全米科学財団(National Science Foundation, NSF)が、世界の科学技術の動向をまとめた報告書Science and Engineering Indicators 2018を発表しました。2016年の論文数世界ランキングで、日本は6位。論文総数が減少傾向にある国は日本だけで、その凋落ぶりが際立ちます。
論文数ランキング1位は中国 、以下、2.アメリカ、3.インド、4.ドイツ、5.イギリス、6.日本。7.フランス、8.イタリア、9.韓国、10.ロシア、11.カナダ、12.ブラジルの順。
(出典:Science and Engineering Indicators 2018)
中国の台頭は、総論文数だけでなく被引用数ランキングトップ1%論文のランキングで見ても、著しいものがあります。
(出典:Science and Engineering Indicators 2018)
ちなみに前回の報告書Science and Engineering Indicators 2016では、日本は3位でした。Science and Engineering Indicators 2018のレポートでは、ドイツ、イギリス、インドに抜かれて6位に転落したということになります。
(出典:Science and Engineering Indicators 2016)
10年前の報告書
日本が論文数2位という時代が、かつてありました。
(出典:Science and Engineering Indicators 2008)
報道
- 科学論文数、日本6位に低下…米抜き中国トップ (読売新聞 YOMIURI ONLINE2018年01月25日 15時13分):”【ワシントン=三井誠】科学技術の研究論文数で中国が初めて米国を抜いて世界トップになったとする報告書を、全米科学財団(NSF)がまとめた。 … 報告書は各国の科学技術力を分析するため、科学分野への助成を担当するNSFが2年ごとにまとめている。2016年に発表された中国の論文数は約43万本で、約41万本だった米国を抜いた。日本は15年にインドに抜かれ、16年は中米印、ドイツ、英国に続く6位。”
- 科学・工学分野の論文数、中国が初の首位 米国抜く 日本6位 米財団調査(産経ニュース 2018.1.25 18:07更新)【ワシントン=塩原永久】各国の科学技術力の分析に当たる全米科学財団(NSF)がこのほどまとめた報告書で、科学技術の論文数で中国が初めて米国を上回り世界首位となったことが分かった。日本は6位となり、新興国ではインドにも追い抜かれており、科学技術立国としての基盤低下が懸念されそうだ。
Science and Engineering Indicators
- Science and Engineering Indicators
- Science and Engineering Indicators 2018 Chapter 5 Academic Research and Development > Outputs of S&E Research: Publications
- Science and Engineering Indicators 2016
- Science and Engineering Indicators 2014
- Science and Engineering Indicators 2012 (PDF, 592 pages)
- Science and Engineering Indicators 2010 (PDF, 566 pages)
- Science and Engineering Indicators 2008 Digest, Digest PDF (36 pages)
- Science and Engineering Indicators 2006
- Science and Engineering Indicators 2004 (Archived page)
- Science and Engineering Indicators 2002 (Archived page)
- Science and Engineering Indicators 2000 (Archived page)
- Science and Engineering Indicators 1998 (Archived page)
- Science and Engineering Indicators 1996 (Archived page)
- Science and Engineering Indicators 1993 (Archived page)
参考
- 研究力向上 論点 平成29年11月 内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)(PDF 41 pages)
- 論文の引用動向による日本の研究機関ランキング(Clarivate Analytics)本分析は、後続の研究に大きな影響を与えている論文(高被引用論文)数をもとに、世界の中で日本が大きなインパクトを与えている分野における国内で存在感のある研究機関を把握しようという試みです。 研究機関や研究者個人が特定の集合の中でどのくらいの位置にいるのかを分析する指標として、高被引用論文などの相対的な指標による分析に注目が集まっています。
- 国立大学協会政策研究所所長自主研究 運営費交付金削減による国立大学への影響・評価に関する研究~国際学術論文データベースによる論文数分析を中心として~ 平成27年5月鈴鹿医療科学大学学長 豊田長康(PDF 148 pages)
