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生成AIで科研費の申請書を書くことは可能か?生成AI利用の落とし穴

生成AIで科研費の申請書を書くことは可能か?という素朴な疑問を追求するために、前回、4つの生成AIを試してみました。

  1. 科研費の申請書を生成AIを4種(Perplexity、ChatGPT、Claude、GEMINI)で書き比べ

このときは、なんとなく「それっぽい」仕上がりになったように思ったのですが、もっといろいろ試してみないと、生成AIがどれくらい有用なのかがわからないので、引き続き別のテーマで試してみます。

生成AIの一つであるPerplexityに、「全身エリテマトーデスに対する新規治療戦略に関して研究助成申請書作成のためのたたき台をつくってくれない?」とお願いして、あとは分量を増やしてもらったり、箇条書きをやめてもらったりして、科研費申請書の下書きを作ってもらいました。具体的に何をやってほしいかに関してはノーヒントです。生成AIが数秒で作ってくれた申請書がこれ。


研究課題名: SLEにおけるIRF5阻害による新規治療戦略の開発

概要:

本研究は、全身性エリテマトーデス(SLE)の病態形成に重要な役割を果たす転写因子IRF5を標的とした新規治療法の開発を目指す。IRF5阻害剤の開発と、その治療効果の検証を行う。マウスSLEモデルを用いた前臨床試験、患者由来細胞を用いたex vivo解析、および臨床検体を用いたバイオマーカー探索を統合的に実施する。IRF5阻害剤の投与による治療効果を評価し、免疫細胞の機能変化を解析することで治療メカニズムを解明する。患者由来細胞を用いて、IRF5阻害の効果と個人差を評価し、治療効果予測因子を探索する。さらに、臨床検体を用いてIRF5活性化状態を反映するバイオマーカーを同定し、疾患活動性や治療反応性との相関を解析する。本研究により、SLEの病態メカニズムの解明と新たな治療法の確立が期待される。

(1)本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」

SLEは自己免疫疾患の代表的疾患であり、多様な臓器障害を引き起こす難治性疾患である。現行の治療法では、ステロイドや免疫抑制剤を中心とした非特異的な免疫抑制が主体となっており、長期的な副作用や治療抵抗性の問題が存在する(Schmid et al., 2024, Breast Cancer Res Treat 12(3):345)。そのため、より特異的かつ効果的な治療法の開発が急務となっている。近年の研究により、転写因子IRF5がSLEの病態形成に重要な役割を果たすことが明らかになってきた。IRF5は、I型インターフェロン(IFN)の産生や炎症性サイトカインの発現を制御する中心的な転写因子であり、SLE患者の免疫細胞で異常に活性化していることが報告されている(Inoue et al., 2023, Cancer Res 83(15):2789)。本研究の着想に至った経緯として、我々の予備的研究において、IRF5阻害剤の開発に成功し、マウスSLEモデルにおいてその有効性を確認したことが挙げられる。この結果を踏まえ、本研究では以下の学術的「問い」を設定する:

  1. IRF5阻害はSLEの新規治療戦略として有効か?
  2. IRF5阻害による治療効果のメカニズムは何か?
  3. IRF5阻害の効果を予測するバイオマーカーは存在するか?

(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性

本研究の目的は、IRF5阻害剤を用いたSLEの新規治療法を開発し、その有効性と安全性を検証することである。本研究の学術的独自性と創造性は、IRF5という特異的な分子標的に着目し、従来の非特異的免疫抑制とは異なるアプローチを提案している点にある。独自に開発したIRF5阻害剤を用いることで、これまで困難であったIRF5の機能解析が可能となる。さらに、マウスモデル、患者由来細胞、臨床検体を統合的に解析することで、基礎研究から臨床応用までを見据えた包括的な研究デザインを採用している点も特筆すべきである。

(3)関連分野の研究動向と本研究の位置づけ

SLE治療の分野では、近年、B細胞を標的としたベリムマブやT細胞共刺激を阻害するアバタセプトなど、より特異的な治療法が開発されている(Ohto et al., 2023, Nat Biotechnol 41(8):1023)。しかし、これらの治療法も十分な効果を示さない患者が存在し、新たな治療標的の探索が続けられている。IRF5に関しては、遺伝学的研究によりSLEの疾患感受性遺伝子として同定されて以来、その病態への関与が注目されてきた。しかし、IRF5を標的とした治療法の開発はまだ初期段階にあり、本研究はこの分野における先駆的な取り組みとして位置づけられる。

(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか

本研究では、以下の3つの側面から研究を進める:

  1. マウスSLEモデルを用いた前臨床試験:
    IRF5阻害剤の投与による治療効果(腎症の改善、自己抗体産生の抑制など)を評価する。また、IRF5阻害による免疫細胞の機能変化を解析し、治療メカニズムを解明する。フローサイトメトリーや単一細胞RNA-seqを用いて、IRF5阻害が各免疫細胞サブセットに与える影響を詳細に調べる。さらに、長期投与実験を行い、IRF5阻害剤の安全性と持続的な効果を検証する。
  2. 患者由来細胞を用いたex vivo解析:
    SLE患者の末梢血単核球にIRF5阻害剤を添加し、炎症性サイトカイン産生や自己抗体産生への影響を評価する。また、IRF5阻害に対する反応性の個人差を解析し、治療効果予測因子を探索する。さらに、患者由来の樹状細胞やB細胞を用いて、IRF5阻害が抗原提示能や抗体産生能に与える影響を詳細に調べる。
  3. 臨床検体を用いたバイオマーカー探索:
    SLE患者の血液サンプルを用いて、IRF5活性化状態を反映するバイオマーカーを同定する。プロテオミクス解析やメタボローム解析を組み合わせ、IRF5活性化に関連する新規バイオマーカーの探索を行う。同定されたバイオマーカーと疾患活動性や治療反応性との相関を解析し、IRF5阻害剤の効果を予測するバイオマーカーパネルの確立を目指す。

(5)本研究の目的を達成するための準備状況

本研究を遂行するための準備状況として、独自のスクリーニング系を用いて高い特異性と効果を持つIRF5阻害剤の候補化合物を同定している。また、MRL/lprマウスを用いたSLEモデルの系を確立しており、予備的な実験でIRF5阻害剤の有効性を確認している。さらに、SLE患者の血液サンプルおよび臨床情報のバンクを整備しており、倫理委員会の承認も得ている。解析技術面では、単一細胞RNA-seq、マルチカラーフローサイトメトリー、プロテオミクス解析など、最新の解析技術を導入済みである。これらの準備状況により、本研究を効率的かつ効果的に進めることが可能となっている。

(6)本研究がどのような国際性を有するか

本研究は、SLEが世界中で問題となっている難治性疾患であり、IRF5阻害という新規アプローチが国際的な自己免疫疾患研究コミュニティーの注目を集めると予想されることから、高い国際性を有する。研究成果は国際学術誌への投稿や国際学会での発表を通じて、世界に向けて発信する予定である。また、海外の研究機関との共同研究を計画しており、国際的な研究ネットワークの構築を目指している。さらに、将来的には国際共同臨床試験の実施を視野に入れており、本研究の成果がSLEの国際的な治療ガイドラインの策定にも貢献することが期待される。これらの取り組みにより、本研究は世界のSLE研究をリードし、国際的な医療の発展に寄与することが可能となる。


申請書を書いてくれたのはいいのですが、なぜ転写因子IRF5に注目したの?と思いました。

  1. プレスリリース 転写因子IRF5の阻害が全身性エリテマトーデスの新規治療法となる可能性を実験的に証明 AMED

なんのことはない、Perplexityが吐き出した研究内容と同じ結果がすでに研究成果として出ていたのですね。これは生成AIの落とし穴だと思います。不用意に生成AIを使うと、他人の研究成果を真似しただけのような計画書が出来上がってしまう恐れがあるというわけです。生成AIに相談を持ち掛けるにしても、自分独自の何かをもっていて、それを使ってさてどうするかで相談するのが良いのでしょう。最初から丸投げだと、他人のアイデアの盗用を無自覚にしてしまう危険があるということが今回わかりました。

研究と教育に役立つ生成AIツール

すぐに生成AIに頼ると自分が頭を使わなくなってバカになりそうですが、自分で考えても煮詰まってしまったときには、生成AIは強力な助けになります。アイデア出しに使うとよいのではないでしょうか。あるいは時間をかけたくない定型文書作成の場合は、最初から使うのも良いと思います。読むべき論文を効率よく探す目的なら、生成AIは非常に有用です。

論文検索のための生成AIツール

Concensus

Concensusは、AI-powered Academic Search Engineというだけあって、文献検索に使いやすい生成AIです。日本語でふつうに会話するように質問を投げることができます(他の生成AIもそうですが)。例えば、「コーヒーは体いいいの?」と聞くと、文献を紹介しつつ、いいのかどうかを教えてくれるという便利なもの。特に、イエスかノーかで答えられるような質問の仕方をしたときには、YesかNoかで確率付きで答えてくれて便利です。

もちろん文献も表示されます。今の場合は10個の論文に絞り込まれていました。普通に検索するとおそらく数百~数千件はヒットしそうな内容ですので、たった10件に絞られたこれらの論文がどれだけ妥当なのかが気になります。質の良い重要な論文に絞り込んでくれるのだとしたら重宝しそうです。質問をちょっとずつ細かくしていけば、別の論文も拾えてくるので、候補となる論文を広げていくことができます。数百、数千件の検索結果を自分で絞りこむ手間を考えれば、10件の結果を吟味するこのやり方のほうが効率的で現実的だと思いました。

文章系生成AI

GPT-4 (OpenAI)

ChatGPTには 自分は毎月20ドル払って有料版を使っています。GPT-3.5(無料)とGPT-4(有料)を比較したことがありますが、自分が良く知っている日本人歌手のヒット曲Top10を教えてといったお願いをしたときに、GPT-4のほうがましな回答をよこしてきました。GPTは日本の事情にはかなり疎い印象です。

自分がやりたい事務処理を自動で行うpythonコードを書いてもらったときは、ほぼそのまま動くコードを書いてくれて重宝しました。

Claude (Anthropic)

Claudeに科研費の申請書を書いてと依頼したときに、代筆はお断りとあっさり断られことがあります。人間よりもよほど研究倫理がしっかりしているなと感心しました。しかし、頼む言葉を少し変えたら書いてくれました。無料版の場合、数回、使うとすぐに数時間使えなくなります。なので無料版は実用的ではありません。

GEMINI (Google)

  1. https://gemini.google.com/app

旧称Bard。

Perplexity

Perplexityは文書作成や文献検索ができますが、生成AIエンジンは他社のものを使っているようです。無料版でもけっこうイケますが、有料版(月額20ドル)の説明を読むと、

  • 使いたいAIモデルをGPT-4o、Claude-3、Sonar Large (LLama 3.1)などから選べる
  • Playground AI、DALL-E、SDXLなどを使って回答を画像化してもらえる

といった特徴があります。

プログラミング系生成AI

  1. 大規模言語モデルによるソースコード生成:GitHub CopilotからCopilot Xへの進化と未来 2024.03.08 調和技研 コード生成そのものはChatGPTなどでもできるわけですが、コードを書くツールに連携することで飛躍的に利用しやすくなります。‥ Copilot Xは2023年3月に発表された次世代のコード生成のビジョンですが、その一部であるCopilot Chatは既に利用できるようになっています。

Copilot X

  1. https://github.com/features/copilot

無料版はなくて月10ドルからのサブスクの設定になっています。

画像系生成AI

  1. 画像生成AI「Stable Diffusion」の代替に? 話題の「FLUX.1」を試した 2024年08月07日 17時00分更新 文● 田口和裕 ASCIIxAI 現在、画像生成AIの分野は主に「Midjourney」、「Stable Diffusion」、「DALL-E 3」の3つがそれぞれ独自のアプローチでユーザーを集めている。 Stable Diffusionの共同開発者たちによって設立されたベンチャー企業「Black Forest Labs(BFL)」が8月1日(現地時間)に発表した最新の画像生成AIモデル「FLUX.1」。

Gamma

  1. https://gamma.app/

研究ネタのテキストを放り込むと、なんだか製薬会社かベンチャー企業のパンフレットのイメージ図みたいな写真が合成されてでてきました。学術的な内容を表したイラストを期待していたので、ちょっとズレました。

しかし、ためしに大学の講義のシラバスを作ってもらうようにしてみたら、なんと講義スライドをさくさくと作ってくれました。スライドごとに埋め込まれたイラストは苦笑いしてしまうレベルで、正確ではないので使えませんが、トピックを羅列した部分は講義内容を考えるうえで非常に役立つと感じました。ただし8回分の(つまりスライド8枚)お願いは無料でしたが、14回の講義にしようとしたら、プロ版が必要になりました。まあ、イラストは使えないので、文書生成系AIツールがあれば事足りるようにも思います。

DALL·E 3 (OpenAI)

ChatGPTのOpenAIが出している画像用のAI。これは画像を生成してくれるAIのようです。テキストに基づいて画像をつくれるらしい。ネットではDall-E 2の紹介記事が多かったのですが、もうDall-E 2は終了していてDall-E 3にバージョンアップしていました。使おうと思ったら、「Try in ChatGPT」というメッセージしかなくてChatGPTの画面に飛ばされるので、単独で使うのでなくChatGPTに組み込まれているということのようです。科研費の申請書の一部をテキストとして放り込んで、模式図を作ってもらいましたが、全然使える代物ではありませんでした。得意不得意があるのでしょう。

  1.  https://openai.com/index/dall-e-3/

FLUX.1

  1. https://flux1.ai/ja
  2. https://flux1.ai/create

ウェブ上にどんなイラストを描いてほしいかをテキストで入れるとそのイメージを画像にしたものが生成されるそう。科学的な内容を試してみましたが、まったく使いものになりませんでした。

Stable Diffusion

  1. https://ja.stability.ai/stable-diffusion Stable Diffusion 3 Medium は Stable Diffusion 3 series の最新かつ最も高度なテキストから画像へのAIモデルで、20億のパラメータで構成されています。フォトリアリズムに優れ、複雑なプロンプトを処理し、明瞭なテキストを生成します。ウェイトはオープンな非商用ライセンスでご利用いただけます。

Midjourney

芸術的で独創的な画像生成をしてくれるそうですが、 テキスト処理能力はないみたい。月額8ドルからのサブスクリプションをしないと全くお試しもできないみたい。

  1. Midjourney

 

生成AIを学術研究に使うことの危険性

ハルシネーション,バイアス,プライバシー,著作権などの懸念 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/advpub/0/advpub_2024-010/_html/-char/ja

AIツールは研究者の創造性や独創性を失わせる可能性があります。AIはインプットと既存の研究知識に基づいています。科学を発展させるには、その分野の人々による独創的、創造的、批判的思考が必要です。また、AIが生成したテキストをコピーペーストするだけでは、剽窃につながる可能性があります。

AIツールを学術研究に効果的に活用するには プロダクト Paperpal 学習コンテンツ 論文執筆のヒント September 25, 2023 https://www.editage.jp/blog/using-ai-powered-tools-effectively-for-academic-research/

チェックを怠ると、自分の研究に他者の研究を意図せず取り込んでしまう可能性があり、それが発覚すると、著者と出版社の双方の信用が傷つく恐れがあります。アイデアの独自性と帰属を維持することは研究公正を守るうえで必須であり、研究者はAI生成コンテンツの引用が適切であることを確かめ、意図せぬ倫理違反がないように気を配る必要があります。https://www.turnitin.jp/blog/ai-writing-in-academic-journals-mitigating-its-impact-on-research-integrity

科研費の申請書を生成AIを4種(Perplexity、ChatGPT、Claude、GEMINI)で書き比べ

生成AI花盛りの今日この頃ですが、科研費の申請書作成においても生成AIを活用した人が多かったのではないでしょうか。科研費の研究計画調書を生成AIに丸投げしたときに、どれくらいまともな申請書を作ってくれるのか試してみたいと思います。

依頼内容:トリプルネガティブ乳がんの新しい表面分子マーカー標的の探索という研究テーマで、科研費の申請書を書いてください。

生成AIといえばChatGPTしか知りませんでしたが、知人が、「ChatGPTよりも、PerplexityとかClaudeのほうがいいよ」というので、まずはPerplexity無料版から試してみます。

以下、Perplexityが数秒で返してくれた回答がわりとあっさりしていたので、内容をもう少し具体的にして分量を増やすようにお願いしたほか、学術的な問いもしっかり書くようにお願いしてみました。自分は分量などの指示をしただけで、実験方法や計画に関しては、最初のテーマ(上記)の指示以外は、何の指示もしていません。引用文献も適宜いれてくれるように指示しました。

Perplexity(無料版)で書いた科研費研究計画書


研究課題名: トリプルネガティブ乳がん新規表面マーカー探索

概要
本研究は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の新規表面分子マーカーを同定し、診断・治療標的としての有用性を検証することを目的とする。最新のプロテオミクス技術と機械学習を組み合わせ、TNBC特異的な表面タンパク質を網羅的に探索する。同定されたマーカー候補の機能解析と臨床検体での検証を行い、TNBCの早期診断や個別化治療に貢献する新規標的分子の発見を目指す。本研究では、(1)プロテオミクス解析によるTNBC特異的表面タンパク質の同定、(2)機械学習を用いた候補分子の絞り込み、(3)候補分子の機能解析、(4)臨床検体での検証、(5)診断・治療標的としての有用性評価を行う。これにより、TNBCの分子病態の理解を深め、新たな診断マーカーや治療標的の開発につながる知見を得ることが期待される。

(1)本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」

トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、HER2のいずれも発現していない乳がんサブタイプであり、他の乳がんサブタイプと比較して予後不良であることが知られている(Schmid et al., 2024, Breast Cancer Res Treat 12(3):345)。TNBCに対する治療法は限られており、新たな診断・治療標的の同定が急務となっている。近年、がん細胞表面に発現する分子が、診断マーカーや治療標的として注目されている。特に、抗体薬物複合体(ADC)の開発により、がん細胞特異的な表面タンパク質を標的とした精密な治療法が可能になりつつある(Ohto et al., 2023, Nat Biotechnol 41(8):1023)。しかし、TNBCにおいては特異的な表面マーカーの同定が遅れており、その探索が重要な課題となっている。本研究の着想に至った経緯として、最新のプロテオミクス技術と機械学習の発展が挙げられる。これらの技術を組み合わせることで、網羅的かつ効率的なタンパク質解析が可能になった(Inoue et al., 2023, Cancer Res 83(15):2789)。さらに、クライオ電子顕微鏡技術の進歩により、タンパク質複合体の詳細な立体構造解析が可能になり、抗体と標的分子の相互作用を原子レベルで理解できるようになった。これらの背景を踏まえ、本研究では以下の学術的「問い」を設定する:

  1. TNBCに特異的な新規表面分子マーカーは存在するか?
  2. 同定された新規マーカーは、TNBCの診断・治療標的として有用か?
  3. 新規マーカーとそれに対する抗体の相互作用メカニズムは、どのような構造的特徴を持つか?

これらの問いに答えることで、TNBCの分子病態の理解を深め、新たな診断法や治療法の開発につながる重要な知見が得られると考えられる。

(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性

本研究の目的は、TNBCの新規表面分子マーカーを同定し、その診断・治療標的としての有用性を検証することである。

本研究の学術的独自性と創造性は、最新のプロテオミクス技術と機械学習を組み合わせた網羅的探索アプローチを用いてTNBC特異的な表面タンパク質を同定し、その機能解析を行うとともに、臨床検体を用いた新規マーカーの検証と臨床応用可能性の評価を一貫して行う点にあり、これにより従来のアプローチでは見出せなかった新たな診断・治療標的の発見が期待される。

(3)関連分野の研究動向と本研究の位置づけ

トリプルネガティブ乳がん(TNBC)研究の分野では、近年、新規バイオマーカーの同定と治療標的の探索が精力的に進められている。TNBCは他の乳がんサブタイプと比較して予後不良であり、効果的な治療法が限られているため、新たな診断・治療標的の同定が急務となっている(Schmid et al., 2024, Breast Cancer Res Treat 12(3):345)。最近の研究では、TNBCにおけるIL-34の高発現が予後不良と相関することが報告され、新たな治療標的として注目されている(Kiyono et al., 2020, Breast Cancer 27(4):518)。また、プロテオミクス技術と機械学習を組み合わせたアプローチにより、TNBC特異的な表面タンパク質の網羅的探索が進められている(Inoue et al., 2023, Cancer Res 83(15):2789)。さらに、抗体薬物複合体(ADC)を用いた新規治療法の開発も活発に行われており、TNBCに対する治療効果が期待されている(Ohto et al., 2023, Nat Biotechnol 41(8):1023)。本研究は、最新のプロテオミクス技術と機械学習を組み合わせた網羅的探索アプローチを用いて、TNBC特異的な新規表面分子マーカーの同定を目指す。さらに、同定されたマーカーの機能解析と臨床検体での検証を通じて、TNBCの早期診断や個別化治療に貢献する新規標的分子の発見を目指す。このアプローチは、既存の研究手法を統合し、さらに発展させたものであり、TNBCの分子病態の理解を深め、新たな診断マーカーや治療標的の開発につながる重要な知見をもたらすことが期待される。

(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか

  1. プロテオミクス解析と機械学習による候補分子の同定:
    最新の質量分析技術(LC-MS/MS)を用いて、複数のTNBC細胞株と非TNBC細胞株の細胞表面タンパク質を網羅的に解析する。得られたデータに対して、機械学習アルゴリズム(ランダムフォレストやサポートベクターマシンなど)を適用し、TNBC特異的な発現パターンを示す分子を効率的に同定する。さらに、公共データベース(TCGA、GEOなど)の遺伝子発現データを統合解析し、同定された候補分子の妥当性を検証する。最終的に、3-5個の有望な新規表面マーカー候補を選定する。
  2. 候補分子の機能解析:
    同定された候補分子に対して、CRISPR-Cas9システムを用いたノックアウト細胞株とレンチウイルスベクターを用いた過剰発現細胞株を樹立する。これらの細胞株を用いて、細胞増殖アッセイ(MTTアッセイ、BrdUアッセイ)、浸潤アッセイ(マトリゲル浸潤アッセイ)、遊走アッセイ(ウーンドヒーリングアッセイ)を行い、各候補分子のTNBCの悪性度への寄与を評価する。さらに、RNA-seqによる網羅的遺伝子発現解析を行い、各候補分子の下流シグナル経路を同定する。
  3. 臨床検体での検証:
    TNBC患者サンプル(少なくとも100例)と非TNBC乳癌患者サンプル(対照群として100例)を用いて、免疫組織化学染色法により同定された候補分子の発現を解析する。発現レベルと臨床病理学的因子(腫瘍サイズ、リンパ節転移、病期など)との相関を評価する。また、カプランマイヤー解析とCox比例ハザードモデルを用いて、各候補分子の発現レベルと患者の無再発生存期間および全生存期間との相関を解析する。
  4. 診断・治療標的としての有用性検証:
    同定された候補分子に対するモノクローナル抗体を作製し、抗体医薬としての可能性を評価する。また、ファージディスプレイ法を用いて、候補分子に特異的に結合するペプチドを同定し、低分子化合物のリード化合物として活用する。これらの抗体や低分子化合物を用いて、in vitroでの細胞増殖抑制効果やアポトーシス誘導能を評価する。さらに、TNBC細胞株を用いたマウス異種移植モデルを作製し、in vivoでの抗腫瘍効果を検証する。
  5. 個別化医療の基盤構築:
    同定された新規マーカーを用いて、TNBCの分子サブタイプ分類システムを構築する。機械学習アルゴリズム(クラスタリング解析など)を用いて、マーカー発現パターンに基づくTNBCの新たな分類法を提案する。さらに、各サブタイプと既存の治療法(化学療法、免疫チェックポイント阻害剤など)の感受性との相関を解析し、治療選択のための予測モデルを構築する。最後に、液体生検(血中循環腫瘍細胞や血中遊離DNA)を用いた非侵襲的な診断・モニタリング法の開発に着手し、個別化医療実現への基盤を確立する。

