職を取れる研究者になるための20のポイント

      2018/06/17




アカデミックな世界にはパーマネントあるいはテニュアトラックのポジションは非常に少なくて、大部分の人は研究を辞めざるを得ない状況です。

職を得られる研究者になるための、職に呼ばれる力(Employability)とは、一体どのようなものでしょうか?

もちろん、研究大学と教育大学とでは求める人材は異なりますし、大学ごとにいろいろな事情があるでしょうから、一律にこれが絶対条件といえるわけではありません。

0.コネを作ること

結局、「就職=コネ=呼ばれるもの」と言い尽くせるのではないかと思います。良い論文を出して人に知られるというのも、ある意味、人との繋がりを作る行為ですし。

 

1.論文は身を助ける

トップジャーナルに論文を最低でも1報、できれば複数報持っていれば、研究者として生き残れるチャンスが上がります。ネイチャーやサイエンスのような一般誌に論文が出れば、いやでも注目されますから、それまで知己でなかった人の目にも留まり、職に呼ばれやすくなるのは当然です。

Getting your research into an influential journal is certain to give a healthy boost to both academic standing and future career prospects. (How to get published in high-impact journals: Big research and better writing. Posted by Julie Gould, Nature Jobs Blog 03 Nov 2014)

 

2.研究の分かりやすさ

「この人は、これをやった人」と一言で言い表せるような論文を出した人は、その研究分野における画期的な仕事をした人ということですから、異なる分野の人からみても業績が評価しやすく、職を得やすいと思います。

 

3.自分の研究領域を確立すること

あれこれつまみ食い的に論文を出すよりも、大きなストーリーになるような仕事をコンスタントに出している人のほうが、良い印象があります。自分の研究領域をはっきり持っている人のほうが評価されやすいでしょう。

 

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4.コンスタントに論文を出していること

必ずしもトップジャーナルでなくても、コンスタントに論文を出していることは、研究者としての能力を認めてもらうためには非常に重要です。情報系、化学系、生物系などの分野の違いにより、必要となる論文出版の頻度はかなり異なると思います。自分の研究分野では1年あたりどれくらいの論文数が普通のペースなのかを知り、それを上回っている必要があります(人並みに仕事をしていても、アカデミアの職は得られない)。

 

5.共同研究をすること

研究能力と人間性の両方を評価してもらう機会としてベストなのは、共同研究です。ジョブをゲットしている人に聞くと、雇用先の大学の先生がもともと共同研究者だったという話が頻繁にあります。

 

6.ホットな分野で競争に勝つ人間になること

みんなが面白がるようなホットな研究分野は、競争も激しいですが、競争に勝った人は非常に大きな注目を浴びます。そういう人は、競争がないマイナーな分野の研究者よりも評価されやすくなるでしょう。

 

7.セミナー、学会、懇親会、その他、外に出ていって多くの人と知り合うこと

職を得たければ、相手に業績と名前と顔を覚えてもらわないと始まりません。普段から積極的に外に出て行って自分の研究内容を話すことが大切です。いい研究をしていい論文を出せば、人目について、セミナーやシンポジウム、ワークショップなどに呼ばれる機会が自然と増えるので、まずは良い論文をタイムリーに出すことです。結局のところ、職には呼ばれるものなのです。

 

8.上の人から目をかけられる人間になること

自分を雇ってくれる人、推薦してくれる人は、自分より偉い人です。偉い人に気に入られれば、職を得やすくなるのは当然です。自分をかわいがってくれるような偉い先生が複数いれば、心強いでしょう。

 

9.印象に残る人間になること

研究内容の面白さと人柄の良さの両方で、強く相手に印象付けられることは重要です。何年か前に一度どこかで会っただけであっても、いつかその人が雇用する側としてよい候補を探す立場になったときに、覚えてくれているかもしれません。

 

10.人柄の良い人になること

こんな人とは一緒に仕事をしたくないと思われるような性格でなく、同僚になるのに相応しい人格を備えている必要があります。

 

11.運を身に付けること

結局、決定的な要因は運なのです。… 運が巡ってくる確率を上げる方法はあります。それは、縁です。… 縁は人とのつながりです。… 縁は作ることができます。方法は単純で、真摯に他人と関われば良いのです。… 他人と関わるには動かねばなりません。学会や研究会、勉強会など人が集まる場にコミットする必要があります。… 「コミットする」とは、参加だけを意味しません。討論で質問したり、懇親会で話をしたりを含みます。そこであなたの存在は他人の記憶に刷り込まれます。他人に認知されて初めてあなたは何者かに成るのです。(どうすれば大学教員になれるか 長束・鈴木研究室 niigata-u.ac.jp)

 

12.若いうちに探すこと

日本の法律が高齢研究者をジョブマーケットから排除しています。

40歳以下の者 年齢制限の設定は、長期勤続によるキャリア形成を図るためである(福島大学 教員公募 JREC-IN D118041187)

長期間の継続勤務による職務に必要な能力の開発及び向上を図ることを目的として、青少年その他特定の年齢を下回る労働者の募集及び採用を行うとき。 (雇用対策法施行規則第1条の三第一項第三号イ e-gov.go.jp

 

