通常はロケットは打ち上げのときに一度きり使われてきましたが、2015年11月23日に、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスが設立した企業ブルーオリジンが、再利用可能なロケットの着陸に成功しました。これによりロケット打ち上げのコストが劇的に削減される可能性があります。
‘There and back again’ – Amazon founder has success with reusable rocket
参考
通常はロケットは打ち上げのときに一度きり使われてきましたが、2015年11月23日に、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスが設立した企業ブルーオリジンが、再利用可能なロケットの着陸に成功しました。これによりロケット打ち上げのコストが劇的に削減される可能性があります。
‘There and back again’ – Amazon founder has success with reusable rocket
参考
 
						新たに創設される「卓越研究員」制度(2016年公募開始)は、博士研究員(ポスドク)や任期付大学教員の雇用不安の改善に貢献できるのでしょうか?
2016年3月29日追記:
文科省の卓越研究員事業のウェブサイトで、卓越研究員受け入れ先全リストが公開されました。
本事業の対象となる、各機関からの提示ポストは以下のとおりです。










* * * * *
関連記事 ⇒ 卓越研究員の受け入れ先が募集要項を公開 2016年3月28日 JREC-INに123件が掲載される
2016年度から新たに「卓越研究員」制度が始まります。
文部科学省は優秀な若手研究者が大学や国立研究開発法人、企業を自由に選んで研究に専念できる新制度を2016年度から導入する。国が毎年100~200人を将来性や論文から「卓越研究員」に認定する。各機関が人件費を負担し終身雇用を保証する。…( 「卓越研究員」16年度から導入 文科省、終身雇用を保証 日本経済新聞 電子版 2015/7/27 2:00)
卓越研究員になるための過程は、
卓越研究員制度を簡潔に紹介しますと、「受け入れたい大学は手をあげろ」「大学・研究機関外の公的機関が人を審査する」「マッチングで割り当てる」「割り当てた人は無期雇用にせよ」「人件費は基本大学持ち」… (東大総長参戦! 日本の科学を考えるガチ議論 2015.11.27)

(経済産業省 第4回 理工系人材育成に関する産学官円卓会議(平成27年10月22日) 資料7-5「博士人材の多様なキャリアパスの確保に向けた文部科学省の取組」PDF10ページ)
卓越研究員制度に関しては、卓越研究員制度検討委員会で議論が重ねられてきました。2015年3月の時点で公表された「卓越研究員制度の在り方について」(卓越研究員制度検討委員会平成2 7 年3 月2 7 日)では教授レベル、准教授レベルといったシニアクラスの卓越研究員制度というアイデアもありました。下の表に見るようにポスドクや任期付助教の高年齢化が進んでおり、若手ということで40歳以下という年齢制限を課してしまうと、チャンスを得られない人が相当数存在する可能性があります。
 (文部科学省中央区養育審議会第125回大学分科会(平成27年11月10日)配付資料3-3)
(文部科学省中央区養育審議会第125回大学分科会(平成27年11月10日)配付資料3-3)
ポスドク一万人計画で創出されたポスドクは2008年現在で数千人の規模で35歳を超えている。(ウィキペディア ポストドクター等一万人支援計画)
近藤:20年前に大学院の重点化を進めたことで、現在40歳前後のPDがたくさんおり、非常に厳しい就職難になっています。この年齢層に対する何らかのケアは可能でしょうか?
 生田:難しいと思います。財政当局の視点からすると、その年齢層の研究者に対して、大学院重点化を通じて高額の投資を したという解釈になっており、その人達をケアするための別途の予算措置は理解を得られないのではないでしょうか。本来であれば、産業界が、その人材を吸収 するはずだったのですが、産業界と大学とのミスコミュニケーション、さらには90年代からの不況がそれを不可能にしたのではないでしょうか?(アンケート結果への科学政策改革タスクフォース戦略室長・生田知子さんのコメント 日本の科学を考える ガチ議論 2015.10.24)
また、当初は「国家が卓越研究員を雇用する」という発想だったようですが、これも「受け入れ機関が雇用する」ように変わっており、このような新制度が果たして本当にうまく機能するのか、注目されます。
 (イノベーションに適した国とするための人材戦略 卓越大学院・卓越研究員制度 2014/11/19 東京大学 大学院理学系研究科長 教授 五神 真)
(イノベーションに適した国とするための人材戦略 卓越大学院・卓越研究員制度 2014/11/19 東京大学 大学院理学系研究科長 教授 五神 真)
2015年3月の時点では、『卓越研究員』制度の案は、以下のように、「教授相当の卓越研究員」など非常に興味深い内容を含んでいました。2016年度からとりあえず新制度が始まるわけですが、その後どのように改善・発展していくのかが期待されます。
(2)概念設計
 上記(1)を踏まえると、卓越研究員制度としては、以下のような仕組みの認定制度が一案(注1)として考えられる。【図12~14】
 ① 受入希望機関は、受け入れポスト・処遇等について事前公表(注2)。国又は中立的な公的機関が一覧化公開(注3)。
 ② 研究者は国又は中立的な公的機関に直接申請。その際、希望機関として3機関程度を申請。国又は中立的な公的機関によるピアレビューにより、卓越研究員を認定(注4)。その後、受入機関とのマッチング・調整を経て、受入機関において雇用(注5)。各受入機関において雇用経費を負担(ただし、国立大学法人運営費交付金との関係については別途検討)。
 ③ 卓越研究員は、受入機関による雇用開始時又は開始後6年程度までの適切な時期(注6)に、受入機関の審査を経て、年俸制(無期)に移行。
 ④ 卓越研究員に対するインセンティブは、テニュア相当の無期雇用が可能となるポスト獲得と、受入機関による魅力的な研究環境等の提示。
 ⑤ 受入機関に対するインセンティブは、卓越研究員の受け入れによる卓越した研究の進展と、卓越研究員に選ばれることによるステータス向上。
 (注1)本案は、学術コミュニティーにおいて、我が国全体を見通した中長期的な観点に立って、卓越した研究者を選定することができる機能を有していることが前提。
 (注2)受入希望機関の受け入れポストの調整に当たっては、単に既存分野の後継者選びとせず、学長等のリーダーシップの下、中長期的な観点に立って、戦略的に当該組織にとって真に必要な研究分野を選定することが前提。
 (注3)受入希望機関の受け入れポストの公表・一覧化公開は、毎年度実施することにより、卓越研究員が自ら希望するタイミングで、産学官の枠を越えて、更に好条件の処遇・研究環境を提示する機関に異動可能な仕組みとする。
 (注4)既存の人事システムにピアレビューによる認定を組み込むことによって、人事システムの透明性の向上につながるとともに、博士号取得者の採用を希望する民間企業にとっては、採用に当たっての有効な指標の一つとなる。
 (注5)受入機関とのマッチングを担保する方策については要検討。また、国又は中立的な公的機関のピアレビューによる認定の後に受入機関とのマッチング・調整を実施する場合、研究者(申請者)にとっては、ピアレビューを通じて、真に公正で透明性の高い審査プロセスによってテニュア相当の無期雇用が可能となるポスト獲得が可能となる一方、受入機関にとっては、独自の人事権が制限されることになる。新たな「第3のポスト」として明確に位置づけるため、制度導入へのインセンティブとそれを担保する財源への留意が必要。
 (注6)職階に応じて3段階(①助教職相当、②准教授職相当、➂教授職相当)でエントリーポイントを設け、①助教職相当については、原則テニュアトラック助教として、②准教授職相当及び➂教授職相当については、受入機関による雇用開始時に年俸制(無期)として雇用することが望ましい。
卓越研究員の規模については、大学における毎年度の採用教員数の合計が約1.1 万人(教員数合計約17万人・研究者数合計約89 万人)であること 国立大学における毎年度の定年退職教員数が約1,500 人(国立大学教員数合計約6万人)であること 優秀なポストドクターに対するフェローシップ制度(特別研究員PD)の毎年度の採用者が約350 人であること テニュアトラック制導入のためのモデル事業(テニュアトラック普及・定着事業)による毎年度の採用者が約50~100 人であることを踏まえ、本制度が定常化した段階で、毎年度約200 人程度(恒久的な制度と仮定すれば総数約6千人)を認定することが適当ではないか。なお、受入機関の配分の内訳については、産学官の受入希望機関の総数や機関毎の割合に依存するが、民間企業や独立行政法人も含め、特定の機関に偏ることなく、我が国全体で卓越研究員が活躍することが望ましい。(卓越研究員制度の在り方について 平成2 7 年3 月2 7 日 卓越研究員制度検討委員会 PDF19ページ)
新制度に対しては、期待、懐疑、疑問さまざまな反応があるようです。
卓越研究員はあくまでポスドク、PIではない。支給される研究費もラボを立ち上げるほどではないのでしょう。ホストラボの機材などに依存せざるをえない。 ホストにしてみれば、自分の研究とは異なる研究員がいきなり現れ、サポートを強いられる。お互い良好な関係を築くことは難しい?(「卓越研究員」制度を語る(「卓越研究員」制度を語る TOGETTER 2015年7月27日)
この企画、需要を確かめて始めようとしてるんですかね? してますよね?(卓越研究員、走る パンとサーカス 2015-07-29)
