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【アカリクの口コミ評判】アカリクを使った転職の体験談~生命科学系ポスドクの成功事例

研究者は、今の仕事がいい論文になれば、アカデミアで職が得られるかもしれないという期待のもと日々頑張っている人がほとんどだと思います。

しかし、思った実験結果が得られなかったり、せっかく結果が得られてもよそのグループに先を越されたり、希望したジャーナルからリジェクトをくらって不本意なジャーナルにしか掲載されなかったり、論文は出たのに職のオファーが来なかったり、人生はなかなかうまくいかないものです。

順調に大学教員の職を得てステップアップしている見通しが暗くなるにつけ、アカデミアにいつ見切りをつけるかが頭をよぎることが増えるという人もいることでしょう。

自分の論文が期待したジャーナルに蹴られてしまい、下のランクのジャーナルにしか出せなかった場合には、次の研究テーマで挽回しようと考えて研究をズルズルと続けているうちにどんどん年齢があがっていき、年齢相応に要求される業績の高さと年齢とがイタチごっこになり、泥沼にはまり、のっぴきならない状態に陥ってしまいます(自分の経験)。

ポスドクで企業に転職を考えるのなら、早いにこしたことはありません。自分は40歳くらいのときにあまり名前を聞いたことがない小さな(?)転職エージェントに登録して(アカリクではない)、面談して相談に乗ってもらったことがありましたが、自分にマッチする職は、いつ潰れるともわからないバイオベンチャーの技術営業しかなく、それも自分の希望年収を100万円下げないとダメでした。時すでに遅しです。進むも地獄、退くも地獄という状態にトラップされていました。

 

アカリクを使った転職の体験談~生命科学系ポスドクの就職事例

  1. 2012年春の転職活動について:研究者→民間企業 渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ

 

 

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【アカリクの口コミ評判】アカリクを使った転職の体験談~生命科学系博士卒で就職した大学院学生の事例

自分は博士号の取得には難儀しました。修士2年、博士3年やって博士号取得までに論文出版は間に合わず、博士論文だけ出して博士研究の内容の論文掲載はポスドクにずれ込みました。そのような事情から博士卒業後も同じラボでポスドクを続けました。これは決して好ましいことではないです。やはり期限までに論文を受理されて、ポスドクをやるラボは別のラボに行くべきだったと思います。

さて自分の場合は博士号を取得して企業に就職という考えは全くありませんでした。アカデミックな職がいかに狭き門かを全く理解していなかったのも一つの理由です。自分が将来アカデミアで確実に食いっぱぐれるとわかっていたら、違った選択もあったのかもしれません。まあ、人生は遡ってやり直すことはできませんので、いたしかたありません。

浪人や留年をせずにストレートで行った場合、大学卒業時点で22歳、修士卒業時点で24歳、博士取得時点で27歳です。企業に行くなら30代前半がギリギリとよく言われますので、企業に行くと決めているのであればポスドクを経験する必要はないでしょう。

アカリクを使った転職の体験談~生命科学系博士課程大学院学生の就職の事例

  1. 内定者インタビュー[生物系/博士課程からリクルート系企業へ]
  2. 内定者インタビュー[生物系/博士後期課程から製薬企業研究職へ]
  3. 内定者インタビュー[生物・農学系/博士課程からシンクタンクへ]
  4. 内定者インタビュー [医学・薬学系/博士課程から理化学機器メーカーへ]

生物系以外の分野の博士号取得者の就職事例

  1. 内定者インタビュー[物理系/博士課程からIT系研究職へ]
  2. 内定者インタビュー[人文社会学/博士課程からコンサル系企業へ]
  3. 内定者インタビュー[情報系/博士課程からIT企業へ]
  4. 内定者インタビュー[化学工学系/博士課程から化学(日用品)メーカーへ]

アカリク以外の転職エージェントを使った事例

リクナビ

  1. 就職活動体験談:バイオ(生物)系博士課程から化学メーカーへ就職

その他参考になる事例

  1. 博士学生がメーカー研究職の内定を得るまで【生物系博士の企業就活】 minoblog

 

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  1. アカリクってどうよ?(博士研究者の転職斡旋会社の口コミ・評判)

