第15回スリランカフェスティバル(2019年8月3日(土)、4日(日)10:00~20:00 代々木公園イベント広場)のチラシに、断崖絶壁に囲まれまれた不思議な場所の写真が写っていて、
「何だろう、これ?」と思って調べたら、シーギリア・ロックと呼ばれる場所でした。
Se7en Stages of Defense at Sigiriya, Sri Lanka – Part I
第15回スリランカフェスティバル(2019年8月3日(土)、4日(日)10:00~20:00 代々木公園イベント広場)のチラシに、断崖絶壁に囲まれまれた不思議な場所の写真が写っていて、
「何だろう、これ?」と思って調べたら、シーギリア・ロックと呼ばれる場所でした。
Se7en Stages of Defense at Sigiriya, Sri Lanka – Part I
生きた線虫が、シベリア永久凍土の更新世 後期の地層(4万2千年前)から回収されました。
論文では異なる場所で得られた2サンプルから、線虫を見つけていますが、そのうちの古かったほうに関しては、掘削により3.5mの深さから得られたコア(地質試料)の中から見つかりました。このコアには植物の残骸も含まれていて、その放射性炭素年代測定(radiocarbon dating)により、このコア中に含まれる生体試料の古さは41700 ±1400 年前と推定されました。
Permafrost samples (1–2 g) were placed into Petri dishes with the Prescott–James medium and cultivated at 20°C for several weeks [4]. The clonal cultures of nematodes were obtained from the enrichment culture.
凍土サンプル1~2g程度を、培養液を含むペトリディッシュに移し、数週間、培養したんだそうです。そうすると、線虫のクローンが回収できたとのこと。つまり、凍っていた一匹が動き出した瞬間を観察したというわけではなく、たまたまサンプル中に存在していた「生育可能な一匹」が培養中で増殖した結果、増えてきた線虫たちを観察できたということです。
場所や地質年代などがことなるサンプルを300以上も試したうち、2つのサンプルから生育可能な線虫が存在したのだそうです。
18S rRNA遺伝子をPCR法により増幅し、その塩基配列を決定して、種々の線虫の遺伝子47種と比較した結果、属はPlectusとわかり、形態学的な特徴からPlectus parvusに相当すると考えられました。もう一方のサンプル中(3万2千年前)に含まれていた線虫は、Panagrolaimus detritophagusと考えられました。
著者らはディスカッションのセクションで、季節によって仮に凍土の表面が融けることがあったとしてもせいぜい80cmくらいまでで、1.5mの深さ以上が融解することは9000年前でもなかったはずだと述べています。また3.5mの深さだと凍土は非常に固くなっており、外的な要因で外部から線虫が凍土の内部に入り込む余地はないと断言しています。
凍った状態の線虫を生き返らせたこれまでの記録は、39年(Tylenchus polyhypnusという種)や25年半(Plectus murrayiという種)という報告がありました。これらの記録を一気に4万年以上も塗り替えたことになります。
論文中の著者らの言葉を借りれば、
the first data demonstrating the capability of multicellular organisms for longterm cryobiosis in permafrost deposits of the Arctic.
the first viable multicellular organisms, namely, soil nematodes, have been isolated from permafrost deposits.
our data demonstrate the ability of multicellular organisms to survive long-term (tens of thousands of years) cryobiosis under the conditions of natural cryoconservation.
永久凍土から多細胞生物を生き返らせることができた最初の例だそうです。この論文は、地球上で自然に生じる凍結条件のもとで数万年もの長い間、多細胞生物が生きながらえる能力を備えていることを初めて示したものです。
もし地球全体が長期間氷で閉ざされるような気候になったとしも、線虫のような動物だけは何万年でも生きながらえて、気候が好転したときに再び生命活動を再開するのでしょう。
- Viable Nematodes from Late Pleistocene Permafrost of the Kolyma River Lowland. Shatilovich et al., 2018. Doklady Biological Sciences, 2018, Vol. 480, pp. 100–102.
