2020年新入試英語はマーク式と民間の両試験

2020年度から大学入試制度が激変します。知識偏重の入試から、思考力や判断力を問う入試へと変革させることが狙いだそうですが、出題内容だけでなく受験の形式も大きく変わるため、過渡期に大学を受験する生徒にとっては、試験準備のための精神的な負担が非常に大きくなりそうです。1日も早く、最終的な試験の形式が確定してほしいものです。

これまでの「大学入試センター試験」は、2020年度からは「大学入学共通テスト」に取って代わられます。大学入学共通テストの英語は、2024年度からは民間の資格・検定試験が使われます。2020~2023年度の過渡期は、民間の資格・検定試験と現行のマーク式が併用され、大学がどちらかを選べるというものでした。しかしながら、今回のニュースによれば、2017年10月12日に行われた国立大学協会の理事会で、全国立大が足並みをそろえて両試験を課すべきだという結論になったようです。

出題傾向の異なる2つの試験の受験を課するとなると、2020~2023年度の受験生には大きな負担を強いることになりそうです。

共通テストの英語に、民間の試験を活用するとして8つほど候補が挙げられていますが、実際にどの試験が採用されるのかすらまだ明らかになっていません。

英語はコミュニケーション能力を重視し、「読む・聞く」の2技能だけを測っていた試験を廃止し、4技能を測るため英検やTOEICなどの民間試験を使うことになる。どの団体の試験を認めるかは、今年度中にも決める。(朝日新聞DIGITAL 2017年7月10日23時27分 センター試験後継テストの英語、完全民間移行は24年度 )

実施に当たっては、英検やTOEICなどの資格・検定試験のうち、必要な水準や要件を満たす試験をセンターが認定。(時事ドットコムニュース 2017/07/10-15:04民間試験・マーク式併存=センター後継、英語で4年間-文科省

大学入試センター試験に代えて2020年度に始まる「大学入学共通テスト」の英語について、国立大学協会の理事会は12日、従来型のマークシート式と実用英語技能検定(英検)などの民間試験の両方を全国立大82校の受験生に課す方針を決めた。(読売新聞 YOMIURI ONLINE 2017年10月13日 06時00分国立大英語「マーク式と民間」必須…新大学入試 )

共通テストの英語は24年度から民間の資格・検定試験に全面移行する。実用英語技能検定(英検)やTOEICなどの採用が検討されている。(日本経済新聞 2017/10/13 11:07マーク式と民間試験が必須に 国立大入試の英語 20~23年度

共通テストの英語は4技能(読む・聞く・話す・書く)を総合的に測るため、英検やTOEFLなどの民間試験を活用し、高校3年の4~12月に受ける。(2017年10月13日 23時07分 毎日新聞/ @niftyニュース新テスト:国立大、英語2試験「負担大」 高校側の反発も )

英語については、これまでの「読む・聞く」に加え「話す・書く」をあわせた4技能を評価することを目的とし、実用英語技能検定(英検)やTOEIC、TOEFLなど英語能力をはかる10種類の民間試験の中から、大学入試センターが「認定試験」として選定。(日本経済新聞 第321回 2017/5/20 6:00 大学入試、民間試験活用に賛成ですか )

 

文科省のウェブサイトを見ると、平成29年度英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会(第1回)配付資料 の中で、主な英語の資格・検定試験として、英検など以下の8つが紹介されています。

  1. Cambridge Englishケンブリッジ大学英語検定機構
  2. 英検(公益財団法人日本英語検定協会
  3. GTECベネッセコーポレーション Berlitz International ELS Educational Services ※CBT:一般財団法人進学基準研究機構(CEES)と共催)
  4. IELTSブリティッシュ・カウンシル 公益財団法人日本英語検定協会等)
  5. TEAP /TEAPCBT (公益財団法人日本英語検定協会
  6. TOEFL iBT (テスト作成: ETS 日本事務局: 国際教育交換協議会(CIEE)
  7. TOEIC L&R (テスト作成: ETS 日本事務局: 一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)
  8. TOEIC S&W (テスト作成: ETS 日本事務局: 一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)

TOEICは内容がビジネスマン向けで、アカデミックな内容に乏しいため、高校生が学校で学ぶべき内容とはとても言い難く、大学入試のための共通テストには不向きでしょう。TOEFLは海外の大学に進学するときに外国人に課せられるテストで、そもそも大学で学ぶのに必要な英語力を問うものですから、共通テストにふさわしい性格を備えています。

 

参考

  1. 平成29年度英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会(文部科学省) 議事録(平成29年9月7日(木曜日)13時~15時)
  2. 英語4技能試験情報サイト 資格・検定試験 懇談会:”平成26年12月、文部科学省にて「英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会」(以下、連絡協議会)が発足致しました。「英語4技能資格・検定試験懇談会」は、連絡協議会に参加する6つの試験運営団体が集まり、教育関係者、受験者、保護者等に、ポータルサイトの運営や指針作り等を通して、適正かつ包括的な英語4技能試験の内容・レベル・活用事例等の情報提供を行うことを目的とした懇談会です。参加団体(50音順):グローバル・コミュニケーション&テスティングケンブリッジ大学英語検定機構国際教育交換協議会(CIEE)日本代表部、一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)、公益財団法人 日本英語検定協会、株式会社 ベネッセコーポレーション
  3. 大学入試新テスト、認定した民間試験を全国の公立高校で一斉実施か (fourskills.jp 2017.06.22)
  4. 文部科学省英語教育改革PM葛城崇が語る、高大接続最終報告に託した5つの願い (fourskills.jp 2016.03.31)
  5. 安河内哲也が語る、2020年4技能入試で日本人の英語学習は激変する! (fourskills.jp 2015.09.07)
  6. 資料1 英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会の設置について (文部科学省 平成 29年 9月 7日) 英語力評価及び入学者選抜における英語の資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会委員 名簿【50音順】

青山 智恵   ケンブリッジ大学英語検定機構 試験開発部門 日本統括マネージャー
阿部 恵    独立行政法人国立高等専門学校機構 八戸工業高等専門学校総合科学教育科教授
石鍋 浩    港区立御成門中学校校長
圓月 勝博   同志社大学副学長・文学部教授、日本私立大学団体連合会(一般社団法人日本私立大学連盟教育研究委員会委員)
奥田 吾朗   大阪国際大学短期大学部理事長、日本私立短期大学協会副会長
尾関 直子   明治大学国際日本学部教授、大学英語教育学会副会長
川越 豊彦   荒川区立尾久八幡中学校校長、全日本中学校長会総務副部長
川嶋 太津夫  大阪大学高等教育・入試研究開発センター教授(センター長)、一般社団法人国立大学協会入試委員会専門委員
小林 真記   神田外語大学准教授、日本私立大学団体連合会(日本私立大学協会)
塩崎 修健   公益財団法人日本英語検定協会教育事業部部長
柴田 洋三郎  公立大学法人福岡県立大学学長、一般社団法人公立大学協会副会長
鈴木 厚人   公立大学法人岩手県立大学盛岡短期大学部学長、全国公立短期大学協会
田代 桂子   株式会社大和証券グループ本社 取締役兼専務執行役、公益社団法人経済同友会 教育問題委員会委員
多田 幸雄   株式会社双日総合研究所相談役、長崎大学経済学部客員教授
田原 正夫   公立大学法人首都大学東京 東京都立産業技術高等専門学校校長、全国公立高等専門学校協会副会長
根本 斉    国際教育交換協議会(CIEE)日本代表部事業統括本部長
長谷川 知子  一般社団法人日本経済団体連合会教育・CSR本部長
平方 邦行   工学院大学附属中学校・高等学校校長、日本私立中学高等学校連合会常任理事
松本 茂    立教大学グローバル教育センター長
三橋 峰夫   一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)R&D室室長
宮本 久也   東京都立西高等学校校長、全国高等学校長協会会長
村田 圭治   近畿大学工業高等専門学校校長、日本私立高等専門学校協会理事
安河内 哲也  一般財団法人実用英語推進機構代表理事
山﨑 昌樹   株式会社ベネッセホールディングス取締役・株式会社ベネッセコーポレーション副社長
山本 廣基   独立行政法人大学入試センター理事長
吉田 研作   上智大学言語教育研究センター教授

高校生物の重要語句512語のリスト

日本学術会議は、高校生物で学習すべき重要語句を512に絞りこみ、その結果を公表しました。これは、生物学が暗記科目にならないようにという狙いから、「覚えなくてはならない語」を減らし、その目安を示したものです。

教科書中ゴシック体などで重要であると指定される用語も増え続け、現行の主要教科書出版社が出版する高等学校教科書「生物」では、延べ2,000を超える数の用語が選ばれている。これは、理科の他の教科に比べて膨大に多い数字であり、生物学が暗記を求める学問であるという誤ったメッセージを若者に送っている。

大学入学者選抜においても、単なる知識の量や細かな知識の有無のみにより評価を行うことがないようにすることが要請されている。穴埋め問題で答えさせられる用語を減らし、また重要語として教えられていない用語については、試験問題の文中でも注をつけることによって理解を助けることができれば、受験のための高等学校生徒の負担も軽減され、暗記ではなく、生物学の面白さを学ぼうという気持ちをもってもらえるのではないか。
(高等学校の生物教育における重要用語の選定について 平成29年9月28日 日本学術会議 基礎生物学委員会・統合生物学委員会合同生物科学分科会 PDF

数を絞り込んだだけではなく、複数の呼称がある場合には「推奨」される語句も示しています。また、遺伝学用語として定着している「優性」,「劣性」という言葉が、日常語としての優劣との意味と混同される恐れがあることから、「顕性」(dominant)、「潜性」(recessive)と呼び替えることを提唱しています。

 

高等学校の生物教育で教え、学習して欲しい最重要語254語、重要語258語、併せて512語のリスト。

最重要語

高等学校の生物教育において、学習すべき主要な概念とのつながりが特に高い用語、254語。

日本語 英語 の順に表記

  1. 細胞 cell
  2. 単細胞生物 unicellular organism
  3. 多細胞生物 multicellular organism
  4. 核 nucleus
  5. 細胞質 cytoplasm
  6. 細胞膜 plasma membrane/cell membrane
  7. 呼吸 respiration
  8. 光合成 photosynthesis
  9. ミトコンドリア mitochondrion
  10. 葉緑体 chloroplast
  11. グルコース ブドウ糖 glucose
  12. 有機物 organic matter
  13. 代謝 metabolism
  14. エネルギー energy
  15. 酵素 enzyme
  16. 触媒 catalyst
  17. ATP ATP
  18. ADP ADP
  19. 遺伝 inheritance
  20. 遺伝子 gene
  21. DNA デオキシリボ核酸 DNA
  22. 塩基配列 nucleotide sequence
  23. 塩基対 base pair
  24. ヌクレオチド nucleotide
  25. 二重らせん double helix
  26. ゲノム genome
  27. DNA 複製 DNA replication
  28. 細胞周期 cell cycle
  29. 細胞分裂 cell division
  30. mRNA メッセンジャーRNA/伝令 RNA mRNA/messenger RNA
  31. RNA リボ核酸 RNA
  32. タンパク質 protein
  33. 転写 transcription
  34. 翻訳 translation
  35. 恒常性 homeostasis
  36. 血液 blood
  37. 赤血球 erythrocyte
  38. 白血球 leukocyte
  39. 血小板 platelet
  40. 血漿 血しょう blood plasma
  41. 血清 serum
  42. 解毒作用 detoxification
  43. 自律神経系 autonomic nervous system
  44. 交感神経系 sympathetic nervous system
  45. 副交感神経系 parasympathetic nervous system
  46. 内分泌系 endocrine system
  47. 内分泌腺 endocrine gland
  48. 脳下垂体 下垂体 pituitary gland
  49. 成長ホルモン growth hormone
  50. 受容体 receptor
  51. インスリン insulin
  52. ホルモン hormone
  53. 血糖 blood sugar
  54. 糖尿病 diabetes
  55. 免疫 immunity
  56. 抗原 antigen
  57. 抗体 antibody
  58. 免疫グロブリン immunoglobulin
  59. B 細胞 B cell
  60. T 細胞 T cell
  61. リンパ球 lymphocyte
  62. マクロファージ macrophage
  63. 食作用 phagocytosis
  64. ワクチン vaccine
  65. アレルギー allergy
  66. 植生 vegetation
  67. 遷移 succession
  68. 森林 forest
  69. 極相 climax
  70. バイオーム biome
  71. 優占種 dominant species
  72. 草原 grassland
  73. 荒原 砂漠 desert
  74. 生態系 ecosystem
  75. 物質循環 nutrient cycling
  76. エネルギーの流れ energy flow
  77. 生産者 producer
  78. 消費者 consumer
  79. 分解者 decomposer
  80. 食物網 food web 注)「食物連鎖」という語が使われる場合もあったが、「食物網」に統一することを推奨する。
  81. バイオマス 現存量 biomass
  82. 環境 environment
  83. 保全 conservation
  84. 細胞小器官 organelle
  85. 小胞体 endoplasmic reticulum
  86. ゴルジ体 Golgi apparatus
  87. リソソーム lysosome
  88. 液胞 vacuole
  89. 細胞骨格 cytoskeleton
  90. 微小管 microtubule
  91. アクチンフィラメント アクチン繊維 actin filament
  92. 細胞壁 cell wall
  93. リボソーム ribosome
  94. 核酸 nucleic acid
  95. 脂質 lipid
  96. リン脂質 phospholipid
  97. 炭水化物 carbohydrate
  98. 能動輸送 active transport
  99. アミノ酸 amino acid
  100. ペプチド peptide
  101. ポリペプチド polypeptide
  102. 立体構造 three‐dimensional structure
  103. 基質 substrate
  104. 基質特異性 substrate specificity
  105. 活性部位 active site
  106. 失活 inactivation
  107. 変性 denaturation
  108. 解糖 glycolysis 注)従来グルコース代謝の反応系としては「解糖系」という用語が用いられ、筋肉における嫌気的代 謝で乳酸を生じる過程を「解糖」と呼ぶ慣習があったが、本来 glycolysis は代謝経路全体を指す言葉なので、解糖で統一することを推奨する。
  109. 発酵 fermentation
  110. クエン酸回路 citric acid cycle
  111. 電子伝達系 electron transport system
  112. カルビン回路 Calvin cycle
  113. クロロフィル chlorophyll
  114. 窒素固定 nitrogen fixation
  115. 遺伝情報 genetic information
  116. コドン codon
  117. 突然変異 変異 mutation 注)本来この語は「突然」という意味を含まない概念を指しているので、「突然」をと り「変異」と呼ぶことが日本遺伝学会により提唱されている。ただ、variation の意味で用いる「変異」と混同す るおそれがあり、ここでは併記とする。「変異」とする場合には混同しないよう用法に注意。
  118. tRNA 転移 RNA tRNA/transfer RNA
  119. rRNA リボソーム RNA rRNA/ribosomal RNA
  120. 遺伝子発現 gene expression
  121. 転写因子 transcription factor
  122. プロモーター promoter
  123. 分化 differentiation
  124. 組換え DNA recombinant DNA
  125. 形質転換 transformation
  126. 生殖 繁殖 reproduction
  127. 有性生殖 sexual reproduction
  128. 減数分裂 meiosis
  129. クローン clone
  130. 染色体 chromosome
  131. 組換え recombination
  132. 連鎖 linkage
  133. アレル 対立遺伝子 allele 注)「対立遺伝子」という語が長年使われてきたが、「対立」も「遺伝子」も本来の概念に そぐわない。日本遺伝学会、日本人類遺伝学会の提案にしたがい、「アレル」を用いることを推奨する。
  134. 遺伝子座 locus
  135. 遺伝子型 遺伝型 genotype
  136. 表現型 phenotype
  137. 発生 development
  138. 細胞分化 cell differentiation
  139. 卵 egg
  140. 精子 sperm
  141. 受精 fertilization
  142. 受精卵 fertilized egg
  143. 卵割 cleavage
  144. 胚 embryo
  145. 胞胚 blastula
  146. 原腸胚 gastrula
  147. 誘導 induction
  148. 外胚葉 ectoderm
  149. 内胚葉 endoderm
  150. 中胚葉 mesoderm
  151. 形態形成 morphogenesis
  152. 幼生 larva
  153. 変態 metamorphosis
  154. 発生運命 fate
  155. 卵細胞 egg cell/ovum
  156. 精細胞 sperm cell/spermatid
  157. 花粉 pollen
  158. 種子 seed
  159. 胚乳 endosperm
  160. 形成層 cambium
  161. 神経 nerve
  162. 神経系 nervous system
  163. 神経細胞 neuron
  164. 脳 brain
  165. 大脳 cerebrum
  166. 中脳 midbrain
  167. 小脳 cerebellum
  168. 大脳皮質 cerebral cortex
  169. 新皮質 neocortex
  170. 灰白質 gray matter
  171. 白質 white matter
  172. 間脳 diencephalon
  173. 脳幹 brain stem
  174. 延髄 medulla oblongata
  175. 脊髄 spinal cord
  176. 中枢神経系 central nervous system
  177. 末梢神経系 peripheral nervous system
  178. 運動神経 motor nerve
  179. 感覚神経 sensory nerve
  180. シナプス synapse
  181. 軸索 axon
  182. 樹状突起 dendrite
  183. 興奮 excitation
  184. 活動電位 action potential
  185. 膜電位 membrane potential
  186. 伝導 conduction
  187. 伝達 transmission
  188. 神経伝達物質 neurotransmitter
  189. 視覚 vision
  190. 聴覚 hearing
  191. 味覚 taste
  192. 嗅覚 olfaction
  193. 網膜 retina
  194. 色覚 color vision
  195. 筋肉 muscle
  196. 骨格筋 skeletal muscle
  197. 行動 behavior
  198. 学習 learning
  199. フェロモン pheromone
  200. 植物ホルモン plant hormone
  201. オーキシン auxin
  202. エチレン ethylene
  203. ジベレリン gibberellin
  204. サイトカイニン cytokinin
  205. アブシシン酸 アブシジン酸 abscisic acid
  206. 光受容体 photoreceptor
  207. フィトクロム phytochrome
  208. 発芽 germination
  209. 屈性 tropism
  210. 休眠 dormancy
  211. 個体 individual
  212. 集団 個体群 population
  213. 群集 community
  214. 共生 symbiosis
  215. 競争 competition
  216. ニッチ 生態的地位 niche
  217. 生物多様性 biodiversity
  218. 攪乱 かく乱 disturbance
  219. 絶滅 extinction
  220. 化学進化 chemical evolution
  221. 原核生物 prokaryotes
  222. 真核生物 eukaryotes
  223. 古生代 Paleozoic
  224. 中生代 Mesozoic
  225. 新生代 Cenozoic
  226. 哺乳類 mammal
  227. 霊長類 primate
  228. ホモ・サピエンス Homo sapiens
  229. 裸子植物 gymnosperm
  230. 被子植物 angiosperm
  231. 進化 evolution
  232. 適応 adaptation
  233. 自然選択 natural selection
  234. 種分化 speciation
  235. 共進化 coevolution
  236. 変異 variation 注)mutation も変異と呼ばれることがあるので、用法に注意。variation の意味には、「多様性」、「変動」の語を用いることを日本遺伝学会は提案しているが、混乱を広げるおそれもあり、 ここでは併記しない。
  237. 遺伝的浮動 genetic drift
  238. 分子進化 molecular evolution
  239. 分類 classification
  240. 系統 lineage
  241. 系統分類 systematics
  242. 系統樹 phylogenetic tree
  243. 種 species
  244. 学名 scientific name
  245. ドメイン domain
  246. 界 kingdom
  247. 門 phylum
  248. アーキア Archaea
  249. 細菌 Bacteria
  250. 菌類 Fungi
  251. 脊椎動物 vertebrate
  252. 無脊椎動物 invertebrate
  253. 種子植物 Spermatophyta
  254. 藻類 algae

 

重要語

高等学校の生物教育において、学習すべき主要な概念とのつながりが高い用語、258語。

  1. 原核細胞 prokaryotic cell
  2. 真核細胞 eukaryotic cell
  3. 組織 tissue
  4. 器官 organ
  5. 光化学系 I photosystem I
  6. 光化学系 II photosystem II
  7. 炭素同化 炭酸同化/炭酸固定 carbon assimilation
  8. 細胞内共生 endosymbiosis
  9. アルコール発酵 alcohol fermentation
  10. 乳酸発酵 lactate fermentation
  11. NADH NADH
  12. NADPH NADPH
  13. リン酸 phosphate
  14. ピルビン酸 pyruvate
  15. デンプン starch
  16. 塩基 base
  17. 相補性 complementarity
  18. アデニン adenine
  19. グアニン guanine
  20. チミン thymine
  21. シトシン cytosine
  22. 分裂期 mitotic phase
  23. 間期 interphase
  24. 体細胞分裂 mitosis
  25. 形質 trait
  26. 発現 expression
  27. アミノ酸配列 amino acid sequence
  28. ウラシル uracil
  29. 体内環境 internal environment
  30. 循環系 circulatory system
  31. 体液 body fluid
  32. リンパ液 lymph
  33. ヘモグロビン hemoglobin
  34. 血液凝固 blood coagulation
  35. 血餅 血ぺい blood clot
  36. 胆汁 bile
  37. 集合管 collecting duct
  38. 糸球体 glomerulus
  39. 尿細管 細尿管 renal tubule
  40. ネフロン nephron
  41. 再吸収 reabsorption
  42. 尿素 urea
  43. 標的器官 target organ
  44. 視床下部 hypothalamus
  45. 甲状腺 thyroid
  46. アドレナリン adrenalin
  47. グルカゴン glucagon
  48. グリコーゲン glycogen
  49. 抗原抗体反応 antigen‐antibody reaction
  50. 体液性免疫 humoral immunity
  51. 細胞性免疫 cellular immunity
  52. 樹状細胞 dendritic cell
  53. 拒絶反応 rejection
  54. がん cancer
  55. 土壌 soil
  56. 二次遷移 secondary succession
  57. 生活形 life form
  58. 垂直分布 vertical distribution
  59. 水平分布 horizontal distribution
  60. 森林限界 forest line
  61. 植物相 flora
  62. 動物相 fauna
  63. 相観 physiognomy
  64. 炭素循環 carbon cycle
  65. 窒素循環 nitrogen cycle
  66. 純生産量 net production
  67. 総生産量 gross production
  68. 地球温暖化 global warming
  69. 富栄養化 eutrophication
  70. 外来生物 alien species
  71. サイトゾル 細胞質基質/細胞質ゾル cytosol
  72. 核膜 nuclear envelope
  73. 核小体 nucleolus
  74. 生体膜 biomembrane
  75. 繊毛 cilium
  76. 鞭毛 べん毛 flagellum
  77. ミオシン myosin
  78. 筋原繊維 myofibril
  79. 中心体 centrosome
  80. 細胞接着 cell adhesion
  81. 分泌 secretion
  82. チャネル channel
  83. ポンプ pump
  84. 輸送体 transporter
  85. イオンチャネル ion channel
  86. 受動輸送 passive transport
  87. ナトリウムポンプ sodium pump
  88. アクアポリン 水チャネル aquaporin
  89. セルロース cellulose
  90. 多糖 polysaccharide
  91. 脂肪 fat
  92. 脂肪酸 fatty acid
  93. 水素結合 hydrogen bond
  94. 糖 sugar 注)「糖質」とも呼ぶ。広義に「炭水化物」と同義に用いられることが多いが、単糖、オリゴ糖など、より限られた用法もあるので注意する。
  95. ヒストン histone
  96. ペプチド結合 peptide bond
  97. 一次構造 primary structure
  98. 二次構造 secondary structure
  99. 三次構造 tertiary structure
  100. 特異性 specificity
  101. 活性化エネルギー activation energy
  102. 生成物 product
  103. 最適pH optimum pH
  104. 最適温度 optimum temperature
  105. 補酵素 coenzyme  注)酵素の機能発現にかかわる因子として古くから使われてきた用語であるが、現在で は必ずしも適切な概念とは言えない。まだ一般に用いられているので残すが、歴史的な語である。酸化還元酵素 の NADH などは、現在では基質として扱われるのが一般的である。
  106. 脱窒 脱窒素 denitrification
  107. 窒素同化 nitrogen assimilation
  108. DNA ポリメラーゼ DNA polymerase
  109. RNA ポリメラーゼ RNA polymerase
  110. 遺伝暗号 genetic code
  111. イントロン intron
  112. エキソン exon
  113. 開始コドン start codon
  114. 終止コドン termination codon
  115. スプライシング splicing
  116. 挿入 insertion
  117. 欠失 deletion
  118. 置換 substitution
  119. DNA 修復 DNA repair
  120. 発現調節 expression regulation
  121. オペロン operon
  122. オペレーター operator
  123. リプレッサー repressor
  124. PCR PCR/polymerase chain reaction
  125. 制限酵素 restriction enzyme
  126. ベクター vector
  127. プラスミド plasmid
  128. 一倍体 単相 haploid
  129. 二倍体 複相 diploid
  130. 生殖細胞 germ cell
  131. 配偶子 gamete
  132. 接合 conjugation
  133. 相同染色体 homologous chromosome
  134. 無性生殖 asexual reproduction
  135. 常染色体 autosome
  136. 性染色体 sex chromosome
  137. X 染色体 X chromosome
  138. Y 染色体 Y chromosome
  139. ホモ接合体 homozygote
  140. ヘテロ接合体 heterozygote
  141. 優性 顕性 dominant
  142. 劣性 潜性 recessive  注)dominant と recessive。古くから使われてきた遺伝学用語であるが、前者が優れ、後 者が劣った性質という誤解を与えるため、大きな問題であると関連学会で議論されてきた。この度、日本遺伝学 会と日本人類遺伝学会が「顕性」、「潜性」と呼び替えることを提唱したのでここに併記する。一般に定着するま でには少し時間を要するのではないかと思われる。
  143. 初期発生 early development
  144. 器官形成 organogenesis
  145. 配偶子形成 gametogenesis
  146. オーガナイザー 形成体 organizer
  147. 原基 primordium/anlage
  148. 決定 determination
  149. 原口 blastopore
  150. 陥入 invagination
  151. 脊索 notochord
  152. 体節 segment/somite  注)2つの英語に同じ日本語が用いられているので注意。segment は,動物一般の頭尾軸に沿った分節 構造を指す言葉で、一方 somite は,脊椎動物の発生において、神経管の側の中胚葉が頭尾軸に沿って分節してできる構造を指す。
  153. 神経胚 neurula
  154. 神経管 neural tube
  155. 幹細胞 stem cell
  156. 多能性 pluripotency
  157. プログラム細胞死 programmed cell death
  158. アポトーシス apoptosis
  159. 胚珠 ovule
  160. 胚嚢 胚のう embryo sac
  161. 花粉管 pollen tube
  162. 柱頭 stigma
  163. 重複受精 double fertilization
  164. 胚軸 hypocotyl
  165. 茎頂分裂組織 shoot apical meristem
  166. 根端分裂組織 root meristem
  167. 刺激 stimulus
  168. シグナル伝達 情報伝達 signal transduction
  169. 受容器 receptor organ
  170. 効果器 effector organ
  171. 反射 reflex
  172. 桿体細胞 rod cell
  173. 錐体細胞 cone cell
  174. 水晶体 lens
  175. 盲斑 blind spot
  176. 海馬 hippocampus
  177. 筋収縮 muscle contraction
  178. 横紋筋 striated muscle
  179. アセチルコリン acetylcholine
  180. 平衡覚 static sense
  181. 静止電位 resting potential
  182. シナプス小胞 synaptic vesicle
  183. 走性 taxis
  184. 刷込み imprinting
  185. 渡り migration
  186. 条件づけ conditioning
  187. 光屈性 phototropism
  188. 光周性 photoperiodism
  189. 重力屈性 gravitropism
  190. 長日植物 long‐day plant
  191. 短日植物 short-day plant
  192. カルス callus
  193. 離層 abscission layer
  194. 共存 coexistence
  195. 生息場所 habitat
  196. 縄張り テリトリー territory
  197. 種内競争 intraspecific competition
  198. 種間競争 interspecific competition
  199. 群れ group
  200. 寄生 parasitism
  201. 捕食者 predator
  202. 被食者 prey
  203. 個体群密度 population density
  204. 生存曲線 survival curve
  205. 成長曲線 growth curve
  206. シアノバクテリア Cyanobacteria
  207. 魚類 fish
  208. 両生類 amphibian
  209. 爬虫類 は虫類 reptile
  210. 鳥類 bird
  211. 類人猿 anthropoid
  212. 大量絶滅 mass extinction
  213. オゾン層 ozone layer
  214. 遺伝子プール gene pool
  215. 遺伝子頻度 gene frequency
  216. 遺伝子重複 gene duplication
  217. 遺伝的変異 genetic variation
  218. 突然変異体 変異体 mutant 注)「変異体」もしばしば使われるが、最重要語で述べたように、「変異」 は mutation と variation の2通りの意味に使われているので注意。
  219. 倍数体 polyploid
  220. 生殖的隔離 reproductive isolation
  221. 地理的隔離 geographic isolation
  222. 適応度 fitness
  223. 適応放散 adaptive radiation
  224. 二名法 binomial nomenclature
  225. 分類群 taxon
  226. 綱 class
  227. 目 order
  228. 科 family
  229. 属 genus
  230. 脊索動物 Chordata
  231. 節足動物 Arthropoda
  232. 線形動物 Nematoda
  233. 軟体動物 Mollusca
  234. コケ植物 Bryophyte
  235. シダ植物 Pteridophyte
  236. 原生生物 Protista
  237. 酵母 yeast
  238. 胞子 spore
  239. ウイルス virus
  240. 心臓 heart
  241. 腎臓 kidney
  242. 肝臓 liver
  243. 膵臓 すい臓 pancreas
  244. 脾臓 ひ臓 spleen
  245. 胸腺 thymus
  246. 結合組織 connective tissue
  247. 上皮 epithelium
  248. 気孔 stoma
  249. 花 flower
  250. 葉 leaf
  251. 茎 stem
  252. 根 root
  253. 芽 bud
  254. 蒸散 transpiration
  255. 子房 ovary
  256. 維管束 vascular bundle
  257. 道管 vessel
  258. 篩管 師管 phloem