【アカリクの口コミ評判】アカリクを使った転職の体験談~生命科学系修士卒で就職した大学院学生の事例

自分が大学4年生のときに製薬企業の人に話を聞いたときには、学部卒はあまり相手にしてもらえない感じでした。学部卒程度では研究なんてできないので修士出てからまた来てねというスタンスだったように思います。実際修士課程の2年間を研究室で過ごしてみて、やっと多少の実験手技を身に付けられたという程度で、自分でもひよっこレベルだと自覚していました。自分の場合、研究者になれるかどうかという不安は多少ありましたが、自分のラボの教授がただのオッサンにしか見えなかったので自分でも研究者になれるだろうと楽観していました。どこの大学の大学院にいるかにもよるとは思いますが、自分の場合ほとんどの修士の学生は博士課程に進学したように思います。
しかし、企業に行くタイミングとしては修士卒というのが一つの大きな節目になります。今の状況は正直よくわかりませんが、当時は、修士で実験手技を身に付けたくらいの学生が一番歓迎される風潮でした。将来企業に入るつもりであれば、修士のときにいちど企業とコンタクトを取って、修士卒や博士卒に対する企業のスタンスを確認することが必要でしょう。
もちろん、修士の2年間ラボで生活して、こんな生活は耐えられないと思った学生は企業への就職を考えたほうがいいと思います。実験が中心の生活はかなり特殊で、人によって合うあわないはあります。というより、実験して充実感や満足感が得られる種類の人間はかなり少数派なのではないかと思います。

アカリクを使った転職の体験談~生命科学系修士課程大学院学生の就職の事例

  1. 内定者インタビュー[生物系/修士課程から化学メーカーへ]
  2. 内定者インタビュー[生物・農学系/修士課程からIT・電気メーカーへ]
  3. 内定者インタビュー[生物・農学系/修士課程から文具メーカーへ]

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  1. カリクってどうよ?評判、口コミ、ポスドク・大学院生の利用体験談まとめ

アカリクってどうよ?評判、口コミ、ポスドク・大学院生の利用体験談まとめ

アカリクの評判が気になる転職思案中の人も多いかと思います。私はアメリカでポスドクをやっていて日本に戻ることになったときにアカデミックポストが全く見つからず、路頭に迷うくらいなら民間も探さねばと思い、マイナーな人材派遣会社に登録してみて、日本に一時帰国したときにその会社の人と面談したことがありました。当時、アカリクはまだ存在しませんでした(多分)。結局、民間にも職はなく、2か月後には完全失業という絶体絶命とのところまで追い込まれました。もし自分が困っていた当時にアカリクがあれば登録してたと思います。

博士号研究者の転職支援 ⇒ アカリク
大学院生のための就職情報⇒アカリクWEB
院生・ポスドクの就職支援⇒アカリク就職エージェント

転職エージェントのアカリクってどんな会社?

大学院生と企業を結ぶ情報インフラの不在に着目し事業化 

  • 2007年にフリーペーパー『アカリク』を創刊
  • 2008年に『アカリクWeb』をスタート
  • 2009年には大学院生の能力を求めるスカウト型就職イベントのサービスを本格的に開始
  • 大学院生を積極的に採用したい企業が出会える機会と場を創出し、業容を拡大
  • 大学院生やポストドクターに特化した採用支援を行なう会社としてはオンリーワンの存在

企業の特徴 アカリク)

これまでに約1.5万人大学院生個別にキャリア面談を行い、採用イベント・求人媒体・人材紹介の領域で10年以上の実績を持つアカリクが、専門的な採用コンサルティングを実施いたします。大学院出身・博士社員のコンサルタントが中心となって企業と学生の間に立ち、双方のニーズをしっかり分析して結び付けることで、大学院生・ポスドクの採用をサポートいたします。(院生・ポスドクのための就活サイト「アカリクWEB」全面リニューアルのお知らせ PRTIMES 2021.01.05

株式会社アカリクは大学院生(修士/博士)、院卒社会人ポストドクター研究者採用支援事業を行っている会社です。

西尾:アカリクさんは、これまであまり注目されてこなかったアカデミック領域の人材活用の活性化という、社会的意義のある事業に取り組んでいらっしゃる会社です。

本質的な悩みに介在する人材紹介とアカリク事業の魅力 アカリク公式note 2019/07/21 09:59 note.com)

 