放射性炭素年代測定: 自然界には、重さの違う3種の炭素同位体(12C,13C,14C)が存在します。このうち14Cは放射性同位体と呼ばれ、地球上に絶え間なく降り注ぐ宇宙線が大気中で原子核反応をして作られる一方、半減期5730年で放射壊変により減少していきます(5730年で半分に減少します)。こうして生成量と減少量がつりあい、環境中の14C濃度は一定となります。このとき炭素の割合は
12C : 13C :14C = 0.99 : 0.01 : 1.2×10-12
となっており、14Cは通常の(12C)炭素の約1兆分の1の割合で現在の自然界に存在しています。炭素元素は酸化されてCO2となり、大気圏、生物圏、水圏へと拡散して、12C,13Cと共に14Cも植物体やそれを食する動物体に取り込まれます。動植物が生命活動を行っている間は、動植物が体内に取り込んでいる炭素の割合は環境(自然界)の割合と平衡状態にあります。ところがその動植物が死んでしまうと、体内に取り込まれていた12C と13Cは安定しているのに対して、 14Cは新たに補充されることないため、半減期に従って時間の経過とともに一定の割合で減少します。この14Cが規則的に減少するという性質が正確に時を刻む時計の役割を果たし、これを利用して年代測定を行なうことができるのです。動物中の初期14C量と減少後14C量を比較することにより、生物が死んでから今日まで経過した時間を推定する方法が放射性炭素年代測定法です。(放射性炭素年代測定の概要 株式会社加速器分析研究所)
生物が生きているときは,その炭素は大気中のCO,の炭素と同じ濃度で14Cを含んでいるが,生物体に有機物として固定された炭素は大気中の14Cとは無関係となり,生物の死後その有機物中の14Cは5730年の半減期で減少する。すなわち,5730年前の生物遺体中の14Cは半分に減少し,5730×2年前のものは(1/2)×(1/2)に減少する割合で減少する。この減少量を測定して,その生物が何年前に生存していたかを推定することができる。しかし,この推定には次のことが正確に知られている必要がある。1) 14Cの半減期の値,2)過去の大気中の14C濃度,3)生存している生物体の炭素と大気中のCO2の炭素の中の14C濃度の関係。(引用元:放射性炭素14Cに よる年代測定 木越邦彦 地学雑誌 94-7 (1985) PDF)
Radiocarbon dating, also known as carbon-14 dating, is a radioactive decay-based method for determining the age of organic remains that lived within the past 50,000 years.
Most carbon-14 is created from nitrogen-14 in the earth’s upper atmosphere as a consequence of cosmic ray bombardment. It is one of several similarly formed cosmogenic nuclides. Newly formed carbon-14 atoms oxidize to carbon dioxide and become thoroughly mixed with the other atmospheric gases, through atmospheric dynamics. Upon reaching the earth’s surface, a small percentage of carbon-14 containing carbon dioxide is taken up by plants and then incorporation into plant biomolecules via photosynthesis. It becomes incorporated into the biomolecules of heterotrophic organisms (animals) via the food chain.
