自分が研究に向いているかを知る20の質問 ~プロの研究者になるために必要な素養とは?進路に迷っている人のためのチェックリスト~

      2018/11/07




 

なぜあなたの研究は進まないのか?
なぜあなたは論文が書けないのか?
考える力、やり抜く力 私の方法

 

大学院博士課程進学などの進路を決めるにあたって、自分は研究者になれるだろうか?研究者に向いているだろうか?と悩む人は多いと思います。

プロの研究者になるために絶対に必要な素養とは、何でしょうか?どういう人が研究者として生き残るのでしょうか?進路を迷っている人向けに、参考になりそうなアドバイスをまとめました。

長くなるので、はじめに一覧を示しておきます。

  • 1.運がいいか?
  • 2.褒められるのが嬉しいからという理由で道を選ぼうとしてはいないか?
  • 3.大学までの勉強と、大学院における研究との違いを理解できているか?
  • 4.良いメンター(師匠)を見つけられるか?
  • 5.人一倍強い好奇心があるか?
  • 6.自分の頭を使ってものを考えているか?
  • 7.コミュニケーションの大切さを理解しているか? 人と関わることの重要性を認識し、実践できるか?
  • 8.競争に勝つマインド(心構え)があるか?
  • 9.頑張ってしまわないか?
  • 10.研究に没入し、解決すべき問題に集中し続けることができるか?
  • 11.職業選択に迷いはないか?
  • 12.正念場で頑張れるだけの体力、気力、忍耐力、意志の強さはあるか?
  • 13.素直さがあるか?
  • 14.野心はあるか?
  • 15.緻密な論理的思考能力があるか?
  • 16.楽天的か?
  • 17.孤独に耐えて、自分の価値を信じ切れるか?
  • 18.人間力があるか?
  • 19.一生スキルアップが必要と心得ているか?
  • 20. 百人百様の中に潜む共通項:単純さ、純粋さがあるか?
  • さいごに(研究の世界の厳しさについて)

では、スタート!!

1.運がいいか?

成功した理由を聞かれたとき、「自分は運が良かった」と多くの人が言います。

松下幸之助氏は社員面接の最後に必ず「あなたは運がいいですか?」と質問したという。そこで「運が悪いです」と答えた人は、どれだけ学歴や面接結果が良くても不採用にした (運が良い人、悪い人~松下幸之助が問いかけた「運」の意味  10mtv.jp)

同じようにやっても大学教員に成れる場合もあれば、なれない場合もあります。結局、決定的な要因は運なのです。… 運が巡ってくる確率を上げる方法はあります。(どうすれば大学教員になれるか 長束・鈴木研究室 ブログ)

あなたがとことん追求した結果が、 単に独りよがりではなく、時空を越えて、誰かに共感され、評価され、貢献をすること。もうだめだと思った時に、「こいつを埋もれさせるのは惜しい」と思う誰かに救われること。この人生の賭に勝ち抜き、生き残ること。こうなれば、あなたは学者――教授と限らない――になれるのである。(エッセイ あなたは学者に向いているか 東京大学 松田研究室)

It was a matter of good luck to have been in the right place at the right time, trying to do the right thing, first alone, and then with the right students and collaborators. (クルト・ヴュートリッヒ 2002年ノーベル化学賞受賞  peerj.com)

Everybody in science works very, very hard, and everyone makes important contributions, and you’ve got to be lucky to make a contribution that also has a medical or clinical impact. In some sense that’s the skill of choosing, and in another sense that’s the luck of being at the right place at the right time. I’ve always felt that I’ve been at the right place at the right time. (Arnold Levine がん抑制遺伝子p53の発見者 rockefeller.edu

生まれつきの大天才は別として、ほとんどの人は偶然や運やめぐり合いによって、人生が大きく展開していく。私たちは、無意識のうちにさまざまな選択をしながら日々行動しているわけだが、その選択・行動パターンによって、運や偶然をつかむ人とそうでない人がいる。その人が磨いてきた能力に加えて「正しいときに正しい場所にいる」ことが重要で、それは突き詰めて言えば、誰かの心に印象を残し、大切なときにその誰かから誘われる力なのである。(梅田望夫 著『ウェブ時代をゆく-いかに働き、いかに学ぶか』/ 「正しいときに正しい場所にいる」幸運にめぐりあう答えは現場にあり!技術屋日記)

 

2.褒められるのが嬉しいからという理由で道を選ぼうとしてはいないか?

子供の頃からもともと勉強が得意で、しかも親や周りが褒めてくれるのが嬉しかったからという理由で研究者への道に進もうとしている人は、一度立ち止まって自分自身に問い直したほうが良いでしょう。

Q:承認欲求が研究の第一のモチベーションになっていないか? MESSAGE→他人からどう思われるかではなく、自分が自分の研究をどう思うかが大切。(『なぜあなたの研究は進まないのか』 佐藤雅昭 著 メディカルレビュー社

価値の判断基準が自分の外にある人間は表現者になれない。その表現の仕方が研究だろうと、スピーチだろうと、絵画だろうと、価値の判断基準は常に自分の内部にあり、その基準に基づいて自分の考えや思いを外に問うのが表現だ。… 君がもし表現者になりたいのだとしたら、精神的な背骨を手に入れる必要がある。それはどんなものでも良い。私が君をどう思うかではなく、君が君をどう思うかそれが重要だ。(価値の判断基準が自分の外にある人間は表現者になれない  発声練習)

 

3.大学までの勉強と、大学院における研究との違いを理解できているか?

教科書から学ぶ立場だったのが、教科書に新たな1行を書き足す立場にまわるのだという自覚が、まず必要です。

「研究をする」ということは,どういうことだか知っていますか? 今までやってきた(使ってきた)「勉強する」とは,どこが違うのでしょう。大学院は,主に研究をする場所ですので,これに対して答えられないのならば進学はやめておいたほうが無難です。なぜなら,入学した早々から,「私は何をすればいいの」というドツボにはまってしまう可能性が高いからです。(大学院のことなど 院希望者,院生へのお説教 nanzan-u.ac.jp/~urakami

3年生までの学生実験は、テキストがあり、そのテキスト通りに実験をすれば、事前に確かめてある実験結果が得られる訳ですが、研究室での実験は全く異なります。うまく行くか、どうかわからない実験をするのです。むしろ、大半が失敗する実験です。研究を進める上での目標があり、その目標に向かって試行錯誤するのですから、失敗して当然(目標が達成できないことが、ほとんど)であり、どれだけ手を動かして、どうすれば目標を達成するのか考え抜いていくのです。実験が失敗に終わってショックを受けている学生に言いたいことといえば、ショックに浸っている暇はないこと、次の考え抜いた実験がうまくいくと信じきれる事、それを失敗しても、次から次へとアイデアを生み出すこと、こんな環境が、理系の研究室だと思います。(日本大学文理学部物理学科研究室 十代研究室ウェブページ

自分は過去の天才たちが考えた過程をトレースするのが好きなだけで 誰も知らないことを追求するのには向いていないんだと思う。 (僕は中学受験の頃から算数が好きだった  はてな匿名ダイアリー)

難しいのは、勉強の出来る優等生への指導ですね。彼らは勉強と研究を混同してしまいがちなので。知識が豊富なせいか、新奇性の高い研究には後ろ向きになってしまうようです。「今の研究テーマをデータベースで検索したら、ほとんどヒットしませんでした」と不安そうに訴えてくることも。ほとんどジョークのような話なのですが、本人は至って真剣。先人達が切り開いた道をなぞるのが「勉強」で、新しい道を切り開くのが「研究」だと言ってもすぐにはピンときてくれない。(【特別鼎談】博士後期課程から社会へ -三者の歩んだ奇跡ー Part 2 博士の選択

論文や資料を見て、他にも同じような製品の研究をしている奴がいたといって安心しているようではダメなのだ。他にもいるということは、とりもなおさず独創性にかけるということなのである。それよりもむしろ、誰もとりかかっている者がいない、自分一人がやっているようだという認識に立った時、むしろそれを誇りに思うべきなのだ。(中村修二 『考える力 やり抜く力 私の方法』 三笠書房 2001年 p26)

勉強は「既にわかっていることを勉強する」ことで,一方,研究は「まだわかっていないことを研究する」ことです.このことは何を意味するかというと,勉強ができない,嫌いだからと言って研究者になる道を諦める必要はなく,逆に,勉強ができるからと言って優秀な研究者になれるとは限らない,ということです.(勉強と研究 似て非なるもの 境有紀のホームページ)

