京大らがブラックホール連星を可視光観察

京大らがブラックホール連星の放射エネルギー変動を可視光領域で観察

はくちょう座V404は、ブラックホールと恒星とが近接した連星で、X線新星として知られています。X線新星はアウトバーストと呼ばれる急激な増光現象を不定期に生じますが、1989年のアウトバースト以来26年ぶりのアウトバーストが2015年6月に起こり、京都大学らの国際的な共同研究チームが観測を行いました。アウトバースト時のブラックホール近傍からの放射エネルギーの振動現象はこれまでこれまでX線領域でしか観測されていませんでしたが、今回の観測によりアウトバースト時の可視光の変動が初めて捉えられ、2016年1月7日付けのNature誌で報告されました。

Repetitive patterns in rapid optical variations in the nearby black-hole binary V404 Cygni (Nature 529,54–58 (07 January 2016)doi:10.1038/nature16452 Received 25 July 2015  Accepted 13 November 2015 Published online 06 January 2016 )

Repetitive patterns in rapid optical variations in the nearby black hole binary V404 Cygni (*再生に際してBGMの音量に注意)

著者:木邑真理子, 磯貝桂介, 加藤太一, 上田佳宏 (京都大学), 中平聡志 (JAXA), 志達めぐみ (理研), 榎戸輝揚, 堀貴郁, 野上大作 (京都大学), Colin Littlefield (Wesleyan University、アメリカ), 石岡涼子, Ying-Tung Chen, Sun-Kun King, Chih-Yi Wen, Shiang-Yu Wang, Matthew J. Lehner, Megan E. Schwamb, Jen-Hung Wang, Zhi-Wei Zhang (Institute of Astronomy and Astrophysics, Academia Sinica、台湾), Charles Alcock (Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics、アメリカ), Tim Axelrod (University of Arizona、アメリカ), Federica B. Bianco (New York University、アメリカ), Yong-Ik Byun (Yonsei University、韓国), Wen-Ping Chen (National Central University、台湾), Kem H. Cook (Institute of Astronomy and Astrophysics, Academia Sinica、台湾), Dae-Won Kim (Max Planck Institute、ドイツ), Typhoon Lee (Institute of Astronomy and Astrophysics, Academia Sinica、台湾), Stuart L. Marshall (Kavli Institute for Particle Astrophysics and Cosmology (KIPAC), Stanford University、アメリカ), Elena P. Pavlenko, Oksana I. Antonyuk, Kirill A. Antonyuk, Nikolai V. Pit, Aleksei A. Sosnovskij, Julia V. Babina, Aleksei V. Baklanov (Crimean Astrophysical Observatory、クリミア), Alexei S. Pozanenko, Elena D. Mazaeva (Space Research Institute of the Russian Academy of Sciences、ロシア), Sergei E. Schmalz (Leibniz Institute for Astrophysics、ドイツ), Inna V. Reva (Fesenkov Astrophysical Institute、カザフスタン), Sergei P. Belan (Crimean Astrophysical Observatory、クリミア), Raguli Ya. Inasaridze (Ilia State University、アメリカ), Namkhai Tungalag (Mongolian Academy of Sciences、モンゴル), Alina A. Volnova, Igor E. Molotov (Space Research Institute of the Russian Academy of Sciences、ロシア), Enrique de Miguel (Universidad de Huelva、スペイン), 笠井潔 (スイス), William L. Stein (アメリカ), Pavol A. Dubovsky (Vihorlat Observatory、スロバキア), 清田誠一郎 (千葉), Ian Miller (イギリス), Michael Richmond (Rochester Institute of Technology、アメリカ), William Goff (ギリシャ), Maksim V. Andreev (Russian Academy of Sciences、ロシア), 高橋弘允 (広島大学), 小路口直冬, 杉浦裕紀, 竹田奈央, 山田英史, 松本桂 (大阪教育大学), Nick James (イギリス), Roger D. Pickard (The British Astronomical Association, Variable Star Section (BAA VSS)、イギリス), Tam?s Tordai (Hungarian Astronomical Association、ハンガリー), 前田豊 (長崎), Javier Ruiz (Observatorio de Cantabria、スペイン), 宮下敦 (成蹊気象観測所、東京), Lewis M. Cook (Center for Backyard Astrophysics、アメリカ), 今田明 (京都大学) & 植村誠 (広島大学)(プレスリリース 平成28年1月7日 京大、JAXA、RIKEN、広島大学

Astronomers Say Black Holes Can Be Spotted Using Home-Use Telescope

参考

  1. Repetitive patterns in rapid optical variations in the nearby black-hole binary V404 Cygni. Nature 529,54–58 (07 January 2016)doi:10.1038/nature16452
  2. ブラックホール近傍から出る規則的なパターンを持つ光の変動を可視光で初めて捉えることに成功-ブラックホールの「またたき」を直接目で観測できる機会に期待-(jaxa.jp プレスリリース 京都大学、宇宙航空研究開発機構、理化学研究所、広島大学 平成28年1月7日):”「アウトバースト」…天体が突然明るく光る現象。X線新星の場合、光度がたった数日で100倍以上も明るくなり、その後数十日から数百日かけてゆっくりと元の明るさに戻る”
  3. ブラックホール近傍から出る規則的なパターンを持つ光の変動を可視光で初めて捉えることに成功 -ブラックホールの「またたき」を直接目で観測できる機会に期待-(京都大学 研究成果 2016年01月07日)
  4. ブラックホール周辺の瞬き、初観測…京大など(読売新聞YOMIURI ONLINE 2016年01月07日):”ブラックホールの周辺で、星が明滅する瞬きのような光が出ているのを世界各地の望遠鏡を使って初めて観測したと、京都大や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などの国際研究チームが発表した。”
  5. ブラックホール「瞬き」見えた!=「アウトバースト」の光初観測—京大(WSJ/時事通信 2016年1月7日):”昨年6月、26年ぶりにアウトバーストが起き、世界15カ国の専門家らに呼び掛け、35台の望遠鏡で18日間、可視光を撮影した。”
  6. 京大、ブラックホールの「またたき」を可視光で観測することに成功 (マイナビニュース 2016/01/07):”京都大学(京大)は1月7日、今までX線でしか観測できないと考えられていたブラックホール近傍からの放射エネルギーの振動現象を可視光で捉えることに成功したと発表した。”
  7. Federica Bianco su V404 Cygni, il buco nero che si vede
  8. ブラックホール連星はくちょう座V404星がアウトバースト(AstroArts/VSOLJニュース 2015年6月29日)
  9. 連星(れんせい)(ウィキペディア):2つの恒星が両者の重心の周りを軌道運動している天体
  10. 新星(しんせい)(ウィキペディア):恒星(白色矮星)の表面に一時的に強い爆発が起こり、それまでの光度の数百倍から数百万倍も増光する現象
  11. 降着円盤(こうちゃくえんばん、accretion disk):ブラックホールや中性子星や白色矮星のようなコンパクト星に落ち込むガスや塵が、高密度天体の周りに形成する円盤。可視光線やX線などのさまざまな電磁波を放射する。
  12. V404 Cygni (Wikipedia)
  13. X線天文学の誕生とその発展(小田稔):1960年代,1970年代には,X線星からX線を放射させているのは,連星を形成している高密度の星に恒星から流れ込むプラズマが解放する重力エネルギーだということがはっきりしてきた.

113番目の元素の発見で理研が命名権を獲得

113番目の元素の発見者は日本の理研と認定される見込みで、命名権の獲得により「初めての日本発の元素」が誕生します。

原子番号113の元素にはウンウントリウム (ununtrium) という仮の名称が与えられています。理化学研究所の森田浩介博士らのグループは線形加速器を用いて亜鉛(原子番号30)をビスマス(原子番号83)に衝突させる実験を行い、1個のウンウントリウムの合成に初めて成功し2004年9月28日に発表しました。その後も研究を続け、2005年、2012年とこれまでに合計3個のウンウントリウム検出に成功していました。2012年の成果によって日本初の新元素発見が確定したと思われたにも関わらず、ロシア=アメリカ共同研究グループとの先取権獲得競争もあり、国際的な認定が今の今まで見送られてきました。

産経新聞の報道によれば、理研による113番元素の発見がようやく国際的に認定される運びとなり、日本(理研)がこの新しい元素に対する命名権を獲得することが確実になりました。

審査は新元素を認定する国際純正・応用化学連合(IUPAC)と、国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)の合同作業部会が実施。関係者によると、作業部会は理研を113番元素の発見者として承認する報告書を化学連合側に提出した。物理学連合側の同意を踏まえて正式決定する。日本初の新元素、国際認定へ 理研に113番の命名権、「ジャポニウム」有力 産経新聞 2015.12.26

Japanese discovery of element 113 – Periodic Table of Videos

元素の周期表には百十数個の名前が並んでいますが、これまでに日本で命名された元素は一つもありません。

The NEW Periodic Table Song (Updated)

原子番号113番の元素ウンウントリウム (ununtrium) (仮称)に対して、ついに、日本にゆかりのある名前が与えられることになります。

理研の仁科芳雄博士は昭和15年、93番が存在する可能性を加速器実験で示したが検出できず、直後に米国が発見。その加速器は戦後、原爆製造用と誤認した連合国軍総司令部(GHQ)によって破壊されてしまった。113番は仁科博士の研究を受け継ぐチームが発見したもので、雪辱を果たした形だ。日本初の新元素 悲願100年、米露独の独占崩す 産経新聞 12月26日

