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特定国立研究開発法人法案の概要

  2016/02/06    政治と科学

特定国立研究開発法人の新たな設置は、理研のSTAP細胞論文捏造事件のために見送られていました。 その後、理研の運営体制の見直しや不正再発防止策が進んだとして、政府は本国会で特定国立研究開発法人設置のための法案を提出する方針を決めました。 過去の報道では、優秀な研究者の報酬・給与を特別待遇にするという部分が強調されてきました。しかし今回公表された概要には、目標の策定、変更、成果の評価、長の解任を行う権限が主務大臣に与えられるという規定が盛り込まれており、特定国立研究開発法人を新たに設置する狙いが明確になっています。 政府は理化学研究所などが研究者に高額な報酬を支払えるようにする法案の概要を固め、成果が上がる見込みのない場合、法人の長を解任できるようにすることなど、担当大臣の権限を強化する規定を盛り込みました。…政府は法案を今の国会に提出し、成立を目指すことにしています。 (研究者への高額報酬可能に 法案の概要固まる NHK NEWS WEB2月3日 7時39分) 特定国立研究開発法人法案の概要 ○特定国立研究開発法人は、産学官の人材・知・資金を結集し、イノベーションシステムを強力に駆動する中核機関 ○総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の意見を法人運営に反映する等の仕組みにより、国家戦略との連動性を高め、我が国の科学技術水準の著しい向上を図り、国際的な産業競争力の強化を実現 基本方針の策定:CSTIの意見を反映した基本方針の策定 基本方針に基づく中長期目標の策定:CSTIの意見を反映し、主務大臣が中長期目標を策定・変更 業務運営の改善:中長期計画に基づき業務運営を改善 情勢変化に迅速な対応:主務大臣が科学技術に関する著しい情勢変化への迅速な対応を要求 報酬・給与の特例:世界最高水準の専門知識・経験を有する国際的に卓越した人材への報酬・給与の支給基準を柔軟化 研究開発等の特性への配慮:政府は研究開発等の特性(注)に配慮 (注)「長期性」「不確実性」「予見不可能性」「専門性」など 評価:CSTIの意見を反映した主務大臣による成果の評価 長の解任:研究開発成果の創出が見込まれない場合は主務大臣が長を解任可能 制度の見直し:政府は適当な時期に制度の在り方を検討 (内閣府 平成28年2月4日 資料 研-2) 特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案の概要 我が国のイノベーションシステムを改革することで、経済社会情勢の変化に 対応して、産業の国際競争力を強化するとともに、世界最高水準の研究開発 成果を創出するため、新たに特定国立研究開発法人制度を創設する。 法律案の概要 (1)総合科学技術・イノベーション会議による関与の強化 ○内閣総理大臣は、総合科学技術・イノベーション会議の意見を聴いて、特 定国立研究開発法人による研究開発等を促進するための基本方針の案を 作成し、閣議の決定を求めなければならない。 ○主務大臣は、基本方針に基づき中長期目標を策定・変更するとともに、中 長期目標の策定・変更、中長期目標期間終了時の見直し等に際しては、総 合科学技術・イノベーション会議の意見を聴かなければならない。 (2)独法通則法の特例等による国際競争力の強化 ○世界最高水準の高度の専門的な知識及び経験を特に必要とする業務に従 …

新たに創設される「卓越研究員」制度(2016年公募開始)は、博士研究員(ポスドク)や任期付大学教員の雇用不安の改善に貢献できるのか?

  2015/11/27    科学行政

2016年3月29日追記: 文科省の卓越研究員事業のウェブサイトで、卓越研究員受け入れ先全リストが公開されました。 一覧化公開ポスト 本事業の対象となる、各機関からの提示ポストは以下のとおりです。 卓越研究員ポスト一覧  (Excel:96KB) 卓越研究員ポスト Integrated disciplines (総合)  (PDF:736KB) 卓越研究員ポスト Humanities(人文学)  (PDF:173KB) 卓越研究員ポスト Social sciences(社会科学)  (PDF:218KB) 卓越研究員ポスト Mathematical and Physical sciences(数物系科学)  (PDF:311KB) 卓越研究員ポスト Chemistry(化学)  (PDF:429KB) 卓越研究員ポスト Engineering(工学)  (PDF:673KB) 卓越研究員ポスト Biology(生物学)  (PDF:282KB) 卓越研究員ポスト Agricultural sciences(農学)  (PDF:383KB) 卓越研究員ポスト Medicine, Dentistry and Pharmacy(医歯薬学)  (PDF:367KB) * * * * * 関連記事 ⇒ 卓越研究員の受け入れ先が募集要項を公開 2016年3月28日 JREC-INに123件が掲載される 2016年度から新たに「卓越研究員」制度が始まります。 文部科学省は優秀な若手研究者が大学や国立研究開発法人、企業を自由に選んで研究に専念できる新制度を2016年度から導入する。国が毎年100~200人を将来性や論文から「卓越研究員」に認定する。各機関が人件費を負担し終身雇用を保証する。…( 「卓越研究員」16年度から導入 文科省、終身雇用を保証 …

