び上記(2)③の不開示理由の記載を踏まえると,上記(2)③の理由で不開示とされた部分は,本件対象文書の不開示部分のどの箇所であるのかを正確に把握できない。また,上記(2)④の理由で不開示とした部分は,「個人名その他個人を識別できる情報であって法5条1号ただし書イ,ロ,ハのいずれにも該当しないもの」としか記載されておらず,本件対象文書にどのような情報が記載されているか不明であり,また,具体的な不開示部分の特定がされていないことから,上記(2)③又は④のいずれの不開示部分に該当するのか明らかではない。なお,上記(2)①及び②の理由で不開示とした部分は,「当該委員会の開催日時」,「当該委員会委員長以外の委員名」と記載されており,具体的な不開示部分の特定はされていないものの,不開示とされた情報の内容及び理由は示されていることから,直ちに理由の提示に不備があるとはいえないと思われるが,文書を全体としてみた場合,上記(2)③に該当する部分がほとんどであり,本件一部開示決定は,全体として理由の提示に不備があるといわざるを得ない。

(4)また,本件開示実施文書を確認したところ,不開示部分がある各頁の上部には,不開示条項が付記されているが,これを理由の提示又はそれを補うものと見ることはできない。

(5)したがって,原処分は,理由の提示の要件を欠くといわざるを得ず,法9条2項の趣旨及び行政手続法8条1項に照らして違法であり,取り消すべきである。

3 本件一部開示決定の妥当性について

以上のことから,本件対象文書につき,その一部を法5条1号,3号並びに4号柱書き,ハ,ホ及びヘに該当するとして不開示とした決定については,理由の提示に不備がある違法なものであり,取り消すべきであると判断した。

(第4部会)委員 山名 学,委員 常岡孝好,委員 中曽根玲子

 

参考

  1. 事件名:22報論文に関する調査報告書の一部開示決定に関する件
  2. 事件名:大学院医学系研究科・医学部が保有する部局調査結果報告書等の一部開示決定に関する件
  3. 事件名:平成28年度科学研究行動規範委員会資料の一部開示決定に関する件
  4. 事件名:平成29年度科学研究行動規範委員会資料の一部開示決定に関する件
  5. 情報公開(独立行政法人等)令和元年度答申 051~(総務省)
  6. 22報論文に関する調査報告書」(一部不開示)
  7. 総務省 情報公開・個人情報保護審査会 委員名簿

 

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医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析

長崎大の先生がAMEDのお金で研究不正の研究をしているということを以前、人から聞いたことがあって、家に帰ってネットで調べたのですが、うまく検索できなくて全く情報が得られずにいました。今日たまたま5chを眺めていたら、そのことが話題になっていました。そして、驚いたことに、この研究不正の報告書に多数のコピペがあったらしいです。

研究不正に関する報告書「医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析」内に、白楽ロックビル氏のブログの文章が多数コピペされていたということを、白楽ロックビル氏が自身のブログの記事「白楽ブログの被盗用事件 2019年10月3日」で告発しています。

この件に関して、科学・技術政策ウォッチャーである榎木英介氏も、ヤフーに記事「研究不正の研究」で研究不正の衝撃 (10/4(金) 17:30)を寄稿し、白楽ロックビル氏の主張を強く支持しています。

白楽ロックビル氏の指摘を受けて、この研究プロジェクトのリーダーである長崎大学の先生は謝罪文をウェブサイトに掲載しました(2019年10月6日確認)。

謝罪文の一部を以下に紹介します。全文はこの研究プロジェクトのウェブサイトをご覧ください。

このたび白楽ロックビル先生から本研究課題の中で作成した研究不正事例報告書について盗用疑いのご連絡をいただきました。

今回の一件で、白楽ロックビル先生ならびに研究公正関係者の皆様に大変なご心配ならびに不愉快な思いをさせてしまいましたこと、研究グループを代表して、まずは心よりお詫び申し上げます。

現在、私共も急遽、調査担当者及び報告書作成者と事実確認を行っているところです。まだ調査中ではありますすが、仮に引用ルールの解釈違いであったとしても、研究者の皆様に引用表示誤り等の印象を与えたことにつきましても深く反省しております。

今回、大学へも通報されているということで、大学からの公式見解の発表には時間がかかると思われますので、まずは皆様にこちらの謝罪の意を示したく記事を掲載した次第です。
今後の対応についても、大学の見解にゆだねることとなりますが、誠実に対応していきたいと思います。

我々も悪意を持って成果を利用したわけではないことを皆様に理解いただけるように、すべての報告書および事実関係を精査し、当時の調査記録を踏まえて改めて訂正した版の報告書を作成し報告していきたいと考えております。

重ねまして、この度は白楽ロックビル先生ならびに関係者の皆様に不快な思いを与えてしまい本当に申し訳ございませんでした。

(転載元:http://www.rmd.nagasaki-u.ac.jp/kawailab/amed/#

 

この事件に思うこと

白楽ロックビル氏の研究不正に関する記事が網羅的で、あまりにも充実しているがために、加筆することがなくてコピペしてしまったのでしょうか?プロジェクトリーダーの謝罪声明によれば、引用の範囲や引用の適切な方法に関して、両者で感覚が異なったようです。

しかし、コピペをするごとに著者の氏名を付記すればそれでよかったのか?というと必ずしもそうではないと自分は思います。白楽ロックビル氏のウェブサイトは、まさに労作で網羅的かつ詳細です。非常に手間暇がかかっているわけです。他の人の長年の労力の賜物である情報をゴッソリと拝借して、研究レポートにするという行為はありなのか?という疑問が湧きます。本来ならむしろ、白楽ロックビル氏がこの研究グループの主要メンバーに名を連ねていてもおかしくないのではないかと思えるからです。クレジットの表記の問題と捉えようとするなら、本当の論点はそこはないだろうと自分は思いました。

 

参考

  1. 白楽ブログの被盗用事件 2019年10月3日
  2. 「研究不正の研究」で研究不正の衝撃 榎木英介 10/4(金) 17:30
  3. 医療分野における研究不正行為に関する事例調査 ○井内健介(徳島大学),野内玲(信州大学),佐藤弘基(九州大学),佐藤俊太朗(長崎大学),田中恒彦(新潟大学),河合孝尚(長崎大学)【謝辞】 本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構研究公正高度化モデル開発支援事業」、採択件名「医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析」により実施した。
  4. 平成28年度 「研究公正高度化モデル開発支援事業」の採択課題についてプログラム➁:研究公正の取組み強化のための調査研究 医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析 長崎大学 河合 孝尚 研究国際部 戦略職員
  5. 研究公正高度化モデル開発支援事業採択課題 医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析(プロジェクトの公式ウェブサイト 長崎大学)
  6. 404匿名A ◆Zm8FyprZhE 2019/10/04(金) 00:35:41.87 捏造、不正論文、総合スレネオ52 (5ちゃんねる

九州大学農学研究院60代男性教授のアカハラで修士課程大学院生が退学

2019年6月14日に九州大学が報道機関に発表した内容によれば九州大学大学院農学研究院の60代男性教授がアカデミックハラスメント行為を働き、結果的に大学院修士課程の学生は退学したとのことです。

アカハラの内容は報道によれば、大声での叱責、学生への注意するメールを他の人にも見られる形で行った、学生の発表中にスマホをいじっていたなど。

 

参考

  1. 九大男性教授、アカハラで戒告 学生発表中にスマホ (2019/6/14 17:26 日本経済新聞

 

島根大学40歳代男性准教授がハラスメント行為、別の島根大学40歳代男性准教授も女性を暴行

2019年6月14日の島根大学の発表によりますと、二人の島根大学の40歳代男性准教授が処分されています。

島根大学の40歳代男性准教授が指導上不必要に容姿に関連付けた侮辱的な言動を行い人格を傷つけるハラスメント行為で戒告処分を受けました。

このたび,令和元年6月13日付けで,下記のとおり本学職員に対し懲戒処分を行いましたので,公表します。同人の行為は,社会の本学に対する信用を著しく傷つけるものであり,教育に携わる大学教員として絶対に行ってはならないことであり,誠に遺憾であります。大学として,このことを深刻に受け止め,本学においてこのような不祥事を起こすことのないよう服務規律の一層の確保に取り組んでまいります。令和元年6月14日 国立大学法人島根大学長 服 部 泰 直

被処分者 職 名 准 教 授
年齢・性別 40歳代・男性
処分内容 戒告
処分理由
当該教員は,指導していた申立人に対し,指導上必要性がないのに,申立人の容姿に関連付けて,侮辱的な言動を行い,申立人の人格を傷つけ,就学上の環境を著しく損なったこと。これらの行動は,国立大学法人島根大学ハラスメントの防止等に関する規程第4条第1項第7号の「その他のハラスメント」に該当する。以前、平成27年5月にも,学生より当該教員に対する,ハラスメント対策委員会への相談受理報告書の提出があり,ハラスメント対策委員会委員長である理事より,学生の立場に配慮した教育,研究指導等を求める指示ないし指導を受けており,より慎重に学生の立場に配慮した丁寧な指導が求められたにも関わらず,再度本件のとおりハラスメント対策委員会への苦情申立があったこと。
根拠条項 国立大学法人島根大学職員就業規則第81条第1項第1号
処分年月日 令和元年6月13日(島根大学 PDF)

