大学教員公募(教授、准教授)の倍率はどれくらい?

いまどきPIの職を得るのは宝くじを当てるようなものとも聞きますが、実際のところ、独立准教授や教授のポジションなどカデミックポジションの倍率はどれくらいなのでしょうか?

公募していたとしても、現実はというと、定年が70歳の私立大学は、東大や京大を65歳で退官した大御所の先生が天下る(?)場所のように見えます(私見)。また、いわゆる出来レースというものもありましょうし、有力候補に入るかどうかが重要であって、単純な倍率にはあまり意味がないとも言えるわけですが、それでもだいたいの数字を知っておくことは、若い人にとって、ポジションを得ることの難しさを客観的に認識する機会になると思います。

そんなわけで、いくつか具体的な数字(応募者総数)を紹介します。(いずれも生命科学系で、教授や准教授のPIポジション)

  • 早稲田大学 教育学部生物学教室 2020年 397名
  • 学習院大学 理学部生命科学科 2015年 353名、2018年 366名 2019年 294名
  • 奈良女子大学 理学部生物科学科 教授または准教授 2013年 300名
  • 静岡大学 生物 講師または助教 2013年 177名
  • 早稲田大学 教育学部 2013年 160名
  • 東京理科大学 基礎工学部生物工学科 2012年 約160名
  • Pasteur Institute 2015年 約150名
  • 東北大学 2018年 90名近く
  • 名古屋大学 2015年 85名
  • 九州工業大学 生命情報工学 2012年 78名
  • 秋田大学 大学院工学資源学研究科生命科学専攻 2015年 69名
  • 岩手大学 工学部応用化学生命工学科 生体機能分野准教授 2015年 67名
  • 岡山大学 理学部生物学科教授 2013年 60名
  • 北海道大学 大学院理学研究院・生命機能科学分野准教授 2009年 47名
  • 岩手大学 工学部応用化学生命工学科 生命科学分野教授・准教授 2015年 35名

こうしてみると、都内の私立大学の准教授・教授の職は非常に人気が高いことがわかります。また、この倍率からすると、予め相手から声を掛けられていない限り難しいのかもしれません。

 

公募の倍率の無意味さについて

重要なことは、上で示したこれらの倍率にはあまり意味がないということです。なぜなら、

【世間の常識】募集が出たときには採用される人は既に決まっているから。

全ての公募がそうだというつもりはありませんが、実際に採用された人が誰かを後から確認してみてください。東大や京大を定年退官した、業界で名を知らない人はいないような高名な研究者が私立大学の教授になったときに、その「公募」に応募した他の数百人に0%を超える可能性があったといえるでしょうか?また、公募期間が2週間~1カ月と極端に短く、該当する人間がほとんどいなくなるくらいに研究分野や研究内容が事細かに指定されている公募は、内部昇進でないとしたら一体誰のためのものでしょうか?

宝くじが当たる確率を当てにせずに確実に職を取りたいのであれば、「公募」という言葉に惑わされず、「世間の常識」をわきまえることです。

 

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参考

  1. 大学教員公募の面接(実施側の立場) (大学の教員生活 2012年11月16日):”採りたいと思う候補者には、共通点があることに気づきました。 その共通点は複数あるのですが、まず挙げたい点は、‥ ”

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