英文校正業者の選び方と英文校正の利用の仕方

      2019/04/16




論文を出すことを生業としている研究者にとって、悩ましい問題の一つが、英文校正の業者選びです。価格設定は英文校正の会社によってピンキリですし、高いサービスが必ず良いという保証もありません(実体験)。

「どこかいいとこ知らない?」、「どこ使ってる?」といった会話は研究者の間で日常的ですが、残念ながらココがお勧めといえる会社を自分は知りません。英語を直してくれるのは会社ではなくて、「人」なので、自分の論文原稿を直してくれるったった1人の良い人が見つかる会社がいい会社なのでしょう。

以下、英文校正に関して思うことを書き記します。

 

そもそも英文校正に出すべきか

日本人の研究者(PI,教授)の中には自分の英語力に絶対的な自信を持っているのか、英文校正のサービスへの信頼がないのか、科学的に内容が良ければ通ると思っているのか、英文校正に出さずに論文投稿してしまう研究者もいます。確かに、レビューアーが非常に好意的だった場合には、レビューアーが英語を直してくるというケースもなくはないです。しかし、それはレビューアーが実は論文著者の友人だったとか、かなり特殊なケースなのではないでしょうか。最初からそれをアテにするのは、論文がリジェクトされる可能性を増やすだけなのでやめたほうが良いと思います。

今までに,英語論文作成などにあたって他者に添削を依頼したことがありますか。
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出典 報告書(アンケート調査)日本の研究者と英語の必要性 平成24年9月28日 PDF

 

査読者が記入するフォームの中には、その論文原稿の英語がそのまま出版できるレベルか、英文校正(Editing)が必要な状態かを評価するようになっている学術誌も多いので、論文の価値の有無と英文のひどさは、査読の過程で切り分けられているかもしれません。しかし、英語が悪いと言いたいことが伝わらなかったり読者に誤解させることになるので、やはり、「後から直せばいいや」と思わずに、最初の投稿時に英語を完全にしておきたいものです。

英語が悪くても、わざわざ直すほどのことでもない場合、結局だれも直してくれなくて悪文がそのまま出版されることになります。それを後で読み直すとかなり恥ずかしい思いをします。

 

誰が英文校正をしているのか

英文校正会社の売り文句を見る限り、校正をしてくれる人たちが現役の研究者であったり、引退した研究者であったりするところもあるようです。しかし、自分がこれまでに利用した「業界大手」の会社の場合、あきらかに論文を書いた経験がない、高等教育においては英語が公用語かもしれないが非英語圏の国の学生さん?みたいな人が多かった印象があります。学会のブースに出店していたその会社にこの質問を直接ぶつけてみたことがありますが、そんなことはない、みたいな回答でした。

誰が見てくれるのかわからない大きい会社よりも、一人でやっている小さな会社のほうが、英文校正者の経歴が明らかで良いかもしれません。一度利用してみてもしその人の直しかたが満足できるものであれば、その後も一定の品質が期待できます。大手の場合には、一度やってもらって良かった人を再度指名できる制度があるなら、それを利用すると良いでしょう。

 

高いサービスが良いとは限らない

単に英語の文法の間違いを直すだけでなく、論文の構成にまで踏み込んだアドバイスをしますという高い料金設定のサービスを提供しているところもあります。自分の数少ない経験では、単に論文の構成がぐちゃぐちゃにされただけで何もいいことがありませんでした。校正者が、何かを直さねばと力んでしまったせいかなと思いました。

論理的な構成をどのようにするかは、やはり研究者としての能力の見せ場であって、それを英文校正の人に委ねるのは(その人が自分よりも優秀な研究者でない限り)賢明だとは思いません。

言語表現能力は、学生か研究者かの違いよりも個人の違いのほうが大きいと思います。ですから、大手の英文校正サービスの会社で仮に学生のバイトが多かったとしても、いい人に当たる可能性はあります。自分は低価格設定のコースを選んで、学会要旨程度の短い英文でいろいろな人を試しておいて、良さげな人がいればその人に論文原稿を頼むという戦略が良いと思いました。

 

英文校正に何を期待するのか

英文校正をやってくれる人は、研究経験が浅いかあるいはあったとしても分野外の人でしょう。ですから、自分の英語が悪いとそもそも意味を誤解されて、著者の意図とは異なる内容の、正しい英文に直されることがしばしば起こります。ですから、英文校正が施されて戻ってきた原稿は、意味が変わっていないかどうかを注意深くチェックする必要があります。間違っても、そのまま鵜呑みにして投稿してはいけません。

文法や語法の間違いを直してもらえのは当然としても、英文校正を利用する一番の効果は実は、部外者が読んで理解できる英文を自分が書けていたかがわかることではないかと個人的には思っています。

自分の考えを裏付ける内容が、英語校正の「エナゴ」のQ&Aにありました。

校正者が作業するときに最も困難と感じるのは、「筆者の言いたいことが分からず、意図を推測するしかない」ときだそうです。弊社で実施した校正者に対するアンケート調査において、71名の校正者のうち87%がその点を「最も困難」と回答しました。つまり、お客様の言いたいことが校正者に伝わらないケースは、常に起こる危険があるということです。(Q 日本語ネイティブの翻訳者が関わらずに、どうして内容を理解し校正が可能なのか? よくあるご質問(FAQ) 英文校正・校閲エナゴ)*太字強調は当サイト

 

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サービスの使いやすさ

完全を求めないのであれば、英文校正サービスの利用のしやすさも重要なポイントです。自分は大手を使うことが多いのですが、文字数から料金が直ちにわかって、日数が選べて(速いほど高価)、これまでの校正記録が保存できて、土日祝日無関係で、原稿の送付が簡単でといった利便性も重要だと思いました。特に、締め切りがあるものの英文校正を頼む場合には、迅速さと確実性は大きなポイントです。

 


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英文校正サービス

* 特定の会社やサービスを勧める意図は全くありません。アルファベット順

  1. Edanz(エダンズ):1995年福岡でスタート。エディター全員の経歴をウェブ上で公開(参考:会社概要)
  2. Editage (エディテージ)(社内校正者:約100名、契約校正者:約700名) (参考:会社概要
  3. Enago(エナゴ):利用者9割が日本人研究者。専門分野を熟知した校正者と英語の専門家による2段階校正。(参考:エナゴ
  4. Nature Research Editing Service:英語が母国語の担当者が校閲後、関連領域に精通しNature ブランド誌の掲載基準を理解した編集担当者がチェック。(参考:Nature Research Editing Service

 

参考

  1. 報告書(アンケート調査)日本の研究者と英語の必要性:日本の高等教育研究機関における英語サポートプログラム構築のために(平成24年9月28日 﨑村耕二 深田智 河野亘 PDF

 


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