NHKスペシャル「ニッポン“精子力”クライシス」

      2018/11/27




NHKスペシャル「ニッポン“精子力”クライシス」7月28日(土) 21:00〜21:49

以下、番組の内容をかいつまんで紹介します。

驚きの精子数減少

過去数十年の間に男性の精子数が半減していたという研究があるそうです。さらに、日本人の精子数は他国と比べても少なかったとか。

NHKスペシャルでは精子力をアップさせる方法を紹介。2週間で精子力を取り戻せ!番組の後ろには、「精子くん」たちがうごめいていて、ゲストの方たちはやりにくそうにしています。

【出演】YOU,徳井義実,鈴木おさむ,獨協医科大学 医師…岡田弘,【司会】武田真一,【語り】小倉久寛 (NHK)

「精子くん」たちは何のためにいるのかと思いきや、「精子減少」とか「運動率の低下」、「精子のDNAの損傷」などを演じてみせてくれていました。この3つが、精子力クライシスの中身だそうです。

日本人の精子力調査:28人平均35歳男性

番組の調査に参加した人たちは、精子力に自信のある人たちが多かったようです。検査当日の朝に採取した精液を持ち寄って、いざ検査。受精のためには、精液1ml中に1500万以上、運動率は40%が望まれるそうです。

精子数はOKなのに、多くがとまっていて運動率が足りない人も。また、精子数や運動率はOKなのに、DNAの損傷している割合が全体の26%もあった人など。22%超で自然妊娠が困難といわれているそうです。

自信満々で参加したのに、28人中9人は、基準を下回ったという結果になりました。

722人の精子力 大規模調査

不妊リスクが21%というデータも。現在の日本の初婚平均年齢は31歳だそうですが、この年齢だともう精子力が低下しているということだそうです。ゲストの徳井さんは42歳だそうですが、かなりショックを受けた模様。ヨーロッパでは過去50年間で精子数が半減したというデータがありますが、医師らは日本でも同様の傾向になっているのではないかと疑っています。

折角受精しても流産になる原因には、精子の問題があるそうです。医師の解説では50%は男性側の問題とのこと。

 

性欲と精子力は必ずしも一致しない

ゲストが盛り上がっていましたが、医師も同様の意見で、お盛んな男性の精子力も高いとはいえないとのこと。ゲストの徳井さんの精子力が番組で公開されました。精子数は3636万(自然妊娠のための基準は1500万)、運動率は31%(動いていた精子の数の割合が31%ということ。基準は40%)DNA損傷率は10.4%(基準は22%)という結果でした。一応、面目を保ったようです。

 

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精子の受精能力が低下している原因は?

交際相手の女性を喜ばせてあげたいと思って番組の調査に参加した40代男性の結果は、運動率がかなり悪いという結果に。タバコは吸わず、お酒もそれほど飲んでいないというこの男性、なぜ精子力が低下しているのか、精密検査を受けることに。体に活性酸素が溜まり、酸化ストレスが上昇している状態ということが指摘されました。医師の解説によれば、生活習慣の影響を指摘されていました。

 

精子力を低下させる生活習慣

会社から帰宅してずっとPCやテレビを1時間以上も流し見しながら、ずっと座りこんでいるのは、血行に悪いし良くないということ。精巣の血管の血流が悪くなるのは精子にダメージを及ぼすのだそうです。1日5時間以上もテレビを座ってみる人は精子数が30%も少なくなっていたという外国での調査結果があるそうです。ほとんど座りこんだり寝そべっているだけで動かない生活というのはかなり良くないみたいです。

食生活ももちろん大事です。動物性脂肪酸が多い油ものばかり食べているような男性の1人暮らしにありがちの食生活はまずいのです。食事においては、飽和脂肪酸を減らし、オメガ3など魚から摂取するのが良いという医師の解説。

他の要因としても男性ホルモンの一種であるテストステロンの量が低いということを指摘された、番組調査参加者の男性も。この男性は部屋が明るい状態で寝ていることが多くて、それを医師に指摘されていました。睡眠不足はまずいのだそうです。夜勤もあって深く眠れない日が多いというこの男性の場合は、睡眠の量や質の問題を指摘されていました。

 

精子力を低下させる要因

番組では、運動不足、座りすぎ、過度な飲酒、喫煙、脂肪過多、睡眠不足、ストレス、カフェイン取りすぎ、などが挙げられていました。

 

精子バンク

番組では、男性不妊がどうしようもない場合に、精子バンクを利用したという例も紹介されていました。欧米の精子バンクを利用する日本人が増加傾向にあるんだそうです。世界最大の精子バンクはデンマークにあって、日本を含む世界中の国々に提供しているのだそうです。女性からのリクエストはこの10年で5倍という人気。身長、学歴、精子力などで価格が決まっています。

 

精子力の衰えとさまざまな病気との関係

精子の数が少ない人は、糖尿病リスクが50%、心臓疾患のリスクが40%高いという調査結果もあるそうです。これは因果関係を示すわけではなく、生活習慣などのせいで相関関係が生じていると解釈されるようです。つまり、精子数が健康のバロメーターになっているという解説でした。

精液を遠心分離して得られる「精しょう」を分析すると、血液を分析するよりももっと詳細に現在の健康状態がわかるのだそうです。

 

精子力アップのための生活改善

精子はおよそ74日のサイクルでできてくるそうです。番組では、精子力が低かった男性らに、精子力アップの提案をしました。コタツを片付けて、へやの中でも動きまわる機会を増やす。ジョギングをする。食生活を改善する。遮光カーテンをつかって睡眠の質を上げる、など。半月ほど生活を改善した後に、精液検査をしたところ、2週間でテストステロンが倍増していました。また酸化ストレスの指標が3週間でかなり減少したりしました。精子数、運動率、DNA損傷の指標においても、これらの被験者の数値は改善が見られました。薬を飲んだりしたわけでなく、手軽に始められる生活の改善を実行した結果だというのが、みそですね。