参考

  1. Ununtrium (Wikipedia)
  2. 日本初の新元素、国際認定へ 理研に113番の命名権、「ジャポニウム」有力 (産経新聞 2015年12月26日)
  3. 日本初の新元素 悲願100年、米露独の独占崩す (産経新聞 2015年12月26日 長内洋介)
  4. 【祝!のはずでした…】113番目の元素 命名権を日本の理化学研究所が獲得!?(日本科学未来館 科学コミュニケーターブログ 2015年08月17日 雨宮崇):”つい先日の2015年8月12日、日本の科学史に残るビックニュースが発表されました!…いえ、【されるはずでした】。。。どんなビックニュースを期待していたかというと、「113番目の元素の命名権を、理化学研究所の研究グループが獲得!」というニュースです。もし現実になったら日本の科学史に残る快挙だったこのニュース。先日まで韓国で開かれていた国際学会で、「命名権がどの研究グループに与えられるか」が決まるはずだったのですが、どうやら今回は決まらず、次回以降の会議に持ち越されるようです。”
  5. 【祝・新元素発見】理研が113番元素の合成に成功!(文部科学省):”理研・仁科加速器研究センターの森田浩介准主任研究員らのグループが長年取り組んできた新元素合成の実験で、新たな成果が生まれました!2004年、2005年に続き、今年8月に3度目の合成とその新たな崩壊経路を確認することに成功しました。これは、新元素の発見の「確定」につながる成果であります。今回の合成は、実に7年ぶりの成功であり、実験開始からこれまで、元素合成のために原子を衝突させた回数は100兆回を超えます。”
  6. 新元素113命名権獲得へ近づく (日本化学会 2012年9月27日):”理化学研究所(野依良治理事長)は26日、新たに3個目の113番元素同位体の合成に成功した、と発表した。理化学研究所の仁科加速器研究センターの森田浩介准主任研究員らのグループが合成、崩壊経路を確認、27日の日本物理学会英文誌「Journal of Physical Society of Japan」オンラインに掲載される。野依理事長は「理研ではこれまでにも2個の113元素の同位体を合成しているが、今回の成果は従来の2個とは異なる崩壊経路を辿り、既知核に到達したことを確認した。これは新元素発見の証拠を一段と盤石とする成果で、元素命名権の獲得に大きく近づいた。周期表には多くの元素が載っているが、これまでに日本が命名した元素はない。命名権を取得し、周期表に日本発の元素をぜひ載せたい」と述べている。”
  7. Element 113 Uncovered by Japanese Scientists: “Ununtrium”
  8. Element 113: Ununtrium Reportedly Synthesized In Japan (Huff Post 09/26/2012)
  9. Search for element 113 concluded at last (RIKEN Press Release, September 27, 2012)
  10. Science mini-story (2) ~日本発・113番元素登場~ (有機化学美術館):”ちなみに今回の113番元素はすでに2004年2月にロシアチームが発見を報告していますが、これは証拠不十分で確定的とはいえないデータです。今回の理研の場合は1原子だけの結果とはいえ信憑性の高いデータであり、今後再現性が確認できれば日本チームに命名権が与えられる可能性は十分あると思われます。”
  11. 新元素113番 (理化学研究所 仁科加速器研究センター):”RILACによって加速された亜鉛イオンをビスマスに衝突させました。80日間にもおよぶ連続照射実験を続け、1個の113番元素が合成されました。新元素の発見は、目的とする原子核のできる確率が極端に小さいためとても困難です。世界中でその発見を競っています。113番元素の場合、原子核同士を100兆回も衝突させる必要がありました。”
  12. 新発見の113番元素 (理化学研究所 2004年9月28日):”今回、合成された原子核は1個です。この原子核は合成されるや否や、連続した4回のアルファ崩壊とそれに引き続く自発核分裂によって崩壊しました。この一連の崩壊の寿命および崩壊エネルギーなどから、原子番号113 (質量数278の278113)の原子核が初めて合成されたと結論付けられました。 今後、複数合成して再現性を確かめるなどして、今回のデータを補強すれば、将来、113番元素の命名権があたえられる可能性があります。その場合、周期表に歴史的な成果として、明確に足跡を残すことになります。… 113番元素については、今年2月にロシアの研究所が、「115番新元素の原子核(質量数、288と287)の初合成に成功し、その崩壊連鎖上の原子核として原子番号113、質量数284と283の原子核も発見した」と発表していますが、崩壊連鎖が既知の原子核まで到達していないため、現在はこれら115番、113番元素の命名権を獲得するに至っていません。ロシアのフレロフ核反応研究所のグループでは、実験データを積み重ね、より確かなものにしようとする努力が払われています。ただすべての崩壊の連鎖が未知の自発核分裂で終わっており、純粋実験的に原子番号Zと質量数Aを決めることができないのが現状です。元素に命名権を与える、国際純粋応用物理学連合(IUPAP; International Union of Pure and Applied Physics)と国際純正応用化学連合(IUPAC;International Union of Pure and Applied Chemistry)の合同ワーキンググループの報告によれば実験結果はかなり確実であるとしながらも既知核への連結がないことをもって、いまだ命名権を与えるに至っていないと報告しています。”
  13. Ununtrium – Video Learning – WizScience.com (https://www.youtube.com/watch?v=BtbHCb0WB8g): “The first report of ununtrium was in August 2003, when it was identified as an alpha decay product of element 115, ununpentium. These results were published on February 1, 2004, by a team composed of Russian scientists at Dubna , and American scientists at the Lawrence Livermore National Laboratory”

研究費2億2000万円を阪大教授が不正経理

2017年10月25日追記

結局、大阪大学を解雇された教授は、不起訴処分になりました。

大阪大大学院情報科学研究科の元教授(54)=懲戒解雇=らが研究費を不正使用したとされる問題で、元教授が大阪府警に背任容疑で書類送検され、大阪地検が不起訴処分としたことが24日、分かった。処分は同日付で、地検は理由を明らかにしていない。
(背任容疑の阪大元教授不起訴=偽装取引で研究費不正-大阪地検 時事ドットコムニュース 2017/10/24-19:37)

 

2016年2月12日追記

大阪大学は2016年2月12日、大学院情報科学研究科の教授を懲戒解雇しました。

2015年12月28日追記

大阪大学が不正調査結果の資料(2015年12月25日付け)を、2015年12月28日に大学ウェブサイト上で公表しました(2016年2月20日の時点で既にリンク切れになっていることを確認)

大阪大学における公的研究費の不正使用について (大阪大学 2015年12月28日)
大阪大学の研究者等における公的研究費の不正使用の概要について (PDF)
大阪大学における公的研究費の不正使用に係る調査結果 (PDF)

私的流用とみなされた会社設立費用66万円及びこの会社の設立目的に関してですが、この報告書によれば、

 A教授は、A研究室等に在職しているような雇用期限のある研究補助員等に安定した雇用の場を確保するなどの目的で会社設立を考え、A教授の提案により、平成24年12月に設立したZ設立会社の代表取締役であり、A教授の研究プロジェクトの関係者が、A教授と共謀して、A研究室内で作成した実験材料(リボソーム(高純度品))をZ設立会社において作成したものと偽装して、W社に販売し、それをA研究室がW社から購入するという手法により、A教授及び同関係者が拠出していたZ設立会社の設立に必要な経費等を捻出するために大学から不正に公的研究費を支出させたことが認められる。
 また、同実験材料の作成にあたって、A研究室にあった材料及び設備を使用していること、購入手続きが平成25年1月に2回、その額は661,500円であることが確認できた。(http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2015/12/files/1228b 2016年2月20日の時点でリンク切れになっていることを確認)

と説明されています。

この資料によると預け金の未使用分の金額が170,355,116円であり、この1億7千万円がどう使われるはずだったのかが疑問として残ります。今回の不正を通報した人は、設立会社にこのお金が流れたのではないかという疑いを持っていたそうですが。報告書では、

【預け金の移し替えの疑い】③通報者から情報提供のあった、預け金の残額を設立会社に移し替えられたのではとの疑いについては、A教授、設立会社及び預け金のあった取引業者3社の証言及び証憑書類等により、預け金の移し替えの事実がないことを確認した。(http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2015/12/files/1228b)

と否定しています。

この報告書には各財源の総額がそもそもどれくらいだったのかすら記載されておらず全体像が見えません。預け金(架空請求)は平成16年度をもって止めていたということですが、1億7千万円もの大金の出所は何なのでしょうか?

…平成16年度以前の大学等支払い期間側の支払い関係書類は既に保存期限が到来したため廃棄されており、… 書類保存期限超過のため詳細は不明であるが、取引業者3社に残されている170,355,116円の預け金を確認した。(http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2015/12/files/1228b)

 

 

初回投稿記事ここから * * * * * * * * * * * *

 

四方哲也 大阪大学大学院情報科学研究科教授が研究費の不正な経理処理を行っていたことが明らかになりました。不正に処理されていた金額は、JSTでの研究費と阪大での研究費を合わせると少なくとも2億2000万円に上るそうです(参考:時事通信社)。

大阪大学によりますと、不正な経理処理を行っていたのは大阪大学大学院情報科学研究科の四方哲也教授(52)ら3人です。不正に関する情報が寄せられたことから、大学が調査委員会を設けて調査した結果、四方­教授らは、10年以上前から架空の取り引きで複数の業者から物品を購入したように装う­などして支払われた研究費を、業者に預ける「預け金」と呼ばれる不正な経理処理を行っ­ていたということです。業者に保管されていた金額は合わせて1億7000万円余りに上­るということです。また、66万円の研究費の私的流用もあったということで、大学は、­関係者の処分や刑事告訴を検討することにしています。(大阪大学 教授など3人が不正経理処理 処分を検討 NHKニュース https://www.youtube.com/watch?v=uJ2QgKWEk1g)

大阪大学大学院教授 1億5000万円余の不正経理か
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多くの報道では私的流用もあったとしていますが、本人は否定しています。

四方教授は大学側の調査に「預け金を作る指示をしたことはない。66万円は会社設立のためで私的流用ではない」と説明したという。時事ドットコム 2015/12/25-23:45

総額のうち66万円は、学内で作製した実験材料を教授が設立に関わった企業が製造したと偽り、最終的に大学が購入する形にして代金を支払っていた。大学は、このケースは私的流用にあたると判断している。(阪大不正経理2.2億円 教授や名誉教授ら3人 読売新聞 YOMIURI ONLINE2015年12月26日)

