鳥取大教授が推薦書出さず就職取消し

2017年03月31日に鳥取大学が公表したところによると、鳥取大学工学研究科の40代の男性教授が、指導する男子学生の就職希望企業への推薦書を書かず、学生が企業に入社できなかったことがわかりました。また、この男性教授は、感情的になり、恐怖感を与えるような激しい口調でこの学生を指導したり、この学生の就職に関する情報を他にもらすなどの行為があったことも明らかになりました。鳥取大学は、これらの行為がアカデミック・ハラスメントであることを認め、平成29年3月29日付けでこの教授を停職1か月の懲戒処分にしました。

 

参考

  1. 鳥取大学からのお知らせ 職員の懲戒処分について 2017年03月31日)

報道

  1. アカハラで鳥取大教授停職 企業への推薦書拒否 (産経WEST 2017.3.31 16:42更新):”教授は「研究者向きで大学院に進ませようと思った。配慮に欠けた」とアカハラ行為を認めた。昨年3月、学生が卒業前に大学の窓口に相談して発覚。現在は他の企業に就職している。”
  2. 教授をアカハラで懲戒=就活の推薦書書かず-鳥取大 (時事ドットコムニュース 2017/03/31-16:28):”教授は、この学生の進路指導に関する情報をメールで他の学生に送ったり、感情的になり激しい口調で指導したりしたこともあったという”

 

参考(推薦書に纏わるハラスメント)

  1. 教授推薦書 (教えて!goo 質問者:noname#24093 質問日時:2007/01/29 23:35):”学校からの推薦をもらうために、教授推薦書が必要になりました。そこで教授に頼みに行ったのですが、なかなか書いてくれなさそうです…もう期限がなく本当に困ってしまいました。期限内に推薦書を書いてもらわないと折角もらった学校の推薦を辞退しなくてはいけません…”
  2. 研究室の教授の横暴ではないでしょうか。(OKWAVE 2007-01-24 22:41:57):”推薦書を書かないと就職、そして一人の人間の生活源を断つことになると思います。それはたとえ教授であっても一人の人間の人生を左右して良いとは思えません。”
  3. 就職問題です。大学院の教授との関係のトラブルです (OKWAVE 2015-09-09 09:54:04):”しかし、その後教授から、推薦を辞退したので、修士論文は通さない、留年させるという話をされました。そちらの企業に就職することは許さない、ともいわれました。自分にとって修士論文は最後に残った卒業単位であり、これが通らない=留年確定=就職できないという大変重要なものです。”
  4. 理系学生は要注意!オワハラの上を行く推薦状ハラスメントの実態 (UNISTYLEINC.COM 2015年11月24日):”ここでは内定後に教授の推薦状を提出することを求められることを推薦状ハラスメントと定義します。私の場合、内定連絡の電話の一週間後に来たメールに6月下旬の内定者懇親会までに教授の推薦状を企業に郵送するよう書かれていました。これは私が理系だから課されたというわけではないようで、文系の方も含め内定者全員に課されていたものでした。私自身、推薦状といっても何枚書いても減るものではないし教授にとりあえず書いてもらおうという気持ちでいました。しかし、教授に尋ねると「教授としての信頼問題に関わるので、一度しか書かないし推薦状を提出した段階でその会社の内定は学生側からは絶対に辞退できない」と言われました。”

岡山大不正告発解雇無効仮処分を高裁が取消し

研究不正の告発をした教授を岡山大学学長が解雇した事件で、岡山地裁の解雇無効仮処分決定を広島高裁岡山支部が取り消しました。

 

本学に関する裁判の結果について

本学が普通解雇した大学院医歯薬学総合研究科の元教授2名が、本学に対して労働契約上の仮地位の確認及び賃金相当額の仮払いを求める仮処分申立てを行い、岡山地方裁判所が賃金の仮払いを認める仮処分決定を行ったことに関する保全抗告決定が平成29年3月30日にあり、広島高等裁判所岡山支部は上記仮処分決定を取り消し、仮処分申立てを却下する旨の決定を行いました。
この保全抗告は、平成28年6月6日、岡山地方裁判所が元教授2名への賃金仮払いを認める仮処分決定を行い、同年10月18日に同裁判所が同仮処分決定を認可する旨の保全異議決定を行ったことに対して、本学が保全異議決定を不服として、申し立てていたものです。この保全抗告では、元教授2名について解雇事由が認められると判断され、仮処分決定を取り消す旨の決定がなされました。

この決定に対する学長からのコメントは以下のとおりです。

本学の主張の正当性が認められ、安堵しております。係属中の訴訟等においても、引き続き、本学の正当性を主張していく所存です。

【本件問い合わせ先】
総務・企画部法務・コンプライアンス対策室
TEL:086-251-7146

(17.03.30)(引用元:岡山大学ウェブサイト

報道

  1. 高裁は岡大の解雇権乱用は認めず (NHK NEWS WEB 岡山 NEWS WEB 03月31日 19時41分):”岡山大学薬学部の元教授2人が医学部の論文に不正があるとして告発したことなどを理由に大学から解雇されたことについて広島高等裁判所岡山支部は解雇権の乱用だとして大学側に給与の支払いを命じた地裁の仮処分の決定を取り消しました。 … これについて広島高等裁判所岡山支部は30日、「不正と確定されていない論文を外部に公表し岡大の権威や研究への信用性を大きく揺るがしたことなどを踏まえると解雇の理由は認められる」として地裁の出した仮処分の決定を取り消しました。森山元教授は「最高裁判所に抗告するかは弁護士と相談して決めたい」と話していました。”

 

関連記事

    このファイルは読み取り専用であるか、 他の‥

    ウインドウズPCでの話しですが、論文をPDFで読みながら気付いたことをメモし、上書き保存しようとすると、

    「このファイルは読み取り専用であるか、他のユーザーが開いている可能性があります。文書を別の名前で保存するか、別のフォルダー内に保存してください。」

    というエラーが、いつからか出るようになってしまいました。毎回名前を変えて保存させられるのは非常に大きなストレスです。アドビのフォーラムを見ると、

    Windowsのプレビューウィンドウをオフにして頂く事で解消される可能性がございます。プレビューウィンドウが有効時、ファイル形式に限らず読み取り専用となる場合がございますので、スタート>コンピューター 画面右上のプレビューウィンドウを閉じ、事象が解消されるかお試し頂ければと存じます。

    という回答がありました。しかし、この説明では何のことかさっぱりわかりません。

    散々悩んだ末にわかったこと:

    論文PDFを格納しているフォルダを見ると、PDFのプレビューが表示されています(上図左)。フォルダのウインドウの右上角のアイコンをクリックするとプレビューが消え(上図右)、上書き保存が再びできるようになりました。

    これに気付くまでの数ヶ月間、ストレスが蓄積していましたが、今日、ようやくそれを発散できました。

     

    参考

    1. 「文書を保存できません・・このファイルは読み取り専用であるか・・別のフォルダ内に保存してください。」と出る (FLAT FLAP 2015/02/16 18:41  Acrobatコミュニティフォーラム (Japan) でのその他のディスカッション ):”実に2年以上これに苦しめられていたのは何だったのかと、あっけにとられてしまいました。”
    2. ファイルのプレビュー機能 (Windows 7 の基本操作 情報処理教材):” [プレビューウィンドウを表示する]ボタンをクリックします。選択したファイルの内容がプレビュー表示されるようになります”

     

     

     

     

     

    論文査読レポートで使える英語表現

    関連記事:誰も教えてくれなかった査読(ピアレビュー)のやり方、査読レポートの書き方

    レビューアーとしてレポートを書くときに使えそうな典型的な英語表現を、実例から拾ってまとめました。査読レポートの頻出単語、頻出表現を押さえておけば、自分で書くときにかなり書きやすくなります。

    公開されている査読レポートから、英語表現をばらばらにして取り出して、項目ごとにまとめています。論理的に流れるレポートを自分で書くには、実際の査読レポートを通して読むことも必要です。

    目次

    査読レポートと著者からの反論(リバッタル レター;Rebuttal letter)を公開しているジャーナル

    注:差読者が公開を望まなかった場合は非公開

    1. eLife: 論文のウェブページにある右横のリストのDecision Letterを選択。
    2. EMBO Journal: 論文のウェブページで、Transparent Processのタブを選び、Review Process Fileをクリック。PDFで閲覧
    3. Nature Communications : 2016年1月以降に投稿された論文で、Supplementary information の欄に、Peer Review Fileがある場合には、査読レポートが公開されている。しかし、割合はあまり多くないようです。

     

    査読レポートの書き方は、基本的には自由だと思いますが、最初のパラグラフで研究内容を要約し、次のパラグラフで講評を述べ(General comments)、その後、具体的な箇所に関して(Specific comments)重要性の高いもの(Major comments;Major issues;Major points;Major criticisms)、重要性の低いもの(Minor comments;Minor issues;Minor points;Minor criticisms)を列挙するということが多いようです。

    研究内容の要約

    冒頭部分

    In “論文タイトル”, (筆頭著者)and colleagues define the molecular mechanism by which (注目した分子の生理的役割). [embj.201696127 #3]

    In “論文タイトル,” (筆頭著者) and colleagues describe a mechanism for (現象). [embj.201695861 #2]

    In this paper, the authors study the (研究内容), focusing on the roles of (分子名) as possible mechanisms that (メカニズムが働く対象). Introducing an improvement in the (アッセイの名称)assay, they provide the first evidence that (発見した内容). [eLife.20832 #1]

    The manuscript “論文タイトル” by (筆頭著者名) and colleagues presents a breakthrough in our current understanding of (現象).  [eLife.24125 #1]

    The manuscript has two distinct parts, the first to study the (現象), the second to present (タンパク質複合体の構造). [eLife.20832 #2]

    In this manuscript, by combination of (測定手段), (測定手段) and mathematical modeling, the authors show that (現象とそのメカニズムに関する主張). [eLife.24125 #3]

    In this study, (筆頭著者) and colleagues examined (観察対象). They found that (実験結果). (実験結果). (実験結果). The authors further found that (発見内容). The authors conclude that (結論). [eLife.21895 #3]

    This paper presents a study of the (事象). [ncomms14881 #1]

     

    好意的な書き方

    This manuscript presented for the first time a detailed mechanistic study on (タンパク質名), (そのタンパク質に関するこれまでの研究の経緯). [embj.201696127 #2]

    In this very complete and carefully-prepared manuscript, (筆頭著者) et al. report that (結果), thus providing the first example of (意義). [embj.201696127 #1]

    The authors present a study of (研究トピック), in which they convincingly demonstrate (実験から得られた結論). [ncomms14881 #2]

     

    論文の内容の説明

    The authors demonstrate that (実験結果). [embj.201695861 #2]

    The authors show that (実験結果), thus demonstrating that (結論).[eLife.21895 #1]

    The authors also show that (実験結果) and, very interestingly, (実験結果). [eLife.21895 #1]

    Additionally, the authors found that (現象). [eLife.24125 #1]

    Additionally, they also show that (現象、メカニズム). [eLife.24125 #3]

    Furthermore, they indicate that (観察した事象), whereas (観察した事象), suggesting that (解釈、機能、役割). [eLife.24125 #3]

    The authors further conducted experiments examining the (事象), a process that has been suggested to play roles in (事象). [eLife.21895 #1]

    Thus, in this study, authors reveal that (研究対象) act as central players in (事象), which will adds to the regulatory mechanism of (事象). [eLife.24125 #3]

    Given the (前提となる条件), the most likely explanation is that (メカニズムに関する推察). [eLife.21895 #2]

    While (観察結果), they found that (観察結果・発見), and that (観察結果・発見). [embj.201695861 #2]

     

    好意的な書き方

    Interestingly, (観察された実験結果), suggesting (結論). [embj.201695861 #2]

    They use (方法) methods to reveal the (示された内容). They also demonstrate that (結論). To further define the role of (タンパク質名), they perform (実験手法) to identify its targets. (実験結果). (解析手法) are used to define the (事項). Finally, the authors examine the functional role of (タンパク質名), showing that (そのタンパク質の役割). Notably, while (実験で得られた観察事実), the authors convincingly show that (結論).[embj.201696127 #3]

     

    研究が厳密、厳格に行われたかどうか

    好意的な書き方

    In this manuscript the authors provide a wealth of elegant experimental data to help define the process of (現象). [eLife.24125 #2]

    In this report, the authors presented series of well done experiments both in vivo and in vitro and showed the following data:(結果を箇条書き)[embj.201696127 #2]

    By combining (測定手法) and (測定用のプローブ) the authors convincingly define the (現象). [eLife.24125 #2]

    The experiments are well designed and well conducted in large. [eLife.21895 #1]

    For the most part, the data presented is clear and of high quality. [eLife.21895 #2]

    The experiments were carried out in a logical fashion and the data quality is high. The evidence clearly establishes that (結論、主張). The data support current model of (トピック) and reveal the involvement of (要素) in the process. [eLife.21895 #3]

    例数・実験回数・サンプル数

    I am a little concerned that the data on protein movement is only from 3 proteins, one of which, GFP, is freely mobile, and another, SEOR, is involved in making aggregates, and the third is a foreign protein (aequeorin). There are plenty of native plant fusions available, how would they behave? [eLife.24125 #3]

    How did the authors quantify protein levels assessed by western blot? How many experiments have been carried out to confirm the findings? Please indicate. [embj.201695642 #2]

    Although some conclusions are validated by a quantitative analysis of phenotype (i.e., Fig. 4D, Fig. 7 E) there is, often an overreliance on a single microscopic images to support an important conclusion (especially Fig. 3F). We have absolutely no idea what the variation is, from plant to plant, let alone from treatment to treatment, in the number of dead cells. (データへの言及). These nonquantitative experiments don’t justify the page of text devoted to their discussion. [embj.201694571 #1]

    図・データの不明瞭さ

    How was the quantification done here? Also, what does Figure 2D tried to show? Is it the response to the (刺激)? (データの表現方法) may not be appropriate. [eLife.21895 #1]

    The (著者が見せたい事象、現象) is not clear to me, and only shown for GFP in video 3. [eLife.24125 #3]

     

    Throughout the text and figure legends, please be more clear about whether (実験条件) or (実験条件). [embj.201695861 #2]

    In general, the authors provide many graphs to support their conclusions, but not enough representative images of these data. To feel confident in their conclusions, representative images for the following experiments should be displayed. If space limitations are a problem, some of the images could be included as supplemental figures. (以下、該当する図を列挙) [embj.201695861 #2]

    – please provide more information in Table S1 (e.g. p-values, primers used for all genes) and in the methods regarding their qPCR conditions, standardizations and results, which should follow MIQE guidelines (PMID 19246619) [embj.201695861 #2]

    The Western blot data showing FcR in figure 1 protein levels is not very compelling. The reported changes are in expression are small, and interpretation of the data is complicated by high background levels. Are these changes consistent? As this change in expression is a major focus of the paper, the authors should provide additional more compelling data. The authors should graph the average change in protein abundance from at least three experiments, and include appropriate statistical analysis to demonstrate significant change. [embj.201695642 #3]

    The issue with non-specific antibody binding similarly complicates the flow cytometry analysis in Figure 1C. [embj.201695642 #3]

    統計処理、データ処理

    Whenever presenting data, please include +/- SD or SEM. [embj.201695861 #2]

    Data significance appears overestimated in some of the graph shown (e.g. Fig.1e, Fig.2b,e,Fig.3c,e…), based on the visual inspection of the images. However, it is very difficult to make a proper evaluation because no information is provided on the number of (被験者の数) or of experiment replicates performed (in case of 実験条件), nor it is indicated whether data shown represent mean or median of different experiments and whether SD or SE was used. In Fig.3a-e, data from single donors are presented, but the graphs still show SD or SE. Do they represent different replicates of a single experiment or different experiments performed at different times with (サンプル) isolated from the same donor? These information should be provided. Furthermore, the use of the unpaired t test, in place of the more appropriate paired t test, should be justified. It is possible that this is the reason why data significance seems overestimated. A paragraph reporting the statistical analyses used to determine data significance is missing and should be included in the Materials and Methods section. [embj.201695642 #2]

    Because (解析条件), the (数値データ) may skew the actual (真の値). The (数値データ) should be normalized against (正規化するための対照), to show (知りたい数値). [eLife.21895 #3]

    実験方法の不備、実験結果の曖昧さ、図の中に見出された矛盾点

    For the PICT results, it’s sometimes not clear how the individual cell panels illustrate the numbers shown in the bar graphs. For example, in Figure 1, why is the δ 43 heterozygote nearly WT on the bar graph, while the homozygote is zero? The pictures make it look like it should be the other way around. Please clarify exactly what the bar graphs are showing: simple overlap of peaks in two dimensions, or some 3D measurement? Perhaps more pictures would help.[eLife.20832 #3]

    Figure (XX) – The estimates of (数) seem surprisingly high based on the (図に示された内容) shown in the figure. Providing quantitation of these data might strengthen the case. Can the authors check the quantification or tell us how they arrived at their conclusions? [embj.201696127 #3]

    Already from Figure 1 I found it very difficult convince myself that there was (結果) and hence (結論). [eLife.20832 #2]

    Why (実験の結果) is not discussed, and since (実験の不備) it is also very unclear what is being observed. [eLife.20832 #2]

    Given this, not only is the quantification of the (シグナル) highly questionable, but it would be essential to demonstrate the degree to which the (シグナルのレベル、信頼性). [eLife.20832 #2]

    The same problems occur in Figure 2, and again here the lack of (測定) suggest yet a further complication that each image represents (著者が想定しない事象). [eLife.20832 #2]

    The images shown in Figures 1 and 2 do not convince me that it is possible to estimate in any reliable way the degree of (定量・測定したい項目) and in Figure 2A even the authors’ quantitations for (定量する対象) are well within the estimated errors. [eLife.20832 #2]

    But the images do not convincingly show a (事象), and here again the (実験の不備) makes quantitation very uncertain. [eLife.20832 #2]

    The time course data in Figure 4 is potentially interesting, but again is based on a techniques and quantitation regime that are wholly inadequate. [eLife.20832 #2]

    However, because (事実), it’s a little surprising that (論文に示されたデータの内容). Perhaps due to the particular image that was selected? It would be nice if confocal images were provided for some additional key experiments throughout the paper. [embj.201695861 #3]

    対照実験の不備

    Also, the authors provide no quantitation of (効果), nor a control to demonstrate that (著者が生じていないと主張する現象) in their experiment as they claim. [eLife.20832 #2]

    Why did the authors use βactin for protein data normalization in Fig.4f and 5c instead of Lamp-1 that was used in the other blots? This molecule is a known hypoxia target and it would be preferable not using it for data normalization. Confirmation of findings using Lamp-1 is recommended. [embj.201695642 #2]

     

    論文内の実験データ間での矛盾

    Further, the (図で示された実験の内容) (Figure 3C) and is not consistent with the (論文内の別の実験結果).[eLife.20832 #2]

    Figure 7C seems to indicate that (図で示された実験結果からの結論). However, the data as shown
    in Figure 2B looks different. It is also intriguing that (実験結果). The authors should briefly comment on that. [embj.201696127 #2]

    Basal expression of (遺伝子名) appears quite variable among different figures. These differences should be explained.  [embj.201695642 #2]

    (実験結果). (実験結果). How do the authors reconcile the fact that (実験結果)? [embj.201695861 #3]

     

    実験デザインの不味さにより解釈が不能

    Even if we accept that the data do in fact reflect (変化), we have no idea what the (シグナル) mean in terms of the (仮定する条件). [eLife.20832 #2]

    アーチファクトの可能性

    It is strange that (図で示された実験結果). I would like to be sure that (事象) resulted from (事象) and not from an artifact due to the (事象). [embj.201696127 #2]

    Figure 4C – The evidence that (実験結果の解釈に基づく主張) is difficult to interpret as (理由:図に示された実験結果). It is possible this is an artifact of the image, but if that is the case, a quantitative measurement would be better. [embj.201696127 #3]

    図作製のミスの可能性

    Figure 4C – I wonder if the labeling of the figure panels was accidently exchanged? In both Fig EV4 and Fig 6B, (矛盾する図の内容). Is there a labeling mistake? If not, the authors need to explain these data. [embj.201696127 #3]

     

    著者の主張は実験結果によって裏付けられているか?

    The paper proposes that (主張). This is a very novel proposal; indeed an extraordinary proposal and as such extraordinary evidence is required to support it. At present I am not sure this is the case and I will set our the questions that I feel need to be resolved. [ncomms14881 #1]

    好意的な書き方

    The evidence that (現象) is firm  [eLife.20832 #1]

    The evidence for an (事象) in Figure 3 is much more convincing. [eLife.20832 #2]

    I found the conclusions developed by the authors compelling and well supported by the data. [eLife.24125 #2]

    Strong evidence is presented using (測定用プローブ) and (測定手法) that (現象・解釈・主張). [eLife.24125 #2]

    The results of these experiments support a role of (遺伝子名) in (現象). [eLife.21895 #1]

    All of the author’s data appears to be consistent with (結論). [eLife.21895 #2]

    This manuscript is of very high quality. The work is logical, the writing is clear, and the data are excellent. All of the claims made are extensively backed up by convincing data. The arguments the authors make are persuasive. [embj.201696127 #3]

     

    データとストーリーとの一貫性

    The result in Figure 4D is interesting, where the (実験結果の内容), even though they are both (実験条件). How would this result fit to the authors’ model? [eLife.21895 #1]

    (実験結果). (実験結果) is completely ignored in the manuscript. It is proper to at least clearly mention (論文で言及されていなかった事象) in the Results and discuss how this (論文で言及されていなかった事象)may relate to the (研究対象としている分子の機能). [eLife.21895 #1]

    データの解釈と言葉遣い

    The authors need to be a little more careful about wording with respect to three issues:
    –The authors should be more cautious about their conclusion that (主張 exclusively 条件). (差読者による図の読み取り). In addition, recent results from (著者) et al. (雑誌名号:頁), suggest that (知見).
    –In several figures such as Figures 4B and 6B, it appears that (図から読み取れる結果)
    (as the authors also note). Thus, it might be better to use the term (言葉) when referring to the
    (対象).
    –It is quite difficult to completely delineate the effects of (事象A) versus(事象B). For examine, in Figure 7A, (図から読みとれる観察結果). The authors are encouraged to be more guarded in how they describe these
    findings. [embj.201696127 #1]

    ネガティブな書き方

    The major concern regarding the manuscript centers on the authors interpretation of the data to infer a direct, active role of the (タンパク質名) in (事象). [eLife.21895 #2]

    This said, I found the data inadequate to support the key claims that (著者の主張). [eLife.20832 #2]

    The title of this section “結果のセクションタイトル” is clearly not supported by the data. [eLife.20832 #2]

    For these reasons, it is my opinion that the data do not convincingly demonstrate (著者の主張する事象(名詞)) or that (著者の主張する事象(名詞節)).[eLife.20832 #2]

    In short, the questions are interesting, the technique fascinating, but the data do not support the claims and interpretations.[eLife.20832 #2]

    Unfortunately, however, there is no direct evidence establishing its importance in (現象). [eLife.20832 #1]

    However, the relevant figure (Figure 5C) does not make a convincing case for the(現象名), and the accompanying text (本文の場所) did not help much to convince me. [eLife.20832 #1]

    Thus, the (実験何用) should have been examined. [eLife.20832 #1]

    But even more importantly, the authors should have used the (本来用いるべきだった実験手法とその実験内容). [eLife.20832 #1]

    別の解釈の可能性

    The fact that (実験結果) is quite unexpected. The data presented here cannot rule out that (実験結果を説明するための別の解釈). [embj.201696127 #2]

    However, the Western in Figure 1—figure supplement 2 shows (図に示されている内容), which would lead to a different and less interesting interpretation of the (データ名) data, with no evidence for a (著者らが主張する現象). [eLife.20832 #1]

    In addition, it seems possible that the (実験結果の差読者による別の解釈). [eLife.20832 #1]

    It is even possible that the (実験結果の差読者による別の解釈).[eLife.20832 #1]

    The experiments showing that (実験内容と結果) are valuable, but they have not ruled out the possibility that (実験結果の別の解釈の可能性). [eLife.20832 #1]

    The evidence for (現象) is interesting and valuable but it is unclear that it constitutes an important means of (現象) rather than being a byproduct of the (現象、別解釈). [eLife.20832 #1]

    As is, the data provided suggest that the (実験結果) is not due either to(事象) or (事象).[eLife.20832 #2]

    The authors state that (主張), despite (観察事実), and conclude that “結論を述べた本文”. However, it appears from the results presented in Figure 4g that (図で表された観察結果), suggesting (結論). Evaluation of the effects of (差読者が新たに提案する実験) would help substantiating or refuting the authors’ conclusion. [embj.201695642 #2]

