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大学教員公募における模擬授業のやり方

  2018/12/15    大学教員公募

研究ばかりやってきて授業を受け持ったことがない人がいきなり大学の教員公募で模擬授業をやらされるのは、かなりハードルが高いと思います。自分も、あまりピンとこないまま準備して一方通行の講義をしてしまい、終了後の手応えゼロであっさり撃沈した経験があります。公募を勝ち抜くような人がどのような模擬授業をやっているのかというと、聞いたところでは、どんどん”学生”(選考委員を務める教授たち!)に当てて答えさせたりして、もっともっと双方向の面白い授業をしてみせていたようです。あの場所でそんな度胸は自分には無かったなあと反省しましたが後の祭りです。 高等学校の教育でも新指導要領に移行しますし、今後よりいっそう、先生が一方的に話す授業ではなく、アクティブラーニングといった生徒主体の授業形態が望まれるようになります。そんな中で、学生を巻き込む面白い授業を模擬授業の場で実践してみせることができれば、かなりポイントが高いはずです。 模擬授業をどうやればいいのか?ネットを見渡しても情報が少ないのですが、文系理系問わず役立ちそうなウェブサイトを紹介します。   模擬授業とは?どうやるの? もち時間は20分です。この場合,1回の授業内容を20分にコンパクトに縮めてしまって,20分たったら「今日はこれで終わります」と言って,自分で授業を終えるものでしょうか。それとも,本来の授業時間を想定して講義していき,進行の方が「はい,20分たちました,やめ」といって終了させるのでしょうか。 (短大教員採用試験の模擬試験 2012/12/2110:10:51 ヤフージャパン知恵袋) 発表時間が一部を切り取った20分であっても、授業時間が90分なのであれば90分間分の授業内容の準備をしておくのが良いと思います。同じ20分であっても、その場で湧き出てくるものが自ずと違ってくるでしょう。90分間のスライドのハンドアウトを人数分用意して配布したりすれば、全ての授業の準備していることが伝わって良いのではないかと思います。自分は過去の面接ではそうしました(落ちましたけど)。   模擬授業の重要性 書類審査を突破したら、次に行われる面接と模擬講義ですべてが決まると言っても過言ではない。特に、模擬講義は重要である。… 学生が飽きないように、学生との質疑応答の時間を少し入れて、工夫した。模擬講義の練習を事前に3回行い、後輩に聞いてもらった。わかりにくい部分を指摘してもらい、時間配分を調整した。繰り返し練習したため、当日は余裕をもって、臨むことができた。(「面接と模擬授業」恵泉女学園大学専任講師:李泳采) 模擬授業の重要性は、その大学の教育と研究とのバランスにもよるかと思います。そもそも国立の理系の研究大学の場合、模擬授業を課していないことも多いですし。しかし、その場合でも、研究セミナーのうまさ、わかりやすさ等で教育能力は測られているはずです。   模擬授業は演技・パフォーマンスと心得るべし テーマが先方から指定されることが多いが、学会発表などと混同してはいけない。扱われている内容について、先生たちを相手にしているのではなく、はじめてそれを学ぶ学生に向かって授業しているように「演技」することが必要。(模擬授業について 2017年1月30日月曜日 文系大学教員公募) 普段から学会発表でボソボソとしゃべっているだけだと、いざというときに非常に困ります。いきなりやれと言われると大変ですので、普段の学会発表やセミナーでも聴衆に理解させる意識をかなり高く持って臨む必要があるでしょう。 模擬授業は、原稿を読み上げるだけのものにしてはいけません。面接担当者は観客だと思って、相手を魅了するような「演技」をしなければなりません。当日、面接担当者は複数の候補者の模擬授業を受けます。当然、疲れます。ならば、その疲れを忘れさせるような、退屈させない授業にしなければなりません。そのためには、学術的に適正でありながらも、面白さをあちこちに潜ませる必要があるでしょう。(面接時の模擬授業について(2) 2015年01月12日16:30  それでも人文系大学院にいくんですか?)   模擬授業の準備、練習、慣れの重要性 『これが物理学だ!』の著者であるウォルター・ルーウィン元マサチューセッツ工科大学 (MIT) 教授は白熱授業で有名ですが、彼のような授業の名人ですら(?)毎回入念に授業のリハーサルを複数回行ってから本番の授業に臨んでいたそうです。ましてや人生で初めて授業を行う場合、それも自分の人生を決定づける重要な面接試験で行う場合には、それなりの準備が必要なことは言うまでもありません。 模擬授業はだいたい20分で教科書を指定してくることが多かった。学部の授業で習った以来の復習だったので、苦労した。やはり博士論文を作りながら準備をしていたので、準備不足となることが多かった。少なくとも1周間は練習を見て、模擬授業の模擬授業を3回程度やるとだいぶ慣れてきました。(■新卒博士のアカポス公募記録 2017-03-12 はてな匿名ダイアリー)   模擬授業が課される理由 近年の大学での新任教員の公募では、模擬授業を課すところが多くなっている。これは、採用後、授業担当能力がどの程度あるのかを審査しておきたいという採用側の事情の変化が大きい。多様な学生を受け入れる側からいえば、授業が大きな比重を占めつつあることも事実。現場から大学教育が変わるのかも。 — 山田和人 (@kazuhityamada) 2013年3月10日   模擬授業では授業を行うこと さて,問題の模擬授業の内容だが,物理教員としての採用だったので,理工学の一般教養として教える機会の多い「力学」の中からトピックが5つほど与えられ,そのうち一つを選択し「もしそのトピックを中心として90分の授業を行うなら,どのように授業を組み立てるか」を20分で話すというものだった.(そういう意味では「授業の内容を説明する」というもので,本来の意味での模擬授業とは違う性格のものだ.)(【大学教員への道】 模擬授業 2014年10月13日月曜日 akt37) 上の公募では授業のやり方を説明することが要求されていたようですが、募集要項で模擬授業をやれと言われている場合には、本当に面接の場で面接官を相手に、「授業」をやらないと零点になると思います。念のため。 …

