Category Archives: 研究不正

ムーンショットPM筑波大教授が強制猥褻で逮捕

筑波大教授逮捕のニュース

【逮捕】女子学生に“わいせつ” 筑波大教授の男を逮捕 Dec 7, 2021【公式】日テレNEWS (動画削除済)

筑波大学の教授の男が、大学内で20代の女子学生に複数回にわたってわいせつな行為をしたとして逮捕されました。 強制わいせつの疑いで逮捕されたのは筑波大学・生命環境系の教授の大沢良容疑者(61)です。 警察によりますと大沢容疑者はことし4月から9月にかけて複数回にわたり、大学内の建物の中で20代の女子学生の胸などを無理やり触るなどのわいせつな行為をした疑いがもたれています。先月、女子学生が警察に被害を訴えたことから発覚したものです。 調べに対し大沢容疑者は、「強制的にわいせつな行為をした認識はない」と容疑を否認しています。(2021年12月7日放送「news every.」より)

逮捕の筑波大教授を送検

【指導後も】筑波大教授を送検 女子学生に“わいせつ” Dec 8, 2021 【公式】日テレNEWS (動画削除済)

報道に基づく事実関係

  • 2021年4月~9月 筑波大学生命環境系 系長 大澤良教授(61)が学内で複数回にわたって20代の女子学生の胸を触るなどのわいせつな行為
  • 9月下旬 女子学生が大学の「ハラスメント相談センター」に相談
  • 10月中旬 加藤副学長が教授に対して、女子学生と会ったり連絡を取ったりしないよう指導
  • 11月18日 女子学生が警察署に相談
  • 12月 警察が捜査し逮捕

参考:筑波大学幹部の教授 強制わいせつ疑いで逮捕 容疑を否認 12月07日 18時08分 茨城 NHK NEWS WEB

筑波大学の発表

本学教員の逮捕について

令和3年12月7日

筑 波 大 学

本学教員の逮捕について

 本日(令和3年12月7日)、本学の教員が、強制わいせつの容疑でつくば警察署に逮捕されたことは、誠に遺憾であり、大学としても大きな衝撃を受けております。

 警察の発表によると、同教員は、今年4月から9月にかけて、本学構内において県内在住の20代女性に数回にわたりわいせつな行為を行ったとされています。

 国立大学法人の教員という立場の者が、構内において、かかる行為を行ったことは許されざることであり、大学としてこのたびの事態を極めて重く受け止めています。被害者の女性に対しまして、心からお詫び申し上げます。

 今後、詳細が明らかになった段階で、大学として厳正な処分を行います。

 本学におきましては、これまでにも法令順守や職員倫理について指導を徹底してまいりましたが、このたびの事態を受けて、全学を挙げて更なる取り組みの強化を進めてまいります。

https://www.tsukuba.ac.jp/news/20211207173000.html

この筑波大学の公式発表を見て、呆れかえりました。「県内在住の20代女性に」ってなんですか?この文言だと、まるで筑波大学とは無関係な女性に対してのわいせつ行為であるかのように思えます。しかし実際には、自分が指導する大学院生(D3)の女性に対するわいせつ行為です。大学の事なかれ主義がよくわかる文章だと思います。「本学構内において」というのも、まるでキャンパスのどこかベンチかと思いました。実際には教授室という密室の中で行われたわいせつ行為です。「逮捕されたことは、誠に遺憾であり、大学としても大きな衝撃」というのもおかしな反応で、被害者は事前に大学に相談したにも関わらず、ほとんどなんの対応もせずに放置したため、被害者が弁護士や警察に相談したといういきさつがあるようです。

 

逮捕された教授はムーンショット型研究開発制度のPM

今回逮捕された教授は内閣府の1000億円規模の予算の研究事業「ムーンショット型研究開発制度」のプロジェクトマネージャー(PM)の一人です。

サイバーフィジカルシステムを利用した作物強靭化による食料リスクゼロの実現

プロジェクトマネージャー 筑波大学 生命環境系 教授 大澤 良
Researchmap

実施体制

被害を受けた女子大学院生にしてみれば、大規模な予算を獲得しているようなビッグボスを告発するのは非常に勇気の要ることだったと思います。普通に大学に通報しても、大学は学生よりもまず教授を守ろうとするのではないでしょうか。大学の公式発表の心無い文章ひとつみても、自分にはそのようにしか思えません。

被害者の女子学生は、ツイッターで告発に至る経緯を、拡散希望として詳細に説明していましたが、現在は削除したようです。


告発の経緯を説明した文章(削除前)を一読しましたが、重要なこととして、会話の一部が録音されていて、相手はセクハラ(強制わいせつ)をしていることを自覚してる発言があったこと、被害者は行為をやめてくれるように頼んでいること、被害にあった日付、時刻、場所の情報までないと証拠として取り上げられてもらえないこと、逐次記録された文書の存在が大事のようです。大学に相談したが放置され(大学からは他言しないように口止めされた)、弁護士や警察に頼ったといういきさつも書かれていました。セクハラやわいせつ行為は立証することが困難で、できるだけ客観的な証拠を残すことが大事だと思います。

”大沢容疑者は、調べに対し「強制的にわいせつな行為をした認識はない」と容疑を否認”(ヤフーニュース)とのことなので、合意があったかなかったかが裁判での焦点になるのかもしれませんが、大学教員が自分が指導する博士課程の学生に対してラボ内でわいせつ行為を働いたという事実だけで、断罪されるに十分事足りるのではないかと思います。研究者生命に関して言えば、博士課程の学生は教授に生殺与奪の権利を持たれている状態なので、弱い立場の学生から拒絶しづらい条件がそもそも存在しており、強制したつもりはないという言い訳は通りません。

勘違いする大学教授

今回の報道で、容疑者の言い訳「強制的にわいせつな行為をした認識はない」を見て思い出したのが、以前、日本化学会がつくった、教授の勘違いを助長させそうなこの動画。

関連記事 ⇒ 日本化学会のPR動画 教授への恋愛感情

学部学生や大学院生は、指導してくれる大学教授に対してはほとんど無条件に尊敬の念を抱くのではないかと思います。それを、何をやっても許されると勘違いしてしまうのだとしたら大間違いです。

 

参考

  1. 2021-12-07 ■筑波大の教授にセクハラされていた女子学生の件 はてな匿名ダイアリー

『今ここにある危機とぼくの好感度について』NHK土曜ドラマ第5話(最終回)2021年5月29日(土)

『今ここにある危機とぼくの好感度について』の放送が完結しました。腐敗した組織や社会に対する批判を、ありそうにないドタバタをふんだんに盛り込んで、楽しめる娯楽番組にまとめていたように思います。研究不正を告発した木嶋みのりが、いかにも理系の研究者にいそうな雰囲気で、いいキャスティングでした。木嶋みのりの口から出てきた言葉がすごい説得力を持って響いてきたのが印象的。ドラマ自体も、木嶋みのりを軸に全てが作られていたんじゃないかと思いました。

 

三芳総長の言葉

 

ここぼく 最終話 ネタバレ

いまここにある危機と僕の好感度について における木嶋みのりの存在の重さについて

今ここにある危機とNHKの好感度について

今ここにある危機と僕の好感度について 第4話 2021年5月22日(土)放送 #ここぼく

今ここにある危機と僕の好感度について

第4話ネタバレ

科学考証に関して

キャストについて

松坂桃李さんの好感度について

大学というところについて

総長の好感度について

コロナ禍の五輪強行との類似性について

第2話で去って行った木嶋みのりの存在のとてつもない大きさについて

今ここにある危機と僕の好感度についての面白さについて

 

参考

  1. NHK『今ここにある危機とぼくの好感度について』と菅首相の危機と好感度について 5/22/2021(土) 12:30 QJWeb クイック・ジャパン ウェブ
  2. 『半径5メートル』『ここぼく』勝田夏子CPに聞く “いま”を切り取る2作が生まれた背景 田幸和歌子 2021.05.22 10:00 Real Sound
  3. NHK土曜ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』第1話、第2話 研究不正告発のもみ消し 

NHK土曜ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』第1話、第2話 研究不正告発のもみ消し #ここぼく

NHKの土曜ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』の第2話の中で研究不正の話が取り上げられたようです。

ネタばれ

岸谷教授は「整えて」という言葉で、日常的に論文データの改ざんを指示していた。けれども、不正を追及されて「今度は言葉の意味の方を変えてきた」。「整えて」は、データの改ざんではなく「机の上を掃除しろ」という意味であると研究室内に周知徹底したのだ。(『ここぼく』が告発する意味の捏造 松坂桃李演じる危機感のない主人公のリアル 2021/5/2(日) 6:05 リアルサウンド YAHOO!JAPAN

 

元カノで非正規研究者のみのり(鈴木杏)は、岸谷教授(辰巳琢郎)の論文不正を世間に告発。大学当局は本調査に乗り出すことを余儀なくされる。だが、理事の須田(國村隼)らから過小報告のプレッシャーを受けた調査委員・上田教授(国広富之)が‥ 

(【土曜ドラマ】今ここにある危機とぼくの好感度について(2) 5/1(土) 午後9:00-午後9:49 nhk.jp

 

関連notes

私自身は責任者ではないものの、同ドラマに研究不正調査考証という形で協力させていただきました。ストーリーに責任を負う立場ではないのですが、そのような形で協力させていただいた立場としてはコメントしないわけにはいかないだろうということで、この件について、以下、コメントします。

「今ここにある危機とぼくの好感度について」第2話について Masaki Nakamura 2021/05/04 00:02 note.com

上のノートでは研究不正調査に関して一般論が説明されていました。かなり抑制の効いたコメントで、正直、自分はもどかしいものを感じます。

 

NHKドラマの不正隠蔽の描き方は誇張なのかI

上のノートでは、”ドラマではかなり誇張されて描かれているとはいえ、本ドラマで描かれているような形での研究不正調査への介入が” とドラマだからオーバーに描いているかのようにも説明しています。また研究不正隠蔽の描き方に関して憤っている大学教授もおられるようです(下のツイート)。しかし、私はOrdinary_Researchersの告発に対する東大の行動や、岡山大の事件などを見れば、むしろドラマで描かれた内容よりも今日本で現実に起きていることのほうがもっと恐ろしいと思います。ドラマでは告発したポスドク一人がキャリアを潰されただけかもしれませんが、岡山大では告発した教授二人が解雇の憂き目にあっているのです(ポスドクを軽んじるつもりはありませんが、ポスドクよりはるかに立場が強いはずの教授ですら学長に解雇されているという意味です)。要職についておられる方々はそうそう本音を表明できないとは思いますが、それにしても、正直、この温度差は一体なんなんだろうと思ってしまいます。

