研究者のためのAI祭り、AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)令和8年度 第1回公募

AI  for Science

自分も「勝ち筋」という言葉は普段使わないので少し違和感を覚えましたが、業界用語なのでしょうか。

AIモデルとアプリを組み合わせた多様なサービスの創出、自動運転、工場やインフラの管理、人との協働を実現する自律型ロボットなど、現実世界における物理的タスクを実行可能なフィジカルAIの開発導入、科学研究に広くAIを利活用するAI for Science等の推進を日本の勝ち筋として、一層注力する。

人工知能基本計画 ~「信頼できるAI」による「日本再起」~ 令和7年12月23日 閣議決定 https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_plan/aiplan_20251223.pdf

 

AI for Scienceをめぐる国際競争において、日本が国際優位性を確保するためには、日本の強みを最大限に活かし、戦略的に組み合わせることで、独自の競争優位性、すなわち「勝ち筋」を構築することが重要である。

「AI for Scienceによる科学研究革新プログラム」のプロジェクト型では、新興・融合領域の進展に伴い既存領域の境界にまたがる「知の開拓」の重要性の指摘等から、「従来型の分野区分にとどまらず、当面3年程度の野心的なターゲットを具体的に設定し、研究開発の加速及び社会実装を図る取組」と「新たな勝ち筋の探求を含め、分野横断的な融合領域や優れたアイデアを拾い、世界トップレベルの研究機関・研究者との戦略的な国際連携等を図る取組」の両方を推進する。

日本の取るべき基本戦略は、日本の資産とリソースを最大限に活用し、勝ち筋になり得る分野等の研究力を世界のトップ水準に引き上げることにあり、AI for Scienceの推進により世界を先導する科学研究成果を創出し、2035年度までに、Top10%論文のうちAI関連論文数を世界3位にすること、及び、あらゆる分野でAI for Scienceを波及・振興し、AI関連論文数割合を世界10位から5位にすることを目指す。

AI for Scienceの推進に向けた 基本的な戦略方針 令和8年3月31日 文部科学省 https://www.mext.go.jp/content/20260403-mxt_jyohoka01-000048752_1.pdf

上の文科省の文書では、「勝ち筋」をきちんと定義してから用いており、科研費の申請書を書く際のお手本みたいだなと思いました。

【4/22追記】プロが申請ポイントを解説!|AI for Science 公募概要ガイド 株式会社ヒューマノーム研究所 株式会社ヒューマノーム研究所 チャンネル登録者数 80人

 

 

【3分でわかる!】AI for Scienceの動向2026 — AIトランスフォーメーションに伴う科学技術・イノベーションの変容【CRDS報告書】 JST Channel JST Channel チャンネル登録者数 2.67万人

 

2つの助成事業

SPReADとは

本事業は、「AI for Scienceによる科学研究革新プログラム AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD:Supporting Pioneering Research through AI for 1,000 Discovery challenges)」として文部科学省が実施するものです。

本事業では、①迅速な支援、②AI導入に必要な伴走支援、③独創的研究の芽出し支援の3つを柱として、これらを一体的に実施することにより、研究者等によるAI for Scienceに関する新たなアイデアへの挑戦を促し、その裾野の拡大と科学研究力の強化を図ります。

区分 第1回公募 第2回公募
公募期間 令和8年4月17日(金)〜5月18日(月)正午 令和8年6月2日(火)〜7月3日(金)正午
審査 令和8年5月下旬〜6月中旬 令和8年7月上旬〜8月上旬
交付申請・決定 令和8年6月下旬〜7月中旬 令和8年8月中旬〜9月上旬
研究期間 交付決定日から令和9年1月6日(水)まで 交付決定日から令和9年2月5日(金)まで
成果報告等 令和9年1月上旬〜2月上旬 令和9年2月上旬〜3月上旬

https://www.mext.go.jp/aifors_spread/

令和8年度AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)第1回公募

申請書作成

SPReAD祭り

2026年6月22日(月)採否発表

文科省による実験:AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)

