目次
- 1 搾取される若手研究者
- 2 噛み合わない議論
- 3 パーマネントvs任期付きの根源的問題
- 4 歴史的背景
- 5 アカデミアのポジションの数に関して
- 6 任期付きポジションの良し悪しに関する議論
- 7 任期付きポジションの短所について
- 8 数年の任期でできること
- 9 任期付きポジションのあるべき姿について
- 10 現在の任期付きポジションの不条理さについて
- 11 任期付き研究職の設計の誤りについて
- 12 任期無しポジションの有難み
- 13 任期付き研究者というポジションの見られ方
- 14 パーマネント職の数の絶望的な少なさについて
- 15 パーマネント職にいるシニア研究者と若手世代との間のギャップについて
- 16 パーマネント職が少ない理由
- 17 任期付き職から抜け出すためのアドバイス
搾取される若手研究者
10年後、20年後に業界にいられるかも分からない状況にある若手に対して、若手から搾取している立場の者が、その搾取の構図を変えようと動くこともせず「10年後、20年後に業界の中核を担う若手」という表現を使うことは無責任以外の何ものでもない。(2021.04.10「シニア世代」が「若者世代」を搾取する…研究業界に見る日本社会の危機 中川 まろみ)
シニアが若者を搾取しているんじゃなくて搾取している層にシニアが多いだけなのでは。僕はシニアだけど誰かを搾取する権力なんて持ってないですよ。一派一絡げにしないで😭 https://t.co/RzDtwIR813
— 田口善弘 (@Yh_Taguchi) April 10, 2021
アカデミアはシニア研究者が安全圏から若手に不遇を強いる構図が目立ちすぎます.任期にしろ女性専用公募にしろ.
— Ph.D.アルパ力 (@ReseArpaca) April 11, 2021
上のFRAUの記事は、搾取される若手研究者に関して、競争的資金の獲得においてシニアが有利な構図があるということと絡めていて、この議論に自分は必ずしも賛成するわけではないのですが、搾取の構図があるという点に関してはそう思います。
若手研究者がラボに貢献する(そこそこの)業績を上げてもパーマネントの職はなく、ラボヘッドだけが生き残っていく社会になってしまっているという点において『搾取」ではないかと思うのです。昔なら助手⇒助教授⇒教授になっていたであろう人間でも、今の時代だと任期付きのせいで、ポスドク⇒ポスドク⇒ポスドク⇒‥ とか、助教⇒ポスドクに逆戻り⇒ポスドク⇒研究人生終了とか、助教⇒研究人生終了になる可能性が大きいと思います。
噛み合わない議論
だからこっちは「任期がないけど研究する予算がなく研究はできない」と「任期はあるけど、研究する予算がとれる可能性がある」とどっちがいいですか、という話をしているのであって。研究するためにポストを得たいんだからグラントの可能性が「全然違う話」なわけないと僕は思いますけどね。 https://t.co/ymbVyCB7bR
— 田口善弘 (@Yh_Taguchi) April 11, 2021
任期制の話題で炎上してるというので見に行ってきた。
老若男女を問わず、研究者の研究環境として「安定した雇用」「研究する予算と時間、精神的な余裕」が重要である。任期と予算という2択にするのは筋が悪いと思う。 pic.twitter.com/bUmAVbTexS
— 神戸大学大学院 保健学研究科 寄生虫学 (@kobe_para) April 11, 2021
誰も信じてくれないだろうけど、これでもいまの世代は昔より状況は随分改善されているんですよね。昔は若手優先のグラントもなく、学振の人数ももっと少なく、科研費から学生の旅費が出せないから皆、自腹で研究会にいっていました。上の世代が何もしてこなかったような言い方は頂けない。 https://t.co/EDHOnsuQ8x
— 田口善弘 (@Yh_Taguchi) April 10, 2021
私は「認めない」とは一言も言っていません。ただ根拠としては、(生活のかかった、不安定な立場の若手研究者への)説得力が薄いというのが主張です。
また、万年助手問題(とは呼びたくないが)は飽くまで問題の一側面であり、任期制職の是非をめぐる全てではないと思います。— らむ (@mutselbalance) April 11, 2021
「わざわざ約3年余計に学生やった先が任期あり不安定職」なのは世界中どこでもそうなので。それで選ぶ人がいないなら世界から研究者はいなくなるので違うと思います。
— 田口善弘 (@Yh_Taguchi) April 11, 2021
任期付き雇用は不安定雇用では無いとシニア研究者が言うんだぜ・・・そりゃあ、嫌になるよ。>RTs
— 📡🌟ダオダイ★スンシー📡✨ (@SMBKRHYT) April 11, 2021
パーマネントvs任期付きの根源的問題
何度も同じことを言っていますが、若手の雇用が期限付きになったのは仕方が無いことです。昔は若手の雇用に期限が無く、結果「万年助手」が大量に発生して結果的に次世代の若手のポストが枯渇しました。若手のポストに期限を無くしても結局、次の世代が割を食うだけです。 https://t.co/P65C1GLh0m
— 田口善弘 (@Yh_Taguchi) April 10, 2021