また、別の40歳代男性准教授は学外の女性を暴行・傷害して、諭旨解雇(ゆしかいこ)されました。

このたび,令和元年6月11日付けで,下記のとおり本学職員に対する懲戒処分を決定しましたので,公表します。同人の行為は,社会の本学に対する信用を著しく傷つけるものであり,教育に携わる大学教員として絶対に行ってはならないことであり,誠に遺憾であります。大学として,このことを深刻に受け止め,本学においてこのような不祥事を起こすことのないよう服務規律の一層の確保に取り組んでまいります。令和元年6月14日国立大学法人島根大学長 服 部 泰 直

被処分者 職 名 准 教 授
年齢・性別 40歳代・男性
処分内容 諭旨解雇
処分理由
当該教員は,暴行・傷害等私生活上の非違行為により,学外者(女性)に苦痛を与えた。また,このことにより社会に本学及び本学職員への不信を与え,本学に対する社会的信用を著しく傷つけた。これらの行為は,本学職員全体の不名誉となるものであり,国立大学法人島根大学職員就業規則第41条の規定により禁止される信用失墜行為に該当する。
根拠条項 国立大学法人島根大学職員就業規則第81条第1項第1号,第5号及
び第7号 (島根大学 PDF)

参考

  1. 島大准教授が暴力 諭旨解雇 06月14日 20時21分(NHK) また大学は、松江キャンパスの別の40代の男性の准教授についても、指導していた学生の容姿を傷つけるような言動があったとして、戒告の処分にしたと発表しました。
  2. 本学職員の懲戒処分について2019年6月14日(島根大学)
  3. 島根大で残業代未払い 9000万円、労基署勧告 (2019.6.11 13:07産経WEST) 島根大が教職員約200人の残業代計約9000万円を支払わず、松江労働基準監督署が労働基準法に違反するとして昨年8月に是正を勧告していたことが11日、大学への取材で分かった。
  4. 島根大学公式ウェブサイト

実在しない神学者カール・レーフラー(Carl Loevler)が書いた存在しえない論文「今日の神学にとってのニーチェ」

生命科学研究において、存在しないマウスを解析した論文が阪大からNature Medicine誌に発表されたり、存在しないSTAP現象を解析した論文が理研からNature誌に発表されたり、存在しない実験値をグラフ化した論文が東大医学部からトップジャーナルに発表されたりと、存在しないものを報告した論文の例は、枚挙にいとまがありません。

人文社会系の研究でも同じようなことが起きるようです。医学系では不正を告発された学長が逆に不正を告発した教授らを解雇するというひどい事件も岡山大学でありましたが、今回は、大学トップの不正が不正と認定されたというニュースで、少しホッとしました。

 

報道

東洋英和女学院の院長が著書で“捏造”・・・懲戒解雇に(19/05/10) ANNnewsCH 2019/05/10 (YOUTUBE 削除済)

  1. 東洋英和女学院 不正行為に関する調査結果「極めて悪質」 深井智朗院長を懲戒解雇 (KiriShin キリスト新聞 2019年5月10日)
  2. 東洋英和女学院院長が研究不正(2019年5月10日 17:06 沖縄タイムズ/共同通信)東洋英和女学院の院長で同学院大教授の深井智朗氏の著作に架空の文献が使われるなどの不正が疑われた問題で、大学の調査委員会は10日、複数の捏造や盗用を認定したと発表、学院は深井氏を懲戒解雇した。
  3. 東洋英和の院長を懲戒解雇に 著書での捏造や盗用を認定(朝日新聞 有料記事 2019年5月10日14時13分)報告書では、一連の不正行為について、「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務の著しい懈怠(けたい)があった」と指摘。

 

疑義

小柳氏の質問状は、深井氏によるヴァイマールの聖なる政治的精神――ドイツ・ナショナリズムとプロテスタンティズム』(岩波書店、2012年)などの注と資料の実在に関する問題2点を提示。「深井氏が我が国におけるドイツ・プロテスタンティズム研究の第一人者と目され、多くの読者を獲得しているだけに、現在の状況が放置されると信頼性の危うい情報がますます広く流通することとなります」「かねてより指摘されていた、注の不備や誤訳にも適切にご対応いただき、深井氏の著作を学問的な文章として読める状況が整えられることを切に希望します」とした。(日本基督教学会 深井智朗氏への公開質問状と回答を学会誌に掲載 2018年10月3日 KiriShin

 

認定された不正行為

2.調査(2)調査対象
対象者 深井智朗 本学院院長・東洋英和女学院大学教授
対象著書・論考
①『ヴァイマールの聖なる政治的精神-ドイツ・ナショナリズムとプロテスタンティズ
』(岩波書店、2012 年 196-199 頁)(以下、本件著書という。)
②「エルンスト・トレルチの家計簿」(『図書』岩波書店、2015 年 8 月号 20-25 頁)(以
下、本件論考という。)

3.調査結果(3)特定不正行為の具体的内容
①本件著書第 4 章「4 ニーチェのキリスト教批判の神学的援用」中に登場する「カー
ル・レーフラー」なる人物は存在せず、当該人物が著したとされる論文「今日の神学
にとってのニーチェ」は、被告発者による捏造であると判断する。また、本件著書の
197 頁から 198 頁までにおいて、ヴォルフハルト・パネンベルク著『組織神学の根本
問題』(近藤勝彦・芳賀力訳 日本基督教団出版局、1984 年)の 277 頁から 278 頁ま
でにおける記述とほぼ同一の記述、同様の表現・内容の記述が、引用注が記されない
まま計 10 か所認められたため、被告発者による盗用がなされたものと判断する。
②本件論考中に述べられている「エルンスト・トレルチの家計簿」の根拠資料となる
1920-23 年のトレルチ家の借用書や領収書等の資料は実在せず、被告発者による捏造
と判断する。

(引用元)東洋英和女学院大学における研究活動上の特定不正行為に関する公表概要 2019 年 5 月 10 日 東洋英和女学院大学 PDF)

 

参考

  1. 研究活動上の不正行為に関する調査結果について 2019年5月10日 東洋英和女学院大学 学長 池田 明史

 

ネット上の声

大学における不正がうやむやにされることが多いなか、東洋英和女学院大学の対応を評価する声が聞かれます。

  1. 東洋英和女学院院長が論文でねつ造した“存在しない神学者”「カール・レーフラー」さっそくネタ化される
    (kintoki_naruto togetter
  2. 『存在しない神学者』が話題ですが、そもそも神が存在しないのでは?( togenukin toggetter)

 

”アディポネクチン受容体”の機能 AdipoR1 and AdipoR2 maintain membrane fluidity in most human cell types and independently of adiponectin

トップジャーナルに出た日本の研究成果がことごとく再現されていないということを指摘した論文を紹介します。

学会などで研究者同士はたいてい知り合いになるので、他の研究者の実験結果が自分の手で再現されなかったとしても、そうそう露骨に論文内でそれを指摘することはなく、せいぜい、実験条件の微妙な違いかもとか、手技の違いかもとか、使った実験動物の系統の差かもしれないなどと言ってお茶を濁すものだと思っていました。

この論文の著者らはイントロにおいて、再現性がないアディポネクチン受容体(AdipoR1, AdipR2)の実験結果を、分野外の人間にも理解できるくらい明解に整理してくれています。

 

論文サイト(オープンアクセス、著作権CC-BY)→http://www.jlr.org/content/60/5/995.full

論文タイトル:AdipoR1 and AdipoR2 maintain membrane fluidity in most human cell types and independently of adiponectin

論文著者:Mario Ruiz, Marcus Ståhlman, Jan Borén, Marc Pilon.  

著者の所属大学:Department of Chemistry and Molecular Biology;* University of Gothenburg, Gothenburg, Sweden, Department of Molecular and Clinical Medicine/Wallenberg LaboratoryInstitute of Medicine, University of Gothenburg, Gothenburg, Sweden

 

要旨 ABSTRACT

The FA composition of phospholipids must be tightly regulated to maintain optimal cell membrane properties and compensate for a highly variable supply of dietary FAs. Previous studies have shown that AdipoR2 and its homologue PAQR-2 are important regulators of phospholipid FA composition in HEK293 cells and Caenorhabditis elegans, respectively. Here we show that both AdipoR1 and AdipoR2 are essential for sustaining desaturase expression and high levels of unsaturated FAs in membrane phospholipids of many human cell types, including primary human umbilical vein endothelial cells, and for preventing membrane rigidification in cells challenged with exogenous palmitate, a saturated FA. Three independent methods confirm the role of the AdipoRs as regulators of membrane composition and fluidity: fluorescence recovery after photobleaching, measurements of Laurdan dye generalized polarization, and mass spectrometry to determine the FA composition of phospholipids. Furthermore, we show that the AdipoRs can prevent lipotoxicity in the complete absence of adiponectin, their putative ligand. We propose that the primary cellular function of AdipoR1 and AdipoR2 is to maintain membrane fluidity in most human cell types and that adiponectin is not required for this function.

 

イントロダクション INTRODUCTION

The AdipoR1 and AdipoR2 proteins were initially identified as putative adiponectin receptors using fluorescent-labeled recombinant adiponectin as bait when screening a cDNA library expressed in Ba/F3 murine cells (1). These proteins are expressed in most/all tissues, localize to the plasma membrane, and contain seven transmembrane domains oriented such that their N terminus is cytosolic and their C terminus is extracellular (1). Since their discovery, several high-profile reports using AdipoR1/2 single- or double-knockout mice have shown that the AdipoRs regulate metabolism and in particular may improve insulin response and generally protect against metabolic syndrome complications, especially during high-fat diet challenges (24). However, other reports have not reproduced these findings. In particular, one study found that AdipoR1 and AdipoR2 may have opposite effects on metabolism (5), another showed that the double mutants are embryonic lethal (6), and other studies noted specific defects only in the retina of AdipoR1 mutant mice (78). Finally, a careful study of recombinant adiponectin, which is often used as a means of activating the AdipoRs in published experiments, suggested that any detected biological effect may be caused by the presence of contaminants such as lipopolysaccharide (9), which adds to the confusion regarding the AdipoR literature.