(5)本研究の目的を達成するための準備状況

まず、TNBC細胞株および非TNBC細胞株のコレクションを確立し、研究に必要な細胞材料を整えた。次に、表面タンパク質解析のためのプロテオミクスプラットフォームの最適化を行い、高精度な網羅的解析が可能な状態にある。また、機械学習アルゴリズムの開発と予備的なデータ解析を実施し、TNBC特異的な表面タンパク質の効率的な同定に向けた準備が整っている。臨床検体の収集と使用に関しては、倫理委員会の承認を取得済みであり、患者サンプルを用いた検証実験を速やかに開始できる体制が整っている。さらに、候補分子の機能解析のための分子生物学的手法を確立しており、同定された新規マーカーの機能的重要性を迅速に評価できる準備が整っている。これらの準備状況により、本研究を効率的かつ効果的に進めることが可能となっている。

(6)本研究がどのような国際性を有するか

本研究で同定される新規マーカーは、TNBCの診断・治療に新たな展開をもたらし、国際的な乳がん研究の方向性に影響を与える可能性を持つ。同定されたマーカーの検証や機能解析において、海外の研究機関との共同研究を積極的に推進し、国際的な協力体制を構築する。また、日本人TNBC患者の特性を考慮したマーカー探索を行うことで、人種間での差異を明らかにし、個別化医療の発展に貢献する。研究成果は国際学会や高インパクトファクターの学術誌で発表し、世界的な認知度を高めるとともに、同定された新規マーカーや関連技術について国際特許の出願を目指す。これらの取り組みを通じて、本研究は世界の研究をけん引し、国際協同を通じて世界の研究の発展に貢献するとともに、我が国独自の研究としての高い価値を創出することが期待される。

引用文献

  1. Schmid, P., et al. (2024). “Recent advances in triple-negative breast cancer treatment.” Breast Cancer Research and Treatment, 12(3), 345.
    DOI: Not provided
  2. Ohto, U., et al. (2023). “Novel antibody-drug conjugates for targeted cancer therapy.” Nature Biotechnology, 41(8), 1023.
    DOI: Not provided
  3. Inoue, K., et al. (2023). “Integrative proteomics and machine learning approach for identification of novel surface markers in triple-negative breast cancer.” Cancer Research, 83(15), 2789.
    DOI: Not provided
  4. Kiyono, M., et al. (2020). “High expression of interleukin-34 is associated with poor prognosis in triple-negative breast cancer patients.” Breast Cancer, 27(4), 518.
    DOI: Not provided

いかがでしょうか?ほんの15分くらいで、自分の専門外のトピックでこれだけの研究計画調書が書けてしまいました。分量的にはこれで3ページちょっとなので、適当な図も入れてほしかったのですが、Perplexityは図を描く能力は無いみたいです。

さて、ChatGPTのほうはどうでしょうか。自分はChatGPTはサブスクを購入しているのですが、ChatGPT 4o 以外に、ChatGPT o1-preview という目新しいものが登場してiいたのを見つけ、それに書いてもらいました。以下が、ChatGPTが作った申請書です。以下は、ChatGPTが書いてくれた科研費の申請書です。

ChatGPTで書いた科研費研究計画書


表題: トリプルネガティブ乳がん新規表面分子マーカーの探索

概要

本研究は、予後不良で治療法が限られるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)に焦点を当て、新たな表面分子マーカーを探索することを目的とする。最新のプロテオミクス技術を活用し、TNBC細胞の表面タンパク質を網羅的に解析することで、TNBCに特異的な分子を同定する。さらに、同定した分子の機能解析を行い、細胞増殖や転移への関与を明らかにする。臨床検体を用いた検証により、これらの分子が診断や治療標的として有用であるかを評価する。最終的に、TNBC患者の予後改善に寄与する新規治療法の開発基盤を築くことを目指す。

本文

(1) 本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」:

トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、およびHER2が陰性である乳がんの一種であり、全乳がんの15–20%を占める(Foulkes et al., 2010, N Engl J Med 363(20):1938)。TNBCは高い増殖能と転移性を特徴とし、他のサブタイプと比較して予後が悪い。さらに、ホルモン療法やHER2標的療法が適用できないため、化学療法が主な治療手段となっている。しかし、化学療法に対する抵抗性や副作用の問題から、新たな治療戦略の開発が喫緊の課題である。

近年、がん細胞の表面分子を標的とした治療法が注目を集めている。特に、抗体療法やCAR-T細胞療法は、特異的な表面抗原を持つがん細胞を選択的に攻撃することが可能である(Shimizu et al., 2018, Nat Rev Clin Oncol 15(12):731)。しかし、TNBCにおいては、広く適用可能な表面分子マーカーが限られているため、この分野での進展が妨げられている。

本研究の着想は、プロテオミクス技術の進歩により、細胞表面のタンパク質群を網羅的に解析できるようになったことに基づく。これにより、従来の遺伝子発現解析では見つからなかった新規の表面分子を同定できる可能性がある。本研究の核心をなす学術的「問い」は、「TNBCに特異的な新規表面分子マーカーを同定し、それが診断および治療の新たな標的となり得るか」である。

(3) 関連分野の研究動向と本研究の位置づけ:

現在、TNBCの分子特性を解明するために、遺伝子発現プロファイリングが盛んに行われており、複数の分子サブタイプが提唱されている(Lehmann et al., 2011, J Clin Invest 121(7):2750)。これにより、各サブタイプに適した治療法の開発が期待されている。しかし、遺伝子レベルでの解析は必ずしもタンパク質の発現や機能を反映しないため、タンパク質レベルでの解析が重要となっている。

一方、表面プロテオミクスによりがん細胞の表面タンパク質を網羅的に解析する研究が進んでいるが、TNBCに特化した研究は限定的である。特に、TNBCの細胞表面に存在するタンパク質を網羅的に解析し、機能的な役割を解明する研究はほとんど行われていない。

本研究は、最新のプロテオミクス技術を用いてTNBCの表面タンパク質を網羅的に解析し、新規の分子マーカーを同定する点で独創的である。また、同定した分子の機能解析や臨床検体での検証を行うことで、実際の診断・治療への応用可能性を示すことができる。本研究は、タンパク質レベルでの新たな知見を提供し、TNBC研究の新たな方向性を示すものである。

(4) 本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか:

  • 表面プロテオームの解析: TNBC細胞株(複数種)と非TNBC細胞株を用いて、細胞表面のタンパク質をビオチン化試薬で標識し、アフィニティ精製と質量分析を組み合わせて同定する。これにより、TNBC特異的に発現する表面タンパク質のリストを作成する。
  • 候補分子の選定と機能解析: 同定したタンパク質の中から、発現レベルや既存のデータベース情報を基に、有望な候補分子を数種類選定する。これらの分子について、RNA干渉(siRNA)やCRISPR-Cas9システムを用いて発現を抑制し、細胞増殖、アポトーシス、遊走能などの細胞機能への影響を評価する。
  • シグナル伝達経路の解明: 候補分子が関与するシグナル伝達経路を、ウエスタンブロットや免疫沈降法を用いて解析する。これにより、分子機構を明らかにし、治療標的としての有用性を検証する。
  • 臨床検体での評価: 患者由来のTNBC組織および正常乳腺組織を用いて、免疫組織化学染色やRT-PCRにより候補分子の発現パターンを検討する。さらに、臨床病理学的データと照合し、予後との関連性を解析する。
  • 動物モデルでの検証: ヌードマウスを用いた腫瘍形成実験や転移モデルを作成し、候補分子の発現抑制が腫瘍の増殖や転移に与える影響を評価する。

(5) 本研究の目的を達成するための準備状況:

本研究を遂行するための技術的および人的な準備は整っている。質量分析装置(LC-MS/MS)やデータ解析用のソフトウェアは既に導入済みであり、プロテオミクス解析のための実験手技についても十分な経験がある。さらに、TNBC細胞株および非TNBC細胞株は研究室内で培養可能であり、倫理委員会の承認を得て患者由来の臨床検体も入手可能である。研究チームは、分子生物学、プロテオミクス、病理学の専門家から構成されており、各分野での豊富な研究経験を持つメンバーが揃っている。これらの準備により、研究開始後すぐに実験に着手できる体制が整っている。

(6) 本研究がどのような国際性を有するか:

本研究は、世界的に解決が求められているTNBCの治療戦略に新たな知見を提供するものである。得られた成果は国際的な学術雑誌に投稿し、主要な国際学会での発表を予定している。また、同分野で活躍する海外の研究者との共同研究を推進し、情報交換や技術交流を行う計画である。日本独自の高い技術力と独創的な研究手法を活かし、世界のTNBC研究を牽引する役割を果たすことを目指している。これにより、国際的な研究コミュニティにおける日本のプレゼンスを高め、TNBC患者の予後改善に貢献することが期待される。

引用文献リスト:

  1. Foulkes WD, Smith IE, Reis-Filho JS.
    タイトル: Triple-Negative Breast Cancer
    雑誌名: New England Journal of Medicine
    巻(号): 363(20):1938-1948, 2010
    DOI: 10.1056/NEJMra1001389
  2. Lehmann BD, Bauer JA, Chen X, Sanders ME, Chakravarthy AB, Shyr Y, Pietenpol JA.
    タイトル: Identification of human triple-negative breast cancer subtypes and preclinical models for selection of targeted therapies
    雑誌名: Journal of Clinical Investigation
    巻(号): 121(7):2750-2767, 2011
    DOI: 10.1172/JCI45014
  3. Shimizu K, et al.
    タイトル: 申し訳ありませんが、”Shimizu et al., 2018, Nat Rev Clin Oncol 15(12):731″ に該当する論文を特定できませんでした。正確な文献情報をご提供いただけますと幸いです。

以上は、ChatGPTが書いてくれた科研費の申請書でした。文献を引用してくれるのはいいのですが、その文献そもそも存在するの?ということも起こるので要注意です

さて、Claudeも試してみましょう。以下は、Claudeが書いてくれた科研費の申請書になります。

Claude(無料版)で書いた科研費研究計画書


トリプルネガティブ乳がん新規表面分子標的の探索

研究概要

本研究は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の新規表面分子マーカーを同定し、治療標的としての有用性を評価することを目的とする。TNBCは予後不良であり、効果的な治療法の開発が急務となっている。本研究では、最新のプロテオミクス技術と機械学習を組み合わせた革新的アプローチにより、TNBCに特異的な表面タンパク質を網羅的に探索する。同定された候補分子について、in vitroおよびin vivo実験によりその機能と治療標的としての可能性を詳細に検証する。さらに、同定された分子の発現パターンと臨床病理学的特徴との関連を解析し、バイオマーカーとしての可能性も評価する。本研究により得られる知見は、TNBCの分子病態の理解を深めるとともに、新規診断法や治療法の開発につながることが期待される。最終的に、本研究はTNBC患者の予後改善に貢献し、乳がん治療の新たな展開をもたらす可能性を秘めている。

1. 本研究の学術的背景、着想に至った経緯、および学術的「問い」

乳がんは女性の悪性腫瘍の中で最も頻度が高く、その中でもトリプルネガティブ乳がん(TNBC)は特に予後不良であることが知られている(Foulkes et al., 2010, N Engl J Med 363(20):1938-1948)。TNBCは、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、およびHER2受容体が陰性であり、これらを標的とした従来の治療法が効果を示さない(Bianchini et al., 2016, Nat Rev Clin Oncol 13(11):674-690)。そのため、TNBCに対する新規治療法の開発は喫緊の課題となっている。

近年、がん細胞表面に発現する分子を標的とした治療法が注目を集めている。例えば、HER2陽性乳がんに対するトラスツズマブや、PD-L1を標的とした免疫チェックポイント阻害剤などが臨床で成功を収めている(Emens, 2018, Cancer 124(10):2086-2103)。しかし、TNBCに特異的な表面分子マーカーは依然として限られており、有効な標的治療法の開発が遅れている状況にある。

最近の研究により、TNBCの不均一性が明らかになってきた(Lehmann et al., 2011, J Clin Invest 121(7):2750-2767)。この不均一性は、TNBCの治療抵抗性の一因となっていると考えられる。したがって、TNBCのサブタイプに共通する、あるいは特異的な表面分子マーカーを同定することが、新規治療法開発の鍵となる可能性がある。

プロテオミクス技術の進歩により、細胞表面タンパク質を網羅的に解析することが可能になってきた(Bausch-Fluck et al., 2018, Proteomics 18(21-22):e1800200)。さらに、機械学習技術の発展により、大規模なデータセットから有意義な情報を抽出する能力が飛躍的に向上している(Zou et al., 2019, Nat Rev Genet 20(6):311-322)。

これらの背景を踏まえ、本研究では以下の学術的「問い」を設定する:

  1. TNBCに特異的な新規表面分子マーカーは存在するか?
  2. 同定された表面分子マーカーは、TNBCの病態にどのように関与しているか?
  3. これらの表面分子マーカーは、TNBCの新規治療標的となり得るか?

2. 本研究の目的および学術的独自性と創造性

本研究の主な目的は、TNBCに特異的な新規表面分子マーカーを同定し、その機能解析を通じて治療標的としての可能性を評価することである。この目的を達成するため、最新のプロテオミクス技術と機械学習を統合した新規アプローチを採用する。この方法により、従来の手法では見落とされていた微妙な発現パターンの違いを検出し、新規マーカーの同定につなげることが可能となる。さらに、本研究ではTNBCの不均一性を考慮した解析を行う。これにより、TNBCのサブタイプ間の違いを考慮に入れたよりきめ細かな治療標的の同定を目指す。同定された候補分子については、in vitroおよびin vivo実験を通じて多角的に機能を解析する。この包括的なアプローチにより、候補分子の生物学的意義と治療標的としての可能性を総合的に評価することが可能となる。このように、本研究は最新技術の統合、TNBCの不均一性への注目、多角的な機能解析という独自の視点と方法論を組み合わせることで、TNBCの新規治療法開発に向けた革新的な知見をもたらすことが期待される。

3. 関連分野の研究動向と本研究の位置づけ

TNBC研究の分野では、新規バイオマーカーや治療標的の探索が精力的に行われている。近年、アンドロゲン受容体(AR)やPoly(ADP-ribose) polymerase (PARP)などが注目を集めており、これらを標的とした治療法の開発が進められている。また、免疫チェックポイント阻害剤の登場により、TNBCに対する免疫療法の可能性が開かれつつある。しかし、これらの治療法の有効性は限定的であり、より効果的な治療法の開発が求められている。

既存の研究が特定の分子や経路に焦点を当てているのに対し、本研究ではプロテオミクスと機械学習を用いた網羅的なアプローチを採用する。これにより、これまで見落とされていた新規標的を発見する可能性を高める。さらに、表面タンパク質の発現パターン、臨床病理学的特徴、機能解析のデータを統合的に解析することで、より包括的な理解を目指す。また、同定された分子について、治療標的としての可能性を直接評価することで、基礎研究から臨床応用への橋渡しを目指す。このように、本研究は網羅的、統合的、そして臨床応用を見据えたアプローチを採用することで、TNBC研究の新たな展開をもたらすことが期待される。

4. 本研究で明らかにしようとする内容

本研究では、以下の点を明らかにすることを目指す:

  1. TNBCに特異的な新規表面分子マーカーの同定: プロテオミクス解析と機械学習を用いて、TNBCに特異的に発現する表面タンパク質を網羅的に同定する。具体的には、TNBC患者の腫瘍サンプルと正常乳腺組織から膜タンパク質を抽出し、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS/MS)を用いて網羅的に解析する。得られたデータに対して、機械学習アルゴリズム(例:ランダムフォレスト、サポートベクターマシン)を適用し、TNBCに特異的な表面タンパク質を同定する。この手法は、Pozniak et al. (2016, Nature Methods 13(5):441-449) の方法を参考にしつつ、TNBCの特性に合わせて最適化を行う。
  2. 同定された分子の臨床的意義: 同定された分子の発現パターンと患者の予後や治療反応性との関連を解析し、バイオマーカーとしての可能性を評価する。具体的には、免疫組織化学染色法を用いて、大規模な患者コホート(n > 200)における候補分子の発現を解析する。発現レベルと臨床病理学的因子(腫瘍サイズ、グレード、リンパ節転移の有無など)および予後との関連を統計学的に解析する。この解析手法は、Curtis et al. (2012, Nature 486(7403):346-352) の方法を参考にする。
  3. 候補分子の機能解析: 選択された候補分子について、in vitroおよびin vivo実験系を用いてその機能を解明する。in vitro実験では、候補分子の過剰発現株およびノックアウト株を作製し、細胞増殖(MTTアッセイ)、浸潤(Boyden chamberアッセイ)、薬剤耐性(各種抗がん剤に対するIC50の測定)などの表現型を解析する。in vivo実験では、候補分子を操作した細胞株を用いて異種移植モデルを作製し、腫瘍増殖速度や転移能を評価する。これらの実験手法は、Lehmann et al. (2011, J Clin Invest 121(7):2750-2767) の研究を参考にしつつ、本研究の目的に合わせて最適化する。
  4. 治療標的としての可能性: 候補分子を標的とした阻害実験や中和抗体を用いた実験を行い、治療標的としての可能性を評価する。具体的には、候補分子に対する小分子阻害剤や中和抗体を設計・作製し、in vitroおよびin vivo実験系でその効果を検証する。特に、既存の化学療法剤との併用効果や、免疫チェックポイント阻害剤との相乗効果について詳細に解析する。この評価方法は、Schmid et al. (2018, N Engl J Med 379(22):2108-2121) の臨床試験デザインを参考にしつつ、前臨床段階での評価に適合させる。
  5. 分子メカニズムの解明: 候補分子がTNBCの病態にどのように関与しているのか、そのシグナル伝達経路や下流の分子メカニズムを明らかにする。具体的には、RNA-seqによる網羅的遺伝子発現解析、リン酸化プロテオーム解析、タンパク質間相互作用解析(免疫沈降-質量分析法)などを組み合わせて、候補分子の下流シグナルを包括的に解析する。これらの解析手法は、Mertins et al. (2016, Nature 534(7605):55-62) の統合オミクス解析アプローチを参考に、本研究の目的に合わせて最適化する。

5. 本研究の目的を達成するための準備状況

本研究を遂行するための準備は十分に整っている。当研究室では、これまでに100例以上のTNBC患者の腫瘍サンプルと臨床情報を収集しており、さらに複数の医療機関との共同研究体制を構築していることから、追加サンプルの収集も可能である。プロテオミクス解析に関しては、最新の質量分析装置(Q Exactive HF-X)を導入済みであり、高感度かつ網羅的な解析が可能な体制を整えている。データ解析のための計算機環境も整備されており、経験豊富なバイオインフォマティシャンとの協力体制も確立している。細胞実験に関しては、TNBC細胞株(MDA-MB-231, BT-549など)および正常乳腺上皮細胞株を保有しており、in vitro実験のための準備が整っている。動物実験についても、マウス異種移植モデルの作製および解析の経験があり、必要な設備・体制が整っている。さらに、同定された分子に対する抗体作製のため、抗体作製会社との協力体制を構築している。これらの準備状況により、本研究計画を迅速かつ効率的に遂行することが可能である。

6. 本研究の国際性

本研究は高い国際性を有している。TNBCは世界中で問題となっているがんタイプであり、本研究で同定される新規標的分子は、国際的な乳がん研究コミュニティに大きなインパクトを与える可能性がある。研究の進捗に応じて、AACR(American Association for Cancer Research)やESMO(European Society for Medical Oncology)などの国際学会で積極的に成果を発表し、世界の研究者とのディスカッションを通じて研究の質を高める予定である。また、本研究で得られた知見を基に、海外の研究機関との共同研究を積極的に推進する。特に、同定された分子の機能解析や治療標的としての評価において、各国の専門家との協力を進める計画である。本研究は、日本の強みであるプロテオミクス技術と機械学習を組み合わせた独自のアプローチを採用しており、日本発の革新的な研究として国際的に高い評価を得ることが期待される。研究成果は Nature、Science、Cancer Cell などの国際的に評価の高い学術誌に投稿し、世界中の研究者に向けて発信する。最終的に、本研究の成果はTNBCの診断・治療法の開発につながる可能性があり、世界中の患者の予後改善に寄与することが期待される。これらの取り組みを通じて、本研究は日本の乳がん研究の国際的プレゼンスを高め、世界の研究の発展に貢献することを目指す。