 

参考

  1. 高等学校の生物教育における 重要用語の選定について 平成29年(2017年)9月28日 日本学術会議 基礎生物学委員会・統合生物学委員会合同 生物科学分科会 PDF
  2. 日本学術会議(2017)高校生物用語 選定リスト(OpenDocument表計算ファイル)

 

報道

  1. 高校生物「重要用語」現行の4分の1へ厳選…日本学術会議 (resemom.jp 2017.9.28 Thu 19:15):”現行の主要教科書出版社が出版する高等学校「生物」の教科書では、のべ2,000を超える用語が重要であるとされている。これは、理科のほかの教科に比べて非常に多く、生物学が暗記を求める学問であるという誤解を生んでいる。また、生物科学や生命科学の方面に進むことを志望していながら、知識を詰め込む科目という認識から、生物学を敬遠して生物系学部・学科や医学部でも生物学を十分に学んでいない学生が入学してくることも珍しくないという。”

 

512語(日本語 英語 別名がある場合は併記)

細胞 cell 単細胞生物 unicellular organism 多細胞生物 multicellular organism 核 nucleus 細胞質 cytoplasm 細胞膜 plasma membrane/cell membrane 呼吸 respiration 光合成 photosynthesis ミトコンドリア mitochondrion 葉緑体 chloroplast グルコース ブドウ糖 glucose 有機物 organic matter 代謝 metabolism エネルギー energy 酵素 enzyme 触媒 catalyst ATP ATP ADP ADP 遺伝 inheritance 遺伝子 gene DNA デオキシリボ核酸 DNA 塩基配列 nucleotide sequence 塩基対 base pair ヌクレオチド nucleotide 二重らせん double helix ゲノム genome DNA 複製 DNA replication 細胞周期 cell cycle 細胞分裂 cell division mRNA メッセンジャーRNA/伝令 RNA mRNA/messenger RNA RNA リボ核酸 RNA タンパク質 protein 転写 transcription 翻訳 translation 恒常性 homeostasis 血液 blood 赤血球 erythrocyte 白血球 leukocyte 血小板 platelet 血漿 血しょう blood plasma 血清 serum 解毒作用 detoxification 自律神経系 autonomic nervous system 交感神経系 sympathetic nervous system 副交感神経系 parasympathetic nervous system 内分泌系 endocrine system 内分泌腺 endocrine gland 脳下垂体 下垂体 pituitary gland 成長ホルモン growth hormone 受容体 receptor インスリン insulin ホルモン hormone 血糖 blood sugar 糖尿病 diabetes 免疫 immunity 抗原 antigen 抗体 antibody 免疫グロブリン immunoglobulin B 細胞 B cellT 細胞 T cellリンパ球 lymphocyte マクロファージ macrophage 食作用 phagocytosis ワクチン vaccine アレルギー allergy 植生 vegetation 遷移 succession 森林 forest 極相 climax バイオーム biome 優占種 dominant species 草原 grassland 荒原 砂漠 desert 生態系 ecosystem 物質循環 nutrient cycling エネルギーの流れ energy flow 生産者 producer 消費者 consumer 分解者 decomposer 食物網 food web バイオマス 現存量 biomass 環境 environment 保全 conservation 細胞小器官 organelle 小胞体 endoplasmic reticulum ゴルジ体 Golgi apparatus リソソーム lysosome 液胞 vacuole 細胞骨格 cytoskeleton 微小管 microtubule アクチンフィラメント アクチン繊維 actin filament 細胞壁 cell wall リボソーム ribosome 核酸 nucleic acid 脂質 lipid リン脂質 phospholipid 炭水化物 carbohydrate 能動輸送 active transport アミノ酸 amino acid ペプチド peptide ポリペプチド polypeptide 立体構造 three‐dimensional structure 基質 substrate 基質特異性 substrate specificity 活性部位 active site 失活 inactivation 変性 denaturation 解糖 glycolysis 発酵 fermentation クエン酸回路 citric acid cycle 電子伝達系 electron transport system カルビン回路 Calvin cycle クロロフィル chlorophyll 窒素固定 nitrogen fixation 遺伝情報 genetic information コドン codon 突然変異 変異 mutation tRNA 転移 RNA tRNA/transfer RNA rRNA リボソーム RNA rRNA/ribosomal RNA 遺伝子発現 gene expression 転写因子 transcription factor プロモーター promoter 分化 differentiation 組換え DNA recombinant DNA 形質転換 transformation 生殖 繁殖 reproduction 有性生殖 sexual reproduction 減数分裂 meiosis クローン clone 染色体 chromosome 組換え recombination 連鎖 linkage アレル 対立遺伝子 allele 遺伝子座 locus 遺伝子型 遺伝型 genotype 表現型 phenotype 発生 development 細胞分化 cell differentiation 卵 egg 精子 sperm 受精 fertilization 受精卵 fertilized egg 卵割 cleavage 胚 embryo 胞胚 blastula 原腸胚 gastrula 誘導 induction 外胚葉 ectoderm 内胚葉 endoderm 中胚葉 mesoderm 形態形成 morphogenesis 幼生 larva 変態 metamorphosis 発生運命 fate 卵細胞 egg cell/ovum 精細胞 sperm cell/spermatid 花粉 pollen 種子 seed 胚乳 endosperm 形成層 cambium 神経 nerve 神経系 nervous system 神経細胞 neuron 脳 brain 大脳 cerebrum 中脳 midbrain 小脳 cerebellum 大脳皮質 cerebral cortex 新皮質 neocortex 灰白質 gray matter 白質 white matter 間脳 diencephalon 脳幹 brain stem 延髄 medulla oblongata 脊髄 spinal cord 中枢神経系 central nervous system 末梢神経系 peripheral nervous system 運動神経 motor nerve 感覚神経 sensory nerve シナプス synapse 軸索 axon 樹状突起 dendrite 興奮 excitation 活動電位 action potential 膜電位 membrane potential 伝導 conduction 伝達 transmission 神経伝達物質 neurotransmitter 視覚 vision 聴覚 hearing 味覚 taste 嗅覚 olfaction 網膜 retina 色覚 color vision 筋肉 muscle 骨格筋 skeletal muscle 行動 behavior 学習 learning フェロモン pheromone 植物ホルモン plant hormone オーキシン auxin エチレン ethylene ジベレリン gibberellin サイトカイニン cytokinin アブシシン酸 アブシジン酸 abscisic acid 光受容体 photoreceptor フィトクロム phytochrome 発芽 germination 屈性 tropism 休眠 dormancy 個体 individual 集団 個体群 population 群集 community 共生 symbiosis 競争 competition ニッチ 生態的地位 niche 生物多様性 biodiversity 攪乱 かく乱 disturbance 絶滅 extinction 化学進化 chemical evolution 原核生物 prokaryotes 真核生物 eukaryotes 古生代 Paleozoic 中生代 Mesozoic 新生代 Cenozoic哺乳類 mammal 霊長類 primate ホモ・サピエンス Homo sapiens 裸子植物 gymnosperm 被子植物 angiosperm 進化 evolution 適応 adaptation 自然選択 natural selection 種分化 speciation 共進化 coevolution 変異 variation 遺伝的浮動 genetic drift 分子進化 molecular evolution 分類 classification 系統 lineage 系統分類 systematics 系統樹 phylogenetic tree 種 species 学名 scientific name ドメイン domain 界 kingdom 門 phylum アーキア Archaea 細菌 Bacteria 菌類 Fungi 脊椎動物 vertebrate 無脊椎動物 invertebrate 種子植物 Spermatophyta 藻類 algae 原核細胞 prokaryotic cell 真核細胞 eukaryotic cell 組織 tissue 器官 organ 光化学系 I photosystem I 光化学系 II photosystem II 炭素同化 炭酸同化/炭酸固定 carbon assimilation 細胞内共生 endosymbiosis アルコール発酵 alcohol fermentation 乳酸発酵 lactate fermentation NADH NADH NADPH NADPH リン酸 phosphate ピルビン酸 pyruvate デンプン starch 塩基 base 相補性 complementarity アデニン adenine グアニン guanine チミン thymine シトシン cytosine 分裂期 mitotic phase 間期 interphase 体細胞分裂 mitosis 形質 trait 発現 expression アミノ酸配列 amino acid sequence ウラシル uracil 体内環境 internal environment 循環系 circulatory system 体液 body fluid リンパ液 lymph ヘモグロビン hemoglobin 血液凝固 blood coagulation 血餅 血ぺい blood clot 胆汁 bile 集合管 collecting duct 糸球体 glomerulus 尿細管 細尿管 renal tubule ネフロン nephron 再吸収 reabsorption 尿素 urea 標的器官 target organ 視床下部 hypothalamus 甲状腺 thyroid アドレナリン adrenalin グルカゴン glucagon グリコーゲン glycogen 抗原抗体反応 antigen‐antibody reaction 体液性免疫 humoral immunity 細胞性免疫 cellular immunity 樹状細胞 dendritic cell 拒絶反応 rejectionがん cancer 土壌 soil 二次遷移 secondary succession 生活形 life form垂直分布 vertical distribution 水平分布 horizontal distribution 森林限界 forest line 植物相 flora 動物相 fauna 相観 physiognomy 炭素循環 carbon cycle 窒素循環 nitrogen cycle 純生産量 net production 総生産量 gross production 地球温暖化 global warming 富栄養化 eutrophication 外来生物 alien species サイトゾル 細胞質基質/細胞質ゾル cytosol 核膜 nuclear envelope 核小体 nucleolus 生体膜 biomembrane 繊毛 cilium 鞭毛 べん毛 flagellumミオシン myosin 筋原繊維 myofibril 中心体 centrosome 細胞接着 cell adhesion 分泌 secretion チャネル channel ポンプ pump 輸送体 transporter イオンチャネル ion channel 受動輸送 passive transport ナトリウムポンプ sodium pump アクアポリン 水チャネル aquaporin セルロース cellulose 多糖 polysaccharide 脂肪 fat 脂肪酸 fatty acid 水素結合 hydrogen bond 糖 sugar ヒストン histone ペプチド結合 peptide bond 一次構造 primary structure 二次構造 secondary structure 三次構造 tertiary structure 特異性 specificity 活性化エネルギー activation energy 生成物 produc t最適pH optimum pH 最適温度 optimum temperature 補酵素 coenzyme 脱窒 脱窒素 denitrification 窒素同化 nitrogen assimilation DNA ポリメラーゼ DNA polymeraseRNA ポリメラーゼ RNA polymerase 遺伝暗号 genetic code イントロン intron エキソン exon 開始コドン start codon 終止コドン termination codon スプライシング splicing 挿入 insertion 欠失 deletion 置換 substitution DNA 修復 DNA repair 発現調節 expression regulation オペロン operon オペレーター operator リプレッサー repressor PCR PCR/polymerase chain reaction 制限酵素 restriction enzyme ベクター vector プラスミド plasmid 一倍体 単相 haploid 二倍体 複相 diploid 生殖細胞 germ cell 配偶子 gamete 接合 conjugation 相同染色体 homologous chromosome 無性生殖 asexual reproduction 常染色体 autosome 性染色体 sex chromosomeX 染色体 X chromosomeY 染色体 Y chromosome ホモ接合体 homozygote ヘテロ接合体 heterozygote 優性 顕性 dominant劣性 潜性 recessive 初期発生 early development 器官形成 organogenesis 配偶子形成 gametogenesis オーガナイザー 形成体 organizer 原基 primordium/anlage 決定 determination 原口 blastopore 陥入 invagination 脊索 notochord 体節 segment/somite 神経胚 neurula 神経管 neural tube 幹細胞 stem cell 多能性 pluripotency プログラム細胞死 programmed cell death アポトーシス apoptosis 胚珠 ovule 胚嚢 胚のう embryo sac 花粉管 pollen tube 柱頭 stigma 重複受精 double fertilization 胚軸 hypocotyl 茎頂分裂組織 shoot apical meristem 根端分裂組織 root meristem 刺激 stimulus シグナル伝達 情報伝達 signal transduction 受容器 receptor organ 効果器 effector organ 反射 reflex 桿体細胞 rod cell 錐体細胞 cone cell 水晶体 lens 盲斑 blind spot 海馬 hippocampus 筋収縮 muscle contraction横紋筋 striated muscle アセチルコリン acetylcholine 平衡覚 static sense 静止電位 resting potential ナプス小胞 synaptic vesicle 走性 taxis 刷込み imprinting 渡り migration 条件づけ conditioning 光屈性 phototropism 光周性 photoperiodism 重力屈性 gravitropism 長日植物 long‐day plant 短日植物 short-day plant カルス callus 離層 abscission layer 共存 coexistence 生息場所 habitat 縄張り テリトリー territory 種内競争 intraspecific competition 種間競争 interspecific competition 群れ group寄生 parasitism 捕食者 predator 被食者 prey 個体群密度 population density 生存曲線 survival curve 成長曲線 growth curve シアノバクテリア Cyanobacteria 魚類 fish 両生類 amphibian 爬虫類 は虫類 reptile 鳥類 bird 類人猿 anthropoid 大量絶滅 mass extinction オゾン層 ozone layer 遺伝子プール gene pool 遺伝子頻度 gene frequency 遺伝子重複 gene duplication 遺伝的変異 genetic variation 突然変異体 変異体 mutant 倍数体 polyploid 生殖的隔離 reproductive isolation 地理的隔離 geographic isolation 適応度 fitness 適応放散 adaptive radiation 二名法 binomial nomenclature 分類群 taxon 綱 class 目 order 科 family 属 genus 脊索動物 Chordata 節足動物 Arthropoda 線形動物 Nematoda 軟体動物 Mollusca コケ植物 Bryophyte シダ植物 Pteridophyte 原生生物 Protista 酵母 yeast 胞子 spore ウイルス virus 心臓 heart 腎臓 kidney 肝臓 liver 膵臓 すい臓 pancreas 脾臓 ひ臓 spleen 胸腺 thymus 結合組織 connective tissue 上皮 epithelium 気孔 stoma 花 flower 葉 leaf 茎 stem 根 root 芽 bud 蒸散 transpiration 子房 ovary 維管束 vascular bundle 道管 vessel 篩管 師管 phloem

2017年度ノーベル化学賞はクライオ電顕に

2017年度ノーベル化学賞は、クライオ電子顕微鏡法の開発に貢献したジャック・デュボシェ(Jacques Dubochet)博士(75)、ヨアヒム・フランク(Joachim Frank)博士(77)、リチャード・ヘンダーソン博士(Richard Henderson)(72)に贈られました。

クライオ電子顕微鏡法の開発の歴史や3人のノーベル賞受賞者の貢献が解説された、ノーベル財団が公表した文書。
Scientific Background on the Nobel Prize in Chemistry 2017
THE DEVELOPMENT OF CRYO-ELECTRON MICROSCOPY (PDF nobelprize.org)

 

クライオ電顕の現状を語るリチャード・ヘンダーソン博士。

Single-Particle Electron Microscopy – Richard Henderson (14分31秒)

5:52- 単粒子クライオ電子顕微鏡法は非常に一般的になってきています。今まで全く何も知らなかった人々にも広まっています。いまどきの状況はこんな感じです。誰かがこう言います。「自分はこのたんぱく質の構造を決めようとして10年間も試みてきたんだ。精製して、分析して、結晶化しようとして努力したが実らなかった。自分の場合、結晶化してくれないのか、あるいは、結晶化しても整列が不十分で構造が決められない。」それから、こう言うのです。「クライオ電子顕微鏡を試してみるべきかもしれないな。」 そう言って、非常に微量の試料、わずか数滴をグリッドに載せ、デュボシェ法によりブロットし、急速に凍結し、電子顕微鏡にセットし、画像を取得します。いまではそれは、新しい検出器でデジタル化されています。それから構造を計算します。そうすると数日以内にはもう構造が決まってしまうのです。他の方法を試して10年間を費やした、たんぱく質の構造がです。
(上の動画のトランスクリプト http://serious-science.org/single-particle-electron-microscopy-8637

 

ノーベル賞受賞直後にインタビューに答えるヨアヒム・フランク博士。

2017 Nobel Prize in Chemistry Awarded to Prof. Joachim Frank

 

ノーベル賞受賞が決まって喜びの表情のジャック・デュボシェ博士(フランス語)。

Le Suisse Jacques Dubochet gagne le Prix Nobel de Chimie
https://youtu.be/xUyS6RT0X5E

ノーベル賞受賞直後にインタビューに答えるジャック・デュボシェ博士(フランス語)。
Le Suisse Jacques Dubochet gagne le Prix Nobel de Chimie

 

参考

  1. Press Release: The Nobel Prize in Chemistry 2017 (nobelprize.org 4 October 2017)

2017年度ノーベル化学賞報道

  1. <ノーベル化学賞>欧米の3氏に 高解像の電子顕微鏡 (毎日新聞 10/4(水) 19:00配信) スウェーデン王立科学アカデミーは4日、2017年のノーベル化学賞を、生体内の分子を極低温にして高解像度で観察する「クライオ電子顕微鏡」を開発した欧米の3氏に贈ると発表した。…  受賞が決まったのはスイス・ローザンヌ大のジャック・デュボシェ名誉教授(75)、米コロンビア大のヨアヒム・フランク教授(77)、英MRC分子生物学研究所プログラムリーダーのリチャード・ヘンダーソン博士(72)。

クライオ電子顕微鏡法(Cryo-EM)

クライオ電顕とは?

クライオ電子顕微鏡法は、生体内の構造を染色することなく生のまま凍らせて観察する方法です。従って、「クライオ電子顕微鏡」という顕微鏡があるわけではなく、高性能な透過型電子顕微鏡(Transmission electron microscopy, 通常 TEMと略称されます)に、低温(-160 ~ -270度) のまま観察出来る装備(クライオホルダーや、試料汚染防止装置)を備えたものです。(クライオ電子顕微鏡法 KIKKAWA LAB)

クライオ電顕の手順

A 3 minute introduction to CryoEM 3分で学ぶクライオ電顕の手順(音声無し)

クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析法の原理の解説

Part 6: SPA Reconstruction Basic Workflow – G. Jensen(caltech 2015/02/05 に公開 31分52秒) 単粒子解析法(single particle analysis, SPA)の基本的なワークフロー

Part 6: Single Particle Analysis – G. Jensen(caltech 2015/02/05 に公開 21分58秒)単粒子解析法

クライオ電顕に関する講義

Yifan Cheng (UCSF & HHMI) 1: Single Particle Cryo-EM (34分06秒)

12:24- クライオ電顕のサンプル調整法、原理

 

クライオ電顕に関するセミナー動画

Lecture “Cryo-Electron Microscopy Method in Structure Biology” by Ping Zhu in SibFU

 

クライオ電顕のサンプル調整法

NRAMM/SEMC CryoEM Grid Preparation Workshop(NRAMM SEMC 2017/05/05 に公開)

40:32- Electron cryomicroscopy of membrane proteins (膜タンパク質のクライオ電子顕微鏡法)John Rubinstein

 

  1. 高分子の3次元再構成のための試料調製のプライマーおよび高品質データ収集:クライオ電子顕微鏡ののいいことといけないことをやる(JoVE)

 

クライオ電顕データの解析方法

Workshop on Computational Methods for CryoEM

 

参考

  1. 【速報】2017年ノーベル化学賞は「クライオ電子顕微鏡の開発」に! (Chem-Station 2017/10/4)
  2. クライオEM (GATAN)
  3. National Resource for Automated Molecular Microscopy (NRAMM)

平成29年度CREST 新規採択課題が発表される

平成29年度 戦略的創造研究推進事業(CREST)の新規研究課題がJST CRESTのウェブサイトにて発表されました。

研究領域

閲覧の便宜を図るため、PDFをHTML化して、以下に転載します。

目次

戦略目標:「実験とデータ科学等の融合による革新的材料開発手法の構築」 研究領域:「実験と理論・計算・データ科学を融合した材料開発の革新」
研究総括:細野 秀雄(東京工業大学 科学技術創成研究院 教授)

       氏名

所属機関

役職

課題名

宇佐美 徳隆

名古屋大学 大学院工学研究科

教授

多結晶材料情報学による一般粒界物性理論の 確立とスマートシリコンインゴットの創製

大場 史康

東京工業大学 科学技術創成研究院

教授

データ駆動型材料探索に立脚した新規半導 体・誘電体の加速的開拓

清水 研一

北海道大学 触媒科学研究所

教授

触媒インフォマティクスの創成のための実 験・理論・データ科学研究

中嶋 健

東京工業大学 物質理工学院

教授

熱可塑性エラストマーにおける動的ネットワ ークのトポロジー制御

水上 成美

東北大学 材料科学高等研究所

教授

計算科学を用いた磁気抵抗スイッチ素子基盤 材料の創出

<総評> 研究総括:細野 秀雄(東京工業大学 科学技術創成研究院 教授)
日本の強い製造業を支えてきた材料研究の強さが失われつつあります。また、米国で始まったMaterials Genomeに代表される新しい研究手法が欧米や中国で急速に進展しています。本研究領域では、 これらを背景に強い実験とデータ科学や物性理論や数学などを横串として駆使した、日本らしい新しい材料研 究の手法の確立を図るのが目標です。具体的には、世界に勝てる新しい材料研究のやり方を、重要性の高い材 料の開発に挑戦することで、ケーススタディとして社会に提示することを目指しています。

本研究領域は今年度の発足で、公募情報公開から締切までの準備期間が限られていたにもかかわらず、幅広 い材料・物質分野から60件の応募を頂きました。
選考にあたっては、公募要領や説明会で示した次の5つの観点に注目し、提案の評価を行いました。
1.これまでに無い新しい材料開発手法の提案となっているか
2.研究のアウトプットである、重要な「材料」が具体的に明記されているか
3.物性理論の裏付けのある革新的な計算科学的手法やデータ科学的手法を用いた提案となっているか
4.チーム体制の独自性と強みについて(特に実験研究者)、明記されているか
5.研究代表者が次世代の材料開発を担う人材として適切であるか