13.女性であること

女性限定と明示した公募が目に付きますし、明示的でなくても、女性の採用に積極的な場合も多いようです。

応募資格 女性であること。女性教員の割合が相当程度少ない現状を積極的に改善するための措置として,女性に限定した公募を実施します。(【卓越研究員】自然科学系卓越研究員事業による教員公募(助教) 新潟大学 JREC-IN D118040324)

 

14.外部研究費を獲得できる人間になること

研究はお金がないと始まりません。研究費を獲れる人間だということを示すために、外部資金獲得実績を積み上げておくことは必要です。どういう人を採用したいかと聞かれた大学関係者の返答として、「お金をとってこれる人(=外部資金を獲得できる人)に来てもらわないと困る。」といった言葉がよく聞かれます。

 

15.その大学の研究環境でできる仕事であること

研究内容によっては、特殊な測定装置が必要であったり、あまり一般的ではない実験動物を用いたりしますが、そのような研究環境を提供できない大学とはマッチングしないのは当然のことです。

 

16.相手の意図を読み取ること

公募要項は行間を読むことが大切です。どんな人材を望んでいるのかは、行間に書かれています。募集をかけている大学のその学科の理念、入学試験問題、カリキュラムと教育内容、ファカルティの研究内容や経歴、研究環境、教育環境、就職状況、候補者に求められている職務など、徹底的なリサーチを行ってから応募書類を作成する必要があるでしょう。聞いてみて初めてわかることもあるので、応募書類を書き始める前に、遠慮せずに積極的に先方へ問い合わせてみるのも大事です。これから同僚となる人たちなのですから、この段階でコミュニケーションを積極的に取らない理由はありません。

 

17.現在のジョブマーケットの動向を正しく把握すること

上の世代の人達の、「俺はこれでも就職できた」という体験談で安心してしまわずに、冷静に着実に準備を重ねてください。(文系の研究者になりたい人達に知っておいてほしいこと bluelines 2012-01-05)

 

18.与える人間になること

欲しがる人間よりも、その学科に足りないものを与えられるような人間が、ファカルティとして歓迎されることでしょう。

 

19.自分が何をやりたいのかを知ること

他に選択肢がなければ仕方ありませんが、自分がやりたくないことしかできない職を得ても、人生有意義ではありません。

 

 

 

参考

  1. Tips for Getting a Faculty Position (Posted by Guest Blogger on May 2, 2017 Addgene’s Blog)
  2. ■新卒博士のアカポス公募記録(はてな匿名ダイアリー2017-03-12)私はなんとか新卒で高専教員になれたので、ここに記録を残しておきます。これから後輩の役に立てば嬉しく思います。 指導教員のコネで仕事を紹介というのもこの業界にはあるらしいですが、不幸にして私は一切そのような機会に恵まれませんでした。ですから、全くのコネ無し公募(jrecin)のみの結果です。
  3. どうすれば大学教員になれるか (長束・鈴木研究室 niigata-u.ac.jp)
  4. 6年間研究をして気づいた研究職(技術職)に求められる人材の9つの特徴 (さて、プログラマー目指しますか。2016-03-05)
  5. 山極壽一 京都大学総長の名言bot @yamagiwa_j_bot 高校生たちがもし、研究者という職業に憧れて科学をやろうと言うなら、それは間違いだと私は思う。科学は職を得るために志すものではないからだ。新しい発見をしたい、未知の世界を見たい、常識を変えたいという気持ちが科学への興味を高めるのであって、科学が職業を約束するわけではない。15:08 – 2017年2月4日
  6. 大学などのアカデミア研究者にもかなり当てはまるような気がしてなりません。学術分野における突出した才能・資質は確かに最も必要ではあるのだが、コミュニケーション能力の高さや抜け目なさや図々しさ、意外に強欲であること、案外気を使えることなどはポジションを得る上では相当重要かなと。 https://t.co/BofsxIXv3k— pkm (@tkmpkm1_mkkr) 2018年4月27日

  7. pkm@tkmpkm1_mkkr 基本、大学教員は応募するにしても「選ばれて」ポジションを得るものなので、誰かしらに好まれなければ無理な仕事ではある(もちろん他の仕事も層だと思うが)。ただ会社の就職と少し違うのは、複数ではなく一つの枠を巡って争うので、その一つに収まるような人材なのだから、それはそれなりな魅力が。1:55 – 2018年4月27日

 

参考(関連した報道)

  1. 幻の科学技術立国 第1部 「改革」の果てに/4 将来が見えぬポスドク 不安定な就職事情 正規研究職、不採用40回 (毎日新聞 2018年4月26日 東京朝刊 有料記事) 科学技術・学術政策研究所の調査では、2009年度に33・8歳だったポスドクの平均年齢は、15年度には36・3歳に上昇。
  2. 研究者の夫の将来が不安です。(its********さん YAHOO!JAPAN 知恵袋 2010/3/15 02:22:26) 彼は申し分なく優しいし、病気の私を支えてくれるのですが、もう30歳過ぎていることもあり、子供も欲しいし、先の見えない綱渡りな人生に、不安ばかり感じてしまいます。
  3. 論点 日本の研究力の危機 「選択と集中」による弊害 小林信一・科学技術政策アナリスト (毎日新聞 2018年1月12日 東京朝刊 会員限定有料記事)

 

記事更新記録 20180617 コネを追加

 

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