匿名掲示板には、匿名A氏による下のような書き込みもありました。真偽のほどは自分にはわかりませんが、Ordinary_Researchersの告発に関する東大のあの支離滅裂でデタラメな対応を目の当たりにすると、この文章が非常にリアリティを帯びて感じられます。

773匿名A ◆Zm8FyprZhE 2019/06/02(日) 03:11:58.86ID:lJqnTEYta
卒論生の時から捏造データの再現性の追試を担当させられた私と同僚は、みんなからとことん冷笑された。
辛いこと、爆発させたいことがたくさんあった。
そして、同僚は自殺した。教授室に殴り込みに来た同僚のお母さんは、未だに死の真相をしらない。
私と同僚は、愚直に誠実にやって、あれだけ馬鹿にされ、罵倒された。
もう同僚は死んだ。この世には帰ってこない。
だったら、もうこうなったら、私は真実にこだわることでとことん罵倒されたいのだよ。
東大医学部の捏造家が生き延びていることを甘受しているお前ら全員に嫌われたい。馬鹿にされたい。
(捏造、不正論文、総合スレネオ50 https://rio2016.5ch.net/test/read.cgi/life/1555990307/770-n)

NHKドラマの不正隠蔽の描き方は誇張なのかII

上はドラマを見ずに書きましたが、第1話を見て少し細かいストーリーがわかったので書き直します。第1話では、研究不正がなかったことにするために、告発した女性が昔好意を寄せていた男を近づけて抑え込もうとしたり、この女性ポスドクが任期切れで行先がないので助教の口を与えるかわりに黙らせようとしたりしていたり画策していました。そんな目論見は見透かされていたわけですが、このようななりふり構わぬ裏工作が本当に有り得るのかというと、あり得なくないかもしれないけれどもそうそうないんじゃないのと思います。コメディー仕立てにするために、ドラマの制作者が思いっきりありそうにないことを持ち出したのかなと思いました。その一方で、森友事件のように悪いことをした連中がみな出世していたという現実もありますので、見て見ぬふりをできる人間がいい職に就くという現実からして、絶対にないとも言えない気がします。

NHKドラマの不正隠蔽の描き方は誇張なのかIII

第2話まで見ました。ネタバレになりますが、女性ポスドクの木嶋みのりが自分のラボで起きている不正を告発すると決めたときに相談した教授が、研究分野が近いから調査委員を引き受けると言ってくれて、しかし気苦労のせいか理事たちの強硬な姿勢のせいか途中で倒れてしまい、学内一の変人教授に一時的に調査委員長のおはちが回ったのですが、その変人教授がスナックで暴力行為を働いたのがすっぱ抜かれて停職処分となり、回復したくだんの教授が再び調査委員長を務めるのですが、大学から懐柔され、来年度の研究予算を倍増するから穏便に済ませるということを受け入れてしまったようです。

こんなこと(買収)が実際に起こるのかと言えば、まああり得ないんじゃないかと思います。東大医学部の不正調査を見てもわかるように、医学部の不正の調査には他大学の医学部の研究者を調査委委員長に当てたわけで、買収するまでもなく医学の権威たちに忖度せざるをえない人達を調査委員長や調査員にしたのだろうと思います。調査委委員は公開されなかったので、自分の推測にすぎませんが。理学部の不正を担当したメンバーが、同時に医学部の調査まで引き受ければ、不正なしの1行で済ませることなどあり得なかっただろうと思います。

NHKがフィクションのドラマの中で不正調査委員長を大学が買収したことにしたことを問題視するよりも、実際に日本で起きていることが、不正調査委員長や調査委員が忖度したのではないかと強く疑われるような調査報告書になっていることのほうを問題視すべきでしょう。不正調査報告を一切せずに不正なしで済ませているような大学の関係者がNHKにケチをつけるのは、感覚がマヒしているような気がします。

 

関連tweets

不正がない場合には調査内容を報告しなくて良いということにすると、研究機関が一言「不正はなかった」というだけで、不正は完全に隠蔽できてしまいます。東大は調査報告書の全面開示を拒んでいますが、わずかに開示された部分だけでも、手作業が通常だとか、不正としか思えない記述、支離滅裂な文言が垣間見えます。ですから、東京大学医学部に関する調査と判断が本当に妥当性のあるものだったのかどうかを第三者が検証できるように、すべての調査内容を公開すべきだと自分は考えます。


 


 

『今ここにある危機とぼくの好感度について』第2話のストーリーに対する評価


 

 

 


 

『今ここにある危機とぼくの好感度について』第2話の感想

 

 

『今ここにある危機とぼくの好感度について』第1話


 

NHKドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」1話のクライマックス 2021/04/25 rena rerena

  1. Watch Ima Koko ni Aru Kiki to Boku no Kokando ni Tsuite Episode 1 2021/04/26 Michael Noonan

ラボは何時間労働?ボスからの手紙

沼研には正月休みが1日しかなかったそうですが、そこまでとはいわなくてもボスはやはりポスドクにはできるだけ長時間働いて欲しいみたいです。似たような話があったので紹介。

下の記事によれば、カルテックや他のエリート大学ではこの程度の労働時間は通常だそう。

Note that in this missive, Carreira does not impose his own rules on Guido, but those of Caltech. In fact, sources assured me that such work practices were and still are perfectly standard at Caltech. Working in the lab late and on weekends was normal, everyone had to do it, as the sources said. Caltech used to be infamous for people working ungodly hours. Sometimes, lights were on in the labs even at 2 AM on a Saturday morning. Other US elite universities were not really much better, or same. (New JACS EiC Erick Carreira: “correct your work-ethic immediately” SEPTEMBER 6, 2020 For Better Science)

ちなみにこのエリック・カレイラさんは、この手紙がネットに出回り、時折話が蒸し返されることを非常に不快に思い実際かなり迷惑しているみたいですが、事態を収拾するためなのか、その後、この手紙に関して反省文のような声明を出しています。

  1. New JACS EiC Erick Carreira: “correct your work-ethic immediately” SEPTEMBER 6, 2020 For Better Science
     

大学院生やポスドクは何時間働けば良いのか

自分が大学4年生のときの隣のラボのボスは、「1日12時間も働けばクタクタになるよ」と言っていました。それを聞いて、このボスの期待は1日12時間くらいということなのかなと思いました。実際、こんをつめて12時間働くとクタクタになります。途中で息抜きをしながらだと12時間以上働くことは可能です。

自分が大学院のときは、朝8時半始まりで夜は特にルールはなかったのですが、みな終電(24時前頃)まで実験していました。一番早く帰る人が21時くらいに帰っていたと思います。それを見て、結果を出している人は21時に帰っても誰も文句を言わないんだなと思っていました。

自分がアメリカにポスドクで行ったときのラボは、朝は9時~10時の間にみな来ていました。夜は早く帰る人が18時半~19時頃。一番遅く帰る大学院生が21時頃。研究所の日本人のポスドクだけは夜中近くまでいることもあったようです。ただし、夜中に帰るのは安全上の問題があるため、”足”(車)があるかどうかで22時~24時の間に帰っていたのではないかと思います。土日は大学院生も既婚者のポスドクも、あまり来ていませんでした。自分がいたラボには、週末には日本人のポスドクとボスしかいなくて、ボスは「俺が大学院生の時は土曜も実験してたのになぁ。」とぼやいていました。しかし、夜遅くまで実験しろとか、朝早く来いとか、週末も来いなどと強要することは全くありませんでした。

日本の大学院生に比べればアメリカの自分のいたラボの大学院生は圧倒的に少ない労働時間だったと思いますが、セル、サイエンス、ネイチャー、それらの姉妹紙に大学院生が論文を出すようなアクティビティの高いラボでした。この違いは一体なんなんだろうとずっと不思議でした。正直言って今でもはっきりとはわかりません。ただ思うのは、やはりテーマ選びが一番大事なのだろうということです。面白くない仮説を検証しても良い論文にはなりません。だからといって当初のアイデア通りに事が運ぶことなどそうそうなくて、ボスが提示した研究テーマや実験がみなうまくいくということなど決してありませんでした。みな試行錯誤、暗中模索する部分は当然あって、その点に関しては、日本で研究していたときとなんら変わりませんでした。どこで違いが出てくるのかわからないのですが、どうやって良いストーリーにしていくかを実験データを見ながら柔軟に対応していたのかもしれません。あるいは、良いストーリーにならないようなテーマは見切りを付けたり、ストーリーを作るために最低限必要な実験(=必要性、十分性を示す実験)が実現可能なテーマだけに手を出すようにするなどの工夫があったかもしれません。少なくとも、ラボのボスが、手持ちのデータから最大限の知見を引き出す能力に長けていて、ストーリー性のある論文を書く能力が高かったのだろうとは思います。もちろん、エディターキックを回避して、査読にまわしてもらい、査読者の要求にひとつずつ答えていくという忍耐力や覚悟がどれくらいあるかも大事です。

結局のところ、論文を書くのに不必要な実験を何か月もやって無駄にする人もいますので、労働時間と生産性は必ず比例するというものでもありません。長時間労働してしまう学生の中には、実験を失敗したり、論文に必要ない実験をやってしまったりということに原因がある場合もあります。自分を振り返ってみたとき、がむしゃらに馬車馬のように働いたのにぜんぜん結果が出せない期間もありましたが、仕事量が結構落ちてるにも関わらずなぜか研究は順調に進んだ時期もありました。ただし、ストーリーが見えてきて論文が行けるとなったら、集中してアクセプトに漕ぎ着けるまで全速力でやるしかありません。

関連記事 ⇒ イシューからはじめよ【書評】

関連記事 ⇒ 研究テーマの選び方 21のポイント 

関連記事 ⇒ ネイチャー(Nature)に論文を出す方法 

 

 

参考

  1. 研究室メンバーに向けて書かれた恐ろしい手紙 2016年1月23日 アレ待チ
  2. エリック・カレイラ Erick M. Carreira ケムステ
  3. Something Deeply Wrong With Chemistry

京大霊長類研で研究費不正 松沢哲郎元所長らを懲戒解雇 松沢氏は事実誤認を主張

松沢哲郎氏の説明

今回の研究費不正に関して松沢氏は個人のウェブサイトで説明をしています。一部をかいつまんで紹介します(太字強調は、当サイト)。

  • 不正使用」と報道されてまいりましたが、私的流用はありません業者への預け金もありません
  • 業者との長年の癒着などもありません
  • 日本学術振興会や文科省から交付された全額がケージ建設の事業のみに使われ、国民の皆様に由来するお金はいっさい無駄に使われていません
  • 一般競争入札の手続きが適正におこなわれていなかったという「不適正」の認定が、一般競争入札である高額契約12件すべてについてなされました。その契約総額が9億7019万円で会計検査院が指摘した総額の86%を占めます。しかし、これは「入札手続きが不適正」とされた契約の総額であり、損失額ではありません
  • サル類のケージを作製し納入できる業者は、国内に2社しかありませんでした。チンパンジーの大型ケージのように既製品がまったくない、まだ誰も作ったことがないものを作り、かつ仕様書や見積書などの物品購入手続きを規定どおりに進めるのは、むずかしかったと思います。
  • 不正の判定の基礎となる大学の調査そのものが事実を誤認しており、このため誤った事実認定に基づく不正の認定になっていること、及びそうした点の不当性を指摘して、不服申立てをして再調査をお願いしてきました。