誰がアカリクを利用しているのか

アカリクは大学院生やポスドクを対象にした就活支援を行っているようですが、分野でいうと何の専攻が多いのでしょうか。アカリクが実施した新卒院生のアンケート調査によれば、「生物・農学系」が19.8%、「物理系」が13.5%、「医学・薬学系」が11.5%で、生物系が最多とのこと。

  1. 2022年卒大学院生の9割以上が就職活動に不安!「新型コロナの影響による採用枠の減少」を心配する声は68.9%(2020/11/11-16:46 時事ドットコムニュース)大学院生・研究者のキャリア支援を行っている株式会社アカリク(本社:東京都渋谷区、代表取締役:林 信長、以下 アカリク)は、「22卒大学院生(修士・博士)の就職活動」の実態把握を目的として、アカリクへ会員登録している22卒の大学院生(修士・博士)を対象にアンケート調査を実施いたしましたので、発表いたします。

関連記事 ⇒ アカリクを使った転職の体験談~生命科学系修士卒で就職した大学院学生の事例

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アカリクではどんな人が働いているのか

  1. アカリク社員紹介インタビュー キャリアカウンセラー ”キャリアサポートの仕事をするなかで多いのが、大学院生や研究者に対して「あと半年でも早く相談してくれれば」と悔しく感じることです。これは、多くの求職者が、実際に就職活動を始めてから自身のキャリアについて深く考えるようになるためです。”

 

院生・ポスドクの就職支援⇒アカリク就職エージェント

 

口コミで知るアカリクなどの転職エージェントを使うメリット

アカデミアで公募を探して応募するということを繰り返している人間にしてみれば、なぜ転職斡旋企業に頼ったほうがよいのかは、あまりわからない人もいるかと思います。 エージェントへ登録すること自体に心理的なハードルを感じる人もいることでしょう。

転職エージェントを使うメリットについて紹介したいと思います。一番のメリットは、自分が世間からはどう見えるのかを、客観的に第三者の目を通して見直すことができる点です。独りよがりな自分を他人の目を通して反省的に見直す、それが出発点になります。自分が大事にしていることが実は他人からはたいして重要視されず、自分が当たり前でどうでもいいと思っていることが他人からは高く評価されるなど、自分の価値判断に関するズレやギャップを知ることは、新鮮な驚きを与えてくれます。

情報に関しては、そもそも公募されていない潜在的な就職先が見つかるかもしれないというメリットがあります。

博士持ちが企業(インダストリー)で職を探す上で大事なこと

大学院生は専門知識を売り物に就職活動をしがちだが、そのまま生かせる職場はほとんどない。論文執筆で身に付けた文書処理能力や、学術発表で培ったプレゼンテーション能力、また英語の専門文献を相当量読み込んでいるので英語力も高い。専門知識も含めて、企業に役立つ能力をアピールする必要がある(【挑む】アカリク・林信長社長 大学院生に特化し就職支援 Sankei Biz

 

アカリクでどんな企業を紹介してもらえるのか

自分が昔小さな人材登録会社に相談したときは、1年後にはつぶれていそうなバイオテックカンパニーの営業しかありませんでした。それなら1年先がわからないポスドクと大差ないと思って、インダストリーでの求職を諦めた覚えがあります。アカリクさんはどうなんでしょうか。

アカリクに登録したらどうなるのか ー 口コミのまとめ

アカリク利用経験者の声(口コミ・評判)

アカリクの評判を知るにはアカリクにお世話になって満足できる就職口を見つけることができた人の声だと思いますので、いくつかツイートを紹介(適宜、入れ替えあり)。

アカリクではどんな人が働いているのか

  1. 【アカリクゼミ特別回/文系社員座談会】~言葉を学ぶ~後編 アカリク公式note 2019/12/24 11:57
  2. アカリク社員 インタビュー
  3. アカリク社員 インタビュー
  4. ファーストクラスでの接客対応そのままに、「おもてなし」で面接者の心を動かす人事。
  5. 「関わる全ての学生の良き伴走者でありたい」 アカリク公式note
  6. これからのアカリクにワクワクできるメンバー募集!アカリク執行役員 川口博久インタビュー
  7. 【挑む】アカリク・林信長社長 大学院生に特化し就職支援 Sankei Biz

 