太字強調は当サイト。このパラグラフで引用されている文献2-4は以下の論文。

  • 文献[2]Targeted disruption of AdipoR1 and AdipoR2 causes abrogation of adiponectin binding and metabolic actions. Toshimasa Yamauchi, Yasunori Nio, Toshiyuki Maki, Masaki Kobayashi, Takeshi Takazawa, Masato Iwabu, Miki Okada-Iwabu, Sachiko Kawamoto, Naoto Kubota, Tetsuya Kubota, Yusuke Ito, Junji Kamon, Atsushi Tsuchida, Katsuyoshi Kumagai, Hideki Kozono, Yusuke Hada, Hitomi Ogata, Kumpei Tokuyama, Masaki Tsunoda, Tomohiro Ide, Kouji Murakami, Motoharu Awazawa, Iseki Takamoto, Philippe Froguel, Kazuo Hara, Kazuyuki Tobe, Ryozo Nagai, Kohjiro Ueki & Takashi Kadowaki. Nature Medicine (2007) 13:332–339 
  • 文献[3]Adiponectin stimulates AMP-activated protein kinase in the hypothalamus and increases food intake. Kubota N, Yano W, Kubota T, Yamauchi T, Itoh S, Kumagai H, Kozono H, Takamoto I, Okamoto S, Shiuchi T, Suzuki R, Satoh H, Tsuchida A, Moroi M, Sugi K, Noda T, Ebinuma H, Ueta Y, Kondo T, Araki E, Ezaki O, Nagai R, Tobe K, Terauchi Y, Ueki K, Minokoshi Y, Kadowaki T. Cell Metabolism 11 July 2007;6(1):55-68
  • 文献[4]Adiponectin and AdipoR1 regulate PGC-1α and mitochondria by Ca2+ and AMPK/SIRT1. Masato Iwabu, Toshimasa Yamauchi, Miki Okada-Iwabu, Koji Sato, Tatsuro Nakagawa, Masaaki Funata, Mamiko Yamaguchi, Shigeyuki Namiki, Ryo Nakayama, Mitsuhisa Tabata, Hitomi Ogata, Naoto Kubota, Iseki Takamoto, Yukiko K. Hayashi, Naoko Yamauchi, Hironori Waki, Masashi Fukayama, Ichizo Nishino, Kumpei Tokuyama, Kohjiro Ueki, Yuichi Oike, Satoshi Ishii, Kenzo Hirose, Takao Shimizu, Kazushige Touhara & Takashi Kadowaki. Nature  464:313–1319 (29 April 2010)

文献[4]のNature論文に関しては、Ordinary_Researchersの指摘(告発文 論文d)を確認するために当サイトでも以前、記事にしました(不正疑惑渦中の東大医学部論文 および東大分生研論文の告発内容を 画像編集フリーソフトで確認する方法)。また、文献[2]は、Ordinary_Researchersの告発文の論文bです。

More recently, the crystal structure of the AdipoRs has been solved and suggests that they may be hydrolases: a cavity opening toward the cytoplasm is a likely site for substrate entry and product exit (10). By homology with a yeast homologue, Izh2 (1112), the AdipoRs were proposed to act as ceramidases (1314). However, the ceramidase activity is at best a slow reaction (15), and it is possible that the AdipoRs may have other substrate specificities. Nevertheless, that the AdipoRs are hydrolases of some sort seems very likely because that is a conserved activity of the large CREST family of related proteins that include the AdipoRs as well as phospholipases such as the yeast Per1p, which has phospholipase A2 activity (16).

  • 文献[10]Crystal structures of the human adiponectin receptors. Hiroaki Tanabe, Yoshifumi Fujii, Miki Okada-Iwabu, Masato Iwabu, Yoshihiro Nakamura, Toshiaki Hosaka, Kanna Motoyama, Mariko Ikeda, Motoaki Wakiyama, Takaho Terada, Noboru Ohsawa, Masakatsu Hato, Satoshi Ogasawara, Tomoya Hino, Takeshi Murata, So Iwata, Kunio Hirata, Yoshiaki Kawano, Masaki Yamamoto, Tomomi Kimura-Someya, Mikako Shirouzu, Toshimasa Yamauchi, Takashi Kadowaki & Shigeyuki Yokoyama. Nature 520:312–316 (16 April 2015) “Adiponectin may broadly interact with the extracellular face, rather than the carboxy-terminal tail, of the receptors. “

Several years ago, we began studying the Caenorhabditis elegans homologues of the AdipoRs with the hope that leveraging forward genetics in this model organism would lead to new, unbiased insights into their functions. Our findings so far may be briefly summarized as follows: 1C. elegans has two AdipoR homologues, PAQR-1 and PAQR-2 (17), 2) worms lacking PAQR-2 show a morphology defect in the thin membranous tail tip and are intolerant to cold (15°C) or to saturated FA (SFA)-rich diets (1719), 3) the primary function of PAQR-2 is to maintain membrane fluidity in response to membrane-rigidifying challenges such as cold or SFA-rich diets (1820), 4) PAQR-2 function depends on a dedicated protein partner, the single-pass transmembrane protein IGLR-2, with which it colocalizes (18), 5) PAQR-2 can maintain systemic cell membrane homeostasis nonautonomously via lipid exchange among C. elegans tissues (21), and 6) PAQR-2-deficient worms can be chemically rescued by small amounts of detergents or genetically rescued by mutations that promote FA desaturation or that increase the levels of phospholipids containing long-chain PUFAs (LCPUFAs) (2022). It is also important to note that no C. elegans homologue of adiponectin has yet been identified. In addition, after several screens for paqr-2 mutant suppressors or genocopiers, we have found no evidence that PAQR-2 depends on a ligand for its function.

We recently found that several of our observations in C. elegans also hold true in mammalian cells. In particular, AdipoR2 is essential in maintaining membrane fluidity in HEK293 cells challenged with the SFA palmitic acid (PA; 16:0); it can also maintain cell-membrane homeostasis nonautonomously (1921). Furthermore, and just as in C. elegans, HEK293 cells in which AdipoR2 has been knocked down can be rescued by providing LCPUFAs exogenously or by inhibiting the expression of the plasma membrane-localized TLCD1 or TLCD2 proteins (22). The TLCDs function as limiters of LCPUFA incorporation into phospholipids, and their inhibition therefore leads to enhanced incorporation of LCPUFAs, which promotes fluidity (22).

This study focused on further exploring the roles of AdipoR1 and AdipoR2 in regulating membrane homeostasis in human cells. Specifically, we asked whether both AdipoR1 and AdipoR2 act as fluidity regulators and whether many cell types, including primary human cells, require the AdipoRs to regulate membrane fluidity. Finally, we investigated whether the AdipoRs require adiponectin to regulate membrane homeostasis.

 

材料と方法 MATERIALS AND METHODS

Cell culture

HEK293, HepG2, and 1321N1 cells were grown in DMEM containing 1 g/l glucose, pyruvate, and GlutaMAX and supplemented with 10% FBS, 1% nonessential amino acids, 10 mM HEPES, and 1% penicillin and streptomycin (all from Life Technologies) at 37°C in a water-humidified 5% CO2 incubator. Cells were subcultured twice a week at 90% confluence. HEK293, HepG2, and 1321N1 cell lines were authenticated by Eurofins. human umbilical vein endothelial cells (HUVECs) (passages 1–5) were obtained from Gibco and cultivated as described previously (23). Briefly, cells were grown in M200 medium (Gibco) containing the Low Serum Growth Supplement (Gibco) and 1% penicillin and streptomycin. Cells were subcultured twice a week at 90% confluence. TrypLE Express reagent (Gibco) was used to detach HUVEC, HEK293, and 1321N1 cells, and Accutase (GE Healthcare) was used to detach HepG2 cells. All cell types were cultivated on treated plastic flasks and multidish plates (Nunc). For microscopy experiments, cells were seeded in glass-bottom dishes (Ibidi) precoated with 0.1% porcine gelatin (Sigma-Aldrich).

FA treatment

PA, oleic acid, and EPA were dissolved/diluted in sterile DMSO (Sigma-Aldrich) and then mixed with FA-free BSA (Sigma-Aldrich) in serum-free medium for 15 min at room temperature. The molecular ratio of BSA to PA was 1:5.3 in experiments that used 400 μM PA, 1:2.65 in experiments that used 200 μM PA, and 1:0.66 in experiments that used 50 μM PA. Cells were then cultivated in serum-free media containing the FAs for 24 h prior to analysis.

siRNA treatment

The following predesigned siRNAs were purchased from Dharmacon: AdipoR1 J-007800-10, AdipoR2 J-007801-10, Nontarget D-001810-10, and SCD J-005061-07. HEK293, HepG2, and 1321N1 cell transfection was performed in complete media using 25 nM siRNA and Viromer Blue according to the manufacturer’s instructions 1X (Lipocalyx). HUVECs were transfected using 10 nM siRNA and Lipofectamine RNAiMAX Transfection Reagent following the HUVEC optimized protocol from the manufacturer (Invitrogen). Knockdown gene expression was verified 24 or 48 h after transfection.