(引用元:懲戒の知らせを受けて 松沢哲郎 https://www.tetsuro-matsuzawa.net/

 

松沢氏の説明と報道内容に食い違いもあるため、実際のところ何がどうだったのか自分にはわかりませんが、おそらく2社しかない会社の一方が必ず落札するようしていたということなのでしょう。”既製品がまったくない、まだ誰も作ったことがないものを作り、かつ仕様書や見積書などの物品購入手続きを規定どおりに進めるのは、むずかしかった”という説明には、理解できる部分があります。あくまで一般論として言うならば、仕様書が完全に完成品を表すことはないでしょうから、単純に安いほうに発注することになって期待外れのものが納品される危険があることは想像に難くありません。しかしながら競争原理が働かない状態だと、言い値で買う恐れがあり必要以上に高いお金を払って発注していた可能性もあります。もしもそういうことであれば、やはり国民の税金が無駄に使われたということになります。具体的にどんな仕様のものがいくらだったのかを世間に公表すれば、不正の度合いが判断できるでしょう。

今回のニュースを見ると、ネットで話題になっていた「カッシーナ」問題が思い出されます。おなじく「一般競争入札」で理研が高級イタリア製家具を計954万4500円で購入していた事件ですが、なぜかあれは研究不正としての追及がありませんでした。ソファーとしての機能だけを仕様書に記すならば、カッシーナを公費で一般競争入札により購入することは不可能なはずです。研究にイタリア製家具が必要な理由もわかりません。

幹細胞研究開発棟2Fセミナー室等什器類 平成23年3月8日 (株)カッシーナ・イクスシー 4,672,500
幹細胞研究開発棟2階交流スペース及び居室用什器 平成23年3月18日 (株)カッシーナ・イクスシー 4,872,000 (理化学研究所の無駄遣いが酷い! 税金で1000万円の高級家具を買っていたことが判明 ガジェット通信 2014年3月20日 18:45 エキサイトニュース

 

研究費不正で懲戒解雇解雇

  1. 京大特別教授ら2人を懲戒解雇 チンパンジー研究の権威・松沢氏ら研究費不正(2020年11月24日 16:25 京都新聞)チンパンジー研究の世界的権威で文化功労者である京都大の松沢哲郎特別教授(70)らが京大霊長類研究所(愛知県犬山市)などに関わる研究資金約5億円を不正支出していた問題で、京大は24日、松沢氏と同研究所の友永雅己教授(56)を懲戒解雇するなど、研究者と事務職員の計6人に懲戒処分を行った。… 2人のほかは野生動物研究センターの平田聡教授(47)を停職1カ月、森村成樹准教授(50)を同2カ月。当時同研究所の事務方トップだった60代男性事務職員、契約担当の掛長だった50代男性事務職員を戒告とした。
  2. 京大霊長類研究所 不正支出で懲戒解雇 (11/24(火) 20:11 ABCニュース YAHOO!JAPAN

 

研究費不正で返金

  1. 研究費9億円を返還 霊長類研の不正経理問題で (2020.11.9 18:24産経WEST)京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)のチンパンジー飼育施設の整備工事をめぐり、公的研究費など約5億円が不正支出された問題で、研究費の一部を支給した独立行政法人「日本学術振興会」が京大に対して加算金を含めた約9億円の返還を求め、京大が全額返還していたことが9日、文部科学省への取材で分かった。京大は9月に返還していたが、公表はしていなかった。

宮崎・早野論文が撤回 博士号も取り消し

 

 

  1. 不透明な「宮崎早野論文」撤回~宮崎氏は博士号取り消し (07/30/2020 – 14:09 OurPlanet-TV)福島県立医科大学の宮崎真講師と東京大学の早野龍五名誉教授が、福島県伊達市住民の被曝データを使って執筆した2つの論文について、英国の学術雑誌「Journal of Radiological Protection(以下 JRP誌)」が7月28日付けで撤回を公表した。… また福島医大は、宮崎氏の学位論文撤回が決定されたことの報告と学位取り消しの申し出があったため、今月15日に審査を実施。博士号の学位取消しを承認したことを明らかにした。
  2. 福島県伊達市 被ばくデータ論文撤回 7/31(金) 22:00配信 テレビュー福島 YAHOO!JAPANニュース
  3. 同意なく被ばくデータ使用の論文2本を撤回 早野東大名誉教授ら執筆 2020年7月31日 12時40分 東京新聞
  4. 不透明な「宮崎早野論文」撤回~宮崎氏は博士号取り消し 07/30/2020 – 14:09 OurPlanet-TV
  5. 伊達市民の被曝解析データを前規制委員長へ提供〜宮崎早野論文 ( 03/02/2020 – 01:43 OurPlanet-TV)伊達市民の被ばくデータを同意を得ずに論文に使用していた問題で、論文の著者が投稿前の解析データを原子力規制委員会の田中俊一委員長(当時)に提供していたことがわかった。
  6. 実測数より多いデータ解析〜宮崎早野論文に新疑惑 (02/28/2020 – 02:14 OurPlanet-TV)伊達市が、2014年の第3期(10月〜12月)に住民に配布したガラスバッチは約1万6000だったにもかかわらず、論文では2万1,080人のデータが解析されていた。2万1,080人という人数は、2013年7月から2014年6月までの1年間に、年間を通してガラスバッチを計測した人口と一致するため、前年のデータを流用した可能性がある。
  7. 宮崎早野論文に関するフォーラム開催 東大調査の不備指摘 (2019年9月16日 東大新聞ONLINE)
  8. 「日本の科学は危機的」〜「宮崎早野論文」と研究不正調査を検証 (09/14/2019 – 17:00 OurPlanet-TV )本人の同意を得ずに、福島県伊達市の全住民の被ばく線量を解析していた「宮崎早野論文」問題をめぐり、研究不正調査の結果を問う東京大学出身の研究者らが9月14日、「科学の健全な発展を望む会」を結成し、科学コミュニティの問題を考えるオープンフォーラムを開催した。
  9. 東大・福島医大「研究不正なし」〜宮崎・早野論文 (07/19/2019 – 08:36 OurPlanet-TV )
  10. 福島の放射線量過小評価か 早野名誉教授らの論文不正疑惑を概観 2019年4月3日  東大新聞ONLINE
  11. 「早野(龍五)氏はめちゃくちゃ!伊達市民の人権や尊厳を一切無視。許せない!」 黒川眞一名誉教授(高エネルギー加速器研究機構)による宮崎真・早野龍五論文に関する記者会見 2019.2.22 (記事公開日:2019.2.26 IWJ)ツイッターで「原子力安全神話」に沿った情報発信を行っていたのが東京大学大学院教授(当時。現在は東大名誉教授)の早野龍五氏である。一時はフォロワーが15万人を超えていた。 早野氏は当初、メルトダウンは起きておらず、格納容器も壊れていないと言い切っており、「東大の学者がそう言うのなら大丈夫だろう」と受け止めた人も多かったはずだ。2014年には「ほぼ日刊イトイ新聞」の糸井重里氏との共著『知ろうとすること。』(新潮社)を出版。放射能の影響を懸念する人々に安心を与える科学者として、「3.11後の安全神話」の旗振り役となっている。 その早野氏が、福島県立医科大学講師の宮崎真氏と共同で発表し、英国の放射線防護専門誌「Journal of Radiological Protection」(JRP誌)に掲載された2本の研究論文が問題視されている。
  12. 疑惑の宮崎早野論文を報じた朝日新聞に看過できない「改ざん」。不誠実な「訂正」は許されない2019.02.21 HARBOR BUSINESS Online(ハーバー・ビジネス・オンライン)
  13. 「被曝に関するウソあり」東大名誉教授論文を先輩学者が指摘 (2019/02/15 11:00 最終更新日:2019/02/15 19:43 女性自身)黒川さんは、「少しでも除染の効果を低く見せるための印象操作ではないか」と推察する。
  14. 千代田テクノルのデータを研究に使用認める〜宮崎・早野論文 (02/08/2019 – 17:00  OurPlanet-TV)第一著者の宮崎真福島医科大講師は5日、個人線量測定会社千代田テクノル(本社:東京都文京区)」から提供を受けたデータを使っていたことを認めた。また研究は、仁志田昇司前市長に持ちかけられたことも明かした。… 宮崎氏が使用を認めたのは、伊達市の個人線量計測を受託している千代田テクノルから入手したデータ。伊達市から個人線量分析業務を受託している同社は2015年2月13日金曜日、「成果物の品質向上を図る」との名目で、宮崎氏と早野氏にデータを開示したいと求める文書を仁志田前市長に提出。土日を挟んだ16日月曜日、市は個人情報保護審査会にかけることなく承認した。
  15.  
  16. 被ばく線量誤り論文修正へ 東大・早野氏 福島の住民データ (2019/1/8 17:10 日本経済新聞)著者の早野龍五東京大名誉教授(原子物理学)は8日、「累積線量を3分の1に評価する重大な誤りがあった」として、掲載した英専門誌に修正を求めたと明らかにした。… 16年12月空間線量との関係を調べた第1論文が掲載された。誤りがあったのは、人が生涯に被ばくする放射線量との関係を検証し17年7月に掲載された第2論文

50代東大教授が自分の大学院生に交際を強要して停職4か月の処分を受けるもセクハラの自覚なし

関連記事⇒東大ミスコン主催者の広告研が東大女子ミスコン応募者ファイナリストににセクハラ

 


東大のウェブサイト上の記者発表資料を、以下に転載します(太字強調は当サイト)。

東京大学のプレスリリース

懲戒処分の公表について 令和2年2月6日 東京大学

東京大学は、大学院教授(男性・50歳代)に対し、1月29日付けで、停職4月の懲戒処分を行った。

教授は、2年以上にわたり、指導する本学大学院学生に対して恋愛感情を示し続け、当該学生が教授との交際を望んでいないことを十分に認識しながらなお、執拗に交際を申し込み、交際を拒まれるたびに、研究に関する予定を変更したり、不機嫌になったりするなど当該学生を翻弄し、結果的に研究が続けられなくなるほど精神的に追い詰めた。さらに、意に反する身体接触も行った。

