The new MacBook – Design
Apple Watch Special Event – Spring Forward – March 2015 – Keynote HD
参考
- Apple – MacBook (https://www.apple.com/jp/macbook/)
- 厚さ13.1mm。すべてがリデザインされた「新しいMacBook」 (wired.jp 2015.3.10)
The new MacBook – Design
Apple Watch Special Event – Spring Forward – March 2015 – Keynote HD
参考
光学異性体の片方のみを人工的に合成することは不可能という常識
人間の右手と左手の関係と同様,鏡に映したように対称的な化合物(キラル分子,光学異性体)がある。生物は酵素などを使って有用なキラルだけを巧みに作り分けているが,ふつうの人工合成では両者が半分ずつできてしまう。…一方が薬になっても,もう一方が毒になってしまうことがよくある…典型的な例が1950年代に睡眠薬として開発された「サリドマイド」だ。この物質の右手型は鎮静作用があって有用だが,左手型には奇形を起こす作用がある。工業合成では混合物しか作れないため,妊婦が服用して胎児に障害を起こし,悲惨な薬害を招いた。
19世紀のフランスの化学者パスツールはおよそ150年前,人工合成で別々の型をつくり分けるのは無理だと唱え,こうした“常識”を覆そうと果敢に挑む研究者は1960年代当時もまれだった。
野依氏は1960年代を振り返り,「有用物質の合成は当時,自然界の反応に任せておけばいいという考えが支配的でしたが,それに我慢がならなかった」と回顧している。(ノーベル化学賞 信念でつかんだ化学の夢 日経サイエンス 2001年12月号)
1966年 最初の不斉合成の触媒を発見
「このときに偶然にみつけた不斉触媒は、銅の原子にキラルな有機分子を配位させた分子です。実は当時、僕は合成を目的に研究をしていたのではなくて、反応の機構を調べていて、偶然見つけたのです。」(ネイチャーインタフェイス野依良治博士ノーベル賞受賞記念インタビュー)
In 1966, when I was in H. Nozaki’s laboratory at Kyoto, we discovered the first
example of asymmetric catalysis using a structurally well-defined chiral transition
metal complex[8]. This finding resulted from research done for an entirely
different purpose which was to elucidate the mechanism of carbene
reactions. (Nobel Lecture, December 8, 2001 by RYOJI NOYORI)
「この発見はほとんど評価されませんでしたね。その理由はふたつあります。ひとつ目は、反応機構が一般的でない特殊な反応だったこと。ふたつ目は、右と左の識別が55:45にすぎなかったことです。50:50から少しふれたけれどもそれはプラクティカルではなかった。原理はみつけたけれど、物質としてはゴミみたいなものだったわけです。そこで僕はこのふたつの反省を活かそうと考えました。つまり一般性の高い反応を作り、さらにうんと識別のよい触媒を作ろうとしたのです。」(ネイチャーインタフェイス野依良治博士ノーベル賞受賞記念インタビュー)
1980年 不斉触媒BINAPの開発に成功
「不斉合成の触媒は、金属原子を有機化合物に配位させた形にデザインします。触媒となる有機化合物BINAPは六角形ばかりでできていて非常にシンプル、かつ美しい。…ついに七八年、BINAPを作れるようになり、八〇年にアメリカの学会誌に発表することができました。」(ネイチャーインタフェイス野依良治博士ノーベル賞受賞記念インタビュー)
In 1980, six years after the start, thanks to the unswerving efforts of my young associates, we published our first work on asymmetric synthesis of amino acids of high enantiomeric purity, up to 100% ee, together with the X-ray crystalline structure of a cationic BINAP–Rh(norbornadiene) complex. (Nobel Lecture, December 8, 2001 by RYOJI NOYORI)
1986年 ロジウム錯体からルテニウム錯体へ
「ある程度の予測をもって、一九八六年RhからRuに換えたのです。これは大ブレークスルーをもたらしましたね。Ruにしたら炭素の二重結合に使えるように なり、そしてさらに重要なのが、炭素―酸素の二重結合に使えてキラルなアルコールができるようになったのです。これによって医薬品の開発に大きく貢献する ことができました。」(ネイチャーインタフェイス野依良治博士ノーベル賞受賞記念インタビュー)
A major breakthrough occurred when we devised the BINAP–Ru(II) dicarboxylate
complexes in 1986. (Nobel Lecture, December 8, 2001 by RYOJI NOYORI)
参考
5人のプロ将棋棋士と5つのコンピュータ将棋ソフトによる団体戦「将棋電王戦FINAL」が2015年3月14日(土)から始まります。株式会社ドワンゴと日本将棋連盟が主催するもので今年で4回目となりますが、FINALという言葉が示す通り、棋士とコンピュータ将棋ソフトを対戦させる方式は今年度で最後となります。コンピュータ将棋の代指しを担当するのはデンソーの子会社デンソーウェーブが開発したロボットアーム「電王手さん」。
対局は毎週土曜日に行われ、対局開始時刻は全局とも午前10時。ニコニコ動画で生中継されます(番組開始は9:30)。
大盤解説会が全局を通じてニコファーレで開催されるほか、第1局~第4局に関しては各対局会場近くの現地でも同時開催されます。
第1局 斎藤慎太郎 五段 vs 「Apery」 3月14日(土) 対局会場:京都・二条城
大盤解説会場:
京都烏丸コンベンションホール(解説:北浜健介八段、村田顕弘五段/聞き手:香川愛生女流王将、安食総子女流初段)
ニコファーレ(解説:鈴木大介八段、木村一基八段/聞き手:室谷由紀女流初段、貞升南女流初段)
第2局 永瀬拓矢 六段 vs 「Selene」 3月21日(土) 対局会場:高知・高知城
大盤解説会場:
高知城ホール(解説:瀬川晶司五段、佐々木勇気五段/聞き手:熊倉紫野女流初段、伊藤沙恵女流初段)
ニコファーレ(解説:屋敷伸之九段、広瀬章人八段/聞き手:本田小百合女流三段、井道千尋女流初段)
第3局 稲葉陽 七段 vs 「やねうら王」 3月28日(土) 対局会場:北海道・五稜郭
大盤解説会場:
函館金森ホール(解説:千葉幸生六段、遠山雄亮五段/聞き手:竹部さゆり女流三段、室田伊緒女流二段)
ニコファーレ(解説:糸谷哲郎竜王、深浦康市九段/聞き手:山田久美女流四段、安食総子女流初段)
第4局 村山慈明 七段 vs 「ponanza」 4月4日(土) 対局会場:奈良・薬師寺
大盤解説会場:
現地会場未定(解説:豊川孝弘七段、千田翔太五段/聞き手:村田智穂女流二段、室田伊緒女流二段)
ニコファーレ(解説:佐藤康光九段、森下卓九段/聞き手:山口恵梨子女流初段、貞升南女流初段)
第5局 阿久津主税 八段 vs 「AWAKE」 4月11日(土) 対局会場:東京・将棋会館
大盤解説会場:ニコファーレ(解説:森内俊之九段、藤井猛九段/聞き手:香川愛生女流王将、藤田綾女流初段)
参考
第2子を妊娠中の妻キャサリン妃と長男ジョージ王子をおいて、単独で2015年2月26日から3月1日までの日程で日本を公式訪問中の英国ウイリアム王子は、2月28日には福島を訪れました。安倍首相は
「殿下の福島訪問は東北の被災者に勇気を与えていただいた。福島のおいしい食材を堪能していただきたい。風評被害を払拭(ふっしょく)する上で大きな力になる」(朝日新聞)
と話したそうです。
英国のテレグラフ紙は、
目次
ウイリアム王子が福島産の食品を食べたり飲んだりすることで、原発推進政策を推し進める日本の首相に利用されている、という被災者の批判的な見解を紹介しています。
またタイムズ紙も同様に
The Duke of Cambridge’s visit to Japan this week is being manipulated by the country’s prime minister to promote his government’s pro-nuclear agenda, according to victims of the Fukushima nuclear disaster.(http://www.thetimes.co.uk/tto/news/world/asia/article4365456.ece)
被災者の意見を取り上げて、王子が日本の首相に政治的に利用されていることを指摘しています。
ウィリアム王子が温泉旅館へ 浴衣姿で夕食
ネット上では、英国王室からの国賓を日本政府がFUKUSHIMA産の食材でもてなしたことに驚愕する声や今後の日英関係を心配する声が上がっています。
折りしも、ウイリアム王子の福島訪問直前には、東京電力が福島第一原子力発電所の排水路からの放射能汚染水流出を隠蔽していたことが明らかになりました。
福島第一原発 汚染水流出で県が立ち入り調査(15/02/28)
参考
富山大学は2005年に10年の任期で登用した教授が基準となる20報の論文を出さなかったとして、この研究者を2014年末に解雇したそうです。解雇された元教授は論文数でのみ評価するのは不当だとして2015年1月9日に富山地方裁判所に提訴しています。
2017年11月21日の報道(m3.com/共同通信)によれば、最高裁が、元教授の上告を受理しない決定(2017年11月17日付)をしたことにより、富山大元教授が敗訴した二審判決が確定しました。 二審の名古屋高裁金沢支部は、一審の富山地裁判決を支持していました。
関連記事 ⇒ まだアカデミアで消耗してるの?【博士の転職】
記事更新 20240804 個人情報を削除 20171121 最高裁の判断を追記 20161224 地裁判決結果を追記。Dr黒木のがんばれ生活習慣病の予防 から一部を転載させていただきました。
SONYがペット犬ロボットAIBOを一般向けに発売したのが1999年。それから15年以上の歳月を経て、今年はついにヒト型ロボットが一般消費者向けに販売されるかもしれません。
ヒト型ロボット「ペッパー(Pepper)」を開発し販売するのはソフトバンクモバイル。感情認識機能を搭載しており、いわば、人のキモチがわかる、「空気が読める」ロボットです。Pepperに癒されて暮らす生活はどんなものになるのでしょうか?