The radiocarbon dating method is based on the fact that plant and animal tissue levels of carbon-14 remain relatively constant during life, but taper off at a predictable rate in surviving remains. The half-life of carbon-14 is 5730 years. Typically, traces of radiocarbon can be detected in organic remains up to 50,000 years old. (Radiocarbon dating The University of Arizona Accelerator Mass Spectrometry Laboratory )
夜の南天低いところに異様に赤く明るく光る星が目につきますが、それは火星で、現在地球にかなり接近しているため明るく見えています。
火星大接近2018(国立天文台)
2003年8月以来の最接近で、2018年7月31日に火星は地球に最も近づきます。ちなみに衝(Opposition)(火星が太陽の正反対の位置にくる)は7月28日(日本時間)。
What’s Up for July 2018
火星大接近2018は、「大接近」とも呼ばれる近い距離での最接近となります。このころの火星はマイナス2.8等の明るさで輝き、視直径は24秒角を超えます。(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台)
地表に現れたマントル由来の岩石に湧く泉で、どのような生物がいるか調べたところ、27種の微生物の遺伝子が見つかった。周辺は強アルカリ性で、約40億年前の地球に似た過酷な環境という。 そのうち、岩石に付着した細菌では、酸素を使った呼吸など生命維持に必要とされるエネルギーを得るための遺伝子を一つも持っていなかった。(どうやって生きてるのか…「常識外れ」の細菌、泉で発見 朝日新聞 DIGITAL7/21(金) 23:27)
論文はこちら。
The ISME Journal , (21 July 2017) | doi:10.1038/ismej.2017.111
Shino Suzuki, Shun’ichi Ishii, Tatsuhiko Hoshino, Amanda Rietze, Aaron Tenney, Penny L Morrill, Fumio Inagaki, J Gijs Kuenen and Kenneth H Nealson
Water from The Cedars springs that discharge from serpentinized ultramafic rocks feature highly basic (pH=~12), highly reducing (Eh<−550 mV) conditions with low ionic concentrations. These conditions make the springs exceptionally challenging for life. Here, we report the metagenomic data and recovered draft genomes from two different springs, GPS1 and BS5. GPS1, which was fed solely by a deep groundwater source within the serpentinizing system, was dominated by several bacterial taxa from the phyla OD1 (‘Parcubacteria’) and Chloroflexi. Members of the GPS1 community had, for the most part, the smallest genomes reported for their respective taxa, and encoded only archaeal (A-type) ATP synthases or no ATP synthases at all. Furthermore, none of the members encoded respiration-related genes and some of the members also did not encode key biosynthesis-related genes. In contrast, BS5, fed by shallow water, appears to have a community driven by hydrogen metabolism and was dominated by a diverse group of Proteobacteria similar to those seen in many terrestrial serpentinization sites. Our findings indicated that the harsh ultrabasic geological setting supported unexpectedly diverse microbial metabolic strategies and that the deep-water-fed springs supported a community that was remarkable in its unusual metagenomic and genomic constitution.