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成功するジョブトーク(面接セミナー)のやり方

大学教員の選考過程は、書類選考があり、候補者を絞り込んだあとに面接試験でセミナーをやるのが一般的です。大学によっては模擬授業をやらせるところもあります。教育を重視する私立大学では模擬授業をやらせることが一般的のようですが、研究志向の大学で模擬授業を課しているのはあまり見かけません。さて、書類選考にめでたくとおって面接に呼ばれたときに、どのようなプレゼンテーションを行えばよいのでしょうか?日本と欧米とでは多少異なるのかもしれませんが、国内外の区別をあまりせずに、ジョブトーク(研究セミナー)を行う際の中事項など、いろいろなアドバイスをまとめます。   面接試験の準備の重要性 ジョブ・トークは通常のプレゼンと全く違うということをまず認識すべきだ。時折全く練習せずにぶっつけ本番で臨む方や、論文に使われた図をそっくりそのままを使う方を見かけるが、自殺行為である。せっかく高倍率をくぐり抜けて面接まで辿り着いているのだから、万全の準備で臨みたい。ポイントは「研究の価値と将来性を専門家以外にもわかるように宣伝する」ことであり、私が当時受けたアドバイスは、「スライドを見ずにしゃべって、ピッタリ 45 分くらいで終われるようになるまで練習しろ」というものであった。 … ジョブ・トークもチョーク・トークも、その出来が結果に大きく影響することは間違いない。が、意外に侮れないのが個々のミーティングだ。英語でいうinter-personal skill(日本語では対人能力、雑談力とでも訳せばいいのだろうか)が問われる。私が受けたアドバイスは、個人面談が予定されている相手の研究内容は前もって概要を理解しておけ、可能であれば論文を読め、会話の途中で話題に事欠き両者揃って沈黙する時間を生み出さないようにせよ、というものであった。 … 心理的にヒトは自分に興味を持ってくれる相手には好感を持ちやすいからで、特に採用側の人間は全員、この先何十年と一緒に仕事をするかもしれない相手として、自分と会話をしていることを肝に銘じたい。(徒然独立日記 〜黎明編〜 小島 志保子 Department of Biological Sciences, Biocomplexity Institute, Virginia Tech PDF)*太字強調は当サイト   ジョブトークを成功させるためのヒント 特に重要だと思われるポイントを主観的に選んで、ごく一部をかいつまんで紹介します(訳は当サイト)。全文は長いのでリンク先をご覧ください。 ジョブトークを成功させるためのヒント Tips for a Successful Job Talk  By Stephen J. Aguilar  January 10, 2018 聞き手が誰なのかを知りなさい。あなたのトークは誰が聞いても理解できるものでなければならないが、同時に、同様の手法を用いている同分野の研究者を印象付けられるくらいに方法論的に堅固なものでなければならない。 Know your audience.  … Your …