ボス『Pepper(家庭)』篇 60秒 トミー・リー・ジョーンズ 北大路欣也 サントリー
(SUNTORY)限定公開)商品名:ボス オンエア開始日:2015年2月9日 出演者:トミー・リー・ジョーンズ/北大路欣也
リビングにロボットがいる風景: Pepper 第1号ユーザーお宅訪問、戸惑う妻とクリエイター宣言の夫
ソフトバンクモバイルは2014年9月に法人向けに200台を先行販売していました。
ボス『Pepper(職場)』篇 60秒 トミー・リー・ジョーンズ 吉田鋼太郎 サントリー
(TVCM 商品名:ボス オンエア開始日:2015年2月3日 出演者:トミー・リー・ジョーンズ/吉田鋼太郎 サントリー公式チャンネル (SUNTORY)限定公開)
タモリ、ペッパーのものまねに感心 「コンドルの着地」を伝授! サントリーコーヒー「BOSS」CM発表会2
2015年2月27日にはアプリ開発を行うIT企業など開発者を対象して限定300台が発売されます。本体価格は19万8000円。
そして、待ち望まれる一般消費者向けの販売は2015年6月以降になるとみられています。
参考
はんだ付けアート アリの製作(昌治野瀬)
#15/ノセ精機の野瀬昌治社長 オンリーワンのはんだビジネス DVD教材販 売・はんだ検定
ビニール線相互の簡易なはんだ付け接続
参考
ネイチャー(Nature)に論文を出す方法があるからには当然サイエンス(Science)に論文を出す方法もあります。サイエンスのエディターらが日本を含め世界各国のさまざまな大学でセミナーを行っており、そのスライドなどがインターネット上で閲覧できます。
ネイチャーとサイエンスの名前はどちらも最も権威のある学術誌としてよく並べて挙げられますが、サイエンスへの掲載に当たっては、著者らが高名な学者かどうか、権威のある研究所に属しているかどうかなどは一切関係がないことが明言されており、自分の研究分野の第一人者との議論や共同研究を論文掲載のための戦略の一つとして勧めているネイチャーとは若干異なるスタンスであるように思われます。
(PUblishing in Science: Outliers, Closers, & Leaders by Pamela J. Hines, Senior Editor, SCIENCE, AAAS http://www.docin.com/p-345432859.html)
Hines noted that Science publishes research articles that “shine with quality”, stand out from the pack (i.e. are not similar to already published reports), and can be recognized as “outliers, closers, and leaders”. As she explained, an outlier is a research paper on a fresh, unexpected topic; a closer is one that presents unequivocal evidence to resolve a scientific debate; and a leader is one that moves science forward by “defining new questions”.
Manuscripts that are immediately rejected by Science are not of broad interest, report a minor scientific advance, draw conclusions not sufficiently supported by the evidence, are lacking in mechanistic insight, or report “permutations of known phenomena” (i.e. research repeated in a new biological model system); these latter papers are more suitable to publication by specialty journals. Hines’ suggestion for new authors is to focus on the “logic of thought flow”, as this aspect of good writing has a strong influence on the editorial decision.
(http://www.scielosp.org/scielo.php?pid=S0021-25712010000400014&script=sci_arttext)
論文が掲載された雑誌のインパクトファクターの高さと、その論文自体の価値の高さは必ずしも一致しません。そのため、雑誌のインパクトファクターにとらわれずに論文の内容そのものを評価すべきだという議論がよくなされます。しかしながら、分野外の論文の価値を評価するのは非常に難しいため、雑誌のネームバリューで論文業績が評価されるということは避けられません。
そんなこともあって、いまどき、ネイチャー(Nature)、サイエンス(Science)、セル(Cell)(生命科学分野の場合)、あるいはそれらの姉妹紙などにファーストオーサーの論文を出していないと、アカデミックな世界でジョブマーケットに出て行くことが難しいという現実があります。テニュアトラック制度に乗っているPI(Principal Investigator)も、自分のラボからこのようなトップジャーナルに論文を出さないとテニュア獲得の可能性が下がるでしょう。
それでは一体、Natureなどのハイプロファイルジャーナル(High-profile journals)に論文を出すための秘訣や戦略のようなものは存在するのでしょうか?
日本のラボで仕事をする日本人ポスドクよりも、海外のラボに留学した日本人ポスドクの方が一流誌に論文が出やすいということはよく言われます。なぜそうなるのかといえば、海外のトップラボのボスは良い論文を書く方法論を身につけているからです。そのため、せっかく同じような実験データを得ていながら、かたやネイチャー、かたやインパクトファクターの低い雑誌という結果にもなります。
Natureに論文を出すための方法論はどこでどう身につければよいのでしょうか?もちろん、良いボスがいる一流のラボで仕事をして直接学ぶのがベストの方法ですが、実は、良い論文を書くためのワークショップをNature自身が多数開催しています。また、インターネット上で、それらの内容が公開されています。
(参照:ネイチャーライティングワークショップ http://www.jbr-pub.org/UploadFile/Nature%20Writing%20Workshop.pdf 30ページ)
良い論文というのは、我々の自然に対する理解を深めるような研究報告です。つまりConceptual Advanceがなければいけません。Conceptual Advanceがどのようなもので、それが論文掲載の決定にどう関わってくるかに関しては、
Novelty and conceptual advance
• Anything that has not been published before is novel, but not all
novel findings are considered interesting, or of sufficient conceptual
advance, for a journal
• Different journals use different criteria to gauge the level of
conceptual advance and readers’ potential interest
Common types of conceptual advance
• Unexpected phenomenon
• Never before seen
• Mechanistic insight
• Technical breakthrough
• Resource value
(参照:ネイチャーライティングワークショップ http://www.jbr-pub.org/UploadFile/Nature%20Writing%20Workshop.pdf 19ページ)
と説明されています。
ネイチャーに論文を出す方法について、ネイチャーのエディターが解説した動画。
How to Publish in Nature – Leslie Sage (SETI Talks)
ネイチャーが論文をアクセプトするかどうかは一体誰が決めているのでしょうか?それは、レビューアー(差読者)ではなくネイチャーの編集者であると明言されています。
The judgement about which papers will interest a broad readership is made by Nature‘s editors, not its referees. One reason is because each referee sees only a tiny fraction of the papers submitted and is deeply knowledgeable about one field, whereas the editors, who see all the papers submitted, can have a broader perspective and a wider context from which to view the paper. (http://www.nature.com/nature/authors/get_published/)
Nature, Nature Physics and Nature Communicationsなどの編集者も務めたDan Csontos博士が、ネイチャーに論文を出す秘訣を解説。
How to get published in top-ranked journals
Dr Dan Csontos. He is a science writer, editor and publishing consultant at Elevate Scientific, based in Lund, Sweden. Before founding Elevate he was a science editor with the international journals Nature, Nature Physics and Nature Communications, and a science editor and project manager with Macmillan Science Communications in London.
