関連記事⇒2023年9月XX日学振の選考結果発表:令和6(2024)年度採用分特別研究員(PD、DC2、DC1)の第一次選考結果について
2021年9月27日(火)に学術振興会特別研究員(通称、”学振”)の採用者が応募者に通知されました。自分は学振を取っていませんが、自分が大学院生だった頃にすでに学振の制度があったのか自分が知らなかっただけなのかわかりません。あったとしても、今の時代のように学振、学振という雰囲気は全くなかったように思います。めでたく学位を取得して大学院卒業の門出にはトータル600万円以上もの借金を背負うことになる、育英会の奨学金を得られて、無邪気に喜んでいました。
大学院生にとって経済的な支援があるかどうかは、たとえそれが奨学金と言う名の多額の借金であったとしても、研究者への道に踏み出せるかどうかを決める非常に大きな要素になります。最近でこそ、いろいろと大学院生向けの経済的な支援制度が立ち上がりつつありますが、やはり学術振興会特別研究員(学振)はその中でもメジャーなものとして定着しており、大学院生やポスドクにとって特別な重さがあると思います。
目次
- 1 学振の審査過程について
- 2 学振悲喜こもごも
- 3 学振採否結果の受け止め方
- 4 学振に関する当事者の思い込み
- 5 学振に落ちて困る理由
- 6 学振の採択率
- 7 学振の合否ライン
- 8 学振に通る理由・落ちる理由 能力との相関について
- 9 とある学振の通り方
- 10 DC1採択の戦略
- 11 学振DCのお給料の金額
- 12 学振の経済的な待遇に関する懐疑点
- 13 学振に落ちたあとに取るべき行動について
- 14 次回の学振採択を目指して
- 15 学振に落ちても研究者として生き残れることについて
- 16 学振焼きそばについて
- 17 学振制度改革への提言
- 18 学振昔話
- 19 学振の制度の歴史
- 20 学振の採用通知の時期に関する考察
- 21 学振合否発表がツイッター界隈に投げかける波紋について
- 22 ツイッターにおける生存者バイアスについて
- 23 学振のその先にある厳しい現実について
学振の審査過程について
新型コロナウイルスの影響だと思いますが、このところ、学術振興会特別研究員の審査で面接は実施されていないようです。
学振の発表は明日だと思ってますが、結果は「第1次採用内定」「第2次採用内定候補」「不採用」の3択です。面接はありません。
繰り返します、面接はありません。今年から無くなりました。(去年も無かったけど) https://t.co/L40RPbFUoN pic.twitter.com/sr80YsjtOi
— 大上雅史|Ohue M (@tonets) September 26, 2021
学振悲喜こもごも
学振採用の発表がある日は毎年、採択された人と不採択だった人のツイートがネットを駆け巡ります。
学振お前だけは絶対に許さへんからなの気持ち
— たまごちゃん (@kntyko) September 27, 2021
当人,博士に行くというだけで彼氏に振られたり,学振落ちただけで叱られたりとやたらかわいそうなので何らかの形で報われて欲しいですね.
— Ph.D.アルパ力 (@ReseArpaca) September 27, 2021
— a-ya (@cloez_uya) September 27, 2021
学振採否結果の受け止め方
学振は序の口で、研究者になる道のりには合否や採否に関しては幾多もの試練が待ち受けています。それはすでに大学入試、大学院入試から始まっており、希望するラボへの配属、学振、論文のリジェクト、科研費その他の助成金の採否、ポスドクやPI職の採否などなど、自分の希望が全部叶うような幸運な人はそうそういません。
「世間から否定された」ときに自分を失わせないでくれるものは何でしょうか。それは結局、研究に対する興味だったり、自分がやっている研究の面白さを自分で信じられることなのではないかと思います。
手元のデータの面白さを前にしたら、学振の結果なんてどうでも良くなってきた。ほんまこのデータおもろいな。
— やさい (@1wantphd) September 27, 2021
学振については去年DC1落ちてから、外部要因や運も絡む要因にまどわされるよりも、研究に打ち込んで成果を出したり自力で稼ぐ力を付ける方が有意義という結論に至った
— deriba (@deriba9) September 27, 2021
学振に関する当事者の思い込み
学振に不採用になることは、研究者としてのキャリアパスの一つの分岐に過ぎません。別にそこで行き止まりになるわけではないのです。
— 十中八九 (@jucchu89) September 21, 2021
学振:
研究者人生の最初の1-3年の業績などなどは、本人の努力や能力は同等でもそれ以外の要素に大きく左右されるのに、経済的および心理的なダメージは本当に大きい。
(ある程度年月が経つと当たりクジも回ってくるから少し平均化されるのだが)
大学院生への経済的支援、ほんと拡大して欲しい
— Kotaro Kimura (@KK_CeNeuro) September 27, 2021
学振に落ちて困る理由
そうは言ってもやはり、自分が認められなかったという体験は苦痛です。また、経済的に他に当てが無い場合には、DCが取れるかどうかはかなりクリティカルになります。
学振落ちて金銭的な意味で絶望してる院生VSなぜか学振合否と研究適性の関係を語り始める研究者の構図がつらい
— 帷子ノ辻しろっこー (@ultimatile) September 28, 2021
「学振不採用だったけど研究者になれた」とか「研究者としての才能を否定していない」とかの論争毎年繰り広げられるけど、不採用だった人の多くは経済的にも将来設計的にも不安な博士課程において月20万円の生活費を直近で得られないとなったことに落胆してるのでは。
— hiroki takeda (@tomatoha831) September 27, 2021
学振の問題点は、その時点では研究能力やポテンシャルに差がほとんど無くても、お金が貰えるかどうかで精神の安定度が全然違うので、大きな差が生まれる、という事
— とある高専卒業生 (@subarusatosi) September 27, 2021
学振の採択率
学振の採択率は結構低くてたったの16%だそうです。科研費の若手研究が近年は40%、基盤研究(C)が3割弱ですから、学振DCはかなりの競争率です。不採択になったからといってめげる必要はありません。
学振DC1通ってました!!!!!!!
