研究プレゼンテーションの極意

      2017/09/24

大学院生や研究者が必ずやらなければならないこと、その一つが研究成果の口頭発表です。ちゃんとカリキュラムを組んでプレゼンテーションのやり方を教えている大学院は少ないため、博士号を取ったあとでも自分のプレゼンに自信が持てずに悩む人が多いのではないでしょうか?

そこで、プレゼンをどう組み立てるか、どうしゃべるかということに関して参考になるネットの記事などを紹介します。英語での発表にはそれなりの難しさが伴いますが、トークをいかに組み立てるかということに関して言えば、英語と日本語による違いはありません。

学会発表やセミナーでのトークにはある程度決まった型というものがあります。挨拶、背景の説明、仮説やキークエスチョンの提示、実験方法の説明、実験結果、結論、まとめ、将来展望といったことです。しかし、これらを順序良く無難にこなせばプレゼンが成功するかというと、そうとも限りません。では、研究者のプレゼンにおいてもっともっと大事なことは何でしょうか?

日本でプレゼンの達人といえばこの人、ジャパネットたかたの(元)社長の高田さんのプレゼンが非常に参考になるそうです。

ジャパネットたかた社長に学ぶ学会発表の極意(こんどうしげるの生命科学の明日はどっちだ!?)

内容を簡単に紹介すると、

極意1:対話による共感の成立:学会の聴衆や査読者が疑問を感じそうなところで、自分で突っ込みを入れて、それに答える。
極意2:研究に対する信頼を得る。そのためには適切なコントロール実験の結果をわかりやすく呈示する。
極意3:演者が推定した仮説を伝え、それを証明する実験を提示し、仮説が正しい場合の結果の予測を提示する。それから、結果を見せる。このようにして、そのデータが出た時の演者の感動を伝え、感動を共有する

ということになります。これとは多少違った観点からプレゼンの極意を具体的に語っている山中伸弥氏の記事も必読です。

山中伸弥教授の「人生を変えるプレゼン術」〜とにかくココを意識せよ (現代ビジネス)

簡単にまとめると、

  1. プレゼンの重要性を認識すること。実験して結果を出すのは研究者の仕事の半分に過ぎない。重要な残り半分は、研究成果を人に伝えること。
  2. 自分のプレゼンをビデオに録画して、客観的に見直すトレーニングがお勧め。
  3. スライドに書いたことはしゃべる。しゃべらないことは書かない。
  4. スライドとスライドの間にはつながりが必要。つながり、流れを意識したしゃべりを。
  5. 論理的な流れを意識してスライドをつくり、プレゼンを準備する。それは普段の研究の進め方の改善にも役立つ。

ということでしょうか?是非、本記事を熟読してプレゼンの極意をマスターしてください。もう一つの記事「山中伸弥教授を「1億円プレーヤー」に変えた人生最大のプレゼン」もお勧め。こちらの記事では、聴衆が誰なのかを考えてプレゼンを用意することの重要さが語られています。

もう少し具体的な組み立てに関するチュートリアルも紹介しましょう。

イントロダクションの構成のしかた
A 10-15 minute scientific presentation, Part 1: Introduction


まず、受け入れられている事実(Context)を話し、次に、問題点(Complication)を話し、クエスチョン(Question)を設定し、仮説(Hypothesis)を立ててそれを紹介するという流れ。

 

英語のプレゼンテーションのやり方に関しては多数の書籍が刊行されています。なかでも、トークをどう組み立てるかに関して基本的な考え方を示してくれる興味深い本として「遺伝研メソッドで学ぶ科学英語プレゼンテーション[動画・音声付き]」(出版社:dZERO)があります。

プレゼンの最初の部分はイントロダクションです。イントロダクションの目的は何でしょうか?この遺伝研メソッドによれば、それは、「聴衆をキークエスチョンに導くこと」です。ちなみにキークエスチョンというのは、トークの結論を「答え」としたときの、それに対応する「質問」です。キークエスチョンがトーク全体を貫く背骨になるように話を組み立てれば、聴衆は最後までついてきてくれるというわけです。

サイエンス誌のウェブサイトにも役に立つ記事があります。

Mastering Your Ph.D.: Giving a Great Presentation By Patricia Gosling, Bart Noordam Oct. 20, 2006

ここで述べられていることを要約すると、

  1. しっかりと準備すること
  2. 聴衆を知ること
  3. 自分ひとりで、あるいは少人数を前にしてちゃんと声に出してリハーサルを行うこと
  4. 3回伝えること(最初にこれから話すことが何かを話し、次に、話すべき内容を話し、最後に、今話したことが何だったのかを話す)
  5. 声の調子、間のとりかた、アイコンタクトなどにも気を配る

準備段階で原稿を書いて読んで練習するのは大切なことですが、本番で原稿を読み上げるのは望ましくありません。学会発表はコミュニケーションの場だということを理解すべきです。

世界の指導的な数学者の講演は、さすがと思わせる説得力があるが、彼らの多くは、ちょっとした講義のためにもテキストを作り、それを憶えて、あたかもアド・リブのような印象を与えながら、すじ書き通り首尾一貫した話をしていることを注意しておきたい。(小松彦三郎 新・数学の学び方 小平邦彦 編 岩波書店 2015年 138ページ)

参考

  1. ジャパネットたかた社長に学ぶ学会発表の極意(こんどうしげるの生命科学の明日はどっちだ!?)
  2. 山中伸弥教授の「人生を変えるプレゼン術」〜とにかくココを意識せよ (現代ビジネス)
  3. 1億円プレーヤー」に変えた人生最大のプレゼン (現代ビジネス)
  4. Q&Aを楽しもう! その1:質問をしよう – 国立遺伝学研究所 (PDFリンク)
  5. 遺伝研メソッドで学ぶ科学英語プレゼンテーション[動画・音声付き]感じる力、考える力、討論する力を育てる 出版社:dZERO 著者:平田 たつみ 、タジ・ ゴルマン、広海 健 発売日 2016/01/28
  6. 英語のパワーポイント・プレゼンテーション~国際学会で発表する学生・研究者対象~:”話し言葉の発表原稿を用意して、暗記しよう。スライドだけで話すことはとても難しいので、初めての人は必ず作ろう。 スライドに書いてることを文章に直すと作りやすいです。 ただし、発表中原稿は見ないようにしてください。原稿を読んでいるとカッコ悪いです。少なくとも5回は、時間を測って声を出しながら練習する。話しにくいところ、忘れやすいとこがわかってくるため、そこを修正しつつ練習しよう。”
  7. How to Give a Great Scientific Presentation  Posted on February 22, 2011 by MESA Committee
  8. How to give a dynamic scientific presentation — Convey your ideas and enthusiasm – and avoid the pitfalls that put audiences to sleep By Marilynn Larkin Posted on 4 August 2015
  9. Scientific Presentation Skills. Melissa A. Hines, Dept. of Chemistry (PDF) 疑問⇒答え⇒さらなる疑問⇒答え⇒さらなる疑問 というプレゼンが効果的
  10. Ten Secrets to Giving a Good Scientific Talk Mark Schoeberl and Brian Toon

 

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