ABSTRACTの書き方だけでなく、ネイチャーに投稿する際の要点が、https://www.natureasia.com/pdf/ja-jp/nature/authors/gta-2017.pdfにまとめられています。
読売新聞の報道によれば、先日匿名でネット上で列挙されていた「類似」画像データを含む論文84本、研究者47人に関して、文科省宛に文書でも告発がなされました(ちなみに文科省へ告発したのは匿名A氏とは別の方のようです)。問題が指摘された論文は1996~2007年のものですが、この期間に限定する理由は全くないわけで、後からあれも、これもと出てこないように最新の論文まで全て調査してもらいたいものです。
PubPeer (pubpeer.com)という、発表された論文の内容に基づいて世界中の研究者がサイエンティフィックな議論を行うウェブサイトがあります。このウェブサイトで、日本人の苗字や名前、日本人研究者が取り組んでいる有名な遺伝子名などをキーワードにして検索すると、「類似画像データ」を指摘するコメントが付いた論文が山ほどヒットしてしまい、非常に残念な状態になっています。類似画像の指摘に対して著者からの説明が返ってきていない論文に関しては、データをどの程度信頼してよいのかどうかがわからないため、サイエンティフィックな議論のしようがありません。
参考
魚などの下等な動物は鏡に映った自分を他の個体だと思い込んで、鏡の中の自分に対して攻撃したりします。ヒトやチンパンジー(大型類人猿)は鏡に映った自分を自分自身と認識できることが知られており、イルカ、ゾウなどでもそのような「鏡像認知」能力を示す報告がありましたが、サルの仲間に関してはそのような能力はないと考えられていました。
今回、中国の研究グループがマカクザルも鏡に映った自分を自分だと認識している可能性があるという論文をカレントバイオロジー誌に発表しました。
Monkeys May Be Able To Recognize Themselves In A Mirror With Training
Animals which have passed the mirror test are common chimpanzees, bonobos, orangutans, dolphins, elephants, humans and possibly pigeons. (ScienceDaily 2015-01-12)
しかしながら、1970年にチンパンジーが鏡に映った自分を自分と認識していることを報告したゴードン・ギャラップ(Gordon Gallup)博士は、サルがそのように振舞うように訓練された結果に過ぎないとして、この研究結果の結論は誤っていると批判しています。
参考
大学の非常勤講師がキャンパス内で全裸になっているところを見つかるという事件がありました。事の顛末を大学が公表したところ、思わぬ反響を呼んでいます。大学の説明責任とは何なのかを考えさせられる対応でした。
本学非常勤講師による不適切な行動について(報告)
2015/01/10
各 位
1月8日付、本学ホームページに「本学非常勤講師による不適切な行動について」として報告いたしましたが、その後判明した事実およびその背景等について説明させていただきます。
まず、今回の出来事に関する事実関係を記述いたします。
1月8日、午後3時ごろ、本学巣鴨キャンパスの建物間の通路で、男性が全裸になっているとの情報が、学生より事務局に入りました。
職員が駆けつけると、その男性は本学非常勤講師(男性・55歳)であったので、保護し事情を聴取いたしました。
それによると、当該講師は本学女子学生(21歳)と学内で出会い、話をしているうちに口論となり、「私に信じてほしいならば、ここで裸になってくれ」と要求されたということです。
当該講師は独身で半年ほど前よりこの学生と親も同意の上で生活をともにしていました。
この学生は日頃より情緒不安定な面があり、当該講師の言葉によると、感情が高まると突発的にどんな行動を取るか分からず、彼女の言う通りにしないと収まらないということを経験的に知っており、その言葉に従ってしまったということです。その際、衣服は学生が持ち去ってしまったので、当該講師はしばらくそのままの状態でおり、他の学生の目にするところとなりました。
当該講師は彼女の不安感を払拭させるために取った行動であるものの、極めて軽率な行為であることを深く反省し、本学に対して辞意を表明いたしました。
どのような事情であれ、当該講師の行為は公序良俗に反するものであり、本学の規定にも違反します。本学は厳正なる対処をすべく判断して、理事長が辞表を受理いたしました。
その後、学生が落ち着いてからこの間の事情を聴取し調査をいたしましが、事実関係についてはこの通りであることを確認いたしました。
当該講師は、本学学生に向けて、次のようなメッセージを残しております。
(この文章は公開を前提として書かれたものではありませんが、本人の了解のもとに掲載いたします。
—————————————————————————————————————-
このたび、皆さんに多大な迷惑、ご心配をおかけしたことを深くお詫びいたします。
今回、私事ではありますが、自分の大事な人を守るために行ったことが、結果としてこのような事態に至ったこと、重ねてお詫びいたします。
皆さんには、自分の信頼すること、信じることを貫き通して欲しいと思います。そのとき少しの冷静さも忘れないようにしてください。
—————————————————————————————————————-
以上の事実確認を踏まえ、本学は真摯な反省にもとづき学生指導に邁進することを誓います。また、この間にWeb上に混乱した情報が流れ、多くの皆さまにご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
本学では今回の事案に関して、関係部署等で慎重な検討を行うことを指示し、当該講師の行為の動機に関しては同情すべき点があることを確認しました。しか しその動機のいかんにかかわらず、行為の結果に責任を取るということで当該講師と同意いたしましたので、辞表を受理いたしました。
このような行為は、学内の諸規定に抵触するかを問う以前に、社会人としての良識が問われます。そのことも踏まえ、学生、教職員に本学の建学の精神にもとづく行動をあらためて要請いたします。
なお今回の事案に関係した学生への指導に鑑み、当該学生の詳細な情報を秘匿し、保護することをご理解ください。
平成27年1月10日
大正大学 学長 勝崎裕彦
(http://www.tais.ac.jp/other/news/latest_news/blog/2015/01/10-182032.html リンク切れ)
インターネット上の反応の一部
55歳と21歳という年齢差も凄いですが、大学の先生に女子大学生が恋愛感情を覚えることはよくあることなのでしょうか。
追記 20170205 2015年にネットで公開されていた、画像データの類似性を解説したPDFファイル r3hso.pdf (https://t.co/zfttZKmgZr)。
追記 関連記事
⇒ 東京大学が類似画像論文に関する予備調査結果を発表: ”不正行為が存在する疑いはない”論文12報のリスト
⇒ 大阪大学、類似画像データ論文の調査を打ち切り 本調査を行わないことを決定
——–
日本分子生物学会2013年年会組織委員会がシンポジウム「生命科学を考えるガチ議論」のための準備としてウェブ上に設置した議論用のサイトで、「日本の科学を考える」(http://scienceinjapan.org/)というものがあります。このウェブサイト上で、年末年始の数日間の間に、異なる実験結果に同一画像データが使いまわされている可能性のある「画像酷似論文」が大量に指摘されました。NATUREを筆頭に、NATUREの姉妹紙など一流の雑誌を含めて、全部で84報に上ります。「捏造問題にもっと怒りを」の記事のコメント欄を利用して書き込まれました。
画像酷似論文の指摘を行った匿名A氏は、このウェブサイト「日本の科学を考える」を選んだ心情を吐露しています。
匿名A氏は、ここで指摘された論文の著者らが直ちに実験ノートを公開すれば画像が酷似していることに関する疑問も氷解するであろうと期待しています。
匿名A氏の説明によれば、特定の個人を告発する意図で調べたわけではなく、手当たり次第に調べてみたらこのような結果になってしまったようです。あまりの多さに途中で疲れて作業を切り上げてしまったそうなので、もしも網羅的に調査したら84報どころではなくなるかもしれません。特定の大学を告発する意図もなかったようですが、結果的に、画像酷似論文の多さに関しては大阪大学医学部が際立っていたそうです。
「類似画像=捏造」とは限らないことに関して、匿名A氏は注意を促しています。
匿名A氏が列挙した論文は以下の通りです。括弧内の但し書きは匿名A氏自身が後から追加したコメントの内容。
#1 Nature. 1998 Jan 1;391(6662):96-9. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1a. Lane 1 is similar to Lane 5. Lane 6 is similar to Lane 10.
#2 J Biol Chem. 2000 Mar 17;275(11):8091-6. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 3A. Lane 3 is similar to Lane 8, 9, and 10. Fig 3B. Lane 1 is similar to Lane 2.
#3 Arch Biochem Biophys. 2001 Apr 1;388(1):91-9. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2A. Lanes 2-3 are similar to lanes 9-10. Fig 4B. Lanes 2-3 are similar to lanes 9-10.
#4 Diabetes. 2002 Oct;51(10):2915-21. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 5. 18S of B is similar to that of C (horizontal flip).
#5 Nat Med. 2002 Jul;8(7):731-7. Epub 2002 Jun 17. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1b. +/- is partially similar to -/-. Fig 2. 18S of a is similar to that of b. Fig 5a. 28s of TNF-alpha(-) and Adiponectin(+) is similar to that of TNF-alpha(+) and Adiponectin(+).
#6 J Biol Chem. 2003 Jun 13;278(24):21344-51. Epub 2003 Apr 1. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 5. Lane 2 is partially similar to lane3.
#7 Mol Cell Biol. 1996 Jun;16(6):3074-84. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 7C. Lane a is similar to Lane b.
#8 J Biol Chem. 2001 Nov 2;276(44):41245-54. Epub 2001 Aug 31. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 4G. PIPs are similar to those of Fig. 5d in another paper (J Clin Invest. 2001 Oct;108(7):1001-13. #9 in this list.) The dates of revision and publication of this paper are earlier than the other paper. (#8は、どちらかといえば、The date of submission of this paper is later than that of #9. と書くべきでした。)
#9 J Clin Invest. 2001 Oct;108(7):1001-13. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 6b. The CD36 band in the lane HF is similar to the UCP2 band in the lane HF+BADGE (horizontal flip). The CD36 band in the lane HF+BADGE is similar to the UCP2 band in the lane HF+HX531 (horizontal flip).
#10 Nat Genet. 2002 Feb;30(2):221-6. Epub 2002 Jan 30. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 6. 28S in a (WAT) is similar to that of in d (BAT).
#11 Biochem Biophys Res Commun. 2004 Oct 8;323(1):242-8. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2A. The control lanes are similar to the salicylate lanes. Fig 3B. p-Akt in Lane 3 is similar to that in Lane 7. p-Akt in Lane 5 is similar to that in Lane 6. Akt in Lane 4 is similar to that in Lane 6. Fig 4. Lane 5 is similar to Lane 7 (horizontal flip).
#12 J Biol Chem. 2001 Jul 20;276(29):27519-26. Epub 2001 May 24. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 6. E is similar to f. Fig 9. D is similar to e and f (enlarge).
#13 Exp Cell Res. 2002 Jan 1;272(1):23-31. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig7. Bone marrow cells of LZP is similar to those of CRP.
#14 Oncogene. 2002 Jan 24;21(5):844-8. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1b. These figures (HUVEC and ST2 cells) are similar to those of the COS7 cells in another paper (Fig. 6 in J Biol Chem. 2001 Jul 20;276(29):27519-26. #12 in this list.)
#15 Biochem Biophys Res Commun. 2002 Apr 26;293(1):332-7. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1. The mice of 2 weeks are similar to those of 3 weeks (vertically enlarge).
#16 J Virol. 1999 Nov;73(11):9237-46. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 5B. Some bands seem to be pasted in the figures. For example, lane 3 in the left SeV/mSF figure.
#17 J Virol. 2000 Jun;74(12):5619-28. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2A. In the upper figure, 4C(-) 20 is simiar to 4C(-) 26. Fig 2B. GAPDHs of Wt 14, Wt 38, 4C(-) 14, and 4C(-) 20 are similar.
#18 J Virol. 2001 Apr;75(8):3802-10. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 4C. Y1+ is similar to Y2+.
#19 J Virol. 2002 Jul;76(14):7114-24. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 4B. Y2.5+ is similar to Y3+.
#20 J Virol. 2004 Jul;78(14):7443-54. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 5. STAT2 of None is similar to that of Cm5.
#21 J Virol. 2007 Apr;81(7):3264-71. Epub 2007 Jan 10. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 4. In the most upper figure, Sev Wt 0 is similar to Sev Wt 6 in both 2fTGH STAT1(+/+) cells and U3A STAT1(-/-) cells.