Glucose treatment

Cells were grown in complete media containing 5, 25, or 100 mM glucose (Sigma-Aldich) for 48 h and then switched to serum-free medium supplemented with BSA (0.5%), and keeping the glucose concentration constant at 5, 25, or 100 mM for another 24 h and then analyzed.

Quantitative PCR

Total cellular RNA was isolated using RNeasy Kit according to the manufacturer’s instructions (Qiagen) and quantified using a NanoDrop spectrophotometer (ND-1000; Thermo Fisher Scientific). cDNA was obtained using a High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit (Applied Biosystems) with random hexamers. Quantitative PCR (qPCR) was performed with a CFX Connect thermal cycler (Bio-Rad) using HOT FIREpol EvaGreen qPCR Supermix (Solis Biodyne) and standard primers. Samples were measured as triplicates. The relative expression of each gene was calculated according to the ΔΔCT method (24). Expression of the housekeeping gene PPIA was used to normalize for variations in RNA input. Primers used were as follows: AdipoR1 forward, CCATCTGCTTGGTTTCGTGC; AdipoR1 reverse, AGACGGTGTGAAAGAGCCAG; AdipoR2 forward, TCATCTGTGTGC­TGGGCATT; Adipo2 reverse, CTATCTGCCCTATGGTGGCG; PPIA forward, GTCTCCTTTGAGCTGTTTGCAG; PPIA reverse, GGACAAGATGCCAGGACCC; SCD forward, TTCGTTGCCACTTTCTTGCG; SCD reverse, TGGTGGTAGTTGTGGAAGCC; FADS1 forward, TGGCTAGTGATCGACCGTAA; FADS1 reverse, GGCCCTTGTTGATGTGGAAG; FADS2 forward, GGGCCGTCAGCTACTACATC; and FADS2 reverse, ACAAACCAGTGGCTCTCCAG.

qPCR for adiponectin was executed on a QuantStudio7 Flex Real-Time PCR System thermal cycler using Power SYBR Green PCR Master Mix (Applied Biosystems). Two sets of primers for adiponectin were used: 1) adiponectin forward (AGGGCATCCGGGCCATAAT) and reverse (CTCCGGTTTCACCGATGTCT) and 2) adiponectin forward (TGGTGAGAAGGGTGAGAAAGG) and reverse (CTCCAATCCCACACTGAATGC), respectively. The second set of adiponectin primers was shared by Matthew Harms. cDNA from human subcutaneous abdominal adipose tissue and human breast adipose tissue was a gift from Xiao-Rong Peng and Henrik Palmgren (AstraZeneca); samples of adipose tissues were collected from patients undergoing elective surgery at Sahlgrenska University Hospital, Gothenburg, Sweden. All study subjects received written and oral information before giving written informed consent for the use of the tissue. The studies abide by the Declaration of Helsinki principles and were approved by the regional ethical review board in Gothenburg, Sweden.

Protein samples and Western blot

Cellular proteins were extracted using a lysis buffer (1% Nonidet P-40, 0.1% SDS, 10% glycerol, 1% sodium deoxycholate, 1 mM DTT, 1 mM EDTA, 100 mM HEPES, 100 mM KCl) containing Halt Protease Inhibitor Cocktail (1×; Pierce) on ice for 10 min. Upon lysis completion, cell lysates were centrifuged at 13,000 rpm for 10 min at 4°C. The soluble fraction was kept for further analysis, and the protein sample concentration was quantified using the BCA protein assay kit (Pierce) according to the manufacturer’s instructions. Twenty micrograms of protein were mixed with Laemmli sample loading buffer (Bio-Rad), heated to 37°C for 10 min, and loaded in 4% to 15% gradient precast SDS gels (Bio-Rad). After electrophoresis, the proteins were transferred to nitrocellulose membranes using Trans-Blot Turbo Transfer Packs and a Trans Blot Turbo apparatus/predefined mixed-MW program (Bio-Rad). Blots were blocked with 5% nonfat dry milk in PBS for 1 h at room temperature. Blots were incubated with anti-human AdipoR1 rabbit IgG at 1 µg/ml in 5% nonfat dry milk in PBS with Tween-20 (PBS-T; 0.05% Tween-20) overnight at 4°C following previously published recommendations (8). Blots were then washed with PBS-T and incubated with a swine anti-rabbit IgG/HRP (1:3000 dilution; Dako) and washed again with PBS-T. Blots were developed with ECL (Immobilon Western; Millipore), and the signal was visualized with a digital camera (VersaDoc; Bio-Rad). Blots were then stripped and reprobed with anti-GAPDH (14C10) rabbit IgG (1:2500 dilution; Cell Signaling). PageRuler Plus prestained protein ladder was used to assess molecular weight (Thermo Fisher Scientific). Western blots were quantified by densitometry using Image Lab version 6 software.

Lipidomics

Samples were prepared as previously described (1922). Briefly, cells were cultivated in serum-free media with or without FAs for 24 h prior to harvesting using TrypLE Express (Gibco). For lipid extraction, the pellet was sonicated for 10 min in methanol and then extracted according to published methods (25). Internal standards were added during the extraction. Lipid extracts were evaporated and reconstituted in chloroform-methanol (1:2) with 5 mM ammonium acetate. This solution was infused directly (shotgun approach) into a QTRAP 5500 mass spectrophotometer (Sciex) equipped with a TriVersa NanoMate (Advion Bioscience) as described previously (26). Phospholipids were measured using multiple precursor ion scanning, which gathers information about individual phospholipids by scoring many FA fragments in the Q3 of the mass spectrometer (2728), and triacylglycerols (TAGs) were measured using neutral-loss scanning (29). The data were evaluated using the LipidView software (Sciex). The complete lipidomics data set is provided in the supplemental Table S1.

FRAP

Live HEK293 cells were stained with BODIPY 500/510 C1, C12 (Invitrogen). Fluorescence recovery after photobleaching (FRAP) images were acquired with an LSM880 confocal microscope equipped with a live cell chamber (set at 37° and 5% CO2) and ZEN software (Zeiss) with a 40× water-immersion objective as previously described (192122).

Laurdan dye measurement of membrane fluidity

Live cells were stained with Laurdan dye (6-dodecanoyl-2-dimethylaminonaphthalene) (Thermo Fisher Scientific) at 15 μM (HEK293 and HepG2 cells) or 10 μM (HUVECs) for 45 min. Images were acquired with an LSM880 confocal microscope equipped with a live cell chamber (set at 37° and 5% CO2) and ZEN software with a 40× water-immersion objective as described previously (21). Cells were excited with a 405 nm laser, and the emission was recorded between 410 and 461 nm (ordered phase) and between 470 and 530 nm (disordered phase). Pictures were acquired with 16 bit image depth and 1,024 × 1,024 resolution using a pixel dwell of ∼1.02 μs. Images were analyzed using ImageJ version 1.47 software (30) following published guidelines (31).

Trypan blue staining

After 24 h of treatment, cell supernatant was collected, and cells were detached and mixed again with their respective supernatant. The cell suspension was then mixed 1:1 with a 0.4% trypan blue solution (Gibco) and loaded in a hemacytometer and examined immediately under the microscope. The percentage of positive and negative cells in at least four quadrants was registered.

Adiponectin (or AdipoQ) treatment

Recombinant full-length adiponectin (produced in HEK293 cells and forming high-molecular-weight and hexameric species) was purchased from Enzo and used at 5 µg/ml (14) or 10 µg/ml. Cells were then cultivated in serum-free media containing adiponectin and 400 μM PA for 24 h prior to analysis.

Statistics

t-Tests were used to identify significant differences between treatments/genotypes. Error bars show the SDs in histograms and SEMs in FRAP curves. Asterisks and hash signs are used in the figures to indicate various degrees of significance.

 

結果 RESULTS

Both AdipoR1 and AdipoR2 regulate membrane fluidity in HEK293 cells

We used siRNA to efficiently knock down the expression of AdipoR1 and AdipoR2 singly or simultaneously in HEK293 cells: qPCR confirmed the knockdown of the transcripts (Fig. 1A) , and a Western blot confirmed protein downregulation for AdipoR1 (supplemental Fig. S1A). We could not obtain a useful antibody for AdipoR2. Knockdown of AdipoR1 and/or AdipoR2 had no effect on membrane fluidity of the cells under basal culture condition as determined using FRAP (supplemental Fig. S1B–E). Note that the FRAP method measures the lateral diffusion rate of the BODIPY-C12 fluorophore used in these experiments; throughout this article we use the term “membrane fluidity” as a proxy for what is likely a complex phenomenon reflecting several distinct membrane biophysical properties such as fluidity, phase behavior, thickness, or compressibility (3234). siRNA knockdown of AdipoR1 also had little effect on the membrane fluidity of HEK293 cells challenged with 200 μM PA, but inhibiting AdipoR2 caused a clear loss of membrane fluidity under these conditions (Fig. 1B, C), while inhibiting both AdipoR1 and AdipoR2 had the most dramatic effect (Fig. 1D, E). These results demonstrate that AdipoR2 is more important than AdipoR1 in protecting against the rigidifying effects of PA but that AdipoR1 also contributes to the maintenance of membrane fluidity. In other words, AdipoR1 and AdipoR2 have partially redundant functions in membrane homeostasis. Most studies of the effects of PA on cells require relatively high concentrations to elicit a detectable effect, with 400 μM being a typical concentration. The pronounced sensitivity of the double AdipoR1/2 siRNA-treated cells to 200 μM PA suggest that these proteins are a primary mechanism protecting cells against PA lipotoxicity. Indeed, HEK293 cells treated with double AdipoR1/2 siRNA show a dramatic loss of membrane fluidity even when challenged with as little as 50 μM PA (Fig. 1F, G), which is exceptionally low compared with other published studies. Note that AdipoR2 knockdown causes membrane rigidification when cells are challenged with 200 μM palmitate but not when treated with vehicle alone. In addition, this palmitate-induced rigidification in AdipoR2 knockdown cells can be prevented by including equimolar amounts of the MUFA oleic acid, suggesting that a function of the AdipoRs during palmitate challenge is to restore SFA/unsaturated FA (UFA) balance (supplemental Fig. S1F–J). The loss of membrane fluidity in AdipoR1/2 siRNA-treated cells challenged with 200 μM PA can also be entirely suppressed by the inclusion of as little as 5 μM of the LCPUFA EPA (20:5) in the culture media (Fig. 1H, I); EPA is a potent fluidizing FA, and its ability to restore membrane fluidity in the AdipoR1/2 siRNA-treated cells is consistent with these proteins playing a role in regulating the FA composition of phospholipids.