「日本の科学を考える」ウェブサイトでも、研究者の生活を保障するための制度に関する提言がなされています。国の雇用、移動も可能というアイデアは「卓越研究員」制度の議論の途中段階にはあったようです。
問題はキャリアパスが崩壊していることではないかと思います。それが研究自体にも大きな影響を与えています。キャリアパスとは、それを職業として自分や家族が安定した生活を送る未来が描けるかどうかということですが、それが非常に厳しくなっています。…私の理想に近い形は、ポストは終身個人に与えられて、条件が合えばそれをどこにでも持って行けるというフランスのシステムに似たものです。終身雇用と人材 の固着は、実は切り離すことができます。終身雇用への転換に伴う財源に関する批判に対して、現状でも出処が違うだけで支払われているという指摘もありま す。また、「安定性と競争性を担保する日本版テニュアトラック制度」では、最低限の給与を公的機関(国)が保証し、自ら獲得した研究費の間接経費からも加 算する方法が提案されています。これは現在の仕組みを変えて行く具体的な方法の一つであると思いますが、私自身は公的機関の研究職は国家公務員資格と同等 なものとして扱う仕組みがあればいいと思っています。(研究は、結局、最後は人である 日本の科学を考える ガチ議論 国立大学准教授 2015.11.05)
参考

(1)卓越研究員制度や学振の各種新規補助金だが、17年4月時点40歳未満という年齢制限は「ミスマッチ」でお話にならない。日本で職からあぶれている層が最も厚いのは、現時点で30台後半~40台半ばの研究者。その下の世代は上の世代の苦労をみているから、博士課程進学率が落ちているのである
— 石原俊(たぶん社会学者) (@ishihara_shun) 2016年3月10日
 (日本再興戦略改訂2015の概要 PDF)
(日本再興戦略改訂2015の概要 PDF) 
						誰でもわかる 今年のノーベル賞~生理学・医学 物理学 化学賞~【日本科学未来館×Newton×ニコ生】
黒田有彩(司会、NHK Eテレ『高校講座 物理基礎』MC)
髙橋麻美(日本科学未来館 科学コミュニケーター 生理学・医学賞チームリーダー)
谷明洋 (日本科学未来館 科学コミュニケーター 物理学賞チームリーダー)
松浦麻子(日本科学未来館 科学コミュニケーター 化学賞チームリーダー)
詫摩雅子(日本科学未来館)
髙嶋秀行(Newton本誌・ムック 編集部長)
※本番組は2015年10月25日にニコニコ生放送で放送されました
厚生労働省は2015年11月25日に体に装着して歩行能力を高めるロボットスーツ「HAL」を医療機器として承認しました。ALS(amyotrophic lateral sclerosis;筋萎縮性側索硬化症)など8つの難病を対象としています。装着型のロボットが保険が適用される医療機器として承認されたのは日本で初めてだそうです。
HAL医療用下肢タイプを承認しました
 11 月10日開催の薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会での審議を経て、本日11月25日付けで下記のHAL医療用下肢タイプを承認しましたのでお知らせします。
 [ 販売名 ] HAL 医療用下肢タイプ
 [ 申請者 ] CYBERDYNE株式会社
 [ 申請日 ] 平成27年3月25日
 [ 使用目的 ] 本品は緩徐進行性の神経・筋疾患患者を対象として、本品を間欠的に装着し、生体電位信号に基づき下肢の動きを助けつつ歩行運動を繰り返すことで、歩行機能を改善することを目的として使用する。
 対象となる緩徐進行性の神経・筋疾患は、以下の8疾患である。
 【1】脊髄性筋萎縮症(SMA)
 【2】球脊髄性筋萎縮症(SBMA)
 【3】筋萎縮性側索硬化症(ALS)
 【4】シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)
 【5】遠位型ミオパチー
 【6】封入体筋炎(IBM)
 【7】先天性ミオパチー
 【8】筋ジストロフィー
(厚生労働省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000105014.html)
ロボットHALを医療機器で初承認 保険もききます(15/11/25) (YOUTUBE Published on Nov 25, 2015)
歩行訓練ロボットスーツHAL 製造販売承認することに (YOUTUBE Published on Nov 10, 2015)
ロボットスーツHALを試験的に利用したリハビリ訓練 (YOUTUBE Published on May 28, 2014)
ロボット・スーツHALが文科省で動き出す! (YOUTUBE Published on Oct 23, 2012)
TEDxTokyo – Dr. Yoshiyuki Sankai – 05/10/15 – English (YOUTUBE Uploaded on May 19, 2010)
HAL(Hybrid Assistive Limb) from Cyberdine (YOUTUBE Uploaded on Mar 2, 2007)
参考
嘔吐、下痢などを引き起こすノロウイルスは、抗ウイルス剤が存在しないため、輸液などの対症療法に頼るしかありません。そのため、予防が非常に重要です。近年、特に日本や中国で新型のノロウイルスが流行していますが、この新型ウイルスは川崎市の健康安全研究所により発見、同定されたものだそうです。
川崎市健康安全研究所が昨年3月、新型のノロウイルスを世界で初めて見つけた。…新型ウイルスは、ウイルス・衛生動物担 当の職員5人が発見。昨夏に国際機関で登録され、今夏には英文の感染症専門誌にも掲載された。5人は功績をたたえられ、10月に市から表彰を受けた。(新型ノロウイルス、川崎市職員が発見 世界初の快挙 朝日新聞 DIGITAL 2015年11月23日)
ノロウイルスの遺伝子型について
ノロウイルスには 5 つの遺伝子群 (GI-GV) が存在し、ヒトに感染するのは GI、II、IV であると言われています。さらに、GI は 9 種類 (GI.1-GI.9)、GII は 22 種類 (GII.1-GII.22) の遺伝子型に細かく分類されています。(川崎市健康安全研究所 2015年9月25日)
新型ノロウイルスについて
2014 年 3 月に健康安全研究所が新たな遺伝子型を含むノロウイルスを検知しました。このノロウイルスは、以前に検出された GII.17 とは異なる変異ウイルスで、2013 年までは川崎市では検出されたことはなく、世界的にも初めての確認となり国際的に GII.P17-GII.17 という遺伝子型に命名されました。(川崎市健康安全研究所 2015年9月25日)
新型ノロウイルスに対する警戒の呼びかけ
ノロウイルスは、遺伝子型ごとに殻の表面の形が異なることから、これまでの主要遺伝子型である GII.4 に感染したことがあり GII.4 に対する免疫を獲得している人でも GII.17 変異株に感染する可能性があるため注意が必要です。(川崎市健康安全研究所 2015年9月25日)
新型ノロウイルス 大流行のおそれ高まる ((日本放送協会 YOUTUEB 2015/10/23 に公開)(動画削除)
Emergence of a novel GII.17 norovirus – End of the GII.4 era? In the winter of 2014/15 a novel GII.P17-GII.17 norovirus strain (GII.17 Kawasaki 2014) emerged, as a major cause of gastroenteritis outbreaks in China and Japan. Since their emergence these novel GII.P17-GII.17 viruses have replaced the previously dominant GII.4 genotype Sydney 2012 variant in some areas in Asia but were only detected in a limited number of cases on other continents. This perspective provides an overview of the available information on GII.17 viruses in order to gain insight in the viral and host characteristics of this norovirus genotype. We further discuss the emergence of this novel GII.P17-GII.17 norovirus in context of current knowledge on the epidemiology of noroviruses. It remains to be seen if the currently dominant norovirus strain GII.4 Sydney 2012 will be replaced in other parts of the world. Nevertheless, the public health community and surveillance systems need to be prepared in case of a potential increase of norovirus activity in the next seasons caused by this novel GII.P17-GII.17 norovirus. (de Graaf et al., Euro Surveill. 2015 Jul 2;20(26). pii: 21178.)