    The (事象) may be due to (事象), rather than a role in (事象). These (事象) might also be the cause of the (事象). I like to see data on (実験対象と実験条件). [embj.201694571 #1]

    My main concern is conceptual. Although it is manifest as population frequency of expression in the OE, (主張). For this study, the authors appear to have conflated the two. It is not clear to what extent the (観察結果の解釈). There are two potential mechanisms that can result in the (観察される事象). First, (仮説), by (仮説、メカニズム). (推論). In this scenario, the (帰結). Therefore,(観察される事象の説明、解釈). Alternatively, (仮説), resulting in the (帰結). In this scenario,  (解釈). The authors clearly favor the former as they conclude as such, when it is equally possible that the second mechanism can completely or partially account for the observations. It is likely that both mechanisms are at play. The authors should discuss these possibilities and clarify their position. [eLife.21895 #3]

     

    主張を強めるための追加実験の提案

    What is needed in my view is (実験内容), and to show that (現象), thereby showing that (実証したい仮説の内容). [eLife.20832 #1]

    Thus, (実験アプローチ名) would be needed to achieve this important goal. [eLife.20832 #1]

    It is widely accepted that (事実). I suggest the author to perform (実験). According to the author’s model, it is expected that (予測される実験結果). [eLife.21895 #3]

    The analyses were all performed in (実験動物の週齢の条件). No developmental changes were captured. The authors should perform (実験) in early postnatal and adolescent mice. If (仮説), it would be expected that at early developmental stages (予測) whereas at later stages (予測). [eLife.21895 #3]

    The authors state that (主張).However, no data are presented demonstrating that (主張). Experiments in which (差読者が提案する新たな実験及び実験条件) would help clarifying this point. Furthermore, assessment of (提案する実験内容) could be useful to confirm that the observed (著者の主張). [embj.201695642 #2]

    Demonstrating (the effect of … 提案実験実験) would further strengthen the authors’ conclusions that (著者の主張). [embj.201695642 #3]

    The most interesting result presented here is (実験結果). The authors need to show that (確認のためのレスキュー実験), or that (別の方法で同じ結果を得られるような実験). [embj.201694571 #1]

     

    論文の体裁

    好意的な書き方

    Overall I found this manuscript to be a fascinating read that describes a study that is rich with significant new insights, observations and testable hypothesis. [eLife.24125 #2]

    図、データの見せ方

    Results shown in Figures XX would be better presented as a regular than a supplementary figure, because it reports critical data. [embj.201695642 #2]

    More explanation needs to be provided for a few figures:
    –Figure 1B: The conditions and observations for the (図の一部) should be mentioned somewhere.
    –Figure 4C: It would be nice if the authors could provide quantitation for the fluorescence.
    –Figure 6: The authors should provide a key for the graph in panel B (ideally in the figure), given
    that colors of the labels in the top panel and the colors of the bars do not match precisely (especially
    for the yellow bar). They should also provide an explanation for why (図から読み取れる観察事実).  [embj.201696127 #1]

    Some Figure Legends are not fully informative and should be expanded [embj.201695642 #2]

    言葉遣い(学術用語の適切な使用)

    In the second paragraph of the subsection “サブセクションタイトル”, the authors wrote, “本文の記述”. It may be better to use the term “言葉” to describe this (事象). [eLife.21895 #1]

    I guess the authors are erroneously using the term RBR1 refer to the mutant? [embj.201694571 #1]

    – authors should not use the term ‘astrocytes’ unless cell identity is confirmed with an astrocytemarker

    However, use of the word “holoenzyme” in the pol II system has been very messy and I would avoid it. To my mind, a holoenzyme should have all the activities needed for promoter recognition and transcription initiation. There were some early papers proposing a pre-assembled holoenzyme of pol II with all the general transcription factors, but those models haven’t held up. Later papers started misusing holoenzyme to mean the Mediator – pol II complex. For similar reasons, I don’t think Rrn3-pol I would qualify as a holoenzyme. I would avoid the word altogether so as not to distract from the concept that factor interactions with the stalk and surrounding regions might help bring RNA polymerases to the promoter.[eLife.20832 #3]

    言葉遣い(どれくらい断定的に書くか)

    The wording in the discussion is at times too strong based on the data the authors provide. For example, on page 17, the authors intimate that (主張). Although the data that they provide shows that (実験結果から得られる結論), these data do not preclude that (別の可能性) and that (別の解釈).  [embj.201695861 #2]

    The authors state that “著者の主張”, but I don’t believe this is true. For example, (文献) describe (先行研究の内容). [embj.201695861 #3]

    言葉遣い(国語の問題)

    Some sentences are confusing and should be edited for clarification:(8箇所の指摘)[embj.201696127 #1]

    図作製ミス

    Fig 4C and D are incorrectly labeled “(ラベル)”. [embj.201695861 #3]

    曖昧さ

    I’m assuming the experiment shown in Supplemental Figure 1E was done in (実験条件)? It doesn’t explicitly say that in the Results or Figure/Figure legend. [embj.201695861 #3]

     

    研究の意義、新規性、その研究分野の進展への貢献の度合い

    研究の位置づけに関する説明的な内容

    The authors’ group previously identified (遺伝子名), which are (発現パターン) (文献). The authors now address the function of (遺伝子名) in vivo by using (遺伝子名) double knockout mice. [eLife.21895 #1]

    Previously, the authors discovered (発見した内容). In this manuscript, they first define the (今回の発見の内容).[embj.201696127 #3]

    The authors have previously demonstrated a role for the (タンパク質名) in the (現象). This evidence, combined by the (事象), suggest that a similar important role exists in vivo. Previous evidence from several laboratories, including the author, suggest that (タンパク質名) are required for, or contribute significantly to, the (事象). [eLife.21895 #2]

     

    好意的な書き方

    The technical approach is interesting and still novel. [eLife.20832 #2]

    It’s been known for quite a while that the (これまでにわかっていたこと). Several very recent papers, including this one, have shown that the (最近の知見). This report goes beyond to the recent (雑誌名) papers from (著者名) in providing in vivo evidence for this model of regulation. [eLife.20832 #3]

    This manuscript addresses (and answers) a major question that arose from a previous manuscript of this (now extended) consortium which was published in eLife last year: how is (リサーチクエスチョン). [eLife.24125 #1]

    This is the first study that provides data on the anatomy and (sub)cellular organization of the (部位) which led to the discovery of a new type of (事象).[eLife.24125 #1]

    This is an exciting discovery. [eLife.24125 #2]

    This is a significant study addressing questions not only fundamental to the (分野名) field, but also important to (研究トピック) , (研究トピック) and (研究トピック) in general. [eLife.21895 #1]

    Although many more experiments need to be done to fully address the relationship between (役者たち), the current work stands as a significant progress toward this goal. [eLife.21895 #1]

    This manuscript highlights the complexity of intricate interactions between (役者A) and (役者B) for specific and efficient regulation. Even more interestingly is the hypothesis presented in the discussion suggesting that (仮説). [embj.201696127 #2]

    ネガティブな書き方

    The (データ) are valuable, but a (実験名) was already published. [eLife.20832 #1]

    The result that (実験内容と実験結果) is the most interesting finding, but the molecular mechanism is not obvious from the (データ). [eLife.20832 #1]

     

    先行研究との整合性、適切な論文の引用

    好意的な書き方

    Previous work on (研究対象となった分子名) has shown that (働き). This paper uses the (アッセイ名)assay to provide convincing evidence that (研究対象となった分子の働き) [eLife.20832 #1]

    ネガティブな内容

    かなりキツイ物言い

    P 3, line 14. Does the absence of references to other described mechanisms of (現象) mean the authors reject or simply choose to ignore them? 1,2 [embj.201695642 #1] (注:文の後の数字は差読者が附した文献の番号)

    ディスカッション

    The authors should discuss the possible physiological consequences of (事象1)
    but not (事象2) as (条件). [embj.201696127 #1]

    The references are often very old and recent refs on p(トピック) are not mentionedthe discussion should be more balanced on this and avoid strong opinions on things not investigated in the manuscript, eg: “本文の引用” [eLife.24125 #3]

     

    差読者の判断:受理か却下か

    ポジティブな表現

    Overall, I think this is an interesting and important paper that would be appropriate for eLife. [eLife.20832 #3]

    Taken together, I believe this paper contains many exciting findings that can be published pretty much without major changes. [eLife.24125 #1]

    ネガティブな表現

    Taken together, the paper is not a strong candidate for eLife, even if the authors can address all of the shortcomings in the experiments and interpretations mentioned above or below.  [eLife.20832 #1]

    While it is an interesting report in this area, and is of likely interest to the readers of more specialist journals in the field of (特定の研究分野名), I do not believe the work represents a significant new step forward that justifies publication in Nature Communications. [ncomms14881 #2]

     

    まとめのパラグラフ

    In summary, the paper represents a collection of three different lines of work joined by the theme of (現象名). [eLife.20832 #1]

    In summary, this paper provides data that both further substantiates RBR1 role in genome maintenance and presents data supporting the more conceptually novel idea that that RBR1 plays a direct role in repair by facilitating the formation of RAD51 foci. [embj.201694571 #1]

     

    具体的な個々のコメントに入るためのつなぎの文

    I have several comments for the authors to consider, mostly concerning technical and/or interpretational issues. [eLife.21895 #1]

    I have some minor suggestions for improvement:  [embj.201696127 #3]

    Overall, the data that the authors present is clear, and the importance of the work is quite high. The authors should be commended for the depth of their analysis. Yet there are several important changes/additions necessary before it is suitable for publication in EMBO J. [embj.201695861 #2]

     

    査読レポートの構成

    最初のパラグラフで、論文の内容を客観的な口調で要約します。これは差読者がちゃんと論文を読んで理解したことをエディターや著者らに示す意味があります。受理を勧める場合には、好意的な言葉を散りばめる人もいます。2つ目のパラグラフで、おおまかな評価を与えます。その後、メジャーコンサーン、マイナーコンサーンを具体的に述べるのが一つの典型的な書き方です。しかし絶対的な決まりがあるわけでもないので、かなり自由なスタイルで書く人もいます。

    This study investigates the effects of (実験内容). The authors demonstrate that (実験結果・発見・結論). Furthermore, they report that (実験結果・発見・結論).
    General comments:
    Overall, the work tackles an interesting topic and sheds new light on (研究トピック). The scientific rationale for the investigation is sound and the authors present a few novel and important observations that provide a logical extension of previous work from this team on (研究トピック). The manuscript is well organized and carried out. However, some information are missing and should be provided to clarify a few issues, and additional experiments are needed to strengthen the study and further support the authors’ conclusions.
    The following points should be addressed:

    Major Criticisms:
    Minor Criticisms:  [embj.201695642 #2]

     

    2つ目のパラグラフ(講評)の例

    辛口の例

    The (論文で示された内容) is certainly interesting, due to the known similarities and differences between DDR in plants and animals. The study is of high quality but in my opinion remains short in providing a sufficiently deep set of results fully supporting the major authors’ claims. One major question is how is RBR targeted to DNA damaged sites. There are a number of specific points that are listed below. [embj.201694571 #2]

     

    要約と全体評価を一つのパラグラフにまとめて書く人もいます。

    研究内容の要約と全般的な評価を一つのパラグラフにまとめた例

    The paper by (筆頭著者) et al is a well written study describing an important issue in (研究領域) biology, namely the (研究トピック). In general the results are interesting and compelling, and will be of interest to (研究領域) researchers. However a few issues should be addressed to strengthen the several of the conclusions. (以下、Major pointsMinor pointsを列挙) [embj.201695642 #3]

    This paper by (筆頭著者) and colleagues describes (発見した内容). (論文で示された内容). (論文で示された内容).This provides the first description of (現象を説明するメカニズム). These results are novel and very exciting and will provide important new insight into (研究トピック), which will be of broad interest to many in the field of (研究領域) biology. Overall, the manuscript is well written and the conclusions largely supported. Some thoughts and comments to improve the paper are provided below: (以下、Major pointsとMinor points)[embj.201695861 #2]

    (論文のトピックに関する既知の事実). Here the authors present convincing evidence for a second role in some aspect of (細胞内の現象). This observation has not been previously published in other eukaryotes, making it especially valuable. The most important results are (論文で述べられた発見). (発見された内容) is especially important, as one would predict just the opposite effect if (仮定の内容). The data on the (トピック) is less surprising or novel (conceptually- the experiments themselves are new). I have a few issues with the paper, some related to problems in the writing, but in other cases an experiment needs to be either improved or dropped. [embj.201694571 #1]

     

    査読の参考に、水島 昇『科学を育む 査読の技法〜+リアルな例文765』2021/6/23 羊土社

    参照した論文

    1. ncomms14881
    2. eLife.24125 eLife.21895 eLife.20832
    3. embj.201696127 embj.201695642 embj.201694571

     

    参考(査読レポートで頻出する英語表現をまとめたウェブサイト)

    1. 英語論文の査読表現集:”1つは自分が今後査読をする際の参考にするため、もう1つは同じ悩みを抱えている研究者のために、ささやかではありますが、ここ10年くらいの間に自分が受けた査読結果を中心に、英語論文を査読するときに役に立つ表現集を作ることにしました 。”

     

    同じカテゴリーの記事一覧

    研究論文の査読レポートの書き方

    一つの研究分野でいくつか論文を出していると、ある日突然、査読依頼のメールを受け取ることになります。サイエンスの世界は、ピアレビュー、すなわち研究者同士で互いの論文を審査するシステムになっているからです。ボスが大学院生やポスドクに査読の下書きをさせるというのはよく聞く話で(本来Confidentialであるべきですが)、そういうラボにいた人は既にやり方をわかってるかもしれません。しかし、多くの場合、査読の依頼を初めて受けたときに、十分なトレーニングを受けていない状態だと思います。そこで、査読をすることになった人の役立ちそうなサイトを紹介します。

     

    公開されている差読者のコメント

    ありがたいことに、差読者のコメントを公開している雑誌があります。これは、査読の方法を学ぶためのお手本の宝庫です。もっと言えば、査読コメントやエディターに対する著者からの反論(リバッタル レター;Rebuttal letter)も公開されているので、論文を通す戦いの成功事例が学べます。ちなみに、STAP幹細胞論文がサイエンス誌から却下されたときの3人の差読者のコメント (Retraction Watch)も読み応えがあります。

    注:差読者が公開を望まなかった場合は非公開。

    1. eLife: 論文のウェブページの右横のリストでDecision Letterをクリックするとエディターや差読者のコメントをウェブ上で読むことができます。
    2. EMBO Journal: 論文のウェブページで、Transparent Processのタブを選び、Review Process Fileをクリックすると、差読者のコメントおよび著者とのやりとりをPDFで読むことができます。
    3. Nature Communications : 2016年1月以降に投稿された論文で、Supplementary information の欄に、Peer Review Fileがある場合には、査読レポートが公開されているが割合はあまり多くない。

     

    査読コメントに書くべき内容

    査読で原稿を読むときに、どんなことを考えながら読み進めればよいのかを、いくつかの雑誌の査読ガイドを引用することによりまとめました。査読コメントを書くときにこれらの英語表現が参考になりますので、意味が重複する場合でも、複数を引用します。

    研究は厳密に行われているか?

    必要な対照実験が行なわれているか、アーチファクトの可能性はないか、研究不正の疑いはないかなどに注意。

    1. Is the paper technically sound? srep 論文に厳密さがあるか?
    2. The data is technically sound. ncomms  データが厳密であること
    3. Is the statistical analysis of the data sound? srep  ncomms  データの統計学的な解析方法は正しいか?
    4. the quality and presentation of the figures as well as the validity of the statistical methods used to interpret them  cell.com  データを解釈する際に用いられた統計学的手法の妥当性および図のクオリティと表現方法に関するコメント
    5. Does the paper offer enough details of its methodology that its experiments could be reproduced? 論文は、実験の再現が可能なくらい十分詳細に方法を記述しているか?plosbiology
    6. Have they provided sufficient methodological detail that the experiments could be reproduced?  ncomms
    7. Should the authors be asked to provide further data or methodological information to help others replicate their work? (Such data might include source code for modelling studies, detailed protocols or mathematical derivations).  ncomms

     

    著者の主張は実験結果によって裏付けられているか?

    実験結果から結論を導く過程が、論理的かどうかは重要なポイント。

    1. Are the claims convincing? If not, what further evidence is needed? srep  ncomms
    2. Are the claims fully supported by the experimental data? srep
    3. Do the data support the claims? If not, what other evidence is required? データは、主張を裏付けるものになっているか?もしそうでないなら、他にどんな証拠が必要か?plosbiology
    4. The paper provides strong evidence for its conclusions ncomms  結論を支持する強い証拠を示せていること
    5. alternative hypotheses that are consistent with the available data  cell.com   得られた実験データと整合性のあるような別の仮説
    6. Have the authors provided adequate proof for their claims without overselling them? 著者らは十分な証拠に基づいて主張しており、過大な主張をしていないか?plosbiology
    7. Have the authors done themselves justice without overselling their claims?  ncomms

     

    論文の体裁

    1. Is the manuscript clearly written? If not, how could it be made more accessible? srep  ncomms
    2. Is the manuscript clearly enough written so that it is understandable to non-specialists? If not, how could it be improved? (Please concentrate on matters of organization and content and not on grammatical or spelling errors that will be corrected by our copyeditor after acceptance.) 原稿は十分明瞭に書かれていて非専門家にも理解できるか?もしそうでないなら、どのように改善すべきか?(構成や内容に関してのみ考慮してください。文法や綴りの間違いは、受理後に原稿編集者が行います。)plosbiology
    3. Could the manuscript be shortened to aid communication of the most important findings? ncomms

     

    研究の意義、新規性、その研究分野の進展への貢献の度合いは?

    1. The results are novel ncomms  結果に新規性があること
    2. Are the claims novel? If not, please identify the major papers that compromise novelty ncomms   論文の結論に新規性はあるか?もし無いのなら、新規性を損なわせている主要な論文を示してください
    3. Are these claims sufficiently novel? If not, please specify papers that weaken the claims to the originality of this one. 論文の主張には、十分な新規性があるか?もし無いなら、この論文の新規性を弱めるような論文を挙げてください。plosbiology
    4. balanced referencing of the pre-existing literature. In particular, when previously published work has undercut the novelty of the present findings, it is extremely helpful to include in the body of the review detailed citation of the relevant articles and data.  cell.com  すでに存在する文献の適切な引用。特に、先行研究が今回の発見の新規性を下げるようなものである場合には、関連する論文とデータの詳細な引用
    5. What are the main claims of the paper and how significant are they? この論文の主要な主張は何か、どれくらい意義深いのか?plosbiology
    6. What are the major claims of the paper? ncomms
    7. an outline of the conceptual advance over previously published work cell.com これまで発表された研究に比べたときの、概念的な進展の概要(を査読レポートに書く)
    8. Is this paper outstanding in its discipline? If yes, what makes it outstanding? If not, why not? この論文は、この研究分野においてどれくらい際立っているか?もしそうなら、何が理由でそうなのか?もしそうでないなら、なぜか?plosbiology
    9. Will the paper be of interest to others in the field?  ncomms   この論文は、この研究領域の他の研究者の興味をひくものか?
    10. the paper’s potential audience (i.e., the relevant fields within the readership of the journal)  cell.com その論文の潜在的な読者(すなわち、雑誌が対象とする読者層の中でも関係がある領域)
    11. Will the paper influence thinking in the field? ncomms   この論文は、この研究領域の考え方に影響を与えるものか?
    12. The manuscript is important to scientists in the specific field ncomms  その分野の科学者にとって重要性があること
    13. In general, to be acceptable, a paper should represent an advance in understanding likely to influence thinking in the field. ncomms  その研究分野の考え方に影響を与える得るだけの理解の進歩を示す論文であること
    14. If the manuscript is unacceptable in its present form, does the study seem sufficiently promising that the authors should be encouraged to consider a resubmission in the future? srep
    15. Would any other experiments/data/analyses improve the paper? How much better would the paper be if these were performed, and how difficult would they be to do? 他にどんな実験/データ/解析があれば、この論文がより良いものになるか?それらを実現できたら、どれくらい論文が良いものになるか?また、それらを実現することはどれくらい困難か?plosbiology
    16. Are there other experiments that would strengthen the paper further? How much would they improve it, and how difficult are they likely to be? ncomms
    17. Who would find this paper of interest? Why? どんな読者がこの論文を面白いと思うか?それはなぜか?plosbiology
    18. If the paper is considered unsuitable for publication in its present form, does the study itself show sufficient potential that the authors should be encouraged to resubmit a revised version? もしこの論文が現在の原稿のままでは掲載に不適と判断される場合、改訂版の再投稿を著者らに勧めるほどの潜在的価値がこの研究自体にはあるか?plosbiology
    19. If the manuscript is unacceptable in its present form, does the study seem sufficiently promising that the authors should be encouraged to consider a resubmission in the future? ncomms

     

    先行研究との整合性があるか?