教授の行為は、セクシュアルハラスメントに該当する行為であり、就業規則第38条第5号に定める「大学法人の名誉又は信用を著しく傷つけた場合」及び同条第8号に定める「その他この規則及び大学法人の諸規則によって遵守すべき事項に違反し、又は前各号に準ずる不都合な行為があった場合」に該当することから、同規則第39条第4号に定める停職4月の懲戒処分としたものである。

付 記
本件に関する行為の詳細や被害者に関する情報については、被害者のプライバシーを侵害したり、被害者に対して二次被害を与えるおそれがあることなどから、公表を差し控えます。

<添付資料>
東京大学教職員就業規則(抄) (PDFファイル: 63KB)
東京大学における懲戒処分の公表基準 (PDFファイル: 7KB)


本学教員としてあるまじき行為であり、かかる行為は決して許されるものではなく、厳正な処分をいたしました。
大学として、このことを厳粛に受け止め、今後このようなことがおこらないよう、再発防止にあたっていく所存です。

東京大学 理事・副学長
宮 園 浩 平

(転載元:懲戒処分の公表について記者発表 本部広報課 掲載日:2020年2月6日)


 

 

東大教授のやったこと

教授は2年以上にわたり、無料通信アプリ「LINE(ライン)」や対面で数十回、大学院生に恋愛感情を示し、複数回交際を申し込んだ。教授は拒否されるたび、大学院生の研究の予定を急に変更したり、不機嫌になったりした。無理やり体を触ることもあったという。(読売新聞 msn.com

 

東大教授の主張

「セクハラはしていない」

(読売新聞 msn.com

 

痴漢行為を働いたら逮捕されたり懲戒免職になると思いますが、自分の大学院生に対して無理やり体を触るなどのセクハラ行為を働いても停職4か月で済むというのは処分が軽すぎるのではないでしょうか?東大の声明に「今後このようなことがおこらないよう、再発防止にあたっていく」とありますが、この教授がセクハラだったと考えていないのだから、またお気に入りの女子大学院生が入学してきたら同じことを繰り返しそうです。

 

 

この事件に関するツイートの一部を紹介

医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析

長崎大の先生がAMEDのお金で研究不正の研究をしているということを以前、人から聞いたことがあって、家に帰ってネットで調べたのですが、うまく検索できなくて全く情報が得られずにいました。今日たまたま5chを眺めていたら、そのことが話題になっていました。そして、驚いたことに、この研究不正の報告書に多数のコピペがあったらしいです。

研究不正に関する報告書「医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析」内に、白楽ロックビル氏のブログの文章が多数コピペされていたということを、白楽ロックビル氏が自身のブログの記事「白楽ブログの被盗用事件 2019年10月3日」で告発しています。

この件に関して、科学・技術政策ウォッチャーである榎木英介氏も、ヤフーに記事「研究不正の研究」で研究不正の衝撃 (10/4(金) 17:30)を寄稿し、白楽ロックビル氏の主張を強く支持しています。

白楽ロックビル氏の指摘を受けて、この研究プロジェクトのリーダーである長崎大学の先生は謝罪文をウェブサイトに掲載しました(2019年10月6日確認)。

謝罪文の一部を以下に紹介します。全文はこの研究プロジェクトのウェブサイトをご覧ください。

このたび白楽ロックビル先生から本研究課題の中で作成した研究不正事例報告書について盗用疑いのご連絡をいただきました。

今回の一件で、白楽ロックビル先生ならびに研究公正関係者の皆様に大変なご心配ならびに不愉快な思いをさせてしまいましたこと、研究グループを代表して、まずは心よりお詫び申し上げます。

現在、私共も急遽、調査担当者及び報告書作成者と事実確認を行っているところです。まだ調査中ではありますすが、仮に引用ルールの解釈違いであったとしても、研究者の皆様に引用表示誤り等の印象を与えたことにつきましても深く反省しております。

今回、大学へも通報されているということで、大学からの公式見解の発表には時間がかかると思われますので、まずは皆様にこちらの謝罪の意を示したく記事を掲載した次第です。
今後の対応についても、大学の見解にゆだねることとなりますが、誠実に対応していきたいと思います。

我々も悪意を持って成果を利用したわけではないことを皆様に理解いただけるように、すべての報告書および事実関係を精査し、当時の調査記録を踏まえて改めて訂正した版の報告書を作成し報告していきたいと考えております。

重ねまして、この度は白楽ロックビル先生ならびに関係者の皆様に不快な思いを与えてしまい本当に申し訳ございませんでした。

(転載元:http://www.rmd.nagasaki-u.ac.jp/kawailab/amed/#

 

この事件に思うこと

白楽ロックビル氏の研究不正に関する記事が網羅的で、あまりにも充実しているがために、加筆することがなくてコピペしてしまったのでしょうか?プロジェクトリーダーの謝罪声明によれば、引用の範囲や引用の適切な方法に関して、両者で感覚が異なったようです。

しかし、コピペをするごとに著者の氏名を付記すればそれでよかったのか?というと必ずしもそうではないと自分は思います。白楽ロックビル氏のウェブサイトは、まさに労作で網羅的かつ詳細です。非常に手間暇がかかっているわけです。他の人の長年の労力の賜物である情報をゴッソリと拝借して、研究レポートにするという行為はありなのか?という疑問が湧きます。本来ならむしろ、白楽ロックビル氏がこの研究グループの主要メンバーに名を連ねていてもおかしくないのではないかと思えるからです。クレジットの表記の問題と捉えようとするなら、本当の論点はそこはないだろうと自分は思いました。

 

参考

  1. 白楽ブログの被盗用事件 2019年10月3日
  2. 「研究不正の研究」で研究不正の衝撃 榎木英介 10/4(金) 17:30
  3. 医療分野における研究不正行為に関する事例調査 ○井内健介(徳島大学),野内玲(信州大学),佐藤弘基(九州大学),佐藤俊太朗(長崎大学),田中恒彦(新潟大学),河合孝尚(長崎大学)【謝辞】 本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構研究公正高度化モデル開発支援事業」、採択件名「医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析」により実施した。
  4. 平成28年度 「研究公正高度化モデル開発支援事業」の採択課題についてプログラム➁:研究公正の取組み強化のための調査研究 医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析 長崎大学 河合 孝尚 研究国際部 戦略職員
  5. 研究公正高度化モデル開発支援事業採択課題 医療分野における研究不正行為に関する意識調査及び心理的要因分析(プロジェクトの公式ウェブサイト 長崎大学)
  6. 404匿名A ◆Zm8FyprZhE 2019/10/04(金) 00:35:41.87 捏造、不正論文、総合スレネオ52 (5ちゃんねる

九州大学農学研究院60代男性教授のアカハラで修士課程大学院生が退学

2019年6月14日に九州大学が報道機関に発表した内容によれば九州大学大学院農学研究院の60代男性教授がアカデミックハラスメント行為を働き、結果的に大学院修士課程の学生は退学したとのことです。

アカハラの内容は報道によれば、大声での叱責、学生への注意するメールを他の人にも見られる形で行った、学生の発表中にスマホをいじっていたなど。

 

参考

  1. 九大男性教授、アカハラで戒告 学生発表中にスマホ (2019/6/14 17:26 日本経済新聞

 

島根大学40歳代男性准教授がハラスメント行為、別の島根大学40歳代男性准教授も女性を暴行

2019年6月14日の島根大学の発表によりますと、二人の島根大学の40歳代男性准教授が処分されています。

島根大学の40歳代男性准教授が指導上不必要に容姿に関連付けた侮辱的な言動を行い人格を傷つけるハラスメント行為で戒告処分を受けました。

このたび,令和元年6月13日付けで,下記のとおり本学職員に対し懲戒処分を行いましたので,公表します。同人の行為は,社会の本学に対する信用を著しく傷つけるものであり,教育に携わる大学教員として絶対に行ってはならないことであり,誠に遺憾であります。大学として,このことを深刻に受け止め,本学においてこのような不祥事を起こすことのないよう服務規律の一層の確保に取り組んでまいります。令和元年6月14日 国立大学法人島根大学長 服 部 泰 直

被処分者 職 名 准 教 授
年齢・性別 40歳代・男性
処分内容 戒告
処分理由
当該教員は,指導していた申立人に対し,指導上必要性がないのに,申立人の容姿に関連付けて,侮辱的な言動を行い,申立人の人格を傷つけ,就学上の環境を著しく損なったこと。これらの行動は,国立大学法人島根大学ハラスメントの防止等に関する規程第4条第1項第7号の「その他のハラスメント」に該当する。以前、平成27年5月にも,学生より当該教員に対する,ハラスメント対策委員会への相談受理報告書の提出があり,ハラスメント対策委員会委員長である理事より,学生の立場に配慮した教育,研究指導等を求める指示ないし指導を受けており,より慎重に学生の立場に配慮した丁寧な指導が求められたにも関わらず,再度本件のとおりハラスメント対策委員会への苦情申立があったこと。
根拠条項 国立大学法人島根大学職員就業規則第81条第1項第1号
処分年月日 令和元年6月13日(島根大学 PDF)

また、別の40歳代男性准教授は学外の女性を暴行・傷害して、諭旨解雇(ゆしかいこ)されました。

このたび,令和元年6月11日付けで,下記のとおり本学職員に対する懲戒処分を決定しましたので,公表します。同人の行為は,社会の本学に対する信用を著しく傷つけるものであり,教育に携わる大学教員として絶対に行ってはならないことであり,誠に遺憾であります。大学として,このことを深刻に受け止め,本学においてこのような不祥事を起こすことのないよう服務規律の一層の確保に取り組んでまいります。令和元年6月14日国立大学法人島根大学長 服 部 泰 直

被処分者 職 名 准 教 授
年齢・性別 40歳代・男性
処分内容 諭旨解雇
処分理由
当該教員は,暴行・傷害等私生活上の非違行為により,学外者(女性)に苦痛を与えた。また,このことにより社会に本学及び本学職員への不信を与え,本学に対する社会的信用を著しく傷つけた。これらの行為は,本学職員全体の不名誉となるものであり,国立大学法人島根大学職員就業規則第41条の規定により禁止される信用失墜行為に該当する。
根拠条項 国立大学法人島根大学職員就業規則第81条第1項第1号,第5号及
び第7号 (島根大学 PDF)

参考

  1. 島大准教授が暴力 諭旨解雇 06月14日 20時21分(NHK) また大学は、松江キャンパスの別の40代の男性の准教授についても、指導していた学生の容姿を傷つけるような言動があったとして、戒告の処分にしたと発表しました。
  2. 本学職員の懲戒処分について2019年6月14日(島根大学)
  3. 島根大で残業代未払い 9000万円、労基署勧告 (2019.6.11 13:07産経WEST) 島根大が教職員約200人の残業代計約9000万円を支払わず、松江労働基準監督署が労働基準法に違反するとして昨年8月に是正を勧告していたことが11日、大学への取材で分かった。
  4. 島根大学公式ウェブサイト