#22 Biochem Biophys Res Commun. 2002 Aug 9;296(1):194-200. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 3A. Lane 1 is similar to Lane2 for GluSyn.
#23 Biochem Biophys Res Commun. 2001 Nov 30;289(2):531-8. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1 and Fig 2. 18S rRNA of Lane 2 (monocytes) in Fig 1 is similar to that of Lane 2 (alpha-GalCer-imDCs) in Fig 2.
#24 Circ Res. 2004 Jun 11;94(11):1492-9. Epub 2004 Apr 29. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2 and Fig 3. E1A in the lanes 1-2 of Fig 2A is similar to that in the lanes 2-3 of Fig 3C.
#25 J Biol Chem. 2002 Apr 5;277(14):12351-8. Epub 2002 Jan 22. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1B. D is similar to g. Fig 3B. The right part of Myc-MST1 WT is similar to that of Flag-MST1 444P.
#26 J Biol Chem. 1999 Apr 23;274(17):11995-2000. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 4. EDTA is similar to Fuc.
#27 J Biol Chem. 2000 Jun 9;275(23):17233-6. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2B. Input of 0-45 is similar to that of 90-180. Fig 4. ECT2-N1(-) 45 is simialr to ECT2-N1(+) 45.
#28 J Biol Chem. 2002 Dec 27;277(52):50966-72. Epub 2002 Oct 21. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2B and Fig 4C. The actin in Fig 2B is similar to that of Fig 4C (horizontally flip.) Fig 4C and Fig 5D. The six COX bands in Fig 5D is similar to six bands of actin in Fig 4C.
#29 J Biol Chem. 2001 Mar 23;276(12):9460-7. Epub 2000 Dec 19. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1B. In the lower figure, RET-2B is similar to RET-2B/LAR.
#30 J Biol Chem. 1999 Dec 31;274(53):38251-9. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2A. 37 degrees Celsius is partially similar to 30 degrees Celsius.
#31 Nucleic Acids Res. 2000 Mar 15;28(6):1355-64. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 7A. 18S rRNA of placenta is similar to that of mammary gland in another paper (Fig 2A in Mol Biol Cell. 1999 May;10(5):1637-52.)
#32 DNA Repair (Amst). 2007 Jun 1;6(6):760-9. Epub 2007 Feb 5. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 5A. GAPDH of W in 5 weeks is similar to that of SP in 16 weeks.
#33 J Biol Chem. 2000 Aug 18;275(33):25146-54. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 6D. pMAPK of S10A is similar to that of WT-DMSO (horizontally flip). You can pay attention to the noise of the rim.
#34 J Biol Chem. 2002 Apr 26;277(17):14355-8. Epub 2002 Mar 11.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1B. Tubulin in cytoplasm is similar to that in whole cell.
#35 EMBO J. 2002 Dec 2;21(23):6312-20. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2C. p47phox is similar to p67phox.
#36 J Biol Chem. 2003 Jul 4;278(27):25234-46. Epub 2003 Apr 25. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 3A. The two lower left cells are similar between wt and P156Q.
#37 J Biol Chem. 2003 Jun 20;278(25):22908-17. Epub 2003 Apr 7. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2. MRP11-116/MRP2 is similar to MRP11-1480/MRP2.
#38 J Virol. 1999 Oct;73(10):7981-7. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1A. Lane 1 is similar to Lane 3 and 6. Lane 2 is similar to Lane 8. Lane 4 is similar to Lane 7.
#39 J Biol Chem. 2002 Jan 18;277(3):2132-7. Epub 2001 Oct 22. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2b. The FLAG band of GST-WT is similar to the GST band of WT-WT. Fig 3A. The left upper figure is similar to the left lower figure (horizontally flip).
#40 J Biol Chem. 2004 Jun 11;279(24):25474-82. Epub 2004 Mar 22. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 5A. Lanes 8-9 are similar to lanes 12-13.
#41 Diabetes. 2003 Nov;52(11):2657-65. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 3B. APS bands in GFP lanes seem to be pasted in. IR beta bands in GFP lanes are similar to those in APS(YF) lanes.
#42 J Biol Chem. 1999 Nov 5;274(45):32309-17. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 4A. Lane 1 is similar to Lane 15 (horizontally flip). Lanes 12-13 are similar to Lane 16-17 (horizontally flip).
#43 J Biol Chem. 2000 Sep 1;275(35):26856-63. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 9C. Mock-transfected cell (-) is somewhat similar to Mutant probe (-). Mock-transfected cell oligo TRE is somewhat similar to Mutant probe Ang II.
#44 J Biol Chem. 2000 Feb 11;275(6):4369-73. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 3. GAPDHs of Time 4, 5, and 6 are similar in PAO+. Fig 4. iNOS mRNA of Lane +-+- is similar to that of Lane +–+.
#45 Hepatology. 2000 Nov;32(5):1037-44. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 3. 3h None is similar to 5h Hypo.
#46 J Hepatol. 2004 Apr;40(4):616-23. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 4A. Phospho-Akt of 2h(-) is similar to that of 2h(+).
#47 Am J Physiol Endocrinol Metab. 2005 May;288(5):E876-82. Epub 2004 Dec 21. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 4A. 28S and 18S in lanes 1-6 are similar to those in another paper (Fig 1A in Biochem Biophys Res Commun. 2004 May 14;317(4):1075-9.)
Fig 5A. In the adiponectin bands, Lanes 1-4 are similar to lanes 12-15. Lanes 6-7 are similar to lanes 9-10.
#48 Biochem Biophys Res Commun. 2001 Apr 27;283(1):255-9. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2. V/Vsp in lanes 1-3 is similar to V/Vsp in lanes 7-9, STAT1 in lanes 10-12, and STAT1 in lanes 13-15. IRF9 in lanes 10-12 are similar to that in lanes 13-15.
#49 J Virol. 2002 Dec;76(24):12683-90. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 8. In the Blot:FLAG, FL is similar to FLMT in the two middle lanes (vertically enlarge).
#50 J Biol Chem. 2003 Oct 24;278(43):41654-60. Epub 2003 Aug 13. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 4. HSF-1s of OSC19-MP(mock) C and IFN in Fig 4A, from total cell lysate, are similar to those of OSC19 cytosol C and IFN in Fig 4C. HSF-1s of OSC19-MP(STAT-1) C and IFN in Fig 4A, from total cell lysate, are similar to those of OSC19-MP cytosol C and IFN in Fig 4C. (#50の説明の最後はFig. 4CではなくてFig 4Dでした。)
#51 J Med Virol. 2006 Apr;78(4):417-24. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2. GAPDH of RSV 5 is similar to that of inactivated SARS 1. GAPDH of FluAV 1 is similar to that of inactivated SARS 2. Fig 5. GAPDH of RSV 5 is similar to that of inactivated SARS 1. GAPDH of FluAV 1 is similar to that of inactivated SARS 2.
#52 Cancer Lett. 1999 Jul 19;142(1):23-30. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2B. hTERT of lane D is similar to that of lane F2.
#53 Leukemia. 2000 Jul;14(7):1260-5. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1b and 3b. hTERT of Fig 1b is similar to that of Fig 3b (horizontally flip).
#54 Biochem Biophys Res Commun. 2004 Apr 2;316(2):528-32. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1. 15 N is partially similar to 30 N.
#55 Cancer Lett. 2008 Mar 18;261(2):226-34. Epub 2007 Dec 21. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1. K562/hTERT 1 is similar to K562/hTERT 10.
#56 Cancer Res. 2006 Oct 15;66(20):9913-20. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 4C. ADAM28 of Day3 is similar to that of Day 31 (vertically enlarge). Fig 5C. Lane 1 is similar to Lane 4.
#57 Biochem Biophys Res Commun. 2005 Mar 25;328(4):1232-43. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2. Two exon 3 figures are similar.
#58 Biochem Biophys Res Commun. 2000 Aug 11;274(3):603-8. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 5. Two right lower bands in Fig 5A are similar to two left lower bands in Fig 5B.
#59 Biochem Biophys Res Commun. 2001 May 11;283(3):707-14. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 3C. In the lower figure, the left four bands are similar to the middle four bands and the right four bands.
#60 Nat Cell Biol. 1999 Dec;1(8):479-85. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 4a. Western(PS) of A246E is partially similar to that of delta E9.
#61 J Biol Chem. 2001 Jan 19;276(3):2108-14. Epub 2000 Oct 12. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1. Lanes N and H in Fig 1C are similar to Fig 1D.
#62 J Biol Chem. 2001 Nov 16;276(46):43446-54. Epub 2001 Sep 10. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1a and Fig 2a. Ten actin bands of Fig 1a are similar to those of Fig 2a.
#63 J Biol Chem. 2002 Apr 12;277(15):12931-6. Epub 2002 Jan 25. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 3b. PY20 of Src is similar to Lysate of Src.
#64 Circulation. 2002 Jun 18;105(24):2893-8. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2. ERK of Fig 2C is similar to that of Fig 2D (horizontally flip, change brightness and contrast).
#65 J Biol Chem. 2002 Mar 8;277(10):8076-82. Epub 2002 Jan 4. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 3. Cyclin D1 and actin of 694F are somewhat different with those of delta p85.
#66 J Biol Chem. 2005 Feb 11;280(6):4929-39. Epub 2004 Nov 24. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2A. Bcl-2 and actin of ED(-) are similar to those of ED(+).
#67 J Biol Chem. 2005 Apr 1;280(13):13163-70. Epub 2005 Jan 25. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 5E. The left four lanes of CHO-B are similar to the right four lanes of CHO-B.
