2025年度科研費申請書新様式(6)どのような国際性を有するか をどのように書けばいいのか?について 

国際性が様式に追加

2025年度科研費から、申請書の様式に、(6)本研究がどのような国際性(将来的に世界の研究をけん引する、協同を通じて世界の研究の発展に貢献する、我が国独自の研究としての高い価値を創出する等)を有するか について具体的かつ明確に記述すること という指示が付け足されました。

ここをどう書けばよいのか戸惑い、悩んでいる人がたくさんいます。変更されてから初めての応募なので、どうのように書いた申請書が採択されたのかという情報がなく、正解がわからないのです。

国際性が評定要素に追加

単に、様式に(6)国際性が加わっただけというものではなく、それに対応して審査委員の評定要素に国際性が加わっていることに注意を要します。つまり、このセクションの記述に対して点数が付けられるのですから、おろそかにはできないのです。

国際性がない科学研究?

わざわざ国際性を書かせることに対して懐疑的な反応も多数見られました。科学研究の成果は、世界で一番だからこそ発表できるわけで、国際性がない研究という概念がそもそもあるのか疑わしいからです。

国際性をアピールしにくい研究

このような研究に配慮してか、指示のところには日本独自の研究の例も挙げられています。

(6)本研究がどのような国際性(将来的に世界の研究をけん引する、協同を通じて世界の研究の発展に貢献する、我が国独自の研究としての高い価値を創出する等)を有するか

国際性を評点とすることに関する感想・意見

国際性を書かせることになったウラ事情

(6)どのような国際性を有するか を書くにあたって、下記の資料は必読です。特に太字下線にした部分を読むと、今回の変更の意図が良くわかります。つまり(6)どのような国際性を有するか でアピールすべきことは、「国際共同研究加速基金」や「海外連携研究」の趣旨を反映したものであるべきだと言えるでしょう。

第 1 2 期 研究費部会 における科研費 の 改 善 ・充実及び 今後の 議論の方向性について( 中間まとめ ) 令和6年 6 月 2 4 日 科学技術・学術審議会 学術分科会研究費部会

①国際的に波及効果が高い学術研究の推進
(科研費(基盤研究)における研究の国際化等)
既に基盤研究等の枠組みでも国際競争力のある研究は数多く行われているところ、上記の環境の変化を踏まえ、「国際共同研究加速基金」として別枠で助成する仕組みではなく、審査によりそうした研究を見出し、助成する仕組みが必要である。
また、我が国の研究力の相対的・長期的な低下が懸念される中、現在の物価高や為替安等の厳しい社会情勢も踏まえ、研究者が国際競争力のある研究に十分取り組めるよう、応募額を尊重した研究費配分が望まれる。
このため、本部会及び振興会の学術システム研究センターにおける議論を踏まえ、「国際共同研究加速基金」について、その機能を勘案しつつ可能なものは段階的に「基盤研究種目群」等に統合していくこととする。その際、「基盤研究(B)」との間で実質的な差異がなくなった「海外連携研究」については、令和7年度助成から公募を停止し、速やかに「基盤研究種目群」等に統合することとする。
https://www.mext.go.jp/content/20240624-mxt_gakjokik-000036755_1.pdf

上の資料の経緯」を読めば、(6)国際性 をどう書けばよいかは明らかです。つまり、「基盤研究」に統合される「国際共同研究加速基金」と「海外連携研究」の趣旨を、基盤研究の様式の中で受け継いだのが(6)国際性 の部分なので、それらの趣旨を意識して書けばいいのです。

国際共同研究加速基金

国際先導研究 我が国の優秀な研究者が率いる研究グループが、国際的なネットワークの中で中核的な役割を担うことにより、国際的に高い学術的価値のある研究成果の創出を目指す。ポストドクターや大学院生の参画により、将来、国際的な研究コミュニティの中核を担う研究者の育成にも資する。(7年間(10年間までの延長可) 5億円以下)

国際共同研究強化 科研費に採択された研究者が半年から1年程度海外の大学や研究機関で行う国際共同研究。基課題の研究計画を格段に発展させるとともに、国際的に活躍できる、独立した研究者の養成にも資することを目指す(1,200万円以下)

海外連携研究 複数の日本側研究者と海外の研究機関に所属する研究者との国際共同研究。学術研究の発展とともに、国際共同研究の基盤の構築や更なる強化、国際的に活躍できる研究者の養成も目指す(期間3~6年間 2,000万円以下)

帰国発展研究 海外の日本人研究者の帰国後に予定される研究(期間3年以内、5,000万円以下)

(6)国際性の書き方に関するアドバイス