選考は12名の領域アドバイザーの協力を得ながら、厳正かつ公平に進め、12件を面接選考の対象とし、 その中から革新的な材料開発手法の構築が期待される5件の提案を採択しました。今回の選考では、分野別に 件数を決めずにより優れた提案を採択するという方針を採りました。その結果、採択されたテーマはスピント ロニクス、半導体・誘電体、触媒、結晶成長、高分子に分類されます。

選考を終えた印象としては、第一に気鋭の研究者からの従来の材料研究とは大いに異なるチーム編成での提 案が多数に及んだことです。採択に至らなかった提案の中にも、これまでの材料開発研究では殆どみられなか ったチーム編成での興味深い研究提案が数多くあり、今年度提示された戦略目標の重要性をあらためて認識し ました。一方で、学術的には重要で興味深いものの、基礎的なレベルの物質研究にとどまっている提案は、本 研究領域の趣旨に合致しないので、残念ながら不採択としました。第二に、初年度であったためかデータ科学 や物性理論などとの連携が形式的で、有機的に連携しブレークスルーを狙うという具体的な提案が少なかった ことです。すなわち、データ科学などで分析した結果を実験にフィードバックし、独自のアプローチを行うこ とで材料研究者の本来の腕を試したい、という強い意欲が伝わってくる提案がもっと欲しかったということです。 本研究領域は平成30年度、31年度も公募を予定しているので、リスキーであっても成功すれば、世界をリードできる材料創製をターゲットとした意欲的な提案を期待します。

戦略目標:「材料研究をはじめとする最先端研究における計測技術と高度情報処理の融合 研究領域:「計測技術と高度情報処理の融合によるインテリジェント計測・解析手法の開発と応用」 研究総括:雨宮 慶幸(東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授)
副研究総括:北川 源四郎(明治大学 先端数理科学インスティチュート 所員)

       氏名

所属機関

役職

課題名

岡田 真人

東京大学 大学院新領域創成科学研究科

教授

ベイズ推論とスパースモデリングによる計測 と情報の融合

高田 彰二

京都大学 大学院理学研究科

教授

高速原子間力顕微鏡 1 分子計測のデータ同化に よる生体分子 4 次元構造解析法の開発

平田 直

東京大学 地震研究所

教授

次世代地震計測と最先端ベイズ統計学との融 合によるインテリジェント地震波動解析

向川 康博

奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科

教授

多元光情報の符号化計測と高次元化処理の協 調設計

矢代 航

東北大学 多元物質科学研究所

准教授

超圧縮センシングによるミリ秒 X 線トモグラフ ィ法の開発

<総評> 研究総括:雨宮 慶幸(東京大学 大学院新領域創成科学研究科 教授)
本研究領域は、計測・解析技術の深化による新たな科学の開拓や社会的課題の解決のために、多様な計測・ 解析技術に最先端の情報科学・統計数理の研究を高度に融合させることによって、インテリジェント計測・解 析手法の開発とその応用を目指します。

本研究領域は平成28年度に発足し、今回は第2回目となる募集でした。応募説明会 では、「これまでの計測 技術の高度化・高分解能化だけでは超えることが困難な計測限界(課題)を、高度情報処理(情報科学・統計 数理)との融合により突破(問題の解決)して、新たな物理量・物理状態・潜在要因を検出することを可能に し、物質・材料をはじめ、生命・医療・創薬、資源・エネルギー、地球・宇宙の広い分野にわたる出口で、イ ンパクトのある研究成果に繋がるテーマを期待している」ことを説明しました。本研究領域の情報は下記のU RLに掲載しています。
http://www.jst.go.jp/kisoken/crest/research_area/ongoing/bunyah28-3.html

書類選考および面接選考では、下記の観点で評価を実施しました。
① 新たに捉えようとする計測対象が具体的であり、具体的にどのような計測限界を突破しようとしている のか。また、それにより、どのようなインパクトのある研究成果が生まれるのか。
② 計測技術と情報科学の研究者が、各々高いレベルで緊密な協力関係を築いて融合研究を進める状況が整 っているか。

そして、総計67件の応募について、14名の領域アドバイザーと4名の外部評価委員の協力を得ながら厳 正かつ公平に書類選考を行い15件の面接課題を選び、その中から意欲的な提案を5件(融合アプローチ3件、 情報アプローチ2件)採択することができました。採択課題は昨年の6件と併せて11件になります。その分 野は材料、生命、医療、地球物理など広範であり、これだけ幅の広い課題の採択は学際的な本研究領域ならで はであり、計測と情報の融合を中心軸において、更には、さきがけの研究課題との情報交換もより密にして、 本複合領域全体の研究を推進して行きたいと思います。

書類選考や面接選考に至らなかった研究提案の中にも、研究レベルが高く、挑戦的な提案が数多くありま した。研究のビジョン(具体的な計測限界の突破)や融合の度合いを深化させて、再挑戦されることを期待し ています。

戦略目標:「量子状態の高度制御による新たな物性・情報科学フロンティアの開拓」 研究領域:「量子状態の高度な制御に基づく革新的量子技術基盤の創出」
研究総括:荒川 泰彦 (東京大学 生産技術研究所 教授・光電子融合研究センター長)

        氏名

所属機関

役職

課題名

青木 隆朗

早稲田大学 理工学術院

教授

スケーラブルな光学的量子計算に向けた超 低損失ナノファイバー共振器 QED 系の開発

神成 文彦

慶應義塾大学 理工学部

教授

波長分割多重プログラマブル大規模量子シ ミュレータの研究

小坂 英男

横浜国立大学 大学院工学研究科

教授

ダイヤモンド量子セキュリティ

齊藤 志郎

日本電信電話(株)

NTT 物性科学基礎研究所

主幹研究員・特 別研究員

超伝導量子ビットを用いた極限量子センシ

ング

仙場 浩一

情報通信研究機構

未来 ICT 研究所

上席研究員

超伝導量子メタマテリアルの創成と制御

田中 歌子

大阪大学 大学院基礎工学研究科

講師

オンチップ・イオントラップによる量子シ ステム集積化

田中 雅明

東京大学 大学院工学系研究科

教授

強磁性量子ヘテロ構造による物性機能の創 出と不揮発・低消費電力スピンデバイスへ の応用

<総評> 研究総括:荒川 泰彦(東京大学 生産技術研究所 教授・光電子融合研究センター長) 本領域は、量子状態制御の物理と機能の探究、新たな量子情報処理、ならびに従来性能を凌駕する量子素子・
システム機能の実現を目指し、このたび2年目の研究課題の募集と採択を実施しました。募集は、昨年同様、 本領域の2本柱である“量子状態制御の物理の探究とその新しい源流の創出を計る「新しい源流の創出」”と、 “将来の社会・産業イノベーションを牽引する量子技術の実装に向けた「革新的システム機能の創成」”を基本 的な枠組として行いました。特に、本年度は、これまでの研究分野(量子計算、量子通信、量子計測)に加え、 それらの枠を超えた量子技術の開拓とその応用展開を目指す「新量子技術」の提案も期待しました。

本年度の募集では、光子、原子・分子、半導体、磁性体、超伝導体、生体分子など、実に様々な系の量子状 態制御・システムに関する提案が29件ありました。10人の領域アドバイザーの先生方と厳正なる書類なら びに面接選考を実施し、計7件の提案を採択しました。採択にあたっては、提案内容の学術的価値のみならず、 研究の独創性と提案者の熱意、ならびに提案が量子技術として将来的に社会的に実装できるかどうかについて も評価しました。結果として、量子計算、量子通信、量子計測、新量子技術の各分野の課題をバランス良く採 択することができました。研究対象となる量子系も、イオン、NV センター、超伝導体、光量子、磁性体など多 様であり、昨年度採択した課題と合わせて、領域全体として分野バランスと物理的多様性を兼ね備えた研究ポ ートフォリオを構築することができました。今回採択した課題が量子状態の制御の科学に新風を吹き込み、本 領域を学術的に豊かで技術的革新性にも富み、社会的に意義深いものとすることを期待します。

今回採択に至らなかった提案にも優れたものが数多くありました。量子状態制御の科学は新しい分野であり、その研究はこれまでに採択された課題の分野・内容に限定されるものではありません。今年度ご応募頂いて残 念ながら採択されなかった方々、そして今年度応募いただかなかった方々も来年度はふるって優れた研究提案 を本領域にいただければ幸いです。

量子状態制御の科学は日々進展する分野であり、今後科学技術・社会に大きなインパクトを与える可能性を 秘めています。量子状態制御の新しい物理の探求と量子技術の実装に向けた革新的システム機能の創成を通じ て、科学技術と社会の発展に貢献できるよう本研究領域を運営して行く所存です。

戦略目標:「新たな光機能や光物性の発現・利活用による次世代フォトニクスの開拓」 研究領域:「新たな光機能や光物性の発現・利活用を基軸とする次世代フォトニクスの基盤技術」
研究総括:北山 研一 (光産業創成大学院大学 特任教授)

          氏名

所属機関

役職

課題名

石田 康博

理化学研究所 創発物性科学研究センター

チームリ ーダー

殆どが水よりなる動的フォトニック結晶の開発 と応用

成瀬 誠

情報通信研究機構 経営企画部

プランニ ングマネ ージャー

ナノ光学と光カオスを用いた超高速意思決定メ カニズムの創成

野田 進

京都大学 大学院工学研究科

教授

変調フォトニック結晶レーザーによる 2 次元ビ ーム走査技術の開発

福田 大治

産業技術総合研究所 計量標準総合センター

研究グル ープ長

単一光子スペクトル計測によるイメージング技 術開発と細胞機能ヴィジュアライザの創成

藤 貴夫

自然科学研究機構 分子科学研究所

准教授

超短赤外光パルス光源を用いた顕微イメージン グ装置の開発と生命科学への応用

<総評> 研究総括:北山 研一 (光産業創成大学院大学 特任教授)
本研究領域では、応募される提案は次世代フォトニクスに関わる基礎的な学理の創造だけではなく、成果が 将来の社会・産業ニーズに応える「破壊的イノベーション」の創造に貢献できるものでなければならないこと を強調し、募集説明会において説明して参りました。また本研究領域が、ナノスケール領域における微細光加 工・計測技術開発、有機物や未知の半導体等の新物質・機能創成、バイオフォトニクス分野のセンシング・イ メージング手法の高度化、プラズモンなどの電子状態の観察手法やそのデバイス応用、アト秒領域の時空間計 測・制御技術、レーザ冷却、コヒーレント光通信におけるシャノン限界の実現など多岐にわたることを示し、 領域の趣旨に合致する提案を募りました。

さて最終回(3回目)となるH29年度の公募では、昨年度よりも多い57件の応募をいただきました。11名の領域アドバイザーとともに公平かつ厳正に書類選考し、13件の面接課題に絞り込み、最終的に単一光 子分光素子開発、赤外超短パルス光源開発、レーザー光の高速ビームステアリング技術開発、新たなフォトニ ック結晶材料、超高速意思決定に関する5件を採択しました。結果として競争率は3年連続して10倍(H27年度は16倍超)を越える難関となりました。選考に当たっては新規性や独創性、チーム編成、成果が近い 将来もたらす社会的インパクトを勘案し、さらには基礎研究と実用化の間に横たわる「死の谷」を越える道筋 と覚悟が示されている提案を厳選しました。

採択されなかった提案の中にも、目標が達成されれば環境問題、バイオ・医療などの身近な問題の解決につ ながる実用上重要な提案もありました。しかしながら、既存技術に対する優位性が明確ではない、期待される 社会へのインパクトが描き切れていないなどの理由により採択には至りませんでした。 今年度採択した5課題を含む16件の研究課題により、他の研究領域との連携を推進すると共に、世界の第一 線の研究グループとの交流を通じ、世界をリードする国際的共同研究体制の構築を目指します。これらの活動 は順次ホームページ等で報告していきますので、引き続き関心を持っていただければ幸いです。

戦略目標:「多様な天然炭素資源を活用する革新的触媒の創製」 研究領域:「多様な天然炭素資源の活用に資する革新的触媒と創出技術」
研究総括:上田 渉(神奈川大学 工学部物質生命化学科 教授)

        氏名

所属機関

役職

課題名

片田 直伸

鳥取大学 大学院工学研究科

教授

メタンによる直接メチル化触媒技術の創出

高橋 啓介

物質・材料研究機構 統合型材料開発・情報基盤部門

研究員

実験・計算・データ科学の統合によるメタン変 換触媒の探索・発見と反応機構の解明・制御

松村 晶

九州大学 大学院工学研究院

教授

原子分解能その場観察解析に基づく触媒機能 の原理解明と革新的触媒創製

山下 誠

名古屋大学 大学院工学研究科

教授

超臨界メタンを基質兼媒質とした均一系・不均 一系触媒プロセスの開発

<総評> 研究総括:上田 渉(神奈川大学 工学部物質生命化学科 教授)
本研究領域は、多様な天然炭素資源をバランスよく活用できる将来の産業基盤の確立を目標に、その根幹をなすメタンをはじめとするアルカンガス資源を従来にない形で有用な化成品・エネルギーに変換するための革 新的触媒の創出を目的にしています。この目的のもと、2チームによる酵素系触媒研究、1チームによる錯体 系触媒研究、そして4チームによる固体系触媒研究、1チームによる計算化学の視点から本研究領域とさきが け領域にまたがり、各研究チームを支援する研究がすでに進行しており、革新的な触媒創出をめざした研究が 活発になされ、組織展開を期した体制を敷いています。

本年度にあたっては、本領域課題であるメタン利用触媒研究の拡充をさらに図りつつも、触媒機能あるいは 触媒物質自体の創出方法論の開発を指向した研究、特異なメタン反応場を与える新規な反応システム研究、ま たマテリアルズインフォマティクスを展開するなどして触媒インフォマティクスを構築し、新規触媒物質を創 出する研究、さらに環境 TEM や放射光などを用いたその場観察計測をベースにして、実触媒に近い環境下での 触媒機能のダイナミズムを理解、高度解析・予測することを主題にした革新的触媒を連携研究的に創出する研 究などを推進する方針のもと、研究提案を募集しました。このような中、本年度は28件の応募があり、いず れもメタン利用触媒技術開発への研究提案者の強い熱意と情熱を基盤にし、様々な角度からの飛躍的発想と挑 戦的創造を示したすばらしい研究提案がありました。応募された皆様に感謝いたします。

触媒分野を中心とした領域アドバイザー12名の協力を得て、これらの応募課題の選考を厳正かつ公正に進 め、4件の研究提案を採択しました。1つは固体系触媒研究で、ゼオライト物質に革新をもたらす物質研究と メタン活性化研究を実施するもので、メタン利用の化学を考える中で欠くことのできないゼオライト物質の新 展開を期すものです。物質研究のターゲットを限定した上記提案とは対極に、ハイスループット式触媒反応の ビッグデータ収集からなる触媒インフォマティクス構築により新規メタン選択酸化触媒を生み出す取り組み も採択しました。さらに、メタン超臨界というメタンが反応基質でもあり溶媒でもある特殊場を利用した反応 システムの応用基盤を構築する課題、および実触媒反応環境下での固体触媒の作用現場をみるオペランド分析 システムを構築・実施する課題を採択しました。特に後半2件はこれまで採択した課題すべてと連携し、研究 の新展開を図ることができるものと期待しています。

本研究領域の募集は今年度で終了となりますが、触媒革新への着実な道筋として必要な物質科学、生体化学、 物質情報科学、高度計算分析化学の参画が成立し、メタン反応のための触媒化学の学術と技術に革新をもたらす本格的な研究・連携体制ができたと考えています。これよりメタン利用革新的触媒創出を導く戦略的かつ挑 戦的な研究が本格スタートしますので、社会基盤の発展に貢献していけるようこの研究領域を運営していく所 存です。

戦略目標:「細胞外微粒子により惹起される生体応答の機序解明と制御」 研究領域:「細胞外微粒子に起因する生命現象の解明とその制御に向けた基盤技術の創出」 研究総括:馬場 嘉信(名古屋大学 大学院工学研究科 教授)

        氏名

所属機関

役職

課題名

秋田 英万

千葉大学 大学院薬学研究院

教授

リンパシステム内ナノ粒子動態・コミュニケー ションの包括的制御と創薬基盤開発

秋吉 一成

京都大学 大学院工学研究科

教授

糖鎖を基軸とするエクソソームの多様性解析と 生体応答・制御のための基盤研究

澤田 誠

名古屋大学 環境医学研究所

教授

シグナルペプチド:細胞外微粒子機能の新規マ ーカー

福田 光則

東北大学 大学院生命科学研究科

教授

細胞外小胞の形成・分泌とその異質性を生み出 す分子機構の解明 ~人工細胞外小胞への展開

山下 潤

京都大学 iPS 細胞研究所

教授

分化再生と生体恒常性を制御するエクソソーム の新しい細胞同調機能の解明とナノ粒子による 生体機能制御への応用

吉森 保

大阪大学 大学院生命機能研究科

教授

オートファジーによる細胞外微粒子応答と形成

<総評> 研究総括:馬場 嘉信(名古屋大学 大学院工学研究科 教授) 本研究領域は、細胞外微粒子を対象として、それに起因する生命現象の解明及びその制御に向けた基盤技術の創出を目指し本年度より発足しました。細胞外微粒子は、環境中から生体内に取り込まれる外因性微粒子と 生体内由来の内因性微粒子に大別されますが、本研究領域は双方の微粒子研究のコミュニティの融合を特色の 一つとして掲げています。これは、お互いの知見の持ち寄りや課題を共有することで両者のシナジー効果を高めるとともに、これまでにない分野融合的・集学的な研究領域に発展させることで、新たな生命現象の解明や 革新的な技術開発の創出につなげていくことを狙いとするものです。具体的には、本研究領域の柱として、
「(1)細胞外微粒子の生体・細胞への取り込み、体内動態の理解に基づく生体応答機序解明」、「(2)細胞外 微粒子の検出・分離・計測・解析に係る基盤技術の創出及び高度化」、「(3)細胞外微粒子の体内動態制御に 向けた基盤技術創出への展開」の3つを据えて研究開発を推進します。

本年度は、上記3つの柱のうち少なくとも2つは取り込んだチーム構成での提案募集を行い、総計79件の 応募がありました。今回のCRESTで募集を行った研究領域の中では最多の応募数であり、本研究領域への 注目度の高さが伺えました。選考では、「内因性と外因性の融合との親和性や本研究領域への波及効果の面か ら戦略目標の達成にどのように貢献できるか」、「新たな『微粒子研究』の突破口となるポテンシャルを有して いるか(従来の研究の延長に留まっていないか)」、「チャレンジングなテーマについては、予備データの提示 等その実現可能性についても考慮する」といった観点を重視しました。そして、12名の領域アドバイザーの 協力を得て、厳正かつ公平に選考を進めた結果、12件の研究提案に対して面接選考を行い、多くの優れた提 案の中から外因性微粒子研究と内因性微粒子研究の融合に大きく貢献するブレークスルーをもたらすと期待 される意欲的な研究提案を6件採択いたしました。

一方で、厳しい競争下での選考において、残念ながら不採択となった提案の中には、社会的にも意義のある重要なテーマに取り組んでおり、ポテンシャルの感じられる意欲的な研究提案も多くありました。このうち、 外因性微粒子を対象とした提案には、優れた基盤技術を有するものの、生体応答解析の観点で踏み込みが今一 歩不足しているといった提案もありましたので、研究提案内容やチーム編成も含めて今一度ご検討いただき、 是非、来年度の再提案を期待しています。また、来年度は、外因性微粒子・内因性微粒子の研究を融合したチ ーム構成による研究提案を歓迎いたします。細胞外微粒子の研究領域は、非常に幅広い分野の研究者の方々が 関わっており大変競争の厳しい分野ではありますが、今年度残念ながら採択されたかった方々、さらに今年度 応募いただかなかった方々も来年度ふるって本研究領域に応募いただければ幸いです。

戦略目標:「生命科学分野における光操作技術の開発とそれを用いた生命機能メカニズムの解明」 研究領域:「光の特性を活用した生命機能の時空間制御技術の開発と応用」
研究総括:影山 龍一郎(京都大学 ウイルス・再生医科学研究所 教授)

        氏名

所属機関

役職

課題名

礒村 宜和

玉川大学 脳科学研究所

教授

シナプス光遺伝学を用いた脳領域間シグナル伝 播機構の解明

小澤 岳昌

東京大学 大学院理学系研究科

教授

定量的光操作と計測技術を基軸とする生体深部 の細胞応答ダイナミクスの解析

神取 秀樹

名古屋工業大学 大学院工学研究科

教授

細胞内二次メッセンジャーの光操作開発と応用

野田 昌晴

自然科学研究機構 基礎生物学研究所

教授

オプトバイオロジーの開発による体液恒常性と 血圧調節を司る脳内機構の解明

和氣 弘明

神戸大学 大学院医学研究科

教授

ホログラム光刺激による神経回路再編の人為的

創出

渡邉 大

京都大学 大学院医学研究科

教授

自由行動下での神経情報操作・解読技術の開発 と意思決定の神経基盤解明への応用

<総評> 研究総括:影山 龍一郎(京都大学 ウイルス・再生医科学研究所 教授) 本研究領域は、光操作技術の開発および応用による生命機能の高度理解と制御を目的として昨年度に発足しました。光操作技術の開発を推進することで、生体に対する侵襲性および操作と観察範囲の局所性といった課題を克服し、これらの技術開発をもとに複雑な生体システムの理解と制御を目指します。 研究提案募集の2年目となる今回は28件の応募があり、いずれもレベルの高い内容であったことから、研究課題を選考するにあたって非常に苦労いたしました。提案内容の多くは、新規技術開発から光操作技術と観 察技術との連携構想、複雑で巧妙な生命原理の理解と制御など、領域の目標に合致するものでした。

これら28件の応募に対し、生命科学、イメージング、光操作などを専門とする11名の領域アドバイザー の協力を得て選考を進めました。各研究提案に比較的近い分野を専門とする領域アドバイザー5名が提案書類 の査読をし、それらの書面評価に基づいた討議を通じて、12 件の面接選考対象課題を選定しました。面接 選考では、領域アドバイザーの意見を踏まえ、最終的に6件の研究提案を採択しました。選考の全過程を通し て、JSTの規則に基づき、利害関係にある評価者の関与を避けた厳正な評価を行いました。

選考にあたっては昨年同様、領域の趣旨に合致している提案の中で、選考方針である以下の視点を取り込ん だ提案を特に重視しました。
・提案した観察技術あるいは光操作技術でしか解明できない生命機能を含むこと。
・既存技術ではなく新しい技術を開発し活用していること。
・最適な研究実施体制であり、研究構想の実現に必要な手掛かりが得られていること。 採択に至らなかった提案の中にも、重要な生命現象を取り上げたもの、独自性の高いアイデアに基づくもの
など、優れた提案が多くありました。しかしながら、そのような提案であっても、新規技術開発の要素が不十分と思われるもの、予備データ等が不足し実現可能性が不明確なもの、あるいは生命機能の解明に焦点が合っていないものは不採択としました。残念ながら不採択となった研究提案者におかれましては、今回の不採択理由を踏まえて研究提案を再考され、是非来年度に再応募していただきたいと思います。

今年度は、光操作技術があまり浸透していない生命現象へ応用する提案もありました。最終回となる来年度の募集では、引き続き既存技術では解析できなかった生命現象の理解と制御につながるような革新的な提案を期待しています。特に、様々な分野に応用できる汎用性の高い技術を含み、領域内外の研究との連携に意欲的 な提案を期待します。

戦略目標:「気候変動時代の食料安定確保を実現する環境適応型植物設計システムの構築」 研究領域:「環境変動に対する植物の頑健性の解明と応用に向けた基盤技術の創出」
研究総括:田畑 哲之((公財)かずさDNA研究所 所長・副理事長)

        氏名

所属機関

役職

課題名

宇賀 優作

農業・食品産業技術総合研究機構 次世代作物開発研究センター

上級研究員

ROOTomics を利用した環境レジリエント作物 の創出

杉山 暁史

京都大学 生存圏研究所

准教授

根圏ケミカルワールドの解明と作物頑健性制 御への応用

中川 博視

農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境変動研究センター

ユニット長

ハイブリッドモデリングによる環境変動適応 型品種設計法の開発

<総評> 研究総括:田畑 哲之((公財)かずさDNA研究所 所長・副理事長)
本研究領域は、フィールドにおける植物の環境応答機構を包括的に理解し、これに基づいて実用植物を分子 レベルから設計する技術の確立に資する研究を推進することを目的として平成27年度に発足しました。主と して実用植物を対象として、環境変動にロバストに応答する植物の特性を定量的に把握し、生長や機能の人為 的な制御を可能とする新技術の確立を目指しています。本領域では、各種Omics解析を含むゲノム生物学、 植物分子遺伝学、統計学、情報学、農学、工学など幅広い学問分野が対象となりますが、これらが有機的に連 携・融合することによって、単なる従来分野の発展や既存技術の改良に留まらない新たな展開が生まれること を期待しています。

募集にあたっては、①植物の環境応答機構に関する高精度定量解析に関する研究、②植物の環境応答機構に 関するモデルの構築、③遺伝子群の人為的再構築によって生じる植物の形質評価、の3本の柱を立てて、本領域の目標を達成するための道筋を明示しました。さらに、先端性に優れた高精度オミクス解析法、高精度形質 評価法や高精度オミクスデータと高精度表現型データの連関解析技術の独自性が高い改良や新規開発、新規性が高いモデル化技術の開発、また、ナス科、アブラナ科、マメ科やイネ科等の実用植物に重点を置いた提案や、 幅広い植物種に適用可能な汎用性が高いモデル構築や技術開発を含むチャレンジングな提案を求めているこ とを周知しました。その結果、本年度は39件の応募がありました。

選考においては、「新規植物創出のための基盤技術の開発」を強く意識していることに加えて、斬新な発想 に基づく先端性が高い研究開発、世界に誇れるような革新的な技術開発や異分野融合による新たな研究領域な ど、チャレンジ性が高い提案に特に着目しました。
選考は、本領域に関連するさまざまな研究分野からの9名の領域アドバイザーと12名の外部専門家による 審査の結果8件を面接対象とし、最終的に3件を採択しました。