また実験材料の偽装取引に用いた会社の設立費用約66万円は私的流用と認定し、詐欺罪で大阪府警への告訴を検討している。研究費2億7400万円、阪大院教授ら3人が不正経理 産経ニュース 2015.12.26 08:51

大阪大学教員基本情報によれば、この教授は長期にわたってJSTの研究員・研究リーダーも務めていました。

1997年10月~2000年09月 科学技術振興事業団さきがけ21研究員
2000年10月~2003年09月 科学技術振興事業団さきがけ21研究員
2004年11月~2010年03月 科学技術振興機構・ERATO 金子複雑系生命プロジェクト・グループリーダー
2009年10月 ~       科学技術振興機構・ERATO 動的微小反応場プロジェクト・統括

科学技術振興機構(JST)の研究費に関する不正については、調査結果が科学技術振興機構(JST)のウェブサイトで公開されています。

(2)不正使用と認定した事業名および不正使用額
①     事業名     戦略的創造研究推進事業(総括実施型研究)
研究実施期間     平成16年度~21年度
不正使用額     85,246,405円
不正認定期間     平成16年度~20年度
②     事業名     戦略的創造研究推進事業(個人型研究)
研究実施期間     平成14年度~17年度
不正使用額     7,918,550円
不正認定期間     平成16年度~17年度

(3)不正使用の内容
上記事業の直執行研究費に関して、平成16年度~20年度までの期間に、取引先企業3社で合計93,164,955円の預け金および品名替があったことが判明した。
なお、私的流用は確認されなかった。

①当事者
四方 哲也 大阪大学 大学院情報科学研究科 教授(元JSTプロジェクトグループリーダー)(以下、A元グループリーダーという)
B 元JSTプロジェクトスタッフ

②関与した取引先企業
a.W社
1)    期間    :平成16年度~20年度
2)    不正使用額    :71,904,875円
3)    種別    :預け金および品名替
4)    内容    :消耗品の架空請求および伝票記載と異なる消耗品などの納入
b.X社
1)    期間    :平成16年度
2)    不正使用額    :11,321,620円
3)    種別    :預け金
4)    内容    :消耗品の架空請求
c.Y社
1)    期間    :平成16年度
2)    不正使用額    :9,938,460円
3)    種別    :預け金
4)    内容    :消耗品の架空請求
(平成27年12月25日 科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業に係る研究費の不正使用調査結果について 別紙1)

税金が原資である公的研究費が2億円以上も不正に利用されていたというのであれば、納税者である国民に対して大阪大学が事の顛末を直接説明すべきです。本来であれば大阪大学は不正調査結果の詳細をウェブサイト上で速やかに公表すべきであるにもかかわらず、該当教授が所属する大阪大学大学院情報科学研究科」のウェブサイトをシャットダウンするという真逆の対応をしています。(追記:2016年1月5日に情報科学研究科のウェブページにアクセス可能になっていましたが依然として「教員一覧」のリンクがつながっていません)。

(追記) 大阪大学は2015年12月28日になってようやく調査結果(12月25日付け資料)をウェブサイトで公表しました。

20151228OsakaDaigaku

 

参考

  1. 华东师范大学 计算机科学与软件工程学院 四方哲也
  2. 大阪大学における公的研究費の不正使用に係る懲戒処分について(大阪大学 2016年2月12日)
  3. 阪大教授を懲戒解雇 (毎日新聞2016年2月12日):”大阪大教授ら3人が総額2億7500万円の研究費を不正に経理処理していた問題で、阪大は12日、大学院情報科学研究科の四方(よも)哲也教授(52)を懲戒解雇した。…”
  4. 大阪大学における公的研究費の不正使用について (大阪大学 2015年12月28日) 大阪大学の研究者等における公的研究費の不正使用の概要について 大阪大学における公的研究費の不正使用に係る調査結果(2016年2月20日の時点で既にリンク切れになっていることを確認)
  5. 戦略的創造研究推進事業に係る研究費の不正使用調査結果について (科学技術振興機構(JST)平成27年12月25日 科学技術振興機構報 第1160号):別紙1 不正使用調査結果詳細
  6. 繰り返される研究費不正~単年度主義のせい?(ヤフーニュース 榎木英介 2015年12月26日 12時3分):”「預け金」とは何か “取引のある卸の業者などに頼んで、様々な物品を購入したことにして予算を使い切ったことにしておく。しかし実際には使っていないから、年度をまたいでも研究費が残るという仕組みである。”
  7. 阪大不正経理 最大2.7億円 教授ら3人関与 (毎日新聞2015年12月26日 00時38分):”大阪大大学院教授が研究費を不正に経理処理していた問題で、不正処理の総額が最大で約2億7500万円に上る可能性があることが分かった。25日、阪大が記者会見して明らかにした。関わったのは大学院情報科学研究科の四方(よも)哲也教授(52)ら3人。うち66万円は四方教授が私的に流用した疑いがあり、懲戒処分や詐欺容疑での刑事告訴を検討している。ほかの2人は、7年前に退職した大学院工学研究科の卜部格(うらべいたる)元教授(70)と50代の男性元助手。 “
  8. 阪大不正経理2.2億円 教授や名誉教授ら3人 (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2015年12月26日):”不正を行っていたのは、教授と工学研究科の名誉教授(70)、50歳代の元助手。3人は2002年3月末までともに同科に所属していた。…教授は名誉教授のもとで助教授を務めた後、情報科学研究科に移った。”
  9. 阪大院教授ら、研究費2億円以上不正処理か(TBS News 12月25日20:17):”大阪大学によりますと、大学院情報科学研究科の四方哲也教授(52)ら3人は、大阪大学や科学技術振興機構からの研究費のうち、使い切らなかった分を物品を購入している取引業者に預けるなどの方法で、最大およそ2億7500万円を不正に経理処理していた疑いがあるということです。”
  10. 阪大教授ら研究費不正=「預け金」など2億円超―大学、刑事告訴を検討 (excite.ニュース/時事通信社 2015年12月25日 23時45分):”大阪大は25日、大学院情報科学研究科の四方哲也教授(52)ら3人が、物品を購入したように装い業者側に現金をプールさせる「預け 金」を行うなどし、2014年度までに少なくとも研究費約2億2000万円を不正使用していたと発表した。同大は刑事告訴や業者への返還請求を検討する。 同大によると、関与していたのは四方教授と大学院工学研究科の卜部格・元教授(70)、50代の元助手。”
  11. 大阪大学 教授など3人が不正経理処理 処分を検討 (NHK NEWS WEB 12月25日 18時31分):”大阪大学は、大学院の教授など3人が10年以上前から物品を購入したように装うなどして研究費を業者に預ける不正な経理処理を行っていたとする調査結果を発表しました。業者には1億7000万円余りが保管されていたということで、大学は処分などを検討することにしています。これは25日に大阪大学が記者会見して発表しました。それによりますと、不正な経理処理を行っていたのは大阪大学大学院情報科学研究科の四方哲也教授(52)ら3人です。”
  12. 阪大教授ら3人研究費不正 1億円超、業者に預け金 (ライブドアニュース/共同通信 2015年12月25日):”大阪大(大阪府吹田市)は25日、大学院情報科学研究科の四方哲也教授(52)と大学院工学研究科の元教授(70)、元助手の3人が研究費1億446万円を不正使用していたと確認したと発表した。取引業者に内容不明の約1億7千万円も預けており、不正使用分と重複する可能性があるとしている。大阪大によると、不正使用の時期は10年以上前から2014年10月にかけてで、対象には科学技術振興機構の研究費約9300万円や大学の運営費交付金などが含まれる。”
  13. 阪大院教授、1億5000万円 一部私的流用か(毎日新聞 2015年12月25日):”大阪大大学院の50代の男性教授が10年以上前から、研究費を不正に経理処理した疑いがあることが25日、大学などへの取材で分かった。不正処理は少なくとも1億5000万円に上り、科学技術振興機構(JST)の研究費も含まれる。一部は私的に流用されたとみられ、大学は刑事告訴や処分を検討している。 “
  14. 阪大教授が1億5千万円不正経理か 10年以上、一部は私的流用(産経WEST2015.12.25):”大阪大大学院情報科学研究科の50代の男性教授が、10年以上にわたって不正な経理処理を行っていた疑いを持たれていることが、25日、大学への取材でわかった。業者に研究費を預けるなどの手口で、不正経理は少なくとも1億5千万円にのぼり、一部は私的に流用していたという。”
  15. JST、四方哲也・大阪大学教授研究費不正問題で9300万円の不正確認 私的流用はなし(クリスチャントゥデイ 2015年12月25日17時18分):”不正が行われたのは、研究者の要求に基づき、JSTのスタッフ自らが経理処理し研究費を執行する「戦略的創造研究推進事業の直執行」の研究費。現在は制度の改正に伴い廃止され、研究機関での執行(委託研究)に移行しているという。”
  16. 阪大院教授が不正経理か 研究費1億5000万円 (日本経済新聞 2015年12月25日):”昨年、不正に関する情報が寄せられたことから、同大学が調査委員会を設けて調査していた。”
  17. 公的研究費の不正使用防止への取組 (大阪大学)stopkenkyuhifusei
  18. 科学技術振興機構・戦略的創造研究推進事業(ERATO) 金子複雑系生命プロジェクト(研究期間2004年11月~2009年10月):構成的生物学実験グループリーダー 四方哲也 実施場所 大阪大学
  19. 科学技術振興機構・戦略的創造研究推進事業(ERATO) 四方動的微小反応場プロジェクト(研究期間2009年~2014年):研究総括 四方哲也 大阪大学大学院情報科学研究科教授
  20. 大阪大学研究者総覧 研究者詳細 教員基本情報 情報科学研究科 バイオ情報工学専攻 四方哲也(YOMO Tetsuya)
  21. ERATOの沿革:” 昭和56年(1981年)に創造科学技術推進事業(Exploratory Research for Advanced Technology;ERATO)が発足しました。その後、第2期科学技術基本計画や総合科学技術会議の推進戦略など、新しい時代の要請を踏まえ発展的 に解消し、平成14年度(2002年度)より戦略的創造研究推進事業・総括実施型研究(ERATO)として新たなスタートを迎えました。”
  22. ERATO:”以下の骨子をもってプログラムが運営されている。研究期間:約5年間 研究費:15億円を上限とした必要額” (ウィキペディア)
  23. ERATO 戦略的創造研究推進事業 2015-2016:研究期間 約5年間 研究費 12億円を上限とした必要額
  24. 科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ) 追跡評価用資料 (追跡調査報告書) 研究領域「形とはたらき」 (1997~2002) 研究総括  丸山工作
  25. 【社会】大阪大学大学院教授 1億5000万円余の不正経理 一部は私的に流用か(2ch.net)