参考
アクアバウンティー・テクノロジーズ社が開発した、遺伝子組換え技術により通常よりも速く成長するサケ『アクアドバンテージ・サーモン』が生産・販売され食用に供されることを、 アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)が2015年11月19日に承認しました。アクアバウンティーが最初にFDAの許可を申請したのは1996年で、実に20年近くもかかってようやくここまでたどり着いたということになります。
“The FDA has thoroughly analyzed and evaluated the data and information submitted by AquaBounty Technologies regarding AquAdvantage Salmon and determined that they have met the regulatory requirements for approval, including that food from the fish is safe to eat,” ( ‘Frankenfish:’ GMO salmon declared safe to eat, environmentalists rail against FDA. rt.com 20 Nov, 2015)
この遺伝子組換えサーモンを食べても安全というFDAのお墨付きが出たからといって、長年の論争に決着がついたとはいえないようです。「遺伝子組換え」の表示は不要というFDAの判断に不安を募らせる消費者も多く、ホールフーズマーケットやトレーダージョーズなどアメリカの大手のスーパーマーケットは、アクアドバンテージ・サーモンを取り扱わないことを以前、宣言しています。
Genetically-modified salmon approved by FDA (https://www.youtube.com/watch?v=PQSArjT8j9o)
市場に出荷できるサイズにまで成長のに必要な飼育期間が半分近くにまで短縮され、コストが大きく削減できるメリットが謳われています。
「アクアドバンテージサーモン」と名づけられたこのアトランティックサーモンは、1年を通して成長ホルモンが分泌するように、遺伝子組換え技術を用いて「改良」されています。ゲンゲという別の種類の魚の不凍タンパク質(Anti-freezing protein;AFP)遺伝子の発現制御領域に、チヌークサーモン(chinook salmon)の成長ホルモンの遺伝子をつないだDNAを、アトランティックサーモン(Atlantic Salmon 学名:Salmo salar)に遺伝子導入したというものです。
 (https://www.ncbiotech.org/sites/default/files/pages/Keynote%202%20-%20AquaBounty%20Keynote%20Presentation.pdf)
(https://www.ncbiotech.org/sites/default/files/pages/Keynote%202%20-%20AquaBounty%20Keynote%20Presentation.pdf)
参考
Genetically Modified Salmon – Coming Soon? (uploaded 2011 Apr) 
アインシュタインは1905年に特殊相対性理論を発表しましたが、1915年に一般相対性理論に辿りつきました。この年の11月にアインシュタインはベルリンで4回の講演を行い、自分の理論を発表しています。
アインシュタインが1915年にドイツ・ベルリンのプロイセン科学アカデミーで一般性相対理論を発表したときの論文(プリンストン大学のアーカイブへのリンク)。
一般相対性理論100周年を記念したセミナーも世界各地で開催されています。
カリフォルニア工科大学Kip Thorne教授によるレクチャー「Einstein’s General Relativity, from 1905 to 2005: Warped Spacetime, Black Holes, Gravitational Waves, and the Accelerating Universe」(November 16, 2005)。
Einstein’s General Relativity, from 1905 to 2005 – Kip Thorne – 11/16/2005
ロベルト・ダイクラーフ(Robbert Dijkgraaf)教授によるレクチャー。
100 Years of General Relativity
参考
国立情報学研究所などが取り組んでいる人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」の「東ロボくん」が6月に受験していたベネッセコーポレーションのセンター式模試「進研模試総合学力マーク模試・6月」の結果が2015年11月14日に発表され、5教科8科目の合計点は全国平均416点を大きく上回り、511点(偏差値57.8)でした。
今回の結果に関してはさまざまな受け止め方があります。
もうダメだ。人工知能は俺を超えてしまった。
まだ俺のほうが勝ってるな
これじゃ、いずれ東大卒のコンピューターに俺たちの就職先がどんどん奪われるな
たんなるデータベースだから入学はできても、卒論がコピペになって、卒業できないと思うよ。
もうロボットでいいじゃん日本人いらないじゃんw
すげぇな。AIはどんどん進化して人間を超えるだろうな
人間がAIの奴隷になるのももうすぐだな考えてみれば人が道具を作ったのも、手では持てない物を持ち上げるためだし、手で投げるより 遠くへ飛ばすためだ。道具のおかげで、足で走るより速く、より遠くへ移動もできる。 自分の頭で考えるよりもっと速く、もっと深く考えてくれる道具をこさえるのも自然の成り行きだな。
人工知能がバカのふりし出すのが一番怖いな
> コンピューターが解読できる形に人が書き直した問題文を解析
そこを飛ばしてどうする俺が解ける形に書き直してくれれば俺も東大入れるよ
問題文をちゃんと解釈できるかどうかというのが人工知能のキモじゃないの?