今年度に採択の3課題は、根の高解像度フェノタイピング等に基づく環境変動頑健性に優れた作物の創出、 根圏環境のミネラルや代謝物の高精度計測等による頑健性バイオマーカーの同定、作物生育モデルと環境応答モデルを融合した新たな生育モデルの開発に関するもので、環境変動に対する頑健性を有する実用植物の設計 に資する新規技術の開発に向けて、今後の成果が期待されます。

今回の選考の結果、本研究領域の12課題が確定しました。全体として当初に設定した3本の柱を広くカバ ーしており、充実したポートフォリオを構築することができました。今後の領域運営にあたっては、各課題で 実施されている研究開発の競争力を高めること、各課題の進捗度評価をもとに重点化を図り領域全体としての先進性、革新性を確保すること、課題間の情報共有や連携を強化しシナジー効果を創出することに注力し、領 域目標の達成に努めるとともに、戦略目標の達成にもつなげていきたいと思います。

戦 略 目 標:「ネットワークにつながれた環境全体とのインタラクションの高度化」 研 究 領 域:「人間と情報環境の共生インタラクション基盤技術の創出と展開」
研 究 総 括:間瀬 健二(名古屋大学 大学院情報学研究科 教授)

        氏名

所属機関

役職

課題名

五十嵐 健夫

東京大学 大学院情報理工学系研究科

教授

データ駆動型知的情報システムの理解・制 御のためのインタラクション

神田 崇行

(株)国際電気通信基礎技術研

究所 知能ロボティクス研究所

室長

街角環境で共生するロボットのインタラ クション基盤技術

小池 英樹

東京工業大学 情報理工学院

教授

技能獲得メカニズムの原理解明および獲 得支援システムへの展開

津田 一郎

中部大学 創発学術院

教授

脳領域/個体/集団間のインタラクショ ン創発原理の解明と適用

中澤 篤志

京都大学 大学院情報学研究科

准教授

「優しい介護」インタラクションの計算 的・脳科学的解明

<総評> 研究総括:間瀬 健二(名古屋大学 大学院情報学研究科 教授)
本研究領域は、人間・機械・情報環境からなる共生社会におけるインタラクションに関する理解を深め、人 間同士から環境全体まで多様な形態でのインタラクションを高度に支援する情報基盤技術の創出と展開を目 指して、平成29年度に発足し、今回が初回の募集でした。

本募集に対して、ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)、機械学習、ロボティックス、認知 科学、脳科学、データ科学、エージェント工学など様々な分野の技術を基礎にして、医療・介護・健康、教育・ 学習、スポーツ、発想支援、コミュニケーション支援、芸術、流通、社会システム、ゲーム・エンタテイメン トなど多岐にわたる共生インタラクションの実現を目指す研究提案の応募が73件ありました。

選考に当たっては、情報科学、ロボティックス、HCI、インタラクションデザイン、コンピュータグラフ ィクス、機械学習、人工知能、セキュリティ等に関わる研究者や産業界の有識者を中心に、法律の専門家も加 えた9名の領域アドバイザーの協力を得て、公平かつ厳正に実施し、書類選考での評価が優れていた12件の 研究提案を面接選考し、特に優れた提案5件を採択しました。

書類選考、面接選考では、以下の観点を重視して評価を実施しました。
・ 成果が活用される分野
・ 研究課題の社会ニーズ、成果の社会インパクト
・ コア技術または概念の独創性と新規性
・ 挑戦的で国際的に通用するテーマ
・ 分野のベストメンバーのチーム
・ ELSI 課題の将来解決へのアイデア 今回採択されなかった提案の中にも、教育・学習におけるインタラクションなど重要な社会課題に取り組もうとする意欲的な提案や学術的意義の高いものが多くありました。しかしながら、戦略目標である「ネットワ ークにつながれた環境全体とのインタラクションの高度化」や、研究領域の趣旨である「革新的な情報基盤技術と共生インタラクション技術の研究開発」などに合致しないものや、前述の評価の観点において不十分な要 素があるもの、提案内容が十分練られていないものなどについては不採択としました。また、社会実装を意識 するあまり、研究開発要素が弱い提案も見受けられました。戦略的な基礎研究を推進するCRESTの趣旨を 勘案し、研究成果の社会的インパクト等を意識しつつも、コア技術の独創性や新規性について十分アピールし た多彩な提案が集まることを期待しています。今回採択とならなかった提案につきましても、不採択理由を踏 まえて研究提案を再検討され、是非来年度に再応募していただきたいと思います。

戦 略 目 標:「急速に高度化・複雑化が進む人工知能基盤技術を用いて多種膨大な情報の利活用を可能とする 統合化技術の創出」
研 究 領 域:「イノベーション創発に資する人工知能基盤技術の創出と統合化」
研 究 総 括:栄藤 稔(大阪大学 先導的学際研究機構 教授)

        氏名

所属機関

役職

課題名

落合 陽一

筑波大学 図書館情報メディア系

助教

計算機によって多様性を実現する社会に 向けた超 AI 基盤に基づく空間視聴触覚技 術の社会実装

角田 篤泰

中央大学 研究開発機構

機構教授

AI 技術を用いた法的文書作成支援

関谷 勇司

東京大学 情報基盤センター

准教授

サイバー脅威ビッグデータの解析による リアルタイム攻撃検知と予測

田中 聡久

東京農工大学 大学院工学研究院

准教授

脳波の機械判読によるてんかん診断・治療

支援 AI の構築

松谷 宏紀

慶應義塾大学 理工学部

准教授

リアルタイム性と全データ性を両立する エッジ学習基盤

諸岡 健一

九州大学 大学院システム情報 科学研究院

准教授

3D 画像認識 AI による革新的癌診断支援シ ステムの構築

<総評> 研究総括:栄藤 稔(大阪大学 先導的学際研究機構 教授)
本研究領域は、実社会の膨大なデータを知的・統合的かつセキュアに収集・処理・学習・制御するための人 工知能基盤技術と、その成果を組み合わせることにより社会問題の解決と産業の自動化・最適化に貢献するイ ノベーション創発に資する技術の確立を目指して平成 28 年度に発足し、今回が 2 回目の募集でした。

本募集に対して、産業応用に資する汎用的機能の実現を目指す基盤研究実証型の提案が 11 件、医療・農業・ インフラ・観光等の多岐にわたる社会課題を取り上げたイノベーション創出型の提案が 21 件、合計 32 件の応 募がありました。社会実装を見据えて企業等との連携体制を構築した研究提案も多く見られました。

選考は、機械学習、画像処理、ロボティクス、データベース、セキュリティなどの研究者に、産業界で社会 イノベーション創出や新規事業立ち上げに携わる有識者も加えた 10 名の領域アドバイザーと、医学分野の 1 名の外部評価委員の協力を得て公平かつ厳正に実施しました。書類選考での評価が優れていた 13 件の研究提 案を対象に面接選考を行い、特に優れた提案 6 件を採択しました。

選考にあたっては、以下の点を考慮して評価を実施しました。
・イノベーションに向けたシナリオが明確か。2 年 6 ヶ月後/5 年 6 ヶ月後に得られる成果が想像できるか。 その成果に向けた熱意が感じられるか。
・チーム内の役割分担が明確で、必要不可欠な研究体制になっているか。
・機械学習をベースとした提案の場合、データが準備されているか。あるいはデータが準備される具体的な予定があるか。
・社会実装を目指す提案の場合、システムを実装運用することが考慮された研究体制になっているか。
・適切な規模および範囲で、解決すれば有用な問題設定を行い、焦点の定まった研究提案となっているか。
– 複数の社会問題の一部分のみを切り出して集めたテーマ設定ではなく、小さくても役に立つ、ある社会問題を的確に捉えたテーマ設定となっているか。
・研究には、その技術課題が達成できないかもしれないというリスクがある。それが明確に意識されている か。スモールフェーズ採択チームのうち 1/2~1/3 が加速フェーズに進むという本領域の枠組みを鑑みて、 挑戦的な目標が設定されている提案を歓迎する。

今回採択されなかった提案の中にも、重要な社会課題に取り組もうとするもの、学術的意義の高いものが多くありました。しかしながら、上記の観点において不十分な要素のあるものや、提案内容の新規性・独自性について説明が不足しているもの、また、「人工知能基盤技術の創出と統合化」という領域の趣旨に合致しない ものなどについては不採択としました。今回採択とならなかった提案につきましても、不採択理由を踏まえて 研究提案を再検討され、是非来年度に再応募していただきたいと思います。

 

参考

  1. 平成29年度 戦略的創造研究推進事業(CREST)の新規研究課題及び評価者について(JST)

あなたが論文を書けない理由がわかる40の質問


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なぜあなたの研究は進まないのか?
なぜあなたは論文が書けないのか?
なぜあなたの発表は伝わらないのか?


 

実験を頑張って良い結果を得ることと、それらのデータに基づいて論文原稿をまとめることは、頭や体の使い方がまったく異なる別の作業です。事実、実験は楽しくてそれだけで満足感が得られるが、その後、論文を書くのは苦痛という大学院生やポスドク研究者は相当数います。さらに、論文原稿を書き上げてから、実際にどこかの学術誌にアクセプトされるまでがまた遠い道のりです。

Work, Finish, Publish. (Michael Faraday) 「はたらき、まとめ、出版せよ」(科学者として成功した秘訣をたずねられたときのマイケル・ファラデーの答え) (参考:学術論文作成の基本 2012エルゼビア ランチョンセミナー PDF

論文掲載に至る途上には、研究者の気持ちをくじく障壁はたくさんあるわけですが、それを全てクリアしてめでたく論文アクセプトに持っていく底力が、研究者には要求されます。この力は論文を実際に出すことによってしか身につきません。ただし、その際、見通しが良くなるような指針があるとその苦労は軽減されます。

 

「なぜあなたは論文が書けないのか?」という、多くの研究者をギクッとさせるタイトルの本があります(メディカルレビュー社 2016年)。自分が責められているような気分になる人がいるかもしれませんが、ご安心を。副題は、「理由がわかれば見えてくる,論文を書ききるための処方箋」となっており、論文を書くという行動に心のブレーキをかけている研究者の心強い味方となる本です。

本書のプロローグのQ3では、まず、論文が書けない人、出せない人のパターンを4つに分けて分析しています。あなたの今の状況も、以下の4つの症状のどれかに当てはまるのではないでしょうか?

症状1:論文を書こうとパソコンに向かいはするが、どうも効率が悪い。いつまでたっても仕上がらない。

症状2:論文を書きたい、あるいは書かなければならないとは思っている。しかしどこから手をつけたらいいのかわからず、堂々巡りを繰り返している気がする。

症状3:論文を書いていはいるが、クオリティが低い気がする。それぞれのパートをどのように仕上げていったらいいかわからず、しっくりこない。

症状4:論文を一度は書き上げたもののpublicationに結びついていない。どこかの段階で止まってしまっている。

(Q3 論文作成のどこが律速段階になっているか─論文欠乏症の具体的症状を考えてみたか? より)

本書では、各々の症状に対する処方箋が章仕立てになっているので、解決策がすぐに見つかります。

 

IMRAD(Introduction, Methods, Results And Discussion)の解説本は多数ありますが、本当に論文をアクセプトにまで持っていくための心の持ち方、時間の遣い方や生活態度、論文の各セクションの書き方のポイントをここまで実践的に教えてくれる本は、他に例がありません。論文を書くときに一番悩ましいのがディスカッションのセクションだと思いますが、これに関しても、その必要性、目的、盛り込むべき内容、典型的な書き方のパターンなど、具体的かつ実際的な解説があります。

また、せっかく論文の原稿を書き上げたのにボスが読んでくれずに放置されているという悩みを大学院生やポスドクがしばしば口にします。この問題はQ38で取り上げられており、問題点の分析および対処法が述べられています。

 

論文を書かなきゃいけないのに億劫がっている人には、本書の目次だけでもかなり参考になるので、以下、目次を紹介します。

プロローグ

Q1 何のためにあなたは論文を書くのか,明確な答えがあるか?
Q2 論文を書くことはあなたの人生にとって無駄ではないと言い切れるか?
Q3 論文作成のどこが律速段階になっているか─論文欠乏症の具体的症状を考えてみたか?

CHAPTER 1 あなたが論文を書けないのには理由がある 執筆スタイルから取り組む論文作成術

Q4 学会発表は結構しているのに論文が書けていない,ということはないか?
Q5 論文をイッキに書き上げようとしていないか?
Q6 論文作成の大部分は「単純作業」だと認識しているか?
Q7 目標と同時に「持ち時間」も小分けにしているか?
Q8 「まとまった時間がないから書けない」を言い訳にしていないか?
Q9 論文作成はあなたにとって「差し迫った」問題か?
Q10 論文作成中,ついネットやメールをしていないか?
Q11 論文作成に必要な「知的作業」のために,まとまった時間を確保しているか?
Q12 論文作成中にデータが不十分だと感じて筆を止めていないか?
Q13 書きかけの論文が複数ないか?
Q14 英文を書くことに意識過剰になっていないか?

CHAPTER 2 すべての物事は2度作られる いよいよ論文執筆? その前にやっておくべきこと=第一の創造

Q15 論文の核になるデータがあるか?
Q16 データさえ揃えば論文はすぐに書けると思っていないか?
Q17 ストーリーは描けているか?
Q18 論文の構想(第一の創造)を相談できる相手がいるか?
Q19 論文のテーマに関連した文献を30 以上集めて目を通したか?
Q20 モデルとなる論文が3 本程度見つかったか?
Q21 論文作成のためのWord 文書を作成したか?

CHAPTER 3 なんとなく書いていないか? メリハリをつけるパート別論文執筆のコツ

Q22 まずはここから:論文の結論を1 ~ 2 行で簡潔に書ききれるか?
Q23 Introduction 1 明確な研究の「目的」または「仮説」を書いているか?
Q24 Introduction 2 知識のギャップを中心にした3 段論法を展開できているか?
Q25 Introduction 3 味付けはサラッとしているか?
Q26 Materials and Methods 1 なぜ何を書くかを頭の中で整理できているか?
Q27 Materials and Methods 2 Reviewer・読者にわかりやすく簡潔にまとまっているか?
Q28 Result 1 Figure の紙芝居で組み立てたストーリーに沿って書き進めているか?
Q29 Result 2 建て前と本音を区別して読者を誘導できているか?
Q30 Result 3 Result とDiscussion の棲み分けができているか?
Q31 Discussion 1 なぜ論文にDiscussion が必要かを理解しているか?
Q32 Discussion 2 書き出しのパターンを押さえているか?
Q33 Discussion 3 ポイントとなる結果と過去の文献を使って結論を支持しているか?
Q34 Discussion 4 研究の限界(limitation)を述べているか?
Q35 すべてのパートが同じベクトルを持って書かれているか?

CHAPTER 4 書いただけで終わっていないか? ここからが本当に大事なツメの作業

Q36 目標Journal の投稿規定に目を通したか?
Q37 倫理規定は守れているか?
Q38 書き上げたはずの論文が放置されていないか?
Q39 Reject されて心が折れていないか?
Q40 Reviewer の質問に,前向きかつポジティブに答えられているか?

 

以上40個の質問に対する答えが自分の頭の中で明確に整理できていない人には、本書の内容が非常に深い示唆を与えてくれるでしょう。やるべきことが明らかになれば、論文を書くモチベーションが高まり、アクセプトまでの道のりがたとえ長くても、そのモチベーションを維持することができるはずです。

 

参考

  1. なぜあなたは論文が書けないのか?(メディカルレビュー社 書籍詳細ページ )

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なぜあなたの研究は進まないのか?
なぜあなたは論文が書けないのか?
なぜあなたの発表は伝わらないのか?


岡大教授自宅待機の無効確認を岡山地裁が棄却

大学側による自宅待機命令の無効確認などを求めて、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の森山芳則元教授(63)と榎本秀一元教授(53)が大学側を訴えていた裁判の判決が2017年8月22日に岡山地裁でありました。地裁は「命令は正当」として2人の請求を退けています。

 

報道など

  1. 本学に関する裁判の結果について (岡山大学 17.08.22):本学元教員2名が、本学が行った自宅待機命令が無効であるとして、岡山地方裁判所に同命令の無効確認と慰謝料(各300万円)を求めていた訴訟の判決が、平成29年8月22日にあり、同裁判所は元教員2名の自宅待機命令の無効確認請求を却下し、慰謝料請求を棄却する旨の判決を行ないました。 この判決に対する学長のコメントは以下のとおりです。 本学の主張の正当性が認められたものと考えています。今後も適正な運用を行っていくよう、努める所存です。
  2. 岡山大元教授2人の請求退ける 自宅待機命令無効訴訟で地裁判決 (山陽新聞 2017年08月22日 20時27分 更新)(会員限定有料記事)

 

参考

  1. 製薬会社と医学部の癒着 現役国立大学教授が実名で現状告発 (NEWSポストセブン 2014.02.10 07:00)
  2. 今、岡山大学で何が起きているのか? 岡山大学の抱える問題点を告発し、大学執行部による懲戒処分の背景を解説します。
  3. twilog 片瀬久美子@kumikokatase 【岡山大の件】
  4. 森山先生を支援する会

 

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学校の授業を外部委託に?

報道によれば、経済産業省は2018年から教育現場の生産性を高めるための事業を始めるそうです。

「教育現場の生産性」という聞きなれない言葉への反応

文科省の管轄だと思われていた教育に経産省が関わってくることへの驚きの声

批判の声

企業との癒着を心配する声

 

報道

  1. 業の外部委託支援、教育の生産性向上へ経産省(日本経済新聞 電子版 2017/8/21 17:36):”経済産業省は2018年から教育現場の生産性を高めるための事業を始める。生徒一人ひとりのレベルに合わせたインターネット経由の外部の講師による授業を導入したり、部活動の指導を外部へ委託したりする取り組みを資金面で支援する。IT(情報技術)や外部人材の活用で教育内容を改めるとともに、学校に所属する教員の労働を軽くする狙いがある。”

 

分析・評論記事

  1. すべては憲法改正のため!?安倍政権「人づくり革命」の真意とは(清談社 DIAMOND online 2017.8.21) :”2012年12月の発足の第二次政権以降、安倍官邸は、「女性活躍」、「地方創生」、「一億総活躍」、そして今回の「人づくり革命」と、目玉となる政策を毎回ころころと変更している。このことの意味について鈴木氏が解説する。「第二次安倍政権は、内閣改造のたびに新しい看板政策を繰り出しています。ですが実は、これらの政策は看板こそ違えど、その中身は大きく変わっていません。ある経産省OBがこうした現状を『船の名前を変えているだけ。中に乗っている積み荷(政策)や、船長(安倍総理)や船員(閣僚)は全然変わっていない』と厳しく評していましたが、まさにその通り。実際は、看板を書き換えることで、何か新しい政策をやっているようなイメージを作り出そうとしていると言ってもいいでしょう」”
  2. 人間をマシンに…安倍政権「人づくり革命」の露骨な魂胆 (浜矩子 同志社大学教授 日刊ゲンダイ 2017年8月12日):””
  3. 「人づくり革命」は「文科省廃止」なのかもしれない(YAHOO!JAPANニュース 前屋毅 | フリージャーナリスト 8/10(木) 13:07):”インタビューで茂木大臣は、「人づくり革命では、幼児教育から高等教育まで、家庭の事情に左右されず、希望する教育が受けられる制度を考えたい。全てを無償化にするかどうかは今後の議論だ」(『読売新聞』)と語っている。これって、筋から言えば文科相の台詞ではないだろうか。無償化についても、文科省のなかで長年にわたって議論されている。そもそも「人づくり」は、政府では文科省のテリトリーのはずである。そこに「改革」などではなく「革命」をもたらすというのだから、文科省の否定が前提になっていると言えなくもない。”
  4. 悪評紛々! 安倍政権の「人づくり革命」ネーミングのルーツは日本会議の設立宣言か、池田勇人のスローガンか(リテラ 2017.08.10)
  5. 「人づくり革命」って何なの? 「意味不明」「自分で言ってて恥ずかしくないのか」と困惑する人続出(BLOGOS 2017年08月05日 10:07):”安倍晋三首相は8月3日、内閣改造で「人づくり革命」担当相を新設した。自民党の政務調査会長で衆議院議員の茂木敏充氏(61)が経済財政再生担当大臣と兼任するという。人づくり革命という言葉に対し、ネット上では「信じられないセンス」といった声が相次いでいる。「1億総活躍大臣より更に何の担当大臣か意味不明」”
  6. 内閣に新ポスト「人づくり革命担当大臣」にネットがざわつく クローンやミュータントを想像する人も。(2017/08/2 15:34 籏智 広太 BuzzFeed News Reporter, Japan)

 

参考

  1. [WBS]茂木新大臣に単独インタビュー!「人づくり革命」って一体なに!? 2017/8/9

 

生命科学が学べる日本の大学院 大学 学部 学科

生命科学を学びたい高校生、大学生向けに学科紹介をピックアップ(順不同。随時追加、更新予定)

 

大阪大学大学院 生命機能研究科 ”生命のない分子がどのように編み上げられて生命が生まれてくるのか。私たちはそれを生命機能とよび、それを知りたいのです。 それには、物理学、化学、分子生物学、細胞生物学、医学など、生命体を形成する各階層の問題に取り組む研究者が集まって、議論し、成果を示し合い、共同研究を進めながら、階層を貫く原理を求める必要があります。” (アドミッションポリシー研究室一覧 研究成果

東北大学大学院 生命科学研究科 研究分野 分子生命科学専攻 生命機能科学専攻 生態システムk生命科学専攻 研究室一覧  研究成果

名古屋大学 理学研究科 生命理学専攻 研究室・教員一覧 論文紹介

理化学研究所 脳科学総合研究センター(理研BSI) 研究室一覧 プレスリリース

東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻 ”生物化学専攻と旧・生物科学専攻を統合して新・生物科学専攻となり”(専攻案内) 最新の研究成果 生物情報科学科 “おおまかにいうとバイオインフォマティクスは生命を「情報」として捉え、生命科学の膨大なデータを解析するための情報科学的手法を開発し、生命現象の背後にひそむ法則性や規則性を見つけ出す研究分野です。また、システム生物学は生命を「システム」として捉え、遺伝子やタンパク質など個別の要素である”部分”と生命現象のダイナミックな振る舞いである”全体”との関係を数理モデルなどを使って明らかにする研究分野です。いずれの分野も、いわば、生命科学を物理学や工学のような視点から理論的に捉えることが共通した特徴です。” 教員・研究室一覧 生物学科 教員一覧 生物化学科 教員・研究紹介

理化学研究所 統合生命医科学研究センター 研究室紹介 プレスリリース

総合研究大学院大学 生命科学研究科 生理学専攻 講座及び担当教員一覧 プレスリリース・研究報告 基礎生物学専攻 研究教育職員一覧 プレスリリース一覧 遺伝学専攻 研究室主宰者一覧 プレスリリース

熊本大学 発生医学研究所 研究室一覧 ニュープレス

慶應義塾大学 先端生命科学研究所 “慶應義塾はこの研究所を「アカデミックベンチャー」と位置付け、失敗を恐れず未知の領域に果敢に挑戦し、新規先端技術の開発を積極的に推進します。” (所長挨拶) メンバー 論文ハイライト

東京工業大学 生命理工学院 生命理工学系 教員・研究室 研究成果ニュース

東京大学大学院 農学生命科学研究科 専攻・附属施設等一覧 研究科トピックス(研究成果)

 

京都大学大学院 理学研究科 生物科学専攻 スタッフ一覧 

京都大学 農学研究科・農学部 応用生命科学科 教員一覧

立教大学 理学部 生命理学科 ”ポストゲノム時代の今日、立教の生命理学では「一味ちがった」生命へのアプローチを目指しています。それは、生命現象を、「理学」として(目先の応用を追い求めるのではなく)、分子科学に基礎をおいて(DNAやタンパク質といった生物をつくる分子から)、多面的にとらえることです。” 研究室の紹介

東京理科大学 基礎工学部 生物工学科 “学科を構成する各研究室では、生化学、遺伝学、生理学、分子生物学、細胞生物学、有機化学などの多岐に渡る手法を用いて、バクテリアから真核生物、哺乳類の細胞にいたるまで幅広い研究を展開しています。 ”  教員・研究室紹介

東京理科大学 理工学部 応用生物化学科 “本学科は、微生物から高等動植物に至る多様な生命機構を主として細胞や分子のレベルで解明する生物科学と、それを基盤とする応用技術を研究することにより、バイオサイエンスの基礎から応用にいたる知識と創造力を身につけた人材の育成を目指しています。”(学科紹介 研究室・教員紹介

同志社大学大学院 脳科学研究科 “我々脳科学研究科の「発達加齢脳専攻」8部門長は、それぞれ、神経回路シグナル伝達制御、神経膜分子輸送、神経発生制御因子、神経回路メカニズム、神経回路形態、神経回路情報処理、神経変性疾患、イオンチャネル動態を研究標的として国際的実績を挙げており、脳科学研究科の学位プログラム(教育課程)は、この研究拠点を母体とする5年一貫制博士課程において、次世代を担う研究者を養成することをめざしています。 ” (研究科の概要)

玉川大学 脳科学研究所 専任教員の紹介

慶應義塾大学 理工学部 生命情報学科 教員スタッフ一覧

上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介  

早稲田大学 先進理工学部 生命医科学科 教員および研究テーマ紹介

弘前大学 農学生命科学部 教員・研究紹介一覧 

福岡大学 理学部 化学科 研究室紹介 

京都産業大学 総合生命科学部 教員一覧 ”京都産業大学は、2019年4月に向けて総合生命科学部を再編し、新たに『生命科学部(仮称)』を開設することといたしました。… 生命科学部は、先端生命科学科と産業生命科学科の2学科構成といたします。さらに、それぞれの学科は、学びの分野を明確にし、医療と健康、食料と資源、生態と環境の3つのコースを設けて、専門性を高めます。また、動物生命医科学科で実施してきた、実験動物1級技術者、食品衛生管理者の資格取得についても継続して取り組みます。今後は、創薬やES細胞・iPS細胞等の最先端医療技術開発に関わる動物実験の需要が高まることが予想されるため、高度な知識と技術を有する実験動物技術者の育成に関わる国家資格の創設等について、京都府とともに求めていくこととします。研究においては、国際的にも高い評価を得ているタンパク質動態研究をはじめ、発生・再生医学、インフルエンザウイルスなどを対象とする感染症研究、植物生理学、ミツバチを含む動植物育種学、植物ゲノム解析、集団遺伝学、ダニなどの環境微生物研究など、これまで総合生命科学部で培ってきたテーマを新学部でも継続するとともに、共同研究などにより学部内で積極的に融合を図ることで、より一層研究を発展させていきます。。” (生命科学部(仮称)設置構想について2017.07.14)

 

近畿大学 理工学部 生命科学科 ”生命科学科は、生命現象から地球環境とヒトの相互作用までの幅広い分野を扱います。医療・薬品・食品・環境などの産業で活躍する人材、生命科学に関する研究を牽引する人材、中学や高等学校で理科・生物学を正しく生徒に教えることができる人材の育成を目指しています。”(アドミッションポリシー) 教員及び研究室

大阪府立大学 生命環境科学研究科 応用生命科学専攻 応用生命科学専攻の教育は地球生命系を構成する生物が持つ多彩な生命現象を解明するバイオサイエンスの発展と生物の多様な機能の応用技術としてのバイオテクノロジーの発展に寄与する人材の育成を目的としています。教員

芝浦工業大学 システム理工学部 生命科学科 ”生命科学科では、人の老化に対して、その生理学的解明、薬品や食品の効用、環境因子、微生物などのバイオテクノロジー技術を駆使して科学的に解明するとともに、人工臓器、再生医療、医療ロボット、福祉機器、リハビリテーション手法などの工学的手法をベースにした基礎研究や装置開発をマッチングさせることで、生命の不思議に正面から立ち向かう教育と研究を進めています。”(アドミッション・ポリシー)

東洋大学 生命科学部

立命館大学 生命科学部 応用化学科 生物工学科 生命情報学科 生命医科学科 教員・研究室一覧

九州産業大学 生命科学部 生命科学科 教員紹介

 

参考

  1. “生命科学”を志願している受験生に告ぐ。やめときなさい。(YAHOO!JAPAN知恵袋 2011/8/23)
  2. 自分は研究に向いているか? を知る14の質問

 

1945年8月6日 アメリカが広島に原子爆弾を投下した日

World’s First Atomic Bomb – Manhattan Project Documentary – Films

「はだしのゲン」の被爆体験

Peter Jennings – Hiroshima: Why the Bomb was Dropped (1995)

 

参考

  1. Voices of the Manhattan Project: “A public archive of our oral history collections of Manhattan Project veterans and their families. Our online collection features 400 audio/visual interviews with Manhattan Project workers and their families, including J. Robert Oppenheimer, General Leslie R. Groves, Glenn Seaborg, Hans and Rose Bethe, George and Vera Kistiakowsky, and many more.”