いちばん問題だったのは、業績のない教員でも、そのまま定年まで在籍することが多々あることだった。いわゆる「万年助手」というキャリアパスだ。任期制導入の裏には、我が国のアカデミア全体での人材循環もさることながら、こういう万年助手の方に任期を理由に辞職して頂くことができれば、という目論見があった。(任期付ポジションについて考える 2012年 04月 26日 大隅典子の仙台通信)
研究者若手任期制問題。万年○○を出さないためっていう意見を見たけど、それって選んだ側の責任とかマネジメント側の責任とかを放棄した意見よなあ。
— KeiSan (@keisanno) April 11, 2021
歴史的背景
この変化は1990年代の大学院重点化、2000年ごろの特任教員制度による有期職の急増、2004年ごろの大学独法化の3段階を踏んで完成したもので、全部狙いは一つでいろいろとだまして進んできたという感じだと思います。
— hrk先生 (@Prof_hrk) April 11, 2021
アカデミアのポジションの数に関して
海外との最大の違いは、民間がD持ちを採用しないことです。D持ちを全部アカデミアで引き受けている先進国などどこにもありません。D持ちが民間に行きにくいからアカデミアに残れない若手の悲惨な運命が、シニアが居座っているせいに見えるだけです。 https://t.co/CLEQ7fjo2c
— 田口善弘 (@Yh_Taguchi) April 10, 2021
(任期付若手研究者のコメントとして)
・希望した全員を任期なしで雇用できるわけないし、若手がある程度任期付というのは致し方ない面はあると思う。
・しかし任期なしのパイが少なすぎる。生物系とかで応募が100倍を超えるのは絶望的すぎる。凄い良い研究をされてるのに任期ありの人もいて悲しい。— 福永 津嵩 (@fukunagaTsu) April 11, 2021
任期付きポジションの良し悪しに関する議論
「若手はいきなり安定した地位に就くと堕落して仕事しなくなるから不安定な地位で競争させてシニアになるまで生き残った奴だけが安定した地位に就ける」世界と、「若手でもシニアでも皆安定した地位に就けて好きな時に転職や異動できる」世界と、どちらがより多くの才能を獲得出来るかというと後者では
— TJO (@TJO_datasci) April 11, 2021
任期ありだとお手頃に論文数稼げる研究するしかなくて、任期なしになってようやく安心して温めていた多少チャレンジングなテーマに取り組めるようになる訳だから、任期なしになったら生産性落ちるように見えるのは極々当たり前の事象じゃないんですか!?!?!?
— Nagamura ∩|∵|∩ Naoka (@naganao) April 11, 2021
3年任期の間、月土で朝9時から夜22時まで粘って、論文10本出したけど、全然新しいアイデアが浮かばず、研究者として終わったと言われてた。でも専任になって生活が安定したら、次々やりたいことが湧いてきたのに、ひたすら時間がない。研究者人生はままならない。 https://t.co/hhlm1rTTNM
— Atsuko TAMADA (@atsukotamada) April 12, 2021
任期付きポジションの短所について
任期ありなしのアレが炎上しているらしいんですが、任期ありだと家族を含めた生活設計、不透明すぎて嫌になりますね。
— サイ (@921603) April 12, 2021
この変化は1990年代の大学院重点化、2000年ごろの特任教員制度による有期職の急増、2004年ごろの大学独法化の3段階を踏んで完成したもので、全部狙いは一つでいろいろとだまして進んできたという感じだと思います。
— hrk先生 (@Prof_hrk) April 11, 2021
数年の任期でできること
若手研究者にとって、3年の任期って本当に短くて、普通新しいことやろうとしたら三年じゃろくな結果出てませんからね。ある程度前任者が居て実験してて、何をやれば成果になるか見えてきてることで、やっと3年でできるかなくらいのタイムスケールだよね。
— 粒沢ツナ彦(つぶさわつなひこ) (@TsubusawaBio) April 12, 2021
任期付きポジションのあるべき姿について
アメリカは任期が1年なんですよ。基本毎年査定あって、評価が良くないと更新なしなんです。なので切磋琢磨はするけど、評価が良ければ更新されるの。なのでひとつところに長くいて腰を据えて研究できるんです。私は8年じたばたして独立しました。次取れないとクビだぞと言いながらサポートしてくれた。
— 山田かおり PhD (@KaoriYamada01) April 11, 2021
現在の任期付きポジションの不条理さについて
なんというか若手研究者の任期を全撤廃して終身雇用にしろと言っているわけじゃなくて、5年任期で業績によって更新有り程度にして欲しいんですよ。2、3年で収入も勤務地もコロコロ変わる不安定さでは現状ポスドクを選択すると結婚も出産も人生設計難易度爆上がりします。
— たけださん (@tomatoha831) April 12, 2021
