産学連携、何ソレおいしいの?

産学連携は美味しい

  1. 「大学は美味しい!!」フェアへ広島大学産学連携商品を出展しています
  2. イベント・リポート 第 2 回『大学の産学連携品は美味しい!!』フェア 日本補完代替医療学会誌第6巻第3号2009年10月:165–169

 

産学連携とは、企業と大学が共同研究をするというものです。今や国策となっており、大学教員は産学連携に興味がないなどとは言っていられません。

産学連携の始まり

今では、産学連携の部署を持たない大学は存在しないのではないかというくらいに、当たり前になっていますが、産学連携はいつから始まったのでしょうか?

  • 米国では、1970年代後半の米国経済の国際競争力低下を背景として、1980年に、政府資金による研究開発から生じた発明についてその事業化の促進を図るため、政府資金による研究開発から生じた特許権等を民間企業等に帰属させることを骨子としたバイ・ドール法を成立させた。
  • いわゆる日本版バイ・ドール制度を、産業活力再生特別措置法第30条(平成十一年法律第百三十一号)で措置した。(1999年)
  • 2006年新教育基本法によって、「研究成果の社会還元」が大学の使命のひとつとして明記されました。

参考:日本版バイ・ドール制度(産業技術力強化法第17条)経済産業省、国公立大学が創る未来 第二回「国策」としての産学官連携2016 朝日新聞DIGITAL

 

大学と社会との関係

  • 大学が社会から社会に対する貢献を求められていることを、大学人はもっと理解すべきと考えており、そのことが産学連携の基本となっている。
  • 産と学が新しい何かを生み出し、それが社会にちゃんと貢献することが産学連携の基本。
  • 社会が受け取ったときに経済的価値があれば社会はそれを利益として受け取るし、経済的ではなくても社会の倫理的な価値もある。また、社会基盤を整備するために必要なものもある。それらを社会がどれだけ受け入れるかが、社会受容性

(DOI: 10.15108/stih.00006 公開日: 2015.12.01 STI Horizon, Vol.1, No.1 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP))

 

産官学連携におけるそれぞれの思惑

企業は大学をツールとして使って自社の研究開発を促進し、事業化を通じて成長させるのが目標だ。

大学は産業界との連携による外部資金の獲得、研究教育活動の活性化が狙いである。

は最終的には雇用の創出税収の増大を期待する。

特集 地方大学×中小企業 群馬大学教授 伊藤正実 戦略経営者 2015年11月号)

 

産学連携が進まない理由

産学連携の本質的な問題点は、少なくとも6割の大学教員は企業との共同研究に興味はなく、自分の好きな研究を行っているということである。もちろん、企業のニーズに応えない長期的な基礎研究は重要であるが、重箱の隅をつつくような単なる暇つぶしにも見える研究が少なくない。実際、産学連携に熱心で、しかも研究能力に抜きんでた教員は全体の数パーセントいればいい方であろう。(誰も語らない産官学連携の問題点 大学教授のぶっちゃけ話 2008年1月7日)

お互いにハー ドルが高いと思い込んでいるのかもしれません。(産学運擦 の拶謝易に追る 肩書きは必要ない。 連携とは人と人とが つながることである 株式会社バイオジェットCEO兼 先端研究部研究統括 塚原 正俊氏 AGRIGARAGE03

  1. 組織的な産学官連携を行う上での 問題点とその背景要因: 産学官の有識者による自己診断とそこから得られる示唆 科学技術・学術基盤調査研究室 研究員 村上 昭義 STI Horizon, Vol.4, No.4  文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)
  2. 産学官連携の課題 文部科学省

 

産学連携で問題になるポイント

大学と企業との間で、特許共同出願時における不実施補償や、共同研究などにおける守秘義務のあり方など幾つかの問題をめぐって、さまざまな不協和音が聞こえているのが現実である。(2005年7月号特別寄稿 ”温度差”とすれ違い、産業界の苛立ちの狭間で-第4回産学官連携会議に出席して- 産官学連携ジャーナル 藤本 暸一  早稲田大学 知的財産戦略研究所 客員教授)

 

産学連携の現状

文部科学省によると「共同研究」「受託研究」「治験」など、大学と企業とのいわゆる産学連携の実施状況について、その総額が2017年度、全体で960億円と、初めて900億円を超えた。このうち「共同研究」については、約608億円と全体の約63.4%を占め、全体の伸びを牽引している。(進まぬ産学協同研究 現状と課題は? 2019年11月25日 日テレNEWS24

装置産業型 一社で保有してもたまにしか使わずコストが高くつくので、高額の工作機械や測定装置を大学の研究室が保有し、複数の企業が共同研究や委託研究で大学を介して実質的に共有

研究員型 大学教員を企業の研究員あるいは熟練した研究マネジャーとして使おうという話

のれん型 ○○大学と共同研究しています、○○先生の試験研究で効果が確かめられました、といった連携事実そのものに主な関心

無償労働力提供型 卒業論文をはじめとする学位と引き換えに試験研究や実験に学生を無償奉仕させれば、企業にとってみると非常に安価に目的が達成でき、教員も自由になる研究費が得られて双方にメリットがあった