 

報道

  1. 広島原爆の日のあいさつでも黙殺…安倍首相の「核兵器禁止条約」拒否姿勢の裏に核兵器保有願望が (リテラ 2017.08.06)
  2. 被爆者「満腔の怒りで抗議」 核禁止条約に首相触れず (朝日新聞 DIGITAL 2017年8月6日21時23分):”核兵器禁止条約の歴史的採択から初めて迎えた、広島原爆の日。しかし安倍晋三首相は6日の平和記念式典で、条約には一切触れなかった。”
  3. きょう72年 広島原爆の日 核兵器のない世界を (NHK NEWS WEB 8月6日 4時00分):”6日の平和記念式典は安倍総理大臣や世界80か国の代表が参列し、午前8時から始まります。式典ではこの1年間に亡くなった人や新たに死亡が確認された人5530人の名前が書き加えられた、30万8725人の原爆死没者名簿が原爆慰霊碑に納められます。”
  4. 6日、広島原爆の日=72回目「核禁止条約、橋渡しを」(時事ドットコムニュース 2017/08/05-20:15):”被爆者健康手帳を持つ人は今年3月末時点で16万4621人。平均年齢は81.41歳で、昨年より0.55歳高くなった。 式典では、この1年に死亡が確認された5530人の名前を記した原爆死没者名簿を慰霊碑に納める。犠牲者は30万8725人となった。”

中学理科の教科書が教える仮説駆動型研究

研究目的が曖昧なまま実験を続ける大学院生、仮説をもたずに研究している研究者、実験結果を得ていないのにグラフを作成してしまうトンデモナイ人、考察が書けずに悩む人、次の研究テーマが思い浮かばない人など、研究の現場にはさまざまな悩みや問題を抱えた人たちがいます。いまいちど、中学校の理科の教科書に立ち戻って、研究の進め方に関する基本事項を再確認してみるというのはいかがでしょう?

以下、中学校1年生の理科の教科書(教育出版)の最初の数ページから、一部を抜粋して引用・紹介します。

理科学習の進め方

進め方1 疑問を持つ
はじめに、不思議に思ったことや疑問に思ったこと、知りたいことなどをはっきりさせておきましょう。

進め方2 課題を設定する
知りたいことや調べたいことがはっきりしたら、これから取り組む課題を設定しましょう。

進め方3 仮説をもち、計画をたてる
課題がきまったら、自分はその課題に対してどのような考えかたをもっているか、どのようにしたら自分の考えが正しいかどうかわかるのかを話し合いましょう。 自分の考えは仮説としてノートに書いておき、調べたあとで振り返ることができるようにしておきましょう。

進め方4 観察や実験を行い、結果を得る
自分で立てた計画に沿って、実際に観察や実験を行い、得られた結果は、あとで考察しやすいように表などにまとめましょう。また、結果をグラフに表すと、知りたいことがわかりやすくなる場合があります。

進め方5 得られた結果をもとに考察する
観察や実験が終わったら、得られた結果からどのようなことがわかるか、そして、自分の立てた仮説は正しいといえるか、考察し、自分の考えを発表しあいましょう。

進め方6 新たな疑問から、さらなる課題へ
みんなの考えがまとまり、設定した課題が解決したら、観察や実験を行ってわかったことが、次にどのように役に立つのか考えましょう。また、調べてみて、新たな疑問が生じたら、次の課題を設定して、さらに調べていきましょう。
中学校理科1 教育出版 文部科学省検定済教科書 中学校理科用 17教出 理科731 平成28年度 2~6ページ)

日本の中等教育の教科書は科学的な態度を育むように書かれています。高校の教科書にも、研究の進め方が解説されています。以下、啓林館の「生物基礎」から一部を抜粋して紹介。

●私たちの探求活動●

仮説を立てずに観察・実験する方法もありますが、ここでは仮説を設定する方法で考えます。

<課題の発見>

最初は自然現象をよく観察することです。疑問を生み出す方法を紹介します。まず比較という方法があります。.. 5W1Hを活用する方法もあります。「何が(Who)」「何を(What)」「いつ(When)」「どこで(Where)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」のパターンで疑問をつくってみます。 .. この課題でやろうと思ったら、同じテーマですでに研究されているかどうかを調べてみます。

<仮説の設定>

仮説を設定します。考えつく限りの仮説をあげていましょう。仮説が立ったら、その仮説は、どのような観察や実験を行えば証明できるのかを考えて実験・観察を計画します。実験・観察から得られる結果から、立てた仮説が論理的に導かれるように計画する必要があります。

<観察・実験>

観察・実験で大切なことは「再現性」です。 .. 因果関係を調べるときには「対照実験」の設定も必要です。対照実験とは、比較のために対象とする条件以外を同じにして行う実験のことです。 ..

<結果の記録と処理>

結果の記録は正確に行うように心がけます。 ..

<考察>

実験などの結果かが仮説の正しさを証明したかを考察します。結果が仮説と矛盾しないかを考えます。ひとつの仮説を検証すると、そこから新しい疑問や課題が生じてくるものです。また明らかになった知見が、これまでに知られていることとどう関係するかも考える必要があります。 ..

<報告書の作成と発表>

研究したことは報告にまとめて、発表するようにしましょう。 ..

(引用元:啓林館 平成30年度 生物基礎 改訂版 本川達雄 谷本英一 編 (10~11ページ) 61啓林館 生基315 文部科学省検定済教科書 高等学校理科用)

中等教育(中学、高校)でも、高等教育である大学でも、サイエンスの基本はまったく同じです。たとえば、放送大学「自然科学はじめの一歩」の授業内容の説明には、

実際の科学研究は分野によらず、問いを立て、仮説を設定して検証し、結論を導き出すという一連の作業を通して進行する。さらに文献調査、論文執筆といった作業が伴う。放送大学「自然科学はじめの一歩」第15回 自然科学の展望:さらなる一歩へ向けて

とあります。放送大学の放送の中では、子供の自由研究と科学者が行う研究との違いは何でしょうか?実はやっていることはどちらも変わらないんです。ただし、プロの研究者は、自然界に関する新しい知識を作り出してそれを人類で共有するために論文発表をする、それが唯一の違いですと解説されていました(主任講師: 岸根 順一郎 2017年7月22日放送 第15回 自然科学の展望:さらなる一歩へ向けて)。

このように日本の理科教育では、研究がいかにして進められるかに関してしっかりと教えるようになっています。ところが、肝心の、プロの研究者を育てる場であるはずの大学院においては、仮説に基づいて実験するという当たり前の態度がなぜかないがしろにされている研究室が散見します。中学や高校での理科教育で強調されてきたことは、研究の現場である大学院でも実践されて然るべきでしょう。

呼吸に必要な酵素の遺伝子を持っていない(?)不思議な細菌を発見

地表に現れたマントル由来の岩石に湧く泉で、どのような生物がいるか調べたところ、27種の微生物の遺伝子が見つかった。周辺は強アルカリ性で、約40億年前の地球に似た過酷な環境という。 そのうち、岩石に付着した細菌では、酸素を使った呼吸など生命維持に必要とされるエネルギーを得るための遺伝子を一つも持っていなかった。(どうやって生きてるのか…「常識外れ」の細菌、泉で発見 朝日新聞 DIGITAL7/21(金) 23:27

論文はこちら。

The ISME Journal , (21 July 2017) | doi:10.1038/ismej.2017.111

Unusual metabolic diversity of hyperalkaliphilic microbial communities associated with subterranean serpentinization at The Cedars

Shino Suzuki, Shun’ichi Ishii, Tatsuhiko Hoshino, Amanda Rietze, Aaron Tenney, Penny L Morrill, Fumio Inagaki, J Gijs Kuenen and Kenneth H Nealson

Water from The Cedars springs that discharge from serpentinized ultramafic rocks feature highly basic (pH=~12), highly reducing (Eh<−550 mV) conditions with low ionic concentrations. These conditions make the springs exceptionally challenging for life. Here, we report the metagenomic data and recovered draft genomes from two different springs, GPS1 and BS5. GPS1, which was fed solely by a deep groundwater source within the serpentinizing system, was dominated by several bacterial taxa from the phyla OD1 (‘Parcubacteria’) and Chloroflexi. Members of the GPS1 community had, for the most part, the smallest genomes reported for their respective taxa, and encoded only archaeal (A-type) ATP synthases or no ATP synthases at all. Furthermore, none of the members encoded respiration-related genes and some of the members also did not encode key biosynthesis-related genes. In contrast, BS5, fed by shallow water, appears to have a community driven by hydrogen metabolism and was dominated by a diverse group of Proteobacteria similar to those seen in many terrestrial serpentinization sites. Our findings indicated that the harsh ultrabasic geological setting supported unexpectedly diverse microbial metabolic strategies and that the deep-water-fed springs supported a community that was remarkable in its unusual metagenomic and genomic constitution.

(Copyright © 2017, Rights Managed by Nature Publishing Group)

 

 

OIST職員ダイバー潜水事故の報告書が公開

沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究ユニット(准教授がPI)が推進する沖縄海洋観測システム構築のために、2016年11月に流向流速計の海底設置作業を行っていたOIST職員の潜水士が行方不明になった事故に関して、沖縄科学技術大学院大学潜水事故対策外部検討委員会の調査報告書が公開されました。

6月にOISTのピーター・グルース学長から職員宛てに送信された外部調査委員会報告書のサマリーおよびOISTの対応を以下に示します。外部調査委員会の報告書全文はこちらから閲覧いただけます。(OISTダイビング事故:今後の歩みについて 2017-07-11

また、この報告を受けて、OISTは2017年7月12日に記者会見を開き、潜水作業の安全管理に不備があったことを認めました。

RBC THE NEWS「潜水事故 OISTが謝罪」2017/07/13

 

行方不明になったOIST職員のダイバーの方は、OISTのウェブサイトを見ると、OIST内の研究ユニットの一つで博士研究員としての研究歴があり、研究者から研究支援職へ転身されていたようです。

しかしなぜこのような事故が起きてしまったのでしょうか?直接の原因は不明ですが、事故がいつ起きてもおかしくないような安全管理面の不備があったこと、そもそもOISTが安全管理を徹底させられるような組織構造を持っていなかったことを報告書が指摘しています。

5.6 結論 海底で潜水作業者Mに何が起こったかは不明であるが、以上の議論から本事故対策検討委員会として、今回の潜水事故は、自然の脅威が原因の不可抗力による回避不可能な事故ではなく、杜撰、自己過信、準備不足な潜水計画と、それを検証せず任せきりにしたプロジェクト進行を主たる要因とし、併せてそれらを助長する方向に働いた組織管理により生じた、回避が十分に可能な事故であったと結論付ける。(報告書38ページ)

 

当日の作業内容と事故が起きたときの状況

二人のダイバーが予定していた作業に関して

(2)作業目的 今回作業は、沖縄海洋観測システム設置場所付近にある伊江水道において、一定期間(約一か月)の流向流速を計測するために、ブイ一体型係留装置という浮力体の中に流向流速計を収めた機械を船上から投下する作業と、水深約60mに2名の潜水作業者がそれぞれ流向流速計と架台を運び、海底で架台の上に流向流速計を設置、固定する作業の二つを実施するものであった。(報告書9ページ)

事故が起きたときの状況が報告書に説明されています。

2016 年 11 月 14 日
‐ 予定通りに大学を出発。
– 移動中の車内にて計画の再確認、体調確認(口頭)実施
‐ 本部到着後、若干前倒しで、全て予定通りに作業進行。
‐ 水面ブイの状況から若干の流れを確認も、十分に作業出来る環境であり時間的にも潮が緩んでいく方向のため、作業可能と判断し、潜水作業者Bが架台、潜水作業者Mが流向流速計を持ち、潜水開始。
潜水作業者Mは、水面ブイからブイ一体型係留装置上部の中層ブイに至るロープを確保することに失敗し、浮上。潜水作業者Mは、作業船につかまって潜水位置まで戻り、再潜水。

【潜水作業者B、M1回目の潜水】リブリーザー使用(添付資料 5、6)
10:12 頃 両潜水作業者が潜降を開始してすぐ、潜水作業者Bが後ろを振り返ったところ、潜水作業者MはOKサインを返し追随。
10:15 頃 潜水作業者Bは中層ブイと水面ブイをつなぐロープを掴み、ロープ沿いに潜降。水深20-25m付近の中層ブイに到着した時点で、振り返った時に潜水作業者Mが確認できず。潜水作業者Bは潜水作業者Mがロープにたどり着けず流されてしまったのか、ロープにたどり着けずそのまま潜降してしまったのかが判断できず、一人で潜降している可能性を想定して、一人で潜降。
10:17 頃 着底後、潜水作業者Mがいないことを確認。
10:19 頃 架台をブイ一体型係留装置底部の錘とロープでつなぎ、浮上開始。途中、ブイ一体型係留装置の設置状況や途中に設置した水温計設置状況の確認のため、カメラで写真を撮りながら浮上。
10:27 頃 表層で流されていたと考えられる潜水作業者Mは、水面に浮かんでいるところを船上の作業支援員に発見され、船のラダーにつかまり作業現場に戻り、潜降を再開。潜水作業者Bは、水深約10mで潜降してきた潜水作業者Mと合流。潜水作業者Mが先になり、中間ブイと海底の錘を結んだロープを掴みながら急速潜降(潜降速度:約 27m/分)継続。
10:31 頃 水深約50mの地点で、潜水作業者Bは潜水作業者Mが腰のカラビナにつけていた流向流速計を海底に投下。
10:32 頃 潜水作業者M、潜水作業者Bの順に着底。潜水作業者Mは膝立ちで待機、潜水作業者Bは潜水作業者Mの背後に着底。着底後すぐに潜水作業者Bは混合ガスが無くなったことに気づいたため、潜水作業者Mに背後から浮上のサインを送り、予備の空気タンクに切り替え。
10:34 頃 潜水作業者Bは、中間ブイと海底の錘を結んだロープを掴まず浮上を開始。
10:35 頃 潜水作業者Bは浮上の途中、潜水作業者Mのものと思われる泡が上がってきているのを確認、潜水作業者Mも浮上しているものと理解し、浮上を継続。
10:36 頃 水深20mくらいまで浮上した時点で、船上の作業者に位置を知らせるために、バルーン(シグナルフロート)を打ち上げ。
10:37 頃 水深10mの位置で確認したところ、潜水作業者Mの泡が確認できないため、減圧停止をやめて、水面まで浮上。潜水作業者Mは、この潜水作業以降水面に浮上せず、2017 年 4月 7 日現在において、行方不明となっている。

【潜水作業者B2回目の潜水】空気タンク使用(添付資料 7)
10:45 頃 潜水作業者Bは、14L の空気タンクに切り替え、予備の 14L の空気タンクを持って、ロープ伝いに再度潜降。
10:46 頃 水深44mから海底が視認可能も、潜水作業者Mを確認できず。
10:49 頃 ロープを離し、蛇行し海中を確認しながら水面まで浮上。
10:52 頃 潜水作業者Bから指示を受けた船上の作業支援員(当日乗船者I)が海上保安庁に通報。その後、船上から水面を下流方向に向かって捜索。

【潜水作業者B3回目の潜水】空気タンク使用(添付資料 7)
10:59 頃 元の位置に戻り、再度ロープ伝いに潜降開始。
11:00 頃 水深約51mまで潜り、ロープを離し、下流に向かって数分蛇行して捜索。その後、浮上を開始し、減圧停止を行いながら浮上。
11:14 頃 船上に戻ったあと、減圧症の自覚症状が出始めたため、酸素を吸入。その後、当日乗船者Iに搬送用の救急車の依頼をし、山川港からドクターヘリで病院に搬送、再圧治療。(翌日退院)  (報告書10~12ページ)

これを読んで不可解に思えたのは、亡くなられた潜水作業者Mさんは、作業を始めた直後から10分程度行方不明になっているのに、その時点でMさんを探すことなく作業が続行されている点です。報告書には”潜水作業者Mは、水面ブイからブイ一体型係留装置上部の中層ブイに至るロープを確保することに失敗し、浮上”とありますが、単純なミスだったのか、体調は大丈夫だったのか、潜水機器は正常に動作していたのかが全くわかりません。誰も気にしなかったのでしょうか?報告書には、この対処に関して言及しています。

上述の通り、最初の潜降を開始してから数メートル付近まではバディ潜水を行っていたと思われるが、中層ブイ(27m)に到着した時点で潜水作業者Bは潜水作業者Mを確認できなかった。この時点で潜水作業者Bは浮上して潜水作業者Mを探すべきであった。

その後、単独潜水で海底まで到達し、潜水作業者Bが携行していた装置を設置した後、ゆっくりと減圧地点の 10m 水深まで浮上し、減圧中に潜水作業者Mと合流する。この時、潜水作業者Mがはぐれた原因などの状況を確認しなかった。

潜水作業者Bは潜水作業者Mが携行している装置の設置を優先させるため、再潜水を行った。再潜水は当初想定されていなかった。潜水作業者Bが 2 回目に海底に到達して潜水作業者Mを後方から確認した後、単独で浮上を開始した。この時、バディ潜水で浮上すべきであった。以後、潜水作業者Mは行方不明となった。(報告書19ページ)

作業中止の基準の策定やその判断をできるものが今回乗船していれば、潜水作業者Mが水面に浮かんでいるところを船上の作業支援員に発見され、船のラダーにつかまり作業現場に戻る時点で作業を中止することも可能であったと思われる。(報告書20ページ)

 

事故が発生した状況の説明は潜水士Bさんの証言に基づくものと思われますが、Mさんに何が起きたのかを理解するための手掛かりがありません。

また、潜水作業者Bのメール等の文面に社会通念上許容レベルを越えるようなきつい表現が散見されること、発言の内容に一貫性がなく関係者が対応に困ったという証言(これに関しては、委員会においても事故を起こした作業の説明が三度の証言の中で微妙に変化していることからも裏付けられる)などは、OMSSS 及び研究ユニットの関係者間の不調和の原因の一つであることは間違いがない。(報告書29ページ)

 

事故を生じさせた、もしくは事故を防げなかった要因の主要なものとして、調査委員会は、安全管理を軽視した作業計画、潜水時のバディシステムの崩壊、不適切な潜水機器(リブリーバー)の選択、作業管理責任者の不在、非常時の対処策・装備の欠如などを挙げています。

委員会では潜水作業者Bから三度ヒアリングを行ったが、潜水作業者Bは潜水の安全性を少しでも高めるために世界標準となっているバディシステムに対し、極めて否定的な見解を持っている。この証言は複数回安定して行われていることから、潜水作業者Bのバディシステムに対する否定的な考えは、彼のダイバーとしての本質であると考えられる。これらのことから、潜水作業者Bは、絶対に近い安全性が要求される職業としての潜水に対する理解が根本的に誤っていると言わざるをえない。(報告書29ページ)

以上のように、純粋な作業潜水の実施の観点から見て、潜水作業者B、潜水作業者Mがとった行動は、潜水作業における安全確保を全く考慮していない杜撰な計画に従って行われた。また、潜水時に潜水作業者Bがとった行動(バディシステムの無視、再会後浮上せずに再潜降)は、事故を防止する最終的な機会を失うこととなった。(報告書33ページ)

また、今回の作業を行うにあたり、潜水器材としてリブリーザーが選択されている。しかし、潜水作業者が OIST で保有するリブリーザーの運用について十分理解していない上に、その使用法に習熟していないこと、潜水作業者は、このリブリーザーのトレーニングはレベル 2(ヘリオックス、トライミックス潜水)まで受講しているが、レベル 2 トレーニングの受講資格であるレベル 1(ナイトロックス潜水)での 50 時間の潜水経験なくして、レベル 2 のトレーニングを受講しており、またレベル 2 での潜水経験も少ないこと、潮流が速い海域でのボートエントリーによる上下方向の移動がメインとなる潜水作業であることなどから、リブリーザーの使用の判断は間違っていたと言わざるを得ない。

さらには、潜水作業者Bの証言によれば、今回の潜水作業は、今までの経験を踏まえ、できるだけ簡素化して 1 回の短時間潜水で、潜水開始から海面浮上まで最長 30 分で終わるように見積もっていたということであった。しかしながら、見積もりの可能性を見極めるため、現場での潜水開始前海流状況調査(潮流、海水温度の計測)や ROV による海底事前調査(視界、海底状況把握のため)を行っておらず、また、その減圧手順はダイビングコンピューター任せで、63mの海底まで重量物を携行して設置するという作業内容から判断すると、リブリーザーで行うような潜水作業ではない。また、作業の簡素化に特化するあまり、高圧則で定められたさがり綱の使用についても見落とされていた。

実際の潜水作業の準備状況についても、船上にスーパーバイザーやスタンバイダイバーを用意していないこと、60m を越える深度まで潜降可能な予備器材を準備していないこと、水中ノート等のコミュニケーション器具を携行していないこと、緊急用のシグナルフロートのロープが 30m しかないことなど、海底付近でトラブルが生じた場合の対策について、何も準備されていないことが証言から明らかになった。また、今回のダイビングでは約 15m/分の速度で潜降しているが、リブリーザーを用いたダイビングでは、急激な潜水深度の変化は禁忌である。そのため、急激な潜降による酸素分圧の上昇による健康被害が発生する危険があった。このことは、今回の潜水作業のリスク評価が全くなされていなかったことを示していると判断される。(報告書17~18ページ)

 

研究プロジェクトリーダーの責任

この流向流速計の海底設置作業の総責任者は研究プロジェクトのリーダーであることから、報告書では准教授(研究ユニットリーダーで、沖縄海洋研究支援セクション(OMSSS)リーダーを兼任)の責任も指摘しています。

委員会での准教授Aの証言によると、准教授Aは、OMSSS のリーダーを兼務する以前から、自らがリーダーを務める研究ユニットで沖縄海洋観測システムの設置などにおいて、これまで約5年間に亘る長期間の間、ダイビングを伴う研究開発業務に関わっている。沖縄海洋観測システム設置時の潜水作業者Bの功績や信頼する共同研究者のコメントなどから、作業ダイバーとしての潜水作業者Bの能力を評価・過信し、ダイビングを伴う作業については潜水作業者Bに任せきりとなっていた。結果としてプロジェクトの責任者としてのチェック機能を放棄していたと言わざるを得ない。
また、今回の事案においても、潜水計画のリスクアセスメントを怠り、現場で作業の立会いもなく、OIST 野外活動マニュアルに定められているスーパーバイザーの任命もなされていない。当日、船上にスーパーバイザーがいれば、潜水作業者Mが水面に浮かんでいるところを船上の作業支援員に発見された際に作業の中止等、最善の指示が行われたのではないかと考えられる。さらには、委員会での証言で、野外活動計画をチェックし、安全を確認するのは安全衛生セクションの責任であるかの表現をしていたが、研究行為の第一の責任がユニットリーダーにあることを理解していないと言える。(報告書28ページ)

野外活動マニュアル(p5、添付資料 11)においては、「責任者は、原則として教員またはセクションリーダーでなければならない。」、「現地における参加者の安全衛生管理、事故防止及び適正な野外活動の実施について、責任者は、責任者を補佐するスーパーバイザーを置くことができる。」、「責任者が野外活動に参加しない場合、責任者は参加者の中からスーパーバイザーを選出し、野外活動期間中の安全衛生確保及び法令遵守に努めさせる。」こととなっている。今回のケースにおいては、責任者が野外活動に参加していないにも関わらず、スーパーバイザーの配置が行われていなかった。(報告書20ページ)