(Copyright © 2017, Rights Managed by Nature Publishing Group)
どうやって生きてるのか…「常識外れ」の細菌、泉で発見(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース https://t.co/GSBib01oaP @YahooNewsTopics 論文はこちら https://t.co/c5ULGesARP
— 日本の科学と技術 (@scitechjp) 2017年7月22日
ハチの自然な行動のレパートリーの範疇に入らないような課題であったとしても、ハチは柔軟にそれを学ぶことができ、しかも第三者は既に学んだハチの行動を見ることによりそれを学ぶことができることがわかりました。2017年2月24日号のサイエンス誌が伝えています。下の動画は、ボールを決められた地点まで運ぶと褒美がもらえるということを学習したハチの行動。この研究グループは過去の研究でハチが紐をひっぱって報酬を手に入れる作業を学ぶことができることを発見していましたが、紐を引っ張るような行動はハチの本来の行動に近いものです。それに対して、今回の研究では、ボールを転がして運ぶ行動を学ばせることに成功しています。このように、自然なハチの行動パターンとはいえないような新しい行動を学べるだけの柔軟さをハチの脳が備えている、ということを示した点に、今回の研究の意義があります。
参考
同じ研究グループの過去の研究
動物のキリンは、種としてはひとつだけから成っており、亜種としていくつかに分かれるとこれまで考えられてきました。しかし、見た目は同じようにみえるキリンですが、DNAレベルでの解析から4種に分けるべきだと主張する論文が、カレント・バイオロジーに掲載されました。DNAの差がこれほど大きければ、これらの4種間が野生で交尾することはないだろうと著者は述べています。
“We have studied the genetic relationships of all giraffe subspecies from across the continent. We found, that there are not only one, but at least four genetically highly distinct groups of giraffe, which apparently do not mate with each other in the wild. This we found looking at multiple nuclear genes considered to be representative of the entire genome” says Professor Axel Janke, researcher at the Senckenberg Biodiversity and Climate Research and Professor at the Goethe University in Frankfurt, Germany. “Consequently, giraffe should be recognized as four distinct species despite their similar appearance.” (EurekAlert! 8-Sep-2016)
参考
数秒以内に終了するキリンの交尾
殻無しの状態で卵を培養してヒヨコを誕生させることは、長らく不可能と考えられていました。
しかし、千葉県立生浜(おいはま)高等学校生物部(顧問:田原豊先生)では、食用鶏卵を割卵した内容物を透明プラスチックラップの中へ移して胚を培養する「ラップ法」の研究を続けた結果、2012年6月22日、7月8日、7月15日に計3個体のヒヨコを誕生させることに成功しています。その年度の実験だけでも300個以上の卵を用いて試行錯誤を続けたそうですが、成功したときの条件下での実験に限れば、10個中3個が孵化したため、成功率率30%とのこと。
最初の成功例では、56時間保温後に割卵していたそうですが、その後の研究により保温時間無しでも孵化に成功。また、最近では鶏卵だけでなくウズラ卵の孵化にも成功しているそうです。
生浜高校生物部のこれらの研究成果は数々の賞に輝いていますが、今年、NHK番組『ガッテン!(ためしてガッテン)』(5月18日(水)放送)で取り上げられたことがきっかけとなり、世界的な反響を呼んでいます。
Does this answer which one came first?
Amazing video shows an egg transform into a chicken using a plastic cup and cling film but NO SHELL in school science experiment (Mail Online By Louise Cheer for Daily Mail Australia Published: 08:35 GMT, 8 June 2016)
Bizarre experiment shows egg grow into a chick WITHOUT a shell (Mirror 12:02, 7 Jun 2016 Updated 14:21, 8 Jun 2016 By Kara O’Neill)
Video shows how to incubate an egg without the shell