引用文献リスト

  1. Foulkes, W. D., Smith, I. E., & Reis-Filho, J. S. (2010). Triple-negative breast cancer. New England Journal of Medicine, 363(20), 1938-1948. DOI: 10.1056/NEJMra1001389
  2. Bianchini, G., Balko, J. M., Mayer, I. A., Sanders, M. E., & Gianni, L. (2016). Triple-negative breast cancer: challenges and opportunities of a heterogeneous disease. Nature Reviews Clinical Oncology, 13(11), 674-690. DOI: 10.1038/nrclinonc.2016.66
  3. Emens, L. A. (2018). Breast cancer immunotherapy: facts and hopes. Clinical Cancer Research, 24(3), 511-520. DOI: 10.1158/1078-0432.CCR-16-3001
  4. Lehmann, B. D., Bauer, J. A., Chen, X., Sanders, M. E., Chakravarthy, A. B., Shyr, Y., & Pietenpol, J. A. (2011). Identification of human triple-negative breast cancer subtypes and preclinical models for selection of targeted therapies. The Journal of Clinical Investigation, 121(7), 2750-2767. DOI: 10.1172/JCI45014
  5. Bausch-Fluck, D., Goldmann, U., Müller, S., van Oostrum, M., Müller, M., Schubert, O. T., & Wollscheid, B. (2018). The in silico human surfaceome. Proceedings of the National Academy of Sciences, 115(46), E10988-E10997. DOI: 10.1073/pnas.1808790115
  6. Zou, J., Huss, M., Abid, A., Mohammadi, P., Torkamani, A., & Telenti, A. (2019). A primer on deep learning in genomics. Nature Genetics, 51(1), 12-18. DOI: 10.1038/s41588-018-0295-5
  7. Traina, T. A., Miller, K., Yardley, D. A., Eakle, J., Schwartzberg, L. S., O’Shaughnessy, J., Gradishar, W., Schmid, P., Winer, E., Kelly, C., Nanda, R., Gucalp, A., Awada, A., Garcia-Estevez, L., Trudeau, M. E., Steinberg, J., Uppal, H., Tudor, I. C., Peterson, A., & Cortes, J. (2018). Enzalutamide for the treatment of androgen receptor-expressing triple-negative breast cancer. Journal of Clinical Oncology, 36(9), 884-890. DOI: 10.1200/JCO.2016.71.3495
  8. Robson, M., Im, S. A., Senkus, E., Xu, B., Domchek, S. M., Masuda, N., Delaloge, S., Li, W., Tung, N., Armstrong, A., Wu, W., Goessl, C., Runswick, S., & Conte, P. (2017). Olaparib for metastatic breast cancer in patients with a germline BRCA mutation. New England Journal of Medicine, 377(6), 523-533. DOI: 10.1056/NEJMoa1706450
  9. Schmid, P., Adams, S., Rugo, H. S., Schneeweiss, A., Barrios, C. H., Iwata, H., Diéras, V., Hegg, R., Im, S. A., Shaw Wright, G., Henschel, V., Molinero, L., Chui, S. Y., Funke, R., Husain, A., Winer, E. P., Loi, S., & Emens, L. A. (2018). Atezolizumab and nab-paclitaxel in advanced triple-negative breast cancer. New England Journal of Medicine, 379(22), 2108-2121. DOI: 10.1056/NEJMoa1809615
  10. Pozniak, Y., Balint-Lahat, N., Rudolph, J. D., Lindskog, C., Katzir, R., Avivi, C., Pontén, F., Ruppin, E., Barshack, I., & Geiger, T. (2016). System-wide clinical proteomics of breast cancer reveals global remodeling of tissue homeostasis. Cell Systems, 2(3), 172-184. DOI: 10.1016/j.cels.2016.02.001
  11. Curtis, C., Shah, S. P., Chin, S. F., Turashvili, G., Rueda, O. M., Dunning, M. J., Speed, D., Lynch, A. G., Samarajiwa, S., Yuan, Y., Gräf, S., Ha, G., Haffari, G., Bashashati, A., Russell, R., McKinney, S., METABRIC Group, Langerød, A., Green, A., … Aparicio, S. (2012). The genomic and transcriptomic architecture of 2,000 breast tumours reveals novel subgroups. Nature, 486(7403), 346-352. DOI: 10.1038/nature10983
  12. Mertins, P., Mani, D. R., Ruggles, K. V., Gillette, M. A., Clauser, K. R., Wang, P., Wang, X., Qiao, J. W., Cao, S., Petralia, F., Kawaler, E., Mundt, F., Krug, K., Tu, Z., Lei, J. T., Gatza, M. L., Wilkerson, M., Perou, C. M., Yellapantula, V.,

以上はClaudeが作ってくれたものです。明らかに不要な文などを削除するなど、微修正はしましたが、吐き出された文章そのままです。

GEMINI (GOOGLE)で書いた科研費研究計画書

GEMINIに頼んだら、アウトラインを箇条書きにしてくれるのですがなかなか申請書っぽい文章にしてくれません。代筆させられるのをいやがっているかのようです。「上記はあくまで一例です。ご自身の研究内容に合わせて、より詳細な情報を加えてください。」とやたらと念を押してきます。それでもごり押しして、書いてもらいました。


表題案

  • トリプルネガティブ乳がんの新規表面マーカー探索と標的療法開発
  • TNBCの新規表面分子マーカー探索による治療戦略開発
  • AI駆動型新規マーカー探索によるTNBC克服
  • TNBC克服に向けた新規分子マーカー探索と標的療法

概要

トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、既存の治療法が限られ、予後不良な悪性腫瘍である。本研究は、この難治性のTNBCに対して、全く新しい治療戦略を確立することを目的とする。具体的には、最新のAI技術とオミクス解析を融合し、TNBC細胞表面に特異的に発現する新規分子マーカーを網羅的に探索する。同定したマーカーを標的とすることで、従来の治療法では効果が得られなかったTNBC患者に対して、効果的な治療が可能となることが期待される。本研究を通じて、TNBCの分子メカニズムを深堀りし、新規治療薬の開発へと繋げ、最終的にはTNBC患者の生存率向上に貢献する。本研究は、AIと生命科学の融合による革新的ながん研究であり、国際的な学術界において注目を集める。

(1)本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」

トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、乳がんの中でも特に悪性度が高く、治療が困難なタイプとして知られている。乳がんは、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2と呼ばれる3つの受容体によって、その性質が大きく異なる。TNBCは、この3つの受容体すべてが陰性であるため、ホルモン療法やHER2を標的とした治療が効きにくく、治療選択肢が限られている。

TNBCは、乳がん全体の約15~20%を占め、その予後不良性から、新たな治療標的の探索が急務である。これまでの研究により、TNBCは遺伝子変異やエピジェネティックな変化が非常に多様であり、その分子機序は複雑であることが明らかになっている。Lehmannらの研究(2011)は、TNBCがBL1とBL2という2つの主要なサブタイプに分類されることを示し、TNBCの分子多様性の深さを浮き彫りにした。さらに、Liuらの研究(2016)は、TNBCが腫瘍微小環境との複雑な相互作用を通じて進展することを示唆し、TNBCの治療標的探索の難しさを際立たせている。

このようなTNBCの多様性に対応するためには、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2が陰性であるTNBCに対して効果的な従来のホルモン療法や分子標的療法とは異なり、新規の表面分子マーカーを探索し、それらを標的とする新たな治療法の開発が不可欠である。従来の研究では、既知の癌遺伝子や腫瘍抑制遺伝子に焦点を当てられてきたが、TNBCの多様性から考えると、これらの既知の遺伝子だけでは、全てのTNBC患者をカバーできない可能性がある。そこで本研究では、AI技術を活用した網羅的なオミクス解析により、従来の解析手法では見つけることができなかった、TNBCに特異的な分子シグネチャーを同定し、「TNBCの多様な分子背景において、共通して発現が変動し、かつ治療標的となりうる新規表面分子マーカーは存在するか?」という学術的な問いに対する答えを見つけることを目指す。AI技術の進歩により、膨大なオミクスデータを解析し、TNBCの分子メカニズムのより深い理解を目指し、最終的には、TNBC患者の予後改善に貢献したい。

(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性

本研究の目的は、以下の3点です。

  1. 新規表面分子マーカーの同定: AI技術を用いた深層学習により、TNBC細胞表面に特異的に発現する新規分子マーカーを予測する。
  2. マーカーの機能検証: 同定されたマーカーの機能をin vitroおよびin vivoで検証し、その腫瘍形成における役割を明らかにする。
  3. 標的療法開発への応用: 同定されたマーカーを標的とする新規治療法の開発に向けた基礎研究を行う。

本研究は、TNBCの分子メカニズムの解明を深め、新規治療標的の同定を可能にし、最終的にTNBC患者の予後改善に繋がることを目指す。

学術的独自性と創造性

本研究は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の新規治療標的探索において、AI技術とオミクス解析を融合するという、極めて革新的なアプローチを採用する。従来のTNBC研究は、特定の遺伝子や経路に焦点を当てた探索が主流であったが、本研究では、AIの力を借りて、膨大なオミクスデータを網羅的に解析し、未知の分子マーカーを探索する。

具体的には、深層学習などのAI技術を活用し、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームなど、多層のオミクスデータを統合的に解析することで、TNBCに特異的な分子シグネチャーを効率的に抽出する。これにより、従来の手法では見つけられなかった、より精度の高いマーカーの同定が期待できる。

本研究の学術的な独自性は、単に既存の手法を組み合わせるのではなく、AIという新たなツールを導入することで、TNBC研究の新たな地平を開拓しようとする点にある。また、多層オミクスデータを統合的に解析するという点も、本研究の大きな特徴である。これらの独創的なアプローチにより、TNBCの分子メカニズムの解明を深め、最終的には、TNBC患者の生存率向上につながる新たな治療法の開発に貢献することが期待される。

さらに、本研究で得られた成果は、TNBCだけでなく、他の種類の癌の研究にも応用できる可能性があり、広範なインパクトを与えることが期待される。AI技術と生命科学の融合という学際的なアプローチを通じて、従来の枠組みを超えた新たな知見を創出し、がん研究に革新をもたらす可能性を秘めている。

(3)関連分野の研究動向と本研究の位置づけ

近年、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の分子標的療法開発に向けた研究が活発化しており、特にオミクス解析技術の進歩により、TNBCの分子多様性が明らかになってきた。従来の研究では、特定の遺伝子変異や経路に焦点を当てた探索が主流であったが、TNBCの多様性に対応するため、より網羅的な解析手法が求められてきた。本研究は、こうした研究動向を踏まえ、AI技術と多層オミクス解析を融合することで、TNBCの新規表面分子マーカーを探索するという、極めて革新的なアプローチを採用する。AI技術の進歩により、膨大なオミクスデータを解析し、複雑な生物学的ネットワークから、TNBCに特異的な分子シグネチャーを抽出することが可能になった。本研究の独自性は、AI駆動型マーカー探索、多層オミクスデータの統合解析、新規治療標的の開拓という3点に集約される。AI技術を活用することで、従来の手法では見つけられなかった、より精度の高いマーカーの同定が期待できるだけでなく、多層オミクスデータを統合的に解析することで、より包括的な分子プロファイルを構築し、TNBCの分子メカニズムの解明を深めることができる。最終的には、これらの成果を基に、TNBCに対する新しい治療法の開発に繋げ、患者生存率の向上に貢献することを目指す。本研究は、オミクス解析とAI技術を融合することで、TNBC研究の分野において、より網羅的で精度の高い分子標的探索を可能にするという点で、学術的な貢献が期待される。

(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか

本研究では、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の新規治療標的の探索を目的とし、以下のステップで研究を進める。

まず、トリプルネガティブ乳がん患者から手術で切除された腫瘍組織および対応する正常組織を収集し、RNA、タンパク質、代謝産物を抽出し、それぞれRNA-seq、質量分析、メタボローム解析を行う。これら高スループットなオミクス解析により、膨大な量の分子データを生成する。

次に、得られたトランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームデータを統合し、多変量解析を行うことで、TNBC特異的な分子シグネチャーを同定する。このシグネチャーから、TNBCと正常組織を識別できる特徴的な遺伝子、タンパク質、代謝産物を抽出する。

抽出された特徴量を用いて、深層学習などの機械学習モデルを構築し、TNBCと正常組織を分類するモデルを構築する。構築したモデルを用いて、TNBC細胞表面に特異的に発現している可能性のある新規分子マーカーを予測する。

予測されたマーカーの検証として、免疫組織化学染色やウェスタンブロッティングを用いて、腫瘍組織および正常組織におけるマーカーのタンパク質発現を評価する。さらに、ノックダウンや過剰発現実験を行い、マーカーの細胞増殖、浸潤、転移など、腫瘍形成における役割を評価する。

最終的には、予測されたマーカーを標的とする抗体医薬やペプチド医薬を設計し、in vitroでの評価を行う。また、独立した臨床検体を用いて、同定されたマーカーの臨床的有用性を検証し、バイオマーカーとしての活用可能性も検討する。

これらの実験を通じて、TNBCの新規表面分子マーカーを同定し、その機能を解明することで、最終的にはTNBCに対する新しい治療法の開発に繋げ、患者生存率の向上に貢献することを目指す。

(5)本研究の目的を達成するための準備状況

本研究は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の新規治療標的の探索を目的とする。この目的を達成するため、以下の準備を進めた。

まず、複数の医療機関と連携し、トリプルネガティブ乳がん患者の貴重な腫瘍組織および対応する正常組織の収集体制を確立した。これらの臨床サンプルは、本研究の基盤となる重要なデータである。次に、RNA-seq、質量分析、メタボローム解析といった大規模なオミクス解析を行うための設備とノウハウを有する研究機関との連携も進めている。これらの解析手法により、膨大な量の分子データを生成し、TNBCの複雑な分子メカニズムを解明するための基盤を築く。

さらに、深層学習をはじめとする最先端のAI技術を用いた解析パイプラインの構築を完了した。このパイプラインにより、膨大なオミクスデータを効率的に解析し、TNBCに特異的な分子シグネチャーを抽出することが可能になる。また、オミクス解析、AI、腫瘍学などの各分野の専門家と連携することで、より高度な解析と議論を行う体制を整えている。

これらの準備により、本研究は計画通りに進展し、トリプルネガティブ乳がんの新規治療標的発見に貢献できると確信する。具体的には、臨床サンプルの確保、高性能な解析機器の利用、最先端の解析ソフトウェアの導入、そして各分野の専門家との連携という4つの柱が、本研究の成功を支える基盤となっている。

(6)本研究がどのような国際性を有するか

本研究は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)という国際的な課題である疾患を対象とし、その成果は世界中の患者に貢献する可能性を秘める。

具体的には、世界各地の研究機関と連携し、多様な遺伝的背景を持つ患者サンプルを収集・解析することで、より普遍的な知見を得る。また、国際的な学会で研究成果を発表し、世界の研究者との議論を通じて、研究の質を高める。さらに、RNA-seq、質量分析、メタボローム解析など、国際的に標準化された解析手法を採用することで、研究成果の再現性と信頼性を高め、世界の研究コミュニティとの連携を強化する。

研究で得られた膨大なデータを、国際的なデータベースに登録することで、世界の研究者が自由にアクセスし、共同研究を促進する。これにより、TNBC研究の加速化に貢献し、世界的な医療の発展に寄与する。また、NatureやCellといった国際的な学術誌への論文投稿を目指し、研究成果を世界に発信する。これにより、本研究のインパクトを最大化し、世界のTNBC研究をリードする。

最終的に、本研究で同定された新規バイオマーカーや治療標的は、将来的に国際的な臨床試験に展開され、世界中のTNBC患者に新たな治療選択肢を提供する可能性がある。

このように、本研究は、国際的な共同研究、標準プロトコルの採用、データベースへの貢献、学術誌への発表、そして国際的な医療への貢献という多角的な側面から、高い国際性を有する。


GEMINIは、なんだか素直に言うことを聞いてくれなくて使いにくかったです。研究倫理の倫理観がかなり強めなのかもしれません。

生成AIで科研費申請書を作ってみた感想

生成AIがここまでやってくれるのだとしたら、自分の申請書作成のブラッシュアップに活かさない手はないでしょう。2025年の科研費の採否は、どの生成AIを使った人が勝つのでしょうか。

生成AIの弱点としては、大量の文書を読み込んでそれに基づいて出力していることから明らかなように、本当にオリジナリティの高いアイデアは提供してくれないはずです。そのため、生成AIを使ってかかれた科研費申請書は、どれも似たような物になる可能性が高いと思います。実際上の4つは、シンプルな依頼にも関わらず、研究の戦略はほとんど同じようなものになりました。もしみんなが生成AIを使って書いていたのだとしたら、今年、科研費を審査する人は、どれもそつなく書かれているけど尖ったところがないなという印象を持つのではないでしょうか。

そうはいっても、人間が考える場合でも世の中の潮流の影響を受けて新しい研究を着想するわけですから、人間が書いたからといってどれくらいオリジナリティがあるのかわかりません。生成AIのほうに分がないとも言えないでしょう。

日本語の文章の読みやすさに関しては、生成AIが圧倒的に有利だと思います。人間が書いた文章のように、文の始まりと文の終わりで呼応関係がうっかりズレたといった、しょうもないミスはまずしません。

文章の流れが十分論理的かというと、PerplexityもChatGPTもClaudeも情報を羅列気味であり、必ずしも論理的な流れがハッキリはしていません。人間が書いたほうが接続語などを効果的に使ってもっと論理的な流れがはっきりした文章が作れるだろうと思います。

なんの知識もない人間が一切労力もかけずに、この程度の申請書を書けてしまうのですから、今年度に応募者みんなが生成AIを使っていたならば、これらの文章がこれからの科研費応募書類の最低レベルということになるでしょう。

一個試しただけだと、たまたまということもあるので、別の研究テーマでも試してみました。こちらもご覧ください。

  1. 生成AIで科研費の申請書を書くことは可能か?生成AI利用の落とし穴 「全身エリテマトーデスに対する新規治療戦略に関して研究助成申請書作成のためのたたき台をつくってくれない?」

 

【豆知識】大学からJSPSへの送信後の原稿の差し替えは可能か?

【Q2207】 研究機関の担当者が研究計画調書の応募情報を電子申請システムで承認し日本学術振興会に送信した後に、研究者から研究計画調書の一部に誤りがあったとの連絡がありました。差し替えを行いたいのですが、どうすればよいでしょうか。

【A】 日本学術振興会が定めた研究計画調書等の提出(送信)期限(以下「学振受付期限」という。)より前であれば、日本学術振興会への提出(送信)後に研究機関担当者※により研究計画調書等(応募書類)を引き戻し、必要に応じた訂正、再提出を行うことができます。ただし、学振受付期限後に、研究計画調書等の引き戻し、再提出を行うことはできませんので、提出いただく前に十分確認をお願いします。なお、引き戻しを行った場合、一度提出した研究計画調書等であっても、最終的に電子申請システム上の応募状況が「学振受付中」となるまで日本学術振興会に提出されたことにはなりませんので、十分に留意してください。また、アクセスが集中して期限までに再提出が完了できない場合があるため、学振受付期限当日は引き戻しを行わないようにしてください。
※個人管理の研究種目の場合は、提出した研究者本人による引き戻しが可能です。https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_faq/kakenhi_faq.pdf

科研費の締め切り日時

公募期間

令和6(2024)年7月16日(火)~9月18日(水)午後4時30分(厳守)

令和7(2025)年度基盤研究(A・B・C)、挑戦的研究、若手研究の公募について 科学研究費助成事業(科研費) Grants-in-Aid for Scientific Research 公募情報 日本学術振興会

サイコロを1万回振ってみることの科学的・教育的な意義について

トレンドに「大数の法則」が入っていて、何かと思ってみたら、サイコロを1万回振ることの意義についての議論が活発に行われていました。

夏休にサイコロを1万回振った中学生

実際にやってみることの大切さについて

実験することの意義について

 

サイコロをふることと研究者の素養

サイコロの6個の目のうち最も出やすいのはどれか

夏休の自由研究 サイコロ振り実験のバリエーション

  1. 2019年度 サイエンス研究会 研究論文 国立大学法人 奈良国立大学機構 奈良女子大学附属中等教育学校 Nara Women’s University Secondary School サイコロの出る目の確率について、一般的な「くぼみのあるサイコロ」と「くぼみのないサイコロ」を使って確かめることにした。どちらのサイコロも振る回数が少ないときは確率にばらつきがあったが、回数が多くなるにつれて、それぞれの目の出る確率が一定の値に近づいていった。また「くぼみのないサイコロ」の方が各目の出る確率の差がとても小さくなることがわかった。 https://nwuss.nara-wu.ac.jp/media/sites/11/ssh19_04.pdf 

サイコロをふる小学生

サイコロをふる大学生

PC上でサイコロを振る人

サイコロを振った科学研究者

1万回は十分に多いのかについて

サイコロを1万回振ることのリアル

【自由研究】サイコロ一万回ふって統計とってみる【輪廻ヒロ】 輪廻ヒロ / Rinne Hiro チャンネル登録者数 118人

先駆者たち

サイコロを振らない人

2025年度科研費申請書新様式(6)どのような国際性を有するか をどのように書けばいいのか?について 

国際性が様式に追加

2025年度科研費から、申請書の様式に、(6)本研究がどのような国際性(将来的に世界の研究をけん引する、協同を通じて世界の研究の発展に貢献する、我が国独自の研究としての高い価値を創出する等)を有するか について具体的かつ明確に記述すること という指示が付け足されました。

ここをどう書けばよいのか戸惑い、悩んでいる人がたくさんいます。変更されてから初めての応募なので、どうのように書いた申請書が採択されたのかという情報がなく、正解がわからないのです。

国際性が評定要素に追加

単に、様式に(6)国際性が加わっただけというものではなく、それに対応して審査委員の評定要素に国際性が加わっていることに注意を要します。つまり、このセクションの記述に対して点数が付けられるのですから、おろそかにはできないのです。

国際性がない科学研究?

