大学教員公募が必ずしも公募でない理由

 

100通の お祈り手紙に 心折れ (詠み人知らず ラボ川柳)

父親からのアドバイス⇒【世間の常識】募集が出たときには採用される人は既に決まっている


応募する側から見ると、大学の人事は実に不可解ですが‥

 いいかベイベーきいてくれ。人事の数だけモノサシがあるんだよ。大学教員公募戦線仏恥義理シェキナベイベー

下のウェブ記事にも教員人事の本質、オファーを勝ち取るための具体的な戦略に関するアドバイスがあり、落ち続けている人にとっては認識を改める助けになる内容だと思います。

公募に落ちた時「なんで自分が」と思うということは、自分の業績に自信があるのでしょう。それは素晴らしいことだと思います。しかし、それが人に評価されるかどうかはまた別の話です。ここでいう評価とは、「その研究が素晴らしい」ということより、「この人を採用したいと思うか」という点が重要です。どんなに優秀でも、その公募で必要とする人材にマッチしなけれは採用されません。(研究者として生きていくコツ gist.github.com/kaityo256

 

大学教員になるための熾烈な競争

博士号を取得した人の多くは研究者として生きることを望みますが、アカデミアで常勤職を得るのが非常に困難な状況は依然として続いています。

かなりの数(数十~数百のオーダー)の応募書類を書き,ほぼ全ての大学から不採用を告げられ,いくつかの大学から面接に呼ばれ,そのうちの一つの大学からオファーをもらえば,例えその大学が何処のどのような大学であろうと御の字と考えなければならないのが現状である.【大学教員への道】有益な書籍・サイト akt37 2013年9月7日

関連記事 ⇒ アカデミックポジションの倍率はどれくらい?

大学教員”公募”の実態

日本の研究力を強化するには、優秀な研究者が公正な競争の結果PI (Principal Investigator)の職に就けて、さらに自分の研究を発展させられるような体制を整備することが必要です。しかしながら、現実はというと、大学の教員募集要項で「公募」と称しておきながら実際には公募でないことが多いという強い不満の声が聞かれます。

大学教員の採用については、形式的には公募制がとられていても、その情報の流通が十分でないために、結果として閉鎖的な人事が行われている場合もあると言われている。大学における教育研究の活性化のために 文部科学省

公募の偽装を公に認める大学はないでしょうが、まずは現実を直視するところから始めないことには、対応策が見出せないでしょう。以下では、公募出来レースの真相、問題点、応募者への現実的なアドバイスなどを議論している、インターネット上の有益な記事を紹介します。

さらに頭に来るのは、「公募」と称して自分も参加したポスト獲得競争において、明らかに自分よりも業績や能力に劣ると思われる候補者が選ばれることをしばしば経験することでしょう。そのたびに、この国にはフェアな競争がないと絶望的な気持ちになることは想像に難くありません。
ポスドクから見たダメ教員 5号館のつぶやき 2007年 10月 28日

このブログ記事では興味深い議論がなされており、論文業績の格差にも関わらずなぜ内部昇進が行われるのかの内情を説明するコメントが紹介されています。

多くの教員は業績があって採用されて、その後成果を上げられなくなっていっています。特に最近は。なぜか?まず週に講義を5-6コマ担当し、入試・教務・学生委員会など委員に選ばれれば必ず出る必要のあるさぼれない委員会や会議が週平均1.5回くらいあります。校費は昔は100万以上あったのが今は10-40万です。大手の大学と違って、卒業研究の指導も教授自ら真剣に手取り足取りやる必要があります。そのうちちょっとデキの良い学生は大手の大学の大学院に行ってしまい、自分のところには誰も来ないか、来ても2年間バイトにあけくれるモラトリアム組です。そして、論文も急速に出なくなり、着任当時は当たっていた科研費も次第に当たらなくなります。 ここで公募で(場合によっては所属ラボのお陰もあって)すばらしい業績をもつポスドクと競っても、地方で苦労して教育と運営をしている教員は負けるでしょう。しかし、そのポスドクも慣れない教育と運営に四苦八苦しているうちに結局は前任者と同じ運命をたどるでしょう。 そこで現場で行われているのは、公募条件を厳しくして当該内部候補しか当てはまらないような募集をするのです。ポスドクから見たダメ教員 5号館のつぶやき 2007年 10月 28日

地方大学ならではの悩みがあるようで、実際に公募要項にもその理解を求めるような記述をしている大学もあります。

応募資格(3)地方大学の現状を理解して教育・研究および大学運営に対応できる者
岩手大学は男女共同参画を推進しています(http://www.iwate-u.ac.jp/gender/)。 …
(https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekJorDetail?fn=4&id=D115080098&ln_jor=0)

公正な審査をすっ飛ばした結果、最悪の事態を迎えたのが、あのSTAP細胞事件でした。小保方氏がリクルートされたときの状況が詳細に報道され、公募の実態の一端が一般の人の目にも明らかになった珍しい事例です。

2)運営における不誠実なヤラセ行為を止めよ
私は、STAP問題にあった背景の本質の1つは、「人事」であったと思っています。ところが、メディアなどでは、これを真正面から取り上げた記事を見たことがありません。1つは、小保方氏をCDBのユニットリーダーに採用した「出来レース」。これは、理研CDBの関係者は「出来レースではない」と言い張るが、本当でしょうか。幹細胞の分野のPIを募集するという「公募」の英文を書いたのは、一体誰だったのでしょうか?昨今の科学研究体制への苦情と提言 わがまま科学者 2014年12月29日

RIKENですらこうなのですから、偽装公募の問題は地方大学に限ったものではなさそうです。公募だったはずの人事が、フタを開けてみたら内部昇進させていただけだったという例は、首都圏にある日本有数の研究大学でも見受けられます。学生を優れた研究者に育て上げることが期待される研究大学であれば、PIの任用にあたっては極めて高い研究能力(=研究業績)が要求されて然るべきなのですが。

自分が教官となって自覚させられることは、研究成果を挙げていない人間が大学院の学生を指導できるわけがないということの一語につきる。
新大職組新聞1996年3月29日【検証・大学改革④】「同情するなら職をくれ!」その後ー研究妨害とはこのことだ 露崎史朗(元大学院自然科学研究科)

業績欄のレベルについては、今の日本の助教(40歳前後)はおろか、准教授(45歳前後)でも今のポスドクよりも業績欄が寂しいことは珍しくないように思います。… 結局、現在のバイオ業界は、ポスドクが次のステップに行くための業績の最低ラインだけを著しく上げている(Nature/Cell /Scienceクラスの論文が必須)にも関わらず、いったん助教や准教授となった人たちは過剰なまでに守るという図式になっていて、これこそが、今のポ スドク就職難の原因なのではないかと思います。(BioMedサーカス.com 研究者の声:オピニオン 2013年12月15日更新 執筆者:ポスドク@関東地方)

下のツイートのように助教→講師→准教授と上がっていく人がいるときに、もしそのポジションが公募で出ていても既に当確の人がいるわけですから、業績で上回るポスドクが応募したとしてもチャンスは無いでしょう。フタを開けてみたら「内部昇進かよ!」という例は私大に限らず国立でも見たことがあります(首都圏の超有名な研究大学)。

 

みせかけの公募はいつの時代にもあるようです。

また,ある地方に県立大学が開設されることになり,学会誌の求人欄にて,その教授や助教授の募集の公示が出 ておりました。それには,ちょうど私の専門分野に関係する部門のポストがありました。 当時の私は,一応の論文数もあったので,教授職に応募するべく自信 を持って書類を作成し,大学開設準備室へ送付しました。 しかし,締め切り後,面接の通知もなく,一ヶ月ほどして紙切れ一枚の不採用の通知。なぜ不採用な のか自分でも疑問に思えてなりませんでした。
ところが,翌年に開設されたその大学の教員リストを見ると,なんと,全部,地元の旧帝大のOBであることを知り,唖然とし,腹立たしさも覚えまし た。 しかも,私が応募した部門の採用者の業績はそれほど多くはありませんでした。 結局,その採用者以外の応募者ははじめから「当て馬」であり,利用さ れただけでした。
公募には,「候補者が決まっているが,公募で採用を決めたという形式にする」ためのものと,文字通り「広く門戸を開いた完全に平等な人材募集」の2種類があることを,そして,いずれの場合でも,複数の著名な方々からの推薦書が絶大な効果をもたらすことを,私は学びました。大学院博士課程のあなたへ、たやすく研究者の道、諦めないで! 大槻義彦の叫び  2015-07-12

こうなると公募に応募書類を出す意味がどれだけあるのか、ということになりますが。

公募の体裁を取っていながら、実際は出来公募だったり、教員選考委員にコネを持った他の応募者がいるので、面接に呼ばれてもコネがなければ採用に至るのは難しく連敗を重ねてしまうことが多いようだ。しかし、デキ公募でも選考委員全員の意見が「デキ公募」で完全に一致していることは稀である。即ち、公平に選考しよう(したい)と考えている選考委員は少数だが存在する。
(私の公募に対する心構えメモ http://www.geocities.jp/ryannmaryu16/point.html

運、縁、コネの重要性

就職において人間関係が重要というのは普遍の真理です。

しかしほとんどの場合、多人数の横並び状態です。私やあなた程度の研究者はたくさんいるのです。ドングリの背比べの中で採用の確率を上げるプラスアルファが縁なのです。
 縁は作ることができます。方法は単純で、真摯に他人と関われば良いのです。ただし他人と関わるだけでは、縁は作れません。真摯な態度が必要です。真摯と言っても、何か高度なことではありません。裏切らない、見下さない、見捨てない、卑屈にならないなど普通のことを実践すれば良いだけです。
 一方、他人と関わるには動かねばなりません。学会や研究会、勉強会など人が集まる場にコミットする必要があります。研究室に居るだけでは、あなたを知るのはあなただけです。「コミットする」とは、参加だけを意味しません。討論で質問したり、懇親会で話をしたりを含みます。そこであなたの存在は他人の記憶に刷り込まれます。他人に認知されて初めてあなたは何者かに成るのです。
 科学者を志す人の多くにとって、そういうのが億劫なのは良く分かります。しかし、研究内容は第一に論文、第二に学会発表で知らせることができますが、その他の属性については直接関わって知ってもらうしかありません。温和な性格、鋭い頭脳、辛抱強さ、責任感の強さなどの良い属性を書類で伝えるのは難しいでしょう。ところが教員採用の場合、研究業績がコンパラブルであれば、案外そういう部分が大事な要因なのです。その部分がまさにプラスアルファです。(どうすれば大学教員になれるか 長束・鈴木研究室ブログ 2016年07月12日)

Q. やっぱりコネ?
A. はい.私も大学人になってから身に染みて感じていることなのですが,“採用する側として” も,やっぱりコネが必要です.というのも,僅か1名の教員を採用するのに,どこの馬の骨とも知れない人を引っぱってくるよりも,「私が保証しますから」という内部の推しがあったほうが採る側としては安心なのです.
大学教員になる方法3 Deus ex machinaな日々 2011年9月27日

今回の公募もコネ公募ではなく、JREC-IN を見て応募したガチ公募でした。しかし、応募してからわかったことでしたが、受け入れ先の教授の先生は、私と深いつながりのある先生と、かつて同じ研究室にいたことがあったそうです。常にシンポジウムで顔を合わすような先生ならたいてい知っているわけですが、現在の互いの研究がそこまで似ているとは限らず、意外な接点というのは把握しきれません。今回はその深いつながりの先生の名前を「所見がもとめられる研究者」として挙げたわけではなかったのですが、ちゃんとその先生にも調査が入っていました。なので、応募した私としては完全なガチ公募ではあったのですが、採用側や上のほうの先生たちの間で様々な思惑 (コネ的な側面) が本当になかったのかと言えば、どうなのかなあ、という印象は持っています。… 「コネも実力のうち」と言われることもありますが、本当にそれに近い話で、さらに「コネも運のうち」とも言えるんじゃないかなと思いました。というのは、コネというのは自分で把握できるようなものだけではないからです。自分のコネだけでなく周囲の人間のコネも大いに関係あります。雇う側として、身元が確かな人のほうが安心するのは自明です。
教員公募、内定をもらって思うこと  研究者って自称ギタリストと何が違うの? 2015-01 19

Q:コネなしでアカデミックポストに就くことなんてできるんですか? (YAHOO!JAPAN 知恵袋 jackruccelさん 2008/4/2702:14:30)

A:公募でよい人が応募してくるとは限らないので、あらかじめ選考側からよさそうな人を探して、公募に出さないかと勧誘することも多いです。自分たちだけでわからないときは、周りの大御所に誰かいないかと聞きます。どちらにせよ、大事なのは名前が思い浮かぶような存在であることです。… コネは厳然として重要です。… 偉い人の頭の中に浮かぶような存在感が必要なのです。共同研究や学会活動を通じてよく知られている、好感持たれているというのも含めての「コネ」です。(YAHOO!JAPAN 知恵袋  tecnical_errorさん 2008/4/2708:49:46)

 

公募により教員を採用していることを明言している大学もあります。

また、オホーツクキャンパスでは公募制に切り替えてから、採用目的に合致するか期待以上の研究能力と教育者としての資質をもつ人材が得られるようになってきた。その結果、当該学科・研究室の研究レベルや教育レベルが向上しつつあり、全体が活性化し始めている。さらにこれらの人材は現在進行中の学部・学科再編のキーパーソンになりつつある。今のところ、公募制の長所だけが目立ち、短所は表面化していない。教員選考手続における公募制の導入状況とその運用の適切性 東京農業大学 自己点検評価書

 