数学オリンピックで金メダルを獲得しても、数学の研究における成功が約束されているわけではないと、先述したハーバード大学のマクマレンは言う。「こうしたコンテストでは、すでに誰かが巧妙な解決法をもっている問題を入念につくりあげている。だが、研究においては、問題に対して解が存在するとは限らない」。(とびきりの想像力が、女性初のフィールズ賞数学者を生んだ:マリアム・ミルザハニ WIRED)

研究者からみれば、学部生までは勉強にすぎなくて、大学院ではじめて研究に触れるー未解決問題の問題解決能力をトレーニングするーのだということがあまり知られていないですね。だからこそ博士の教育はすごく大事で、一般的価値があるのだという認識も広まってほしいです。@masahirono

実際にアカデミアで成功する人は”下克上を生き残る戦国武将” or ”金儲けの達人”といった過酷な競争を生き残れる能力者です。つまり、どこに研究の種があり、どのタイミングで飛びつくかを虎視眈々と狙っている感じ。…この才能には学歴はほとんど関係ありません。例えば、成功した起業家に学歴を問うのはナンセンスなのと同じです。(研究者としての適性  ぽろっ all or something)

「問題解決力」という言葉からは、「問題はどこかから・誰かから与えられる、それを解決する」というような意識を感じます。おそらく、大学受験、大学院受験までは、そういう能力を鍛えるように訓練されているのだと思います。でも、大学院以降は、一流の研究者になるためにも、博士号取得者として違うキャリアパスを目指す場合も、「<問い>を立てる力」つまり「問題発掘力」や「問題設定力」が重要なように思います。(価値ある博士号取得者に必要なのは「問題解決力」以上  大隅典子の仙台通信)

研究者としては、実際に計算したりする能力よりも、新しい問題を見つけ出す能力、つまり企画力が重要になることが多いのです。素粒子論研究室に興味がある人の為の良くある質問集 hokudai.ac.jp

一般的な意味では優秀と呼ばれるような人たちが研究生活をドロップアウトしていく理由 … それは、こうした人々が「答えのない問い」に対して非常にアレルギーというか、苦手意識をもっているのではないかということです。… 答えのない世界というのは例えば、いま自分が解こうとしている問いにそもそも適切な答えがないかもしれないという可能性を排除できないまま、何年にもわたって実験を繰り返していくということだったりするのですね。… 本来科学者とは、こうしたことに対してむしろワクワク感とか知的な興奮を味わう種類の人種であって、はなっからやり方がわかっているようなことなどには見向きもしないという性質をもっている人たちなのです。… 答えのない問いに対して魅力を感じるかどうかというのが、研究の向き不向きを決めるリトマス紙になるというのが私の考えです。(研究に向く人と向かない人を見分けるためのたった一つの質問  ポスドク転職物語)

卒論と修論で先生の言うとおりにしかできない人なら、研究者としての能力は無いと判断できます。先生に言われなくても研究をどんどん進められる、或いは言われたこと以上の成果を出せる、というような能力が無ければ研究者としてはやって行けません。(研究者の向き不向き 発言小町)

研究者の能力は、1つの研究テーマをまとめて論文にしてはじめて評価できます。1つ2つ実験をしてうまくできる、できないは研究者の能力とは言えません。本当に研究者としての能力を見たいなら、最低自分で論文を書くところまでして考えましょう。 ただし、合理的な考え方ができない、自分のしていることが客観的に判断できない、戦略的に研究のプランが建てられないという方は研究者には向きません。これはトレーニングである程度身に付きますが、1年間やってまったく向上が見れない時は、あっさりと研究者になることをやめましょう。(九州大学 釣本先生の進路相談室)

どのような方法で解答にたどり着くことが出来るのか,そもそも解答は存在するのかさえも分からない問題にアタックするのが「研究」です。だから,「先生はきっと解答を知っているのだろうから,困ったときは先生に相談して,教えてもらおう」というメンタリティーでは,研究者には絶対になれません。 (小川研究室のアドミッションポリシー)

学生実験は「上手くいくのが普通」、研究は「上手くいかないのが普通」。つまり、毎日毎日、朝から晩まで、失敗を重ね続けることになる。当然、失敗を糧に して改良・改善をするけどね、そう簡単にはいかない。マジで精神的に参ってしまうのでは、と思ってしまう。このプロセスに馴染めない学生は、研究をやるのに向いていない。(成績は優秀だが「研究に向いていない」学生のタイプ  JCAST 会社ウォッチ

博士に必要なことは未解決の課題に挑戦して、失敗を重ねるうちにこうすれば良いという解決方法を見つけることです。それを論文にして発表させる、というのが私の教育法でした。博士は失敗の連続に耐えられる強さを持っていないといけません。研究は失敗するのが当たり前だからです。 (「大学はもっと元気を 政府に言うべきことはきちんと」第2回「博士の育成・就職は教授の責任」元総合科学技術会議議員、元東北大学総長 阿部博之 氏 JST Science Portalインタビュー )

他人の数学がよくわかるという能力と、自分の数学が創れるという能力は、あまり相関が大きくないようである。…学校で教わった流儀ではどうしてもわからなかったので、自分流にわかるように務めたら、このような仕事ができたといわれる大数学者は少なくない。(小松彦三郎 新・数学の学び方 小平邦彦 編 岩波書店 2015年 139ページ)

臨床のお医者さんは、ある程度知識が揃っていないとダメなんですが、研究者というのは必ずしも全部の知識が必要ではない。生化学者だって、生化学の教科書を全部知っている人は何人もいないでしょ。1ページか2ページ知っていればそれでいい。(早石 修 第10研究室 研究者の向き/不向き われら六稜人【第26回】科学を志す人のために )

たとえば半導体の開発をしている時、物理畑の人から見ればとても迂遠なやり方をしていると思われたとしても、それを何とも思わなかったということだ。かえって専門知識がない方がうまくいく場合だってあるのだ。… 普通なら専門家に馬鹿にされるようなことでも、私は平気でやれた。(中村修二 『考える力 やり抜く力 私の方法』 三笠書房 2001年 pp31-32)

幸いなことに私には常識などというものがなかった。だから、別に量子力学など学ばなくても、半導体は理解できると考えていたのである。それはどういうことかというと、要は、量子力学に代わる別の「言語」でもって物の性質を理解してやればいいということだ。では、別の「言語」とはいったい何なのか。私にとってそれは、実験結果以外の何者でもなかった。実験結果を深く深く考えること。これが私にとってのものを理解する道具だったのだ。(同 p76)

理論物理に向く人向かない人

ざっくり言えば、基礎方程式を出発点にしてそこから生み出される多様性に興味を持つ人が工学系向き、一方で、その基礎方程式は一体どこから来たのか、あるいはほかの別な基礎方程式と何か関連はあるのか、もしやそれら2つをいっぺんに導けるようなもっと基礎的な法則があるのではないか、と疑問に持つのが理学系向きと言えます。

高校では物理でも数学でも「解法の暗記」という勉強でだいたい通用しますが、大学の物理はそれが次第に立ち行かなくなります。ある程度は具体的な問題で学ぶ必要がありますが、たくさんの問題を解いて覚えこみ、問題を見たらすぐに解ける、ということはあまり意味をなさなくなります。それよりも、ひとつの問題をじっくり考えること、あれを思い出せは解けるはずと思ったら、それを思い出すために自分がわかるところまで戻り、ひとつひとつ導いて思い出す、そういったプロセスが重要になってきます。それと同じくらい大事になるのが、疑問からあれこれ考える一連のプロセスが好きか嫌いかです。

また物理の中でも理論物理学を専門にしようとするならば、量子力学を学んだ時の印象が一つの基準になります。量子力学は古典力学で培った物理的直感は違った概念を与えます。その議論を正確に展開するために、線形代数や複素関数などの数学をフルに使います。これまでにない新しい概念、あるいは原理から出発して数学的な整合性を利用して計算を行い、物理現象の予言を行う、そういったプロセスがしっくりくるかこないかは、理論物理向きかどうかの判断の材料になると思います。(hep.s.kanazawa-u.ac.jp

 

4.良いメンター(師匠)を見つけられるか?