#68 J Biol Chem. 2001 Mar 30;276(13):9688-98. Epub 2000 Dec 14. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2C. Lane +— is similar to Lane +-+-. Fig 5B. Lane 1 is similar to Lane 3.
#69 J Biol Chem. 2001 Dec 14;276(50):47642-9. Epub 2001 Oct 10. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1B. Lane 2 is similar to Lane 4 (horizontally flip). Fig 5A. ERKs of lanes 1-4 are similar to those of lanes 5-8 (horizontally flip). Fig 7A. The upper two bands of pSG5 are similar to those of ER beta (horizontally flip).
#70 J Biol Chem. 2001 Feb 2;276(5):3459-67. Epub 2000 Oct 23. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 7B. pSG5 is similar to ER beta (horizontally flip).
#71 J Biol Chem. 2002 Sep 6;277(36):33490-500. Epub 2002 Jun 26. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1B. ERKs of lanes 1-3 are similar to those of lanes 4-6. Fig 3A. Lanes 1-2 of Caov-3 are similar to lanes 3-4 of Caov-3 (horizontally flip). Fig 4A. Lanes 1-2 of BAD are similar to lanes 3-4 of BAD. Fig 6B. Phospho-Raf of Lane 2 is similar to that of Lane 5.
#72 Endocrinology. 2004 Jan;145(1):49-58. Epub 2003 Sep 18. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 3B. Akt of lanes 1-2 is similar to that of lanes 3-4.
#73 Clin Cancer Res. 2004 Nov 15;10(22):7645-54. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1D. Akt of lanes 1-2 is similar to that of lanes 3-4.
#74 Endocrinology. 2004 Mar;145(3):1302-13. Epub 2003 Nov 26. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 8B. Lane 1 of A2780 is similar to Lane 3 of Caov-3.
#75 J Biol Chem. 2004 May 28;279(22):23477-85. Epub 2004 Mar 16. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2A. Lanes 2-4 of actin are similar to lanes 6-8 of actin (horizontally flip).
#76 J Biol Chem. 2000 Nov 10;275(45):35051-62.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 7C. Lanes i, j and k of abDbf4p are somewhat similar.
#77 Proc Natl Acad Sci U S A. 2000 Dec 5;97(25):13824-9. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 4A. The most upper figure of insulin is similar to that of IGF-1.
#78 J Biol Chem. 1999 Mar 26;274(13):8531-8. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 5C. In the Ad5IkB lane, Bcl-2 is similar to Bcl-x (horizontally flip and vertically enlarge). In the Ad5LacZ+TNF lane, Bcl-2 is partially similar to Bcl-x (vertically enlarge).
#79 FASEB J. 2001 May;15(7):1218-20. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 1A. Akt of Cont is similar to that of VEGF.
#80 Nat Med. 2001 Mar;7(3):317-23. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2a. Actin of Astrocytes is similar to that of another paper (Fig 5C in J Biol Chem. 2001 Feb 2;276(5):3046-53. Epub 2000 Oct 20.)
#81 J Biol Chem. 2003 Jan 17;278(3):2058-65. Epub 2002 Nov 7. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2. wt is similar to delta alpha 1.
#82 J Biol Chem. 2001 Sep 7;276(36):34259-69. Epub 2001 Jul 2. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 7. SRE-352 is similar to SRE-344 (vertically enlarge).
#83 J Biol Chem. 2005 Mar 18;280(11):10468-77. Epub 2005 Jan 7. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 5B. IB:anti-V5 of STAM1 is similar to that of STAM1-mUIM.
#84 Cancer Res. 2007 Jun 1;67(11):5162-71. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pu… Fig 2A. The well of WT is similar to that of control.
匿名A氏が言うように全てが匿名A氏の見間違いであって欲しいものです。オープンアクセスの雑誌でない場合、一般の人が画像の類似具合を直接原著に当たって確認することができませんが、上記84報に関する画像の類似性を解説したPDFファイルがインターネット上にあったのでリンクを紹介しておきます。
(画像データの類似性を解説したPDFファイル https://infotomb.com/r3hso.pdf)
(1月16日 追記):このPDFを作成された方と匿名A氏とは別人だそうです。
ちなみに、平成26年8月26日付けの文部科学大臣決定「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(下村博文 文部科学大臣)では、不正行為への対応に改定がありました。
第3節 研究活動における特定不正行為への対応
3 特定不正行為の告発の受付等
3-4 告発の受付によらないものの取扱い
③ 特定不正行為の疑いがインターネット上に掲載されている(特定不正行為
を行ったとする研究者・グループ、特定不正行為の態様等、事案の内容が明
示され、かつ不正とする科学的な合理性のある理由が示されている場合に限
る。)ことを、当該特定不正行為を指摘された者が所属する研究機関が確認
した場合、当該研究機関に告発があった場合に準じた取扱いをすることがで
きる。
今回のようなインターネットを利用した匿名による告発にも対応できるようにガイドラインが改善されています。
上で紹介した画像データ類似性解説PDFファイルの中身を見る限り、「類似」というよりも「同一」にしか見えないものが多いようです。単純な間違いでは説明できないものもあり、どうすればこのような「ミス」が起こりえるのかを考えるのは第三者には困難です。当事者である論文著者らの説明を聞くしかありません。研究不正の疑義が生じているわけですから、今後、該当する大学、研究機関が適切な対応を取ることが期待されます。
がん抑制遺伝子Fbxw7の「がん幹細胞ニッチ」における働きを九大の研究グループが発見 細胞外環境を標的とする新しい治療戦略の可能性も
がんの細胞外環境(”がん幹細胞ニッチ”)を標的とする新しい治療戦略の可能性を示す研究成果を、九州大学の研究グループがThe Journal of Clinical Investigation誌に発表しました。
九州大学プレスリリースによると、この研究成果のポイントは、
とのことです。
論文の要旨
The gene encoding F-box protein FBXW7 is frequently mutated in many human cancers. Although most previous studies have focused on the tumor-suppressive capacity of FBXW7 in tumor cells themselves, we determined that FBXW7 in the host microenvironment also suppresses cancer metastasis. Deletion of Fbxw7 in murine BM-derived stromal cells induced accumulation of NOTCH and consequent transcriptional activation of Ccl2. FBXW7-deficient mice exhibited increased serum levels of the chemokine CCL2, which resulted in the recruitment of both monocytic myeloid-derived suppressor cells and macrophages, thereby promoting metastatic tumor growth. Administration of a CCL2 receptor antagonist blocked the enhancement of metastasis in FBXW7-deficient mice. Furthermore, in human breast cancer patients, FBXW7 expression in peripheral blood was associated with serum CCL2 concentration and disease prognosis. Together, these results suggest that FBXW7 antagonizes cancer development in not only a cell-autonomous manner, but also a non-cell-autonomous manner, and that modulation of the FBXW7/NOTCH/CCL2 axis may provide a potential approach to suppression of cancer metastasis. (http://www.jci.org/articles/view/78782)
参考
文部科学省の中央教育審議会は、平成26年12月22日に「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜 の一体的改革について」という答申を取りまとめました。、現行の大学入試センター試験を廃止して、新たな試験制度を導入するなど非常に大きな転換を図ろう とするものです。
教育改革を行う場合、そもそもどのような人材を育てたいのかを明確にする必要があります。
高等学校教育、大学教育を通じて育むべき「生きる力」を、それを構成する「豊かな人間性」「健康・体力」「確かな学力」それぞれについて捉え直すと、以下のように考えることができる。
① 豊かな人間性
高等学校教育を通じて、国家及び社会の責任ある形成者として必要な教養と行動規範
を身に付けること。大学においては、それを更に発展・向上させるとともに、国、地域
社会、国際社会等においてそれぞれの立場で主体的に活動する力を鍛錬すること。
② 健康・体力
高等学校教育を通じて、社会で自立して活動するために必要な健康・体力を養うととも
に、自己管理等の方法を身に付けること。大学においては、それを更に発展・向上させ
るとともに、社会的役割を果たすために必要な肉体的、精神的能力を鍛錬すること。
③ 確かな学力
学力の三要素を、社会で自立して活動していくために必要な力という観点から捉え直
し、高等学校教育を通じて(ⅰ)これからの時代に社会で生きていくために必要な、「主体
性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)」を養うこと、(ⅱ)
その基盤となる「知識・技能を活用して、自ら課題を発見しその解決に向けて探究し、成
果等を表現するために必要な思考力・判断力・表現力等の能力」を育むこと、(ⅲ)さらに
その基礎となる「知識・技能」を習得させること。大学においては、それを更に発展・向上させるとともに、これらを総合した学力を鍛錬すること。
本答申における「学力」とは、上記の三要素から構成される「確かな学力」のことを指す。なお、特に「多様性」については、生徒、学生に、多様性を受容し尊重する力を
育んでいく必要があるが、そのためには、高等学校や大学の側において、多様な生徒、学生が多様な環境の中でともに学ぶことのできる場を用意する必要がある。
(中略)
また、グローバル化の進展の中で、言語や文化が異なる人々と主体的に協働していくためには、国際共通語である英語の能力を、真に使える形で身に付けることが必要であり、単に受け身で「読むこと」「聞くこと」ができるというだけではなく、積極的に英語の技能を活用し、主体的に考えを表現することができるよう、「書くこと」「話すこと」も含めた四技能を総合的に育成・評価することが重要である。また、英語のみならず、我が国の伝統文化に関する深い理解、異文化への理解や躊躇交流する態度などが求められることにも留意が必要である。(答申6-7ページ)
ここで示された人間像はまさに科学者になるために必要なものです。現行の高校教育、大学入試、大学教育をくぐってきた研究者は、非常に恵まれない環境で育ってきたということでしょうか?