自分はテニュアトラックだからまだ任期付きがあるけど、任期なしになれる可能性があるから単なる任期付きだった去年までに比べて圧倒的に精神的に楽になっている。本当に比べものにならない。任期付きだといくら成果を出しても任期が来たら職を失うからきつい。
— Tomoki Ozawa (@oz_tomoki) April 11, 2021
頑張れば任期なしになれるとか言ってるが、成果を物凄く出してても任期なしになかなかつけていない方も知ってるし、テニュアトラック審査パスしても肩たたきにあってる人も知ってるので、何言ってんだとしか思わない。
— あう (@pajepajero) April 11, 2021
任期付き研究職の設計の誤りについて
任期制で流動性を高めて研究活動を活性化するというのはポストが十分にあってあっちもこっちも引く手あまたな時には意味があるが,現状のように縮小していく世界では単なる椅子取りゲームになる.ここでもデフレ期にインフレ時政策を採用する誤謬が起きている
— Akinori Ito (@akinori_ito) April 11, 2021
アメリカというもともと雇用の流動性の非常に高い国でさえ、研究者は任期の無いテニュア獲得に必死になるんだから、雇用の流動性の低い日本で研究者を任期付きにするのはかなりまずいアイデアだと思っている
— Tomoki Ozawa (@oz_tomoki) April 11, 2021
若手研究者の任期をなくすと研究しなくなる人が出てくるかもしれない問題よりも任期付きの仕事しかないせいで研究の担い手が居なくなる問題の方が遥かに深刻だと思うのだ。
— 無給博士研究員のアライさん (@unpaidphdarai) April 11, 2021
任期無しポジションの有難み
昔は長年助手だったとよく言われるけど数年で任期切られるよりはマシ。転職活動、新たな職場環境、新たな授業準備を度々繰り返すのも大変だった。若手がもっと充実してくると研究者を目指したい博士課程ももっと増えるのだろうな。 #NewsPicks https://t.co/meB4ptb5R7
— 泉山塁威@ソトノバ|都市戦術家 (@RuiIZUMIYAMA) April 11, 2021
任期付き研究者というポジションの見られ方
某炎上してるシニア研究者の発言、「シニアになっても任期付きな職なんて誰も目指さなくなる」というのは確かにその通りかもしれんけど、それを言うなら「三十過ぎても任期付きな職なんて誰も目指さなくなってきてる」のが現状なんだよなぁ。
— 人鳥暖炉 (@Penguin_danro) April 11, 2021
パーマネント職の数の絶望的な少なさについて
(任期付若手研究者のコメントとして)
・希望した全員を任期なしで雇用できるわけないし、若手がある程度任期付というのは致し方ない面はあると思う。
・しかし任期なしのパイが少なすぎる。生物系とかで応募が100倍を超えるのは絶望的すぎる。凄い良い研究をされてるのに任期ありの人もいて悲しい。— 福永 津嵩 (@fukunagaTsu) April 11, 2021
パーマネント職にいるシニア研究者と若手世代との間のギャップについて
その人と喧嘩しても現状変わらないし。意識変えるのも無理そうです。
— 山田かおり PhD (@KaoriYamada01) April 11, 2021
炎上している某氏、いつものことだからといって無視せずに、任期付きで苦しんでいる若手の側からきちんと反論・声を上げていくいくことは大切なことだと思う。
— Tomoki Ozawa (@oz_tomoki) April 11, 2021
(私も大学にいたのでその辺の現実的な事情はよく存じておりますw 炎上元が「助教だけは任期付きにしたら万年助教が増えるから、若者は任期付きであるべきだけど、年寄り教授はサボっていても任期無しで守られるべし」という世代間闘いを煽る内容だったので、極論的反論として挙げましたw)
— Nagamura ∩|∵|∩ Naoka (@naganao) April 11, 2021
どこの組織にもいます。ただ反論せず譲歩すると上手く付き合えるので難しい話ではないです。
まあ、任期付と任期無では利害関係が衝突します。職員定数は決まっている、若手のために定年下げますので来年退職してくださいとなったら、組合員含めて辞める人がいなかったって話です。事務も研究者も。— 新ポスアカ会 (@uniontell) April 11, 2021
パーマネント職が少ない理由
今は全体職員ポスト数が決まっているどころか、定年退職者の数だけ年々全体職員ポスト数を減らす方向ですからね。さすがに100%ではないけど、文科省はある程度減らしたい。たとえ大学全体で退職者の何割かでも該当ポストでは100%削減になりますからね。
— 石井晃(2022年3月鳥取大退職) (@ishiiakira) April 11, 2021
任期付き職から抜け出すためのアドバイス
アカポス研究者って、同分野内で”この領域ならこの人”みたいなアイデンティティ確立が本当に大事
ミトコンドリアでも
DNA系はこの人!
病気関連はこの人!
..みたいな↑
任期ポスト決まってないCNS全部持ってる先輩のお言葉。業績、全部別分野で単発なんですよね。こういう凄さは何故か役立ち辛い..— ゆうらく@生命科学の研究員 (@U_hiraku) April 12, 2021