京大らの国際研究グループがブラックホール連星「白鳥座V404」からの放射エネルギー変動の様子を可視光領域で観察することに成功

はくちょう座V404は、ブラックホールと恒星とが近接した連星で、X線新星として知られています。X線新星はアウトバーストと呼ばれる急激な増光現象を不定期に生じますが、1989年のアウトバースト以来26年ぶりのアウトバーストが2015年6月に起こり、京都大学らの国際的な共同研究チームが観測を行いました。アウトバースト時のブラックホール近傍からの放射エネルギーの振動現象はこれまでこれまでX線領域でしか観測されていませんでしたが、今回の観測によりアウトバースト時の可視光の変動が初めて捉えられ、2016年1月7日付けのNature誌で報告されました。

Repetitive patterns in rapid optical variations in the nearby black-hole binary V404 Cygni (Nature 529,54–58 (07 January 2016)doi:10.1038/nature16452 Received 25 July 2015  Accepted 13 November 2015 Published online 06 January 2016 )

Repetitive patterns in rapid optical variations in the nearby black hole binary V404 Cygni (*再生に際してBGMの音量に注意)

著者:木邑真理子, 磯貝桂介, 加藤太一, 上田佳宏 (京都大学), 中平聡志 (JAXA), 志達めぐみ (理研), 榎戸輝揚, 堀貴郁, 野上大作 (京都大学), Colin Littlefield (Wesleyan University、アメリカ), 石岡涼子, Ying-Tung Chen, Sun-Kun King, Chih-Yi Wen, Shiang-Yu Wang, Matthew J. Lehner, Megan E. Schwamb, Jen-Hung Wang, Zhi-Wei Zhang (Institute of Astronomy and Astrophysics, Academia Sinica、台湾), Charles Alcock (Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics、アメリカ), Tim Axelrod (University of Arizona、アメリカ), Federica B. Bianco (New York University、アメリカ), Yong-Ik Byun (Yonsei University、韓国), Wen-Ping Chen (National Central University、台湾), Kem H. Cook (Institute of Astronomy and Astrophysics, Academia Sinica、台湾), Dae-Won Kim (Max Planck Institute、ドイツ), Typhoon Lee (Institute of Astronomy and Astrophysics, Academia Sinica、台湾), Stuart L. Marshall (Kavli Institute for Particle Astrophysics and Cosmology (KIPAC), Stanford University、アメリカ), Elena P. Pavlenko, Oksana I. Antonyuk, Kirill A. Antonyuk, Nikolai V. Pit, Aleksei A. Sosnovskij, Julia V. Babina, Aleksei V. Baklanov (Crimean Astrophysical Observatory、クリミア), Alexei S. Pozanenko, Elena D. Mazaeva (Space Research Institute of the Russian Academy of Sciences、ロシア), Sergei E. Schmalz (Leibniz Institute for Astrophysics、ドイツ), Inna V. Reva (Fesenkov Astrophysical Institute、カザフスタン), Sergei P. Belan (Crimean Astrophysical Observatory、クリミア), Raguli Ya. Inasaridze (Ilia State University、アメリカ), Namkhai Tungalag (Mongolian Academy of Sciences、モンゴル), Alina A. Volnova, Igor E. Molotov (Space Research Institute of the Russian Academy of Sciences、ロシア), Enrique de Miguel (Universidad de Huelva、スペイン), 笠井潔 (スイス), William L. Stein (アメリカ), Pavol A. Dubovsky (Vihorlat Observatory、スロバキア), 清田誠一郎 (千葉), Ian Miller (イギリス), Michael Richmond (Rochester Institute of Technology、アメリカ), William Goff (ギリシャ), Maksim V. Andreev (Russian Academy of Sciences、ロシア), 高橋弘允 (広島大学), 小路口直冬, 杉浦裕紀, 竹田奈央, 山田英史, 松本桂 (大阪教育大学), Nick James (イギリス), Roger D. Pickard (The British Astronomical Association, Variable Star Section (BAA VSS)、イギリス), Tam?s Tordai (Hungarian Astronomical Association、ハンガリー), 前田豊 (長崎), Javier Ruiz (Observatorio de Cantabria、スペイン), 宮下敦 (成蹊気象観測所、東京), Lewis M. Cook (Center for Backyard Astrophysics、アメリカ), 今田明 (京都大学) & 植村誠 (広島大学)(プレスリリース 平成28年1月7日 京大、JAXA、RIKEN、広島大学

Astronomers Say Black Holes Can Be Spotted Using Home-Use Telescope

参考

  1. Repetitive patterns in rapid optical variations in the nearby black-hole binary V404 Cygni. Nature 529,54–58 (07 January 2016)doi:10.1038/nature16452
  2. ブラックホール近傍から出る規則的なパターンを持つ光の変動を可視光で初めて捉えることに成功-ブラックホールの「またたき」を直接目で観測できる機会に期待-(jaxa.jp プレスリリース 京都大学、宇宙航空研究開発機構、理化学研究所、広島大学 平成28年1月7日):”「アウトバースト」…天体が突然明るく光る現象。X線新星の場合、光度がたった数日で100倍以上も明るくなり、その後数十日から数百日かけてゆっくりと元の明るさに戻る”
  3. ブラックホール近傍から出る規則的なパターンを持つ光の変動を可視光で初めて捉えることに成功 -ブラックホールの「またたき」を直接目で観測できる機会に期待-(京都大学 研究成果 2016年01月07日)
  4. ブラックホール周辺の瞬き、初観測…京大など(読売新聞YOMIURI ONLINE 2016年01月07日):”ブラックホールの周辺で、星が明滅する瞬きのような光が出ているのを世界各地の望遠鏡を使って初めて観測したと、京都大や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの国際研究チームが発表した。”
  5. ブラックホール「瞬き」見えた!=「アウトバースト」の光初観測—京大(WSJ/時事通信 2016年1月7日):”昨年6月、26年ぶりにアウトバーストが起き、世界15カ国の専門家らに呼び掛け、35台の望遠鏡で18日間、可視光を撮影した。”
  6. 京大、ブラックホールの「またたき」を可視光で観測することに成功 (マイナビニュース 2016/01/07):”京都大学(京大)は1月7日、今までX線でしか観測できないと考えられていたブラックホール近傍からの放射エネルギーの振動現象を可視光で捉えることに成功したと発表した。”
  7. Federica Bianco su V404 Cygni, il buco nero che si vede
  8. ブラックホール連星はくちょう座V404星がアウトバースト(AstroArts/VSOLJニュース 2015年6月29日)
  9. 連星(れんせい)(ウィキペディア):2つの恒星が両者の重心の周りを軌道運動している天体
  10. 新星(しんせい)(ウィキペディア):恒星(白色矮星)の表面に一時的に強い爆発が起こり、それまでの光度の数百倍から数百万倍も増光する現象
  11. 降着円盤(こうちゃくえんばん、accretion disk):ブラックホールや中性子星や白色矮星のようなコンパクト星に落ち込むガスや塵が、高密度天体の周りに形成する円盤。可視光線やX線などのさまざまな電磁波を放射する。
  12. V404 Cygni (Wikipedia)
  13. X線天文学の誕生とその発展(小田稔):1960年代,1970年代には,X線星からX線を放射させているのは,連星を形成している高密度の星に恒星から流れ込むプラズマが解放する重力エネルギーだということがはっきりしてきた.