そこで人間が手伝ったら意味ないやん問題文をカメラで画像認識して問題文の意味認識・意味解釈からやらせるなら凄いな
結局辞書内蔵レベル?優秀なのかよくわからない
大学受験を目標にしないほうがいいと思う単に、人間の受験問題に対する理解が深まる、だけだと思うね。
大学入試のクセをつかむ研究になってしまうので応用は効かない。
純粋な学術興味に基づくものでもなければ、特定技術のブレイクスルーを狙ったものでもないのではないかな。 単に、わかりやすくアピールしやすい問題をしたというだけ。 少なくとも、これによって何が出来、どういう技術開発や進歩が可能なのかを説明すべきだろう。
東大合格程度の人工知能で社会が変わるとかアホらしいわ。 地方国立大卒でも大学で真面目に学んできた人間の知性は東大合格の比ではない。
記憶力さえあれば思考力ゼロでも国立大に受かる
こんなんじゃ頭がいいと言えないでしょうこれさ、人工知能で高得点できる科目は受験科目から外すべきだよな。 くだらないから。
答えが分かってる問題をといてるウチは、とてもとても・・知能とは言えない。(http://daily.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1447480239/, http://daily.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1447510455/)
東ロボくんは、センター式模試だけでなく、数学と世界史の2科目で「東大入試実戦模試」にも挑戦しており、受験生平均を上回る偏差値54を獲得したそうです。この結果を受けて、東ロボプロジェトのリーダーである新井紀子・国立情報学研究所教授は、ロボットに追い抜かれるような受験勉強をしてしまっている受験生が多いことに警鐘を鳴らしています(コメントの一部を抜粋して紹介)。
… 東ロボくんに限らず、現在「人工知能」 と呼ばれているものは言葉を解さない。出題意図などみじんも理解できない。ただ、キーワードを頼りに検索をし、関係がありそうな文を選んできて、制限字数 内にはめ込むだけだ。…私は、事前に東大の世界史過去問題集に目を通した。そこには目を見張るような良問が並んでいた。東大生ならば、ぜひとも歴史から学ぶことで、混迷した現代社会の課題を読み解き、解決していけるような洞察力と論理性を身に着けて欲しいという、まさに受験生へのラブレターのような問題であった。…世の人々は、実際の入試問題を見ず、また、採点の実態を知らずに、「一発勝負ではない丁寧な入試を」「暗記や計算ではない創意工夫を求める問題 を」と求める。が、東大の記述式試験は、一発勝負や丸暗記とはまさに対極にある、世界でも類をみない丁寧な入試なのである。世界史だけではない。数学や他の科目も同様である。そのような「丁寧な入試」にもかかわらず、なぜ受験生は機械に後れをとったのか。東ロボくんの答案を採点した予備校の先生は、「世界史を理解しようともせず、ただ教科書を丸暗記して部分点を狙ってくる受験生の答案に似ている」と喝破した。つまり、東ロボくんのような答案を書いて入学している受験生が相当数存在するのである。東大を始めとする難関大学にとって不幸なのは、どれほど丁寧な入試をしても、それに応えることができる受験生が減り続けているということだろう。人が機械より優れているのは、意味を理解して問題解決を図る能力があるからだ。意味を理解することを放棄し、単なる暗記や記号処理に走れば、機械に追い越されるのは時間の問題でしかない。…(「東ロボくん」研究の教授コメント 「人間、頑張れ!」 朝日新聞DIGITAL 2015年11月14日)
参考
 
						GoogleがTensorFlowというディープラーニング(深層学習)」などを実行できる機械学習システムをオープンソースソフトウエア(OSS)として公開しました。
TensorFlow: Open source machine learning
参考
 
						早稲田大学は小保方晴子氏の博士号取り消しに際して1年間の”執行猶予”を与えていましたが、猶予期間内に博士号取得に十分な内容の博士論文が提出されなかったとして、小保方晴子氏の博士号取り消しを確定し、その説明のための記者会見 を2015年11月2日に開きました。早稲田大学のウェブサイトでも、その概要を公表しています(「本学先進理工学研究科における博士学位論文の取扱いについて」)。
大学は、本学学位規則23条に則って、2014年10月6日付で、小保方晴子氏に授与された学位を取り消すが、学位を授与した先進理工学研究科にお ける指導・審査過程には重大な不備・欠陥があったと認められるため、一定の猶予期間を設けて再度の博士論文指導、研究倫理の再教育を行い、博士論文を訂正 させ、これが適切に履行された場合は学位を維持できることとした。
この決定に従い、先進理工学研究科では2014年11月に指導教員を選出し、論文提出・審査のスケジュールなどと共に本人への通知を行い、再度の論文指導体制を整えていたが、小保方氏の事情により、6月になるまで指導を始めることができなかった。
指導教員らは、小保方氏の来校が困難であることを考慮して、直接本人のもとを複数回訪れることに加え、メールや電話によって、草稿の内容確認や訂正 指示等の指導を行った。また、倫理教育についてもe-ラーニングでの受講環境を提供し、本人は9月までに所定の講座を修了した。
し かしながら、指導教員らの指示に従って何度か改訂稿が提出されたものの、それらの改訂稿は、なされるべき訂正作業が終了しておらず、審査に付すべ き完成度に達していないことから、先進理工学研究科では10月29日の運営委員会で協議を行い、論文審査に付すことができないことを確認した。また、小保 方氏より猶予期間の延長を求められていたが、これには応じないことをあわせて決定した。
これを受けて、大学は、10月30日の研究科長会の議を経て、「博士学位論文として相応しいもの」が提出されないまま、猶予期間が満了し、学位の取消しが確定したことを確認した。
(本学先進理工学研究科における博士学位論文の取扱いについて)
記者会見の模様。
【小保方氏の博士論文について】早稲田大学 記者会見 2015年11月2日
登壇者
鎌田薫 (早稲田大学 総長)
橋本周司(早稲田大学 副総長)
佐藤正志(早稲田大学 理事)
古谷修一(早稲田大学 教務部長)
1:50- (鎌田薫早稲田大学 総長)
15:30- (質疑応答)
21:20-26:40 (WILL編集 しが)2点。水準に達していないというが具体的に何が問題だったのか?もう1点、7月の時点では学位審査会での訂正要求にしたがって訂正すればそれでOKという発表だった。ところが10月だと追加事項が増えて行って、今回の発表では水準に達していなかったという。どんどんどんどん要求水準が高くなって学位取り消しの流れをつくろうとしているようにしか見えないが?
25:03- (回答)(科学的根拠の記述が不十分な具体的例)B6系統のGFP陽性細胞を用いてキメラマウスを作出したという記載があるが、用いた細胞の由来や実験結果の科学的根拠を説明しうる記述が不足している。ハードルをあげたというよりは、論文として当然記載されているはずだということの要請であります。
48:00-49:04 (毎日新聞 須田)もう一点、博士論文のもとになっているティッシューエンジニアリングパートAや小保方さんが筆頭著者になっているネイチャープロトコールなどについても疑義が指摘されている。小保方さんが早稲田大学に在学中に発表した論文なので早稲田大学が調査する義務があると思うが調査はされていないのか、その理由は。
2:19:00-2:28:04 日本経済新聞 古田。(博士論文の根拠になったTissue Engineering誌の論文の疑義に関して調査をしない)早稲田大学というのはいったい科学の研究機関なのでしょうか?
2:32:15-2:38:15 Tissue Engineeringの論文で科学の部分は担保されたと考えているのか?2点目、ハーバード大学に調査を依頼するなどの連絡をとったのか?