大学側のニーズを汲み取ることの重要性

公募が本当に公募なのか、公募でどんな人材が求められているのかは、ひとえに採用する大学側の都合であり、応募する側には知りえないことです。

公募広告が出ていても実は候補者がいたり、内部昇進を形式上カムフラージュするために公募したりと、ようするに「デキレース」とか「見せかけ公募」ってえのがあるのわ確かだ。でもなベイベーきいてくれ、デキレースかどうかなんて、応募するおいらたちにはわからねえのよ。だから、あれこれと余計なことを考えている暇があったら、応募すりゃいいじゃねえか!デキがいいとか良くないとかいった制度批判もすぐに過熱する傾向があるぜ。気をつけるんだな、そうゆう議論に時間を奪われちゃあいけねえぜ。そいつは貴重な公募応募活動時間の浪費だ。目をさますんだシェキナベイベー!! デキレースかどうかなんてかんがえるんじゃねえぜ! 大学教員公募戦線仏恥義理シェキナベイベー

一流の研究実績を持つ人物を求めている人事だったら研究実績だけ見て教歴は考慮されないかもしれないし、教育指導に優れた人物を求めている人事だったら研究実績はそんなに重視されないかもしれない。それだけのことサ。学位をとってから民間企業の研究所だとか公的機関だとかで研究に専念してきた研究者が大学教員になる例は珍しくない。助手の経験もなく、講義の経験もなく、大学独特の教室運営に関する経験も無い彼らに求められているのは教歴かい?それとも研究能力かい?
いいかベイベーきいてくれ。人事の数だけモノサシがあるんだよ。人事の数だけものさしがある 大学教員公募戦線仏恥義理シェキナベイベー

大学の都合は別として、採用する側から見た理想的な候補者像はというと。

採りたいと思う候補者には、共通点があることに気づきました。その共通点は複数あるのですが、まず挙げたい点は、採用された場合、自分にどのような役割が期待されているのかをしっかりと自覚しているということです。これは、単に担当する科目がわかっているというようなレベルではありません。所属することになる学科やセンターの教員構成やバランス、学生数等を把握し、自分の専門性や年齢等を勘案して、求められるポジションや役割を自ら見出しているというようなものです。そして、そのビジョンが、こちらの要求と合致している、あるいはそれ以上のものであるという共通点です。
(大学教員公募の面接(実施側の立場) 大学の教員生活 2012年11月16日)

一方でポスドクを経て次のテニュアトラックに臨む場合、求められる像は異なる。基本的に学科・学部のスタッフの一員としての職を担うことになるからだ。多少のばらつきはあるにせよ、研究だけではなく、プログラムの運営など範囲の広い貢献が期待される。数年間のポスドクを経ても、そういった全てを担える経験 が備わっている事はほぼなく、それは面接する側も理解している。だから面接ではこれら全てを担えるか、その素養を計られる(国立研究機関などであればまた変わってくるとは思うが)。要は研究グループへの貢献だけではなく組織への貢献の期待。恐らくはこの点がポスドクの面接とテニュアを得るための面接の大きな相違点と思う。テニュアを得る際の面接では、この違いを明確に理解して、自分に何が欠けていてそれを補う意欲、補わなくては話にならないという理解を明示する。
アカデミア永久職獲得まで(3) 勢い余って話し過ぎないこと Kagakusah.net 2014年5月11日

募集側にいる大学教員との感覚のズレ(温度差)を埋めるためには,日頃大学という場所で,どのようなことが問題になっているかを知ることは有益であると僕は考えている.例えば,次のような言葉の意味を簡潔に説明できるであろうか.●高大接続 ●リメディアル教育 ●FD(Faculty Development) ●SD(Staff Development) ● JABEE ●ティーチングポートフォリオ ●アドミッションポリシー ●カリキュラムポリシー ●ディプロマポリシー ●AO入試   ●大学設置基準 ●教養部 ●リベラルアーツ ●グローバル化 ●全入時代 ●割愛採用 ●マル合教員  ● ....知らない言葉がある公募戦士には,大学教育や大学改革に関する本を何でもいいから一冊読むことをお勧めする.【大学教員への道】有益な書籍・サイト akt37 2013年9月7日

 

職には呼ばれるもの

コレ―ジュ(コレ―ジュ・ド・フランス)で君のやった講演はすごく印象がよかったし、その印象はずっと続いている。フランソワ・ペルーが退職して、そのポストが空いた。候補者はたくさんいんるのだが、いずれもぱっとしない。われわれの中で、君を推す者が何人かいる。君がぜひやりたいと言えば選ばれるはずだ」(ベノワ・B・マンデルブロがアンドレ・リシュネロヴィチから受けた電話)

引用元:ベノワ・B・マンデルブロ『フラクタリストーマンデルブロ自伝ー』早川書房2013年 397ページ

公募といっても採用側は事前にめぼしい人に目をつけて応募を促したり、それこそコネを駆使して良さげな候補を事前に探すようなので、その段階で声がかからない人にはほとんどチャンスがないのではないかと個人的には思います。

それは、2017年1月のことでした。私は、東京大学教養学部統合自然科学科・学科長、大学院総合文化研究科・広域科学専攻生命環境科学系・教授及び同研究科人事委員会・委員長を務められている先生より、お電話で、私の教授としての採用が決定したことと、着任が6月初旬となる見込みであることを告げ、「来て下さいますね?」というお言葉をいただきました。 …  この公募に応募しないか、と人事委員の中の先生よりお声がけいただいた当初より、私が応募する場合は兼任が必須である旨をお伝えしてありました。(東大から「内定取り消し」を受けた大学教授がどうしても伝えたいこと 2019.03.01 現代ビジネス)*太字強調は当サイト

逆に言えば、公募に出し続けて玉砕を繰り返すよりも、公募が出る前に事前に声がかかるような人間になるにはどうすればよいかに注力したほうが、職を得る早道かもしれません。

 

関連記事 ⇒ まだアカデミアで消耗してるの?【博士の転職】

 

【世間の常識】募集が出たときには採用される人は既に決まっている

世間の表面に出てきたときには、全て終わっているんだよ。体裁を整えるために募集をかけて試験をやっているだけなんだから。だから、声がかかるように普段からそういう活動をしておかないとだめ。試験で優秀な人間が採用されるわけではない。」大学教員の職探しが熾烈なことを父親に話したときに、父親はそう言いました。「それが世間の常識なのに、お前は何を今頃寝ぼけたことを言っているんだ」と呆れられました。父親は学校を卒業するとき商社や銀行を受けたらしいのですが、採用された人間はみな親戚などが事前にその会社の上層部に根回ししていた人だけだったとのこと。その体験によって世間の常識を学び、それ以降はその常識に従ってこれまで生きてきたので、職探しで困ったことはないそうです。これは、民間の話ですが。職が得られなくて苦しんでいるのは、研究ばかりやってきて、こういった世間の常識をわきまえていない研究者だけなのかもしれません。

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参考

  1. 人事の数だけものさしがある 大学教員公募戦線仏恥義理シェキナベイベー
  2. 大学教員公募についてのメモ 私(52連敗)が大学教員公募で内定ゲットするまでの履歴やメモ
  3. どうすれば大学教員になれるか 長束・鈴木研究室ブログ 2016年07月12日
  4. 教員公募、内定をもらって思うこと (研究者って自称ギタリストと何が違うの?クソ田舎助教から、政令指定都市に逃亡しました 2015-01 19)
  5.  JREC-IN利用者座談会開催報告2012年3月24日@JST東京本部
  6. 【大学教員への道】有益な書籍・サイト akt37 2013年9月7日
  7. 大学教員公募の面接(実施側の立場) 大学の教員生活 2012年11月16日

科学的とはどういうことか
大学教員 採用・人事のカラクリ
大学改革 その先を読む

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STAP細胞の存在を否定するNATURE2論文

小保方氏らによる2報のSTAP細胞NATURE論文は既に取り下げられていますが、STAP細胞は存在しなかったと結論付ける2つの報告がNATURE誌に掲載されました。一つは日本の理化学研究所によるもの。他方はハーバード大学を中心とした研究グループによるものです。

STAP cells are derived from ES cells. Daijiro Konno,Takeya Kasukawa,Kosuke Hashimoto,Takehiko Itoh,Taeko Suetsugu,Ikuo Miura,Shigeharu Wakana,Piero Carninci & Fumio Matsuzaki. Nature 525,E4–E5(24 September 2015) doi:10.1038/nature15366. Received 23 January 2015,Accepted 20 July 2015,Published online 24 September 2015

Failure to replicate the STAP cell phenomenon. Alejandro De Los Angeles, Francesco Ferrari, Yuko Fujiwara, Ronald Mathieu, Soohyun Lee, Semin Lee, Ho-Chou Tu, Samantha Ross, Stephanie Chou, Minh Nguyen, Zhaoting Wu, Thorold W. Theunissen, Benjamin E. Powell, Sumeth Imsoonthornruksa, Jiekai Chen, Marti Borkent, Vladislav Krupalnik, Ernesto Lujan, Marius Wernig,  Jacob H. Hanna, Konrad Hochedlinger, Duanqing Pei, Rudolf Jaenisch, Hongkui Deng, Stuart H. Orkin, Peter J. Park  & George Q. Daley. Nature 525, E6–E9 (24 September 2015) doi:10.1038/nature15513. Received 10 November 2014, Accepted 22 July 2015, Published online 24 September 2015

参考

  1. <STAP細胞>133回の再現実験ですべて作れず(毎日新聞 9月24日(木)2時0分配信):”STAP細胞論文の研究不正問題で、米ハーバード大のグループなどが計133回の再現実験ですべてSTAP細胞を作れなかったとの報告を、24日付の英科学誌ネイチャーに発表した。理化学研究所も「STAP細胞はES細胞(胚性幹細胞)由来だった」との試料解析結果を報告した。”

米政府の日本盗聴をウィキリークスが公表

targettokyo

“… The lesson for Japan is this: do not expect a global surveillance superpower to act with honour or respect. There is only one rule: there are no rules.” (Julian Assange)

参考

  1. WikiLeaks Target Tokyo Today, Friday 31 July 2015, 9am CEST, WikiLeaks publishes “Target Tokyo”, 35 Top Secret NSA targets in Japan including the Japanese cabinet and Japanese companies such as Mitsubishi, together with intercepts relating to US-Japan relations, trade negotiations and sensitive climate change strategy. The list indicates that NSA spying on Japanese conglomerates, government officials, ministries and senior advisers extends back at least as far as the first administration of Prime Minister Shinzo Abe, which lasted from September 2006 until September 2007. The telephone interception target list includes the switchboard for the Japanese Cabinet Office; the executive secretary to the Chief Cabinet Secretary Yoshihide Suga; a line described as “Government VIP Line”; numerous officials within the Japanese Central Bank, including Governor Haruhiko Kuroda; the home phone number of at least one Central Bank official; numerous numbers within the Japanese Finance Ministry; the Japanese Minister for Economy, Trade and Industry Yoichi Miyazawa; the Natural Gas Division of Mitsubishi; and the Petroleum Division of Mitsui.
  2. 米の日本盗聴、個人宅も対象か 優先度つけ分類 (朝日新聞DIGITAL2015年8月1日):”ウィキリークスは、NSAのデータから日本国内の盗聴対象を抽出したとする電話番号のリストを公表した。ターゲットは内閣府や経済産業省などの省庁や日本銀行、大手民間企業にも及んでいる。”
  3. 米NSA、日本の内閣や各省庁、三菱などを盗聴か:Wikileaksが暴露(THE NEW CLASSIC 最終更新日:2015.08.01 / 公開日:2015.07.31):”またオーストラリアのTHE SATURDAY PAPERは、盗聴リストに菅官房長官や日銀・黒田東彦総裁などの番号が含まれていたことも報じている。”
  4. 日本盗聴:米、説明避ける「反応しない」 欧州と対応に差(毎日新聞 2015年08月01日 東京夕刊):”NSAによる同盟国も含む諸外国の盗聴は、13年に米中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン容疑者の情報などを元に各国で大きく報道された。対象とされた独仏など欧州諸国やブラジルなどは強く反発。公に米国を非難して説明を要求したり、首脳の訪米を見合わせたりした。NSAはメルケル独首相の携帯電話を盗聴していたとの疑惑もあり、オバマ氏は同年10月、「独首相の通信傍受をしない」と電話でメルケル氏に約束した。”

非公開で行われてきた「自治体向け連絡会」:「高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する自治体向け連絡会」

原子力発電の問題点の一つは、放射性廃棄物の処理をどうするかということです。

高レベル放射性廃棄物とは原子力発電所の使用済燃料のうち、ウラン・プルトニウムなど約95%を再処理した後の、高レベル放射性廃液をガラス固化体にしたもの。これまでに、25,000 本相当の発電を行っており、約2,200 本が青森県六ヶ所村で貯蔵管理されている。製造直後のガラス固化体は、放射線量約1,500Sv/h、表面温度200℃であるが、30~50 年かけて100℃まで冷却し、最終処分を行う。その後、放射線量が十分低くなるには数千年が必要である。(参考:http://www.city.gifu.lg.jp/secure/28434/summary.pdf

高レベル放射性廃棄物の搬入開始 六ケ所村

高レベル放射性廃棄物の処分方法は、地層処分と呼ばれる方法が良いとされています。しかし、受け入れ自治体が見つかっていないという問題があります。そのため、これまでの自治体任せの手上げ方式を改め、科学的に適正が高いと考えられる地域をマッピングした「科学的有望地」を国が提示するという政策の転換がなされました。

2000 年 「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(最終処分法)」公布。実施主体である原子力発電環境整備機構(原環機構)設立
2002年12月 応募区域を全国の市町村から公募

2007 年1 月 高知県東洋町が文献調査受入の応募。しかし、地元住民が反発し同4 月に町長が落選、応募は取り下げ。
2015年(平成27年)5 月22 日 基本方針を改定し、閣議決定
(参考:http://www.city.gifu.lg.jp/secure/28434/summary.pdf, http://www.jsce.or.jp/committee/rm/News/news1/hlw.pdf