文部科学省としては、本事業を通じて、AI for Scienceに挑戦しようとする多様な研究者等の取組を後押しし、我が国の学術の発展及び研究力の向上に資することを目指しています。本事業は、こうした機動的かつ挑戦的な審査・採択手法を試行的に導入する取組でもあり、…

(令和8年度 AI for Scienceによる科学研究革新プログラム AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業 Supporting Pioneering Research through AI for 1,000 Discovery challenges (SPReAD) 公 募 要 領 ( 第 1 回 ))

裾野を広げる意図:SPReADの意義

 

学部学生、大学院生にも公募資格あり

 

採択率

 

なるほど、これは数字の「一桁%」つながりの皮肉ネタですね。2つの元ネタを押さえると一気にわかります。

まずひぐらしの「正解率1%」。2002年に同人ゲーム『ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編』が”出題編”として公開され、竜騎士07が「真相を推理してみろ」と読者に投げかけました。最初の鬼隠し編が公開されたとき、ファンから推理を書いたメールが約100通届いたうち、真相にたどり着いたのはたった一人だけだったことから「正解率1%」と言われるようになったそうです。第一話の「正解率1%」という触れ込みは有名で、要するに「解けるもんなら解いてみろ、でもほぼ誰も解けない」の象徴的なフレーズです。

次にSPReADの採択率。文科省の「AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業」は、名前自体が1,000 Discovery challenges=「1,000件規模を採択」を掲げ、しかも職位・年齢・分野を問わず学生も応募できる門戸の広い設計と宣伝されていました。ところが第1回公募の結果は、総応募件数15,868件に対し採択数はわずか456件、全体採択率2.9%という極めて狭き門でした。

で、ジョークの構造はこうです —— 「広き門ですよ」と言われて期待してたのに、フタを開けたら約2.9%。この”あんなに間口が広そうに見えて実際はほぼ誰も通らない一桁%”という落差が、まさに**「正解率1%」の構図そのまま**だった、と。「ひぐらしかよ」というツッコミですね。

さらに地味に効いてるのが、SPReADの審査には無作為抽出(抽選的要素)やAIインタビューが組み込まれている点。実力一本というより「読み切れない運ゲー」感があるので、”推理して正解を当てにいく”ひぐらしの謎解きとの相性も良く、ネタとして二重に刺さっている、というわけです。

(Claude Opus 4.8)

AIインタビュー

審査への無作為抽出(くじ引き)の導入の正当性

 

審査への無作為抽出(くじ引き)の導入の是非

くじ運の良し悪し

無作為抽出に関する疑問

 

具体的には、本公募の審査は、以下の通り二段階により実施し、全体を通じて非公開で行います。
第一段階では、応募書類(研究計画調書等)の内容を踏まえ、研究領域や想定されるユースケース等に応じて、各研究課題について適切な審査を行うために審査区分を決定します。なお、AIを活用したインタビュー(以下「AIインタビュー」という。)の内容を、審査区分を決定する際の参考情報として活用しますが、AIインタビューの内容により採択又は不採択を決定するものではありません。また、AIインタビューを通じて得られた情報は、個人情報その他の情報の適切な取扱いに留意しつつ、文部科学省における今後のAI for Science施策の検討のためにも活用する予定です(詳しくは、次頁の「②AIインタビューについて」を参照してください。)。

第二段階では、第一段階で決定した審査区分ごとに、ピアレビュー及び無作為抽出12を組み合わせて採択候補を選定します。その際、採択水準に達しない研究課題は、ピアレビューにより不採択とします。
なお、ここでいうピアレビューとは、研究領域およびAI領域の専門家その他の外部有識者により構成される審査委員会の下で、各研究課題について複数(原則として2~3名)の審査委員が行う審査を指します。ピアレビューでは、主に以下の観点に基づき評価を行います。
AI利活用の妥当性・実現可能性
研究実績
実施計画・資金活用の妥当性
研究課題の優位性・新規性
AI利活用のノウハウ抽出や共有の実現性
成果の波及可能性