学位論文の修正が不十分であったと早稲田大学が判断した理由として、博士論文のもととなった米国雑誌 「Tissue Engineering Part A」に掲載された論文(Obokata et al., 2011)の内容との不一致が挙げられています。そうであれば、Tissue Engineering Part A論文における研究不正の有無を早稲田大学が調査しないのも不可解な話で、記者会見でも記者らがその点を追及しています(上の動画48:00-、2:19:00-、および2:32:15-)。
小保方氏の学位論文について具体的には、「論文中にコピー&ペーストした箇所があったこと、企業Webサイトからの写真の盗用があったこと、参考文 献情報が適切に掲載されていないこと、科学的根拠・論理性に乏しかったこと、以上の4点に問題があった」とし、再指導によって改訂稿ではコピー&ペースト や写真の盗用が行われている箇所の修正・差し替えが行われたというが、やはり「科学的根拠、および論理性が不十分」であったという。
その詳細について同大学は「現在提出されている博士論文自体は途中稿なので、コメントは差し控える」としたが、博士論文のもととなった米国雑誌 「Tissue Engineering Part A」に掲載された論文の内容との不一致があったこと、実験手順などの記述が不足していることなどがあったとした。
(小保方氏学位論文取消しについて「科学的根拠、論理性に問題」 – 早稲田大 マイナビニュース 周藤瞳美 2015/11/03)
早稲田大学の今回の決定に対して、小保方晴子氏は不満の意を表明しています。
2015年11月2日
小保方晴子
私は、学位論文について、実質的な審査対象論文と異なった初期構想時の論文を誤って提出したことに対し、論文訂正と再度の論文指導を受 ける機会を与えて頂きました。このため、大学設置の調査委員会によって指摘された問題点をすべて修正して論文を再提出したところ、このたび、前回の授与時 判断と異なった結論を出されました。
昨年、総長からは、指導過程および学位授与の審査過程に重大な不備・欠陥があったとの理由から、猶予期間を設けて論文訂正と再度の論文 指導を受ける機会を与えるとし、これが適切に履行された場合には取り消さず学位を維持する、とのご決定を戴きました。私はこれに従い履行したにも関わらず の今回の決定には失望しています。
このような経緯の下での今回の判断は、総長のご決定の趣旨及びその背景にある大学調査委員会報告書のご意見に大きく外れるものであり、学位規則の取消要件にも合致しないものであると思います。
前回の学位授与は、私の在学中に研究活動を指導し研究の進捗状況等の報告をさせて頂いていた教官の先生方らによって、正式な審査過程を 経たうえで授与されたものです。しかし、今回の同じ研究科における再度の審査過程では、今回の修正論文は博士に値しないとされることは、前回の授与時判断 と大きくかい離する結論であり、指導過程、審査過程の正当性・公平性について大きな疑問があります。
今回は、修正論文提出前から、担当教官によって、「今回は合格する可能性はとても低い」と伝えられ、不合格の理由においても、審査教官 から「博士として認めることのできないのは一連の業界の反応を見ても自明なのではないか」とのコメントがあり、学術的な理由とはかけ離れ、社会風潮を重視 した結論を出されたことは明らかです。また、今回の修正作業は、入院中、加療中での修正作業となり、思考力・集中力などが低下しており博士論文に能力を発 揮できる健康状態ではないとの診断書を大学に提出しておりましたが、ほぼ6年前の米国に保存されている研究資料を提出することなどを求められ、しかも厳し い時間制限等が課されるなど、心身への状況配慮などは一切なされず、むしろそれが不合格の理由にも採用されました。
修正論文提出後、「審査教官とのやり取りは始まったばかり」との説明を受けましたが、一回のやり取りだけで不合格の判定をされ、それに 対する私の意見も聞く耳を全く持って頂けない状況でした。これでは、当初から不合格を前提とした手続きであり、とても不公正なものであったと思います。こ の点については、大学にも改善をお願いしましたが、残念ながら聞き入れて頂けませんでした。
博士論文の骨子となる内容はSTAP研究の足掛かりとなった研究成果であり、理研で行われた検証実験においても一定の再現性が認められているものです。
博士論文執筆当時、この研究が広く役立つ研究に成長していく事を夢見て日々を過ごしていました。私の研究者の道は不本意にも門が閉じら れてしまいましたが、いつか議論が研究の場に戻る日を期待し、今回の再提出した博士論文や関連するデータは年度内をめどに随時公開して参る所存です。
以上
(小保方さん「早稲田大学の決定はとても不公正」博士号「取り消し」にコメント(全文)弁護士ドットコム 2015年11月02日)
参考
 
						iPAD Proになって画面が大型化するのが魅力の一つですが、それよりもインパクトがあるのがアップルペンシル。アニメーター、デザイナー、サイエンティスト、エンジニアなどクリエイティブな仕事をするプロフェッショナルのためのツールになるのかもしれません。
Animator at Disney are testing the Apple Pencil
iPAD Proでは、マイクロソフト社のワード、エクセル、パワーポイントも活用できるようです。
Apple Pencil – Demos
タブレットPCとスタイラスペンで手書きのような感覚が得られるのかといえば、まだまだそうでもないのが現状です。しかし、アップルが普通のスタイラスペンでなく、iPAD Proのため「アップルペンシル」を作りました。
Apple Pencil | Hands On
iPAD Proとアップルペンシルは2015年11月に発売される予定です。
参考
 
						臓器移植の治療において問題となる臓器不足の解決策として、ヒトの臓器と大きさや生理学的特性が近いブタの臓器を利用することが議論されています。しかし、ブタの臓器をヒトへ移植した場合に、ブタ内在性レトロウイルスが患者に感染する恐れがあるという問題が指摘されてきました。この問題を解決するアプローチとして、最新のゲノム編集技術CRISPR-Cas9(クリスパーキャスナイン)を利用して、ブタのゲノム中に存在する内在性レトロウイルス(porcine endogenous retroviruses (PERVs))のpol遺伝子62コピーを同時に破壊し、感染する恐れを劇的に減少させることにハーバード大学の研究グループが成功しサイエンス誌に発表しました。今回の遺伝子破壊実験はブタ腎由来上皮細胞PK15に対して行われ、共培養されたヒト細胞株HEK-293への感染の有無がqPCR法により調べられました。
Genome-wide inactivation of porcine endogenous retroviruses (PERVs)
Abstract The shortage of organs for transplantation is a major barrier to the treatment of organ failure. While porcine organs are considered promising, their use has been checked by concerns about transmission of porcine endogenous retroviruses (PERVs) to humans. Here, we describe the eradication of all PERVs in a porcine kidney epithelial cell line (PK15). We first determined the PK15 PERV copy number to be 62. Using CRISPR-Cas9, we disrupted all 62 copies of the PERV pol gene and demonstrated a >1000-fold reduction in PERV transmission to human cells using our engineered cells. Our study shows that CRISPR-Cas9 multiplexability can be as high as 62 and demonstrates the possibility that PERVs can be inactivated for clinical application to porcine-to-human xenotransplantation.
Published Online October 11 2015 Science DOI: 10.1126/science.aad1191
参考
[ROHM] 「Lazurite Fly」が実現する折り鶴飛行体 – 飛行デモンストレーション – (CEATEC JAPAN 2015)
CEATEC JAPAN 2015 BOE 46インチ透明タッチ液晶ディスプレイ デモンストレーション
描いた絵が楽器になる「クラフトがっき」、iPhoneやiPad連携。導電性ペンで自由にお絵かき、最大4人でセッション可
CEATEC 2015: Omron’s Ping Pong Robot
村田製作所チアリーディング部 #CEATEC 2015 デモ
長井工高生のけん玉ロボット、シーテック会場で連続技成功
中も外も「村田」のスマートグラス「Cool Design Smart Glass」、鯖江市コラボでメガネ感追求
CEATEC JAPAN 2015 ch1 ライブ配信 by 京都FCPUG映像クラブ (10月6日(火)、メディアコンベンションをライブ配信)
参考
 
						RoBoHoN(ロボホン)コンセプトムービー
参考
全自動洗
The Panasonic Laundroid in action
A demonstration of “Laundroid,” the world’s first automated laundry-folding robot
参考
2015年ノーベル物理学賞は東京大宇宙線研究所の梶田隆章教授(56)とカナダ・クイーンズ大のアーサー・マクドナルド名誉教授(72)に授与されました。
「ニュートリノ振動」をとらえる 質量発見までの長い道のり 梶田隆章 (PDF 18ページ 一般向け解説記事)
ニュートリノで探る宇宙2 梶田隆章 全学自由ゼミナール2006年12月12日 (一般大学生向け PDF 43ページ)
参考
Announcement of the Nobel Prize in Physiology or Medicine 2015
大村智博士の業績に関するレビューアーティクル。
Ivermectin, ‘Wonder drug’ from Japan: the human use perspective
 Andy CRUMP and Satoshi ŌMURA
 Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci. 2011 Feb 10; 87(2): 13–28.
 Abstract Discovered in the late-1970s, the pioneering drug ivermectin, a dihydro derivative of avermectin—originating solely from a single microorganism isolated at the Kitasato Intitute, Tokyo, Japan from Japanese soil—has had an immeasurably beneficial impact in improving the lives and welfare of billions of people throughout the world. Originally introduced as a veterinary drug, it kills a wide range of internal and external parasites in commercial livestock and companion animals. It was quickly discovered to be ideal in combating two of the world’s most devastating and disfiguring diseases which have plagued the world’s poor throughout the tropics for centuries. It is now being used free-of-charge as the sole tool in campaigns to eliminate both diseases globally. It has also been used to successfully overcome several other human diseases and new uses for it are continually being found. This paper looks in depth at the events surrounding ivermectin’s passage from being a huge success in Animal Health into its widespread use in humans, a development which has led many to describe it as a “wonder” drug.
