大学院生・研究者の研究室滞在時間・ラボのコアタイムはどれくらい?

大学院生は1日何時間働けばよいのでしょうか?ラボにいる時間が長ければいいってものではないとよく言われますが、教授にしてみれば、大学院生は最低XX時間いてほしいと思う基準がありそう。「自分が学生のときは土曜日も実験していたのに、最近の学生(大学院生)は、土曜日にラボにこない。」とアメリカでPIがこぼすのを聞いたこともあります。

自分が大学4年のときに卒業研究で入ったラボは、毎日夕方の4時ころには実験が終わり、「もう帰っていいよ。」と教授に言われて拍子抜けし、このラボだと研究できないんじゃないかと不安に思って、大学院は別のラボに行きました。あとから振り返ると、当時、教授が院進してきてから鍛えるつもりで学部学生にはあまり期待していなかっただけのような気がします。

自分が行ったさきの大学院のラボは、朝8時半までにラボに来ていないと怒られるような場所でした。ラボの滞在時間をあからさまに強制されてはいませんでしたが、そのラボで一番成果を上げていた人が夜の9時に帰宅していて、「彼は結果を出しているから誰も文句を言えない特別な存在」みたいな位置づけになっていました。大学院生は終電までもしくは歩いて帰れる人は24時くらいまで毎日ラボにいたように思います。

自分が大学院生をやった昔の話は今では通用しません。現在の日本の大学において、大学院生はどれくらいラボにいるものなのでしょうか。研究者や大学院生が想定する時間をうかがい知ることができそうなツイートをまとめてみます。

一つ大事な注意点は、大学院生のうち将来PIになって生き残れる割合は多分1%もないという点です。研究者として生き残らない99%以上の大学院生の人の話をしているのか、生き残る1%未満に入るための話をしているのかという前提が異なっていると、議論がかみ合いません。

  1. アカデミア研究者雇用状況の過酷な現実
  2. 正念場で頑張れるだけの体力、気力、忍耐力、意志の強さはあるか?

教授にもらったテーマで強制されて実験するのか、自分で見出した研究テーマを面白いと思って自分の意思で長時間実験するのかでも、長時間労働によるストレスの大きさや疲労度は全く異なります。

 

研究室滞在時間:1分以内

研究室滞在時間:1時間以内

(注意:上の2つのツイートは、本記事との関連性はありません。面白いと思って紹介しました。)

 

研究室滞在時間と能力と成果との関連性

やっぱり研究には、朝から晩まで時間をとられるんで、両立は無理だね。特に能力のない者はね、時間で稼ぐしかないんで。(戸塚洋二先生の「二十歳の頃」)

 

さて、個人の能力の差は大きいので、本当に人それぞれなんですが、大学院生のラボ滞在時間やコアタイムは何時間程度が一般的 なのでしょうか。ツイートを拾ってみます。

 

自分のことを振り返ってみると、研究成果が出ない時期ほど長時間働いていました。結果を出さなきゃいけないという焦燥感がありますので、どうしても長くなってしまうわけです。ただ、自分の場合、長時間実験していた大きな理由の一つは、実験が下手で失敗してやり直しが多かったこと。分子生物学はプロトコールが確立されており誰がやっても同じよういうまくいくはずの類の実験なのですが、それでも上手い下手の個人差は歴然とあって、かなり大きな差になっていたと思います。もう一つの理由は、作業仮説が間違っていたもしくは仮説を検証するための実験アプローチが適切でなかったこと。もともとうまくいかないことをどれだけ頑張っても、うまくいくはずがありません。しかし、テーマやアプローチを捨てる判断をするのが非常に難しいのです。実験は始めるのは簡単ですが、何年も労力をつぎ込んだあげくに、うまくいかない実験を諦めて捨てるのは、大変です。