このような事情から、国が地方自治体向けに非公開で「情報提供」を行ってきましたが、このようなやり方に対して強い批判が生じています。

一部メディアから、自治体向け連絡会を非公開で行うことに関して報道があるが、仮に公開で
行った場合、参加・発言をしただけで報道の対象となることが懸念され、参加・発言を控える自
治体が出ることが見込まれたため、非公開とした。…国としては、個別会場ごとの質疑は非公開とし、全ての連絡会終了後に、まとめとして公表する予定である。http://www.city.gifu.lg.jp/secure/28434/summary.pdf

政府は高レベル放射性廃棄物の最終処分について、本年五月二十二日に最終処分法に基づく基本方針の改定を閣議決定した。報道等によ ると、経済産業省は、閣議決定を受け、全国九ブロックで開催しているシンポジウム「いま改めて考えよう地層処分」とは別に、都道府県単位で自治体向け説明 会を非公開で開催しているとのことである。この説明会については、五月二十二日開催の第三回最終処分関係閣僚会議の「資料1」において「地方自治体への情 報提供(連絡会の開催)」として公表されているところではあるが、同資料においては説明会が非公開である旨の記述はない。しかるに、政府はこの自治体向け 説明会を非公開とするのみならず、開催日程、出席自治体、議事内容等を一切公表していない。このことは、「国民の理解と協力」を掲げた「基本方針」と矛盾するのみならず、この間原子力委員会や福島県民健康管理調査などで「秘密会議」の存在が明らかになり、強い疑念と批判を招いた反省を踏まえていないと言わ ざるを得ない。(衆議院ウェブサイト:平成二十七年六月二十二日提出 質問第二八七号 高レベル放射性廃棄物の最終処分に係る地方自治体向け非公開説明会に関する質問主意書 提出者 阿部知子

参考

  1. High Level Nuclear Waste: Edwards in Schreiber, Feb 11, 2015
  2. 回答 高レベル放射性廃棄物の処分について 平成24年(2012年)9月11日 日本学術会議 (PDF 42 pages): ”地層処分をNUMO に委託して実行しようとしているわが国の政策枠組みが行き詰まりを示している第一の理由は、超長期にわたる安全性と危険性の問題に対処するに当たっての、現時点での科学的知見の限界である。安全性と危険性に関する自然科学的、工学的な再検討にあたっては、自律性のある科学者集団(認識共同体による、専門的で独立性を備え、疑問や批判の提出に対して開かれた討論の場を確保する必要がある。 ”
  3. 高レベル放射性廃棄物最終処分施設の立地選定をめぐる問題 (レファレンス 平成22年2月号 経済産業課 山口 聡)
  4. 高レベル放射性廃棄物の処分について一緒に考えてみませんか? (NUMO原子力発電環境整備機構)(PDF 44 pages)
  5. 『高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する自治体向け連絡会(岐阜県)』に係る報告 (PDFファイルへのリンク) 日 時:平成27 年6 月17 日(水)14:00~16:00 場 所:長良川国際会議場 大会議室 説明者:中部経済産業局資源エネルギー環境部/部長 経済産業省資源エネルギー庁放射性廃棄物等対策室/室長補佐 原子力発電環境整備機構(NUMO)/部長、課長代理
  6. 土木学会岩盤力学委員会ニュースレターNo.1 わが国における高レベル放射性廃棄物処分事業の現状 (原子力発電環境整備機構  高橋美昭)
  7. 地層処分ポータル (原子力発電環境整備機構, NUMO, Nuclear Waste Management Organization of Japan):”高レベル放射性廃棄物の地層処分についてさまざまな疑問に対する情報を見つけることができます。”
  8. 岐阜市議会 平成27年第3回定例会 6月22日 質問日3日目 1/3 (岐阜市公式チャンネル YOUTUBE)
  9. 原子力資料情報室声明 高レベル放射性廃棄物の最終処分にかんする自治体向け説明会の非公開問題について (原子力資料情報室 2015/06/03)
  10. エネ庁佐賀市で説明会、核のごみ最終処分地選定 (佐賀新聞 2015年05月30日):”原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定について、経済産業省資源エネルギー庁が全都道府県で実施する自治体向け説明会が29日、佐賀市の自治会館であった。22日に閣議決定された最終処分の新たな基本方針を説明したが、全て非公開で、参加した市町数も明らかにしなかった。”
  11. 地層処分技術WG(第12回会合) 平成27年3月24日(火)9:00~11:00 YOUTUBE動画 (1:40:07)
  12. 高レベル放射性廃棄物処分について 平成25年12月 資源エネルギー庁 (PDF20ページ):”総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会 地層処分技術WG 委員名簿
    委員長 杤山修 原子力安全研究協会処分システム安全研究所所長(放射性廃棄物WG委員)
    委員 宇都 浩三 産業技術総合研究所企画本部企画副本部長(日本火山学会推薦)
    遠藤邦彦 日本大学名誉教授(日本第四紀学会推薦)
    長田昌彦 埼玉大学地圏科学研究センター准教授(日本応用地質学会推薦)
    小峯秀雄 茨城大学工学部都市システム工学科教授(土木学会推薦)
    田所敬一 名古屋大学大学院環境学研究科地震火山研究センター准教授(日本地震学会所属)
    遠田晋次 東北大学災害科学国際研究所教授(日本活断層学会紹介)
    德永朋祥 東京大学大学院新領域創成科学研究科教授(放射性廃棄物WG委員)
    丸井敦尚 産業技術総合研究所地圏資源環境研究部門総括研究主幹(日本地下水学会推薦)
    山崎晴雄 首都大学東京大学院都市環境科学研究科教授(放射性廃棄物WG委員)
    吉田英一 名古屋大学博物館教授(館長)(放射性廃棄物WG委員)
    渡部芳夫 産業技術総合研究所地質調査情報センター長/深部地質環境研究コア代表(日本地質学会推薦)
  13. Meeting the challenge: Geological disposal of UK higher activity radioactive waste 

  14. History & Treatment of Nuclear Waste

  15. Nuclear Waste Disposal Documentary

  16. 7/31 どうする?!核のゴミ-最終処分と合意形成を考える日独シンポジウム(地球座 吉田明子):”ドイツでは、当初から最終処分場の候補地と考えられてきたゴアレーベンが、地層の安定性と住民・市民社会の反対とによって2013年に白紙撤回され、2014年、連邦議会のもとに「最終処分場委員会」がつくられてあらたな議論が始まったところです。委員会には、政治家だけでなく労働組合、宗教団体、環境保護団体などの市民代表を含む33人が参加し、すべての議論に透明性をもたせながら合意形成をはかろうとしています。”

  17. GERMANY – NUCLEAR POWER: Gorleben refuses to go nuclear

自由と平和のための京大有志の会の声明


戦争は、防衛を名目に始まる。

戦争は、兵器産業に富をもたらす。

戦争は、すぐに制御が効かなくなる。

戦争は、始めるよりも終えるほうが難しい。


戦争は、兵士だけでなく、老人や子どもにも災いをもたらす。

戦争は、人々の四肢だけでなく、心の中にも深い傷を負わせる。


精神は、操作の対象物ではない。

生命は、誰かの持ち駒ではない。

海は、基地に押しつぶされてはならない。

空は、戦闘機の爆音に消されてはならない。


血を流すことを貢献と考える普通の国よりは、

知を生み出すことを誇る特殊な国に生きたい。


学問は、戦争の武器ではない。

学問は、商売の道具ではない。

学問は、権力の下僕ではない。

総理から前線へ

生きる場所と考える自由を守り、創るために、

私たちはまず、思い上がった権力にくさびを打ちこまなくてはならない。

 

 

注:上記の文章は「自由と平和のための京大有志の会」の声明を転載したものです。また、写真やYOUTUBE動画は当サイトscienceandtechnology.jpが紹介のために挿入したものであり、声明とは直接関係ありません

参考

  1. 自由と平和のための京大有志の会
  2. まず、総理から前線へ。(広告批評)
  3. 糸井重里さん・後編 「ほんとうかな」と自問する力 (毎日新聞 2015年02月17日):”でも、これも今なら戻してって言いますよ。戦争に対する考えが深まっていないですよ。戦争はゲームや子供のチャンバラごっこではない。単純に戦争になった時に総理が前線に行けばすむっていう話じゃないんじゃないって思う。これは何かをやりたければ、「○○をやってから言え」っていうのと同じ論理だもん。紋切り型を上手な決まり文句にしただけですよ。決まり文句で批判するだけで、戦争を無くすこともできなければ、実際のところ何にもなんない。ちょっと考えが甘いし、鳩の絵を描けば平和っていうのと同じ感じで引っかかります。”

南部 陽一郎(1921-2015)

ノーベル物理学賞の南部陽一郎氏(94)が死去(15/07/17) 動画削除済み

南部陽一郎さん訃報に悼む声相次ぐ 動画削除済み

南部陽一郎の名を抜きにしては、現代の素粒子理論のどの面も語れません。クォークが多次元の「ひも」で結ばれているという「ひも理論」も、湯川秀樹の中間子理論を大きく進化させた「色の量子力学」も、素粒子の質量を決める理論である「ヒッグス機構」も、そのどれを取っても最初の発端は南部のアイデアです。現在の素粒子論では陽子も中性子も素粒子ではなく、その三分の一のかけらに相当するクォークが素粒子であることが確定していますが、このクォークを考え る決定的一歩になった「西島ゲルマンの公式」も、実は南部が西島和彦に与えたヒントが基礎になっていると言われています。つまり、南部は一人で「現代素粒子理論」の骨組みをつくったような人です。(どこがスゴイか 南部陽一郎 特別寄稿 原子力文化 2008 11月号)

南部の思想は現代の素粒子論の中にまさに空気のように満ち溢れており,小林と益川の理論は日米の加速器実験によって見事に実証された.素粒子物理学の50年 「対称性の破れ」を中心に 科学 Jan.2009)

大阪大学未来トーク 04 「物理学の周辺」南部陽一郎(2013.7.16) (1:05:06)

南部陽一郎氏インタビュー(福井新聞 2008年10月)(4:38)

参考

  1. Yoichiro Nambu (Google Scholar)
  2. Nobel Lecture by Yoichiro Nambu (32 minutes):”The Nobel Lecture of Yoichiro Nambu was presented by Giovanni Jona-Lasinio.
  3. クォーク 第2版(電子書籍) 南部陽一郎 著 1998年 (講談社ウェブサイト)
  4. Quarks:Frontiers in Elementary Particle Physics by Yoichiro Nambu:クォークの英訳版。サンプルの章が読める。
  5. 量子物理学の展望 江沢洋,恒藤敏彦 編 岩波書店 上巻(1977年)下巻(1978年)(岩波書店ウェブサイト):”量子力学は自然の原子的構造に切りこみ,我々の物質観を根本から変えてきた.本書は,量子物理学の現状を把握し将来への展望を得ることを意図して編集され,日本物理学界第一線の研究者30氏の協力により完成した.”
  6. 素粒子物理学の50年 「対称性の破れ」を中心に 科学 Jan.2009 大栗博司
  7. どこがスゴイか 南部陽一郎 特別寄稿 原子力文化 2008 11月号 (http://jimnishimura.jp)
  8. 日本人が世界に誇れる天才は南部陽一郎 その仕事とは 南部陽一郎の独創性の秘密をさぐる(1)現代化学 2009 2月号 (http://jimnishimura.jp)
  9. 最初の論文がすでにノーベル賞クラスだった南部陽一郎 南部陽一郎の独創性の秘密をさぐる(2) 現代化学 2009 3月号 (http://jimnishimura.jp
  10. 本格的大仕事まで8年間のトンネルを貫通した南部の精神 南部陽一郎の独創性の秘密をさぐる (3) 現代化学 2009 4月号 (http://jimnishimura.jp
    NambuHimitsu3
  11. 南部 陽一郎 特別栄誉教授・名誉教授がご逝去されました (大阪市立大学 2015年07月17日):”…同氏は、昭和24年4月に本学創設後、同年9月理工学部助教授として就任、翌25年3月教授となり、昭和31年8月退職までの間、創設期の理工学部物理学科の礎を築いてこられました。…”

 

岩田聡 (いわたさとる) 1959-2015

岩田聡 (いわたさとる) 1959.12.6-2015.7.11

岩田聡氏は高校生のとき、ヒューレットパッカード社製のHP-65というプログラム関数電卓でゲームを作っていました。東京工業大学を卒業後、大企業へは就職せず、社員数わずか数名という小さな会社、HAL研究所にプログラマーとして就職し、ゲーム開発を行いました。

【天才】任天堂 岩田社長のプログラマーとしての凄さ

任天堂がファミコンを開発した頃から、HAL研究所は任天堂のファミコンのゲーム開発に関与するようになり、両社の関係が構築されました。2000年に岩田氏は任天堂に入社、そしてわずか2年後の2002年には代表取締役社長に抜擢されました。任天堂は1889年創業以来、山内家による同族経営の会社だったことから、この人事は異例中の異例といえます。

2005年のゲームデベロッパーカンファレンスでのプレゼンテーション。冒頭で、「私は名刺の上では会社の社長ですが、頭の中はゲームデベロッパーです。しかし、心の中ではゲーマーなのです。」という名セリフが聞かれます。

Satoru Iwata 2005 GDC Keynote – Part 1

“On my business card, I am a corporate president. In my mind, I am a game developer. But in my heart, I am a gamer. “