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日本の科学技術イノベーション総合戦略

  2015/05/28    科学行政

新聞報道によると、日本政府は2015年5月28日、国の研究開発の指針となる今年の「科学技術イノベーション総合戦略」の原案を総合科学技術・イノベーション会議の会合で示しました。 参考 2015年(平成27年)5月28日 第9回基本計画専門調査会 (木)14:00~16:00 中央合同庁舎8号館6階 623会議室 配布資料  資料1第5期科学技術基本計画に向けた中間取りまとめ(案)(PDF28ページ)、資料2今後の予定について、資料3第8回基本計画専門調査会議事録(案) 総合科学技術・イノベーション会議(Council for Science, Technology and Innovation):総合科学技術・イノベーション会議は、内閣総理大臣、科学技術政策担当大臣のリーダーシップの下、各省より一段高い立場から、総合的・基本的な科学技術・イノベーション政策の企画立案及び総合調整を行うことを目的とした「重要政策に関する会議」の一つです。 科学技術イノベーション総合戦略2015構成(案)(PDF1ページ) CRDS-FY2014-FR-01 研究開発の俯瞰報告書 主要国の研究開発戦略(2015年)(PDF191ページ) 科学技術:おもてなしシステムを重点課題に 政府(毎日新聞 2015年05月28日):”2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、多言語翻訳できるロボットの開発や、バスと信号機が通信して定時運行を可能にする「次世代都市交通システム」の実用化など、観光客のための「おもてなしシステム」構築を、重点課題として掲げた。” 自動運転車など科技戦略案提示 政府、16年度予算から振り分け(日本経済新聞 2015/5/28):”年間約4.5兆円で推移する科学技術関係予算を、2016年度予算から自動運転車や農作業の自動化といった重点分野に振り分ける。” 科学技術イノベーション総合戦略2014 ~未来創造に向けたイノベーションの懸け橋~ 平成26年6月24日 閣 議 (PDF82ページ)

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【実録】「生命科学研究を考えるガチ議論」シンポジウム

  2014/04/06    科学行政

2013年12月5日(木)の夜、第36回日本分子生物学学会年会企画として行なわれた「生命科学研究を考えるガチ議論」。近藤 滋氏(大阪大学大学院 教授, 年会大会長, ガチ議論代表)、宮川 剛氏(藤田保健衛生大学 教授, ガチ議論スタッフ)らが企画し、宮野 公樹氏(京都大学学際融合教育研究推進センター准教授・総長学事補佐)がファシリテーター役を務めて、川上 伸昭氏(文部科学省政策評価審議官)、斉藤 卓也氏(文部科学省タスクフォース戦略室長)、鈴木 寛氏(元文部科学副大臣)、原山 優子氏(内閣府総合科学技術会議常任議員)、安宅 和人氏(ヤフー株式会社・CSO)らをパネリストに迎えてのこの集まり。神戸国際会議場1階メインホールを埋め尽くした研究者らとともに何が議論されどのような結論が導かれたのでしょうか? 日本の科学を考える(http://scienceinjapan.org)ウェブサイトで、シンポ・テープ起こしが順次公表されています。 トピック1【諸悪の根源、単年度予算制度】 単年度予算制度によって、年度末駆け込みによる無駄な使用、残券ゼロ化の無駄な努力、そし て預かり金という不正、などの諸問題が発生。全ての公的研究費の複数年度予算化をお願いしたいという提案。アンケートでは「研究費の基金化を全ての種目について進めるべきだと思いますか?」に対して「はい」が88%。約9割が基金化を希望しているという結果。 トピック2【研究者の雑用が多すぎ】 トピック3【研究者のポスト問題】 ポスドク1万人計画後、ポスト競争が加熱。競争過多で研究にマイナス。常勤と非常勤の待遇の差が大きすぎ。5年、あるいは10年の雇い止めも大問題。提案:安定性と競争性を担保する日本版テニュアトラックのようなものができないか。身分そのものは安定さ せるけれども、基本報酬は低く抑え、競争的なアドオン給与をつける。よほどのことがない限りテニュアが取得できるように。「このようなテニュアトラック制度、導入してほしいですか?」約9割が導入を希望。 トピック4【ギャンブル性が高すぎる競争的研究費】当たるか外れるかのall or none。安定した基盤的研究費の導入を提案。研究者の過去の実績の評価に主に基づき、研究費の額が緩やかに変動。突然ゼロになったり極端に増えるということはなし。アンケートでは、9割以上がこのような研究費の導入を希望。 などのトピックをはじめ、さまざまな話題に関して議論が行なわれたようです。 リンク:第36回日本分子生物学学会年会企画「生命科学研究を考えるガチ議論」シンポジウム書き起こし  