実在しない神学者カール・レーフラー(Carl Loevler)が書いた存在しえない論文「今日の神学にとってのニーチェ」

生命科学研究において、存在しないマウスを解析した論文が阪大からNature Medicine誌に発表されたり、存在しないSTAP現象を解析した論文が理研からNature誌に発表されたり、存在しない実験値をグラフ化した論文が東大医学部からトップジャーナルに発表されたりと、存在しないものを報告した論文の例は、枚挙にいとまがありません。

人文社会系の研究でも同じようなことが起きるようです。医学系では不正を告発された学長が逆に不正を告発した教授らを解雇するというひどい事件も岡山大学でありましたが、今回は、大学トップの不正が不正と認定されたというニュースで、少しホッとしました。

 

報道

東洋英和女学院の院長が著書で“捏造”・・・懲戒解雇に(19/05/10) ANNnewsCH 2019/05/10 (YOUTUBE 削除済)

  1. 東洋英和女学院 不正行為に関する調査結果「極めて悪質」 深井智朗院長を懲戒解雇 (KiriShin キリスト新聞 2019年5月10日)
  2. 東洋英和女学院院長が研究不正(2019年5月10日 17:06 沖縄タイムズ/共同通信)東洋英和女学院の院長で同学院大教授の深井智朗氏の著作に架空の文献が使われるなどの不正が疑われた問題で、大学の調査委員会は10日、複数の捏造や盗用を認定したと発表、学院は深井氏を懲戒解雇した。
  3. 東洋英和の院長を懲戒解雇に 著書での捏造や盗用を認定(朝日新聞 有料記事 2019年5月10日14時13分)報告書では、一連の不正行為について、「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務の著しい懈怠(けたい)があった」と指摘。

 

疑義

小柳氏の質問状は、深井氏によるヴァイマールの聖なる政治的精神――ドイツ・ナショナリズムとプロテスタンティズム』(岩波書店、2012年)などの注と資料の実在に関する問題2点を提示。「深井氏が我が国におけるドイツ・プロテスタンティズム研究の第一人者と目され、多くの読者を獲得しているだけに、現在の状況が放置されると信頼性の危うい情報がますます広く流通することとなります」「かねてより指摘されていた、注の不備や誤訳にも適切にご対応いただき、深井氏の著作を学問的な文章として読める状況が整えられることを切に希望します」とした。(日本基督教学会 深井智朗氏への公開質問状と回答を学会誌に掲載 2018年10月3日 KiriShin

 

認定された不正行為

2.調査(2)調査対象
対象者 深井智朗 本学院院長・東洋英和女学院大学教授
対象著書・論考
①『ヴァイマールの聖なる政治的精神-ドイツ・ナショナリズムとプロテスタンティズ
』(岩波書店、2012 年 196-199 頁)(以下、本件著書という。)
②「エルンスト・トレルチの家計簿」(『図書』岩波書店、2015 年 8 月号 20-25 頁)(以
下、本件論考という。)

3.調査結果(3)特定不正行為の具体的内容
①本件著書第 4 章「4 ニーチェのキリスト教批判の神学的援用」中に登場する「カー
ル・レーフラー」なる人物は存在せず、当該人物が著したとされる論文「今日の神学
にとってのニーチェ」は、被告発者による捏造であると判断する。また、本件著書の
197 頁から 198 頁までにおいて、ヴォルフハルト・パネンベルク著『組織神学の根本
問題』(近藤勝彦・芳賀力訳 日本基督教団出版局、1984 年)の 277 頁から 278 頁ま
でにおける記述とほぼ同一の記述、同様の表現・内容の記述が、引用注が記されない
まま計 10 か所認められたため、被告発者による盗用がなされたものと判断する。
②本件論考中に述べられている「エルンスト・トレルチの家計簿」の根拠資料となる
1920-23 年のトレルチ家の借用書や領収書等の資料は実在せず、被告発者による捏造
と判断する。

(引用元)東洋英和女学院大学における研究活動上の特定不正行為に関する公表概要 2019 年 5 月 10 日 東洋英和女学院大学 PDF)

 

参考

  1. 研究活動上の不正行為に関する調査結果について 2019年5月10日 東洋英和女学院大学 学長 池田 明史

 

ネット上の声

大学における不正がうやむやにされることが多いなか、東洋英和女学院大学の対応を評価する声が聞かれます。

  1. 東洋英和女学院院長が論文でねつ造した“存在しない神学者”「カール・レーフラー」さっそくネタ化される
    (kintoki_naruto togetter
  2. 『存在しない神学者』が話題ですが、そもそも神が存在しないのでは?( togenukin toggetter)

 

早稲田大学商学部50代男性教授がパワハラ・セクハラで懲戒解雇

過去数年間にわたってセクハラ行為やパワハラ行為を働いていた早稲田大学商学部の男性教授が、2019年2月15日付けで懲戒解雇されたことが早稲田大学の発表やその他の報道で明らかになりました。

2013年から複数の職員に対し、大声で繰り返し罵倒するなどのパワハラ行為をしていたほか、複数の学生に対し、体を触るなどのセクハラ行為 (早大教授パワハラ・セクハラ 15日付で解任 2019年2月15日 金曜 午後7:01 FNN PRIME)

男性教授は2015~17年、自分のゼミで複数の学生に対する性的発言や身体接触などのセクハラ行為を繰り返し、精神的苦痛を与えた。13~18年には複数の大学職員を大声でののしるなどのパワハラ行為をしていた。(早大、学生にセクハラの教授解任 職員へパワハラも 2019.02.15. デイリー

早大のウェブサイトでの説明は以下の通り。

  • 不適切な言動や行為により、複数の職員に対して精神的苦痛を与え、業務遂行を著しく阻害するパワー・ハラスメント行為を行っていた
  • 不適切な言動や行為により、精神的苦痛を与え、複数の学生の就学環境を悪化させたなどのアカデミック・ハラスメントおよびセクシャル・ハラスメント行為を行っていた

(2019年2月15日 早稲田大学 教員の解任について 本学商学学術院の男性教員1名を2月15日付で解任といたしました。)

 

教員の解任について 2019年2月15日 商学学術院長

早稲田大学は、商学学術院所属の男性教員1名が学生および職員に対してハラスメントをはじめとする行為を行ったことを調査に基づき確認しました。そのうえで、本学は、教員としての適格性を著しく欠いていると判断し、同教員を2019年2月15日付で解任いたしました。
この件に関し、商学学術院として、被害を受けた学生および職員をはじめ、関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。
本学術院は、今回の事態を重く受け止めており、ハラスメント防止体制の整備にこれまで以上に努め、再発の防止に向けた取組みを行ってまいります。(引用元:早稲田大学商学部

実験を始めてほんの数日目の大学院生に向かって「君、もう辞めなさい」と言ったり、風邪で病院に行ってラボミーティングに遅れた人に向かって「公私混同するな。」と叱ったりした京大教授がかつていたそうですが(→参考記事:沼研伝説)、今の時代だとアカハラ認定されそうですね。

男性教授は2015~17年、自身のゼミに所属する複数の学生に対し、大声でどなったり体に触ったりした。ゼミを欠席した学生にゼミを辞めるよう命じたこともあった。また、13~18年に複数の職員に対し、大声で罵倒したり担当以外の仕事を強要したりした。(学生らを大声で罵倒、早大の50代男性教授解任 2019/2/15(金) 19:28配信 YAHOO!JAPAN 読売新聞オンライン)

 

 

参考

  1. 早大、セクハラやパワハラで教授を解任 2019/2/15 18:27 共同通信社
  2. 早大でセクハラ 50代の商学学術院教授を解任 (2月15日(金)19時42分 毎日新聞 / biglobe.ne.jp)
  3. 「大学教授」と「大学院教授」の違いを教えてください 2012/8/3101:50:30 YAHOO!JAPAN知恵袋

 

早稲田大学における過去のセクハラ問題

早稲田大学文学学術院の男性教員を2018年7月27日付けで解任

当該教員には、以下の非違行為が認められる。① 申立人に対し、ア 申立人や周囲の学生が気づくほど足元を見つめる イ 申立人の外見についてかわいいと告げる ウ 頻回に2人きりで食事に行き、自分が箸をつけた料理を食べさせる、申立人が食べているものをとる エ 指で肩や背中を押す、頭を触る等の不必要な身体接触を行う オ 私用の買い物を頼む などの行為によって不快感を与えたこと。 ② 申立人を食事に連れて行き、食事の際、申立人に対し、「卒業したら女として扱ってやる」、「俺の女にしてやる」などと告げたことによって、苦痛を与えたこと。③ 他学生がいる教室で、授業中に、雨で濡れた服を着替えるように指示した上、申立人に対し「裸だったらどうしようかと思った」と告げたこと。 ④ 本学の名誉および信用を著しく傷つけたこと。 ⑤ 申立人以外の学生に対してもハラスメント行為を行ったこと。⑥ 教員の業務上知り得た個人情報について、他の学生の前で発言したこと。 とりわけ、指導教員の立場や優越的地位を利用して、学生に対して繰り返し飲食に誘い、恋愛感情を表明し、相手に卒業後に「愛人」になるよう迫った行為については、およそ本学教員としての適格性を欠いており、改善を期待することはできない。(教員の解任について Fri, 27 Jul 2018 早稲田大学

STAP細胞事件の真相 小保方晴子氏の頭の中にあったもの

STAP細胞は結局あったのか無かったのか、何だったのか?という疑問をいまだに持っている人も多いかと思います。

STAP細胞事件

STAP細胞事件で炙り出されたのは、日本の生命科学研究がいかに杜撰に行われていたかということでした。2014年1月30日付けのNATURE誌に掲載された2報のSTAP細胞論文の内容を伝えた最初のニュースに接して、凄い研究者が出現したものだと自分も思い、このウェブサイトでも記事にしましたが、今から考えるとマヌケだったと思います。研究者も変わったなあ、こんな見た目の人がこんなすごいことをやってのけるんだ?と当時はびっくりしました。

記者会見&報道を鵜呑みにした、当時のマヌケな記事↓信じられないくらい簡単に体細胞を万能細胞に転換させる方法を日本人女性研究者(30)が発見!