参考

  1. 社長が訊く(任天堂):”任天堂の各ホームページで展開している、さまざまなプロジェクトの経緯や背景を社長自らが開発スタッフに訊くインタビュー企画「社長が訊く」へのリンク集です。 ”
  2. 岩田聡さんのコンテンツ。(ほぼ日刊イトイ新聞 2015年7月13日)
  3. 追悼:任天堂 岩田聡社長 HAL研究所の天才新入社員と高校2年生の思い出 by 藤本健(週刊アスキー 2015年7月13日)
  4. 岩田聡(ウィキペディア)

STAP細胞論文研究不正の後始末にかかった費用

STAP細胞論文で研究不正行為が確定した小保方晴子氏(31)に対して理化学研究所が論文掲載料60万297円の返還を請求していましたが、7月初めに小保方氏の代理人が返還に応じる意志を伝え、2015年7月6日に入金が確認されたそうです。

英科学誌ネイチャーの論文掲載料合計60万297円の内訳は神戸新聞によれば、

アーティクル:32万3948円
レター論文:27万6349円

ちなみにSTAP細胞論文問題で理化学研究所が論文不正の調査や検証にかけた一連の経費の総額は8360万円に上るそうです。その内訳は今年3月の毎日新聞の記事によれば、

二つの調査委員会          940万円
保存試料の分析          1410万円
検証実験(実験室整備費など含む) 1560万円
検証実験の立会人旅費        180万円
自己点検検証委員会          80万円
改革委員会             400万円
メンタルケア            200万円
広報経費(記者会見会場費など)   770万円
法律事項など専門家への相談    2820万円

また、理研が小保方氏に支給した研究費は約2年間で約4600万円とのこと(読売新聞)。

結局、「約1億3千万円+本人の給与」という金額が、「STAP細胞」というアイデアに費やされたことになります。

研究費4600万円を使って研究不正行為を働いても、論文掲載料60万円しか返さなくて良いという、現在の日本の研究不正処理が果たして妥当なものなのかは、議論が望まれます。

② 日米ともに、捏造、改ざん、盗用を研究不正と定義しており、表面的には同じように
見えるが、米国は研究計画の申請から研究成果の発表までを対象としているのに対して、
文部科学省の研究不正ガイドラインは研究成果の発表のみを対象としている。そのため、
特に改ざんの定義は異なったものになっている。
③ 日本では、米国の研究不正規律ではみられない再実験を、研究不正の調査方法として
位置づけているが、論理的にも現実的にもその有効性には疑問がある。

⑤ 日本では、研究者の倫理観や行動規範の立場から研究記録の保存を求める傾向がある。
米国では、研究記録の不存在は、研究不正の定義に基づき改ざんであり、かつ故意性の
証拠とされる。この違いは、研究不正を研究発表の段階に限定するか否かの違いに由来
する。…我々は研究不正を適切に扱っているのだろうか

 

参考

  1. STAP論文:不正問題 調査に8360万円 理研、突出した代償に (毎日新聞 2015年03月21日):”STAP細胞論文問題で、理化学研究所が論文不正の調査や検証にかけた一連の経費が総額8360万円に上ったことが分かった。”
  2. 小保方氏が論文掲載料の返還請求に応じる 理研口座に60万円 (スポニチ Sponichi Annex2015年7月7日):”小保方氏の研究費について理研は、実際に実験は行われ、不正に使われたとは言えないとしており、請求の対象は論文掲載料に限定した。STAP問題では検証実験や調査費用などに4千万円近くかかったが、規定などを理由に理研が負担した。”
  3. STAP細胞問題 小保方氏が論文掲載料60万円返還 (神戸新聞2015/7/7):”理化学研究所は7日、STAP細胞論文で研究不正行為が確定した小保方晴子氏(31)が、論文掲載料約60万円の返還請求に応じ、理研が指定した口座に全額入金したと発表した。”
  4. 小保方氏、STAP論文掲載費60万円を返還 (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2015年07月07日):”STAP細胞の論文不正問題で、理化学研究所は7日、4件の不正があったと認定した小保方晴子・元研究員から、論文掲載費約60万円の返還を受けたと発表した。”
  5. 小保方晴子ユニットリーダーの研究費は5ヵ年契約で1億円
  6. 【追悼】笹井芳樹(1962- 2014)
  7. 我々は研究不正を適切に扱っているのだろうか(下) ―研究不正規律の反省的検証― (国立国会図書館デジタルコレクション PDFリンク)

科学における仮説とは何か?

「これは科学的に正しいことが証明されている」と言われると、なにか絶対的な真実として受け入れないといけない気にさせられます。しかし、世の中にはそんな絶対的に正しいことなど存在しません。科学的に言えば、「科学的に正しいこと」とは、「今のところはまだ反証されずに残っている仮説」に過ぎないのです。この考え方は、カール・ポパーが提唱した反証可能性(Falsifiability)に基づいています。

ck12.orgはウェブを通じて世界中の子供が質の高い教育を無料で受けられるようにというコンセプトのウェブサイトですが、ポパーの反証可能性の考え方を前面に出して、「科学における仮説とは何か」(英語)を高校生向けにわかりやすく解説しています。このウェブページの著作権の形態がクリエイティブ・コモンズ・ライセンスなので、以下、日本語化して紹介します。

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仮説

「2つの仮説にまで絞り込んだ:そいつがでかくなったか、自分たちが縮んだか、どっちかだ。」

上の漫画は科学における仮説をからかっていますが、仮説という概念は科学においてもっとも重要なことの一つです。 科学研究によって、科学を進歩させるような証拠が見つけられます。科学研究の目的は通常、仮説をテストすることです。仮説を支持するかまたは退けるような証拠を見つけることによって、科学が進展するのです。

科学的な仮説とは何でしょう?

「仮説」という言葉は、「根拠のある推測」と定義できます。例えば、ある自然現象がなぜ生じるのかに関する根拠ある推測が仮説といえます。 しかし、全ての仮説がーー仮に自然界に関するものであったとしてもーー科学的な仮説というわけではありません。単に根拠のある推測というだけでなく科学的な仮説であるためには何が必要でしょうか?科学的な仮説は、次の2つの基準を満たしていなければなりません。

  • 科学的な仮説は検証可能であること
  • 科学的な仮説は反証可能であること。

科学的な仮説は検証可能でなければならない

仮説が検証可能であるとはどういうことかというと、観察をしてその結果が仮説に合うか合わないかを調べることができるような、そんな観察が可能だということです。 もしも仮説を観察によって検証できないのであれば、それは科学的ではありません。次の文を考えてみましょう。

「どんな方法を用いても観察することができない、目に見えない生き物が、私たちの周りには存在しています。」

この主張は正しいかもしれないし正しくないかもしれません。しかし、これは科学的仮説ではありません。なぜなら、検証できないからです。この仮説の内容だと、それが間違いかどうかを検証する観察手段が科学者にないのです。

科学的な仮説は反証可能でなければならない

ある仮説が検証可能なものだとしても、まだ、科学的な仮説と呼ぶには不十分です。さらに、その仮説がもし間違いの場合には間違いであるということを示すことができなければなりません。次の主張を考えて見ましょう。

「宇宙には生命が存在する惑星が他にもある.」

この主張は検証可能です。もし真実であれば、少なくとも理屈上は真実である証拠を見つけることができます。例えば、宇宙船を地球から送って宇宙を探索し生き物が存在する惑星を見つけたら報告させるようにすることができます。もしそんな惑星が見つかれば、この主張の正しさが証明できたことになります。しかし、この主張は科学的な仮説ではありません。なぜでしょう?もし仮説が間違いの場合にそれが間違いであるということを示すことが不可能だからです。 宇宙船は生き物が住んでいる惑星を見つけることは決してないかもしれませんが、だからといって生き物が住む惑星が存在しないとは必ずしもいえません。宇宙はとても広いので、全部の惑星に関して生き物がいるかどうかを調べつくすことは不可能だからです。

検証可能かつ反証可能であること

最後にもう一つ、下に図を示した例を考えてみましょう。

「2つの物体を同じ時刻に同じ高さから落とすと、地面に同時に到達する(ただし空気抵抗が存在しないものとする)」

この主張は検証可能でしょうか?可能です。あなたは2つの物体を同じ時刻に同じ高さから落として、いつ地面に達するかを観察することができます。もちろん、空気抵抗の影響を避けるために空気が存在しない状態で実験する必要はあります。しかし、そのような実験は少なくとも理論上、可能です。この主張がもし間違いの場合は、反証可能でしょうか?それも可能です。2つの物体に関して多くの組み合わせを試すことが容易にできます。そして、もし同時に着地しないような2つの物体の組み合わせを見つけたら、仮説が間違いであったということになります。仮説が間違いの場合には、間違いであることを証明することは比較的容易でしょう。

Elephant and boy falling to the ground due to gravity

一匹のゾウと一人の少年が重力によって地面に向かって落下しています。重力による力Fgravは、ゾウに対する方が少年のものよりも大きくなります。なぜなら、ゾウの方が質量が大きいからです。それにも関わらず、両者は地面に同時に達するでしょう(前提として同じ高さから同じ時刻に落ち始めて、空気抵抗はないものとします)。

仮説の正しさを証明することは可能でしょうか?

上の例で考えた、物体の落下に関する仮説が実際には間違いならば、たくさんの物体に関して実験を行うことにより遅かれ早かれ間違いだったいうことがわかるでしょう。ある仮説を反証するのには、一つの例外を見つければ事足ります。しかし、もしある仮説が実際に真実の場合はどうでしょう? 真実であるということも示し得るのでしょうか?いいえ。2つの物体が常に同時刻に着地することを示すには、考え得るあらゆる組み合わせを試す必要があるでしょう。それは不可能です。新たな物体は常に作り出されていますので、それらを全てテストしなければならないということになります。この仮説を反証するような例が将来見つかる可能性が常にあります。ある仮説が正しいと結論付けることはできませんが、その仮説を支持する証拠がより多く集まれば、その仮説が正しいという可能性がさらに高まります。

まとめ

  • 科学における仮説とは、観測により検証することができ、もし間違いであるときには反証することが可能であるような根拠ある推測のことである。
  • ほとんどの場合、仮説の正しさを証明し、そのように結論付けることはできない。なぜなら、仮説に対する反例を求めてあらゆる可能性を吟味することは一般的に不可能だから。

さらに

下のリンク先のウェブページの一番下にある、科学的仮説に関する確認クイズを試してみましょう。答えの確認を忘れずに。

http://www.batesville.k12.in.us/physics/phynet/aboutscience/hypotheses.html

おさらい

  1. 科学における仮説の役割が何かを述べよ。
  2. 科学的な仮説であるための2つの基準は何か説明せよ。
  3. 以下の2つの主張のうちどちらが科学的仮説の基準を満たすか?
    1.  酸は赤いリトマス試験紙を青色に変える。
    2. 宇宙には地球上にしか生物が存在しない。
  4. ある仮説が真実であることを証明することが通常は不可能である理由を説明せよ。
Licensed under CK-12 Foundation is licensed under Creative Commons AttributionNonCommercial 3.0 Unported (CC BY-NC 3.0)Terms of UseAttribution

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参考

  1. Hypothesis:Testable, falsifiable statements are essential to the scientific process.(ck12.org)
  2. The Logic of Scientific Discovery, by Karl Popper (PDF, 545 pages)
  3. カール・ライムント・ポパー記念講演会講演録(日本語)(PDF) 稲盛財団 京都賞 第8回(1992年) 精神科学・表現芸術部門 カール・ライムント・ポパー (Karl Raimund Popper)哲学(20世紀の思想)
  4. カール・ポパーの生い立ちと哲学 伊勢田哲治 (PDF 12 pages)
  5. 「ポパー哲学」への手引 ― 科学的・合理的なものの見方・考え方 ―  高坂邦彦
  6. 疑似科学から見えてくる科学と社会 季刊誌『ゑれきてる』 談 戸田山和久:”科学と疑似科学を分けるたったひとつの基準はないのですが、いくつかの基準はあります。…そのなかで、一番重要なのは科学哲学者カール・ポパー(1902~1994)が提案した「反証可能性」だと思います。科学哲学としての「反証主義」というポパーの考え方は、今はあまり支持者はいないのですが、彼が出してきた「反証可能性」という科学の基準そのものは、やはり、科学らしさの大事な目安としてあります。”
  7. 理研STAP細胞検証実験の無意味さを近藤滋大阪大学教授が一般の人にもわかる言葉で解説 「難しいことはわからんが再現実験を支持する、という一般市民の方へ」

 

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細胞周期の研究で2001年にノーベル医学生理学賞を受賞しているティム・ハント博士の発言が物議をかもしています。彼はユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の名誉教授でしたが、この発言のために辞職を余儀なくされました。

“Let me tell you about my trouble with girls. Three things happen when they are in the lab: you fall in love with them, they fall in love with you, and when you criticise them they cry.”

The resignation of Sir Timothy Hunt: Can’t feminists take a joke?