採択率46/287の16%みたいです!!焼肉!!!!!!!!!— うどん (@udoooom) September 27, 2021
今年の学振DCの採択率(一次内定)は約16%だったそうで。
二次枠は±5.5%ということで、少し多めに二次に回されたのかな?
PDはどれくらいだったんだろう。
図はhttps://t.co/8v1BMd03LMより。 pic.twitter.com/9FzDuWMvEp— D_Roggy (@10xgenomics_) September 27, 2021
学振の合否ライン
学振DC1♂️ まぁ実力的にも順当 来年また頑張りたい pic.twitter.com/FPLJlOqwPI
— 佐波 (@sanamilon) September 27, 2021
学振DC2不採用Aでした。 pic.twitter.com/G6xDotu8uN
— つのだりょう (@tsunoryo124) September 27, 2021
学振結果なんですけど、1,2より総合評価が謎に高いのなんでなんだろう?? pic.twitter.com/W2jTsdLSGi
— まきろん||Makiron (@uw_makiron) September 27, 2021
学振不採用Aでした。アドバイスをくれた皆様、本当にありがとうございました♂️ 酒が飲みたい。
今後の参考のため、業績を記します。
英語論文0
国際会議ポスター1、オーラル1、
国内学会ポスター2、オンデマンド講演1
受賞1 pic.twitter.com/AJpgANaYlw— KH (@zf5U1IdSNBdOTGp) September 27, 2021
学振に通る理由・落ちる理由 能力との相関について
正直、学振通るか、通らないかが決まるの、有機系の場合だと大概の人は本人の力が2割くらいだと思ってるので(残りはラボの力と審査員運)、自分に能力がないから落ちたとは思わないで欲しい
— おばけがくん (@obakegakun) September 27, 2021
学振は、「採択に不思議の採択なし、不採択に不思議の不採択あり」なので、不採択の人は気にすることないですよ。
— ポポポポ~ン (@popopopaun) September 27, 2021
非常勤ながら教員だった現院生として、「あなたの問題ではなく教員の問題だ」と確信を持って言いたいです。
「教員が、学振取れるように指導できていなかった」という事実を認めたくないから院生を叱った、という図式かも。ともあれ、研究が継続でき、ご無事に学位取得までこぎつけられますように。
— みわよしこ/Yoshiko Miwa, a journalist (@miwachan_info) September 27, 2021
学振なんて、実力もある程度必要だけど、どれだけそのラボのスタッフが申請書の改訂に関わるかによると思う。学生だけでは限界がある。
— Hasejun (@jun0727) September 27, 2021
学振落ちたのは君のせいじゃないよ、審査員のせいだよ
— arune (@arunecos) September 27, 2021
学振DCが落ちてもたいていは運が悪いだけ。
強いて言えば指導教員の責任。— やもす (@ShIma_Megagauss) September 27, 2021
DC1通ってるんで学振に関しては何言っても成功者バイアスみたいになっちゃいますが、DCに関しては個人の能力より運とかラボとのマッチングの比重大きいと思うので通らなかった理由をあんまり自身に求めすぎない方がいいように思います
— Yohei Kumagai (@kmoooooog) September 27, 2021
今年もこれは言っていく所存。「学振落ちる=研究者としての素質がない」ではない。 https://t.co/2OQYRNn0cf
— がく (@16go_rider) September 27, 2021
とある学振の通り方
近隣で観測した参考にならない学振採用者の声として
・PD:誰にも見せずに一晩で書いて通った
・DC1:論文ゼロで通った(多数の表彰歴)
・DC2:リーディング大学院の義務なので仕方なく書いたら通った
・PD:通ったけど基礎特研通ったんで辞退しますなどのなんの参考にもならない舐めプが収集されますた
— くろ (@hokuhou_seiki) September 27, 2021
DC1採択の戦略
学振、特にDC1は「学進を見据えて論文を書いたり研究会発表したりしてきたか」みたいなのが結構重要だったりして、(その良し悪しは別にして)研究室によってはそういうフローを念頭に置いて指導を行ったりするので、落ちてしまっても必ずしも「能力がない」とは思わなくてよいと思う。
— シータ (@Perfect_Insider) September 27, 2021
学振DCのお給料の金額
おい!!!!!!!!!学振DC1通ったぞ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! pic.twitter.com/pyEaKo9RGJ
— 銀こんにゃく (@ginkonnyaku) September 27, 2021
学振DC2通りました…! pic.twitter.com/A9sPX8K2RK
— M.Fujita (@MASA_spacecraft) September 27, 2021
学振の経済的な待遇に関する懐疑点
日本の大学院生の待遇って、暗黙(?)の了解として学振DCの額(給料20万/月・研究費100万強/年)がMAXになってるけど、なんで?