博士研究者から高校教師へのキャリアパス

アカデミックな世界では教員のポストにほとんど空きがありません。博士号取得後に研究を続けてきた人であっても、キャリアパスの変更を考える必要に迫られることが多いことでしょう。民間企業へ転職する人、URAのような研究者をサポートする事務方にまわる人が多いですが、一つのオプションとして、研究者から高校の先生へのキャリアチェンジも考えられると思います。   博士号取得者の人材活用に関する提言 仮に大学の研究職に就任する運のなかった人でも、そうした才能を一番生かせるのは高校教師という仕事ではないかと思うのです。博士号保持者なり、単位取得退学で職がなくて困っている人が大量に発生しているのであれば、これは社会全体にとって人材の無駄です。そうした人材の活用法として、高校教師として若い人の指導に当たってもらうのは非常に意味があると思うのです。 (「高学歴ワープア」から高校教師というキャリアパスはどうか? 冷泉彰彦 2013年03月22日(金)16時21分 NEWSWEEK ニューズウィーク日本版) 現状のポスドク対策として有効と思われるのは、初等中等教育に携わる教員の博士号取得者を増やすことである。しかも、これは、科学技術立国を謳う我が国のポリシーに合致している。(「博士号取得者3%採用ルール」という可能性 大隅典子の仙台通信 2012年 06月 03日)   研究者がすぐに教育者になれるのか? 研究経験があるからといって必ずしも教育者としての能力があるとは言えないのではないかと疑問を感じる人もいると思いますが‥。 確かに彼らは教科専門教養のある部分には優れた点を保持しているであろうが、教職のスタート時点で、子どもの発達や教え方の基本、教科の構造などの教職教養をまったく身に付けないままで、子どもの指導を十全に行えるとは考えにくいことである。(宇佐見忠雄 教員採用のニューウェーブ考 実践女子大学文学部紀要第51集 PDF) Q.マニアックな専門家が生徒指導などできるのか? A.県教委による選考(教諭としての資質能力)を経て採用されており、問題はない。生徒、教員集団に溶け込み、今すぐクラス担任を任せてもよい状況である。 Q.最先端知識だろうと授業の雑談のネタ以上の用途はないのでは? A.幅広い土台を持ち、同じ内容でも違った切り口から指導できるなど、優れた教科指導力を持っている。また、児童生徒の科学的探究心を刺激し育み、未来のイノベーションを担う人材育成にも貢献している。 (引用元:博士号教員採用をめぐるQ&A 文科省) つまり、教員免許とかどうでもよくて、単純に先生の頭がよい(学歴が高い)かどうかで、成績を上げる能力が変わるってことです。なんのための教員免許なの?マジで。… これは教職課程をとってきた僕自身の感想ですが、優秀な人ほど、教員免許を取って新卒で教員になる選択肢を取らなくなるような気がします。… 逆に、「こいつには絶対に教員にはなってほしくないな」という人が先生になっていくのです。… 前者のような卒業生が、あとから教員になるっていうならいいのですが、非常に難しいです。もし、教員免許を学部中にとらなかったら、よっぽどお金に余裕がない限り、教員になることは不可能です。通信教育を使いながら、教員免許を取得するための単位をとることはなんとかできますが、働きながら教育実習に3週間いき、さらに介護等体験に2週間はいくことはほぼ不可能です。… くそみたいな免許は持ってるけど能力ありませんみたいな教師ばかりが先生になってしまう流れを変えなければなりません。教員免許取得の壁を低くして、もっと高学歴優秀層がちょちょっと教員に転職できるような環境を作らないと、やばいです。… 教員免許の規制緩和して、もっと別の枠組みを用意してくれないかと思います。(教員免許の必要性を全く感じない件について Review of My Life  2017-01-24) 科学教育の根本は知識を授けるよりもむしろそういう科学魂の鼓吹にあると思われる。しかしこれを鼓吹するには何よりも教育者自身が科学者である事が必要である。先生自身が自然探究に対する熱愛をもっていれば、それは自然に生徒に伝染しないはずはない。実例の力はあらゆる言詞より強いからである。  すべての小学校、中学校の先生が皆立派な科学者でなければならないという事を望むのは無理である。実行不可能である。しかしそんな必要は少しもない。ただ先生自身が本当に自然研究に対する熱があって、そうして誤魔化さない正直な態度で、生徒と共に根気よく自然と取込み合うという気があれば十分である。先生の知識は必ずしもそれほど広い必要はない。いわゆる頭の良い必要はない。(寺田寅彦『雑感』より抜粋 転載元:青空文庫)   博士号教員のススメ 実験設備がいらない数学者にとって,高校教員は就職後も研究が続けられる,数少ない職場のひとつである.生徒指導・特別活動・クラブ活動と duty は多いが,最近の大学の状況を見る限り,仕事量は大差ないのではと感じている.待遇もそれほど悪くない.それにも増して,現場には研究経験のある人材が求められている.先入観を持たずにぜひ教育の世界に飛び込んできてほしい.(秋田県の博士号教員について 秋田県立横手清陵学院 高等学校教諭 瀬々将吏 PDF) 理工系のキャリアパスとしての高校教員 瀬々 将吏(秋田県立横手清陵学院高等学校)秋田県の「博士号教員」を例として 平成29年5月16日 秋田大学理工学部 数理・電気電子情報学科 数理科学コース 1年生対象 初年次ゼミ「数理科学の世界」(PDF) やる気のある生徒たちからは、とても期待されます。生徒は教科書だけからの知識を与えられるのではなく、最新の研究成果などの「生きた」研究成果や、教科書には載っていない、様々な理科の知識を求めています。授業での教材と最新の知見を結びつけ、積極的に科学を「語った」ことは、博士課程での研究活動が役に立った一面であると思います。そんな生徒の声に応えるためにも、博士号を取得した教員は、常に最新の知識を吸収し、自身を高める必要がある(本来の教員とはそのようなものであると思いますが)と強く思います。(教師・その本来の意義 名前:柳下貢雄さん 所属:元・公立高校教員 hakasenoikikata.com) 「博士号保有者特別選考」を過去に導入したが中止した県もあります。近年、あるいは次回の募集に関しては最新情報をご確認ください。 …