研究とは不思議なもので、あれほど長時間がんばって結果がなかなかだせなかったのに、いったん期待通りの成果が出せるようになると、実にスムーズに事が運ぶようになりました。すると自分の研究の協力者が増えて(ボスが技術員を自分につけてくれたり、強力な学外の共同研究者が得られたりして)、ますます研究が捗りました。狙った通りの結果が出せると(つまり、正しい作業仮説と正しい実験アプローチの採用)、無駄に長時間ラボで働かなくてもよくなりました。自分は論文業績がコンスタントに出せていた時期のほうが、労働時間がはるかに少なかったと思います。ただし、サボっていいというわけではなくて、論文化の見通しがたったあとは、全速力で駆け抜けるイメージです。

問題を選ぶスタートから、解決のゴールまでをゆっくりとした同じペースで進むのではありません。‥ 考えている途中でヤマ場にさしかかると、全力をあげて検討することが必要なのです。(広中平祐の数学教室 昭和55年6月10日 サンケイ出版 120~121ページ 思考法の秘訣)http://scienceandtechnology.jp/archives/9571

振り返って思うのは、長時間働いて結果が出せていなかった大学院時代が必ずしも無駄ではなかったのではないかということです。その時点で自分の最善を尽くして、転んでもただでは起きないようにした、限界を感じたところからさらに頑張って自分の限界を超えたときにようやく何か新しい発見につなげることができたという体験をしたことが、研究で結果を出す感覚をつかむのに役立ったのではないでしょうか。

 

ラボの拘束時間の長さがネットで話題になっていましたが、自分が研究時間をコントロールしているのであれば問題はないと思います。たいして面白いと思えない研究テーマで、強制されてやるというのが、一番心と体を蝕みます。

大学院で精神を病まない方法は、大学院に行かないことです。大学院は非常に特殊な場所であって、科学に対する強い興味を持ち、能力があり覚悟があり努力が継続できる人しか向いていませんhttp://scienceandtechnology.jp/archives/77026

 

ラボの拘束時間が長い大学

 

ラボの拘束時間が長い研究領域

 

研究室滞在時間:7時間

研究室滞在時間:8時間

研究室滞在時間:9時間

 

研究室滞在時間:10時間

 

研究室滞在時間:12時間

学部4年のとき、教授とラボにいる時間の話になったとき、その教授は、「1日12時間実験すれば、ヘトヘトになるよ。」と言っていた。つまり、根を詰めて実験していたら、毎日12時間以上はそうそう働けるるものじゃないよということ。

 

研究室滞在時間:14時間

 

研究室滞在時間:16時間

 

 

研究室滞在時間:24時間365日?

沼研の伝説的なエピソード:沼正作(1929-92)

 

ラボに長時間いる必要はあるのか

 

労働量∝労働時間

実験系の場合、単純に労働量が労働時間に比例する場合があります。つまりあまり頭を使う必要がない、もしくは先輩や教員が研究を計画して下の立ち場の人間を手足として使うようなケースです。そういう状況で頑張りすぎると、肉体的にも精神的にもくたくたに疲れるだけで、人生を消耗してしまい、本来の大学院の目的である頭脳を鍛える訓練が不足する恐れがあります。自分の大学院時代=分子生物学(土木作業)花盛りの時代でしたので、上から与えられたテーマでの体力の消耗と自分のテーマを探すために頭を鍛えることのバランスをとるのが難しいと思っていました。

 

ラボ選びの重要性

大学院生が育つかどうかは、本人の資質によるところも大きいですが、同時に、入ったらラボにもよります。ラボ選びを間違うと、学生本人に資質があったとしてもつぶされかねません。

日本では大学院生が労働力としてとらえられており、アメリカでは大学院生は研究者(の卵)として尊重される(PIには教育責任がある)といった、扱いの違いが存在しているように自分は感じました。

 

ラボ選びの重要性:成長できる場所かどうか

 

ワークライフバランス

教授が准教授以下の教員の土曜日出勤を義務づけているラボを見たことがありますが、そこに所属する大学院生も当然土曜日はラボに来ることが当然なのでしょう。