A class of high school students in Japan have used a plastic cup and cling film to incubate and “hatch” a chicken egg without the shell. (CNET June 7, 201611:53 PM PDT by Michelle Starr)
Students create a baby chick from an egg without a shell (NEW YORK POST By Alexandra Klausner June 8, 2016)
ザ!世界仰天ニュース 高校生が「殻を割った卵からヒヨコをふ化
生浜高校生物部顧問の田原豊先生らが新しい方法を報告した論文。
A Novel Shell-less Culture System for Chick Embryos Using a Plastic Film as Culture Vessels
The Journal of Poultry Science Vol. 51 (2014) No. 3 p. 307-312
参考
カエルの受精は体外で起こりますので、雌が産んだ未受精卵に雄がただちに精子をかけられるよう、予め雄が雌を抱きかかえるような体勢をとります。この行動は「包接」と呼ばれますが、カエルの包接の”体位”はこれまで6種類が知られていました。
(PeerJ 4:e2117 https://doi.org/10.7717/peerj.2117)
インドの研究者らは、ボンベイナイトフロッグ(英語名:Bombay night frogs, 学名:Nyctibatrachus humayuni)が、この6つのいずれでもない、新しい体位で包接することを発見し、この新しい体位を「背面またぎ」(Dorsal straddle)と命名しました。
(PeerJ 4:e2117 https://doi.org/10.7717/peerj.2117)
この体位の特徴は、雄は雌を抱きかかえることはせず、葉や木の枝をつかんだりして体を保持しながら雌の背中の上にまたがる格好になり、雌の背中に精子を放出するというものです。射精後に雄は雌から離れ、そのあと、雌が産卵します。背中を伝わり落ちてきた精子が、産み出された未受精卵に到達して受精が起こると考えられます。
… しかし、ハンケン氏が面白いと思ったのはその後だった。
「ほとんどのカエルは、メスが産卵するのと同時にオスが精子を出します。ボンベイナイトフロッグの場合、メスはオスが去ってだいぶ経ってから卵子を放出します。これにはとても驚きました」
ダス氏とその研究チームは、この時間差はオスの精子がメスの背中を下りてきて受精するのを待つためではないかと考えている。ハンケン氏も、おそらくその 推測は正しいだろうとしながらも、卵子と精子が正確にいつどこで出会うのかについてこの研究は言及していないと指摘した。 (カエルの交尾に「7番目の体位」発見 NATIONAL GEOGRAPHIC日本版 2016.06.17)
Froggy Style: New Sex Position Discovered Among Frogs and Toads
参考
オーストラリアの写真家ティム・サミュエル(Tim Samuel)氏が海中で不思議な光景を目撃し、撮影した写真をインスタグラムに投稿したものが話題になっています(2015年12月、オーストラリアのバイロン・ベイで撮影)。
それは、クラゲの中にすっぽりと入り込んだまま泳いでいた魚でした。魚を逃がしてあげようかと悩んだけれども、結局、この魚の運命は自然に任せることにしたそうです。
“I definitely thought about setting it free, but in the end decided to just let nature run its course.” (Tim Samuel)
Photo shows ocean oddity: A fish inside a jellyfish
この魚は何でしょうか?
クイーンズランド大学海洋科学センターの海洋生物学者イアン・ティベット氏によると、この魚はアジの仲間の幼魚と考えられる。捕食する外敵から身を守るため、クラゲの毒針のかげに隠れる習性があると言われている。
ハワイ大学の生物学教授ロバート・キンジー3世はハフポストUS版の取材に対し、この魚がアジ科の一種であると確認した。(クラゲにはまったお魚さん、オーストラリアの海をゆーらゆら(画像) (The Huffington Post日本語版 Chris D’Angelo 2016年06月08日)
一方、このクラゲの種類は?
米ノースカロライナ大学ウィルミントン校のロブ・コンドン准教授は、ヒドロ虫綱のクラゲではないかと推測する。
約200種のクラゲを発見してきた分類学者リサ・アン・ガーシュウィン氏も、クラゲの種を知りたいと考えている。同氏によれば、このクラゲは箱虫(はこむ し)鋼と鉢虫(はちむし)鋼が合わさったような外見をしているという。(Living Fish Found Inside Jellyfish in Bizarre Underwater Scene.NATIONAL GEOGRAPHIC By Elaina Zachos 米井香織 訳 PUBLISHED June 7, 2016)
魚がどのようにしてクラゲの中に入り込んでしまったのか不思議ですが、下の動画のように魚がクラゲにちょっかいを出しているうちにはまり込んだのかもしれません。
Fish Commandeers Jellyfish
クラゲの傘の内側に隠れて外敵から身を守る習性を示す魚もいます。
Jellyfish becomes a floating safehouse for tiny fish!
