臨床医のための 臨床研究テーマの見つけ方

臨床研究を行う理由

T医師が漠然と感じているような疑問は、臨床に携わっていると日常的に沸き起こってくるはずです。

「臨床研究」とは、このような漠然とした疑問を、検証可能な「リサーチクエスチョン」として構造化させ、科学的な手法を用いて解決していく過程です。そして疑問を解決していく中で、また新たなリサーチクエスチョンが生まれて来る。そのような連鎖が、臨床医学を前へと進める推進力であり、臨床研究のだいご味です。(臨床研究者育成プログラムのご紹介 東京大学医学部

病気を深く知ろうとする行為そのものが研究であると考えれば、よい臨床医になるためには研究という作業が必ず伴うのではなかろうか。(京都大学大学院医学研究科・医学部 皮膚科学 教授エッセイ

 

臨床研究テーマの見つけ方

臨床研究の大きな流れとしては、まず「後向き研究」からスタートして糸口をつかみ、「前向き研究」の「観察研究」で方向性を定め、さらに「介入研究(臨床試験)」で確認する、というのが王道ですね。…

こうした疑問点をガイドラインなどで調べても、エビデンスがはっきりしない場合がしばしばあります。こういう時こそ問題解決の一つのチャンスなので、さあ後向き研究をやろう、となるわけです。…

後向き研究をやってみると、何かしら解決すべき問題が出てきて、これを前向きに調べることになります。そこまでやると、自分のテーマとしてこれを突き詰めたくなる。(インタビュー第6回:神山 圭介 教授 「治験」と「臨床研究」の違い 慶応義塾大学病院臨床研究推進センター)*太字強調は当サイト

 

書籍

  1. 実践対談編 臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意 (すべての臨床医そして指導医にも捧ぐ超現場型の臨床研究体験書) 2018/4/18 原 正彦
  2. 臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意 (すべての臨床医に捧ぐ超現場重視型の臨床研究指南書) 2017/12/4 原 正彦

 

臨床研究 英語論文 最速最短は臨床医に研究を勧めて、実際にアイデアの出し方から論文アクセプトに至るまでの道のりをガイドしてくれる本なのですが、基礎研究しか知らない自分が読んでも非常に面白く、大変役立つ内容でした。自分の研究の一番のブレーキになる上司とのかかわり方であるとか、論文原稿を教授が何か月も放置して読んでくれないときにどうすべきかなど、研究者がしばしば遭遇する困難への対処方法、実践的なアドバイスが満載です。

参考

  1. 臨床研究:実戦的基礎知識 国立国際医療研究センター「初期臨床で身につけたい臨床研究のエッセンス」Vol.2 第4章より抜粋・改変
  2. Douglas A. Mata. Once You’ve Found the Question: How to Take the Next Steps in Research Nov 08, 2017 (NEJM Resident 360)
  3. Sadaf Aslam and Patricia Emmanuel. Formulating a researchable question: A critical step for facilitating good clinical research. Indian J Sex Transm Dis AIDS. 2010 Jan-Jun; 31(1): 47–50. PMC3140151 step-by-step guidance on the formulation of a research question
  4. David A. Katzka. How to Balance Clinical Work and Research in the Current Era of Academic Medicine. Gastroenterology. November 2017; Volume 153, Issue 5, Pages 1177–1180.