本人の能力がどれほどあったとしても、それを発揮し、伸ばす環境に恵まれないと研究者としての成功はおぼつきません。

「師に仰ぐならノーベル賞級の人の下に就け。研究者としての君の将来は、全く違ってくるはずだ」(元 東大総長 有馬朗人 氏の言葉 / 林周二 著「研究者という職業」)

研究というのはノウハウです.あなたがいかに優秀であっても質の低い研究室に入ったらよい研究はできません.(学生時代をどう過ごすか –  京都大学 物理 篠本 滋

ただ一つ確信的に言えるのは、大学院は、「どこの大学、どこの研究科」に入るかよりも、「誰のところで、何をするか」に尽きるということである。だから、大学院選を選ぶときには、事前に、自分が何をやりたいのかをよく考え、師事したい先生と直接会って考えを聞くことが必須である。(大学院で何を学ぶか、何を教えるか、、と言う話  こんどうしげるの 生命科学の明日はどっちだ!?

残念ながら、研究者として成功するための十分条件を明確に規定することはできません。しかし、その必要条件は明らかです。それは大学院生時代を過ごすラボは、一流のラボに行け、ということです。大学院生のときの教育がその人の科学者としての基盤を形成することは明らかです。 (「幻の原稿」編 『Q&Aで答える 基礎研究のススメ』 九州大学 教授 中山 敬一)

優れた(自然科学系の)研究者になるにはどうしたらよいか? … 結局は,かの久保田競先生が10年以上前に書いた次の一文に全てが集約されている(久保田競編 『脳の謎を解く』(朝日文庫,1995)より抜粋)。 よい指導者の大学院へ進んで院生になり,研究の訓練,指導を受けて,よい学位論文を書いて発表することです。これがよい脳研究者になる一番の近道です。しかも,唯一の道といってもよいほどで,他の道は限られています。よい指導者ではない脳研究者の大学院生となって指導を受けて,よい研究者になれる確率はほとんどありません。 … この文章は「優れた脳研究者になるには?」というタイトルの文章中の一節だが,脳研究者に限らず,自然科学系研究者に広く通じるものである。 (優れた研究者になるには 脳科学者はかく稽ふ)

研究に向いているか向いていないかは、最後まで諦めずに研究に取り組んだ人にしか分からないと思う。ただ、研究室選びを間違えてしまった学生は、「研究を続けたい」という意志とは裏はらに、上司の指導放棄によって学位取得を諦めなければならなくなる。(研究者になれるかどうかは研究室選びにかかっている 〜学生のことを考えてくれる研究室選びのすすめ〜 つなぽんのブログ)

 

5.人一倍強い好奇心があるか?

研究者になるということにおいて一番重要なのは、やはり、何か知りたい、不思議だなという心を大切すること。それから、教科書に書いてあることを信じないこと。常に疑いを持って、本当はどうなってるんだ?という心を大切にする。つまり自分の目でものを見る、そして納得する。そこまで諦めないこと。(参考:本庶佑 京都大学名誉教授・特別教授のノーベル賞受賞記者会見【動画&書き起こし】)

やはり第一条件は好奇心旺盛だということでしょう。あとは根詰めて考える力や簡単にはあきらめない粘り強さが必要。それは、普段まじめに勉強することである程度身に付くと思います。あとは、コミュニケーションの能力もかなり必要ですね。問題はそこからうまく閃いてくれるかどうかという所なのだけれども、そこはコミュニケーションをたくさん積み重ねることで出てくるものだと思います。資質というよりは訓練して身につけるという感じがありますね。 (野本 憲一 教授 天文学専攻 専門:宇宙化学進化論 学生必見!! 東大教授の素顔に迫る!)

私が研究者に必要だと考える資質はたったひとつです。それは、「まだこの世界のだれも知らないことを、自分の手で明らかにしたい」という欲求です。これを備えた学生であれば、研究室に入りたての時に多少論文読むのが下手くそでも、当初与えられたテーマをぜんぜん自分のものにできていなくても、指導者の力次第で、「研究によって新たな発見をし、それを発表する」ことを自力でできるレベルまで持っていけると考えています。 (自分は研究者に向いていない? 〜研究者に必要な資質とは〜  つなぽんのブログ)

今の学生は設備がないと研究できないと言うけれど、そんなものなくてもできるんですよ。要はアイデア。そして、本当にやろうと思う熱情ですね。情熱を超えた熱情です。情熱があれば一定のところまで行けるけれども、物事を成し遂げるためには、どうしても自分でやってみたいという心の底から湧き上がってくる熱情が必要です。僕が取り組んだ問題も、60年以上も多くの研究者が取り組んでうまくいかなかったテーマですから、情熱だけじゃ足りません。うなされるような取り組みが必要ですよ。(変わらない熱情で、中胚葉へと変わる過程を見る 浅島 誠 JT生命誌研究館 サイエンティスト・ライブラリー

いろんな資質が必要かもしれませんが、私自身が一番大事かなと思ってるのは好奇心じゃないかと思いますね。…研究ではやっぱり「何をやるか」が一番大事じゃないかと思うんですね。…この「何をやるか」。それがまず分かれ目じゃないかと思います。… 「How」の前にやっぱり「What」が一番大事じゃないかと思います。そこが分かれ道。これをそこの前の青色LEDっていうのは一番最初に言いましたが好奇心がそこに来るということではないかと思います。 だから好奇心が一番大事な資質かなという気がします。実際には、「What」が大事で、その次に「How」が来る。そういう具合に考えるんです。(赤﨑勇氏 研究者に必要な資質は何? ノーベル賞の山中・赤﨑両教授が学生の質問に回答 ログミー 

私も好奇心というのが非常に大切で。私の最初の実験のお話をしましたが、本当に簡単な実験で、どうでもいいような実験なんですけれども、血圧を上げると思っていた薬が逆に思いきり下げた。 そのときにやっぱり人間のタイプが2つに分かれると思うんですね。どっちもいいと思うんですが、「予想どおり血圧が上がったら非常にハッピー な人」つまり、予想が外れたらがっかりしてしまうタイプと、そうじゃなくて、予想どおりだったら「まあこんなもんか」と思って、逆のことが起こったときに ものすごい興奮するタイプ。こっちが僕なんですけど、この2つに大きく分かれると思うんですね。 …でも僕は明らかに後者だったんですね。 そのときに自分は研究者、研究をやっていこうと思いましたから。だからやっぱり、好奇心だと思うんです。「なんでこんな予想が外れたんだろう?」という好奇心が、自分でも予想以上にあったので、そのあとずっと研究してきましたから。 やっぱり研究者というのは向き不向きがあると思います。そういう意外な結果に興奮するかどうかというのが、1つのものさしじゃないかなと思います。(山中伸弥氏 研究者に必要な資質は何? ノーベル賞の山中・赤﨑両教授が学生の質問に回答 ログミー 

医者は決められたことをものすごく正確に確実にやるのが仕事で、突飛なアイデアがあったとしても、すぐには試してはいけない。研究者はその逆で、ちょっと変だろうが自分の閃きから新しいことを生み出すのが仕事です。(未知なる「オートファジー」を解明する~臨床医から転身した異色の研究者~基礎医学研究者・水島昇さん SEKAI INTERVIEW 23

優秀な研究者の最も顕著な特徴は、特定の学問に執着する熱意です。人一倍の熱意があれば、どんなに業績が少なくても、後に大化けする可能性があります。「この分野を極めたい」と強く思い続けられることは、それ自体が貴重な能力なのです。 逆に、特定の分野への執着がないという人は、たとえ優秀で何でもそつなくこなせたとしても、あまり大成しません。… 「偉大な発見」のほとんどは誰も達成できなかった「意外な発見」ですから、大多数が「その分野は終わった」とか「その方法ではダメだ」と見切りを付けている研究の中にこそあります。もちろん、多くは本当にダメな研究なのですが、その中に大当たりがあると信じて、自分一人だけで掘り下げる度胸が必要なのです。(College Cafe by NIKKEI 研究者という職業(2)どんな人が向いているの? 「マニア」ではダメな理由 authored by 中田亨 産業技術総合研究所主任研究員)

 

6.自分の頭を使ってものを考えているか?