Philosophy of new drug discovery. S Omura. Microbiol Rev. 1986 Sep; 50(3): 259–279.
参考
 
						2015年10月1日(木)にアメリカ、オレゴン州にあるアムクア・コミュニティ・カレッジ(Umpqua Community College)で一人の男が大学構内で銃を乱射し、学生ら10人が死亡(射殺された犯人一人を含めた人数)したと報道されています。警察との銃撃戦で死亡した犯人は同大学の26歳の学生クリス・ハーパー・マーサー(Chris Harper Mercer)と特定されました。なお、初期の報道は混乱し、死亡者数や犯人の情報が異なって伝えられていたようです。
UCC Oregon Gunman is Chris Harper Mercer, 26, Body Armor, 3 Pistols, Long Gun, Full Ammunition
動機に関しては捜査の進展を待つ必要がありますが、犯人は教室で学生らを並べて立たせ、キリスト教徒かどうかを聞き、キリスト教徒だと答えた人に対しては頭に向けて銃を発射したという情報があります。
“The shooter was lining people up and asking if they were christian. If they said yes, then they were shot in the head. If they said no, or didn’t answer, they were shot in the legs. “ (Chris Harper-Mercer: Everything we know about the Oregon school gunman on Saturday. The Telegraph 12:59AM BST 03 Oct 2015)
コミュニティカレッジでは様々な年齢の人たちがそれぞれの夢と希望と目的を持って学んでいました。銃撃事件が発生したときにライティングの授業を担当していた助教授も犠牲になっています。
Behind the numbers: victims of Oregon community college shooting identified (The Guardian 2 October 2015)
Oregon shooting victims ranged in age from 18 to 67
今回の事件の被害者となった9名の方たちを追悼するための動画です。
Remembering Oregon shooting victims: students starting out, passionate writing instructor
オレゴン州で起きた銃乱射事件を受けて、声明を発表するオバマ大統領。
Watch President Obama address deadly Oregon shooting
参考
 
						科研費の審査基準や採点方法は明確に定められており、文書化されて一般に公開されています。
研究目的や計画の欄をどう書いたらいいのかわからない人は、逆に、その欄に何がどのように書いてあれば評点が高くなるのかを知れば、通りやすい申請書が書けるかもしれません。
既に申請書を書き上げた人も、審査の手引きの採点項目・採点基準をみながら自分が審査員になったつもりで再度チェックしてみてはいかがでしょうか?
参考
 
						
100通の お祈り手紙に 心折れ (詠み人知らず ラボ川柳)
父親からのアドバイス⇒【世間の常識】募集が出たときには採用される人は既に決まっている
いいかベイベーきいてくれ。人事の数だけモノサシがあるんだよ。(大学教員公募戦線仏恥義理シェキナベイベー)
下のウェブ記事にも教員人事の本質、オファーを勝ち取るための具体的な戦略に関するアドバイスがあり、落ち続けている人にとっては認識を改める助けになる内容だと思います。
公募に落ちた時「なんで自分が」と思うということは、自分の業績に自信があるのでしょう。それは素晴らしいことだと思います。しかし、それが人に評価されるかどうかはまた別の話です。ここでいう評価とは、「その研究が素晴らしい」ということより、「この人を採用したいと思うか」という点が重要です。どんなに優秀でも、その公募で必要とする人材にマッチしなけれは採用されません。(研究者として生きていくコツ gist.github.com/kaityo256)
博士号を取得した人の多くは研究者として生きることを望みますが、アカデミアで常勤職を得るのが非常に困難な状況は依然として続いています。
かなりの数(数十~数百のオーダー)の応募書類を書き,ほぼ全ての大学から不採用を告げられ,いくつかの大学から面接に呼ばれ,そのうちの一つの大学からオファーをもらえば,例えその大学が何処のどのような大学であろうと御の字と考えなければならないのが現状である.(【大学教員への道】有益な書籍・サイト akt37 2013年9月7日)
関連記事 ⇒ アカデミックポジションの倍率はどれくらい?
日本の研究力を強化するには、優秀な研究者が公正な競争の結果PI (Principal Investigator)の職に就けて、さらに自分の研究を発展させられるような体制を整備することが必要です。しかしながら、現実はというと、大学の教員募集要項で「公募」と称しておきながら実際には公募でないことが多いという強い不満の声が聞かれます。
大学教員の採用については、形式的には公募制がとられていても、その情報の流通が十分でないために、結果として閉鎖的な人事が行われている場合もあると言われている。(大学における教育研究の活性化のために 文部科学省)
公募の偽装を公に認める大学はないでしょうが、まずは現実を直視するところから始めないことには、対応策が見出せないでしょう。以下では、公募出来レースの真相、問題点、応募者への現実的なアドバイスなどを議論している、インターネット上の有益な記事を紹介します。
さらに頭に来るのは、「公募」と称して自分も参加したポスト獲得競争において、明らかに自分よりも業績や能力に劣ると思われる候補者が選ばれることをしばしば経験することでしょう。そのたびに、この国にはフェアな競争がないと絶望的な気持ちになることは想像に難くありません。
(ポスドクから見たダメ教員 5号館のつぶやき 2007年 10月 28日)
このブログ記事では興味深い議論がなされており、論文業績の格差にも関わらずなぜ内部昇進が行われるのかの内情を説明するコメントが紹介されています。
多くの教員は業績があって採用されて、その後成果を上げられなくなっていっています。特に最近は。なぜか?まず週に講義を5-6コマ担当し、入試・教務・学生委員会など委員に選ばれれば必ず出る必要のあるさぼれない委員会や会議が週平均1.5回くらいあります。校費は昔は100万以上あったのが今は10-40万です。大手の大学と違って、卒業研究の指導も教授自ら真剣に手取り足取りやる必要があります。そのうちちょっとデキの良い学生は大手の大学の大学院に行ってしまい、自分のところには誰も来ないか、来ても2年間バイトにあけくれるモラトリアム組です。そして、論文も急速に出なくなり、着任当時は当たっていた科研費も次第に当たらなくなります。 ここで公募で(場合によっては所属ラボのお陰もあって)すばらしい業績をもつポスドクと競っても、地方で苦労して教育と運営をしている教員は負けるでしょう。しかし、そのポスドクも慣れない教育と運営に四苦八苦しているうちに結局は前任者と同じ運命をたどるでしょう。 そこで現場で行われているのは、公募条件を厳しくして当該内部候補しか当てはまらないような募集をするのです。(ポスドクから見たダメ教員 5号館のつぶやき 2007年 10月 28日)