The Laurdan dye method confirms the roles of AdipoR1/2 in membrane homeostasis

Our measurements of membrane fluidity have so far relied heavily on the FRAP method. To guard against any misleading interpretations, it is important to verify critical results with independent methods. Therefore, we also made use of the Laurdan dye method to monitor membrane fluidity. This method relies on the fact that the membrane-bound Laurdan dye emits fluorescent light at different wavelengths when water is present within the phospholipid bilayer, which happens more readily in fluid membranes. This method has the additional advantages that multiple cells are imaged simultaneously, that subcellular regions with increased rigidity can be identified, and that the images can be scored quantitatively using an automated ImageJ script (31). Analysis of membrane fluidity using the Laurdan dye method corroborates the findings using the FRAP method with the exception that it can now detect a role for AdipoR1. Specifically, we found that siRNA knockdown of AdipoR1 or AdipoR2 singly or together leads only to a minor membrane rigidification under basal conditions (supplemental Fig. S1K–M) but that both AdipoR1 and AdipoR2 are required to maintain membrane fluidity when HEK293 cells are challenged with 200 μM PA (Fig. 2A–C). Furthermore, inhibiting both simultaneously leads to a much more severe rigidifying effect of PA (Fig. 2A–C), which indicates that AdipoR1 and AdipoR2 have overlapping functions. Also, we noted that the plasma membrane appears to be most affected by rigidification when AdipoR1 and AdipoR2 are inhibited. This is particularly interesting because AdipoR1 and AdipoR2 are localized to the plasma membrane and may have an especially important function in maintaining fluidity in that membrane.

 

AdipoR1 and AdipoR2 promote membrane fluidity via several desaturases

We have previously shown that the C. elegans paqr-2 mutant has an excessively high SFA-UFA ratio among phospholipids and is unable to stimulate FA desaturation upon membrane-rigidifying challenges (cold or SFA-rich diets). This role in membrane homeostasis is also conserved for AdipoR1 and AdipoR2 in human cells. siRNA against AdipoR1 or AdipoR2 causes HEK293 cells to have excess SFAs in their phosphatidylcholines (PCs) and phosphatidylethanolamines (PEs) both under basal conditions and even more so when challenged with 200 μM PA, and this effect is increased when AdipoR1 and AdipoR2 are simultaneously inhibited (Fig. 3A, B, supplemental Fig. S2). The change in FA composition of the phospholipids correlates with reduced desaturase expression: AdipoR1 siRNA-treated cells have reduced expression of SCD and FADS2, while AdipoR2 siRNA-treated cells have reduced expression of SCD, FADS1, and FADS2 (Fig. 3C). Not surprisingly then, knockdown of AdipoR1 and/or AdipoR2 increases the lipotoxicity of PA: while 200 μM palmitate is well-tolerated by HEK293 cells treated with nontarget siRNA, knockdown of the AdipoRs greatly increases the number of dead cells in the presence of PA (but not in basal media; Fig. 3D). Altogether these results indicate that the AdipoRs redundantly maintain membrane fluidity in PA-challenged HEK293 cells by regulating the expression of desaturases and that this activity is essential in preventing lipotoxicity by SFAs. Accordingly, siRNA against AdipoR1 or AdipoR2 also causes HEK293 cells to have excess SFAs in TAGs (supplemental Fig. S2C, D), which again likely reflects decreased desaturase activity.

 

The C. elegans paqr-2 mutant, which lacks a functional PAQR-2 protein that is homologous to the AdipoRs, is unable to grow in the presence of glucose, even at concentrations as low as 4 mM. This is because the glucose is converted to SFAs by the dietary Escherichia coli, which leads to membrane rigidification in the worms (19). In other words, glucose in itself has no effect on the paqr-2 mutant. Similarly, glucose has no effect on the membrane fluidity of AdipoR1 and/or AdipoR2 siRNA-treated HEK293 cells, even when applied at concentrations of 100 mM, and it also had no effect on the SFA and MUFA content in the PCs, PEs, or TAGs of cells treated with AdipoR2 siRNA (supplemental Fig. S3). We conclude that, as with the C. elegans PAQR-2, the AdipoRs are required specifically to respond to the rigidifying challenge posed by exogenous SFAs and not for glucose tolerance.

AdipoR1 and AdipoR2 maintain membrane fluidity in several cell types

The AdipoRs are widely expressed, and it is therefore possible that they are important regulators of membrane fluidity in many, and perhaps even most, cell types. To explore this possibility, we investigated the effect of AdipoR1 and/or AdipoR2 siRNA on hepatocyte-derived HepG2 cells and astrocyte-like 1321N1 cells. siRNA knockdown in HepG2 cells reduced AdipoR1 mRNA levels by nearly 90% and AdipoR2 levels by more than 50% (supplemental Fig. S4A); siRNA knockdown of AdipoR1 caused a ∼60% reduction in protein levels (supplemental Fig. S4B, C). Knockdown of AdipoR1 alone had little effect on the membrane fluidity (measured with the Laurdan dye method) of HepG2 cells in basal media or media supplemented with 200 μM PA (Fig. 4A–C, supplemental Fig. S4D–F). In contrast, AdipoR2 knockdown caused a reduced membrane fluidity both in basal and PA-supplemented media, and this effect was greatly increased when AdipoR1 and AdipoR2 were simultaneously knocked down (Fig. 4A–C, supplemental Fig. S4D–F). As in HEK293 cells, knockdown of AdipoR1 and/or AdipoR2 resulted in the loss of cell viability upon PA challenge (supplemental Fig. S4G) and an increase in SFAs at the expense of MUFAs in PCs, PEs, and TAGs, especially when the cells were challenged with PA (supplemental Fig. S5H–M). Very similar results were obtained with the 1321N1 cell line (supplemental Fig. S4N–U). In summary, these results suggest that AdipoR1 and AdipoR2 are redundantly essential in maintaining membrane fluidity in all three cell lines tested, each representing a different type of cell, namely embryonic kidney cells, hepatocytes, and astrocytes. Maintaining membrane fluidity is likely the fundamental function of the AdipoRs and is particularly required upon membrane-rigidifying challenges such as when SFAs are provided exogenously.

 

The AdipoRs maintain membrane fluidity in human primary cells independently of adiponectin

Established cell lines harbor a multitude of mutations and are abnormal in many ways, including in lipid metabolism. It was therefore important to verify our key findings in human primary cells. We began by optimizing knockdown of AdipoR1 and/or AdipoR2 in HUVECs, being able to inhibit >90% of their expression (Fig. 5A). We then also optimized the Laurdan dye method for HUVECs and found that it clearly detected membrane rigidification when these cells were challenged with 400 μM PA (supplemental Fig. S5A–C), which is the concentration most often used to rigidify cell membranes in control cells. Knockdown of AdipoR1 alone had little effect on the HUVECs challenged with 200 μM PA (Fig. 5B–D). In contrast, AdipoR2 knockdown caused a reduced membrane fluidity in 200 μM PA-supplemented media, and this effect was greatly increased when AdipoR1 and AdipoR2 were simultaneously knocked down (Fig. 5B–D). Knockdown of AdipoR1 and/or AdipoR2 had no effect on the membrane fluidity of HUVECs grown in basal media (supplemental Fig. S5D–F). We conclude that AdipoR1 and AdipoR2 are essential in maintaining membrane fluidity in primary human endothelial cells, especially in the presence of exogenous SFAs.

 

As with the HEK293 cells, inhibition of either AdipoR1 and AdipoR2 led to reduced expression of the FA desaturases SCD, FADS1, and FADS2 (only SCD was not downregulated by AdipoR1 siRNA; Fig. 5E). Desaturase activity is essential in maintaining membrane fluidity upon a PA challenge. In particular, SCD inhibition by siRNA (supplemental Fig. S5G) led to decreased membrane fluidity of HUVECs incubated with 200 μM PA, but not in basal media (supplemental Fig. S5H–M).

