ツイッターでパーマネント助教問題が議論されていたので、目についたものを拾っておきます。過去に問題視された万年助手と今まだ一部存在するパーマネント助教とは、全く別物だと理解しておくことが大事です。今は次のポジションがほとんどないので、パーマネント助教のポジションで業績がある人でもそこにとどまらざるをえない人がほとんどだと思います。
目次
- 1 万年助手問題:かつて万年助手・万年助教が存在していたことについて
- 2 万年助手を排斥しようとした動きについて
- 3 万年助教の絶滅危惧について
- 4 万年助教の存在について
- 5 万年助手・万年助教の作られ方
- 6 任期なし助教職についている隠れた任期について
- 7 万年助手・万年助教という言葉について
- 8 万年助教問題解決手段としての任期制導入の正当化とそれに対する反論
- 9 万年助手・万年助教に対するネガティブな見方
- 10 万年助教という存在に対するポジティブな見方
- 11 万年助教という職の素晴らしさについて
- 12 万年助教という制度に対するポジティブな見方
- 13 万年助教とひとくくりにすることについて
- 14 万年助手・助教問題と研究者の雇用問題との区別に関して
- 15 万年助教が出現することに関する普遍的な問題に関して
- 16 万年教授の存在について
- 17 パーマネント職にあるものとあらざるものとの間のとてつもない温度差について
万年助手問題:かつて万年助手・万年助教が存在していたことについて
自分が大学生のときに、高齢(40代~50代?)の助手の先生がいたように記憶していますが、万年助手問題なるものが存在していたのかどうか全くわかりません。
まあ、何を言っても伝わらないとは思いますが。現任校に決まったとき前任校のボスが言ったのはおめでとうじゃなくて、君は出ていけるからいいけど出ていけない人の処遇が大変という愚痴だった。それくらい万年助手問題は深刻だった。
— 田口善弘 (@Yh_Taguchi) April 11, 2021
万年助手の問題は、私が院生の時代にすでに深刻化していました。1980年代後半です。交付金が減るはるか昔です。因果関係は厳密には証明しようがありません。ただ、万年助手の解決は最大の懸念事項であり、他に対策を考えつけなかったのでこうなったということだと思います(続)。
— 田口善弘 (@Yh_Taguchi) April 12, 2021
「万年助手なるものを見たことがない」とツイートが流れて来て時代は変わったと感慨。私の院生ポスドク時代、周りの男性達は、論文業績がなくても、皆さん学位取得直後にパーマネント助手になっていた。一方、「女性は旦那さんに養ってもらえば」と、私に職はなかった。
— Prof. Keiko Torii (@KeikoUTorii) April 11, 2021
私が4年生の時にお世話になっていたラボにも、この人はどういう役職なのだろう?というおじいちゃんがいました。今思えばあれが万年助手…
自分も同じようになりそうな昨今、本当にどうしようかなあと考えています(´・ ・`)— つぶ(す)あん (@tsubu2an) April 11, 2021
若手が期限付きばっかになって、期限なしのPIはすごい競争を勝ち抜いた人ばっかりになり、「万年助手」っぽい人が殆どいなくなったんだなあという気がする。見たことが無ければそんな人たくさんいたんですか、ってなるのも当然。改革が成功したら元々の「原因」が幻想と思われるというのは結構皮肉。
— 田口善弘 (@Yh_Taguchi) April 11, 2021
万年助手って、学科で5人くらいは居た気がする(20年近く前)
— uhea (@uhea) April 11, 2021
たしかに昔の助教(助手)はテニュアでしたが、万年助手になるのはかなりの例外でしたよ。
生活的にも給料上がらないのだから中々やっていけない https://t.co/pMklD1dZS4
— Tomo (@T45356) April 11, 2021
万年助手を排斥しようとした動きについて
この30年、改革のオンパレード。私に見えた始まりは万年助手排除運動。なんで万年助手が目の敵にされたか。当時の論調は大きく二つだったと記憶。エントリーポイントが詰まってるからオーバードクター溜まる。万年助手は研究停滞の原因。(助手は今の助教クラス)
— Kazuhiko Igarashi (@kazuigarashi) April 10, 2021
万年助教の絶滅危惧について
国立大学でも任期制が導入される前に助教になった人は、パーマネントなので定年まで助教でいることができます。自分の場合、任期のある助教だったため任期切れで研究を辞めざるをえなくなったので、定年まで雇用されるという経済的にも精神的にも安定した状態で研究を続けられる身分がうらやましく感じられます。次にステップアップするのはなかなかポストがないので大変だと思います。昔の万年助手問題に該当するようなパーマネント助教を自分は知りません。自分が知っている人たちはみな、きっちりと研究して論文を書いている人ばかりです。
