Category Archives: 研究者のキャリアパス

マイケル・ファラデー(1791-1867)

マイケル・ファラデー(Michael Faraday 1791.9.22-1867.8.25)は、高校の物理で勉強する「ファラデーの電磁誘導の法則」や高校の化学で勉強する「ファラデーの電気分解の法則」でおなじみの科学者です。

 

【物理】電磁気【第23講】ファラデーの電磁誘導の法則とレンツの法則 2021/09/24 「ただよび」ベーシック理系

 

スタディサプリ高校講座 【化学】90秒でわかる!特別講義 坂田講師 2016/02/29 スタディサプリ

 

ファラデーが発見した電磁誘導は、電気回路のそばで磁石を動かすと、その回路に電流が発生するというもので、力学的なエネルギーが電気エネルギーに変換できるということを示した大発見です。つまりこれは発電所で電気が作られている原理そのものであり、今私たちが自由に電気を使えているのはファラデーの発見のおかげというわけです。

  1. エネルギー偉人館 偉人 File – No.7 マイケル・ファラデー 電気がある暮らしを可能にした ファラデーの発見「電磁誘導の法則」(マイ大阪ガス)

ファラデーは、普通の科学者なら一生かかってこれ一つ発見できれば十分、偉大な科学者の仲間入りというような大きな発見を一人でいくつも成し遂げとげているのが凄いところですが、科学者としてのキャリアパスはかなり異色です。

ファラデーのキャリアパス

貧しい鍛冶屋の4人の子供のうちの一人であったマイケルは小学校までしか行っておらず、14歳のときから製本所で働き始めました。製本所で科学関係の本を読み、科学に興味を持ち独学したようです。21歳のときにイギリス王立研究所の化学者ハンフリー・デービーの市民向け講演を聴いて科学者を志し、22歳になってようやく念願かなってデービーの実験助手・雑用係になったのが科学研究の道に入るきっかけで、その後、才覚を表して科学的な偉業を次々と成し遂げていったのです。このように中等教育、高等教育を受けることなく独学し、高名な化学者に手紙を書いて弟子入りし、研究の世界に飛び込んで数々の業績を挙げたその生き方は、強烈だと思います。

ファラデーの実験ノート

彼は実験ノート(実験日誌)を非常にきちんとつけていて、それが全部残っており本として出版されて誰でも読めるようになっているのも素晴らしいことです。


この日記のおかげで、電流が磁場を発生するというエルステッドの発見の追試を始めたのが1821年9月3日で、逆に電気回路(コイル)を貫く磁場の変化が電流を発生させるという電磁誘導の現象を見つけたのが1831年8月29日だったということまでわかるそうです(参照:アマゾンレビュー)。ファラデーが苦労して電磁誘導の法則に辿り着くまでの10年間の思考錯誤を読者が追体験できるは素晴らしいことだと思います。

 

ろうそくの科学

ファラデーの名前は「ろうそくの科学」の著者としても広く知られていますが、一般市民向けに科学の真髄をわかりやすく伝える活動をしていたほか、科学者として社会に貢献する活動をそれ以外にも数多く行っていました。

  1. ノーベル化学賞受賞者・吉野彰、出版界に『ロウソクの科学』ブームを起こすきっかけを作った著者がその魅力を語りつくす。NHK出版 2020年10月12日 12時30分 PRTIMES 彼の生きている時代にノーベル賞があったなら、都合6回は受賞していただろうと言われるほどの19世紀を代表する化学者・物理学者です。最先端の研究を生涯続けただけでなく、科学を一般の人たち、とくに子どもたちに広く理解してもらうことに尽力した人物でもあります。‥ 吉野彰氏が『ロウソクの科学』に出合ったのは、小学校4年生の時。「子どもに対して科学のおもしろさを伝えようとしたファラデーの思惑は、私に対しては見事に成功したわけだ」と本書『読書の学校』で語っています。

 

ファラデーが1831年に発見した電磁誘導の法則は、その後、1864年にジェームズ・クラーク・マクスウェル(James Clerk Maxwell、1831-1879)がまとめた電磁気学の根本原理マクスウェルの方程式(4つの式のセット)の一つを成しています。

ファラデーが科学者として成功した秘訣

ファラデーは、科学者としての成功の秘訣を質問されたときに、

Work, Finish, Publish.

と答えたそうです。「仕事をし、仕事を完結させ、論文発表しなさい」というわけです。

参考

  1. マイケル・ファラデー (ウィキペディア)
  2. ファラデーの電磁誘導の法則(ウィキペディア)

研究者の雇用問題に対する末松文科大臣の考え

雇止めや任期切れのために研究を辞めざるをえない研究者が多いと思います。自分が大学生だった当時は、業績が上げられなかった助手は定年まで助手、着実に業績を積み上げていけば、助手から、講師や助教授、教授へと昇っていけた良い時代でした。助手になったあと休職して海外に研究留学して戻ってきて復職できるなど、今から考えると楽園のような世界でした。

もちろん研究者間の競争はありましたが、競争に勝つだけの研究業績を挙げることに専念していればよかったわけで、職がおびやかされたり(すなわち、自分の生存や家族の生活がおびやかされたり)することはなかったわけです。それに対して、今の研究業界は、多少の業績があっても焼け石に水で多くの場合が任期切れの憂き目にあったり、雇止めされて研究者人生終了となります。パーマネントの教員になれず、それでも研究にこだわりたい人は、所属機関を変えながら1年契約の研究員を続けていくことになりますが、それにつきあわされる家族はたまったものではありません。家庭が壊れるか、最初から独身を貫くしかないのでしょう。研究者は、職業として成り立っていないのです。

無期転換の権利を述べた改正労働法が2013年に施行されたので、任期なしの職につけていない研究者は、無期転換の権利が発生するのが10年過ぎなので、2023年に雇止めの大きな波が日本じゅうの大学や研究所を襲うということになります。こうなることは誰にでも予見できたのに、国は無策のまま来て、いよいよ来年、2023年です。この研究者の雇用問題に言及せずに日本の研究力低下を嘆いて、今いる大勢の研究者を見殺しにしながら新たな施策を打ち出すのも無責任極まりないと思います。

研究者の2023年問題を文部科学大臣はどう認識しているのでしょうか。国会での議論の動画を見てみたい思います。(答えを先に書いておくと、雇止めや任期の問題は全部、大学や研究所の責任らしいです。)

以下の国会中継動画で、研究の話は14:03から。

 

物価高騰 年金減らすな/国立大の運営費交付金減額の抜本的転換を 2022.3.28 2022/03/28 にライブ配信 日本共産党

上の動画の自動書き起こしをもとに内容を書き留めておきます。項目名は自分が適当につけたもの。

田村智子共産党議員 の国会(2022年3月28日)での質問とそれに対する文科大臣らの回答。*太字強調は、当サイト。

14:03 次に、今日は、中心的に取り上げたいの日本の 研究力なんです。自然科学、人文社会科学の発展、社会全体の活力となって人類が直面 する問題だけでなく、20年30年後の問題への解決の力にもなります。ところが日本の 研究力は危機にあります。「科学技術立国日本にとって、20年近くも続く研究力の低迷は、国の将来を左右する深刻な事態」、これは2019年菅総理の施政方針演説なんです。研究力の低迷、岸田総理も同じ認識ですか?
14:47
議長:小林たかゆき国務大臣、岸田内閣総理大臣
14:56
岸田内閣総理大臣 :ご質問が私の認識ということでありました ので、具体的にはまた小林大臣にも答弁してもらいたいと思いますが、私の認識で 申し上げるならば、我が国の研究水準の状況、この20年近く 論文数などの実数は大きく低下して、わが国の論文数の実数などは低下してい ないものの中国やアメリカの論文数が著しく増加している、このこういった形で 相対的に我が国の立ち位置が低下している、これが現状で あると認識をしています。これは深刻な事態であるという認識、これは私も同様に持っているところであり ます。

議長:田村智子さん

田村智子:グラフを示します。研究力を何で測るかは単純ではないんです けれども総理も言われた論文数これ指標の一つとされています。中国や韓国は90年代 後半から急速な伸び、アメリカはもはやグラフに入りきりません。ドイツ、イギリスも右肩たがり。ところが日本は90年代にグッと伸びた後、驚いたことに2000年代の半ばから減少に一時期転じるんです。その後もこの低迷状態 から抜け出せていません。どこに原因があるのかをさらに見てみたい と思います。次の資料です。論文数が劇的に減少に転じたのが国立大学なんです。 1998年から2003年の5年間は日本 全体の論文数の伸びを支えていた。ところが2003年以降の5年間で劇的な減少に 転じる。特にですねここには出してないんですけど 、引用数の多い質の高い論文は年を追うごとに大幅な減少となっていったんですよ。一体国立大学に何が起きたのか?2004年度、独立行政法人となって13 年間にわたって国からの運営費交付金が毎年減らされ、今も自由に使える研究予算 人件費などが2004年度と比べて1割以上減ったままの状態なんです。中国などは研究投資で大学の財政基盤が強化されてグングン成長した。同じ時期日本 は国が大学の財政基盤を掘り崩した。この政策こそが日本の研究力の低下をもたらし たと考えますがいかがですか?
17:35
議長:小林鷹之国務大臣
17:41
小林鷹之国務大臣:お答え申し上げます。国立大学法人の 運営費交付金につきましては法人化以降、減少傾向にございましたが平成27年以降 は前年度同額程度が確保されているところでございます。政府としては第6期科学技術イノベーション、基本計画に基づきまして、大学などにおける研究活動を 安定的継続的に支える運営費交付金等の基盤的経費と また優れた研究や目的をと特定した研究を 支援する競争的研究費、この両者のバランスに配慮しながら大学に おける外部資金獲得の経営基盤の強化や資金の効率的効果的な活用を促すことに よって安定的な研究環境の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えます。

議長:田村智子さん
18:34
田村智子:13年間減らしたままの状態だと 、それでね、一方で外部からお金とってきなさいよってやり方なんですよ。今ね、あの 大学ファンドっていうこともですねしきりに旗降っ てるんですけども、これで財政支援の基盤を強くするんだということを政府言ってき ましたが、これね、わずか5つか6つの大学にしか 入らないお金になるんですよね。ですからね、政府が打ち上げた新たな経済支援についても 大学ファンドで日本の研究が活性化すると 思ったら大間違いだと。運営費交付金を増やした方が良いこれ山梨大学の学長さん ですけれども、こういうふうにですね厳しい声が大学の学長から次々で上がっていて、与党席からも今そのとおりという声が上がるほどなんですよ。 研究もスポーツの文化もごく一握りのトップだけを強化する、これではね、全体の 強化にはなりません。まして研究は今や共同研究の時代です。一部 の大学や研究を選択して予算を集中させる、これね、安倍政権以降ずーっとやってきた。だ けどその結果が今日の低迷なんですね。もうちょっと示してきたんです。 なぜ私が基盤的経費ということを言うか。運営交付金の削減はそのまま人件費の 削減につながるんですよ。これ、国立大学など常勤職員と書いてありますが、教員です。常勤教員のグラフなんです。任期なしというのは、下のこの緑色のところな んですけどね、これは民間企業でいえば正規雇用ですね、いわゆる。この教員が2001年 には6万人弱いました。ところが2021年、4万人にまで減少します。そして任期付きの教員、民間で言えば非正規 雇用ですね、これはね、2万人以上増えているんですよ 。特に40歳未満ではこの任期付き、いわば非正規、この教員がですね7割近くにまで、 今なっているんです。多くの若手研究者は安定したポストも研究 予算もない。先ほど科学技術担当大臣が 言われたとおり、各省庁が持っている研究予算を競争して取ってこいと、 こっちの予算を増やしましたよっていうのが政府の言い方ですから、それを取ってこい というふうにされてしまいました。そうするとどうだろうかなんです。研究予算を取って 来るためには申請しなきゃいけない。中間報告もしなきゃいけない。予算が終了する前 に次の研究費の獲得のための活動もしなければならな い。研究時間が削られる 。そして予算が取れそうな研究テーマに偏重していく。 短期での成果が求められて長期的な研究が困難になる。 そして何より任期無しのポストがこれだけ 減ってしまったので将来が見通せない日本で研究者になろうという若者が減って しまうのはね、これ当たり前だと思うんです よ。もう一度お聞きします。この運営費交付金の 削減で、大学の財政基盤を取り崩した。ここを変えなければ日本の研究力の向上など ありえないと思いますがいかがでしょうか?
22:04
議長:末松文部科学大臣
22:17
末松信介文部科学大臣:田村先生に 重要な点をご指摘をいただいたと思います。国立大学の 大学法人の運営費交付金、人件費、物件費の区分のない渡し切り予算でございまして 、おっしゃるとおり平成27年度以降、前年度と同額程度は確保しております 。令和4年度予算で1兆786億円を計上しておりまして、対前年度、4億の減となって おりますけれどもこれは特殊要因経費が減ったものであり各大学の基盤的な教育研究 活動に活用できる基盤運営費交付金は対前年度実質14億円 増の 額を確保したところでございます。国立大学の法人の人事は各法人の経営 判断で決定されるものですが、文部科学省としては引き続き 国立大学が我が国の人材育成 、学術研究の中核として継続的安定的に質の高い教育研究活動を実施して研究力の向上 に資するように、運営費交付金の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと思い ます 。この辺で下げ止まっておかなきゃならんと私はそう思います。それ と同時にですね、この任期付き教員が増えていることでございます 。国立大学の任期付き教員には競争的な環境において定義はテニュア審査、終身雇用ですね、目指す テニュアトラック期間にある教員、そして多様な人材の受け入れに教育研究の 活性化を図るため大学の教員との任期に関する法律に基づき任期を付して採用される教員、そして3つ目は、外部研究費により一定の期間プロジェクト研究に従事する研究者など、様々な対応がございます。任期付き教員が増加した理由というのは あくまで 各国立大学法人の経営方針を踏まえた人事によるものと考えております。他方、若手研究者が安心して研究に打ち込めるテニュアポストを増やしていくことは重要 であると思います。 各大学においては運営費交付金のみならず競争的な研究費や民間から人件費を捻出してテニュアポストを増やしていく取り組みも 行われておりますが、こうした取り組みの 周知も図ってまいりたいとそのように考えているところでございます 。色々とご指導していただきますようお願い 申し上げます。
24:39
議長:田村智子さん

田村智子:でその競争的な資金は期間 限定だから、ここで若手研究者が育たないよと、基盤的経費をね削減したままじゃダメ だって、これはね、 ノーベル賞を受賞した科学者の方々はじめ、さんざん、たくさんの学者の皆さんが何年もにもわたって指摘をし続けてきたんですよ 。こういう科学者の声や意見が届かないような科学技術政策でどうして日本の研究力の低迷の克服ができますかってことだと思いますよ。

任期付き研究者の雇止め問題

今この国立大学や国立研究機関の中で、任期付きで、だけど頑張ってきたという研究者が大量に雇い止めもされようとしている。これも看過できないので取り上げたい。雇用の安定を図るためとして労働契約法が改定されて非正規雇用の労働者は2013年4月1日を基点として雇用契約が通算5年を超えると本人の申し出によって無期雇用に転換をされます。ところが研究職は通算10年だという特例法があとから作られたんです。来年4月、実はこの任期付きの研究者は無期転換の権利が発生するんです。この改正労働法が施行されて10年が経つので。ところがね、理化学研究所ではこの10年を超える手前で、多くの任期付きの研究者を雇い止めしようとしています。文科省はこのことを把握していますか?

26:18
議長:末松文部科学大臣
26:35
末松文部科学大臣:ご指摘の点に関しまして先週25日付 で理化学研究所労働組合等から私、文部科学大臣に対して要請書が掲出されました。その中で 2022年度末の研究員、職員の雇い止めを撤回するよう 理化学研究所に求めること等の要請が なされていることを承知をいたしてございます。先週、金曜日でしたかね。はいっ。
27:04
議長:田村智子さん

田村智子:あの、もっと詳しく掴んでると思うんですよ。契約通算期間の上限10年以内っていう人が 296人いて、296人切られてしまうという危険性が今非常に強まっているんです。理化学研究所がですねこの労働契約法が改正された後に、任期付きの研究者に対する就業規則を変えました 。通算10年以内しか雇いませんという上限をつけたんですよ 。なぜそんな変更を行ったか。それは無期転換を避けるためでしかないわけですね 。研究者の方のほとんどが「この変更に同意をしなければ契約更新はできない」と言われて 泣く泣く了承しているんですよ。
27:54
厚生労働大臣に2点、聞きします。この無期 転換の申し出をさせないために、雇用契約に新たに上限を設けるという就業 規則の変更 これは違法なフリエ健康ではないですか?また労働契約法第19条雇止め法理に 照らせば、これまで上限なく雇ってきたその労働者はたとえ雇止めというふうに 通告されても契約更新を要求することができると思いますがいかがですか?

議長:後藤厚生労働大臣
28:31
後藤茂之厚生労働大臣:個別の事案についてのお答えは差し替え ますけれども一般論として申し上げれば、今、委員の御指摘のあった就業規則の変更に より新たに更新上限を設けることの有効性については労働契約法第10条の労働契約法の就業規則に関する定めに基づきました 。2番目の点の、更新上限による雇い止めの有効性については労働契約を第99条の 雇い止め法理に基づきましてそれぞれ最終的には司法において判断されることとなり ます 。このため使用者が更新上限を一方的に設けたとしても当該条件に基づいて 雇い止めを行うことは許されない場合も。いずれにしても厚生労働相としてはこうし た内容について引き続き周知に取り組むとともに労働契約法等に照らして問題のある 事案を把握した場合には都道府県労働局において適切な啓発指導等を行って参りたい と思います
29:39
議長;田村智子さん

田村智子:今ね、司法において判断って言われたんですけど、この労働契約法の雇止め法理っていうのはいくつもの裁判例で、 これまで非正規だったとしてもずーっと 雇われてきたと、今後も雇われるという期待があるんだから、それは雇い止めは無効だっていう判例がいくつもあると 、これを条文に落としたんですよ。

理化学研究所の雇止め、研究チーム廃止・解散

30:01
理研だってね、今切ろうとしている人たち、裁判やれば勝てますよ 。でもね、研究者が何年もかけて裁判戦うのか?ってことなんですよね。そんなことを やらせずに解決をしなければダメなんです。
30:14
先ほど文科大臣をおっしゃった通り先週 25日の金曜日、理化学研究所の労働組合は文科大臣への申し入れも行いそして記者 会見を行いました。 その中身よく聴いてますとね、先ほど上限10年とされた研究者296人と、だけど その中には研究チーム、ラボと言います、これを率いるリーダーが60人以上いて、 このチームリーダーが雇い止めになるとラボをそのものが消滅して約600人が 雇い止めになる危険性がある。このラボには博士課程の学生もいるんです けど 学位取得が困難になって行き場を失うことになってしまう。理化学研究所には12個の研究センターがあります。 特に神戸に本部を置く生命機能科学研究センター 、これBDRと略 しますけれども、 24の研究チーム、ラボが解散の危機にあってそのうち17 は移転先も決まりません。研究棟、ビル一つがこのまま行くと廃止さ れるんじゃないかっていう事態なんです。ここでは基礎研究の技術基盤の開発、科学の 手法での生物科学研究を行なってコロナウイルス関係の研究も現在進行形で 行っています 。来年から3年間のプロジェクト研究予算が決定して いるラボもあります。廃止する合理性はどこにもありませんね。 研究者の方はこれまでの研究、育成してきた人材、外部との共同研究の成果や取組み、 何年もかけて積み上げてきた研究設備、1億からに2億するといいます、これらもすべて 廃棄となる可能性がある。あまりにも大きな損失だ 。ちなみにこの分野で中国は今巨額の研究投資を行っています。 文科省大臣、研究所の合理性何もないですよ。こんな乱暴な研究者への雇い止め、研究 チームの廃止、こえr放置できないと思います。理研を監督指導すべきだと思いますが、いかが ですか ?