    Discussionのセクションで、研究の位置づけが議論されているかに注意します。

    1. Are the claims appropriately discussed in the context of previous literature? srep
    2. Are the claims properly placed in the context of the previous literature? 著者らの主張は、これまでの文献の文脈の中に適切に位置づけられているか?plosbiology
    3. Are the claims appropriately discussed in the context of previous literature?  ncomms
    4. Have the authors treated the previous literature fairly? 先行研究を公正に扱っているか?plosbiology
    5. Have they been fair in their treatment of previous literature?  ncomms

     

    差読者の判断:受理か却下か

    1. a specific recommendation, the reasons for that recommendation  cell.com  具体的な勧告とその理由

     

    その他

    1. Does the availability of data adhere to the expected standards of your research community? srep
    2. Are they any special ethical concerns arising from the use of animals or human subjects? srep  ncomms
    3. PLOS Biology encourages authors to publish detailed protocols as supplementary information online. Do any particular methods used in the manuscript warrant such a protocol? PLOS Biologyは著者らが詳細なプロトコールを補足情報としてオンラインで公開することを奨励している。原稿の中で用いられた方法のうち、公開すべきプロトコールはあるか?plosbiology

     

    さて、実際に査読レポートを書く場合には、受理したいか、却下したいかにあわせて、良い悪いをバランスよく盛り込むようにします。

    The core of any review is an objective assessment of both the technical rigor and the novelty of the presented work. (Cell Press Information for Reviewers) 論文にまとめられた仕事が、厳密に遂行されたものか、また、新規性があるかどうかの両方に関する客観的な評価が、査読レポートの核心になります。

    上記で引用したジャーナル

    1. Cell Press Information for Reviewers
    2. Nature Communications Guide to referees
    3. PLOS BIOLOGY Reviewer Guidelines
    4. Scientific Reports Guide to referees

     

    査読の実際的な手順

    査読するときに論文をどのように読むかは人それぞれのやり方があると思いますが、WILEYが説明はステップバイステップになっていて、初心者には役立ちそうです。

    WILEY Step by step guide to reviewing a manuscript

     

    出版社や雑誌社による査読ガイド

    査読のやり方にはある程度決まったスタイルがありますが、雑誌ごとに異なる部分もあります。自分に査読を依頼してきた雑誌社が示している査読の指針を、よく読みましょう。以下の雑誌社や出版社の査読ガイドは、一般的な査読方法を学ぶうえで非常に役立ちます。

    1. WILEY Step by step guide to reviewing a manuscript 査読する際に何を考えながらどのように読む進めるのが良いのか、査読コメントの構成の仕方と各パラグラフ、セクションに何を書くべきか、等。ステップバイステップの詳細な手引き。

    2. ELSEVIER How to conduct a review :レビューアーが返すコメントに何を書けばいいのかが具体的に述べられていて参考になる。
    3. Taylor & Francis Writing a review: a step-by-step guide 何を考えながら原稿を読むべきかが具体的に述べられている。
    4. Cell Press Information for Reviewers 差読者がレポートに書くべき事柄が述べられている。
    5. PeerJ How To Become Good At Peer-Review
    6. PLOS BIOLOGY Writing the Review
    7. PLOS ONE Writing the Review 
    8. DEVELOPMENT  Guidelines for Reviewing Research Articles and Reports

     

    研究の意義・重要性

    学術雑誌はピンキリなので、そのジャーナルが求める研究意義の大きさとの兼ね合いで、差読者はその論文が受理されるべきか判断します。その雑誌のことを良く知らないのであれば判断ができませんので、まずは、雑誌のウェブサイトに行き、Aims and Scopeを読んだうえで、どんな論文が掲載されているかをみておく必要があります。トップジャーナルが論文をリジェクトするときに、conceptual advanceが不十分であり、incremental advanceに過ぎないという表現をよくしますが、専門誌になればなるほど、incrementalでも内容がしっかりしていればOKになります。(参考記事:ネイチャー(Nature)に論文を出す方法

    他方、論文の重要性の評価には関与しないというスタンスの雑誌も増えてきました。PLOS ONE (2006 Dec-)は、研究の意義・重要性の判断は掲載後に読者に委ねるという新しい方針を打ち出した画期的なジャーナルです。

    PLOS ONE accepts scientifically rigorous research, regardless of novelty. PLOS ONE’s broad scope provides a platform to publish primary research, including interdisciplinary and replication studies as well as negative results. … PLOS ONE will rigorously peer-review your submissions and publish all papers that are judged to be technically sound.(PLOS ONE Jounral Information)

    Scientific Reports (2011 June-)も、研究の意義や新たな概念の提唱ではなく、研究の確かさに基づいて掲載の可否を判断することを明言しています。

    Referees and Editorial Board Members will determine whether a paper is scientifically valid, rather than making judgements on significance or whether the submission represents a conceptual advance. (Scientific Reports Aims & scope)

     

    査読ガイド動画

     

    査読の参考に、水島 昇『科学を育む 査読の技法〜+リアルな例文765』2021/6/23 羊土社

     

    参考

    1. Peer Review at Science Publications 
    2. 2.3 Reviewer Roles and Responsibilities (Council of Science Editors)
    3. Guidelines for Reviewers of ASM Journals
    4. ELSEVIER Reviewer policy statement
    5. ELSEVIER How to review manuscripts — your ultimate checklist (By Hannah Foreman Posted on 28 August 2015) 査読のやり方とチェックリスト 1ページまとめ
    6. ELSEVIER 10 tips for reviewing scientific manuscripts – and 5 red flags (By Joseph Alpert, MD Posted on 5 December 2012)
    7. PNAS Peer Reviewer Instructions
    8. Ten Simple Rules for Reviewers
    9. Transparent peer review at Nature Communications Authors of papers submitted from January 2016 will be given the option to publish the peer review history of their paper
    10. STAP幹細胞論文がサイエンス誌から却下されたときの3人の差読者のコメント (Retraction Watch)
    11. How to review a scientific manuscript? (ResearchGate ディスカッションフォーラム Jan 9, 2013)
    12. Nicholas, K. A. and W. S. Gordon (2011), A quick guide to writing a solid peer review, Eos Trans. AGU, 92(28), 233, doi:10.1029/2011EO280001.
    13. The Joy of Peer Review or My Favorite Comments from Editors and Reviewers
    14. How to Write a Peer Review for an Academic Journal: Six Steps from Start to Finish by Tanya Golash-Boza PhD2PUblished May 9, 2012

    参考(リジェクトする理由)

    1. ELSEVIER ‘Eight reasons I rejected your article’ By Peter Thrower, PhD     Posted on 12 September 2012

    参考(査読システムに纏わるエトセトラ)

    1. 査読 システムに限界、基準劣化のおそれ (enago academy エナゴ学術英語アカデミー ライター紹介:粥川準二 投稿日: 2017年1月6日 ):”活動的な」査読者は毎年平均5件の論文を査読していることもわかりました。もちろん、年間何十件もの論文を査読する者もいれば、たったの1件という者もいます。また彼らの計算では、査読の需要に応じるために、2015年には180万人の査読者が必要とされたといいます。前述の通り、査読をできる研究者の数は常に査読の需要を上回っているといいます。しかし問題は、労働の配分がきわめて不平等であることです。全体のうち5%の査読者が、全査読時間の30%近くを担っている、ということが今回の研究でわかったのです。”
    2. Why high-profile journals have more retractions (Nature News 17 September 2014):”the higher the impact factor, the higher the retraction index.”
    3. high-profile ジャーナル?(たおやかな生活を希望して 2008年08月26日):”現在の論文出版における問題としてhigh-impactなジャーナルに与えられている圧倒的なステータスである。キャリアーアップには何を発表したのかというよりもどこに発表したのかを問われる。”

     

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      誰も教えてくれない「トップジャーナルにアクセプトされる論文の書き方」

      研究者ならだれでもインパクトファクターが高いトップジャーナルに論文を掲載させたいものです。しかし、論文の構成に関してIMRaDといった表面的なことを教えてもらえることはあっても、実際にいいジャーナルにアクセプトされる論文の書き方とリジェクトされる論文の書き方の違いを明確に示してもらえる大学院生はほとんどいないと思います。なぜなら、トップジャーナルにコンスタントに論文を出せるラボ(PI)が少ないからです。そういうラボに在籍してボスから指導を受ける、もしくはボスのやり方を盗み取るといった経験をしない限り、優れた論文を執筆するためのノウハウは得られません。

      そんな、普通なら開示されることがなかったトップジャーナルに通すために秘訣が、情報がネットで流通する今の時代は、誰でも手に入るようになりました。そこで、なるほどと思える教えをまとめておこうと思います。

      利根川先生から、もっとも影響を受けたことは何でしょう。

       論文執筆の巧みさにも多くを学びました。内容書き方だけでなく、全体を見事な球形に仕上げるんです。角のある尖った論旨は、必ず査読者に突っ込まれる。先にどのような質問が来るかまで見越して角を削り、論文の一語一語をていねいに洗練させていき、球を磨き上げていくような論文の書き方をします。
      研究の組み立ても見事です。研究で一番悩むのは、結論を導く最適な道筋をどう選ぶかということです。先生の答えは「論文タイトルの文字数が少ない方が正解だ」。つまり、内容を的確かつ簡潔に表すタイトルで、どれだけ強いメッセージを出せるかが重要だということ。‥ このメッセージを出すために、実験の構成、手法や順番まで考えるんです。(https://www.terumozaidan.or.jp/labo/interview/83/05.html(強調は当サイト)

      トップジャーナルにとっての新規性とは、その分野の本質的な問題、すなわち一般人が疑問に思うようなクエスチョンに答える明確なメッセージがあるものであり、学術的意義のみならず社会的意義もあるものなのである。トップジャーナルに限らず、論文を書くときに大事なのは、前面にだすメッセージ性はなにかといつも問いかけることである。次に論文作成に必要なのは、ロジックの強いストーリーを構築することである。論文構築は、絵を描いたり彫刻を造ったりするようなものである。まず、図を作って大まかな流れをデッサンすることからはじまって、結果の細部を描く過程で、おさえておかなくてはいけない実験や、結論をサポートする多角的アプローチからの実験を塗り重ねていく。そして、間違った解釈をせずに良いディスカッションをするためには、次にやるべき実験の結果がでているとよい。そして、最後に、英文校閲にだし、英語独特のロジックと文体を補強し色づけを鮮やかにする。作品のメッセージ、ストーリー性、そこから湧き上がるロジックをだすために、いつも美意識を忘れないようにすることである。美しい自然の摂理を描くのだから。(「化学」2009年5月号コラム 美しい論文は必ず通る 東原和成)

      Drawing on his experience, Yokoyama focused on the perspective of journal editors and how their decision-making on high impact science affects ongoing research. Editors evaluate the potential impact of individual papers by judging their conceptual advance, that is, whether a study advances a field in a large leap, rather than an incremental step. Yokoyama emphasized that the challenge for researchers who aim to publish in high impact journals is to collect strong data that is both grounded in existing knowledge but linked to a new idea or model. “Data alone provide the foundation for an advance but without communicating how the results fit or refute an existing model they fail to provide a conceptual advance.  Communication is essential for scientific impact,” said Yokoyama. (PDFA event explores the path towards creating high impact science RIKEN BSI) (強調は当サイト)

      Chalesは「良い論文を書くための準備は、研究構想を練るところからすでに始まっている」と言います。方向性が悪ければ、どうやってもいわゆるhigh-impact journalに論文を出すことは難しい。そこで何が最も大事かといえば、「Conceptual Advance」に尽きるとのこと。ただこれまでの研究を発展させた、では駄目で、根本的に重要で、今までに解かれていない問題は何か、その問題を解くのに最善の(多くの場合には、もっとも最先端の)手法を用いているか……、そういう、実験を開始する前のコンセプトが大事であり、なんとなく実験を初めて、集まったデータからストーリーを考えるのではなく、きちんと最初にストーリーを考えるべし、ということなのだと思います。(何が為に科学するか Conceptual Advance 東北大発生発達神経科学分野 2015年10月16日)(太字強調は当サイト)

      参考

      1. 自己と他者の認識と記憶のメカニズムを解き明かす 東京大学 定量生命科学研究所 行動神経科学研究分野 准教授 奥山輝大「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」  第83回 中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室 公益財団法人テルモ生命科学振興財団財団
      2. How to get published in high-impact journals: Big research and better writing (Naturejobs Blog 03 Nov 2014 Posted by Julie Gould)
      3. PDFA event explores the path towards creating high impact science RIKEN BSI
      4. 「化学」2009年5月号コラム 美しい論文は必ず通る 東原和成

       

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      失速する日本の科学 Nature Index 2017

      日本の科学研究の失速ぶりを、ネイチャーインデックスニュースやネイチャーインデックス2017日本版が伝えています。

      While the total number of articles in Scopus increased by about 80% between 2005 and 2015, Japan’s output grew by a mere 14%. (The slow decline of Japanese research in 5 charts natureINDEX 23 March 2017 Nicky Phillips)

       


      Nature Index 2017 Japan Vol. 543 No. 7646 ppS1-S40

      研究ランキング

      ネイチャーインデックスは、いろいろなカテゴリーごとにランキングを発表していますが、アジア勢では中国に大きく水をあけられています。

      2016年1月1日~2016年12月の期間での、Weighted fractional count (WFC)という指標を用いた場合の国別ランキングは、
      1位 米国  WFC=16164.15
      2位 中国 WFC=6508.29
      3位 ドイツ WFC=3834.73
      4位 イギリス WFC=32383.48
      5位 日本 WFC=2764.79

      日本の大学・研究所のランキング100位 2016年(WFCスコアによる)

      1 位    東京大学 The University of Tokyo WFC=379.04
      2位     京都大学 Kyoto University WFC=228.53
      3位     大阪大学 Osaka University WFC=172.95
      4位    東北大学Tohoku University WFC=157.37
      5 位    理化学研究所 RIKEN WFC=138.30
      6 位    東京工業大学  Tokyo Institute of Technology WFC=121.40
      7 位     名古屋大学 Nagoya University WFC=107.90
      8位     九州大学 Kyushu University WFC=97.69
      9位     北海道大学 Hokkaido University WFC=92.34
      10位     物質・材料研究機構 National Institute for Materials Science WFC=69.18

      ネイチャーインデックス(Nature Index)は、論文出版や世界の研究動向を明らかにするために、研究成果を国・機関別にプロファイリングするデータベースで、選ばれたジャーナル68誌の発表論文に基づいています(参考:Nature Indexについて)。Weighted Fractional Count(WFC)というのは、ジャーナル総数が少ない宇宙物理科学にのみ重み付けを行うことで標準化されたFractional Count(FC)で、FCとは、共著者の割合に応じて国や機関に論文数を割り振る計算方法です。ちなみに、Article Count(AC)は、共著機関または共著国全てに対して1論文を1と数える計算方法です(参考:Nature Indexの論文カウント方法)。

       

      ネイチャーインデックスの高品質科学論文雑誌

      現時点で、ネイチャーインデックスが「高品質科学論文」を出版する雑誌社としてネイチャーインデックスの算出の対象にしている68誌(参照:FAQ NATURE INDEX)。

      1. Advanced Materials (1066 articles)
      2. American Journal of Human Genetics (228 articles)
      3. Analytical Chemistry (1523 articles)
      4. Angewandte Chemie International Edition (2468 articles)
      5. Applied Physics Letters (3014 articles)
      6. Astronomy & Astrophysics (1833 articles)
      7. Cancer Cell (113 articles)
      8. Cell (387 articles)
      9. Cell Host & Microbe (114 articles)
      10. Cell Metabolism (126 articles)
      11. Cell Stem Cell (107 articles)
      12. Chemical Communications (2788 articles)
      13. Chemical Science (926 articles)
      14. Current Biology (417 articles)
      15. Developmental Cell (156 articles)
      16. Earth and Planetary Science Letters (631 articles)
      17. Ecology (379 articles)
      18. Ecology Letters (129 articles)
      19. European Physical Journal C (708 articles)
      20. Genes & Development (170 articles)
      21. Genome Research (184 articles)
      22. Geology (253 articles)
      23. Immunity (169 articles)
      24. Inorganic Chemistry (1441 articles)
      25. Journal of Biological Chemistry (2308 articles)
      26. Journal of Cell Biology (195 articles)
      27. Journal of Clinical Investigation (280 articles)
      28. Journal of Geophysical Research: Atmospheres (862 articles)
      29. Journal of Geophysical Research: Oceans (479 articles)
      30. Journal of Geophysical Research: Solid Earth (475 articles)
      31. Journal of High Energy Physics (2132 articles)
      32. Journal of Neuroscience (1041 articles)
      33. Journal of the American Chemical Society (2233 articles)
      34. Molecular Cell (265 articles)
      35. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society (3557 articles)
      36. Nano Letters (1200 articles)
      37. Nature (827 articles)
      38. Nature Biotechnology (87 articles)
      39. Nature Cell Biology (94 articles)
      40. Nature Chemical Biology (165 articles)
      41. Nature Chemistry (165 articles)
      42. Nature Communications (3428 articles)
      43. Nature Genetics (171 articles)
      44. Nature Geoscience (133 articles)
      45. Nature Immunology (121 articles)
      46. Nature Materials (159 articles)
      47. Nature Medicine (141 articles)
      48. Nature Methods (111 articles)
      49. Nature Nanotechnology (134 articles)
      50. Nature Neuroscience (152 articles)
      51. Nature Photonics (109 articles)
      52. Nature Physics (163 articles)
      53. Nature Structural & Molecular Biology (121 articles)
      54. Neuron (321 articles)
      55. Organic Letters (1657 articles)
      56. PLOS Biology (167 articles)
      57. Physical Review A (256 articles)
      58. Physical Review B (854 articles)
      59. Physical Review D (155 articles)
      60. Physical Review Letters (2309 articles)
      61. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (2981 articles)
      62. Proceedings of the Royal Society B (725 articles)
      63. Science (734 articles)
      64. The Astrophysical Journal (2999 articles)
      65. The Astrophysical Journal Letters (572 articles)
      66. The Astrophysical Journal Supplement (182 articles)
      67. The EMBO Journal (134 articles)
      68. The Journal of Physical Chemistry Letters (753 articles)

       

      参考

      1. 世界トップクラスの研究成果を示す新たな指標:Nature Index
      2. 日本の科学研究はこの10年間で失速していることが、Nature Index 2017日本版から明らかに (Nature Index 2017年3月23日 シュプリンガー・ネイチャー / PR Wire 共同通信PRワイヤー):”Nature Indexによると、日本の科学成果の発表の水準は低下しており、ここ10年間で他の科学先進国に後れを取っていることが明らかになりました。”
      3. Nature Index Japan 2017
      4. Nature Index Japan 2016
      5. Nature Index Japan  Nature 519,S56–S57 (26 March 2015) doi:10.1038/519S56a Published online 25 March 2015

      NIH予算18%削減 トランプ政権の予算案

      トランプ大統領の意向を反映したアメリカの2018年度の予算案概要が2017年3月16日に発表されました。軍事費が増強された一方で、環境保護庁(EPA)の予算が大幅に削減(31.5%)され、NIH(National Institutes of Health;国立衛生研究所)の予算も18%削減されています。科学に対するトランプ大統領の無知、無理解ぶりは大統領選のときから危惧されていましたが、ついに、恐れていたことが現実になってしまいました。この予算概要を記した文書の、NIHを管轄する保健福祉省(Department of Health and Human Services, HHS)に関するページを見て見ると、

      The President’s 2018 Budget requests $69.0 billion for HHS, a $15.1 billion or 17.9 percent decrease from the 2017 annualized CR level.

      HHSの予算が全体として17.9%減となっています。その中で、NIHに関する記述を見ると、

      Reduces the National Institutes of Health’s (NIH) spending relative to the 2017 annualized CR level by $5.8 billion to $25.9 billion. The Budget includes a major reorganization of NIH’s Institutes and Centers to help focus resources on the highest priority research and training activities, including: eliminating the Fogarty International Center; consolidating the Agency for Healthcare Research and Quality within NIH; and other consolidations and structural changes across NIH organizations and activities. The Budget also reduces administrative costs and rebalance Federal contributions to research funding.

      58億ドル(6537億円)が削減されて(-18%)、予算259億ドル(2兆9189億円)になっています。医科学分野を対象するNIHに対して、その他の科学分野で年間70億ドルもの研究予算を配分しているNational Science Foundation (NSF;アメリカ国立科学財団)については、今回の予算概要の文書内に記述がありません。

      The blueprint does not mention the National Science Foundation, which provides more than $7 billion annually in grants. That may fall under the category of “other agencies,” which are not detailed but which the blueprint puts down for a 9.8 percent cut. (Trump’s budget calls for seismic disruption in medical and science research The Washington Post By Joel Achenbach, March 16)

      トランプ政権が発表した2018年度の予算案概要は、科学者にとってかなり深刻な内容です。これらの案が、実際に予算を編成する議会においてどの程度実現するのかは不明です。

      報道

      1. トランプ政権の予算案、「勝者と敗者」明暗くっきり (The Huffington Post | 執筆者: Zach Carter , Arthur Delaney , Sam Stein 投稿日: 2017年03月17日 16時26分 JST) :”アメリカのトランプ政権は3月15日、2018年会計年度(2017年10月-18年9月)予算案の概要を発表した。”
      2. トランプ大統領、環境・外交予算の大幅減提案 国防強化で (AFP BB NEWS 2017年03月17日 05:38):”ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は16日、2018会計年度の予算方針を発表した。国防に重点を置き、芸術や科学、海外援助や環境保護予算では大幅減を提案する内容で、既に議会の強い反発を呼んでいる。”
      3. 米予算、調整難航へ(時事ドットコムニュース 2017/03/17-00:32):”米政府が議会に提出した2018会計年度予算教書の骨格は、「米国を強くする」ため国防費を増やす一方で、規制撤廃を念頭に環境保護局(EPA)の予算を大胆に削減した。”
      4. Trump’s Revealing Budget So much political drama over such a small part of the federal fisc. (THE WALL STREET JOURNAL Updated March 16, 2017 9:55 p.m. ET)(動画Opinion Journal Video視聴可。本文は購読者のみ閲覧可)
      5. US science agencies face deep cuts in Trump budget The Environmental Protection Agency and the National Institutes of Health are big losers — but planetary science at NASA stands to gain.(Nature News Sara Reardon, Jeff Tollefson, Alexandra Witze & Erin Ross 16 March 2017):”When it comes to science, there are few winners in US President Donald Trump’s first budget proposal. The plan, released on 16 March, calls for double-digit cuts for the Environmental Protection Agency (EPA) and the National Institutes of Health (NIH).”
      6. President’s Budget Plan Would Cripple Science and Technology, AAAS Says (AAAS 16 March 2017 Anne Q. Hoy):”President Donald Trump’s discretionary budget proposal would “cripple” the leading role the United States plays in advancing science and technology and blunt the economic benefits the nation reaps from such innovations, said Rush Holt, CEO of the American Association for the Advancement of Science.”
      7. Trump’s budget calls for seismic disruption in medical and science research (The Washington Post By Joel Achenbach, March 16)
      8. Read the full White House budget blueprint By ABC NEWS Mar 16, 2017, 9:26 AM ET: Watch OMB director discusses Trump’s new budget proposal. OMB Director Mick Mulvaney told reporters Wednesday, “We wrote it using the president’s own words. We went through his speeches, we went through articles that have been written about his policies … and we turned those policies into numbers.”

      解説、オピニオン動画(YOUTUBE)

      1. Trump’s Budget Explained (vlogbrothers, YOUTUBE 2017/03/17 ) トランプ大統領の予算案概要を5分で説明した動画
      2. Digging Into Trump’s First Budget (Bloomberg 2017/03/17) Bloomberg’s Ramy Inocencio reports on President Trump’s budget proposals.
      3. Trump Rolls Out MONSTROUS New Budget (The Young Turks, YOUTUBE 2017/03/16) “Trump has unveiled his new budget. It’s great for rich people and horrible for everyone else. “

      参考

      1. America First: A Budget Blueprint to Make America Great Again (Office of Management and Budget)(https://www.whitehouse.gov/sites/whitehouse.gov/files/omb/budget/fy2018/2018_blueprint.pdf
      2. Historical Trends in Federal R&D (AAAS) : National Institutes of Health Budget, 1998-2017
      3. Fogarty International Center
      4. 米国における研究助成体制について  参考資料3_諸外国における研究助成体制について (文部科学省) アメリカ連邦政府には、大学制度や大学自体を所管する行政機関はなく、また連邦政府の行政機関には我が国の各省庁のような厳密な所掌事務の分担がないことから、大学で行われる研究に対する助成も多数の省庁が競合的に実施している。このうち主なものは、1.国立衛生研究所(NIH)、2.国立科学財団(NSF)、3.エネルギー省(DOE)、4.航空宇宙局(NASA)、5.農務省(USDA)、6.国防総省(DOD)であり、これらの6機関により、連邦政府による基礎研究支出の97%を占めている(FY2009)。
      5. ホーキング博士など375人の科学者、”トランプ大統領”に反対「気候変動への取り組みに深刻な影響」 (The Huffington Post  |  執筆者: Chris D’Angelo 投稿日: 2016年09月23日 16時14分 JST):”トランプ氏は5月に「地球温暖化は「中国によって中国のためにでっち上げられた」デマだと主張”

      平成29年度 卓越研究員ポストが公開される

      平成29年度 卓越研究員を受け入れる大学、研究所、企業が提示したポストのリストが公開されました。日本全国の国公立大学、私立大学のほか、日立製作所、出光興産、パナソニック、住友電気工業、富士通、日本電気、キリン、日本電子、第一三共、ソニーコンピュータサイエンス、その他の企業が受け入れを表明しています。ジョブタイトルは、助教、講師、准教授、教授、グループリーダー、主任研究員、その他となっており、エクセルファイルの一覧を見ると全部で204件あります。

      エクセルファイル、分野別PDFで閲覧可能 ⇒ 平成29年度 卓越研究員事業 公開ポスト一覧 (日本学術振興会)

      JREC-INのサイトでも、卓越研究員の求人を検索できます。⇒ JREC-IN(検索:「卓越研究員」

       

      卓越研究員の年齢制限について

      卓越研究員事業の英語名はLeading Initiative for Excellent Young Researchers(LEADER)で、「若手」対象であることが明言されており、実際、卓越研究員応募条件には平成30年4月1日の時点で40歳未満であることという年齢制限があります。2012年のデータですが、ポスドク14171人のうち40歳以上は16.4%(2324人の計算)、35歳以上と合わせれば37.2%(5272人の計算)にもなります。それから5年近く経ちポスドク高齢化が一層進んでいること、ポスドクとは別に、任期付き助教も相当数存在することを考えると、年齢がネックで卓越研究員に応募すらできない人は、かなりの数にのぼりそうです。

      平成28 年度からの5年間の科学技術政策の方向性を定める第5期科学技術基本計画においては、「40 歳未満の大学本務教員の数を1割増加」、「我が国の企業、大学、公的研究機関のセクター間の研究者移動数を2割増加」させることが目標値として掲げられています。本事業においては、この2つの目標値の達成にも資するため、新たな研究領域に挑戦するような若手研究者が安定かつ自立して研究を推進できるような環境を実現するとともに、全国の産学官の研究機関をフィールドとして活躍し得る若手研究者の新たなキャリアパスを提示することを目指しています。(Q 卓越研究員事業の狙いは何か。)

      Q 「②平成30 年4月1日現在、40 歳未満(ただし、臨床研修を課された医学系分野においては43 歳未満)の者」とあるが、例えば、病気休暇等で研究を中断した場合など、個別の事情がある場合、例外的に申請することはできるのか。
      A 申請者(研究者)の要件について、出産又は育児により、子供1人につき、合計3カ月以上の間、研究を中断した場合を除き、個別の事情を考慮せず、一律に判断させていただきます

      Q 「②平成30 年4月1日現在、40 歳未満(ただし、臨床研修を課された医学系分野においては43 歳未満)の者」とあるが、雇用対策法との関係はどうなるのか。
      A 雇用対策法の改正により、平成19 年10 月1日から、労働者の募集及び採用に当たって、年齢の制限を設けることができなくなっています(雇用対策法第10 条)。一方、本事業は、若手研究者の安定的な雇用の促進を目的とする国の施策であることから、雇用対策法施行規則第1条の3第1項第3号ニに該当するため、雇用対策法第10条の適用除外となります。平成29年度卓越研究員事業公募に係るQ&A 平成29年2月6日 文部科学省 科学技術・学術政策局

       

      中でも深刻なのは発展著しい生命科学の分野で、日本分子生物学会の最新のアンケート調査(2015年、会員のみ対象)では、ポスドクの59%が35歳以上となっている。(ポスドク問題と人材の流動化―日本のサイエンスを救うために―サイエンスポータル 2016年12月6日)

       

      近藤:20年前に大学院の重点化を進めたことで、現在40歳前後のPDがたくさんおり、非常に厳しい就職難になっています。この年齢層に対する何らかのケアは可能でしょうか?
      生田:難しいと思います。財政当局の視点からすると、その年齢層の研究者に対して、大学院重点化を通じて高額の投資を したという解釈になっており、その人達をケアするための別途の予算措置は理解を得られないのではないでしょうか。本来であれば、産業界が、その人材を吸収 するはずだったのですが、産業界と大学とのミスコミュニケーション、さらには90年代からの不況がそれを不可能にしたのではないでしょうか?日本の科学を考える ガチ議論 2015.10.24)(当ウェブサイトの記事:新たに創設される「卓越研究員」制度(2016年公募開始)は、博士研究員(ポスドク)や任期付大学教員の雇用不安の改善に貢献できるのか?)