 

STAP細胞とは

STAP細胞とは、Stimulus-triggered acquisition of pluripotency (STAP)という現象を示す細胞ことで、STAP細胞を日本語でいえば刺激惹起性多能性獲得細胞(しげきじゃっきせいたのうせいかくとくさいぼう)となります。2014年に小保方晴子研究員らを中心とする研究グループによりNATURE誌に論文報告されましたが、現在ではそんなものは存在しなかったことになっています。

STAP現象を発見したと宣伝する理研のプレスリリース↓。

マウスのリンパ球などの体細胞を⽤いて、こうした体細胞の分化型を保持している制御メカニズムが、強い細胞ストレス下では解除されることを⾒いだしました。さらに、この解除により、体細胞は「初期化」され多能性細胞へと変化することを発⾒しました。この多能性細胞は胎盤組織に分化する能⼒をも有し、ごく初期の受精胚に⾒られるような「全能性[5]」に近い性質を持つ可能性が⽰唆されました。この初期化現象は、遺伝⼦導⼊によるiPS細胞(⼈⼯多能性幹細胞)の樹⽴とは全く異質のものです。共同研究グループは、この初期化現象を刺激惹起性多能性獲得(STAP)、初期化された細胞をSTAP細胞と名付けました。(2014年1⽉29⽇ 理化学研究所 報道発表資料 PDF)

 

STAP細胞とiPS細胞との違い

STAP細胞はひとりの人間の妄想の産物およびその妄想が共同研究者の脳にも宿った結果、論文報告という意味において現実化したものですが、実在はしません。それに対して、iPS細胞は実際に存在する細胞です。

 

「STAP細胞はあります」

小保方晴子氏が記者会見で記者からの「STAP細胞はあるんでしょうか?ないんでしょうか?」という質問に答えた「STAP細胞はあります」という発言は、2014年の流行語大賞にノミネートされるほど社会的なインパクトがありました。

「STAP細胞はあります!」 4月9日反論会見 小保方氏本人と守護霊が激白!!【ザ・ファクト REPORT #3】

 

  • 流行語大賞はどれ? 「STAP細胞はあります」「ありのままで」など50語ノミネート (2014.11.19 16:25 産経ニュース)今年話題となった言葉に贈られる「2014ユーキャン新語・流行語大賞」の候補が19日、「現代用語の基礎知識」を発行する自由国民社から発表された。今年は、小保方晴子氏の「STAP(スタップ)細胞はあります」やアニメ映画「アナと雪の女王」の「ありのままで」、お笑いコンビ「日本エレキテル連合」の「ダメよ~ダメダメ」など50語がノミネート。大賞とトップ10は12月1日に発表される。
  • こっちが流行語大賞? 小保方さんの「レシピある」発言はすごい(2014.12.18 11:30 AERAdot.) やく:私は一貫して、小保方さんを擁護しています。かみさんには「あなたはインテリ女に弱い」と言われるんですが、まことにそのとおり。疑惑に答えるため4月に開いた会見で発した、「STAP細胞はあります」という言葉が新語・流行語大賞の候補になりましたが、私はそれより、「STAP細胞は200回以上作製に成功した」という言葉に重きを置きたい。検証実験の結果はまだ公表されていませんが、201回目の成功を待てばいいだけです。 ぺリー:小保方さんの「レシピのようなものはある」という発言はすごいと思いました。科学者は、レシピとは言わないでしょ。かっぽう着でレシピですからね。

 

STAP細胞の真実

結局、STAP細胞は存在しなかったと思います。あったとすれば小保方さんの頭の中にだけあったのでしょう。そして、周囲の研究者は、すくなくとも当初は、それを信じたのです。研究の過程で、アーチファクトをうっかり大発見と見間違うことはありがちです。思い込みが激しければ、死にゆく細胞の自家蛍光をGFPの蛍光と見間違った可能性は大きかったと思います。

 

関連書籍(アマゾンへのリンク)

  1. 小保方 晴子『あの日』 講談社 2016年1月29日
  2. 小保方 晴子『小保方晴子日記』 中央公論新社 2018年3月20日
  3. 須田 桃子『捏造の科学者 STAP細胞事件』文藝春秋 2015年1月7日
  4. 小畑 峰太郎『STAP細胞に群がった悪いヤツら』新潮社 2014年11月27日
  5. 黒木 登志夫『研究不正』中央公論新社 2016年4月19日
  6. 渋谷 一郎『STAP細胞はなぜ潰されたのか』ビジネス社 2016年4月22日
  7. 船瀬 俊介『STAP細胞の正体』花伝社 2015年5月25日
  8. 佐藤 貴彦『STAP細胞 事件の真相』パレード 2016年12月14日 
  9. 佐藤 貴彦『STAP細胞 残された謎』パレード 2015年12月7日
  10. 大川 隆法『小保方晴子さん守護霊インタビュー』幸福の科学出版 2014年4月18日
  11. W.ブロード, N.ウェイド『背信の科学者たち』講談社2014年6月20日
  12. 村松 秀『論文捏造』中央公論新社 2006年9月1日
  13. 田中 智之、小出 隆規、安井 裕之『科学者の研究倫理』東京化学同人 2018年6月8日

ちなみに、東京化学同人から出版された『科学者の研究倫理』は、これから科学者を目指す大学生や大学院生にぜひとも読んでいただきたい本です。研究生活を送る上で何に注意したらよいのか、どんな問題が待ち受けているのかが解説されています。
 

理研STAP細胞NATURE論文捏造事件のカテゴリー内の記事

広島大教授が学生にバカ・死ね・ブタ野郎

広島大学でまたもやハラスメント行為が発覚しました。

元教員の懲戒処分(相当)について

 

平成30年12月28日
国立大学法人広島大学

 本学元教員に対し,下記のとおり諭旨解雇相当とし,本人に通知しましたので,お知らせします。
同人は,既に本学を退職していますが,本学在職中に教員としてあるまじき行為を行ったことは,誠に遺憾であり,被害者及び関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。本学としましては,今後,このようなことが起こらないよう,教職員により一層の意識啓発を図り,再発の防止に努める所存です。
なお,本件に関する詳細情報については,被害者のプライバシーに配慮する観点から,公表を差し控えさせていただきます。

1 事案の概要
本学元教員は,本学構成員である被害者3名に対し,「バカ」「死ね」「くそ野郎だな」「ブタ野郎」などの発言や人格否定,罵倒等の言 動を繰り返した。このうち1名は「適応障害」と診断され,1か月間自宅療養を余儀なくされるなど,被害者らに恐怖心や強い心的ストレスなどの精神的苦痛を与えた。

2 処分(相当)の内容
(1)当 該 元 教 員 : 元教授(60歳代・男性)
(2)決 定 年 月 日 : 平成30年12月18日
(3)処分(相当)内容 : 諭旨解雇相当

以上

 

 

参考

  1. 広島大学ハラスメント相談室

君の存在は『無』です 広島大教授がパワハラ

広島大学でパワハラと認定される行為があり、教授が懲戒処分を受けました。

教員の懲戒処分について

 

平成30年12月21日
国立大学法人広島大学

 

本学教員に対し,下記のとおり懲戒処分を行いましたので,お知らせします。
教員としてあるまじき行為を行ったことは,誠に遺憾であり,被害者及び関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。本学としては,今後このようなことが起こらないよう,教職員に対するより一層の意識啓発を図り,再発の防止に努める所存です。
なお,本件に関する詳細情報については,被害者のプライバシーに配慮する観点から,公表を差し控えさせていただきます。

1.処分事案の概要
被処分者のA教授は,併任先の部下であったB准教授に対し,平成24年4月頃から日常的に叱責を繰り返し,業務に関して始末書を複数回提出させた。また,平成25年6月5日,『馬鹿者』と記載してメールで送信した。更に平成26年3月24日,本学の就業規則上,A教授の権限ではないにもかかわらず,「訓告処分通知書」を交付した。さらに,平成27年12月7日,『君の存在は「無」です』と記載してメールで送信し,B准教授に心的ストレスを与えた。
また,同じ併任先の契約事務職員Cに対し,平成30年3月12日,「B准教授は本来ならば懲戒免職なんよ」と発言し,事務職員Cの雇用継続にプレッシャーをかけた。また,同年3月15日及び16日,事務職員Cが同上のことを他部署に相談に行ったことを強く非難した。このことにより事務職員Cは,「不安神経症」と診断され,同年3月20日から3月末日までの間,自宅療養を余儀なくされた。

2.処分の内容
(1)被処分者  : 大学院国際協力研究科 教授(50歳代・男性)
(2)処分年月日 : 平成30年12月21日
(3)処分内容  : 懲戒休職6月

以上

 

 

本件とは全然関係ありませんが、この教授の発言、「君の存在は『無』です。」は多くの大学院生や若手研究者を連想させます。名をあげるような素晴らしい成果を出すまでは、研究者の世界においてみんな「無」の存在でしかないわけで。

それまで、ぼくなんかどこの馬の骨とも知れない一研究者にすぎなかったわけです。… ただ、みんな知りたがっていることを、自分だけが知っていて、それをみんなに聞かせてやるんだというような心の余裕というか、得意の気持というかそういうのもありましたね。… 発表を聞いてる間に、これは本当に面白いと認識してくれて、みんなシーンとしてしまい、畏敬の念を持って発表をきいているという感じがこっちに伝わってきましてね。… それまでは向うは雲の上の人だったわけですよ。それがそんなにほめてくれるんでさすがにうれしかったですね。これで、オレもそれまでの”ノーボディ”から”サムボディ”になったなと思いました。(利根川進) (引用元:『精神と物質』立花隆・利根川進 文藝春秋 1990年192~193頁 )

 

参考

  1. 広島大学大学院国際協力研究科教員一覧
  2. 広島大教授「君の存在は『無』です」 部下へのパワハラメールで懲戒処分
    2018.12.21 18:49 SANSPO.COM

 

参考(広島大学の過去のハラスメント)

  1. 広島大教授が学生に「バカ」「死ね」「くそ野郎だな」「ブタ野郎」 
  2. 大学で“大人のいじめ”1──業績水増し告発の准教授が“クビ”へ(明石 昇二郎)週刊金曜日編集部2017年03月10日 19:03

九州工業大学助教が実験を失敗した大学院生を金属棒で殴打し懲戒解雇に

九州工業大学(北九州市戸畑区 尾家祐二学長)が2018年12月5日に記者会見を行い、同大大学院工学研究院の大学院生に対して暴力行為を働いた指導教官の助教を解雇したそうです。

教育職員の懲戒処分について

更新日:2018.12.05

 本学では、平成30年12月5日、学生に対する暴力行為により、教育職員を懲戒処分(懲戒解雇)としました。

本学は、建学以来の精神である「技術に堪能なる士君子」の養成を基本理念として、学生と教職員が互いに尊重しあう人間関係を保ち、充実した安全で快適な生活を送ることができるよう努めてまいりました。なかでも教育職員には、良好な教育研究環境の下で学生を適切に指導する重い責務があります。それにも拘わらず、今回の不祥事が起きたことは大変残念であり、関係の皆様に深くお詫び申し上げます。