東芝 過去最大5500億円の赤字、7800人リストラへ

東芝の来年3月期の1年間のグループ全体の決算は、最終損失が5500億円の 赤字になる見通しだそうです。これはリーマンショック後の平成21年3月期に計上した3900億円余りの赤字を大きく上回ており過去最大の赤字です。 6800人の早期退職や配置転換に加えて、新たに本社部門でも1000人のリストラが行われるとのこと。

東芝の赤字5000億円規模 リストラ費用膨らむ見通し(15/12/21)

参考

  1. 東芝 7800人リストラ 過去最大の赤字見通し(NHKNEWSWEB 12月21日)
  2. 東芝歴代3社長の刑事告発検討 証券監視委、消極姿勢から一転 (産経ニュース 2015.12.4):”東芝の利益水増し問題で、田中久雄前社長ら歴代3社長がパソコン事業の不正取引を認識しながら虚偽の利益を計上させた疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反容疑での刑事告発を視野に調査していることが3日、市場関係者への取材で分かった。”
  3. 東芝「粉飾決算」問題 メディアが報じない金融庁の「不正見逃し」疑惑と処分の行方〜なぜ、誰もが消極的なのか (現代ビジネス ニュースの深層 高橋 洋一 2015年10月05日 )
  4. 東芝不正会計、「甘すぎる」処分の真相 すべて予め決められたシナリオ (BUSINESS JOURNAL 小笠原泰「生き残るためには急速に変わらざるを得ない企業」2015.10.04):”この初春に始まり、西田厚聰相談役、佐々木則夫副会長、田中久雄社 長の歴代3社長辞任、さらには第三者委員会の調査報告書公表でも収集がつかず、世間を騒がせた東芝の不正会計・粉飾決算問題。”
  5. 東芝3社長、辞任後も車&部屋付きの厚遇 上司に「おかしい」といえぬ社風変わらず… (産経ニュース2015.9.21):”8月下旬、複数の経済誌や週刊誌が東芝の利益水増し問題で引責辞任したはずの西田厚聡氏や佐々木則夫氏、田中久雄氏の歴代3社長が社用車で浜松町の本社に出勤していると報じた。”
  6. 東芝の不正会計、半導体で行われていたこと 工業会計のプロが図表入りで徹底解説  (東洋経済ONLINE 本間 峰一 2015年09月19日):”東芝の不正会計事件では、当初に発覚した工事進行基準の手口ばかりが注目を集めているが、それをしのぐ金額の不正会計 が行われたにもかかわらず、パソコン事業と半導体事業ではどんなカラクリで不正が行われたのかが正確に伝わっていない。”
  7. 東芝不正会計の温床は、「選択と集中」にあり(PRESIDENT 大前研一の日本のカラクリ 2015年9月1日):”インフラ事業に端を発する東芝の不正会計問題は、パソコン、テレビ、半導体などの主要事業でも利益の 水増しが判明して、社長以下の組織的関与が明るみに出た。第三者委員会の調査報告書によれば、2008年4月から14年12月までの約7年間に行われた利 益の過大計上の総額は1518億円。”
  8. 東芝、不正1千億超でも“甘い”処分?ライブドアは“たった”53億粉飾で経営陣逮捕 (Business Journal 関田真也 2015.07.29):”東芝の不正会計をめぐる問題が、ライブドア事件と比較されるかたちで話題になっている。東芝が行った利益の過大計上は、現段階で総額1562億円に上り、さらに2000億円近くに達するのではないかといわれている。”

早石修 (1920年1月8日-2015年12月17日)

目の前にあるのに見えていない…でもそれが何かの拍子に見える。一回見え出すと、どんどん見えてくる。そういうもんなんですね。研究というものは。いろんな事が発見される時、それまで誰もが見てたんですが、見とって見えていない…ボヤっと見ているからね。事実はそこにチャントあるんですが、ボヤっと 見とると解らない。だけど、ちゃんと焦点を当ててみると初めて見えてくるし、それが如何に大事なものかが解って、それにまつわるいろんな事が見えてくる。見えてたけれど認識できてなかった。それに気がつくということが研究ですから、実際「鈍」じゃないとアカンのです。あんまり賢いと…何でも自分で解った気になってしまうからね。教科書読んで納得してしまったら、それで終いでしょ。何ら新しい発見に繋がらない。研究の本質 早石修)

参考

  1. われら六稜人【第26回】科学を志す人のために 早石 修 INDEX 第1研究室:    恩師に学んだ教育の姿勢 第2研究室:    大学の選び方… 第3研究室:    握り飯より柿の種? 第4研究室:    焼跡で始めた生涯の研究 第5研究室:    WHATではなくてHOW 第6研究室:    ランチセミナールの効用 第7研究室:    研究は探偵小説?! 第8研究室:    睡眠に賭けた第二の人生 第9研究室:    研究の本質 第10研究室:    研究者の向き/不向き
  2. Osamu Hayaishi: Pioneer First of the Oxygenases, then the Molecular Basis of Sleep and Throughout a Great Statesman of Science (Arthur Kornberg IUBMB Life, 58(5-6):253, May-June 2006)
  3. Osamu Hayaishi—from the discovery of oxygenases in soil microorganisms to unraveling the enigma of sleep in mammals (Michael Lazarusa, Zhi-Li Huangb & Yoshihiro Uradea. Temperature Volume 2, Issue 3, 2015  DOI:10.1080/23328940.2015.1072658)
  4. Pioneering the Field of Oxygenases through the Study of Tryptophan Metabolism: the Work of Osamu Hayaishi. Studies on Oxygenases. Enzymatic Formation of Kynurenine from Tryptophan (Hayaishi, O., Rothberg, S., Mehler, A. H., and Saito, Y. (1957) J. Biol. Chem.229,889–896)
  5. 睡眠の謎に挑む 早石修先生インタビュー 2012年
  6. 京大名誉教授の早石修さん死去 「酸素添加酵素」を発見 (朝日新聞DIGITAL 2015年12月19日):”体の中で重要な働きをしている「酸素添加酵素」の発見などで世界的に知られる京都大名誉教授で、文化勲章受章者の早石修(はやいし・おさむ)さんが17日、死去した。95歳だった。”
  7. 早石教授時代[昭和33(1958)年3月22日~昭和 58(1983)年4月1日]:”昭和33(1958)年3月に,早石 修は9年余の滞米研究生活ののちに,酸素添加酵素の発見という輝かしい研究業績を携えて,京都大学医学部医化学講座の教授として帰国した。”

Nature Communicationsが差読内容公開

通常、投稿論文の査読内容が公開されることはありません。しかし、査読システムの透明性を高めるために、学術誌によっては差読者のコメントおよび論文執筆者と編集者とのやりとりなどを公開する動きがごく一部ながらあります。ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)誌は2016年1月から、論文著者が了解すれば査読内容等を公開することになりました。

as a trial, we will be publishing all reviewer comments to authors and author rebuttal letters for published papers submitted from January 2016, unless the authors ask us not to. (doi:10.1038/ncomms10277)

このような試みはNature Communicationsが初めてではありません。数年前からEMBO journalでは、例えばPeer Review Process File -EMBO-2015-92116(PDF)といった形でレフェリーのコメントやそれ対する論文著者らのレスポンスを公開しています。

参考

  1. Transparent peer review at Nature Communications (Nature Communications 14 December 2015 doi:10.1038/ncomms10277)
  2. EMBO journal introduces transparent peer-review (blogs.nature.com 05 Jan 2009):”Beginning with manuscripts submitted in 2009, a supplementary process file will be included with the online publication of papers. “
  3. What is open peer review? (F1000Research 21 May 2014)

武田薬品が10年間で200億円を京大CiRAに提供

傷害誘導筋細胞由来幹細胞様細胞iMuSCs

Injury induced population of muscle-derived stem cell-like cells (iMuSCs)

かつてSTAP細胞の論文を掲載し取り下げたネイチャー誌を発行するネイチャー・パブリッシング・グループのオープン・アクセス・ジャーナル「サイエンティフィック・リポーツ」にCharacterization of an Injury Induced Population of Muscle-Derived Stem Cell-Like Cells“(doi:10.1038/srep17355)と題する論文が2015年11月27日に発表されました。筋肉を傷付けたあとで取り出して培養すると、筋肉に分化していた細胞が脱分化して多能性を獲得した細胞(iMuSCs)ができたという内容です。

IMuSCsFig1a

“changes in microenvironmental factors, such as skeletal muscle with injuries, can partially reprogram terminally differentiated myogenic cells into a pluripotent-like state”doi:10.1038/srep17355)

“the most remarkable discovery of this study was that iMuSCs fulfilled several in vitro and in vivo criteria for pluripotency; however, we could not obtain iMuSCs with germline transmission after blastocyst microinjection.” doi:10.1038/srep17355)

参考

  1. 米研究者が「STAP細胞」の再現に成功!?対象も方法も結果もまったく異なる研究。1万歩譲っても「研究不正」は揺るがない(Medエッジ 2015年12月13日 粥川準二 寄稿)
  2. 繰り返し言う~研究不正と「STAP現象」ありなしは別次元の問題榎木英介  | 病理専門医かつ科学・技術政策ウォッチャー 2015年12月13日