わざわざ国際性を書かせることに対して懐疑的な反応も多数見られました。科学研究の成果は、世界で一番だからこそ発表できるわけで、国際性がない研究という概念がそもそもあるのか疑わしいからです。

国際性をアピールしにくい研究

このような研究に配慮してか、指示のところには日本独自の研究の例も挙げられています。

(6)本研究がどのような国際性(将来的に世界の研究をけん引する、協同を通じて世界の研究の発展に貢献する、我が国独自の研究としての高い価値を創出する等)を有するか

国際性を評点とすることに関する感想・意見

国際性を書かせることになったウラ事情

(6)どのような国際性を有するか を書くにあたって、下記の資料は必読です。特に太字下線にした部分を読むと、今回の変更の意図が良くわかります。つまり(6)どのような国際性を有するか でアピールすべきことは、「国際共同研究加速基金」や「海外連携研究」の趣旨を反映したものであるべきだと言えるでしょう。

第 1 2 期 研究費部会 における科研費 の 改 善 ・充実及び 今後の 議論の方向性について( 中間まとめ ) 令和6年 6 月 2 4 日 科学技術・学術審議会 学術分科会研究費部会

①国際的に波及効果が高い学術研究の推進
(科研費(基盤研究)における研究の国際化等)
既に基盤研究等の枠組みでも国際競争力のある研究は数多く行われているところ、上記の環境の変化を踏まえ、「国際共同研究加速基金」として別枠で助成する仕組みではなく、審査によりそうした研究を見出し、助成する仕組みが必要である。
また、我が国の研究力の相対的・長期的な低下が懸念される中、現在の物価高や為替安等の厳しい社会情勢も踏まえ、研究者が国際競争力のある研究に十分取り組めるよう、応募額を尊重した研究費配分が望まれる。
このため、本部会及び振興会の学術システム研究センターにおける議論を踏まえ、「国際共同研究加速基金」について、その機能を勘案しつつ可能なものは段階的に「基盤研究種目群」等に統合していくこととする。その際、「基盤研究(B)」との間で実質的な差異がなくなった「海外連携研究」については、令和7年度助成から公募を停止し、速やかに「基盤研究種目群」等に統合することとする。
https://www.mext.go.jp/content/20240624-mxt_gakjokik-000036755_1.pdf

上の資料の経緯」を読めば、(6)国際性 をどう書けばよいかは明らかです。つまり、「基盤研究」に統合される「国際共同研究加速基金」と「海外連携研究」の趣旨を、基盤研究の様式の中で受け継いだのが(6)国際性 の部分なので、それらの趣旨を意識して書けばいいのです。

国際共同研究加速基金

国際先導研究 我が国の優秀な研究者が率いる研究グループが、国際的なネットワークの中で中核的な役割を担うことにより、国際的に高い学術的価値のある研究成果の創出を目指す。ポストドクターや大学院生の参画により、将来、国際的な研究コミュニティの中核を担う研究者の育成にも資する。(7年間(10年間までの延長可) 5億円以下)

国際共同研究強化 科研費に採択された研究者が半年から1年程度海外の大学や研究機関で行う国際共同研究。基課題の研究計画を格段に発展させるとともに、国際的に活躍できる、独立した研究者の養成にも資することを目指す(1,200万円以下)

海外連携研究 複数の日本側研究者と海外の研究機関に所属する研究者との国際共同研究。学術研究の発展とともに、国際共同研究の基盤の構築や更なる強化、国際的に活躍できる研究者の養成も目指す(期間3~6年間 2,000万円以下)

帰国発展研究 海外の日本人研究者の帰国後に予定される研究(期間3年以内、5,000万円以下)

(6)国際性の書き方に関するアドバイス

 

ポスドク(博士号取得者)の企業への就職支援に国が本腰

 

  1. 博士の就職支援を強化、政府が企業向けに手引作成へ…採用ゼロの企業が76・6% 8/23(金) 5:01配信 687 コメント687件 読売新聞オンライン YAHOO!JAPANニュース
  2. 博士人材の就職支援、産学官で手引き策定へ 経産省 2024年8月23日 22:18 [会員限定記事] 日本経済新聞  経済産業省は博士号をもつ専門人材の就職を支援するための手引書を2024年度末をめどにまとめる。

 

 

  1. ポストドクター等の雇用・育成に関する ガイドライン (30ページ PDF mext.go.jp)令和2年12月3日 科学技術・学術審議会 人材委員会

scienceandtechnology.jp

August 18, 2024

科研費は公的研究費なので、科研費応募を予定する研究者はコンプライアンス意識をしっかりと持つことが要請されています。そのため、研究倫理(公的研究費のコンプライアンス)教育のための講習動画を視聴する義務が課せられています。

日本の大学の研究者の給料は、その業績に比べると大したことがなくて非常にバランスが悪いことがあります。ノーベル賞級の仕事をしている大学教授と、論文をろくに書かない学大教授の給与体系が基本的には同一なわけです。しかし、獲得する研究費は2~3桁も違っています。

研究費の金額にかかわらず、研究費を正しく使うことが重要で、文科省からガイドラインが出されています。

  1. 研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)(令和3年2月1日改正) 文部科学省

研究費の不正使用が明らかになった場合には、文科省のサイトでその内容が公開される場合があるようです。

    1. 東京大学における公的研究費の不正使用について
    2. 早稲田大学における公的研究費の不正使用について
    3. 福島大学における公的研究費の不正使用について
    4. 鹿児島大学における公的研究費の不正使用について
    5. 北陸先端科学技術大学院大学における公的研究費の不正使用について
    6. 四天王寺大学における公的研究費の不正使用について
    7. 福岡教育大学における公的研究費の不正使用について
    8. 名古屋大学における公的研究費の不正使用について

研究費不正の典型的な事例は、カラ出張でしょう。出張していないにも関わらず出張旅費を請求して、研究費を自分の懐に入れるというものです。自分が学生の頃(数十年前)は、カラ出張で小銭を貯めてそのお金で学部学生の学会旅費をねん出するということが比較的広く行われていたということをうわさで聞いたことがあります。しかし現在は、公的研究費の使途の自由度が高められており、研究室の運営のためにカラ出張をする必要はほとんどなくなってきているように思います。

カラ出張でなく、研究業務目的で出張はしたが、交通費や宿泊料を「浮かせる」という不正もあります。ホテルに泊まったことにして友達の家に泊めてもらい宿泊料を請求するのは不正行為になります。ただし、通常は大学が研究者に対して「ホテルが発行する宿泊証明書」の提出を義務付けていることが多いので、この手の方法は通用しないことが多いと思います。また、大学側が研究者に対して、出張先での学会参加など用務を行った証拠(当日配布されるプログラム、学会参加証、現場の写真など)の提出を求めることも多いと思います。何であれば証拠とになるかは絶対的なものがないため、悪意をもった不正を大学事務が完全に防ぐのは難しく、研究者本人の高い倫理観が求められます。

出張用務の証拠提出に関しては、大学ごとにローカルルールがあるようです。

巧妙な不正行為を行う人間が出てくると、それを防止するために研究者には余計な義務が課せられるようになるので、どんどん研究に関するつまらない業務が増えていって肝心の研究に影響しかねないというのが、問題です。

研究費不正でありがち?なものは、PCなどを研究目的以外で購入することです。これに関しては、防止策が徹底されてきており、必ずしも高額でなくても監査においてちゃんとその物品が研究の現場に存在するかが定期的に調べられることが多いと思います。換金性が高く、汎用性が高いデジタル機器に関しては、購入や管理に関してはかなり厳しいルールが大学によって定められていてそれを遵守することが研究者に求められているということが、多いと思われます。

なぜ不正が起こるのか?倫理講習でよく紹介されているのが、「不正のトライアングル」と呼ばれるもので、①機会②動機③正当化という、不正リスクの3要素の存在が提唱されています。

①機会:研究者は巨額の研究費を自分の判断で自由に使える立場にあり、

②動機:プライベートもしくはラボの運営にあたって、お金が何かと足りないので、自由に使えるお金が必要という動機があり、

③正当化:研究者は安い給料で世界の最先端の仕事をしているので全く正当に報われていない、もっと報われるべきだという意識がある

ことから、研究不正がなくならないのかなと勝手に想像しています。まあ一番の理由は、倫理感も持っていない人間が研究業界に紛れ込んでいるからでしょう。

公的研究費を私的流用すると、むこう10年間、公的研究助成への応募ができなくなるという罰則があります。

  1. 研究費の不正使用、研究活動における不正行為の防止について https://www.mext.go.jp/content/1395971_01.pdf

これは研究者生命が絶たれるくらいの重さだと思います。私的流用は、金額の大小にかかわらないというのが要注意で、金額が小さいとこれくらいならと思う人がいるかもしれませんが、その代償は非常に大きなものになります。また、不正行為を働いた研究者の氏名は公表されてしまうので、次の職探しに影響する恐れがあります。もちろん悪質な場合は、刑事事件として処理される恐れがあります。

  1. 東大教授を詐欺容疑で逮捕
  2. 東工大生命理工(元)教授が研究費を私的流用

また、研究室主宰者には部下の不正に対する監督責任もあります。そのため、善管注意義務の違反によりペナルティが下される恐れもあります。

不正使用を行った研究者に対する応募資格の制限等について

平成24年度の「競争的資金の適正な執行に関する指針」の改正において、特に悪質な不正使用の事案に対しては厳しく対処するとともに、不正使用の内容に応じて、応募資格を制限することとした。

不正使用の程度と応募制限期間:善管注意義務違反を行った研究者 善管注意義務を有する研究者の義務違反の程度に応じ、上限2年、下限1年 https://www.mext.go.jp/content/1395971_01.pdf

研究者としては、何が研究費不正になるのかを正確に理解しておくことが重要で、研究者としては些細だと思たことでも、不正行為と認定される恐れがあります。故意か過失かでいえば、たとえ過失であっても「重大な過失」と判断されると不正に該当してしまいます。故意の場合、私的流用は論外としても、ことなる研究テーマに用いると目的外使用とみなされる恐れもあります。複数の研究テーマの線引きは難しいことが多いのですが、注意が必要です。事前に大学事務に相談しておけば不正にならずにルールにのっとって正しく使える方法が見つかる場合もあるので、まずは大学事務に相談すべきでしょう。

研究費不正の代表格は、業者とグルになって預け金をつくることです。これは、研究期間をまたぐための苦肉の策だと思いますが、いまどき、科研費は使い方がかなり柔軟になってきており、このような不正をする必要がそもそもなくなってきていることが多いと思います。

カラ謝金というのも不正使用の典型で、自分のラボの学生が働いたことにして謝金を出し、実際には学生には渡さずに教授がそのお金をプールして別の目的に使うというのが、大昔はあったと聞いたことがあります。そうやってプールしたお金をラボのために使ったとしても不正であることには変わりはありません。時代が変わると不正に対する考え方や捉え方も180度変わることがあるので、要注意です。

注意すべきは、自分の研究グループのためにという目的であっても、不正にお金を還流させると不正とみなされてしまうということです。どんな理由でも正当化されることはありません。

研究不正の典型としてもうひとつあるのが、「期ずれ」と呼ばれるものだそうです。今年度の予算がもうなくなってしまったけどどうしてもその研究機器が今年度必要だから、納品だけ今年度にしてもらい、支払いは来年度にまわしてもらう。あるいは逆に、今年度予算が余ってしまったのだが、来年度どうしても必要な研究装置があるので、支払いだけ先に今年度済ませて実際の納品は来年度にしてもらうというものです。どっちもアウトで、立派な研究費不正になります。

通常おつきあいのあるまともな業者なら、代償が大きすぎるこういった研究不正に手を貸すことはないでしょう。

参考

  1. https://www.mext.go.jp/a_menu/kansa/08122501.htm
  2. https://www.mext.go.jp/a_menu/kansa/houkoku/1343904_21.htm

科研費で何を買っていいのか、何は買えないのかは研究者が一番知りたいことですが、それに関しては制度によって明確な線引きをしているわけではないので、実際には制度を運用する大学のローカルルールが優先されることになります。

【Q41071】 どういった経費に科研費の「直接経費」として使用することができるのか、支払の可否をリスト化することはできないのでしょうか。

【A】 科研費からの経費支出に当たっては、経費を支出しようとする事柄(「物品」や「料金」等)そのものに着目して支出の可否を判断するのではなく、「当該経費の支出が科研費の研究遂行上必要かどうか」といった観点で可否を判断することになりますので、単純にリスト化することは困難です。例えば、同じパソコン代金の支払いであっても、科研費の研究遂行上必要であれば代金を科研費から支出することができますが、科研費の研究遂行上必要ない場合は目的外使用に当たるため科研費から支出することはできません。https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_faq/kakenhi_faq.pdf

公的資金の使途に関してはある程度の柔軟性が認められるようになってきています。

【Q4411】 共用設備を購入する際、当初予定していたものと同程度の設備を購入しなければならないのですか。

【A】 複数の補助事業において合算して共用設備を購入することで、当初予定していた設備よりも高額でハイスペックな設備を購入することも可能です。

特に、「目的外使用」に関しては概念的な変更がなされていると思います。

【Q4413】 科研費以外の研究者も使用する前提で科研費による共用設備の購入は可能でしょうか。また、科研費共用設備に関する研究機関のルールを定める際に、どのようなことに留意したらよいでしょうか。

【A】 共用設備は、各補助事業の遂行に支障のない範囲で、他の研究のためにも使用されることが望ましいと考えられます。したがって、科研費以外の研究者も使用する前提であっても科研費による購入は可能です。また、この場合、科研費以外の経費(運営費交付金など科研費との合算使用を認めている経費)を加えて購入することも可能です。 各研究機関においては、研究機関内において共用設備が有効に活用されるよう、その使用方法や管理方法などについて適切にルールを定めてください。

【Q4414】 科研費と他の研究費制度の経費を合算して共用設備を購入することはできないのでしょうか。

【A】 科研費と他の研究費制度による共用設備の購入については、科研費以外の競争的研究費制度で合算使用が認められ、科研費による研究に支障が生じない場合には合算使用が可能です。令和2(2020)年度より、合算使用が可能な対象制度が拡大されました。詳細は、以下の申し合わせを確認してください。 「複数の研究費制度による共用設備の購入について(合算使用)」(令和2年3月31日資金配分機関及び所管関係府省申し合わせ) https://www.mext.go.jp/content/20200910-mxt_sinkou02-100001873.pdf

https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_faq/kakenhi_faq.pdf

 

合算使用制限の例外が認められるのは以下の四つの場合です。
①直接経費に、使途に制限のない他の経費を加えて補助事業に使用する場合
②直接経費と使途に制限のある他の経費(科研費以外)を加えて、他の用務と合わせて1回の出張を行う場合や、他の用途と合わせて1個の消耗品等を購入する場合などに、補助事業に係る用務や、補助事業に用いる数量分を明らかにした上で使用する場合
③直接経費に他の科研費を加えて、各事業の負担額及び算出根拠を明らかにした上で、補助事業に使用する場合
④直接経費に、共用設備の購入が可能な制度の経費を加えて、各事業の負担額及び算出根拠を明らかにした上で、共用設備を購入する場合 

日本学術振興会 科研費FAQ https://kakenhi.jsps.go.jp/

 

【Q44071】 科研費で購入した実験装置は、研究期間が終了した後も、別の研究等で使用することは可能でしょうか。

【A】 可能です。科研費により購入した設備等は、購入後直ちに研究機関に寄付することとしていますので、研究期間終了後も、研究機関の定めに従い、別の研究等で使用することは差し支えありません。 また、科研費が交付されている研究者個人のみではなく、有効利用・有効活用の観点から、所属研究機関外の研究者を含め他の研究者の研究に使用することを可能にするなど、積極的に設備の共用化を図ってください。なお、令和2(2020)年度以降に購入する設備等については、研究課題の研究期間終了後(補助事業を廃止した場合も含む)5年間は、【Q4405】のとおり取り扱うこととなります。

https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_faq/kakenhi_faq.pdf

科研費の使用にあたっては、「基金」と「補助金」の区別が大事です。研究者はあまり普段意識しないかもしれませんが、事務処理上大きな問題になります。補助金は年度ごと、基金は研究機関をまたいでOKというのが基本です。

質問番号 Q4439

質問 年度をまたいでの出張を行う場合に、科研費から旅費を支出できますか。

回答 科研費(補助金分)にあっては、年度をまたぐ旅費のうち当該年度分を支出することはできますが、次年度に係る出張の経費を、前年度の補助金から支出することはできませんので注意してください。一方、科研費(基金分)にあっては、年度をまたぐ支出について制約はありませんので、旅費を年度によって分けて支出する必要はありません。 https://kakenhi.jsps.go.jp/

特に海外の学会では、懇親会でアルコールが提供されることが多いと思いますが、科研費でアルコール飲料を購入するわけにはいかないため、この可否が問題になります。懇親会費用のうちアルコール飲料代とその他を分けた明細を出せと事務にいわれたことが自分はありますが、学会主催者に問い合わせてもだいたいそういうことまでは対応してもらえません。これに関してもルールの適用に時代の変化があるかもしれませんので、最新のルールやルールの実施基準を確認することが大事です。

質問番号 Q4474

質問 学会への出席にあたって、学会参加費の中に夕食のレセプション(アルコール類も提供される)費用が含まれており、この部分だけ切り離すことはできないとのことでした。こうした場合に、学会参加費を科研費から支出することはできませんか。

回答 学会参加費の中にその費用が組み込まれ不可分となっているようなレセプションは、学会活動の一環として企画されていると考えられますので、その際にアルコールが供されるか否かを問わず、参加費を科研費から支出することは可能と考えます。なお、実際には、様々なケースがあると思われますので、社会通念上、学会活動を超えるようなケースまで支出を可能とするものではありません。https://kakenhi.jsps.go.jp/

上の回答は微妙で、実際には大学の判断・ローカルルールに従うことになるのだろうと思います。

 

成功は、小さな努力の積み重ね

平凡なこと、些細なこと、それを積み重ね積み重ねて、そのうえに自分の知恵と経験を加えていく、それではじめて、成功をすることができる。うん、成功は小さい努力の積み重ねやね。(松下幸之助)
https://toyokeizai.net/articles/-/58607

どのような分野であっても、すばらしい成果を見出すまでには、改良・改善への取り組み、基礎的な実験やデータの収集、足を使った受注活動などの地味な努力の繰り返しがあるのです。(稲盛和夫)https://www.kyocera.co.jp/inamori/about/thinker/philosophy/words12.html

下の数式のように、前日比で今日1%向上するということを1年間365日続けると、最初よりも38倍も能力がアップすることになります。

1.01^365=37.78 (日曜数学者 柚子)
https://note.com/yuzu_mathlove/n/n07a7a972cf2e

小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道(イチロー)
vitup.jp

目に優しいデジタルペーパー(電子ペーパー)製品比較 今から買うならコレ!

自分は普段、ソニーの電子ペーパーDPT-RP1でPDFの書類を読んでいますが、文書が表示された状態で電子ペーパーを机の上に置いておくと、知らない人が見たとき「紙かと思った。」という驚きの声を上げます。それくらいパッと見が紙のようです。実際、ペンでの書き味も紙に似せられています(つるつるでなくざらっとした感じがある)。長いことお世話になってきたソニーの電子ペーパーDPT-RP1ですが、最近、電源ボタン部分が怪しくなってきました。枠の部品が少し浮いてるせいで、電源ボタンが陥没気味で押しにくくなってしまったのです。そろそろ買い替えどきかなと思います。

白黒の電子ペーパー

カラーの電子ペーパーがあれば即買いですが、残念ながら市場にあるのは白黒がほとんどです。

ソニーの電子ペーパー

ソニーストアではも販売終了していますが、アマゾンではまだ売られています。

  • ソニー DPT-RP1 A4サイズ 重量:349g 実売価格:99,800円(アマゾン)

ソニーが電子ペーパーから撤退するのは非常に残念なことです。今後カラー化すればさらにマーケットは拡大するだろうに。PCのモニタは目を痛めるので電子ペーパーがいい。論文を読むのでA4がいい。書籍や資料なども多量に読みたいし、手書きメモも取りたい。そんな研究者にとっては素晴らしいツールだと思うのですが。研究者は、本当に仕事に役立つなら研究費で電子ペーパーを買うので、一般消費者には買いにくい高額な価格設定であっても売れると思います。

Adventures with SONY Digital Paper Constructive criticism  I maintain this list because the SONY DPS has quite literally changed the way I work for the better, and I have become fully committed to helping SONY produce the best possible second version of this device.
https://www.phys.hawaii.edu/~kcroker/sonydps/#wishlist

電子ペーパーSONY DPT-RP1は数学者にとって便利な道具ですが, …
How to Use SONY DPT-RP1 on Linux(SONY DPT-RP1をLinuxで使う方法)

Here we introduces a python command tool dpt-rp1-py to operate DPT-RP1 on Linux.
Everything About DPT-RP1 When Using LINUX

もう先がない製品を買うのもいやなので、別のメーカーの電子ペーパーを探してみようと思いました。現行品があるのは、富士通のQUADERNOくらいしかなさそうです。写真で見る限り、見た目はソニーとほぼ同じ。

富士通 QUADERNO クアデルノ

クアデルノは楽譜を見るのにも使えるみたいです。bluetoothのフットペダルで譜めくり可能。これは、便利層。ソニーの電子ペーパーを長いこと使ってきましたが、譜面を見るのに使おうという発想がなぜか浮かびませんでした。

  • 楽譜に書き込み 楽器演奏のポイントを楽譜に書き込み A4サイズの大画面なので楽譜の大きさにも最適です。楽譜の細部までクッキリと見えます。練習中に気になったポイントや指揮者の指示などを手書きで書き込むこともできます。

論文を読むならA4サイズが必須なのですが、ソニーも富士通も白黒というのがネックです。ところで、電子ペーパーもカラー化の波が来ています。

上の記事を書いたときはまだ発売前でした。その後発売されたようですが法人向けに販売のみであり、2024年8月現在、まだ個人消費者向けの市場に出てないみたいです。

カラーの電子ペーパー

Linfiny

個人消費者のニーズがあるのに、法人向けのみの販売に限定されているのは、残念。商品を開発した株式会社アイオイ・システムは、物流の会社でそもそも個人消費者向けの商品をつくっている会社ではないからというなのでしょう。

電子ペーパーの書籍リーター

Onyx社

自分もOnyxという会社名もBOOXという製品名もあまり馴染みがありません。

残念ながらOnyxって聞いたことがない人が多いんじゃないでしょうか。残念、というのはここ数年、Onyxはメジャーなブランドが恥ずかしくなるくらいすごい機能・性能の電子書籍、電子メモデバイスを作り続けてるんです。

Kindleも他のアプリも入れられる電子書籍リーダー「Onyx Boox Leaf 2」 2022.12.06 20:00 26,845 author Andrew Liszewski – Gizmodo US[原文]( 福田ミホ )

Onyx社のBOOXの製品も気になります。電子ペーパーというより書籍リーダーという触れ込みで、その分、重量も他社製品より重め。ソニーの349gの電子ペーパーは知らない人にも持ってもらうと「軽い!」という反応が多いです。キンドルスクライブは433gですが、正直、「重い」と思います。10.2インチという小ささなのに433gもあると、電車で手で支えて持つとき「重くて面倒」という気持ちになります。重いと思うかどうかは「サイズに対して」という部分も入ってくるので、13.3インチ(A4サイズ)だと、こんどは「大きくて重い」という印象になりそう。現物を触ったことがないのでなんとも言えませんが。何と比べるかにもよるので、1kgを超えるノートPCと比べれば「軽い」と思うでしょう。

  • BOOX Tab X GPU搭載13.3インチ電子書籍リーダー Androidタブレット OS:Android 11 メモリ:6GB 価格¥148,000 A4サイズ13.3インチ 重量:560g (アマゾン)(sktnetshop.com)

自分は普段アマゾンのキンドル書籍を買って読んでいるので、キンドルが読めない電子書籍リーダーはまったく自分には不向きです。BOOXでキンドルが読めるならBOOXが「次に欲しいものリスト」のトップにきそう。メモリ6GBというのはちょっと少なくて不安があります。外部メモリも使えなさそうなので、ヘビーユーザーだと容量が不足しそう。

 

アマゾンキンドルスクライブ

アマゾンキンドルはキンドル書籍が読めて、電子ペーパーとしても使えます。しかし一番大きい画面でも10.2インチのサイズしかないのが、電子ペーパーでA4サイズの資料を読みたいには不満なところ。A4サイズのPDFをもちろん10.2インチのモニター上に表示はできますが、やはり文字が小さくなるので、若い人はともかく年齢が高い人(老眼が始まっている人)にはつらいでしょう。

キンドル書籍は図や写真が載っている場合はカラーのものが多いですが、キンドルスクライブは白黒の電子ペーパーE-inkを利用した製品なので、白黒でしか表示されません。これも残念なところ。

  1. Kindle Scribe キンドル スクライブ (64GB) 10.2インチディスプレイ 手書き入力機能搭載 プレミアムペン付き 販売価格例:59980円(アマゾン)

 

自分が欲しい電子ペーパー・電子書籍のスペック

A4サイズの電子ペーパーと10.2インチサイズのアマゾンキンドルスクライブの両方を持ち歩くのは面倒なので、個人的には、

  1. A4サイズ(13.3インチ)の画面で、
  2. 色鮮やかなカラーの、
  3. メモリは本体数百GB以上で、外部メモリも大容量のマイクロSD(500GBや1TB)が使える、
  4. 軽くて上部で持ち運びしやすい重量が400g以下で、
  5. リアルな紙とペンの書き心地の、
  6. PDFのやりとりをいちいちUSBケーブルをつながなくていい、
  7. できればPDFだけでなく他の電子書籍のフォーマットや、マイクロソフト・オフィスのワードファイルまで読める、
  8. 電池が長持ちする(2週間以上はもつ)、
  9. ペンのほうは充電不要な、
  10. ページめくりがなめらかで、1000ページ超の書籍でも読みたいところがすぐに探せる(前回読んだところ、付箋をはったところ、しおりを挟んだところ、書き込みしたところ、ハイライトしたところ、線を引いたところ、検索した結果など)、
  11. アマゾンキンドルスクライブもしくはキンドル書籍が読める電子書籍リーダー

が出てきてほしいです。

 

電子ペーパーのPCモニター

電子ペーパーは「紙」の代用だけでなく、PCモニタの代用としても使う製品も市場にあるようです。

  • BOOX Mira,13.3インチ EInk 電子ペーパーディスプレイ(アマゾン在庫なし)
  • 13.3inch E Inkモニター 1134,489円(アマゾン)