万年助教を無くした(めちゃくちゃ減らした)んだからそりゃ万年助教見なくなるのは当たり前では。どうやれば今でも問題になるぐらい万年助教を見られうる状況になるのか知りたい。
— 〈節制(もっとつよくなる)| (@sessei_nosessei) April 12, 2021
どうやったら万年助教になんかなれるんだ?任期付き助教しかないのに
— w.minoshima (@minosyma) April 11, 2021
実際万年助教なんてまだおるやん
一定年齢以下のは全滅したってだけで、その世代より下にはそもそも正規助教が殆どいねー— D_Roggy (@d_roggy_san) April 11, 2021
万年助教の存在について
自分は全ての大学の助教が任期付きだと思い込んでいたのですが、自分が研究を辞めたあとで改めて周りを見渡してみたら、実は私立大学(の一部)では定年制の助教というポジションもあるようです。狭い世界しか見えていませんでした。
なんか万年助手がもういないかのようになってますが、形を変えてまだ普通にいるよ数が減ったのは認めるがね
— yusuke yamamoto (@yamamotojax) April 11, 2021
万年助手・万年助教の作られ方
法人化前の万年助手や万年講師には、教授と折り合いが悪くて業績はあるのに転出できなかったり嫌がらせで研究環境を取り上げられてた人と、環境は悪くないのに研究を放棄してる人の、大きく2種類がおってのぅ。後者はさらに教授の腰巾着タイプと左翼活動家タイプに分けられる。
— デムパ博士だよ (@Poison_R) April 13, 2021
任期付きでは無い上司が居なくならない限り、上には上がれない、だから「万年助手」そういうことです。
— Yumi Heather (@HeatherYumi) April 13, 2021
昭和の万年助手は、④まで行ったがあと論文が出なかったり、助教授(今は准教授)や教授は必須の入試とかカリキュラム作り、学生指導の適性がなくて居残っちゃう場合ですね。
昨今の若手が任期制は、ここで10年居残ってほんとにどうしようもなくなる前に退職という意味が強いと思う。好意的に見て。— ⛑️きぬがわさん (@titanium_watch) April 12, 2021
任期なし助教職についている隠れた任期について
テニュアトラックは多くの場所で、”なるべくテニュアを取らせる”という方向で運用があるのに対して、日本では任期なし助教は”なるべく出ていく”という約束がありがち。。
— あなちゃん (@anairetta) April 11, 2021
こういう「万年助手」、自分の頃もいたけれど、教授が変わったら全員首になってた。実際に「万年」勤められた人は、そんなに多くなかった印象。 https://t.co/iU2d6BD3Ju
— やのせん@VR教育 (@yanosen_jp) April 11, 2021
万年助手・万年助教という言葉について
万年助手という言葉はかなりネガティブな意味で使われおり、自分のこのブログ記事で使ってはいますが、あまり気分のいいものではありません。全ての万年助手・助教が仕事をせずにさぼっているわけではないからです。結果的に助教に長くとどまっているだけで研究をしっかり行っている人もいます。昔いた万年助手の場合でも、教育に力を入れていた人がいると思います。
万年助教の定義ってなんやろな?出世コースを外れた人を揶揄するような言葉はどこの業界でもあるけど、ちょっとね。こんだけ話が盛り上がってもなんの数値も出てこないし、僕らの世代以降の人は正直上の世代の人たちの呪詛みたいなのは良く分からんままだったんじゃないかな。
— BB (@0090bb) April 11, 2021
かつて「万年助手」というアカデミアの墓場を揶揄する言葉があったんだけど、今は助手(助教)にもなれず非常勤講師で鬱々としてる輩がたくさんいるという地獄。
確かに日本は貧しくなったよ。※個人の感想です。 https://t.co/yE9HDJ6gEz
— 個人の感想であることを強調するBot (@Gotter58945546) April 11, 2021
万年助教問題解決手段としての任期制導入の正当化とそれに対する反論
研究者の任期の話が盛り上がってますが・・・.昔の万年助手をクビにする口実として任期制が必要であり,任期の更新を十分に行えばいいという論があります.結果として前者は万年助教に姿を変え,後者は10年無期転換という制約があるので実施されず,というのが実状でしょうね.
