新学術領域研究の”後継”(発展的な変更)である学術変革領域研究(A)の公募研究が、公募中です。
目次
学術変革領域研究(A)(公募研究)の締切日時について
研究計画調書の提出(送信)期限令和3(2021)年3月31日(水曜日)午後4時30分(厳守)※応募書類の提出(送信)後に、研究計画調書等の訂正、再提出等を行うことはできません。
上記は大学や研究機関の事務方が行う「送信」の期限であって、研究者が大学に提出する期限ではないことに注意。大学の学内締切は、大学ごとにまちまちです。”ほんとうのしめきり”がいつかについては、ご所属の大学・機関へお問い合わせください。
学術変革領域研究(A・B)の「ほんとうのしめきり」について問合せが来ておりますが、学内最終提出締切は令和2年3月6日(金)となっております! pic.twitter.com/FIC378GigI
— 熊本大学 URA推進室 (@URA69096009) February 28, 2020
- 令和3(2021)年度科学研究費助成事業-科研費-(学術変革領域研究(A)(公募研究))の公募について(文部科学省)
生涯学
Lifelong sciences: Reconceptualization of development and aging in the super aging society
これまでは,人間の生涯は「成長から衰退へ」という単純な枠組みでとらえられてきましたが,人生100年時代の到来とともに,従来のような固定的な生涯観だけで人間の生涯を理解することは難しくなってきています.そこで本領域では,従来の生涯観を刷新し、人間の生涯における変化を、社会との相互作用の中で多様な成長と変容を繰り返す生涯発達のプロセスとしてとらえ直すことを目的とした,新しい学際的研究領域である「生涯学」を創出し,研究を展開します。
- 生涯学の創出-超高齢社会における発達・加齢観の刷新
土器を掘る
Excavating earthenware: Technology development-type research for construction of 22nd century archeological study and social implementation
本研究領域は、土器の分析に、考古学のみならず、新たに植物学・昆虫学・農学・薬学・化学などの多様な周辺自然科学分野からの科学的視点にX線技術やAI技術を加えることで、従来考古学者の目に見えなかった土器中の資料群を可視化し、植物栽培(農耕化・定住化)の歴史とその人類に与えた影響に関する新たな情報の抽出・分析を試みる。
- 土器を掘る 22世紀型考古資料学の構築と社会実装をめざした技術開発型研究
中国文明起源
A New Archaeology Initiative to Elucidate the Formation Process of Chinese Civilization
本研究の目的は、新石器時代晩期(紀元前3千年紀後半)(以下、「紀元前」を「前」と略)の中国に勃興した諸地方文明がやがて黄河中流域へと収斂し、青銅器時代初期(前2千年紀前半)には中国文明として開花する過程を解明することにあります。
イスラーム信頼学
Connectivity and Trust Building in Islamic Civilization
イスラームという宗教・文明自体に他宗教・文明との対立が埋め込まれているとする言説は、2001年の9/11事件以後急速に流布し、依然影響力があるように見える。しかし歴史を謙虚に振り返れば、イスラーム文明は「横への広がり」、人と人の水平方向のつながりづくりに長けており、他者との間に信頼を構築する技術を発展させてきたからこそ、グローバルに拡大してきたと言える。本提案は、水平方向にネットワークを形成する過程の「つながりづくり」をコネクティビティの概念でとらえ、その暗黙知を言語化・可視化して、今日の世界において深刻化する不信と分極化・分断化の諸問題を解決するための視座を提供し、新たな提言を行うことを目指す。
- イスラーム的コネクティビティにみる信頼構築 世界の分断をのりこえる戦略知の創造
動的エキシトン
Dynamic Exciton: Emerging Science and Innovation
光化学は、エレクトロニクス、エネルギー、医薬・医療、機能性材料など現代社会において多様な貢献を期待されています。その根幹を司るドナー・アクセプター(D•A)相互作用では、今まで電荷移動(CT)を、クーロン相互作用による「静的エキシトン(クーロン力によって束縛された電子と正孔の対の状態及びその概念、と定義)」として捉えてきました。しかし、D•A系ではそれ以外にも、核や格子の運動、スピンと軌道の相互作用などが動的効果として時間発展的に働くために、従来の捉え方では破綻をきたしています。
次世代星間化学
Next Generation Astrochemistry: Reconstruction of the Science Based on Fundamental Molecular Processes
物理や化学の分野では、精密な反応制御や原子分子レベルでの表面反応ダイナミクス研究などが可能となっています。それを踏まえ、私たちは天文学・地球惑星科学・物理・化学の協働によって、素過程に基づく新しい学理として次世代アストロケミストリーを創生します。この次世代アストロケミストリーによって、宇宙における化学進化史を理解し、その多様性の中に太陽系を位置づけることが可能になると考えています。