議長:末松文部科学大臣
32:33
末松文部科学大臣:田村先生お答え申し上げます 。まずもうあげておかなきゃならないことは 、一般論として申し上げましたら無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で雇い止めを行うこと は労働契約法の趣旨に照らしまして全く望ましくないと承知いたしてございます。それで、今の理化学研究所におきまして、国家的社会的なニーズの高い研究を機動的 に進めるため、プロジェクトの廃止も含めた見直しを適時適切に行っております。この プロジェクトの見直して当たっては、研究者の入れ替わりを含む人材の高い流動性の 確保は不可欠でありまして、平成28年、2016年の就業規程改正によりまして 、研究者には原則7年最大10年の雇用上限を設けているものと承知いたして ございます。また理化学研究所におきましては労働組合との協議を重ねまして労働者に 周知されてきた就業規定に基づき、雇用契約を結んでおりまして 、雇用上限についても労働者との対話を重ねてきているものと、そのように聞いており ます 。いづれにしましても独立行政法人であります理化学研究所において、先生から今ご指摘があってもっと監督すべきじゃないかって ことですけれども、ただ法人の自主性とか自立性のもとに業務運営は行われることが 基本ではございます。雇用上限については労働関係法令に基づきまして、法人において適切に定めたものと承知致しております。引き続き 理化学系所においてですね職員との対話を 継続しつつ適切な人事の運用を行っていただくことが重要と考えております。丁寧 な話し合いを継続してもらいたいと、そのように私は考えております。

議長:田村智子さん

田村智子:これね、研究の成果を分析しての組織改編なんかと全然違いますよ。先ほど紹介したBDRっていうのは 外部の評価も受けていて国内外の大学研究者による外部評価では大変高い評価がさ れているんですよ。差し迫った問題は、このラボが閉鎖されて しまうことだと、雇い止めに対して厳しい指摘をしてるんですよ。これがね、足元でちゃんと文科大臣がね、文科省が指導監督しなくてどうするかってことですよね。研究所の必要性じゃないです よ。無期転換したくないから機械的な10年なんですよ。これでいいのかと。

大学のラボスタッフの雇止め

実は国立大学でも理研と同じようなことが起きようとしているんですね。雇い止めの 対象は任期付きの教員非常勤講師、研究をサポートするテクニカルスタッフ など広範囲に及びます。東北大学では約240人が10年以内とされて、来年4月までに来 られるんじゃないかとこういう事態です。ある国立大学に18年勤務してきた テクニカルスタッフの方から私の事務所にメール寄せられています.『先日上司にこのまま仕事を続けてもらいたいが大学に何度聞いてもこれ以上は 難しいと言われた。一旦止めて半年開けてクーリングオフして戻ってきたらまた10 年雇えるからもどって来るように言われました。国の教育機関が脱法のようなことをしているのもとても残念です。 職場には同じタイミングで雇用期限がついた人がたくさんいます。』 と 厚労大臣、 ねっ、 一旦止めて半年おけば継続じゃないから無期転換の申出できないからだから半年後 にまた来てねと、これは違法な雇い止めではないですか?

議長:後藤厚生労働大臣
36:26
後藤厚生労働大臣:個別の事案についてのお答えは差し控え させていただきますけれども雇い止めが有効か否かについては雇い止め法理に基づきまして最終的には司法において判断されることになります。その上で一般論 として申し上げればご指摘のような契約更新場上限を設けた上でクーリング期間を 設定し期間経過後に再雇用を約束した上で雇い止めを行うことなどは法の趣旨に 照らして望ましいものではないというふうに考えます。いずれにしても厚生労働相とし ては無期転換ルールの制度の内容、趣旨や円滑な運用を周知等していくとともに労働 契約法等に照らして問題のある事案を把握した場合には都道府県労働局等において 適切に啓発指導等を行ってまいります。

ラボスタッフの雇用を守れない大学教授の苦悩

37:21
議長:田村智子さん

田村智子:実はね、この方からはその後もへメールが寄せ られているんですよ。
今この研究機関や大学での雇い止めっての がだんだん問題になってきてね私も内閣委員会でも質問しました。 その後にもメールが寄せられていて、『同僚と 2人で教授に呼ばれたと。大学から期待を持たせるなと、その教授に大学から言われた。2人が優秀なのはわかっているがこれは 仕方がない。他の人を募集するのでしっかり引き継ぎしてねと言われてしまいました』と 言うんですよ。 教授は引き続き雇いたいから、大学に雇えないかって相談を何度もかけてるんだけど 、また雇えるかのように期待を持たせるなと、だからきっぱり切れっていうやりとりだっ たってことですよ。 18年働き続けてきた。この方の就職氷河期の就職でとても やりがいをもって、この得た仕事をですね、たとえ短期契約の積み重ねであっても本当 にやりがいを持って働いてきたんですよ。しかも優秀で現場では働き続けてほしいと そう思ってるんですよ。それでも雇い止めが仕方がない 。こういう理由はね私はどこでもないと思いますよ。 文部大臣、来年3月までにはまだ時間があります。先ほどの利権の問題も含めてねほんとに 研究所に必要な雇止めと言えるのかどうか。大学で何が行われようとしているのか。これは調査をして相談窓口も設けて、実態を掴んで、機械的な雇い止めは止めるようにす べきだと思いますがいかがでしょうか?
39:05
議長:末松文部科学大臣

大学や研究所における雇止めに関する文部科学大臣の考え

39:16
末松文部科学大臣:先生から今 国立大学の雇止めの話が出ましたんですけれども、平成31年2月でも独立行政法人、特殊法人、国立大学法人におけ るう無期転換ルールの円滑な運用についてということで細かく指示はしております。 どういう結果で、なっておるかということについては定かで はありませんけれど。まあ先生から今日、理化学研究所の話をよく伺いました。そういうことでございます。答えとしましては国立大学の法人の教職員の雇用形態というのは労働 関係法令に基づきまして各法人が経営方針等に基づいて適切に定めた運用にすべき ものであると考えております。 文科省としては国立大学法人の学長が参加する会議において労働契約法の趣旨を 踏まえて適切に対応いただくよう繰り返しお願いしたきたところでございます。先ほど の、読んだこのペーパーがそうだと思います 。引き続き厚生労働省と連携しながら本日、田村先生からもご指摘なった事例も含め まして 国立大学法人に対して改めて無期転換ルールの適切な運用について周知徹底を 図りたいと考えております。
40:32
議長:田村智子さん

日本の科学技術政策における抜本的な見直しや転換の必要性

田村智子:人件費はコストで、 抑えるのが当たり前だと、安定した働き方では組織が停滞すると、雇用の流動化が必要だ と、こういう政策が経済だけでなく研究分野にも徹底されて、今や日本が成長する力が 奪われているということだと思います。最後総理に聞きたかったんですがちょっと 時間が来てしまいました。私はやっぱりね 、こういう新自由主義そのものの政策の抜本的な転換が必要だと思う、そのことを 申し上げて質問を終わります。

 

東北大学の女性限定教授公募の波紋「教授って合コンサークルか何かなのか?」

アカデミアで職探しをしている研究者の皆様に、グッドニュースとバッドニュースがあります。

グッドニュースは、東北大学が、5人もの教授を公募していること。ただし工学系の分野です。
バッドニュースは、その教授選の応募資格が、残念なことに女性限定とされていること。


そして、さらにバッドなニュースですが、東北大学の副学長が、「優秀な若手男性がポストに恵まれないことは周囲を見ていて無いと思います。」と言い放ちました。

優秀な若手男性がポストに恵まれないことは周囲を見ていて無いと思います。

優秀な若手男性がポストに恵まれないことは周囲を見ていて無いと思います。

 

優秀な若手男性がポストに恵まれないことは周囲を見ていて無いと思います。

by 東北大学副学長

思わず耳を疑うような言葉ですが、本当にそうでしょうか?

関連記事 ⇒ アカデミア研究者雇用状況の過酷な現実

関連記事 ⇒ アカデミックポジションの倍率はどれくらい?

関連記事 ⇒ 大学教員公募が必ずしも公募でない理由

今の日本の研究業界の惨状を知っている人間であれば、一体どうすればこんな言葉が出てきうるんだろう思いますが、note.comの解説によれば、

すべての教員公募が女性限定ではないので、きちんとした業績のある男性研究者がポジションを得られない訳ではない、という意味

https://note.com/sendaitribune/n/nf7f0a975486f

だったそうです。まあ、職がなかなか見つからなくてポスドクや有期大学教員を綱渡りしている人間が見たら、怒りで発狂してしまいそうなくらいの暴言ではないでしょうか。note.comでは、そのあと謝罪していました。

これは、そもそも日本全体で研究ポストが非常に少なく、日々、辛い気持ちでチャレンジを続けている若手男性研究者の気持ちに寄り添ったものではなかったと猛省しています。

https://note.com/sendaitribune/n/nf7f0a975486f

謝罪の文章を読んでも、認識を改めたようには読み取れません。別に気持ちに寄り添ってもらわなくていいので、研究業界の現状に対する認識を改めて欲しいです。ここでいう周囲の優秀な若手男性研究者の業績はどれくらいのものなのでしょうか。メジャーな大学の上層部の人の感覚がこれでは、日本の研究業界はまだしばらく暗黒時代が続くのかなぁ。

 

 

東北大学が女性限定で教授を公募したことに対する驚き・呆れ・疑問

  1. 本末転倒だな。 
  2. マジで意味わからんわ。
  3. 平等ってこういうことなん? 
  4. 女性限定。。(笑)おかしいだろ 
  5. 全く理解してないね、この大学
  6. 研究に男も女もあるもんかい!ばか
  7. 無理くり女性比率増やして意味あんの? 
  8. 男女平等の意味をはき違えた愚かな行為!
  9. ダイバーシティで女限定って、大いなる矛盾 
  10. 平等ってこういう風にしてつくるものかなー 
  11. 女性限定など姑息な大学運営としか言いようがない
  12. 思考停止国家らしいあほ 最高学府大学でさえこれか
  13. アホなさくやな。もうちょっと知恵が回らんのかな? 
  14. ばかすぎる 割合を増やすことが自体が目的になってる
  15. 無理矢理増やして無能ばっかり集まっても仕方ないでしょ
  16. ジェンダー差別に他ならない。誰か止めるやつ、いなかったの?
  17. いっきり性差別じゃないか しかも教育機関がやるとか論外だよ 
  18. コンビニのレジなら構わないが、大学の教授だぞ!何を考えているんだ
  19. ホントに愚かだな。結局苦しむのは女性なのに、そのこと解ってるのかな
  20. 工学研究科が、こんな合理性のかけらもないことやるの?悪い冗談でしょ?
  21. 比率のためなら能力ある者も排除するという発想が頭の悪さを顕著に表してる。 
  22. 能力が低くても、女なら採用ってことでしょ。大学の質が落ちるぞ。バカでも分かる話。
  23. やっている感だけを求める馬鹿施策にしか思えない。性別で分けてどうなるんだ?笑うしかない。 
  24. 目的が大学が掲げる『目標達成』のために女教授を『作る』ことであり、女性教授を増やすことではないのが笑うわ。

 

ほんこれ。

性別ではなく能力によって入学を認め、女子学生の受け入れに道を開いた初代総長澤柳政太郞も嘆くことだろう。

https://news.yahoo.co.jp/profile/comments/16506927362598.9553.32283

 

 

東北大学が女性限定で5名の工学研究科教授を公募

東北大学が、東北大学ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)推進プロジェクトの第一弾として、工学全般の広い研究分野において教授職の女性教員5名(任期なし)の公募を開始しました。

工学研究科 教授(女性) 5名 (8/1締切)

募集種別:工学研究科 教授(女性)

下記の 6 つのグループに属する⼯学研究科 13 専攻の中から、
ご⾃⾝の専⾨を踏まえ、配属を希望する専攻を選択ください。
なお、複数の希望がある⽅は順位を付してください。

  1. 機械系外部サイトへ 教授
    (機械機能創成専攻・ファインメカニクス専攻・ロボティクス専攻・航空宇宙⼯学専攻)
  2. 電気・情報系外部サイトへ 教授
    (電気エネルギーシステム専攻・通信⼯学専攻・電⼦⼯学専攻 )
  3. 応用物理学専攻外部サイトへ 教授
  4. マテリアル・開発系外部サイトへ 教授
    (⾦属フロンティア⼯学専攻・知能デバイス材料学専攻・材料システム⼯学専攻)
  5. 都市・建築学専攻外部サイトへ  教授
  6. 技術社会システム専攻外部サイトへ 教授

募集人員:5名(女性)

公募締切日:2022年8月1日(月)必着
※応募者が少ない場合、公募を継続する場合があります。

転載元:https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2022/04/employ20220406-01.html

「性別・国籍・職位によらず働きやすく学びやすい環境を醸成するため」だそうですが、「性別によらず」と謳っておきながら男性を締め出す排他的な行為で、自己矛盾に陥っていると思います。ヤフーニュース(朝日新聞)の記事では2800件余りのコメントが寄せられていますが、そのほとんどが男性に対する逆差別ではないかという批判的な内容です。

 

大学教員公募で女性を優遇するのは何も東北大学が初めてではなく、女性優遇の是非に関してもこれまでにさんざん議論されてきたことです。

2010年,いくつかの大学で教官の女性限定公募が行われた.改善しない男女比率を,もっと直接的なやり方で上げてしまおう,と言うわけである.‥ 就職の性差別を堂々とやろうと言うのですよ.それも,実力主義のはずの研究の世界で.同じような違和感を持った人は多いのではないだろうか? インターネットを見ると,特に男性ポスドク,院生からの批判的な意見があふれている.だが,なぜかそういう意見は,表には出てこない.

(引用元:共同さんかく、応募のしかく、ごかくの評価は得られるか?

 

阪大教授が2012年頃に書いたコメント

共同さんかく、応募のしかく、ごかくの評価は得られるか?

は長大な文章ですが、ここで、女性限定の大学教員公募に関する論点が整理されて言い尽くされており、問題解決のための妙案も示されているように思います。

今回の東北大のニュースで寄せられた3000近いヤフーコメントを読んでみたらどれもこの阪大の先生の分析に集約されると思いました。

東北大の女性限定教授公募の朝日新聞の記事はこちら:

ヤフーに掲載されたこの朝日新聞の記事(archive.org)に対するコメントをいくつか整理して紹介します。

女性限定公募が憲法に反することについて

憲法に書いてあることが守られていないのに、憲法違反ではないということになるのなら、そんな憲法は存在する意味なくない?と思うのですが、どうなんでしょう。

  1. 憲法14条には「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的 関係に おいて、差別されない」とあるが、今回の東北大学の採用は明確に違反していると思う。 

 

女性限定公募の違法性について

不合理な理由で男性ばかりが教授になっていたからそれを是正するというのならわかります。今回は、そうではないでしょう。違法かどうかを決めるのは裁判所なので、誰かが訴訟を起こさない限り、本当のところ違法なのかどうかはわかりません。

  1. 国立大学が男女雇用機会均等法違反を堂々とやらかす神経が怖すぎる 
  2. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律って知らんのやろか?
  3. そもそも女性差別で男性教授が多いわけではなかろう?!
  4. 男女雇用機会均等法5条に、「労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」とあります。8条では、「均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置を構ずることを妨げるものではない」となっていますが、こういう措置をとる者は、「何が障害となっているのか」及び「この措置がその障害を取り除くための合目的措置となっているのか」を明らかにしなければいけません(立証責任がある)。 

条文は機会均等の障害になっている事情の改善を求めている.「女性教官の数を無理やりに増やす」のが事情の改善ならば,「現在女性教官の数が少ないこと」が機会均等の障害ということになる.要するに,「少ない原因は少ないからだ」ということだ

(引用元:共同さんかく、応募のしかく、ごかくの評価は得られるか?

上の分析は、女性限定大学教員公募の根拠とされていることの論理的な可笑しさをわかりやすく説明してくれていると思います。

 

今まで女性が虐げられてきたのだから今の男性は文句をいうなという暴論の非合理性について

この公募に関して、東北大学副学長(広報・ダイバーシティ担当 女性研究者 )がツイッターで不用意な発言をしたため、もともと炎上するネタだったのにさらに油を注いだ形になりました。

ツイッターなどにも、ヤフーコメントにも、昔のつけを今の若者に払わせるなという憤りの声がいくつも見られました。副学長の発言を受けての反論です。ここでは一つだけ、言い得て妙だと思ったヤフーコメントを紹介。

  1. 誰かわからんけど男に殴られたから、男なら誰でもいいから殴り返すという論理と同じ 

 

教授の男女比を合わせることの無意味さについて

東北大学では代々、女性の教授候補が不合理な理由で落とされて続けてきたという事情でもない限り、男女平等のために教授の男女の数合わせをするというのはバカげた発想だと思います。

  1. 男女の比率が同じならそれだけで良いのか?教授って合コンサークルか何かなのか?  
  2. その研究分野で頑張って成果をあげて評価された人が教授職につけばいいのでは?そこに、女性が何か%いなければという発想自体がおかしい 
  3. まだ国会議員で女性枠をつくるというなら分かる。どんな立場の人でも国会議員になる資格はあるから。だけど、教授職は完全に実績で勝負するべき職業。 

 

東北大学が「男女の雇用機会均等」の意味を履き違えていることについて

これが一番大事なポイントじゃないかと思います。「機会」を平等に与えるべきという趣旨にもかかわらず、最終結果でしかない教授の男女比の数字だけ作ろうとするのがナンセンス極まりないと思います。理系に進む女子高校生が少なかったり、工学部を選ぶ女性が少なかったり、大学院に進学する女性がすくなかったり、アカデミアで教授を目指す女性が少なかったりした結果でしかないのですから、その途中途中のプロセスをすべて改善していかないかぎり、教授の男女比は望んだものにはならないわけです。東北大は女性限定公募をするのであれば、過去の教授選のほとんどで女性差別が存在したという証拠をまず見せるべきでしょう。

  1. 男女の「雇用機会」を均等にするのが本来のあるべき姿であって、無理に「雇用者割合」を均等にするのは意味がわからない。 
  2. 男女を問わず能力のある人を雇用するというのが目的であるはずが、「男女比の目標を達成する」ことにすり替わってはいないかと。 
  3. 男女の雇用機会均等というのは男女比率がどうこうではなく、性別を理由に一方に不利益が出ない事を目指す取り組みを言うのではないだろうか。
  4. 平等の意味を履き違えるとこうなる。採用人数が平等ではなく、適正を見極めて平等に選定すればよいだけ。 
  5. 有能なのに女性だからという理由で排除するのがダメであって、無能でも優先的に女性を採用しろとは誰も言ってない 
  6. 女性比率が上がるのは優秀な人が評価された結果であって席を用意することで強制的に数値を上げるお人形を置くことではない 
  7. 能力や研究実績で評価した結果教授・准教授に占める男の割合が多いとしてそれに何の問題が? 