今回の潜水作業の計画から実行に至るまで、作業中に何らかのトラブルが発生する可能性は全く考慮されておらず、全ての手順が 100%順調に進められることを前提としている。すなわち、計画に対するリスクアセスメントは行われていなかった。これは、潜水計画策定と実際の作業全般を任されていた潜水作業者Bとともに、研究全体の管理者、リーダーである准教授Aの潜水作業に対する無知・無理解と潜水作業者Bへの無条件の信頼、それらに加えて研究の安全管理に対する責任感の欠如によるところが大きい。研究ユニットは、少々の無理をしてでも研究成果を目指すことがあり、支援部門に対して困難な要求をすることがあるのは容易に想像できる。研究ユニットのリーダーとしての准教授Aは作業ダイビングの経験は無いが、その経験がなくとも第三者の専門家にアドバイスを求めることなど、海中作業の実態やその危険性の把握は可能であり、この点の意識欠如が今回の事故の大きな背景であったといえる。(報告書33ページ)

 

OIST執行部の責任

報告書はまた、安全管理を適切に執行する組織作りを怠ったOISTの責任も指摘しています。

また、准教授Aの兼任についても、テニュアトラック上の准教授に対し、研究ユニットだけでなく支援セクションの管理も要求することは、明らかに必要以上の負担を強いている行為であると考えられる。テニュア獲得へ向けて最も研究成果が必要な時期に、研究支援業務の管理を行うことは、明らかにコンフリクトの要因となる。このことは准教授A自身も認識し、研究担当ディーンを通じて兼任解除の要望を出していたが、一年以上にわたって解消されることは無かった。(報告書36ページ)

研究担当ディーンは、研究支援部門を統括するものであり、OMSSS も安全衛生セクションもその配下にある。OMSSS の組織構造上の問題点を認識しながらその対応が遅れたことや、安全衛生セクションが支援対象とする研究範囲の増大への対策の遅れは、研究担当ディーンの管理上の責任範囲内である。また、潜水業務の危険性の認識が甘く、OMSSS で行われている潜水作業が実質的に潜水作業者B一人の判断に依存していたことを看過し、事故を招いたことは管理上の責任が問われる問題である。そもそも本来独立すべき研究、研究支援、安全衛生管理・研究上のリスク管理の三要素が研究担当ディーン一人のもとに集約された組織構造であり、組織としての相互チェック機能がうまく働かない構造になっている。このような組織構造上の不備を放置したことについては、OIST 執行部にもその責任の一端があると言える。(報告書34ページ)

 

研究第一で安全を軽視するOISTの風潮が、事故に直接つながるさまざまな要因をつくりだしたのではないかというのが潜水事故対策外部検討委員会の考えです。

今回の事故の背景には、このような全学における研究第一、安全衛生は二の次という OIST の安全文化の寄与が大きいといっても過言ではない。(報告書35ページ)

また、安全衛生管理委員会活動からも判るように、OIST では組織の安全衛生を確立するために定められている様々な法律や規程が十分に守られているとは言い難い状況にある。組織の安全衛生体制は、組織のトップの率先垂範が原則であるが、以前、安全衛生委員長の欠席が多かったことや、准教授Aの証言にあった、研究の安全衛生管理は安全衛生セクションの仕事というような発言は、OIST において組織的な安全文化が全く育っておらず、研究成果しか追い求めていない、安全を軽視した組織であることを強く示唆している。

今回事故を起こした潜水計画は、全く余裕や冗長性が無く、またトラブル発生の想定も行われていない。これは、実質的な潜水計画策定者である潜水作業者Bの自己の技術に対する慢心と、それに対してチェックすることを放棄したリーダーの准教授Aの不作為、潜水作業者Bと潜水作業者Mの間の強い権威勾配がその主たる要因であると考えられる。また、本作業は心身ともに万全の体調で臨むべき難易度の高い作業であることから OMSSS 内の人的関係の不調和が潜水作業者Mに与えていた過度の精神的な負担は事故発生の要因として無視できないレベルにあった。

以上のことから、背景要因として組織および潜水作業者の状態について調査した結果、潜水作業者Mを取り巻く環境は、事故の危険性を増長する方向に働いていたと結論づけられる。(報告書31ページ)

 

報告書はまた、人間関係の不調和やハラスメンによる心身の疲弊も事故の一因となった可能性があると指摘しています。

事故となった潜水作業の難易度を考えると、潜水作業者は心身ともに健康であることが必須となるが、通報メールの内容は無視できるものではなく、潜水作業者の心身の健康状態に大きな影響を与えた可能性を排除できないと判断された。 .. ・潜水作業者のハラスメント被害可能性とそれに伴う精神的負担に関する疑問 .. ・OMSSS に関わる人間関係のトラブルに対する疑問 .. ・トラブルへの OIST の対応に対する疑問と意見 .. ・2016 年夏ごろからの潜水作業者Mの心身の状態に関する懸念  .. ・潜水作業者Mの部署の状態に対する懸念(報告書26ページ)

実際メールに書かれた内容は、起こした過失に比べて極めてきつく、社会通念を逸脱した表現であり、潜水作業者Mや関係者に対するハラスメントに該当することも十分に考えられるものであった。(報告書27ページ)

潜水作業者Bを中心とした関係者間の不和と作業上の潜水作業者Bの必要性の狭間で、潜水作業者Mに大きな精神的負担があったことは想像に難くない。潜水作業者Mの友人も、潜水作業者Mが仕事に関して、身体的な負担よりも人間関係で悩んでいたと発言している。また、同時期に OMSSS の人員の減少(休暇や異動など)と臨海実験施設の開設準備が重なり、業務量の負担も増大していた。そのような中で、OIST の組織的な支援もうまく進まないことから、潜水作業者Mは退職を決意していた。(報告書30ページ)

 

OISTにおけるハラスメントへの対応のまずさについても指摘があります。

今回のケースは、ハラスメントではなく、マネジメント教育が必要という人事上の判断は尊重するが、実際の対応には大きな疑問が残る。通常ハラスメントの存在が疑われる場合、組織は申し出者、或いは被害者の保護を最優先に考え、両者の接触を可能な限り低減する措置を取る。しかし、このケースの場合、潜水業務を通して、潜水作業者Bと関係者が所属する OMSSS との業務上の関係性が維持され、異動前と大きく状況は変わっていない。むしろ准教授Aがセクションのリーダーを兼務することで、両者の共通の上司となり、より関係が複雑化する、問題解決につながりにくい対応であったと言わざるを得ない。(報告書36ページ)

OIST には各種ハラスメントに対する通報や保護の制度を有している。今回、委員会はこれらの制度が十分に浸透または信頼されていないと考えられるコメントを複数受け取った。(報告書40~41ページ)

 

報告書は、OISTの体制についても苦言を呈しており、改善への具体的な提言をしています。

しかしながら、トップダウンが行き過ぎた場合には、ネガティブな情報の隠匿やハラスメント、さらには研究不正など、様々な教育研究機関としての弊害の温床になる危険性を秘めている。(報告書41ページ)

トップダウンによる弊害を未然に防ぐためには、様々な職域間でお互いにチェックを行い、自律的且つ建設的に調節(checks and balances)することが可能な組織構造をデザインすべきである。(報告書41ページ)

OIST では研究担当ディーンが研究予算、研究支援、安全衛生管理を所管しており、安全衛生管理については安全衛生管理セクションが設置されている。通常、組織においてはその組織の本来業務を統括する部門、本来業務を支援するスタッフ部門、万一に対応するためのリスク管理部門がそれぞれ独立して配置されており相互にチェックし、組織運営に不合理がないかを常に確認している。これは大学においても同じであり、研究担当、研究支援担当、環境安全・リスク管理担当の副学長等は別々に、それぞれ独立してその職務を遂行しているのが通例である。この点について、OIST では研究担当ディーンにこれらの3業務が集中しており、組織としての相互チェックが機能せず、又、緊急時に適切な判断が困難な組織構造となっている。(報告書23ページ)

 

参考

事故に関するOISTの発表

  1. OISTダイビング事故:今後の歩みについて (OIST 2017年07月11日) 報告書『伊江水道で発生した潜水事故の経緯・原因究明の検討結果及び再発防止のための勧告』(沖縄科学技術大学院大学潜水事故対策外部検討委員会 2017年5月10日付け)
  2. 行方不明ダイバーの事案に関するご報告(OIST 2016年12月29日)
  3.  行方不明ダイバーの捜索活動についてのご報告 (OIST 2016年11月24日)
  4. 潜水事故について (OIST 2016年11月18日)

 

OISTの組織

  1. OIST フィールドサポートセクション (Field Resources Section; FRS) :海洋研究に関する共通機器の管理,また海洋研究に関わる各種のアクティビティをサポートします.我々の役割 共通機器を利用した環境モニタリングサービス オンサイトでのフィールドワークサポート 共通機器のレンタルとメンテナンス  海洋セーフティトレーニング(リクエストに応じて提供)
  2. OIST 沖縄海洋研究支援セクション(OMSSS):沖縄海洋科学センター(OMSC)の企画・運営 OISTマリン・サイエンス・スエーションの運営 海洋観測システムの維持・管理 その他の海洋科学研究に関する共通機器の維持・管理 潰瘍科学研究に関するフィールドワークのサポート

 

その他(OIST)

  1. ダイビング安全主任者 (20170421-JD_Ja-divingsafetyofficer.pdf) 業務内容 OISTでは、ダイビング安全主任者を募集しています。ダイビング安全主任者は、OISTで実施される作業潜水やその他の海洋・水辺フィールドワークの審査、監督を行い、作業潜水士やフィールドワークに参加するもののトレーニングや健康診断受診状況を監督します。その他、ダイビングやその他の海洋・水辺フィールドワークで用いる器材の点検、保守、修理を管理します。作業潜水を実施する場合には、必要に応じて現場監督者の役割を担います。ダイビング安全主任者は、安全衛生セクションリーダーにレポートします。OISTやセクションの業務の拡大に伴い、新たな業務が加わります。 1.OISTフィールドワーク安全委員会や外部の専門家と協力した潜水作業計画の審査の実施 2.作業潜水時の現場監督 2.関係者のトレーニング、健康診断受診状況の確認 3.ダイビングトレーニングの実施 4. ダイビングやその他の海洋・水辺フィールドワークで用いる器材の点検、保守、修理の管理 5.外注にて作業潜水を実施する場合の潜水作業計画と安全体制の確認 給与 本学園の規程に基づき経験・能力に応じて支給する 本給: 720万円~1130万円 (ジョブクラス: スペシャリストII, A5)
  2. 世界を見る目を形作る 2014-10-16

 

事故に関するテレビ報道

  1. OIST職員潜水事故 事故調”大学の安全管理に問題”(沖縄テレビ放送 2017/07/11 18:16) 【動画】
  2. OIST職員のダイビング事故「管理体制の欠陥」(琉球朝日放送報道製作部Qプラス 2017年7月12日 18時43分)【動画】
  3. 潜水事故 OISTが謝罪 (Ryukyu Broadcasting Corp, RBCニュース 2017/07/13 13:02)【動画】

 

事故に関する新聞報道

  1. 「僕が戻ってこなくても悲しまないで」  潜水事故の職員が母に残した言葉 沖縄科学技術大学院大学(沖縄タイムズ 2017年7月13日 22:00):”報告書によると、亡くなった男性は実家に帰省した際、母親に「僕が海から戻ってこなくても悲しまないで」「何度か危険な目にも遭った」などと話しており、「深度潜水に対して危機意識を有していたと思われる」とした。”
  2. OIST水難「事故、回避できた」外部委報告書(毎日新聞 2017年7月13日)
  3. 「安全管理に深刻な問題」 潜水事故で沖縄科学技術大学院大学が謝罪(沖縄タイムズ 2017年7月13日 06:44):”OISTは関係者3人を厳重注意したほか、管理職についても処分を検討している。”
  4. 潜水中の職員不明「計画ずさん」、ハラスメントにも言及 沖縄科学技術大学院大学・外部委(沖縄タイムズ 2017年7月12日 08:46):”検討委は、この作業は心身ともに万全の体調で臨むべき難易度が高いものだったが、男性が所属する部署内の「人間関係の不調和が男性に与えていた過度の精神的負担は、事故発生要因として無視できないレベルにあった」とも言及している。同僚が、過去に男性らに対して送った叱責(しっせき)のメールが「社会通念を逸脱した表現で、男性や関係者らへのハラスメントに該当することも十分に考えられるものだった」としている。”
  5. 潜水中の職員死亡「安全管理ずさん」 沖縄科学技術大学院大 外部委が指摘(琉球新報 2017年7月11日 07:30):”第11管区海上保安本部は本紙の取材に対し、関係者からの聞き取りなどを実施していることを明らかにした上で「捜査を継続している」とし、業務上過失致死での立件も視野に捜査を進めている。 .. OISTは10日に47ページの報告書を学内向けに公表し、学外には「要望があれば後日公開する」としている。教育研究中に学生や研究員の水難死亡事故を起こした東京大(2005年7月)、九州大(16年9月)では調査委員会による「原因究明および再発防止のための報告書」を事故が発生した年度内に一般公開した。”

 

ダイビング関連

  1. リブリーザーダイビングの事故で思うこと・・・ (旭潜水技研 2016年12月22日):”しかしあの海域は元々本当に流れが強くて有名なところだったのにも拘らず、更にあの日は「スーパームーン」だと世間が騒いでいた大潮中の大潮の特別な日だったのですから・・・。特にROVを海に入れて画面を通して分かりましたが、更にあの海域は上と下とで流れが逆になる二枚潮だったり、突然流れが止まったかと思うと急に逆に流れ出したり、潮止まりが極端に短かったりだとか、周囲の海底地形と島々との間の水路などで本当に難しい海域です・・・。よくこんな海域にましてやあんな扱いづらいリブリーザーなんかで潜ったものだと正直ぞっとしました・・・。”
  2. 捜索海域の海象悪化のために潜水捜索活動は1日で終わった (ダイブチームムラタ 2016年11月15日);”潜水深度での対応を考えると二名だけの対応が、どうだったのだろうか。潜水作業する深度が60mとなると空気潜水は法律で厳禁となっている。リブリーザーで潜るか、トライミックスガス潜水の二つの選択肢が出てくるのでした。今回は、リブリーザーを使用しているとの情報だ。バックアップ対応する予備ダイバーが二名、全体管理の責任者として一名。その他で二名の対応となると全体的には7名くらいの部隊編成となる。 “
  3. テクニカルダイビング(ウィキペディア)
  4. リブリーザーダイビングとは (藤本院長コラム 2014.01.11):”リ=再び。ブリーズ=息する。つまり、吐いた息に肺によって消費された酸素を足して、捨てられた二酸化炭素を吸着してキレイになった空気を再度呼吸するというダイビング機材をリブリーザーと言います。リブリーザーのメリットは、長時間潜水が可能であること。(3時間持続的に潜水できます)そして、ダイバーが最も怖がっている死に追いやられる減圧症(潜水病)のリスクが劇的に低下することです。デメリットは、機材が高額であること。そして、コンピューター管理されている機材を使うにあたりそれなりのスキルがいることがあることです。”
  5. ダイビング講座 バディシステム ”なによりたいせつなのは潜水の基本動作で、その一つが「バディシステム」(連れ添い潜水)です。 バディ(BUDDY)とは仲間の意ですが、潜水におけるバディとは、単に時間的、空間的に一緒に潜った仲間ということでなく、お互いの不完全な感覚(とくに注意力)を補い合い、判断を客観視し合い、行動を豊かにし合うツレアイ、おおげさにいえば、命を預けあった伴侶ということがいえます。”
  6. 日本ROV (Remotely Operated Vehicle)事業者協会

 

沖縄科学技術大学院大学(OIST)の組織体制に関するブログ記事(2011年の時点)

  1. 昨日の皇居での茶会、きょうは北中城での結婚披露宴、わたくしの考える沖縄科学技術大学院大学 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 05日):”大学組織の現状は、惨憺たる状態というのが、赤裸々な真実と思っています。なぜそうなっているのか、沖縄大学院大学の教授の一人として正直に現状を伝える責務を感じます。しかし、それを果たすのは非常にたいへんなのです。その大変さは、これからの一週間わたくしが書きつづる内容を読まれれば明らかとなるでしょう。 “
  2. 楽しかった結婚披露宴、とんでもない沖縄大学院大学の新学長の年収、大学院大学組織のイロハ (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 06日)
  3. 想定読者、軍事研究費導入議論に否定的でない新学長、そして新学長の兄弟、まず二つの提言 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 07日)
  4. コネと裏口、税金100%の私立大学の向かう方向、外部資金の危険性 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 08日)
  5. 大学院大学の前身の体質、河野修己記者による記事の抜粋 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 08日)
  6. 沖縄大学院大学の人脈 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 09日)
  7. 南アフリカ共和国人脈とウイーゼル人脈 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 09日)
  8. 沖縄大学院、現場からの告発 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 10日)
  9. 沖縄大学院のあるべき鉄則 米国臭の排除 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 10日)
  10. 私企業沖縄大学院大学、監督官庁の奮起を、ガンバレ日本語をしゃべる研究者、職員、私も公もごちゃごちゃ (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 11日)  :”わたくしの気分は、いまの大学院大学は大学院に程遠い。実感は私企業に雇用されている感じです。日本語をまったくしゃべらない、どこかのしらないファミリー連中の下で、私企業の雇用者の実感といえば多くの人たちはうなずくでしょう。わたくしの給与も私企業感覚で決められているはずです。まさにここを会社と呼ぶ人たちが多いのもうなずけます。ですから、何かをすれば身の危険(クビ)を感じるのでしょう。わたくしは、一刻も早く大学らしい雰囲気になって欲しいのですが、トップアドミのほとんどは大学人の雰囲気は皆無ですから。”
  11. メディアは(生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 11日)
  12. 京大病院での死亡事故、しらけて待つ創立記念行事 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 14日)  “名前から、沖縄を取って、国際を代わりに入れると、いまの流れにあうのでしょうか。国際ファミリーコネ科学技術大学院と名付けると、現状に近い。”
  13. 北朝鮮へのアンバサダー、進化する楽天・田中沢村賞投手、公私混同大学院大学、ヘチマの写真 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 15日) “きのう、国際ファミリーコネ科学技術大学院などといってしまいましたが、ここで同等に問題なのは、公私混同です。公私混同大学院と言いたいくらいです。”
  14. 大学院大学理事会議長への請願書、ヤギ汁は妊婦もOKとのこと (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 17日) :”以下の三氏は公明公正な大学経営者として、罷免にあたいするとおもわれる不適格な行為をしているという疑いがあり、理事会で議論していただきたい。第三者委員会による調査も考慮していただければ幸いです。○○○○○学長、理事長 実兄が客員教授となること、教授会に相当する会議に出席し議論に加わること、を容認していること。これにより議論の方向性に影響を与え、外部には大学のファミリービジネス化の疑いを増大させていること。さらに学長、理事長の権限を独裁的に発動し、公私混同を厳にいましめるべきであるのに、それらに反する行為が日常的に多い。 ○○○○○プロボースト お子さんのハーバード大学での学業にたいし、旧独立法人の経費や研究費でもって便宜をはかろうとしたという疑い。高潔であるべき大学経営者として不適格である。 ○○○○○副学長 お子さんの沖縄科学技術大学院大学での学業をしている研究室への研究費の便宜供与の疑い。税金100%の機構大学院大学の経理の最高責任者の取るべき行為ではない。
  15. こころづよい支持の声 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 18日)
  16. 徹底批判、徹底抗戦の意欲、わたくしがもしも理事長、学長なら (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 19日):”この大学の公私混同とファミリービジネス化の深まりは想像をぜっするものではないか、という疑いを感じます。ファミリーというか、自分を有利に扱ってくれる友人や同国人、同郷人までいれるととんでもないネットワークがもう強固にできあがっていて、手がつけられないくらいかもしれません。”
  17. 門前払い (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 19日)
  18. なるほど、TPP的大学なのだ (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 19日)
  19. 三つ目のヘチマ、Aさんの論文とM君の学位、今年の論文刊行、陰惨からお笑いへ、ノーベル系人を対象に (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 20日)
  20. 請願にたいする返事 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 21日):””This is the response from the Board of Governors of the Okinawa Institute of Sciences and Technology School Corporation to your petition to me, listing perceived misconduct by President ***, Provost *** and Vice President ***. After careful consideration of your allegations, the Board conducted a closed meeting and concluded that there was no substance to these allegations. You should be aware that the Okinawa Institute of Science and Technology School Corporation has effective mechanisms to detect and report misconduct.
  21. まったく倫理観の異なる理事会、この大学院の第一歩の日 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 21日)
  22. 日本の国土に建つ外国人縁故大学院大学 その創立記念の日 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 22日) :”こういう縁故でこりかたまった連中がノーベル賞の受賞お偉いさんなら、もう日本はいい加減目をさますべきです。”
  23. ちょっと疲れたかな、名刺辞令 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 22日)
  24. 来週の北京訪問、大学院大学わたくしなりの中間の答え (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2011年 11月 23日) :”さてわたくしの働き場所、大学院大学です。うんざり、というのがひと言での実感です。それは理事会や学内執行部の縁故主義の蔓延が原因ですし、また統治能力のレベルの低さと指導能力の劣悪さにともなういろいろなレベルでみる無能力、無責任、それに批判勢力の欠落、がもたらす組織的なだるさもわたくしの憂鬱の原因です。 ..  しかし、こんかいわたくしなりに体をはって(?)やったこともあり、中間の答えが得られました。この縁故の問題の元凶のひとりこそ理事会の議長であると。新大学院大学の最高権力者です。かれが縁故、ネポティズムの元締めでした。もっと前から知ってなければいけなかったことでした。”

 

OISTの執行体制

  1. 沖縄科学技術大学院大学学園理事 (一覧)
  2. OIST 運営委員会会議要旨
  3. 役員・副学長等 (一覧)
  4. 沖縄科学技術大学院大学学園評議員 (一覧)
  5. 沖縄科学技術大学院大学 次期学長にピーター・グルース博士が決定 (OIST 2016-12-15):”この度、沖縄科学技術大学院大学学園(OIST)理事会は、ピーター・グルース博士をOIST学園の次期理事長兼学長に選任しました。グルース博士は遺伝子制御および発生生物学の分野で国際的に著名な研究者で、2002年から2014年までドイツのマックス・プランク学術振興協会(MPS)会長を務めました。MPS会長の前職では、ドイツのゲッティンゲンにあるマックス・プランク生物物理化学研究所分子細胞生物学部部長を16年間務めました。同博士は2011年11月の本学創立時から理事長兼学長を務めるジョナサン・ドーファン博士の後任として、2017年1月1日に就任します。..グルース博士の学長任命をもって、世界規模の次期学長選考は終了となります。2015年10月のOIST理事会会合で本選考開始が発表され、同年11月にアルブレヒト・ワグナー博士を議長とする、OIST理事8名と教員4名から構成される選考委員会(PSC)が立ち上がりました。2016年1月初旬には、研究・教育分野の主要専門誌などへの掲載を通じて公募を開始しました。その後、自薦・他薦による応募者140名以上の中から、厳格な審査・評価、およびビデオ会議による第一次面接を経て、5名の最終候補者(内、女性2名)がPSCとOIST理事会運営委員会により選出され、面接が行われました。その中でも傑出していたのがグルース博士で、2017年1月1日付で同博士を次期理事長兼学長に任命することがその後OIST理事会の全会一致で承認されました。この度、正式な任命手続が完了したこととなります。 “

学術機関が共闘 ELSEVIER購読を打ち切り

以下、Creative Commonsライセンスに基づく記事転載(出典元:エディテージ・インサイト


 

60以上の学術機関がエルゼビア発行誌へのアクセスを失う(ドイツ)

スネハ・クルカルニ (Sneha Kulkarni) 2017年7月7日

ドイツの60以上の学術機関が、オランダの大手出版社エルゼビアとの購読契約を打ち切りました。これにより、数千人の研究者が同社発行誌へのアクセスを失うことになりました。

高額な購読料は、学術機関と出版社の間で生じている論戦の争点となっています。また、ドイツの学術機関は、エルゼビアへのコストの支払いを困難と感じています。こうした状況の中、ドイツの大学、公共図書館、研究機関は2014年、「Project DEAL」というコンソーシアムを結成しました。これは、大手学術出版社との2017年度のライセンス契約を、全国規模で締結することを目指すものです。しかしながら、エルゼビアとの協議は2016年12月に中断されたことが発表されました。同コンソーシアムは、エルゼビアからの提示が「オープンアクセス方針と公正な価格体系に応じるものでなかった」ため、それを拒否したと説明しています。この結果、交渉に関わったすべての学術機関が、12月31日を最後に、エルゼビアのジャーナルへのアクセスを失うことになりました。ゲッティンゲン大学は次のような声明を発表しています。「ジャーナルへのアクセスを失うことで研究や指導にどのような影響が出るかは、交渉に参加している誰もが十分に理解しています。それでも我々は皆、多くの研究機関が手を携えて圧力をかけることが、現状では、ドイツの科学コミュニティに利益をもたらす唯一の方法であるという強い信念を持っています」。一方、エルゼビアは、来年以降も交渉を続ける意向があることを表明しています。

多くの国が同様の問題に直面しており、高騰する購読料によって学術機関の運営が難しくなってきています。2016年12月初頭には、国立台湾大学(NTU)図書館が、高額な購読料を理由に、2017年以降のエルゼビアのScienceDirectジャーナルの購読を打ち切る予定であることを発表しました。購読料の高騰は、科学の発展を阻害しかねない深刻な問題であり、全世界で解決していかなければならない課題と言えるでしょう。

参考文献:

Thousands of German researchers set to lose access to Elsevier journals

本記事:60以上の学術機関がエルゼビア発行誌へのアクセスを失う(ドイツ)は元々エディテージインサイトに掲載されたものです。


参考

  1. Thousands of German researchers set to lose access to Elsevier journals (By Gretchen Vogel,  Science News Dec. 22, 2016 , 12:30 PM)

2017年採択新学術領域研究テーマと代表

2017年に新規で採択された新学術領域研究(研究領域提案型) (研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2022-03-31)が公表されました。

  1. 光合成分子機構の学理解明と時空間制御による革新的光ー物質変換系の創製 領域代表者  沈 建仁 岡山大学 教授
  2. 脳情報動態を規定する多領野連関と並列処理 領域代表者  尾藤 晴彦 東京大学 医学(系)研究科(研究院) 教授
  3. 細胞社会ダイバーシティーの統合的解明と制御  領域代表者  藤田 直也 公益財団法人がん研究会
  4. 共創的コミュニケーションのための言語進化学 領域代表者 岡ノ谷 一夫 東京大学 総合文化研究科 教授
  5. 熱ー水ー物質の巨大リザーバ:全球環境変動を駆動する南大洋・南極氷床 領域代表者  川村 賢二 国立極地研究所 准教授
  6. 予防を科学する炎症細胞社会学 領域代表者 松島 綱治 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授
  7. 性スペクトラム - 連続する表現型としての雌雄 領域代表者 立花 誠 徳島大学 先端酵素学研究所 教授
  8. 細胞機能を司るオルガネラ・ゾーンの解読 領域代表者  清水 重臣 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 教授
  9. 植物の生命力を支える多能性幹細胞の基盤原理 領域代表者 梅田 正明 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 教授
  10. 進化の制約と方向性 ~微生物から多細胞生物までを貫く表現型進化原理の解明~ 領域代表者 倉谷 滋 国立研究開発法人理化学研究所
  11. 代謝アダプテーションのトランスオミクス解析 領域代表者 黒田 真也 東京大学, 理学(系)研究科(研究院) 教授
  12. 分子合成オンデマンドを実現するハイブリッド触媒系の創製 領域代表者  金井 求 東京大学 薬学研究科(研究院) 教授
  13. 化学コミュニケーションのフロンティア 領域代表者  掛谷 秀昭 京都大学 薬学研究科(研究院) 教授
  14.  重力波物理学・天文学:創世記 領域代表者  田中 貴浩 京都大学 理学(系)研究科(研究院) 教授
  15. 分子夾雑の生命化学 領域代表者  浜地 格 京都大学 工学(系)研究科(研究院) 教授
  16. ソフトクリスタル:高秩序で柔軟な応答系の学理と光機能 領域代表者 加藤 昌子 北海道大学 理学(系)研究科(研究院) 教授
  17. 次世代物質探索のための離散幾何学 領域代表者 小谷 元子 東北大学 理学(系)研究科(研究院) 教授
  18. 水惑星学の創成  領域代表者  関根 康人 東京大学 理学(系)研究科(研究院) 准教授
  19. 和解学の創成-正義ある和解を求めて 領域代表者  浅野 豊美 早稲田大学 政治経済学術院 教授
  20. トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築―多文化をつなぐ顔と身体表現 領域代表者  山口 真美 中央大学 文学部 教授

 

参考

  1. KAKEN科学研究費助成事業データベース 検索
  2. 科新学術領域研究(研究領域提案型)(文部科学省)

 

海外出張の保険料を科研費から支出?