新型出生前診断をめぐりダウン症生活実情調査

厚生労働省研究班が新型出生前診断ダウン症がある人の生活の実情を把握する大規模調査を開始

2013年に臨床研究として導入された新出生前診断をめぐり、厚生労働省研究班は8日までに、検査対象疾患の一つとなっている、ダウン症がある人の生活の実情を把握する大規模調査を始めた。本人や親らを対象に、就学や就労の状況、どんなことに幸せを感じているかなどの質問に回答してもらう。(ダウン症ある生活、大規模調査 新出生前診断で厚労省 共同通信 2015年12月8日)

DEAR FUTURE MOM | March 21 – World Down Syndrome Day | #DearFutureMom

参考

  1. 厚生労働省研究班が新型出生前診断をめぐりダウン症がある人の生活の実情を把握する大規模調査を開始 (公益財団法人 日本ダウン症協会 2015/12/08)

梶田 東大宇宙線研究所長がノーベル賞受賞講演

2015年ノーベル物理学賞を受賞する梶田隆章・東大宇宙線研究所長(56)は、12月8日にストックホルム大で受賞記念講演を行いました。

2015 Nobel Lectures in Physics (14:20-開始、19:24-二人の受賞者の紹介、22:25-梶田隆章教授の講演、53:51-Arthur B McDonald教授の講演)

参考

  1. “Takaaki Kajita – Facts”. Nobelprize.org. Nobel Media AB 2014. Web. 8 Dec 2015.
  2. 梶田隆章さんの記念講演要旨 ノーベル物理学賞受賞 (西日本新聞 2015年12月08日)
  3. 梶田さん「宇宙解明手掛かりに」 – ノーベル賞記念講演 (マイナビニュース・共同通信 2015/12/08)

シリア考古学会議でハレド・アサド氏を追悼

2015年12月3日~6日、レバノンの首都ベイルートでシリア考古学会議(the International Syrian Congress on Archaeology and Cultural Heritage)が開催されました。世界各国から考古学者が集まったこの会議では、今年8月18日にイスラム国(ISIS)に殺害されたハレド・アル・アサド氏に対して黙祷が捧げられました。パルミラ博物館長だったハレド・アル・アサド氏は、工芸品などの貴重な文化財をイスラム国の手から守るために安全な場所に移動させており、尋問されてもその場所を明かさなかったために殺害されました。

ハレド・アサド氏は身に迫る危険を知りつつもパルミラに残ることを選びました。
ISIS beheads scholar archaeologist Khaled al-As’ad in Palmyra

古代ペルシャの町を紹介したドキュメンタリー番組(41:07- Palmyra)。
ANCIENT CIVILIZATIONS Ancient Persia and Arabian Peninsula

参考

  1. Profile: Khaled al-Asaad, Syria’s ‘Mr Palmyra’ (BBC NEWS 19 August 2015):Khaled al-Asaad, the archaeologist who has reportedly been killed by Islamic State militants, had a lifelong connection to the town, having been born into a prominent family in the area in 1934.
  2. 考古学者82歳、IS(イスラム国)に斬首される パルミラ遺跡を守り続け (ハフィントン・ポスト 2015年08月24日)
  3. Beheaded Syrian scholar refused to lead Isis to hidden Palmyra antiquities (The Guardian 19 August 2015):Khaled al-Asaad, 82, was interrogated by militants for a month before he was murdered in the ancient city
  4. パルミラ守った志、継ぐ ISが殺害、学者アサド氏 日本にゆかり、研究者ら悼む (朝日新聞DIGITAL 2015年12月7日)(記事閲覧は要登録)
  5. 日本西アジア考古学会 お知らせ International Syrian Congress on Archaeology and Cultural Heritageプログラム

 

再利用可能なロケットの着陸に成功

通常はロケットは打ち上げのときに一度きり使われてきましたが、2015年11月23日に、アマゾンの創業者ジェフ・ベゾスが設立した企業ブルーオリジンが、再利用可能なロケットの着陸に成功しました。これによりロケット打ち上げのコストが劇的に削減される可能性があります。
‘There and back again’ – Amazon founder has success with reusable rocket

参考

  1. Blue Origin

卓越研究員制度は雇用不安を改善できるか?

新たに創設される「卓越研究員」制度(2016年公募開始)は、博士研究員(ポスドク)や任期付大学教員の雇用不安の改善に貢献できるのでしょうか?

2016年3月29日追記:

文科省の卓越研究員事業のウェブサイトで、卓越研究員受け入れ先全リストが公開されました。

一覧化公開ポスト

本事業の対象となる、各機関からの提示ポストは以下のとおりです。

* * * * *

関連記事 ⇒ 卓越研究員の受け入れ先が募集要項を公開 2016年3月28日 JREC-INに123件が掲載される

2016年度から新たに「卓越研究員」制度が始まります。

文部科学省は優秀な若手研究者が大学や国立研究開発法人、企業を自由に選んで研究に専念できる新制度を2016年度から導入する。国が毎年100~200人を将来性や論文から「卓越研究員」に認定する。各機関が人件費を負担し終身雇用を保証する。…( 「卓越研究員」16年度から導入 文科省、終身雇用を保証 日本経済新聞 電子版 2015/7/27 2:00

卓越研究員になるための過程は、

  1. 大学や研究開発法人、企業などが卓越研究員枠のポストを提示
  2. 40歳以下の任期付き助教やポストドクター(博士研究員)などの若手が大学や国立研究開発法人、企業から希望するポストを複数選び、国に申請
  3. 国が将来性や論文を考慮し書類審査や面談を経て毎年100~200人を卓越研究員に認定
  4. 大学や企業などの受け入れ機関を最終的に決定
    (参考:http://fox.2ch.net/test/read.cgi/poverty/1437957970/ ソース元は日経新聞の記事)

卓越研究員制度を簡潔に紹介しますと、「受け入れたい大学は手をあげろ」「大学・研究機関外の公的機関が人を審査する」「マッチングで割り当てる」「割り当てた人は無期雇用にせよ」「人件費は基本大学持ち」… (東大総長参戦! 日本の科学を考えるガチ議論 2015.11.27)

MEXT20151022_7-5
経済産業省 第4回 理工系人材育成に関する産学官円卓会議(平成27年10月22日) 資料7-5「博士人材の多様なキャリアパスの確保に向けた文部科学省の取組」PDF10ページ)

 

卓越研究員制度に関しては、卓越研究員制度検討委員会で議論が重ねられてきました。2015年3月の時点で公表された「卓越研究員制度の在り方について」(卓越研究員制度検討委員会平成2 7 年3 月2 7 日)では教授レベル、准教授レベルといったシニアクラスの卓越研究員制度というアイデアもありました。下の表に見るようにポスドクや任期付助教の高年齢化が進んでおり、若手ということで40歳以下という年齢制限を課してしまうと、チャンスを得られない人が相当数存在する可能性があります。

ninkituki文部科学省中央区養育審議会第125回大学分科会(平成27年11月10日)配付資料3-3

ポスドク一万人計画で創出されたポスドクは2008年現在で数千人の規模で35歳を超えている。ウィキペディア ポストドクター等一万人支援計画

近藤:20年前に大学院の重点化を進めたことで、現在40歳前後のPDがたくさんおり、非常に厳しい就職難になっています。この年齢層に対する何らかのケアは可能でしょうか?
生田:難しいと思います。財政当局の視点からすると、その年齢層の研究者に対して、大学院重点化を通じて高額の投資を したという解釈になっており、その人達をケアするための別途の予算措置は理解を得られないのではないでしょうか。本来であれば、産業界が、その人材を吸収 するはずだったのですが、産業界と大学とのミスコミュニケーション、さらには90年代からの不況がそれを不可能にしたのではないでしょうか?アンケート結果への科学政策改革タスクフォース戦略室長・生田知子さんのコメント 日本の科学を考える ガチ議論 2015.10.24

また、当初は「国家が卓越研究員を雇用する」という発想だったようですが、これも「受け入れ機関が雇用する」ように変わっており、このような新制度が果たして本当にうまく機能するのか、注目されます。

koyoseidokaikakuイノベーションに適した国とするための人材戦略 卓越大学院・卓越研究員制度 2014/11/19 東京大学 大学院理学系研究科長 教授 五神 真)

 

2015年3月の時点では、『卓越研究員』制度の案は、以下のように、「教授相当の卓越研究員」など非常に興味深い内容を含んでいました。2016年度からとりあえず新制度が始まるわけですが、その後どのように改善・発展していくのかが期待されます。

(2)概念設計
上記(1)を踏まえると、卓越研究員制度としては、以下のような仕組みの認定制度が一案(注1)として考えられる。【図12~14】
① 受入希望機関は、受け入れポスト・処遇等について事前公表(注2)。国又は中立的な公的機関が一覧化公開(注3)。
② 研究者は国又は中立的な公的機関に直接申請。その際、希望機関として3機関程度を申請。国又は中立的な公的機関によるピアレビューにより、卓越研究員を認定(注4)。その後、受入機関とのマッチング・調整を経て、受入機関において雇用(注5)。各受入機関において雇用経費を負担(ただし、国立大学法人運営費交付金との関係については別途検討)。
③ 卓越研究員は、受入機関による雇用開始時又は開始後6年程度までの適切な時期(注6)に、受入機関の審査を経て、年俸制(無期)に移行。
④ 卓越研究員に対するインセンティブは、テニュア相当の無期雇用が可能となるポスト獲得と、受入機関による魅力的な研究環境等の提示。
⑤ 受入機関に対するインセンティブは、卓越研究員の受け入れによる卓越した研究の進展と、卓越研究員に選ばれることによるステータス向上。
(注1)本案は、学術コミュニティーにおいて、我が国全体を見通した中長期的な観点に立って、卓越した研究者を選定することができる機能を有していることが前提。
(注2)受入希望機関の受け入れポストの調整に当たっては、単に既存分野の後継者選びとせず、学長等のリーダーシップの下、中長期的な観点に立って、戦略的に当該組織にとって真に必要な研究分野を選定することが前提。
(注3)受入希望機関の受け入れポストの公表・一覧化公開は、毎年度実施することにより、卓越研究員が自ら希望するタイミングで、産学官の枠を越えて、更に好条件の処遇・研究環境を提示する機関に異動可能な仕組みとする。
(注4)既存の人事システムにピアレビューによる認定を組み込むことによって、人事システムの透明性の向上につながるとともに、博士号取得者の採用を希望する民間企業にとっては、採用に当たっての有効な指標の一つとなる。
(注5)受入機関とのマッチングを担保する方策については要検討。また、国又は中立的な公的機関のピアレビューによる認定の後に受入機関とのマッチング・調整を実施する場合、研究者(申請者)にとっては、ピアレビューを通じて、真に公正で透明性の高い審査プロセスによってテニュア相当の無期雇用が可能となるポスト獲得が可能となる一方、受入機関にとっては、独自の人事権が制限されることになる。新たな「第3のポスト」として明確に位置づけるため、制度導入へのインセンティブとそれを担保する財源への留意が必要。
(注6)職階に応じて3段階(①助教職相当、②准教授職相当、➂教授職相当)でエントリーポイントを設け、①助教職相当については、原則テニュアトラック助教として、②准教授職相当及び➂教授職相当については、受入機関による雇用開始時に年俸制(無期)として雇用することが望ましい。