 

女性限定公募が逆差別・性差別であることについて

いまさら言うまでもないですね。

  1. 性差別を無くすために差別をするのか。
  2. これこそ差別。男性女性区別なく、能力で採用してこそ本当の平等。 
  3. 本当に最近は逆差別が当たり前になったね。それを狂ってるって言えない社会が狂ってるんだよ 
  4. これ結局この前の東京医大の男性医師を多くするために男子学生に加点するって考えと同じじゃん。 
  5. 大学教授に必要なコンピテンシーやスキルセットを持っているかがキーであってチンチンの有無できめるのはおかしい。

女性に生まれたかった男性の声

自分もJREC-INの公募情報を見ていて、「女性限定」の言葉を見るたびに、女に生まれときゃよかったと思っていました。

  1. ぁあ、おれも女になりたかった
  2. あたしも女体で生まれたかった〜ん

 

LGBTの応募枠に関する疑問

女性枠への応募資格があるのかどうなのか、気になるところです。

  1. LGBTとか考えると男性だの女性だの規定すること自体が間違ってるような気がしますけどね。 
  2. 性的少数者を差別していることになると思いますけどねえ。LGの方は応募権があるのかどうかもはっきりしない。 

 

女性限定公募がかえって女性差別を増長させる危険について

教授はいったんなると、何十年もそのポジションを塞ぐわけですから、今大バーゲンセールをやってしまうと、数年後に現れる優秀な女性研究者は職が得られないということになりはしませんか。

  1. 無理に女性を増やそうとすると、能力がないのに女性だから教授になれたと言われてしまい、余計に男女差別が広がります。 
  2. 数を目標にするのいい加減やめた方がいいと思うんだよな 無理に数だけ増やしたその女性のせいで将来の本当に優秀な女性の活躍の機会を奪っているような気もする  

男性研究者と女性研究者の感情的な溝が深まる

優秀な男性研究者が多数職にあぶれて就職できずに困っている状況で,女性限定公募を行えば,当然自分の性別を常に意識し,その有利不利を考えざるをえない.男女共同参画のゴールは「両性が自分の性別を気にせずに研究できるようになる」ということのはずなのに,むしろ逆行するのでは?

(引用元:共同さんかく、応募のしかく、ごかくの評価は得られるか?

 

女性限定公募が女性の人間性を尊重していないことについて

女性研究者が、研究者ではなく「女性」とだけ見られているような気が自分もします。

  1. 女性の割合を増やすと言ってる時点で、人を性別でしか見てないのが明らか。自己矛盾。

 

女性限定公募は女性の能力が低いとして侮辱する行為にほかならないことについて

本当にコメントされている方たちの言う通りですね。

  1. これって女性が無能だって自分で言うようなものだよな。 
  2. 女性なら能力が劣っていても採用しますよという意味でしかない。
  3. 「女性は(能力的に)男性と互角に競えない」と言ってるようなものだと思います。
  4. この政策自体が、理系分野で特性上、女性は男性より劣っていると言ってるようなもの。  
  5. 女性限定にしたと言うのは、それほど優秀な人材が女性にはいないと言っているようなもので、逆に女性を侮辱している。 

女性研究者に対する侮辱

女性は限定公募でなければ職に就けない,ということは,要するに女性は能力が低くてもよいと言っているのと同じである.

(引用元:共同さんかく、応募のしかく、ごかくの評価は得られるか?

 

日本の研究力の低下を危惧する声

研究不正疑惑に問答無用で蓋をして捏造疑惑論文製造者集団を野放しにしているのも腹立たしいことですが、人事においてもこんな不公正なことをやっていると、研究業界がどんどん魅力のないものになっていきますね。

  1. 日本を潰したいの? 
  2. これで博士に進まない男性学生が増えるかもね 
  3. こんな事してるから日本の技術はどんどん衰退していくんだと思うの。 
  4. このような愚策により、若手研究者のモチベーションが下がるのではないか
  5. アホみたいなことをするね。こんなことをしていたら日本の学問は衰退する。 
  6. 本気で研究力や国力の低下を憂慮してたらこんな発想にならないもん。男とか女とか関係無くとにかく優秀な人を採用して死に物狂いで研究力向上に努めるはず。  

成果主義の原則の放棄

PIへの採用は,1論文の採否よりもはるかに重い.そこに男女の差を持ち込むということは,成果が絶対でなく,それ以上の判断基準があることになる.これはサイエンス全体のモラルの低下につながりかねない.(引用元:共同さんかく、応募のしかく、ごかくの評価は得られるか?

 

研究者の人生を賭けた熾烈な競争により科学研究が成り立っていることに対する無理解について

数ある論点の中で自分が一番訴えたいのがコレです。研究は競争であって、研究者はそれに人生を賭けているのです。そこに女性だから高い下駄を履かせるというのは、競争の前提となる公正さを著しく損なう行為です。女性限定公募というのは、科学の在り方を否定するに等しいと自分は思います。

  1. ポスドクや助教は皆、ただでさえ少ないポストに就くため命がけで論文を書いている。優秀な研究者が、安月給や競争に疲れて、離脱するのを何人も見てきた。今の教授陣も若い頃苦労しただろうに、なぜ文科省の言いなりなのか?
  2. もともと博士課程なんて超リスク。その上でこんなことやられるなら、男性はなおさら博士課程行くのやめたほうが良いな。任期なしのポストなんて、超過当競争な状態。生活全部を研究に費やして、優れた成果を出していてもなかなか手に入らないポストなのに、男性応募不可の枠ができるとか最悪だろう。
  3. 当方、50代過ぎ、地方大准教授。20年近く前から「女性優先」公募は多かったが、「女性限定」が目立ち始めたのは5-6年前から。昇進にも、「女性限定」が多い。ほんと心折れるよな。当方もそうだったので、よくわかるが、男性ポスドクならもっとそうだろう。頑張っても、チャンスすら与えられないんだからな。

科学者は,より大きな成果を上げるために身を削っている.それができるのは,成果で自分が評価されるという信頼感があるからだ.それがなくなったら,やっていられない.論文のリジェクトの理由に,男だからダメ,女だからダメ,とあったらどう思うだろう?

(引用元:共同さんかく、応募のしかく、ごかくの評価は得られるか?

 

国の圧力や文科省による大学支配について 

お金で脅して言いなりにするって、人間として最低の行為だと思うのですが、文科省や国が大学に対して当たり前のようにやっていることなんですね。

  1. 男女平等とか言っといておいて、数値目標にあわせるっていうのが、きもい。 
  2. 知ってる先生から聞いたけど、京大も女性教員増やさないと定員減らされるので今必死に探してるらしい 国立大でそうなったらもう終わりやわ! 
  3. 文科省が、各大学に予算を配分するための指標のひとつが「構成員の中の女性比率」だからなだけ。東北大学に限った話ではなく、こうして、全ての大学が予算という鎖に縛られて、踊らされている。 
  4. 本当に問題意識をもってやってる取り組みじゃないですよね、これ。文科省から女性教員の比率の目標立てさせられてて、それを達成できなかったら交付金の査定に響くからやむなくやってるだけですよ。 
  5. これも国が女性教員率や女性教員の上位職登用率を大学のKPIにあげさせて、補助金の増減ちらつかせて無理強いしてるからだろ。文科のやることはろくでもないし、それに従う大学幹部もどうかしてる。忠犬ポチ公やん。 
  6. 女性の採用者を増やせと国が言うてるんやから仕方ないわなぁ 国の言うてることがおかしいもん おかしな公募もこれから増えるよ 
  7. 国は2025年までのできるだけ早期にあらゆる分野で指導的立場(管理職、教授、国会議員など)の女性を30%以上にするとしている。その指標にどれだけの意味があるのでしょうか。
  8. 私は某国立大学を昨年三月に定年退職した名誉教授職にありますが、ここ数年女性限定の公募が複数ありました。研究や管理運営の能力においては男女の区別は無いはずですが、学内の複数のセンター長等のポストも女性に限定されていました。大学力の向上に向けた適材適所という言葉は既に死語になっていました。独法化したとは言え文科省の数値目標圧力を意識していましたね。 

教授の男女比の目標値の根拠に合理性がないことについて

一見もっともらしいグラフを見せていても、議論のための比較対象が違うんじゃないかと思います。これが論文だったら、論理的じゃないからリジェクトになるでしょう。

東北大学が公開している学生数をみると、

工学部 学部学生3,475人のうち女子学生 387人 (11.1%)

大学院工学研究科前期課程1,502人のうち女子学生166人(11.1%)

大学院工学研究科後期課程521人のうち女子学生 90人(17.3%)

となっています。現在の教授の男女比に不平等さがあるかどうか議論するためには、東北大学工学研究科の教授職への応募者の女性比率を示すべきです。その数字が新聞で報じられていないため、この新聞記事の主張を鵜呑みにすることはできません。新聞記事のグラフは、女性比率の高い文学部なども含めた、全学部あわせた平均です。

ちなみに留学生数は、学部2.4%、大学院前期課程12.9%、大学院後期課程43.2%となっていて、博士コースの留学生の割合が大きいことに自分は驚きました。この表だと日本人に限定した場合の博士後期課程の女子学生の割合もわかりません。

  1. 機械や電気に興味を示す女性自体が少ないのが根本的な原因では? 
  2. 女性の就業率(役職)が低いとあるが、当の女性が望まないのに上がるわけがない。
  3. そもそも女性の応募が極端に少ないなら、女性限定で募集しても増えないと思うが… 
  4. 工学系の学生自体男女比が著しく偏っているのに、教授だけバランスとるのは合理性に欠ける。 
  5. 教授の公募って応募資格も限られてて,応募資格を持つ人の人数の男女比を見た上でやらないと,男性の倍率が20倍で女性の倍率が3倍とかになってしまうなら,それはちょっと違うんじゃない? 
  6. 物理や電気系の学科の女子率は数パーセント、なのに女子限定で優秀な人を採れるはずがない。 
  7. 理系入学女子は学科によっては2割に満たない。さらに大学院までとなると1割となる。その一割の中から優先して女子を教員に採用するとなれば能力が基準に満たない者も採用せざる負えないだろう。 
  8. 私は大学の専攻は機械工学科だったが、私の学年は、生徒数が150人ぐらい居て、女性は1人しか居なかった。1%にも満たなかった。元々の学科の専攻の男女比がこんな感じなので、女性の教授の比率を上げることは、不自然な事だな、と感じる。 
  9. 業績はあるのに未だ正規の職にありつけず、それでもアカデミックポストを狙っているという人は男性が圧倒的多数であるという事実があります。
  10. 教授が少ないのは、現職の女性教員が単に業績が少なくて教授になれないからなんじゃないの?
  11. そもそも教授候補として値する人々のなかの男女比がどれだけか。‥ 99:1とかで候補になりうる人材が非常に少ない分野であればこのような公募を続けていけば本来なら教授になるわけのない無能が教授になる可能性がでてくる。

 

女性のキャリアパスの途中の過程の改革が大事であることについて

教授の男女比は「結果」にすぎません。なぜ教授が男性ばかりなのか?なぜ教授選への応募者が男性ばかりなのか、なぜ准教授、講師、講師に女性が少ないのか、女性が研究者としてのキャリアパスを歩むための支援が十分なされているのか、なぜ大学院に進学する女子学生が少ないのか、なぜ理系の大学を志望する女子高生が少ないのか、なぜ理系を志す女の子が少ないのかと考えて、途中の過程で男女が平等か、ライフイベントを考慮したものになっているかを吟味して改革をしていくべきでしょう。全部をすっ飛ばして最後の教授の比だけを取り繕うというのは、偽善的だと思います。

研究者として自分を確立していかねばならない20代後半~30代前半が,出産・育児の適齢期なのである.このハンデは大きすぎないだろうか?

(引用元:共同さんかく、応募のしかく、ごかくの評価は得られるか?

  1. 平等は数や比率ではない。それらは結果であってプロセスではない。 
  2. やるべきは、女性が働きやすい環境を作りつつ、採用は男女平等であるべき
  3. 最後の結果だけの数合わせ。それ以前の環境を改善したりするほうが有用なのでは?
  4. 元々女性教授が少ない環境がおかしいと思わないところが東北大学のおかしいところ。
  5. 女性が働きやすい環境にするとか、優遇とまではいわなくとも女性が働きたくなるようなメリットを与えれば、自然に比率は増えると思う。
  6. こんな数合わせの公募をやるより、どうして女性教授の数が少ないのか、何が障害になっているのか、それを見極めなければ真の解決にはならないだろう。
  7. ガラスの天井を無くすための取り組みや、育児休暇の取り方や取りやすさなどの環境づくりに取り組みをしたほうが自然と入ってくるのではないでしょうか
  8. 単純に男女差別なく公平に審査(審査結果は開示)して採用し、女性が働きにくい原因があるならそこを改善する等が正しいやり方なのではないでしょうかね。 
  9. ジェンダーフリーが浸透し、そういう社会で育った世代がジェンダーに囚われることなくポストを望むようになった結果、男女の数が均衡するというのが道筋なのでは?それを直接的に最終結果を求めるのは賢明とは思えない。

女性限定公募が致命的間違いであることについて

能力が低い人を教授にするって、ただただあり得ないと思うんですが。教授という職は東北大にとって、そんなにどうでもいいような職なんでしょうか。

  1. 5人の医師(A,B,C,D,E)がいたとして、評価もこの順だったとする。Eだけが女性としよう。あなたの手術の執刀を”男女平等”にペアで組まれたとする。AとEで貴方は安心できますか?私ならAとBが良い。  

 

女性限定教授公募の犠牲者が学生であることについて

割を食うのは学生です。

  1. 能力で選ばれた教授に師事できないのは学生がかわいそうだわ 
  2. 女性であるというだけで選ばれるアホに教わる学生からしたらたまったものではない 学費を払って研究しに来る学生は、決して女性の教授に教えを請いたいわけではないと言うこと。女だろうが男だろうがどっちでも良くて、「ちゃんとした研究が出来ること」を望んでます。
  3. 学生たちは、下駄を履いた大学教授に教わるために、大金と労力を注ぎ込んで東北大学に入ったわけではないだろう。 

 

女性優遇人事で避けられないこと

容易に想像がつくことですが、実際にそういうことになるそうです。

  1. 男女比を調整するために女性を公募すると、それを希望する男性より能力の劣った女性が選ばれることがある例を何度も目にしてきた。かえって不公平なのでは?

 

女性優遇人事がもたらす不幸な結末

これも容易に想像がつくことですが、実際にそういう例があるそうです。

  1. 女性枠で、男性に比べて見劣りする研究者を採用しても、結局競争についていけずに離職したのを結構見かける。
  2. 無理矢理に(明らかに能力不足な)女性を研究室主宰者で取った挙句、初年度の配属学生が全員不登校になった研究室とか見たことあります。 

 

女性限定公募で採用された人が偏見を持たれることの心配

申し訳ないですが、自分もそういう目で見てしまいそう。自分が個人的に知っている女性PIはみんな非常に優秀な人たちばかりなんですが。

  1. この募集で教授になっても学生に舐められるでしょ。 
  2. 女性だからと、実績がたいしてなくても副学長になったりね。
  3. 東北大学の教授は能力ではなく性別で選ばれるものなんですね。素晴らしすぎる。 
  4. 「東北大の教授は、能力ではなく性別でなった人」と今後思われても仕方がないですね。 
  5. これで採用された教授は生涯「女だから下駄履かせてもらっただけ」と言われ続けるよ。
  6. こんな性別限定枠で採用されても「あ、優遇されて入ってきた女の子ね」と色眼鏡で見られて正当に評価されないと思う。
  7. もしこれで教授になった人がいても、「女性枠教授でしょ?」って言われちゃうようになるのわからないのかな。。。 

 

女性限定教授公募で男女比を変えようとするのは性急過ぎるという指摘

ポスドク1万人計画とかいうのも昔ありましたが、いつもテキトーな数値目標を出してくる文科省が2025年までに女性比率を××になどというから、こんなとち狂ったことをやって間に合わせようとする大学が出てきてしまうんでしょうね。

  1. 結果論として長年かけて最終的に男女比率が同じくらいになることはあるでしょうが無理矢理女性割合を上げることは愚策中の愚策です。 
  2. 今の教授職相当の年齢の理工系博士号持ちの女性はかなり少ないはず。だから今の教授職の女性比率が少ない。今は昔に比べて女性の理工系博士号持ちは増えているはずだから、時が経てば自然に教授職の女性比率も次第に上がっていくはず。それを急速に変えようとするから軋轢を生んでしまう。 

 

女性限定教授公募が表層的であることへの懸念

根本的なところから深く考えて施策を打ち出す大学であれば、女性限定で教授の公募なんてやらないだろうなと思います。

  1. 見せかけのダイバーシティですね。 
  2. 当面の見せかけだけの平等なんて意味がないような
  3. それを目標にしてしまうと、達成して終わりになりかねない。  
  4. 数字とか体裁だけ揃えて満足する役所仕事な感じがして仕方ない。
  5. 大学のやっている感が妙に悪目立ちしているように思えるのは気のせい? 
  6. 無理矢理女性の比率を上げようとする行動には意味ないよね!数字だけで中身が無い! 

男女共同参画事業:

女性の少ない理由は,女性が,出産・子育てなどの時間・体力的なハンデを背負っているからであり,その点をサポートして社会進出を後押ししよう,というのがその趣旨だ.この考えは,国会で法律化されており,各国立大学法人は,少なくとも20%の教官を女性にするように努力目標を与えられている.そのため,各大学や学会にそれぞれ委員会が作られ,女性社会進出の啓蒙活動等を行っているわけである.

(引用元:共同さんかく、応募のしかく、ごかくの評価は得られるか?

 

東北大学に失望

東北大というか、旧帝大という日本の科学技術を背負って立つレベルの研究大学がこういうことをやるのは、勘弁してほしい。

  1. 男女平等をはきちがえるな。東北大がっかり。
  2. 東北大ともあろう所が正気でやってるのが間抜けだね。
  3. 大学は物事の本質を考えるところと思っていました。東北大学という名門大学でありながら、物事を表面的にしか考えることができないとは、とても残念です。
  4. 性別ではなく能力によって入学を認め、女子学生の受け入れに道を開いた初代総長澤柳政太郞も嘆くことだろう。

 

東北大学の女性限定教授公募実験への期待

ヤフーコメントはほとんど(多分9割以上)が批判的なものでしたが、少数ながら賛同する声もありました。その中でも特に自分が説得力を感じたものを2つ紹介します。

  1. 工学部は特に女性教員が少ないせいで卒業後のキャリアのイメージを学生・保護者ともに持つことができず、女子学生の数が増えないという悪循環に陥っています。日本は理系人材の需要が上がっているにも関わらず、少子化で人材の確保が難しくなる一方で、女子学生に工学の魅力を感じて来てもらえるかが急務です。アカデミックに限らず企業でも女性のロールモデルを増やし、女子学生に工学の道を現実的なキャリアとして思い描いてもらうための一歩として、東北大は一歩を踏み出したのだと思います。  
  2. ある程度数を増やして、まだ社会に残っている、「トップが女性がであることに対して多くの人が不慣れな状況」を変えるのが大切かと思うようになりました。個人的にそれを実感したのが、黒人に対してです。アカデミー賞なんかで黒人への授賞が最近異常に多いとか、一時的な不公平感は否めませんが、見慣れた光景になって違和感がなくなること、黒人であることが特に騒がれなくなるという状況は、ある意味一つの見方として平等が定着しつつあると言える気がします。そういう意味で、過渡期にはこういう処置が必要なのではないかと思います。  

 

東北大の試みに対する支持率

ヤフーコメントでの圧倒的な批判・非難に比べると、ツイッター上でのコメントは落ち着いたものが多く、東北大の女性限定公募を支持する人も結構な割合います。

過半数は反対だが、賛成意見もそれなりの割合ある、だから良いと言えるでしょうか?女性限定公募と聞いてどう反応するかは、置かれた状況で大きく変わります。他人事ならたいして腹も立たないのは当たり前のことで、必死にアカデミアで職探しをしている男性以外の人にとっては他人事です。無関係の人が賛成しているからOKということにはなりません。当事者の意見、ステークホルダーの意見を尊重すべきだと思います。

科学もやはり頭の悪い命知らずの死骸の山の上に築かれた殿堂であり、血の川のほとりに咲いた花園である。(寺田寅彦『科学者とあたま』)

女性比率を無理やり引き上げようとする東北大学で採用される女性教授は、優秀で命知らずの男性研究者の死骸の山の上に立つ存在になるということです。女性限定で一人公募というのならともかく、5人同時に公募というのは、「東北大学教授」の価値を著しく下げる愚かな施策なのではないかと自分は思います。1億円のダイヤモンドを、女性限定5名様まで1万円で売りますと言われたような気分。国立大学の教授のポジションは、日本の研究者社会全体の公共のものととらえるべきなのではないでしょうか。勝手にバーゲンセールを、排他的かつ差別的な方法で行っていいものではないと自分は思います。

 

大学教員選考における機会均等を実現する妙案

「2年間(出産と育児の期間を仮に2年とする)休んでも,その分の年齢をカウントしない.」

業績に関して下駄をはかせたりしないので,男性研究者からの反発も起きない.そもそも,研究とは違う「価値あること」に従事していたわけなので,研究キャリアからその分を除外するのは,理にかなっている.