科研費の採否はここで決まる!研究計画調書(申請書)の書き方~項目別実践的攻略ポイント~

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巷には、多数の「科研費申請書の書き方ノウハウ」があげられています。知らなきゃ損、見なきゃ損、実践しなきゃ損です。

【2023年度研究会】研究費獲得のための申請書の書き方~あなたも獲れる100万円(研究費)~【東京栄養疫学勉強会】 東京栄養疫学勉強会 東京栄養疫学勉強会 チャンネル登録者数 2060人

科研費申請書の書き方のノウハウが巷に溢れているのに、不採択に悩んでいる人ほど、こういうのに疎い。見てもそれを自分の申請書に落とし込めない。必要なのは国語力。だが自分の国語力に自信が持てず、AIの言いなりになって、文章の中身と表現とが乖離していることに気付けない。小学国語からが早道。

国語力に自信がない方へ

科研費計画調書は日本語で書くので、日本語に自信がないというのは致命的です。とくに、接続語の使い方が怪しい人、具体的に書けない人、逆に、抽象化した記述が苦手な人、論理的に書けない人、メリハリのある日本語の文章が書けない人、言語化がとにかく苦手な人、そういう人たちは小学校からやり直したほうがいいです。小学校の国語から勉強しなおすのに最適な参考書がコレ。

親必読!難関中学への合格者続出! 「本当の国語力」が驚くほど伸びる本: 偏差値20アップは当たり前! 2009/7/18 福嶋 隆史(アマゾン)

いい歳した大人が小学校の国語の勉強からやりなすなんて、プライドが許さない?そんな大人の人向けに、内容は基本的に同じですが大人が読んでいて恥ずかしくないように装いを新たにしたバージョンもあります。

言葉を自在に操るための論理思考トレーニング 考えていることが正しく伝わる、シンプルで確実な方法 「ビジネスマンの国語力」が身につく本 2010/12/11 福嶋隆史 (アマゾン)

上の本は文字数は少なくて1時間弱で読めますので、科研費申請書が書けず煮詰まったときに読むと、劇的な効果があります。なぜ自分が書いた申請書が読みにくかったのかがハッキリと説明できるレベルで理解できるようになるでしょう。

 

書く態度について

申請書を書く以前の話として、伝えようとする態度の問題があります。「伝わるだろう」ではなく、「伝わらないかもしれない」と謙虚になって、自分の態度を振り返るところから始めるのがいい。

同じ専門分野同士でもわかってもらえていないことのほうが圧倒的に多い。

内容がすばらしいかどうかの前に、読んでわかるかどうかが採択される大きな条件

実は自分がわかりにくい文章を書いていることに気づかずに「これでいい」と思っている研究者は多い

「科研費が採択されない人」が陥りがちなNG思考 2022.02.02 分析計測ジャーナル

 

科研費申請書の書き方には、厳然とした守るべき「作法」が存在すると同時に、審査委員を納得させることができるのならどう書いてもOKという「自由さ」とがあります。科研費になかなか採択されずにいる研究者は、とりあえず作法を守るために「型」にはまった書き方をマスターするのがいいと思います。

2025年度科研費の様式は、基盤研究(C)は(6)国際性が追加され、(3)にあった「着想に至った経緯」が(1)に移動するなど、少なからぬ変更がありました。そのため、何をどう書けばいいのか戸惑っている人も多いようです。

生成AIによる査読の勧め

時代が変わりいまや生成AIになんでも頼めるようになりました。科研費の申請書も一人で悩まずに、チャットGPTやクロード(Claude)やジェミニ(Google Gemini)に査読させてみましょう。プロンプトを適切なものにすれば、かなり有用な助言が得られます。

 

生成AIに頼らず自分でチェック・改訂することの勧め

生成AIはまだ(2025年現在)、万能ではありません。へたに生成AIに文面を作らせると、AI臭い文章になって、審査委員の心証を悪くする恐れもありますので、過度の依存はやめましょう。

2026年現在、AIはだいぶ進化していますが、それでも、まだまだです。壁打ちには良くても、自分で考えることを放棄して鵜呑みにしてしまったら大変なことになりかねません。

 

他人の申請書を見せてもらうことの勧め

最近は多くの大学で、その大学で採択された課題の実験計画調書を学内で閲覧できたりするようです。そういう恵まれた大学にいない人は、知り合いのつてと頼ったり、ネット上でおおらかにも申請書の例を出してくれている人のものを参考にしたりできます。

注意:以下は、自分(本ウェブサイト管理人)個人の考えであり、自分の過去の科研費採択経験(生物系の基礎研究、少額の研究種目、研究代表者としての生涯獲得総額は数千万円)、同僚や先輩、その他の人たちの採択調書から学んだこと、さまざまな書籍の内容、ウェブ上の情報、大学で開催された科研費セミナーで聞いた内容、科研費の審査をしたことがあるという先生から聞いた話などを自分なりに総合的にまとめた結果です。書籍やセミナーの内容が自分の考えとは多少ズレると思ったこともありますので、ここにまとめたことが絶対正しいわけでも、全ての科研費応募者に当てはまるわけでもありません。書き方のヒントになれば幸いです。研究内容や書きかた次第で、それぞれのセクションの分量の割合は大きく変わってきます。全体としての整合性、一貫性があることが大事です。

 

1 研究目的、研究方法など

科研費研究計画調書の様式はちょっとずつ変更されてきました。今年度(2025年度科研費)は、また少し変更がありました。基盤研究(C)の場合、「1 研究目的、研究方法など」を4ページにわたって書くことになりますが、書くべき内容が指示されており、

本文には、
(1)本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」、
(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性、
(3)関連分野の研究動向と本研究の位置づけ、
(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか、
(5)本研究の目的を達成するための準備状況、
(6)本研究がどのような国際性(将来的に世界の研究をけん引する、協同を通じて世界の研究の発展に貢献する、我が国独自の研究としての高い価値を創出する等)を有するか
について具体的かつ明確に記述すること。

との指示が様式の上部にあります。新たに(6)国際性についての記述を求めているのが目を引きます。また、いままで(3)の中にあった「本研究の着想に至った経緯」が、(1)の中に移行しているのも要注意です。

(1)本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」

さてこのセクションには何を書けばいいのでしょうか?「学術的背景」として何を書くかを考える際の手がかりがあります。それが、もう少し具体的な指示として、様式の真ん中の「留意事項①」に書いてある、

学術の潮流や新たな展開などどのような「学術的背景」の下でどのような「学術的『問い』」を設定したか、

という文言。これを解釈するに、学術的な問いが生まれた妥当性を書けばよいでしょう。審査の観点として、

学術的な意義や独自性、創造性など学術的重要性を評価する

と留意事項①に明確に説明されています。つまり、学術的問いの重要性の説明が求められているわけです。問うに値する面白い問いなのかどうか?ということです。そもそも学術的問いとは何なのか?研究目的とどう違うのかという点に関して、自分の研究テーマに沿って自分の考えをまとめておく必要があります。

申請書を具体的にどう書けばいいのかというと、通常の論文のイントロダクションの書き方が参考になります。まず「何」についての研究なのかを述べて、それに関して何がすでに「わかっていること」なのか、そして何がまだ「わかっていないこと」(=学術的な問い)なのか、なぜそのわかっていないことを知ることが重要なのかを書きます。そして、その「わかっていることとわかっていないことの間のギャップ」を「どうやって」自分が埋めるのか(=研究目的)、そのようなアプローチをどのように発想したのか(=着想に至った経緯)を書きます。

論文を書くときのノウハウで申請書の文章を書こうとしたときに、ここで少しやっかいな問題があることに気づきます。学術的な問いというのはその研究領域における大きめのクエスチョンであったほうがよいわけですが、自分のアプローチまで書いてしまうとそれはもうすこし具体的な「研究目的」になってしまい、研究目的を書くセクションはその次の「(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性」になるという点です。話を具体的に絞り込んでからまた広げなおすと話が戻ってしまったことになり、流れが悪くなります。文章の流れとしては一方向に流れていてほしいわけです。前年度までは、「本研究の着想に至った経緯」は(3)のセクションにあったので、まだ書きやすかったように思いますが、「着想」、特に、研究アプローチ(方法論)に関する着想を(1)の中で書くとなると「研究目的」まで(1)で言及したほうが自然な流れが作りやすいかもしれません。

科研費は人文科学から理学、医学、工学など全く異なる研究領域を対象にするため、研究のスタイルは非常に多様です。しかし科研費の様式はすべての研究領域に対応して1つしか用意されていないので、応募者が自分の研究領域に合わせて、あるい程度柔軟に対応することは許容されると思います。ただし審査の観点は公開されているのでそれを外した書き方は不利になります。何をどう書いているのか意図が明確であれば自由に書いてよいのだと思いますが、例えば、

研究テーマのトピックの提示→わかっていること、わかってきたこと、最近の進展やブレークスルー→それでもまだわかっていないこと→それをわかる必要性、喫緊性→学術的問い→問いに答えるための自分なりのアプローチ(研究目的)の着想(=着想に至った経緯)

という順に書いていくのが一法でしょう。「本研究の着想に至った経緯」が(3)から(1)に移動したというのは実はかなり大きな変更点であり、「何の着想」なのかまで変わってしまった可能性があります。「研究目的を設定するに至った着想」なのか、「学術的な問いを設定するに至った着想」なのか、というあいまいさ、多義性があります。「本研究の着想に至った経緯」を書けという指示を、学術的な問いを設定するに至った経緯と解するのであれば、

研究テーマのトピックの提示→わかっていること、わかってきたこと、最近の進展やブレークスルー→それでもまだわかっていないこと→それをわかる必要性、喫緊性(=着想に至った経緯)→学術的問い

となります。学術的な問いと研究目的との関係をどうするかで書き方が変わってくるでしょう。抽象度ー具体性 という観点で、問い>>目的 とするか、問い>目的 とするか、 問い~目的 とするかは、研究内容によるでしょう。問い=仮説とするか、目的=仮説(の検証)とするかも、研究領域や研究内容によって自由度があるのではないかと思います。

研究者によって各セクションにどれくらい詳しくどれくらいの量を書くかは、異なるでしょう。異なっていてよいのだと思います。ただし大事なことは、書く意図を明確にすることです。応募者がどういう意図で申請書を構成したのかにまぎれがなければ、スタイルが多少違っても審査委員によっては読みやすいものになるはずです。

重要なことは、このセクションを書く目的は何かを意識することです。すべての文章にはその文章を書く目的があります。背景の文章を書く目的は、応募者が学術的問い(もしくは研究目的)を設定した理由を審査委員に納得させることです。

ここで大事なのは「客観性」であり、客観的であることとはすなわち、すべての主張に根拠(文献もしくは予備実験の実際のデータ)を示すことです。引用文献が多くなりすぎると文章が読みにくくなるということもあるので、適度なバランス感覚が要求されます。文献は他人の文献と自分の文献を適度に織り交ぜて書くのが理想です。自分の文献だけだと独りよがりな印象を与えますし、他人の文献だけだと業績が無い人かと思われます。何をどう書くかに関しては、昔の申請書の様式の指示も手掛かりになります。

① 研究の学術的背景(本研究に関連する国内・国外の研究動向及び位置づけ、応募者のこれまでの研究成果を踏まえ着想に至った経緯、これまでの研究成果を発展させる場合にはその内容等) (平成29年度科研費の基盤研究(C)の様式より 太字・下線強調は当サイト)

これを読むと明らかなのですが、科研費の基盤研究というものは、基本的には、応募者がこれまで行ってきた研究の積み重ねの上に、さらに発展的なテーマを設定することが当然のこととされています。現在の様式の指示からはこれらの文言が抜け落ちていますが、この考え方は基本的には生きています。だとすると、新規テーマで応募したい場合どうなるんだ?という声が聞こえてきそうですが、新規テーマだと採択されにくい恐れはあるが、絶対ダメというわけではもちろんないので、様式の自由度が上がるように改善されたのだと思います。

文献の引用の仕方として、(Daresore et al., 2000)と書くか、(Daresore et al.,, 2000, Journa Name)とするか、(Daresore et al.,, 2000, J Nam 1(2):345)などどこまで細かくするかは好みもあるでしょう。(Daresore et al., 2000; Hokano et al., 2001)など論文の区切りに使う記号は表記の中でユニークなものにするなどの細かな配慮も大事です。番号で引用してあとからリストを添えたり、自分の業績の場合には(業績1)などと書くのもありでしょう。ただ、リストの番号で引用した場合にいちいちそれを他のページに見に行って確認する読み手もあまりいないのではないかと思いますので、読む動作・視線の動きを妨げないのが一番だと自分は思います。その考え方にのっとれば、引用文献の位置は句読点の直前がベストです(Daresore et al., 2024)。

背景に書くべきことは、そのトピックに関する一般的な説明ではなく、あくまで設定する問いの妥当性を納得させるための材料に絞ります。背景の書き始めから「問い」までが読んでいて一直線で無駄がないという印象を与えることが大事で、話題がそれたり、戻ったりするのは、学術的意義の重要性を理解されにくくするので要注意です。論文を書くときにIntroductionを書く理由は、hypothesisを導くためですが、それと同様に考えればいいと思います。

「背景」と「関連する研究動向」との書き分けという問題にもなりますが、背景には関連はしていても問いを導き出すことに直接関連しないことは言及する必要はありません。そういったことは関連する研究動向のセクションに書けばよいでしょう。研究動向には、他の研究者がどんなアプローチで自分と同じゴールを目指しているのか、そんな中で自分のアプローチはどんな点で優位なのかを書けばいいのです。こう考えれば、背景と動向の書き分けに悩むことはなくなるはず。

背景もしくは研究目的のセクションには、仮説を示した模式図を置くのが良いでしょう。良いでしょうというよりも、置くべきと言いたいところです。「仮説を示した模式図」というのは、相当頭の中が整理されていないと描けませので、模式図を描きなおしているうちに頭の中が整理されてきますし、模式図が完成するとあとは模式図を説明する形で本文をスムーズに書き進むことができます。

  1. 仮説を書かない科研費申請書なんて…

さて、新たに場所が移動してきた「着想に至った経緯」はどう書けばいいの?という問題があります。なぜこれが(3)から(1)に移動されてきたのかを考える必要があるでしょう。自分が思うに、背景から問いを導く過程がすなわち着想なので、着想に至った経緯は本来、背景→問いの思考そのものであって、不可分です。別物として書く必要はないのではないかと思います。しかしそうはいってももともと(3)にあったものなので、以前の不採択調書の「着想に至った経緯」の部分をコピペして、(1)の背景と問いの間に入れ込んでいる人も多いことでしょう。実際、「背景」として客観的な内容を書き、次に「着想」として自分の業績やアイデアを中心に書き、両者から導きだされる「問い」を書くというスタイルも、おさまりがよいのでお勧めできます。とくに、このセクションの文章量が多くなるとどこに何が書いてあるのか読み手にもわかりにくくなりますし、読む労力も増えてストレスです。「背景」「着想」「問い」と3つのセクションに分ければ、読み手に優しい申請書になるでしょう。

【このセクションでよくある失敗例】、

  • トピックに関する教科書的説明(無駄な情報)をしている
  • 文章に、学術的問いへ向かう方向性がない。
  • 文章の流れとは無関係な”関連する”話題が、流れの途中に挿入されている。←ありがち
  • 自分の業績を引用していない(なければ仕方ないですが)
  • 自分の業績しか引用していない(問いの客観性が担保されない)
  • 学術的な問いが書いていない。書いてあったとしても、どの部分がそうなのかが読み手にわからない。

(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性

このセクションをどう書くかも、自由度が高く人それぞれですが、どこに何をどう書いたのかという応募者の意図が明確に読み取れることが大事です。また、(1)のセクションから話がつながっていることも必要です。

研究目的

「目的」というのは日常語としては、将来の夢や願望、目標という意味もありますが、研究助成への応募書類における「研究目的」は、研究期間内で研究計画において「実際にやること・明らかにすること」を意味します。つまりやらないこと(将来的な願望)を含めてはいけません。時間があればやるとか、研究がうまくいけばもう少し先までやるなどと、あいまいなことを書いてもいけません。

研究目的は、学術的問いに答えるものになっているべきで、きちんとした対応関係がそこにないと不自然です。問いに答えるための実験系や方法論まで含めて具体性を増したものにします。

研究目的の中身は、学術的な問いに答えるためのアプローチを含みます。問いにどんなアプローチで取り組んで答えを出すのか、そのアプローチにはどんな独自性や創造性があるのかを書くことになります。

【研究目的を書くにあたってのよくある失敗事例は】

  1. 研究目的がそもそも書いていない
  2. 研究目的が学術的な問いに答えるものとして書かれていない
  3. 学術的な問いと研究目的の「抽象度ー具体度」の関係が逆になっている
  4. 研究目的(やること)に願望(できれば~したい)を書いている
  5. 「研究目的、研究の意義」を一文にまとめて書いているため目的が伝わりにくい。(例. ~することは、~の意義が大きい)

独自性

独自性 originalityは、他人にはないその人だけのものという意味です。科研費が不採択になる人の多くが、「~(研究目的)の研究は報告がないので独自性が高い。」と書いてしまいますが、この書き方は賢明ではありません。科研費は相対評価ですので他人の申請書と比べられて採否が判断されます。「~(研究目的)の研究は報告がないので独自性が高い。」という文は、他の申請書でもそのまま使える文言です。つまり審査委員に対して審査に有用な情報をなんら与えていません。情報量ゼロの文です。なぜ今まで論文報告がなかったのか?重要な課題だとみな思っていたのに適切なアプローチが見つからなかったから?技術的に不可能だったから?重要なのにその重要性が見落とされていたから?なにかしら理由があるはずで、その理由を書く必要があります。

独自性のアピール方法として、他人にはできないということをアピールすることも可能です。自分にしかない技術を使って初めて実現可能になるアプローチだからといった具合です。また、誰よりも早く自分がその重要性に気づいてこの分野を開拓してきたからと、過去の論文業績と絡めて独自性をアピールすることも可能でしょう。

【独自性を書くにあたってのよくある失敗事例】

  1. ~(研究目的)に関する論文報告はなく、本研究は独自性が高い と書いてしまう。論文報告がないことだけ言っても、なぜそれが独自性になるのか読み手には全くわかりません。

創造性

創造性に何を書けばいいのかは、多くの応募者が頭を悩ませるところです。通常の日本語の意味だと、創造性はcreativityのことであり、creativeといえばゼロから何かを作り出すという意味になります。しかし科研費の申請書においては「創造性」として書くべきことは、多少日常語とはズレているように自分は感じています。

  1. 科研費研究計画調書 創造性 何を書くべき?日本語の解釈

審査のポイントとして、

A.研究計画の内容に関する評定要素
(1)研究課題の学術的重要性
・学術的に見て、推進すべき重要な研究課題であるか。
・研究課題の核心をなす学術的「問い」は明確であり、学術的独自性や創造性が認められるか。
・研究計画の着想に至る経緯や、関連する国内外の研究動向と研究の位置づけは明確であるか。
・本研究課題の遂行によって、より広い学術、科学技術あるいは社会などへの波及効果が期待できるか。
https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_01_03_shinsahyoutei_2024-1/r6hyoutei03_ja_bc.pdf

ということが言われていますので、「本研究課題の遂行によって、より広い学術、科学技術あるいは社会などへの波及効果が期待できる」ことを申請書のどこかでアピールする必要があることがわかります。しかし明示的なセクションはないため、書くとすれば、「創造性」を書く場所に書くことになろうかと思います。そこで、創造性の欄に、新たな価値を生み出すことができるという内容の説明をする人が多いようです。科研費の書き方を指南した書籍もそのような説明に終始しています。

【創造性に関する失敗事例】

  1. 創造性についての言及がない

(3)関連分野の研究動向と本研究の位置づけ

細かい話ですが、2025年度科研費から、様式の指示は、「関連する国内外の研究動向」が、「関連分野の研究動向」に変更されています。これは(6)国際性 の項目を新たに作ったことに伴う措置だと文科省の資料では説明されています。ただ(6)でアピールすることはすこし内容がずれるので、従来通り書けばよいでしょう。「背景」と「研究動向」をどう書き分ければいいのかというのも悩みのタネです。ほとんど同じことを繰り返してしまうのは印象を下げます。

実際のところ、「背景」と「研究動向」で書く内容がある程度重複するのはむしろ自然なことだと思います。内容は重複してもアピールしたいことが異なるので、文は当然異なったものになります。

何を書くべきかで考える必要があるのは、「関連分野の研究動向」という指示において、何に関連する研究の動向かという点です。「何に」というのは普通に考えれば、「学術的な問い」や「研究目的」に関連する研究動向ということになるはずです。「学術的な問い」と「研究目的」のどちらに寄せて書くかというのは、「学術的な問い」と「研究目的」をどう設定したかにもよるので、ケースバイケースでしょう。「研究目的」を非常に狭くとらえてそれに関する研究動向を書いてしまうと、研究の意義が理解されない恐れが強まります。なので、「学術的な問い」に関する研究動向を書いて、国内外の他の研究者がその問いにさまざまな方法でアプローチしているなかで、応募者はどのような独自性・優位性のあるアプローチをしているのかが明確になるように書けばいいと思います。

【研究動向と位置付けを書くにあたってのよくある失敗事例】

  1. 研究動向=論文であるべきなのに、論文の引用が全くない
  2. 他人の研究紹介は書いているが、本研究の位置づけに関する言及がない
  3. そもそも「何」に関係する研究動向なのかがあやふや。書くべきは、「学術的問いや研究目的」に関係する研究動向であるにもかかわらず、そうなっていなくてズレたトピックに関する研究動向を書いている。

(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか

このセクションは長ったらしいタイトルでわかりにくいかもしれませんが、以前の「計画・方法」という欄に対応した部分です。まだ科研費の様式に「研究業績」というページがあってそこは単に論文業績を羅列するだけだった当時(平成29年度の例)の様式がどうだったかというと、基盤研究(C)の場合は最初の2ページが「研究目的」で、

研究目的
本欄には、研究の全体構想及びその中での本研究の具体的な目的について、冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述した上で、適宜文献を引用しつつ記述し、特に次の点については、焦点を絞り、具体的かつ明確に記述してください(記述に当たっては、「科学研究費助成事業における審査及び評価に関する規程」(公募要領81頁参照)を参考にしてください。)。
① 研究の学術的背景(本研究に関連する国内・国外の研究動向及び位置づけ、応募者のこれまでの研究成果を踏まえ着想に至った経緯、これまでの研究成果を発展させる場合にはその内容等)
② 研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか
③ 当該分野における本研究の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義

つぎの2ページが「研究計画・方法」で、

研究計画・方法
本欄には、研究目的を達成するための具体的な研究計画・方法について、冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述した上で、平成29年度の計画と平成30年度以降の計画に分けて、適宜文献を引用しつつ、焦点を絞り、具体的かつ明確に記述してください。ここでは、研究が当初計画どおりに進まない時の対応など、多方面からの検討状況について述べるとともに、研究計画を遂行するための研究体制について、研究分担者とともに行う研究計画である場合は、研究代表者、研究分担者の具体的な役割(図表を用いる等)、学術的観点からの研究組織の必要性・妥当性及び研究目的との関連性についても述べてください。
また、研究体制の全体像を明らかにするため、連携研究者及び研究協力者(海外共同研究者、科研費への応募資格を有しない企業の研究者、その他技術者や知財専門家等の研究支援を行う者、大学院生等(氏名、員数を記入することも可))の役割についても記述してください。
なお、研究期間の途中で異動や退職等により研究環境が大きく変わる場合は、研究実施場所の確保や研究実施方法等についても記述してください。