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大学院やポスドク先の研究室の選び方

  2018/07/07    研究者のキャリアパス

高校生の中には大学を「偏差値」で選ぶ人がいますが、大学院を「大学の偏差値」で選んではいけません。なぜなら、アカデミアで研究者を目指す場合には、大学院の名前よりも、実際に出した論文業績で評価されるからです。どこの大学であろうが、科学者になるための十分なトレーニングがちゃんと受けられて、そのうえで、研究成果をしっかり挙げられるいいラボを選ぶ必要があります。 博士号取得後のポスドク先選びも、これからの数年間をどの研究室で過ごすかで研究者のキャリアが決定付けられるので大変重要です。しかし、ラボ選びは、難しいものです。 ラボ選びが正しい選択だったかどうかは、結果論になるでしょう。将来アカデミアで研究者を目指す人が、大学院やポスドク先の研究室を選ぶときに気をつけるべきポイントを考えてみたいと思います。   違う大学(院)に行くか同じ大学・学科に進学するか 学部学生であれば卒業研究で配属されたラボにそのまま大学院も行くのか、それともこれを機会に他大学や他学科に行くかという選択があります。修士課程の学生も、博士課程進学を機に他に移るかどうかという選択があります。快く送り出してくれない教授もいるので、余計に、悩むところでしょう。しかし、自分の人生なのですから自分の研究者としてのキャリアにもっとも望ましい選択が何かという観点で選ぶのがよいと思います。 正論を言うなら、自分が興味を持っている研究分野を牽引する一番のラボを選ぶべきです。それが海外の大学にあるのなら、海外の大学院も視野に入れるべきでしょう。   研究室ウェブサイトの情報を鵜呑みにしないこと ラボのホームページには教育的なことがたくさん書いてあるのに、なぜかそのラボからは研究者がほとんど巣立っていないというラボもあります。批判的な態度でウェブサイトをチェックするのがよいでしょう。 ラボの運営方針 ラボの教育方針、指導方針がつらつらと書かれていてとても参考になる場合がありますが、「その教授が当然のこととして期待する学生像」と「あなた」との間にズレがある場合には、ウェブサイトの言葉をそのまま受け取っても誤解が生じる恐れがあります。ウェブは、情報収集のひとつの手段と考えるにとどめ、いろいろな人にラボの評判を聞いたり、実際にそのラボを訪問したりして、実際に見聞きして感じた自分の感覚を信頼しましょう。 研究の興味 研究の興味の項目に、面白い内容が書かれていたとしても、実際のそのラボにその研究テーマを遂行するだけの力や実験ノウハウ、研究費、人間がそろっていないこともあります。研究の興味に沿った論文実績が実際にあるのかどうかは重要なチェックポイントです。 論文業績 論文業績がもっとも客観的な指標ですが、そのラボで行なわれた仕事かどうか(筆頭著者の所属がそのラボか)、誰がやった仕事か(筆頭著者は大学院生か、ポスドクか、ファカルティか)、どのような研究体制共同研究者がいる場合、コレスポンディングオーサーが誰か)かなどに注意を払う必要があります。 過去の一連の論文業績を見る場合には、そのラボがその研究分野をどのように切り開いてきたのか、今後どの方向に向かうのかを考えながら見る(読む)ことも大事です。分野を変える場合には結構大変かもしれませんが、そのラボから出ているめぼしい論文を一通り読んで、そのラボやその研究分野の数年後(=自分の姿)を予測することが必要でしょう。   研究室を訪問してから決めること メールのやり取りだけで決めてしまわずに、遠かろうが海外であろうが必ず現地を訪れて教授(PI)に会い、ラボメンバーにも会って、話をしてから決めることをお勧めします。ポスドク先の場合には、オフィシャルな場所でのトークを要求されたり(旅費を出す都合などもあると思う)、アンオフィシャルなセミナーをラボ内でやったりするのが普通だと思います。ラボのメンバーには、ラボの運営体制 院生とポスドクがそれぞれ何人いるか、 中ボスがいる場合の研究グループの体制がどうなっているのか、 研究テーマをどうやって決めているか、 ボスと研究の相談をどれくらいの頻度でしているか、 論文は誰が執筆しているのか、 何時から何時まで働いているか、 などを聞いて、自分が本当に納得して研究ができるラボかどうかを判断しましょう。見学のときにはとても歓迎されたのに、いざラボに入ってみるとそうでもないということは起こりえると思います。仕事の厳しさを考えれば当然のことなのかもしれませんし、釣った魚に餌をやらないということかもしれません。やっぱりできないやつという判断を一瞬で下されてしまったのかもしれませんし、ラボメンバーが競争心を抱いているのかもしれません。様子見をされているのかもしれません。そのような違和感を後で覚えなくて済むように、また、自分の新しい研究生活がイメージできるように、いろいろと話を聞きましょう。 ラボのメンバーが多くて、ラボの研究の興味が狭い場合には、研究テーマが他のポスドクや大学院生と競合する恐れがあります。他のメンバーが現在どんな研究をしていて今後どんな研究の構想を持っているのかも聞き、ボスとよく話をして、自分がどのような研究テーマをやれそうかを明確にする必要があります。   そのラボの研究費獲得状況は? 科学研究費助成事業データベースや、NIHのサイトでは誰がどれだけの研究費をどの期間獲得しているかが調べられます。これは、ポスドクを雇用するお金があるラボかどうかの判断材料にもなりますし、そのラボが今後数年間の間にどんな研究をやりたいのかもわかるため、非常に重要な情報です。ただし、一般的に、そのラボの財源全てを部外者が把握するのは無理だとは思いますが。ポスドクの人件費はボスの研究費以外にも、研究所や大学、国の制度によるもの、民間の奨学金によるものなど、いくつかの可能性が考えられるので、そのような機会を逃さないことも大事です。こういったことは、直接PIとコンタクトを取って、聞くのが一番です。 ボスの研究費の財源でポスドクとして雇用される場合には、研究費がとぎれるとクビになる恐れが強いので、できるだけフェローショップや国、研究所・大学からの財源で雇用される方法を考えたほうがよいでしょう。フェローシップを自分で取れたらラボに来てもいいよというボスがいた場合、それはボスがケチだからではなく、本人のためにもなっているのです。   ポスドクを募集しているか? ポスドクにアプライするのに、ポスドクの募集が現在かかっているかを考える必要は必ずしもありません。わざわざ募集をかけなくても年中希望者が殺到しているラボでは、ポスドクの公募を出していないことがあります。本気で考えているのであれば、できるだけ早い段階で直接PIとコンタクトをとって、ポスドクのジョブの機会が(いつ)あるかどうか質問してみるのがよいでしょう。   自分のやりたいことができるラボか? これまでの研究テーマにはとらわれずに、ポスドクで外に出ようと決めたときに悩むのは、どういう基準で行き先のラボを決めればよいのかということです。自分が当時知り合ったPIにこの質問をぶつけてみたときに返ってきた答えは、 「自分のやりたいことができるラボに行く」 という言葉でした。言われてみれば当たり前ですが、現実的には、そう簡単でもありません。まずは、自分は一体何をやりたいのか?を明らかにしないと、行きたいラボを絞れません。研究分野を変えようというときは、360度どっちの方向にでも行けるわけですから、自由度が大きすぎて悩みます。本当に心から面白いと思えるクエスチョンは何なのか?悩みどころです。 …

