発表でアガらないために

私もかなり緊張しいです。滅茶苦茶アガり症です。ですので、どうすればアガらないで済むのかを常日頃から考えております。
あがってしまうのは、気持ちが自分に向いてしまっているから。
うまくしゃべれなかったらどうしよう?とか質問が聞き取れなかったらどうしよう?答えられなかったらどうしよう?まだストーリーが十分できてないのに恥ずかしい。
わかりますよね、これらの考えは全て意識が自分に向いています。はっきり言って、あなたの発表がどんだけひどかろうが、誰も気にしちゃいないんです。
意識を相手に向けましょう。わざわざ自分の話を聞きにこの会場にきてくれてありがとう。おとなしく座って顔を上げて聞いてくれていてありがとう。ちゃんと私の話の流れについてきてくれてますか?私の声の大きさはちょうどいいですか?
などなど。
居眠りしてたり、下向いて勝手なことやってる人も多いですが、そういう人をみたら自分がアガってるのが馬鹿らしくなりますね。
とにかく自分は一体何を伝えたいのかをはっきりとさせ、それを一生懸命伝えようと努力しましょう。そうすれば緊張していても、プレゼン自体は決して悪いものにはならないでしょう。
あとは慣れです。
いきなり英語で学会発表はきついです。研究室内での発表、大学や研究所内での発表、インフォーマルセミナー、いろいろな規模の発表の機会があるはずです。軽く考えずに、大舞台に臨むのと同じ心構えでいきましょう。「伝えよう」という気持ちを強くするための練習だと思って取り組みましょう。
今では日本の国内の学会であっても、私の知る限り発表は全部英語になっています。これは、海外での学会発表のハードルを下げるためにも好ましいことだと思います。
原稿を度忘れしてもつないでいけるようにするためには、日頃からの基礎英語力アップも欠かせません。

知らない人のために一応説明しておきますと、

聞きに来てくれた人の研究のバックグラウンドが自分と同じとは限らないため、その分野をよく知らない人のために背景の説明をする必要があります。予備知識の説明を切り出す時の表現。
for those of you
OK, so, just a little bit of background for those of you that are not familliar with the spinal cord, …(spinal cordの説明)

練習!練習!また練習!

学会発表は日本語でも大変です。日本語であっても練習を何回もするべきです。慣れていない学生やポスドクは、ラボの人たちに聞いてくれるようにお願いして発表の練習をしましょう。その前にもちろんまず一人で練習です。家で練習するときに家族や親兄弟に聞いてもらうのもいいアイデアです。私はめんどくさがる妻を拝み倒して、聞いてもらったりします。えー、が多すぎるとか声が小さいとか、語尾がはっきりしないとか、そういうフィードバックもありがたいです。
学会会場で偉い先生たちを見ると、直前までスライドを入れ替えたりしていて、練習なんてしていないように思えるかもしれません。彼らはあっちこっちで同じ話を何回も何回も飽きるくらいしゃべってきたのです。あるいは長い経験から、新しい内容であっても頭の中でトークを組み立てる能力を身に着けているのです。
自分の博士発表会を思い出すと、とにかく原稿をきっちりと書き、一字一句を選び抜き練習しました。すると言葉一つ変えただけでもきっちりそれが秒数の増減に反映することに気付きました。もちろん本番で緊張して早口になったり予期せぬことが起こるかもしれません。それでも練習の段階で、決められた時間にぴったり収める練習をするべきだと思います。
英語の場合はなおさらです。とにかく練習しましょう。海外に行ったらわかりますが、アメリカ人でも本番前に何回も練習しています。英語が母国語でない私たちはなおさら練習が必要です。
本番でしどろもどろになるくらいなら原稿を読むほうがましという意見もあるかもしれませんが、私は賛成しません。学会発表は熱気に満ち溢れているものです。以前、アメリカの学会に参加していたとき、講演者の中に日本からの学生がいました。自分の番が来たとき彼は原稿を読み始めました。そのとき、それまでなごやかだった会場がなんとも言えない異様な雰囲気になりました。会場の温度がヒューっと5度くらい下がったみたいでした。彼は聴衆を全く見ずにひたすら下を向いてえんえんと原稿を読み切りました。英語の発音はとてもきれいで流暢でした。その後の質疑応答を英語で無難にこなしていたので、なおさらもったいないことだと思いました。
「学会発表」だと思わないことです。自分が伝えたいことを目の前の複数の相手に「伝える」という非常に人間味溢れる行為なのです。
言葉がスムーズに出てこなくて間があまりに多すぎると、聴衆はどうしても集中力を失います。
どのくらい練習すべきかの目安としては、
練習してしゃべっているとは思えないくらい自然に言葉が口をついて出てくるくらい
がいいと思います。
実験データが出揃っていなくてもいいんです。話をどう組み立てるかだけ考えるのでも時間がかかります。今からスライドを作り、トークの組み立ての構想を練りましょう。練習期間が長ければ長いほどうまくなります。
初めて覚える英語表現を一生懸命覚えて、それがスラスラと口をついて出てくるようになるにはある程度の期間練習を続けることが必要です。