アカリクの創成期

  •  “東大コンビ”が、社会人として成長するまで ――研究者の知恵を広く社会へ届ける「株式会社アカリク」創成記 注目の企業2018年7月24日 リクナビNEXTジャーナル
  • 株式会社D・F・S、2010年卒業予定の大学院人材(修士・博士)の紹介を開始(2008年11月27日 17時 value-press.com)大学院生および院卒社会人に特化し企業に人材採用コンサルティングを行う株式会社D・F・S(東京都渋谷区、林信長・代表取締役)は、2010年卒業予定の大学院人材(修士・博士)の紹介を開始いたしました。
  • 【特別鼎談】博士後期課程から社会へ ―三者の歩んだ軌跡― Part 2 #博士の選択 (アカリク公式note 2020/03/05 10:05)学生時代を共に過ごした「博士後期課程」出身の三人が集い、自身のキャリアについて語り合った。ビジネス・アカデミック・アート、それぞれの道に進んだ三人は何を語ったのだろうか。

 

博士号持ちの転職支援なら⇒アカリク
大学院生のための就職情報⇒アカリクWEB
院生・ポスドクの就職支援⇒アカリク就職エージェント
 

アカリクに関連する参考サイト

  1. 人事が変われば、社会が変わる Works 126 2014 10-11 博士を採用できない企業の”病”
  2. アカリクインタビュー 
  3. 院生・ポスドクの就活サイト(アカリク)
  4. アカリク就職エージェント 大学院生(修士・博士)・ポスドク専用 求人紹介サービス
  5. 大学院生・研究者のためのフリーペーパー「アカリク」を9年ぶりに復刊―全国の大学院生・研究者にむけて6万部を発行 PR TIMES2017年3月1日 14:05 インフォシークニュース
  6. 大学院生・研究者のためのフリーペーパー「アカリク」を9年ぶりに復刊―全国の大学院生・研究者にむけて6万部を発行 2017/03/01  株式会社 アカリク B to B プラットフォーム業界Ch
  7. 株式会社アカリク、総合人材サービスのパソナグループと資本業務提携 2011年1月1日
  8. 【アカリクWEBの評判は?】就活生の口コミまとめました | 運営者インタビューも 2020年11月25日

まだアカデミアで消耗してるの?博士の転職

まだアカデミアで消耗してるの?

natureのサイトに、There is life after academiaと題する記事がありました。博士号取得者のキャリアはアカデミアだけに限るものではないよという趣旨の記事です。

There is life after academia(03 September 2014 nature.com)

博士号を取得してもアカデミアに職はないというのは日本に限らず世界的な傾向ではありますが、それにしても、今の日本の研究業界は異常だと思います。CNS(セル、ネイチャー、サイエンス)に論文業績があるような人たちでも職が見つからずに大変な思いをしている。

 

コンスタントにその研究分野でのトップジャーナルに論文を出している業績のある人であっても、PIの職に就けなくて任期が切れて路頭に迷うはめになる。その一方で、特にこれといった業績がない人が職を獲っている。どうみても捏造論文にしか見えないような論文を出している輩が、がっちりと大学に守られてのうのうと生きている。こんな不条理な世界で生き延びるのは大変です。あまりにもハイリスクで、ローリターン。

40歳を超えても、家族がいても、任期が来れば職がなくなってしまうのだ。そんな業種に、若い優秀な人間が、行きたいと思うだろうか?(日本の科学研究が衰退している「2つの理由」 いま大学の現場で起きていること 中屋敷 均 2018.09.13 gendai.ismedia.jp

昔なら、大御所のラボでそれなりに頑張っていれば、どこかに押し込んでもらえた(=定職に就けた 現代ラボ用語の基礎知識)。今ではポジションが少なすぎて、大御所でも部下の面倒を見切れず、結局、そのラボへの貢献度が大きかった人ですら職にあぶれる。誰も幸せに生きられていないのが(自分の主観に過ぎないかもですが)、今の日本の科学研究の世界。

関連記事 ⇒ 東大で大学院に入るのは自殺行為 

それでも研究者になりたいという奇特な人は、どうぞ研究の世界に来てください。大学院時代にCNS一報、ポスドクでCNS一報、ファーストオーサーで論文を出せれば、生き残れるでしょう。悪くてもこの段階でCNSのすぐ下の姉妹紙に1報でも出せていなければ、研究は辞め時だと自覚したほうがいいと思います。CNSを目指して研究しても結果として姉妹紙どまりというのはごく普通に起こりますので、CNSレベルの研究テーマをやらせてもらえないようなラボに入ってはいけません。もちろんデータを捏造してトップジャーナルに論文を出しているラボに入ってはいけません。それを見分けるのは無理でしょうが。