現行の高校教育、大学教育、大学入試制度の何が問題なのでしょうか?一口に高校、大学、と言っても生徒や学生の学力には非常に大きな幅があるため、答申では「選抜性が高い大学」と「選抜性が中程度の大学」といった表現を用いて、個々のケースを分析しています。
学校の教育方針が選抜性の高い大学への入学者数を競うことに偏っている場合には、高等学校教育が、受験のための教育や学校内に閉じられた同質性の高い教育に終始することになり、多様な個性の伸長や幅広い視野の獲得といった、多様性の観点からは不十分なものとなりがちである。こうした教育では、大学入試に必要な知識・技能やそれらを与えられた課題に当てはめて活用する力は向上させられたとしても、自ら課題を発見し解決するために必要な思考力・判断力・表現力等の能力や、主体性を持って、多様な人々と協働しながら学んだ経験を生徒に持たせることはほとんどできない。そうした生徒がそのまま選抜性の高い大学に入学した場合、一定の知的な能力を持っていたとしても、主体性を持って他者を説得し、多様な人々と協働して新しいことをゼロから立ち上げることのできる、社会の現場を先導するイノベーションの力を、大学において身に付けることは難しい。(答申4ページ)
ペーパーテストで測れるのが人間の能力のごくごく一部であることは間違いないでしょう。
大 学入学者選抜については、前述のように、知識の記憶力などの測定しやすい一部の能力や、選抜の一時点で有している能力の評価に留まっていたり、丁寧な評価 よりも学生確保が優先されるなど、高等学校教育で培ってきた力や、これからの大学教育で学ぶために必要な力を評価するものとなっていない。そうした背景に は、年齢、性別、国籍、文化、障害の有無、地域の違い、家庭環境等の多様な背景を持つ高校生一人ひとりが、高等学校までに積み上げてきた多様な経験や能力 を度外視し、18歳頃における一度限りの一斉受験という画一化された条件において、知識の再生を一点刻みで問う問題を用いた試験の点数による客観性の確保 を過度に重視し、そうした点数のみに依拠した選抜を行うことが「公平」であるという、従来型の「公平性」の観念が社会に根付いていることがあると考えられ る。(5ページ)
しかし大学入試に要求される公平性を考えたときに、ペーパーテストほど公平なものはありません。人間が人間を選ぶ面接試験でどれだけ公平性が確保できるのでしょうか?実は、人生における最初で最後の、全ての人にとって最も公平な機会が大学入学試験(ペーパーテスト)だったという見方もできます。
ペーパーテストは知識の記憶力を測定しているとか、受験テクニックがないとだめとかまことしやかに言われますが、それはテストそのものよりもむしろ勉強のやり方に問題があります。同じ問題を解くにしても、暗記や(ありもしない)「受験テクニック」に頼るより、その場で問題に向き合って、自分の頭で考えて解くような学習を普段から心がけたほうが楽ですし、そうしている生徒のほうが結果的に良い成績を収めるものです。
センター試験が廃止され、代わりに”「思考力・判断力・表現力」を中心に評価する”(答申10ページ)新テストとして、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)が導入される予定です。大学入学者選抜では、この新テスト導入だけでなく、さらに多様な資料を選抜時の判断材料として利用することを大学に要求しています。
具体的な評価方法としては、下記②に示す「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の成績に加え、小論文、面接、集団討論、プレゼンテーション、調査書、活動報告書、大学入学希望理由書や学修計画書、資格・検定試験などの成績、各種大会等での活動や顕彰の記録、その他受検者のこれまでの努力を証明す る資料などを活用することが考えられる。「確かな学力」として求められる力を的確に把握するためには、こうした多元的な評価尺度が必要である。各大学はその教育方針に照らし、どのような評価方法を組み合わせて選抜を行うかを、応募条件として求める「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の成績の具体的提 示等を含め、アドミッション・ポリシーにおいて明確に示すことが求められる。その際、英語については、高等学校教育において育成された「聞くこと」「話す こと」「読むこと」「書くこと」四技能を、大学における英語教育に引き継いで確実に伸ばしていくことができるよう、アドミッション・ポリシーにおいても四技能を総合的に評価することを示すこととし、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」における英語の扱いも踏まえつつ、四技能を測定する資格・検定試験 の更なる活用を促進すべきである。(12ページ)
大学入試で面接、集団討論、プレゼンテーションの配点が高いと、おとなしい性格の人や人前で緊張しやすい人は不利になるかもしれません。
新しい大学入学希望者学力評価テスト(仮称)がどのようなものになるのか、その青写真が答申では示されています(下では一部を紹介)
「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の在り方
◆ 「知識・技能」を単独で評価 するのではなく、「知識・技能を活用して、自ら課題を発見し、その解決に向けて探究し、成果等を表現するために必要な思考力・判断力・表現力等の能力」 (「思考力・判断力・表現力」)を中心に評価
◆ 「教科型」に加えて、現行の教科・科目の枠を越えた「思考力・判断力・表現力」を評価するため、「合教科・科目型」「総合型」の問題を組み合わせて出題す る。… 将来は「合教科・科目型」「総合型」のみとし、教科・科目に必要な「知識・技能」と「思考力・判断力・ 表現力」を総合的に評価することを目指す。
◆ 多肢選択方式だけではなく、記述式を導入
◆ 年複数回実施
◆ 「1点刻み」の客観性にとらわれた評価から脱し、… 段階別表示による成績提供
◆ CBT方式での実施
◆ 特に英語については、四技能を総合的に評価できる問題の出題(例えば記述式問題など)や民間の資格・検定試験の活用により、「読む」「聞く」だけではなく 「書く」「話す」も含めた英語の能力をバランスよく評価
◆ 選抜性の高い大学が入学者選抜の評価の一部として十分活用できる水準の、高難度の出題を含む
◆ 社会人等を含め誰でも受検可能
◆ 入学希望者の経済的負担や受検場所、障害者の受検方法を考慮
センター試験では、そもそも思考力や論理的な判断力などを問うために十分練られた問題が出題されてきたわけで、思考力を判断するのはセンター試験ではできないので新テストを作るといわんばかりの表現は、ミスリーディングです。解答者によく考えさせるような良問を出す大学もあれば、問題のための問題でしかな くて解くのも時間の無駄という問題を出している大学もあります。そういう中にあって、センター試験は良問が揃っているといえるでしょう。これをわざわざ廃止して別のテストを導入する必要性が明確ではありません。
大学がペーパーテスト以外の多様な尺度で受験生を選抜するにしても、それが学力の低下と引き換えになっては困ります。少なくとも、将来研究職や技術職に就く人には一定の水準の学力が要求されます。また、大学入学試験で有利になるからという理由でボランティアをやったり、何か一芸に秀でるように習い事をしたりするのは全くお勧めできないことですが、入試改革にあわせてそのような風潮が今後広まってしまうかもしれません。
多様な生徒を受け入れるためのAO入試のはずが、「AO入試突破専用のワンパターンな思考法」しか持たない学生ばかり集まってしまったら本末転倒です。「ペーパーテストでしか能力を発揮できない頭の良さ」を持った学生ばかりという議論と大差なくなります。
参考
分子細胞生物学研究所・加藤茂明研究室における 論文不正に関する最終調査報告を東京大学が発表しました。この最終報告書では、史上稀にみる論文捏造の連鎖がどのように生じたのか、研究室内の人間模様にまで踏み込んだ記述があります。
6.発生要因等
(1)本件事案においては、研究室の相当数の者により、不正行為や貼り間違い等の不適切な行為が多数発生している。これほど多くの不正行為等が発生した要因・背景としては、旧加藤研究室において、加藤氏の主導の下、国際的に著名な学術雑誌への論文掲載を過度に重視し、そのためのストーリーに合った実験結果を求める姿勢に甚だしい行き過ぎが生じたことが挙げられる。そうした加藤氏の研究室運営を同研究室において中心的な役割を担っていた栁澤氏、北川氏及び武山氏が助長することにより、特定の研究グループにおいて、杜撰なデータ確認、実験データの取扱い等に関する不適切な指導、画像の「仮置き」をはじめとする特異な作業慣行、実施困難なスケジュールの設定、学生等への強圧的な指示・指導が長期にわたって常態化していた。このような特異な研究慣行が、不正行為の発生要因を形成したものであると判断する。
旧加藤研究室には当時、大きく3つの研究グループが存在し、上述の栁澤氏が率いた(後に北川氏が引き継いだ)コファクターチーム、武山氏が率いたショウジョウバエ解析チームのほか、学外から旧加藤研究室に参画した研究者が率いたノックアウトマウス作製チームがあった。これら関係教員のうち、最初に助教として採用された栁澤氏の初期の論文に不正行為が確認され、その影響を大きく受けた北川氏がその後の多くの不正論文に関与したと考えられる。したがって、今回の不正行為には、栁澤氏と北川氏が極めて大きな影響を及ぼしており、不正行為に関与した者は両氏の指導下にあった者が大半である。事実、北川氏の転出後は不正論文が激減している。また、不正行為に関わった者の多くは、大学院学生の頃から加藤氏が指導してきた者たちで、加藤氏に従順であり、過大な要求や期待に対し、それを拒否するどころか、無理をしても応えるしかないといった意識を持つような環境が存在していたといえる。
