Category Archives: 日本の科学技術行政

2019年度 厚生労働科学研究費補助金公募要項

厚生労働科学研究費補助金とは

厚生労働科学研究費補助金(以下「補助金」という。)は、「厚生労働科学研究の振興を促し、もって、国民の保健医療、福祉、生活衛生、労働安全衛生等に関し、行政施策の科学的な推進を確保し、技術水準の向上を図ること」を目的とし、独創的又は先駆的な研究や社会的要請の強い諸問題に関する研究について競争的な研究環境の形成を行い、厚生労働科学研究の振興を一層推進する観点から、毎年度厚生労働省ホームページ等を通じて、研究課題の募集を行っています。(引用元:2019年度厚生労働科学研究費補助金公募要項)*太字強調は当サイト

 

厚生労働科学研究費補助金の審査のされ方

事前評価委員会において「専門的・学術的観点」や「行政的観点」等からの総合的な評価を経たのちに採択研究課題が決定され、その結果に基づき補助金が交付されます。(引用元:2019年度厚生労働科学研究費補助金公募要項)*太字強調は当サイト

 

厚生労働科学研究費補助金に誰が採択されているのか

 

厚生労働科学研究費補助金(厚労科研)の見られ方

科研費と言えば文科省(JSPS)だと思っていたのですが、厚生労働省の科研費「厚労科研費」なるものもあるそうです。なんだかものすごく地味な印象ですが、その割に金額は大きいです。だったらなぜみんな応募しないのだろうと不思議に思って聞いてみると、「あれは最初から採択される人が決まっているから」(出しても無駄)という答えがよく返ってきます。実際のところどうなんでしょうか?

 

 

 

 

厚労科研費のコスパ

 

43800000000/16000=2737500なので、論文1本書くのに研究費を平均274万円使っているという計算になります。

 

厚生労働科学研究とAMEDとの棲み分けについて

国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下「AMED」という。)が平 成 27 年4月1日に設立され、平成 27 年度以降、厚生労働省、文部科学省及び 経済産業省が執行する健康・医療分野の研究開発予算は、AMEDに集約さ れ、AMEDから研究者に配分されるようになりました。 このため、健康・医療分野の「研究開発」に係るものについては、AMED が公 募を行っています。 一方、食品衛生、労働安全衛生、化学物質対策、危機管理等の国民の安全確保のために必要な研究や、厚生労働省の施策の科学的知見に基づく推進のため 必要な研究については、引き続き厚生労働省が公募等を実施しています。(引用元:「令和2年度厚生労働科学研究」に対する意見募集について 令 和 元 年 8 月 16 日 厚生労働省大臣官房厚生科学課 PDF)*太字強調は当サイト

平成31年度研究開発関連予算案の概要

平成31年度研究開発関連予算案の概要(カッコ内は平成30年度の数値)

厚生労働科学・調査研究費 日本医療研究開発機構関連経費
Ⅰ.行政政策研究分野

行政政策研究事業 約7.8億円(約8.8億円)
厚生労働科学特別研究事業 約3.1億円(約3.2億円)

Ⅱ.疾病・障害対策研究分野
成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業 約2.9億円(約1.9億円)
がん対策推進総合研究事業 約5.5億円(約4.0億円)
生活習慣病・難治性疾患克服総合研究事業 約26億円(約22億円)
長寿・障害総合研究事業 約7.4億円(約6.1億円)
感染症対策総合研究事業 約15億円(約14億円)

Ⅲ.健康安全確保総合研究分野
地域医療基盤開発推進研究事業 約3.1億円(約2.9億円)
労働安全衛生総合研究事業 約1.0億円(約1.0億円)
食品医薬品等リスク分析研究事業 約14億円(約13億円)
健康安全・危機管理対策総合研究事業 約3.2億円(約2.8億円)