卓越研究員の規模については、大学における毎年度の採用教員数の合計が約1.1 万人(教員数合計約17万人・研究者数合計約89 万人)であること   国立大学における毎年度の定年退職教員数が約1,500 人(国立大学教員数合計約6万人)であること  優秀なポストドクターに対するフェローシップ制度(特別研究員PD)の毎年度の採用者が約350 人であること  テニュアトラック制導入のためのモデル事業(テニュアトラック普及・定着事業)による毎年度の採用者が約50~100 人であることを踏まえ、本制度が定常化した段階で、毎年度約200 人程度(恒久的な制度と仮定すれば総数約6千人)を認定することが適当ではないか。なお、受入機関の配分の内訳については、産学官の受入希望機関の総数や機関毎の割合に依存するが、民間企業や独立行政法人も含め、特定の機関に偏ることなく、我が国全体で卓越研究員が活躍することが望ましい。卓越研究員制度の在り方について 平成2 7 年3 月2 7 日 卓越研究員制度検討委員会 PDF19ページ)

新制度に対しては、期待、懐疑、疑問さまざまな反応があるようです。

卓越研究員はあくまでポスドク、PIではない。支給される研究費もラボを立ち上げるほどではないのでしょう。ホストラボの機材などに依存せざるをえない。 ホストにしてみれば、自分の研究とは異なる研究員がいきなり現れ、サポートを強いられる。お互い良好な関係を築くことは難しい?(「卓越研究員」制度を語る「卓越研究員」制度を語る TOGETTER 2015年7月27日

この企画、需要を確かめて始めようとしてるんですかね? してますよね?卓越研究員、走る パンとサーカス 2015-07-29)

「日本の科学を考える」ウェブサイトでも、研究者の生活を保障するための制度に関する提言がなされています。国の雇用、移動も可能というアイデアは「卓越研究員」制度の議論の途中段階にはあったようです。

問題はキャリアパスが崩壊していることではないかと思います。それが研究自体にも大きな影響を与えています。キャリアパスとは、それを職業として自分や家族が安定した生活を送る未来が描けるかどうかということですが、それが非常に厳しくなっています。…私の理想に近い形は、ポストは終身個人に与えられて、条件が合えばそれをどこにでも持って行けるというフランスのシステムに似たものです。終身雇用と人材 の固着は、実は切り離すことができます。終身雇用への転換に伴う財源に関する批判に対して、現状でも出処が違うだけで支払われているという指摘もありま す。また、「安定性と競争性を担保する日本版テニュアトラック制度」では、最低限の給与を公的機関(国)が保証し、自ら獲得した研究費の間接経費からも加 算する方法が提案されています。これは現在の仕組みを変えて行く具体的な方法の一つであると思いますが、私自身は公的機関の研究職は国家公務員資格と同等 なものとして扱う仕組みがあればいいと思っています。(研究は、結局、最後は人である 日本の科学を考える ガチ議論 国立大学准教授 2015.11.05)

参考

  1. 卓越研究員募集taketsuflyer
  2. 東大総長参戦!(日本の科学を考える ガチ議論2015.11.27 ):”当初の構想の本質はどのようなものだったのか、どのような議論を経て現状案になったのか、このような制度設計時に研究者コミュニティが後押しできることは何か、などなど。研究者発案の制度がどのように実施まで運ばれるのか、克服するべき課題はどこか、などが明らかとなるインタビューでした。現在、詳しい内容を当日会場でVTRコメントとしてご覧いただけるよう準備をしています。東大総長参戦でますます盛り上がるガチ議論!ぜひ会場にお越しください!”
  3. BMB2015 第38回分子生物学会年会 第88回日本生化学会大会 合同大会 2015年12月1日~4日 神戸ポートアイランドガチ議論 日時: 12月3日(木)18:45~20:45 会場:第14会場(神戸国際会議場 1階 メインホール)
  4. ”国立大の教員は97000人くらいです。PDの数が全部で16000人だそうです。これに、35歳以上で当然テニュアを取れているレベルの業績がある人、という具体的な条件を付ければ、どんなに多く見積もっても10000人を切ると思います。”(ガチ議論コメント
  5. 産学連携や若手研究者育成、国が数値目標 科学技術政策 (日本経済新聞 2015/11/26):”…第5期科学技術基本計画の答申案を26日開いた総合科学技術・イノベーション会議の専門調査会で示した。…イノベーションを進める原動力となる若手研究者は任期付き研究者が多く、長期的な研究に取り込みにくくなっているため、40歳未満の大学教授や准教授などの教員の数を1割増加させ、将来的に全体の大学教員に占める割合が3割以上となることを目指すとした。40歳未満の大学教員数は2013年度で約4万4000人で今後5年で4400人増やす。優秀な若手研究者を増やすため、テニュアトラック制や卓越研究員制度の活用をあげている。”
  6. 内閣府 第14回基本計画専門調査会(平成27年11月26日)配布資料
  7. 内閣府 第13回総合科学技術・イノベーション会議(平成27年11月24日)議事次第
  8. 文部科学省 中央区養育審議会 第125回大学分科会(平成27年11月10日) 配付資料 資料3-3
  9. 経済産業省 第4回 理工系人材育成に関する産学官円卓会議(平成27年10月22日)
  10. 「日本再興戦略」改訂2015を閣議決定(政府広報オンライン):”平成27年6月30日、デフレ脱却に向けた動きを確実なものにし、将来に向けた発展の礎を再構築する「『日本再興戦略』改訂2015」を閣議決定しました。”nihonsaikosenryaku日本再興戦略改訂2015の概要 PDF
  11. 平成27年03月27日 卓越研究員制度の在り方について (文部科学省 卓越研究員制度検討委員会 報告等)
  12. 第3回卓越研究員制度検討委員会(平成27年度3月9日)議事要旨 配布資料
  13. 第2回卓越研究員制度検討委員会(平成27年2月27日)議事要旨 配布資料
  14. 第1回卓越研究員制度検討委員会(平成27年2月9日) 議事要旨 配布資料
  15. イノベーションに適した国とするための人材戦略 卓越大学院・卓越研究員制度(2014/11/19 東京大学 大学院理学系研究科長 教授 五神 真)(33ページPDF)
  16. 経済産業省 理工系人材育成に関する産学官円卓会議
  17. 内閣府 科学技術イノベーション総合戦略
  18. 内閣府 基本計画専門調査会 (議事録 配布資料)
  19. 文部科学省 中央教育審議会 大学分科会

誰でもわかる 今年のノーベル賞~生理学・医学 物理学 化学賞~【日本科学未来館×Newton×ニコ生】

誰でもわかる 今年のノーベル賞~生理学・医学 物理学 化学賞~【日本科学未来館×Newton×ニコ生】

黒田有彩(司会、NHK Eテレ『高校講座 物理基礎』MC)
髙橋麻美(日本科学未来館 科学コミュニケーター 生理学・医学賞チームリーダー)
谷明洋 (日本科学未来館 科学コミュニケーター 物理学賞チームリーダー)
松浦麻子(日本科学未来館 科学コミュニケーター 化学賞チームリーダー)
詫摩雅子(日本科学未来館)
髙嶋秀行(Newton本誌・ムック 編集部長)
※本番組は2015年10月25日にニコニコ生放送で放送されました

厚労省 ロボ­ットスーツHALを医療機器に認定

厚生労働省は2015年11月25日に体に装着して歩行能力を高めるロボ­ットスーツ「HAL」を医療機器として承認しました。ALS(amyotrophic lateral sclerosis;筋萎縮性側索硬化症)など8つの難病を対象としています。装着型のロボットが保険が適用される医療機器として承認されたのは日本で初めてだそうです。

HAL医療用下肢タイプを承認しました
11 月10日開催の薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会での審議を経て、本日11月25日付けで下記のHAL医療用下肢タイプを承認しましたのでお知らせします。
[ 販売名 ] HAL 医療用下肢タイプ
[ 申請者 ] CYBERDYNE株式会社
[ 申請日 ] 平成27年3月25日
[ 使用目的 ] 本品は緩徐進行性の神経・筋疾患患者を対象として、本品を間欠的に装着し、生体電位信号に基づき下肢の動きを助けつつ歩行運動を繰り返すことで、歩行機能を改善することを目的として使用する。
対象となる緩徐進行性の神経・筋疾患は、以下の8疾患である。
【1】脊髄性筋萎縮症(SMA)
【2】球脊髄性筋萎縮症(SBMA)
【3】筋萎縮性側索硬化症(ALS)
【4】シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)
【5】遠位型ミオパチー
【6】封入体筋炎(IBM)
【7】先天性ミオパチー
【8】筋ジストロフィー
(厚生労働省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000105014.html

ロボットHALを医療機器で初承認 保険もききます(15/11/25) (YOUTUBE Published on Nov 25, 2015)