      平成28年度の卓越研究員について

      卓越研究員候補者リスト 開始初年度(平成28年度)は、849名の申請者(研究者)の内176名が卓越研究員候補者として認定されましたが、各研究機関との雇用調整が完了し、安定した研究環境を得た卓越研究員は83名に留まりました(平成28年10月末現在、下記のサイトより引用)。残りの93名については、今もなお来年度以降の職を得るために雇用調整を続けている状態ですが、未だ状況は不透明です。文部科学省発表によれば、平成29年度にも再度新たな形で各研究機関からポストを募り、雇用調整を行う事が可能とされています。しかし、卓越研究員候補者達が一体どのような研究を行っているのか、どのような人物達なのかについての一般向けの情報提供が行われていないため、各研究機関側としてもポストを提供するための検討材料に乏しいのが現実です。そのため、我々卓越研究員候補者リスト 発起人一同は、研究分野の垣根を越えて協議しながら、まずは卓越研究員候補者自身の氏名・採択課題名等をリスト化して一般公表する事に致しました。

      参考

      1. 平成29年度卓越研究員事業の公募説明会(申請者(若手研究者)向け) (日本学術振興会)日時:平成29年3月29日(水)  13:00~14:00 場所:一橋大学 一橋講堂(東京都千代田区) 平成29年度の本事業において、一覧化公開されたポストを提示した研究機関により、個別のポスト等について説明
      2. 平成29年度科学技術人材育成費補助事業「卓越研究員事業」公募説明会(申請者(若手研究者)向け)の開催について(文部科学省 お知らせ平成29年3月6日)日時:平成29年3月29日(水曜日)13時00分~14時00分 説明会終了後、平成29年度の本事業において一覧化公開されたポストを提示した研究機関により、個別のポスト等について説明する場を設けます。場所:一橋大学一橋講堂(東京都千代田区)
      3. 卓越研究員事業(Leading Initiative for Excellent Young Researchers(LEADER) ) 文部科学省 お知らせ 平成29年3月6日  平成29年度卓越研究員事業ポストの一覧化公開について、掲載しました。
      4.  

      報道

      1. 文科省の若手研究者仲介、JFEなど21社が名乗り(日本経済新聞 電子版2017/3/5 23:34):”文部科学省が2016年度から始めた若手研究者を企業や大学に仲介する「卓越研究員」制度で、17年度の受け入れ先に住友電気工業やJFEスチール、パナソニックなど21社が名乗りを上げたことがわかった。大学や公的研究機関を合わせると72機関、約200人の求人となる。”

      ネットの反応(TWITTER)

      1. 今年度も年齢制限が明記されているシニアポスドク排除の公募「卓越研究員制度」が始まった。年齢制限ふざけるな。(@tetsujister 20:37 – 2017年3月7日)
      2. 卓越研究員事業の募集を見ると、非卓越研究員の人々は絶望する気がする( ・ิϖ・ิ)この事業は、非卓越研究員のヤル気を削ぎ落とす、気がする。(@y2o1012 19:29 – 2017年3月6日)
      3. 卓越研究員。去年も思ったけど、なんで年齢制限するんだろ。若手救済の意味はわかるけど、老齢ポスドクは競争に参加することも許されないわけ?(@sato_dehanai 17:28 – 2017年3月6日)
      4. 40過ぎてもテニュアにつけないヤツなんかどうなろうと知るかって感じ?今の30前半の若手を実際に指導したのは、この世代なんだけどね。ポスドク増、任期制増、テニュアポスト減の中、研究も雑用も学生の面倒もって頑張ったのに報われない人たちいるよね。。(@sato_dehanai 17:35 – 2017年3月6日)
      5. 卓越研究員オーバーエイジ枠(@ritzberry15:35 – 2017年3月6日)
      6. 春の季語 卓越研究員募集 (@detsup 3月6日)

      ポスドク問題

      1. ポスドク問題と人材の流動化―日本のサイエンスを救うために―(サイエンスポータル 掲載日:2016年12月6日 東京大学分子細胞生物学研究所教授(生物科学学会連合・ポスドク問題検討委員会委員長) 小林武彦 氏):”… ところがこの状況が一変するのは、まさにその頃から始まった大学院重点化政策、つまり大学院生を増やす政策である。1997年には大学院博士課程の修了者数が9,860人、2013年には16,446人と急激に増加した(図1)。…2000年代に入ると目標の1万人をはるかに上回り、2007年には17,945人、それから若干減少したものの2012年の調査でも依然16,000人をこえるポスドクがいる(図2)。…2013年の調査では37.1%(約6千人)が35歳以上の「シニアポスドク」となっている。中でも深刻なのは発展著しい生命科学の分野で、日本分子生物学会の最新のアンケート調査(2015年、会員のみ対象)では、ポスドクの59%が35歳以上となっている。”
      2. 生物科学学会連合 生科連からの<重要なお願い> 平成27 年4 月(第二版)(PDF) 生物科学学会連合より行政(国、地方)、企業、大学・研究機関、および研究者コミュニティーに対するお願い 今、次世代を担う若手研究者が窮地に陥っています。ポスドク(任期付博士研究員)の雇用促進と研究者育成に是非ご協力ください。平成27 年4 月(第二版) 生物科学学会連合 ポスドク問題検討委員会
      3. 国立大学で若手研究者が減少、「40代でも先見えないのが普通」の声 (THE PAGE 2016.10.27 12:08):”40歳代になっても任期付き教員の職すら得られず、かといって年齢もあり民間企業へも行けない、そういった人たちが増えているという。博士課程に進む後輩も減っているという。「出身研究室(トップ層国立大)では、学部からの内部進学が減り、中堅私大からの進学が増えている。トップの学生は研究の道へ入るのを避け始めているのかも」と憂う。”
      4. 悪化する研究環境とポスドク若手研究者の無権利 月刊誌『KOKKO』2015年11月号(第3号)座談会:”研究環境が悪化し続けていて希望が見えない、光が見えてこないというのが正直なところで、現場の研究者や職員の心が荒んできているのではないかと心配に思いました。アンケートの中で、精神的な不安を訴える方も多いですし、うつ病が増えている状況もあります。非正規雇用の研究者や職員を使い捨てる研究現場で、人間として尊厳が破壊されるような現状が広がっているので、医者としてものすごく心配です。”
      5. ポストドクター等の雇用・進路に関する調査(2015年度実績)の実施について 科学技術・学術政策研究所 2016年11月11日 「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査(2015年度実績)」は、平成27年度内(平成27年4月1日~平成28年3月31日)に、日本の大学、研究開発を行っている独立行政法人、公的研究機関で研究活動に従事しているポストドクター等の雇用状況およびその後の進路(平成28年4月1日時点)を調査いたします。提出期限 平成29年1月20日(金)
      6. 「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査 -大学・公的研究機関への全数調査(2012年度実績)-」 調査資料-232の結果公表について 科学技術・学術政策研究所 2014年12月22日 

      科学政策

      1. 2016.5.10内閣委「特定国立研究開発法人促進特措法案」理研のSTAP細胞不正事件の総括、まだですよね?! (参議院議員 山本太郎 国会活動 2016年05月11日)”… そうなんですよね、40歳ぐらいの方々、40歳未満の方々ということですよね。手を差し伸べられやすい状況が若手の中にはあるんですけれども、全体の37.1%を占める35歳以上のシニアポスドクと言われる方々がかなり厳しい状況に置かれていると。大学の博士課程修了の任期付き研究者、いわゆるポスドク、シニアポスドク問題について少し触れさせてください。…さらに、シニアポスドク、より年上の人たちになると次のポジションを見付けにくい。正規のような昇級、昇進なども少ないため自身の将来像が見えない。特に熟練した研究者であるシニアポスドクに対する雇用の促進、健全な研究者社会を維持するためには急務だとこの方々がおっしゃっている。…要は、この方々に対する手厚いといいますか、高給じゃなくてもいい、でも安定した先が見通せるような働き方が提案されなければ非常に厳しいと思うんですよ。日本の科学というものは終わってしまうかもしれない。そこを何とか大臣に検討していただきたいんですけど、いかがでしょうか。
        国務大臣(島尻安伊子君) おっしゃるとおり、やはり若手研究者をどう育てていくかというのは、将来の科学技術の発展にもうこれは欠かせないところでございますので、そこもしっかり対応させていただきたいと思います。
      2. 安倍政権「一億総活躍」の意味が、ようやく分かった ~なるほど、進次郎に逃げられたのも納得 (鈴木哲夫 現代ビジネス 2015.11.05):”安倍政権にも通じている経産省OBが、「一億総活躍社会」という第三次安倍改造内閣のキャッチフレーズについてこんな説明をしてくれた。「発足以来の安倍政権を船に見立てれば、いまの内閣の問題がよく分かります。船長も船員スタッフも同じ、向かっている方向も同じ、船の大きさも同じ、スピードも同じ。ただ、船の名前や外側の色を変えているだけです。船長は安倍首相、スタッフは経産省を中心にした側近たち。方向は長期政権維持や憲法改正、財界と連携した経済政策など。船の名前はこの前までは統一地方選挙を見据えた『地方創生号』でしたが、今は参院選へ向かって『一億総活躍社会号』と名前を変えただけです」…事実、10月19日には加藤勝信・一億総活躍担当相と、石破茂・地方創生担当相との間で初の政策のすり合わせが行われたが「そこで行われたのは、新しいものを考え出すのではなく、これまでにある地方創生政策のどれを一億総活躍に移動させどれを残すか、といったすみ分けに過ぎなかった」(自民党政調幹部)という。…「中身がないないとあなたは言うが、そもそもそれは当然、まったく不思議じゃない。だってこの一億総活躍社会は、官邸が『政策』ではなく、『国民運動』として考えたみたいだからね」”

      研究成果が新聞掲載されるプレスリリース書法

      研究成果を社会に還元する一つの方法は、マスメディアを通じて世間に研究成果を知らしめることです。そのためには、論文発表のタイミングに合わせて、新聞、テレビ、雑誌、ウェブメディアなどに記事として取り上げてもらう必要があります。それを実現させるためには、報道記者に興味と関心を持ってもらえるようなプレスリリースを書く必要があります。大学の広報やURAがプレスリリース作成のサポートをする場合でも、最初の原稿は研究者が作ることになるでしょう。

      そこで、プレスリリースを書く上で参考になりそうなウェブサイトを紹介します。

      プレスリリースに対する考え方、文章を作成するにあたっての具体的な注意事項など、細やかな情報が得られるのが、生理学研究所・広報展開推進室の「科学者から国民への情報発信の意義と方法」。

      プレスリリースは、たしかにメディアの目に触れ、そこでいったん解釈され、読者に仲介されはするが、あくまでその情報の最終的な受け手は、国民であることを忘れてはならない。プレスリリースの文章を書くときには、それを手にする国民一般、小中高校生からお年寄りまでを目に浮かべ、彼らに語りかけるように正確で分かりやすい記述にこころがけることが重要である。科学者から国民への情報発信の意義と方法 生理学研究所・広報展開推進室

      プレスリリースとはそもそも何か?プレスリリースの具体的なプロセス、プレスリリースの文章の構造、その他、記者との対応方法まで、教科書的にまとまっているのが、京大「虎の巻」。

       

      (スライド13)

      研究成果発表「虎の巻」 – 京都大学 (PDF) *学内限定にアクセス権が変更されてました(残念)。

       

      プレスリリースの例

      1. サイエンスポータル ニュース・プレスリリース
      2. 北海道大学プレスリリース(研究発表)の記事一覧 (PDF)
      3. 金沢大学研究トピック

       

      参考

      1. 科学者から国民への情報発信の意義と方法 生理学研究所・広報展開推進室 / 小泉 周 科学者から国民への情報発信の意義と方法 (化学と生物 Vol. 49 (2011) No. 7 p. 503-508)(J-STAGE)
      2. 研究成果発表「虎の巻」 – 京都大学 (PDF)
      3. 研究者のための科学広報入門(基礎生物学研究所 広報国際連携室)
      4. 大阪大学企画部広報課報道係が支援するプレスリリース発信
      5. プレスリリース競争が研究者の仕事なのか インターネットで変わる高等教育の形 (日経ビジネスONLINE 田中 深一郎 2013年1月25日):”大学も予算が年々厳しくなっているから、毎年、文部科学省に『今年は新聞掲載が何件、テレビの放映が何件あった』と、具体的な数字を報告しないといけない”

       

      同じカテゴリーの記事一覧

        英文プレスリリースで研究成果を世界に発信することの重要性について

        論文はせっかく出版しても意外と読んでもらえないものです。ですから、自分の論文がめでたく受理されたら、論文掲載のタイミングに合わせてできるだけ世の中に向けて宣伝する必要があります。新聞等などのメディアに記事としてとりあげてもらうために報道記者に提供する資料が、プレスリリースです。日本のメディア向けには日本語でプレスリリースを書きますが、海外の新聞や雑誌に記事にしてもらうためには、英語で書く必要があります。

        まだまだ世界に発信されていない日本の研究成果

        さて、日本の研究成果を世界に発信するためには絶対に必要な英語のプレスリリースですが、これを出していない大学や研究機関が多いようです。また、英文プレスリリースを出している大学であっても、日本語での本数に比べると圧倒的に少ないようです。

        毎日大量に発表される英文のリリースを読んでは、どれを日本語にするかを決めているわけですが、その中で気づいたことがあります。日本の大学・研究機関の英文プレスリリースが少ない。 日本の大学・研究機関から、インパクトファクターが大きいジャーナルへの発表は、それこそ毎日のようにあるのに、英文リリースが無いのが残念でなりません。わが国の科学レベルを分かってもらえない、というのも悔しいですし、成果を出した研究者を売り込めないのももったいないことです。(日本の研究成果を世界に発信するには【日経バイオテクONLINE Vol.1909】2013.07.17 19:00 増田智子)

        2014年度の研究成果に関する和文配信件数:235件    
        2014年度の研究成果に関する英文配信件数:     9件
        (出典:2015/5/29  第3回大学研究力強化ネットワークカンファレンス「EurekAlert!を例とした国際科学広報の効果的なあり方について」 英語による研究成果の発信:東京大学の事例紹介 東京大学本部広報室(Public Relations Office, University of Tokyo)髙祖歩美、Euan McKay)

         

        国際研究広報の取り組みの広がり

        英文プレスリリースを出す大学が増え始めています。

        2014年

        事態が好転し始めたのは,国際広報に関心をもった国内の学術研究機関の実務者や関係者が学び,互いに議論し,情報を交換できる場が増えて,海外の報道機関とのつながりがなくとも報道関係者に研究成果が届けられるプレスリリース配信サービスを国内の学術研究機関が一斉に利用し始めた2014年末辺りからである。… 2014年末には国内の13の学術研究機関がそろってEurekAlert!(https://www.eurekalert.org/)という米国発のプレスリリース配信サービスを利用し始めた注1)。(日英米の比較からみる研究成果の国際情報発信 高祖 歩美 017 年 60 巻 6 号 p. 420-428 PDF

        2015年

        2015年3月には,沖縄科学技術大学院大学(OIST)で国際科学広報に関するワークショップ20153)が開かれた。研究成果の英語による情報発信に関心をもった関係者およそ100名が一堂に会して各機関の現状が紹介されて,英米の報道機関や広報関係者と国際科学広報を取り巻く状況について情報交換がなされた。2015年8月には英国の報道関係者から英文プレスリリースの書き方を学ぶ講習会がOISTで開かれた。(日英米の比較からみる研究成果の国際情報発信 高祖 歩美 017 年 60 巻 6 号 p. 420-428 PDF

        1. 国際科学広報に関するワークショップ 2015報告書(OIST 87頁PDF)
        2. 集会報告 国際科学広報に関するワークショップ2015 (岡田 小枝子, 名取 薫, 小泉 周 著者情報 ジャーナル フリー HTML 2015 年 58 巻 3 号 p. 224-227)国際科学広報に関するワークショップ2015が,沖 縄科学技術大学院大学(Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University: OIST)と科学技 術広報研究会(Japan Association of Communication for Science and Technology: JACST)が主催,大学研 究力強化ネットワーク(Research University Network of Japan: RUN)が協力という形で,2015年3月19 ~ 20日に,沖縄科学技術大学院大学(沖縄県国頭郡恩納村谷茶1919-1)OISTメインキャンパスにて開催され た。
        3. 日本の科学を世界に発信するためのサマースクール開催(OISTニュース 2015-08-18)沖縄科学技術大学院大学は(OIST)は、8月15~16日の2日間、科学技術広報研究会(JACST)との共催で、国際科学広報に関する実践形式のサマーコースを実施しました。講師として英科学週刊誌「ニューサイエンティスト」編集長のローワン・フーパー氏、同誌エディトリアル・コンテンツ・ディレクターのヴァレリー・ジェイミーソン氏を迎えた同コースには、…

        実務者同士が情報を交換し,国際的な 情報発信を実践する場やコミュニティーが徐々に形成 されていった(表1)。その主要な場として,自然科学 研究機構が国内の15の学術研究機関とともに立ち上 げた「大学研究力強化ネットワーク」注2)や科学広報 の関係者が集まる「科学技術広報研究会」(Japan Association of Communication for Science and Technology: JACST)4)が挙げられる。(日英米の比較からみる研究成果の国際情報発信 高祖 歩美 2017 年 60 巻 6 号 p. 420-428 PDF))

        最近は(2019年)、大学によってはかなりアクティブにEurekAlert!で英文プレスリリースを出している大学があります。そんな大学を以下の記事で纏めました。

        ⇒ EurekAlert!英文プレスリリース発信数 大学・研究機関ランキング

         

        記者の目に留まる英語のプレスリリースの書き方

        英文のプレスリリースが少ない理由は、サイエンスが理解できて、英語がネイティブで、しかも一般読者にとって読みやすい英語の文章を書ける人やチームが日本の大学や研究機関の広報部門にほとんど存在しないことが要因でしょう。大学のサポートを受けられない研究者は、自分で書くしかありません。そこで、英文のプレスリリースの書き方を紹介したサイトを紹介します。EurekAlert!のリリースをいくつか見るとすぐに気付きますが、日本語でよく見るプレスリリースと、英文のプレスリリースとでは書き方のスタイルが大きく異なります。日本のプレスリリースは研究内容の解説が中心ですが、英文のプレスリリースは「人」が中心です。そのため、日本語のリリースをそのまま英語に翻訳しただけでは記者の心に引っ掛からない可能性があります。

        海外の記者は社会部の記者が主で、科学ジャーナリストはまだ多くありません。このため、記事を特にわかりやすい言葉、わかりやすい文章で書く必要があります。大事なことから先に!研究成果の社会的意義(社会貢献や影響)など、大事なことから先に書きます。逆ピラミッド型の文章構造です。社会貢献や影響、研究成果、研究の背景、詳細、最後に研究機関や研究者情報の詳しい情報の順番です。文章の最初の部分で興味を引きつけないと、記事自体を読んでもらえません。タイトル(headline)や要約(intro)はトップページやヘッドラインに掲載されるため、最も重要です。インパクトのあるわかりやすい簡潔なタイトルを付けましょう。タイトルは6~8words (90 characters maximum)程度に収める必要があります。熊本大学URA推進室 研究成果の海外国際広報 EurekAlert! を使用した海外国際広報について

        レスター大学(University of Leicester)の広報(Press Office)がプレスリリースの書き方(How to Write a Press Release)を詳細に説明しており文章のスタイルを学ぶのに非常に役立ちます。

        Journalists are looking for a hook which will form the main focus of their story. They like to know outcomes of research and they prefer a human angle to ensure the story has a public interest. (How to Write a Press Release)

        また、英文プレスリリースの書き方の指針、具体例を交えた解説が、「研究成果を世界へ配信:なぜ、どうやって、そして誰が」の発表スライドにまとめられており、自分で英文を書く際に非常に参考になります。例えば下のスライドで説明されている英語プレスリリース(右側)の例では、まず「応用」可能性を真っ先に出して強調し、「組織、関係者紹介」や「成果・背景」をその後に登場させており、日本語のプレスリリース(左側)とは構成が異なっています。

        (スライド14 一部改変 出典:研究成果を世界へ配信:なぜ、どうやって、そして誰が)

         

        科学記者はプレスリリースをどう見ているのか

        プレスリリースは記者の目にとまる必要があります。科学記者のプレスリリースに対する考え方を知っておくことは、記事に採用されるプレスリリースを書くうえで役立ちそうです。

        Journalists Comment on Science Press Releases (COMPASSBLOGS):Alan Boyle, Bryn Nelson, Chris Joyce, Ed Yong, Erik Vance, Hillary Rosner, Mark Fischetti, Susan Moran

         

        良く書けたプレスリリースから学ぶ

        英文プレスリリースの書き方を学ぶ最良の方法は、EurekAlert!や大学のウェブサイトのプレスリリースを実際にいくつも読んでみて、良くかけていると思われるものをピックアップし、書き出し、情報を出す順番、文体、構成などを研究することです。気に入ったものが見つかれば、それをテンプレートにして、自分の研究内容を当てはめてみると書き方の勉強になります。自分の研究に近い論文のプレスリリースを見てみたり、今ニュースメディアで話題になっている研究成果のプレスリリースを探して読んでみるのもよいでしょう。

        例えば、こんな感じ。線虫を用いた研究ですが、ヒトに関する話から始めて、スムーズに研究内容につないでいます。

         

        プレスリリースサイト

        1. EurekAlert! is an online, global news service operated by AAAS, the science society. EurekAlert! provides a central place through which universities, medical centers, journals, government agencies, corporations and other organizations engaged in research can bring their news to the media. EurekAlert! also offers its news and resources to the public. EurekAlert! features news and resources focused on all areas of science, medicine and technology
        2. EurekAlert!日本語版
        3. AlphaGalileo is a trusted independent business to business service for the research and media communities. Our Service is based on three fundamentals: the widest range of research topics, many types of news material, and a multilingual friendly service that delivers the services demanded by our users. As well as science, medicine and technology we cover social science, humanities, arts and high-tech business
        4. ResearchSEA is Asia’s first research news portal, a one-stop centre where journalists and the public can access news and local experts from the research world in Asia. Since 2004, ResearchSEA has been helping research institutions and connecting research in Asia with the global community. We can turn complex research papers into compelling press releases, distribute them to journalists, monitor your news coverage, train and inform researchers on the media, and more.
        5. Newswise  is where journalists choose, connect,and use smart news. A free newswire for journalists.  A press release distribution service for public relations professionals.