1.オールジャパンでの医薬品創出プロジェクト 約103億円(約101億円)
2.オールジャパンでの医療機器開発プロジェクト(一部再掲) 約 30億円(約 29億円)
3.革新的医療技術創出拠点プロジェクト 約 39億円(約 33億円)
4.再生医療実現プロジェクト(一部再掲) 約 34億円(約 34億円)
5.疾病 克服に向け た ゲ ノ ム医療 実現プ ロ ジ ェ ク ト (一 部再掲)約 46億円(約 52億円)
6.ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト(一部再掲)約 92億円(約 90億円)
7.脳とこころの健康大国実現プロジェクト(一部再掲)約 18億円(約 11億円)
8.新興・再興感染症制御プロジェクト(一部再掲)約 26億円(約 22億円)
9.難病克服プロジェクト(一部再掲)約115億円(約114億円)
10.統合プロジェクト以外の健康・医療戦略の推進に必要となる研究開発事業(厚生労働科学に係る医療分野の研究開発) 約 70億円(約 69億円)
計 約89億円(約80億円) 計 約474億円(約470億円)

 

 

 

 

 

 

 

 

引用元:https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000511707.pdf

参考

  1. 競争的資金制度について(内閣府)
  2. 第 5 章 各府省が行う研究費助成制度
  3. 平成30年度競争的資金制度一覧
  4. 厚労省、AMED対象経費に475億円厚労科研費には82億円 2018年度予算の閣議決定受け (久保田文 2017.12.25 08:00 日経バイオテック 有料記事) 
  5. 科研費100億円超増額(2018/12/14 11:56 日本経済新聞)19年度の予算案は18年度当初予算から86億円増えて2372億円となる。

 

2019年度 厚生労働科学研究費補助金公募要項(3次)

公募期間

2019年8月2日(金)から2019年9月2日(月)午後5時30分

三次公募の対象研究事業

  1. EA がん政策研究事業
  2. FA 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業
  3. FC 難治性疾患政策研究事業
  4. HA 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業
  5. JA 労働安全衛生総合研究事業

参考

  1. 2019年度 厚生労働科学研究費補助金公募要項(3次)(厚生労働省)
  2. 2019年度第三次公募要項(52頁PDF)

 

2019年度 厚生労働科学研究費補助金公募要項(2次)

公募期間

2019年3月29日(金)から2019年5月10日(金)午後5時30分

二次公募の対象研究事業

  1. AC 臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業
  2. EA がん政策研究事業
  3. FA 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業
  4. FD 腎疾患政策研究事業
  5. FE 免疫アレルギー疾患政策研究事業
  6. FG 慢性の痛み政策研究事業
  7. GB 認知症政策研究事業
  8. GC 障害者政策総合研究事業
  9. HB エイズ対策政策研究事業
  10. JA 労働安全衛生総合研究事業
  11. KC 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業
  12. LA 健康安全・危機管理対策総合研究事業

参考

  1. 2019年度 厚生労働科学研究費補助金公募要項(2次)(厚生労働省)
  2. 2019年度第二次公募要項(98頁PDF)

 

2019年度 厚生労働科学研究費補助金公募要項(1次)

公募期間

平成30年12月21日(金)から平成31年1月29日(火)午後5時30分

公募対象

  • AA 政策科学推進研究事業
  • AB 統計情報総合研究事業
  • BA 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究事業
  • DA 健やか次世代育成総合研究事業
  • EA がん政策研究事業
  • FA 循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業
  • FB 女性の健康の包括的支援政策研究事業
  • FC 難治性疾患政策研究事業
  • FF 移植医療基盤整備研究事業
  • GA 長寿科学政策研究事業
  • GB 認知症政策研究事業
  • GC 障害者政策総合研究事業
  • HA 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業
  • HB エイズ対策政策研究事業
  • HC 肝炎等克服政策研究事業
  • IA 地域医療基盤開発推進研究事業
  • JA 労働安全衛生総合研究事業
  • KA 食品の安全確保推進研究事業
  • KC 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業
  • KD 化学物質リスク研究事業
  • LA 健康安全・危機管理対策総合研究事業

 

参考

  1. 2019年度 厚生労働科学研究費補助金公募要項(1次)(厚生労働省)
  2. 2019年度厚生労働科学研究費補助金公募要項(平成30年12月21日厚生労働省大臣官房厚生科学課 238頁PDF)

 

