辛い状況の仲間を助ける、ドブネズミの「共感力」

大変な思いをしている人に手を差し伸べるのは、人間や犬などの高等な動物だけが持つ優しさかというとそうでもないようです。関西学院大学の研究グループが、ラット(ドブネズミ)にも仲間を助ける感覚が存在していることを2015年5月12日にAnimal Cognition誌で報告しました。

下の写真に示すように、2つの区画のうち水を張ったほうに一匹のラットを入れ、他方にも別のラットを入れます。真ん中の透明な仕切りにはドアがついていて、水がないほうにいるラットはそのドアを開けて、水中にいるラットを助け出すことができるつくりになっています。このような装置で、ラットが水中の仲間を助けるため仕切りのドアを開けるかどうかを調べる実験を行いました。

RatRescueAnnotated
(説明の語句を除く写真部分は関西学院大学報道資料より転載)

この実験の結果、ラットが、水中にいる仲間のラットを助ける行動をとることが明らかになりました。

面白いことに、自分自身にこの辛い”水責め”経験があるラットのほうが、仲間を助けるまでの時間が早いということが示されました。下記の図で、横軸はセッション回数、縦軸はドアを開けるのにかかった時間。自らも”水責め”された経験があるラットは、2、3回のセッション後には仲間を速やかに助けることを学習しています。

RatRescue2
(関西学院大学報道資料より転載)

自分自身が過去に苦しんだことがある人のほうが、他人の苦しみを察する能力が高いということに通じるのでしょうか。

参考

  1. Nobuya Sato, Ling Tan, Kazushi Tate, Maya Okada. Rats demonstrate helping behavior toward a soaked conspecific. Animal Cognition, 12 May 2015 ; DOI: 10.1007/s10071-015-0872-2
  2. 溺れる友に手を差し伸べるラット  —ラットにおける援助行動— (関西学院大学 報道資料2015年5月11日)(PDFファイル3ページ):”関西学院大学文学部・佐藤暢哉教授およびその研究グループは、齧歯(げっし)類であるラットが、窮地に陥っている仲間のラットに対して共感し、その苦境から助け出すことを示しました。”
  3. Rats will try to save other rats from drowning (ScienceDaily May 12, 2015):”Rats have more heart than you might think.”
  4. ラットに共感能力:「助けなきゃ」水責めに仲間が反応 (毎日新聞 2015年05月12日):”ラットは、水に入れられた仲間がいると苦境を察して助けようとすると、関西学院大(兵庫県西宮市)の研究グループが実験で示し、独の比較認知科学誌(電子版)で12日発表した。”
(Visited 12 times, 1 visits today)

0 thoughts on “辛い状況の仲間を助ける、ドブネズミの「共感力」”

Leave a Reply

Your email address will not be published.