このようなことが二度と繰り返されることのないよう、本学構成員一人一人が、教育機関としての使命を強く自覚し、全学をあげて再発防止に取り組み、信頼回復に努めてまいる所存です。

平成30年12月 5日

国立大学法人九州工業大学長
尾家 祐二

九州工業大学 > TOPICS > 教育職員の懲戒処分について

九州工業大学のウェブサイトの発表では、具体的に何が起きたのかが一切説明されていません。再発防止の取り組みとして、まずは、何が起きたのかを報道機関に頼らずに自らのウェブサイト上で国民に説明して欲しいと思います。ハラスメントは閉じられたドアの向こうで起きるものですから、ドアをオープンにするだけで抑止効果があるはずです。九工大が暴力行為の内容をウェブサイト上で伏せてしまうのは、オープンさが全く感じられず、こういう姿勢がアカハラの温床を維持するのではないかと危惧されます。不祥事が発覚するたびに全学をあげて再発防止に取り組んでいる大学で、なぜこのようなハラスメント行為がいつまでも繰り返されるのか不思議です。

過去記事⇒九工大准教授がアカハラで停職2か月の処分

 

報道では具体的な暴力行為の内容が報じられています。

3月ごろ平手打ち▽5月上旬と中旬に顔面殴打▽6月ごろ右上腕部を金属製の棒(長さ50~60センチ)で殴打▽8月8日に頭頂部を金属製の棒で3回殴打し2針縫う傷を負わせる――5回の暴力行為をした。 他にも学生の前髪をハサミで切るなどの行為もあり、いずれも実験室で2人きりの時に行われた。(学生の頭を金属製の棒で殴りけがさせる 九州工業大助教を懲戒解雇 2018/12/5(水) 20:54配信 毎日新聞/YAHOO!JAPAN

金属の棒で殴ったという新聞記事を見ると、懲戒のための金属棒でも用意していたのかと思いましたが、ラボにありがちな部材が凶器になったようです。↓

スチール棚の柱に当たる部材(長さ50~60センチ)で、6月に右腕を、8月8日に頭頂部を殴った。(金属棒で学生殴る 九工大助教を解雇 2018年12月06日 06時00分 西日本新聞

↓いや、そういう問題ではないでしょう。

記者会見した尾家祐二学長は「教職員にあるまじき行為。再発防止に努める」と述べた。教員と学生の「1対1」の状況も原因の一つとして、複数教員による指導体制が確立できないか検討するという。(金属棒で学生殴る 九工大助教を解雇 2018年12月06日 06時00分 西日本新聞

複数の教員にシバかれたら、たまりません。

 

参考

  1. 学生に暴力か 九工大助教を解雇 NHK 2018年12月05日 19時26分 懲戒解雇になったのは、九州工業大学大学院工学研究院の30代の男性の助教です。大学によりますと、助教は、ことし3月から6月ごろにかけて指導していた男子学生の顔を手で殴ったり、金属の棒で腕を殴ったりする暴力を繰り返していました。さらに、ことし8月には学生の頭を金属の棒で殴り2針縫うけがを負わせたうえ、病院に連れて行った際「上から物が落ちてきてけがをしたといいなさい」とうその説明をさせたということです。
  2. 大学生を金属棒で殴った30代男性助教を懲戒解雇 2018年12月5日22時2分 日刊スポーツ 助教は3~6月、自身の研究室に所属する男子学生1人に対し、顔を素手で殴るなどの暴行を繰り返した。8月には長さ約60センチの金属製の棒で殴り、頭頂部を2針縫うけがを負わせた。「学生が実験サンプルを壊したことなどに腹を立てた」と話しているという。
  3. 学生の頭を金属製の棒で殴りけがさせる 九州工業大助教を懲戒解雇 2018年12月5日 20時53分 毎日新聞 助教はこの学生に対し、3月ごろ平手打ち▽5月上旬と中旬に顔面殴打▽6月ごろ右上腕部を金属製の棒(長さ50~60センチ)で殴打▽8月8日に頭頂部を金属製の棒で3回殴打し2針縫う傷を負わせる――5回の暴力行為をした。 他にも学生の前髪をハサミで切るなどの行為もあり、いずれも実験室で2人きりの時に行われた。助教は「実験サンプルを壊されたりしたので手を上げてしまった」などと認めているという。

ランチョンセミナー出席で学会出張の日当が減額される理由

多くのの学会では昼食時にスポンサー企業が主催するランチョンセミナーがあります。その企業の測定機器や試薬などをよく利用しているどこかの大学の先生が講演し、聴衆は企業から提供されたお弁当を頬張りながら聞くことになるわけですが、学会出張を終えてラボに戻ると、ランチョンセミナーに出席したかどうかを事務に報告しなければなりません。なぜなら、学会出張中の日当の金額が、ランチョンセミナーに出席したかどうかで変わってくるからです。ランチョンセミナーでお昼代が浮くわけではなくて、その分は日当から減額されることになります。これに関しては、大学や研究機関によってはあまり徹底されていないところもあるようで、研究者の間に不公平感がたまっているかもしれません。

 

日当の意味とは?

日当を学会参加の労務に対する報酬と理解している研究者も多いと思いますが、旅費の意味を正しく理解しておく必要があります。


 

旅費の中に含まれる「日当」(にっとう)は、社会常識としての日当とは全く意味が異なり「昼食代」のことです。旅費法上の「日当」を正確に表現すれば「昼食代等」です。研究費を使用するときに、この日当を正確に理解していないと、真面目に研究していても思わぬところで「研究費の不正使用」を疑われてしまいます。(旅費法上の日当は昼食代、学会参加費に昼食代が含まれるなら減額調整 誰も教えてくれない官公庁会計実務

 

学会のランチョンセミナー等への出席の報告の義務

2.確認事項(用務内容が「学会等参加」と「招聘」のとき) (□へのチェック)
①参加費の立替払請求を経費を問わず □する □しない □含まない → ※協賛企業等負担
②ランチョンセミナー等で食事の提供があったとき、参加費に食事代が □含まれる(   回)
会議費で食事の提供を □する □しない → ※飲み物だけの提供は「しない」にチェック (出張報告書 東京医科歯科大学


 

日当の減額調整

Q27:国際会議等の参加登録費には、以下のものが含まれている場合、どのようにすればよいでしょうか?
① モーニングセミナー等
② ランチョンセミナー等
③ イブニングセミナー等
④ ウェルカムレセプション等
A :参加登録費の内訳が公式に確認できる場合(主催者のパンフレット等に内訳が明記されている場合など)は記載された①~④の金額を差引き、確認ができない場合は、回数に応じて日当の半額を差し引きます。ただし、不参加の場合には差引くことはありません。(秋田大学

学会の公式行事として食事パーティが組み込まれていることはよくあります。学会参加費に食事代が含まれていると明言されていればわかりやすいのですが、通常、学会期間中に行われるランチョンセミナーは企業の宣伝の場に過ぎず、学会参加費とは無関係です。しかし、そのような、学会参加費に含まれていないランチョンセミナーのランチ代も日当の減額の対象になるのでしょうか?実際のところなるようです。このあたりの規則の運用に関しては、ネット上で自分が探した限り明文化されたものが見つかりませんでした。

安い給与で働いている研究者には、このような日当の減額はかなり懐が痛いと思います。ランチョンに関する取扱いは大学や研究機関によって若干の差があるのかもしれませんし、研究者間でも意識の差が大きい事柄かもしれません。

 

ランチョンセミナー出席の報告義務に関する厳格さの差

ランチョンセミナーに参加していなくてもそのようなセミナーが開催されているだけで自動的に日当が減額されてしまう極端な研究機関もあるようです。

 

ランチョンセミナー参加の有無の確認が生み出すラボ内の緊張

教授、研究者、教授秘書の間で、規則を遵守する意識に差がみられる場合があります。


 

 

日当が減額されることに対するモヤモヤ、不満、怒り


 

 

日当の減額がもたらす、ランチョンセミナー出席意欲の低下


 

 

ランチョンセミナー出席で日当を減額することの合理性に関する議論


 


 

 

 

 

 

2018年11月19日ディオバン論文不正事件の控訴審判決

アンジオテンシンII受容体拮抗系高血圧治療薬・ディオバン(一般名:バルサルタン)を巡る医師主導の臨床研究でデータを改ざんしたとして、薬事法(現・医薬品医療機器法)の第66条に基づく誇大記述・広告違反に問われたノバルティスファーマの元社員・白橋伸雄被告と同法両罰規定により起訴された法人としてのノバルティスファーマに対する控訴審判決で、東京高裁は11月19日午後、一審の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。 同裁判は、日本人の高リスク高血圧患者を対象にノバルティスのディオバンの上乗せによる心血管イベント発症抑制効果を比較検討した「Kyoto Heart Study(KHS、主任研究者:松原弘明・京都府立医科大学循環器内科教授)」の2つのサブ解析論文での不正について問われたもの。(一審の無罪判決を支持。「66条1項での対応は無理があり、新たな立法措置が必要」 2018年11月19日 PM04:38 医療NEWS QLifePro)

  1. 「ディオバン」データ改ざん、2審も無罪判決 (2018年11月19日 21時34分 読売新聞 YOMIURI ONLINE) 高血圧治療薬「ディオバン」の臨床研究データを改ざんしたとして薬事法(現・医薬品医療機器法)違反(誇大記述・広告)に問われた製薬大手「ノバルティスファーマ」の元社員・白橋伸雄被告(67)と法人としての同社の控訴審判決で、東京高裁は19日、無罪とした1審・東京地裁判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。 芦沢政治裁判長は、「たとえ白橋被告が虚偽のデータを提供し、それを基に虚偽の論文を学術雑誌に掲載させたとしても、薬事法が禁じる誇大記述・広告にはあたらない」と述べた。
  2. 薬事法違反を巡る裁判で一審を支持 ディオバン論文不正事件で判決、二審も無罪 (2018/11/19 満武 里奈=日経メディカル) 降圧薬バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床研究論文不正事件で医薬品医療機器等法(旧薬事法)違反の罪に問われ、一審で無罪を言い渡されたノバルティスファーマ元社員の白橋伸雄被告とノバルティスファーマの控訴審判決が11月19日、東京高裁であった。東京高裁は一審の判決を支持し、検察側の主張を棄却した。論文を掲載した行為は、旧薬事法第66条第1項の「虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」には抵触せず、違法性はないと判断した。

 


 