海外出張のときの保険料は高額で、かなり懐が痛みます。ですから、学会発表や研究目的で行くのになぜそこは自腹を切らないといけないのか?という疑問、不満を持つ薄給の研究者は多いと思います。

ツイッターの議論をみると、海外出張に際して科研費による保険料の支出を認める大学や研究機関が結構あります。個人的なことなので科研費は使えませんという事務方の主張は、ローカルルールかもしれません。

 

参考

  1. 科研費の4つの費目についての質問 (文部科学省) 【Q4441】 海外への出張に係る海外旅行傷害保険料、査証(ビザ)の申請料や予防接種等を科研費から支出することは可能ですか? 【A】研究遂行上、必要であれば支出可能です。ただし、例えば、保険料においては、契約に当たって適正な掛け金となっているかなど、過度に高額な支出にならないように留意することが必要です。
  2. ローカル線に乗った研究者の皆様へ (衆議院議員 河野太郎公式サイト 2017.05.15):”ローカルルールの廃止と統一ルールへの統合について。ローカルルールを廃止できない大学の評価をどうするかについては文科省で検討中です。”

 

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データ捏造論文が生まれる瞬間 実況説明

以前も紹介しましたが、2008年12月 日本分子生物学会 若手教育シンポジウム 記録全文『今こそ示そう科学者の良心2008 -みんなで考える科学的不正問題-』(PDF)の中の、夏目徹氏による分析を再び紹介したいと思います。現場を知る研究者にしかわからない、データ捏造の心理メカニズムを理解する一助になります。

不正論文が告発され調査委員会が不正の有無を認定し報告書をまとめる際、単に個々のデータに関して不正の状況を明らかにしてお終い、では誰も納得しません。研究組織を改編したところで、中にいる人間の中身が変わらない限り同じことが起きます。ここに示されたような徹底的な心理分析を行ってその結果を公表しないと、真に効果的な再発防止策は生まれてこないでしょう。

(以下、本文部分は議事録中の夏目氏の発言の一部を転載したもの。見出しは当サイトによる)

 

データ捏造の心理メカニズム

捏造が生まれる瞬間、捏造の温床、それから、まさに捏造が発覚する瞬間というのをですね、まあ幸か不幸か、自慢にも何にもならないんですが、結構な数を見てしまいました。それを見てしまってですね、その後、何が見えてきたかということなんですけども、だいたい私の見るところによると、捏造というのは4つのパターンに分類されます。

 

捏造レベル1

基本的には、まずボトムアップ型というのが非常に基本的ですね。ボトムアップ出来心。あなたが実験をやったとします。「ここに、バンドが出ればなぁ…」、「この濃淡がひっくり返ってくれたらなぁ…」なんて思いながらですね、ついデータをいじってまった。これは全く遊びでやったんですけども、やってるうちに何か妙に熱中してくるんですね。「この濃淡、意外に自然じゃないか」とかですね。悪いことにですね、それをボスに見つかっちゃうんですよ。「お、A君、やったな、とってもいいじゃないか」、「いや、先生これは…」、「よくやったな。君はいつかやってくれると思ってたんだ」、なーんてやってるうちにデータが一人歩きしてですね、言い出せなくなってしまう。で、それがパブリッシュされる。それがたまたま某プレミアムジャーナルで、記者会見までしてしまって・・・。最悪のパターン。これはボトムアップ出来心型という、一番レベルの低い捏造です。

 

捏造レベル2

レベル2というのはですね、ボトムアップ確信犯型というやつですね。レビューアーから「確かめの実験をしなさい。ここの再現性をもう少し見なさい」、あるいは「このデータは数値が少し差が少ない。もう一回確認しなさい」。これはもう何回やったって同じだと。でもしょうがないからやろう。やろうと思ったんですが、それをやるにはですね、抗体が要るんですが、「あっ、抗体が切れてる。ストックが尽きた。しょうがない、ハイブリドーマを起こさなきゃいけないな」。そしたらですね、もう正月休みだったんですね。正月返上で、レビューアーが、「リバイズしなさい」。誰もいない正月の研究室で、ストックを開けてみたらですね、液体窒素が切れてるんですよ。(笑)ハイブリドーマ全滅。どうしようと途方に暮れてる時に除夜の鐘がボ~ンなんて鳴ってね。僕がやったんじゃないですよ。そこで、ですよ。ところが、それで仕方ないと途方に暮れてエクセルに向かってですね、カシャカシャ…。そこに立ち話をしにボスが来たっていうのも知らないのに、やってしまった。というのもあるんですね。これがボトムアップ確信犯型です。どうせバレない。これは非常にたち悪いです。最近ハイテク化したので、こういうのをほぼ生業としているプロの方もいらっしゃって、皆さん「えっ?!」と思うような、ものすごい手口があるんです。それはなかなか見破られません。

 

捏造レベル3

それから、次のレベル3は、もっとたち悪いですね。ボトムアップがあるということは、当然トップダウンもあるんですね。トップダウン恫喝型というのがありますけれども。これはですね、ボスが非常に思い込みの激しい情熱家だったりする場合が多いんですけども、このストーリーの実験でこういうデータが出るまで絶対許さない。データを出さない限りは家にも帰っちゃだめ。全くコントロールと差のないデータを先生に出しても、「心の目で見てみろ」とすごいことを言われて… 泣く泣く捏造に近いことを、なかば強制される。恫喝される。これをトップダウン恫喝型って言うんですね。で、これはレベル3です。

 

捏造レベル4

レベル4はどういうやつだと思いますか? トップダウン洗脳型というやつです。これはですね、これは私、見て本当に驚いたんですけども「捏造は悪ではない」。こんなのやったってやんなくても変わらないようなものはやる必要はない。それによってコストと人件費を大幅に節約できるのだと。「だからバレそうもない捏造は大いにやりなさい」というようなことを激励するような人を、私はたった1人ですが、見たことがあります。(笑)

 

研究不正を防ぐためにPI(研究室主宰者)ができること

実はボトムアップというのも、出来心っていうのもですね、これは、実はボスの責任ですね。PIの責任ですね。そんなうかつにいいデータが出たのを喜んじゃいけないんです。きちんとしたモラルがあれば、こういう捏造というのは未然に防がれるはずです。それからですね、先ほど非常にたち悪いと言いました確信犯型ですね。ボトムアップ確信犯型。もう全然最初からモラル、ある一種の精神異常者に近いと言われてますけど、犯罪が嬉しいんですよね。で、そういう人たちというのも、実はですね、ボスの目から、PIの目からは見えないんですけども、そういうことをやる人間ってやっぱり、何となく雰囲気がおかしいので、周りの人間には何となく伝わってるんです。ということは、ボスがですね、周りの人間によく話を聞いて、データが出た時、ビッグデータが出た時、それをいろんな人間に意見を聞いて検証すれば、これも実は未然に防げるんです。
私の意見としては、鉄則としてはですね、若手の方に「モラルを持って良心を示せ」というPRをもっとしっかりしなきゃいけない。それからですね、先ほども議論があったと思うんですけども、恫喝型の捏造をやむなくしなかった人というのは、ものすごい苦しかったと思うんですね。やっぱり告白する場所がないというのが非常に大変で、ましてや洗脳されなんかしたりすると、悪い宗教に引っかかっちゃったようなもので、抜け出すの大変ですよ。ということは、4つのタイプの捏造も、実際はそのミックスのタイプなんですけども、だいたいの原因、捏造を生む温床というものは、まあ我々自身、研究所のスタッフがつくっている。というふうに私は思ってですね、全然趣旨のない、関係のない話をしました、どうもすみませんでした。

引用元:http://www.mbsj.jp/admins/ethics_and_edu/doc/081209_wakate_sympo_all_final.pdf

 

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東大分生研渡邊教授が論文不正疑惑を説明

NHKニュースなどによれば、東京大学分子細胞生物学研究所の渡邊嘉典教授はOrdinary_researchersによって告発された論文に関して、コメントを発表しました。また、告発で指摘された図表に関して説明した文書、および、雑誌編集者とのやり取りなど論文の訂正に関する対応状況を説明した文書を、関連分野の研究者らに対して開示しました。

 


写真:NHKニュースサイト(既にリンク切れ)の画面のキャプチャー

 

 

Corrections in our papers

コミュニティーの皆様へ                           2017.6.17
このたび東京大学に対する匿名の論文不正の告発があり、私どもの研究室から出された7報の
論文について全てのデータに渡る詳細な調査を受けることになり、研究室を上げて全面的に調
査に協力してきました。8ヶ月に及ぶ調査の結果、5報の論文において、いくつかのデータの表示
において不適切な操作およびミスがあったことが調査委員会により指摘されました。私は今回の
調査結果を真摯に受け止め、これらの論文の責任著者として、論文に正確さに欠ける図表が
載ってしまったことに大きな責任を感じております。指摘を受けたいずれの記載も、当該論文自体
の科学的な結論に影響を与えるものではないと考えておりますが、論文の訂正あるいは取り下
げに関しましては、掲載誌と相談した上で最も適切な処置を速やかにとらせて頂く所存です。私
どもの論文疑惑が関連分野の研究者の皆様をいたずらに惑わすことのないように、委員会より
不適切の指摘を受けた記載についての詳細な情報と、それに対する生データに基づいた修正を、
以下に開示いたします。このたびの私どもの軽率な行いにより、研究者コミュニティーの皆様には
大変なご迷惑をおかけしましたことを心より陳謝いたします。
東京大学分子細胞生物学研究所 染色体動態研究分野 渡邊嘉典

 

追記(20170622):Science誌のニュース欄で、渡邊氏が開示した文書Corrections in our papers全文のリンク(link on a personal website)を含む記事が報道されています。

Watanabe goes through the 23 allegations one-by-one in a document placed in a Dropbox reached by following a link on a personal website. He explains where he believes Ordinary_researchers went wrong or misunderstood the image.
(University of Tokyo scientist hit by anonymous allegations fights back By Dennis Normile Science News Jun. 21, 2017 , 1:00 PM)

指摘された図の生データを開示した例が見られるほか、大半の指摘箇所に関しては調査委員会に対して生データ(”original data”)を呈示したという記述がみられます。

  1. We showed unassembled original data, validating the conclusion.
  2. We showed original data. Figures were correctly assembled (Potential aberration in figures pointed by this accuser can be explained by the limited ability of powerpoint operation).
  3. Original data show identical error bars. But another issue arose through the investigation (see Corrections in our papers).
  4. We showed the original image, which excluded the possibility of a copy and paste. However, a faint band in the IP IgG lane was partly erased by flaFening (see Corrections in our papers).
  5. We showed original data. No image manipulation occurred.
  6. We showed original data. All figures were correctly assembled. In graph e, the fold enrichment to the arm region (zfs) is shown (as described in the legend). Therefore, a set of zfs scores is always ‘1’.
  7. We showed original data. Graphs were correctly assembled.
  8. We showed original data. Graphs were correctly assembled.
  9. We showed the original pictures. All pictures were similarly assembled from two parts in the same plate, so they are valid. Erroneously introduced different adjustment does not influence the conclusion.
  10. The original data indicate that there are minus scores in the ChIP assays. The indicated error bars derive from scores near zero or minus. Graphs were correctly assembled.
  11. We explain that the plates contain phloxin B so that the dead cells become darker. No image manipulation occurred.
  12. We showed original graph, which we traced to produce the published version.
  13. We showed original data in all these panels. No image manipulation occurred. The accentuated contrast, however, erased faint bands in the panels of Tubulin (Fig 3e), CAP-H (Fig 3g), Cdc13 (Fig 5a) and Ac-n (Fig S16) (see Corrections in our paper).
  14. We showed original data. No image manipulation occurred.
  15. These are artifacts arising from the PDF conversion. We showed the original data in Powerpoint file. No image aberration occurred.
  16. We showed original data of all panels, including the right upper panel. Although the leZ two panels derive from the same sample, these were concatenated to assemble the published figure (see Corrections in our papers).
  17. We showed original data in the Excel file. These errors were caused by a mis-calculation of the Excel file (see Corrections in our papers).
  18. We showed original data. No image manipulation occurred.
    (出典:Accusation(E).pdf 太字強調は当サイトによる)

 

報道

  1.  University of Tokyo scientist hit by anonymous allegations fights back (By Dennis Normile Science News Jun. 21, 2017 , 1:00 PM)
  2. 東大教授、実験データ“改ざん”研究不正か (日テレNEWS24 2017年6月21日 02:46):”不正が認定されるのは、東大・分子細胞生物学研究所に所属する50歳代の男性教授。教授は、2003年から2016年にかけてアメリカの科学誌「サイエンス」などに掲載された染色体などに関する複数の論文で、実際には行っていない実験のデータをねつ造したグラフを掲載したり、顕微鏡画像の色や明るさを加工して、実験結果に差があるかのように改ざんしたという。” (注:下線太字の強調は当サイトによる)
  3. 東大論文「不正の疑い」 調査委が報告書案 (日本経済新聞 2017/6/20 20:37):”東大では、渡辺教授を含めた生命科学系や医学系の教授6人を責任著者とする計22本の論文に不正の疑いがあるとの告発があり、外部の有識者らで構成する調査委が調べていた。〔共同〕”
  4. 東大教授、科学論文で不正…顕微鏡画像を加工か (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2017年06月20日 07時14分):”東京大学は、同大分子細胞生物学研究所(分生研)に所属する50歳代の男性教授が発表した複数の科学論文について、画像の改ざんなどが行われていたとして、研究不正と認定する方針を固めた。… 学内で調査した結果、教授が中心となって2015年までに発表した染色体にかかわる論文で、顕微鏡画像の色や明るさを加工し、実験結果に差があるように見せかける改ざんなどが少なくとも3本の論文で判明したという。調査に対し、教授は「分かりやすくした」と釈明しているという。”
  5. 東大教授が論文の訂正など検討 大学は不正ないか調査 (NHK NEWS WEB 6月19日 17時01分):”東京大学の教授が、ネイチャーなどの科学雑誌で発表した分子生物学の論文5本について、「正確さに欠ける図表が載ってしまった」として、論文の訂正や取り下げについて検討を始めたことがわかりました。”

 

参考

 

更新 20170625 東大分生研の捏造ラボに関するツイートを参考に追加 20170622 サイエンス誌の記事を追加、投稿記事タイトルにも追加 20170620 読売新聞等の報道を追加

 

 

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東大医学部の疑惑論文等を画像ソフトで確認

対立する主張

ネットには真偽不明な情報が氾濫しています。正反対の主張を目にしたとき、どちらを信じればよいのでしょうか?

Ordinary_researchersの主張

東京大学は、この夏に2回にわたって届いた研究不正の告発書を受けて、規程に従って予備調査を行い、正式に調査に入ると9月20日に発表した。医学部を中心とした6つの研究室から出ている合計22本の論文で、不自然な点があるという。6つの研究室の主宰者は、いずれもその分野では名前の知れた大物教授ばかりだ。国から受けている研究費の額も大きい。 (ヤフーニュース 2016/10/15)

告発された東大教授らの一人の反論

“This is a totally groundless and false accusation by a faceless complainant,” Kadowaki told ScienceInsider in an email. “We have absolute confidence in all of our data,” he wrote. (University of Tokyo to investigate data manipulation charges against six prominent research groups.  Science News ScienceInsider By Dennis Normile Sep. 20, 2016)

 

自分達の実験データに絶対的な自信があるというのであれば、実験ノートを見せて実験が行われていた事実を示し、生データを全て開示して、エラーバーをいじった棒グラフに関してp値を計算して有意差が確かにあることをみせてほしいものです。

 

Ordinary_researchersの告発文書 Documents of accusation by Ordinary_researchers

Ordinary_researchersは告発文書には、論文の図のおかしさが言葉と図で説明されています。

  1. http://ow.ly/d/5cvq (12ページPDF はじめに~ 2016年8月14日)(PDF コピー
  2. 告発文1 5cvq.pdf )
  3.   http://ow.ly/d/5cvr (5ページPDF 研究資金リスト 2016年8月14日)(PDF コピー 告発文2 5cvr.pdf
  4. http://toudai20168.up.seesaa.net/image/E5918AE799BAE69687EFBC93.pdf(52ページPDF  不自然なデータの指摘 2016年8月14日) (PDF コピー 告発文3.pdf  )
  5. 追加の告発文 http://toudai20168.up.seesaa.net/image/E69DB1E5A4A7E5918AE799BAE7ACACE4BA8CE5BCBE20-20E382B3E38394E383BC.pdf (2016年8月29日)(PDFコピー

 

報道でも、不正が疑われる図の解析手法について、説明があります。

ベクトルデータの図は、Adobe Illustratorなどの作図ソフトで開くと、誌面上では1枚に見えるグラフが、X軸、数字、棒グラフのデータの棒の枠、塗りつぶしにするための黒い長方形、エラーバーを構成する横棒と縦棒など、いくつもの構成要素(オブジェクト)から成り立っていることがわかる。そして、個々のオブジェクトをずらしたり、消したりできるのだ。告発の対象になった論文で、棒グラフのデータ本体の棒を横にずらしたり削除したりすると、エラーバーがデータの下に埋め込まれていた例が多数あった。また、本来であれば1枚の図であるはずなのに複数のパーツからできていたり、あるパーツを90度回転させると、別の図でのパーツに酷似していたりする。(論文不正の告発を受けた東京大学(2) その解析方法の衝撃 ヤフーニュース 2016/10/15

 

DIY: Exposing hidden error bars in Nature papers

ところで、一次情報である論文にアクセスできる場合には、真偽のほどを自分で判断することが可能です。しかし、告発された論文の図をウェブサイトで確認してみると、JPEG形式になっており、自分も最初そうでしたしたが、どうしてあのような解析ができたのかがわからない人もいるようです(897)。そこで、告発文書で指摘されている疑惑のごく一部ではありますが、「棒グラフの背後に隠されたエラーバー」、および「使いまわされた同一のエラーバー」を実際に確認してみたいと思います。高価なアドビイラストレーターがなくても、フリーウェアで事足ります。どちらの主張が本当にgroundless(事実無根)なのか、是非ご自分の目で確かめてみてください。

 See which claim is groundless and make your own judgement

用意するもの What you need

  1. インターネットがつながるパソコン A PC with an Internet connection
  2. ベクター形式の図を取り扱える画像編集ソフト。Inkscape(インクスケープ)(無料)やアドビイラストレーター(有料)など。Vector graphics software
  3. 疑惑論文PDFへのアクセス権 Access to the paper PDF of your interest

 

手順 Step-by-step instructions to reveal hand-written error bars

ベクター形式の図を含む論文PDFの入手 Get the full paper in PDF format, not each JPEG image

不正が疑われている論文のPDFを入手します。図単体のJPEGファイルは、ベクター形式でないため解析できません。必ず論文のPDFを入手してください。もちろんPDF中の画像がベクター形式でないような論文の場合、この解析は適用できません。

一つめの例として、告発文書で指摘された東大医学部の論文の一つ、Adiponectin and AdipoR1 regulate PGC-1α and mitochondria by Ca2+ and AMPK/SIRT1をみてみます。まずは、PDFをダウンロードします。


Fig. 1, On the website, the bar graphs seem to show significant differences. 例として用いた論文の図。解析のためには、このような図単体の画像ファイルではなく、論文全体のPDFに含まれる図を対象とする必要がある。

 

画像編集ソフトで論文PDFを開く  Open the PDF in Inkscape and “un-group” the objects in the PDF

この論文PDFをInkscapeで開きます。これで、図の個々のオブジェクトを編集できる状態になります。ただし、論文によっては図を構成するオブジェクトがグループ化されている場合もあるので、その場合は個々のオブジェクトがばらばらになるまで「グループを解除」する必要があります。

それではいよいよ、バーグラフを構成するオブジェクトのうち、白色や黒色に塗られた部分に相当するオブジェクトを脇にどけてみます。今回の例では、棒グラフの枠の部分のオブジェクトと、内部のオブジェクトが重なって配置されていましたが、クリックを繰り返すことにより選択するオブジェクトを変更できました。

Fig.1a, bの白塗り、あるいは黒塗りのオブジェクトを上の方に全部ずらしてみると、告発文書の説明通り、エラーバーが棒グラフの中に深く埋もれている様子が露わになりました(下図)。


Fig. 1, If you open the paper PDF in Inkscape or Adobe Illustrator, and put aside some objects on the bar graphs, the hidden parts of the error bars come into sight. You can find similar inappropriate data presentation all over this paper, as Ordinary_researchers pointed out in the documents.

この論文のほかの棒グラフも同様に処理してみると、驚いたことに全てのグラフでこのようになっています。

 

2つめの例として、東大医学部の別のラボから出たこの論文HIF-1α-PDK1 axis-induced active glycolysis plays an essential role in macrophage migratory capacityを見てみましょう。

 

告発文書によれば、この論文の図4のバーグラフでは、なんとエラーバーの長さが複数のグラフに対して2種類しかないそうです。先ほどと同様に論文のPDFファイルInkscapeで開きます。不自然な箇所の指摘は多数ありますが、とりあえず、Figure 4a i のグラフに絞ってみてみます。ここには9個の棒グラフおよびエラーバーがありますが、エラーバー以外を全て取り去り、「グループ解除」「グループ化」「整列」「配置」などを使って、エラーバーの高さがわかりやすいように整列させてみました(下図)。告発文書の指摘通り、9つのエラーバー(標準偏差)なのに、大きさが2種類しかありません。


Fig.4a i, When aligned, it becomes obvious that some error bars are identical to each other. You can find similar inappropriate data presentation in other graphs in this paper, as pointed out by Ordinary_researchers in the documents. Semba et al., 2016 Nat Commun Fig.4a iで用いられていた9つのエラーバーを整列させたところ、高さが2種類しかない

 

2022年12月25日追記:余談ですが、大文字のTをエラーバーに使ってましたっていう論文がリトラクションウォッチに紹介されてました(下のツイート)。この撤回論文はもうジョークでしかないですが、上の東大医学部の論文も、この撤回論文とやっていることが大差ないように自分には思えます。しかし、東大は何の理由も述べずにこれらの疑惑論文に不正は認められないと主張しました。そのため、上の論文は撤回されることもなく、今(2022年12月現在)でも生きています。つまり、東大の研究業績として、東大に公的補助金が流れ込むのに貢献しているというわけです。ジョークとして笑いとばすことは全くできません。実験値を表さないような棒グラフを適当に手で描いたり、エラーバーを手作業でいじるのは研究不正には該当しないとか、統計ソフトを使えば手作業を入れる余地がないにもかかわらず、手作業を挟むのが通常の論文作成の作法だなどとのたまうような大学が、10兆円ファンドの対象となる国際卓越研究大学に選ばれるのって、何かの悪い冗談ですか?って内心思います。

 

 

3つめの例として、東京大学分子細胞生物学研究所(分生研)からの論文Condensin association with histone H2A shapes mitotic chromosomes Fig.3dをみてみます。棒グラフの黒い部分を脇にどけてみると、おかしなエラーバーが現れます。図の説明によれば、Error bars represent s.e.m. (n=15 cells). ***,P<0.001. エラーバーはSEMだそうですが、やはり中に押し込んで短く見せかけています。

それだけでなく、上図3つのエラーバーを拡大して整列させてみると、大きさが同一で、しかもなぜかほんのわずか傾いていることがわかります。告発文書が指摘している通りでした。


(Fig.3d, When aligned, it becomes obvious that the error bars in Fig.3d are identical. For more detailed information, see the Ordinary_researchers’ documents.)