歩行訓練ロボットスーツHAL 製造販売承認することに (YOUTUBE Published on Nov 10, 2015)

ロボットスーツHALを試験的に利用したリハビリ訓練 (YOUTUBE Published on May 28, 2014)

ロボット・スーツHALが文科省で動き出す! (YOUTUBE Published on Oct 23, 2012)

TEDxTokyo – Dr. Yoshiyuki Sankai – 05/10/15 – English (YOUTUBE Uploaded on May 19, 2010)

HAL(Hybrid Assistive Limb) from Cyberdine (YOUTUBE Uploaded on Mar 2, 2007)

参考

  1. CYBERDYNE株式会社(サイバーダイン株式会社)
  2. 筑波大学サイバニクス・グループ 山海嘉之研究室

新規遺伝子型ノロウイルスGII.P17-GII.17

嘔吐、下痢などを引き起こすノロウイルスは、抗ウイルス剤が存在しないため、輸液などの対症療法に頼るしかありません。そのため、予防が非常に重要です。近年、特に日本や中国で新型のノロウイルスが流行していますが、この新型ウイルスは川崎市の健康安全研究所により発見、同定されたものだそうです。

川崎市健康安全研究所が昨年3月、新型のノロウイルスを世界で初めて見つけた。…新型ウイルスは、ウイルス・衛生動物担 当の職員5人が発見。昨夏に国際機関で登録され、今夏には英文の感染症専門誌にも掲載された。5人は功績をたたえられ、10月に市から表彰を受けた。新型ノロウイルス、川崎市職員が発見 世界初の快挙 朝日新聞 DIGITAL 2015年11月23日)

ノロウイルスの遺伝子型について

ノロウイルスには 5 つの遺伝子群 (GI-GV) が存在し、ヒトに感染するのは GI、II、IV であると言われています。さらに、GI は 9 種類 (GI.1-GI.9)、GII は 22 種類 (GII.1-GII.22) の遺伝子型に細かく分類されています。(川崎市健康安全研究所 2015年9月25日)

新型ノロウイルスについて

2014 年 3 月に健康安全研究所が新たな遺伝子型を含むノロウイルスを検知しました。このノロウイルスは、以前に検出された GII.17 とは異なる変異ウイルスで、2013 年までは川崎市では検出されたことはなく、世界的にも初めての確認となり国際的に GII.P17-GII.17 という遺伝子型に命名されました。(川崎市健康安全研究所 2015年9月25日)

新型ノロウイルスに対する警戒の呼びかけ

ノロウイルスは、遺伝子型ごとに殻の表面の形が異なることから、これまでの主要遺伝子型である GII.4 に感染したことがあり GII.4 に対する免疫を獲得している人でも GII.17 変異株に感染する可能性があるため注意が必要です。(川崎市健康安全研究所 2015年9月25日)

新型ノロウイルス 大流行のおそれ高まる ((日本放送協会 YOUTUEB 2015/10/23 に公開)(動画削除)

Emergence of a novel GII.17 norovirus – End of the GII.4 era? In the winter of 2014/15 a novel GII.P17-GII.17 norovirus strain (GII.17 Kawasaki 2014) emerged, as a major cause of gastroenteritis outbreaks in China and Japan. Since their emergence these novel GII.P17-GII.17 viruses have replaced the previously dominant GII.4 genotype Sydney 2012 variant in some areas in Asia but were only detected in a limited number of cases on other continents. This perspective provides an overview of the available information on GII.17 viruses in order to gain insight in the viral and host characteristics of this norovirus genotype. We further discuss the emergence of this novel GII.P17-GII.17 norovirus in context of current knowledge on the epidemiology of noroviruses. It remains to be seen if the currently dominant norovirus strain GII.4 Sydney 2012 will be replaced in other parts of the world. Nevertheless, the public health community and surveillance systems need to be prepared in case of a potential increase of norovirus activity in the next seasons caused by this novel GII.P17-GII.17 norovirus. (de Graaf  et al., Euro Surveill. 2015 Jul 2;20(26). pii: 21178.)

参考

  1. 新規ノロウイルス GII.17 変異株を健康安全研究所が発見~今後の動向に注意!~ (川崎市 健康安全研究所 2015年9月25日)
  2. 新規遺伝子型ノロウイルスGII.P17-GII.17の流行 (国立感染症研究所 IASR Vol. 36 p. 175-178: 2015年9月号):”川崎市内で発生した食中毒事例を含む感染性胃腸炎患者から、新たな遺伝子型のノロウイルス(NoV)GII.P17-GII.17が検出された。流行状況調査と遺伝子解析を行った結果、2014/15冬季シーズンの1月以降に広域流行を引き起こしていたことが明らかになった。この新規NoV GII.P17-GII.17は、中国、台湾などでも流行が確認されており、2015/16シーズンに大流行する可能性がある。そのため今季の流行の立ち上がりに厳重な監視が必要である。”
  3. Genetic analyses of GII.17 norovirus strains in diarrheal disease outbreaks from December 2014 to March 2015 in Japan reveal a novel polymerase sequence and amino acid substitutions in the capsid region. (Matsushima et al., Eurosurveillance, Volume 20, Issue 26, 02 July 2015)

遺伝子組換えサーモンがついに食卓へ

アクアバウンティー・テクノロジーズ社が開発した、遺伝子組換え技術により通常よりも速く成長するサケ『アクアドバンテージ・サーモン』が生産・販売され食用に供されることを、 アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)が2015年11月19日に承認しました。アクアバウンティーが最初にFDAの許可を申請したのは1996年で、実に20年近くもかかってようやくここまでたどり着いたということになります。

The FDA has thoroughly analyzed and evaluated the data and information submitted by AquaBounty Technologies regarding AquAdvantage Salmon and determined that they have met the regulatory requirements for approval, including that food from the fish is safe to eat,”‘Frankenfish:’ GMO salmon declared safe to eat, environmentalists rail against FDA. rt.com 20 Nov, 2015

この遺伝子組換えサーモンを食べても安全というFDAのお墨付きが出たからといって、長年の論争に決着がついたとはいえないようです。「遺伝子組換え」の表示は不要というFDAの判断に不安を募らせる消費者も多く、ホールフーズマーケットやトレーダージョーズなどアメリカの大手のスーパーマーケットは、アクアドバンテージ・サーモンを取り扱わないことを以前、宣言しています。

Genetically-modified salmon approved by FDA (https://www.youtube.com/watch?v=PQSArjT8j9o)

市場に出荷できるサイズにまで成長のに必要な飼育期間が半分近くにまで短縮され、コストが大きく削減できるメリットが謳われています。

AquAdvantageSalmonGrowthCurve

「アクアドバンテージサーモン」と名づけられたこのアトランティックサーモンは、1年を通して成長ホルモンが分泌するように、遺伝子組換え技術を用いて「改良」されています。ゲンゲという別の種類の魚の不凍タンパク質(Anti-freezing protein;AFP)遺伝子の発現制御領域に、チヌークサーモン(chinook salmon)の成長ホルモンの遺伝子をつないだDNAを、アトランティックサーモン(Atlantic Salmon 学名:Salmo salar)に遺伝子導入したというものです。

AquAdvantageSalmonTransgenicDNAconstructhttps://www.ncbiotech.org/sites/default/files/pages/Keynote%202%20-%20AquaBounty%20Keynote%20Presentation.pdf

参考

  1. U.S. Food and Drug Administration (FDA) > Animal & Veterinary > Development & Approval Process > Genetic Engineering > Genetically Engineered Animals > AquAdvantage Salmon (アクアドバーンテージ・サーモンに関するFDAの文書)
  2. AquaBounty Technologies, Inc.
  3. FDA Approves AquAdvantage® Salmon (アクアバウンティ社のプレスリリースPDFファイル):”MAYNARD, Massachusetts, 19 November 2015 – AquaBounty Technologies, Inc. (AIM: ABTU; OTC: AQBT), a biotechnology company focused on enhancing productivity in aquaculture, and a majority-owned subsidiary of Intrexon Corporation (NYSE: XON), announces today that the U.S. Food and Drug Administration (FDA) has approved the Company’s New Animal Drug Application for the production, sale, and consumption of its AquAdvantage® Salmon, an Atlantic salmon that has been genetically enhanced to reach market size in less time than conventional farmed Atlantic salmon.”
  4. The FDA just approved genetically modified salmon for the first time. But how does it taste? (VOX Science & Health. Updated by Julia Belluz on November 19, 2015):”AquaBounty first asked the FDA to approve the fish for human consumption in 1996. But the FDA said because this was the first genetically modified animal that would be eaten by humans, the agency wanted to take it slow and weigh the pros and cons.”
  5. Food Fight: Policy and Politics.By R.L. Stotish, AquaBounty Technologies (PDF 28 pages)
  6. Genetically Engineered Salmon (April 30, 2014, Congressional Research Service)(PDF 30 pages)
  7. GE Salmon Faces Exclusion from Retailers (WholeFoods Magazine, December 2013):”Chains within both the natural and mainstream channels, including Whole Foods Market, Trader Joe’s and Target, have either signed on to a pledge or made clear in policy statements that they will not purchase the GE Atlantic salmon if approved.”
  8. The AquAdvantage Salmon Controversy – A Tale of Aquaculture, Genetically Engineered Fish and Regulatory Uncertainty. By Alain Goubau, May 11, 2011. (ハーバード大学ウェブサイト上 PDF)
  9. Genetically Modified Salmon – Coming Soon? (uploaded 2011 Apr)