Tim Hunt sorry but stands by comments on women scientists

参考

  1. Sir Tim Hunt ‘sorry’ over ‘trouble with girls’ comments(BBC NEWS 10 June 2015)

京都大学医学部元准教授を収賄容疑で逮捕

京都大医学部付属病院の元准教授(47)と、医療機器販売会社「西村器械」の元京都支店副支店長(39)がそれぞれ収賄容疑、贈賄容疑で逮捕されました。元准教授は副支店長にメールや電話で度々賄賂を要求し、ドイツの「RIMOWA(リモワ)」やアメリカの「TUMI(トゥミ)」といった海外高級ブランドのキャリーバッグやスーツケースなど(約30万円相当)を自宅に届けさせていたそうです。また、京都・祇園や横浜での飲食接待も要求していたほか、ドイツ・ライカ社製のデジタルカメラ2台(計約40万円)を購入するなど研究費を私的に流用した疑いも持たれています。

参考

  1. 西村器械株式会社:”幅広い医療機器、医療材料を取り扱う総合医 療機器商社です。特に循環器科、心臓血管外科、透析・血液浄化関連の医療機器販売 においては、永年の経験と豊富な実績を誇っています。当社の強みは、医療機関の皆様から寄せられる、現場ニーズにお応えすることによって築かれた、人と人のつながり、信頼関係にあります。”(会社情報>トップメッセージ 代表取締役社長 中井 真喜雄)
  2. 研究費流用でカメラ購入か 逮捕前に内部調査委(m3.com/共同通信 2015年6月18日):”捜査関係者によると、丸井容疑者は2012年3月、海外ブランドのデジタルカメラ数台(計数十万円相当)を研究用備品と装い購入、私的に使っていた。”
  3. バッグに祇園接待…京大病院の“おねだり汚職”は氷山の一角(日刊ゲンダイ 2015年6月17日):”「丸井容疑者ほど露骨な要求をするのは珍しいですが、例えば100万円の機器を『150万円でいいから、ひとつよろしく』などと、医師が1~2割のキックバックを受け取るなんて話は結構聞く。丸井容疑者の場合もそうでしたが、数百万円程度の安価な機器の選定については、裁量権のある医師が絶対。それだけ癒着が起こりやすいのです」”
  4. 元准教授、研究費でライカ購入か 京大病院汚職事件(朝日新聞DIGITAL 2015年6月17日):”捜査関係者によると、丸井容疑者は2012年3月ごろ、病院の研究費を不正に流用した疑いが持たれている。贈賄業者とされる医療機器販売会社からドイツ・ライカ社製のデジタルカメラ2台(計約40万円)を購入していたという。”
  5. 逮捕の京大病院元准教授、祇園で接待受けていた (TBS NEWS 2015年6月16日):”丸井容疑者は、西村器械の社員、西村幸造容疑者(39)から高級キャリーバッグ3点を受け取っていましたが、警察へのその後の取材で、祇園などの飲食店でも接待を受けていたことが新たにわかりました。”
  6. 業者から物品、総額100万円か…京大病院汚職(読売新聞YOMIURI ONLINE 2015年06月16日):”京大の内規は、100万円以上の契約時には複数社の見積書を取るよう定めている。西村器械は10機種以上、総額5000万円を超える機器を受注していたが、捜査関係者によると、この中に、西村容疑者が他社の見積書を用意したケースがあったという。”
  7. 収賄容疑の元准教授、「祇園で接待」要求 業者にメール(朝日新聞デジタル 6月16日):”京都大医学部付属病院・臨床研究総合センターの医療機器納入をめぐる汚職事件で、京都府警に収賄容疑で逮捕された元准教授の丸井晃容疑者(47)が賄賂とされたバッグ以外にも、ブランド品や電化製品を贈賄業者側から受け取っていたことが捜査関係者への取材でわかった。”
  8. 【京大病院汚職】「中堅の心臓外科でリーダー的存在」 逮捕の丸井容疑者(産経WEST 2015.6.15):”逮捕された京都大病院元准教授、丸井晃容疑者(47)は平成6年に京大医学部を卒業後、京大病院の心臓血管外科などで勤務。優れた論文を次々執筆し、平成21年には同病院の探索医療センターで始まった血管再生治療のプロジェクトに准教授として選ばれて参加するなど、中堅の心臓外科医でリーダー的存在だったという。”
  9. 京大病院汚職:「もうかってるんだから」メールで品物指定(毎日新聞2015年06月15日):”京大の内規では、随意契約は1000万円未満の取引が対象。随意契約で医療機器を選定する際、その権限は、現場で実質的な研究を行う准教授が持つ場合が多いとされる。男性医師は「随意契約は、権限を持つ1人を落とせばよく、医療機器販売会社にとって契約を取りやすいのではないか」と話し、医師と業者側の癒着が起きやすい構造を指摘。”
  10. 京大病院元准教授を収賄容疑で逮捕 受注見返りにバッグ(朝日新聞DIGITAL 2015年6月14日):”京都大医学部付属病院・臨床研究総合センター(京都市左京区)の医療機器を受注させる見返りに、業者から高級バッグを賄賂として受け取ったとして、京都府警は14日午後、同センターの元准教授(心臓血管外科)で医師の丸井晃容疑者(47)=奈良県天理市田部町=を収賄容疑で逮捕し、発表した。”

DARPA Robotics Challenge 2015 優勝した韓国チームに賞金2億5千万円

米国防高等研究計画局(DARPA)が主催する災害救助ロボットの競技会「DARPA Robotics Challenge(DRC)」の決勝戦(Final)が、2015年6月5日、6日に開かれました。予選は2013年に行われており、この予選の上位および新たに出場資格を得たチームによって決勝が行われました。

25teamsDARPA2015

このコンテストは2013年の福島第一原発事故の教訓から着想を得たものです。もし高放射能による被爆をものともしないロボットが現場で作業できていたら、爆発などの事故の拡大を食い止められていたのではないかという考えから、参加ロボットは車の運転、車から降りること、ドアを開けて通ること、バルブを締めること、壁に穴を開けること、瓦礫の部分を越えて行くこと、階段を登ることなどのさまざまなチャレンジが課されています。

DARPA2015tasks

競技の模様。
DARPA 2015 Finals: Rescue bots compete in disaster simulation challenge

災害の場面を想定しているだけに、ロボットにとってはかなりタフな状況で、転倒するロボットが多かったようです。
A Compilation of Robots Falling Down at the DARPA Robotics Challenge

優勝したのは韓国のチームKAISTでした。
Korea’s Team KAIST robot completes tasks at the 2015 DARPA Robotics Challenge (fast motion)

ファイナリストは25チーム。日本からは、Aero(東大), AIST-NEDO(産総研), HRP-2Tokyo(東大), NEDO-Hydra(東大、千葉工大、阪大、神戸大), NEDO-JSK(東大)の5チームが参加していました。

 日本から参加の5チームのうち、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「災害対応ロボット研究開発」事業の支援を受けた3チームが出場する。

 東京大学の稲葉雅幸教授らのチーム「NEDO―JSK」は、13年のプレ大会で優勝した「シャフト」を輩出した研究室。高出力モーター駆動の人型ロボットで挑む。シャフトの技術を応用し、前回を超える活躍ができるか注目される。

 東大の中村仁彦教授らのチーム「NEDO―Hydra」は、電気油圧で全身を動かす世界初のロボットで参戦。「構成部品や制御回路、すべてゼロから作った」(中村教授)。手や足にかかる力を計測でき、工具をつかむ力やバルブを回す力を測りながら、繊細な動きができる。

 産業技術総合研究所から出場するチーム「AIST―NEDO」は10年以上の運用実績のある「HRP―2」を改良。産総研の金広文男ヒューマノイド研究グループ長によると「不整地の走破、階段は成功率が高い。工具の扱いや車の運転などは成功に向け調整している」という。(日刊工業新聞 ニュースイッチ 2015年06月03日)

中国のIntelligent Pioneerと日本のNEDO-Hydraは棄権し、23チームでの優勝争いとなりました。日本勢は10位、11位、14位、最下位という成績で、他国に大きく水をあけられてしまいました。

DRC FINALS TEAM STANDINGS
TEAM SCORE TIME
TEAM KAIST 8 44:28
TEAM IHMC ROBOTICS 8 50:26
TARTAN RESCUE 8 55:15
TEAM NIMBRO RESCUE 7 34:00
TEAM ROBOSIMIAN 7 47:59
TEAM MIT 7 50:25
TEAM WPI-CMU 7 56:06
TEAM DRC-HUBO AT UNLV 6 57:41
TEAM TRAC LABS 5 49:00
TEAM AIST-NEDO 5 52:30
TEAM NEDO-JSK 4 58:39
TEAM SNU 4 59:33
TEAM THOR 3 27:47
TEAM HRP2-TOKYO 3 30:06
TEAM ROBOTIS 3 30:23
TEAM VIGIR 3 48:49
TEAM WALK-MAN 2 36:35
TEAM TROOPER 2 42:32
TEAM HECTOR 1 02:44
TEAM VALOR 0 00:00
TEAM AERO 0 00:00
TEAM GRIT 0 00:00
TEAM HKU 0 00:00

(引用:http://www.theroboticschallenge.org/)

参考

  1. DARPA ROBOTICS CHALLENGE FINALS 2015
  2. 災害ロボコンテスト、韓国チームが優勝 日本勢は最高10位 (日本経済新聞 2015/6/7):”韓国科学技術院のチームは44分台で8つすべての課題をクリアし、賞金200万ドル(約2億5000万円)を獲得した。2位は米フロリダの大学などで作る研究機関IHMC、3位は米カーネギーメロン大のチームが受賞した。”
  3. 【DRC Finals 現地レポート】日本チーム棄権、転倒…どうなる!?(日刊工業新聞 ニュースイッチ 2015年06月06日):”日本からは5チーム出場していたが、競技開始を前にNEDO-Hydraチームが棄権。「もともと出場予定だったロボットのハードが不調で、バックアップ機でテストに出たが不調。最終的に棄権に至った」(NEDO-Hydraチーム関係者)。”
  4. 東大チーム転倒し苦戦…災害救援ロボット競技会 (読売新聞YOMIURI ONLINE 2015年06月06日):”日本勢は、東京大の3チーム、東京大・千葉工大・大阪大・神戸大の合同チーム、産業技術総合研究所の計5チームで、いずれも決勝からの参加。13年に予選が開かれ、東大卒業生らが起業したSCHAFT(シャフト)社が1位になったが、米グーグル社に買収され、「商業用ロボットの開発を優先する」として決勝戦を辞退した。”
  5. DARPAロボティクスチャレンジ、これが全24体の選手達だ! (GIZMODO 2015.06.06):”ガイドには25体ありますが、中国のIntelligent Pioneerは残念ながら出場しないようです。”
  6. ロボットが運転する、壊す、上る、「DARPA Robotics Challenge」がスタート(IT PRO by 日経コンピュータ 2015/06/06):”米国防高等研究計画局(DARPA)が主催する災害救助ロボットの競技会「DARPA Robotics Challenge(DRC)」の決勝戦(Final)が、2015年6月5日(米国時間)に米国カリフォルニア州ポモナ市の「Fairplex」で開幕した。”
  7. 危険な事故現場などで活躍する次世代ロボットの競技会、「DARPA Robotics Challenge」の本戦開催が今週末に迫る(現代ビジネス 2015年6月4日):”DARPA(米国防高等研究計画局)が主催する次世代ロボットの競技会、「DARPA Robotics Challenge(DRC)」が(米国時間の)今月5日(金)~6日にかけて米カリフォルニア州のイベント会場「フェアプレックス」で開催される。”
  8. 今年のDRCは日本から5チームが参戦!“第二のシャフト”は生まれるか? 米国防総省主催の原発・災害対応ロボット競技会が現地5日に開幕  (日刊工業新聞 ニュースイッチ 2015年06月03日):”
  9. グーグル、ロボット開発で国防総省にそっぽ (日刊工業新聞 ニュースイッチ2015年03月07日):”
    傘下のシャフトがコンテスト不参加へ 2013年12月にフロリダ州で開かれた前回のDRCでは、NASAやカーネギーメロン大学、軍事用ロボットを開発するボストン・ダイナミクス(グーグルが買収済)を差し置いて、シャフトがダントツの1位となり、その技術力が大いに注目されました。”

「ピペド」 、2chから国会へ 

真島省三 日本共産党衆議院議員が、平成27年5月19日(火曜日)に行われた第189回国会 科学技術・イノベーション推進特別委員会 第3号で質問に立ち、 日本の科学研究力を低下させている雇用不安、研究不正、研究教育体制の不備などさまざまな問題を取り上げました。その中で、匿名掲示板2chから生まれた「ピペド」という言葉を持ち出し、「ピペド」という言葉に象徴される日本のバイオ系研究室のブラック企業ぶりを指摘しました。

これは、大学院生たちがネット上で、まさにブラック企業のように働かされている状況を自虐的に称してピペット奴隷、その略語としてピペドと言ったのが、今ちょっとそういう関係の人たちの間で広がっているんです。

このピペドというのは、生命科学の必需品であるピペットという細長い形をした吸ったり出したりする道具をひたすら使って朝から晩まで実験をし続ける若手研究者のことを指しているということなんですね。

バイオ研究というのは非常に労働集約型で、その作業はなかなか機械化ができないという中で、ピペットでさまざまな試薬をまぜて、反応をさせて、細胞を培 養したりという工程が続きます。実験をすればするほど成果が上がっていく、そういう分野でもあるんですね。だから、教授に言われるがままに奴隷のように働 かされている。(第189回国会 平成27年5月19日 科学技術・イノベーション推進特別委員会  真島 省三 委員)

成果至上主義、劣悪な研究環境問題で政府をただす 真島議員 衆院科技特
日本共産党の真島省三衆院議員は5月19日、衆院科学技術特別委員会で理研STAP論­文不正の背景にある過度の競争的研究環境、成果至上主義をあおる競争的研究予算、任期­制研究者・ポスドク問題などについて政府をただしました。

10:41 (真島議員)ところでですね、これはちょっと質問通告しておりませんが、大臣にお聞きします。ピペドというのを御存じでしょうか、ピペド。御存じなければ、御存じないでいいんですけれども。ピペドという言葉があるんですが。
10:56 (山口国務大臣)ピペドというのは、何らかの省略の言葉、略語なんでしょうけれども、ちょっと今のところ聞き覚えはございません。

 

参考

  1. 第189回 国会 科学技術・イノベーション推進特別委員会 第3号(平成27年5月19日)(衆議院 会議録)
  2. 科学技術特別委員会 2015年5月19日 (火)(4時間13分)(衆議院TVインターネット審議中継ビデオライブラリ)
  3. 競争で研究力が低下 真島議員 政府の科学政策批判 (真島省三日本共産党衆議院議員ウェブサイト):”日本共産党の真島省三議員は5月19日の衆院科学技術・イノベーション特別委員会で、小泉内閣により競争的資金の重点配分や任期制など競争的政策が進められた以降、大学や研究機関に成果至上主義がもたらされている問題を取り上げました。”
  4. ピペドとは、分子生物学を専門とする大学院生やポスドクを揶揄した言葉である。 2ちゃんねるの生物板を発祥とするインターネットスラングであり、現在では各種のウェブコミュニティに浸透している。このスラングは、学会誌や全国紙、商業誌の漫画、新書などでも言及されており、一般社会においても認知が広まっている。 (ja.yourpedia.org

研究者のための”10個のシンプルな原則”集

Ten Simple Rules(10のシンプルな原則)は、プロの研究者を目指す人が遭遇する数々のチャレンジを乗り越えるためのコツを教えるガイド集です。PLOS Computational Biology誌のヒット企画。

博士号をとるために

研究者になるためには、大学院を受験して研究室に所属し、数年間、研究のトレーニングを受けることになります。指導教官とは師弟関係としての付き合いが一生続くことになるので、研究室選び、指導教官選びは親を選ぶのと同じくらいに重要です。研究者としての運命を決定付けてしまうラボ選びで失敗しない方法は?理想的な大学院生のあり方は?