「出産・育児休暇を取った場合,定年を2年延長する」

出産・育児をしても,その分,定年を延ばせるのであれば,女性側のデメリットはほぼなくなる.研究者としての実働時間は,男性と比較しても同じになる.

とにかく重要なのは,女性が出産・育児に集中する時間を,「ハンデ」というネガティブなものとして扱わず,社会的にも意義のある時間であると認識できる制度にすることだと思います.そうした仕組みが確立されれば,「漢」でない女性にとっても研究者という道が現実的な進路と感じられるのではないでしょうか.

(引用元:共同さんかく、応募のしかく、ごかくの評価は得られるか?

 

注意:「共同さんかく、応募のしかく、ごかくの評価は得られるか?」およびヤフーコメントは、部分部分を切り取って紹介しています。全体の主張、主旨を正しく理解するためにはリンク先の原文をお読みください。

助教はカッコいい!「助教」が日本で認められた日

助教がカッコいい職であることが判明しました。一般社会においては長らく、助教、何ソレ?だった状態から、

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桝太一アナの同志社大助教着任のニュースにより、

関連記事 ⇒ 桝 太一アナが日テレを退社し同志社大の助教に着任

一瞬で空気が変わったように思います。これで、みんな胸を張って自分は「助教です。」と言える空気が日本に醸成されたのではないでしょうか。

採用する人間がいるのに公募すんな!デキ公募

公募の大部分は出来公募と言われても、わずかにでも可能性があるのなら出さざるをえません。自分も任期切れ目前までひたすら公募に出しつづけて、その数は軽く100を超えました。

出来公募に関するツイートを纏めます。

出来公募は存在する

公募の何割が出来レースなのかは自分にはわかりませんが、「この公募は俺が採用されるためのだから、出しても無駄だから出すなよ。」と親切に教えてもらったことがありますので、世の中に出来公募があることは間違いありません。


どの公募がガチなのかは誰にもわからないため、どうせ出来レースかなと思いつつも、応募書類作成には一切手が抜けないので、莫大な時間を取られます。

”公募”という罪なやつ

あなたは出来公募には勝てない

当て馬が勝って生じる不測の事態

内部昇進を偽装公募する背景

出来公募には当て馬が必要

自分は採用側になったことがないのでわかりませんが、内部昇進だろうが出来レースだろうが、おそらく、面接には複数の候補を呼んでちゃんと決めましたという形を整える必要があるのでしょう。誰のために?

応募を続けると家計が逼迫する

応募書類を簡易書留で送るだけでも600~700円くらいしますし、地方の大学で面接に呼ばれようものなら、交通費と宿泊費で何万円もかかります。自分も地の果ての大学に面接に行ったことがありますが、事務員に案内されて部屋に入ってしゃべっておしまい、教員と話す機会はゼロ、聴きに来た先生たちもずんだれた服装でシラーっとした雰囲気でやる気無しみたいなことを経験しました。まあわかりませんが、これは当て馬に呼ばれただけだったのかなと思いました。人を馬鹿にするにもほどがあると思います。

出来公募は研究者の心を壊す

出来公募でない公募も存在する

公募要領を読み解く必要性について

 

ガチ公募の場合はその旨を発信すること

揺らぐJREC-INの存在意義

JREC-INへの要望:出来レースはみんなでチェック

出来レースには目印を

出来公募の特徴

古き良き時代への回帰を

 

関連記事 ⇒ 大学教員公募が必ずしも公募でない理由

 

日本以外の選択


日本に職がないから欧米でというのは、実際のところどうなんでしょうか。もちろん選択肢を広くしたほうが機会は増えると思いますが、アメリカも競争が厳しくてアメリカ人のポスドクもアメリカで職が獲れずにヨーロッパのどこかの国とか、オーストラリアとかアメリカにこだわらずに職探しをしていました。

任期付き研究者・任期付き大学教員問題が再燃!

ツイッターを見ていたら最近、大学教員や博士研究員(ポスドク)の任期に関する意見が飛び交っていました。研究者の切実な声、貴重な意見を纏めます。

 

研究職の任期制に対する肯定的な意見

日米の流動性の違い、任期の制度上の違いについて

 

制度設計の不備について

 

 

理想的な制度設計


 

 

 

 

他国の事例

 

 

任期に関する議論における生存者バイアス・強者の理論について

上の意見にも同感で、科学の進展は、職を保証してくれるようなきらびやかな論文によってだけ進んでいるわけではありません。

任期付きであることが生み出す不安感について

 

 

研究者は任期制によって人間としての生存権が常に脅かされていることについて

任期付きに対する世間の見方

任期制が研究力の低下をもたらしていることについて

雇用側と被雇用側との立場の違いについて

任期制を肯定する意見に対する反対意見

結局は任期付を肯定してる人はそれまでに何人の犠牲と屍が横たわっているかを考慮せずに自己陶酔に陥っているだけなんですよ Ken(犬)究者@任期付研究員(求職中)@tanuki_ken

上の意見に自分も同感で、日本で名の通ったラボにいて、教授のもとでそれなりの(その分野では十分に一目置かれるだけの)成果を挙げている人が、結局パーマネント職に就けずに路頭に迷う危機に瀕しているというのが、今の日本の現状だと思います。研究者として十分に成功していても、職がないのです。大ボスであっても、多大な貢献をしてくれた部下の職の世話ができないくらいに、アカデミアのパーマネントポジションは限られているのです。研究者としてスーパーサクセスフルな人だけがかろうじて生き残れる、そんな業界に足を踏み入れたいという若者がどれだけいるのでしょうか。

 

任期付きという現実


 

 

ちなみに私は任期切れで研究を辞めました。

関連記事 ⇒ 末は博士か大臣か? ― アライさんなのだ

 

任期付き教員・研究者に関する議論再燃

いつまでたっても全然解決の見通しが立たない問題なので、ときおりこうやって議論が燃えさかります。たしか、8か月くらい前にもツイッターがにぎわっていました。

 

任期付き大学教員・任期付き研究者に関する義路の結論

教育の罠(teaching trap)に嵌らずに研究のアクティビティを維持させる戦略について

研究者の就職

業績がある研究者でも、研究環境に恵まれた大学で定職を得ることは至難の業です。トップジャーナルに論文を出してきた、バリバリに研究指向の人であっても、教育メインの大学であってもパーマネントジョブが取れるだけましという現実があります。

かなりの数(数十~数百のオーダー)の応募書類を書き,ほぼ全ての大学から不採用を告げられ,いくつかの大学から面接に呼ばれ,そのうちの一つの大学からオファーをもらえば,例えその大学が何処のどのような大学であろうと御の字と考えなければならないのが現状である.(【大学教員への道】有益な書籍・サイト akt37 2013年9月7日

 

教育大学で職を得たその先にあるもの

私立大学の場合卒研生や修士の学生ら数十人に囲まれることになります。戦力には到底ならない彼らの面倒を見ながら研究のアクティビティを維持できるものなのか、自分には想像ができません。

多くの教員は業績があって採用されて、その後成果を上げられなくなっていっています。特に最近は。なぜか?まず週に講義を5-6コマ担当し、入試・教務・学生委員会など委員に選ばれれば必ず出る必要のあるさぼれない委員会や会議が週平均1.5回くらいあります。校費は昔は100万以上あったのが今は10-40万です。大手の大学と違って、卒業研究の指導も教授自ら真剣に手取り足取りやる必要があります。そのうちちょっとデキの良い学生は大手の大学の大学院に行ってしまい、自分のところには誰も来ないか、来ても2年間バイトにあけくれるモラトリアム組です。そして、論文も急速に出なくなり、着任当時は当たっていた科研費も次第に当たらなくなります。(ポスドクから見たダメ教員 5号館のつぶやき 2007年 10月 28日)

 

教育の罠(teaching trap)とは

I’m remembering what it felt like to spend so much time on teaching because I’ve been inundated the past two weeks by new faculty who are frustrated about how much time, energy and effort they are spending on teaching and service and how little is “left over” for research and writing. (The Teaching Trap. Armando Bengochea March 15, 2010)

Teaching Trapの定義:

The trap is when new tenure-track faculty spend the vast majority of their time on teaching at the expense of their research and writing and then find that their limited research productivity endangers their ability to be promoted at their current institution, or move to another one. (The Teaching Trap. Armando Bengochea March 15, 2010)

 

教育の罠(teaching trap)に嵌らない方法

テニュアが取れるかどうかがかかっている状況であれば、教育よりも研究業績を上げることに集中するしかありません。いい教育者になるのは、パーマネント職についてからで十分です。まあ、テニュアトラック制度を敷いているということからして、これはある程度いい大学(研究環境に恵まれている大学)の場合の話でしょうが。

Concentrate on your research. If your research is good, no one will care if you can teach. After all, when was the last time someone got tenure for being a good teacher? (Academic Scientists at Work: To Teach or Not to Teach? By Jeremy M. Boss, Susan H. EckertMay. 9, 2003 , 8:00 AM sciencemag.org)

Put research and publishing ahead of the needs of your students. You can be a good teacher after you get tenure.

Once you have established your classes, do not reinvent the wheel every
semester. Make small tweaks to improve classes, do not overhaul unless directed to from the outside. (Getting Started on the Tenure Track: Challenges and Strategies for Success Article in Schole · January 2019 DOI: 10.1080/1937156X.2019.1589804)

参考

  1. Tribal, proletarian and entrepreneurial career stories: junior academics as a case in point November 2015Studies in Higher Education 42(7):1-17 DOI:10.1080/03075079.2015.1092129 Authors: Oili-Helena Ylijoki Lea Henriksson 無料要旨 Drawing upon a narrative approach, five career stories are constructed: the Novice of the Academic Elite, the Victim of the Teaching Trap, the Academic Worker, the Research Group Member and the Academic Freelancer.

【激論】万年助教の是非 任期制導入の影響

ツイッターでパーマネント助教問題が議論されていたので、目についたものを拾っておきます。過去に問題視された万年助手と今まだ一部存在するパーマネント助教とは、全く別物だと理解しておくことが大事です。今は次のポジションがほとんどないので、パーマネント助教のポジションで業績がある人でもそこにとどまらざるをえない人がほとんどだと思います。

万年助手問題:かつて万年助手・万年助教が存在していたことについて

自分が大学生のときに、高齢(40代~50代?)の助手の先生がいたように記憶していますが、万年助手問題なるものが存在していたのかどうか全くわかりません。

万年助手を排斥しようとした動きについて

万年助教の絶滅危惧について

国立大学でも任期制が導入される前に助教になった人は、パーマネントなので定年まで助教でいることができます。自分の場合、任期のある助教だったため任期切れで研究を辞めざるをえなくなったので、定年まで雇用されるという経済的にも精神的にも安定した状態で研究を続けられる身分がうらやましく感じられます。次にステップアップするのはなかなかポストがないので大変だと思います。昔の万年助手問題に該当するようなパーマネント助教を自分は知りません。自分が知っている人たちはみな、きっちりと研究して論文を書いている人ばかりです。

万年助教の存在について

自分は全ての大学の助教が任期付きだと思い込んでいたのですが、自分が研究を辞めたあとで改めて周りを見渡してみたら、実は私立大学(の一部)では定年制の助教というポジションもあるようです。狭い世界しか見えていませんでした。

万年助手・万年助教の作られ方

任期なし助教職についている隠れた任期について

万年助手・万年助教という言葉について

万年助手という言葉はかなりネガティブな意味で使われおり、自分のこのブログ記事で使ってはいますが、あまり気分のいいものではありません。全ての万年助手・助教が仕事をせずにさぼっているわけではないからです。結果的に助教に長くとどまっているだけで研究をしっかり行っている人もいます。昔いた万年助手の場合でも、教育に力を入れていた人がいると思います。

万年助教問題解決手段としての任期制導入の正当化とそれに対する反論

万年助手・万年助教に対するネガティブな見方

万年助教という存在に対するポジティブな見方

自分が学生のときの記憶ですが、演習や実験は助手の先生が見ていました。講義で教授に質問するのは勇気がいりますが、助手の先生方はみな気さくで学生想いの人ばかりだったので、非常に初歩的な質問でも臆せずにすることができて、とても親切に教えてもらえて、いい印象しかありません。実験にしろ演習にしろ助手の先生はみなとても楽しそうに教えていたので、万年助手問題としてやり玉に挙げられているような人間像は自分には想像がつきません。

万年助教という職の素晴らしさについて

常に路頭に迷う恐怖と背中合わせで研究を続けてきて、結果的に任期切れで研究を辞めざるを得なかった自分としては、定年まで助教としてであっても研究が続けられるポジションというのは大変魅力的に思えます。

万年助教という制度に対するポジティブな見方

万年助教とひとくくりにすることについて

万年助手・助教問題と研究者の雇用問題との区別に関して

万年助教が出現することに関する普遍的な問題に関して

万年教授の存在について

パーマネント職にあるものとあらざるものとの間のとてつもない温度差について

任期付き大学教員・研究者の苦悩と任期無し教員の考えとのギャップについて

搾取される若手研究者

10年後、20年後に業界にいられるかも分からない状況にある若手に対して、若手から搾取している立場の者が、その搾取の構図を変えようと動くこともせず「10年後、20年後に業界の中核を担う若手」という表現を使うことは無責任以外の何ものでもない。(2021.04.10「シニア世代」が「若者世代」を搾取する…研究業界に見る日本社会の危機 中川 まろみ)

 

 

上のFRAUの記事は、搾取される若手研究者に関して、競争的資金の獲得においてシニアが有利な構図があるということと絡めていて、この議論に自分は必ずしも賛成するわけではないのですが、搾取の構図があるという点に関してはそう思います。

若手研究者がラボに貢献する(そこそこの)業績を上げてもパーマネントの職はなく、ラボヘッドだけが生き残っていく社会になってしまっているという点において『搾取」ではないかと思うのです。昔なら助手⇒助教授⇒教授になっていたであろう人間でも、今の時代だと任期付きのせいで、ポスドク⇒ポスドク⇒ポスドク⇒‥ とか、助教⇒ポスドクに逆戻り⇒ポスドク⇒研究人生終了とか、助教⇒研究人生終了になる可能性が大きいと思います。

 

噛み合わない議論

 

 

 

 

 

 

パーマネントvs任期付きの根源的問題

 

いちばん問題だったのは、業績のない教員でも、そのまま定年まで在籍することが多々あることだった。いわゆる「万年助手」というキャリアパスだ。任期制導入の裏には、我が国のアカデミア全体での人材循環もさることながら、こういう万年助手の方に任期を理由に辞職して頂くことができれば、という目論見があった。(任期付ポジションについて考える 2012年 04月 26日 大隅典子の仙台通信)

 

 

歴史的背景

 

アカデミアのポジションの数に関して

 

 

任期付きポジションの良し悪しに関する議論

 

 

 

任期付きポジションの短所について

 

 

数年の任期でできること

 

任期付きポジションのあるべき姿について

 

現在の任期付きポジションの不条理さについて

 

 

 

任期付き研究職の設計の誤りについて

 

 

 

任期無しポジションの有難み

 

任期付き研究者というポジションの見られ方

 

 

パーマネント職の数の絶望的な少なさについて

 

 

パーマネント職にいるシニア研究者と若手世代との間のギャップについて

 

 

 

 

パーマネント職が少ない理由

 

 

任期付き職から抜け出すためのアドバイス

 

アカデミアから民間へ【博士の転職】年齢・年代別成功事例 

アカデミアでポジションを得る場合は年齢が重要ですが、同様に、アカデミアから民間への転職にも年齢はクリティカルです。一般論として、年齢が上がるほど、転職は困難になると思います。自分が民間も考えたときにはすでに年齢的に手遅れで、ポスドクを続ける以外の選択肢が見つかりませんでした。時代も変化し、転職エージェントの活動も盛んなようなので、こういったサービスを利用すれば、また違った結果になるのかもしれません。

 

31歳の博士の転職

  1. ポスドク、国立研究所の研究員からメーカーのデータサイエンティストへ 前職 国立研究開発法人 研究所 特別研究員 現職 船舶総合電機メーカー 新規事業部門 データサイエンティスト(elite-network.co.jp)

30代半ばの転職

  1. 研究者を辞めた時のこと、そしてその後のこと (渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ 2019-01-31 TJO) 最終的に3社からオファーをいただけたのは意外であったと同時に本当に光栄でした。その中で選んだ1社が前々職です。

35歳の博士の転職

  1. ポスドク、アカデミックから飛び出し、電力領域ベンチャーの研究開発職へ 前職 旧・帝国大学 任期付き研究員 現職 マザーズ上場 電力領域ベンチャー企業(PPS) 研究開発職 elite-network.co.jp

 

35歳転職限界説

35を超えたあたりの人たちはアカデミアにも企業にも行き先がないというのが現状です.これを見ている35手前のポスドクがアカデミアの将来を捨てて企業に移るということが現に起こっています.(むつかしいですね・・・ 36の帰国組 2008年3月9日 16:21 / ポスドク、どうするべきか こまったこぶた 2008年3月7日 16:20 主人がもう6年もポスドクをしています。年齢は36歳、バイオ関係です。発言小町

こういう一般常識については、それを破る人が必ずいるわけで、人材業界で採用の現場にいると、いくらでも例外に出会うので、あまり年齢のことを限定的にお伝えしたくない(理学博士KOTORAのキャリア相談室〜博士・ポスドクから企業への転職:年収は?年齢は?〜2020.08.25 COTORA リケラボ

 

30代後半の博士の転職成功事例

以下のブログ記事では、転職する際の基本的な考え方が紹介されていました。

重要なのは、未経験業界への転職を成功させるには、同じ職種の中、あるいは同じ業種の中で探すのが成功率を高めるための基本だということです。特に年齢が高くなってくる30代半ばから後半あたりはこの傾向が顕著に表れます。(30代で未経験の職種への転職を成功させた元研究者が取ったシンプルな戦略とは?更新日:2017年10月31日 21世紀の人生戦略

 

下のリンク記事は、ポスドクが民間に転職しようとしたときに、どんな理由で断られるかの事例が紹介されていました。当たり前のことですが、民間から民間への転職者がライバルになるんですね。

  1. 転職活動を通しての価値観の変化(2014-04-02 私はこうしてアカデミアを辞めました・・・30代後半の高齢バイオ系ポスドクが民間企業への転職するまでの活動記録) 私が最終的に内定を頂いた、しかしとても満足している企業は、大手とは程遠い、ベンチャー企業(しかも上場前)で、研究職ではない、営業職とコンサルティング職の間ぐらいの職務で、そして、結局年収も1割ほど減ることになりました(ストックオプションは付与された)。

 

30代後半/40代目前の博士の転職成功事例

  1. キャリアアドバイザーの業務日誌(第19回) 40代目前の女性研究者、民間勤務経験無しでも大手企業に転職できたワケ (2019.08.08 菊竹ふみ=リクルートキャリア ヘルスケア領域専門アドバイザー 日経バイオテク)別の可能性を探った私は、大手の開発業務受託機関(Contract Research Organization、以下CRO)であるX社に目を止めた。

 

参考

  1. 転職成功事例(2008年度~2019年度)(製薬オンライン) *転職時の年齢、転職前後の年収、業種の例が多数示されています。

大学教授とは?大学教授の年収、責任、性格、権限などについて

大学教授とは

大学教授とは?ついては、学校教育法という法律の第92条⑥で説明されています。いわく、

教授は、専攻分野について、教育上、研究上又は実務上の特に優れた知識、能力及び実績を有する者であつて、学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。