 

禁欲の是非

ちなみに、精子力アップのためには、「禁欲」はしなくて良いそうです。禁欲する日数は2日くらいで十分だろうというのが医師のアドバイスでした。何日間も「溜める」ことは勧めないとのこと。

以上、NHKスペシャル「ニッポン“精子力”クライシス」の番組の内容を、概要ですが紹介しました。

 


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不妊の責任が男性側にあることが半数

日本で2016年に行われた体外受精は44万7790件で、出生児の約18人に1人に当たる5万4110人が誕生。件数も出生数も過去最多を更新した。日本において最初に体外受精児が誕生したのは1983年、東北大でのことである。それから24年で、合計約53万6710人が誕生している。 しかし、日本の不妊治療には、大きな問題がありそうだ。というのも、不妊治療を受けている患者数が世界第1位にもかかわらず、その治療による出産率が世界最下位。つまり、世界で「一番不妊治療が行われている国」であるにもかかわらず、「一番出産できない国」なのだ。 日本の不妊治療の成績がなぜ振るわないのか。原因の1つには、「精子の異常」に対する認識の低さがある。一般的に不妊原因は女性側にあると思われがちだが、実は約半数を男性側が占める。2017年のWHO(世界保健機関)の報告では、男性不妊が24%、男女両方の不妊が24%であり、不妊の約半数に当たる48%が男性側に何らかの原因があることがわかる。(不妊の半数は男性が原因!「精子自体の異常」に関心高まる 2018.9.18 草薙厚子 DIAMOND online)

 

不妊治療で最初に精子検査をすべき理由

なかなか赤ちゃんを授からない場合、不妊原因は女性側にあると思われがちですが、実は、約半数は男性側の精子にも原因があるのです。 また、あまり知られていませんが、精子の機能を正確に把握することによって、女性側の不妊検査の項目(どの検査をやるべきなのか)と治療方針(どのような不妊治療技術を試みるべきなのか)を見通すことができますので、最初に精子の検査を受けていただく方が大変効率が良いのです。当院では精子の検査(精子機能の精密検査:後述)を最初に実施しております。(黒田優佳子先生 黒田インターナショナルメディカルリプロダクション院長)(妊活は一番初めに男性の「精子検査」をやるべき理由 2018.08.27
草薙厚子 女子SPA!)

 

精子異常に関して

『本当は怖い不妊治療』(SB新書)の監修者でヒト精子の専門家である黒田優佳子医師の解説が掲載された最近の記事も紹介しておきます。

「実は男性不妊が不妊原因の約半数を占め、その大半は精子形成障害です。精子形成障害の場合、単に精子数や運動率が低下するだけではなく、ほとんどの場合に精子の品質の低下、すなわち精子の機能異常を伴います。その背景には、遺伝子の問題が関与している場合が多いため、原因が明らかとなることはむしろ少ないのです。 そのため、精子形成障害に対する根治療法は、いまだに確立していません。そこで、顕微授精という技術が登場して1匹でも精子がいれば妊娠できるというイメージが先行した結果、対症療法として顕微授精が男性不妊治療の主流になり、全体の80%を占めるまでに至りました」(黒田優佳子医師)(不妊の半数は男性が原因!「精子自体の異常」に関心高まるDIAMOND online 草薙厚子 2018.9.18)

 

精子力アップのヒント

陰嚢(いんのう)を体に密着させるブリーフよりも、ゆったりとした構造で陰嚢が体に密着しないトランクスのほうが、精子の生成に関して良い影響を与える――。こうした通説が、米ハーバード大学の研究者らによる大規模な調査で裏付けられた。 トランクス着用で「精子の量と質」が向上:最新調査で裏付け (2018年8月13日(月)15時00分 高森郁哉 Newsweekニュースウィーク日本版)

不妊に悩む男性の8割は、精子をつくる機能に問題があるとされる。食事や生活習慣を見直して精子の状態が改善する人もいて、治療の選択肢は広がっている。 横浜市立大生殖医療センターの湯村寧(やすし)部長らは2012年4月~15年9月、不妊男性66人にビタミン剤や漢方薬をのんでもらった。 治療前と治療後1カ月、3カ月で精子の運動率や濃度が上がり続けた人は約半数の34人、うち13人は妊娠に結びついた。ビタミンEは抗酸化作用、ビタミンB12は精子をつくる機能を高めると期待されるという。(不妊男性8割、精子に問題 専門家「生活習慣見直しを」 2018年8月23日12時33分 福地慶太郎  朝日新聞デジタル)

 

精子で健康診断

精液検査を専門に行うベンチャー企業も登場している。 自宅で採取した精液を専用の検査キットで郵送することで、男性医療の面からわかる健康状態を判断するサービスの実用化が進んでいるのだ。 検体を採取する――という行為を考えたとき、血液や尿が医療機関で簡単に取れるのに対して、精液を取り出すにはひと手間かかる。この問題を「郵送キット」はクリアする。自宅で採取して郵送する――という形をとることで、プライバシーが保たれるのだ。(男性の「精液」が医療検査で注目されている理由 「性差医療」の最先端で何が起きているのか 2018/08/25 長田 昭二 文春オンライン)

 

話題が別になりますが、女性側の問題として卵の老化に関しても過去のNHKスペシャルで特集されています。

卵の老化

NHKスペシャル「産みたいのに産めない~卵子老化の衝撃~」

 


 

参考

  1.  
  2. 徳井義実 ヨギータ 「性欲ノ、バケモノヤデ!」

 

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 - 医学, 生殖医療