産学官連携の心得 2018年11月号 産学官連携ジャーナル)

 

全体的に「シーズとニーズを結びつけることが産学連携」という固定観念にとらわれすぎている傾向がある。例えば、中小企業が自社製品を大学に評価・分析してもらうことも産学連携の一形態と考えることができ、活発化させていくべきである。また、産学連携というと大上段に構えすぎて、大きな案件を狙いに行き過ぎるという傾向もある。身の丈にあった細かい分野でトップを目指すということが方向性として正しいと考えている。(ISSN 1342-5927 調査研究報告 No.127 平成 25 年 12 月 中小企業の産学連携の実態~地域一体型の「面的」な産学連携の取組 公益社団法人中小企業研究センター)

 

産学連携の事例

 

大学からのスピンアウト・ベンチャー

ベンチャーの4パターン

営利型本当に儲けるためのベンチャー

1.「急成長型

2.「ニッチ(すき間)型」技術重視

非営利型

3.「研究・教育振興型」教育や研究の振興を目的とする

4.「社会目的型」環境保護などを目的とする

(参考:産学官連携推進委員会(第4回) 議事録 平成13年6月27日)

 

産学連携の様々な形

  1. 国立大と研発法人、産学連携の子会社設立が可能に 2020年01月23日 ニュースイッチ(日刊工業新聞)

 

産学連携のパートナーを探す・見つける方法

企業が大学の研究者を探す方法

  1. 提携先の見つけ方について教えてください。 J-Net 21

 

産学連携部署

東北大学

福井大学

 

産学連携を促進する要素

  1. 大学における産学連携の成長要因に関する研究 産学連携額6(2)、2010
  2. 「産学ツーリズム」で 地元企業の魅力を再発見。岐阜大学では,学長や理事ら大学執行部が地元企業を訪問し, 企業の魅力を認識する「産学ツーリズム」を行っています。 工場見学や企業トップらと情報交換を行い相互理解に尽力。 また共同研究や産官学連携なども行いながら,岐阜の産業界 とともに発展することを目的とした活動を行っています。

研究者カタログ

大学が自分の大学所属の研究者を企業に売り込むためには、うちにはこんな研究者のこんな研究がありますと紹介するための「商品カタログ」を作ると便利でしょう。

企業向け教員紹介冊子の作成を提案した。当初、学内のムードはこの教員紹介冊子作成に冷ややかであった。(ヒューマンネットワークのつくり方 私の産学官連携活動の4年間 -人脈のありがたさを実感- 水谷 嘉之 岐阜大学 客員教授・産官学融合 センター 産学連携コーディネーター 2006年4月号  産学官連携ジャーナル

  1. 岐阜大学 さんかんがく「教員紹介冊子」

 

参考

  1. 産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン【追補版】産学官連携を通じた価値創造に向けて 令和2年6月30日文部科学省経済産業省 84ページPDF
  2. 産学官連携の心得~門前の小僧の経験から〜 沖大幹 東京大学 国際高等研究所サステイナビリティ学連携研究機構 教授 2018年11月号  産学官連携ジャーナル
  3. 海外大学における産学連携のマネジメント・制度に関する調査報告書 平成 30 年 3 月 三菱総合研究所(84ページPDF 文科省)
  4. 本格的な産学連携活動の促進に向けた基礎調査報告書 平成 29 年 3 月 三菱総合研究所(149ページPDF 文部科学省)
  5. 「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン(仮称)」の⾻⼦素案平成28年10⽉⽂部科学省⾼等教育局⽂部科学省科学技術・学術政策局経済産業省産業技術環境局
  6. 特集 地方大学×中小企業 群馬大学教授 伊藤正実 戦略経営者 2015年11月号
  7. 産学連携による知識創出とイノベーションの研究-産学の共同発明者への大規模調査からの基礎的知見 2013 年 6 月 文部科学省 科学技術政策研究所 一橋大学 イノベーション研究センター 長岡貞男 細野光章 赤池伸一 西村淳一 (142ページPDF)
  8. 中小企業の産学連携の実態~地域一体型の「面的」な産学連携の取組 公益社団法人中小企業研究センター ISSN 1342-5927 調査研究報告 No.127 平成 25 年 12 月 165ページPDF
  9. 米国の大学における外国企業との産学官連携の実施状況等調査報告書 平成 23 年 3 月 未来工学研究所 105ページPDF
  10. ヒューマンネットワークのつくり方 私の産学官連携活動の4年間 -人脈のありがたさを実感- 水谷 嘉之 岐阜大学 客員教授・産官学融合 センター 産学連携コーディネーター 2006年4月号  産学官連携ジャーナル
  11. ”温度差”とすれ違い、産業界の苛立ちの狭間で-第4回産学官連携会議に出席して- 産官学連携ジャーナル 2005年7月号特別寄稿藤本 暸一  早稲田大学 知的財産戦略研究所 客員教授