参考
国立極地研究所の研究者らは、1983年11月に南極昭和基地周辺で採取されたコケ試料を30年ぶりに解凍し、コケ試料中に含まれていたクマムシの個体を蘇生させ繁殖能力を確認することに成功しました。
餌のクロレラを与えて飼育すると、1匹はあまり食べずに死んだが、もう1匹は5回産卵し、14匹がかえった。また、コケの中から卵が見つかり、水につけると6日後にかえり、餌を与えると成長して産卵した。 (毎日新聞2016年1月15日)
Long-term survival has been one of the most studied of the extraordinary physiological characteristics of cryptobiosis in micrometazoans such as nematodes, tardigrades and rotifers. In the available studies of long-term survival of micrometazoans, instances of survival have been the primary observation, and recovery conditions of animals or subsequent reproduction are generally not reported. We therefore documented recovery conditions and reproduction immediately following revival of tardigrades retrieved from a frozen moss sample collected in Antarctica in 1983 and stored at −20 °C for 30.5 years. We recorded recovery of two individuals and development of a separate egg of the Antarctic tardigrade, Acutuncus antarcticus, providing the longest records of survival for tardigrades as animals or eggs. One of the two resuscitated individuals and the hatchling successfully reproduced repeatedly after their recovery from long-term cryptobiosis. This considerable extension of the known length of long-term survival of tardigrades recorded in our study is interpreted as being associated with the minimum oxidative damage likely to have resulted from storage under stable frozen conditions. The long recovery times of the revived tardigrades observed is suggestive of the requirement for repair of damage accrued over 30 years of cryptobiosis. Further more detailed studies will improve understanding of mechanisms and conditions underlying the long-term survival of cryptobiotic organisms. (Tsujimoto et al., Cryobiology doi:10.1016/j.cryobiol.2015.12.003)
クマムシは体長1ミリ弱程度の、比較的どこにでも生息している生き物です。
「たるに変身 クマムシ(Water Bear)の秘密」 (乾眠する様子 3:01-)
クマムシはありきたりな生き物であるにもかかわらず、極端な低温や高温、真空、高圧、放射能などに耐えて生き延びることができることから、地球最強の生物と目される非常にユニークな存在です。
クマムシさんのうた(科学未来館フルバージョン)
Water Bear Don’t Care – SciTunes #14
クマムシの英語名は、Tardigradesですが、熊のようにのそのそ歩くことからwater bearとも、また、苔が好物なことから、moss pigletsとも呼ばれます。
Tardigrades Are Weird, Gross & Beautiful (ケイティ・ウェイン(Catie Wayne)によるクマムシの紹介動画)
クマムシは、極端な乾燥条件では代謝活動を停止するクリプトビオシスと呼ばれる状態になります。水分が補給されると再び生命活動が始まります。
乾眠してから復活するヨコヅナクマムシ (クマムシ博士の動画)
Tardigrades and Cryptobiosis (クリプトビオシスの説明 2:49-)
参考
何年も前から奄美大島の海底でダイバーらによって目撃されていたミステリーサークル。誰が一体何の目的でこのような不思議な幾何学模様を海底の砂場に作っていたのか、その謎が解けたのが2014年でした。ミステリーサークルをつくっていたのは、新種のフグ。このフグが「新種トップ10」に選ばれました。
「新種トップ10」は、米ニューヨーク州立大の国際生物種探査研究所(State University of New York College of Environmental Science and Forestry (ESF))が毎年選び、分類学の父と呼ばれる植物学者リンネの誕生日5月23日に合わせて発表しているものです。
ESF: Top 10 New Species for 2015
Pufferfish: ‘Crop Circles’ under the Sea
Torquigener albomaculosus
Location: Japan
How it made the Top 10: Scientists recently solved a 20-year-old mystery under the sea and discovered a new fish. Intricate circles with geometric designs about six feet (2 meters) in diameter, found on the seafloor off the coast of Amami-Ōshima Island, were as weird and unexplained as crop circles. They turn out to be the work of a new species of pufferfish, Torquigener albomaculosus. Males construct these circles as spawning nests by swimming and wriggling in the seafloor sand. The nests, used only once, are made to attract females. The nests have double edges and radiating troughs in a spoke-like geometry. The design isn’t just for show. Scientists discovered the ridges and grooves of the circle serve to minimize ocean current at the center of the nest. This protects the eggs from the turbulent waters and possibly predators too. Yoji Okata, an underwater photographer, first observed the artistic behavior. Subsequently, a team of ichthyologists and a television crew carried out an expedition to record the phenomenon.
