キャスリン・ペイジ・ハーデン『遺伝と平等』2023/10/20 新潮社

キャスリン・ペイジ・ハーデン『遺伝と平等:人生の成り行きは変えられる』2023/10/20 新潮社 を読んでいます。この本を読むのはかなり骨が折れます。

  1. 「親ガチャ」を乗り越えろ。最先端の遺伝学の成果は、あなたの武器になる 遺伝と平等―人生の成り行きは変えられる― キャスリン・ペイジ・ハーデン/著 、青木薫/訳 (新潮社)

Kathryn Paige Hardenの著書で、原書のタイトルは、The Genetic Lottery: Why DNA Matters for Social Equlityというものです。本の帯には、「親ガチャ」を乗り越えろ! とか、個人でなんとか変えられるとエールを送るような文言がならんでいますが、内容はちょっと違うように思います。別に個人が頑張れば遺伝の影響を超えられるといった話は出てきません。本書の主張は、社会の平等は遺伝的な差異に配慮すべきというものだと思います。

邦訳に限らず書籍は、内容とタイトルが多少乖離するということが、セールスの都合なのかありがちだと思います。『遺伝と平等』はなかなか読み通すにはハードな本です。大型書店にどさっとおかれていたりして、この本を読む人がそんなに多いのかとちょっと驚きます。行動遺伝学の専門家による本なので内容はしっかりしていて引用文献もネット上にまとめられているようですので、非常に信頼できるものだと思いました。

書評

  1. 作家、平野啓一郎が「また新たな基礎的教養書が登場した」と喝破する、遺伝学のいまを知りたい人のためのわかりやすいバイブル bookbang.jp
  2. 遺伝がもたらす優劣にどう向き合うべきか? 「親ガチャ」問題を社会学者とサイエンス翻訳家が考える bookbang.jp 青木「ハーデンは、どちらの側でもないんです。人類には優劣があるという優生学的な考え方はとんでもないけれど、一方で、それを見ないことにするのもダメだと。」大澤「遺伝くじが関係していることが明らかならば、その「違い」に対しては、「公正としての正義」の観点からの補償や救済が可能

本書の引用文献

第4章

  • 140ページ サム・ハリスのポッドキャストでの対話 Sam Harris Podcast. A Conversation with Kathryn Paige Harden (Episode #212) Released: July 29, 2020 https://www.youtube.com/watch?v=EEwj5avKmtU

第7章

  • 215ページ 認知能力テストとの関連性を差し引いたGWASの結果が説明する非認知的な部分 文献23 Investigating the genetic architecture of noncognitive skills using GWAS-by-subtraction Nature Genetics volume 53, pages35–44 (2021) Published: 07 January 2021 https://www.nature.com/articles/s41588-020-00754-2

第II部

第8章

Christopher Sandy Jencks