となっていました。「研究目的」(2ページ)と「研究計画・方法」(2ページ)が「研究目的、研究方法など」(4ページ)の一つに合わせられたわけです。この経緯を見れば、「(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」が、「研究計画・方法」に対応することは明らかでしょう。

古い様式も今見返してみると申請書を書く上で示唆に富むことに気づきます。

指示がなくなった=書かなくてよくなったと考えるより、自由度を増やすために指示を減らしたと理解したほうがいいでしょう。つまり指示がなくなったことであっても、意識しておいたほうが良いのです。

さて、計画・方法は以前はまるまる2ページ書くようになっていたのですが、今は他との分量のバランスからそこまで多くの紙面を割かなくてもいいようになったと思います。採択された人の研究計画調書を見せてもらったことがありあすが、多くの場合1ページ程度(他の部分に何をどう書いたかとの兼ね合いにより、半ページ~2ページ弱の幅がある)で書いているようです。

抽象>具体 ということで言えば、

学術的問い>研究目的>研究計画・方法 という図式になります。

当たり前のことですが、「研究計画・方法」で書く内容は、「研究目的」と完全に対応している必要があります。研究目的を達成するうえで過不足がある計画を書いてしまうとまず採択されないでしょう。計画に書く課題が少なくてさみしいので余計な課題を付け足して整合性を失い不採択になるというのは典型的な失敗パターンです。

【研究計画・方法のセクションにありがちな失敗例】

  1. ~を解析する ~を比較する ~を分析する など一言でまとめていて、具体的にどうやって解析するのか、どうやって比較するのか(統計学的手法)、どうやって分析するのかが書かれていない。
  2. 研究目的との対応が不明
  3. 計画された課題が実施されても研究目的が達成されない(不足)
  4. 研究目的を達成するうえでやる必要がない課題を計画している(過分)
  5. ひと続きの文章で1ページ以上書かれていて、読む気がしない 課題ごとに項目をつくって、「読ませる」というより「見ればわかる」ようにしましょう。どこまで細かく読むかを読み手に任せるようなレイアウトに。
  6. 研究分担者の役割が書いていない

(5)本研究の目的を達成するための準備状況

このセクション「準備状況」とあとにでてくる「研究環境」とをどう書き分けるかで悩む人も多いようです。環境は必要な研究機器などであり、準備状況はそれらの研究機器がすでに稼働して予備データが出始めているといったことなんだろうと思います。予備実験データをここに書くのもありでしょう。ただし、予備実験データは研究計画欄のほうに書くというのも効果的です。

実際のところ、予備実験データは背景のところから出してもよくて、好みによると思います。できるだけ早くインパクトを示して読み手(審査委員)の興味をひきたければ、早い段階で出すことです。4ページめの最後など、そもそも審査委員はまともに読んでいないかもしれません(特に最初の部分が稚拙にしか書けていない申請書の場合)。

【準備状況で良くある失敗事例】

  1. 研究環境を書いている
  2. 素晴らしい予備実験データを、審査委員の頭の中で採否が決まった今ごろになって載せている(きちんと書かれた申請書ならここまで読んでもらえるでしょうが、最初のほうのページが稚拙だと準備状況まできちんと読んでもらえる保証はない)

(6)本研究がどのような国際性を有するか

このセクションは2025年度科研費からあらたに加わったもので、何を書けば正解なのかは誰も確かには知らないことだと思います(まだ採択された申請書というものが存在していないので)。そのため、日本学術振興会は親切にも様式の指示の中で具体例を挙げて示してくれています。

  • 将来的に世界の研究をけん引する
  • 協同を通じて世界の研究の発展に貢献する
  • 我が国独自の研究としての高い価値を創出する

などを書けばいいのだそうです。「将来的に世界の研究をけん引する」というのは、得られる研究成果を見た他の研究者がこぞって参入してくるので、その結果として、新しい学問の潮流がつくりだせて、自分がその最先端にいて世界の研究を牽引することになるのだと思います。

「協同を通じて世界の研究の発展に貢献する」というのは、得られる研究成果を見た他の研究者がこぞって共同研究を是非やりませんか?と声をかけてくるので、その結果として、協同して研究領域を発展させることになるのでしょう。

「我が国独自の研究としての高い価値を創出する」ということでもOKというのはなかなか興味深いと思いました。つまり、なんでもええんかい!と思ったのですが、これは日本人の起源とか、日本文学の研究、日本の戦後政治など、日本固有の問題に取り組む研究者を想定してのことなのかなと想像しています。

もっと詳しく知りたい人は、文科省のサイトに公開されている国際性の記述が導入された経緯の説明した資料お読みください。この「経緯」を読めば、(6)国際性をどう書けばよいかが自ずと明らかに浮かび上がってきます。つまり、「基盤研究」に統合される「国際共同研究加速基金」と「海外連携研究」の趣旨を、基盤研究の様式の中で受け継いだのが(6)国際性 の部分というわけです。このことを認識しているかどうかで、ピントの合った内容が書けるかどうかの勝敗が決まります。

第 1 2 期 研究費部会 における科研費 の 改 善 ・充実及び 今後の 議論の方向性について( 中間まとめ ) 令和6年 6 月 2 4 日 科学技術・学術審議会 学術分科会研究費部会

①国際的に波及効果が高い学術研究の推進
(科研費(基盤研究)における研究の国際化等)
コロナ禍後の国際研究交流の回復傾向や、「基盤研究種目群」における基金化の拡大状況等により、今後は、「国際共同研究加速基金」以外の研究種目においても、更なる研究活動の国際化が期待される。
既に基盤研究等の枠組みでも国際競争力のある研究は数多く行われているところ、上記の環境の変化を踏まえ、「国際共同研究加速基金」として別枠で助成する仕組みではなく、審査によりそうした研究を見出し、助成する仕組みが必要である。
また、我が国の研究力の相対的・長期的な低下が懸念される中、現在の物価高や為替安等の厳しい社会情勢も踏まえ、研究者が国際競争力のある研究に十分取り組めるよう、応募額を尊重した研究費配分が望まれる。
このため、本部会及び振興会の学術システム研究センターにおける議論を踏まえ、「国際共同研究加速基金」について、その機能を勘案しつつ可能なものは段階的に「基盤研究種目群」等に統合していくこととする。その際、「基盤研究(B)」との間で実質的な差異がなくなった「海外連携研究」については、令和7年度助成から公募を停止し、速やかに「基盤研究種目群」等に統合することとする。
また、令和7年度助成に係る公募から、「基盤研究(A)・(B)・(C)」において「研究課題の国際性」を新たに評定要素に加え、高く評価された研究課題については、研究費配分額の充実により国際競争力のある研究に挑戦できる環境を実現することとする。更に、若手研究者の参画を要件としていた「海外連携研究」の「基盤研究種目群」等への統合後においても、国際共同研究の助成を通じた若手研究者の育成に資するよう、「基盤研究(B)・(C)」において、「研究課題の国際性」の評定要素で高く評価された研究課題であって若手研究者を研究代表者とするものを優先的に採択する枠組み(「国際・若手支援強化枠」)を設けることで、高い国際競争力を有する研究の量的拡大をも目指すこととする。https://www.mext.go.jp/content/20240624-mxt_gakjokik-000036755_1.pdf

上の資料を読んでいてちょっと驚いたのですが、国際性のアピールのセクションは実ははかなり大事みたいです。若手研究者で高い点数がついたものは優先的に採択すると言っています。若手、若手、と若手優遇政策が目につきますが、ついにここまで来たかの感があります。老兵去るのみですね。

しかし、国際性がない科学ってあるのか?と思いますので、今回の様式の変更は、改悪のような気がしています。自分と同じことを考えている人もきっと多いはず。

  1. 2025年度科研費申請書新様式(6)どのような国際性を有するか をどのように書けばいいのか?について

以上、各セクションの書き方をざっと見てきましたが、大事なことは指示を守るということです。つまり、このセクションにはこれを書けという指示がある以上、その指示を守る必要があります。学術的な問いが書いていない、もしくは、どの部分が問いか不明瞭というのは論外です。指示=評価ポイントなので、指示を守らない=得点が得られない=不採択にする格好の理由を審査委員に与える、ということです。また、一貫性があることも大事です。研究課題名と学術的問いと研究目的と研究計画・方法との間に一貫性がなくて、論点がブレていては採択はおぼつきません。

概要

さて4ページを書いたあとで、その内容を概要としてまとめて冒頭部分に書きます。概要から書き始める人がいるようですが、そうすると本文の要約になっていない代物ができあがってしまっていることに気づけない恐れがあります。本文に書いていない情報がなぜか概要に書いてあるというのは、典型的な失敗例です。

概要で第一印象が決まります。人間が初対面の人を判断するときにおそらくぱっと見の数秒でその人がどんな人かの判断を下すと思います。概要は「ぱっと見の数秒」で、ここで悪い印象を持たれると挽回するのは難しいでしょう。特に、日本語が変だったり、何が言いたいのかわからなかったり、論理的な流れが無かったりすると、審査委員の人は本文を真面目に読む気が失せるんじゃないでしょうか。

【概要でよくある失敗事例】

  1. 概要に本文よりも詳しい情報が書かれている(本文の要約になっていない)
  2. 概要を本文の一部として書いている
  3. 概要の1文1文につながりがない。
  4. 問題提起をせずに問題解決(=研究目的)を述べている
  5. 文章の流れに論理性がない
  6. 誤字脱字、日本語の文法的な間違いが存在する

 

2 応募者の研究遂行能力及び研究環境

さて、応募者の研究遂行能力及び研究環境を2ページにわたって書くわけですが、「及び」とあるからといって能力と「環境を1ページずつ書くものではありません。審査委員が特に知りたいのは能力のほうなので、能力に関して1.5ページ以上使って書いたほうがよいでしょう。まずは様式の指示を良く読みましょう。

応募者(研究代表者、研究分担者)の研究計画の実行可能性を示すため、(1)これまでの研究活動(主要な研究業績を含む)、(2)研究環境(研究遂行に必要な研究施設・設備・研究資料等を含む)について2頁以内で記述すること。
「(1)これまでの研究活動」の記述には、研究計画に関連した国際的な取組(国際共同研究の実施歴や海外機関での研究歴等)がある場合には必要に応じてその内容を含めること。また、研究活動を中断していた期間がある場合にはその説明などを含めてもよい。

研究分担者についても書く必要があります。特に異分野の研究者と組んで研究体制を構築しているのであれば、研究分担者の業績は重要です。同じラボの人を分担者に置いている場合には、研究代表者の業績のほうが重視されると思います。でなければ分担者が自分で代表者として応募しろよということになるからです。

昔はここは論文のリストを見せるだけだったのですが今は真っ白な2ページが与えられているだけで、何をどう書いても構いません。採択された人がどう書いているのかを見せてもらったことがありますが、典型的な書き方は、文章でこれまでの研究内容を説明し(自分の業績を引用しながら)、そのあとで業績リストを示すというパターンです。やはり業績リストはその人の業績が一目瞭然ですので、審査委員にとって審査しやすいはずです。文章しかないと、この人はファーストで書いた論文はいくつあるんだ?どんなジャーナルに出してるんだ?といちいち細かく読み解く必要があり、そんな面倒なことはやってられません。かといって業績リストだけだと、たとえ論文数が多くてもそれらが今回のこの研究提案とどう関連してるんだ?という疑問が解消できません。やはり文章+業績リストがベストでしょう。

業績が無いからといって余白が半ページもあったりすると、ああ本当に業績がないんだ、そして、応募の熱意もないんだと思われます。業績が少ないのなら少ない業績を丁寧に文章や図で説明したり、原著論文だけでなく学会発表その他なんでも書くようにして、絶対に余白を作らないようにしましょう。原著論文の積み上げがしっかりある人は、学会発表などを書く必要はないでしょう。

余白があるのに、学会発表も書いていないと、学会発表すらしていない人と思われます。余白があるのに、共著論文が書いていないと、共著論文すらない人と思われます。つまり、あることを書いていない=その業績がない と判断されるので、あることは書けるだけ書いて余白をなくすようにしておかないと、損な見られ方をします。

過去の科研費採択歴を書くべきかどうかで悩む人もいるかと思います。十分な実績のある研究者であれば、いちいち過去の科研費採択歴を書く必要は全くありません。そうでない場合は、「科研費採択→論文化」のサイクルがきちんと達成できている人なら、それをアピールするのは効果的です。前回の科研費の結果の論文化が間に合っていないのなら、科研費採択歴を書くと論文のアウトプットがないことを馬鹿正直に申告してマイナスの印象を与えるだけなので、書かないほうが無難でしょう。

【よくある失敗事例】

  1. 余白が大きすぎる
  2. 書けるネタがあるのに(学会発表など)書かずに余白を残している
  3. 研究計画と業績との関連性を説明していない

 

経費(ウェブ入力)

経費をどれくらい具体的に細かく書くかは人それぞれです。国内 学会発表 と書いても採択される人はされますし、第XX会日本〇〇学会年会(福岡)参加 など具体的に書けばベターだと思います。海外も同様です。学会の開催地がどの国のどの都市あkで航空運賃もかなり変わってきますので、おおざっぱに何十万円と書くだけだといい加減な印象を与えかねません。

経費の必要性を作文する部分も丁寧に書きましょう。大型の機器がすでに研究室や大学に備わっている場合には、これこれはすでに設置されていて、消耗品のみ必要なので経費に計上したといった記述をするのも良いことだと思います。研究計画の内容が具体的にリアルに想像できる書き方が好ましいでしょう。当たり前のことですが、研究計画の欄で必要になりそうな経費が計上されていなかったり、計画欄で全く言及のなかったものが経費として計上されているのは不自然ですので、全体として矛盾がないか再度確認しましょう。

科研費申請書の各セクションの書き方は、別に文科省や日本学術振興会が細かく教えてくれるわけではありません。様式の指示や留意事項を「読み解く」ことは応募者の責任です。実際には審査委員が審査するので、審査委員がどう思ってどう評価するかが全てです。しかし審査委員の考え方も多様ですので、どんな人が読んでも評価される書き方をしておく必要があります。

 

審査区分選び

各セクションの書き方のヒントになりそうなことをつらつらと書いてきましたが、実は申請書を書くまえに「審査区分」を選んでおく必要があります。というのも、専門家向けに書いて申請書を完成させてしまうと、もうより分野融合的な審査区分に変更できなくなるからです。自分のこれまで経験からすると、専門分野の審査区分の中にも採択されやすいユルイところと激戦区なところとがあります。そういう競争の激しい激戦区となっている専門分野の審査区分と比較すると、分野融合的な審査区分あるいはより一般的な学問領域の審査区分のほうが、容易に採択されやすい傾向があるような気がします(肌感覚)。そういう審査区分は、応募者のバックグラウンドもバラバラで審査委員のバックグラウンドもバラバラですので、かなり一般読者向けの言葉遣いで申請書を書く必要があるわけです。オーラルのプレゼンを準備するときにまず聴衆がどんな人たちなのかを知ることが大事といわれるのと全く同じで、申請書の準備をするときには審査委員がどんな人たちなのかを知ることが大事です。多くの人が軽視して不採択をくらっていることですが、読み手が定まらないうちに書き始めてはならないのです。

  1. 科研費に採択される人と不採択になる人の違い

【よくある失敗事例】

  1. 自分の所属分野(プライド)にこだわって審査区分を選んでおり、テーマとのマッチングで選んでいない
  2. もっと容易に採択される可能性がある審査区分があることに気づいていない(KAKENデータベースを研究内容のキーワードで検索すれば、複数見つかることがあります)

書く順番

多くの人は概要から書き始めたり、様式の順番通りに背景から書いているのではないでしょうか。様式の6ページの空白を最初から埋めていく書き方が、一番お勧めできない方法です。申請書で重要なのは一貫性や整合性なので、まず最初に書くべきは、申請書全体の骨子、アウトラインだと思います。

  1. 本研究で知りたいこと、すなわち学術的な問いを1文、1~2行で書きだす。
  2. 学術的な問いに答えるための本研究のアプローチ、すなわち研究目的を1~2文、2~3行で書く。
  3. 研究目的を達成するのに必要な小実験課題の項目名を3つ程度書きだす(研究計画の骨子)。

以上が、申請書の背骨に相当する部分です。それができたら、手足か肋骨かわかりませんが、周辺部分に関係するところの骨格を書きだします。

  1. 背景から問いに至る論理的な粗筋をいくつかの文で簡単に書きだす。
  2. 学術的な問いに関連する研究動向を示すような、複数の論文を列挙し、それらのアプローチの限界点を書きだす。それらに対して、自分のアプローチの利点を書きだす。
  3. 自分のアプローチの独自性、創造性をそれぞれ1行ずつで書きだす。
  4. 研究がうまくいった場合の発展性や意義を1行で書きだす。
  5. 仮説を示す模式図を作る。図の中で、既知のこと未知のこと(本研究で知りたいこと)、検証したい部分に対応する小実験課題を決める。

このように本文を肉付けする前に、骨格となる部分を簡潔な文で書いてみることをお勧めします。ここまでしてから本文を書けば、申請書全体の骨格がブレる心配がなくなります。

 

大事なこと

科研費申請書の様式は、すべての学問分野に共通です。人文科学からコンピュータサイエンス、臨床研究、素粒子論、遺伝学、なんでもです。学問分野によっていろいろしきたりや作法が違うので、本来は一つの様式で事足りるとは思えないのですが、個別に様式をつくるわけにもいかないので一つで済ませているわけです。ですから、様式の指示の解釈は複数通りありえます。同じ研究領域でも、何をどのセクションにどれくらいの分量で書くかは、研究者の常識と良識に任されている部分があります。ですから、明確な意図をもって、ここにこれを書いたということが審査委員に伝われば、様式の解釈の正しさに必要以上にこだわる必要はないのではないかと思います。実際、何冊も出版されている科研費の教科書を読み比べても、どのセクションに何を書くべきかは必ずしも一致していません。科研費セミナーを聞いていても、セミナー講師が自分が解釈したことを話しているだけで、それに万人が賛成しているわけでもありません。JSPSや文科省の科研費担当部署に訊いても、何も教えてくれません。つまり、様式の指示は、「研究者の常識」に基づいて解釈して書けばよいのだと思います。

 

その他の注意事項

科研費の様式の指示や留意事項は、審査の評点と対応しています。日本学術振興会のウェブサイトには、審査における評定基準等 や 審査の手引 が公開されていますので、これらを読んでおけば、様式の指示を守ることの重要性がより一層感じられるはずです。

第三者に読んでもらうことの重要性(必須!)

かなり丁寧に科研費の書き方の説明をしたつもりですが、こういったノウハウを自分の申請書に日本語の文章として落とし込めない人が実際にはほとんどでしょう。そういう場合は、第三者に読んでもらうことを強く、強くお勧めいたします。大学内にそういう支援をしてくれる人がいない場合は、商用サービスを利用するのも手だと思います。

  1. ココナラ(科研費に特化した添削サービスを提供している個人)

研究内容を知りすぎているラボの同僚よりも、研究のことは何もわからない素人だが日本語力(論理的思考能力)だけはある配偶者やラボの秘書などのほうが的確な指摘をしてくれる可能性もあります。

科研費申請書の書き方、定番の教科書

  1. 狙って獲りにいく! 科研費 採択される申請書のまとめ方  2022/8/20 中嶋 亮太 著(アマゾンへ飛びます)
  2. 科研費獲得の方法とコツ 改訂第9版〜実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略 *第9版が2025年7月に発売されました! 児島将康(アマゾンへとびます)

 

科研費を書く際の態度や考え方に関する話を知りたい人は、以下の記事も参考に。

  1. 採択される科研費申請書の書き方22のヒント

 

 

 

自分でチェックするときの観点

ただ読み返しても不備に気づけません。下のツイート先のスライドシェアに、ポイントがまとまっていました。これらが守られているか、一つ一つ自分の申請書をチェックしてみてはどうでしょうか。

科研費申請書執筆に役立つ書籍

申請書が書けなくて煮詰まっているのなら、書き方の指南書を通読するのに2時間くらい費やしてから自分の申請書に戻ったほうが、やるべきことが明確になりますので、むしろ効率よく書けます。急がば回れ。メリハリのある文章を書く秘訣を知りたければ、国語力アップのための本がお勧め。

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今からでも個人的に頼める科研費申請書添削サービス

キャスリン・ペイジ・ハーデン『遺伝と平等』2023/10/20 新潮社

キャスリン・ペイジ・ハーデン『遺伝と平等:人生の成り行きは変えられる』2023/10/20 新潮社 を読んでいます。この本を読むのはかなり骨が折れます。

  1. 「親ガチャ」を乗り越えろ。最先端の遺伝学の成果は、あなたの武器になる 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる― キャスリン・ペイジ・ハーデン/著 、青木薫/訳 (新潮社)

Kathryn Paige Hardenの著書で、原書のタイトルは、The Genetic Lottery: Why DNA Matters for Social Equlityというものです。本の帯には、「親ガチャ」を乗り越えろ! とか、個人でなんとか変えられるとエールを送るような文言がならんでいますが、内容はちょっと違うように思います。別に個人が頑張れば遺伝の影響を超えられるといった話は出てきません。本書の主張は、社会の平等は遺伝的な差異に配慮すべきというものだと思います。

邦訳に限らず書籍は、内容とタイトルが多少乖離するということが、セールスの都合なのかありがちだと思います。『遺伝と平等』はなかなか読み通すにはハードな本です。大型書店にどさっとおかれていたりして、この本を読む人がそんなに多いのかとちょっと驚きます。行動遺伝学の専門家による本なので内容はしっかりしていて引用文献もネット上にまとめられているようですので、非常に信頼できるものだと思いました。

書評

  1. 作家、平野啓一郎が「また新たな基礎的教養書が登場した」と喝破する、遺伝学のいまを知りたい人のためのわかりやすいバイブル bookbang.jp
  2. 遺伝がもたらす優劣にどう向き合うべきか? 「親ガチャ」問題を社会学者とサイエンス翻訳家が考える bookbang.jp 青木「ハーデンは、どちらの側でもないんです。人類には優劣があるという優生学的な考え方はとんでもないけれど、一方で、それを見ないことにするのもダメだと。」大澤「遺伝くじが関係していることが明らかならば、その「違い」に対しては、「公正としての正義」の観点からの補償や救済が可能」

本書の引用文献

第4章

  • 140ページ サム・ハリスのポッドキャストでの対話 Sam Harris Podcast. A Conversation with Kathryn Paige Harden (Episode #212) Released: July 29, 2020 https://www.youtube.com/watch?v=EEwj5avKmtU

第7章

  • 215ページ 認知能力テストとの関連性を差し引いたGWASの結果が説明する非認知的な部分 文献23 Investigating the genetic architecture of noncognitive skills using GWAS-by-subtraction Nature Genetics volume 53, pages35–44 (2021) Published: 07 January 2021 https://www.nature.com/articles/s41588-020-00754-2

第II部

第8章

Christopher Sandy Jencks

科研費研究計画調書 創造性 何を書くべき?日本語の解釈

科研費研究計画調書には独自性と創造性を書きなさいという場所があります。創造性って何でしょうか?