参考

  1. 2020 年度AMED研究事業実施方針(案)の作成に向けた 意見伺いについて 第 110 回 科学技術部会 令和元年5月 24 日 資料3-3
  2. 「令和2年度厚生労働科学研究」に対する意見募集について 令 和 元 年 8 月 16 日 厚生労働省大臣官房厚生科学課 ○ 厚生労働科学研究の交付対象となる研究課題を設定するに当たっては、厚 生科学審議会科学技術部会(以下「科学技術部会」という。)において、「取 り組むべき課題について、パブリック・コメントを実施し、広く意見を聴取 する」こととされています。 ○ このため、令和2年度厚生労働科学研究の各研究事業について、広く皆様 からの御意見を募集します。
  3. パブリックコメント:意見募集中案件詳細 厚生 /その他 「令和2年度厚生労働科学研究」に対する意見募集について 案件番号 495190165 e-gov.go.jp
  4. 平 成 30 年 度 予 算 概 算 要 求 の 概 要 厚生労働省
  5. 平 成 29 年 度 予 算 案 の 概 要 厚生労働省
  6. 科学研究費助成事業 新たな知の創造 世 界 をリード す る 知 的 資 産 の 形 成 と継 承 の た め に ―2018年、科研費は創設100周年を迎えます― Grants-in-Aid for Scientific Research 2018 (平成30年)文部科学省(PDF)
  7. 科研費改革の動向 (文部科学省 研究振興局学術研究助成課)

 

文科省の汚職事件の余波 私立大学研究ブランディング事業廃止、現行プロジェクトも打ち切り(期間短縮)

2016年度から始まった文部科学省の「私立大学研究ブランディング事業」は、文科省の局長が東京医科大に息子を合格させてもらうかわりに対象校選定で便宜を計った事件の影響で予算が取れなくなったために頓挫するという結果になりました。本来は、最長5年の支援が受けられるはずだったのですが、それが4年や3年で打ち切られる異常事態です。日経の記事(2019/2/27 9:58)の内容をもとにまとめてみると、

  • 2016年度 私立大学研究ブランディング事業開始 2019年度で打ち切り(支援期間4年)
  • 2017年度 2019年度で打ち切り(支援期間3年)
  • 2018年度 選定20校 支援期間3年に。
  • 2019年度 新規募集は無し(制度そのものが廃止に)

私立大学研究ブランディング事業の財源で雇用された「特任」の研究者も多いわけですから、5年のつもりだった任期が4年や3年に突如減らされるのはたまったものではありません。汚職事件を起こした役人一人の責任を、ブランディング事業全体に負わせるのはどうなのでしょうか?ただでさえ不安定な研究者の人生を、こんなふうにさらに不安定にさせるような措置が良かったとは思えません。

 

私立大学研究ブランディング事業廃止への疑問と怒り

私立大学研究ブランディング事業で現在雇用されている研究者の怒りや嘆きの声、ブランディング事業を行っている先生方の諦めの声などを耳にしたことがありますが、朝日新聞の報道(2019年4月9日05時00分)を受けて、ネット上でも疑問、批判、憤りの声が多数あがっています。

 

 