ちなみに、教授と准教授と助教の説明はたいして変わりません。

教授: 特に優れた知識、能力及び実績を有する者
准教授:  優れた知識、能力及び実績を有する者
助教:     知識及び能力    を有する者
法律の条文的には違いはわずかですが、教授とそれ以外では実際には大きく異なります。教授はラボの主宰者でPrincipal Investigator(PI)です。准教授の立ち位置は大学やラボで異なり、上に教授がいない独立准教授の場合は准教授はPIという意味において教授と変わりません。
とにかくPIがラボを運営する責任と権限を持っているので、その下に位置する人間はPIに従うことが当然とされます。つまりラボの中においてはPIである教授が(独立准教授の場合にはPIである准教授が)絶対的な決定権を持つ「王様」としてラボ内で君臨しています。王様の命令に背く人間には居場所はありません。まあ、言うことを聞かない人間はそもそも雇い入れないと思います。そんなわけですから、大学院生やポスドクは、PIのことを、本人がいないところで話題にするときに、「ボス」と呼ぶことが多いです。

教授のラボ運営のスタイル

一口に教授と言っても、その人の信条や性格によってラボの運営の仕方や部下への接し方は全く異なります。

完全放置型のボス

教授が「売れっ子」の場合、国際学会に呼ばれたり学会のシンポジウムなどの世話役で忙しかったりして、ラボにそもそもあまりいない場合があります。ラボにいても教授室にこもって論文や研究助成の申請書を書いてたり、雑務をこなしたり、大学の運営に関わる各種委員会の会議に出たり、学部学生の授業をしたりして、大学院生やポスドクの研究の面倒を全く見る暇がないということがあります。

ポスドクは自立して研究を進めるトレーニングを受けてきているので、放置型のボスをむしろ歓迎する人もいます。しかし、大学院生の場合には、このような放置型のボスのもとでは十分なトレーニングが受けられない恐れがあります。教授が大学院生に無関心でも、教授の下にいる准教授や助教の先生が面倒を見てくれる体制があれば、問題なくラボは回ります。多数の学生をそれぞれ准教授や助教といった割り振って、あぶれた学生をボスが直接面倒を見るということになると、放置型の教授についた学生は学ぶ機会が少なくて恵まれない学生生活になりがちです。

 

管理型のボス

教授によっては部下の実験の進捗状況を完全に把握しておきたいという人もいます。沼研のエピソードを見ると、沼先生はこちらのタイプだったようです。

ほぼ毎日夜10時ころ沼先生が研究室へおりてこられ,
きょうの実験は如何でしたか?
と質問され,わたしがデータを説明すると,
では明日はどこそこまで進みますね。」,
なにかミスがあると,
なぜすぐやり直さないのですか。
といった調子でした。 (医 化 学 教 室 と 私)

 

中間型・複合型のボス

上の2つは両極端で、実際にはその中間が多いようです。例えば、普段は忙しいのであまりディスカッションはしないが定期的なラボミーティングではしっかりと実験データを確認して研究の方向性がズレていないかを確認するという教授が一番多いのではないでしょうか。

ボスがまだ若くてテニュアトラック准教授になったばかりなのか、あるいは、国際的にその分野で認められているスター教授なのか、といった教授(あるいは准教授のPI)が研究者としてキャリアのどの段階にいるかでも、ラボの運営スタイルは変わってくるかもしれません。

 

教授の能力について

そのラボに集まってくる人たちは、いい研究をしたくて入ったきたわけですが、研究のアクティビティの天井はどうやって決まるのでしょうか。野村監督の言葉に、

組織はリーダーの力量以上には伸びない。(野村克也 名言集

というものがあります。特に管理型のボスの場合は、研究のアクティビティはボスの力量以上にはならないと言えます。部下がいくら優秀で素晴らしい研究のアイデアを持っていても、それがボスの想像力を超えていた場合には、どうせ無理だからやめておけという反応をしてしまうからです。

部下に自由に研究をさせてみて、実験結果の解釈を一緒に考えて楽しめるようなボスの態度が、ラボのアクティビティを最大化する秘訣ではないかと思われます。

Jenniferはラボメンバーに対して怒ったり理不尽なプレッシャーをかけたりすることはあまりなく、とてものびのびとやらせていたと思います。研究の進め方の議論で何かを提案する時も、「これこれやってくれ」とか言うことはまれで、「これこれやってみたら」とか「これこれやってみようか」とか、あくまでメンバー自身に主体的に取り組ませるような議論の進め方だったように思います。(Jennifer Doudna研究室でのポスドク経験 投稿者 福永 流也 (Johns Hopkins University School of Medicine) 日本RNA学会

ボスの仮説に合わない実験データを部下が出したときに、ボスがそれを捨ててしまって元の仮説に固執するのも、研究の限界をボスが作っている典型例です。

 

ボスとの相性について

教授は世間的には尊敬の対象かもしれませんが、いざラボの中に入ってみると子供っぽい振る舞い、大人げない言動、傍若無人の振る舞い、非論理的で感情的な判断など、聖人君子とはとても言えない部分が見えてくるかもしれません(想像)。ラボの中の人(学部学生、大学院生、ポスドク、助教、講師、准教授、教授秘書)は、そんなボスであってもうまく折り合いをつけて研究を推し進める必要があります。人間的に合う、理解できる人であれば問題ないのですが、人間的に合うあわないというものはどうしても出てくると思います。

ある人にとっては極悪非道に思えるボスであっても、別の人はその部分が全く気にならずにとても良いボスでしかない、ということは十分あり得ます。ですから、どのラボに入るかを決めるときには、教授との相性というものが非常に大事です。

 

ボスの教育者としての責任

大学教授は学問的な業績でその地位についていることが多いので、必ずしも教育的な人とは限りません。部下のプロモーションに必ずしも積極的ではない場合もあります。

大学院生やポスドクがラボを選ぶ場合には、そのラボからどんな人が巣立っているかをしっかりと見極めたほうがよいでしょう。入学した大学院生がほとんど博士号を取得できずに辞めてしまっているラボ、ポスドクが誰も次にステップアップできていないラボは、要注意です。ラボが機能不全に陥っている可能性があります。

 

大学教授の年収

自分は知らないので、ネットの情報を。

  1. 職業別年収ランキング第3位は「大学教授」! 平均年収は1,000万をどのくらい超えてる? (ベネッセ 教育情報サイト 2/3(水) 20:14 YAHOO!JAPAN) 年収ランキング第3位の「大学教授」の年収は1,100万円! 研究に加えて学生への講義や大学運営にも携わるなど、仕事内容は多岐にわたるため、高い水準の給与が設定されているようです。 ただし、上記の年収はあくまでも平均値。

大学の講師、助教、准教授、非常勤講師の違い

大学の講師とは?

大学には研究と教育を職務とするものとして、教授以下、准教授、講師、助教という職位があります。大学の講師は、准教授と助教の間に位置しています。しかし講師だけ呼び名に一貫性が無いため、助教とどっちが上なの?という疑問を持つ人もいるかと思います。曖昧さをなくすには、日本の「学校教育法」がどう定めているかを見るのが早道です。

学校教育法が定める大学講師の位置付

第九十二条 大学には学長、教授准教授助教、助手及び事務職員を置かなければならない。ただし、教育研究上の組織編制として適切と認められる場合には、准教授、助教又は助手を置かないことができる。

② 大学には、前項のほか、副学長、学部長、講師、技術職員その他必要な職員を置くことができる。

(中略)

⑩ 講師は、教授又は准教授に準ずる職務に従事する。

e-gov 学校教育法 第九章 大学  *太字強調は当サイト)

上の法律の条文に、講師は教授、准教授に準ずるとありますので、准教授の下だということがわかります。にも拘わらず、なぜ混乱することがあるのかというと、一つには欧米のシステムの違いにあります。

講師の英語表記と欧米のシステムとの違いによる誤解と混乱

アメリカの大学のシステムでは、

  • 教授(Full Professor)
  • 准教授(Associate Professor)
  • 助教授(Assistant Professor)

という順番ですが、講師(Lecturer)が准教授と助教授の間には来ません。アメリカの大学のシステムではLecturerは教育職で授業を行うのが役目であり、研究職の職位のシステムには組み込まれていないのです。しかし、日本の講師(Lecturer)は教授や准教授と同様に教育だけでなく研究を行います。助教だった人が昇格して講師になり、さらに昇格して准教授、教授となっていくので、日米で同じ呼称を用いていても、やることが全然違います。

  1. EDUCATION REPORT Assistant Professor, Associate Professor, Lecturer… What’s the Difference?(April 20, 2005. learningenglish.voanews.com)Another position is that of lecturer. Lecturers teach classes, but they may or may not have a doctorate.

ややこしいことに、イギリスにおけるLecturerはアメリカのLecturerとは異なるようです。下のリンク(Quora)の説明によれば、イギリスにはAssistant Professorという職位はもともと無くて、アメリカのAssistant Professorに相当するのがイギリスのLectuerなんだそう。ということは、日本の講師は、イギリスのLecturerに近いですね。

  1. Which is higher, a lecturer or an assistant professor? (Quora)
  2. Academic ranks in the United States (Wikipedia)

 

講師と非常勤講師との違い

さらにややこしいのは、「非常勤講師」にも「講師」という言葉が含まれていることです。非常勤講師は単年度契約で文字通り「非常勤」の雇用ですが、「講師」は常勤です(任期がつくのが普通かどうかは自分は知りません)。大学の非常勤講師は授業を教えるのが職務であり、研究に携わることはありません。大学の講師は、教授や准教授に準ずる扱いなので、講義を持つこともありますが、研究することおよび研究成果が求められます。

 

ケビン「『講師』は、主に授業のみを担当シマス。」(「准教授」と「助教」の違い 暮らし・学び・医療 学び・教育・入試 雇用・就職・働き方 2017年3月7日 09時52分(最終更新 3月7日 09時52分) コトバ解説 毎日新聞

上の毎日新聞の解説は、海外の講師あるいは日本の非常勤講師と混同しているようです。全く正しくないので、要注意。毎日新聞が間違えるくらいに、講師という職位はマイナーな存在なんでしょう。

 

講師と助教との違い

繰り返しになりますが、講師が助教よりも職位が上なので、助教から昇進して講師になります。英語表記だとAssistant ProfessorからLecturerになるので、全然昇進したように感じられないかもしれません。対外的には非常に誤解を招く呼称だと思います。

一般用語としての講師からくる混乱

講師という言葉は、学校教育法が定める大学の職位でもあり、通常のありふれた日本語でもあります。人前で物を教える人はみな「講師」なので、よけいに混乱する人はするのでしょう。

ポスドクとは?年収、結婚、任期の問題

ポスドクは研究者にとって当たり前過ぎる言葉ですが、一般の人にはよくわからない職種だと思います。withNewsに、その理解のズレを示した小話が紹介されていました。

ポスドクは任期があります。だいたいポスドクを雇用する財源に依存するので数年程度で、ボスが研究費を獲得できればもう少し伸びるというのが実際のところです。数年といっても実際の雇用契約は1年ごとの更新が多く、基本的にボスから使えないやつと思われたら翌年の職はなくなる恐れがあるという、なんとも恐ろしい状態です。ボスから気に入られていたとしても、ボスがポスドクを雇えるだけの研究費を獲りそこなうとやはりクビになる恐れが大です。まあこれはラボのボスが雇用する場合で、もし大学が財源を持っていて大学のお金で雇用する場合には、もう少し経済的、気分的な安定が見込まれます。

さて、そもそもポスドクとは何かについて、自分も長いことポスドクをやって「高齢ポスドク」まで行ったので、自分の経験を踏まえてまとめておきたいと思います。人それぞれ置かれた状況によって、多少事情が異なるかもしれません。

ポスドクとは

ポスドク(Postdoc)は、英語のポストドクトラルフェロー(postdoctoral fellow)の略で、大学院で博士号を取得した後、大学教員の職を得る前の、通常数年程度の一時的な研究職のことです。次に大学教員として就職するために必要な研究者としての実績を積むための数年間という位置づけです。このポスドクの時期に、しっかりと研究して成果を挙げ、いい論文にまとめないと、次にステップアップできません。東大や京大、阪大、ハーバードやスタンフォードなど一流の大学にポスドクから教員の職を獲った人の業績を見てみると、ほぼ例外なくポスドクの時期にトップジャーナル(セル、ネイチャー、サイエンス、およびそれらの姉妹紙の最上位のジャーナル)に論文を複数出しています。別にこのようなメジャーな大学でなくても、今のご時世はもっと普通の大学であってもやはりこれらのレベルのジャーナルに論文を出したことがある人しか、研究ができるような大学の教員にはなれていないように思います。研究者の業績をどう評価するかは大学の考え方次第なので、100%そうとまでは言いませんが。

ポストドクトラルトレーニング

日本では博士号を取得したら一人前の研究者と見なされるべきだという風潮を感じますが、アメリカに行って驚いたのはポスドクは、postdoctral trainingという言葉があるくらいで、PIになる前のトレーニング期間という位置づけでした。別に半人前に扱われるわけではないのですが。実際には自分で学ぶしかありませんが、建前としてはアメリカは非常に教育的な国だと思います。

最近、日本でもこのポスドクという名前が知られるようになって来たが、博士号取得者の就職困難という負の文脈で用いられることが多く、誤解を与えているようだ。(誤解されていないか、ポスドクという職業 須藤靖 東京大学教授(宇宙物理学) 2012年05月05日 論座RONZA)

ポスドクの期間

ポスドクは博士をとった人間が、大学教員の職をゲットするための機関なので、早い人だと2年くらい、望ましくは3年くらいで終わらせるものだったはずです。なかなか良い論文が出せずに5年くらいかかってというのもあり。しかし、これは理想的な話であって、近年のいわゆる「ポスドク問題」という言葉が示すように、大学に空きポジションがあまりにも少ないために多少の業績がある人でも教員職にありつけず、ズルズルとポスドクを続けて高齢化していきますます就職に不利になってしまうという状況が頻繁に見られます。

自分の経験を言うと、日本で博士号を取得して数年間ポスドクをやってから、さらにアメリカに行ってポスドクをやりましたが、アメリカのボスが自分に会うなり最初に言った言葉が、「なんでお前はこんなに長くポスドクをやってるんだ?」というものでした。ポスドクを数年やったら、さっさと次にステップアップするのが通常なので、自分の行動はすでにキャリアパスから足を踏み外していたのかもしれません。自分はそれから職探し(=大学の教員のポジション探し)を始めましたがどうにもこうにも見つからず、結局ズルズルと10年以上もポスドクをやってしまいました。研究者のキャリアパスとしては、最悪のパターンです。

ポスドクの仕事は誰のもの?

生命科学の業界では、ラボの仕事は全部ラボヘッドの仕事と見なされます。ポスドクがファーストオーサー(筆頭著者)として論文を書いても、外からみるとそれはラボの教授(あるいはPI)の仕事でしかありません。それが証拠に、せっかく良い研究テーマを当てたとしても、ラボを出るときにその研究テーマを持って出られるとは限りません。

テーマののれん分けは、ボスの考え方次第ですので、テーマを持ち出して競合相手になることを気にしないボスもいれば、テーマの持ち出しを絶対に許さないボスもいますし、うまくテーマを住み分けて協調するボスもいます。

 

ポスドクの給料・年収

ポスドクは何年やっても普通の会社のような昇給はありません。何歳であっても考慮されません。30歳のポスドクも40歳のポスドクも50歳のポスドクも給与に差はつきません。差が出るとしたらそのポスドクを雇用する制度が異なる場合だけです。ボスが科研費で雇うのか、大学が雇うのか、日本学術振興会特別研究員 (PD)(通称、学振)での雇用なのか、CRESTなどのプロジェクトでの雇用なのかで差はあると思います。ボスが科研費で雇用する場合は、たいていかつかつなので最低金額しかもらえないでしょう。高齢ポスドクでも、企業の新入社員なみの低さです。ポスドクは常勤職ではないのでボーナスはありません。

ポスドクの年収に関してネイチャーに記事がありました。国や研究分野、および個人によって大きな差があるようです。

  • 年間の収入が5万ドル以上8万ドル未満(約515万円以上825万円未満)になると報告した人は半数以下(42%)
  • 米国立衛生研究所(NIH)の所内研究訓練奨学金(Intramural Research Training Awards:IRTA)を受けている新しいポスドクは、少なくとも年間5万2850ドル(約545万円
  • 回答者の38%が年収3万ドル以上5万ドル未満(約310万円以上515万円未満)
  • 15%が年収3万ドル未満と答えている。
  • 欧州では、欧州ポスドク協会ネットワーク(European Network of Postdoctoral Associations;ポルトガル・コインブラ)が2019年に実施した調査の結果、ポスドクの収入には大きな格差があり、中央値が約3万8000ドル(約390万円)と示されたことと一致している。
  • 生物医学分野では、過半数をわずかに上回る人(51%)が、年間5万ドル以上の収入があると回答している。

(学術界のプレカリアート、ポスドク Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 2 | doi : 10.1038/ndigest.2021.210226

ポスドクの貧困度合い

ポスドクの給与、特に科研費雇委の場合はボスにも余裕がないので、ボスがケチだからというわけではなく、非常に低い金額しか期待できません。自分の経験を語るなら、毎日、缶コーヒー一本が買えず、一番安い野菜、一番安い果物、一番安いお肉を買って同じような食事を食べ続ける毎日で、生活の余裕は全くなくただ生きながらえているだけのような状態でした。こんな生活を何年も続けていると、精神的にやられます。

 

ポスドクの恋愛・結婚

ポスドクは大学で職を獲るまでの修行期間なのでたいていの人は研究に100%の労力をつぎ込んでいます。なので恋愛する余裕はあまりないのではないでしょうか。しかし学生時代からつきあっている人がいたりした場合には、結婚をどうするのかという問題も生じます。男性の心理としては、自分の職がどうなるかわからない状態ではとても結婚などできないと思う人がほとんどでしょう。必然的に女性は待たされることになります。しかし、ポスドク問題が示す通り、いつまでたっても職にありつけないで高齢化するポスドクが大量に生まれている状況ですので、いつまで待っても結婚のタイミングは来ないと思ったほうがよいです。結婚するならする、しないならしない。次の職が取れたらと考えても無意味ではないでしょうか。

ポスドクの人生

本来はほんの数年で次にステップアップしなければならないポスドクなのですが、ポスドクから抜け出せなくなる人が多いです。

高齢化するポスドクの人生を描写した「白木屋コピペ」を読んだときに、ポスドクを長くやっていた自分は本当に惨めな気分になりました。実際にはもっと悪い状況で、友達関係も全部途切れて、向こうからすれば音信不通になった奴状態だったので、安い居酒屋で飲む機会すらありませんでしたが、それでもこのストーリーはリアリティがあって身に応えます。

なあ、お前と飲むときはいつも白木屋だな。
一番最初、お前と飲んだときからそうだったよな。 俺もお前も理学部の学生だったとき、一緒に飲みに行ったのも白木屋だったな。

「俺はいつか生命科学者になってCNSで一報取ってアカポスに付くんだ」

お前はそういって笑ってたっけな。

(中略)

あれから十年たって今、こうして、たまにお前と飲むときもやっぱり白木屋だ。
ここ何年か、こういう安い居酒屋に行くのはお前と一緒のときだけだ。
別に安い店が悪いというわけじゃないが、ここの酒は色付の汚水みたいなもんだ。

(中略)

お前が前の研究室のポスドク任期切れになったの聞いたよ。奨学金の返済も国民年金も払えないのも聞いたよ。
新しく入った技術者派遣で、一回りも歳の違う、20代の若い専門卒や主婦の中に混じって、使えない粗大ゴミ扱いされて、それでも必死に卑屈になってテクニシャン続ているのもわかってる。

だけど、もういいだろ。
十年前と同じ白木屋で、十年前と同じ、努力もしない夢を語らないでくれ。

(以下略)

(出典:白木屋コピペ アカポス編

  1. 白木屋コピペ(ニコニコ大百科)