(2)ショウジョウバエ解析チームの中核的役割を担っていた武山氏は研究室の最古のメンバーであり、学生の頃から加藤氏の指導を受け、加藤氏とともに本学にて研究室設立に従事し、栁澤氏に次いで助教となった。武山氏は加藤氏の信頼に応えるべく結果を出すことに腐心し、不正行為に関わったと思われる。栁澤氏又は北川氏と関わりの無いノックアウトマウス作製チームのメンバーの中には不正行為を行った者はいない。また、研究者としてある程度自立(キャリアを積んだ)した段階で旧加藤研究室に参加したメンバーも不正行為に関わってはいない。
(3)以上から、不正行為を行ったのは、栁澤氏、北川氏に直接指導を受け、また加藤氏の大きな影響力の下にあったメンバーであることが明らかになる。これに対し、同じ研究室に所属していた他のメンバーには不正行為とは関わりのない者もいる。それゆえ、本件は研究室全体(又はチーム全体)にわたる不正行為であるとまではいえないと判断できる。(最終調査報告4-5ページ)
この報告書に拠れば、加藤茂明(元)教授が捏造を部下に指示していたわけではなく、グループリーダー的な役割を担っていた二人が中心になって捏造を主導し、その研究グループに属する学生らがそれに従わざるを得なかった、もしくは上の期待に応えようとして捏造に励んだようです。加藤教授は部下に過大な期待・要求をしてこのような不正を生じさせるような特異な環境を作り出したこと、および不正の露呈を防ごうとしたことに関して責任を問われています。
この調査委員会の決定に関して加藤茂明・元教授は、論文の作製過程で研究員に対して強制的な態度や過度の要求をしたことも、そのような意図を持って発言したこともなく、不正行為が発生する環境を作り上げたとの認定には承服できない、と反論しています(NHKの報道など)。
東大 論文不正に元教授ら11人関与と発表
平成24年1月10日、本学に対し、加藤茂明東京大学分子細胞生物学研究所教授(当時)の主宰する研究室の関係者が発表した論文について、不正行為が存在する旨の申立てがあった。これを受け、本学においては、分子細胞生物学研究所における予備調査を経て、科学研究行動規範委員会において調査・審議を行い、論文の不正行為を認定した。このたび、本事案の調査が終了しその結果をまとめたので、公表する。
記者会見「東京大学分子細胞生物学研究所・旧加藤研究室における
論文不正に関する調査報告( 最終 )」の実施について
日 時:平成26年12月26日(金)9:30~11:00
場 所:東京大学総合図書館3階会議室
出席者:
濱田 純一 東京大学総長
相原 博昭 東京大学理事・副学長(科学研究行動規範担当)
原田 昇 東京大学副学長 科学研究行動規範委員会委員長
鈴木 真二 東京大学広報室長
配付資料一覧(すべてPDFファイル):
1)理事声明
2)分子細胞生物学研究所・旧加藤研究室における論文不正に関する調査報告(最終)
3)分子細胞生物学研究所研究不正再発防止取り組み検証委員会結果報告
4)研究倫理アクションプランに係る取組状況等について
5)東京大学の科学研究における行動規範
6)東京大学科学研究行動規範委員会規則
(資料ウェブサイト http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_261226_j.html)
参考
2014年12月26日に、桂勲・国立遺伝学研究所長を委員長とする外部有識者による調査委員会が、STAP細胞論文不正事件に関する調査結果を公表しました。
STAP細胞論文に関する調査結果について(理研ウェブサイト):調査報告書(全文PDFファイル)、調査報告書(スライドPDFファイル)
”STAP細胞”の残存サンプルは全てES細胞と遺伝子型が一致し、ES細胞だったと結論されました。また、過失で混入するとは考えにくいことから意図的なすり替えが行われた可能性が高いことを示唆しています。ただし、研究関係者全員が、自分はES細胞を混入させてはいないと否認したため行為を行った人間は特定されませんでした。
これだけ何回もES細胞が混入したことは、培養器具の不注意な操作による混入の可能性も考えられるが、研究者の常識としては、誰かが故意に混入した疑いを拭うことができない。(報告書13-14ページ)
混入があった場合、当事者は小保方氏と若山氏(STAP細胞からのテラトーマ作製では小保方氏のみ)しかいないように見える。しかし、当時のCDB若山研の状況調査から、必ずしもそうとは言い切れないことが判明した。STAP細胞の作製には酸処理から約7日間、細胞をインキュベーター内に放置するが、このインキュベーターが置かれた培養室は他の部屋(研究室、実験室,胚操作室)から隔離された状態にあり、クリーンベンチや蛍光顕微鏡を使用する人がときどき入る以外は、あまり人がいない状態にあった。また、若山氏の聞き取り調査から、当時のCDB若山研では、多くの人が夜中にこの部屋に入ることが可能だった。つまりインキュベーターやフリーザーへの接近が可能だった人は数多くいたことになる。したがって、作製中のSTAP細胞が入ったディッシュを判別できれば、多くの人に混入の機会があったことになる。(14ページ)
RNA-seq解析、ChIP-seq解析に関する疑義について。
小保方氏が様々なバックグラウンドの細胞を寄せ集めてRNA-seq解析、ChIP-seq解析を行ったことは自明であり、論文の記載や公共データベースに登録時の記載と異なる系統やGFP挿入のあるマウスの使用や、本来比較対象とならないデータを並べて論文に使用したことは不正の疑いを持たれて当然のことである。しかし、聞き取り調査などを通じて小保方氏は「条件を揃える」という研究者としての基本原理を認識していなかった可能性が極めて高く、意図的な捏造であったとまでは認定できないと思われる。一方、FI幹細胞データに関しては当初の解析結果が同氏の希望の分布をとらなかったこと、それにより同氏が追加解析を実施していること、当初解析結果と追加解析結果で使用したマウスの種類も含め結果が異なること、複数細胞種を混ぜた可能性が高いこと(故意か過失かは不明)から不正の可能性が示されるが、どのようにサンプルを用意したかを含め同氏本人の記憶しかないため、意図的な捏造との確証を持つには至らなかった。よって、捏造に当たる研究不正とは認められない。(報告書17ページ)
Article Fig.5c(細胞増殖率測定のグラフ)の疑義について
この実験は行われた記録がなく、同氏の勤務の記録と照合して、Article Fig.5cのように約3日ごとに測定が行われたとは認められない。小保方氏の説明を聞いた限りでは、同氏は細胞生物学の最も基礎となる細胞増殖率測定に必要な「細胞数の計測」という手技の原理と方法は理解し、最初はそれによって行なっていたものの、途中からはコンフルエントになった状態の細胞数を107とみなし、計測を怠ったものと判断した。特に、小保方氏は植え継ぎ時に細胞数を正確に計測せずに、Article Fig.5bを作成していたことを自認しているが、そうだとすると、この図は、細胞増殖率を測定したものとしては全く意味をなさない。同氏が細胞数の計測という最も基本的な操作をしていないこと、また希釈率についても1/5と説明したり、1/8から1/16と説明したりしていること、オリジナルデータによる確認もできないことから、小保方氏の捏造と認定せざるを得ない。小保方氏は、1人で細胞数を計測し、細胞増殖率測定のグラフを作成したことを認めているところ、小保方氏によってなされた行為はデータの信頼性を根底から壊すものであり、その危険性を認識しながらなされたものと言わざるを得ない。よって、捏造に当たる研究不正と判断した。
若山氏は、細胞増殖率測定のグラフ作成を小保方氏に提案した研究室の主宰者であり、小保方氏をシニア研究者として指導監督するとともに、共同研究者として、データの正当性、正確性について十分な注意を払うことが求められていた。若山氏は細胞数の計測や増殖曲線の作成に直接関与したものではないが、指導監督を怠り、データの正当性、正確性について検証することなく、このような捏造を生じさせたことの責任は過失とはいえ重大である。(18ページ)
Article Fig.2c(DNA メチル化解析データ)の疑義について
小保方氏は、自認するとおり、得られたデータのうちの一部だけを仮説に沿って意図的に選別して提示し、データの誤った解釈を誘導する危険性を生じさせた。小保方氏はこのような危険性について認識しながらデータを選別したうえ、手動で作図して存在しないデータを新たに作り上げたものである。よって、捏造に当たる研究不正と判断した。
このようなことが行われた背景には、共同研究者によるデータに対する過剰な期待があったことが推察された。若山氏は、上記のメチル化解析を小保方氏が行った研究室の主宰者であり、シニア研究者として小保方氏を指導監督するとともに、共同研究者として、データの正当性、正確性について十分な注意を払うことが求められていた。若山氏はデータの意図的な選別・提示に直接的に関与したとまでは認められないが、小保方氏が若山氏の過剰な期待に応えようとして改ざんを行った面も否定できない。少なくとも若山氏は、小保方氏の指導監督を怠り、データの正当性、正確性について検証することなく、このような捏造を誘発したと認められ、その責任は過失とはいえ極めて重大である。(20ページ)
胎盤が緑色に光ったことに関して
論文の図の説明には2つの矢印があって、胎盤と卵黄嚢とされているが、専門家の意見によれば2つとも卵黄嚢である可能性が高い。
STAP細胞の胎盤への寄与は、Letterの論点として重要であり、研究の価値を高めるために強引に胎盤と断定した可能性があるが、調査により得られた証拠に基づき認定する限り、研究不正とは認められない。(21ページ)
その他複数の疑義に関しては、実験データが提出されなかったために照合できず不正かどうかの判断がつきませんでした。
小保方氏にオリジナルデータの提出を求めたが、提出されなかった。小保方氏からオリジナルデータが提出されなかったため、不一致の認定を行うことはできず、研究不正とは認められない。(22-23ページ)