ESFによる説明を日本語に訳しておきます。
フグ:海底のミステリーサークル
Torquigener albomaculosus
場所:日本
トップ10に選ばれた理由:最近、科学者らは20年来の海底の謎を解き、新種の魚を発見しました。奄美大島の海岸沖の海底で発見された直径約2メートルの幾何学的なデザインをもった複雑なサークルは、ミステリーサークルと同様に奇妙で説明がつかないものでした。そのサークルは新種のフグTorquigener albomaculosusによって作られたものであることが明らかになりました。雄が、海底の砂場を体をよじらせて泳ぎながら、産卵用の巣としてこれらのサークルを構築します。その巣は、一度きりしか使われませんが、メスを誘い寄せるために作られるのです。その巣は、縁が2重になっていて、車輪のスポークのような幾何模様の放射状の溝があります。このデザインは単に見せるためだけではありません。科学者の発見によると、サークルにある畝と溝は巣の中心部分で潮の流れを最小にする効果があります。このことにより卵はかき乱すような水野流れや、おそらくは捕食者からも守られているのです。水中写真家の大方洋二氏が初めてこの芸術的な行動を観察しました。その後、魚類学者のチームとテレビクルーがこの現象を記録するための調査を行いました。
アマミホシゾラフグを紹介したBBCの番組。アマミホシゾラフグのオスがミステリーサークルを作るプロセスや、産卵行動が、美しい映像で紹介されています。
Japanese Pufferfish Masterpiece – BBC Life story David Attenborough (7分17秒)
Attracting attention is an essential part of winning a mate. The world’s oceans are filled with brilliant colours,…all designed to make their wearers conspicuous. Unfortunately this small, Japanese puffer fish is dull,…almost to the point of invisibility but to compensate,…he is probably nature’s greatest artist. To grab a female’s attention, he creates …something that almost defies belief. His only tools are his fins. In his head, a plan of mathematical perfection. He ploughs the sand, breaking it up into the finest of particles. These shells aren’t just rubbish to be removed,…he uses them to decorate the bridges of his construction. He can’t rest for more than a moment, but must work 24 hours…a day for a week, or the current will destroy his creation. A final tidy up and his masterpiece is complete. Nowhere else in nature does an animal construct something…as complex and perfect as this. If this doesn’t get him noticed, nothing will. Now it’s ready for inspection. A female, swollen with eggs. To make sure she gets the best view, he encourages her into the centre. Inspection over,…she withdraws to await the final stage of the process. By the next morning all the softest sand is now in the middle. The centre of the arena has been flattened. Right on cue here she is. This is what she wanted. It’s a perfect bed for her eggs. The male now grasps her cheek and then fertilises her miniscule eggs. And with a quick flick of his fins, he buries them. They carry on like this until she has finished laying. An hour of his rough affection leaves a love bite on her cheek. Finally, she leaves. He stays to fan the eggs until they hatch,…while his extraordinary work of art fades away around him. (転載元Transcript)