指導教員の言うことをなんでもかんでも聞いているようでは、はっきり言って研究者じゃないよ。そりゃ成果も出ないでしょうね。この部分は正直、指導教員のタイプによるところもあるけど、指導教員があるていど暇で手取り足取り逐一指導してくるタイプじゃない限り、必ず行き詰まる。だって自分で考えてないもの。(勉強」しかできない優等生は研究に向いてない。2017年6月20日 リケジョゆうきの活動記録)

実験や研究のことが何もわからない初心者の学生の場合、かつ、指導者が本当の意味で非常に教育的な場合は、指導者の言うことを何でもよく聞いて、それが多少不合理な内容を含んでいたとしても言われた通りに実行するということが最も望ましいという段階があります。「素直」であることと「自分の頭を使う」ということが一見相反するように思える場面もあるのですが、両方とも大切なことです。

自分自身でモノを考える力 これさえあれば後に述べる資質は全て時間の経過と共に身につきます。修士と博士を分ける境界はここにしかないと考えています。この力がないと、どこかで研究者として行き詰まります。 (大学の研究者になりたい人たちへ  暮標)

最後に一つだけ伝えたいことを選ぶとするなら、「自分の頭で考えて欲しい」ということです。最悪なのは何も考えず、言われたままに流されていく生き方です。(春から研究室に配属される理系新四年生のための心得  ミームの死骸を待ちながら)

「本に書いてあるから正しい」「先生が言ってるから正しい」という受け身の姿勢を「自分の頭で考えて自分が正しいと判断したから正しい」という自立の姿勢に切り替えその判断の根拠をきちんと言葉にして他者の下に開く (セミナーの意義 数学書の読み方について  竹山美宏)

「論文のとおりやったのに、できません」でおしまいなのである。それで平気な顔をしているのだ。さも、自分はきちんと言われたとおりやったのに、できないのは論文が悪いのだと言わんばかりだったのだ。これに対して、地方大学の落ちこぼれは、私が論文など読む必要がないと言うと、その通り読まなかった。そして、私と適当に会話しながらp型半導体を作り上げてしまったのある。しかも、論文などに書いてはいないような方法で完成させてしまった。私はすでにその作り方を想像していたわけだが、彼は私の発想を会話の隅々で直感することによって、つまり勘を働かせてp型半導体の作り方を学んでしまったのだ。(中村修二 『考える力 やり抜く力 私の方法』 三笠書房 2001年 p213)

真実を捜し求める者というのは、古い書物から学ぶ際に、書かれていることを性格的に信頼してしまうような人間ではなく、むしろ、自分が書物を信じてしまうことに疑いを持ち、書物から集めた事柄に問いかけるような人間である。論拠や実演には従うが、あらゆる種類の不完全さや欠陥でいっぱいの人間の言葉には従わないような人間である。このように、科学者の書いたものを吟味する人間の義務というのは、もし真実を学ぶことが目的なのであれば、読んだこと全てを敵にまわすこと、書かれた内容の中核および周辺に注意を向けながら、あらゆる側面からその書物に挑むことである。また、読んだ内容を批判的に吟味する際には、自分自身を信用しないようにしなければならない。そうすることにより、偏見や甘さに陥ることを避けることができよう。(イブン・アル=ハイサム, 965-1040 訳:当サイト)

The seeker after the truth is not one who studies the writings of the ancients and, following his natural disposition, puts his trust in them, but rather the one who suspects his faith in them and questions what he gathers from them, the one who submits to argument and demonstration, and not to the sayings of a human being whose nature is fraught with all kinds of imperfection and deficiency. Thus the duty of the man who investigates the writings of scientists, if learning the truth is his goal, is to make himself an enemy of all that he reads, and, applying his mind to the core and margins of its content, attack it from every side. He should also suspect himself as he performs his critical examination of it, so that he may avoid falling into either prejudice or leniency. (イブン・アル=ハイサム, 965-1040. https://en.wikiquote.org/wiki/Alhazen)

「君、何でもちょっとずつよう知ってるね」と言われ、ものすごく傷つきました。それを契機に、自分でアイディアを考えることが重要だと気づきそれに専念する事にしたのです。(常に問いを立て続けて—免疫・嗅覚・そして次は 坂野 仁 JT生命誌研究館 サイエンティスト・ライブラリー

いざ研究をやめる事にしようと思ったとたん、悔いの残る研究生活だったということに気がつきました。それまで自分で主体的に研究について考え、なにかアイデアを思いついてそれを展開させるというようなスタイルでは研究活動を行ってきていませんでした。「どうせ研究生活をやめるのであれば、その前に一度自分の思うとおりに実験してみよう。それでだめなら、それまでよ」そんな開き直った、なかばやけっぱちな気持ちで、何かを自分で考えて研究することにしました。…こうした論文をさかのぼる作業によって、ある種の興奮状態にある私は、ふと「もしも今の自分がその時代に存在していたら・・・」と夢想を始めたのです。…実験の詳しい手法や過程は述べません。結果としていくつかの新しい発見をすることができました。(自分で考えればおもしろくなる  広島大学  古本 強 研究者への軌跡)

わからないことに挑み、新しい原理を見つけていくのがサイエンス。そのためには、現状を知って、突き詰めてものを考ていく。そうすると、案外パーンとあれっと思うようなことが出てくる。それには相当考えなければだめ。考えることに尽きます。新しい側面が少しずつ解明されて、ある時ようやく全貌がわかってくるのであって、それまでは雲の中です。だから、見つけた現象を自分のもっている知識全部で説明できるかどうか。説明できないとすると、どこに問いがあるのか。それを一つ一つ明らかにすることが基本ですね。そうやって全然予期せぬことが見つかった時は、本当に興奮します。それを一度経験したらやめられない。(自分の頭で考える ~ウイルス研究からがん遺伝子の発見へ~ 花房 秀三郎  JT生命誌研究館 サイエンティスト・ライブラリー

そのような苦境下で、ふと気付いたのが自分の素朴な考えを大切にし、自分独自に考えるということでした。おもしろいことにそれを契機にして、自分なりの研究の組み立てや、結果の考察が楽になり、優れた学問とはいかなるものかが徐々にわかるようになりました。そして、自分の個性的な考えを日毎にレベルアップし、万人が認めるまでに高めることができれば、それは立派なサイエンスであることと、自分と他人の考えを明確に区別し、決して追従しない誇りがサイエンスには大切であることを悟りました。(半田 宏先生からのメッセージ 半田 宏 東京工業大学 生命理工学部 生命科学科、生命工学科 「東日本大震災」復興と学び応援プロジェクト 今こそ、学問の話をしよう あらゆる学問分野で活躍する大学の先生たちから、中高生へのメッセージ わくわくキャッチ河合塾)

 

7.コミュニケーションの大切さを理解しているか? 人と関わることの重要性を認識し、実践できるか?

一人前の研究者になるために必須、と考えるのはディスカッションの力だ。人とディスカッションをすることで、自分の論理は正しいのか、どんな修正が必要なのかを明らかにできる。(研究は情熱と覚悟でできている 国立遺伝学研究所 教員インタビュー 荒木 弘之 教授)

他人と関わるには動かねばなりません。学会や研究会、勉強会など人が集まる場にコミットする必要があります。研究室に居るだけでは、あなたを知るのはあなただけです。「コミットする」とは、参加だけを意味しません。討論で質問したり、懇親会で話をしたりを含みます。そこであなたの存在は他人の記憶に刷り込まれます。他人に認知されて初めてあなたは何者かに成るのです。(どうすれば大学教員になれるか 長束・鈴木研究室 ブログ)

研究は独力で進展するものではありません。実験研究や製品の開発研究では共同研究者たちと一緒に研究したり、チームを作ってシステマティックに進めたりし ます。ひとり黙々と頭の中で考える理論研究でさえ、他の研究者と多面的な議論をすることは研究を深化させるのに役立ちます。理論家と実験家のコラボがとて も重要で、その成果の論文が高く評価されます。どんな種類の研究でも、指導者、助言者、先輩、同僚、共同研究者、後輩、部下、学生、ときには競争相手などとの付き合いは不可欠です。その良否が研究の成否を決めると言っても過言ではありません。(研究者としてうまくやっていくには 長谷川修司 ブルーバックス )

いまから考えると、まことに赤面のいたりだが、教養部時代のある日、アポイントメントもなしに、木原先生の研究室のドアを突然たたいた。…「私は遺伝学にたいへん興味をもっているが、率直な感想を申し上げますと、私は遺伝学はもうすることがないんじゃないかと思います」と一席ぶったのだ。…木原先生は机に向いたまま、黙って私の言葉に耳を傾けていたように見えた。ややあって、ふっと顔を上げると、「君、なんていったっけ?志村くんか。そんなことはないよ。遺伝学は終わりじゃないんだ。むしろこれから出発するんだよ」と答えてくれたのだ。訳のわからないことをほざいた私のような学生に向かって、木原先生のような高名な先生がよくまともに応対してくれたものだと思う。先生はさらにこう付け加えてくれた。「これからの遺伝学は、物質のレベルで遺伝子の正体とか働き方というものを解いていくことになっていくと思う。そういう遺伝学はまだ全然なされていないから、君はその方向に進んでみたらどうかね」(私のサイエンス・スタイル「直感的創造力」志村 令郎 JT生命誌研究館 サイエンティスト・ライブラリー)

 

8.競争に勝つマインド(心構え)があるか?