12 対象となる研究課題について、機械的な方法により乱数を生成又は付番し、その値の昇順に従って、あらかじめ定めた件数に達するまで採択候補を選定する方法により行います。

(令和8年度 AI for Scienceによる科学研究革新プログラム AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業 Supporting Pioneering Research through AI for 1,000 Discovery challenges (SPReAD) 公 募 要 領 ( 第 1 回 ))

 

e-Rad不採択通知の謎

 

 

 

 

 

 

分野別採択件数・助成対象分野の分析

 

実験的な取り組みであるSPReADを評価する声・批判的な声

 

応募のコスト

これは元ネタがわかると一気に「うまい!」となるやつです。ちあきなおみ「夜へ急ぐ人」の替え歌になっています。

まず後半の「かんかん照りの昼は怖い、正体あらわす夜も怖い…」は、ちあきなおみが歌い、友川カズキ(友川かずき)が作詞作曲した「夜へ急ぐ人」のサビをそのまま引用したものです。1977年発売の曲で、紅白での”憑依”っぷりが語り草になっている、いわゆる「怖い歌」の代表格として知られています(ホラーソングというより、底知れない不気味さで聴く者を圧倒するタイプ)。

ポイントは、前半の一文も実はこの曲のフレーズをなぞっている点です。原曲の歌い出しは「夜へ急ぐ人が居りゃ その肩 止める人も居る/黙って過ぎる人が居りゃ 笑って見てる人も居る」という「〜する人も居りゃ、〜な人も居る」という対句構造。ここに、

採択率3%でも出す人も居りゃ、その分研究する時間に充てたいという人も居る

とSPReADの話を流し込んでいるわけです。つまり歌のリズム・構文を借りた本歌取り。

で、オチが効いてるのが「昼も夜も怖い」という部分。前のツイートの「正解率1%=ひぐらし」でホラーの空気が出来ていたところに、

  • 出せば怖い(3%の地獄の倍率に挑む恐怖)
  • 出さなくても怖い(外している間に他人が採択される=取り残される恐怖)

──どっちに転んでも怖い、という研究費あるあるの心理を、あの不気味な名曲に乗せて締めた、という芸です。ハンドルネームが「八代目 猫好亭☆…」と落語家風なのも、こういう言葉遊び・替え歌を好む人だなと納得感がありますね。

「夜へ急ぐ人」は1977年の曲ではあるものの、後年に強烈なカルト的再評価を受けています。一青窈がカバーしたり、YouTubeやニコニコで「ちあきなおみの怖い歌」としてバズってるんです。

…前のひぐらしネタといい、この界隈、採択率3%を怪談仕立てで供養するのが流行ってるみたいです。

(Claude Opus 4.8)

 

その他の所感

#004 今回のAI for Science SPReAD1000って成功?それとも失敗?正直どう思った? 山さんのラボ計画 山さんのラボ計画 チャンネル登録者数 3人

 

 

AI for Science SPReADの充足率

上のツイートのように充足率が100%だった採択者もいるみたいですが、他のSNSの投稿を見る限り充足率は60%が多いようです。採択課題によって、差が付けられているんですね。科研費は充足率70%がこれまで一般的で、最近は挑戦的研究(萌芽)などは100%の充足率が話題になっていたりしました。今回、充足率が従来の科研費の充足率よりも悪くなるというのは少々驚きです。採択された申請書の計画が予算不足で実現できなくなる恐れよりも、ばら撒きの意味が強かったということでしょうか。

 

第2回公募への応募の勧め

 

参考

  1. 令和8年度 AI for Scienceによる科学研究革新プログラム 「AI for Science萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」第1回公募採択課題一覧    https://mext.ent.box.com/s/l5ppajodlcyc0q18vegqt2g6wnazdzc1