— D_Roggy (@10xgenomics_) September 22, 2021
白眉も国立天文台フェローも基礎特権も学振SPDも高倍率なので通過することはもちろんすごいのだが、結局は任期付きで、その次のポストを何ら保証してくれないし、これらに通った人が次のキャリアアップができるほどポストが無いという日本の厳しい現実なんだよな。
— ダオダイ・スンシー✨ (@SMBKRHYT) September 19, 2021
学振に落ちたあとに取るべき行動について
東京大学でSPRING GXの募集がかかっています。東京大学で博士課程に在籍している人はぜひ応募しましょう。D1, D2だけでなくD3の人も応募可能とのことです(学振などをもらっているとダメだけど)。研究奨励費として月額18万円支払われます。https://t.co/OsVYddqKjJ
— 加藤岳生 (@takeokato719) September 22, 2021
学振落ちた皆さんはそれが自分の評価だなんて思って落ち込まずに、論文通すことをひたすら考えたほうが建設的だと思います。プロの研究者に慣れば申請書が落ちることのほうが多いですので。
— クシミタマ (@Beethovener) September 27, 2021
学振の発表は来週月曜だと思ってますが、落ちたあとの行動は以下の通りです。
・文科省大学フェローシップ事業の応募を調べる(各大学)
・JST次世代の応募を調べる(各大学)
・文科省卓越大学院と奨励金制度を調べる(各大学)
・研究室のボスに月20万円でRA雇用してくれるよう交渉する
— 大上雅史|Ohue M (@tonets) September 24, 2021
これはとても大切.
「まず学振に出してみる」
→お,ダメだったときのためにJST次世代とフェローシップがあるやん
→他に卓越大学院ってなんや?
→財団の支援は一部これらと重複受給できるのか
→それら全部だめでも,大学のRA支援があるのかというように,いろいろ調べて行動できる人が一番強い.
— R. Shirai@5σ (@74F373) September 24, 2021
学振採択や不採択の報告
↓
学振取れてなくても研究者になれたよ
↓
学振取れてなくても研究者になれた自慢が始まるんだよな←New!!どうしろと。
学振取れた子はおめでとう!よく頑張った!