サイエンスというのは、最初に発見した者だけが勝利者なんです。発見というのは、一回だけしか起こらない。同じものをもう一度見つけても、発見とはいわな いんです。一ヶ月のちがいでも、一週間のちがいでも、早い方だけが発見なんです。サイエンスでは二度目の発見なんて、意味がない。ゼロです。だから競争は熾烈です。(精神と物質 立花隆 x 利根川進)

研究の現状は、フロンティアめざして進む西部開拓者のようなものである。所有権のない土地を誰よりも先に見つけ、発見したあとは他人に侵されないよう垣根を作り、侵略者がいれば実力でもって追い出さなければならない。どれ一つとして気弱ではつとまらない仕事である。(小松彦三郎 新・数学の学び方 小平邦彦 編 岩波書店 2015年 139-140ページ)

 

9.頑張ってしまわないか?

強い意思を持って困難に当たるというような力の入ったことでは、遅かれ早かれいずれ力尽きる。むしろ、なによりも研究が好きで、客観的には大変な困難な道を歩いているように見えても、本人はそれを困難だと感じないというぐらいでなければ続かない。(研究者になるには  Taka Matsubara, Nagoya Univ.)

グロタンディエクの数学に賭ける執念、バイタリティーはすさまじいものだった。 … 人から見ると血と汗のしたたるような苦労をしても、一度として彼は、苦労を苦労として感じたことはなかったのではないか。 … 人は、何かに夢中になっている時は、たとえ苦労であっても、苦労を苦労と思わないのだ。(広中平祐『生きること 学ぶこと』 集英社文庫 1984年)

 

10.研究に没入し、解決すべき問題に集中し続けることができるか?

If I have ever made any valuable discoveries, it has been owing more to patient attention, than to any other talent. (Isaac Newton)

やっぱり研究には、朝から晩まで時間をとられるんで、両立は無理だね。特に能力のない者はね、時間で稼ぐしかないんで。(戸塚洋二先生の「二十歳の頃」)

「朝起きた時に,きょうも一日数学をやるぞと思ってるようでは,とてもものにならない。数学を考えながら,いつのまにか眠り,朝,目が覚めたときは既に数学の世界に入っていなければならない。」(佐藤幹夫)数学は体力だ!木村 達雄

起きている時間は、ほとんど全部、科学のことを考えています。九時から五時までの職業とは違いますから。科学者として成功するためには、本当に、時間のある限り考えぬいて、眠っているときにさえ、無意識のうちに問題に挑み続けていることを願わなくてはなりません。答えが出るまで、まるで獲物に食いついて放さないテリアのようなものです。これは、人を完全に没頭させる、一日二四時間の職業です。 (マイケル・バーリッジ (細胞生物学者) の言葉『科学者の熱い心―その知られざる素顔』[pp.276-277] より 「気ままに創薬化学」

本当に職業として研究者を続けいけるかどうかは、能力ではなく、性質によると思う。それは、世間で何が起こっていようと、寝ても覚めても1つのこと(自分の研究)を脇目もふらず考え続けることが出来るような性質である。‥‥ 寝ても覚めても1つのことだけを考え、研究に集中出来ない限り、どんなに能力があってもトップになることは難しい。論文を書いている時、実験をしている時、テーマを練っている時。あなたはそのことだけに思いっきりワクワクして、本気でのめり込んでいるだろうか? それとも他のことに思いを巡らしてしまっていないか?‥‥ 必須の原動力は研究そのものである。(研究者に向いている人・向いていない人 Nori

The only thing that kept me going was that I loved what I did. – Steve Jobs (Stanford commencement speech 2005)

私が知っている「幸せで成功している人」というのは、好きなことを仕事にしているだけではなく、自分の仕事に心を奪われているんです。 …犬とテニスボールで遊んだことはありますか? テニスボールを手に持って見せただけで彼らはものすごく興奮します。そして投げた瞬間興奮して走り出し、ボールに向かって一直線、リードが持っていかれたりしますよね? そう、これが幸せに成功している人々の姿です。皆さんもこんな気分になれるものを見つけて欲しいと思います。(「人生のコツはたったの3つ」Dropbox創業者ドリュー・ヒューストンの卒業スピーチが感動的  logmi.jp)

日本では我慢とか忍耐の重要性が強調されますが、我慢して何かをしてもそれは良い人生にはつながらないと思います。我慢しなければ一生懸命実験できないようなら、それは単に自分が研究には向いてないという事だと思います。夜遅くまで実験するのは「楽しいから」であって、「いつかはこんなつらい状況を抜け出すため」ではありません。… そして自分が好きなこと(それに伴うつらいことが苦にならないくらい好きなこと)を見つけられれば、その結果成功しなくても気にならないし、でも、好きなのでどんどん努力するため成功の確率は上がると思います。(“Don’t be trapped by dogma”〜人生とは、生きる価値とは〜 山下 由起子 University of Michigan  全世界日本人研究者ネットワーク 留学体験記)

自分はこれに賭けたいという研究テーマを自ら見つけて、それにのめり込むことが重要です。この「自ら」というのが大事です。自ら決めることで、頑張れるのです。何とかして次の扉をこじ開けたい、と昼も夜も考え、悩む中からブレイクスルーが生まれるのです。九州大学 今井研究室 教授挨拶

働くことをエンジョイできるか否かは自分次第だ。自分のアイデアで仕事をしていけば、仕事もエンジョイすることができる。また、そういう人間は苦痛もエンジョイすることができる。(本田宗一郎)(『本田宗一郎の人の心を買う術』)

もう頭の中は四六時中、青色のことばかりになっていたのだ。… 改造しても改造しても窒化ガリウムの膜ができないのはなぜなのか。私は、くる日もくる日もそのことについて考えた。この時の状態を妻に言わせると、まさしく何かに取り憑かれたようだったという。しかし、だからといって徹夜までして研究に没頭するなどということはしなかった。夜の八時には家に帰り、家族とともに食事をした。研究に熱中するあまり不規則な生活を送っても、結果が出ないことを知っていたからだ。(中村修二 『考える力 やり抜く力 私の方法』 三笠書房 2001年 pp151-152)

 

11.職業選択に迷いはないか?

悩む人はもうそれだけで「向いていません」。米国の指揮者・作曲家の故レナード・バーンスタインがおっしゃっていました。わたしはよく 「私は音楽家になれるでしょうか?」と聞かれます。私の答えはいつも誰に対しても即座に「駄目です」です。… 音楽家は好きや嫌い、なれるかなれないかに悩むものではありません。他になるものがあるなどということを考えつかない者がなるものです。芸術家はみんなそういうものですが、研究者も芸術家と同じです。 (研究者に向いている?向いていない? 教えて!goo)

研究者になりたいのですがどうしたらいいでしょうか?

 

 

と聞く人は実は研究者には向いていません.(大学院新入生のための数学学習の手引 宇澤 達)

数学は試験をすれば高校生でも大学生でもきわめてはっきりとした実力差が出る。統計的にみれば、そういう成績のよい秀才の方が研究者になりやすいことは確実だが、個別の例をみると秀才度との相関はあまり高くないように思える。…  結局は、好きで仕方がない、勉強・研究するなと言われてもどうしてもしてしまうというような人が生き残る世界なのではないかと思う。(河東 泰之 新・数学の学び方 小平邦彦 編 岩波書店 2015年 65ページ)

ひとつは(能力や実力以前に)研究が好きだということです。言い換えるなら(ちょっとネガティブな言い方になりますが)それ以外は向かない、できない、ともいえます。他人と比べて向いている、向いていないという意味ではありません。あくまでも自分自身の中での話です。仮に研究能力が高くても、いろいろなことに興味や能力がある人なら、別の道へ進んでいることも多いと思います。(もし、研究を続けたいと思ってるなら  卒業生からのメッセージ)

僕: 今回の僕の相談はズバリ、このままバイオ系の分野の研究者になっていのか、ってことなんです。


教授: バイオ系研究者になりたければなればいいし、なりたいと思わなければならなきゃいいじゃないか。
教授と僕の研究人生相談所(1)

研究者は職業ではない、生き方だ@piyota0

 

12.正念場で頑張れるだけの体力、気力、忍耐力、意志の強さはあるか?