Ten Simple Rules for Graduate Students 「大学院生のための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Finishing Your PhD 「学位取得のための10個のシンプルな原則」

学会発表に必要なスキル

研究者にとって、発表能力を磨くことはとても大切。良いポスターの作り方や学会での口演をうまくこなすコツは?

Ten Simple Rules for a Good Poster Presentation 「ポスター発表を成功させるための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Making Good Oral Presentations 「学会発表を成功させるための10個のシンプルな原則」

論文の書き方と通し方

論文はどうやって書けばいいのでしょうか?研究者として生きていくための最重要スキルにもかかわらず、誰もちゃんと教えてくれないという落とし穴にはまらないように。

Ten Simple Rules for Writing Research Papers 「研究論文を書くための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Better Figures 「論文の図作製のための10個のシンプルな原則」
Ten Simple (Empirical) Rules for Writing Science 「科学論文を書くための10個のシンプルな経験則」

サブミッション(投稿)、リジェクト(却下)、リサブミッション(再投稿)、リビジョン(改訂)などを経て最終的に論文をアクセプト(受理)されるまでの道のりは、論文を書き上げる作業とはまた別の大変さがあります。途中で心が折れてしまわないために重要なことは?

Ten Simple Rules for Getting Published (日本語訳:『投稿した論文がリジェクトされてもへこたれないために~論文を出すための10個のシンプルな原則』

価値ある科学研究を行うために

科学に貢献するような優れた研究はどうしてこんなに少ないのでしょう?なぜ多くの研究結果はただ忘れ去られるだけなののでしょうか?この「10の原則」は計算機科学者リチャード・ハミングの講演内容“You and Your Research”(1986)をまとめたもの。

Ten Simple Rules for Doing Your Best Research, According to Hamming 「ハミングが説く、一流の研究をするためのシンプルな10原則」

論文発表したデータに再現性をもたせるために

生データは全て保存しておき、データ解析に用いた手法、スクリプト、手順なども全部記録し保存しておけば、第三者がデータ解析をやり直したとしても同じ結果が再現されるはずです。また、生データを全てインターネット上で公開して第三者が再利用可能な状態にすれば、またあらたな発見が生まれるかもしれません。データ捏造などの研究不正が起きる余地をなくすこともできます。

Ten Simple Rules for Reproducible Computational Research 「再現性のある計算機科学研究のための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for the Care and Feeding of Scientific Data 「科学データを第三者に活用してもらうための10個のシンプルな原則」

ポスドク先のラボ選び

無事に博士号を取得した次に大きな選択となるのが、どこでポスドクをやるかです。その先、アカデミックポストが得られるかどうかは、ポスドク時代にどれだけの研究成果を出せたかにかかっているため、将来を見据えたうえで慎重に選ぶ必要があります。

ノーベル賞受賞者の多くはノーベル賞受賞者の研究室での研究経験があるという事実は、ラボ選びにおける見逃せないポイント。真核生物の遺伝子にはイントロンがあることを発見して1993年にノーベル医学・生理学賞を受賞した(フィリップ・シャープと共同受賞)イギリスの分子生物学者リチャード・ロバーツ博士のアドバイスにも耳を傾けてみましょう。

Ten Simple Rules for Selecting a Postdoctoral Position (Correction) 「ポスドク先の研究室を選ぶためのシンプルな原則10個」
Ten Simple Rules to Win a Nobel Prize 「ノーベル賞をとるためのシンプルな原則10個」

職を得るために

さて、ポスドクの修行時代を終えると、いよいよ職探し。アカデミアかインダストリーかという選択は、非常に大きな決断力を要します。博士号取得直後に民間に就職という選択もありますし、ポスドクまで経験してから民間に転ずるキャリアパスもあります。学生時代に製薬会社などでインターンシップを経験しておくのも職業選択における視野を広げるのに役立つでしょう。自分の人生がかかったジョブインタビュー(面接試験)を乗り切る方法は?

Ten Simple Rules for Approaching a New Job 「ジョブ獲得交渉を成功させるための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Choosing between Industry and Academia 「インダストリーかアカデミアかを正しく選ぶための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Internship in a Pharmaceutical Company 「製薬企業でのインターシップを成功させるための10個のシンプルな原則」

研究費を獲得するために

お金がないと研究できません。研究グラント(研究費)を勝ち取る秘訣は何でしょうか?

Ten Simple Rules for Getting Grants 「グラント獲得のためのシンプルな原則10個」

教育と研究の両立

教育も、研究者の重要な職務。しかし、多くの場合、教育者になるための教育を受けていない研究者が大学の教員として教壇に立つことになります。授業の準備に膨大な時間をとられて大変ですが、研究とのバランスを取りながら優れた教育を行う秘訣は?

Ten Simple Rules To Combine Teaching and Research 「教育と研究を両立させるための10個のシンプルな原則」

研究者のお仕事

研究者がこなすべき仕事は、自分の論文を書くだけでなく、他人の論文を査読したり、レビュー論文を書いたり、学会でセッションの座長を務めたり、学会やワークショップの企画・運営を行うなど、キャリアアップするにつれていろいろと増えていきます。

Ten Simple Rules for Reviewers 「査読者のための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Writing a Literature Review 「レビュー論文を書くための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Chairing a Scientific Session 「学会で座長の役を無事に果たすための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Organizing a Scientific Meeting 「研究集会を開催するための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Running Interactive Workshops 「インタラクティブなワークショップを開催するための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules to Achieve Conference Speaker Gender Balance 「学会講演者の男女比を適切にするための10個のシンプルな原則」

共同研究を成功させるコツ

研究は一人でやるよりも共同してやったほうが大きな成果が得られやすいもの。しかし、人と人との間にはいろいろな思惑の違いも生じます。また、分野が異なる研究者同士では話す言葉がお互いに理解できなくて、研究の話が噛みあわないということがしばしば起こります。

Ten Simple Rules for a Successful Collaboration 「共同研究を成功させるための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for a Successful Cross-Disciplinary Collaboration 「異分野間での共同研究を成功させるための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Cultivating Open Science and Collaborative R&D 「オープンサイエンスと協同研究開発の基盤づくりのための10個のシンプルな原則」

学び続ける研究者

研究者は、自分の仕事を深めるためにも、また仕事の幅を広げるためにも、一生勉強し続ける必要があります。コーセラ(coursera.com)などインターネット上の無料プログラムを利用すれば、大学レベルの内容を誰でも学ぶことができるという素晴らしい時代になりました。何歳であっても、何か新しいことを学び始めるのに遅過ぎるということはありません。

Ten Simple Rules for Lifelong Learning, According to Hamming 「ハミングが説く、一生涯賢く学び続けるための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Online Learning 「オンライン学習活用のための10個のシンプルな原則」

知的財産権をいかに守るか

Ten Simple Rules to Protect Your Intellectual Property 「あなたの知的財産権を守るための10個のシンプルな原則」

研究者が経済的にも成功する方法

研究職は元来金銭的に恵まれていないものです。しかし、研究成果をお金に換える方法を学べば、経済的にも報われた人生に。

Ten Simple Rules To Commercialize Scientific Research 「科学研究の成果をお金にするための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Starting a Company 「研究者が起業するための10個のシンプルな原則」

研究者コミュニティや社会への貢献

研究者は研究者コミュニティの中で生活しています。コミュニティの一員として認められたという感覚はとても重要ですし、研究者がコミュニティのためにできることはたくさんあります。

Ten Simple Rules for Building and Maintaining a Scientific Reputation 「科学者としての評判を築き上げ保つための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Getting Ahead as a Computational Biologist in Academia 「計算生物学者としてアカデミアの世界で成功するための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Developing a Short Bioinformatics Training Course 「バイオインフォマティクス短期トレーニングコースを開催するための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules of Live Tweeting at Scientific Conferences 「ツイッターで学会の実況中継をするための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Editing Wikipedia 「ウィキペディアを編集するための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Getting Involved in Your Scientific Community 「自分の研究分野の科学コミュニティに参加するための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for the Open Development of Scientific Software 「科学研究用ソフトウェアのオープンデベロップメントを行うための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Starting a Regional Student Group 「学生の地域ネットワークを立ち上げるための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Getting Help from Online Scientific Communities 「オンライン科学コミュニティから有用な助言を得るための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Providing a Scientific Web Resource 「科学研究リソースをウェブ上で提供するための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Organizing an Unconference 「アンカンファレンスを主催するための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Organizing a Virtual Conference—Anywhere 「バーチャルカンファレンスを主催するための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for a Community Computational Challenge
Ten Simple Rules for Teaching Bioinformatics at the High School Level 「高校生にバイオインフォマティクスを教えるための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Aspiring Scientists in a Low-Income Country 「低所得国で上を目指す研究者のための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Writing a PLOS Ten Simple Rules Article 「PLOS 10個のシンプルな原則を書くための10個のシンプルな原則」

計算生物学分野の話題

Ten Simple Rules for Effective Computational Research 「計算機科学的な研究を効果的に行うための10個のシンプルな原則」
Ten Simple Rules for Reducing Overoptimistic Reporting in Methodological Computational Research 「計算機科学的な研究による方法論の成果をあまりにも楽観的に報告してしまわないための10個のシンプルな原則」

 

参考

  1. Ten Simple Rules (PLOS Computational Biology)
  2. リチャード・W・ハミング 「研究にどう取り組むべきか」 ベル通信研究所セミナー 1986年3月7日 日本語訳(himazu archive 2.0)

 

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論文を出すための10個のシンプルな原則

あなたがこの世を去って長い年月が経ったとき、あなたの科学的遺産は、主として、あなたがこの世に書き残した論文とそれらの論文が放つインパクトです。(When you are long gone, your scientific legacy is, in large part, the literature you left behind and the impact it represents.) - フィリップ・E・ボーン

データを取り終え、論文を書き上げ、学術雑誌に投稿してアクセプト(受理)されてようやく仕事が一つ完結します。しかし、投稿してすぐアクセプトされることなど滅多になく、多くの場合最初にリジェクト(却下)を食らいます。何年間も心血を注いだ仕事が却下されれば、誰でもへこむもの。そこからアクセプトに持っていくところで、研究者としての力量やタフさが問われます。

では、この「論文を出す力」はどうすれば身につくのでしょうか?

若い研究者向けに行われた講演の内容に加筆してまとめた、「論文を出すためのシンプルな10原則」という記事が、以前、PLoS Computational Biology誌に掲載されました。一番大事なことは、自分の仕事をどれだけ客観的に見ることができるか。その記事Bourne PE (2005) Ten Simple Rules for Getting Published. PLoS Comput Biol 1(5): e57. doi:10.1371/journal.pcbi.0010057を以下に訳出しました。

ーーーー

目次

論文を出すためのシンプルな10原則

フィリップ・E・ボーン

原則1:たくさんの論文を読んで、他人の優れた仕事やダメな仕事から学びなさい

批評家になるのに早すぎるということはありません。ジャーナルクラブは、グループで論文の批評を行うものですが、そのような類の対話をする素晴らしい機会 です。毎日少なくとも論文2報を詳細に読み(あなたの専門分野だけでなく)、それらの論文のクオリティについて考えることも、役に立ちます。多読のもう一つの大きな効用ーそれは自分自身の仕事をよりよく客観視するのに役立つことです。コンピューターの画面の前やラボの実験ベンチで毎晩夜遅くまで過 ごしていると、自分の仕事が画期的なものだとあまりにも簡単に思い込んでしまいます。そうではない可能性がかなり高いのですが、あなたのメン ターも同じ罠にはまってしまう可能性があるため、原則2があります。

原則2:あなたが自分の仕事を客観的に捉えられるようになればなるほど、あなたの仕事は最終的により良いものになる。

悲しいかな、自分自身の仕事を客観的に捉えることができない科学者もいます。そういう人は決して一流の科学者にはなれないのです。エディター(編集者)やレビューアー(査読者)らの客観的な物の見方を早い時期に学びなさい。

原則3:良いエディターやレビューアーはあなたの仕事を客観的にみてくれます。

エディトリアルボード(編集委員会)のクオリティが、レビューの過程がどのようなものかを示す最初のヒントになります。自分が論文発表したいと思っているジャーナルの発行人欄を見てごらんなさい。一流のエディターは、レビューが一流であることを要求しそれを実現します。サブミット(投稿)する前に、エネルギーを注ぎ込んで原稿のクオリティを上げましょう。理想的なことを言えば、レビューはあなたの論文のクオリティを上げてくれるものなのです。しかし、もし根本的な欠陥があれば、レビューアーらはそんなアドバイスをしてくれないでしょう。