         

        EurekAlert!(ユーレックアラート)で英文および日本語のプレスリリースを投稿

        別の記事にまとめました

        ⇒ EurekAlert!(ユーレックアラート)の利用方法とよくある誤解について

         

        主要な大学・研究機関の英語プレスリリース・研究ニュースサイト

        1. Caltech research news
        2. MIT News
        3. Japan Science and Technology Agency (JST) Press Rleases
        4. 高エネルギー加速器研究機構(KEK)プレスリリース(英語)
        5. 沖縄科学技術大学院大学(OIST)プレスリリース(英語)
        6. 大阪大学研究ニュースResOU(英語)
        7. 東京大学研究ニュース(英語)
        8. 京都大学研究ニュース(英語)
        9. 理研プレスリリース(英語)

         

        英文プレスリリースに必要なネイティブチェックをどうするか

        RIKENやOISTのように外国人の比重が大きい研究機関は英語のネイティブが多いのかもしれませんが、普通の大学の場合、プレスリリースの英文校正が頼めるようなネイティブが学内に存在しません。これが、英文リリース発信のハードルを上げているのではないかと思います。もちろんお金を払えば英文校正サービスは多数あります。

        英文校正エナゴでは、お客様の研究成果を世に広め論文の引用(サイテーション)を飛躍的に増やす、コンテンツ編集パッケージサービスをご用意しています。プレスリリースやコンテンツライティングの経験豊富なエナゴのスタッフが、研究成果にふさわしい評価を得るお手伝いをさせていただくサービスです。サイテーションブースターでは3つのサービスをご用意しています。プレスリリース作成、簡潔なアブストラクト作成、ツイッター投稿文作成です。

        納期 7営業日 料金 44,000円

        サイテーション(被引用数)ブースター Enago enago.jp)

         機関の研究成果を国際的にアピールできる英文プレスリリースを作成します。同じ分野の研究者だけにとどまらず、広く一般の人々の関心を惹きつける内容を意識し、制作いたします。 プレスリリースに含まれる内容 タイトル サブタイトル プレスリリース本文(内容に応じ、200~400ワード程度で作成)料金 1本 50,000円(税別)(エダンズの英語版プレスリリース作成サービス)

        研究費が潤沢にあるラボならこういうサービスが利用できますが、多くの研究室にとってこのような費用の捻出は困難でしょう。ラボに負担させず、大学が研究支援のための英語ネイティブスピーカーを雇用する制度が整備することが望まれます。

         

        参考

        1. Working with Public Information Officers Dennis Meredith, North Carolina: Glyphus, 2010| 広報とのつきあい方 デニス・メレディス 著(2010) 飯島由多加 訳、岡田小枝子 編(2014)
        2. 熊本大学URA推進室 研究成果の海外国際広報 EurekAlert! を使用した海外国際広報について 研究成果が出たら、いち早く世界に向けて発信しませんか? 支援したプレスリリース一覧
        3. 研究成果を世界へ配信:なぜ、どうやって、そして誰が  RA協議会第1回年次大会・2015.9.2 今羽右左 デイヴィッド 甫(KURA)、小泉 周(NINS)、倉田 智子(NIBB)スライド60枚  http://slideshowjp.com))
        4. ISCWサマースクール2015 国境を越えて:効果的な国際科学広報発信とは 沖縄科学技術大学院大学(OIST)・科学技術広報研究会(JACST) 2015年8月15日(土)・16日(日)
        5. 平成27年度第1回大学研究力強化ネットワーク・カンファレンスを開催(2015/5/29開催)
          EurekAlert!の概要説明(AAAS EurekAlert!担当マネジャーBrian Lin) 資料
          EurekAlert!事例紹介 東京大学 特任研究員 高祖歩美、特任研究員 Euan McKay 資料
          事例紹介2 OIST コミュニケーション・広報ディビジョン・メディアセクションマネージャー 名取薫 資料
          事例紹介3 広島大学 シニアURA 三代川 典史資料
          国際科学広報ワークショップ2015報告 沖縄科学技術大学院大学 准副学長 森田洋平資料
          ResearchSEA 日本特派員 角林元子資料
          「英文ブレスリリース解剖劇場:更なる深層」 京大 国際・広報担当 シニアURA David H Kornhauser)資料
          英文プレスリリース作成のための学内個別アンケートのフォーマット 東京大学 資料
        6. 岡田 小枝子, 名取 薫, 小泉 周  国際科学広報に関するワークショップ2015 情報管理 Vol. 58 (2015) No. 3 p. 224-227 (J-STAGE)
        7. AAAS広報担当者とEurekAlert! の活用に関する意見交換会を開催(2015/2/15):”英文プレスリリースに関しては、日本語プレスリリースの単なる翻訳ではなく、英語文章表現に適した構成で書かれた方が効果が高い”
        8. How to Write a Press Release(レスター大学University of Leicester)
        9. How to write a press release (America nSociety for Biochemistry and Molecular Biology, ASBMB)
        10. “Extra! Extra! Read all about it!”: Science writing for press releases
        11. Press release guidelines for scientists (spacetelescope.org)
        12. Guest Post: Writing a press release – a guide for researchers Published 03/09/2009
        13. 研究成果の「誇張」は、プレスリリースにもある(ライター:粥川準二  エナゴ学術英語アカデミー):”ニュースが誇張されていたり、センセーショナルだったり、警告的だったりすることで、メディアやジャーナリストを非難することがよくあるが、われわれの知見の核心は、調査で見つかった誇張のほとんどは最初からメディアで生じたわけではなく、研究者や彼らが所属する研究機関が作成したプレスリリースの文章にすでに存在していた、ということである。”
        14. The perils of Science by press release: ‘overly exaggerated presentation of research findings’ Anthony Watts / June 8, 2014
        15. Exaggerations and Caveats in Press Releases and Health-Related Science News (PLOS ONE)
        16. Science Press Releases: Good, Bad or Zombies? Friday, January 18, 2013
        17. Taming Beastly Press Releases 11 September, 2012 by Liz Neeley
        18. Communicating Science: Press Releases at EHP

         

        その他

        1. サイエンスポータル ニュース・プレスリリース
        2. 研究者のための科学広報入門(基礎生物学研究所 広報国際連携室)

         

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          リジェクトへの怒り・落胆【論文を出す力】

          研究者には論文を書く能力が必要ですが、それだけでなく、論文を世に出す(=アクセプトに漕ぎ着ける)力も必要です。両者は重なる部分もありますが、質的に全く異なります。論文を書くうえで重要なのは知性ですが、論文を出すときに重要なのはリジェクトされたときの落胆、怒り、失望、疑念などの感情をコントロールする力、揺るぎない信念、状況を見極める客観性や判断力です。

          リジェクトに対する心構えが出来ているだけで、受けるダメージ及び回復力が変わってくると思いますので、これから論文を出す人の参考になりそうな記事を紹介しようと思い立ちました。また、結果だけを見ると、みんな順調に論文を通しているように思えるかもしれませんが、実際には、他人には想像がつかないような苦労の末になんとかアクセプトまで漕ぎ着けたという場合がほとんどです。そんな論文出版の苦労を分かち合える記事を、以下に紹介します。

          折れない心

          何年もかけてやってきたプロジェクトの成果が、辛辣なコメントともにリジェクトとなった場合は、自分の研究者としての能力を否定された気分になり、相当なダメージを受けるが、折れないタフな心をもってアクセプトになるまで戦い続けるしかない。 …

          散々追加実験を頑張った上での再投稿にも関わらず、やはりリジェクトとなった場合は時間的にも精神的にも相当ダメージは大きく、また半年〜1年前にもどって別のジャーナルにいちから投稿し直しとなる、、、 (有名ジャーナルに論文が掲載される意義 IMAYOSHI LAB 2013年11月22日)

          最近、友人の一人の論文が、Natureにacceptされたのですが、それが実にすさまじい闘いだったのです。彼が最初の論文を書き上げたのが、3年ほど前。まず、Natureに送りました。Editorial kickにはならず、レビューに回りましたが(トップジャーナルでは、レビューに回るだけでも凄いのです)、rejectされました。レビューアーからのコメントがあったため、追加実験を行って全てのコメントに答えた上で再投稿した。しかし、結果はやはりreject。そこで、彼はScienceに投稿しました。Scienceでもレビューに回りましたがreject。これだけでも凄すぎるのに、これからが彼の凄いところでした。Scienceで得たコメントで指摘された点を改善し、なんと再びNatureへ投稿。再びレビューに回るも、reject。再実験を重ねた上、レビューアーのコメントに答えて、Editorへ抗議。その後、結局、acceptされたのです。(Never give up! Alltid Leende April 22nd, 2013

          まず青い方からこの表をみる。サイエンスの689というのは、最初の投稿先がサイエンスでそのままサイエンスに採用された論文が689報あるということである。サイエンスに蹴られてnatureに採用されたのが82報あるということ。しかしcell誌にはサイエンスリジェクト論文は一つも載らなかった(natureリジェクト論文も載っていない)。(サイエンスに蹴られた論文がネイチャーに載る・・・ がんの分子腫瘍学・遺伝学 2012年10月22日)

           

          批判を受け止める力

          Coping with publication rejection is a key skill for any academic. It can require emotional fortitude, an ability to profit from criticism, and, sometimes, negotiating skills. Many papers in the scientific literature were initially rejected, often sparking vigorous scientific discussions before their eventual publication, whether in the same journal or a different one. (Riding Out Rejection By Kate Yandell The Scientist March 1, 2015)

           

          リジェクトされた時にやるべきこと

          一度リジェクトされただけであきらめてしまうのは、マラソンを走りながら、ゴールのわずか数センチ手前であきらめてしまうようなものだ。もし著者が掲載に強い意志を持っているならば、次に取るべきステップは、リジェクトのレターにあるコメントすべてを正確に理解することである。 (原稿がリジェクトされた時の対処法 根拠と経験に基づく見解 Karen L. Woolley, PhD; and J. Patrick Barron, BA. CHEST 2009; 135:573-577. Ronbun.jp 大鵬薬品工業株式会社)

          論文を書き上げることとそれをアクセプトさせることには、恋愛と結婚ほどの違いがある。論文を書き続ける限りリジェクトとのつきあいは切れないと 思った方がよい。私の場合、二本目の論文がリジェクトされて、それはそのままお蔵入りとなった。思えばその時、それから合計 33 回もリジェクトされるようになるとはちょっと想像していなかった。最初のリジェクトの時には、自分の人格が否定されたようでずいぶん落ち込んだ。もちろん 今でも、リジェクトされたときのショックは大きい(とくに、一週間に二度リジェクトの手紙をもらったときなど)。しかしものは考えようで、リジェクトされたとは思わないようにしている。つまり、どこかの大先生に論文を読んでもらったのだと思うことである。たいていの場合、その論文のどこがいけないのか指摘 が付いてくる。それらを参考にして論文を改訂し、別の雑誌に投稿すればいいだけの話だ。(これから論文を書く若者のために 改訂第二版 1999.1.21. ver. 2.1 酒井 聡樹 )

           

          リジェクトという名の授業料

          論文に限らず、拒絶されるのは自分を見直す良い機会だと思います。

          研究者、とくにチームのリーダーは、人から学ぶ機会が少なくなるものである。レビューアーのコメントの中には、書いた本人が気づかなかったような議論がなされていることがある。そして、論理の展開に落とし穴があることが指摘されている。そのような議論をクリアするために、追加実験を行い、実験結果を見直すと、新しい発見が生まれてきたことを経験している。また、確実な論拠を得て、論理の展開がしっかりしたものとなり、論文の価値が高まっていくのを実感することがある。レビューアーの中には、ここまで結果を出せば論文になるよと、到達目標を提示してくるケースがある。このような到達目標の多くは、研究者にとり、難度の高いものである場合が多い。「それができれば苦労しない」というわけである。しかし、ここで一念奮起をしてみると、目標を絞っているものなので、意外と短期間にブレークスルーしてしまうことがある。そうなるとレビューアーさまさまである。このような「良い」レビューアーは、まさに教師である。リジェクトという高い授業料を払う価値があるものでもある。査読に関する理想と現実

           

          15回リジェクトされた論文

          Lynn Margulis (1938-2011)

          Her ground breaking endosymbiotic theory paper, which suggested that eukaryotic organelles have evolved from the symbiosis between multiple prokaryotic organisms, has been rejected by no less than 15 journals, until it was finally accepted by the Journal of Theoretical Biology. Prof. Margulis kept submitting her revolutionary paper again and again because she knew she’s right and believed in her hypothesis. (“I am sorry to inform you” or how to deal with paper rejection. labguru.com December 03, 2012 By Chen Guttman)

           

          リジェクト:苦難の始まり

          最初の投稿から、すでに8ヶ月が経っていた。その後、別の雑誌に投稿し直してレビューされている最中に、ほんの少しだけ僕たちの仕事に似た論文が別の雑誌に出た。僕はその論文にはすぐに気がついたが、内容は一見似ていたが完全に違っていたので、全く影響はないだろうと思っていた。しかし、それは甘かった。(苦労の論文 2005年12月01日 ハエが星見た maplefly.exblog.jp)

           

          アクセプトまでの苦難の道のり

          それはもうここでは語り尽くせないほどの苫難の道のりでした。先ほどのCCS と油田の 研究は最初Natureに投稿しましたが,案の定, 3 日後にEditor reject されました。 … このEditor rejectを教訓にcover letterを徹底的に改定した後,次に投稿したのが Scienceでした。… 3 名のReviewer に回った結果のrejectでした。… わずか1 週間程度で必死に論文の改定と原稿よりも分厚いrebuttal 文書を作成してEditorに送り付けた結果, 再審査が 認められました。… Editor からの 返答は追加3名計5 名!のReviewerによる審査の結果, ポジティブが2 名,ネガティブが2 名, 超ネガティブが1名でのrejectでした。Reviewerが5人というところも驚きでしたが,超ネガティブなReviewerのコメントにはさらに驚かされ,A4 紙5枚に渡るコメントを頂き,最後に「まだまだ言いたいことは沢山あるが, もう疲れた」と書き添えられていました。… 半年間にも及んだScieneとの戦いもここで幕切れとなりました。 その後,仕方がないので次はPNASに出すかという気持ちが完全に間違いでした。原稿に「Scienceでいい所まで行ったんだぞ」といううぬぼれが出ていたのだと思います。あっさりとEditor rejectされました。… それからは気を入れなおしてNature Geoscienceを経由してNature Communicationsに投稿し,最終的に掲載が決定したのはNatureに投稿してから1 年半が経過していました。実のところ Natureにreject された時にNature Communicationsへの投稿を推薦されたのですが, この時に投稿してもアクセプトされなかったと思います。Scienceとの戦いで論文のクオリティ ーが上がったことは間違いなく,そう思うとあの時の戦いは無駄ではなかったと思っています。(CiNii地圏微生物学のおはなし〜論文投稿の厳しさと優しさ〜 Japanese Society of Microbial Ecology 微生態和文誌30巻1号)

           

          2年にわたるNatureとの戦い

          そこで、満を持して再投稿。今回はいけるんとちゃうか、という強い期待。そして……。平成26年1月16日、ドキドキしながらNatureからのメールを開けたところ、ああ3回目のreject。机の上に倒れ臥した。しばらく起き上がれなかった。… ほぼ倒れそうになりながらも、追加実験を行い、再投稿してみたが、「Yasu、もうリバイスももう4回目だし、Natureとしてもこれ以上この論文を扱うことはできない」とEditorから最終通告。再度、翻意を促すメールを送ってみたが、残念ながらゲームセット。2014年3月14日、2年にわたるNatureとの闘いが終わった。正直言って、Reviewerに恵まれなかったのが痛かった。… 3回目のリバイスの時に、laser ablation実験データについて、異なる記載をしていたらReviewer 3は追加実験を求めなかったのではないか。そもそも、最初の投稿時に、もっとデータを付けてから投稿するべきではなかったのか。色々な思いが胸をよぎる。YASUの呟き No. 10 激闘の果てに

           

          論文投稿の苦しみ

          論文投稿の苦しみ   2003年の冬頃だったと思いますが、ずっと研究してきた成果として、Natureに投稿しました。… 私の論文は、投稿から1週間以内にリジェクトされました。… 私の論文は、2-3週間かけて文面を書き換えて、Scienceに投稿しました。残念ながら、こちらも1週間でリジェクトされました。次は、順番通りCellです。Cellはフルペーパーなので、Figureの数量を増やしたり、章立てを見なおしたりといった大改訂が必要となり、投稿準備に数週間を要しました。この時点で既に季節は春を迎えていました。Cellへの投稿は、査読され、ネガティブコメントは多かったもののリバイズの機会まで辿り着きました。… この結果が来たのは既に初夏になっていました。そこから何としても論文を通したいと、追加実験を行うものの、狙ったデータが思い通りに出ません。… 苦し紛れに論点を変え、結論をやや弱くして再提出しました。残念ながらCellへの再提出もリジェクトとなりました。Cellに投稿した日から半年、Natureに出してからは1年の時がかかっています。当時の私は、研究の本質は何も進歩しないにも関わらず、1年経っても論文が通らないという日々に葛藤していました。「もうブランドジャーナルでなくて良いから論文として終わりにしたい」気を抜くとそんな弱音が出てしまう状態でした。しかし、私の上司が選んだ次の投稿先は、Natureの姉妹誌、Nature Cell Biol.(NCB)でした。… NCBの査読結果はCellと同様に、ネガティブなリバイズ。数ヶ月の追加実験をして、再提出したもののリジェクトでした。(medister Dr’sブログ 学術論文事業を始めたきっかけ ~オープン・アクセス学術誌立ち上げ記 ゼネラルヘルスケア 竹澤慎一郎 )

           

          努力と結果

          博士課程1年のとき、それまでの研究をまとめて『Cell』に投稿した。結果はエディターによるリジェクト。学位の取得を優先して論文のランクを下げたいと思ったが、武藤教授は実験を追加してもう1回『Cell』に出そうと言う。1年間努力し、コメントに応えるデータを出して再度投稿したが、またリジェクトされた。リジェクトを繰り返す中、上田泰己氏や木村暁氏のような優秀な人たちの活躍を論文などで知り、「自分なんかがこの世界で生きていくのはとても無理だ」という思いがあった。転機となったのは、2回目のリジェクトの後のことだ。次にどうするかについて、武藤教授は迷われていた。そこで青木さんは、いろいろな雑誌を見て、『Nature Genetics』に出しましょうと提案した。それほど下がっていないハードルに、厳しいのではないかとも言われたが、さらに実験を追加して博士課程3年の6月に投稿。すると、予想もしていなかったほどスムーズに、10月には受理されたのだ。「最初に『Cell』に蹴られた後、1年間必死に実験を行ったことが論文掲載というかたちで認められて、研究を続けてもいいんじゃないかという気持ちを少しもてるようになりました」。(制がんを目指して、真摯に研究に取り組み続ける (1)福井大学 医学部医学科 教授 青木 耕史さん jst.go.jp 科学者としての働き方。

           

          Shooting for the moon

          Nature reject → Science reject → Nature Chemical Biology reject → Nature Communications 2 vs 0でアクセプト,という経緯を辿りました.実験できるドクターが3人もこの研究に関わっていたし,内容が内容なのでNatureは当たり前,何か良からぬ事が起きてダメだったとしてもNature姉妹誌が下限レベルだと思っていました.結局その滑り止めの一つであるNature Communicationsに落ち着いたんですが,嬉しいというよりむしろ残念な結果となりました.(12 生きた細胞内の温度分布測定 詳細  内山聖一 研究内容)

          初稿にあたる論文は、Natureとその姉妹紙、Science、そしてCellとエディターにリジェクトされ続けました。まあ、これはある程度想定の範囲内です。そして、ようやくMolecular CellというSopko2006が掲載された科学誌で、レビュー(審査員による査読)に回りました。カバーレターで、Sopkoらの論文を引き合いに出して「彼等の結果を覆す」と主張したおかげかもしれません。しかし、帰ってきたコメントはよいものではなく、エディターによってリジェクトという結論が下されました。

          リジェクトしてきた審査員の1人は、どうもトロントのグループに近い人だったようで、「この仕事はSopkoらの仕事を否定するものではなく、補完的なものである」というコメントがありました。そう、私たちの戦略は見事に失敗したのです。自分の学会発表がそうであったように、私はこれまで闘いを挑むような論文を書いたことはありません。今回は御大にそそのかされて(?)、自分に出来ないことをやってしまったようです。そこで、論文の主旨を1から作り直しました。

          真面目にSopkoらの仕事も引用し、比べ、私たちとの研究の違いを書きました。すると、実際にSopkoらの仕事が私たちの仕事と補完的な仕事であることが、私にも分かってきたのです。トップジャーナルに載せようとするばかりに見るべきところが見えていなかった、初稿の論文はいろんな意味で不完全でした。私の論文執筆能力が十分でないからなのかもしれませんが、これまでたいていの場合、初稿で書いた論文がリジェクトされて、繰り直し書き直して満足のいく論文になります。すんなり通ってしまったら不完全なものが発表されてしまう、それよりはいいのかもしれません。

          さて、書き直した論文は、Genome Research誌に投稿しました。これは、ゲノム研究ではトップのジャーナルです。科学誌はしばしば、「インパクトファクター」と呼ばれる、どれだけその科学誌に掲載された論文がその先に引用されているかという指標をもとに評価されます。この指標には賛否両々論あるものの、やはりそれなりに、それぞれの科学誌に掲載される難しさ、要求するスタンダードの高さを反映しています。

          今回の論文については、私はインパクトファクター10以上の科学誌に絶対に掲載するつもりでした。泥臭い話ですが、たくさんの研究費や人材をつぎ込んでもらったし、結果もしっかりとしたものが得られている。あとは私ががんばるしかない。この論文が「よい科学誌」とよばれるものに掲載されないのだとしたら、私の責任以外のなにものでもない。そういう意味では、インパクトファクター13以上のGenome Research誌は、次の候補としては適切だと思われました。(第4章:gTOW6000を世にはなつ HM’s webpage 2013-01-22)

           

          味方を得てアクセプト

          いよいよ、Nature に投稿されて……。古寺氏: はい。2009年10月のことです。でも、すぐには載らなかったのです。インパクトのある成果だし、推敲も重ねたし、論文には自信がありました。しかし、いきなりエディターリジェクト。紋切り型のお断り文章をもらって、かなりがっかりしました。どうしていいかわかりませんでしたね。… 仕方なく、次にScience にも投稿してみたのですが、これもエディターリジェクトでした。そこで、時間をかけてもう一度論文を推敲し直しました。どうしたらインパクトのある論文に仕上げることができるのだろうかと、文字通り昼も夜も考えながら。そしてその成果を、もう一度Nature に投稿したのです。2010年5月に、Letterとして。しかし、それでもまた、エディターリジェクトでした。

          もうダメだと思ったのですが、安藤教授が、ミオシン研究の世界的な権威の研究者に見てもらおうと、論文を送ってくださったのです。筋肉の研究で有名な方と、ミオシンVの研究で有名な方です。そうしたら、その2人とも大絶賛してくれて。そのうえ、Nature のエディターに推薦の手紙を書いてくれたのです。… とうとうエディターから、「考え直したら、確かにすごい内容です」という連絡が来て、論文をレフリーに回してくれることになりました。そこからは、とんとん拍子でした。(動くミオシンの撮影に成功! 古寺 哲幸氏 Nature著者インタビュー2010年11月4日)

           

          自身を客観的に見る

          何回かリジェクト食らってたみたいですが、ストーリーを変えて、本人も納得した形になって投稿したら、好意的なコメントが来て、追加実験をいくつか加えたら、それなりにいいジャーナルに驚くほどあっさりと受理されたようです。ストーリーがやっぱり大事ですね。データをいっぱい出したい気持ちや、本当のいきさつをさておいて、読者が読んですんなり納得できる、無理のないストーリーにまとめるのが大事です。結局Reviewerも主張が裏付けられているかどうかを判断するだけで、筋が通っていたらそれ以上の批判は難しいものです。(研究雑話(1)Wunderbarな日々 2017-03-13)

           

          私はリジェクトが好きだ

          諸君 私はリジェクトが好きだ
          諸君 私はリジェクトが好きだ
          諸君 私はリジェクトが大好きだ

          瑣末な批判が好きだ
          追試要求が好きだ
          データ追加が好きだ
          検定やり直しが好きだ
          大幅改訂が好きだ
          文献追加が好きだ
          図表削除が好きだ

          Natureで、Scienceで
          Cellで、PNASで
          EmBioで、C.B.で
          科研費で、学振で

          この地上で行われるありとあらゆるリジェクト行動が大好きだ

          文献をならべたレビューの一斉発射を無意味として査読無しでリジェクトするのが好きだ
          再投稿された論文をリジェクトさせた時など心がおどる

          (風流記 2007年10月5日 参考:「諸君 私は戦争が好きだ」)

           

          リジェクトするときに使える英語表現

          • We regret to say that ~
          • We regret to inform you that ~
          • We regret that we are unable to publish it in XXXX.
          • We regret to say that we will not be able to accept this manuscript for publication in XXXX.