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研究者の結婚、研究者との結婚

研究者という職業は、パーマネントの職に就くまでは非常に雇用が不安定で、しかも長時間労働のわりに、恐ろしく低収入です。しかも、現在はすべてが任期制になってしまったため、研究者を志した人のうち、アカデミアでパーマネントの職に就けない人の割合が100%近い(*肌感覚)、という異常な世界です。この経済的な不安定さは研究者の結婚や結婚の維持を非常に困難にしています。 ■35歳なのにまだ夢を追ってる夫が嫌いになってきた 夫、35歳旧帝大博士号を7年かけて取得 未だに夢を追ってる。昨年、子供が生まれた時そろそろ将来のことを考えて欲しいってお願いした。私は必死だった。出産を経験した際にトラブルで死にかけたから、夫にも安定して欲しかった。だけど、また一年契約のポストを選んでしかもいくつかの選択肢から年収の低い方を選択しやがった。理由を聞いたら、年収が高い方は忙しくて自分のことができないから、だって。内心怒りを感じながら、悲しくなった。(はてな匿名ダイアリーより) おそらく、博士卒業時に普通に新卒として就職活動をして就職していたら、こんなに苦労はしなかったと思います。アカデミアを渡り歩く自信をおもちの方ならぜひ、強く羽ばたいてチャレンジするのも良いですが研究内容がポスドク後ポジションがなくなった時つぶしのきく分野ではなく、アカデミアで生き残る自信もないような方は卒業時に企業就職しておくのが安全なのでは、というのが私の抱いた感想です。社会人経験(というよりむしろ、会社経験と言った方が正しい)があるのかないのか、は日本社会では非常に重視されるので、その後転職するにしても、会社経験があるだけで楽だと思います。(結局研究者の妻になっちゃった 2011-10-08  研究者の妻になるのかな?)   さて、研究者はいつ、どこでどんな人と知り合って、どのような結婚をするのでしょうか? 研究者の結婚問題 結婚に関して研究者が抱える固有の問題点は、以下の論説で的確にまとめられています(太字強調は当サイト。全文はリンク先を参照のこと)。 近年の日本人初婚平均年齢が男性31歳,女性30歳であることを鑑みると,博士課程在籍時~学位取得後5年くらいが結婚適齢期である.ところが,仕事のうえでも同様の時期が勝負どきであり,常勤のポストを獲得するために必死に働く必要がある.そのため,ある程度思い切った決断を下さなければ婚期を逃しかねない.… 経済的自立がままならない状況では,結婚を考えるのは難しい.… 身分が不安定な状態では,将来にわたって家庭を支えていく自信がもてず,家庭をもつことに踏み切りづらい.… 結婚,出産,育児は一時的な研究活動の縮小を意味するため,生産性の低下を懸念する研究室主宰者は少なくないだろう.… (第17回 若手研究者の結婚を支える3つのこと 谷中冴子 生化学若い研究者の会キュベット委員会 ※実験医学2011年11月号より転載 実験医学Opinion) 5年後どうしているかが分からないという状況に置かれて、家族形成も躊躇せざるを得ないわけですからね。私の職場(医学部)ではポスドクで結婚している率は少ないです。同世代の医者と比べて、子どもがいる率も少ない気がする。ちゃんとしたデータはありませんが、回りを見ると30代で子どもがいるという任期付き助教の人はいません。「結婚はどうですか?」と聞いてみたこともありますが、「なかなか踏み出せません」と話していました。つまり職業として崩壊しつつあります。家族か研究かを選ばなきゃいけない、この研究者の道を選ぶなら私生活を犠牲にしなければいけない。これでは健全な職業とは呼べないのではないでしょうか。(職業として崩壊しつつある研究職 KOKKO 2015 Nov) 大学3年の彼氏が将来大学で研究職につくことを考えているようです。 私には詳しいことはわからないのですが、収入が安定している、とは言い切れず、しばらくは各地の大学を転々とするかもしれないと言われました。 安定するのは40代以降かもしれない、とも。 (研究者コミュ > 研究者と結婚  MIXI 2011年11月06日)   研究者の男性は結婚をどう考えているのか 周りを見渡せば、皆、子供を作ってアカデミアに残っている人は、パーマネントポストを取ってから作っている。パーマネントポストを取らずに子供を作るということは、研究を諦めるということと同義だ。(■研究者は結婚がこわい はてな匿名ダイアリー 2017-03-25)   適齢期もしくは適齢期を過ぎた独身男性研究者は結婚をどう考えているのか でも出会いもないし、出会いの機会を作る気もないし、そもそも独り身が楽だし・・・。こういうことを言っている人間はまず結婚できないのですが、そういう人間は周囲にたくさんいます。それこそ上は50歳前後まで。(研究者ってだいたいいつ頃結婚するのが普通なのですか? YAHOO!JAPAN 知恵袋 2012/1/30 19:40:54)   研究者はどこで配偶者と出会うのか? 男性の大学院生やポスドクの数が多く、秘書やラボテクニシャンの多くが適齢期の女性であったラボでは、自分の知るだけでもラボ内で5組が結婚しました。 …