  • omg17@kazuOMG19 文科省官僚子弟の東京医科大裏口入学が世間バレした結果→連帯責任で私大全ての支援事業打ち切り 若手研究者らクビへ ある大学の担当者「(事件の)連帯責任を取らされるのは納得がいかない」 たしかにヘンテコ。みんな怪しげ、だから一括、という論理か。14:23 – 2019年4月9日
  • 龍谷ミュージアム元館長のつぶやき@tirisawa 今朝の朝日新聞が「私立大学研究ブランディング事業」の打ち切りを報じてくれた。東京医大の裏口入学事件後に、文科省がこの事業を打ち切ることを決めたのだ。この国は研究というものを何と考えているのだろうか。わが大学も大きく影響を被る。異常なことが平然とまかり通る世の中になっている。 13:42 – 2019年4月9日
  • harumo@harumo_blue 返信先: @V0muHLomD5YmmpZさん しかも東京医科大の贈収賄事件を口実にしてるのが変。見直すべきは支援事業じゃなくて双方当事者の体質では…? 12:56 – 2019年4月9日
  • (たま)いもむし@kihashikoku58 は?東京医科大での自分のヘマを理由に支援打ち切りって……
    自分のケツを他人に拭かせるなよ 12:35 – 2019年4月9日
  • @nanohananahachi 画像にある東京医科大へのペナルティなのかと思ったら、全ての私大が対象って… 12:22 – 2019年4月9日 
  • white wood@jelfalray 東京医科大の件は国(文科省)のほうにも重大な責任があるわけで、全く無関係の大学まで巻添えにする必要はないでしょう?お札のデザイン変えるお金があったらこういうことに使うべし! 12:05 – 2019年4月9日
  • Higo Tokinao@hegoesto 1番辛いのはブランディング事業に携わる若手研究者な気が… 10:51 – 2019年4月9日
  • ズーイ/AbsoluteNobody@nobody_absolute ブランディング事業の対象校に東京医科大が入ってたって事で、選定する過程や選定基準が適切でなかった可能性があるから選定し直すって言うなら分かるよ それで何故事業自体を取りやめる事に?そんな「そして地球は滅亡しました、〇〇先生の次回作にご期待ください!」みたいな結論ってある? 10:07 – 2019年4月9日
  • えるエル@learn_learning3 私立大学研究ブランディング事業の件,問題の原因と結果のみを書くと「どこかの官僚が息子を裏口入学させたので,若手研究者はクビを切られます」って,(悪い意味で)最先端すぎてめまいがする 10:03 – 2019年4月9日
  • Yuta Kashino@yutakashino(´-`).。oO( ↓文科省が不祥事の記憶を消し去りたいというだけの理由で,若い研究者を道連れにするという….意味不明… ) 9:53 – 2019年4月9日
  • 音(ひびき)@hibiki2200 有識者で構成され、採択校を選定してきた「私立大学研究ブランディング事業委員会」は、支援期間の短縮などを「極めて遺憾」とする委員長所見を公表した。ある大学の担当者は「(事件の)連帯責任を取らされるのは納得がいかない」と批判している。 9:43 – 2019年4月9日
  • Tomio NAKAJIMA@tann2009 東京医科大と加計学園だけ支給止めればいいのだろう?助成打ち切り、私大反発 最長5年 文科省、贈収賄事件後に 8:36 – 2019年4月9日

 

私立大学研究ブランディング事業への各大学のテーマや取り組みはそれぞれで、大学の特色が見えてきて大変興味深いと思います。

関連記事 ⇒ 私立大学研究ブランディング事業選定校と事業名(研究テーマ)、成果、論文業績

 

参考

  1. 私大への支援事業、計画途中で打ち切りへ 大学側は反発(波多野陽 2019年4月9日05時00分 朝日新聞DIGITAL)文部科学省は、私立大学の目玉研究に最長5年間の継続支援をする「私立大学研究ブランディング事業」を計画途中で打ち切ることを決めた。同事業をめぐる東京医科大学の贈収賄事件後に見直していた。年間50億円を超える事業で、若手研究者の人件費などとして見込んでいた大学側は、突然の打ち切りに反発。職を失う研究者も出ている。
  2. 「はしご外された」職失う研究者も 私大の支援打ち切り(有料記事 波多野陽 2019年4月9日05時00分 朝日新聞DIGITAL) 計画の途中で、突然文部科学省が打ち切りを決めた私立大学研究ブランディング事業。助成は大学が若手研究者を雇用する資金にもなっていた。
  3. 私立大学研究ブランディング事業で、同一学校法人の複数の大学が選出されたのは加計学園だけ(2018年7月6日 日刊ゲンダイ)( 2019-04-09 14:20:29 公営競技はどこへ行く)
  4. 省庁間の力関係」を象徴する「私立大学研究ブランディング事業」の打ち切り (2019/03/06 by suzumura ResearchMap)
  5. 私立大学研究ブランディング事業 平成30年度予算額56億円(文部科学省)
  6. 私大支援事業の期間短縮 汚職事件で予算減 (日本経済新聞 2019/2/27 9:58)文部科学省の「私立大学研究ブランディング事業」を巡る汚職事件を受け、同省は27日までに、最長5年としていた事業選定校の支援期間を短縮すると発表した。事件の影響で予算が確保できなくなったためで、事業が始まった2016年度と17年度の選定校への支援はいずれも19年度で打ち切る。
  7. 私大支援事業をいったん廃止 文科省、前局長汚職事件で(朝日新聞DIJITAL 2018年8月22日13時49分)文部科学省の前局長が、東京医科大の前理事長らから同省の私大支援事業の対象に選ぶよう頼まれ、見返りに自らの息子を不正入学させたとして起訴された汚職事件を受け文科省はこの事業の来年度の予算要求を見送り、廃止する方針を固めた。代わりに別の支援策を新設する方針だ。廃止されるのは、独自色のある研究のために施設費などを助成する「私立大学研究ブランディング事業」。
  8. 汚職事件受け、私大支援事業を廃止へ 文科省 (日本経済新聞 2018/8/21 23:39)文部科学省の汚職事件に関係した「私立大学研究ブランディング事業」について、同省が2019年度は公募せず、廃止する方針を固めたことが21日、関係者への取材で分かった。収賄罪で起訴された元幹部が、同事業の選定で大学側に便宜をはかったとされたことを踏まえたとみられる。
  9. 入試を歪めた文科省と私大の「不幸な関係」 補助金で迫る文科省、改革に及び腰の私立大 (土居 丈朗 : 慶應義塾大学 経済学部教授  2018/07/09 6:00 東洋経済ONLINE)
  10. 文科省汚職事件、そもそも私大「ブランディング」に政府助成が必要なのか?(2018年07月05日(木)16時00分 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代 Newsweek
  11. 先制医療による健康長寿社会の実現を目指した低侵襲医療の世界的拠点形成事業 平成29年度 文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」タイプB(世界展開型)に選定 東京医科大学
  12. 文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」に選定されました 【事業期間】平成29年度~平成33年度(5年間)2017/11/08 東京医科大学
  13. 文科省の私立大学研究ブランディング事業で問われた「全学的な価値」(2017年01月12日 Between情報サイト) 文科省によると、選定から漏れた大学の多くは、「その研究によって全学的な価値がどう高まるか」というビジョンや、計画から評価に至るPDCAサイクルの説明に具体性が乏しかったという。