それに関しては詳しくは触れませんが

言及したことにそれ以上触れるつもりがないときの言い方です。

go into: 詳しく述べる

…, which is an interesting story but I won’t go into.
go through: 検討する、討論する
So, these are all clones, I’m not going to go through the data that tells you why they are clones.
(注)clones: 単一の細胞から分裂して生じた細胞集団のこと]
There is experimental evidence for this, but I don’t have time to go thourugh it, so I will just tell you a little bit about it and then sort of tell you how we hope to really look at this model in detail.

ご紹介いただきありがとうございます

トークの冒頭にはほぼお決まりの表現があります。
1.トークの前に、ホストの人が簡単な紹介をしてくれますのでそれに対するお礼、
thank you for the introduction
2.そしてセミナーのスピーカーとして招待してくれたことへの感謝、thank you for inviting me
thank you for the invitation
3.それに、この場所に来られて光栄です、という挨拶。
it is a great pleasure to be here
4.その後は自由ですが、ホストとの関係、その土地との関係(何回めの訪問かとか)、その研究所・大学に既に何日か滞在していればその印象など、をさらりと話してから本題に入ることが多いです。もちろんいきなり本題に入っていっても全くOK。
そういうわけで、トークの冒頭は「ご紹介いただきありがとうございます。」からスタートすることになります。
Thank (Host Name)
I want to thank Dr. (name) for the very nice introduction and tell you a story. And the story starts with …
OK, I would like to thank XXX for introduction, and invitation to speak today.
セミナーに呼んでくれた人がたいていホストを務めますので、たいていはファーストネームで呼び合うでしょう。なので、XXXはホストのファーストネームが来ます。あまり親しくないなら、Dr.XXXと名字で。
So, thank you for the introduction and inviting me to give an oppportunity to tell you what we do in my laboratory. Research focus in my laboratory is to find ….
ホストの人にイントロに対するお礼を述べると、次に「ここに来れて光栄です。」とお決まりの挨拶。
pleasure
Thank you, XXX(ホストの人の名). It’s a pleasure to be here.

後で述べますが

話の途中で、ある事に関しては「後で触れますが」と挿入的に言いたいことがよくあります。
But there are some advantages of specifically using mouse monoclonal antibodies, that I’ll talk about in a second.
しかしマウスモノクローナル抗体だけを使う利点がいくつかあります、それに関してはすぐ後で述べますが。
「また後で触れますが」というときの常套句として、come back toという言い方があります。
I’ll come back to that in a minute.
I’ll come back to that point later.
I’ll come back to that point in a moment.

で、問題は、

イントロをひとしきりしゃべったあと、実験内容に入っていくわけですが、何を疑問として取り上げ実験をしようとしたのか、を言う言い方です。
question
And the question is, ..(疑問文)?
And the question I really want to focus on today is …(疑問文)?
address
With these data in hand, we then went to address what’s the pattern of phosphorylation of these channels?

address a question

And the question we really wanted to address is …(疑問文)?
OK, so, the real question that I think we would like to address today is, is this …..?