           

          リジェクトの味

          参考

          1. “Inside Nature” ―Nature誌編集の舞台裏(?) (かたつむりは電子図書館の夢をみるか 2008-06-21) 去る6/19、筑波大学若手イニシアティブセミナーとして行われたNature ジャパンのエグゼクティブディレクター、中村康一氏の講演会に行ってきました。… 「どんなに質がいい論文でもNatureとして興味持てなかったら落とす」とのことで、過去にはこの段階で後にノーベル賞を受賞する論文を落としてしまったこともあるそうだけど、未だにそのスタイルは崩していない、と。… ただ、ここでも他の学術出版と違うのは、査読者はあくまでコメントを求められるだけで、最終的な掲載の可否は全部編集者が決める、とのこと。
          2. サイエンスに蹴られた論文がネイチャーに載る・・・ (がんの分子腫瘍学・遺伝学 2012年10月22日) サイエンスの689というのは、最初の投稿先がサイエンスでそのままサイエンスに採用された論文が689報あるということである。サイエンスに蹴られてnatureに採用されたのが82報あるということ。しかしcell誌にはサイエンスリジェクト論文は一つも載らなかった(natureリジェクト論文も載っていない)。
          3. Nature Geoscienceからリジェクト、その反省と分析 (黒猫の旅 2013年9月18日)
          4. 論文がRejectされた時。~戦うべきか、否か、それが問題だ~ YASUの呟き No. 15
          5. 論文が却下されました – どうしたらよいでしょうか? (Ben Mudrak, PhD American Journal Experts):”3つめのオプションが最も一般的です。査定者から受け取ったコメントを慎重に考慮して、論文を修正して、別の雑誌に論文を投稿します。”
          6. 8 Scientific Papers That Were Rejected Before Going on to Win a Nobel Prize (Science Alert FIONA MACDONALD 19 AUG 2016)
          7. 論文リジェクトの種類 (むしのみち 2010-05-08):”リジェクトは研究者にとっての試練のようなものですが*1、どんな種類があるのか、自身の研究をもとにまとめておきたいと思います*2。”
          8. regectされた時のモチベーションの高め方というものを教えてください。(論文がregectになりました 教えて!goo 質問者:cueda 2005/08/05)

           

           

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          研究生活ハック(1) 挨拶をすることのススメ

          理系の研究者はコミュニケーション能力が低いとよく言われますが、実際には、成功している研究者のコミュニケーション能力は、むしろかなり高いと思います。なぜなら、コミュニケーション能力が高くないと研究成果を挙げることが難しいからです。大学院生やポスドクにとって、ボスとのコミュニケーションは非常に大事ですが、同僚と仲良くやっていく能力も欠かせません。特に、一つの論文を書くのにさまざまな実験データを要求されるようになった現代においては、同僚の協力なしに良い論文を仕上げるのはほとんど不可能です。日頃のコミュニケーションが良くとれていれば、実験方法を教えたり、相手のために実験してあげてデータを渡したりといったことが、お互いに気持ちよくできます。自分の実験がどつぼにハマッた場合にも、一人で抱え込まずに気軽に周りの人に相談してみると、問題があっさり解決することがあります。

          研究で成功するためには、常日頃からラボ内でみなと仲良くしておき、集合的な頭脳でもって研究のゴールに立ち向かうほうがよいのです。

          さて、コミュニケーションの基本が、挨拶です。

          研究室における挨拶

          日本のラボでは、朝や帰りの挨拶をしなくてもよいという雰囲気の研究室が多数あります。新入生は、挨拶がないことが当たり前の研究室には戸惑いを覚えるようです。

          B4のときの研究室はなぜかあいさつのない研究室だった…4月ごろには居室に入るときに「こんにちは」とか言っていたのだがD3やD2から「うるさい」というような目つきで睨まれて怖くて挨拶ができなくなった (おはよう】挨拶すらしない学生【こんちは】 26 : Nanashi_et_al.[sage] 投稿日:03/08/13 09:23)

          配属予定の研究室に通い始めているのですが、挨拶がないことに戸惑っています。来たときも帰るときも、部屋の中で声を出して挨拶する人はいません。私も、最近は周りに合わせて挨拶をしなくなってしまいました。(研究室での挨拶 tri_mod_36 教えて!goo質問日時:2014/03/26)

          挨拶に関しては個人の考え方や性格の差が大きくて、研究室でもきちんと挨拶する人はいますし、挨拶がないことを気に留めない人もいれば、内心快く思わない人もいます。挨拶が出来ない人は誤解されやすくなり、状況に応じた挨拶ができる人は、認められやすくなります。

          俺もb4だけど、研究室での自分の立場を考えてとりあえず朝きたら挨拶はしてるよ。 でも、「お先に失礼します」は言わないな。 早く帰るのがばれちゃうからw (おはよう】挨拶すらしない学生【こんちは】 57 : Nanashi_et_al.[] 投稿日:03/09/23 10:04)

          理工系M2の者です。最近、同じ研究室に居ながら来ても挨拶すらしない学生がいるんですが、研究室の雰囲気も悪くなるし困ってます。常にこちらからしているのですが、たまにこっちが気づかないと黙って机に向かってます。 (【おはよう】挨拶すらしない学生【こんちは】1 :Nanashi_et_al.:03/08/07 12:57)

          挨拶をしない理由はひとそれぞれです。

          大学の研究室のメンバーに挨拶をしない人がいます。その人は挨拶もしないで、こっそりと研究室に来て、こっそりと帰っていきます。… この人は先輩と自分の仲の良い友達だけには挨拶をするのは聞こえるのですが、私のような話をしたこともない人には全く挨拶もしないし、無視するようです。(hazhkiさん YAHOO!JAPAN 2011/6/20)

          「挨拶運動」をしている。ここへ来てから4年目だが、ず〜っとやっている。学内ですれ違う学生のほとんどに挨拶するというもの。…しかし、こちらから挨拶して返してくれる学生は、おおよそ3割。自ら進んで挨拶する学生は、ほぼゼロ。…まずは、挨拶をできるようになること。これなしには、何も始まらない。以前学生に聞いたことがある。君達はなぜ挨拶しないのかと?すると、教員や職員が挨拶しないからと返事が返ってきた。tr.yamagata-u.ac.jp

          ある学生が、これ以上ないというほど簡潔に理由をまとめてくれた。「恥ずかしいから。」「相手にあまり興味がないから。」「警戒しているから。」「面倒くさいから。」 (挨拶しない子供 学生の回答から考える 2004.07.15)

          大学ではどうであろうか。以前に勤めていた上智大学(千代田区)では、学生から学外はもちろん学内でも、挨拶されることはほとんどなかった(ゼミの学生でも、教室外で知らん顔されたことがある。それだけ都会化している)。今勤めている「敬愛大学」(千葉市稲毛区にある)の学生から、ゼミの学生以外でもよく挨拶される(「小中高でそのようにしてきたの?」と聞くと、「そうです」という答えが返ってきた。「家の近くでも近所で知らない人に会ったら挨拶するの?」と聞いたら、「知らない人はいません。皆顔見知りです」という答えが返ってきた。)アメリカ人が、エレベーターに乗り合わせたり、行き違う人に笑顔でよく挨拶するのは、フレンドリーであるのではなく、「私はあなたに危害を加える人間ではありませんよ」というメッセージを発している為、という解釈を読んだことがある(藤原新也『アメリカ』だったと思う)(挨拶について takeuchi 2013年10月10日)

          こちらが挨拶をしたのに相手から挨拶が返ってこないと残念ですが、実は、こちらの声やアクションが小さすぎて相手が気付かなかった可能性もあります。咄嗟に返せなくて、向こうはむこうで気まずい気分を味わっているかもしれません。あるいは、本人的には挨拶を返したつもりなのだが、そのリアクションがあまりにも小さすぎて、こちらが気付けなかったのかもしれません。何か他の事で頭が一杯で、周りのことが何も目にも耳にも入らない状況なのかもしれません。単に、他人への関心が一切無い人なのかもしれません。

          挨拶って難しいですね。個人的な意見だけど、挨拶はするけど見返りは求めないが私のスタイルです。世の中にはいろんな人がいて、いろんな空間で生きている人がいると思うので、挨拶をしても体調や気分が優れなかったり、考え事があり返せないときもあるだろうし、自分を嫌いで返さないこともあるだろうし、挨拶を知らない人もいるだろうと思っています。不快に思うかは思わないかには個人差があると思いますが。私自身の考え方がズレていることは重々承知していますが、ちっぽけな人生経験の中で体験してきて、老若男女問わず挨拶をしても返さない人がどれほど多いことか。最初は心を病むくらいに悩みましたが、相手はそれほど気にしていない様子で。そのうち気にするのが馬鹿らしくなり、挨拶はするけど見返りは求めないようになりました。笑顔で挨拶していればそのうち良いことがあると思 います。 (おはよう】挨拶すらしない学生【こんちは】 157 : Nanashi_et_al[] 投稿日:2007/10/12(金) 22:36:08 )

          なぜ挨拶をすべきなのか、挨拶を場合としない場合の心理の分析により得られた理由が、下の投稿にうまくまとめられています。

          挨拶とは
          人間は挨拶をしていないのにいきなり親しげに話されると、その人を図々しく感じるものだ。
          人間は挨拶をしないと関係がなんかギクシャクし、ストレスがたまり、だんだん距離が離れていくものだ。 そのギクシャクがなんともいえず不快だ。自分が気持ちよく過ごすために挨拶は必要だ。 人間関係というのは挨拶をすべき距離にいるのにほっとくと、次に会ったときは必ず前回より関係がギクシャクしている。
          挨拶というのは別に相手に好かれるためにするのではなく、 自然と離れていってしまう人間関係をつなぎとめるというだけにするものなのだ。
          それに挨拶をすることによって自分の居場所がそこに形成され、過ごしやすくなる。 挨拶というのは別にその人と友達になるというわけや、 下手に出てご機嫌を伺うとかではなく、自分という者を周りの人間に知らしめ、自分の居場所をそこに作るためにするものなのだ。
          挨拶というのはその人に対し私は敵意がありませんよということを伝えているのだ。 挨拶をしないと相手は俺が敵なのか味方なのか分からなく、心理的に不安になる。 挨拶をすれば相手はリラックスし、自分もリラックスする。人間リラックスしていないと良い人間関係は築けない。 また挨拶をしない人というのは誤解されやすく、つらい生き方をする羽目になる。
          挨拶をすると気が楽になる、挨拶は人生の基本だ。 これからはめんどくさがらずに挨拶をしよう。 (おはよう】挨拶すらしない学生【こんちは】 91 : Nanashi_et_al.[] 投稿日:04/05/27 00:55 )

          いっそ、挨拶をラボのルールにして明文化してしまえば、シャイな人にも挨拶してもらえそうです。

          残念ながら本学でも、朝の挨拶すらまともにできない大学生が増えています。無言のまま着席し、夕方頃にまると無言のままスーッと実験室から出ていく(帰宅)。その様子はまるで幽霊です。大学生以前に、人間としてどうかという問題です。両研究室では挨拶は必修科目ですので、これができない方は配属を希望しないでください。(山口大学農学部 土壌・環境微生物研究室)

          具体的な挨拶の言葉を学びましょう。

          あいさつはとっても大事です。声を出すと元気が出ます。騙されたと思ってやってみましょう。研究室きたら、”おはようございます”、”こんにちは”。帰る時は、”お先に失礼します”です。(研究室マニュアル)

          廊下ですれちがう近所の研究室の方にも、”おはようございます” ”お疲れ様です”と、声に出していうことは重要です。よい成果をだしている研究室の人は必ずできているように思います。研究室内でも、朝きたとき、帰るときに”おはようございます””お先に失礼します”と、いうことは重要です。(研究室での生きるすべ 女性教授奮闘記 from Toyama 2010.12.26)

          • 研究室に登校してきたとき「おはようございます。」
          • 研究室から帰宅するとき「お先に失礼いたします。」
          • 他の人が登校してきたときに「おはようございます」と言って来たら「おはようございます。」
          • 他の人が帰宅するときに「お先に失礼します」「お先です」と言って来たら「お疲れ様です。」
          • 研究室外ですれ違ったときは会釈。(防御的研究室生活の手引き 2010-02-07 発声練習)

          ちなみに大学の研究室だけでなく、コンピュータープログラマー、SEの業界にも、挨拶をあまりしない傾向がみられるようです。

          SEさんって、あいさつしないんですよね。朝イチ、「おはようございます。」と挨拶すると無言で通り過ぎて無言で席に着いてしまいます。普段から無口で無愛想な人というわけでもなく、ただ挨拶しないんですよね。どうしてなんでしょう? …私の見る限りでは、新人の頃はみな元気よく挨拶していますが、だんだん挨拶しなくなっていきますね。だんだん挨拶しなくなってしまうのは、誰からも反応もなかったり(といっても、扉を開けて全体に向って挨拶みたいな形だと誰に対してというのでもなく挨拶する感じなので、誰が返すべきなのかを迷うのでリアクションない場合もあるのは仕方ないと思いますが)、無闇に元気よく挨拶して周囲の邪魔をして煙たがられて空気を感じてだったり、まぁいろいろだと思います。(どうしてSEやPGはあいさつしない人が多いの? @IT 2008-08-20)

          毎日の挨拶も大事ですが、初めてラボに入るときの挨拶もまた大切です。大学院生として研究室に新たに配属されるとき、ポスドクとして新しいラボに入るとき、あるいは実験を学ぶために短期間、よそのラボに派遣されるとき、最初の挨拶をきちんとできるかどうかで、ラボの人たちに快く受け入れられるかどうか、その後の本人の居心地の良さが変わってきます。ラボに新しく来る人のことを教授がラボメンバーに伝えていなかったために、ある日突然見知らぬ人がラボにいて机に座っているという光景があります。自己紹介をしないでいると、非常にぎこちない状況になってしまいます。教授が自分をラボの人に紹介してくれるのを待たず、積極的に、自分からラボの人たちに挨拶をして回りましょう。

          プロとアマの違いその1 プロは挨拶がすべて アマは挨拶の重要性を解かっていない 解説 挨拶といってもただの挨拶ではありません。本当の挨拶とは、相手の眼をしっかり見て、なぜ挨拶するのかを実感して言葉にすることです。人と人とのコミュニケーションの基本です。芸能の世界はこの「本当の挨拶」が出来なかったら一発アウト。「挨拶できない人 = 仕事が成立しない人」だからです。御礼や感謝の言葉も含めて、本当の挨拶をまず身に付けて下さい。 (劇団四季で学んだプロフェッショナルとアマチュアのほんの僅かな違い~生き残る人・消える人~11のポイント)

          挨拶は人間関係を良好にし、意思疎通を円滑にする基本です。ところが、挨拶は従業員の性格、特に対人コミュニケーションの得意・不得意によって影響されるという面をもっているため、挨拶の仕方にも従業員間で差が出てきます。 しかし、不得意・苦手だからといって挨拶をしなくてよいということでは決してありません。‥ ただし、業種によって求められる挨拶のレベルは異なり、たとえば、製造現場で働く従業員には百貨店の案内係のような挨拶までは必要ありません。‥ それぞれの業種や職種に適した挨拶のあり方を明確にし、そのレベルに適した挨拶をさせることが求められます。( 鷹取 敏昭,‎ 福間 みゆき 著『職場のルールブック作り方と活用法-規律の乱れを見逃さない!-』日本法令 2009年)

          ラボ内恋愛 (love in the lab)

          大学院生は24時間ラボに入り浸って実験しているような人も多く、日常の人間関係は極めて限られたものになります。ラボの外での出会いは、何か趣味などの活動でもしていない限りそうそうありません。そのため、ラボ内での成婚率はかなり高く、ある程度人数のいるラボなら複数のカップルがゴールインすることは珍しくありません。結婚に至らなかったもの、人に知られぬまま破局したものも合わせれば、ラボ内恋愛の頻度はかなり高いと思われます。

           

          ラボ内恋愛の頻度

          そもそも研究者なんて四六時中ラボに籠もりっきりなんだ。そんな環境で男女がいれば恋愛ごとも発生するだろう (研究室内に男女がいたらカップルが出来てもおかしくない 教授と僕の研究人生相談所 第47回 BioMedサーカス.com 2015年6月22日)

          私の所属する研究室は、いわゆるブラック研究室というもので毎日夜遅く(12時は普通に超える)まで皆研究室にいます。そこで、ずっと一緒にいるせいなのか研究室内での恋愛が頻繁に起こっています。私の居室では、7名中2組(4人)カップルができています(内1人は昨年度までカップルでしたが、現在片方が他の研究室にいます。よって7名中5名が研究室恋愛です)。カップルが成立したものは、研究室の居室内で仲良く話しています。(tairamoku3241さん YAHOO!JAPAN知恵袋 2013/12/11)

          研究室という世界は非常に狭いコミュニティです。あれだけ狭いコミュニティに引きこもって毎日毎日実験ばかりでは…その狭いコミュニティゆえ、出会いなど、滅多にありません。限られたメンバーで恋愛が展開していくと、非常に厄介な話です。… うちの研究室はなんと!カップル率80%(笑)すごいでしょ?(理系女子の実情 木蘭 2009.12.06)

           

          ラボ内のさまざまな恋愛模様

          現在大学4回生(女)で卒業研究をしているのですが、同じ研究室のM2の院生(Aさん)を好きになってしまいました。…学部生が告白とか、ひきますか?(yu-tom 教えて!goo 2007/10/15)

          わたしがどんなにアプローチしても恋愛対称にはなりえないでしょうか?彼は積極的な女性が苦手で女性にぐいぐい来られると逃げてしまうようです。女性とお付き合いしたことも一度もないっぽいです。(shioyoichi26さん YAHOO!JAPAN知恵袋 2012/6/5)

          私の好きな人は大学の理系研究室の先輩で、その方に私の実験を見てもらっています。… 直属の後輩だからだと分かっていても日頃のちょっとしたことがすごく嬉しいんです。話していて笑ってくれるときゅんきゅんします。どうしたら異性として見てもらえますか?(miya_my1041さん YAHOO!JAPAN知恵袋  2012/1/4)

          化学系の研究室の修士2年の男です。私が指導担当している学部4年の女子に好意をもっていることを最近実感しました。以前から好感はもっていましたが、指導する立場であること、研究室の雰囲気などを考え、あまり異性として意識しないようにしてきました。しかし、最近その後輩が研究室の同期の男子といい雰囲気になっているのを見て、自分の本当の気持ちに気づきました。正直辛いです。(m8838567933さん YAHOO!JAPAN知恵袋 2013/2/9)

          大学4年生女子です。研究室の先輩(ポスドク、30代前半)について小町で聞きたいことがあります。…今のところ会話ができるだけで十分嬉しいのですが、これが恋愛感情なのかわかりません。…レスをくださった方々、ありがとうございます。先輩に対しては最近嫌な面が見え始めたというか、勝手に冷め気味です。研究室のただの先輩・後輩として接していこうと思いました。(研究室の先輩を恋愛として好きなのかよくわかりません メカ子 発言小町 2013年9月3日)

          僕と同じ研究室に、最近よく連絡をとったり遊びに行ったりする2個上の先輩がいます。率直に言うと、最近になってその人のことが好き・・というか女性として気になる存在となってしまいました。…僕が車を出して二人で出かけることが多いのですが、帰りに先輩の家まで送るときに近くの暗い道に停めて普通にお話したり、お互いの恋愛の話をしたりするのですがいつもそれだけで終わってしまいます。(寂しがり屋さん(匿名) 掲示板ミクル 14/08/18)

          現在私は約10歳年上の先生(独身)について頂き研究していますが、その先生に恋しています。最初は憧れだけだったのですが、最近それが恋に変ってきました。ただ今後も研究の道に残ることを考えると、ここでとてもお世話になっている先生と気まずくなりたくないという思いが先立ち、告白をするなど一歩前に進むことがためらわれます。(いるか 発言小町 2005年11月26日)

          僕は修士課程で、彼女は同じ研究室で4つ年上の博士課程の学生です。彼女とは、僕が学部時代に研究会に入った時から知り合ってかれこれ4年経つ関係です。女性として意識し始めたのは去年の秋くらいからで、つい先月僕から告白して付き合うことになりました。(chipmunk8192さん YAHOO!JAPAN知恵袋 2015/9/20)

          これが完全な片思いなら「似合わないことはやめて研究に集中する」のが正解だと思うのですが、(私の思い込みもあると思いますが)彼もそれなりに女子として扱ってくれたり、二人でご飯のついでにデートスポットを散歩したり、会話にしても「この話題は脈があるのか?」とつい舞い上がってしまいます。…・恋愛感情とは常時相手のことを考えてしまうほどリソースを食うものなのでしょうか。私が年齢に対し未熟なだけで世間の方々はうまくこなされているのでしょうか。・恋愛感情をうまく抑える方法はないでしょうか。同じ研究室だと何かと難しいような話も聞きますし、彼のことは友人としても大切なので気まずくはなりたくないです。(ivery

           

          研究室内恋愛禁止ラボ

          ご結婚されました。おめでとう。でも、研究室内恋愛禁止だったはずなんだけど… (情報認識学研究室

          私がいた研究室は「研究室内恋愛禁止」という張り紙がありましたよ。基本、どこでも建前上は禁止なんではないでしょうか。とはいえ、実際は守られてもいないですが(笑)(アカリク仮面座談会 Season2 Vol.2)

          「小椋研三大方針のひとつにラボ内恋愛禁止が挙げられています。きっと私たちより前の世代で色々あったんでしょう、とコメントされていますが、問題があったという事実はなく、あまりに安直かつ狭い範囲で人生の重大選択をしないようにという教訓の一環として、ラボ内の恋愛を(一応)禁止しています。(小椋研の研究室紹介

          私が学部の1年の時にちょっと出入りしていた研究室(臨床心理系っちゃあ臨床心理系…なのかな?臨床は臨床ですな)には、この「研究室内恋愛禁止」という掟がありました…いや…「ありました」って断言しちゃった後になんですが、あったらしいです。その当時院生の方がそうおっしゃっておりました。 (ロテ職人の臨床心理学的Blog 2006/06/26)

           


           

           

          参考

          1. Love in the lab? It’s part of science (By Ottoline Leyser The World University Rankings June 12, 2015)
          2. Love in the lab: Close collaborators (By Kerri Smith Nature 25 June 2014) Romance often sparks between colleagues, and scientists are no different. Nature profiles four super-couples who have combined love and the lab. Yuh-Nung and Lily Jan in their shared office in the early 1980s
            Copyright © 2014, Rights Managed by Nature Publishing Group
          3. Love in the Lab (By Vivienne Raper Science Feb. 8, 2013)
          4. 研究室恋愛の別れと出会い:読者の反応 (2007年8月17日 Gene Russo Naturejobs editor Nature 448, 723 (8 August 2007) | 10.1038/nj7154-723a)
          5. Lab loves lost and found: readers respond. Gene Russo Published in Nature 448, 723 (8 August 2007) | 10.1038/nj7154-723a
          6. Intra-lab relationships (aka labcest) (self.labrats)
          7. 大学生・院生のための研究室内恋愛を成功させる5つのポイント (Campus Magazine 2014月10月15日)
          8. Love in the Lab  (By Bob Calandra The Scientist December 15, 2003)

           

          研究生活カテゴリーの記事一覧

            ハチの脳には他者を見て学ぶ柔軟性 Science誌

            ハチの自然な行動のレパートリーの範疇に入らないような課題であったとしても、ハチは柔軟にそれを学ぶことができ、しかも第三者は既に学んだハチの行動を見ることによりそれを学ぶことができることがわかりました。2017年2月24日号のサイエンス誌が伝えています。下の動画は、ボールを決められた地点まで運ぶと褒美がもらえるということを学習したハチの行動。この研究グループは過去の研究でハチが紐をひっぱって報酬を手に入れる作業を学ぶことができることを発見していましたが、紐を引っ張るような行動はハチの本来の行動に近いものです。それに対して、今回の研究では、ボールを転がして運ぶ行動を学ばせることに成功しています。このように、自然なハチの行動パターンとはいえないような新しい行動を学べるだけの柔軟さをハチの脳が備えている、ということを示した点に、今回の研究の意義があります。

            参考

            1. Olli J. Loukola, Clint J. Perry, Louie Coscos, Lars Chittka. Bumblebees show cognitive flexibility by improving on an observed complex behavior. Science  24 Feb 2017:Vol. 355, Issue 6327, pp. 833-836 DOI: 10.1126/science.aag2360
            2. Bumble bees are surprisingly innovative (Science News By Virginia MorellFeb. 23, 2017 , 2:00 PM)
            3. Ball-rolling bees reveal complex learning (EurekAlert! Public Release: 23-Feb-2017 Queen Mary University of London) Bumblebees can be trained to score goals using a mini-ball, revealing unprecedented learning abilities, according to scientists at Queen Mary University of London (QMUL). Their study, published in the journal Science, suggests that species whose lifestyle demands advanced learning abilities could learn entirely new behaviours if there is ecological pressure. Project supervisor and co-author Professor Lars Chittka from QMUL’s School of Biological and Chemical Sciences, said: “Our study puts the final nail in the coffin of the idea that small brains constrain insects to have limited behavioural flexibility and only simple learning abilities.” Previous research has shown that bumblebees could solve a range of cognitive tasks, but these have so far resembled tasks similar to the bees’ natural foraging routines, such as pulling strings to obtain food. This study examines bees’ behavioral flexibility to carry out tasks that are not naturally encountered by the insects.