AI による概要
創造性とは、独自性があり斬新で生産性が高い発想を生み出す能力、またはクリエイティビティ(creativity)とも呼ばれます。既存の知識や情報を組み合わせ、独自の視点や考え方を取り入れながら、新しい価値を生み出すことができるのが特徴です。

創造性は英語だとクリエイティビティ。上の説明にもありますが、新しい何かを作り出すことだと自分は理解していました。ところが、科研費の書き方の多くの説明では、波及効果などを書くようにアドバイスしています。

 AI による概要
科学研究費の申請書に書く「創造性」には、本研究の過程や成果による学術の深化や、他の分野への波及効果などが含まれます。具体的には、次のようなことを書くことができます。
  • 本研究が今後どのように発展し、他の研究分野に波及していくのか
  • 本研究で明らかにすることで、申請者以外の新しい研究や行動を創造しうることを期待できること

また、独自性や創造性の主張には客観的裏付けも必要です。文献や論文などを根拠として示すこともよいでしょう。

これって、「創造性」という日本語の本来の意味じゃないよなあといつも不思議に思っていました。ゼロからなにかを作り出す、存在していたものを題材にしていても斬新なアイデアで何か今までになかったものを作り出すそういう研究に関する創造性なんじゃないかと思ったのですが、科研費の教科書の説明だと、研究がうまくいったその後、何かを創造するということみたいです。なんか違うんじゃない?と思うのですが、皆さんどう書いているのでしょうか。世の中の指南書がみなこうかけと書いているとそれに引きずられてみなそう書いているのでしょうか。

科研費に採択される人と不採択になる人の違い

科研費に採択される人と不採択になる人にはどんな違いがあるのでしょうか?

科研費に採択される人は国語力がある 不採択の人には国語力がない

不採択になる理由はいくつもありますが、一番低レベルな不採択の理由は国語力がないこと。つまり、科研費の申請書は日本語で書かれるものですが、その日本語が文法、構文、読みやすさ、論理性といった点でダメダメだということです。まともな日本語の文章になっていない場合、審査委員がわざわざそれを読み解く労を取ってくれるでしょうか。もちろん、そんな親切な審査委員はいないと思います。

日本語の力は小学生の時期につくものだと思います。国語力がない大人は、小学生向けの国語の参考書をつかって勉強するのが早道です。

  1. 福嶋 隆史 “ふくしま式200字メソッド”で「書く力」は驚くほど伸びる!  2013/7/19 大和出版(アマゾン)「全体」を構成する技術 文章全体の根幹=骨組みを構築する、そのためのスキル この本は、骨組みを築き上げるための言語技術を伝授する本 主な読者対象は小・中学生の子を持つ親の方々、及び学校や塾の先生方ですが、高校生やビジネスマン、あるいは一般の大人が読んでも当然、役立ちます。とくに今回は小論文も取り上げており、幅広い読者を想定した本
  2. 福嶋隆史「ビジネスマンの国語力」が身につく本 言葉を自在に操るための論理思考トレーニング 2010/12/11 大和出版(アマゾン)大人向け「国語力=論理的思考力」を伸ばす方法 『「本当の国語力」が驚くほど伸びる本』の骨組みを維持しながらも、そこに新しい肉付けを多数ほどこした結果、見事に進化し、「大人のための本」として生まれ変わりました。
  3. 福嶋 隆史 「本当の国語力」が驚くほど伸びる本: 偏差値20アップは当たり前!  2009/7/18 大和出版(アマゾン)

科研費に出す研究者はまとまった勉強時間が取れないくらい忙しい人が多いと思いますが、もしなんとか勉強時間をひねりだせる人であれば、この本がおすすめです。文例は医学系で大学の卒論の文章程度の日本語かと思いますが、科研費の文章レベルに近いと思います。みんなが陥りがちな、不明瞭な文章(一意に意味が取れない)を避ける方法などがみっちりトレーニングできます。一冊こなせば、国語力(正確な文章を書く力)に関しては一皮むけるでしょう。自分は一冊一通りやりましたが(リライティングの実戦練習)、正直、結構ハードで疲れました。しかし、書く力が弱いと感じている人は、一度は通るべき道です。

  1. 林 健一 こうすれば医学情報が伝わる!! わかりやすい文章の書き方ガイド (ライフサイエンス選書) 2014/10/8 ライフサイエンス出版 (アマゾン)

時間がない人は下の本がおすすめ。

  1. 酒井 聡樹  100ページの文章術 -わかりやすい文章の書き方のすべてがここに- 2011/3/10 本書の特徴は,100ページと短いながら,わかりやすい文章の書き方のすべてを解説している(アマゾン)

 

科研費に採択される人は抽象・具体を行き来できる 不採択の人は抽象・具体の書き分けが下手

具体例を抽象化して概念にすることは研究者が普段行っていることです。自分の実験系から得られデータ(具体例)に基づいて、どれだけ一般化できるかを考え、抽象化したものすなわちコンセプト(概念)のレベルに昇華して議論するわけです。トップジャーナルにリジェクトされる一番の理由がconceptual advanceがないということであることからしても、conceptualization概念化がいかに大事かわかります。

  1. 細谷 功 具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ 2014/11/27 dZERO(アマゾン)

 

科研費に採択される人は読み手の存在を意識している 不採択の人は読み手のことを考えない

科研費の申請書は審査委員に読んでもらうために書くものです。つまり相手、人間が向こうにいるのです。しかも、応募者の研究内容を初めて聞く人達です。よっぽどうまく説明しない限り、何をやるのか、なぜやるのか、なぜ重要なのかといったことは伝わりません。不採択になる人は、誰に読んでもらうのかという意識が欠如しています。自分が書くことだけでいっぱいいっぱいで、それが人に読まれるものであることがわかっていないのです。

 

科研費に採択される人は客観的 不採択になる人は独りよがり

科研費に採択される人はゴルゴ13のように自分を客観視できる人です。不採択になる人は独りよがりな部分が何かしらあります。そもそも研究の仮説が突飛すぎて、根拠がちゃんと書かれていなくて受け入れられない、審査委員は専門家なんだからわかるよなとばかりに難解な語句を散りばめる、略語をいきなり使う、論文の図をコピペしていて中の文字が小さすぎて読めないのに気にもしていない、論文の図中には不要な情報がたくさんあるのに知らんぷり、といった具合です。

 

科研費に採択される人は細部にまで神経が行き届く 不採択になる人は雑

採択される人の調書は例えば図を見ると非常に見やすく作られています。図の大きさ、図の中の構成要素の配置、整列のさせ方、強調の仕方、配置、記号の使い分けなどすべてに「意図」が隠されています。それに対して、不採択になる人の調書の図は、雑です。ページのレイアウトからはみ出していたり、図が不必要に大きかったり、図の周りの余白が大きすぎたり、図中の文字のフォントが馬鹿でかかったり、図のなかみが整列されていなかったり、図なのに全然視覚的に情報を伝えるものになっていなかったり。

 

科研費に採択される人の申請書には整合性がある 不採択になる申請書は矛盾がある

科研費は、何がやりたいのかが不明瞭な申請書が採択されることはありません。申請書全体を通じて、一貫した主張が大事なのです。それに対して、不採択調書は、何かしら矛盾があります。一番致命的な矛盾は、研究目的と実験課題が合致していないこと。その実験課題はその研究目的を達成するために必要なのか?その研究目的を達成するためにはもっと違う実験が必要だったり、もっと一歩先の解析までやる必要があったり。

申請書に矛盾がある人は人間的にも矛盾があるというわけでは決してありません。気づけていないだけです。そういう意味では、自分の書いたものを客観的に見直すことができる人できない人という違いに帰着できます。

 

科研費に採択される人は第三者に読んでもらう 不採択者は一人で書いて出す

なんでも一人でやろうとする人よりも、周りを巻き込んで行く人のほうが仕事ができるものです。研究者の周りには研究者しかおらず、研究者は皆忙しいので、「読んでもらえない?」とお願いすることは勇気のいることです。ついつい気が引けたり、おっくうになったり、面倒くさく感じて一人で書いて出す人が多いのではないでしょうか。しかし申請書を読むのが第三者である以上、第三者の目に自分の申請書がどう映るのか、初めてその内容に触れる人にとって理解しやすいものなのかどうかを確認する作業は非常に大事です。普段からお互いに科研費申請書を読みあうことができるような信頼関係を築いておくことが大事です。これは科研費に限らず論文を段階においても同様です。

  1. ココナラ(”科研費”で検索すると添削サービスを提供する元研究者、研究支援経験者などが数十件ヒットします)

 

科研費に採択される人は情報を取りにいく 不採択になる人は情報に興味がない

いまどき科研費応募を支援するものはいろいろあります。書籍が何冊も出版されていますし、URAが支援している大学も多いです。事務方が頑張ってしっかり読んでくれているところも多いと思います。どの大学でも科研費の書き方の説明会を開催して、外部から講師を呼んだり、審査委員経験者にしゃべってもらったり、科研費をとりなれている研究者に講師をやってもらったりしています。採択された研究計画調書を閲覧できるようにしている大学も結構あるようです。このようにいくらでも支援ツール、支援の機会があるにもかかわらず、不採択になる人はそれらに興味がなかったり、あまり活用していません。もったいない話です。もちろんネット上にも参考になるノウハウがいくらでも転がっています。

科研費に採択される人は様式の指示や留意事項を守る 不採択になる人は無視する

科研費の様式には指示や留意事項がはっきり書かれています。それは評価ポイントと完全に対応しているので、その指示を無視するということは評価されにくいものを書くということです。例えば、学術の潮流や発展を説明してから、問いをどう設定したか書けと書いているのに潮流や最近の発展に言及せずに自分のやってきたことばかり書く人がいます。他人の文献を引用していないということは、その研究領域の潮流の説明をしていないということです。

科研費に採択される人は、書くべき場所に書くべきことを書いているのに対して、不採択になる人は、書くべき場所に書くべきことを書いていなかったり、別の場所に書いていたりします。

科研費に採択される人は応募していた人 不採択になる人は応募するのをやめてしまう

応募しなければ採択されないのは当たり前です。しかし不採択が2回くらい続くと応募するのをやめてしまう人が結構います。3年くらいすれば審査委員も入れ替わるので、出し続けていれば評価してくれる顔ぶれになるかもしれません。

 

選挙の投票はなぜ鉛筆?

素朴な疑問:なぜ鉛筆?

鉛筆だと原理的に消しゴムで消して書き直せるので、投票のように書き換えられたらこまる場面で筆記用具は鉛筆しか使ってはいけないというのは不思議に思えます。

 

光学式マーク認識 (OMR)が開発される前は、電気伝導性感知方式が利用され、 マークシートの読み取りが行われていました。 電気伝導性感知方式は、鉛筆の芯の黒鉛の電気伝導性を感知して、 マークの位置を直接認識する仕組みです。 しかしながら、19世紀後半以降、 電気伝導性感知方式から光学式マーク認識 方式(OMR)に取って代わり、 現在では、電気伝導性感知方式は使われていないマークシート採点の仕組みとなりました。(マークシート採点の仕組み。OMR・OCR・スキャナの違いを解説 2022.08.25 by ㈱CSC 情報システム事業部)

 

投票用紙の素材は樹脂をベースにした合成紙。白くて不透明で、書き込みや印刷ができて、という紙のような特性を持っていながら、実は石油から作られるプラスチックの一種でもあるのです。‥ 紙と違い、インクが浸透しないため、水性のボールペンなどで筆記するといつまでもインクが乾かず、こすれてしまうのです。そのため、筆記には鉛筆やシャープペンシル、または油性のペンを使いましょう。(不思議な書き心地の投票用紙。同じ素材で作られたノートがあるって知ってた? 2021.12.21 KOKUYO )

投票用紙:ユポ

投票用紙は紙かと思いきや、材質は紙ではないのだそうです。

  • 選挙の投票用紙は、合成紙「ユポ」に印刷などの加工を施して製造されています。ユポとは、株式会社ユポ・コーポレーションの独自製法によって開発された、フィルム法合成紙です。
  • ユポを使った投票用紙は、折り畳んで箱に入れても自然に開くため、開票作業がスムーズにできます。
  • ユポは、天然紙よりも水に強く、万が一水に濡れてもふやけたりせず、形状が変わることもありません。

(選挙の投票用紙に使われている素材「ユポ」とは?メリットも解説 2024年03月13日 ユポ・コーポレーション )

使用するのは、「ポリプロピレン樹脂」で、これに無機充填剤を混ぜて熱で溶かし、紙のような厚さになるまで引き延ばす。そうすると、微細な穴が無数に開いたフィルムができる。この穴に鉛筆の黒鉛が削れて入ることできれいに黒が移る仕組みになっている。これが、投票用紙に使われる合成紙「ユポ」の正体だ。(選挙の投票用紙、実は「紙ではありません」…文具マニアも熱視線 2022/05/21 11:45 読売新聞オンライン)

ユポ開発の歴史

  • 68年、科学技術庁(現在の文部科学省)が消費増による森林資源枯渇への危機感と、石油化学の勃興を背景に「合成紙産業育成に関する勧告」 を発表
  • ユポ・コーポレーションの前身は三菱油化(現三菱ケミカル)と王子製紙(現王子ホールディングス)
  • ユポ(YUPO)は三菱油化(「YU」)と王子製紙(「O」)を、「Paper」(紙)で結びつけるという意味
  • ポリプロピレンに、少量の添加剤を混ぜ、熱で溶解した上で、紙同様にシート上に薄く伸ばして製造
  • 投票用紙表面の摩擦係数を表と裏で変え、ムサシ製の選挙機器が正しく票数を計測できるよう工夫
  • 素材名は企業名と同名の「ユポ」で、共同開発した、選挙機器メーカーのムサシ(東京都港区)から「開く投票用紙」という名称で販売されている。

(実は「紙」じゃなかった! 書き心地“半端ない”「投票用紙」の正体と開発秘話 誕生から35年 2022年07月10日  ITMediaビジネスONLINE )

 

  1. !投票用紙の”秘密”を探る公開:2022年6月15日(水) (津放送局 中野七海) ※2021年10月27日公開の記事を再掲 NHK 投票箱に入れるときは、半分に折るという人も多いと思います。箱に入ったあとの投票用紙は、中で自然に開いているんです。
  2. 「ユポ紙」が選挙の投票用紙やポスターに使われる理由 2023.05.26  ヒラメキ工房 選挙ポスターは屋外の掲示板に貼られていることが一般的です。普通の用紙だと雨に打たれた時点でポスターは破れてしまいますが、耐水性のあるユポであれば雨に打たれても問題ありません!
  3. 投票用紙交付機 投票用紙自動交付機 テラック BA-10 ムサシ 投票用紙を1枚ずつ正確かつ迅速に交付します。

 

投票用紙の読み取り

投票用紙に書かれた候補者の氏名の読み取りは人間が行っているのではなく、機械によって自動的に読まれるのだそうです。

「毎分660票を識別」機械が投票用紙を振り分け 様変わりの開票作業 THE PAGE(ザ・ページ) チャンネル登録者数 37.3万人 2014/12/13 投票用紙「読取分類機」は、投票用紙に書かれた候補者の名前を瞬時に読み取り、候補者ごとのラックに振り分けていく。この読み取りの処理速度が毎分660票で、天地裏表など票の向きも揃えてくれる

投票用紙読取分類機 テラックCRS-VA /株式会社ムサシ 株式会社ムサシ公式チャンネル チャンネル登録者数 111人 投票用紙に書かれた手書き文字(漢字・ひらがな・カタカナ)を毎分660票のスピードで識別し、候補者別 (政党名別) に自動分類します。

  1. 投票用紙読取分類機 テラック CRS-VAnの特長 ムサシ 手書き文字(漢字・ひらがな・カタカナ)を毎分660票のスピードで識別し、候補者別 (政党名別) に自動分類 候補者が多い選挙では、増設ユニットを連結することで分類棚の数を増やすことが可能です。(最大125段)

投票用紙の計数機などでトップシェアを誇る「株式会社ムサシ」に聞いてみました。‥ 候補者の「漢字」はもちろん、有権者の方によっては「カタカナ」や「ひらがな」、「漢字とひらがなの組み合わせ」等で書かれる方もいますので、様々な表記を事前に設定しておきます。投票用紙の「裏表」や「上下」がバラバラでも自動的にそろえることもできます。(「集計の機械が、投票用紙を書き換えている」ネットで噂される「開票 陰謀論」はあり得るのか?メーカーに聞いてみた 2018/7/20 選挙ドットコム)

陰謀論「票の書き換え疑惑」について

SNSなどでは「ムサシのシステムが一定の政治勢力の影響を受けて操作されている」とか「票が書き換えられる」とする偽情報が10年以上前から広がっています。選挙などのたびに関連する投稿が拡散、多いときには3万件近くみられます。(不正選挙? 選挙に関する“偽情報”を調べてみると… 2024年4月27日 15時58分 NHK)

科研費が採択されない人の特徴

毎年、科研費に応募しているのに全然採択されないという「科研費が採択されない人の特徴」とはどのようなものでしょうか?

一回も採択されたことがない若手と、以前は採択されていたのに最近はサッパリというベテラン研究者で原因が異なると思います。そこで「若手」と「ベテラン」それぞれについて考えてみます。

採択未経験の若手研究者が科研費を採択されない理由

「若手」で採択未経験の人が不採択の泥沼に陥る理由の一つが、「無知」です。

どういう研究テーマや研究デザインが科研費で採択されるのかを知らない。

科研費の様式の指示や留意事項を無視してはいけないことを知らない。

自分が書いた日本語が全然日本語になっていない(つまり自分には国語力がない)ことを知らない。

採択される研究計画調書がどのようなものかを知らない(見たことがない)。

自分には業績がないから科研費に採択されるなんて無理と思う謙虚な人もいるかもしれません。しかし「若手研究」は博士号をとりたてほやほやの人もたくさん応募しており、誰かが採択されています。博士とりたてだと、せいぜい博士論文一報しか原著論文がないということは普通にあります。業績がないからと諦めるのは早いのです。

不採択が続く若手研究者が不採択沼に陥るもう一つの理由、「持たざること」です。

採択されるコツを教えてくれる先輩や先生が身近に存在しない。

科研費採択のための教科書(市販されている書籍)を持っていない。

持ってない人はまず買いましょう。

  1. 科研費申請書の書き方の教科書 厳選5冊(別記事にとびます)

科研費の教科書を持っていても、読んで内容を理解してそれを自分の申請書に落とし込むことができていないというケースがあります。指導者がいないとどうしようもないですね。

東大をはじめとする旧帝大などの研究大学でアクティビティが高いラボであれば、科研費に採択されるのが当たりまえの人たちが多いので、そういう人の採択調書を見せてもらったりアドバイスを受ければなんてことないのですが、自分のラボも周りのラボもそのレベルの人がいない場合は、孤独に書いて出して落ち続けている人が多いのだろうなと思います。

周りに科研費申請書の書き方を指導してくれる人がいない人は、元大学教員、元研究支援職員などが提供している個人サービスが利用できます。

ココナラで科研費チェックを依頼する(Coconalaサイトにとびます)

個人のスキルが売買されている上記サイト「ココナラ」で、”科研費 研究計画調書 チェック”などのキーワードで検索すると、科研費申請書をチェックして添削しブラッシュアップしてくれるようなサービス提供者(個人)が見つかります。令和5年度の応募件数は約89000件です。ココナラで科研費に特化した添削サービスを提供している個人はざっと数えて30名程度のようです。科研費はシーズンがありますので、締め切り前の1~2か月は多分依頼が殺到して捌ききれないんじゃないかと思うので、早く動いたもの勝ちでしょうね。

 

以前は採択されていたベテラン研究者が最近は科研費がサッパリ採択されなくなった理由

ベテラン研究者が科研費を獲れなくなった一番大きい理由は、科研費制度の進化と競争の激化、つまり「変化」についていけていないからでしょう。

科研費の制度や申請書の様式はかなり変化しました。改善されてきたというべきでしょうか。2018年には審査区分の「細目」が「小区分」となり数が激減しました。これにより自分の「居場所」(必ず採択されていた審査区分)を失った人もいるはずです。

時代の流れに取り残されているというのも理由だと思います。つまり、科研費申請書の書き方が複数刊行され若い人ほどそういった書籍をよく読んでソツのない見栄えの良い申請書を仕上げてきます。それに対して、過去の栄光にとらわれているベテラン研究者は「科研費申請書はこう書けばいいんだ」という思い込みから脱却できなくて、いつまでも古臭いスタイルの申請書を書いているため、見栄えという点でも大きく見劣りしている可能性があります。

ベテランの年齢になって大学での雑務が増えて研究に割ける時間が減り、科研費の申請書作成に注力する時間が十分とれなくなったからということも考えられます。

人間は年を取ると頭が固くなり考え方が硬直するので、一度自分がそういう状態に陥っていないかを第三者に見てもらったほうがいいのではないでしょうか。まあ大学教員はみなプライドが高いので、いい歳してなかなか他人にアドバイスを求めたりはできないものです。それこそが不採択が続く理由なんですが。

ココナラで科研費研究計画調書をチェックしますというサービスを提供している個人の経歴を見ると元科研費審査委員・元大学教授というかなりシニアレベルの方もいらっしゃるようなので、そいう科研費採択のコツを熟知した人に今さらながらでも指導を仰ぐというのがいいのではないでしょうか。

 

以上、科研費が採択されていない研究者の特徴をまとめると、「無知、情報弱者」の場合と、時代の変化についていくための「自分のバージョンアップができていない」場合の2つがあるのではないかと思います。

ここまで科研費申請書作成のノウハウがネット上に氾濫していて、書籍もいくつも出版されているのにつたない申請書しか書けない人は、第三者に助言を求めたほうが早いです。

  1. ジーラント株式会社(代表取締役 児島 将康)科研費費申請書の添削サービス(個人向け) 科研費獲得総合プラン(研究機関向け)
  2. ココナラ(科研費に特化した添削サービスを提供している個人)

 

科研費が採択されない人の特徴:一般論

若手、ベテラン問わず、もう少し一般的な話に広げてみたいと思います。科研費への応募というよりも、人間対人間のコミュニケーションというところまで広げて考えると普遍的な原理が見えてきます。

例えば、女性の気持ちがわかる男性はモテるのと同じで、審査委員の気持ちがわかる応募者は採択されやすいのではないかと思います。大学教員の公募に応募する場合に、大学側・採用側の本音が理解できているほど、それにピッタリの応募書類が書けるというのも同じでしょう。要するに、「相手が望むものを与えてあげられる人が、自分が望む結果を得られる」ということですね。

イエスの教え「己の欲する所を人に施せ」(自分がしてもらいたいように、人にもしなさい)(新約聖書 マタイ伝・七)というものがありますが、自分がしてもらいたいことと、相手がしてもらいたいと思っていることとはたいていの場合異なりますので、この教えは人生であまり役立ちません。あくまで、相手が何を望んでいるのかを理解することが大事。話がちょっとズレました。さて、と。

審査委員は専門家なんだから、これくらい専門的な内容を理解できないわけないよなみたいな態度で研究計画調書を書いたときに、それを読まされる側はどう思うのか?そもそも誰がそれを読むことになるのか、あなた(応募者)はわかってるの?という話もあります。今年の審査委員が誰かはわかりませんが、過去にその審査区分を誰が審査していたのかの情報は科研費のサイトで公開されています。もちろん審査委員になっている人は研究者としてはそれなりの人ばかりです。しかしだからといって、応募書類全部を短時間で読んで隅々まで完全に理解できるかというとそれはありえないでしょう。自分がやったこともない実験手法の細かいことが書いてあってもピンとこないはずです。研究の興味が同じだとしても、自分がやっていないアプローチを書かれたらそのアプローチのロジックが完全にわかるとも限りません。ましてや初めて聞いた研究トピックだった場合、そもそもなぜそれが面白い研究なの?というところからのスタートになります。「俺の研究の面白さがわからないなんて審査委員はレベルが低いぜ」などと内心どこかしらで思っているような傲慢な人間には、決して「採択」は近づいてこないでしょう。業績で相手をぶん殴るような申請書は、もはや相手にされません。いくら業績アピールしても、読みにくくて理解されないものが採択されることはないでしょう。何しろ、わかりやすく書くことに関しては、申請書のレベルは昔よりもかなり上がっているのですから。

結論として、不採択が続く人には、「相手の望むことを理解できず、独りよがりな申請書を書いていることに自分で気づけていない」という特徴があるといえます。無知ゆえか、傲慢ゆえか、いずれにせよそうなっているのでしょう。

まあ、科研費の申請書の個々の書き方以前の話ですね。

さて、多くの人は、採択の常連さんと不採択続きの人の間、つまり採択されたり落としたりとボーダーラインを越えたり越えなかったりという辺りに位置しているのではないでしょうか。そういう人たちは、行き当たりばったりに書いてあとは運に任せているだけで、確固たるノウハウが身についていないのだと思います。

  1. 採択される科研費申請書の書き方22のヒント(別記事)

大学院生・研究者の研究室滞在時間・ラボのコアタイムはどれくらい?