Finally, we note that adiponectin, a proposed ligand for the AdipoRs, was never included in any of our experiments. Indeed, most experiments involved long periods of incubations in serum-free media (basal) or serum-free media supplemented with PA, and there is likely no expression of adiponectin from the tested cells themselves because this is an adipocyte-specific protein. As a definitive test we performed qPCR analysis using mRNA from the three studied cell lines (HEK293, HepG2, and 1321N1), HUVECs and human adipose tissue. Using this assay, we could detect strong adiponectin expression in the adipocyte sample and no expression in the cell lines or HUVECs; the house-keeping control gene PPIA was detected in all samples (Table 1, supplemental Fig. S6A). Supplementing HEK293 cells with 5 μg/ml (14) or 10 μg/ml recombinant adiponectin (produced from a mammalian cell-expression system) did not improve their ability to prevent membrane rigidification by 400 μM PA (the lowest concentration that reduced fluidity in control HEK293 cells), suggesting that adiponectin does not potentiate the activity of the AdipoRs, at least in this context (supplemental Fig. S6B, C). We conclude from this that adiponectin is not required for the ability of the AdipoRs to act as regulators of membrane fluidity in human cells.

 

 

ディスカッション DISCUSSION

The three most important conclusions from the present work are 1) both AdipoR1 and AdipoR2 maintain membrane fluidity by promoting desaturase activity and, hence, MUFA levels in phospholipids; 2) AdipoR1 and AdipoR2 help maintain membrane fluidity in multiple cell types, including primary human endothelial cells; and 3) adiponectin is not required for the function of the AdipoRs as fluidity regulators. These conclusions lead to a simple model of AdipoR function (Fig. 6) and will now be discussed in the broader context of existing literature.

 

That both AdipoR1 and AdipoR2 have similar functions is not surprising given their high degree of amino acid identity [∼66% (1)]. Many tissues express both proteins, and it is likely that many cell types also express both, as was the case for all four cell types studied here (HEK293, HepG2, 1321N1, and primary HUVECs). Coexpression of two proteins with similar functions provides redundancy, and hence robustness, in the maintenance of membrane homeostasis. We note, however, that in all cell types it was the inhibition of AdipoR2 that had the strongest effect on membrane fluidity, suggesting that AdipoR2 plays a larger role than AdipoR1. This is interesting because the AdipoR2 knockout mice are reported to have a more severe phenotype, including an enlarged brain, male sterility, low weight, and increased risk of diabetes (535), than the AdipoR1 mice, which primarily show a retina defect that is also found in humans with mutations in AdipoR1 (783637), as well as a tendency to gain weight (5). That the two genes have overlapping functions is clear from the fact that double-mutant mice lacking both AdipoR1 and AdipoR2 have more severe metabolic defects than either single mutants (2) and may even be embryonic lethal according to another study (6). The situation in mice therefore echoes that in C. elegans, in which the two AdipoR homologues, paqr-1 and paqr-2, are also partially redundant (the double mutant is more severe than the single mutant), although paqr-2 is clearly more important because it shows strong phenotypes as a single mutant (cold and SFA intolerance and a morphology defect in the thin membranous tail tip) that are accompanied by the loss of membrane fluidity (17).

The knowledge that AdipoR1 and AdipoR2 are important for membrane homeostasis, primarily promoting FA desaturation to restore fluidity, may lead to a better understanding of several of the mouse mutant phenotypes. For example, the enlarged brain of the AdipoR2 knockout mice may be secondary to an inability to sustain membrane fluidity in the mutant (5). The brain is exceedingly dependent on membrane fluidity for the process of neurotransmitter vesicle trafficking and fusion at the synapses (38). Similarly, spermatogenesis is critically dependent on an abundance of fluid membrane, and desaturase mutants are therefore sterile (39). It will be interesting to revisit these and other AdipoR2 knockout mouse phenotypes and test the specific hypothesis that they are the result of failures in membrane fluidity homeostasis. Further, several articles have implicated the AdipoRs as being important in preventing metabolic syndrome complications, for example, when mice are fed high-fat diets. Given the extensive literature documenting high SFA content and membrane rigidity in diabetics (4041), it will be very interesting to see whether the alleged protective effects of the AdipoRs may be explained precisely because they help delay or even prevent such membrane rigidification. In particular, pancreatic β-cell function depends on delicate membrane trafficking and fusion events essential for insulin secretion (42). Such processes are very sensitive to membrane rigidification, and the maintenance of membrane fluidity in β-cells may be an important function of the AdipoRs in the context of the metabolic syndrome.

The AdipoRs were initially identified as adiponectin receptors in a cDNA expression screen to identify clones that would bind fluorescently labeled recombinant adiponectin (1). Several studies later suggested that the activity of the AdipoRs, for example in preventing metabolic defects upon high-fat diets in mice, were dependent on adiponectin, usually provided in its recombinant, E. coli-expressed form (2). The functionality of recombinant adiponectin has, however, been questioned (9), and the hypothesis that adiponectin could act as a hormone may be questioned on the grounds that it is simply too abundant a serum protein to serve such a function (adiponectin is present at μg/ml levels compared with other hormones such as insulin or leptin that are present at ng/ml levels), although it is possible that much less abundant multimeric forms with dynamically regulated levels are the true nature of adiponectin as a hormone (4344). In any case, the three different cell lines and human primary cells studied here do not express adiponectin, and yet we could demonstrate clear functions for both AdipoR1 and AdipoR2 in preventing membrane rigidification by PA; the addition of recombinant adiponectin also did not improve the ability of HEK293 cells to maintain membrane fluidity when challenged with palmitate, suggesting that it is not limiting for AdipoR function in these assays. This again echoes the situation in C. elegans, in which no adiponectin homologue has so far been identified and in which several forward genetic screens for suppressors or genocopiers of paqr-2 have failed to identify a putative ligand (17202245). *太字強調は当サイト

One limitation of our experiments is that we do not know the extent of protein activity reduction achieved by the siRNA treatments. Good antibodies to these proteins have been difficult to produce. For AdipoR1, more than 15 different antibodies were recently rigorously tested, and a single one was found to specifically recognize AdipoR1 in a useful way (8). Using this antibody in Western blot shows a >90% and ∼50% reduction in AdipoR1 levels in siRNA-treated HEK293 and HepG2 cells, respectively (supplemental Figs. S1A, S4B). We also tried two different AdipoR2 antibodies without success: both produced a very high level of background bands. This likely explains why AdipoR2 antibodies have so rarely been used in studies to detect the endogenous protein. However, we are confident in the siRNA successfully inhibiting AdipoR2 in our experiments for several reasons: 1) two different siRNA oligo pairs produce the same membrane rigidification effect (19); 2) the qPCR clearly shows efficient downregulation of the AdipoR2 mRNA in cell lines and primary cells (Figs. 3C5E); 3) the effects of siRNA against AdipoR2 are additive with that of AdipoR1 knockdown; and 4) the membrane rigidification caused by siRNA against AdipoR2 is accompanied by excess SFAs in phospholipids in all cell types tested, just as it is in C. elegans (1920).

Finally, it is interesting to note that the methods used to evaluate membrane properties (FRAP and Laurdan dye fluorescence) and composition (lipidomics) did not distinguish among the various organellar membranes of the cells examined. Rather, all three methods scored the entire cells. Of the three methods, it is the Laurdan dye fluorescence that provides the best spatial resolution. An examination of the generalized polarization index pseudocolor images (e.g., Fig. 2A for HEK293 cells, Fig. 4A for HepG2 cells, and Fig. 5B for HUVECs) indicates membrane rigidification across the entire cells but clearly most pronounced in the plasma membranes. This is interesting because the AdipoRs are the only sense-and-response membrane sensors localized to the plasma membrane and may therefore be especially important for plasma membrane homeostasis. The AdipoRs may therefore complement the activities of other guardians of cellular membranes, such as PCYT1A and Tafazzin [sense and repair packing defects in the inner nuclear membrane and mitochondria, respectively (4647)], IRE1 [senses bilayer stress in the ER (48)], or the SREBPs (sense cholesterol and PC levels (4950)]. It will be interesting in the future to perform cell-fractionation experiments in AdipoR-deficient cells to better understand the organelle-specific roles of these proteins.

In conclusion, the present findings indicate that the AdipoRs are important regulators of membrane fluidity in most cell types, including human primary endothelial cells, and that they can carry out this function without any ligand being present.

 

アディポネクチンの作用機序や、”アディポネクチン受容体”の機能に対する正しい理解が、”混乱を招く論文”の存在によって阻害されているのだとしたら残念なことです。上の論文は、ややこしい状況を整理してくれる良い論文だと思いました。内部の人なら、「あー、あの論文はXXXXなんだよねー」みたいな会話をして、論文ごとの信憑性が口伝えで広がるものですが、それだと部外者には伝わりません。こうやって論文の形できっちりと書いてもらえると助かります。

 

東大医学部の論文不正疑惑問題に関して改めて思うこと

再現性が無いと断じられている論文の中には、Ordinary_Researchersによって論文の図の不適切さが指摘されていたものが含まれています。東大不正調査委員会はいまだに調査報告書を国民・研究者に公開していないため、「再現性の無い論文=データ捏造論文」の疑念が晴れていない状態です。不正がなかったと東大がいうのであれば、不正がなかったと信ずるに足る証拠と説明(実験ノートの開示、実験の生データの開示、実験データの数値と論文の図の数値がほとんど異なることに関する合理的な説明など)を国民に提供すべきです。

東大の不正調査委員会も医学部の論文に関してオリジナルデータの数値と論文のグラフが示す数値はほとんど一致しないということを認めたくらいなので(にも関わらず説明抜きで不正無しと宣言!なんじゃ、そりゃ?)、再現されないことになんの驚きもありませんが、そんな論文がいまだに「生きて」いて多額の研究費を稼ぎ、著者を昇進させ、称賛を集め続けていること、そして日本の中で誰もそれを咎める人がいないことには本当に驚かされます。