— Takahiro IINO (飯野孝浩) (@takahiro_iino) April 12, 2021
万年助教を避けるために任期制にしますっていうのは不正受給者を避けるためにナマポ廃止しますって言ってるようなものなのでは…
— りせりな (@riseringo) April 11, 2021
「万年助教に退場してもらって生産性上げるために任期制導入と独法化進めたら若手も大学から退場してしまった件」
— ペプチドタグ@空飛ぶの再開しました (@DLYDDDDK) April 11, 2021
40代後半なっても特任准教授など、任期のついた職についている人も多く、彼らがどうなるかもわかりません。退職金もない彼らのことを無視して、万年助手が起きていた頃よりよくなったは言えないのでは?
— atu_d (@tu_con_matt) April 12, 2021
その一方で、競争が激化した結果、任期付きの弊害(キャリアプランが描けない)が顕在化しているのも事実です。こちら側の問題について(若い世代が万年助手問題にピンとこないように)田口先生の理解も同じように不足している部分はありませんでしょうか?(続)
— Hiroki Gotoh@研究室立ち上げ中 (@Cyclommatism) April 12, 2021
そもそも氷河期時代の万年助手はその上の万年助手とは状況が違います。その上の世代の准教授や教授より業績があってもポストがなくて、助教にいまでも留まらざる終えなかった人がわんさかいます。団塊時代からのポスト削減の影響を受けただけです。任期をつけたら解決する問題でもないです。
— atu_d (@tu_con_matt) April 12, 2021
万年助手と呼ばれる仕事しないと揶揄された教員を無くそうとして助手(現、助教)全員に任期をつけた結果、若手みんなにとって居心地が悪くなった、という問題だと思っている。できない人を追い出そうという発想は愚かで業界全体のためにならない。
— Hisakazu YANAKA (@htyanaka) April 11, 2021
万年助手・万年助教に対するネガティブな見方
でも万年助教を傍目で見た経験がある人間からすると、アレは排除したくなるよね….
— Kemtaro (@oxt23) April 11, 2021
大学にも、法人化以前からのんべんだらりと在籍している万年助手ってやつもたくさん居て、、
ポスドク長年やってた僕からしたら、「お前らただでさえ少ねえポストに居座ってなにしてんだよ、その席空けろ」としか思わなかったなあ
— R (@focaccia_vr) April 11, 2021
万年助教という存在に対するポジティブな見方
自分が学生のときの記憶ですが、演習や実験は助手の先生が見ていました。講義で教授に質問するのは勇気がいりますが、助手の先生方はみな気さくで学生想いの人ばかりだったので、非常に初歩的な質問でも臆せずにすることができて、とても親切に教えてもらえて、いい印象しかありません。実験にしろ演習にしろ助手の先生はみなとても楽しそうに教えていたので、万年助手問題としてやり玉に挙げられているような人間像は自分には想像がつきません。
万年助手と言われた人たちは決して仕事をしていない訳ではなかった。講義や卒論指導は助教授以上しか認められていなかったが、実習や演習、ラボ内の名前に出ない学生指導はこういう人たちが担っていた。 https://t.co/vji0iXqiB3
— Hiroaki TERATO @ SAGA x OKAYAMA (@Hiroaki_TERATO) April 11, 2021
比率と程度の問題なのではないでしょうか。縁の下の力持ち的に裏方として大きな貢献をしている人から、ほぼ(研究はおろか、教育も運営も)業務を放棄しているような人までいたかと思います。後者のような人が教員の比率の少なくないウェイトを占めると、それは問題が大きそうです。
— Hiroki Gotoh@研究室立ち上げ中 (@Cyclommatism) April 12, 2021
ところで万年助教の何が問題なんだろう?家庭の事情で引っ越しできなくて大学が他にないから同じ大学でずっと万年助教とか、地域研究や他教員に貢献している万年助教を見てきたので、彼らが助かってるならそれでいい気がしている。研究ばっかで他人の迷惑顧みない教授准教授よりずっといい。
— (@windowmoon) April 12, 2021
万年助教とかいう house-keeping gene
— (@inferist) April 12, 2021
雑用も学生の指導もできる人材・・・万年助教ってよく言われる「ライフプランに沿った多様なキャリアパス」そのものですよね。
— ペプチドタグ@空飛ぶの再開しました (@DLYDDDDK) April 12, 2021
物工も万年助教ぽい人はいたけど教育や論文でそれなりに存在感あったような気はする。しかしあの人たちってボスの引退の時はどうなるんだろうか。その頃には共通設備の管理の仕事でもできているのかな…
— とぅ (@kntoo) April 11, 2021
万年助教ってめっちゃ縁起良さそう。
— つじもとかつと K.Tsujimoto (@kattsu2003) April 13, 2021
万年助教という職の素晴らしさについて
常に路頭に迷う恐怖と背中合わせで研究を続けてきて、結果的に任期切れで研究を辞めざるを得なかった自分としては、定年まで助教としてであっても研究が続けられるポジションというのは大変魅力的に思えます。
なんつうか、万年非常勤講師だと生活に困るけど、万年助教だと別に生活には困らないしな。
— マンヤオベガススタイル (@Nishimuraumiush) April 13, 2021
「万年助教」って今や実は相当羨望の眼差しを受ける存在ではなかろうか・・?