ポスドクの末路

ポスドクをやって華々しい成果を挙げた人は、テニュアトラック助教、テニュアトラック准教授といったPI職を得るチャンスが出てきます。あまり成果が得られなかった場合でも、どこかの助教になれる可能性はあります(人との繋がりが必要)。成果が出ず、ボスがもうこれ以上雇いきれなくなると、辞めざるを得ませんが次に行く場所もないので、アカデミアを去る決断が必要になります。しかし年齢がいっていると、民間に行く選択肢はありません。自分がこのパターンでした。人材登録会社に相談しましたが、まともな職は紹介してもらえず、結局、アカデミアでさらにがんばる以外の選択肢がありませんでした。高齢ポスドクのさらなる高齢ポスドク化です。

  1. 悲惨なポスドク…東大博士号でも非正規、40代で就職活動、夢は中国で研究者 (奥田壮/清談社 2019.07.01 07:00 Business Journal

ポスドクのキャリア

もちろん一部のポスドクは順調にステップアップしていきますが、ポスドクの期間で思わしい論文業績を作れなかった場合には、アカデミア以外のキャリアパスのオプションを考えたほうがよいかもしれません。

  1. 理学博士KOTORAのキャリア相談室〜博士・ポスドクから企業への転職:年収は?年齢は?〜(2020.08.25 リケラボ
  2. ポスドク街道11年の果てで進退窮ま……らなかった話〈アカデミアを離れてみたら〉(2020.04.22 岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」

 

ポスドクという非常勤職を長く続けてチャンスを伺うよりも、なにはともあれ若いうちに助教などの常勤職でどこかに潜り込んでそこでステップアップしたほうが確実性が高く、経済的にも安定した人生になるような気がします。いくらポスドクで業績があったとしても、内部昇進する人が決まっているポジションの”公募”で勝つことはできません。助教も任期付きがほとんどですが、一部の大学では定年制の場合があります。

研究者と任期切れ

国立大学の研究者はテニュアトラックで無事にテニュアを取らない限り、任期があって10年で雇止め(正確には雇止めとはみなされず、任期満了に過ぎない)の憂き目にあいます。

もちろん任期が切れる前に次の職を探せよという話なのですが、現実問題、次の職がちゃんと得られるのはよっぽど幸運な人々であって、任期が切れて万事休すという状態になっている人が多いと思います(肌感覚)。

自分も、自分が研究代表者として獲得した研究費も十分にあり、研究成果もひとつの内容で連続的に出ており次の論文ネタも良いものがありましたが、任期切れ目前のため、次の論文が仮に出てももう任期切れのタイミングには間に合わず失職するというところまできてしまい、最後は研究どころではなくなり公募への応募などの就職活動に明け暮れ、そんな就職活動も手応えゼロのまま万事休しました。

 

任期が切れるということ

  1. 任期切れの足音 2017-07-16 Pentaroの日記
  2. 大学教員の任期切れ(雇止め)の通知はどんなふうに来るのか 最終更新日:2019年4月2日 青木宣明のブログ

 

参考

  1. 若手研究者の任期制雇用の現状 特集●研究者のキャリアと処遇 小林 淑恵 (文部科学省 科学技術・学術政策研究所 上席研究官)日本労働研究雑誌 No.660/July2015
  2. 若手研究者「任期つき雇用」増加で「才能の無駄遣いを強いられている」 渡辺豪2018.2.23 11:30 AERAdot.
  3. 若手研究者 コロナ禍で苦境 2020年5月29日 公明党ニュース
  4. 早稲田大学「教員公募の闇」書類選考で落ちた男性が訴訟を起こした 選考プロセスが不透明すぎる 田中 圭太郎 2019.1120 ismedia

ラボは何時間労働?ボスからの手紙

沼研には正月休みが1日しかなかったそうですが、そこまでとはいわなくてもボスはやはりポスドクにはできるだけ長時間働いて欲しいみたいです。似たような話があったので紹介。

下の記事によれば、カルテックや他のエリート大学ではこの程度の労働時間は通常だそう。

Note that in this missive, Carreira does not impose his own rules on Guido, but those of Caltech. In fact, sources assured me that such work practices were and still are perfectly standard at Caltech. Working in the lab late and on weekends was normal, everyone had to do it, as the sources said. Caltech used to be infamous for people working ungodly hours. Sometimes, lights were on in the labs even at 2 AM on a Saturday morning. Other US elite universities were not really much better, or same. (New JACS EiC Erick Carreira: “correct your work-ethic immediately” SEPTEMBER 6, 2020 For Better Science)

ちなみにこのエリック・カレイラさんは、この手紙がネットに出回り、時折話が蒸し返されることを非常に不快に思い実際かなり迷惑しているみたいですが、事態を収拾するためなのか、その後、この手紙に関して反省文のような声明を出しています。

  1. New JACS EiC Erick Carreira: “correct your work-ethic immediately” SEPTEMBER 6, 2020 For Better Science
     

大学院生やポスドクは何時間働けば良いのか

自分が大学4年生のときの隣のラボのボスは、「1日12時間も働けばクタクタになるよ」と言っていました。それを聞いて、このボスの期待は1日12時間くらいということなのかなと思いました。実際、こんをつめて12時間働くとクタクタになります。途中で息抜きをしながらだと12時間以上働くことは可能です。

自分が大学院のときは、朝8時半始まりで夜は特にルールはなかったのですが、みな終電(24時前頃)まで実験していました。一番早く帰る人が21時くらいに帰っていたと思います。それを見て、結果を出している人は21時に帰っても誰も文句を言わないんだなと思っていました。

自分がアメリカにポスドクで行ったときのラボは、朝は9時~10時の間にみな来ていました。夜は早く帰る人が18時半~19時頃。一番遅く帰る大学院生が21時頃。研究所の日本人のポスドクだけは夜中近くまでいることもあったようです。ただし、夜中に帰るのは安全上の問題があるため、”足”(車)があるかどうかで22時~24時の間に帰っていたのではないかと思います。土日は大学院生も既婚者のポスドクも、あまり来ていませんでした。自分がいたラボには、週末には日本人のポスドクとボスしかいなくて、ボスは「俺が大学院生の時は土曜も実験してたのになぁ。」とぼやいていました。しかし、夜遅くまで実験しろとか、朝早く来いとか、週末も来いなどと強要することは全くありませんでした。

日本の大学院生に比べればアメリカの自分のいたラボの大学院生は圧倒的に少ない労働時間だったと思いますが、セル、サイエンス、ネイチャー、それらの姉妹紙に大学院生が論文を出すようなアクティビティの高いラボでした。この違いは一体なんなんだろうとずっと不思議でした。正直言って今でもはっきりとはわかりません。ただ思うのは、やはりテーマ選びが一番大事なのだろうということです。面白くない仮説を検証しても良い論文にはなりません。だからといって当初のアイデア通りに事が運ぶことなどそうそうなくて、ボスが提示した研究テーマや実験がみなうまくいくということなど決してありませんでした。みな試行錯誤、暗中模索する部分は当然あって、その点に関しては、日本で研究していたときとなんら変わりませんでした。どこで違いが出てくるのかわからないのですが、どうやって良いストーリーにしていくかを実験データを見ながら柔軟に対応していたのかもしれません。あるいは、良いストーリーにならないようなテーマは見切りを付けたり、ストーリーを作るために最低限必要な実験(=必要性、十分性を示す実験)が実現可能なテーマだけに手を出すようにするなどの工夫があったかもしれません。少なくとも、ラボのボスが、手持ちのデータから最大限の知見を引き出す能力に長けていて、ストーリー性のある論文を書く能力が高かったのだろうとは思います。もちろん、エディターキックを回避して、査読にまわしてもらい、査読者の要求にひとつずつ答えていくという忍耐力や覚悟がどれくらいあるかも大事です。

結局のところ、論文を書くのに不必要な実験を何か月もやって無駄にする人もいますので、労働時間と生産性は必ず比例するというものでもありません。長時間労働してしまう学生の中には、実験を失敗したり、論文に必要ない実験をやってしまったりということに原因がある場合もあります。自分を振り返ってみたとき、がむしゃらに馬車馬のように働いたのにぜんぜん結果が出せない期間もありましたが、仕事量が結構落ちてるにも関わらずなぜか研究は順調に進んだ時期もありました。ただし、ストーリーが見えてきて論文が行けるとなったら、集中してアクセプトに漕ぎ着けるまで全速力でやるしかありません。

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関連記事 ⇒ 研究テーマの選び方 21のポイント 

関連記事 ⇒ ネイチャー(Nature)に論文を出す方法 

 

 

参考

  1. 研究室メンバーに向けて書かれた恐ろしい手紙 2016年1月23日 アレ待チ
  2. エリック・カレイラ Erick M. Carreira ケムステ
  3. Something Deeply Wrong With Chemistry

まだアカデミアで消耗してるの?博士の転職

まだアカデミアで消耗してるの?

natureのサイトに、There is life after academiaと題する記事がありました。博士号取得者のキャリアはアカデミアだけに限るものではないよという趣旨の記事です。

There is life after academia(03 September 2014 nature.com)

博士号を取得してもアカデミアに職はないというのは日本に限らず世界的な傾向ではありますが、それにしても、今の日本の研究業界は異常だと思います。CNS(セル、ネイチャー、サイエンス)に論文業績があるような人たちでも職が見つからずに大変な思いをしている。

 

コンスタントにその研究分野でのトップジャーナルに論文を出している業績のある人であっても、PIの職に就けなくて任期が切れて路頭に迷うはめになる。その一方で、特にこれといった業績がない人が職を獲っている。どうみても捏造論文にしか見えないような論文を出している輩が、がっちりと大学に守られてのうのうと生きている。こんな不条理な世界で生き延びるのは大変です。あまりにもハイリスクで、ローリターン。

40歳を超えても、家族がいても、任期が来れば職がなくなってしまうのだ。そんな業種に、若い優秀な人間が、行きたいと思うだろうか?(日本の科学研究が衰退している「2つの理由」 いま大学の現場で起きていること 中屋敷 均 2018.09.13 gendai.ismedia.jp

昔なら、大御所のラボでそれなりに頑張っていれば、どこかに押し込んでもらえた(=定職に就けた 現代ラボ用語の基礎知識)。今ではポジションが少なすぎて、大御所でも部下の面倒を見切れず、結局、そのラボへの貢献度が大きかった人ですら職にあぶれる。誰も幸せに生きられていないのが(自分の主観に過ぎないかもですが)、今の日本の科学研究の世界。

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それでも研究者になりたいという奇特な人は、どうぞ研究の世界に来てください。大学院時代にCNS一報、ポスドクでCNS一報、ファーストオーサーで論文を出せれば、生き残れるでしょう。悪くてもこの段階でCNSのすぐ下の姉妹紙に1報でも出せていなければ、研究は辞め時だと自覚したほうがいいと思います。CNSを目指して研究しても結果として姉妹紙どまりというのはごく普通に起こりますので、CNSレベルの研究テーマをやらせてもらえないようなラボに入ってはいけません。もちろんデータを捏造してトップジャーナルに論文を出しているラボに入ってはいけません。それを見分けるのは無理でしょうが。

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研究がうまくいったとしても、その研究分野の中堅ジャーナルにしか掲載が期待できないようなテーマをやっているのであれば、あなたのボスはあなたが研究者になることを期待していないのか、単に、若手研究者の生き残りの厳しさを理解できていない人なのでしょう。

大学院時代にCNSを出しても、ポスドクでもう一度トップジャーナルに出せないと、学生時代の指導教官が良かっただけなのねと思われます。ポスドクでいいジャーナルに出して、論文の賞味期限が切れないうちに早くテニュアトラックの職を得て、さらに自分のラボからトップジャーナルに論文を出すことが必要です。そのためには、テニュアトラックの職を得てPIになっても弱小ラボに優秀な若手が来てくれることはあまり期待できませんので、すでにものになる研究テーマ&データを予め(隠し)持っている必要があります。

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研究の世界で単に路頭に迷わずに済むだけのためでもこれほど大変なのです。ハイリスク(完全失業)、ローリターン(スーパーサクセスフルな人でもせいぜい大学教授の給料)なことこのうえないと思います。ですから、少し理性が働く人は、今の日本のアカデミアに固執しなくてもいいんじゃないかと最近は思います。べつにネガティブキャンペーンを張りたいわけではないのですが、研究者としての能力があり、実際にそれなりの業績を出している研究者であっても、不遇に耐えている人があまりにも多すぎます。

 

研究者の待遇の悪さ

ポスドクの給与の低さは、常々言われることです。自分もアメリカにポスドクで留学していたとき、大学のカフェテリアの1ドルのコーヒーが飲めなくて我慢する生活をしていました。企業の研究者の優雅な生活とは天と地の差で、経済格差のせいで結局企業研究者と交わることは全くありませんでした。

この厳しい現実により、「ここまで努力しても、科学が評価されても、最低限のレベルの生活すら得られないのか」という挫折感に似たようなものが常に頭の何割かを支配している気がしました。どこに行っても、値段が気になって楽しめない。いくら節約しても、お金が無くなっていく。子供はもう幼稚園に行ってもいい歳なのに、保育料が高すぎて週に2日しか行かせてやれない。そんな状態が1年も続いていると、さすがに何をやりたいのか?何を目指しているのかわからなくなってきます。(私が研究者をやめた理由 僕らの研究スタイルblog)

 

研究に向く人

研究に向いているかどうか悩む人がいるかもしませんが、向いていても職がなければ生き残れないのがこの世界です。

研究者という仕事は、研究そのものに強くやりがいを感じている人間でないと続けていくことは難しいと思います。研究者というものは、要求される能力が高い割に待遇はあまり良くありません。研究そのものが楽しいのでない限り、辞めて他の職に就いた方がきっと幸せになれます。(私が研究者を辞めた理由 塞翁失馬、焉知非福)

関連記事 ⇒ 自分が研究に向いているかどうかを知る24の質問

 

業績があっても職がない現実

業績があれば職にありつけるというのであれば、頑張って研究して結果を出せばよいので、話は簡単です。しかし現実はそうなっていません。大学によりますが、業績らしい業績がない人が職を獲っている例もありますし、こんな環境で研究ができるの?という大学ですら職を獲った人の業績をみるとCNS持ちだったりします。両極端で、途中というものがないのです。

実際,⼤学院⽣が「40歳前後の業界スター級の研究者が研究の⼿を⽌め就職活動に時間を費やし,それでも任期なしの職になかなか就けずにいる」という現状を⽬の当たりにし博⼠後期課程進学・アカデミアでの求職を断念するケースが散⾒される.(30 代・男性・ポスドク 令和 2 年 10 ⽉ 8 ⽇ ⼀般社団法⼈⽇本若者協議会 若⼿研究者の課題に関するアンケート結果まとめ)

能力がありPIになるべき人材が不安定な雇用に苦しむ一方で、いわゆるデキ公募などによって、数少ないポジションが埋まっていく。( 日本における若手研究者をめぐる課題 Aiko Sada 2019年4月24日 Laboratory of Skin Regeneration and Aging Aiko Sada Lab, IRCMS, Kumamoto University )

 

任期が切れる恐怖

その年の3月で職が終わりなのに、その年の1月の時点でまだ次の職が見つかっていないという恐怖を自分も経験しました。自分の知り合いの先生や、全く知らないけれども研究内容が近い先生ら10人くらいに連絡を取って、科研費雇いのポスドクで受け入れてくれる先生が一人だけみつかりました。科研費雇いなので、大学の新卒の初任給よりも安い給与です。それでも、家族もろとも完全に路頭に迷う寸前だったので、職があっただけましでした。世間的には、それは職と呼べるものかすら怪しいですが。

 

万策尽きたと言う感じです。研究者引退ってのは、研究者としての死を意味します。死に物狂いで何かをすれば活路が見出せると言う人は多いですが、実際に確実な死を前にした人間は動きが止まります。心も体も動かせず、静かに死を迎えるだけなんです。(久木鉄平・45歳 第5回(更新日:2019年1月23日) 報われないロスジェネ研究者たち)

私もかつては特任准教授なる身分で大学に雇用されていた。採用直後は任期付きということが何を意味するか実感としてわからなかったが、年が経つのにともない、任期付きとはつまり、任期切れ後はまた無職になるということで、だから、公募戦士であることに変わりはないということがわかってきた。(ハローワークにて  2018/10/04 22:35 note.com)

➢大学・高専教員に任期数年のポストが増加(特任助教など)⇒任期が切れたら失職

猿は木から落ちても猿だが、議員と大学の先生は任期が切れればただの人 

オーバードクター問題 基礎科学における大学院進学と 研究職への道 エンプロイメントデザインI 東 武大 (摂南大学理工学部 基礎理工学機構 准教授)

242 :Nanashi_et_al.:2011/05/12(木) 09:06:12.78

任期切れポスドク化どころか
任期切れ無職が現実味を帯びまくって来た
どうすればいいんだ

任期切れた奴 or 切れそうな奴集合 5ちゃんねる)

  1. 助教なのに!? 任期あるの?(マンガで学ぶ求人・求職事例 Case.7 JREC-IN)

関連記事 ⇒ 任期が切れた助教はどこへ行くのか?