 

考察 Some thoughts

1番めの例のように、片側表示しているエラーバーが棒グラフの内側に入り込むなどということは、通常の論文図作成過程ではあり得ません。念のため、他の不正の疑いがない論文PDF中の棒グラフも試しましたが、このようなおかしなことは生じませんでした。この論文にはここで示した以外にも多数の棒グラフが含まれますが、ほぼ全てでエラーバーの陥没が認められました。エラーバーを短くして有意差があったかのように見せかける意図が伺われます。論文の主張を裏付けるはずの多数の実験データが、実はどれも”有意差無し”だったのだとしたら、実に衝撃的です。操作された図の多さからすると、「この実験で有意差が出てくれないと困る!」という切羽詰った動機によるものではなく、このような”作業”が常態化していることが伺われます。

2番目や3番目の例のように実験群のエラーバーがこんなふうに同一になることはあり得ません。標準偏差や標準誤差の計算すら端折って、コピペで同じエラーバーを使いまわしていることから、このような”作業”が常態化していることが伺われます。統計ソフトを使うと数値データからグラフを描くのはソフトが自動的にやってくれますので、エラーバーの位置や長さに関して手作業が介入する余地はありません。標準偏差や標準誤差の計算をはしょったどころか、計算に使うべき数値データがそもそも存在していなかった可能性すら考えられます。

 

結論 Concluding remarks

実験データを統計処理してグラフを描いた経験がある人であれば、これぞまさしくデータ捏造の動かぬ証拠と考えるのが普通でしょう。これがデータ捏造ではないというのであれば、東京大学の調査委員会や論文著者は、実験ノートを開示して実験が本当に行なわれていたことを示し、実験ノートに記載され図作成に用いられた全ての数値から有意差があることを計算してみせ、何の意図でどのような操作をすればこんなデタラメな図が作成できるのかを、研究者コミュニティおよび国民に対して早急に説明する必要があります。仮に、そういった情報の開示なしに「不正はありませんでした」と言われたところで、そんな根拠のない主張を受け入れる人はあまりいないでしょう。

 

(20170807追記) m3.comに調査書本文の一部と思われる部分が記載されていたので、転載しコメントを追加します。

【医学系研究科5教授の論文の調査結果の概要】
 調査においては、実験ノート、オリジナルデータの確認を行い、これらの全部または一部失われた場合は、関連する実験ノート、その他のデータ・記録の存在および内容を確認した。その結果、全ての論文について、実験は実施されたものと認められ、本件においては捏造はないと判断した。
 他方で、雑誌に掲載された論文の図および再現データ(出版社のWebサイト上の論文の図等から得られる「ベクトルデータ」から再現された数値データ)を確認したところ、ほとんどの図で、申立者の指摘するような、再現データとオリジナルデータは一致していないという事実が確認された。
 そのため、さらにその原因を調査し、不一致が改ざんによるものか否かの確認、検討を行ったが、いずれも改ざんによって生じたものとは認められなかった。(引用元:東大・分生研教授ら、5報の論文で不正行為 調査結果を公表、医学系研究科5教授は不正なし m3.com 2017年8月2日)

実に興味深いことに、東大の不正調査委員会は、「ほとんどの図で、申立者の指摘するような、再現データとオリジナルデータは一致していない」とOrdinary_researchersの指摘を認めました。生データが図に一致しない論文を出すのは、研究不正の定義そのものですから、事実上研究不正を認めた文言と受け取れます(少なくとも自分には)。

改ざん:データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。文科省

それにもかかわらず、東京大学は何の根拠も示さずに、図とオリジナルデータの不一致は改ざんではないと主張しています。改竄ではないと判断するならその根拠を説明すべきです。改竄ではないので調査内容は公開しないという主張は、論理が破綻しています。

 

 

このような不適切なデータを含む論文が、2016年8月14日付けの告発以来長期にわたって著者からの何の釈明もなく、訂正も撤回もされないまま現在に至るまで放置されています。何も知らない世界中の研究者らは今日もこの論文を読み、引用し続けていることが、論文のArticle metricsから伺えます。

 

追記(6月20日)

T大糖○△内科の論文著者の一人が「手作業でエクセル変換したらズレただけ」と釈明したというツイートを見かけました。仮にこの発言が真実だとすれば、この著者はズレる前のエラーバーの長さとズレた後のエラーバーの長さを見ていたということになります。研究者であれば実験結果のエラーバーの大きさは非常に気になることなので、これほど長さが変われば、気付かないはずがありません。仮に、気付かなかったという言い訳が出たとしても、質や量を考えればこれは「研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる捏造」(文科省ガイドラインPDF)に該当すると思います。また、エラーバーがズレたのかどうかは別にしても、実験ノートに記録されているデータに対して正しい検定方法を適用した場合に有意差があること、さらに、このエラーバーの長さも再現されることを示す責任が論文著者にはあります。また、そのような調査を行ったかどうかを国民に報告する責任が、東京大学の調査委員会にはあります。

関連記事 ⇒ 医学系論文に関する報告がまだ済んでいない東大

 

参考

  1. 22報論文に関する調査報告書
  2. 東京大学病院糖尿病・代謝内科(科長 門脇 孝 教授)
  3. 東京大学医学部附属病院 循環器内科(小室 一成 教授)
  4. 東京大学分子細胞生物学研究所 染色体動態研究分野 渡邊 嘉典 研究室

 

論文不正疑惑のラボで起きていたもっと恐ろしい出来事

研究をやってきた人間としては、トップジャーナルの論文の図の棒グラフやエラーバーが全部デタラメという様を見せつけられるのは、一般の人が人殺しの現場を見せられるくらいのおぞましさじゃないかと思います。ところが、上で紹介した臨床系のラボが関わった東大病院の手術でトンデモないことが起きていたという報道がありました。手術で患者さんが亡くなったのですが、その経過を読んだら、基礎研究の論文におけるデータ捏造のおぞましさが吹っ飛ぶくらいの衝撃を受けました。

  1. シリーズ「検証東大病院 封印した死」(TANSA (旧称:ワセダクロニクル))

 

更新:20180221 誤字訂正 20170814 記事タイトルを短く「東大医・分生研論文疑惑を画像ソフトで確認」と変更していたのですが、旧タイトル「不正疑惑渦中の東大医学部論文および東大分生研論文の告発内容を画像編集フリーソフトで確認する方法」に戻しました。ヤフー解説記事に旧タイトルでリンクしていただいたため。 20170807 m3.comの資料を転載 20170702 簡潔な英語の注釈を付記 20170621 解析例を2つ追加

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インパクトファクター2018学術誌ランキング

 

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医学雑誌のインパクトファクターは、記事を分けました。

関連記事⇒ 医学系の学術雑誌インパクトファクター 2018ランキング


インパクトファクター2019年6月発表

毎年6月にクラリベイト(Clarivate)がJournal Citation Reports (JCR) を発表しています。2019年6月には前年度の集計JCR2018 が発表されます。ClarivateのJCRは契約をしている大学や研究機関しか見ることができないのですが、各雑誌社が多くの場合に自分の雑誌のインパクトファクターを直ちにウェブサイトに掲載するので、最新の数値を雑誌サイトで調べることが簡単にできます。

以下、Nature 43.070(2018)と表記した場合、2019年6月に発表された2018年のジャーナルサイテーションインデックス(JCR)(つまり、インパクトファクター)という意味です。

主なジャーナルの最新のインパクトファクターを見てみます。

NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE 79.258(2017)-70.670(2018)
JAMA-JOURNAL OF THE AMERICAN MEDICAL ASSOCIATION 47.661(2017)-51.273(2018)
Nature 41.577(2017)-43.070(2018)
SCIENCE 41.058(2017)-41.037(2018)
NATURE MATERIALS 39.235(2017)-38.887(2018)
NATURE BIOTECHNOLOGY 35.724(2017)-31.864(2018)
NATURE MEDICINE 32.621(2017)-30.641(2018)
CELL 31.398(2017)-36.216(2018)
NATURE GENETICS 27.125(2017)-25.455(2018)
NATURE METHODS 26.919(2017)-28.467(2018)
Nature Chemistry 26.201(2017)-23.193(2018)
Cell Stem Cell 23.290(2017)-21.464(2018)
BMJ-British Medical Journal 23.259(2017)-27.604(2018)
CANCER CELL 22.844(2017)-23.916(2018)
NATURE NEUROSCIENCE 19.912(2017)-21.126(2018)
NATURE CELL BIOLOGY 19.064(2017)-17.728(2018)
NEURON 14.318(2017)-14.403(2018)
MOLECULAR CELL 14.248(2017)-14.548(2018)
NATURE STRUCTURAL & MOLECULAR BIOLOGY 13.333(2017)-12.109(2018)
Nature Protocols 12.423(2017)-11.334(2018)
Nature Communications 12.353(2017)-11.878(2018)
PLOS MEDICINE 11.675(2017)-11.048(2018)
Molecular Psychiatry 11.640 (2017)-11.973(2018)
Science Advances 11.511(2017)-12.804(2018)
Nature Plants 11.471(2017)-13.297(2018)
EMBO JOURNAL 10.557(2017)-11.227(2018)
GENOME RESEARCH 10.101(2017)-9.944(2018)
DEVELOPMENTAL CELL 9.616(2017)-9.190(2018)
PROCEEDINGS OF THE NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES OF THE UNITED STATES OF AMERICA (PNAS) 9.504(2017)-9.580(2018)
GENES & DEVELOPMENT 9.462(2017)-8.990(2018)
Molecular Plant 9.326(2017)-10.812(2018)
CURRENT BIOLOGY 9.251(2017)-9.193(2018)
PLOS BIOLOGY 9.163(2017)-8.386(2018)
PHYSICAL REVIEW LETTERS 8.839(2017)-9.227(2018)
JOURNAL OF CELL BIOLOGY 8.784(2017)-8.891(2018)
EMBO REPORTS 8.749(2017)-8.383(2018)
PLANT CELL 8.228(2017)
Cell Reports 8.032(2017)
eLife 7.616(2017)
NEURAL NETWORKS 7.197(2017)
Stem Cell Reports 6.537(2017)
Science Signaling 6.378(2017)
CEREBRAL CORTEX 6.308(2017)
GLIA 5.846(2017)
BMC BIOLOGY 5.770(2017)
FASEB JOURNAL 5.595(2017)
Journal of Molecular Cell Biology 5.595(2017)
PLoS Genetics 5.540(2017)
DEVELOPMENT 5.413(2017)
Scientific Data 5.305(2017)
SLEEP 5.135(2017)
Human Molecular Genetics 4.902(2017)
Cells 4.829(2017)
FEBS Journal 4.530(2017)
RNA 4.490(2017)
BIOESSAYS 4.419(2017)
Scientific Reports 4.122(2017)
GENETICS 4.075(2017)v
JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY 4.010(2017)
METHODS 3.998(2017)
Open Biology 3.286(2017)
CEREBELLUM 3.199(2017)
Frontiers in Neural Circuits 3.131(2017)
HIPPOCAMPUS 3.966(2017)
PLoS Computational Biology 3.955(2017)
Biochemical Journal 3.857 (2017)
BMC GENOMICS 3.730(2017)
CELL CALCIUM 3.718(2017)
NEUROSCIENCE 3.382(2017)
Zoological Letters 2.900(2017)
PLoS One 2.766(2017)
G3-Genes Genomes Genetics 2.742(2017)
BMC Developmental Biology 2.427(2017)
Neuroscience Research 2.277(2017)
Biology Open 2.217(2017)
Mechanisms of Development 1.900 (2017)
JoVE 1.184(2017)

参考

  1. 各雑誌社のウェブサイト
  2. クラリベイト プレスリリース
  3. 2018 Journal Citation Reports
  4. [2018年] 最新インパクトファクター 基礎医学・生命科学 負け犬主義。2018年06月27日02:13

 


インパクト・ファクターとは?

ジャーナル・インパクト・ファクター(Journal Impact Factor)は、学術雑誌の影響力を測る指標で、対象年における引用回数を、対象年に先立つ 2 年間にそのジャーナルが掲載したソース項目の総数で割ることによって計算されますインパクトファクターについて  Clarivate Analytics)。

The Impact Factor of journal J in the calendar year X is the number of citations received by J in X to any item published in J in (X-1) or (X-2), divided by the number of source items published in J in (X-1) or (X-2). (Measuring  a journal’s impact. ELSEVIER)

日本語で説明されたほうがわかりやすいですね。

2010年のIFは次のように計算されます。

IFX =2008年と2009年にジャーナルX誌が掲載した論文の2010年の総引用回数
2008年と2009年にジャーナルX誌が掲載した全ての引用可能な論文数

お気付きだと思いますが、2010年のIFは2011年以降に利用できるようになります。(nue.riec.tohoku.ac.jp

 

インパクトファクターが高いジャーナルに論文が通るかどうかで、研究者は一喜一憂しますが、インパクトファクターの動向が気がかりなのは、雑誌社にとっても同じです。ちなみに、研究分野や雑誌のスコープにより数字の出方がかなり異なるため、分野や性格の違う雑誌同士でインパクトファクターを比較して優劣を論じるのは無意味です。

しかし、現実的にはインパクトファクターは研究者の業績の目安として使われることが多く、ファカルティポジションへの応募書類の中の業績一覧にインパクトファファクターを併記させる大学があるなど、人物評価の基準として用いられることがあるようです。

インパクトファクターの調べ方

毎年クラリベイトという会社が学術誌のインパクトファクターを計算して、公表しているようです。多くの雑誌社は自分の雑誌のインパクトファクターをウェブサイト上で紹介しています。インターネットを検索すると、インパクトファクターの一覧表がヒットします。

 

2016年のインパクトファクターが、公表されました。その中から一部を紹介します(参照サイト: researchgate.net/post/New_Impact_factors_2017_for_Journals_are_released_nowbioxbio.com/ifCell Press Journal Metrics、個々のジャーナルサイトなど)

2017年の6月に発表されるインパクトファクターは、「2016年のインパクトファクター」です。ややこしいですが、当サイトでは、Nature 40.137(2016)-41.577(2017)のように表示することにします。

雑誌研究分野別インファクトファクター一覧

科学総合誌

  1. Nature (ネイチャー)40.137(2016) (推移:31.434 – 34.48 – 36.101 – 36.28 – 42.351 – 41.456 – 38.138 – 40.137(2016) bioxbio.com)
  2. Science (サイエンス)37.205(2016) (推移:28.103 – 29.747 – 31.364 – 31.201 – 31.027 – 31.477  –  33.611 – 34.661 –  37.205(2016)   bioxbio.com)
  3. Nature Communications (ネイチャーコミュニケーションズ)12.124(2016) (推移:7.396 – 10.015 – 10.742 – 11.470 – 11.329 – 12.124(2016) bioxbio.com)
  4. PNAS (Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America) (ピーエヌエイエス)9.661(2016) (推移:bioxbio.com
  5. Scientific Reports (サイエンティフィックリポーツ)4.259(2016) (推移:2.927 – 5.078 – 5.578 – 5.228 – 4.259(2016) bioxbio.com

 

生物学総合誌

  1. Cell 30.41(2016)(セル) (推移:32.242 – 28.71 – 30.41(2016) bioxbio.com)
  2. PLOS Biology (プロスバイオロジー)9.797(2016) (推移:9.343 – 8.668 – 9.797(2016) bioxbio.com)
  3. Current Biology (カレントバイオロジー) 8.851(2016) (推移:9.571 – 8.983 – 8.851(2016) bioxbio.com)
  4. Cell Reports (セルリポーツ)8.282(2016) ( 推移:7.87 – 8.358 – 8.282(2016) bioxbio.com)
  5. elife (イーライフ)7.725(2016) (推移:9.322 – 8.282 – 7.725(2016) bioxbio.com)
  6. BMC Biology 6.779(2016) (推移:7.984 – 6.967 – 6.779(2016) bioxbio.com)
  7. Proceedings of the Royal Society B-Biological Sciences  4.940(2016)
  8. PLOS ONE (プロスワン)2.806(2016) (推移:3.234 – 3.057 – 2.806(2016) bioxbio.com)
  9. Biology Open (バイオロジーオープン)2.095(2016) 

 



 

発生生物学

  1. Genes & Development 9.413(2016) (推移 13.623 – 12.075 – 12.889 – 11.659 – 12.444 – 12.639 – 10.798 – 10.042 – 9.413(2016) bioxbio.com)
  2. Developmental Cell 9.174(2016) (推移 12.882 – 13.363 – 13.946 – 14.03 – 12.861 – 10.366 – 9.708 – 9.338 – 9.174(2016) bioxbio.com)
  3. Development 5.843(2016) (推移 6.812 – 7.194 – 6.898 – 6.596 – 6.208 – 6.273 – 6.462 – 6.059 – 5.843(2016) bioxbio.com)
  4. Developmental Biology 2.944(2016) (推移 4.416 – 4.379 – 4.094 – 4.069 – 3.868 – 3.637 – 3.547 – 3.155 – 2.944(2016) bioxbio.com)
  5. Differentiation 2.567(2016)
  6. Development Growth & Differentiation 2.145(2016)
  7. Developmental Dynamics 2.004(2016)
  8. International Journal of Developmental Biology 1.981(2016)
  9. Mechanisms of Development 1.333(2016) (推移 2.534 – 2.827 – 2.958 – 2.833 – 2.383 – 2.238 – 2.440 – 2.041 – 1.333(2016) bioxbio.com)

 

ゲノム科学・遺伝学

  1. Nature Genetics 27.959(2016)
  2. Genome Research  11.922(2016)
  3. Genome Biology  11.908(2016)
  4. PLoS Genetics 6.100(2016)
  5. Genetics 4.556(2016)
  6. BMC Genomics 3.729(2016)
  7. Genomics 2.801(2016)

 

神経科学

  1. Nature Neuroscience 17.839(2016)
  2. Neuron 14.024(2016)
  3. Frontiers in Neuroendocrinology 9.425(2016)
  4. Journal of Neuroscience    5.988(2016) (推移 7.452 – 7.178 – 7.271 – 7.115 – 6.908 – 6.747 – 6.344 – 5.924 – 5.988(2016) bioxbio.com)
  5. Frontiers in Molecular Neuroscience 5.076(2016)
  6. Frontiers in Cellular Neuroscience 4.555(2016)
  7. Frontiers in Aging Neuroscience 4.504(2016)
  8. Frontiers in Neuroinformatics 3.870(2016)
  9. Frontiers in Neuroscience 3.566(2016)
  10. Frontiers in Neurology 3.552(2016)
  11. Frontiers in Neuroanatomy 3.267(2016)
  12. Frontiers in Neural Circuits 3.005(2016)
  13. European Journal of Neuroscience  2.941(2016)
  14. Journal of Neuroscience Methods 2.554(2016)
  15. Journal of Neuroscience Research 2.481(2016)
  16. BMC Neuroscience 2.312(2016)
  17. Neuroscience Letters 2.180(2016)
  18. Neuroscience Research 2.060(2016)

 

細胞生物学、分子生物学、その他の生物学専門誌

  1. Nature Biotechnology 41.667
  2. Nature Methods 25.062
  3. Nature Cell Biology 20.060
  4. Molecular Cell  14.714
  5. Nucleic Acids Research (NAR)  10.162(2016) (推移 6.878 – 7.479 – 7.836 – 8.026 – 8.278 – 8.808 – 9.112 – 9.202 – 10.162(2016) bioxbio.com)
  6. EMBO J 9.792(2016)
  7. Molecular Plant  8.827(2016)
  8. Plant Cell 8.688(2016)
  9. Journal of Cell Biology (JCB)  7.955(2016)
  10. Cell Reports 8.282(2016)
  11. Frontiers in Ecology and the Environment 8.039(2016)
  12. Biochimica et Biophysica Acta (BBA)- General subjects  4.702(2016)
  13. Frontiers in Pharmacology 4.400(2016)
  14. Journal of Biological Chemistry (JBC) 4.125(2016)
  15. Biochemical and Biophysical Research Communications (BBRC)  2.466(2016)
  16. Genes to Cells 1.993(2016)
  17. Cell Structure and Function 1.900(2016)

化学

  1. Nature Chemistry 25.870(2016)
  2. Journal of the American Chemical Society (JACS) 13.858(2016)
  3. Angewandte Chemie-International Edition  11.994(2016)
  4. Bulletin of the Chemical Society of Japan 2.297(2016)
  5. Chemistry Letters 1.801(2016)

 

物理 物理化学 材料科学 工学

  1. Nature Materials 39.737(2016)
  2. Nature Nanotechnology 38.986(2016)
  3. Nature Photonics 37.852(2016)
  4. Physical Review Letters 8.462(2016)
  5. Soft Robotics 8.649 (2016)

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

医学系雑誌のインパクトファクター

医学雑誌のインパクトファクターは、記事を分けました。

関連記事⇒ 医学系の学術雑誌インパクトファクター 2018ランキング

医学系総合誌

  1. New England Journal of Medicine (NEJM)  72.406(2016)
  2. LANCET 47.831(2016)-53.254(2017) –59.102(2018)
  3. JAMA (Journal of the American Medical Association) 44.405(2016)
  4. Nature Medicine 29.886(2016)

 

医学系専門誌

  1. LANCET Oncology   33.900(2016)
  2. Cancer Cell 27.407(2016)
  3. Journal of Clinical Oncology 24.008(2016)
  4. LANCET Neurology 26.284(2016)
  5. Immunity 22.845(2016)
  6. Nature Immunology 21.506(2016)
  7. JACC (Journal of the American College of Cardiology) 19.896(2016)
  8. Molecular Psychiatry 13.204(2016)
  9. Journal of Clinical Investigation 12.784(2016)
  10. Liver Cancer 7.854(2016)
  11. Frontiers in Immunology 6.429(2016)
  12. Epilepsia 5.295(2016)

 

参考

  1. New Impact factors (2017) for Journals are released now (https://www.researchgate.net/post/New_Impact_factors_2017_for_Journals_are_released_now)
  2. NATURE RESEARCH JOURNAL METRICS ネイチャーおよびネイチャー姉妹紙のインパクトファクター一覧など
  3. Cell Press Journal Metrics JCR(2016) セル・プレスジャーナルのインパクトファクター一覧
  4. Frontiers journals indexed in the 2016 Journal Citation Reports (Table 1) フロンティアジャーナルのインパクトファクター一覧
  5. ELSEVIER Journal Metrics: Find the latest metrics for Elsevier’s journals per subject area ELSEVER社が出版する学術雑誌のインパクトファクター総覧(分野別)
  6. Journal IF (bioxbio.com) ジャーナル・インパクトファクター検索サイト
  7. Journal Citation Reports (JCR) で最新版(2016年)のインパクトファクターが公表されました (鹿児島大学附属図書館 情報サービス課情報調査支援係 2017.6.15):” 2017年6月14日付(米国時間)で最新版Journal Citation Reports (JCR) がリリースされ、インパクトファクターをはじめとする、ジャーナルの各種指標の最新データ(2016年)が公表されました。世界81か国から236分野、11,459誌が収録されています。”
  8. World’s most influential journals for 2017 unveiled in the Journal Citation Reports from Clarivate Analytics (Clarivate Analytics News releases):”PHILADELPHIA, June 14, 2017 /PRNewswire/ — Clarivate Analytics today released the 2017 Journal Citation Reports (JCR), an annual update of the world’s most influential and comprehensive resource for information on highly cited, peer-reviewed publications and the source of Journal Impact Factor (JIF) scores. “
  9. World’s most influential journals for 2017 unveiled in the Journal Citation Reports (tass.com June 14,2017 16:00 UTC+3) :”Clarivate Analytics today released the 2017 Journal Citation Reports (JCR), an annual update of the world’s most influential and comprehensive resource for information on highly cited, peer-reviewed publications and the source of Journal Impact Factor (JIF) scores.”
  10. Scientific Reports 2017年発表インパクトファクター 4.259 (http://www.natureasia.com/ja-jp/srep/):”2016 Journal Citation Reports (Thomson Reuters, 2017) Scientific Reports は、一次研究論文を扱う、オープンアクセスの電子ジャーナルです。本誌は、自然科学(生物学、化学、物理学、地球科学)のあらゆる領域を対象としています。
  11. ACMG’s Genetics in Medicine Journal Receives Record High Impact Factor of 8.229 for 2016: GIM Now in Top 2.5% of All Indexed Journals (PR Newswire/American College of Medical Genetics and Genomics 15 Jun, 2017, 11:33 ET):”The American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG) announced that the Thomson Reuters Impact Factor Journal Citation Reports has just increased the impact factor of the ACMG’s peer-reviewed medical genetics and genomics journal, Genetics in Medicine (GIM) to 8.229 for 2016, up from 7.710 in 2015. GIM is currently ranked 10 of 166 titles in the Genetics & Heredity category and is the top-ranked of genetic journal that has a primarily clinical focus.”
  12. Clinical Chemistry Impact Factor Rises to 8, the Highest in the History of the Journal (Newswise/American Association for Clinical Chemistry (AACC) 15-Jun-2017 1:00 PM EDT):”AACC, a global scientific and medical professional organization dedicated to better health through laboratory medicine, is pleased to announce that the impact factor of its journal, Clinical Chemistry, has risen to 8.008 in the 2016 Thomson Reuters Journal Citation Reports. This impact factor places Clinical Chemistry in the top 2.6% of 12,062 ranked academic journals and speaks to the significant influence of the science it publishes on laboratory medicine and patient care.”
  13. Celebrating a high performing new journal in quantum information (EurekAlert!/University of New South Wales Public Release: 15-Jun-2017):”UNSW Sydney is proud of the early publication performance, influence and reach of its Nature Partner Journal npj Quantum Information, from advancing discovery to affecting public discourse. At a time of the year when the Journal Citation ReportsTM are published, UNSW sees npj Quantum Information’s inaugural Impact Factor in the context of a variety of journal-based metrics that provide a richer view of the journal’s performance. For 2016, the range of performance metrics, which are made available on the journal website, include:2-year Impact Factor: 9.111   Immediacy Index: 1.560   Eigenfactor® score: 0.00060   Article Influence Score: 4.617″
  14. 日本発化学ジャーナルの行く末は? (日本最大の化学ポータルサイト Chem-Station 2015/11/20)

 

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