関連記事 ⇒ 不正疑惑論文の告発内容をフリーソフトで確認

研究がうまくいったとしても、その研究分野の中堅ジャーナルにしか掲載が期待できないようなテーマをやっているのであれば、あなたのボスはあなたが研究者になることを期待していないのか、単に、若手研究者の生き残りの厳しさを理解できていない人なのでしょう。

大学院時代にCNSを出しても、ポスドクでもう一度トップジャーナルに出せないと、学生時代の指導教官が良かっただけなのねと思われます。ポスドクでいいジャーナルに出して、論文の賞味期限が切れないうちに早くテニュアトラックの職を得て、さらに自分のラボからトップジャーナルに論文を出すことが必要です。そのためには、テニュアトラックの職を得てPIになっても弱小ラボに優秀な若手が来てくれることはあまり期待できませんので、すでにものになる研究テーマ&データを予め(隠し)持っている必要があります。

関連記事 ⇒ 大学院やポスドク先の研究室の選び方

関連記事 ⇒ 研究テーマの選び方 21のポイント

関連記事 ⇒ 職を獲れる研究者になるための20のポイント

研究の世界で単に路頭に迷わずに済むだけのためでもこれほど大変なのです。ハイリスク(完全失業)、ローリターン(スーパーサクセスフルな人でもせいぜい大学教授の給料)なことこのうえないと思います。ですから、少し理性が働く人は、今の日本のアカデミアに固執しなくてもいいんじゃないかと最近は思います。べつにネガティブキャンペーンを張りたいわけではないのですが、研究者としての能力があり、実際にそれなりの業績を出している研究者であっても、不遇に耐えている人があまりにも多すぎます。

 

研究者の待遇の悪さ

ポスドクの給与の低さは、常々言われることです。自分もアメリカにポスドクで留学していたとき、大学のカフェテリアの1ドルのコーヒーが飲めなくて我慢する生活をしていました。企業の研究者の優雅な生活とは天と地の差で、経済格差のせいで結局企業研究者と交わることは全くありませんでした。

この厳しい現実により、「ここまで努力しても、科学が評価されても、最低限のレベルの生活すら得られないのか」という挫折感に似たようなものが常に頭の何割かを支配している気がしました。どこに行っても、値段が気になって楽しめない。いくら節約しても、お金が無くなっていく。子供はもう幼稚園に行ってもいい歳なのに、保育料が高すぎて週に2日しか行かせてやれない。そんな状態が1年も続いていると、さすがに何をやりたいのか?何を目指しているのかわからなくなってきます。(私が研究者をやめた理由 僕らの研究スタイルblog)

 

研究に向く人

研究に向いているかどうか悩む人がいるかもしませんが、向いていても職がなければ生き残れないのがこの世界です。

研究者という仕事は、研究そのものに強くやりがいを感じている人間でないと続けていくことは難しいと思います。研究者というものは、要求される能力が高い割に待遇はあまり良くありません。研究そのものが楽しいのでない限り、辞めて他の職に就いた方がきっと幸せになれます。(私が研究者を辞めた理由 塞翁失馬、焉知非福)

関連記事 ⇒ 自分が研究に向いているかどうかを知る24の質問

 

業績があっても職がない現実

業績があれば職にありつけるというのであれば、頑張って研究して結果を出せばよいので、話は簡単です。しかし現実はそうなっていません。大学によりますが、業績らしい業績がない人が職を獲っている例もありますし、こんな環境で研究ができるの?という大学ですら職を獲った人の業績をみるとCNS持ちだったりします。両極端で、途中というものがないのです。

実際,⼤学院⽣が「40歳前後の業界スター級の研究者が研究の⼿を⽌め就職活動に時間を費やし,それでも任期なしの職になかなか就けずにいる」という現状を⽬の当たりにし博⼠後期課程進学・アカデミアでの求職を断念するケースが散⾒される.(30 代・男性・ポスドク 令和 2 年 10 ⽉ 8 ⽇ ⼀般社団法⼈⽇本若者協議会 若⼿研究者の課題に関するアンケート結果まとめ)