SoftBank World 2018基調講演で孫正義氏が未来を予測【動画】

孫正義 softbank 2018 7月 AI講演(動画16:39)

*2018年7月19日 に行われたsoftbank 孫正義さんの講演の冒頭の一部分(動画16:39)

(以下、YOUTUBE書き起こしの転載。音声自動認識が不正確な語句は当サイトで修正。小見出し、太字強調は当サイト)


 

「未来は予測不可能」は本当か?

皆さんお早うございます。今オープニングのビデオがありましたけれども、未来が本当に今目の前に開かれようとしています。よくですねえ未来のことはよくわからない、だから現状精一杯生きるべきだと、そういうふうに言われる方がいます。本当にそれでいいんでしょうか。私はもうには多くの日本のビジネスマンの人々はですね、そういう考え方受け身で、いま起きている現実をそのまま見てですねその現実にどう対応していくか、生きていけばそれでいいんではないかというふうに思っている、そういうことに私は危機感を覚えているわけです。本当に今の現実をただしっかりと凝視してそこに真面目に一生懸命に触れて、接していけばですねそれでいいのかということですね。本当に未来はわからないのか、それはもしかしたら真剣にわかろうとしていないからそう思ってるんじゃないかっていうふうに私は思うんですね。多くの未来のことというのは常に今現在その前触れというものが目の前に存在しているということですね。その前触れをその、敏感に捉えて自分のこととして自分たちの未来の事として捉えて、一生懸命そこにまっさきにですね、人よりも早く、人よりも真剣に、人よりも深く考えて、人よりもそのことに対してですね洞察しようという思いで取り組むのか取り組まないのか。そして現状を変えていこうと、自分の現状を変えていこうと、自分たちの世の中の現状を変えていこうと、そういう努力をする人としない人、あるいは会社、結果が全然違うのではないかというふうに思います。

ビッグバン

今日はビッグバンについて少し語りたいと思います。未来について少し語りたいと思います。そして、ソフトバンクグループがどのようにそこに接していこうとしているのかということについて語っていきたいというふうに思います。まず最初に皆さんも知ってると思いますけども、138億年前にビッグバンが起きたというふうに言われています。私は宇宙の専門家ではないので、そういう風に言われていると、まあ概ねそんな頃にそういうことが起きたのではないかということでありますが。このビッグバンによってですね、宇宙がどんどん広がっていく。様々な惑星、恒星、銀河系のようなものが生まれてきて、しかもそれはですね、今も広がり続けているというふうに言われています。今現在も宇宙は広がり続けている。まさにビッグバンは一瞬で終わったわけではないということですね。