            同じ研究グループの過去の研究

            1. Bumblebees show social learning October 19, 2016 – 06:20

            論文投稿から採否までの査読期間早わかり

            学術誌に論文を投稿すると、最初の数日間はエディターからの連絡が来ないことを祈ります。一週間もすると、レビューにまわしてもらえたのではないかという期待が芽生えます。1ヶ月もすると、早く返事がもらえないのかとやきもきし始めます。1ヶ月も待たされたあげく、エディターに蹴られて、レビューにすら回してもらえていなかったことがわかると、かなりがっかりです。オンラインでステータスをチェックしたり、あるいはエディターからの連絡により、自分の論文がレビューにとりあえず回ったことがわかると、ほっとします。しかし、それからさらに1ヶ月、2ヶ月と待たされると、落ち着かない日々を過ごすことになります。

            さて、論文を投稿してから、エディターからの返事をもらうまで、どれくらい待てば良いのでしょうか?日数は、ジャーナルによってかなりの開きがあります。

            SciRevというウェブサイトは、研究者の体験をまとめて、ジャーナルごとの統計を出しています。例えばネイチャーの場合、エディターキックは平均11日、レビューから返ってくるのが平均1.9ヶ月、アクセプトされた論文の場合、平均3.8ヶ月かかっています(n=22)。サイエンスの場合は査読に回らなかった場合の平均が13日、査読から返ってくるのが平均1.6ヶ月、アクセプトされた場合にトータルでかかった時間は平均5.6ヶ月となっています(n=19)。eLifeは査読にまわらなかった場合のリジェクションの平均は10日、査読が戻ってくるのは1.3ヶ月、受理された原稿の場合のトータルの日数は平均1.7ヶ月と迅速です(n=17)。PLOS ONEの場合は、レビューに回らず却下された場合の平均は16日、レビューが返ってくるまでの平均は2.6ヶ月、アクセプトされた場合の総日数は3.7ヶ月となっています(n=62)。

            研究者は自分の体験をSciRevに投稿することができます。

             

            いつまで待っても音沙汰が無い場合、エディターに催促のメールを出したほうがよいでしょう。すぐに結果が返ってくることがあります。

            If, after many weeks you do not receive the reviews of your paper, you should make polite inquiries with the appropriate editor. When a journal takes a long time to process a paper, the bottleneck almost always is a tardy reviewer. Sometimes a note from the author provokes the editor to contact the overdue reviewer, who in turn could deliver the review in a day or two. (From Science to Citation By Stephen G. Lisberger)

            催促のメールを書く場合、どのような英文が適切でしょうか?文例を挙げて説明しているウェブサイトを紹介します。

            I would be grateful if you could let me know whether there has been any further progress on my submission.
            (How do I write an inquiry to the editor about my manuscript’s current status? Editage Insights Mar 22, 2016)

            Could you let me know when I can expect notice regarding the decision of the editorial board? (英語のメールで論文を寄稿した後の返信を事務局に催促する書き方:「私の論文はどうなりましたか?」と質問する場合 weblio英語の勉強コラム 英文メールフォーマット・テンプレ 2013/01/16)

            I was wondering about the status of my manuscript [title, reference number] that I submitted on [date]. Have you heard back from the referees yet? (When / how should I ask about a manuscript’s status in review? http://academia.stackexchange.com)

            参考

            1. SciRev:”Share your experience with the scientific review process and select an efficient journal for submitting your manuscripts.”
            2. Submission to first decision time (Cofactor 5th Apr 2013)
            3. Acceptance to publication time (Cofactor 13th Jun 2012)

             

            Nスペ「STAP細胞不正の深層」で名誉毀損

            小保方晴子元理研CDBユニットリーダーの申し立てを放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会が認める NHKスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の深層」番組内で名誉毀損

            平成26年7月27日に放送されたNHKスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の深層」は、小保方晴子元理研CDBグループリーダーがES細胞を盗んだ犯人だと視聴者に思わせるような恣意的な番組構成になっていたとして、小保方氏が人権侵害だとして放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立てを行っていましたが、BPOは名誉毀損を認める判断を下しました。

            調査報告 STAP細胞 不正の深層 4−1 (YOUTUBE動画削除)

            調査報告 STAP細胞 不正の深層 4−2 (YOUTUBE動画削除)

            調査報告 STAP細胞 不正の深層 4−3 (YOUTUBE動画削除)

            調査報告 STAP細胞 不正の深層 4−4 (YOUTUBE動画削除)

             

            http://www.bpo.gr.jp/wordpress/wp-content/themes/codex/pdf/brc/determination/2016/62/dec/k_nhk_62.pdf

            参考

            1. 放送人権委員会 委員会決定 2016年度 第62号 「STAP細胞報道に対する申立て」に関する委員会決定 2017年2月10日 放送局:日本放送協会(NHK) 勧告:人権侵害(補足意見、少数意見付記) NHKは2014年7月27日、大型企画番組『NHKスペシャル』で、英科学誌ネイチャーに掲載された小保方晴子氏らによるSTAP細胞に関する論文を検証した特集「調査報告 STAP細胞 不正の深層」を放送した。この放送について小保方氏は、「ES細胞を『盗み』、それを混入させた細胞を用いて実験を行っていたと断定的なイメージの下で作られたもので、極めて大きな人権侵害があった」などと訴え、委員会に申立書を提出した。これに対しNHKは、「『STAP細胞はあるのか』という疑問に対し、客観的な事実を積み上げ、表現にも配慮しながら制作したものであって、申立人の人権を不当に侵害するようなものではない」などと反論した。委員会は2017年2月10日に「委員会決定」を通知・公表し、「勧告」として名誉毀損の人権侵害が認められると判断した。なお、本決定には補足意見と、2つの少数意見が付記された。
            2. NHK 小保方氏の「人権侵害ない」主張変えず…BPO勧告に (デイリースポーツ 2017.2.10):”NHKは10日、2014年7月27日に放送したNHKスペシャル「調査報告 STAP細胞 不正の深層」について、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会が小保方晴子・元理化学研究所研究員の名誉を毀損(きそん)する人権侵害を認め、再発防止に努めるよう勧告したのを受け、会見を開いた。”
            3. 小保方さん「人生に及ぼした影響は一生消えない」「正当な認定に感謝」とコメント…法的措置は検討せず BPO、NHKに勧告 (産経 WEST 2017.2.10 20:56更新):”STAP(スタップ)細胞の論文不正問題を特集したNHKのドキュメンタリー番組「NHKスペシャル」に関する「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の放送人権委員会の認定を受けて、理化学研究所の元研究員の小保方晴子さんは10日、代理人弁護士を通じ「名誉毀損(きそん)の人権侵害や放送倫理上の問題点を正当に認定していただき、BPOに感謝している」とのコメントを出した。”
            4. STAP細胞 NHK番組にBPOが再発防止を勧告 (NHK NEWS WEB 2月10日 19時19分):”NHKが3年前に放送したSTAP細胞の問題を検証した報道番組で、理化学研究所元研究員の小保方晴子氏が人権を侵害されたと申し立てたことについて、BPO=放送倫理・番組向上機構の委員会は「名誉毀損の人権侵害が認められる」として、NHKに対し、再発防止に努めるよう勧告しました。”
            5. NHKスペシャル「小保方氏への人権侵害」 BPO勧告 (朝日新聞 DIGITAL 2017年2月10日14時24分):” 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は10日、STAP細胞論文の研究不正問題を検証したNHKスペシャルについて、「名誉毀損(きそん)の人権侵害が認められる」とする勧告を出した。”

            学術フォーラム「安全保障と学術の関係」開催

            日本学術会議主催の学術フォーラム「安全保障と学術の関係:日本学術会議の立場」が平成29年2月4日に日本学術会議講堂で開催されました。

            (引用元:プログラム

            総合司会 大政 謙次(日本学術会議第二部会員、東京大学名誉教授、愛媛大学大学院農学研究科客員教授、高知工科大学客員教授)

            13:00-13:05 開会挨拶 挨拶 大西 隆(日本学術会議会長・第三部会員、豊橋技術科学大学学長、東京大学名誉教授)

            <第Ⅰパート:委員会中間とりまとめの状況報告>
            13:00-13:05 開会挨拶 挨拶 大西 隆(日本学術会議会長・第三部会員、豊橋技術科学大学学長、東京大学名誉教授)
            13:05-13:35 委員会中間とりまとめの状況報告 杉田 敦(日本学術会議第一部会員、法政大学法学部教授)

            <第Ⅱパート:日本学術会議の内外の意見> 進行 小松 利光(日本学術会議第三部会員、九州大学名誉教授)
            13:35-13:50 (演題調整中)兵藤 友博(日本学術会議第一部会員、立命館大学経営学部教授)
            13:50-14:05 「学術研究のために」という視点 須藤 靖(日本学術会議第三部会員、東京大学大学院理学系研究科教授)
            14:05-14:20 (演題調整中)佐野 正博(日本学術会議連携会員、明治大学経営学部教授)
            14:20-14:35 軍民両用(デュアルユース)研究とは何か-科学者の使命と責任について 福島 雅典(日本学術会議連携会員、財団法人先端医療振興財団臨床研究情報センター長(兼)研究事業統括)
            14:35-14:50 防衛技術とデュアルユース(予定)西山 淳一(公益財団法人未来工学研究所 政策調査分析センター研究参与)
            14:50-15:05 安全保障と学術について(予定)根本 清樹(朝日新聞社論説主幹)

            <第Ⅲパート:総合討論>進行 杉田 敦(日本学術会議第一部会員、法政大学法学部教授)
            15:20-16:55 総合討論(学術フォーラム参加者と安全保障と学術に関する検討委員会委員による質疑応答)
            16:55-17:00 閉会挨拶 挨拶 花木 啓祐(日本学術会議副会長・第三部会員、東京大学大学院工学系研究科教授)
            17:00 閉会

            報道

            1. 軍事的な研究と大学の関わり 公開討論会 (NHK NEWS WEB 2月4日 20時31分):”防衛省が大学などの研究機関に研究資金を提供する制度を始めたことをきっかけに、安全保障技術など軍事的な研究と大学などとの関わり方について議論している「日本学術会議」が4日、公開討論会を開きました。”
            2. <学術会議>「軍事研究拒否」声明堅持を 都内でフォーラム (BIGLOBE ニュース/毎日新聞2月4日(土)20時4分):”… 防衛省が公募で資金を提供する安全保障技術研究推進制度に対しては「政府による研究への介入の度合いが大きい」と慎重な姿勢を示した。 その間、政府は来年度予算案で同制度について今年度の6億円から一気に18倍となる110億円に拡大。…”
            3. 軍事研究「反対」大多数=防衛省資金提供に懸念-学術会議公開フォーラムで科学者ら (時事ドットコムニュース):”日本学術会議は4日、大学などの研究機関が軍事研究とどう向き合うかを議論する公開フォーラムを東京都港区の同会議講堂で開いた。大学教授や市民ら200人以上が参加し、議論では軍事研究に反対する意見が大多数を占めた。”
            4. 日本学術会議が軍事研究めぐりシンポ 「世界中から不信感持たれる」「平和哲学ない科学技術は凶器だ」と反対意見が大勢占め… (産経ニュース 2017.2.4 21:51):”軍事的な研究は行わないとした過去の声明を見直すかどうか検討している日本学術会議は4日、有識者や一般から意見を聞くシンポジウムを都内で開催した。”
            5. 大学が軍事研究、反対意見相次ぐ 日本学術会議シンポ (朝日新聞 2017年2月4日21時28分):”… 続いて意見表明を申し出て講演した科学史、技術戦略、物理学、医学の各分野の4人とメディア代表の1人が中間とりまとめを支持。一方、未来工学研究所政策調査分析センター研究参与の西山淳一氏はミサイル開発の経験から軍民両用研究に理解を求めた。” (全文を読むには登録が必要)

            参考(参加者の研究分野)

            1. 立命館大学 経営学部 経営学科 兵藤 友博 教授 研究テーマ(1)科学技術政策に関する史的考察 (2)科学と産業技術の現代的相互交渉に関する考察 (3)技術革新に関する比較研究 (4)戦後核兵器開発に関する研究
            2. 東京大学大学院理学系研究科 須藤 靖 教授  研究テーマ 観測的宇宙論、太陽系外惑星探査
            3. 明治大学経営学部 佐野 正博 教授 科研費研究テーマ] 「現代企業の技術戦略と技術の社会的展開に対する技術史的・技術論的アプローチ」(1996-1998年)
            4. 福島 雅典 先端医療振興財団 臨床研究情報センター長 過去四半世紀にわたって一貫して、がんの内科医として、がんの標準治療の実践とその普及につとめるとともに、わが国の医療の民主化ーインフォームドコンセント、セカンドオピニオンの確立と普及、薬害防止のための科学の確立・普及と実践、医療の科学的基盤の構築整備ならびに臨床科学の確立と普及に貢献し、現在もその活動を鋭意続けている。
            5. 西山 淳一 未来工学研究所 政策調査分析センター研究参与 <専門分野> 航空宇宙技術、防衛産業、国際安全保障

            日本学術会議のウェブサイト

            1. 日本学術会議 公開講演会・シンポジウム等開催予定表/2017年実施結果 2017/2/4(土)13:00-17:00 日本学術会議主催学術フォーラム「安全保障と学術の関係:日本学術会議の立場」     日本学術会議講堂 東京都港区六本木7-22-34
            2. 日本学術会議 安全保障と学術に関する検討委員会
            3. 日本学術会議 提言・報告等【声明】 1967-10-20 軍事目的のための科学研究を行なわない声明 第49回総会
            4. 日本学術会議 提言・報告等【1950年(昭和25年)】 1950/4/28 声明 戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明 第6回総会
            5. 日本学術会議 提言・報告等【1949年(昭和24年)】 1949/1/22 声明 日本学術会議の発足にあたって科学者としての決意表明

             

            昭和42年10月20日 第49回総会
            われわれ科学者は、真理の探究をもって自らの使命とし、その成果が人類の福祉増進のため役立つことを強く願望している。しかし、現在は、科学者自身の意図の如何に拘らず科学の成果が戦争に役立たされる危険性を常に内蔵している。その故に科学者は自らの研究を遂行するに当って、絶えずこのことについて戒心することが要請される。
            今やわれわれを取りまく情勢は極めてきびしい。科学以外の力によって、科学の正しい発展が阻害される危険性が常にわれわれの周辺に存在する。近時、米国陸軍極東研究開発局よりの半導体国際会議やその他の個別研究者に対する研究費の援助等の諸問題を契機として、われわれはこの点に深く思いを致し、決意を新たにしなければならない情勢に直面している。既に日本学術会議は、上記国際会議後援の責任を痛感して、会長声明を行った。
            ここにわれわれは、改めて、日本学術会議発足以来の精神を振り返って、真理の探究のために行われる科学研究の成果が又平和のために奉仕すべきことを常に念頭におき、戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わないという決意を声明する。

             

            昭和25年4月28日 日本学術会議第6回総会
            戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明(声明)
            日本学術会議は,1949年1月,その創立にあたつて,これまで日本の科学者がとりきたつた態度について強く反省するとともに科学文化国家,世界平和の礎たらしめようとする固い決意を内外に表明した。
            われわれは,文化国家の建設者として,はたまた世界平和の使として,再び戦争の惨禍が到来せざるよう切望するとともに,さきの声明を実現し,科学者としての節操を守るためにも,戦争を目的とする科学の研究には,今後絶対に従わないというわれわれの固い決意を表明する。

             

            昭和24年1月22日 日本学術会議第1回総会
            日本学術会議の発足にあたつて科学者としての決意表明(声明)
            われわれは,ここに人文科学及び自然科学のあらゆる分野にわたる全国の科学者のうちから選ばれた会員をもつて組織する日本学術会議の成立を公表することができるのをよろこぶ。そしてこの機会に,われわれは,これまでわが国の科学者がとりきたつた態度について強く反省し,今後は,科学が文化国家ないし平和国家の基礎であるという確信の下に,わが国の平和的復興と人類の福祉増進のために貢献せんことを誓うものである。そもそも本会議は,わが国の科学者の内外に対する代表機関として,科学の向上発達を図り,行政,産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とするものであつて,学問の前面にわたりそのになう責務は,まことに重大である。されば,われわれは,日本国憲法の保障する思想と良心の自由,学問の自由及び言論の自由を確保するとともに,科学者の総意の下に,人類の平和のためあまねく世界の学界と連携して学術の進歩に寄与するよう万全の努力を傾注すべきことを期する。
             ここに本会議の発足に当つてわれわれの決意を表明する次第である。

            防衛省のウェブサイト

            1. 防衛省 安全保障技術研究推進制度(競争的資金制度) 安全保障技術研究推進制度について 防衛省では、装備品への適用面から着目される大学、独立行政法人の研究機関や企業等における独創的な研究を発掘し、将来有望な研究を育成するために、競争的資金制度※である安全保障技術研究推進制度を実施しています。本制度は、防衛省が掲げた研究テーマに対して、広く外部の研究者の方からの技術提案を募り、優れた提案に対して研究を委託するものです。得られた成果については、防衛省が行う研究開発フェーズで活用することに加え、デュアルユースとして、委託先を通じて民生分野で活用されることを期待しています。
            2. 安全保障技術研究推進制度の平成27年度採択研究課題について 防衛省 平成27年9月25日 平成27年7月8日(水)から平成27年8月12日(水)までの間、本制度の公募を行ったところ、109件の応募がありましたが、外部の専門家により構成する安全保障技術研究推進委員会の審査を経て、この度、次のとおり採択研究課題が決定しましたのでお知らせいたします。1 平成27年度採択研究課題 採択研究課題数 9件
            3. 防衛装備庁 安全保障技術研究推進制度

            大学の声明

            東京大学における軍事研究の禁止について
            学術における軍事研究の禁止は、政府見解にも示されているような第二次世界大戦の惨禍への反省を踏まえて、東京大学の評議会での総長発言を通じて引き継がれてきた、東京大学の教育研究のもっとも重要な基本原則の一つである。この原理は、「世界の公共性に奉仕する大学」たらんことを目指す東京大学憲章によっても裏打ちされている。

            日本国民の安心と安全に、東京大学も大きな責任を持つことは言うまでもない。そして、その責任は、何よりも、世界の知との自由闊達な交流を通じた学術の発展によってこそ達成しうるものである。軍事研究がそうした開かれた自由な知の交流の障害となることは回避されるべきである。
            軍事研究の意味合いは曖昧であり、防御目的であれば許容されるべきであるという考え方や、攻撃目的と防御目的との区別は困難であるとの考え方もありうる。また、過去の評議会での議論でも出されているように、学問研究はその扱い方によって平和目的にも軍事目的にも利用される可能性(両義性:デュアル・ユース)が、本質的に存在する。実際に、現代において、東京大学での研究成果について、デュアル・ユースの可能性は高まっていると考えられる。
            このような状況を考慮すれば、東京大学における軍事研究の禁止の原則について一般的に論じるだけでなく、世界の知との自由闊達な交流こそがもっとも国民の安心と安全に寄与しうるという基本認識を前提とし、そのために研究成果の公開性が大学の学術の根幹をなすことを踏まえつつ、具体的な個々の場面での適切なデュアル・ユースのあり方を丁寧に議論し対応していくことが必要であると考える。
            平成27年1月16日
            東京大学総長 濱田 純一
            東京大学における軍事研究の禁止について 東京大学 2015年01月16日掲載

            その他

            1. 軍と学の接近と学問の自由~その歴史と今~ 名古屋大学名誉教授 池内 了 2016年1月8日付 (長周新聞):”… 2013年12月に安倍首相が「2014年防衛大綱」「国家安全保障戦略」、この二つを閣議決定した。このなかに書かれているのが「大学や研究機関との連携の充実により防衛にも応用可能な民生技術(デュアルユース技術)の積極的な活用に努める」という文書だ。…2014年5月にImPACT(革新的研究開発推進プログラム)が創設された。これは総合科学技術・イノベーション会議というところが5年間で500億円のお金を出して、日本の国の産業力を高めて、非常にハイリスクであるが将来性のある研究開発をおこなう。募集要項の初めの部分に「DARPAを参考にする」と書いてある。… 「安全保障技術研究推進制度」が2015年から始まった。昨年の予算は3億円で2016年の予算は6億円といわれている。このやり方はまず防衛省からのテーマを提示する。…審査結果は応募総数が109件で、採択が9件。10倍以上の競争率だ。非常に高い。大学が58件出して4件通った。ここに東工大、豊橋技術科学大学、東京電機大学、神奈川工大が入っている。…公的研究機関として出したのは22件で通ったのは3件。JAXA、JAMSTEC、理研だが、この3件とも技術交流ですでに防衛省と研究、アイディアの交換をしている。企業が29件出して2件。…「国公立試験研究機関の研究者アンケート」で、36%が軍事研究に賛成している。…今国立大では予算が非常に逼迫している。研究費が1年で20万円とかになると、研究費をとるためにはなんでもしてやろうとなる。研究費のためなら軍事応用でも構わないとなって、軍事研究に繋がっていく。研究費の困窮につけ込んで軍事研究に誘い込む。これを研究者版「経済的徴兵制」といっている。…”
            2. デュアルユース技術の推進がイノベーションを起こすー防衛装備庁シンポジウムで講演 (Huffington Post 投稿日: 2015年12月06日 14時45分 JST):”東京・市ヶ谷で開催された防衛装備庁技術シンポジウム2015で、11月11日、政策研究大学院大学の角南篤教授が、「デュアルユース政策 デュアルユース・イノベーションシステムの構築に向けて」とした講演を行った。”
            3. ノーベル賞の中村修二氏、「アメリカの市民権」を取った理由を語る (withnews 2014年10月18日):”「アメリカの大学教授のする仕事は、研究費を集めることなんですよ。大学は1円(ドル)も出さない、自分で全部現金をとってこないといけない。学生にも給料をやらなきゃいけない。私のところだと年間1億円要るんですけどね、全部自分で集めないといけない。 で、その研究費の半分以上はだいたい軍から来るんですよ。それで、軍のお金をもらう人はアメリカのシチズンシップ(市民権)ないとお金もらえないんですよ。軍は機密でしょ?(支給の対象が)アメリカ人だけなんですよ。 アメリカ人以外のパスポートの人は全部排除されるんですよ、お金もできない、研究もできない。だから(米国で)大学教授として生きるためにはアメリカのシチズンシップもってないとダメなんですよ。取ってないと研究費も集まらないし、研究もできないから。だから、そういう意味で2005、6年ごろに(米国市民権を)取ったんですよ」”

            アカデミックハラスメントの現実的な対処法

            ハラスメントの事件対応の手引き
            職場のハラスメント
            アカデミック・ハラスメントの解決

            ハラスメントの事件対応の手引き
            職場のハラスメント
            アカデミック・ハラスメントの解決

            大学教授は人徳で選ばれるわけでなく、どちらかといえば、好き勝手にやりたい放題に生きて来て業績を出した人が認められてなることが多いのです。そのため、コミュニケーション能力に疑問符が付く教授は多数います。学生と教授の興味や利害が完全に一致すればいいのですが、ズレがある場合には、教授が教育的だと思ってやっていることでも学生からみるとハラスメントと感じてしまう場合があります。もちろん、第三者が客観的に見てもハラスメントとしか考えられないようなことを教授が無自覚にやっていることもあります。

             

            アカデミックハラスメント、もしくはアカデミックハラスメントになる可能性がある事例

            「こんな実験もできないようじゃどこにも就職できない」「コンタミしたのは、お前が汚いせいじゃないのか」 (見過ごされるハラスメント【調査報道:ブラックラボとは何か②】東京大学新聞社 2017年2月3日)

            「驚くことに、『この部屋で修士の学位が取れたのは君で3人目だ』と言われました。10年以上ある研究室ですが、以前在籍されていた他の先輩も同じ状況で苦労され、就職したり別の研究室に移る人が多かったようです」 (見過ごされるハラスメント【調査報道:ブラックラボとは何か②】東京大学新聞社 2017年1月26日)

