ウィルタネン彗星とは
ウィルタネン彗星は1948年1月に天文学者ウィルタネン(Carl Alvar Wirtanen 1910-1990)が発見した彗星で、公転周期は約5.4年で太陽のまわりをまわってます。地球も動いているため、彗星が地球に接近するのは100年に一度もないぐらいのまれなことのようです。
- 2018年の宇宙、どうでしょう?(9~12月分) 東明六郎 マイナビ 2018/08/29 08:53:29
ウィルタネン彗星の軌道
ウィルタネン彗星の軌道は一番遠いところでも木星の軌道付近なので、太陽系の外側には出ていかない彗星です。下のGIFアニメーションでは、2018年末から2019年初めにかけてウィルタネン彗星(ピンク色の軌道)が地球(濃い青色の軌道)に接近する様子がよくわかります。
GIFアニメーション出典:46P/Wirtanen (wikipedia)
- ふたご群の夜、もうひとつの流星群が現れる? (2012年12月13日 NASA Science News / AstroArts) ウィルタネン彗星と、ふたご座流星群のもととなる小惑星ファエトンの軌道
- Comet 46P/Wirtanen – Orbit(wirtanen.astro.umd.edu)
肉眼でみえるウィルタネン彗星
最接近した12月16日ごろが3.5等級の明るさだそうで、12月いっぱいは4等級台をキープするようなので、空のきれいな地域であれば肉眼でなんとか見えそうです。肉眼で彗星が観察できるチャンスは、これが平成最後になるとか。
- 2018年のウィルタネン彗星 46P/Wirtanen(turupura.com)
- You may not even need a telescope this weekend to see this comet (Dec 13, 2018 4:08 PM EST PBS.ORG)
ウィルタネン彗星の姿を確認するには、双眼鏡を用意しましょう。彗星の場合、肉眼等級と言っても、淡く広がっているため、実際に肉眼で観察するのはなかなか難しいものです。(ウィルタネン彗星の観望・撮影機材 2018.11.20 天体写真の世界)
ウィルタネン彗星が地球に最接近する日時
彗星が地球に最接近するのは15日夜から16日未明にかけてだったそうです。
- ウィルタネン彗星最接近 肉眼で観測チャンス(2018/12/17 03:01 大分合同新聞)
ウィルタネン彗星の近日点通過
ウィルタネン彗星が最も太陽に接近する(近日点)のは、2018年12月13日午前7時59分だそうです。
- 2018年12月の天文現象(AstroArts)
ウィルタネン彗星が見える夜空の位置
下のheavens-above.comというサイトでは、現在もしくは日時を指定したときのウィルタネン彗星の夜空における位置を教えてくれます。これは非常に便利。ただし、ウェブの表示が日本語でも、時刻の表示が日本時間でないことに注意。
- Comet 46P Wirtanen (heavens-above.com)
下のサイトも、軌道を上から眺めた図や現在の星座の中の位置などをインタラクティブに図示してくれる。
- The comet 46P/Wirtanen (In-The-Sky.org) FINDER-CHART FOR 46P/WIRTANEN » (星座の中の彗星の位置)
アストロアーツなどのウェブサイトでウィルタネン彗星の見える位置が説明されています。
- 2018年12月 ウィルタネン彗星が4等台 (AstroArts)
- ウィルタネン彗星(46P)がこれから4等台に(2018年11月1 天リフポータル)
- Catch these Comets in 2018(By: Bob King | January 10, 2018 SKY & TELESCOPE) 接近時の星図と日付と彗星の位置の図がわかりやすい。
- ウィルタネン彗星輝く 太陽の周り5年半周期で運動 釧路町からも肉眼で確認(12/18 05:00 北海道新聞 どうしん)16日午前1時に撮影された画像。プレアデス星団とかなり近いところにいます。
- ふたご座流星群と彗星の競演 (2018.12.14 12:30 産経新聞) 14日午前に撮影された、ふたご座流星群とすばるとウィルタネン彗星の写真
- ウィルタネン彗星最接近 昴と競演( 2018年 12月 15日 土曜日 15時42分 南信州新聞) 13日夜に撮影されたウィルタネン彗星とプレアデス星団(すばる)と流星
- とらえた 特別な輝き 立山でウィルタネン彗星 (2018年12月13日 北陸中日新聞)10日午後9時ごろの撮影。
ウィルタネン彗星の尾の発達
彗星は別名「ほうき星」というくらいですから、素人的には立派に発達した尾を期待してしまうのですが、今回、ウィルタネン彗星の尾は発達するのでしょうか?
- 尾はそれほど発達しませんが、短い尾が観測できるかもしれません。(2018年のウィルタネン彗星 46P/Wirtanen)
- 双眼鏡があれば、発達した尾も確認できるかもしれません。(ウィルタネン彗星の観望・撮影機材 2018.11.20 天体写真の世界)
- 12月上旬までは地球と彗星の位置関係が良くなかったが、今後は尾が伸びていれば見やすくなりますが、12月24日頃までは月明かりの影響あり。(ウィルタネン彗星 46P/Wirtanen www5c.biglobe.ne.jp/~starlit)
- ウィルタネン彗星は尾の発達が無い状況(2018年12月15日 23時36分18秒 露出 80分 アストロアーツ)
双子座流星群とウィルタネン彗星
自分はふたご座流星群は見逃しましたが、YOUTUBEに非常に見応えのある動画があったので紹介します。ド迫力の流星、多数の人工衛星(?)、徐々に位置を変える彗星と見入ってしまい、何回繰り返し見ても飽きません。
2018年ふたご座流星群 ウィルタネン彗星と流れ星(Nyanta8355 2018/12/10)
ウィルタネン彗星の撮影方法
- ウィルタネン彗星の観望・撮影機材 (2018.11.20 天体写真の世界)
赤道儀の架台があれば望遠レンズをカメラにつけて星の日周運動を追尾撮影できます。これにより露光時間が長くても星が流れずに写ります。彗星もゆっくり動いていきますが、そのズレがわからない範囲の露光時間にすれば、彗星と星の両方がブレない状態で写ります。こうして撮影された彗星は、下の動画の8:25~。
Let’s Photograph Comet 、46P Wirtanen
一般的な彗星の撮影方法を説明したサイトを紹介。
最も簡単な彗星の撮影方法は、広角レンズを付けたデジタル一眼レフカメラをカメラ三脚に固定して撮影する固定撮影です。(天体写真の世界 > 天体写真の撮影方法 > 彗星の撮影方法)
- 12月15日のウィルタネン彗星(アストロアーツ)2018年12月15日 23時36分18秒 露出 80分
ウィルタネン彗星の軌道要素
ウィルタネン彗星の軌道要素 (Orbital elements)は以下のウェブサイトに掲載されています。
参考
- A Bright Green ‘Christmas Comet’ Will Fly the Closest to Earth in Centuries (By Christina Caron Dec. 15, 2018 New York Times)
参考(論文)
- Evolution of the orbit of comet 46P/Wirtanen during 1947-2013. Krolikowska, M. & Sitarski, G. Astronomy and Astrophysics, v.310, p.992-998
参考(その他)
- シミュレーションで推測、太陽系第9惑星存在の可能性 2016年1月21日 Caltech / AstroArts
- 軌道要素(ウィキペディア)