人工知能のシンギュラリティ

シンギュラリティ、もう一つのビッグバンとして私はシンギュラリティがやってきているというふうに思います。このシンギュラリティ、ひと言で言うと人工知能ですね、人工知能の叡智は人間の叡智を超えていくということですけれども。この人間の叡智を人工知能AIの叡智が超えて行った時に超知性が生まれ、その超知性はあらゆる産業を再定義していくということであります。すべての産業が再定義されるとするならばさて我々はどのようにそこに接して言ったらいいのかということであります。これは人類史上最大の革命だというふうに私は思っています。このAIの進化によってですね、様々な計算がされていくわけですが、この計算は演算はですねクラウド側のみでやるわけでもない。エッジ側のみでやるわけでもない。その両方が同時にですね並行して協調し合いながら、より高度なAIの演算処理がなされていくというふうに思います。このエッジ 側とクラウド側、両方どちらかがより大事なのではなくて、両方とも大事だということですね。まずエッジ側について少し語りたいと思います。

armを買収した理由

私がアーム(arm)の買収をした時にですね、なんで携帯会社がアームを買収するんだと、なぜ今さら半導体の会社なんだと、そういうふうに言ったメディアの人たち、あるいは一般の人たち、たくさんいました。あえて私は深く説明をしませんでした。今から話す内容によってですね、何故armを買収したのか。なぜアームが大事だと思っているのかということについても少しご理解いただけると思います。ソフトバンクは通信の会社だという風にこの十数年間思われていますけれども、ソフトバンク35年の歴史の中で通信の会社をやったのはほんの1/3、十数年に過ぎません。ソフトバンクは情報革命を会社の創業からずっと今までやり続けている会社であります。その情報革命の中の、中核事業の一つが通信であります。その通信もAIのための通信だというふうに私は思っています。情報革命=AI革命だというような状況が今からやってくるというふうに思います。このアームはエッジ側のチップとして欠かすことのできないものになっていきます。

スマートフォンの中に100%存在するarmのチップ

ここにいるみなさんは、一般的な人々よりもより先進的な人々だと思いますけれども、おそらくこのここにいる人の中でですね、スマホスマートフォンを自分のポケットに今持ってない人はほぼ一人もいないのではないかと思います。今世界中の人々がですね、去年たった1年間で15億台のスマホが売れました。まあ2年、3年平均してスマホが1人当たり使われるとしてですね、30億台、40億台のスマートフォンが世界中の70億人の人々の中で使われていることになるわけですね。もちろん70億人の中には赤ちゃんや小さな子どもあるいはお年寄りという方もいますので、一般のティーンエイジャーあるいは成人のほとんどの人は今やスマホを使っているという状況だと思います。そのスマホの中に100%あるものがあります。100%です。99%じゃないです。98%じゃないです。100%。100.0%存在しているのがアームのチップであります。しかもこれは周辺の、枝葉末節の部品ではなくてですね、セントラルな、自動車でいうエンジンに相当するものであります。世の中の人々が、もう、最早なくては生活が成り立たない状況になっている状況の中で、現実の中でですね、100%その心臓部分のエンジンの設計を司っているのがアームである。これは大変重要な意味があるというふうに私は思っています。オセロで言えばオセロのゲームでいえば、四つかどの一つに相当するものだというふうに私は思います。

Project Trillium(プロジェクト トリリウム)

このアームのチップはスマホだけではなくて今やあらゆるものに入り始めています。自動車、家電、コンシューマー機器ですね、ゲーム機器、ありとあらゆるもの、家の中あるいは工場の中のセンサまで含めてですね、出荷されていまして、去年までに出荷された累計は1000億個を超えました。1000億個です。地球上の人口が先ほど言いましたように70億人ですから、地球上の人口の70億人をはるかに超える規模の1000億個の arm チップが出荷されたと。しかも今から12年後の2030年には1兆個になるということが予想されています。アームのチップが1兆個、地球上のありとあらゆるところにばらまかれる。しかもそれがネットワークでつながる。しかもそれらは人工知能のエッジ側のディバイスとしてこれから活躍し始めるということですね。アームはProject Trilliumいうものでですね。アームのほとんどすべてのチップにAIの機能をこれから搭載していくということを決定し、早速そのチップの提供を開始しはじめました。