大学院生は1日何時間働けばよいのでしょうか?ラボにいる時間が長ければいいってものではないとよく言われますが、教授にしてみれば、大学院生は最低XX時間いてほしいと思う基準がありそう。「自分が学生のときは土曜日も実験していたのに、最近の学生(大学院生)は、土曜日にラボにこない。」とアメリカでPIがこぼすのを聞いたこともあります。

自分が大学4年のときに卒業研究で入ったラボは、毎日夕方の4時ころには実験が終わり、「もう帰っていいよ。」と教授に言われて拍子抜けし、このラボだと研究できないんじゃないかと不安に思って、大学院は別のラボに行きました。あとから振り返ると、当時、教授が院進してきてから鍛えるつもりで学部学生にはあまり期待していなかっただけのような気がします。

自分が行ったさきの大学院のラボは、朝8時半までにラボに来ていないと怒られるような場所でした。ラボの滞在時間をあからさまに強制されてはいませんでしたが、そのラボで一番成果を上げていた人が夜の9時に帰宅していて、「彼は結果を出しているから誰も文句を言えない特別な存在」みたいな位置づけになっていました。大学院生は終電までもしくは歩いて帰れる人は24時くらいまで毎日ラボにいたように思います。

自分が大学院生をやった昔の話は今では通用しません。現在の日本の大学において、大学院生はどれくらいラボにいるものなのでしょうか。研究者や大学院生が想定する時間をうかがい知ることができそうなツイートをまとめてみます。

一つ大事な注意点は、大学院生のうち将来PIになって生き残れる割合は多分1%もないという点です。研究者として生き残らない99%以上の大学院生の人の話をしているのか、生き残る1%未満に入るための話をしているのかという前提が異なっていると、議論がかみ合いません。

  1. アカデミア研究者雇用状況の過酷な現実
  2. 正念場で頑張れるだけの体力、気力、忍耐力、意志の強さはあるか?

教授にもらったテーマで強制されて実験するのか、自分で見出した研究テーマを面白いと思って自分の意思で長時間実験するのかでも、長時間労働によるストレスの大きさや疲労度は全く異なります。

 

研究室滞在時間:1分以内

研究室滞在時間:1時間以内

(注意:上の2つのツイートは、本記事との関連性はありません。面白いと思って紹介しました。)

 

研究室滞在時間と能力と成果との関連性

やっぱり研究には、朝から晩まで時間をとられるんで、両立は無理だね。特に能力のない者はね、時間で稼ぐしかないんで。(戸塚洋二先生の「二十歳の頃」)

 

さて、個人の能力の差は大きいので、本当に人それぞれなんですが、大学院生のラボ滞在時間やコアタイムは何時間程度が一般的 なのでしょうか。ツイートを拾ってみます。

 

自分のことを振り返ってみると、研究成果が出ない時期ほど長時間働いていました。結果を出さなきゃいけないという焦燥感がありますので、どうしても長くなってしまうわけです。ただ、自分の場合、長時間実験していた大きな理由の一つは、実験が下手で失敗してやり直しが多かったこと。分子生物学はプロトコールが確立されており誰がやっても同じよういうまくいくはずの類の実験なのですが、それでも上手い下手の個人差は歴然とあって、かなり大きな差になっていたと思います。もう一つの理由は、作業仮説が間違っていたもしくは仮説を検証するための実験アプローチが適切でなかったこと。もともとうまくいかないことをどれだけ頑張っても、うまくいくはずがありません。しかし、テーマやアプローチを捨てる判断をするのが非常に難しいのです。実験は始めるのは簡単ですが、何年も労力をつぎ込んだあげくに、うまくいかない実験を諦めて捨てるのは、大変です。

研究とは不思議なもので、あれほど長時間がんばって結果がなかなかだせなかったのに、いったん期待通りの成果が出せるようになると、実にスムーズに事が運ぶようになりました。すると自分の研究の協力者が増えて(ボスが技術員を自分につけてくれたり、強力な学外の共同研究者が得られたりして)、ますます研究が捗りました。狙った通りの結果が出せると(つまり、正しい作業仮説と正しい実験アプローチの採用)、無駄に長時間ラボで働かなくてもよくなりました。自分は論文業績がコンスタントに出せていた時期のほうが、労働時間がはるかに少なかったと思います。ただし、サボっていいというわけではなくて、論文化の見通しがたったあとは、全速力で駆け抜けるイメージです。

問題を選ぶスタートから、解決のゴールまでをゆっくりとした同じペースで進むのではありません。‥ 考えている途中でヤマ場にさしかかると、全力をあげて検討することが必要なのです。(広中平祐の数学教室 昭和55年6月10日 サンケイ出版 120~121ページ 思考法の秘訣)http://scienceandtechnology.jp/archives/9571

振り返って思うのは、長時間働いて結果が出せていなかった大学院時代が必ずしも無駄ではなかったのではないかということです。その時点で自分の最善を尽くして、転んでもただでは起きないようにした、限界を感じたところからさらに頑張って自分の限界を超えたときにようやく何か新しい発見につなげることができたという体験をしたことが、研究で結果を出す感覚をつかむのに役立ったのではないでしょうか。

 

ラボの拘束時間の長さがネットで話題になっていましたが、自分が研究時間をコントロールしているのであれば問題はないと思います。たいして面白いと思えない研究テーマで、強制されてやるというのが、一番心と体を蝕みます。

大学院で精神を病まない方法は、大学院に行かないことです。大学院は非常に特殊な場所であって、科学に対する強い興味を持ち、能力があり覚悟があり努力が継続できる人しか向いていません。http://scienceandtechnology.jp/archives/77026

 

ラボの拘束時間が長い大学

 

ラボの拘束時間が長い研究領域

 

研究室滞在時間:7時間

研究室滞在時間:8時間

研究室滞在時間:9時間

 

研究室滞在時間:10時間

 

研究室滞在時間:12時間

学部4年のとき、教授とラボにいる時間の話になったとき、その教授は、「1日12時間実験すれば、ヘトヘトになるよ。」と言っていた。つまり、根を詰めて実験していたら、毎日12時間以上はそうそう働けるるものじゃないよということ。

 

研究室滞在時間:14時間

 

研究室滞在時間:16時間

 

 

研究室滞在時間:24時間365日?

沼研の伝説的なエピソード:沼正作(1929-92)

 

ラボに長時間いる必要はあるのか

 

労働量∝労働時間

実験系の場合、単純に労働量が労働時間に比例する場合があります。つまりあまり頭を使う必要がない、もしくは先輩や教員が研究を計画して下の立ち場の人間を手足として使うようなケースです。そういう状況で頑張りすぎると、肉体的にも精神的にもくたくたに疲れるだけで、人生を消耗してしまい、本来の大学院の目的である頭脳を鍛える訓練が不足する恐れがあります。自分の大学院時代=分子生物学(土木作業)花盛りの時代でしたので、上から与えられたテーマでの体力の消耗と自分のテーマを探すために頭を鍛えることのバランスをとるのが難しいと思っていました。

 

ラボ選びの重要性

大学院生が育つかどうかは、本人の資質によるところも大きいですが、同時に、入ったらラボにもよります。ラボ選びを間違うと、学生本人に資質があったとしてもつぶされかねません。

日本では大学院生が労働力としてとらえられており、アメリカでは大学院生は研究者(の卵)として尊重される(PIには教育責任がある)といった、扱いの違いが存在しているように自分は感じました。

 

ラボ選びの重要性:成長できる場所かどうか

 

ワークライフバランス

教授が准教授以下の教員の土曜日出勤を義務づけているラボを見たことがありますが、そこに所属する大学院生も当然土曜日はラボに来ることが当然なのでしょう。

mRNAの発見者は誰か

総説論文

  1. Matthew Cobb, Who discovered messenger RNA?, Current Biology, Volume 25, Issue 13, 2015, Pages R526-R532,
    https://doi.org/10.1016/j.cub.2015.05.032. The announcement of the discovery of messenger RNA (mRNA) and the cracking of the genetic code took place within weeks of each other in a climax of scientific excitement during the summer of 1961. Although mRNA is of decisive importance to our understanding of gene function, no Nobel Prize was awarded for its discovery. The large number of people involved, the complex nature of the results, and the tortuous path that was taken over half a century ago, all show that simple claims of priority may not reflect how science works.

原著論文

  1. Genetic nature of the genetic code for proteins. Crick, Barnett, Brenner, and Watts-Tobin. Nature 192, pages1227–1232 (1961) 有料

英語で伝えることの重要性について:YOASOBI IDLE英語版に対する世界の反応

研究者は英語で論文を書いたり、英語でプレスリリースを出したりすることにより、自分の研究成果を世界に伝えます。たとえ優れた研究成果があったとしても、日本語で発表しているだけでは、英語しか理解しない世界の人々には内容の良さが伝わりません。IDLEのYOUTUBE動画を見ていて、それを再認識させられました。

YOASOBIのIDLEは、アニメ「推しの子」の主題歌で、世界中で視聴されていますが、YOASOBIが英語でも歌ったことにより、さらに深く理解されて、その内容の濃さが多くの人を驚かせています。

最近はリアクションビデオがYOUTUBEで流行っていますが、YOASOBIの英語版IDLEを初めて聴いて、初めてその歌詞の内容を理解した人達の反応を紹介したいと思います。英語で伝えることの意義の大きさが良くわかります。『推しの子』のエピソード1を見た人は、このIDLEの歌詞がその内容を含んでいることを英語の歌詞で初めて知って驚いているようです。

日本語の歌詞がそもそも、単に作品に音楽がランダムにカップリングされたというわけではなく、『推しの子』の作品に対して作られたという経緯があります。

Ayaseは元々同作の原作のファンだったといい「読んだときに感動して、何かで表現したいとなったときにデモが上がって」と元々リリースの予定はないまま先に同作に合わせた楽曲を作っていた ‥ 実際にオープニング主題歌のオファーをもらった

(YOASOBI、話題の「アイドル」は「推しの子」OPテーマ依頼前から制作 裏話告白 2023.06.21 12:15 モデルプレス)

英語版でも歌詞の内容はもちろん、音楽的な言葉の響きという点でも日本語版と英語版で違和感がないようにしよう

自分の中で楽曲と小説への理解を一番深くまで掘り下げて、作品の世界観の中に完全に身を投じた状態で歌詞と向き合おう

完全にストーリーの中に自分が入り込んで、主人公の目線とAyaseさんが構築した歌詞の世界観にリンクできているなと実感した瞬間から、実際に翻訳していく作業が始まる

(YOASOBI、“日本語のように聴こえる英語詞”はどう生まれた? 訳詞担当 Konnie Aokiに聞くこだわりの手法 2023.01.19 19:00 Real Sound)

上の英訳者の説明によれば、英語に翻訳する作業は、単に日本語の歌詞を訳したというものではなく、『推しの子』の原作が表現したものに合ったものであり、しかもさらにそれだけではなく、日本語の歌詞との対応や日本語の歌詞によってつくられた音楽から離れたものにならないように細心の注意が払われています。英語版の歌詞を知った世界の人達が、そのことを知って深く感銘を受けていることが、以下のリアクションビデオを見ると良くわかります。

YOASOBIのIDLE英語版に対するリアクション

MUSIC DIRECTOR REACTS | YOASOBI / Idol (「アイドル」English Ver. ) DrumRollTony Reacts チャンネル登録者数 21.5万人 “Oh, my god. I love it. This is done so well.” “The key change means a lot more now.”

YOASOBI 「アイドル ] IDOL | Oshi No Ko 英語バージョンの反応 GazMASH Cuts! チャンネル登録者数 4.11万人 “It makes so much sense now.”

 

Rapper Re-Reacts to YOASOBI ‘IDOL’「アイドル」English Ver. | Oshi No Ko OP A2R + チャンネル登録者数 9610人 “Even from the jump, it’s just hitting different.”

 

Initial Discussion and Reaction Reacting to English Version of YOASOBI – Idol「アイドル」Official Music Video [Oshi no Ko OP] David & Roiess チャンネル登録者数 2240人 “My leg hairs are actually standing, Bro.” “So, good.”

 

YOASOBI – “Idol” (English Ver.) REACTION | Oshi no Ko Opening Reaction Neel Desai チャンネル登録者数 11.3万人 “Watching this with lyrics, now it makes sense.”

 

MUSICIAN First Time Reaction to – YOASOBI「アイドル」Idol – Oshi No Ko OP – Singer Reaction Millie Mochi Anime チャンネル登録者数 6200人

Reacting to YOASOBI – IDOL ENGLISH VERSION (OSHI NO KO OP) MV REACTION Defiant With Style チャンネル登録者数 4.98万人

 

YOASOBI Idol「アイドル」英語Verの歌もすごい!! 推しの子(OP) 海外の反応 今朝のJ-DiP チャンネル登録者数 1.04万人

 

英語バージョンについて

英語版でも歌詞の内容はもちろん、音楽的な言葉の響きという点でも日本語版と英語版で違和感がないようにしよう(YOASOBI、“日本語のように聴こえる英語詞”はどう生まれた? 訳詞担当 Konnie Aokiに聞くこだわりの手法 2023.01.19 19:00 Real Sound)

翻訳を担当したKonnie Aoki氏が自ら説明しているように、英語の歌詞にしても音楽的に違和感がないようにと細心の注意が払われており、そのことは英語圏の人が聴いたときにしっかりと伝わっているようです。また同じ歌手が日本語版と英語版の両方を歌っていることに対する驚きも大きいようです。

YOASOBI – Idol【海外の反応】 (「アイドル」English Ver. ) 彼女は日本人のように聞こえるwww 英語の方がいいのか? PATRICK MORDI チャンネル登録者数 22.6万人 チャンネル登録

Drummer React to Idol by Yoasobi English Version (from Oshi no Ko) Covers & Commentary チャンネル登録者数 5280人 “They could not have picked better lyrics for the English version. Holy crap!”

日本語バージョンを聞きなれたファンにとっても、この英語訳は大成功で完璧だという賞賛の声に溢れています。翻訳を担当したConnie Aoki氏が語ったことと全く同じ言葉を、この英語版を聞いたファンが口にしています。

First Time Hearing Idol (「アイドル」English Ver. ) | Oshi No Ko | YAOSOBI | Reaction Marp チャンネル登録者数 5010人 “It’s like perfect. It’s translated to English but at the same time, it’s giving the same flow and everything.” ”This captured that same essence of the Japanese version and still kept it but in English! Perfect! Amazing! “

【 YOASOBI – Idol (「アイドル」English Ver. ) 】どう考えても日本語に聞こえるwww「推しの子(OP)」 MrFuji from Japan《目指せトリリンガル》 チャンネル登録者数 22.7万人

 

参考

公式 YOASOBI / Idol (「アイドル」English Ver. ) Ayase / YOASOBI チャンネル登録者数 636万人 3255万 回視聴 7 か月前

公式 YOASOBI「アイドル」 Official Music Video Ayase / YOASOBI チャンネル登録者数 636万人 416,316,637 回視聴 9 か月前

運営費交付金の『成果を中心とする実績状況に基づく配分』

国立大学に対する国からの補助金である運営費交付金は、”成果を中心とする実績状況”を示す各指標に基づいて配分されるのだそうです。

  1. 令和5年度成果を中心とする実績状況に基づく配分について(PDF)(文部科学省)
  2. 令和4年度成果を中心とする実績状況に基づく配分について(PDF)(文部科学省)
  3. 令和3年度国立大学法人運営費交付金の重点支援の評価結果について
  4. 令和3年度成果を中心とする実績状況に基づく配分の仕組みについて(PDF)(文部科学省)
  5. 令和2年度国立大学法人運営費交付金の重点支援の評価結果について
  6. 令和元年度国立大学法人運営費交付金の重点支援の評価結果について
  7. 国立大学 法人運営費交付金「成果を中心とする実績状況に基づく配分」 2022 03-01 群馬大学 二宮祐研究室 Hatena Blog
  8. 国立大の運営費交付金、東工大など7校が最高評価 リセマム 文部科学省は2019年8月9日、2019年度国立大学法人運営費交付金の重点支援の評価結果を公表した。 ‥ 2019年度からは、この重点支援評価に基づく配分に加えて、新たに客観的指標による成果を中心とした実績状況に基づく配分の仕組みを創設。運営費交付金対象事業費のうち、約700億円を評価対象経費として、改革に取り組む大学などのインセンティブを後押しする。

 

実績に基づく運営費交付金配分の余波

 

国立大学の運営費交付金が減らされたことの影響

 

大学院重点化の功罪

 

大学院博士課程進学者が減少した理由

 

若手研究者が使い捨てられる日本の科学業界の構造

 

研究業界で起きていることの真実を見極めるべきことについて

  1. 東北大学の女性限定教授公募の波紋「教授って合コンサークルか何かなのか?」
  2. 「国際卓越研究大学」東北大学のテニュアトラック偽装の衝撃

 

日本の科学研究を破壊した科学技術政策の責任の所在について

 

競争的研究費を増やすことが問題の解決にならないことに関して

 

競争的研究費を増やすことが問題を悪化させていることに関して

 

若手研究者が直面する現実を実感として理解できないシニア研究者

東北大学副学長「優秀な若手男性がポストに恵まれないことは周囲を見ていて無いと思います。」(東北大学の女性限定教授公募の波紋「教授って合コンサークルか何かなのか?」)

 

日本の研究力を再び上げるために必要なこと

 

参考

  1. 「国立大学法人化は失敗だった」 有馬朗人元東大総長・文相の悔恨 2020.5.21 中山 玲子 日経ビジネス記者 日経ビジネス

フォン・ノイマン John von Neumann(1903–1957) の業績と論文

ジョン・フォン・ノイマン(1903–1957)は、論理学・数学・物理学・化学・計算機科学・情報工学・生物学・気象学・経済学・心理学・社会学・政治学の分野で研究論文を発表した多才な人です。プリンストン高等研究所で「人間のフリをした悪魔」と呼ばれていたくらい頭が良かったのだそう。また、EDVACというコンピューターの設計に関する数学的な基礎づけを行い、EDVACが完成したときには「自分の次に計算の速い奴ができた」と言ったのだそうです。

フォン・ノイマンの論文

ノイマンの論文を集めた『フォン・ノイマン著作集』は、全六巻で、

  • 第一巻 Logic, Theory of Sets and Quantum Mechanics 論理学・集合論・量子力学
  • 第二巻 Operators, Ergodic Theory and almost Periodic Functions in a Group 作用素・エルゴード理論・群における概周期関数
  • 第三巻 Rings of Operators 作用素環論
  • 第四巻 Continuous Geometry and Other Topics 連続幾何学とその他の話題
  • 第五巻 Design of Computers, Theory of Automat and Numerical Analysis コンピュータ設計・オートメタ理論と数値解析
  • 第六巻 Theory of Games, Astrophysics, Hydrodynamics and Meteorology ゲーム理論・宇宙物理学・流体力学・気象学

となっています。一部は邦訳されています。

数理物理学の方法―ノイマン・コレクション (ちくま学芸文庫)  収載論文:

  • 量子力学の数学的基礎づけ
  • 量子力学におけるエルゴード定理とH‐定理の証明
  • 星のランダムな分布から生じる重力場の統計
  • 最近の乱流理論

作用素環の数理: ノイマン・コレクション (ちくま学芸文庫)

  • 数学者
  • 作用素環についてI
  • 作用素環についてII
  • 作用素環についてIII
  • 作用素環についてIV

ゲームの理論と経済行動〈1〉 (ちくま学芸文庫)

ゲームの理論と経済行動〈2〉 (ちくま学芸文庫)

ゲームの理論と経済行動〈3〉 (ちくま学芸文庫)

計算機と脳 (ちくま学芸文庫)

自己増殖オートマトンの理論 ‎ 岩波書店; オンデマンド版

 

フォン・ノイマンの業績に関する解説

双書20・大数学者の数学 フォン・ノイマン(2) /量子力学の数学定式化へ (双書・大数学者の数学 20) 単行本 – 2021/6/23 廣島 文生 (著)

双書19・大数学者の数学 フォン・ノイマン(1) /知の巨人と数理の黎明 (双書・大数学者の数学 19) 単行本 – 2021/4/21 廣島 文生 (著)

 

フォン・ノイマンの伝記および人物に関する解説

 

未来から来た男 ジョン・フォン・ノイマン  アナニヨ・バッタチャリヤ、 松井信彦 | 2023/9/21

フォン・ノイマンの生涯 (ちくま学芸文庫) ノーマン・マクレイ, 渡辺 正他 | 2021/4/12

フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔 (講談社現代新書) 高橋 昌一郎 | 2021/2/17

 

参考

  1. John von Neumann Collected Works : Vol. 1-6 明倫館書店 ¥ 300,000 税込 ISBN:0080095666
  2. フォン・ノイマンの哲学 高橋昌一郎 國學院雜誌 第 115 巻第 11 号(2014年)(PDF)
  3. John von Neumann 1903—1957 A Biographical Memoir by S. Bochner (PDF)
  4. 集合論における自然数の標準的な構成法(ペアノの公理 ウィキペディア)
  5. 俺の次に計算の速いヤツが出来たな。 ~ジョン・フォン・ノイマン【科学者の智慧 vol.04】  2016年7月30日 FUTURUS(フトゥールス)Livedoor News
  6. A (very) Brief History of John von Neumann moderndaymath チャンネル登録者数 1.52万人