番組のシーンの概略。
0:23 色鮮やかな他の海の生き物たちに比べると、アマミホシゾラフグはとても地味で目立ちません。しかし、おそらく自然界でもっともすばらしい芸術家なのです。
0:38 オスはメスを惹きつけるために、ほとんど信じられないようなことをします。
0:54 彼が用いる道具は、ヒレだけ。
1:55 彼は休むことなく、1日24時間、1週間働かなければなりません。そうしないと、潮の流れが彼の創作物を壊してしまうことになるでしょう。
2:22 彼のマスターピースの完成
3:42 メスが登場し雄がつくった作品をチェック
4:16 メスは一度退場し、最終工程を待ちます。翌朝までには、一番やわらかい砂が真ん中に集められています。アリーナの真ん中の部分は平らにされています。
5:08 メスにとって完璧な産卵の場ができあがっています。オスはメスのほほを噛み、メスが産んだ卵に精子をかけ受精させます。
5:25 オスはひれをパタパタと動かして卵を埋めます。メスが卵を産み切るまでこれらの行動が繰り返されます。
6:38 メスは去り、オスは卵の世話をするために残ります。
参考
大変な思いをしている人に手を差し伸べるのは、人間や犬などの高等な動物だけが持つ優しさかというとそうでもないようです。関西学院大学の研究グループが、ラット(ドブネズミ)にも仲間を助ける感覚が存在していることを2015年5月12日にAnimal Cognition誌で報告しました。
下の写真に示すように、2つの区画のうち水を張ったほうに一匹のラットを入れ、他方にも別のラットを入れます。真ん中の透明な仕切りにはドアがついていて、水がないほうにいるラットはそのドアを開けて、水中にいるラットを助け出すことができるつくりになっています。このような装置で、ラットが水中の仲間を助けるため仕切りのドアを開けるかどうかを調べる実験を行いました。
この実験の結果、ラットが、水中にいる仲間のラットを助ける行動をとることが明らかになりました。
面白いことに、自分自身にこの辛い”水責め”経験があるラットのほうが、仲間を助けるまでの時間が早いということが示されました。下記の図で、横軸はセッション回数、縦軸はドアを開けるのにかかった時間。自らも”水責め”された経験があるラットは、2、3回のセッション後には仲間を速やかに助けることを学習しています。
自分自身が過去に苦しんだことがある人のほうが、他人の苦しみを察する能力が高いということに通じるのでしょうか。
参考
2015年4月22日に南米チリ南部にあるカルブコ(Calbuco)火山が約50年ぶりに大噴火を起こしました。
Explosión volcán calbuco
Erupción Calbuco Chile 2015, 2 Timelapse Volcán HD,
Calbuco Volcano Blankets Towns In Chile With Ash
今回のカルブコ(Calbuco)火山の噴火の映像にUFO(未確認飛行物体)が写り込んでいるのではないかと、話題になっています。
5 AMAZING UFO / OVNI Video’s from Witnesses at Calbuco Volcano!!
参考
日本の高校生が、ダンゴムシで交替制転向反応が生ずるメカニズムに触覚が関与していることを実証する研究報告により2014年インテル国際学生科学技術フェアに入賞しました。
ダンゴムシは壁にぶつかっったときに右に曲がると、その次にまた壁にぶつかったら場合今度は左に曲がり、以降右、左、交互に曲がる傾向があり、「交替制転向反応」と呼ばれています。
【YOUTUBE動画】ダンゴムシは壁にぶつかり右に曲がると次は左に曲がる習性がある。トリビアの泉
参考
オスは積極的に多数のメスと交尾しようとし、メスは受け入れるオスを選ぶというのが交尾行動における一般的なオスメスの役割だと考えられます。メスが積極的に多数のオスを相手にする(promiscuous)、オスメスの性行動での役割がひっくり返った生き物はこれまでにいくつか知られていましたが、外部生殖器の構造まで逆になっている例はありませんでした。ところがブラジルの洞窟に棲むある昆虫の種では、メスにペニス、オスに膣があり、交尾行動に入ると40~70時間もの間メスがオスをがっちりつかんで離さないという、いわばオスメスの役割におけるSWAP現象が発見されました。
(交尾の体勢もオスメスが通常の昆虫とは逆でメスがオスに乗りかかっています。写真:北海道大学プレスリリースより)
論文のタイトルは、Female Penis, Male Vagina, and Their Correlated Evolution in a Cave Insect
(洞窟棲昆虫の「雌の陰茎」と「雄の膣」の間に見られた共進化)。
この昆虫は2010年に新種として発見されたもので、その後生殖器の構造と性行動を詳細に解析した結果、今回の発見につながりました。
カレントバイオロジーを発行しているセルプレス社では、論文が世間に与えたインパクトを測る指標Article level metricsのスコアを論文ごとに表示しています。それによると今回の論文のインパクトはカレントバイオロジーで発表されこの計測の対象となった論文3,157報の中で、堂々の1位。他の雑誌も含めてスコアを計測した209万798報の論文の中でも46位という非常に高い順位です。メスにペニスというのが衝撃的で、世界中のニュースサイト、ブログ、ツイッターで取り上げられ、非常に大きなインパクトを与えたことがわかります(リンク:この論文のArticle level metrics)。