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日本の科学研究におけるロスジェネ

日本のロスト・ジェネレーション(ロスジェネ)世代とは、1991年のバブル崩壊後の就職氷河期に大学を卒業し、長期の経済不況(「失われた10年」)と日本の新卒採用制度のために、雇用の機会を奪われ、就職難民と化して派遣や契約社員などの不安定な働き方を余儀なくされた人が多いということで特徴付けられる世代です(参考:コトバンク)。だいたい1970年から1982年生まれの人(2018年現在38~48歳)に相当します。 ロスジェネと 世に棄てられて 博士捨つ (詠み人知らず  ラボ川柳)   東大理学部→東大院に進んだ部活の同期も、ロスジェネ&ポスドク問題のダブルパンチを受け、就職することも研究室に残ることもできず、警備員を続けている。ネットで検索するといくつか論文が出てくるくらいだから、それなりに研究業績を上げていただろうに。国家的損失である。 https://t.co/3BAZHiynE3 — カイローヤー (@kai_lawyer) 2017年12月9日 団塊ジュニアも含まれ、日本の科学政策であるポスドク一万人計画(1996~2000年度)の影響もあり、このあたりの世代は大量の博士号取得者が職にあぶれて生活に困窮する状態が継続しているのが現在の日本の科学研究業界の状況です。 今後、若手研究者を対象とした制度が、より一層拡充されることが望まれる。これまで、大きな成果を上げた研究者がしばしば若手であるということは、ノーベル賞受賞者がどの年齢で受賞業績を上げているかを調べたデータから理解できる(第1-1-30図)。この資料は、1987年から2006年までの自然科学系3賞(物理学賞、化学賞、医学・生理学賞)を受賞した合計137名に対して調査したものである。この図から、ノーベル賞を受賞するような優れた業績は各分野とも30代から40代前半に集中していることが分かる。(平成19年版 科学技術白書 第1部 第1章 第4節 1 科学技術関係人材の育成・確保の重要性 文部科学省) 文科省はノーベル賞研究が生まれるのは30代に集中ということを常々強調しており、30代の若手にチャンスを与えるという政策を打ち出すため、それより上のの世代は完全に捨て置かれています。高いレベルでの教育を受け、現在、科学研究に貢献しているにもかかわらず、定職にすら就くことができず人間として最低限の生活の保障すらないまま人生を彷徨い、現在の日本の科学行政から見棄てられた状態にあり、まさに「ロスト・ジェネレーション」になっています。科学を作り上げているのは、何もノーベル賞級の研究だけではありません。裾野の部分があってはじめてその上に高さが築かれるのです。文科省や政府は、科学研究の本質を全く理解していないようです。 2004年ごろからの国⽴⼤学の法⼈化と⼤学⼈や研究職の⼈事の流動化は、「研究成果がすぐ⾦になるかどうか」というものさしの流⾏を⽣み、少ない任期付ポストの取り合いばかり横⾏する事態を⽣みました。基礎研究の研究成果は即物的な基準では判断できないのにもかかわらず、無理⽮理切り捨てに遭って 久しい状況です。関係者の皆様には、⼤学や研究所の研究教育活動は、すぐにお⾦になるかどうかという価値観では測ることができない、という点によくよく留意して政策⽴案にあたっていただきたく、強く強くお願いいたします。さきに述べたような誤った政策が取られてすでに10年以上も経っており、もはやわたしより若い世代は、就職に苦労することがわかっている⼤学や研究所のキャリアを選ばなくなっています。⼤学や研究所への予算の復活と、任期なしのポストを増やすこ と。これらをぜひお願いいたします。(男性研究者 41歳 第5期科学技術基本計画答申素案へのパブリックコメントより) 日本の無責任な科学政策やその後の「無策」によって生じたこのロスに対処する責任が、文科省や政府の科学行政を司る人たちにはあるのではないでしょうか? 突然若手優遇を始めるとロスジェネは救われませんよ。ロスジェネを救う政策が必要だと思います — kikumaco(6/24 0g、7/16ベアーズ (@kikumaco) 2018年6月16日   ロスジェネの労働参画の推進と生産性の高い働き方の実現が、この国の経済・産業の成長・発展のカギを握る可能性が出てきている。しかも、労働市場の中で主要層であるロスジェネの所得が拡大すれば、国内消費にも好影響を及ぼすだろう。(女性や老人よりロスジェネに予算をまわせ 忘れられた「巨大集団」の秘めた力 三菱総合研究所主任研究員 奥村 隆一 PRESIDENT Online 2018.3.29)   …