原則4:英語を使いこなして書くということができていないのなら、早めにレッスンを受けなさい。後々、非常に役に立ちます。

これは文法だけの問題ではなく、もっと重要なこととして、理解の問題です。優れた論文というものは、説明が巧みなので、全くの部外者にも複雑なア イデアが理解できるようになっているのです。最も高名な科学者はたいていの場合、最もロジカルで、簡潔な表現を用いながら、刺激に満ちたレクチャーをしますよね?このことは、彼らが書く論文にも当てはまります。英文雑誌に良い論文を出すこととは無関係の職にあなたが将来就くにして も、わかりやすい文章を書くことは有益です。良い英語でわかりやすく書かれていない投稿論文は、サイエンスが際立って良いわけでも無い限り、たいてい リジェクトされるか、うまくいっても広範囲に及ぶ編集作業が必要なため出版が遅れます。

原則5:リジェクションを受けとめられるようにしなさい。

客観的でいられないと、リジェクションを受け入れるのが辛いものになりますし、この先、リジェクトはされるものなのです。サイエンスの世界で生きる以上、リ ジェクトされることはいくらでもあります。一流のサイエティストであってもです。論文がリジェクトされたり大幅なリビジョンが要求された場合における正し い反応は、レビューアーの言うことによく耳を傾け、主観的ではなく客観的に対応することです。レビューはあなたの論文がどのようにジャッジされているのかを反映していますから、それを受け入れられるようになりましょう。もしレビューアーたちが全員一致で論文のクオリティが低いというのであれば、固執せず気持ちを切り替えましょう。ほとんど全ての場合、彼らの言い分が正しいのです。もしメジャーなリビジョンが要求されたのなら、そうしなさい。問題にされたポイントひとつひとつに対処したことをカバーレターに記し、修正箇所がはっきりとわかる形で原稿の本文を直しなさい。リビジョンが何回も必要になるのは、当事者全員にとって苦痛を伴うことであり、論文の発表を遅らせることにもなります。

原則6:何が良いサイエンスをつくるのかは明らかですー研究トピックの新しさ、関連する文献を包括的にカバーしていること、良いアイデア、強力な統計的裏付けを含む良い解析、示唆に富むディスカッション。何が良いサイエンスレポートをつくるのかは明らかですー良い構成、テーブルや図の適切な利用、 適度な長さ、想定した読者に向けて書くことー明らかなことを無視してはいけません。

初稿を自分で読み直すときはこれらの構成要素を客観的にみるようにし、自分のメンターには頼らないようにしなさい。その仕事で利害関係が生じない同僚に論文を読んでもらい、率直な意見を得るようにしなさい。そのとき、トピックと同じ分野で研究していない人を含めるようにしなさ い。

原則7:追求したいクエスチョンの着想を得たその日のうちに論文を書き始めなさい。

この原則は論文発表に重点を置きすぎだという人がいるかもしれないが、こうすれば研究の範囲が定まるし仮説駆動型サイエンスも容易になる。初めて論文を書く人は、知っていることをなんでもかんでも論文に詰め込もうとしがちです。あなたが書いた学位論文はなんでもかんでも詰め込む場所でした。あなたの発表論文は簡潔で、最低限の文字数で最大限の情報を伝えなければなりません。著者へのガイドをよく読んでそれに従いなさい。エ ディターもレビューアーもそうします。研究を進めながらきちんと文献目録のデータベースを管理して、その中の論文を読みなさい。

原則8:研究者のキャリアの早い段階でレビューアーになりなさい

他人の論文をレビューすることは、より良い論文を書く助けになります。手始めに、あなたのメンターと共同作業しなさい;メンターがレビュー中の論文をもらって、レビューの最初のバージョンを作りなさい(たいていのメンターは喜んでそうさせてくれるはずです)。それから、メンターが提出する最終版のレビューを読んでみなさい。可能であれば、本誌では可能ですが、他のレビューアーが書いたレビューも読んでみなさい。そうすることで、自分が書いたレビューのクオリティを評価する重要な能力が身につきますし、うまくいけば、自分自身の仕事をより一層客観的にみることができるようになります。また、あなたはレビューのプロセスやレビューのクオリティを理解することができるようになります。このような理解は、自分の論文をどのジャーナルに出すかを決めるうえでも重要です。

原則9:論文をどこに出したいのかを早い段階で決めなさい。

この原則で、あなたが行っている仕事の形や細かさの程度や新しさが決まります。多くのジャーナルには投稿前問い合わせの制度がありますので、それを使いましょう。論文を書く前であっても、仕事の斬新さはどれくらいあるのか、また、あるジャーナルが興味を持ってくれそうかという感覚を得なさい。

原則10:クオリティが全てです。

質の高いジャーナルに論文を一本出すことのほうが、何本かの論文を質の低いジャーナルに出すよりも良いのです。論文のインパクトの有無を隠すことはますます難しくなってきています。グーグルスカラーやISIウェブ・オブ・サイエンスなどのツールがテニュア審査委員会や雇用者によって利用され、あなたの仕事のクオリティの指標がはじき出されています。かつてはジャーナルの名前だけが指標として使われていました。現在のデジタル世界では、誰にでも、ある論文にインパクトがないかどうか分かってしまいます。インパクトファクターが高いジャーナルに論文を発表するように努力しなさ い。そのようなジャーナルにもしアクセプトされれば、あなたの論文も高いインパクトを持つことになるでしょう。

あなたが世を去って長い年月が経ったとき、あなたの科学的な遺産の大部分が何かといえば、それは書き残した論文とそれらの論文の持つインパクトということになります。未来の世代の科学者が賞賛するようなものをあなたが遺せるように、これらの10個のシンプルな原則がお役に立てば幸いです。

 

Ten Simple Rules for Getting Published

Philip E Bourne

Citation: Bourne PE (2005) Ten Simple Rules for Getting Published. PLoS Comput Biol 1(5): e57. doi:10.1371/journal.pcbi.0010057

Copyright: © 2005 Philip E. Bourne. This is an open-access article distributed under the terms of the Creative Commons Attribution License, which permits unrestricted use, distribution, and reproduction in any medium, provided the original author and source are properly credited.

The student council (http://www.iscbsc.org/) of the International Society for Computational Biology asked me to present my thoughts on getting published in the field of computational biology at the Intelligent Systems in Molecular Biology conference held in Detroit in late June of 2005. Close to 200 bright young souls (and a few not so young) crammed into a small room for what proved to be a wonderful interchange among a group of whom approximately one-half had yet to publish their first paper. The advice I gave that day I have modified and present as ten rules for getting published.

Rule 1: Read many papers, and learn from both the good and the bad work of others.

It is never too early to become a critic. Journal clubs, where you critique a paper as a group, are excellent for having this kind of dialogue. Reading at least two papers a day in detail (not just in your area of research) and thinking about their quality will also help. Being well read has another potential major benefit—it facilitates a more objective view of one’s own work. It is too easy after many late nights spent in front of a computer screen and/or laboratory bench to convince yourself that your work is the best invention since sliced bread. More than likely it is not, and your mentor is prone to falling into the same trap, hence rule 2.

Rule 2: The more objective you can be about your work, the better that work will ultimately become.

Alas, some scientists will never be objective about their own work, and will never make the best scientists—learn objectivity early, the editors and reviewers have.

Rule 3: Good editors and reviewers will be objective about your work.

The quality of the editorial board is an early indicator of the review process. Look at the masthead of the journal in which you plan to publish. Outstanding editors demand and get outstanding reviews. Put your energy into improving the quality of the manuscript before submission. Ideally, the reviews will improve your paper. But they will not get to imparting that advice if there are fundamental flaws.

Rule 4: If you do not write well in the English language, take lessons early; it will be invaluable later.

This is not just about grammar, but more importantly comprehension. The best papers are those in which complex ideas are expressed in a way that those who are less than immersed in the field can understand. Have you noticed that the most renowned scientists often give the most logical and simply stated yet stimulating lectures? This extends to their written work as well. Note that writing clearly is valuable, even if your ultimate career does not hinge on producing good scientific papers in English language journals. Submitted papers that are not clearly written in good English, unless the science is truly outstanding, are often rejected or at best slow to publish since they require extensive copyediting.

Rule 5: Learn to live with rejection.

A failure to be objective can make rejection harder to take, and you will be rejected. Scientific careers are full of rejection, even for the best scientists. The correct response to a paper being rejected or requiring major revision is to listen to the reviewers and respond in an objective, not subjective, manner. Reviews reflect how your paper is being judged—learn to live with it. If reviewers are unanimous about the poor quality of the paper, move on—in virtually all cases, they are right. If they request a major revision, do it and address every point they raise both in your cover letter and through obvious revisions to the text. Multiple rounds of revision are painful for all those concerned and slow the publishing process.

Rule 6: The ingredients of good science are obvious—novelty of research topic, comprehensive coverage of the relevant literature, good data, good analysis including strong statistical support, and a thought-provoking discussion. The ingredients of good science reporting are obvious—good organization, the appropriate use of tables and figures, the right length, writing to the intended audience—do not ignore the obvious.

Be objective about these ingredients when you review the first draft, and do not rely on your mentor. Get a candid opinion by having the paper read by colleagues without a vested interest in the work, including those not directly involved in the topic area.

Rule 7: Start writing the paper the day you have the idea of what questions to pursue.

Some would argue that this places too much emphasis on publishing, but it could also be argued that it helps define scope and facilitates hypothesis-driven science. The temptation of novice authors is to try to include everything they know in a paper. Your thesis is/was your kitchen sink. Your papers should be concise, and impart as much information as possible in the least number of words. Be familiar with the guide to authors and follow it, the editors and reviewers do. Maintain a good bibliographic database as you go, and read the papers in it.

Rule 8: Become a reviewer early in your career.

Reviewing other papers will help you write better papers. To start, work with your mentors; have them give you papers they are reviewing and do the first cut at the review (most mentors will be happy to do this). Then, go through the final review that gets sent in by your mentor, and where allowed, as is true of this journal, look at the reviews others have written. This will provide an important perspective on the quality of your reviews and, hopefully, allow you to see your own work in a more objective way. You will also come to understand the review process and the quality of reviews, which is an important ingredient in deciding where to send your paper.

Rule 9: Decide early on where to try to publish your paper.

This will define the form and level of detail and assumed novelty of the work you are doing. Many journals have a presubmission enquiry system available—use it. Even before the paper is written, get a sense of the novelty of the work, and whether a specific journal will be interested.

Rule 10: Quality is everything.

It is better to publish one paper in a quality journal than multiple papers in lesser journals. Increasingly, it is harder to hide the impact of your papers; tools like Google Scholar and the ISI Web of Science are being used by tenure committees and employers to define metrics for the quality of your work. It used to be that just the journal name was used as a metric. In the digital world, everyone knows if a paper has little impact. Try to publish in journals that have high impact factors; chances are your paper will have high impact, too, if accepted.

When you are long gone, your scientific legacy is, in large part, the literature you left behind and the impact it represents. I hope these ten simple rules can help you leave behind something future generations of scientists will admire.

 

参考

  1. Bourne PE (2005) Ten Simple Rules for Getting Published. PLoS Comput Biol 1(5): e57. doi:10.1371/journal.pcbi.0010057
  2. プロフェッショナルな科学研究者になるためのキャリア形成ガイド:「10個のシンプルな原則」集

 

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グーグル年次開発者会議 Google I/O 2015 (The Annual Developers Conference) が2015年5月28日、29日の2日間サンフランシスコのモスコーンセンター(Moscone Center)で開催される

Google I/O 2015 – Keynote (2:08:27)

参考

  1. Google I/O 2015: “Google I/O is for developers – the creative coders who are building what’s next. Each year, we explore the latest in tech, mobile & beyond.”
  2. Google I/O 2015基調講演で見えた熾烈なAppleへの対抗心 (週刊アスキー2015年05月30日):”
    グーグルは5月28、29日の2日間、開発者向けイベント『Google I/O 2015』を開催した。… Android OSの次期バージョン“M”が披露されるなど、注目の発表がいくつかあった。… 今回特に驚かされたのが『Googleフォト』として、アルバムサービスを強化してきた点だ。… IoT機器向けのOSとなる『Brillo』やそれらを結ぶ『WEAVE』を投入するなど、着々とIoT分野の開拓にも余念がない。… 非接触のモバイル決済サービス『Android Pay』も開始。…”
  3. Googleは勝負所をさらに強化した – 私はこう見る「Google I/O 2015」(小山安博編)(マイナビニュース 2015/05/30):”米Googleの開発者向けカンファレンス「Google I/O 2015」の基調講演では、次期Androidのプレビュー版「M Developer Preview」をはじめ、様々なトピックスが出た。”
  4. 「Google I/O 2015」開催 – iOSを強く意識した基調講演に(マイナビーニュース2015/05/29):”米西海岸時間の28日、米サンフランシスコでGoogleの開発者向けカンファレンス「Google I/O 2015」が開催され、Sundar Pichai氏などによる基調講演が行われた。ここでは、モバイル関連を中心に基調講演での発表内容についてレポートしよう。”
  5. Google I/O 2015開幕–「Android M」開発者プレビューやIoTプラットフォームなど発表 (CNET Japan 2015/05/29):”Googleの開発者会議「Google I/O」が米国時間5月28日、サンフランシスコで開幕した。…次期モバイルOS「Android M」の開発者プレビューが発表されるとともに、決済プラットフォーム「Android Pay」をはじめとする搭載機能の詳細が明らかになった。またその他にも新サービス「Google Photos」やIoT用プラットフォーム「Brillo」が発表されたほか、「Cardboard」などの既存製品のアップデートなどが明らかになった。 “
  6. グーグルが明かしたワクワク5つの近未来 開発者会議の基調講演を読み解く(松村太郎/東洋経済ONLINE 2015年05月29日)
  7. io2015 (techcrunch.com)
  8. Google I/O 2015 Wrap-Up: Bangs and Whimpers (SLASH GEAR, May 30, 2015)
  9. 「Android M」、指紋認証技術を搭載 (CNET|Japan 2015/05/29):”1年以上前からうわさされていた指紋センサの追加は、Googleと「Android」にとって重要なステップとなる。Microsoft、Apple、サムスンなどは、すでに指紋認証技術を自社製品に取り入れているからだ。”
  10. Google Photosハンズオン:怖いくらい賢い(GIZMODO日本版 2015.05.30):”Google I/Oで、新たな写真管理サービスGoogle Photosが発表されました。米Gizmodoのマリオ・アギラー記者とブレント・ローズ記者によるファーストインプレッションは上々のようです”
  11. Google、IoTプラットフォームProject Brillo発表。Android派生の超軽量OS(engadget日本版 2015年05月29日):”Project Brillo はPCやスマートフォンなど従来の『コンピュータ』だけでなく、自動車からドアロックまであらゆるものをスマートにつなぐ IoT (Internet of Things)、もののインターネット向けプラットフォーム。”
  12.  米グーグル、「スマートジーンズ」開発 リーバイスと(日本経済新聞 2015/5/30):”サンフランシスコ市内で開いた開発者会議「グーグルI/O」で披露したデモでは、タッチパッドの機能を持たせた布地の一部を指でたたいてスマホの音楽を再生したり、上下になぞって音量を操作したりしてみせた。”