アームのチップの活躍ぶり

これによってですね 、ディバイス側で人々の動き、例えば皆さんが今スマホを使ってホームボタンを押すとですね、自分の指紋でその人のID が確認される。あるいはホームボタンを押さなくてもですね、オープンするだけで、自分の顔を見てですね、自分の顔を、自分のそのスマホのご主人だと、持っている所有者だということを理解しIDとして検知する。これもいわゆる人工知能ですね。これもすべて今現在、アームのチップで行われているわけですね。あるいは siri に話しかけます。siriが皆さんの声を認識し、そのことを理解しようとします。これもすべてアームのチップが今現在皆さんのスマホの中で活躍しているわけですね。それを、よりAIの機能を進化させて、もっともっとその能力を発揮できやすいように、そういうようにするのがプロジェクト・トリリウムであります。これはまずはスマホのような a シリーズのチップから搭載されますがm シリーズのようにですねIoTの中に入る小さな小さなデバイスにまでこのAIの機能がこれから1兆個入っていくことになるわけであります。

デバイス側の共通項としてのarmチップ

つまりそれは、道にある様々な監視カメラだとか、あるいは道路の中のですねいろんなものを検知するセンサーだとか、あるいは空を飛ぶドローンだとか、ありとあらゆる物に入っているわけですけれど、この後に詳しくまた説明がありますけれども、ライドシェアだとか、あるいは自動運転というものにもこれからエッジ側で続々とアームのチップが使われることになるわけです。これはチップだけではなくてそのソフトウェアのプラットフォームですねテンサーフロー(TensorFlow)だとか、カフェだとかいろいろあります。こういうようなものとそれからアームのチップを結びつけるソフトウェアレイヤーをアームが作り、例えばNVIDIA だとか Google だとかAmazon、 そういうところと連携し、アームのチップがAIのそれぞれのソフトウェアのプラットフォームとうまく連動できるように、ということを行っているわけですね。でディバイス側においてはこのほとんどすべてのチップがアームになると、これが共通項になる、というところが重要な1つのミソだというふうに私は思っています。

クラウド側の能力の今後の進化

ということで、エッジ側におけるAIのコンピューティングパワー、そしてエッジ側におけるAIチップの1兆個に及ぶ普及、これが大変重要なものになっていくということですが。さらにですね、クラウド側、こちらも大変重要ですね。クラウド側においてはGPU の能力を中心にですね。今から2030年までにはワンチップあたりの演算能力が約200倍になるというふうに予想されています。もちろん、これは1チップ当たりの能力ですけれども、そのチップの数もですね、クラウド側にどんどん増えていき、しかもそのクラウド側のAIチップとですね、エッジ側のアームのチップが大変高速に5 Gだとか6 Gだとか7Gと、これから通信が進化していく、それらと有機的につながってですね、これから連動していく。となるとですね、AIの進化というのは、恐ろしい勢いで、とどまることを知らない勢いで、今から二次曲線で伸びていくということであります。

業界内部の人間による未来予想図

冒頭に言いましたように未来のことはわからない、わからないから考えるのを止めて、今の現状に精一杯生きようじゃないか、というものの考え方に、私は「それで本当にいいのかな」というふうに疑問符を抱いているんですけども。間違いなくAIが二次曲線でその能力を高めていく。間違いなくエッジ側のチップはですね、1兆個前後の規模をですね、少なくとも我々のアームが出荷されるということを、我々アームの内部の人間がですね、そのように想定し、そのように設計し、そのように事業計画を立てているということが、一つの重要な事実だというふうに思います。つまりAIによってですね、それだけAIの能力が進化するということになると、全ての産業が再定義されると。例えばオックスフォード大学の学者の先生たちがですね、どんな仕事がいつ頃、AIによって追い抜かれていかれるのかというような予測をした、そういう議論の説があります。それぞれ2024年だとか2027年だとか2030年というふうに書いてありますけれども、これが2、3年早い遅い、本当に抜かれたのか抜かれてないのかというのはですね、私に言わせれば誤差だと。2、3年早い遅いは、…


 

下記リンクで、孫正義氏の基調講演全体が視聴できます。

ソフトバンク孫正義社長の基調講演(動画2時間8分20秒)

 