若者は現状を見切り無謀な挑戦の回避を

アカデミアの現実(学部学生の皆さんへ) 実験科学の場合ですが、大学の先生は研究のための「戦力」が必要なので、学生が自分たちの大学院に進学してくれることを望みます。しかし、(多くの先生方の)ホンネを暴露すれば、それはその先生自身のため(=自分の研究を推進するため)が第一義的な理由であって、学生のため(=学生の人生にとって良かれという気持ち)では必ずしもありません。実際、優秀だと見込んでいた学生が就職したり他大学の院に進学してしまい、がっかりしたという先生の声を聞くことがめずらしくありません。大学院に進学した中のごく、ごく、ごく一部は研究者としてアカデミアの世界で生き残ることでしょう。それ以外の人は、自分で自分の人生を勝手に見つけるしかありません。そんなことは当たり前じゃないかという外野の声が聞こえてきそうですが、漠然と「研究者になれたらいいなあ。」と思っている学生と、「とりあえず、大学院生が入ってきてくれないと困る。」という先生との間のあやふやな期待感の膨らみが、キャリアパスに関する冷静な分析の必要性をウヤムヤにする恐れがあります。 ”優秀であっても安定したポストが得られないということがしばしば起きている。… 40歳を超えても、家族がいても、任期が来れば職がなくなってしまうのだ。そんな業種に、若い優秀な人間が、行きたいと思うだろうか?“ 日本の科学研究が衰退している「2つの理由」https://t.co/TCtVXeeHjy https://t.co/B7mhpwSP3u — 日本の科学と技術 (@scitechjp) 2018年9月16日   あなたが博士号を取得してさらに独立した研究室主宰者のポジションを得るときに要求される研究業績のレベルは、既にパーマネントの職にいる教授が研究室を維持するために要求されるレベルとは、全く異なり、そのハードルははるかに高いのです。つまり、「一流誌には届かなかったけれど、とりあえず論文がやっと出せて良かった。」と教授と一緒に喜んでいるようでは、あなたに研究者としての未来はないのです。今後、日本の科学研究の制度が変わるかもしれませんが(改善してほしいと思いますが)、現実を冷静に見たうえで自分が納得できる選択、後で後悔しない選択をする必要があります。 会社なら、会社の業績に多大な貢献をした社員は出世こそすれ首を切られることはないだろう。アカデミアではそのラボの主要な研究テーマで主要な論文業績を挙げた人間が切り捨てられ、ボスだけが安泰というシステム。これを仕方がないで済ませるのなら、若者にチャレンジを勧めるのは詐欺的ではないか? — 日本の科学と技術 (@scitechjp) 2018年6月16日 そういったところの教育を見ていると、博士の1年目の最初に「この中でプロフェッサーになれるのは3%。残りの97%はなれない。ではなれなかったときに、どういうキャリアを描くのか」ということについて、1週間合宿して議論させるんです。 (人口減少時代のウソ/ホント 大学と人材を腐らす「19世紀式」を脱せよ 検証・大学教育改革 with 田中弥生(4) 森田 朗 日経ビジネスONLINE 2015年9月29日)   平成30年科学技術白書が公表される 2018年6月14日の日刊工業新聞の社説には、文部科学省が12日に発表した科学技術白書を受けて、オピニオンが掲載されていました。その後半部分を引用します。 00年になってからノーベル賞自然科学系3賞を受賞した日本人(外国籍含む)は17人になる。だが、日本の科学研究の現状が白書の記した通りだとすると、果たして将来にわたってノーベル賞受賞者が出るのかどうか心配になる。 人間は一定程度、豊かになると、がむしゃらさがなくなるのかもしれない。だが、天然資源小国の日本にとって最大の資源は「知」である。「知」が衰退すれば、国全体の活力も失われることは火を見るよりも明らかだ。 白書は「イノベーションの根幹を担う人材の力、多様で卓越した知を生み出す学術研究や基礎研究を支える研究資金といった基盤的な力の強化が必要」と記す。もちろん研究資金が豊富な方がよいのは当たり前だが、それだけではない。若者に現状に甘んじることなく、研究に限らず、何事にも世界にチャレンジする意識を植え付けることが重要ではないだろうか。 引用元:https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00477378 この社説の主張があまりにも今の研究の現場の感覚から乖離しているため、若者たちが勘違いしないように、この社説に対するツイートをまとめておきます。 若者の意識を変えればうまくいくと考えるのは思考停止であり、戦時中の特攻精神の称賛と同じで無責任です。社説を書く立場の人がこのような認識では良くないと思います。若者が研究にチャレンジできる環境をどうつくるかを議論して欲しいです。https://t.co/hqXaBHDuXP — Satoshi Tanaka (@sato51643335) 2018年6月13日 https://t.co/OLL17zj1Bm 日本の研究力が落ちている理由は簡単、博士までとっても『任期付研究員』、要するに『フリーター』にしかなれない可能性が高いからです。たいていの人は貧乏くらいは我慢できるが、生きていけないレベルになると無理。 — buvery (@buvery) 2018年6月14日 …

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職を獲れる研究者になるための20のポイント

アカデミックな世界にはパーマネントあるいはテニュアトラックのポジションは非常に少なくて、大部分の人は研究を辞めざるを得ない状況です。 職を得られる研究者になるための、職に呼ばれる力(Employability)とは、一体どのようなものでしょうか? もちろん、研究大学と教育大学とでは求める人材は異なりますし、大学ごとにいろいろな事情があるでしょうから、一律にこれが絶対条件といえるわけではありません。 0.コネを作ること 結局、「就職=コネ=呼ばれるもの」と言い尽くせるのではないかと思います。良い論文を出して人に知られるというのも、ある意味、人との繋がりを作る行為ですし。 たぶん“コネ”っていい方だと嫌悪感出す人割といると思うので、是非“ネットワーク”って言葉に置き換えて使ってみて欲しいです。 コネで仕事取れた ↓ いいネットワークがあったから仕事取れた コネ大事 ↓ ネットワーク大事#ネットワーク — Masaya Yamaguchi (@masayayamaguch) 2018年5月20日   1.論文は身を助ける トップジャーナルに論文を最低でも1報、できれば複数報持っていれば、研究者として生き残れるチャンスが上がります。ネイチャーやサイエンスのような一般誌に論文が出れば、いやでも注目されますから、それまで知己でなかった人の目にも留まり、職に呼ばれやすくなるのは当然です。 Getting your research into an influential journal is certain to give a healthy boost to both academic standing and future …

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任期が切れた助教はどこへ行くのか?