- 論文数で日本は世界2位から4位に 複数国への特許出願数は1位維持 (Science Portal News 2017年8月17日):”科学技術・学術政策研究所が日本を含めた世界主要国の科学技術活動を体系的に分析した「科学技術指標2017」をまとめ、このほど公表した。そのうち論文については「科学研究のベンチマーキング2017」としてより詳細に分析した。公表資料によると、2013~15年の3年間に日本が出した論文数は、10年前の米国に次ぐ世界2位から4位に下がり、中国、ドイツに抜かれた。日本の科学研究力の低下傾向があらためて浮き彫りになったが、一方で特許出願に着目すると現時点ではまだ世界有数の技術力を維持していることがうかがえる。「科学技術指標2017」によると、2013~15年の年平均の論文数の世界一は20年前、10年前と変わらず米国がトップ。日本は64,013件で、03~05年の67,888件から減少している。これに対し13~15年の中国は219,608件。03~05年の51,930件と比べて約4倍も増えた。10年前より論文数が増えて13~15年の数が64,747件になったドイツにも抜かれて日本は世界4位に落ちた。日本の研究者数は2016年時点で66.2万人。中国、米国について3位で、論文数順位は研究者数順位を下回った。”
- 調査資料 – 262 科学研究のベンチマーキング 2017 -論文分析でみる世界の研究活動の変化と日本の状況- 2017年 8月 文部科学省 科学技術・学術政策研究所 科学技術・学術基盤調査研究室 村上 昭義 伊神 正貫 DOI: http://doi.org/10.15108/rm262(PDF 230 pages)
- 科学技術・学術政策研究所 科学技術指標・科学計量学 » 科学技術指標 » 科学技術指標2016(目次) » 4.1.2研究活動の国別比較
- NISTEP科学技術・学術政策ブックレット Ver 2 日本の大学における研究力の現状と課題 科学技術政策研究所
平成25年4月 (PDF 36 pages) - 調査資料– 239 科学研究のベンチマーキング2015 -論文分析でみる世界の研究活動の変化と日本の状況- 2015年8月 文部科学省科学技術・学術政策研究所科学技術・学術基盤調査研究室 阪彩香 伊神正貫(PDF 199 pages)
- 論文データにみる日本の化学、アジアの化学 日本化学会春季年会2013年3月24日(日)トムソン・ロイター学術情報ソリューション棚橋佳子(PDF 33 pages)
- 科学技術政策研究レビュー 第3巻 研究レビュ- 3-1 研究活動の国際化 ~世界の変化を見る~ 研究レビュ- 3-1-1 OECD主要国中心の活動状況 ~論文生産における日本の位置の把握 国際共著論文にみる日本の位置の把握~ 科学技術基盤調査研究室 阪 彩香 研究レビュ- 3-1-2 論文の分析から見る開発途上国の研究活動と日本との国際共著 第1調査研究グループ 加藤 真紀 研究レビュ- 3-1-3 研究者国際流動性の論文著者情報に基づく定量分析 ~ロボティクス、コンピュータビジョン及び電子デバイス領域を対象として~ 科学技術動向研究センター 古川 貴雄 (PDF118ページ)
- 平成23年度研究開発評価シンポジウム~研究開発機関の現状分析に基づく研究戦略の在り方について~日本および世界の論文投稿状況の分析ー これからの方向性を探る ー東京大学評価支援室インスティテューショナル・リサーチ担当船守美穂2012年3月6日(PDF)
- 平成22年(2010年)版科学技術白書 解説 論文成果に見る我が国の状況 国・地域別論文発表数(上位25か国・地域)1988年(昭和63年)ー1998年(平成10年)ー2008年(平成20年)
- 日本の「数学」研究の脆弱さ、露呈。 論文数の世界シェア、中国に抜かれ第6位! 旺文社 教育情報センター 18 年 6 月 文部科学省科学技術政策研究所(NISTEP; NationalInstituteofScienceand TechnologyPolicy)は先ごろ、諸科学の礎となる数学研究について、日本と主要国の現状及び他分野研究者の数学に対する認識などを分析、『忘れられた科学-数学』(POLICYSTUDYNo.12/2006 年 5 月)にまとめた。 (PDF 8 pages)
過去の報道
- 無残な科学技術立国、人口当たり論文数37位転落 (団藤保晴 | ネットジャーナリスト、元新聞記者 YAHOO!JAPANニュース 2015/5/10(日) 6:06):”科学技術立国を唱えてきた日本の無残な実情が見えました。人口当たり論文数を指標にすると東欧の小国にも抜かれて世界で37位に転落です。国立大学法人化で始まった論文総数の減少傾向が根深い意味を持つと知れます。国際的に例が無い、先進国での論文長期減少の異常を最初に指摘して反響を呼んだ元三重大学長、豊田長康氏が新たに作成したグラフを《いったい日本の論文数の国際ランキングはどこまで下がるのか!!》から引用します。 “
- India ranked fifth in region in paper publication (K. S. Jayaraman nature INDIA Published online 13 April 2015 doi:10.1038/nindia.2015.47):”Indian scientists published far less science papers than China in 2014 and trailed behind Japan, South Korea and Australia, according to an analysis of scientific output from countries in the Asia-pacific region1. “