デタラメにつくったグラフの論文を著者らが撤回もせず、実験ノートを示して自らの正しさを立証するわけでもなく、所属大学は不正調査の報告を国民・納税者に対してせず、予算配分機関や監督省庁もそんな大学の隠蔽体質(=不正調査報告書を非公開)を黙認し、他の研究者もみな沈黙を守るというのは、科学研究の進展を著しく阻害する行為です。特に、不正を働く人間と同じ研究領域にいる他の研究者は、自分の実験結果と先行研究の結果が食い違うため、一貫した説明をするための無駄な労力を強いられ、論文出版も滞り、大きな被害を被ります。

もっと言えば、まともな人間が捏造ラボに所属してしまった場合、実験デザインの前提が間違っているためにどれほどがんばって実験しても期待される結果が得られず、人生をドブに捨てるだけでしょう。そのラボ内で研究者として生き残りたければ、捏造に捏造を重ねて論文を出版することになるのではないかと想像します。何しろ東大や国が不正(疑惑)を完全に黙認(公認?)したわけですから、ラボ内あるいは学部内で声をあげて不正を告発することは自殺行為でしかありません。これは臨床の話ですが、東大病院で「不適切な情報の管理と取扱い」があったとする東大の公式声明を見れば、告発者に対する東大の対応は想像がつきます。

関連記事 → 東大病院で「不適切な情報の管理と取扱い」

まともな倫理感の人は、ラボを直ちに出るか、精神を病むか、倫理観を捨てるか以外には選択肢がないのではないでしょうか?ちょっと想像しただけでも恐ろしい話です。本当に、ホラーとしか言いようがありません。


 

 

参考

  1.  
    737匿名A ◆Zm8FyprZhE 2019/04/14(日) 02:07:53.63ID:1OjPKvE+a
    AdipoRの問題をボロクソに書いている最近のJournal of Lipid Researchの論文は、Article Usageによると今のところ270アクセス 
    これが100倍くらいのアクセスになれば世の中変わるんだろうけど 
    東大新入生は、上野千鶴子の話を有り難がる前に、この論文のイントロの1段落目を読んだ方がいいよ 
    こんな学科への新振りの点数が一番高い大学に進学したことは、必ずしも幸せなことではない 
    http://www.jlr.org/content/early/2019/03/19/jlr.M092494.abstract 
     
    (引用元:捏造、不正論文、総合スレネオ49 ttp://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/life/1550116527)
  2. 783匿名A ◆Zm8FyprZhE 2019/04/14(日) 23:53:43.53ID:HxaoeLnCa>>786
    AdipoRの悲劇の始まりは、決してFACSのExpression Cloningではないと思う
    血液濃度が異様に高いアディポネクチンをホルモン扱いしたのが悲劇の始まりだと思う
    そのあたりのことがJournal of Lipid Researchのこの論文の後半に触れられている(引用元:捏造、不正論文、総合スレネオ49 ttp://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/life/1550116527)

  3. 日本オリジナル「adiponectin」とボディマッピング、ゲノム編集でCRISPR大躍進【日経バイオテクONLINE Vol.1956】(河田孝雄 2013.11.01 18:00 日経バイオテク)

 

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早稲田大学商学部50代男性教授がパワハラ・セクハラで懲戒解雇

過去数年間にわたってセクハラ行為やパワハラ行為を働いていた早稲田大学商学部の男性教授が、2019年2月15日付けで懲戒解雇されたことが早稲田大学の発表やその他の報道で明らかになりました。

2013年から複数の職員に対し、大声で繰り返し罵倒するなどのパワハラ行為をしていたほか、複数の学生に対し、体を触るなどのセクハラ行為 (早大教授パワハラ・セクハラ 15日付で解任 2019年2月15日 金曜 午後7:01 FNN PRIME)

男性教授は2015~17年、自分のゼミで複数の学生に対する性的発言や身体接触などのセクハラ行為を繰り返し、精神的苦痛を与えた。13~18年には複数の大学職員を大声でののしるなどのパワハラ行為をしていた。(早大、学生にセクハラの教授解任 職員へパワハラも 2019.02.15. デイリー

早大のウェブサイトでの説明は以下の通り。

  • 不適切な言動や行為により、複数の職員に対して精神的苦痛を与え、業務遂行を著しく阻害するパワー・ハラスメント行為を行っていた
  • 不適切な言動や行為により、精神的苦痛を与え、複数の学生の就学環境を悪化させたなどのアカデミック・ハラスメントおよびセクシャル・ハラスメント行為を行っていた

(2019年2月15日 早稲田大学 教員の解任について 本学商学学術院の男性教員1名を2月15日付で解任といたしました。)

 

教員の解任について 2019年2月15日 商学学術院長

早稲田大学は、商学学術院所属の男性教員1名が学生および職員に対してハラスメントをはじめとする行為を行ったことを調査に基づき確認しました。そのうえで、本学は、教員としての適格性を著しく欠いていると判断し、同教員を2019年2月15日付で解任いたしました。
この件に関し、商学学術院として、被害を受けた学生および職員をはじめ、関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。
本学術院は、今回の事態を重く受け止めており、ハラスメント防止体制の整備にこれまで以上に努め、再発の防止に向けた取組みを行ってまいります。(引用元:早稲田大学商学部

実験を始めてほんの数日目の大学院生に向かって「君、もう辞めなさい」と言ったり、風邪で病院に行ってラボミーティングに遅れた人に向かって「公私混同するな。」と叱ったりした京大教授がかつていたそうですが(→参考記事:沼研伝説)、今の時代だとアカハラ認定されそうですね。

男性教授は2015~17年、自身のゼミに所属する複数の学生に対し、大声でどなったり体に触ったりした。ゼミを欠席した学生にゼミを辞めるよう命じたこともあった。また、13~18年に複数の職員に対し、大声で罵倒したり担当以外の仕事を強要したりした。(学生らを大声で罵倒、早大の50代男性教授解任 2019/2/15(金) 19:28配信 YAHOO!JAPAN 読売新聞オンライン)

 

 

参考

  1. 早大、セクハラやパワハラで教授を解任 2019/2/15 18:27 共同通信社
  2. 早大でセクハラ 50代の商学学術院教授を解任 (2月15日(金)19時42分 毎日新聞 / biglobe.ne.jp)
  3. 「大学教授」と「大学院教授」の違いを教えてください 2012/8/3101:50:30 YAHOO!JAPAN知恵袋

 

早稲田大学における過去のセクハラ問題

早稲田大学文学学術院の男性教員を2018年7月27日付けで解任

当該教員には、以下の非違行為が認められる。① 申立人に対し、ア 申立人や周囲の学生が気づくほど足元を見つめる イ 申立人の外見についてかわいいと告げる ウ 頻回に2人きりで食事に行き、自分が箸をつけた料理を食べさせる、申立人が食べているものをとる エ 指で肩や背中を押す、頭を触る等の不必要な身体接触を行う オ 私用の買い物を頼む などの行為によって不快感を与えたこと。 ② 申立人を食事に連れて行き、食事の際、申立人に対し、「卒業したら女として扱ってやる」、「俺の女にしてやる」などと告げたことによって、苦痛を与えたこと。③ 他学生がいる教室で、授業中に、雨で濡れた服を着替えるように指示した上、申立人に対し「裸だったらどうしようかと思った」と告げたこと。 ④ 本学の名誉および信用を著しく傷つけたこと。 ⑤ 申立人以外の学生に対してもハラスメント行為を行ったこと。⑥ 教員の業務上知り得た個人情報について、他の学生の前で発言したこと。 とりわけ、指導教員の立場や優越的地位を利用して、学生に対して繰り返し飲食に誘い、恋愛感情を表明し、相手に卒業後に「愛人」になるよう迫った行為については、およそ本学教員としての適格性を欠いており、改善を期待することはできない。(教員の解任について Fri, 27 Jul 2018 早稲田大学

STAP細胞事件の真相 小保方晴子氏の頭の中にあったもの

STAP細胞は結局あったのか無かったのか、何だったのか?という疑問をいまだに持っている人も多いかと思います。

STAP細胞事件

STAP細胞事件で炙り出されたのは、日本の生命科学研究がいかに杜撰に行われていたかということでした。2014年1月30日付けのNATURE誌に掲載された2報のSTAP細胞論文の内容を伝えた最初のニュースに接して、凄い研究者が出現したものだと自分も思い、このウェブサイトでも記事にしましたが、今から考えるとマヌケだったと思います。研究者も変わったなあ、こんな見た目の人がこんなすごいことをやってのけるんだ?と当時はびっくりしました。

記者会見&報道を鵜呑みにした、当時のマヌケな記事↓信じられないくらい簡単に体細胞を万能細胞に転換させる方法を日本人女性研究者(30)が発見!