地方大学ならではの悩みがあるようで、実際に公募要項にもその理解を求めるような記述をしている大学もあります。
応募資格…(3)地方大学の現状を理解して教育・研究および大学運営に対応できる者
岩手大学は男女共同参画を推進しています(http://www.iwate-u.ac.jp/gender/)。 …
(https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekJorDetail?fn=4&id=D115080098&ln_jor=0)
公正な審査をすっ飛ばした結果、最悪の事態を迎えたのが、あのSTAP細胞事件でした。小保方氏がリクルートされたときの状況が詳細に報道され、公募の実態の一端が一般の人の目にも明らかになった珍しい事例です。
2)運営における不誠実なヤラセ行為を止めよ
私は、STAP問題にあった背景の本質の1つは、「人事」であったと思っています。ところが、メディアなどでは、これを真正面から取り上げた記事を見たことがありません。1つは、小保方氏をCDBのユニットリーダーに採用した「出来レース」。これは、理研CDBの関係者は「出来レースではない」と言い張るが、本当でしょうか。幹細胞の分野のPIを募集するという「公募」の英文を書いたのは、一体誰だったのでしょうか?(昨今の科学研究体制への苦情と提言 わがまま科学者 2014年12月29日)
RIKENですらこうなのですから、偽装公募の問題は地方大学に限ったものではなさそうです。公募だったはずの人事が、フタを開けてみたら内部昇進させていただけだったという例は、首都圏にある日本有数の研究大学でも見受けられます。学生を優れた研究者に育て上げることが期待される研究大学であれば、PIの任用にあたっては極めて高い研究能力(=研究業績)が要求されて然るべきなのですが。
自分が教官となって自覚させられることは、研究成果を挙げていない人間が大学院の学生を指導できるわけがないということの一語につきる。
(新大職組新聞1996年3月29日【検証・大学改革④】「同情するなら職をくれ!」その後ー研究妨害とはこのことだ 露崎史朗(元大学院自然科学研究科))
業績欄のレベルについては、今の日本の助教(40歳前後)はおろか、准教授(45歳前後)でも今のポスドクよりも業績欄が寂しいことは珍しくないように思います。… 結局、現在のバイオ業界は、ポスドクが次のステップに行くための業績の最低ラインだけを著しく上げている(Nature/Cell /Scienceクラスの論文が必須)にも関わらず、いったん助教や准教授となった人たちは過剰なまでに守るという図式になっていて、これこそが、今のポ スドク就職難の原因なのではないかと思います。(BioMedサーカス.com 研究者の声:オピニオン 2013年12月15日更新 執筆者:ポスドク@関東地方)
下のツイートのように助教→講師→准教授と上がっていく人がいるときに、もしそのポジションが公募で出ていても既に当確の人がいるわけですから、業績で上回るポスドクが応募したとしてもチャンスは無いでしょう。フタを開けてみたら「内部昇進かよ!」という例は私大に限らず国立でも見たことがあります(首都圏の超有名な研究大学)。
同じ35歳でも,東大→東大院→ポスドク→専業非常勤で明日をも知れぬ身分で年収200万円と言う人が結構いる一方で,中堅私大・院卒→母校で助教→専任講師→准教授で年収1000万円と言う人が結構いて,アカデミアのキャリアパスは学部時代に考えるべきだと
— ポスドク問題とアカデミアを考える会 (@UNIONTELLING) November 6, 2016
みせかけの公募はいつの時代にもあるようです。
また,ある地方に県立大学が開設されることになり,学会誌の求人欄にて,その教授や助教授の募集の公示が出 ておりました。それには,ちょうど私の専門分野に関係する部門のポストがありました。 当時の私は,一応の論文数もあったので,教授職に応募するべく自信 を持って書類を作成し,大学開設準備室へ送付しました。 しかし,締め切り後,面接の通知もなく,一ヶ月ほどして紙切れ一枚の不採用の通知。なぜ不採用な のか自分でも疑問に思えてなりませんでした。
ところが,翌年に開設されたその大学の教員リストを見ると,なんと,全部,地元の旧帝大のOBであることを知り,唖然とし,腹立たしさも覚えまし た。 しかも,私が応募した部門の採用者の業績はそれほど多くはありませんでした。 結局,その採用者以外の応募者ははじめから「当て馬」であり,利用さ れただけでした。
公募には,「候補者が決まっているが,公募で採用を決めたという形式にする」ためのものと,文字通り「広く門戸を開いた完全に平等な人材募集」の2種類があることを,そして,いずれの場合でも,複数の著名な方々からの推薦書が絶大な効果をもたらすことを,私は学びました。(大学院博士課程のあなたへ、たやすく研究者の道、諦めないで! 大槻義彦の叫び 2015-07-12)
こうなると公募に応募書類を出す意味がどれだけあるのか、ということになりますが。
公募の体裁を取っていながら、実際は出来公募だったり、教員選考委員にコネを持った他の応募者がいるので、面接に呼ばれてもコネがなければ採用に至るのは難しく連敗を重ねてしまうことが多いようだ。しかし、デキ公募でも選考委員全員の意見が「デキ公募」で完全に一致していることは稀である。即ち、公平に選考しよう(したい)と考えている選考委員は少数だが存在する。
(私の公募に対する心構えメモ http://www.geocities.jp/ryannmaryu16/point.html)
就職において人間関係が重要というのは普遍の真理です。
しかしほとんどの場合、多人数の横並び状態です。私やあなた程度の研究者はたくさんいるのです。ドングリの背比べの中で採用の確率を上げるプラスアルファが縁なのです。
縁は作ることができます。方法は単純で、真摯に他人と関われば良いのです。ただし他人と関わるだけでは、縁は作れません。真摯な態度が必要です。真摯と言っても、何か高度なことではありません。裏切らない、見下さない、見捨てない、卑屈にならないなど普通のことを実践すれば良いだけです。
一方、他人と関わるには動かねばなりません。学会や研究会、勉強会など人が集まる場にコミットする必要があります。研究室に居るだけでは、あなたを知るのはあなただけです。「コミットする」とは、参加だけを意味しません。討論で質問したり、懇親会で話をしたりを含みます。そこであなたの存在は他人の記憶に刷り込まれます。他人に認知されて初めてあなたは何者かに成るのです。
科学者を志す人の多くにとって、そういうのが億劫なのは良く分かります。しかし、研究内容は第一に論文、第二に学会発表で知らせることができますが、その他の属性については直接関わって知ってもらうしかありません。温和な性格、鋭い頭脳、辛抱強さ、責任感の強さなどの良い属性を書類で伝えるのは難しいでしょう。ところが教員採用の場合、研究業績がコンパラブルであれば、案外そういう部分が大事な要因なのです。その部分がまさにプラスアルファです。(どうすれば大学教員になれるか 長束・鈴木研究室ブログ 2016年07月12日)
Q. やっぱりコネ?
A. はい.私も大学人になってから身に染みて感じていることなのですが,“採用する側として” も,やっぱりコネが必要です.というのも,僅か1名の教員を採用するのに,どこの馬の骨とも知れない人を引っぱってくるよりも,「私が保証しますから」という内部の推しがあったほうが採る側としては安心なのです.
