太田遺伝研名誉教授がクラフォード賞受賞記念講演

      2018/04/10

2015年のクラフォード賞は国立遺伝学研究所の太田朋子名誉教授(81歳)と米ハーバード大学のリチャード・C・レウォンティン名誉教授(85歳)に対して贈られました。

2015年月5日-7日にスウェーデンのストックホルムとルンドで開催された「クラフォード・デイズ2015」では、その授賞式と受賞記念講演が取り行われました。

クラフォード賞 (Crafoordpriset) は1980年に設立され、天文学、数学、地球科学、生物科学(環境、進化)の分野、また、賞の創設者クラフォードが患っていた関節炎の研究で優れた業績を上げた研究者をスウェーデン王立科学アカデミーが顕彰するものですが、日本人としては2009年(関節炎)の岸本忠三博士、平野俊夫博士に続いて3人目の受賞となります。

2015年5月5日に太田朋子博士がストックホルムのスウェーデン王立科学アカデミーで行った講演の動画。
Genotype to phenotype link and nearneutrality in evolution


0:07- Staffan Normark氏(Permanent Secretary of the Royal Swedish Academy of Sciences)の開催の挨拶
4:26- Hans Ellegren氏(the Crafoord Prize Committee)による紹介
12:45- 太田朋子博士の講演

The Crafoord Prize in Biosciences 2015(http://www.kva.se/sv/Priser/Crafoordpriset/

参考

  1. TOMOKO OHTA. Slightly Deleterious Mutant Substitutions in Evolution. Nature 246, 96-98 (9 November 1973)
  2. 太田朋子「分子進化のほぼ中立説」(講談社ブルーバックス2009年05月20日):”1968年、国立遺伝学研究所の木村資生博士によって提唱された「中立説」は、自然選択説を信奉していた進化の研究者たちにたいへん大きな衝撃を与えまし た。その共同研究者で、中立説の理論的発展に貢献した著者が、実際の生物進化に即してさらに理論的に推し進めた仮説が、現在は国際的にも高く評価されてい る「ほぼ中立説」です。”
  3. ほぼ中立説(遺伝学電子博物館):”一方筆者は1970年始めから、有害と中立の中間クラスのアミノ酸置換が相当あるのではないかと考え討してきました。これをほぼ中立説と呼びます。図に考え方を示します。さてほぼ中立なクラスが沢山あるとしますと中立説とどのように違ってくるのでしょうか。完全中立な突然変異が今までの遺伝子を置き換えていく速度は突然変異率に等しく他の要因とは無関係であることがわかっています。しかしほぼ中立なクラスでは、集団の大きさが重要な要因としてかかわってきます。一般に有利な突然変異はまれ で多くは有害ですが、集団が大きいとそれだけ淘汰が有効に働いて変異は集団から除かれることが多いのです。集団が小さいと、中立なものの割合がふえて、置換速度が高まるわけです。したがってほぼ中立説では、進化速度と集団の大きさとの間には負の相関が期待されます。そして偶然と自然淘汰との相互作用というとても複雑な問題をはらんでいます。 ”
  4. 分子進化のほぼ中立説(または、弱有害突然変異体仮説)(ウィキペディア):”分子進化の中立説から発展し、分子レベルでの弱有害突然変異(あるいは、弱有利突然変異)が生物進化にに及ぼす効果を理論的に説明する仮説である。”
  5. Crafoord Days 2015 (The Crafoord Prize公式ウェブサイト):シンポジウムなどのレクチャー動画が視聴できます。
  6. Crafoord Days 2015, 5–7 May in Stockholm and Lund, Sweden(プログラム冊子PDF 20ページ)
  7. The Crafoord Prize in Biosciences 2015 (The Crafoord Prize プレスリリース 2015-01-15):”The Royal Swedish Academy of Sciences has decided to award the 2015 Crafoord Prize in Biosciences to Richard Lewontin, Harvard University, Cambridge, MA, USA, and Tomoko Ohta, National Institute of Genetics, Mishima, Japan “for their pioneering analyses and fundamental contributions to the understanding of genetic polymorphism”.”
  8. Tomoko Ohta en av årets Crafoordvinnare (sverigesradio.se)
  9. 国立遺伝学研究所名誉教授太田朋子先生のクラフォード賞受賞が決定 (国立遺伝学研究所 Close-up!第26回 インタビュー)
  10. Tomoko Ohta Current Biology Volume 22, Issue 16, 21 August 2012, Pages R618–R619
    (カレントバイオロジー誌に掲載されたインタビュー記事)What turned you on to biology and to your particular field of study?
  11. TOMOKO OHTA (Profiles, Perspectives on molecular evolution, caltech.edu)
  12. 太田朋子(ウィキペディア):”日本の遺伝学者。木村資生による、遺伝子の「分子進化の中立説」(Kimura 1968,1969)発表後、木村資生と共同で中立進化説の基礎固めを行った。”
  13. クラフォード賞(ウィキペディア):”クラフォード賞 (Crafoordpriset) は、ホルガー・クラフォード(人工腎臓の発明者)及び、彼の妻アンナ=グレタ・クラフォードによって1980年に設立された賞である。賞はスウェーデン王立科学アカデミーが顕彰に関わっており、ノーベル賞が扱わない科学領域を補完する目的がある。”
  14. Lewontin & Ohta win the Crafoord Prize (scienceblogs.com January 15, 2015)
  15. 太田朋子・遺伝研名誉教授らにクラフォード賞(ハザードラボ 2015-01-16):”スウェーデン王立科学アカデミーは15日、生物の進化の仕組みについて画期的な研究成果を上げた、国立遺伝学研究所の太田朋子名誉教授(81歳)と米ハーバード大学のリチャード・C・レウォンティン名誉教授(85歳)の2人にクラフォード賞を贈ると発表した。”
  16. Professor Richard Lewontin awarded the 2015 Crafoord Prize in Biosciences (Harvard gazette January 15, 2015):”Until the 1960s, biologists believed that most individuals in a population were fairly similar, genetically speaking. But Richard Lewontin made the revolutionary discovery that genetic variation between individuals in a population was actually very different, and that the variation was many times greater thane expected. The results were published in Genetics in 1966 and aroused a great deal of attention.”
  17. Richard Lewontin (Wikipedia)
  18. The Concept of Race with Richard Lewontin (YOUTUBE 1:15:00)
  19. Gene, Organism and Environment with Richard Lewontin (YOUTUBE 58:14)

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