小保方さんの成功の秘密

  2014/02/08    科学行政

⇒ 小保方博士のSTAP細胞ネイチャー論文に疑義 小保方さんの成功を受けて、若い女性研究者の中から第2の小保方さんが出てくるように研究環境を整備しようという政府の動きがあります。小保方さんの活躍に刺激を受けた若い人も多いかもしれません。しかし今回の小保方さんの大発見は誰もが真似できるようなことではなく、研究者の生き方としてはあまり一般的ではない成功例と言えそうです。共同研究者として小保方博士のSTAP細胞発見に寄与した山梨大生命環境学部の若山照彦教授(46)が、小保方博士の成功の秘密を解説しています。 「小保方さんは今回、酸性溶液に浸すことで多能性の細胞を作ったが、酸性溶液という条件を発見する前、いろいろな刺激方法を模索していた。私は、小保方さんが作った細胞が多能性を持っているかどうか、マウスを使って判定する実験を2010年7月頃から手伝った。 小保方さんが博士課程の3年生で米ハーバード大に留学している時、共通の知人から『多能性の判定を手伝ってほしい』とメールが届いた。刺激だけで多能性を 獲得するのは動物ではあり得ないというのが当時の常識。だから、ハーバード大では誰に頼んでも判定の仕事を手伝ってくれる人が見つからず、若山に頼めば何 とかなると頼んできたようだ。最初は『できるはずがない』と思ったが、あり得ないことを試すのは自分も好きだったので手伝った。 判定の手法は、緑色に光るマウスが生まれてくれば多能性がある、光らなければない、というもの。当然、最初は全く光らなかった。同様の共同研究を私に持ち かけてくる人は多いが、一度失敗を伝えると、たいていの研究者は引き下がる。でも小保方さんは違った。だめだったと伝えると、更に膨大な量の実験をして失 敗の原因と次の作戦を考え、『次は絶対いけるのでお願いします』と別の方法で作った細胞をすぐ持ってきた。普通とは違う熱意を感じた。 (『できっこない』が『もしかすれば』に変わった瞬間は)なかった。情熱はあってもおそらく無理だと思っていた。彼女はまだ若いし、若い頃の失敗は後々のためには良いと思っていた。今回の発見は、それ ぐらい常識を覆す研究成果だ。2011年末頃、緑色に光るマウスの1匹目が生まれた時は、小保方さんは世紀の大発見だとすごく喜んでいたが、私はそれでも 信じられず、『どこかで自分が実験をミスしたせいでぬか喜びさせてしまったかも』と心配だった」 (小保方さんに続く若手研究者が今後出るのは)彼女は次元が違い、難しいかもしれない。小保方さんのように世紀の大発見をするには誰もがあり得ないと思うことにチャレンジすることが必要だ。でもそれは、若い研究者が長期間、成果を出せなくなる可能性があり、その後の研究者人生を考えればとても危険なこと。トライするのは並大抵の人ではできない。 (小保方さん、熱意違った…共同研究の若山教授 (2014年2月3日08時03分  読売新聞)) 参考記事 小保方さんの理研、新法人に指定へ 文科相 (朝日新聞デジタル 2014年2月1日10時07分):新しい万能細胞を作製した小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダーの所属する理化学研究所について、下村博文・文部科学相は31日の閣議後会見で、世界最高水準の研究開発を担う新制度の「特定国立研究開発法人」に指定する考えを明らかにした。再生医学の研究を加速させる。新法人は、優秀な研究者を高給で優遇するなど、資金を自由に使える。政府はこの制度を盛り込んだ独立行政法人改革の基本方針を昨年12月に閣議決定した。欧米では研究機関のトップに5千万円程度の年俸を出すケースがあるが、新法人の指定によって日本でも同水準の年俸の研究者が出る可能性がある。