 

STAP細胞とは

STAP細胞とは、Stimulus-triggered acquisition of pluripotency (STAP)という現象を示す細胞ことで、STAP細胞を日本語でいえば刺激惹起性多能性獲得細胞(しげきじゃっきせいたのうせいかくとくさいぼう)となります。2014年に小保方晴子研究員らを中心とする研究グループによりNATURE誌に論文報告されましたが、現在ではそんなものは存在しなかったことになっています。

STAP現象を発見したと宣伝する理研のプレスリリース↓。

マウスのリンパ球などの体細胞を⽤いて、こうした体細胞の分化型を保持している制御メカニズムが、強い細胞ストレス下では解除されることを⾒いだしました。さらに、この解除により、体細胞は「初期化」され多能性細胞へと変化することを発⾒しました。この多能性細胞は胎盤組織に分化する能⼒をも有し、ごく初期の受精胚に⾒られるような「全能性[5]」に近い性質を持つ可能性が⽰唆されました。この初期化現象は、遺伝⼦導⼊によるiPS細胞(⼈⼯多能性幹細胞)の樹⽴とは全く異質のものです。共同研究グループは、この初期化現象を刺激惹起性多能性獲得(STAP)、初期化された細胞をSTAP細胞と名付けました。(2014年1⽉29⽇ 理化学研究所 報道発表資料 PDF)

 

STAP細胞とiPS細胞との違い

STAP細胞はひとりの人間の妄想の産物およびその妄想が共同研究者の脳にも宿った結果、論文報告という意味において現実化したものですが、実在はしません。それに対して、iPS細胞は実際に存在する細胞です。

 

「STAP細胞はあります」

小保方晴子氏が記者会見で記者からの「STAP細胞はあるんでしょうか?ないんでしょうか?」という質問に答えた「STAP細胞はあります」という発言は、2014年の流行語大賞にノミネートされるほど社会的なインパクトがありました。

「STAP細胞はあります!」 4月9日反論会見 小保方氏本人と守護霊が激白!!【ザ・ファクト REPORT #3】

 

  • 流行語大賞はどれ? 「STAP細胞はあります」「ありのままで」など50語ノミネート (2014.11.19 16:25 産経ニュース)今年話題となった言葉に贈られる「2014ユーキャン新語・流行語大賞」の候補が19日、「現代用語の基礎知識」を発行する自由国民社から発表された。今年は、小保方晴子氏の「STAP(スタップ)細胞はあります」やアニメ映画「アナと雪の女王」の「ありのままで」、お笑いコンビ「日本エレキテル連合」の「ダメよ~ダメダメ」など50語がノミネート。大賞とトップ10は12月1日に発表される。
  • こっちが流行語大賞? 小保方さんの「レシピある」発言はすごい(2014.12.18 11:30 AERAdot.) やく:私は一貫して、小保方さんを擁護しています。かみさんには「あなたはインテリ女に弱い」と言われるんですが、まことにそのとおり。疑惑に答えるため4月に開いた会見で発した、「STAP細胞はあります」という言葉が新語・流行語大賞の候補になりましたが、私はそれより、「STAP細胞は200回以上作製に成功した」という言葉に重きを置きたい。検証実験の結果はまだ公表されていませんが、201回目の成功を待てばいいだけです。 ぺリー:小保方さんの「レシピのようなものはある」という発言はすごいと思いました。科学者は、レシピとは言わないでしょ。かっぽう着でレシピですからね。

 

STAP細胞の真実

結局、STAP細胞は存在しなかったと思います。あったとすれば小保方さんの頭の中にだけあったのでしょう。そして、周囲の研究者は、すくなくとも当初は、それを信じたのです。研究の過程で、アーチファクトをうっかり大発見と見間違うことはありがちです。思い込みが激しければ、死にゆく細胞の自家蛍光をGFPの蛍光と見間違った可能性は大きかったと思います。

 

関連書籍(アマゾンへのリンク)

  1. 小保方 晴子『あの日』 講談社 2016年1月29日
  2. 小保方 晴子『小保方晴子日記』 中央公論新社 2018年3月20日
  3. 須田 桃子『捏造の科学者 STAP細胞事件』文藝春秋 2015年1月7日
  4. 小畑 峰太郎『STAP細胞に群がった悪いヤツら』新潮社 2014年11月27日
  5. 黒木 登志夫『研究不正』中央公論新社 2016年4月19日
  6. 渋谷 一郎『STAP細胞はなぜ潰されたのか』ビジネス社 2016年4月22日
  7. 船瀬 俊介『STAP細胞の正体』花伝社 2015年5月25日
  8. 佐藤 貴彦『STAP細胞 事件の真相』パレード 2016年12月14日 
  9. 佐藤 貴彦『STAP細胞 残された謎』パレード 2015年12月7日
  10. 大川 隆法『小保方晴子さん守護霊インタビュー』幸福の科学出版 2014年4月18日
  11. W.ブロード, N.ウェイド『背信の科学者たち』講談社2014年6月20日
  12. 村松 秀『論文捏造』中央公論新社 2006年9月1日
  13. 田中 智之、小出 隆規、安井 裕之『科学者の研究倫理』東京化学同人 2018年6月8日

ちなみに、東京化学同人から出版された『科学者の研究倫理』は、これから科学者を目指す大学生や大学院生にぜひとも読んでいただきたい本です。研究生活を送る上で何に注意したらよいのか、どんな問題が待ち受けているのかが解説されています。
 

理研STAP細胞NATURE論文捏造事件のカテゴリー内の記事

広島大教授が学生にバカ・死ね・ブタ野郎

広島大学でまたもやハラスメント行為が発覚しました。

元教員の懲戒処分(相当)について

 

平成30年12月28日
国立大学法人広島大学

 本学元教員に対し,下記のとおり諭旨解雇相当とし,本人に通知しましたので,お知らせします。
同人は,既に本学を退職していますが,本学在職中に教員としてあるまじき行為を行ったことは,誠に遺憾であり,被害者及び関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。本学としましては,今後,このようなことが起こらないよう,教職員により一層の意識啓発を図り,再発の防止に努める所存です。
なお,本件に関する詳細情報については,被害者のプライバシーに配慮する観点から,公表を差し控えさせていただきます。

1 事案の概要
本学元教員は,本学構成員である被害者3名に対し,「バカ」「死ね」「くそ野郎だな」「ブタ野郎」などの発言や人格否定,罵倒等の言 動を繰り返した。このうち1名は「適応障害」と診断され,1か月間自宅療養を余儀なくされるなど,被害者らに恐怖心や強い心的ストレスなどの精神的苦痛を与えた。

2 処分(相当)の内容
(1)当 該 元 教 員 : 元教授(60歳代・男性)
(2)決 定 年 月 日 : 平成30年12月18日
(3)処分(相当)内容 : 諭旨解雇相当

以上

 

 

参考

  1. 広島大学ハラスメント相談室

君の存在は『無』です 広島大教授がパワハラ

広島大学でパワハラと認定される行為があり、教授が懲戒処分を受けました。

教員の懲戒処分について

 

平成30年12月21日
国立大学法人広島大学

 

本学教員に対し,下記のとおり懲戒処分を行いましたので,お知らせします。
教員としてあるまじき行為を行ったことは,誠に遺憾であり,被害者及び関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。本学としては,今後このようなことが起こらないよう,教職員に対するより一層の意識啓発を図り,再発の防止に努める所存です。
なお,本件に関する詳細情報については,被害者のプライバシーに配慮する観点から,公表を差し控えさせていただきます。

1.処分事案の概要
被処分者のA教授は,併任先の部下であったB准教授に対し,平成24年4月頃から日常的に叱責を繰り返し,業務に関して始末書を複数回提出させた。また,平成25年6月5日,『馬鹿者』と記載してメールで送信した。更に平成26年3月24日,本学の就業規則上,A教授の権限ではないにもかかわらず,「訓告処分通知書」を交付した。さらに,平成27年12月7日,『君の存在は「無」です』と記載してメールで送信し,B准教授に心的ストレスを与えた。
また,同じ併任先の契約事務職員Cに対し,平成30年3月12日,「B准教授は本来ならば懲戒免職なんよ」と発言し,事務職員Cの雇用継続にプレッシャーをかけた。また,同年3月15日及び16日,事務職員Cが同上のことを他部署に相談に行ったことを強く非難した。このことにより事務職員Cは,「不安神経症」と診断され,同年3月20日から3月末日までの間,自宅療養を余儀なくされた。

2.処分の内容
(1)被処分者  : 大学院国際協力研究科 教授(50歳代・男性)
(2)処分年月日 : 平成30年12月21日
(3)処分内容  : 懲戒休職6月

以上

 

 

本件とは全然関係ありませんが、この教授の発言、「君の存在は『無』です。」は多くの大学院生や若手研究者を連想させます。名をあげるような素晴らしい成果を出すまでは、研究者の世界においてみんな「無」の存在でしかないわけで。

それまで、ぼくなんかどこの馬の骨とも知れない一研究者にすぎなかったわけです。… ただ、みんな知りたがっていることを、自分だけが知っていて、それをみんなに聞かせてやるんだというような心の余裕というか、得意の気持というかそういうのもありましたね。… 発表を聞いてる間に、これは本当に面白いと認識してくれて、みんなシーンとしてしまい、畏敬の念を持って発表をきいているという感じがこっちに伝わってきましてね。… それまでは向うは雲の上の人だったわけですよ。それがそんなにほめてくれるんでさすがにうれしかったですね。これで、オレもそれまでの”ノーボディ”から”サムボディ”になったなと思いました。(利根川進) (引用元:『精神と物質』立花隆・利根川進 文藝春秋 1990年192~193頁 )

 

参考

  1. 広島大学大学院国際協力研究科教員一覧
  2. 広島大教授「君の存在は『無』です」 部下へのパワハラメールで懲戒処分
    2018.12.21 18:49 SANSPO.COM

 

参考(広島大学の過去のハラスメント)

  1. 広島大教授が学生に「バカ」「死ね」「くそ野郎だな」「ブタ野郎」 
  2. 大学で“大人のいじめ”1──業績水増し告発の准教授が“クビ”へ(明石 昇二郎)週刊金曜日編集部2017年03月10日 19:03