 

結婚の障害となる雇用の不安定さ

来年の自分の雇用が不透明というのがずっと続くのに、結婚などそうそう考えられません。お付き合いしている人がいたとしても、なかなか結婚に踏み切れないという感覚が普通でしょう。

彼には任期がない職を考えてほしいと伝えたところ、大学には任期のない職があまりないので難しいと言われました。そこで、大学以外のところでも考えてほしいと伝えると、不機嫌そうに非常識だと言われ、現在かなり険悪な状態です。今まで積み上げてきたものもありますし、好きな仕事を続けるのが一番だと思うので、応援はしたいのですが、任期付き職員(大学の助教)は、いつ雇い止めにならないともわからないですし、ほとんど休みの日もなく毎日深夜に帰ってきているようなので、できれば他の職業も視野に入れて、任期のない職業を検討してほしいと考えていますが、これは私のわがままになるのでしょうか。(発言小町

関連記事 ⇒ 研究者の結婚、研究者との結婚 

 

大学教員からポスドクへ逆戻り

大学の助教・助手になった人の56.6%、講師になった人の43.6%は任期付き。准教授でも33.6%、教授でも28.6%が任期付きでした。そうなると、大学教員になれたとしても、任期が切れたらまたポスドクに逆戻り、といったケースもあり得ます。(一度なったら抜け出せない?!今も深刻な「ポスドク問題」 2018/09/05 転職Hacks)

特任ポスト、任期付き助教からポスドクへの逆戻りは珍しくない (若手研究者支援・ 研究支援人材活用を通じた 日本の科学技術を 高めていく方法論の提案 日本学術会議 若手アカデミー委員会 (有志)https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20140807/siryo2-3.pdf

 

そんなことを踏まえて、アカデミアを離れて新しいキャリアを踏み出した人たちの体験談を紹介したいと思います(順不同、断りなく入れ替える可能性あり)。

転職できる年齢のリミット

助教として40前後まで研究職を続けた⼈間のうちの⼀定数はアカデミアでのキャリアアップを諦めざるを得ない構造になっている.⼀般に35歳を超えての未経験分野への転職の困難さは知られており,基礎研究分野の研究者が上記問題に直⾯した際は⺠間企業への転換も図りにくい.(30 代・男性・ポスドク 令和 2 年 10 ⽉ 8 ⽇ ⼀般社団法⼈⽇本若者協議会 若⼿研究者の課題に関するアンケート結果まとめ)

 

研究者にありがちなアカデミア以外が全く目に入らない症状

研究者になると決めて大学院に進学したわけですから、当たり前といえば当たり前のことなのですが、多くの人はいかにしてアカデミアで生き残るかしか考えずに日々研究に明け暮れているわけです。アカデミアの外に可能性が存在していても目に入らないものです。

アカデミアから離れたら、自分の価値はなくなる、と。また、「研究者として生き残っていくことが勝ち組、それ以外は負け組」という思想もありました。アカデミアに残ることにしがみつき、そこからこぼれ落ちることに恐怖を感じていたのです。… 研究者コースに一度入ると、「ここでしか生きられない」と思考が固まってしまい、その殻を破るのは容易ではなくなります(全員ではないですが、少なくとも私の周りの理学系ではそういう傾向があったと感じます)。(子どものころからの夢、教師への転職〈アカデミアを離れてみたら〉2020.05.22 岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」)

 

転職エージェントを利用した転職活動

年齢にもよるのだと思いますが、自分がアカデミアでの職の維持が絶望的になったときに、とあるマイナーな転職エージェントに登録して面談をしてもらったことがあります。自分の希望する条件では候補となる職はゼロで、希望年収をあと100万円下げてくださいと言われて、それで一社出てきたのが、いつつぶれるかわからないようなバイオベンチャーの営業でした。進むも地獄、戻るも地獄と思ったものでした。あとから知ったのですが人材登録会社もいろいろあります。博士研究者の転職に強いところもあるようです。

博士出身者に圧倒的な人材紹介実績【アカリク転職エージェント

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関連記事 ⇒ アカリクってどうよ?(博士研究者の転職斡旋会社の口コミ・評判)

 

ポスドクからデータサイエンティストへの転身

TJO氏のブログ記事は、これまでにたくさん読みました。本当の本当に辞めることを決断したときの心情などを描いたこの記事は非常に心を動かされるものがあります。リンク先を是非、ご一読ください。

博士ポスドクの企業就活に強いと当時から評判だったアカリクさんを頼っています。そこで担当のTさんという方と話してびっくりしたのが、まず想像よりも博士やポスドクを採用している企業が実在するのだということ。上記のように「博士ポスドクをドロップアウトしたら日雇いバイトか零細の派遣の仕事ぐらいしかない」とそれまでは聞かされていたので、極めて意外に思ったものです。

(中略)

5年かけても1本しか論文が書けないテーマを引き受けるなら、5年任期で採用してやるという話だったわけです。この時僕は35歳間近、仮にその後5年任期を満了したら40歳間近。40歳間近で、また1本しか論文が増えなかったら、今度こそ人生もキャリアも詰んでしまいます。

(転載元:研究者を辞めた時のこと、そしてその後のこと 2019-01-31 渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ)

 

自分も研究を辞めるかどうかの決断をしたとき、このままアカデミアでもう少し踏ん張ってあと1報論文を書けたとして、それで就職できるのか?を考えました。答えは、否でした。CNS級に出せればひょっとしたらチャンスが出てくるかもしれない。しかし今の手持ちのデータで頑張って論文にしても、全てが狙い通りにいったとしてもよくてインパクトファクター10程度の中堅の雑誌にしか届かない。それだと自分の年齢を考えるともう職がつながるチャンスはない。そう考えると、研究を続けることはもはや無理だと思いました。正直言って、自分が研究を諦める日が来るとは、それまで思っていませんでした。しかし、客観的に見れば、すでに土俵を割っているのにじたばたしていただけだったのでしょう。

 

もともと情報系の研究をしている大学院生などは、データサイエンティストの求人が殺到するということを聞いたことがありますが、生物系の研究者の場合はもともとデータ解析に強い人でもない限り、データサイエンティストとしての転職は困難なのではないかと思います。

 

 

下で紹介するのも、やはりデータサイエンティストへの転身の話です。

アカデミアを離れることを考え、実際に行動に移したのは、ポスドク生活11年目の冬(2016年12月末)でした。それまでアカデミア以外の選択肢には目もくれず、自身に関連しそうな分野の助教・講師・准教授の公募に応募し続けていましたが、面接に呼ばれることもほとんどなく、ポスドク時代の後半を過ごした山形での5年間は、お祈りの封筒を毎月のように受け取っていました。

(中略)

職探しのために頼ったのは、大学院生やポスドクの就職を扱う「アカリク」というエージェントでした。じきに39歳になる高齢ポスドクを雇う企業など存在するのかと、半ばダメ元で相談のメールを送ったところ、一度面談しましょうとのお返事をもらい、帰省のタイミングを利用して東京のオフィスに立ち寄りました。

(中略)

そこからさらに追加の面接を経て、3月半ばにはその3社から内定をもらうことができました。公募に落ち続けた身からすれば驚きの打率です。

(転載元:ポスドク街道11年の果てで進退窮ま……らなかった話〈アカデミアを離れてみたら〉2020.04.22 岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」)

 

博士研究員から高校教師への転身

私は次第にノイローゼ状態に陥っていきました。「研究を続けるなら、今後もこういう生活が続く」──不安定な将来を悲観することが増え、転職を考え始めました。そのころ、在籍していた京都大学で、リサーチ・アドミニストレーターという比較的新しい職種の大規模求人がありました。… そして研究者からリサーチ・アドミニストレーターに転職したことが転機になりました。少しアカデミアから距離を置くことができたことで、この思考の癖から解放されたのです。そして本来の夢、教師を目指してみようと、頭を切り替えることができました。幸い、教員免許は学生時代にとってありました。(子どものころからの夢、教師への転職〈アカデミアを離れてみたら〉2020.05.22 岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」)

教員免許を持っていない場合でも、社会人向けに特別免許状を与えて高校の教員として登用する県があります。

関連記事 ⇒ 博士研究者から高校教員へのキャリアパス

 

研究者から弁理士への転職

自分が直接知っている範囲でも何人かいますが、生命科学の知識を生かして特許関連の仕事に就くというキャリアパスもあります。

博士研究員として培った研究能力を特許出願の明細書に使えば高度な明細書が書けるというメリットもある。中には、アメリカに留学し、日本に帰ってから弁理士を取る人や、大学の助教(昔の助手)になってから弁理士になる人もいたりする。(ポスト・ドクトラル・フェロー(博士研究員)から特許弁理士へ 2012/07/26 特許出願の依頼は大平国際特許事務所へ)

 

研究に見切りをつけて医師に

医学部を卒業して基礎研究の世界に入ってきた人は、医師免許がありますので臨床の世界に戻るという選択肢があります。また、研究者を辞めて医学部に編入するという方法もあります。医師になれば臨床を行いつつ再び研究をするという道もあるでしょう。

  1. 若いバイオ研究者は医学部を検討してみよう 医学部学士編入と昨今の研究医不足 2017-09 Bioreseaercher.net
  2. 研究者が医学部編入を目指す意外なメリット 2017-11 Bioreseaercher.net
  3. 医学部編入志願倍率ランキング 医者になる抜け道があった!「医学部編入」の実際 2017年06月20日 ダイヤモンド・オンライン
  4. 私が大学教員を辞めて医学生になった経緯【医学部学士編入体験記】2020/01/04  ¥740 note.com
  5. 医学部学士編入 理系研究職から医学部へ 合格者の声紹介 河合塾

 

博士号を持って起業

職がないのなら自分で職を作るという発想もあります。

高橋氏:「会社を立ち上げた方がリスクが少ない

落合氏:「150%同意

(WPIサイエンスシンポジウム聴講レポート)

 

セーフティネットとしてのネットでの副業

自分や家族の生活費がネットで稼げるのであれば、アカデミックキャリアを追求するリスクを取ることができそうです。また、生活の心配がないのであれば、無給で研究員をやって研究を続けるという道もありえるかと思います。

関連記事 ⇒ 「ネットで副収入」は任期付き研究者のセーフティネットになり得るか?

 

関連記事 ⇒ アカリクってどうよ?評判、口コミ、ポスドク・大学院生の利用体験談まとめ

 

 


 

参考

  1. まだ東京で消耗しているの?

マル合とは?大学教授になるのに必要な論文数

マル合という言葉は自分は全く聞いたこともなかったのですが、ジョブをゲットした先生と雑談していたら、そんなことは知ってて当然で、知らないとお話にならないよ、という口ぶりでした。そんなふうに言われたので、「え?そうなの?やば。」と思いました。教員になった人にとっては常識みたいです。教員の職に縁がなかった人にとっては、知らずじまいの言葉です。大学教員の職を得ようとしている人は、絶対に押さえておくべき事項のようです(たぶん)。私が大学教員のジョブをゲットできなかったのは、マル合という教員公募における雇用側の常識を知らなかったからなのかもしれません。マル合を知らずして、大学教員に応募するなかれ。

 

知る人ぞ知るマル合

大学院生に対して学位指導ができる教員は、「研究指導教員」(マル合)と呼ばれるのだそうです。

  • 教員以外にはあまり知られていませんが、日本の大学院教員資格にはDマル合、D合、D可、Mマル合、M合、M可の6種類あって、博士を出すにはDマル合教員にならないといけないんですよね。@drinami 2017年6月9日
  • 大学用語の基礎知識として、「マル合(まるごう)」は必須だろう。そして、やはり、大学関係者以外は、まったく知らない言葉だろう。(教授のホンネ・ホンネの教授

 

公募要項の中に潜むマル合

大学教員の募集要項に、大学院生を指導できることと書かれているのを見て、「そりゃ、研究を長くやってきたから当然できるよ」と思っていたのは、大きな間違いでした。これは、マル合の要件を満たすかという意味だったのです(多分)。

関連記事 ⇒ 大学教員公募が必ずしも公募でない理由

公募要項には「研究指導教員」(マル合)の要件(必要な論文数など)の詳細は通常書かれていません。大学がマル合の規定(必要な論文数など)を示してくれていないと、論文数が全然足りない人でも大学教授や准教授の職に応募してしまいそうです。

完成年度を超えた平成31年度以降は、特任教授を任用する予定はないため、平成31年度には、「マル合」相当教員6名以上、「合」相当教員6名以上の教育体制が取れるよう、また、それ以降も安定的に後継の専任教員体制が取れるよう、以下の対応を行っている。
「マル合」または「合」相当の業績を持つ教授または准教授を1名募集中である。(島根大学大学院 医学系研究科 看護学専攻 博士後期課程  【意見伺い】設置に係る設置計画履行状況報告書 国立大学法人 島根大学 平成29年5月1日現在 PDF

 

Dマル合とは?

大学院の修士課程および博士課程の担当教員は、講義および学位論文の指導が担当できる「マル合教員」か、講義および学位論文指導の補助が担当できる「教員」、講義のみが担当できる「教員」としての資格審査を受けねばならない。大学院で学位論文の指導が担当できる教員は、マル合(〇の中に合)教員と呼ばれ、修士論文の指導ができるMマル合教員、博士論文の指導ができるDマル合教員がある。マル合教員の資格基準は、「修士課程」および「前期2年の博士課程」の場合で論文著書30件程度、「後期3年の博士課程」「前期2年、後期3年の区分を設けない博士課程」の場合は40件程度といわれている(基準は大学によって異なる)。(引用元:大学教員 Weblio

Dマル合:博士後期課程で学位論文の指導ができる。
D合:博士後期課程で学位論文指導の補助ができる。
D可:博士後期課程で授業を担当することができる。
Mマル合:博士前期課程で学位論文の指導ができる。
M合:博士前期課程で学位論文指導の補助ができる。
M可:博士前期課程で授業を担当することができる。
「D」とは博士Doctorの略、「M」とは修士 Masterの略。「マル合(まるごう)」という呼称は正式書類では「合」の字を○で囲った文字を使うことに由来するらしい。(引用元:マル合? 2005年11月26日 今どきの大学 )

四 教員組織
(一) 教員組織の判定については、次の記号を用いることとする。なお、「研究指導教員」とは、告示第一七五号に定める研究指導教員をいい、「研究指導補助教員」とは、同告示に定める研究指導補助教員をいう。

D(合) 博士課程の研究指導教員(研究指導及び講義担当適格者)
D合 博士課程の研究指導補助教員(研究指導の補助並びに講義(及び実験)担当適格者)
M(合) 修士課程の研究指導教員(研究指導及び講義担当適格者)
M合 修士課程の研究指導補助教員(研究指導の補助並びに講義(及び実験)担当適格者)
 担当不適格者

(引用元:文部科学省 > 政策・審議会 > 告示・通達 > 大学の設置等の認可に係る審査関係規程の改正について  13文科高第七号 平成一三年三月三〇日)

6 (2) 大学院(専門職大学院を除く)の申請の場合は,「判定」欄を「講義科目等」と「研究指導」に分け,「講義科目等」欄には「可・不可・保留」を,「研究指導」欄には「まる付き合・不可・保留」それぞれの授業科目ごとに該当する欄に「M」もしくは「D」とともに記載し,該当しない欄は斜線を引いてください。(引用元:文部科学省 > 大学設置認可 > 専門委員会の構成及び判定カードの記載要領について > 判定カード作成要領

  1. 大学の人事とスケジュール(5・完) (おおやにき 2012年11月18日 01:19)
  2. マル合の下僕 (ボクが手にした本の話 abcbooks.exblog.jp)「マル合」というのは、大学院で論文指導のできる教員のことです。

 

大学院設置基準第9条第1号

大学院設置基準を読む限り、あまり具体的な基準は示されていません。各大学が独自の基準を設定しているようです。

第九条 大学院には、前条第一項に規定する教員のうち次の各号に掲げる資格を有する教員を、専攻ごと(工学を専攻する研究科以外の基本組織にあつては、当該研究科以外の基本組織)に、文部科学大臣が別に定める数置くものとする。

 修士課程を担当する教員にあつては、次の一に該当し、かつ、その担当する専門分野に関し高度の教育研究上の指導能力があると認められる者

 博士の学位を有し、研究上の業績を有する者

 研究上の業績がイの者に準ずると認められる者

 芸術、体育等特定の専門分野について高度の技術・技能を有する者

 専攻分野について、特に優れた知識及び経験を有する者

 博士課程を担当する教員にあつては、次の一に該当し、かつ、その担当する専門分野に関し、極めて高度の教育研究上の指導能力があると認められる者

 博士の学位を有し、研究上の顕著な業績を有する者

 研究上の業績がイの者に準ずると認められる者

 専攻分野について、特に優れた知識及び経験を有する者

引用元:http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/kitei/reiki_honbun/w002RG00000950.html#e000000365

 

マル合であることを明示した公募要項の例

応募資格 2.教授は、専門または関連分野における大学教員として准教授歴5年以上の者(教授の場合は、大学院の研究指導教員の任を担うことができる者が望ましい)(千里金蘭大学 成人看護学分野(主に急性期) 教授または准教授の公募 JREC-IN

応募資格 3.上記1に係る領域において、大学院修士課程の「研究指導教員」として認められる者(九州看護福祉大学 教授の公募(社会福祉学科-精神保健福祉士) JRECーIN

応募資格 (2)大学院修士課程において税法の研究指導教員を務めることができること(大阪経済法科大学 任期付専任教員(税法) JREC-IN)

  1. 求人にみる「Dマル合資格(文科省教員組織審査の研究指導)」とは何か (とある社会福祉士・精神保健福祉士のぼやき 2016-07-19)
  2. 高学歴ワーキングプア(水月昭道)4=「ムダ」とはなにか20(タカマサのきまぐれ時評 2007年11月10日09:45)
  3. 大学教授(教員)のマル合に関して質問させてください. (OKWAVE 2010/01/10 22:39 質問No.5583372) 新たに学部をつくってから,そのうち連続する大学院もつくる計画があるときは,最初からマル合教員を集める(公募する)ことがあります。

 

「マル合」教員の条件

上で紹介したWeblioの解説だと、マル合教員の条件は論文40報が目安とありますが、実際には大学によって、あるいは文系理系、分野によってマル合の要件となる論文数はかなり異なるようです。

赴任後5年ほど経って地方大学の牧歌的な雰囲気が一変してしまった。教育学部に大学院が設置されることになり,文部省(当時は文科省ではなかった)の大学院の設置基準委員会によって担当教員の業績が審査されることになったのである。審査に通るためには,講義および学位論文の指導が担当できる「マル合教員」か,講義および学位論文指導の補助が担当できる「合教員」になる必要があり,マル合になるためには論文数が 30 ~ 40 本程度が必要という情報が流れ,それから必死になって論文を増やす努力をしたのである。(記憶の糸をたどりつつ−ベビーブーマーとしての大学教育− PDF

○判定基準を説明します。一例として,学校教育方法連合講座の判定基準を用いますが,Dのマル合の教官になるためには, A条件かB条件を選択しなければなりません。 A条件の場合には,研究著書,学会誌の合計数は20編以上持ってください。ただし,そのうち最近5年間に5編以上発表していなければいけません。 B条件の場合には,著書,論文の総数は40編(A条件の論文を10編以上含む)持ってください。ただし, 40編のうち10編(A条件の論文を3編以上含む)は5年以内に発表されたものになります。また,Dの合の教官の判定基準は,大体半分になるようにしてあります。

A系列というのは,全国学会誌レベルの論文が20編ありました ら,それでいいということです。 B系列は,ほかの論文,例えば  「紀要」などの論文も入れて,総数を40にしましょうと。ただし10 編くらいは持ってくださいというので,その場合の10編は全国学会誌レベルの論文が条件になります。つまり, A系列では申請ができないけれども,全体的には40編ある。その中で10編は全国レベルの論文があるというような場合には, B系列で申請ができるというのが, A系列とB系列というものです。

理系で申しますと,インパクト係数と かサイテーション・インデックスとか,そういったものを前面に出 してこなければ話にならないという考えが強いと思います。文系の場合には,「ちり紙でも印刷してあれば論文」というような (笑),言葉は悪いですが,そういった人もいます。

(引用元:兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科外部評価委員会 議事録PDF)

マル合の要件を公開している大学の例を紹介します。

電気通信大学

学術論文の業績は、原則として以下の基準により判定する。

博士後期課程
研究指導担当教員(D○合 )総論文数20 最近5年の論文数5
研究副指導担当教員(D合) 総論文数10 最近5年の論文数3
講義担当教員(D可)

博士前期課程
研究指導担当教員(M○合 ) 総論文数10 最近5年の論文数3
研究副指導担当教員(M合) 総論文数5 最近5年の論文数2
講義担当教員(M可) ―

(引用元:電気通信大学大学院情報理工学研究科担当教員資格審査における教育研究業績判定基準等の申合せ PDF

 

東京農工大学

第3条 連合農学研究科教員の資格判定に当たっては、人格、指導能力、教育業績、研究業績、学会並びに社会における活動等を勘案し、次のとおり判定する。
 
(1) 主指導教員資格 主指導教員として学生の論文指導並びに研究指導に当る資格を有する教授、准教授、講師、客員教授又は客員准教授。
(2) 副指導教員資格 副指導教員として主指導教員を補佐して学生の研究指導に当る資格を有する教授、准教授、講師、助教、客員教授又は客員准教授。
 
2 前項に規定する資格判定の研究実績については、原則として学術誌に掲載された次の各号に掲げる論文数を基準とする。
(1) 主指導教員資格は、過去20編最近5年5編とする。
(2) 指導教員資格は、過去10編、最近5年3編とする。
 

佐賀大学規定集

規定の中の一部のみ紹介します。

1 研究指導教員(以下、「マル合教員」という。)の判定は、次の①、②、③、④、⑤項によって行う。
① 教職経験年数は、10年以上を原則とする。ただし、研究業績あるいは実技関係の業績の優秀な者については、教職経験がない者もマル合教員と判定することがある。
② 著書・論文等    文系、理系は、著書・論文等(共著を含む。以下同じ。)合わせて20編以上とする。このうちに、レフリー付き又は指名依頼による学術論文を必ず含み、かつ、最近5ケ年間に学術論文を有すること。
  1. 大学院の主指導教員(論文指導等科目責任者)になるために必要な資格や規定はあるのでしょうか。:質問者は医療職とありますので、好例として、薬剤部長医療情報部長は全国の医学部では教員扱いになっています。当然に大学院教員を兼任してます(大学院大学では大学院教授が主で学部が兼任の構図です)。放射線部長・検査部長は昔から医師である学部/大学院教授が努めています。(YAHOO!知恵袋2013/5/2408:58:35
  2. Mマル合について(BIGLOBEなんでも相談室2006-09-28 10:37:03)

 

鹿児島大学

(論文発表数)学会誌又はこれに準ずる権威あるものに投稿した論文発表数20以上で、特に最近5年間の研究活動が活発であること。ただし、分野によっては、若干の相違がある。(鹿児島大学大学院連合農学研究科主指導教員の資格等備えるべき条件の基準 教員資格審査

大分大学は教員採用の論文数の基準を公開しています。

第3条 本研究科における教員の選考に必要な研究業績及び経験年数の基準は,法人規程別表に定めるもののほか,原則として,次のとおりとする。
教 授 著書・学術論文20編程度(数学分野は,10編程度)
准教授10編程度(数学分野は,5編程度)
講 師5編程度 
助 教1編程度
(引用元:大分大学大学院教育学研究科教員選考規程 一部のみ紹介)

 

マル合情報の公開

どの教員がマル合かの情報まできちんと大学教員データベースで公開している大学もあります。

基本情報

職位 准教授
M合区分 M◯合
D合区分 D◯合

(参考:芝浦工業大学教員データベース 本学の専任教員の教育・研究活動、大学運営・社会貢献に関する情報等を公表しております。)

  1. 芝浦工業大学はオンラインの教員データベースでDマル合・Mマル合かどうかも分かるようになっている!! @nipox25 2019年5月11日

 

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なぜあなたは論文が書けないのか?

できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか

 

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キーワード:主指導教員 副指導教員 研究指導教員 マル合

 

本記事を執筆した動機

同じ轍を踏まないでくださいな。

 

関連記事 ⇒ まだアカデミアで消耗してるの?【博士の転職】

 

東大で大学院に入るのは自殺行為

大学院に進学するということ

ネットで出くわしたショッキングな言葉。

「東大で大学院に入るのは自殺行為、それ以外の大学で大学院に入れるのは殺人。」 (c)飯田泰之

過激ですが、共感するところもあります。自分も大学卒業時にはどんな会社からでも歓迎されそうな状況でしたが、大学院に進学した結果、世の中の誰からも必要とされず(任期切れ、公募100連敗)、いい年して家族もろとも路頭に迷うという恐ろしい状況に陥ってしまいました。研究しているのか職探ししているのかわからないような人生をずっと歩んできて、死んだ方が楽かなという気分を何回も味わいました。「大学院に入るのは自殺行為」というのは研究者社会の現実の一側面を言い当てた言葉でしょう。もう15年前の言葉のようですが、令和の時代が始まる今になっても、状況は悪化こそすれ何ら改善していないようです。

自分は生命科学の業界しかわかりませんが、業績があってもパーマネント職に就けていない人があまりに多いです。これが現状なのに、漠然と大学院に進学して将来研究者になりたいと言う学部学生を見ると、大丈夫?と思ってしまいます。そういう(地方大学の)学生が、優秀であるがゆえに先生に可愛がられてそのまま同じ大学院に進み、そこで人並みの論文を書いて博士号を取得したところで何者にもなれないでしょう。それをわかっていて大学院進学を勧める先生がいるのだとしたら、上で紹介した言葉は過激ですが、その通りだと思います。

自分の考えをいうなら、生命科学の場合ですが、

大学院に進学して、小さな論文にしかならないような研究テーマを選んで5年間実験に勤しむのは自殺行為

となります。なぜなら、そんな論文を出したところで職は獲れないから。ここで小さな論文というのは、インパクトファクターが10も無いような雑誌に掲載される論文という意味です。論文の真に科学的な価値は度外視した話です。そして、将来研究者になりたいという希望を持っている大学院生に対して教授がそのような研究テーマを強制するのだとしたら、それは非常に無責任な行為だと思います。大学教授の地位の保全には十分な論文業績であっても、大学院生がアカデミアで生き残るには不十分でしょう。大学院時代に限らず、ポスドクに関しても同じことが言えます。

「一流誌には届かなかったけれど、とりあえず論文がやっと出せて良かった。」と教授と一緒に喜んでいるようでは、あなたに研究者としての未来はないのです。若者は現状を見切り無謀な挑戦の回避を

ただし、段ケーキの上にひょいと持ち上げてもらえる人間になれれば、その限りではありません。

  1. 大学院進学はまちがいなく自殺行為である(2004-11-29 思考錯誤)
  2. 大学院進学は自殺行為だ。そして、明治時代も、そうだった (2015-02-01 shibaok.net)

文系と理系とでは就職の厳しさがまた全然異なるのかもしれませんが、程度の差を別にすれば、これらの言葉がそのまま理系の世界にも当てはまりそう。

研究職に就かんとする者に必要な心構えについて。まずは諦めましょう。世間的成功、お金が欲しい人には向かない。また、学問と研究は違うのであり、文系の場合は特に就職口がなく、あったとしても自分がやりたいこととぜんぜん違う分野を求められることもしばしば。職業と云う点から言えば学問的才能は関係ない。むしろ職業的習熟、人付き合い、プレゼン能力などが求められる。これを研究したい、などと云うのは結局はゴールのようなところであり、それまでのプロセスではやはり話は別で、現実的世渡りが必要。イベント報告 京都大学 総合人間学部 大学院人間・環境研究科 同窓会)*太字強調は当サイト

 

参考となるデータ

 

生きる力を与える言葉

すでに大学院に進学してしまった人にとって、最初に紹介した言葉は凶器にしかなりませんが、さんまさんの言葉が力になります。自分はこの10年間、この言葉を拠り所に生きてきました。

「生きているだけで丸もうけ。」(明石家さんま)

  1. 人間、明石家さんま。「座右の銘」の話(YOUTUBE)

 

研究の世界は段ケーキ

昔、芸能人の誰かがネット記事の中で言っていたことですが、芸能界は結婚式に登場するあの「段ケーキ」と同じで、どれほど努力して前に進んでも、自分が今いる段から上には上がれないそうです。上に行くには、上にすでにいる人に引っ張り上げてもらう以外ない。

この記事を読んだとき、研究の世界も同じだなぁと思いました。どれだけ努力して論文業績を積み上げても、誰かが自分のことを気に入ってくれて引き上げてくれない限り、どうにもならない。段ケーキの上では、前に進む努力をいくら続けても無駄であって、上の段から自分に手を差し伸べてくれる人を得ることが必要なのです。

 

関連記事 ⇒ まだアカデミアで消耗してるの?【博士の転職】

 

参考

  1. 大学院に行って人生を棒にふる方法 (2018/05/21 06:12 katsu1110)
  2. これから人文系大学院へ進む人のために (2004-12-10 15mode ver.cpot)

 

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デキ公募:若手研究者からエネルギーを奪い日本の科学研究を衰退させる悪習

公募の結果発表

4月は新しい季節の始まり。大学に新たに着任された先生方の顔ぶれがウェブサイトで確認できます。自分が出して落ちた去年のあの公募で一体誰が採用されたのかなと見てみると、なんと内部昇格している例ばかり。特に、地方国公立大学でその傾向が顕著に見えます。一部のメジャーな大学もそうですが。

 

応募の労力

別に内部昇進した人になんの恨みもありませんが、だったら大学は公募しないでほしかったなあと思います。応募書類を書いて、送って、面接に呼ばれて準備するのには莫大な労力がかかります。何十か所も応募していると送料だってバカになりませんし、面接のときの旅費や宿泊費だって、非常に家計を逼迫するのです。

 

募集要項から読み取るデキ公募

募集期間が10日間と異常に短かったり、専門分野が恐ろしく絞り込まれていて該当者がそのラボの中の人しかありえんだろうという募集要項を出してくれれば、それを「これはデキ公募ですよ」というメッセージとして受け止めて、応募を控えるという選択ができます。

 

お祈り通知から読み取るデキ公募

ひとくちに「お祈り通知」と言っても、そこには非常に大きな違いがあります。選考委員長の先生が、いかに苦労して候補者を選んだかが自分の言葉でしっかりと語られているような大学・学部もいくつかありました。応募者総数や面接に呼んだ数なども記載して、選考過程を多少なりとも教えてくれる大学も結構あります。

そんな誠意を感じさせる大学・学科がある一方で、ありがちなのが、100%定型の書面でしかないような大学。貴殿の益々のご発展をお祈りいたしますってやつですね。少なくとも、デキ公募だったところは、こういう定型文を使うしかないだろうなと思います。ちなみに、定型お祈りメールにもいくつか異なる印象があって、定型なのに誠意を感じさせる言葉遣いというものがあり、日本語の豊かさを再認識しました。

さて、定型お祈り通知を送ってくる多数の大学の中でもひときわ目立っていたのが、首都圏にある日本有数の国立の研究大学。業績欄の論文全部にインパクトファクターまで付記させておいて、「お、ここは研究能力重視で選ぶのか」と思いきや、毎回、フタを開けてみりゃ内部昇進が当たり前。インパクトファクターをわざわざ全部書かせるのなら、採用した人間の論文業績のインパクトファクターの合計と、応募者たちのインパクトファクターの合計の分布でも示してもらいたいものです。この大学は、人間の名前がどこにも書かれていない機械的・事務的な通知を送ってきてお終い。多数ある定型お祈り通知の中でも、異様に非人間的な印象を受けました。応募者を何だと思っているのだろう。

 

公募制度の矛盾

応募期間を2カ月と十分に長くて、研究領域も漠然とした募集要項の場合、自分にも可能性があると期待する人は何百人にも上るでしょう。彼らの労力を無駄にするのは止めるべきではないですか?論文業績がはるかに上の人たちが多数応募したはずなのに、蓋をあけてみたら内部の、業績的にも芳しくない人がしっかりとパーマネント職に昇進している現実。そういう人たちだけが生き残って、まともに研究成果を上げてきた人が任期切れで行き場を失って研究を辞めざる得ない今の日本の科学研究業界は狂っているのではないでしょうか?

 

デキ公募廃止の提言

公募する気がないのなら、最初からしなきゃいいと思います。デキ公募をJREC-INに出して多くの優秀な研究者の時間と労力を奪うことはやめて欲しいものです。数多くの真面目な研究者たちがエネルギーを奪われて、疲弊しています。そもそも、研究業績の無い人間を教授や准教授に昇進させる大学では、大学院生は研究者になるためのトレーニングを積むことはできないのではないですか?無垢な大学生が、研究とはそんなものだと誤解して研究に憧れでもしたら可哀そうな話です。


 

以下に、デキ公募に関するツイートを紹介します。ガチ公募とデキ公募の境目が明確でないことには注意を要しますが、研究室に在籍していたポスドクがそのまま助教になっていたり、助教が准教授に昇進していたのならば、それはデキ公募だったと考えるのが妥当でしょう。過去に在籍していた人がしばらく外に出てファカルティとして元ラボに呼び戻される形もしばしば目にします。

デキ公募に関するツイート


 


 

参考(ブログ記事)

  1. ポスドクから見たダメ教員(2007年 10月 28日 5号館を出て)”「公募」と称した募集の中には、公募という形にしなければ文科省に叱られるからという理由で形だけ公募の形態をとったいわゆる「やらせ公募」が横行していることも、なかば公然の秘密です。”
  2. デキ公募(2006-09-05 00:21:55  ケミストの日常) ”公募の形式を取っていても実態は適任者が内定しているというケース、いわゆるデキ公募が無視できないほどにある”

 

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大学教員・職員の定年、定年延長に関する議論の纏め

各大学の教員、事務職員の定年、再雇用の状況、企業の定年延長、公務員の定年延長などに関するウェブ記事、報道等のまとめ。

 

大学教員の定年の年齢と大学職員の定年の年齢

おなじ国立大学でも大学によって定年の年齢が異なるようです。また、教員と職員では定年する年齢に差が設けられているところが多いようです。

  1. 国立大学法人北海道大学職員就業規則 第19条 前条第1項第1号に規定する職員の定年は,次の各号のとおりとする。(1) 教員(次号に掲げる者を除く。)の定年は,満63歳とする。(2) 年俸制教員(満59歳に達する日の属する年度の4月1日以前から年俸制教員となった者に限る。)の定年は,満65歳とする。(3) 前2号以外の職員の定年は,満60歳とする。
  2. 国立大学法人筑波大学本部等職員就業規則(PDF) 第10章 定年、退職及び解雇 第1節 定年 (定年) 第68条 職員が、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の3月31日に退職する。ただし、第5条の規定により期間を定めて採用された職員を除く。2 前項の定年は、次の各号に定めるとおりとする。(1)大学教員及び研究職員 満65歳 (2)労務職員(炊婦) 満63歳 (3)前2号以外の職員 満60歳
  3. 国立大学法人東北大学職員就業規則  第22条 職員の定年は、次のとおりとする。一 教員の定年は、満65歳とする。ただし、歯学部附属歯科技工士学校の教員の定年は満60歳とする。また、職務の特殊性等を考慮し、総長が特に必要があると認めた者については、この限りではない。二 前号以外の職員の定年は、満60歳とする。ただし、庁舎の監視その他の庁務及びこれに準ずる業務に従事する職員の定年は、満63歳とする。
  4.  大学 事務職員の人事処遇制度に関するアンケート結果概要  2008 年 7 月 10 日 大学経営支援セミナー資料(PDF) 事務職員の定年年齢(2008 年 4 月 1 日現在)。60 歳が 10 校と最も多いが、65 歳という大学も 7 校。
  5. なぜ?定年に差?職員 60 歳 教員 65 歳【労働基準法、第3条違反であり認められない!】(PDF) かわら2版 東京大学職員組合発行

 

私立大学教員の定年

早慶となにかと並べられる早稲田大学と慶應義塾大学ですが、定年の年齢に関しては早稲田大学が70歳、慶應義塾大学は65歳と、大きな違いがありました。

早稲田大学

昔は早稲田大学に定年はなかったようだが、私の学生時代には既に70歳定年制が決まっていた。その後今から20年くらい前に選択定年制が施行されて自分の定年は何歳くらいが妥当であるか自分で考えるようになった。… 早稲田大学の先生は国立大学の先生と較べて定年は高齢であり、しかも、現職時の担当講義時間は多く、指導しなければならない大学院の学生数も多いことから、定年まで勤めることは並大抵のことでないと感じていた。(退職年齢は何歳くらいが妥当か? tc-pmt

 

慶應義塾大学

  1. 慶應義塾大学法学部政治学科教員公募慶應義塾大学)1.職名及び人数:准教授または専任講師、いずれか1名 2.採用予定日:2020年4月1日 (2)定年:満65歳になる年度の末をもって定年となる
  2. 専任教員年齢構成表 
  3. 65歳まで永久パスポート(MY NEWS JAPAN)

 

明治大学

  1. 専任教職員40氏が退職 70歳 

 

大学教員の職階によって定年が異なる大学

同じ大学教員であっても教授と准教授とでは定年する年齢に差が設けられている大学もあるようです。


 

 

参考

  1. 私立大学における職員と教員との関係に関する一考察(PDF)

 

 

大学の教職員と事務職員との間では定年に差が設けられている大学が多いようですが、最近現れたURAの職に関してはどうなっているのでしょうか?

URA(リサーチアドミニストレータ)の定年

  1. 国立大学法人福島大学 特任専門員/URA業務(研究振興課)(ハローワーク求人情報)定年 あり 一律 60歳

  2. 国立大学法人北海道大学文学研究科 URA職(正規職員)の募集について 募集人 員 :2名(60 歳未満 ※定年年齢が 60 歳のため)
  3. 名古屋大学 リサーチ・アドミニストレーター(URA)募集要項 平成 29 年 1 月 27 日 定年は60歳です(なお、知識・経験等を勘案し、65歳を定年とする場合があります)。
  4. 大阪大学経営企画オフィスにおける URAのスキルアップ・キャリアアップ(大阪大学) 平成27年4月から「学術政策研究員*」という職を新たに設置。(*:期間の定めのない評価連動型年俸制(定年65歳)の新たな職種で、裁量労働制の適用)

 

 

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

第九条 定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。
一 当該定年の引上げ
二 継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
三 当該定年の定めの廃止 (引用元:elaws.e-gov.go.jp)
  1. 高年齢者の雇用(厚生労働省)
 

再雇用後の給与待遇

  1. 北海道大学の定年退職後の再雇用状況について (PDF)【教 員】定年年齢:63歳 再雇用後の身分 特任教員(退職時と同等の職種) 再雇用後の年間平均給与額(平成23年度) : 約690万円 【事務・技術職員等】定年年齢:60歳 再雇用後の身分 嘱託職員 再雇用後の年間平均給与額(平成23年度) : 約280万円

 

大学教員の定年引き下げ

  1. 関西大学が教授の定年延長制度を5年から2年に短縮 2008-06-03 Clear Consideration(大学職員の教育分析)

 

大学教員の定年引き下げに関する訴訟

  1. 事業環境の悪化を受け、定年年齢を70歳から65歳へ引き下げた。※本事例は、判例等をもとに脚色して作成しています。(参考判例) 芝浦工業大学(定年引下げ)事件(社会保険労務士事務所HMパートナーズ)
  2. 大阪経済法律学園事件 【大阪地判 2014/02/15】(労務管理センター)【請求内容】定年を70歳から67歳に引き下げた就業規則変更は無効として、70歳までの地位確認と、賃金・退職金を請求した。

 

国家公務員の定年引き上げ

  1. 定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出のポイントPDF) 平成30年8月 人事院

 

企業における定年延長の動き

ジョイフル定年制そのものを廃止しました。製造業ではホンダ日本ガイシなどが17年度から定年を65歳にしました。今後は明治安田生命保険が19年度から定年を65歳に延ばすほか、日本生命保険も21年度に65歳定年に移行(定年延長、どうなる? 世代交代や給与体系課題に  2018/5/28 NIKKEI STYLE)

  1. 定年延長が企業にもたらした効果と課題 導入企業に聞いた(2018年10月25日 ニュースイッチ 日刊工業新聞)明治安田生命保険 ホンダ 日本ガイシ 前沢工業 OSG 定年延長は引き抜き防止策にもなる。

 

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参考(報道など)

  1. 政府が70歳定年へ効果試算、75歳も視野 にじむ年金改革の思惑(2019年2月8日12時41分 朝日新聞DIGITAL)
  2. 公務員の定年65歳に 給与は5年連続上げ 人事院勧告(2018/8/10 10:18 日本経済新聞)政府は21年度から3年ごとに定年を1歳ずつ上げ、33年度に定年を65歳にする方向で検討する。
  3. 「定年65歳以上」の企業は約18% 10年で3倍に、人手不足など背景(2018.5.13 08:30 産経新聞)近年は、景気回復に伴って若年層の採用が難しくなっていることもあり、安定した雇用条件を用意することで優秀なシニア人材を活用しようとする企業は今後も増える見通しだ。
  4. 公務員定年、65歳に 19年度から段階的に延長  政府検討、総人件費抑制策も(2017/9/1付 日本経済新聞)政府は現在60歳の国家公務員と地方公務員の定年を65歳に延長する検討に入った。2019年度から段階的に引き上げる案を軸に調整する。… 定年延長には、民間への影響も計算する。高齢者雇用安定法は企業に65歳までの雇用確保を見据え企業に定年廃止、定年延長、再雇用の3つの選択肢を求めている。現時点では再雇用を選択する企業が大半。厚生労働省の調査によると、定年を65歳以上としているのは16%定年制を廃止しているのは2.7%にとどまっていた。

 

参考(その他)

  1. 公務員65歳定年制の導入は「若者の賃金搾取」と「解雇規制緩和」の序章だ (1/5)(2018年11月29日 08時30分 溝上憲文,ITmedia #SHIFT)
  2. 定年退職が65歳になるのはいつから?60歳との違いは年金や制度!(フェルトン村)
  3. 定年退職の年齢は60歳から65歳へ!引き上げの理由と法律の改正(2018.11.04 フェルトン村)
  4. 国家公務員65歳定年制が実施されると国立大学法人職員は一体どうなるのか?(2017年09月12日19:53 国立大学職員の趣味日記
  5. 各大学の教員定年年齢