  10. Environmental Assessment for AquAdvantage® August 25, 2010. Submitted to the Center for Veterinary Medicine, US Food and Drug Administration (PDF 85 pages)
  11. Biotechnology in Aquaculture: Transgenics and Polyploidy. Rosalee S. Rasmussen andMichael T. Morrissey. Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety Volume 6, Issue 1, pages 2–16, January 2007
  12. Characterization and multi-generational stability of the growth hormone transgene (EO-1α) responsible for enhanced growth rates in Atlantic Salmon. Edward S. Yaskowiak, Margaret A. Shears, Alka Agarwal-Mawal, Garth L. Fletcher  Transgenic Research August 2006, Volume 15, Issue 4, pp 465-480: “We have generated a stable line of growth hormone (GH) transgenic Atlantic salmon (Salmo salar) using an “all fish” gene construct (opAFP-GHc2) containing a growth hormone cDNA from chinook salmon whose expression is regulated by the 5′ promoter and 3′ termination regions derived from an ocean pout antifreeze protein (AFP) gene. In this study we show that a reorganized form of the opAFP-GHc2 construct (termed EO-1α) integrated as a single functional copy into a 35 bp repeat region of the genomic DNA. PCR based mapping revealed that the linear sequence of the EO-1α integrant was organized as follows: base pairs 1580–2193 of the ocean pout promoter region followed by the intact chinook salmon GH cDNA, the complete ocean pout antifreeze 3′ region, and the first 1678 bp of the ocean pout antifreeze 5′ region.”
  13. 試験研究は今 NO.045 Q&A? 最近よく耳にする3倍体魚とはどのようなものですか?:”この3倍体の特徴としては、雄は通常の2倍体と同様に成熟しますが、雌は成熟しないことが上げられます。…人工受精にはニセ雄の精子を使います。ニセ雄とは、本来雌であるものに雄のホルモンを混ぜた餌を与えることにより精子をつくれるようにしたものですが、この精子を使うと、できる子供は全部雌になります。次に、これで受精させて、およそ10分後にその受精卵に強い圧力や、温度の刺激(サケ・マスの場合は暖かい水につける)を与えると、3倍体の雌ができあがります。この受精卵に与える圧力や温度変化が強すぎると卵が死亡してしまい、逆に弱すぎると通常の2倍体になってしまいます。”
  14. Risk assessment and mitigation of AquAdvantage salmon (BiologyFortified. Posted by Anastasia Bodnar, Oct 16, 2010):”Pressure treatment will be used to produce triploid AquAdvantage salmon. This treatment was successful at creating 98.9% or more triploids, with 1.1% or fewer eggs remaining diploid (11). Testing of each batch of eggs will be conducted, and any batch that contains 5% or more diploids will be destroyed (7,11). Any diploid individuals are capable of reproduction, so the possibility of their escape must be controlled with other measures.”

アインシュタインの「一般相対性理論」100周年

アインシュタインは1905年に特殊相対性理論を発表しましたが、1915年に一般相対性理論に辿りつきました。この年の11月にアインシュタインはベルリンで4回の講演を行い、自分の理論を発表しています。

アインシュタインが1915年にドイツ・ベルリンのプロイセン科学アカデミーで一般性相対理論を発表したときの論文(プリンストン大学のアーカイブへのリンク)。

  1. On the General Theory of Relativity. November 4, 1915 
  2. On the General Theory of Relativity (Addendum) November 11, 1915 
  3. Explanation of the Perihelion Motion of Mercury from the General Theory of Relativity. November 18, 1915 
  4. The Field Equations of Gravitation. November 25, 1915

一般相対性理論100周年を記念したセミナーも世界各地で開催されています。

カリフォルニア工科大学Kip Thorne教授によるレクチャー「Einstein’s General Relativity, from 1905 to 2005: Warped Spacetime, Black Holes, Gravitational Waves, and the Accelerating Universe」(November 16, 2005)。
Einstein’s General Relativity, from 1905 to 2005 – Kip Thorne – 11/16/2005

ロベルト・ダイクラーフ(Robbert Dijkgraaf)教授によるレクチャー。
100 Years of General Relativity

参考

  1. The Collected Papers of Albert EinsteinThe Berlin Years 1914-1917 
  2. On the Generalized Theory of Gravitation by Albert Einstein. Scientific American Vo.182, No.4, pp13-17. April 1950.
  3. Relativity priority dispute (Wikipedia):”Undisputed and well known facts: General relativity:Einstein gave four lectures on his theory on Nov 4, Nov 11, Nov 18 and Nov 25 in Berlin”
  4. Scientific American Volume 313, Issue 3. 100 Years of General Relativity
  5. 日経サイエンス 2015年12月号 特集:アインシュタイン 一般相対論100年

東大に入れるか 東ロボくんが模擬試験を受験

国立情報学研究所などが取り組んでいる人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」の「東ロボくん」が6月に受験していたベネッセコーポレーションのセンター式模試「進研模試総合学力マーク模試・6月」の結果が2015年11月14日に発表され、5教科8科目の合計点は全国平均416点を大きく上回り、511点(偏差値57.8)でした。

今回の結果に関してはさまざまな受け止め方があります。

もうダメだ。人工知能は俺を超えてしまった。

まだ俺のほうが勝ってるな

これじゃ、いずれ東大卒のコンピューターに俺たちの就職先がどんどん奪われるな

たんなるデータベースだから入学はできても、卒論がコピペになって、卒業できないと思うよ。

もうロボットでいいじゃん日本人いらないじゃんw

すげぇな。AIはどんどん進化して人間を超えるだろうな
人間がAIの奴隷になるのももうすぐだな

考えてみれば人が道具を作ったのも、手では持てない物を持ち上げるためだし、手で投げるより 遠くへ飛ばすためだ。道具のおかげで、足で走るより速く、より遠くへ移動もできる。 自分の頭で考えるよりもっと速く、もっと深く考えてくれる道具をこさえるのも自然の成り行きだな。

人工知能がバカのふりし出すのが一番怖いな

> コンピューターが解読できる形に人が書き直した問題文を解析
そこを飛ばしてどうする

俺が解ける形に書き直してくれれば俺も東大入れるよ

問題文をちゃんと解釈できるかどうかというのが人工知能のキモじゃないの?
そこで人間が手伝ったら意味ないやん

問題文をカメラで画像認識して問題文の意味認識・意味解釈からやらせるなら凄いな

結局辞書内蔵レベル?優秀なのかよくわからない
大学受験を目標にしないほうがいいと思う

単に、人間の受験問題に対する理解が深まる、だけだと思うね。

大学入試のクセをつかむ研究になってしまうので応用は効かない。

純粋な学術興味に基づくものでもなければ、特定技術のブレイクスルーを狙ったものでもないのではないかな。 単に、わかりやすくアピールしやすい問題をしたというだけ。 少なくとも、これによって何が出来、どういう技術開発や進歩が可能なのかを説明すべきだろう。

東大合格程度の人工知能で社会が変わるとかアホらしいわ。 地方国立大卒でも大学で真面目に学んできた人間の知性は東大合格の比ではない。

記憶力さえあれば思考力ゼロでも国立大に受かる
こんなんじゃ頭がいいと言えないでしょう

これさ、人工知能で高得点できる科目は受験科目から外すべきだよな。 くだらないから。

答えが分かってる問題をといてるウチは、とてもとても・・知能とは言えない。(http://daily.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1447480239/, http://daily.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1447510455/)

東ロボくんは、センター式模試だけでなく、数学と世界史の2科目で「東大入試実戦模試」にも挑戦しており、受験生平均を上回る偏差値54を獲得したそうです。この結果を受けて、東ロボプロジェトのリーダーである新井紀子・国立情報学研究所教授は、ロボットに追い抜かれるような受験勉強をしてしまっている受験生が多いことに警鐘を鳴らしています(コメントの一部を抜粋して紹介)。

… 東ロボくんに限らず、現在「人工知能」 と呼ばれているものは言葉を解さない。出題意図などみじんも理解できない。ただ、キーワードを頼りに検索をし、関係がありそうな文を選んできて、制限字数 内にはめ込むだけだ。…私は、事前に東大の世界史過去問題集に目を通した。そこには目を見張るような良問が並んでいた。東大生ならば、ぜひとも歴史から学ぶことで、混迷した現代社会の課題を読み解き、解決していけるような洞察力と論理性を身に着けて欲しいという、まさに受験生へのラブレターのような問題であった。…世の人々は、実際の入試問題を見ず、また、採点の実態を知らずに、「一発勝負ではない丁寧な入試を」「暗記や計算ではない創意工夫を求める問題 を」と求める。が、東大の記述式試験は、一発勝負や丸暗記とはまさに対極にある、世界でも類をみない丁寧な入試なのである。世界史だけではない。数学や他の科目も同様である。そのような「丁寧な入試」にもかかわらず、なぜ受験生は機械に後れをとったのか。東ロボくんの答案を採点した予備校の先生は、「世界史を理解しようともせず、ただ教科書を丸暗記して部分点を狙ってくる受験生の答案に似ている」と喝破した。つまり、東ロボくんのような答案を書いて入学している受験生が相当数存在するのである。東大を始めとする難関大学にとって不幸なのは、どれほど丁寧な入試をしても、それに応えることができる受験生が減り続けているということだろう。人が機械より優れているのは、意味を理解して問題解決を図る能力があるからだ。意味を理解することを放棄し、単なる暗記や記号処理に走れば、機械に追い越されるのは時間の問題でしかない。…「東ロボくん」研究の教授コメント 「人間、頑張れ!」 朝日新聞DIGITAL 2015年11月14日)

参考

  1. 「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトウェブサイト
  2. 「ロボットは東大に入れるか」東ロボくん、国立大33大学でA判定 早慶にもリーチ (日刊工業新聞ニュースイッチ 昆梓紗 2015年11月15日):”国立情報学研究所などが取り組む人工知能(AI:通称東ロボくん)プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」で、AIがセンター試験模試を受け、国立大学 33大学39学部64学科、私立大学441大学1055学部2406学科で合格率80%以上のA判定を獲得した。11万6000人中2万5343位で、早稲田大学や慶応義塾大学のクラスでも合格率60%以上を獲得したもよう。”
  3. ロボットの「東大合格」そう遠くない 偏差値57.8、模試成績に驚きの声 (JCASTニュース 2015/11/16):”東大の合格偏差値(ベネッセの基準でおよそ70)には至っていないものの、30以上の国立大学、400以上の私立大学で合格率80%以上のA判定を獲得したというのだ。”

 

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