ブラック企業の構造と研究者の雇用不安

先日、京大の山中伸弥教授が、「京大iPS細胞研究所は、これが民間企業ならすごいブラック企業」という表現をしたそうです(記事)。しかし、これは決して京都大学のiPS細胞研究所に限った話ではありません。研究者の雇用不安は、現在の日本の科学研究全体を覆う非常に深刻な問題です。

ブラック企業とは、定義にもよりますが、労働者を劣悪な労働条件で酷使し、峻烈な選別を行い、非情に使い捨て、組織だけが成長するような会社のことです(参照:コトバンク)、これはそっくりそのまま今の研究の世界にも当てはます。

研究室では、任期付きの研究者は少しでも早く成果を出さないといけないので必然的に長時間労働を強いられます。ポスドクの報酬は年齢や学歴からは一般の人が想像できないくらいに低く、時給換算したら国が法で定める最低賃金並みになります。ポストの数があまりにも少ないため、ある程度の成果を挙げたとして もそう簡単に定職は見つかりません。任期が切れたり財源が途切れれば、ボスが温情を施したくても研究者はラボを去らざるをえません。しかし買い手市場のおかげで研究室はまた新たな労働力を調達して存続し発展できます。現在の日本の科学研究において、研究室というのは構造的にブラック企業そのものなのです。

ブラック企業の場合は経営者の人格や経営姿勢が問われるところですが、研究室の場合は教授の人柄が良く部下思いであったとしても、現在の研究制度が抱えるこの構造的問題をどうすることもできません。

日本の科学技術政策に関する提言の中では、「至高の科学力で世界に先んじる」とか、 「世界的な卓越した教育研究拠点の形成」などと非常に耳当たりの良いフレーズが飛び交っていますが、人生設計もままならずに不安に苛まされているポスドクや任期付き教員ばかりという暗澹たる研究の現場で、そのような崇高な目標が本当に実現し得るのでしょうか?

”ポスドク等の約40%の年収は400 万円以下である。また半数以上が退職金や住宅手当の支給を受けられない。”

”任期制であることが結婚、子どもを持つこと、住宅購入などに影響すると考えている人の割合は70%もしくはそれ以上”

“1週間の労働時間は平均54.8 時間、40%以上が60 時間を超え、100 時間を超える人もいる”

”13%程度が自身もしくは配偶者の実家から経済的援助をうけている。年齢別では41 歳以上の人、また子どもの有無別では子どもがいる人が実家から援助を受けている率が高く、…”

“給与の財源は文部科学省研究費助成金( 26% )、その他の競争的資金(22%)、戦略的創造研究推進事業とグローバルCOE プログラム(それぞれ8%)が多く、上司の研究費による雇用が中心である”

“78%の人が次の職を探している。…大学や研究所での求人が少ないこと、公募していても形式的で内部昇格が多いことを危惧している。” (引用元:生命系における博士研究員(ポスドク)ならびに任期制助教及び任期制助手等の現状と課題 平成23年 日本学術会議題)

「世界最高水準の卓越した研究」の担い手の多くが、1年契約で年収が300万円台のポスドク(博士研究員)や時給1000円程度のラボテクニシャン(技術員) だったりするのが実際のところです(人件費の財源や機関にもよる)。しかも、彼らは成果を挙げても、どれほど優れた実験技術を持っていても、何歳になっても報酬は増えず生活の保証もありませ ん。せめて、能力や成果に応じてパーマネントの職を得る機会や、昇給の機会を与えるような人事制度へ早急に変えない限り、日本の科学研究は国際的な競争力を失っていくでしょう。

“ポスドクを複数回繰り返す35 才以上のポスドク(シニアポスドク)が2012 年の調査で全体の37.1%に達しています” (引用元:生科連からの<重要なお願い> 生物科学学会連合 ポスドク問題検討委員会

「酷使」や「使い捨て」というのは認識の問題もありますが、日夜研究に勤しんで、(少なくともボスがその地位に安泰で居られる程度の)論文成果(インパクトファクター5~10)を挙げ、ラボに対してもサイエンスにおいても貢献した研究者が、研究を辞めて教育職や研究事務に転向したり、研究や教育とは全く無関係な職に転じたり、最悪の場合完全に失業するしかないというのが、日本の科学研究の現状です。成果が出ない人間を切り捨てるブラック企業。成果が出ている人間をも切り捨てる研究所。現在の日本の研究社会は、ある意味、ブラック企業よりも更にブラックかもしれません。

”「お前が研究者をやめてくれて心底ほっとした」
母親もそんな言葉で大卒初任給ほどの待遇で居場所を探してきた息子の転身を心から喜んでくれ、…”
ポスドクからポスドクへ 円城塔 日本物理学会誌 Vol.263, No.7, 2008  PDF

 

 

参考

  1. 提言 生命系における博士研究員(ポスドク)ならびに任期制助教及び任期制助手等の現状と課題 平成23年(2011年)9月29日 日本学術会議 基礎医学委員会 (PDF55ページ)
  2. 生科連からの<重要なお願い> 生物科学学会連合より行政(国、地方)、企業、大学・研究機関、および研究者コミュニティーに対するお願い今、次世代を担う若手研究者が窮地に陥っています。ポスドク(任期付博士研究員)の雇用促進と研究者育成に是非ご協力ください。平成27 年4 月(第二版)生物科学学会連合 ポスドク問題検討委員会(PDF16ページ)
  3. 理研の松本理事長、人事制度の一本化・英語の公用語化などの改革案を発表 – 「他の研究機関の手本となるようなモデルを構築したい」(マイナビニュース 2015/05/25):”2つ目の柱は「至高の科学力で世界に先んじて新たな研究開発成果を創出する」となっている。”
  4. 地域別最低賃金の全国一覧(厚生労働省):平成26年度東京都最低賃金時間額888円
  5. 平成19 年度文部科学省科学技術振興調整費 女性研究者支援モデル育成事業「研究者養成のための男女平等プラン」成果 2007-1 研究者養成のための男女平等プランに関する調査(3)若手研究者の現状と支援ニーズ調査報告書(聞き取り調査編)(PDF194ページ):”具体的な数字を挙げてくれた例によれば、手取りで毎月18 万円程度ということであった(J 助手・20 代・男)。なお規程上は、早稲田大学全学共通で、助手には年間3 ヶ月分の賞与が与えられているとのことである。したがってJ さんの年間所得は270 万円前後と推定される。”
  6. アカデミックの世界は理不尽か? (Chem-Station)
  7. 作家の読書道 第101回:円城塔さん (インタビュー記事):”大学の状況って2000年を過ぎたあたりからものすごく変わって、これからどうなるかも全然わからない。下手をすると、各地を転々としながら、だいたい2年から5年任期の中で最後の1年は次の行き先を探さなくちゃいけない。定年が60歳だとすると、あと30年間くらい数年刻みで転々とする生活をやっていくのはさすがに無理だと思ったんです。”
  8. ポスドクからポスドクへ 円城塔 (日本物理学会誌 Vol.263, No.7, 2008  PDF)
  9. すごいことになってる  (アメリカポスドクの歩き方 2012/04/23): “十分な業績と能力があって人柄もよいポスドクが特任助教という名のポスドクへ平行移動していたり、同じように十分な業績と能力と人柄のよい任期付助教がそのまま任期付助教として平行移動している。最近多い。これはびっくりした。本当にびっくりと同時に本当に日本の科学の停滞がはじまってることを実感した。…Nature級の論文をもつ助教が任期切れで他へうつるのにほとんど論文のない准教授はそのままそのラボに残る。”
  10. STAP問題が照らし出した日本の医学生物学研究の構造的問題(小野昌弘のブログ Masahiro Ono’s blog 2014年04月02日):”彼らには土日なし、夜11時まで、というのが標準的な長時間労働が強制されるが、研究者という名目だけで、自分の研究を教授の許可なしには自由に発表できない。そして老いた教授たちがいつまでも職に居座っているから、若者が大学・研究機関で定職に就ける見込みは殆ど無い。彼らはいつまでも下働きとしてこき使われている。そして彼ら若者を「指導」している教授たち自身がどれだけ最新科学を理解しているかは疑問なのだから、当然その下についている大学院生・研究員たちは、「ピペド」以上の存在にはなれない。しかも定職がない・学位がかかっているといった弱みにつけこまれて日常的に教授から理不尽な圧力をかけられる。こうした異常な事態が普通に見られる。”

 

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CiRA これが民間企業ならすごいブラック企業

2015年5月23日に橿原ロイヤルホテル(奈良県橿原市)で奈良県立医科大学開学70周年記念式典が執り行われ、京都大の山中伸弥教授が記念講演を行いました。その中で所長を務める京都大iPS細胞研究所(CiRA)について、CiRAの約300人の教職員のうち9割が不安定な有期雇用であることから、「これが民間企業ならすごいブラック企業。何とかしないといけない」と、研究者の雇用不安にも言及したそうです。

 

参考

  1. iPS細胞研究所の9割有期雇用 山中教授「民間企業ならすごいブラック企業。何とかしないと」 奈良で講演産経WEST 2015.5.24):”一方で、所長を務める京都大iPS細胞研究所(CiRA)については、約300人の教職員のうち9割が不安定な有期雇用であることから、「これが民間企業ならすごいブラック企業。何とかしないといけない」と指摘。”
  2. 開学70周年記念式典を挙行しました(奈良県立医科大学 2015年5月27日):”記念講演 細井理事長・学長と古家理事(附属病院長)が座長となり、山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長・教授を講師にお迎えし、iPS細胞が移植治療だけでなく難病治療薬の開発にも重要な役割を果たし始めている等「iPS細胞研究の現状と医療応用に向けた取り組み」について、ご講演いただきました。”

 

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痕跡細胞からの記憶想起にシナプス増強は不要

逆行性健忘においても、記憶は痕跡細胞の中に保持されていることをMITの利根川研究室がマウスの実験で明らかにし、サイエンス誌に発表しました。論文タイトルはEngram cells retain memory under retrograde amnesia。

マウスを小箱に入れ、弱い電気刺激を与えて小箱の環境が怖いことを記憶させました。通常、こうした体験をさせた翌日に、マウスを同じ小箱に置くと怖い体験を思い出してマウスは“すくみ”ます。しかし、マウスが小箱は怖いと記憶した直後に、シナプス増強が起こらないようにする薬剤を与えると、マウスは怖い体験の記憶を失って、同じ小箱に入れられてもすくみませんでした。

ところが、翌日、怖い体験をした小箱とは別の小箱に同じマウスを入れ、怖い体験の記憶痕跡を人工的に活性化したところ、記憶を失ったはずのマウスがすくみました。これは、シナプス増強がなくても記憶は痕跡細胞群の中に直接、保存されていることを意味します。理化学研究所60秒でわかるプレスリリースより)

論文著者は、Tomás J. Ryan, Dheeraj S. Roy, Michele Pignatelli, Autumn Arons, Susumu Tonegawaで、最初の3人に関してはcontributed equally to this workとのことです。

Tonegawa Lab Members (利根川研究室ラボメンバー The RIKEN Brain Science Institute and the Picower Institute for Learning and Memory at MIT)

参考

    1. Engram cells retain memory under retrograde amnesia. Science 29 May 2015: Vol. 348 no. 6238 pp. 1007-1013 DOI: 10.1126/science.aaa5542 (Sciencemag.org)
    2. 記憶痕跡回路の中に記憶が蓄えられる-神経細胞同士のつながりの強化は記憶の想起には不要- (理化学研究所 2015年5月29日 60秒でわかるプレスリリース):より詳細な報道発表資料
    3. 逆行性健忘:発症前の過去のことがらを思い出すことができなくなること。外傷性脳損傷や認知症で発症することが多い。(理研プレスリリース補足説明
    4. 思い出せないけど…脳には記憶残る 理研がマウスで実験(朝日新聞デジタル 2015年5月29日):”認知症などで過去を思い出せないのは、記憶が失われたのではなく、残っているのに取り出せないだけ――。そんな可能性を示すマウス実験の成果を、理化学研究所のグループが29日付米科学誌サイエンスに発表する。”