ダークマター
What is dark matter? – Comprehensive study of the huge discovery space in dark matter
存在はするが未知の物質 ダークマター、今まではごくわずかな質量範囲で、その探索が行われてきました。 本提案では 広大なディスカバリースペースを網羅的にカバー するため、今までにない多角的な方法で、理論から宇宙観測・地上実験にまたがる研究領域を拓くことを目指します。
高密度共役
Condensed Conjugation Molecular Physics and Chemistry: Revisiting “Electronic Conjugation” Leading to Innovative Physical Properties of Molecular Materials
分子間空隙にわたる 新しい電子共役の概念 “X”-Conjugation の実証・普遍化
- 高密度共役の科学web
物質共生
Biophysical Chemistry for Material Symbiosis
「なぜそのマテリアルが免疫原性を持つのか?」―我々はその作用機序に目を向けることで、「物質共生とは何か?」を世界にさきがけて解明し定義することを目指します。本領域の研究成果により、様々な最先端医薬品や機能性材料に対して認められる課題(免疫原性、悪性腫瘍誘発など)の解決が期待されます。(期待される成果と意義より)
超秩序構造科学
Progressive condensed matter physics inspired by hyper-ordered structures
様々な材料における機能性の根幹は、母物質と添加元素(ドーパント)の組み合わせによる協調・協奏現象と言っても過言ではありません。そのような中、前プロジェクトの新学術領域「3D活性サイト科学」で代表されるように、結晶中のドーパント解析など欠陥の科学も進展し、その理解も大きく進んできました。
そして、学術変革領域「超秩序構造科学」では、その先のサイエンスを開拓し、世界トップを目指します。
- 超秩序構造が創造する物性科学website
散乱透視学
Comprehensive understanding of scattering and fluctuated fields and science of clairvoyance
本領域では、3次元空間にナノメートルからキロメートルサイズのマルチスケールに遍く存在する散乱・揺らぎ現象を包括的に理解すると共に、克服することを目的とします。そのために、生体から大気まで現実世界の散乱・揺らぎ媒質を伝搬する光の物理量をことごとく計測し、最新の理論と深層学習を駆使して、マルチスケールに存在する散乱・揺らぎ現象を解明すます。さらに、散乱・揺らぎ媒質そのもの、およびその向こうを透視することで、生命科学や天文学などの自然科学、情報通信工学などの工学の諸分野に革新をもたらします。
- 散乱・揺らぎ場の包括的理解 と透視の科学(散乱透視学)website
グリアデコード
Glia decoding: deciphering information critical for brain-body interactions
脳-身体相互作用の中核として多種類のグリアが機能し、その時間的な応答は神経活動よりはるかに多様である。さらに、グリアは血液脳関門の制御や末梢炎症の感知などの多彩な機能を脳領域と環境に依存して発動する。本領域では従来の神経活動計測とは全く異なる計測手法や体内環境の専門家を呼び込み、グリア機能の包括的な読み出し(デコーディング)を実現する。
不均一環境と植物
Multi-layered regulatory system of plant resilience under fluctuating environment
従来の研究は均一条件下での単一な環境応答の解析に留まり、本来の不均一かつ複合的な自然環境への多層的な適応機構を理解するには至っていません。本領域では、時空間的に不均一な環境情報を統御する分子機構とそれを支えるプロテオーム多様化機構に焦点を当てることで植物の環境レジリエンスの本質を解明し、生物の環境適応研究に変革をもたらすことを目指します。
臨界期生物学
Inducing lifelong plasticity (iPlasticity) by brain rejuvenation: elucidation and manipulation of critical period mechanisms
神経回路の可塑性が高い特定の時期を「臨界期(critical period)」と呼びます。臨界期の経験が神経回路に刻み込まれ、一方、神経回路の可塑性は臨界期が過ぎると著しく低下するために、臨界期の影響は一生涯残ります。例えば、視覚野の臨界期に片目の視覚を剥奪するとその目は弱視になってしまいます。そこで、一旦終了した臨界期を大人の脳で再開することができれば、失われた神経機能の回復や新たな脳機能の獲得を促進することが期待できます。実際、近年の研究により、臨界期の時期を早めたり遅らせたりすることや、成熟動物において臨界期を再開できる可能性が示されています。また、脳傷害の後の一定期間、神経回路の可塑性が上昇して機能回復が起きやすい、一種の臨界期が生ずることが知られています。これらを踏まえて、本研究領域では、臨界期を生涯にわたって生じ得る「神経回路の再編成と可塑性が亢進する時期」と捉え直しました。