ひとつの問題を検証するのに昔はわずかなことを確認すれば良かったのが、今は膨大な情報の中からあらゆる可能性をさぐり、テストしなければ論文にならなくなった。1報の論文を書くのに以前と比べて10倍くらいの時間を使わないといけないんです。しかも、電子化によってサプリメンタルデータを付けなければならなくなり、論文全体としてより高い 完璧性が要求されます。技術が進歩して昔できなかったこともできるので、やれることはすべてやりなさいというわけですね。論文を書き上げた後も、レビュワーから1論文に対して5-6ページくらいの追加実験リストが送られてくることが珍しくない。難しいジャーナルほどそのリクエストが多く、全部こなすにはまさに飲まず食わずで実験しないといけません。ですから、論文1つ出版するのにもの凄いエネルギーがいるんです。頑張れる人だけが達成できる。頭脳だけではどうしようもなく肉体労働ですね。 (細胞のメカニズム解明から医療へ。発生・再生科学の今  理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター センター長 竹市雅俊氏 トムソン・ロイター 研究者インタビュー )

Reviewer(査読者)からの追加実験要求が近年とても厳しくなってきたことが研究者を苦しめている。「追加実験の内容だけで、10年前なら一つの論文が書けてしまうデータ量になる」というようなことが珍しくなく、また、一つの論文を発表するための追加実験だけに1年以上かかるということも今では普通のことになってしまった。しかも、このような傾向は今後も続くことが予想されるため、自らの研究成果を多くの人に知ってもらうための研究発表に要する時間と労力は、今後も増加し続けるであろう。(バイオの研究者を目指す学生が知っておくべき7つの項目 2017年2月6日更新 BioMedサーカス.com

細かい議論を長々とするには、実は忍耐だけでは不十分です。一番大切なそして難しいことの一つは、このルーチンワークのような議論の積み重ねをすれば、必要なことができると見抜くことです。さらに、単に見抜いただけでは不十分で、その「見抜いた」ことが正しいことを確証するために、実際に長いルーチンワークに耐え、最後まで手をぬかずやり抜かねばなりません。議論が面倒であればあるほど、自分の見抜いたことに対する確信とそれを貫く意志が必要になります。忍耐を支えるのは、自分のこうやればできるはずだという感性に対して築きあげた自信なのです。(深谷賢治 小平邦彦 編 『新・数学の学び方』)

 

13.素直さがあるか?

人が成功するために一つだけ資質が必要だとするとそれは「素直さ」(松下幸之助)(小宮一慶 著 社長のための「お客さま第一」の会社のつくり方: 明日から職場を変える行動プログラム)

(Q. どういう人に来てほしいですか?) 私たちが重視する素質は、素直なことです。周りから愛され、伸びていくことでしょう。熊本大学 寺沢 研究室

研究者は常に自らバージョンアップを繰り返していく必要があります。そのためには、人の意見や研究に素直に耳を傾ける謙虚さが必要となります。(大学院入学希望者へ  広島大学 町田 研究室)

創薬研究に携わる者には、好奇心・探求心が旺盛であることや、実験が好きでロジカルに解析できることなどは当然求められる資質です。その上で更に大切なことは、データを、先入観を持たずに素直に見る姿勢です。サイエンスは決して嘘をつきません。思いもよらぬ結果がでた時、それをダメと思うか、それとも、面白いと思えるか。つまり細胞や動物が何かしらのメッセージを発信している時、それを素直に感じ取ることができる感性を持った研究者が必要なのです。 JT医薬総合研究所・大川滋紀所長に訊く

大切なのは、特に自然科学は実験結果を透明な眼鏡で見るといいますか、色眼鏡で見ないということですね。どうしても自分の仮説があったら、その仮説どおりになってほしいという希望があったりして、真っ白な心で見れないので。 そうすると真実を誤認しますから、いかに自分の目を透明にするか、真っ白な心で結果を見れるかということが非常に大切だと思います。(山中伸弥氏 研究者に必要な資質は何? ノーベル賞の山中・赤﨑両教授が学生の質問に回答 ログミー

 

14.野心はあるか?

私は学者として生きている限り、見知らぬ土地の遍歴者であり、荒野の開拓者でありたいという希望は、昔も今も持っている。(湯川秀樹『旅人』5ページ 角川文庫)

研究の世界に限らず、どこの世界でも、ある業界で一人前の人間として大成するためには、向上心や野心が必要です。 研究とは、まだ誰もやっていないことをやるものであり、常に失敗するリスクをはらんでいます。 そうした不安や孤独に耐えて地道に努力を続けられる、タフさも重要です。 また、研究の価値で重要視されるのは独創性、新規性です。単に教科書を読んで勉強して、それで満足しているような人は研究者には向きません。 何か新しいことをやってやろう、世界を驚かせてやろう、そういう野心や山っ気も大切です。(大学院進学希望の方へ 東京大学 戸谷 友則 教授

ただ運がいいだけでも、懸命に研究しているだけでもダメなのです。野心も重要です。… ノーベル賞は、不可能だと思われていたことを成し遂げたことに対して贈られます。例えば、私がまだ学生だった頃、皆DNA塩基配列決定法など達成できないと言っていました。でも、フレッド・サンガー(Fred Sanger)はそれを成し遂げました。もう一つ例を挙げるなら、リボソームです。複雑すぎて、結晶化することがないため、リボソームの構造を完全に解き明かすことは不可能だと教えられました。たとえ結晶化したとしても、データが多過ぎて解読できないと言われていました。大変手ごわい問題でしたが、人々はそれに取り組みました。現在、我々はリボソームがどんな形で、どのような仕組みなのかを見ることがほぼ可能となっています!ですから、ある程度の野心は必要です。不可能と言われていることに取り組んでもいいのです。でも、中に入り込んでいくためのとっかかりとなる隙間が見つかるまで待ちましょう。 (ノーベル賞受賞者でも掲載拒否を受けることはある ティム・ハント博士/ノーベル賞受賞者  editage Insights)

 

15.緻密な論理的思考能力があるか

生命科学者に求められる第一の資質は、意外に思われるかも知れませんが、「論理性」なのです。つまり、突飛なアイデアではなくて、A→B、B→C、故にA→Cというような、確実で緻密な思考能力が要求されます。「幻の原稿」始末 九州大学 生体防御医学研究所 分子医科学分野 教授 中山 敬一 )

論理の連鎖のただ一つの輪をも取り失わないように、また混乱の中に部分と全体との関係を見失わないようにするためには、正確でかつ緻密な頭脳を要する。紛糾した可能性の岐路に立ったときに、取るべき道を誤らないためには前途を見透す内察と直観の力を持たなければならない。すなわちこの意味ではたしかに科学者は「あたま」がよくなくてはならないのである。 しかしまた、普通にいわゆる常識的にわかりきったと思われることで、そうして、普通の意味でいわゆるあたまの悪い人にでも容易にわかったと思われるような尋常茶飯事の中に、何かしら不可解な疑点を認めそうしてその闡明に苦吟するということが、単なる科学教育者にはとにかく、科学的研究に従事する者にはさらにいっそう重要必須なことである。この点で科学者は、普通の頭の悪い人よりも、もっともっと物わかりの悪いのみ込みの悪い田舎者であり朴念仁でなければならない。… つまり、頭が悪いと同時に頭がよくなくてはならないのである。 (科学者とあたま 寺田寅彦  aozora.gr.jp)

 

16.楽天的か?

これから学問を志す人に老婆心ながら述べたいことがあります。 それは次の性格条件を満たしていることです。… 

  1. 知的好奇心が強烈。
  2. 野心(ambitious)が強烈。
  3. 執拗な性格。
  4. 楽観的な性格。

1.はどうしてなのかと、問題についていろいろと発想を工夫する性格。 2.は良い意味でも悪い意味でも他人に抜きんでたい性格。 3.は飽きることなく追求する性格、たとえば誰が最初にこの仕事をしたのか論文を追跡して調べるなど。 4.は直感的に解ける問題を見分けて時間を費やす。 解けない問題は結局時間の浪費に終わるからである。 どんな難しい問題でも、これは解けるという直感があれば、必ず解けるという信念を持つことです。集団遺伝学 第1回 自己紹介

「果てしない楽観」も現在の研究者に求められる資質であると私は思います。確率・統計的に考えれば、「研究者を目指す人たちの中で、成功する(ラボ主宰者PIとなって独立的に研究できる)期待値はかなり低い」ことが自明なのに、自分がそれに当たると考えている人が多いです。(研究者の資質2bioresearcher.net

 

17.孤独に耐えて、自分の価値を信じ切れるか?