ノバルティスファーマ社の降圧薬バルサルタン(商品名:ディオバン)の論文不正で、ノバ社の元社員と同社が薬事法(現・医薬品医療機器法)違反(虚偽広告)の罪に問われた事件の控訴審初公判が12日に東京高等裁判所で開かれ、即日結審した。判決は11月19日。元社員と同社に対して無罪とした東京地裁の判決を不服として、東京地検が控訴していた。… 昨年3月の判決で東京地裁は、元社員がディオバン群に有利にするために意図的にデータを改竄したとの検察の主張を認めたものの、学術雑誌の論文掲載に購入意欲を喚起する性質があるとはいえず、薬事法が規制する虚偽広告には当たらないと判断し、無罪判決を言い渡した。(NEWS ディオバン論文不正事件の控訴審判決は11月19日  2018-09-14 日本医事新報社

ノバルティスファーマ社の降圧剤(一般名バルサルタン:商品名ディオバン)を巡る京都府立医科大学での医師主導臨床試験の論文データ改ざん事件の控訴審が9月13日、東京高裁(芦澤政治裁判長)で開かれ、即日結審した。開廷時間は3分程度で、裁判所は事実関係については一審判決を踏襲し、学術論文を作成する行為が薬事法66条1項の虚偽広告に当たるかどうかを改めて判断すると見られる。(ディオバン裁判、高裁は即日結審、11月に判決 学術論文を作成する行為が薬事法違反かどうかが争点レポート 2018年9月13日 (木)高橋直純 m3.com編集部

白橋被告らは、薬事法で禁じられている「虚偽記述・広告」をしたとして起訴された。一審・東京地裁は白橋被告が臨床データを改ざんしたと認定しつつ、「論文は広告にあたらない」と判断し、無罪とした。検察側はこの日、「誇大な事柄を広く知らしめれば、法律に違反する」と主張した。(「一審は法解釈を誤った」ノバルティス論文不正で検察側
2018年9月14日14時00分 APITAL 朝日新聞DIGITAL

一審は17年3月、データ改ざんを認定したが、データに基づく論文投稿は「購入意欲を喚起させる手段と言えず、誇大広告に当たらない」として無罪を言い渡した。(2018/09/13-16:48)

一審は17年3月、データ改ざんを認定したが、データに基づく論文投稿は「購入意欲を喚起させる手段と言えず、誇大広告に当たらない」として無罪を言い渡した。(二審判決は11月19日=ノバルティス論文改ざん-東京高裁 2018/09/13-16:48  JIJI.COM

 

 

参考

  1. 金子勝の「天下の逆襲」 これは深い病だ…文書やデータの改竄に社会が驚かない異常 2018/05/30 06:00 日刊ゲンダイDIGITAL
  2. 意外な無罪判決で検察に衝撃 ディオバン事件の経過と今後 前田恒彦 | 元特捜部主任検事 2017/3/21(火) 6:00 YAHOO!JAPAN

 

 

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19年前に女子生徒と関係を持った高校教諭を懲戒免職

19年前に自分が担任を受け持つクラスの女子生徒と性的関係を持っていた、定年間近の都立高校教諭(59)が懲戒免職の処分を受けました。

20年前に“女子生徒と性的関係” 都立高教諭を懲戒免職 (TOKYO MX 2018/09/12)

教師

多摩地域の都立高校に勤務する59歳の男性教諭

生徒

担任のクラスの女子生徒

時期

1999年11月から2001年3月まで

発覚

2018年2月に、元女子生徒が男性教諭に当時のことに関して電話。教諭が現在の勤務先の高校の校長に報告。

処分

東京都教育委員会教は2018年9月12日付で男性教諭を懲戒免職処分に

男性教諭のコメント

「教師として取り返しのつかないことをしてしまった。反省し、後悔している」

 

都教委によりますと、多摩地域の都立高校に勤務する59歳の男性教諭は、1999年11月から2001年3月まで、当時勤務していた高校で担任をしていた女子生徒と合意の上、複数回にわたって性行為を行いました。今年2月になって、女子生徒側から男性教諭に当時を振り返る電話があったことを受けて、教諭が現在勤めている高校の校長に打ち明け、問題が発覚したということです。(20年前に“女子生徒と性的関係” 都立高教諭を懲戒免職 YAHOO!JAPANニュース 2018/9/12(水) 22:03 TOKYO MIX)

 

反響

同情、批判、様々なコメントがネット上で見受けられますが、以下、自分が主観で選んだいくつかを紹介します。

ヤフーニュースのコメント欄(3511コメント)から一部を紹介します。

時効について

  • 民法や刑法には法律上の時効制度があるけど、こういった懲戒権には時効制度がないためかなり古い事由による懲戒も可能となります。(引用元

報道された「合意」を疑う声

  • 「合意の上で」はたぶん先生側の証言だから実際に合意があったかはわからないよね。
  • 合意っていってもそれは男側の申告だから女子生徒からしたら脅迫されていたと受け止めていたかも
  • 自身は20年前以上に合意なしでしたが似た経験があります。相手は合意の上と都合の良い解釈でした。数十年たつ今でも傷が癒えず心療内科に通って居ます。
  • 圧倒的な優位に立つ立場の人間が未成年の生徒を言いくるめて性交渉に強引に持ち込んだのかな。ある意味パワハラも含まれる半強制的な性行為だったのかも。
  • 合意のもと・・って。それって、性犯罪者が一番最初に発する言葉だよね。「相手が嫌だと言ってなかった」「合意の元でおこなった」って。20年前に合意の元でしたから、はい終了。と男性側が思ってても、女子生徒の場合は実はそうじゃなくて、ずっと思っていたという事だと。

仮に双方の合意があったとしてもやはり不適切だという声

  • 生徒がトラウマで立ち直っていないなら仕方が無いかも知れないし
  • 20年間ずっと女性が長年納得いかない感情を持ち続けていたんだと思う。これはかなりキツいと思う。
  • 男性教師は合意の上での関係と忘れていたのに、元女子生徒はずっと不適切な関係に悩んでいたのでしょうね。
  • 被害者側にとっては未成年の子どもだった頃に受けた加害行為に自分が悪いのだと思い込んで苦しんできた20年があったかもしれない
  • 合意の上でも…そこは教師なら、いや大人なら、未成年を保護すべき大人なら、しないものだよ……。両思いなら、相手が学校卒業して、成人になるのを待つべき。大人のすることじゃないね
  • 「合意の上」とはなっているが、40近くの男(教師)と10代女の子(生徒)の、何が「合意」なの?万一、女性から言い寄られても、「そういうことはダメだよ」と諭す立場でしょ?100歩譲って、恋愛なら、卒業するまで待ってからそうすればいいこと。結局、女性は、実際には、だまされたり遊ばれたりしていたことに、大人になってから気ずき、傷ついていたのかも。いづれにせよ、許されることではない。

報道されていない事実があるはずという声

  • 定年直前に懲戒免職・・・教育委員会が20年前の事案に対して公務員として最も重たい処分を下したということは、真相はかなり悪質だったと見るべきだろう。
  • この教諭は記事にできないくらいのことをしたってことだよ。でなければ、懲戒免職になるはずはないでしょうに。
  • 無責任で肝心なことを報道しない記事は社会に混乱をもたらす。

懲戒免職は重すぎるのか?

  • 逆に言えば本来であれば20年前に懲戒免職になってたんだから、20年間給料、ボーナスをもらえただけ本人にとっては有難いことだと思う。

教育現場の現実

  • 女子校の出ですが男性教師の殆どが卒業生を嫁に迎えていました。ということは…。
  • 女子校出身のアラフォーです。男性教諭と同級生が関係持ってるらしいよ、なんて噂はしょっちゅうでした。
  • 今現在も、教育現場では男性教員が女子生徒へ、もしくは教育実習女子生徒へ手を出している事例が多くあります。その他生徒も知っていることがほとんどです。保護者としては、学校のアンケート調査や教員に対する懲戒処分等厳しい対応を望んで止みません。しかし、現実には、学校が事実を揉み消したり、被害生徒が退学になったり、口止めされたりして泣き寝入りしている事案が多いです。被害者は傷が癒えるまで、声をあげれないのが現状です。学校の管理職が、男性が多い場合は、まず揉み消されます。

 

参考

「このように被害が発覚するのは氷山の一角です」NPO法人「スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク」(SSHP)代表の亀井明子さんはそう言い切る。「特に私立学校の実態は、調査がないので分かりません」元公立中学校教師の亀井さんはSSHPの立ち上げ準備から約20年にわたり、およそ2千件の被害相談を受けてきた。活動を進めるなかで痛感したことがあるという。「北海道から沖縄までどこでも起こっていて、まるで金太郎飴のように手口が似通っているんです」

男性教師が「指示に従わなかった」と女子生徒に非があるかのような理由をつけて激しく叱責。生徒が泣き出すと一転して抱きしめ、キスするなどわいせつ行為に及ぶ――。実際にSSHPの受けた中学生からの相談だ。このようにスクールセクハラは、「指導し評価する者」と「教え子」というような力関係を利用して生じるものだ。

なかでも指導者が絶対的存在になりやすい部活動は、被害の温床になりやすい。例えば、ある中学校の剣道部は全国大会に出場する強豪だったが、顧問教師が女子生徒に服を脱ぐよう仕向けたり、教師の指をなめさせたりすることが、「伝統の儀式」となっていたという。これもSSHPに寄せられた事例の一つだ。「プライドを捨てて心を裸にしろ」などという理屈で服を脱がせるケースは多く、「支配」の一形態だと亀井さんは解説する。

「背後の力関係から、子どもはイエスと答えるしかない。内申書や部活の選手選びなどに響くと思うと抵抗しづらく、また被害が深刻になるほど、親が悲しむと考えて言い出せなくなってしまうのです」(教師から「支配」のわいせつ―― 「スクールセクハラ」実態と構造 2018/2/20(火) 9:50 YAHOO!JAPANニュース)

  1. 平成28年度公立学校教職員の人事行政状況調査について(文部科学省)教育職員の懲戒処分等の状況(平成28年度)懲戒処分又は訓告等(以下「懲戒処分等」という。)を受けた教育職員は、8,038人(0.87%)で、 平成27年度(6,320人(0.69%))から1,718人増加。・わいせつ行為等により懲戒処分等を受けた者は、226人(0.02%)で、平成27年度(224人)から微増。
  2. 文科省 わいせつ教員 処分過去最多 SNSきっかけ増加 (毎日新聞2017年12月27日 18時00分 最終更新 12月27日 18時00分) 文部科学省は27日、2016年度にわいせつ行為で処分された公立学校の教職員は226人(前年度比2人増)となり、2年連続で過去最多を更新したと発表した。… 文科省によると、処分理由は「体に触る」が89人(39%)で最も多く、「性交」44人(19%)、「盗撮・のぞき」40人(18%)と続いた。被害者の48%は自校の児童・生徒で、教え子とホテルでみだらな行為をした高校教諭や、女子トイレを盗撮した小学校教諭がいた。