(大学教員になる方法3 Deus ex machinaな日々 2011年9月27日)
今回の公募もコネ公募ではなく、JREC-IN を見て応募したガチ公募でした。しかし、応募してからわかったことでしたが、受け入れ先の教授の先生は、私と深いつながりのある先生と、かつて同じ研究室にいたことがあったそうです。常にシンポジウムで顔を合わすような先生ならたいてい知っているわけですが、現在の互いの研究がそこまで似ているとは限らず、意外な接点というのは把握しきれません。今回はその深いつながりの先生の名前を「所見がもとめられる研究者」として挙げたわけではなかったのですが、ちゃんとその先生にも調査が入っていました。なので、応募した私としては完全なガチ公募ではあったのですが、採用側や上のほうの先生たちの間で様々な思惑 (コネ的な側面) が本当になかったのかと言えば、どうなのかなあ、という印象は持っています。… 「コネも実力のうち」と言われることもありますが、本当にそれに近い話で、さらに「コネも運のうち」とも言えるんじゃないかなと思いました。というのは、コネというのは自分で把握できるようなものだけではないからです。自分のコネだけでなく周囲の人間のコネも大いに関係あります。雇う側として、身元が確かな人のほうが安心するのは自明です。
(教員公募、内定をもらって思うこと 研究者って自称ギタリストと何が違うの? 2015-01 19)
Q:コネなしでアカデミックポストに就くことなんてできるんですか? (YAHOO!JAPAN 知恵袋 jackruccelさん 2008/4/2702:14:30)
A:公募でよい人が応募してくるとは限らないので、あらかじめ選考側からよさそうな人を探して、公募に出さないかと勧誘することも多いです。自分たちだけでわからないときは、周りの大御所に誰かいないかと聞きます。どちらにせよ、大事なのは名前が思い浮かぶような存在であることです。… コネは厳然として重要です。… 偉い人の頭の中に浮かぶような存在感が必要なのです。共同研究や学会活動を通じてよく知られている、好感持たれているというのも含めての「コネ」です。(YAHOO!JAPAN 知恵袋 tecnical_errorさん 2008/4/2708:49:46)
公募により教員を採用していることを明言している大学もあります。
また、オホーツクキャンパスでは公募制に切り替えてから、採用目的に合致するか期待以上の研究能力と教育者としての資質をもつ人材が得られるようになってきた。その結果、当該学科・研究室の研究レベルや教育レベルが向上しつつあり、全体が活性化し始めている。さらにこれらの人材は現在進行中の学部・学科再編のキーパーソンになりつつある。今のところ、公募制の長所だけが目立ち、短所は表面化していない。(教員選考手続における公募制の導入状況とその運用の適切性 東京農業大学 自己点検評価書)
公募が本当に公募なのか、公募でどんな人材が求められているのかは、ひとえに採用する大学側の都合であり、応募する側には知りえないことです。
公募広告が出ていても実は候補者がいたり、内部昇進を形式上カムフラージュするために公募したりと、ようするに「デキレース」とか「見せかけ公募」ってえのがあるのわ確かだ。でもなベイベーきいてくれ、デキレースかどうかなんて、応募するおいらたちにはわからねえのよ。だから、あれこれと余計なことを考えている暇があったら、応募すりゃいいじゃねえか!デキがいいとか良くないとかいった制度批判もすぐに過熱する傾向があるぜ。気をつけるんだな、そうゆう議論に時間を奪われちゃあいけねえぜ。そいつは貴重な公募応募活動時間の浪費だ。目をさますんだシェキナベイベー!! (デキレースかどうかなんてかんがえるんじゃねえぜ! 大学教員公募戦線仏恥義理シェキナベイベー)
一流の研究実績を持つ人物を求めている人事だったら研究実績だけ見て教歴は考慮されないかもしれないし、教育指導に優れた人物を求めている人事だったら研究実績はそんなに重視されないかもしれない。それだけのことサ。学位をとってから民間企業の研究所だとか公的機関だとかで研究に専念してきた研究者が大学教員になる例は珍しくない。助手の経験もなく、講義の経験もなく、大学独特の教室運営に関する経験も無い彼らに求められているのは教歴かい?それとも研究能力かい?
いいかベイベーきいてくれ。人事の数だけモノサシがあるんだよ。(人事の数だけものさしがある 大学教員公募戦線仏恥義理シェキナベイベー)
大学の都合は別として、採用する側から見た理想的な候補者像はというと。
採りたいと思う候補者には、共通点があることに気づきました。その共通点は複数あるのですが、まず挙げたい点は、採用された場合、自分にどのような役割が期待されているのかをしっかりと自覚しているということです。これは、単に担当する科目がわかっているというようなレベルではありません。所属することになる学科やセンターの教員構成やバランス、学生数等を把握し、自分の専門性や年齢等を勘案して、求められるポジションや役割を自ら見出しているというようなものです。そして、そのビジョンが、こちらの要求と合致している、あるいはそれ以上のものであるという共通点です。
(大学教員公募の面接(実施側の立場) 大学の教員生活 2012年11月16日)
一方でポスドクを経て次のテニュアトラックに臨む場合、求められる像は異なる。基本的に学科・学部のスタッフの一員としての職を担うことになるからだ。多少のばらつきはあるにせよ、研究だけではなく、プログラムの運営など範囲の広い貢献が期待される。数年間のポスドクを経ても、そういった全てを担える経験 が備わっている事はほぼなく、それは面接する側も理解している。だから面接ではこれら全てを担えるか、その素養を計られる(国立研究機関などであればまた変わってくるとは思うが)。要は研究グループへの貢献だけではなく組織への貢献の期待。恐らくはこの点がポスドクの面接とテニュアを得るための面接の大きな相違点と思う。テニュアを得る際の面接では、この違いを明確に理解して、自分に何が欠けていてそれを補う意欲、補わなくては話にならないという理解を明示する。
(アカデミア永久職獲得まで(3) 勢い余って話し過ぎないこと Kagakusah.net 2014年5月11日)
募集側にいる大学教員との感覚のズレ(温度差)を埋めるためには,日頃大学という場所で,どのようなことが問題になっているかを知ることは有益であると僕は考えている.例えば,次のような言葉の意味を簡潔に説明できるであろうか.●高大接続 ●リメディアル教育 ●FD(Faculty Development) ●SD(Staff Development) ● JABEE ●ティーチングポートフォリオ ●アドミッションポリシー ●カリキュラムポリシー ●ディプロマポリシー ●AO入試 ●大学設置基準 ●教養部 ●リベラルアーツ ●グローバル化 ●全入時代 ●割愛採用 ●マル合教員 ● ....知らない言葉がある公募戦士には,大学教育や大学改革に関する本を何でもいいから一冊読むことをお勧めする.(【大学教員への道】有益な書籍・サイト akt37 2013年9月7日)
「コレ―ジュ(コレ―ジュ・ド・フランス)で君のやった講演はすごく印象がよかったし、その印象はずっと続いている。フランソワ・ペルーが退職して、そのポストが空いた。候補者はたくさんいんるのだが、いずれもぱっとしない。われわれの中で、君を推す者が何人かいる。君がぜひやりたいと言えば選ばれるはずだ」(ベノワ・B・マンデルブロがアンドレ・リシュネロヴィチから受けた電話)
引用元:ベノワ・B・マンデルブロ『フラクタリストーマンデルブロ自伝ー』早川書房2013年 397ページ
公募といっても採用側は事前にめぼしい人に目をつけて応募を促したり、それこそコネを駆使して良さげな候補を事前に探すようなので、その段階で声がかからない人にはほとんどチャンスがないのではないかと個人的には思います。
それは、2017年1月のことでした。私は、東京大学教養学部統合自然科学科・学科長、大学院総合文化研究科・広域科学専攻生命環境科学系・教授及び同研究科人事委員会・委員長を務められている先生より、お電話で、私の教授としての採用が決定したことと、着任が6月初旬となる見込みであることを告げ、「来て下さいますね?」というお言葉をいただきました。 … この公募に応募しないか、と人事委員の中の先生よりお声がけいただいた当初より、私が応募する場合は兼任が必須である旨をお伝えしてありました。(東大から「内定取り消し」を受けた大学教授がどうしても伝えたいこと 2019.03.01 現代ビジネス)*太字強調は当サイト
逆に言えば、公募に出し続けて玉砕を繰り返すよりも、公募が出る前に事前に声がかかるような人間になるにはどうすればよいかに注力したほうが、職を得る早道かもしれません。
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「世間の表面に出てきたときには、全て終わっているんだよ。体裁を整えるために募集をかけて試験をやっているだけなんだから。だから、声がかかるように普段からそういう活動をしておかないとだめ。試験で優秀な人間が採用されるわけではない。」大学教員の職探しが熾烈なことを父親に話したときに、父親はそう言いました。「それが世間の常識なのに、お前は何を今頃寝ぼけたことを言っているんだ」と呆れられました。父親は学校を卒業するとき商社や銀行を受けたらしいのですが、採用された人間はみな親戚などが事前にその会社の上層部に根回ししていた人だけだったとのこと。その体験によって世間の常識を学び、それ以降はその常識に従ってこれまで生きてきたので、職探しで困ったことはないそうです。これは、民間の話ですが。職が得られなくて苦しんでいるのは、研究ばかりやってきて、こういった世間の常識をわきまえていない研究者だけなのかもしれません。
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