            アカデミックハラスメントの難しいところは、それが教育的な指導なのかハラスメントなのかその境目が明らかでなく、また、自覚のある意図的なハラスメントだったとしても後からいくらでもそれは教育目的だった、あるいは、学生の能力や意欲が低かっただけと言い逃れできてしまうところです。世界的な業績を出している教授と、能力や意欲がどれだけあるのか不明瞭な、まだ何者にもなっていない学生との言い分が食い違ったときに、大学がどちらを守ろうとするかは明らかです。大学によっては外部の人をハラスメント相談所に配置していることもありますが、多くの場合は、同じ大学の教員・職員がハラスメント相談委員を兼ねている場合が多いようです。相談員が被害者側の立場に立って考えてくれる人であったとしても、加害者の行動を改善させることは容易ではなく、一筋縄にはいかない問題です。

            立場も弱く圧倒的に不利な状況に置かれて、アカデミックハラスメントの被害に苦しむ人がとるべき最善の対処方法は、何でしょうか?一律にこれが正解と言えるものはないのですが、参考になりそうなアドバイスを紹介します。

             

            アカデミックハラスメントの現実的な対処方法に関するアドバイス

            すべてが「特殊例」であるハラスメント対応の難しさ (5号館を出て 2007年 06月 03日):”今の日本ではセクハラ・アカハラ・パワハラに対して、裁判などの完全に公開されたかたちで闘いを挑んだ場合は、たとえ勝利したとしても、その後の生活までもが保障されるかどうかは極めて疑問だという社会環境が厳然としてあるのではないかというところが、とても気になるのです。 というわけで、渦中の人になった場合の非常に有効な解決策のひとつが、コメント欄で名無しさんがおっしゃったように「とりあえずその場からできるかぎり早く逃げ出す(辞める)」ということだと、私も思います。”

            「教員からのアカハラ被害に遭った」という学生・院生の貴方に:”あなたが望んでいるものは何ですか? 落とし所はどこですか?…本当に、ハラスメントとしての解決を望みますか?…明らかに「ハラスメント以外の何でもない」という少数のケースを除いて、正当な指導とハラスメントの境界は、それほど明確なものではありません。…平和かつ円満な解決の道が、まだどこかに残っているのであれば、それを最優先すべきです。…どうしても「ハラスメント」と思うのならば行動の選択肢は3つしかありません。「逃げる」「闘う」「諦める」です。…休学・転学・退学などに加え、研究室異動・研究テーマ変更が「逃げる」である場合もあります。…大学の組織(あるいは準じる組織)は、大学を守ることが仕事です。大学は正義の行われるべき場ではありますが、大学が組織防衛より正義を優先することは「ありえない」と考えておくべきでしょう。…「大学と闘う」とは、さまざまな意味でその大学を必要としている人々すべてと闘うことです。その覚悟ができない限り、闘うべきではありません。まずは、貴方にとっての「勝ち」を定義しましょう。憎い教員が処罰を受けることが勝ちですか? …「被害者だったはずの貴方が、加害者だったはずの教員や大学に訴えられてボコボコにされる」という事態を防止するためにも、貴方は万が一にも加害者にされないように、賢明に行動する必要があります。…闘うならば、証拠が重要です。”

            新米教員から一言。… 現在の指導教授(以下A教授)との関係を悪くしないよう心がけてください。 いろんな人に相談するとき、基本的にA教授を悪者にしてはいけません。 あくまで分野が違うせいで十分な指導を受けられないから変わりたいのだと 言いましょう。 新たな受入れ先の教授(以下B教授)は火中の栗を拾うことになります。 B教授にしてみたら、指導してくれないというあなたの言い分と わけがわからない困った奴だというA教授の言い分のどちらが正しいか判断できません。 学生がメンタルな問題を抱えていること(平たく言えば基地外)という ことも多いし、そんな人に限ってすぐにセクハラだアカハラだと騒ぎ立てる傾向にあるという現実があるのです。だから、その種の人間だと 思われないよう、あなたは分別のある人間であるとB教授が納得できるよう注意深くふるまう必要があります。(367 :Nanashi_et_al.:2006/10/23(月) 09:50:49 http://science5.2ch.net/test/read.cgi/rikei/1151740540/)

            ボスがダメな人の場合、騒がず、黙って他を探しなさい、という教えは、2次元NMR関係でノーベル賞をお取りになった、エルンスト先生という方のです。その後実際にそのような場面に直面したり、似たような話を聞いたりした時、確かにまず自分の身の安全を確保した人が生き残ってるなあと納得しました ( @yamayu_lab)

             

             

            アカデミックハラスメントに対する文科省の取り組み

            アカハラに関して、私のところに個別事案を数多くお寄せいただいておりますが、調査権限もなく、個別事案に対応することは困難です。現在、文科省では旧帝大を中心に実態調査を進めており、今週末には調査が一段落するとの報告をいただいております。それを見たうえで、独立した対応機関の設置等を検討してまいります。アカハラ問題は、想定以上に大きな問題であるという認識です。(天下りな研究者の皆様へ 衆議院議員 河野太郎公式サイト 2017.02.06)

            文部科学省と各大学にアカデミックハラスメント対策を徹底し,被害者の保護とケアを最優先するよう求めます (change.org)

             

            アカデミックハラスメントに対する大学等の取り組み

            1. そろそろハラスメントですよ(東京大学)
            2. ハラスメント行為の例示について (神戸大学):”卒論や修論、博士論文の提出条件を十分に満たしているにもかかわらず、提出を許さないこと”
            3. アカデミック・ハラスメントの具体例 (日本大学):”指導教授から、授業の手伝いや私用を押し付けられ、一度断ったら、「おまえは指導対象外だ、もう来るな」と言われた。”
            4. アカデミック・ハラスメントになり得る言動の例 (神戸学院大学):”図書や機器類を使わせない、勝手に廃棄するなどの手段で、研究の遂行を妨害される。”
            5. パワー・ハラスメントの定義と事例 (上智大学):”上司から明らかに限度を超えて過重な業務を命じられ、期日までに完了できず、同僚の面前で「無能だ」となじられ、抗議すると「いやなら退職したまえ」と言われた。 “
            6. アカデミック・ハラスメントとなりうる例 (法政大学):”大学院生のEさんは,F教授から「こんなことも知らないのに,よく大学院に入れたな」「研究者としての資質に欠ける」と言われ続け,辛さを感じながらも自分が至らないのだと思い黙って従ってきました。しかし,F教授はEさんの家族や恋人のことをあれこれ聞きだし,「君の研究を優先させないようじゃ,親(恋人)としてダメだな」「恋人とは別れたほうがいい」と言い始め,Eさんはより一層の苦痛を感じるようになりました。”
            7. 「ハラスメント防止研修」に待った! (セクハラ・パワハラ・アカハラの解決・研修 ハーモニークリエイション):”単に、「ハラスメントはしてはいけませんよ」「ハラスメントは法律違反ですよ」などという薄っぺらなハラスメント防止研修をしたところで、人の心は落ち着きませんよね。自分たちの置かれている環境を理解して、風土を改善するのは自分たちなのだ!という「当事者意識」が必要だし、困った時に「助けて!」と言い合える仕組みと風土が必要だと思うのです。”

             

            アカデミックハラスメントに関する匿名掲示板での議論(はてな匿名ダイアリー)

            1. 不倫してたり、アカハラ、パワハラしてても、あからさまな証拠がなく、業績が高いとあれだよな。後ろから刺されるってことがないってことよね。という事例を見て、驚愕している。 http://anond.hatelabo.jp/20160908191546
            2. でもそんなブラック研究室の先生が、アカハラの相談先に指定されてたりするんだから、意味わかんないよね。 http://anond.hatelabo.jp/20160701155649
            3. 下手にハラスメントを自浄しようとすると学内の内紛が起きたりハラスメントの「容疑者」から逆に民事訴訟を起こされたり、大学のイメージが悪くなることもあるだろう。(2016-02-15■大学事務のハラスメント対策の部署で働いていたときの「バレンタイン」をめぐる思い出 ) http://anond.hatelabo.jp/keyword/%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%83%8F%E3%83%A9
            4. 博士号取って企業に就職5年程経ち、一年ほど前縁あって地方の大学に出向することに。そこで大学の現状を知る。まずアカハラ、パワハラ、セクハラ、マタハラありとあらゆるハラスメントが起きている。される方も、する方も問題意識がないから問題にならない。(2015-09-17■大学の終末っぷりが予想以上で嗤える) http://anond.hatelabo.jp/keyword/%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%83%8F%E3%83%A9
            5. 2014-01-24 最近の大学はホントにアカハラに対して警戒感を持っていて、そういうのの対策会議や教授たちに対して周知みたいのを徹底してる。駄目な学生の場合、もう腫れ物を扱う様な感じで扱うしかない形になってる。「怒る」ということが許されない状況。http://anond.hatelabo.jp/20140124152613
            6. 大学が自ら情報を発信しないということは、2chや伝聞のウワサを通じた、根拠が不確かで、もしかすると尾ひれのついた情報ばかりが世間に浸透する、ということ。もう少し具体的には、博士課程に進んで、十分な成果を出しても論文審査を2年連続で拒否され、自殺した学生がいたという事実と、そこまで追い込んだ教員が、高々「停職」(河北の記事では想定停職期間は不明)程度の処分しかしないという大学の判断、そして、その後どうなったかは不明のままということ。これが伝聞で代々伝わっていく。(■大学はどこを向いているのだろう 2009-07-03)
            7. ひどい、ひどすぎると思い続けてもう2年以上が経つ。その間に助手2人、学生6人が研究室から消えた。それもふっつりと。(■どうしてアカポスには懲戒免職ってないんだろう?)

             

            質問掲示板での議論

            1. あなたが、決してアカハラの訴えを取り下げなければ、最後は、ハラスメント調査委員会という民事調停のような場で訴えて審判されることになります。最近のアカハラ判定基準での判断に従ってあなたの訴えが妥当であるならば、それはアカハラと認められます。しかし、ただ、アカハラが認められるだけで、結局はあなたは今の学校に居づらくなるでしょう。だから、退学は覚悟です。(大学でアカデミックハラスメントにあいました。YAHOO!JAPAN知恵袋 2015/3/14

             

            アカデミックハラスメントに関する匿名掲示板での議論(2ch)

            1. (20)偉い教授の機嫌を損ねたら最後、大学で生きていけなくなるし、学会でも生きていけなくなる。 アカデミックハラスメントの被害者を助ける活動を大学の中の教職員がするなんて土台無理な話なんだよ。 (57) 結局は、裁判しても賠償額は10万~30万くらいしか 取れないから、裁判するだけ時間とお金の無駄ですよと 言われてしまいました。(107)相談当初はすぐに返信が来て、 「全面的に応援します」と親身は言葉をかけられて、弱った気持ちでまんまと信じ、 さらに詳しく事例相談していったところ、ある日突然、手のひらを反して 大学への降伏を勧めてきた。あまりにも不自然な態度の豹変の理由を質問しても 一切無視。質問があるなら大阪まで来いだと。 情報を大学側に売っているのだろう。アカハラ加害者以上に極悪な団体。 (108)学内のそういうハラスメント委員会って本当の意味で防止にどんなふうに役立つの? だって、委員会のメンバーってそこの大学の先生なんだよね。 で、教員からのハラスメントがあったとして。 そしたら、その大学の同僚に当たる教員のハラスメントにどんなふうに批判なり抗議なりすることができるの? http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/shikaku/1290805636/
            2. (132)2006/08/01(火) 23:14:59 ちなみに多分どこの大学もおそらくそうなのですが、学内の救済機関は実は救済などしてくれません。ハラスメント認定が行われてハラスメントを行った人間に処罰が下るだけです。よって抑止力にしかならないと言うのが実際のところですね。
            3. (114)名無しゲノムのクローンさん:2006/03/05(日) 00:35:25 3年ほどまえ、女子学生から、教授によるセクハラの相談をされたので、教授の顔を立てて、温和に教授と女子学生を離すように策を講じたところ、教授の逆鱗にふれ、解雇されてしまいました。これはアカハラだと思うのですが、学会内の先生に相談したところ、君が悪いで終わりでした。なんで? ><  (153)名無しゲノムのクローンさん:2006/03/10(金) 10:22:17 論文原稿を指導教員が預かったまま放置され、何年経っても投稿できないというのはアカハラですか?いくら催促しても、「今英文校正に出してるから」とか「投稿してあるから」などどごまかされてします。英文校正も投稿も嘘であることは確実です。あまり遅いから問い合わせてみたい、と言ったら絶対に許してもらえませんでした。今後を考えると、自分がcorrespondingになって勝手に投稿する訳にも行かないし。 (アカハラをなくそう!
            4. 学生・ポスドクを飼い殺しにする教授:”正しい学生・ポスドクの飼い殺しの仕方 1.学生が論文を書いて持ってくる  2.投稿前に教授がデスクの上につんでおく  3.約半年放置  4.それくらいたつと関連論文がふえてディスカッション 書き直しになるので  5.またかきなおさせる 2.にもどる。”
            5. アカハラ・セクハラ総合対策スレッド
            6. アカハラ・セクハラ総合対策スレッド2
            7. アカハラ・セクハラ総合対策スレッド3
            8. アカハラ・パワハラについて語りませんか?

             

            その他

            1. 4つの大学の事例から学ぶアカハラ加害者にならないための対策 (こころの相談室 2016.12.29)
            2. 東大のアカハラ関係の書類まとめ 更新日 2012/03/08 evernote.com とりあえずこれまでにスキャンしたアカハラ関係の書類をまとめました。
              新しく公開したのは(3)”指導教官と上手につき合うために”です。..
            3. 東京大学ハラスメント相談所の一部について(上)annoiellの日記 2016-11-14
            4. 主にアカハラの話 (河野議員へのレスポンス②) (つなぽんのブログ 2016-11-12)
            5. ボスとの不和を乗りきれるか? 〜学内ハラスメントの話〜 (つなぽんのブログ 2016-03-10)
            6. これってパワハラもしくはアカハラ何ですか?(発言小町 2016年1月16日 こう):”・隔週のゼミ(院生向けの)の廃止、指導教員の日程でゼミが行われる(約3ヶ月に1回の頻度でした)・院生が学会に提出した論文を一部書き換え、提出する・学会に発表した内容を論文にし、自身を筆頭として論文を提出・研究の方向性の強要”
            7. 意外と知られていない大学(研究室)のパワハラ (haniwa Press! 2013/7/24):”心身を病んでボス達の元を去っていった学生は、2年間見てきただけでも片手では収まりません。”
            8. アカデミック・ハラスメントへの防御としても報・連・相が大事 (発声練習 2012-03-09)
            9. アカデミック・八ラスメントの形成過程 医療系女性大学院生のライフストーリーから  (湯川やよい 教育社会学研究第88集(2011))
            10. ハラスメントは認定してもらった。しかし辞めるのは私の方。大学が懲戒処分の手続きを進めなかったからだ。とにかく和解 和解 和解。懲戒の手続をしてもいいけど、数年かかりますよ、だそうだ。そして不服なら裁判でもどうぞ、というような対応。結局、パワハラは継続した。加害者は反省すらしない。耐えれるはずもない。つまり、大学は、経営を優先して先延ばしをすれば、私が辞めると見越していたのだ。大学は経営を考えると、イメージがマイナスになる懲戒処分はしたがらない。(http://ameblo.jp/korakorakensuke/entry-11021579547.html
            11. 修士論文の内容とアカハラについて (YAHOO!JAPAN知恵袋 2011/12/9):”私が示したデータのうち、教授の説と矛盾するものは全てアーティファクトであり、意味を成していないとも言われました。これらは全て修論から削除しろとも言われました。”
            12. 東北大学大学院生の自殺 (とりあえず落ち着いてください) (5号館を出て 2009年 05月 14日)
            13. シンポジウム: 科学研究における「不正」の構造 (5号館を出て 2007年 06月 02日):”どこの大学でも相談室というものが主に教員が対応する組織になっているところに問題があるのではないでしょうか。こういう相談室に、全面的に学生・院生・ポスドクあるいは職員の立場にたってくれる弁護士や学生ユニオン、組合の関係者などを置いているところはあるでしょうか。 本来ならば、こういう「相談室」は「悩みを聞いてあげて、対応してあげる」という場ではなく、学生・院生・ポスドク・職員の権利が侵害されたことに対して、その事実を明らかにし、非のある人間を特定し、的確な対策を講じるためにあるべきものなのではないでしょうか。”
            14. アカハラス (2006年10月開設)
            15. 国立大学法人岡山大学におけるハラスメント関係の懲戒処分等 (PDF)
            16.  アカデミックハラスメント アカハラ大学事例 大学内におけるアカデミックハラスメント(アカハラ)の事例を集めています。
            17. 動画で学ぶパワハラ これってパワハラ? 動画でチェック!
            18. 某大学のアカハラと、アカハラ防止委員会の対応が酷いらしい
            19. アカハラ“加害者”を支援
            20. NPOアカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク(NAAH):”当NPO NAAH(ナア)は、大学、短期大学、高専、研究所など研究・教育活動の場及びそれに関連する施設に在学、在籍、勤務する人に対して、研究や教育活動の妨害、教育を受ける権利の侵害、差別待遇、いじめ、嫌がらせなどのハラスメントのない環境を確保するための事業をおこない、もって差別の撤廃、人権擁護、男女共同参画社会の形成に寄与することを目的としています。”
            21. 利根川教授は、大学内にあるピカウアのライバル研究所から採用の誘いを受けた女性研究者に「あなたがここ(MIT)に、若手教職員としていることを快く思わない」と電子メールを送ったとの疑惑が浮上。学内調査は今月2日、利根川教授の行為を不適当な働き掛けと認定した。(利根川進教授が研究所所長辞任へ・・・女性研究者に圧力メール疑惑 http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1163860707/)
            22. 浅野教授の文春裁判を支援する会 2006年1月に文芸春秋社を相手取り、名誉毀損記事に対する損害賠償請求を起こした浅野健一教授(同志社大学)を支援する会のホームページ
            23. 大学院教育 その恐るべき実態~ 私の体験談 ~:”岡崎基礎生物学研究所(総合研究大学院大学博士課程)において学位取得をめざすも、それを目前にして、指導教授の暴言に抗議したため、断念を余儀なくされる。総合研究大学院大学に対し、研究指導・教育の不備を訴え、教授の横暴を改善させる指針を示すまで授業料半年分の納入を拒否すると宣言したため、除籍処分となる。”

             

            更新 20170219 河野太郎衆議院議員のウェブサイトの記事を紹介

            ハラスメントの事件対応の手引き
            職場のハラスメント
            アカデミック・ハラスメントの解決

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            日本の科学を考えるガチ議論(scienceinjapan.org)が閉鎖?リニューアル?「研究は、結局、最後は人である」再掲

            日本の科学研究に関する問題提起などを行っていた「日本の科学を考えるガチ議論(scienceinjapan.org)」にアクセスできなくなりました。一時的なものなのか不明です。このウェブサイトの中で自分が一番共感を覚えた記事が、「研究は、結局、最後は人である」(キャッシュ)でした。この記事が失われるのは惜しいので、キャッシュの内容をここに転載します。研究力の要となるのは「人」であり、有能なポスドクらが使い捨てにされる今の研究システムを改善しない限り、日本の競争力は低下の一途を辿るだけでしょう。博士課程への進学を回避する大学生の神経は極めてまっとうであり、ポスドク使い捨てシステムを改善せずに、理系離れ解消、リケジョ増加などの政策を進めるのは無責任だと思います。以下、転載。

             

            研究は、結局、最後は人である

            質問1 – 現在の日本のサイエンスにおける問題は何だと思いますか。
            日本のサイエンスと言ってもよく分かりませんが、平均的な研究者の一人としては、問題はキャリアパスが崩壊していることではないかと思います。それが研究自体にも大きな影響を与えています。キャリアパスとは、それを職業として自分や家族が安定した生活を送る未来が描けるかどうかということですが、それが非常に厳しくなっています。私は自分の子供には研究者を職業として勧められません。

            学問としての自然科学において、発想の自由さ、多様性は本質的に重要です。複数の著名な生物学者と潤沢な資金を誇る某機関を巻き込んだ昨年の騒動の後に大村智さんが今年の医学生理学賞を受賞されたことも、私の目には象徴的に映ります。何が本質的に大切であり守らなければならないことであるかを、改めて指し示していると思うからです。

            結局、最後は人です。人に投資すべきなのに、それを減らして消耗品を買わせているのが現状だと思います。間違っています。

            質問2 – その原因は何だと思いますか。
            競争させるべきではない局面(≒本来運営交付金とすべきところ)まで競争させるようになったことではないかと思います。

            なぜそうなったかと言うと、ビジョンが無かったからです。何でもかんでも競争させておけばいいというのは、ビジョンでも何でもなく、国の科学研究施策を考える立場の人間としては責任の放棄です。

            研究には自由な発想と自由な資金が必要です。しかも、その資金は特に若手にはそんなに多く額の資金は必要ありません。現状は、若手に限らず自由な発想と言うより如何に短期に確実に論文に出来るか、目立つか、という方向に流れているように思います。多くの研究者にとって、なかなか学問と向き合って悠長にやってる時間はなくなって来ています。

            なぜそうなるかと言うと、それが評価されるからです。即ち、問題の本質は評価法に行き着きます。

            様々な研究領域があり、様々なアプローチがあり、様々な研究者が居る、その多様性の全てをサポートすることは出来ませんが、ある程度のバランスが必要なんだと思います。今はそれが極端に偏っていて、その弊害が論文数という形で誰の目にも明らかに生産性に反映されるまで深刻化してしまった、ということだと思います。

            質問3 – 改善するためには、まず誰が・何をするべきだと思いますか。
            私の理想に近い形は、ポストは終身個人に与えられて、条件が合えばそれをどこにでも持って行けるというフランスのシステムに似たものです。終身雇用と人材の固着は、実は切り離すことができます。終身雇用への転換に伴う財源に関する批判に対して、現状でも出処が違うだけで支払われているという指摘もあります。また、「安定性と競争性を担保する日本版テニュアトラック制度」では、最低限の給与を公的機関(国)が保証し、自ら獲得した研究費の間接経費からも加算する方法が提案されています。これは現在の仕組みを変えて行く具体的な方法の一つであると思いますが、私自身は公的機関の研究職は国家公務員資格と同等なものとして扱う仕組みがあればいいと思っています。

            また、現在科研費の採択率は25%前後だと思いますが、本来優劣などつけられない研究に順位をつけるなど思い上がりも甚だしいといつも思っています。一定の基準を満たしていれば全て採択し、SとかAとか一部に集中する予算を減らすのが良いです(バランスですが)。研究費の持続性については、これまでにも提案されているような評価によってゆるやかに額が変動する安定した基盤的研究費は良いアイデアだと思います。

            しかし、そんな考えは、現状発言力を持ち予算を取っている一部の人たちからすれば都合がよろしいはずがありません。では、誰が?

            昨年の騒動で、日本分子生物学会は規模も大きく領域も近かったこともあり、積極的な役割を果たせたと思います。前会長の功績です。他に中立的な立場で科学政策に対する意見が言えそうだと思った日本学術会議は、全く役立たずでした。今後、日本の科学研究施策を少しでも研究者のアイデアの多様性を確保するという方向に動かすために、大多数の研究者の声を文科省の役人に分からせる仕組みが必要だと思います。現在発言力を持つ人たちではなく大多数の研究者の声を反映させること、が肝要です。分生のような組織が母体になって日本研究者会議のようなものが役人を教育する、という感じになって欲しいです。教授だけではなく、准教授、講師、助教がそれぞれの比率に応じた発言権を持つような組織です。

            今は国の無計画なポストドク施策のために需要と供給のバランスが狂っていますが、本来なら民間を含めポストの数に応じた学生を育てるか、或いは学生の数に応じたキャリアパスを責任をもって用意すべきでした。そういう責任を直接的に負っていたのは誰かと言うと、国ということになるのでしょうか。しかし、数年ごとに交代する事務次官や政治家では、学問にとって何が大事なことなのか理解出来ない、そういう何も分からない人たちを相手にしているということを深く考えるべきかと。

            国立大学准教授(任期制のため匿名希望)

            ーー以上、日本の科学を考えるガチ議論(scienceinjapan.jp)「研究は、結局、最後は人である」(キャッシュ)からの転載ーー

            オリジナル記事

            サイトが復活し元の記事も読めるようになっていました。

            1. 研究は、結局、最後は人である http://scienceinjapan.org/topics/20151105b.html

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            更新 20170202 日本の科学を考えるガチ議論のURLを訂正(正しいURLはhttp://scienceinjapan.org/)