能力がありPIになるべき人材が不安定な雇用に苦しむ一方で、いわゆるデキ公募などによって、数少ないポジションが埋まっていく。( 日本における若手研究者をめぐる課題 Aiko Sada 2019年4月24日 Laboratory of Skin Regeneration and Aging Aiko Sada Lab, IRCMS, Kumamoto University )

 

任期が切れる恐怖

その年の3月で職が終わりなのに、その年の1月の時点でまだ次の職が見つかっていないという恐怖を自分も経験しました。自分の知り合いの先生や、全く知らないけれども研究内容が近い先生ら10人くらいに連絡を取って、科研費雇いのポスドクで受け入れてくれる先生が一人だけみつかりました。科研費雇いなので、大学の新卒の初任給よりも安い給与です。それでも、家族もろとも完全に路頭に迷う寸前だったので、職があっただけましでした。世間的には、それは職と呼べるものかすら怪しいですが。

 

万策尽きたと言う感じです。研究者引退ってのは、研究者としての死を意味します。死に物狂いで何かをすれば活路が見出せると言う人は多いですが、実際に確実な死を前にした人間は動きが止まります。心も体も動かせず、静かに死を迎えるだけなんです。(久木鉄平・45歳 第5回(更新日:2019年1月23日) 報われないロスジェネ研究者たち)

私もかつては特任准教授なる身分で大学に雇用されていた。採用直後は任期付きということが何を意味するか実感としてわからなかったが、年が経つのにともない、任期付きとはつまり、任期切れ後はまた無職になるということで、だから、公募戦士であることに変わりはないということがわかってきた。(ハローワークにて  2018/10/04 22:35 note.com)

➢大学・高専教員に任期数年のポストが増加(特任助教など)⇒任期が切れたら失職

猿は木から落ちても猿だが、議員と大学の先生は任期が切れればただの人 

オーバードクター問題 基礎科学における大学院進学と 研究職への道 エンプロイメントデザインI 東 武大 (摂南大学理工学部 基礎理工学機構 准教授)

242 :Nanashi_et_al.:2011/05/12(木) 09:06:12.78

任期切れポスドク化どころか
任期切れ無職が現実味を帯びまくって来た
どうすればいいんだ

任期切れた奴 or 切れそうな奴集合 5ちゃんねる)

  1. 助教なのに!? 任期あるの?(マンガで学ぶ求人・求職事例 Case.7 JREC-IN)

関連記事 ⇒ 任期が切れた助教はどこへ行くのか?

 

結婚の障害となる雇用の不安定さ

来年の自分の雇用が不透明というのがずっと続くのに、結婚などそうそう考えられません。お付き合いしている人がいたとしても、なかなか結婚に踏み切れないという感覚が普通でしょう。

彼には任期がない職を考えてほしいと伝えたところ、大学には任期のない職があまりないので難しいと言われました。そこで、大学以外のところでも考えてほしいと伝えると、不機嫌そうに非常識だと言われ、現在かなり険悪な状態です。今まで積み上げてきたものもありますし、好きな仕事を続けるのが一番だと思うので、応援はしたいのですが、任期付き職員(大学の助教)は、いつ雇い止めにならないともわからないですし、ほとんど休みの日もなく毎日深夜に帰ってきているようなので、できれば他の職業も視野に入れて、任期のない職業を検討してほしいと考えていますが、これは私のわがままになるのでしょうか。(発言小町

関連記事 ⇒ 研究者の結婚、研究者との結婚 

 

大学教員からポスドクへ逆戻り

大学の助教・助手になった人の56.6%、講師になった人の43.6%は任期付き。准教授でも33.6%、教授でも28.6%が任期付きでした。そうなると、大学教員になれたとしても、任期が切れたらまたポスドクに逆戻り、といったケースもあり得ます。(一度なったら抜け出せない?!今も深刻な「ポスドク問題」 2018/09/05 転職Hacks)

特任ポスト、任期付き助教からポスドクへの逆戻りは珍しくない (若手研究者支援・ 研究支援人材活用を通じた 日本の科学技術を 高めていく方法論の提案 日本学術会議 若手アカデミー委員会 (有志)https://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/yusikisha/20140807/siryo2-3.pdf

 