研究者は孤独です。実験の種類にもよりますが、ひとりで離れ小部屋にこもって一日誰とも会わずにひたすら測定に明け暮れることはめずらしくありません。自分の研究の意義は指導教官にすら理解してもらえないかもしれません。論文を学術誌に投稿して、差読者やエディターからいろよいコメントをもらえた時点でようやくラボ内が色めきたつということもあります。

ボス知らず 差読者が知る 我が思い (詠み人知らず ラボ川柳)

さらに、PIになったらなったで、あらゆる重要な決定を1人で行わなければなりません。また、時代を先取りした研究は、評価されるまでに数年~数十年を要するかもしれません。

ハーバードビジネスレビューが最近公表した孤独感に関する職場調査の結果では、研究者・科学者とエンジニアが最も孤独な労働者ランキングの最上位を占めた。

The Harvard Business Review recently published the results of a workplace survey on loneliness, and research scientists and engineers topped the list of most lonely employees (falling only behind lawyers as the loneliest profession). (biospace.com)

私も、ラボで誰かに会うことも話すこともなく1日が過ぎるような日々を送りました。

I, too, have spent entire days in lab without seeing or talking to a single person. (Lab loneliness: Coping with science research isolation MARCH 21, 2017 BY MELISSA GALINATO QUARTZY)

教育やキャリアの構造は個人が達成したことが中心となっている。博士号は、グループで努力した結果に対して授与されるわけではない。科学の専門分野における個人的な貢献に対して授与されるのである。

The entire educational and career structure is very centered on individual achievement. You don’t get a doctorate for a group effort; it represents an individual’s unique contribution to the scientific discipline. (20 May 2010 Are scientists lonely?)

「自分の人生にはある種の目的がある」と思うことができれば、我々は孤独感を持たないで生きていくことができるのである。(wakuwaku-lotus.com)

孤独は天才が通う学校である (actionplanet.tv)

あなたが自分の人生における友達だと思っていたほとんどの人は、最終的には赤の他人以外の何者でもなくなるであろう。

Most of the people that you have ever considered friends in life will eventually be nothing but strangers to you. (newtohr.com )

 

18.人間力があるか?

大学院生活をはじめてとして、研究者としてのキャリアを歩む過程には何かと不条理に感じることが多いものです。そんなときでも自分の目的を見失わずに、当初は敵かと思えた人間すら味方に変えて、自分のクレジットを確保しつつ研究プロジェクトを達成することが必要となります。このような「人間力」が最初から備わっている人は少ないでしょうが、さまざまなことを経験する中で自然と身につけていくことが、研究者になるためには必要でしょう。

教授から与えられた研究テーマが気に入らない学生はどうすべきか … 

上から言われるままに受身的な「歯車」として働くのではなく、プロジェクト全体のなかでの自分のミッションの位置づけを認識し、そのなかで全体にベストフィットするための創意工夫をしながら能動的に回る「歯車」として働くことで個人的にも成長できる … 

周りを巻き込みながら、方向性を持って他人の力を結集して研究なり仕事なりを進める力、いわば人間力と呼ばれている力が研究者にも重要です。 (研究者は「研究以外」のビジネス感覚がないと一流になれない! 研究室という「組織」でうまく生き抜く 長谷川修司 2016.01.07 gendai.ismedia.jp 太字強調は当サイト)

今の二十代を見ていて感じるのは「人間力」が弱くなっているということ。あとは好奇心が弱い。私が言う人間力とは、東大総長も言われていることですけれども、生きていくための力。人とのコミュニケーション力や壁にぶち当たったときに自分の気持ちをコントロールできるといった、勉強以外の人間としての力です。 ( 「人間力のある若者を育てたい」 紫綬褒章を受賞して 生田幸士先生に聞く  東京大学 先端研ニュース 2010/12/20)

サイエンスは実力主義で結果がすべての世界なので、どんなにコミュニケーションが苦手でも、立派な仕事をすれば勝てます。しかし、プロジェクトの運営は、そうはいきません。研究者といえども、人間力、コミュニケーション能力を磨かなければ。スキル(技術)だけで人を納得させることはできないのです。僕の考える「人間力」の重要な要素として、2つ挙げる事ができます。ひとつは、「この人は自分にないものをもっている」と意識しながら相手を見ること。自分にはない、飛び抜けた能力やプロフェッショナリティに対して敬意を払うことが、相手を信頼することにつながっていきます。もうひとつ僕が心がけているのは、「誰に対しても裏表が無く、フェアに接する」こと。(物事を究極に成し遂げたいなら、他人をいいわけにするな  高井 研 WIRED 2013.01.17 THU 15:17)

 

19.一生スキルアップが必要と心得ているか

研究者になるために必要なスキルは、日常的な鍛錬を自分に課して獲得する必要があります。また、常に新しい技術が開発されそれをいち早く自分の研究に取り入れることは、研究者として生き残るために必要なことです。

基礎学力

尾崎教授が心掛けているのは、「研究室は教育室であれ」ということ。1989年の研究室開設以来、基礎学力、人間力、研究力の三つの柱を大切にしてきた。スポーツ選手が試合に勝つために基礎練習を欠かさないように、研究者にとっては物理・化学・英語など基礎学力が重要だという。 また、人間力や国際性を高めるために積極的に留学生を受け入れてきた。(研究室で人間性を育み28年─分子分光学の世界的拠点を目指して 尾崎幸洋研究室 関西学院大学 広報室 2017年4月26日)

語学力

語学力は、あらゆる作業の出発点になります。できる限り早く、自己鍛錬を開始することをお薦めします。英語が不得意な学生の一部は、日本語の表現力が劣っていることが原因です。日本語を鍛えることにより、語学力全体が向上します。(http://ocw.kyushu-u.ac.jp/menu/faculty/20/6/1.pdf

論理的思考能力

「トレーニングをしていない社会人」は「トレーニングをしている生徒・学生」に負けることがあります。… ロジカルシンキングは「学歴」には、あまり関係がありません。高学歴でも、アンロジカルなオッサンは腐るほどいます。 要するに「やっているか、やっていないか」「フィードバックを受けてきたか、こなかったか」だけの話です。 なるべく早い段階から、ロジカルに考える習慣や癖を持ちたいものです。(http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7823

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人間力

総合的な「人間力」(抽象的でわかりづらいですが、例えばコミュニケーション能力とか、発想力とか、忍耐力とか、そういうものをすべてひっくるめたものです)も高める必要があります。 (総合的な「人間力」を! 加藤 真悟 さん 生命科学部7期生 大学院博士課程修了 (細胞機能研究室、現・極限環境生物研究室) 国立研究開発法人 海洋研究開発機構 (JAMSTEC) 特任研究員 東京薬科大学 卒業生メッセージ)

新たな知見

勉強,勉強などと大声で言わずとも,勉強は,(研究者であるならば誰もが)当たり前のように,自発的に,死ぬまで,毎日行っていることです。(小川研究室のアドミッションポリシー)

新技術

目標を達成するためには他の研究分野の手法を取り入れることを臆さないことです。http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/ohmiken/Lab%E3%83%A1%E3%83%A2/memo%203.html

 『細胞分子生物学』から25年の間に生命科学は成熟し,研究の対象も細胞から動物個体,そしてヒトへと広がってきた。それを支えたのが遺伝子組み換え技術をはじめとするバイオテクノロジーである。PCR (ポリメラーゼ連鎖反応) 法の発明(1985年),自動DNAシークエンサーの発売(1987年),特定の遺伝子だけを人工的に破壊したノックアウトマウスの作製技術(1989年)など,この25年間に導入された革新的な技術を抜きにして,先端的な実験生命科学は存在し得なかった。http://www.nikkei-science.com/page/sci_book/bessatsu/51177-maegaki.html

ビッグデータ時代にはこれまでの科学技術におけるデータに対する考え方を変える
必要があります。http://www.lifesci-found.com/docs/doukou-tyousa27.pdf

大学院における教育 専門教育の充実を十分に図るべきである。その基本となる DNA の扱い、特に遺伝子組換え技術、急速に発達した顕微鏡を中心としたバイオイメージング技術、コンピュータによる情報科学などを十分に教えるべきであり、その教員の補充や教育プログラムの充実を図る必要がある。http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-h-2-1.pdf

21世紀の生物学ではヒトゲノムプロジェクトによって2つの大きな変革がもたらされました。まず、第一に、ヒトおよびマウス、ハエ、酵母等モデル生物のゲノム塩基配列が全て明らかになり、生命を構成する因子が少なくとも有限なものとなりました。第二に、全ゲノムレベルでタンパク、DNA、RNA、代謝物、さらにそれらの相互作用を解析するための網羅的計測技術が開発されました。これらの技術は日進月歩の進歩を遂げており、さらなる先進的な測定技術の登場やデータベースの充実化へとつながっています。そして、現在の生命科学では、こういった膨大かつ多様なデータを統合的に解釈し、多角的に丸ごと生命現象を捉えモデル化するデータ駆動型の研究を行うことが可能となりました。http://www.iam.u-tokyo.ac.jp/

異分野との融合研究を展開する力

それまで予想もしなかった方向に研究が発展することがあり、また、複数の専門分野(しかも類似の専門分野とは限らない)の研究が高いレベルで融合することによってはじめて新たなブレイクスルーが生まれることが多くなるであろう。こうした状況において、個々の研究者に特に求められるのは、自らの専門分野にいたずらに閉じこもるような蛸壺的な専門性ではなく、周辺の専門分野や全く異なる専門分野を含む多様なものに関心を有し、既存の専門の枠にとらわれないものの見方をしながら自らの研究を行っていく能力であろう。 (世界トップレベルの研究者の養成を目指して -科学技術・学術審議会人材委員会 第一次提言- 平成14年7月 文部科学省)

 

 

20. 百人百様の中に潜む共通項:単純さ、純粋さがあるか?