学振残念だった子もよく頑張った!いい経験になるよ。研究者になるならなんぼでも申請書出す機会あるからね— 山田かおり PhD (@KaoriYamada01) September 27, 2021
学振落ちた人は今年から
次世代研究者挑戦的研究プログラムhttps://t.co/h1ocG8vjpD
と
科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設https://t.co/lTxviYl8iG
があるので自分が該当するかを調べてみてください
どちらも生活費(年200万円程度)と研究費が貰えます受かった人おめでとう
— 固体量子(研究室公認VTuber) (@QM_phys_kyoto) September 27, 2021
共同研究者から聞いたけど、学振落ちても卓越やらjstやらで月18万はもらえるらしい…旧帝大は潤沢なんだね…
— uiroooo (@uiroooo) September 27, 2021
次回の学振採択を目指して
ちゃんと事前から人に見てもらったのか。批判を受けたのか
推敲を十分したのか
論文等業績を積み上げたのか
これらをやってから学振のワルクチいったら、よいねん
シンプルやん。逆恨みをしない。周囲環境に絡まない
— Random Notes, Shin-ichi Morita 盛田伸一, 雑記帳 (@flowor_land) September 27, 2021
- 学振DC1/DC2に落ちたらどうする?対策3本柱 かだの研究ブログ 2021.09.26
学振に落ちても研究者として生き残れることについて
気にしなくてよいです。また次頑張ればよい。
僕は学振はM2の時から五回連続落ちて、そのあとSPDだけ貰いました。
出し続ければ何があるかわからない。— 新しい生活様式の研究者 (@Chamosiast) September 27, 2021
ワイも学振全落ちしたけどパーマネント助教してますわ。 https://t.co/JFMXGqdTuZ
— とみや理論物理学者(JK) (@TomiyaAkio) September 27, 2021
学振には結局通らんかったけど、今はどっかの教授になったよ。猫も拾うよ。大丈夫 pic.twitter.com/7wCFZr1lgG
— ネコハカセ (@yaskaz) September 27, 2021
学振焼きそばについて
時代は学振うどんです pic.twitter.com/Us3g7EC3zv
— Tatsuya Matsushima (@__tmats__) September 27, 2021
学振インドカレー pic.twitter.com/JMgHGJaY3J
— まぐろ (@maguroIsland) September 27, 2021
学振ケンタッキーできなかったので、東急スーパーで頭の悪い感じでそうざい買ってきてひとりパーティ pic.twitter.com/whWpeKA5aA
— まほろば (@_105k) September 27, 2021
学振制度改革への提言
今日、学振特別研究員(PD, DC)の内定結果が出たらしいので、改めてこれを強調しておきます。研究者養成・研究者支援は「選択と集中」ではなく、「幅広く全世代に」。 https://t.co/udq9RiOBec
— 石原 俊/Ishihara, Shun (@ishihara_shun) September 27, 2021
自分には関係ないけど、DC1の採択結果発表時には主要企業のエントリーがほぼ終わってるのもうちょっとどうにかした方が良いと思う(企業側も学振側も)
— eida (@Axxdo_o0) September 27, 2021
学振昔話
本日学振発表の噂?昔、学会の若手会の懇親会のときに学振の発表があり、それまでのほのぼのとした雰囲気が一転、後輩たちの阿鼻叫喚を肴に博士学生が酒を飲む悪魔のパーティーと化したことがありました。あれは楽しかった。
— Yohei Kumagai (@kmoooooog) September 24, 2021
遥か昔、学振DCには二次試験として面接(プレゼン)があった。僅かな時間(4min)で自身の研究を伝える必要があり、至高の領域まで練り上げた闘気(プレゼン力)が問われていた。
— T.M.T. (@tmtakahas) September 27, 2021
知り合いの先生は、学振DCの面接待ち時間に隣の初対面のライバルと仲良くなって、、その後、結婚されていました。吊り橋効果ですね。給与と研究費と伴侶まで得てました。。 https://t.co/R2zVLWWnnl
— Shin-ichi Arimura 有村慎一 (@ArimuraIchi) September 28, 2021
学振の制度の歴史
学振:歴史をみると、https://t.co/hSTTafM9QS 1988年でもDC2はあったようだが、周りで誰も応募してなくて、僕もだしてない。1990年に川崎先生のところにPDに応募して、一発内定ではなくて面接だった。
— 佐々真一 (@sasa3341) September 27, 2021
学振の採用通知の時期に関する考察
学振の内定発表どんどん早くなっているし、僕の計算によればあと30年ぐらいで学振申請と学振内定の順番が逆転してシンギュラリティが起こる
— Yuta Suzuki (@resnant) September 27, 2021
学振合否発表がツイッター界隈に投げかける波紋について
学振採択や不採択の報告
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学振取れてなくても研究者になれたよ
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学振取れてなくても研究者になれた自慢が始まるんだよな
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学振取れなくても研究者になれなくても幸せ自慢な人が通ります←New‼︎学振も研究者も人生の一部だから、皆頑張ったし美味しいもの食べて今日は寝よう。人生楽しいよ。 https://t.co/TdsoO6ofBt
— せい博士のキャリアアップ (@PhD_sei) September 27, 2021
ツイッターにおける生存者バイアスについて
この時期になると学振が取れなくても研究者にはなれるって言われて「はぁ...」ってなった話を思い出す...理想とか生存者バイアスでは飯は食えないの...
— H. Ishizuka (@ishizukaclass) September 27, 2021
学振のその先にある厳しい現実について
白眉も国立天文台フェローも基礎特権も学振SPDも高倍率なので通過することはもちろんすごいのだが、結局は任期付きで、その次のポストを何ら保証してくれないし、これらに通った人が次のキャリアアップができるほどポストが無いという日本の厳しい現実なんだよな。
— ダオダイ・スンシー✨ (@SMBKRHYT) September 19, 2021