そんなことを踏まえて、アカデミアを離れて新しいキャリアを踏み出した人たちの体験談を紹介したいと思います(順不同、断りなく入れ替える可能性あり)。

転職できる年齢のリミット

助教として40前後まで研究職を続けた⼈間のうちの⼀定数はアカデミアでのキャリアアップを諦めざるを得ない構造になっている.⼀般に35歳を超えての未経験分野への転職の困難さは知られており,基礎研究分野の研究者が上記問題に直⾯した際は⺠間企業への転換も図りにくい.(30 代・男性・ポスドク 令和 2 年 10 ⽉ 8 ⽇ ⼀般社団法⼈⽇本若者協議会 若⼿研究者の課題に関するアンケート結果まとめ)

 

研究者にありがちなアカデミア以外が全く目に入らない症状

研究者になると決めて大学院に進学したわけですから、当たり前といえば当たり前のことなのですが、多くの人はいかにしてアカデミアで生き残るかしか考えずに日々研究に明け暮れているわけです。アカデミアの外に可能性が存在していても目に入らないものです。

アカデミアから離れたら、自分の価値はなくなる、と。また、「研究者として生き残っていくことが勝ち組、それ以外は負け組」という思想もありました。アカデミアに残ることにしがみつき、そこからこぼれ落ちることに恐怖を感じていたのです。… 研究者コースに一度入ると、「ここでしか生きられない」と思考が固まってしまい、その殻を破るのは容易ではなくなります(全員ではないですが、少なくとも私の周りの理学系ではそういう傾向があったと感じます)。(子どものころからの夢、教師への転職〈アカデミアを離れてみたら〉2020.05.22 岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」)

 

転職エージェントを利用した転職活動

年齢にもよるのだと思いますが、自分がアカデミアでの職の維持が絶望的になったときに、とあるマイナーな転職エージェントに登録して面談をしてもらったことがあります。自分の希望する条件では候補となる職はゼロで、希望年収をあと100万円下げてくださいと言われて、それで一社出てきたのが、いつつぶれるかわからないようなバイオベンチャーの営業でした。進むも地獄、戻るも地獄と思ったものでした。あとから知ったのですが人材登録会社もいろいろあります。博士研究者の転職に強いところもあるようです。

博士出身者に圧倒的な人材紹介実績【アカリク転職エージェント

大学院生(修士・博士)・ポスドク専用 求人紹介サービス【アカリク】

大学院生・研究者に特化 求人情報検索【アカリクWEB】

関連記事 ⇒ アカリクってどうよ?(博士研究者の転職斡旋会社の口コミ・評判)

 

ポスドクからデータサイエンティストへの転身

TJO氏のブログ記事は、これまでにたくさん読みました。本当の本当に辞めることを決断したときの心情などを描いたこの記事は非常に心を動かされるものがあります。リンク先を是非、ご一読ください。

博士ポスドクの企業就活に強いと当時から評判だったアカリクさんを頼っています。そこで担当のTさんという方と話してびっくりしたのが、まず想像よりも博士やポスドクを採用している企業が実在するのだということ。上記のように「博士ポスドクをドロップアウトしたら日雇いバイトか零細の派遣の仕事ぐらいしかない」とそれまでは聞かされていたので、極めて意外に思ったものです。

(中略)

5年かけても1本しか論文が書けないテーマを引き受けるなら、5年任期で採用してやるという話だったわけです。この時僕は35歳間近、仮にその後5年任期を満了したら40歳間近。40歳間近で、また1本しか論文が増えなかったら、今度こそ人生もキャリアも詰んでしまいます。

(転載元:研究者を辞めた時のこと、そしてその後のこと 2019-01-31 渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ)

 

自分も研究を辞めるかどうかの決断をしたとき、このままアカデミアでもう少し踏ん張ってあと1報論文を書けたとして、それで就職できるのか?を考えました。答えは、否でした。CNS級に出せればひょっとしたらチャンスが出てくるかもしれない。しかし今の手持ちのデータで頑張って論文にしても、全てが狙い通りにいったとしてもよくてインパクトファクター10程度の中堅の雑誌にしか届かない。それだと自分の年齢を考えるともう職がつながるチャンスはない。そう考えると、研究を続けることはもはや無理だと思いました。正直言って、自分が研究を諦める日が来るとは、それまで思っていませんでした。しかし、客観的に見れば、すでに土俵を割っているのにじたばたしていただけだったのでしょう。

 

もともと情報系の研究をしている大学院生などは、データサイエンティストの求人が殺到するということを聞いたことがありますが、生物系の研究者の場合はもともとデータ解析に強い人でもない限り、データサイエンティストとしての転職は困難なのではないかと思います。