— ねずみ医者 (@murinedoctor) April 13, 2021
万年助教になりたい。
— 山田です (@sato_dehanai) April 12, 2021
万年助教という制度に対するポジティブな見方
「万年助教、お前だったのか。生産性を維持してくれていたのは」 https://t.co/vtujUz9deO
— ペプチドタグ@空飛ぶの再開しました (@DLYDDDDK) April 12, 2021
無能を削ろうとしたら、当然、待遇の悪さを見て有能な人間が先に消えるに決まってるでしょ……
— やもす (@ShIma_Megagauss) April 12, 2021
万年助教とひとくくりにすることについて
テクニシャンをオーサーに入れるか問題の時もそうだったけど、テクニシャンだから、万年助教だから、女性限定公募枠だから、みたいな肩書きじゃなくて個々の人間としてみてほしいなぁ。肩書きによるレッテルは差別と一緒よねぇ。構造的制度論はそれとして、個々人の評価と肩書きは関係ないよなぁ。
— Ryohei Thomas Nakano (MPIPZ) (@LuckyStrike1984) April 13, 2021
公害原論
宇井純氏
東京大学で21年間助手だった。
もう今日では誰も知らないのかも。— hsugisak (@hsugisak) April 12, 2021
万年助手・助教問題と研究者の雇用問題との区別に関して
若い人の不安定なポストは万年助教のせいではなくて、根本的な予算の問題なんじゃないのかね
— cl400 (@cl4002) April 12, 2021
万年助教が出現することに関する普遍的な問題に関して
競争が過剰になっているから反発が起きているのは間違いないですが、万年助教問題は(僕が主張している因果関係が正しいなら)それらとは独立ないかなる状況でも起きる問題です。他の全てが解決してもこれだけが独立して起きることです(続)。
— 田口善弘 (@Yh_Taguchi) April 12, 2021
万年教授の存在について
万年助教より、たまたま昔の論文が大当たりしただけの一発屋教授の方がめんどくさいときある。
でもまあ、研究者はいればいるだけいいんだけどな。研究って砂漠から胡麻つぶ探すみたいなもんで、やるからには人数多い方がいいし。
— シン・ニキータ伊澤 (@fera_lady_Z) April 13, 2021
万年助教 vs KAKENで名前が出てこない教授 ファイッ
— Lord of the FPGAs (@debugordie) April 12, 2021
パーマネント職にあるものとあらざるものとの間のとてつもない温度差について
万年助手になる恐怖と、食えなくなったり家庭が潰れたりする恐怖とやったら、断然前者の方がマシでは… https://t.co/yQkJ0jZKXe
— usg (@Usg27783578Usg) April 11, 2021
現在の教授クラスで,雇用問題に危機感や問題意識を持っている方は残念ながらかなり少ない印象ですね...「俺の若い頃」とは全く状況が異なることを知ってもらわないと.教員は学生の就職活動の相談にも乗るわけで,雇用問題では高い意識が求められるはずです.
— Takahiro IINO (飯野孝浩) (@takahiro_iino) April 12, 2021
.oO(昔の論文をほとんど書いていない万年助手の問題と、論文20報以上、引用件数1000〜2000回以上の任期付き助教やポスドクがゾロゾロいる現状を同列で扱われてもなぁ… 「昔は万年助手がたくさんいた」って、それは勝ち組やん…)
— Shigeru Flower-Field (@shigeruflowerFi) April 12, 2021
自分たちの世代の同期は任期なしを得たら万年助手になってしまったから、今の若手には任期ありが妥当、自分たちの世代の任期なし教授はそのまま継続で、っていう割とすごい理論でしたね。自覚なしダブスタ。
— 山田かおり PhD (@KaoriYamada01) April 11, 2021