長々と紹介してきましたが、これらは必要条件というわけでも十分条件というわけでもありません。個人の能力や個性に合わせた、多種多様な研究スタイルというものが存在します。

K:研究者に必要な資質は、どのようなものとお考えですか?
橋本先生:ある意味では、人は誰でも研究者じゃないですか。だから、それぞれの方がそれぞれの資質を生かせるように研究をすれば、それでよろしいと私は思います。… 今、皆さんいろいろとうまくいっているわけですね。そうしたら自分の資質はどのようなものかを考えて、それを伸ばしていければいいのではないでしょうか。(教授に聞く 橋本祐一教授 分生研ニュース2006.9 PDF

ケンブリッジで育ったので、ノーベル賞受賞者は数多く知っていますが、最も強く感じているのは、受賞者は多種多様だということです。才気あふれた人もいればそうでない人もいる、謙虚な人もいれば傲慢な人もいる。彼らは、多種多様なことを多種多様な方法で研究してきました。皆の人柄の奥深いところを見てみると、何か単純さと言えるようなものがある、ということが唯一の共通点です。 (ノーベル賞受賞者でも掲載拒否を受けることはある ティム・ハント博士/ノーベル賞受賞者  editage Insights)

実験科学のこれらの偉大な仕事は、がまん強い人、頑固な人、直感力に富む人、創意ゆたかな人、精力的な人、不精な人、幸運な人、偏狭な人、器用な人など、さまざまなタイプの人々によって成しとげられた。(バークレー物理学コース1 力学 上 2ページ 今井 功 監訳 丸善株式会社)

多様な成功者の中に共通するものとして、単純さ、純粋さがあることが指摘されています。

 

さいごに (研究の世界の厳しさについて)

どんな人間ならば研究者として雇われるのか、募集要項を見てみて、自分がそこにフィットする人間かどうか考えるのも一つの方法です。もちろん、人間は成長するので、自分が成長していくさまが想像できるか、という問題です。

【募集職種】
職  種:研究員

【応募資格】
博士号取得者または着任までに取得見込みの方で、協調性、積極性、冒険心、高い向学心、幅広い好奇心、柔軟な思考、明朗な性格、鋭い洞察力、爆発的な瞬発力、驚異的な持久力、信念宿る強靭な肉体、不屈の精神、そして散り際の潔さ、これら全てを兼ね備えている方、またはこれらの項目の内、幾つかを有している方。

【待  遇】

単年度契約の任期制職員で、評価により採用日から7年を迎えた年度末を上限として再契約可能。‥ 平成25年(2013年)4月1日以降、当研究所との有期雇用の通算契約期間が10年を超えることはありません。

(web.archive.org)(内容の一部のみ転載。太字・下線強調は当サイト)

いかがでしょうか?こんなスーパーマンのような完璧な人間であっても、限られた期間内に結果が出せなければ、それでお終いです。寺田寅彦が『科学者とあたま』で、「科学もやはり頭の悪い命知らずの死骸の山の上に築かれた殿堂であり、血の川のほとりに咲いた花園である。」と述べていますが、まさにそういう場所です。さて、こんな世界に飛び込んでみたいと思いましたか?

 

68 :名無しさん@おーぷん :2015/04/25(土)18:06:05 ID:Tbi ×
研究に向いている人ってどんな人?

70 :名無しさん@おーぷん :2015/04/25(土)18:07:33 ID:Qy1
>>68
ムラがなくてコンスタントに努力ができて、無理しすぎない人かな
そして真面目によく勉強して信念がある人

(研究者だけど質問ある? open2ch.net)

 

現在の日本における研究者の生き残りレースがどれほど熾烈かを十分理解しておくことも必要です。

学者の道を選択することには、大変なリスクがある。「高学歴の罠」に陥り、常勤職につけないことなど珍しいことではない。 … そもそも大学院に進学しても、それに見合った経済的な結果はついてこない。(あなたは学者に向いているか?

 

参考

  1. 「幻の原稿」編 『Q&Aで答える 基礎研究のススメ』 Q4. 科学者としての素質って何ですか。A4. 科学者の素質は論理性です。  Q5. 学歴と科学者とのしての能力に相関はありますか?A5. かなりありますが、絶対ではありません。 
  2. 「ある著名な音楽家についてのエピソードなんですが、彼のもとへ若者が “自分は音楽家に向いているだろうか” といった相談に来ることがある。そんな時、彼は必ず “ノー” と答える。というのも、本当に音楽家になりたいという熱意があれば、実は向き不向きなど関係がない。自分のところに相談に来るという時点で、そこまでの強い熱意はない、と彼はみなすのだそうです。この話は、研究職を目指す自分にとっても当てはまるな、と感心しました」(東郷雄二 文科系必修研究生活術 ちくま学芸文庫 / 東大生が選んだ一冊: 教科書では教えてくれないことを学んだ本 PHP研究所)
  3. 研究に向いてない学生には全力で就職活動をさせたほうがいいと思うよマジで (はてな匿名ダイアリー)
  4. 修士論文の代わりに退学願を提出してきた (riywo.com Feb 27, 2009):”ということで,さようなら東京大学.”

 

 

更新: 20181107 補足としていた「単純さ、純粋さ」を、20項目めに格上げ 20181006 本庶佑博士のノーベル賞受賞記者会見からの言葉を紹介 20180823 hep.s.kanazawa-u.ac.jpの中の言葉を追加 nanzan-u.ac.jp/~urakamiの中の言葉を追加 リケジョゆうきの活動記録の言葉を追加 20180820 この記事に対するツイッター嬢のコメントを紹介 20180815 「孤独に耐えて、自分の価値を信じ切れるか?」、「人間力があるか?」、「一生スキルアップが必要と心得ているか?」を追加 20180810 ナンバリングがー2から13だったのを1~16に変更 20180605 緻密な論理的思考力と楽天的性格を追加 20180516 College Cafe by NIKKEI 中田亨氏の記事を紹介 20180409 バークレー物理学コース物理(上)の言葉を追加 20180327 小柴教授の言葉を紹介したツイートを追加 20180209 宇澤 達 氏の言葉を紹介 20180127 募集要項を追加  20171118 湯川秀樹『旅人』の中の言葉を追加 20171118 BioMedサーカス.comの記事中の文章を紹介 20171027 九大今井研究室教授挨拶を追加 20171015 イブン・アル=ハイサムの言葉を追加 20170917 SEKAI INTERVIEW 23 水島昇教授の言葉を追加  20170716 WIREDの記事を追加 教授と僕の研究人生相談所の言葉を追加 20170710 東野圭吾『ガリレオの苦悩』の言葉を追加 20170623 広中平祐『生きること 学ぶこと』の言葉を引用 20170406 竹山美宏 数学書の読み方について の言葉を紹介 20170320 言葉遣いを一部修正 20170319 古本 強 研究者への軌跡の言葉、松田康博研究室の言葉、釣本先生の進路相談室の言葉を紹介 0170318 大隅典子の仙台通信の言葉を紹介 20170317 いくつか追加 20170315 長束・鈴木研究室 ブログの言葉を紹介 20170226「発声練習」、「ミームの死骸を待ちながら」の言葉を紹介 20170225 『なぜあなたの研究は進まないのか』の言葉を紹介 20170219 はてな匿名ダイアリーを紹介 20160418 初稿を投稿

 

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