業績と 金はあれども 職は無く 任期切れ 金と業績 残し去る  (詠み人知らず ラボ川柳)   ツイッターなどで話題になっている、はてな匿名ダイアリーの記事の一部を抜粋して紹介します。全文は引用元サイトでごらんください。 周囲のパーマネントの職についている人と比べても、むしろかなり研究者としての能力を発揮しているにもかかわらず、任期付き職であるがために、去らざるを得ない人が多いのではないでしょうか?   講義だって持ったし学生の指導だってやった。自分で外部資金取ってきて、論文だって毎年筆頭をひとつは出したさ。 … 公募もずいぶん出した。北から南、東から西。ときには海の向こう。渾身の研究計画を書いて、業績欄には年齢を超える数の論文をならべた。10にひとつは面接に呼ばれた。その都度イチから推敲したプレゼンを準備し、見知らぬ土地で熱く語った。 … だけども、内定の声はかからなかった。 … 多くの先生方に言われたのは「何とかしてやりたい気持ちはあるが…こればかりは」というやつだ。 … 学生は言ってくれたりもする。「先生に見てもらえて良かった」と。 … こうして任期切れ助教は大学を去る。次にどこにいくのかは、僕だって知らない。 (引用元:任期切れた助教はどこにいくの はてな匿名ダイアリー anond:20180326180513) この記事に関するネット上の感想などをいくつか紹介します。 知っている先生の中で、金持っている人に電話しろ。会社にも。そうすれば誰かが誰か知り合いを見つけてくれる。(anond:20180326180513) アラフォー特任助教です。僕もこの年度末で任期満了です。新着論文レビューにも書いたことがあります。留学先でも論文を出しました。グラントもとってます。でもアカデミアからリタイアです。… 日本でも海外でもアカデミアの職が見つかりませんでした。… 現在のアカデミア研究業界はおかしすぎないですかね?(anond:20180326180513)   このアンケートを見ている皆さんは、「任期切れで研究職・大学教員職を失ってその後無職or専業非常勤講師orフリーター」などの不安定なキャリアに陥った人を — TJO (@TJO_datasci) 2018年3月30日 参考 「博士」に未来はあるか—若手研究者が育たない理由 (仲野 徹 nippon.com 2018.03.14) 博士課程を出た先輩がなかなか任期なしポストに就けない事態を目の当たりにする若者が、博士課程への進学をためらうのは当然のことだろう。 無題 研究者の声 (BioMedサーカス.com 2012年6月21日更新) 大学院での研究では同期よりも先輩よりもimpact factorの高い雑誌に論文が掲載された。これまでの研究室の歴史の中で自分の論文が一番高いimpact factorだった。しかし、自分だから当然の結果だと思っていた。そのときは、挫折などは凡人が感じるものだと心の底から信じきっていた。雲行きが怪しくなったのは、某財団から奨学金を獲得して海外に留学してからだった。奨学金も特に苦労せずに獲得できたため、海外のLabで自分が研究すれば2年ほどでCellやNature、Scienceに論文が出るものだと思っていた。

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アカデミックポジションの倍率

  2018/03/14    研究者の雇用問題

いまどきPIの職を得るのは宝くじを当てるようなものとも聞きますが、実際のところ、独立准教授や教授のポジションの倍率はどれくらいなのでしょうか? いわゆる出来レースというものもありましょうし、有力候補に入るかどうかが重要であって、単純な倍率にはあまり意味がないとも言えるわけですが、それでもだいたいの数字を知っておくことは、若い人にとって、ポジションを得ることの難しさを客観的に認識する機会になると思います。 そんなわけで、いくつか具体的な数字(応募者総数)を紹介します。(いずれも生命科学系で、教授や准教授のPIポジション) 学習院大学 理学部生命科学科 2015年 353名、2018年 366名 奈良女子大学 理学部生物科学科 教授または准教授 2013年 300名超 静岡大学 生物 講師または助教 2013年 177名 早稲田大学 教育学部 2013年 160名 東京理科大学 基礎工学部生物工学科 2012年 約160名 Pasteur Institute 2015年 約150名 東北大学 2018年 90名近く 名古屋大学 2015年 85名 九州工業大学 生命情報工学 2012年 78名 秋田大学 大学院工学資源学研究科生命科学専攻 2015年 69名 岩手大学 工学部応用化学生命工学科 生体機能分野准教授 2015年 67名 岡山大学 理学部生物学科教授 2013年 60名 北海道大学 大学院理学研究院・生命機能科学分野准教授 2009年 47名 岩手大学 工学部応用化学生命工学科 生命科学分野教授・准教授 2015年 35名 こうしてみると、都内の私立大学の准教授・教授の職は非常に人気が高いことがわかります。また、この倍率からすると、予め相手から声を掛けられていない限り難しいのかもしれません。   参考 大学教員公募の面接(実施側の立場) (大学の教員生活 2012年11月16日):”採りたいと思う候補者には、共通点があることに気づきました。 その共通点は複数あるのですが、まず挙げたい点は、‥ ”