 

 

下で紹介するのも、やはりデータサイエンティストへの転身の話です。

アカデミアを離れることを考え、実際に行動に移したのは、ポスドク生活11年目の冬(2016年12月末)でした。それまでアカデミア以外の選択肢には目もくれず、自身に関連しそうな分野の助教・講師・准教授の公募に応募し続けていましたが、面接に呼ばれることもほとんどなく、ポスドク時代の後半を過ごした山形での5年間は、お祈りの封筒を毎月のように受け取っていました。

(中略)

職探しのために頼ったのは、大学院生やポスドクの就職を扱う「アカリク」というエージェントでした。じきに39歳になる高齢ポスドクを雇う企業など存在するのかと、半ばダメ元で相談のメールを送ったところ、一度面談しましょうとのお返事をもらい、帰省のタイミングを利用して東京のオフィスに立ち寄りました。

(中略)

そこからさらに追加の面接を経て、3月半ばにはその3社から内定をもらうことができました。公募に落ち続けた身からすれば驚きの打率です。

(転載元:ポスドク街道11年の果てで進退窮ま……らなかった話〈アカデミアを離れてみたら〉2020.04.22 岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」)

 

博士研究員から高校教師への転身

私は次第にノイローゼ状態に陥っていきました。「研究を続けるなら、今後もこういう生活が続く」──不安定な将来を悲観することが増え、転職を考え始めました。そのころ、在籍していた京都大学で、リサーチ・アドミニストレーターという比較的新しい職種の大規模求人がありました。… そして研究者からリサーチ・アドミニストレーターに転職したことが転機になりました。少しアカデミアから距離を置くことができたことで、この思考の癖から解放されたのです。そして本来の夢、教師を目指してみようと、頭を切り替えることができました。幸い、教員免許は学生時代にとってありました。(子どものころからの夢、教師への転職〈アカデミアを離れてみたら〉2020.05.22 岩波書店のWEBマガジン「たねをまく」)

教員免許を持っていない場合でも、社会人向けに特別免許状を与えて高校の教員として登用する県があります。

関連記事 ⇒ 博士研究者から高校教員へのキャリアパス

 

研究者から弁理士への転職

自分が直接知っている範囲でも何人かいますが、生命科学の知識を生かして特許関連の仕事に就くというキャリアパスもあります。

博士研究員として培った研究能力を特許出願の明細書に使えば高度な明細書が書けるというメリットもある。中には、アメリカに留学し、日本に帰ってから弁理士を取る人や、大学の助教(昔の助手)になってから弁理士になる人もいたりする。(ポスト・ドクトラル・フェロー(博士研究員)から特許弁理士へ 2012/07/26 特許出願の依頼は大平国際特許事務所へ)

 

研究に見切りをつけて医師に

医学部を卒業して基礎研究の世界に入ってきた人は、医師免許がありますので臨床の世界に戻るという選択肢があります。また、研究者を辞めて医学部に編入するという方法もあります。医師になれば臨床を行いつつ再び研究をするという道もあるでしょう。

  1. 若いバイオ研究者は医学部を検討してみよう 医学部学士編入と昨今の研究医不足 2017-09 Bioreseaercher.net
  2. 研究者が医学部編入を目指す意外なメリット 2017-11 Bioreseaercher.net
  3. 医学部編入志願倍率ランキング 医者になる抜け道があった!「医学部編入」の実際 2017年06月20日 ダイヤモンド・オンライン
  4. 私が大学教員を辞めて医学生になった経緯【医学部学士編入体験記】2020/01/04  ¥740 note.com
  5. 医学部学士編入 理系研究職から医学部へ 合格者の声紹介 河合塾

 

博士号を持って起業

職がないのなら自分で職を作るという発想もあります。

高橋氏:「会社を立ち上げた方がリスクが少ない

落合氏:「150%同意

(WPIサイエンスシンポジウム聴講レポート)

 

セーフティネットとしてのネットでの副業

自分や家族の生活費がネットで稼げるのであれば、アカデミックキャリアを追求するリスクを取ることができそうです。また、生活の心配がないのであれば、無給で研究員をやって研究を続けるという道もありえるかと思います。

関連記事 ⇒ 「ネットで副収入」は任期付き研究者のセーフティネットになり得るか?

 

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参考

  1. まだ東京で消耗しているの?