多面的蛋白質世界
Multifaceted Proteins: Expanding and Transformative Protein World
近年の様々な発見や技術革新によるブレイクスルーから、従来のタンパク質の見方が大きく変化している。例えば、翻訳は、想定されている遺伝子読み枠の開始コドンAUGから始まって淡々とアミノ酸をつないで終止コドンで終わるだけではない。翻訳はしばしばAUG以外から始まったり、翻訳伸長途中で止まったり、途中終了したりするなど、非典型的な翻訳が普遍的であることが分かってきた。非典型的な翻訳は、神経変性疾患に関与する塩基リピート配列から起こる開始コドンAUGに依らない翻訳開始(RAN翻訳)のように病気に関与する場合もある。関連して、タンパク質をコードしないという定義で命名されたノンコーディングRNAが生理的に意味のあるタンパク質に翻訳される例が続々と見つかってきている。質量分析に基づくプロテオミクス解析の技術革新などによってプロテオームを構成するタンパク質のレパートリーは増加の一途をたどっている。また、タンパク質はいつもフォールディングして機能するわけではないこと、特定の場所・特定の構造状態で機能を発揮するだけではないことも分かってきた。例えば、タンパク質によっては完成前、すなわち翻訳途上で機能を発揮する例が見つかってきている。また、タンパク質によっては、複数のオルガネラへ局在し、その多重局在が機能に直結することが分かりつつある。
ゲノムモダリティ
Genome modality: understanding physical properties of the genome
ゲノムモダリティ Genome modality とは 塩基配列情報、DNA物性、その他の環境諸因子によって多元的に制御されるゲノムの構造や機能の様式のことを、本領域では「ゲノムモダリティ(Genome modality)」と呼ぶ。DNA物性を含む複眼的な視点からゲノムモダリティを理解することで、新しい染色体の形が見えてくる。
からだ工務店
Material properties determine body shapes and their constructions
体を構築・維持するには、細胞だけでは剛性が足りないので、サポート素材(カルシウム、コラーゲン、キチン等)が利用されます。細胞は、素材によって工法を選び、「体」を建築します。本領域では、「非細胞素材の加工」という新しいパラダイムを提示することで、解明が遅れている後期発生以降の形態形成の原理に挑みます。
深奥質感
Analysis and synthesis of deep SHITSUKAN information in the real world
我々が想定する深奥質感処理とは以下のようなものである。
- 質感情報から事物の多面的な生態学的意味や価値を計算する過程。身体内部に情動的な反応を誘発する過程も含む。
- 質感と他の感覚属性の統合により外界モデルを脳内に構築することによって、行動の結果を事前に予測し、適切な行動選択をするような過程。
- 質感情報処理が、処理の主体である人間の個性(たとえば年齢、脳機能障害、文化背景、経験)によって影響される過程。
- 実際の事物を出発点として、五感でとられた感覚情報の処理を介してリアルとフェイクを見極める過程。
アルゴリズム基盤
Creation and Organization of Innovative Algorithmic Foundations for Social Advancement
現代の高度情報化社会を動かしているアルゴリズム、すなわち論理的な手続き処理の理論と技法における近年の急速な進展を、様々な分野の科学者・技術者が理解可能な形で広く自由に利用できる学術として体系化し、社会変革の源泉となる基盤研究領域として発展させることを目的とする。近年の圧倒的な計算性能の進歩や未来の革新的デバイス、及び新しい社会的概念や価値観に基づいて、理論と応用を分かりやすく接続する汎用的かつ実用的な定式化モデルを再構築・体系化する。それらを構成する離散構造処理、制約充足、列挙、離散最適化、量子計算理論など、日本が強みを持つ分野を中心としたアルゴリズムの理論と技法の研究を推進し、革新的アルゴリズム基盤として発展させる。
分子サイバネ
Molecular Cybernetics -Development of Minimal Artificial Brain by the Power of Chemistry
新学術領域「分子ロボティクス」(2012-17)の基本理念を継承しつつ,より大規模な分子システム構築の方法論の開拓に挑戦する領域です.具体的には,センサ,プロセッサ,アクチュエータといった異なる機能をもつ分子を,リポソームをはじめとする人工細胞(コンパートメント)に実装し,さらにこれらを結合することにより,複雑な機能をもつシステムを構築する方法論の研究に取りみます.
参考
- 学術変革領域研究(A)リンク集(文部科学省)