参考・報道

  1. Softbank World 2018ソフトバンクグループ最大規模の法人向けイベント「SoftBank World 2018」では、グループ代表の孫正義による基調講演のほか、協賛パートナーや導入企業による講演、展示などで新たなビジネススタイルをご紹介いたします。開催日時 2018年7月19日(木)・20日(金) [講演]受付開始8:30  開始10:00〜終了19:00(両日)[展示]受付開始10:00  開始10:00〜終了19:00(両日) 開催場所 ザ・プリンス パークタワー東京 主催 ソフトバンク株式会社 ソフトバンク コマース&サービス株式会社
  2. 孫正義「AIの価値をわかっているのに、なぜ真剣に取り組まないのか」ソフトバンク2018基調講演 (logmi ログミー)
  3. “業界のお約束”を破壊する革新企業を掛け算、ソフトバンクの「AI群戦略」 (1/2) (2018年07月20日 11時00分 三島一孝,MONOist)
  4. 「ソフトバンクがARMを買収した本当の理由」孫正義氏の基調講演 ソフトバンクワールド2018開幕 (ロボスタ 2018年7月19日 By 神崎 洋治)
  5. ソフトバンク孫氏がAI加速を宣言、「政府は進化止めている」と批判 (Bloomberg / YAHOO!JAPANニュース 7月19日(木)12時49分配信 Bloomberg) 孫氏の基調講演には、中国で配車アプリを手掛ける滴滴出行の柳青(ジーン・リウ)社長米ゼネラル・モーターズ(GM)のダニエル・アマン社長らが登壇した。
  6. ソフトバンク孫社長が「AIのトップ企業」買いあさるワケ (ITMEDIA NEWS 2018年07月19日 16時02分)  「AI(人工知能)がありとあらゆる産業を再定義する」――ソフトバンクグループの孫正義社長(兼会長)は7月19日、都内で開いたイベント「Softbank World 2018」で、繰り返し強調した。 同社は、AIで需要予測を行うライドシェア大手の中国Didi Chuxing(滴滴出行)などに出資。各業界でAIを活用するトップカンパニーを囲い込んでいる。だが、ライドシェアのように日本で制限されているサービスもあり、孫社長は「日本は過去を守り、未来を否定している」と現状を批判した。
  7. 痛烈批判:国内ライドシェア禁止に「信じられない」=ソフトバンクGの孫社長 (ITmediaビジネスONLINE 2018年07月19日 15時22分) [東京 19日 ロイター] – ソフトバンクグループ<9984.T>の孫正義社長は19日、都内で開いた法人向けイベントで、日本でライドシェア(相乗り)サービスが禁止されていることについて「こんなばかな国がいまだにあるということが、僕には信じられない」と述べ、国の対応を痛烈に批判した。
  8. 「ライドシェア規制は馬鹿げている」、ソフトバンクグループ孫社長 (田中 陽菜=日経 xTECH/日経コンピュータ 2018/07/19 17:00)ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は2018年7月19日、法人向けイベント「SoftBank World 2018」の基調講演に登壇。人工知能(AI)が交通や医療など様々な産業にもたらすインパクトや、AIが活用される社会を前提にした規制緩和の必要性などについて語った。
  9. ライドシェア禁止「こんなばかな国はない」 ソフトバンクの孫会長、政府を批判 (産経新聞 YAHOO!JAPANニュース 7/19(木) 21:25配信) ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は19日の東京都内での講演で、「日本は(自家用車を用いた相乗りなどの)ライドシェアを法律で禁じている。こんなばかな国はない」と述べた。
  10. こんなばかな国あるとは信じられない=国内ライドシェア禁止でソフトバンクG社長 (REUTERS 2018年7月19日 / 12:12 /) [東京 19日 ロイター] – ソフトバンクグループの孫正義社長は19日、都内で開いた法人向けイベントで、日本でライドシェアが禁止されていることについて「こんなばかな国がいまだにあるということが、僕には信じられない」と述べ、国の対応を痛烈に批判した。
  11. 中国の滴滴、ソフトバンクとタクシー配車 (日本経済新聞 2018/7/19 14:54) ソフトバンクは19日、中国の配車サービス大手滴滴出行と合弁会社を設立したと発表した。人工知能(AI)を活用したタクシー会社向けの配車プラットフォームを2018年秋から提供する。
  12. 【書き起こし】2018年3月期決算説明会(後編)(ソフトバンクニュース 2018-05-18)