しかし、オリジナルデータや実験ノートの記載がないために不正と認めないというのはおかしな話です。オリジナルデータや実験ノートが提出できないならば不正とみなされてもしかたがないという姿勢にすべきでしょう。そうでないと、不正したあとデータを廃棄すればよいという逃げ道ができてしまいます。もはや、倫理感が非常に低い人間が一定の割合で必ず存在するという現実を認め、よく言われる「性善説」は捨てて、それでも研究不正が生じ得ないような枠組みを作る必要があります。
報告書では疑義の検証が他にもまだいくつもなされています。STAP細胞論文不正に関する責任の所在については、データ捏造を実際に行った小保方氏は当然のことですが、指導的立場にあったシニア科学者である若山氏と笹井氏の責任も非常に大きいと指摘しています。
規程での不正行為とは、「捏造、改ざん、盗用」のことである。本調査委員会は、小保方氏が細胞増殖曲線実験(Article Fig.5c)とDNAメチル化解析(Article Fig.2c)において、データの捏造という不正行為を行ったと認定した。このような不正行為が健全な科学の遂行と発展に大きな妨げになることは、言うまでもないことである。若山氏と丹羽氏については、不正行為は認定されなかった。しかし、STAP論文に関して、科学論文およびその基礎となった研究の問題点まで視野を広げると、ここで認定された研究不正は、まさに「氷山の一角」に過ぎない。たとえば、以下の4つの点をとってみても、非常に問題が多い論文と言える。
第一は、本調査により、STAP細胞が多能性を持つというこの論文の主な結論が否定された問題である。その証拠となるべきSTAP幹細胞、FI幹細胞、キメラ、テラトーマは、すべてES細胞の混入に由来する、あるいはそれで説明できることが科学的な証拠で明らかになった。STAP論文は、ほほすべて否定されたと考えて良い。これだけ多くのES細胞の混入があると、過失というより誰かが故意に混入した疑いを拭えないが、残念ながら、本調査では十分な証拠をもって不正行為があったという結論を出すまでには至らなかった。これは、本調査委員会の能力と権限の限界でもあると考える。
第二は、論文の図表の元になるオリジナルデータ、特に小保方氏担当の分が、顕微鏡に取り付けたハードディスク内の画像を除きほとんど存在せず、「責任ある研究」の基盤が崩壊している問題である。最終的に論文の図表を作成したのは小保方氏なので、この責任は大部分、小保方氏に帰せられるものである。また、STAP幹細胞、FI幹細胞、キメラマウス、テラトーマなどについて、作製後の解析を行ったのも大部分が小保方氏だが、その実験記録もほとんど存在しない。本当に行われたか証拠がない(行われなかったという証拠もない)実験も、いくつか存在する(細胞増殖率測定、Oct4-GFPを持つFI幹細胞の作製など)。
第三は、論文の図表の取り違え、図の作成過程での不適切な操作、実験機器の操作や実験法の初歩的な間違いなど、過失が非常に多いという問題である。これも、図の作成や実験を行った小保方氏の責任と考えられる。
第四は、このように実験記録やオリジナルデータがないことや、見ただけで疑念が湧く図表があることを、共同研究者や論文の共著者が見落とした、あるいは見逃した問題である。また、STAP幹細胞やキメラについて明らかに怪しいデータがあるのに、それを追求する実験を怠った問題もある。これらに関しては、STAP論文の研究の中心的な部分が行われた時に小保方氏が所属した研究室の長であった若山氏と、最終的にSTAP論文をまとめるのに主たる役割を果たした笹井氏の責任は特に大きいと考える。
最後の問題について、もう少し詳しく考察したい。小保方氏が実験記録を残さず、過失が非常に多いことを見逃した理由の1つは、プログレスレポートのあり方など、研究室運営のやり方に問題があったためではないだろうか。論文の共著者は論文原稿の最終版を全部読んで内容を承認する責任があるが、共著者全員がこの責任を果たしたのだろうか。STAP幹細胞が急に効率良くできるようになった時に、若山氏は、それまでSTAP細胞塊をバラバラにしていたのを、引きちぎって注入するように変更したためと説明した。しかし、ここで再び細胞をバラバラにして注入する対照実験をしていれば、ES細胞の混入を発見できた可能性がある。また、GFPがホモであるべきマウスがヘテロだった時(2−3−3の(3)参照)も、この疑念を追求する実験を行わなかった。このような追及の甘さは、論文発表を焦ったからではないだろうか。特許や研究費獲得や著名雑誌への論文掲載は、本来、悪いものではないが、それに夢中になるあまり、研究の中身への注意がおろそかになったことはないだろうか。以上のいずれかで適切な行動をとっていたら、STAP問題はここまで大きくならなかった可能性が高い。(報告書29-30ページ)
報告書では最後に研究者コミュニティに対して、不正防止のための考え方を呈示しています。
たまたま小保方氏と共同研究する立場にはなかった大部分の研究者も、もし自分が共同研究をしていたらどうなったかを考えると、身につまされることが多いだろう。
では、このような不祥事がふたたび起きないようにするには、どうしたら良いだろうか。上記の文科省のガイドラインには、「不正行為に対する対応は、研究者の倫理と社会的責任の問題として、その防止と併せ、まずは研究者自らの規律、および科学コミュニティ、研究機関の自律に基づく自浄作用としてなされなければならない。」と書かれている。本調査委員会の調査の基盤になった膨大な科学的検証データは、理研の研究者の熱意と努力によって収集されたものである。これを、STAP問題が生じた理研の内部から自浄作用が現れたと評価することもできる。また、理研だけでなく全ての研究者は、STAP問題を自分の研究室にも起こり得る問題と考え、今までよりいっそう思慮深い教育と研究室運営を行うべきだろう。不正防止が大きな流れになるためには、「捏造、改ざん、盗用」を重大な違反と考えるのは当然だが、それだけでなく「研究における責任ある行動」ないし「研究における公正さ」という観点から、より広い視野で研究者倫理を考え、教育を行う必要がある。そこで基礎となるのは、論文のインパクトファクターでも、獲得研究費の額でも、ノーベル賞の獲得数でもなく、自然の謎を解き明かす喜びと社会に対する貢献である。
STAP問題は科学者コミュニティに突き刺さった1本の矢である。それを抜いた後も、傷跡を癒し健康を取り戻すために、科学者コミュニティ全体の対応と努力が求められている。(報告書31ページ)
「STAP細胞論文に関する調査結果」についての記者会見 (ニコニコ生放送)
会見スケジュール
①「STAP細胞論文に関する調査結果について」 10時00分~11時30分予定
【調査委員会 出席者】
桂勲 調査委員長(情報・システム研究機構 理事、国立遺伝学研究所 所長)
五十嵐和彦 委員(東北大学大学院 教授)
伊藤武彦 委員(東京工業大学大学院 教授)
大森一志 委員(大森法律事務所 弁護士)
久保田健夫 委員(山梨大学大学院 教授)
五木田彬 委員(五木田・三浦法律事務所 弁護士)
米川博通 委員(東京都医学総合研究所 シニア研究員)
(全録)STAP細胞問題 理化学研究所の調査委員会が会見(1/2)
(全録)STAP細胞問題 理化学研究所の調査委員会が会見(2/2)
②「STAP細胞論文に関する調査結果を受けて」 11時45分~12時30分予定
【理化学研究所 出席者】
川合眞紀 理事
有信 睦弘 理事
加賀屋悟 広報室長
【STAP細胞】19 結論は出た、調査は終了 理研記者会見【2014/12/26】
参考
2014年12月19日、理化学研究所研究不正再発防止改革推進本部検証実験チームが小保方晴子氏が行ってきたSTAP細胞再現実験の結果を報告する記者会見を開きました。
理化学研究所 STAP現象の検証結果に関する記者会見 2014/12/19 【動画 2:14:22 】
理化学研究所 STAP現象の検証結果に関する記者会見[1] 「小保方さんの”コツ”は、明らかにならなかった」 理研、7カ月に及ぶSTAP細胞の検証結果を発表【全文】(ログミー)
「検証実験は、(小保方晴子研究 員を監視するための)モニターや立会人を置いて行われた。そういう検証実験を行ったことは、責任者としてものすごく責任を感じている。研究者を犯罪人扱い しての検証は、科学の検証としてあってはならないこと。この場でおわびをさせていただく」(相沢慎一チームリーダー)(http://mainichi.jp/select/news/20141219k0000e040225000c.html)
小保方晴子氏のコメント
どのような状況下であっても必ず十分な結果をと思い必死に過ごした3 か月でした。予想をはるかに超えた制約の中での作業となり、細かな条件を検討できなかった事などが悔やまれますが、与えられた環境の中では魂の限界まで取り組み、今はただ疲れ切り、このような結果に留まってしまったことに大変困惑しております。私の未熟さゆえに論文発表・撤回に際し、理化学研究所を始め多くの皆様にご迷惑をおかけしてしまったことの責任を痛感しておりお詫びの言葉もありません。検証終了を以て退職願を提出させていただきました。最後になりますが本検証実験にあたり検証チームの皆様はじめ、ご支援・応援してくださった方々に心より御礼申し上げます。2014 年12 月19 日 小保方 晴子 (http://www3.riken.jp/stap/j/u0document3.pdf)
小保方晴子氏の退職願の承認に際しての理化学研究所理事長 野依良治氏のコメント
STAP 論文が公表されてからこの10 ヶ月間余り、小保方晴子氏にはさまざま
な心労が重なってきたことと思います。このたび退職願が提出されましたが、
これ以上心の負担が増すことを懸念し、本人の意志を尊重することとしました。
前途ある若者なので、前向きに新しい人生を歩まれることを期待しています。(http://www3.riken.jp/stap/j/l5document8.pdf)
実験データの詳細を含む報告書が理研ウェブサイトで公開されています。(1)小保方研究員による検証結果、(2)丹羽副チームリーダーによる検証結果の内容からなる31ページのPDF文書:「STAP現象の検証結果について」
データを捏造して論文を出すということは、極めて悪質な犯罪的行為です。今後は、このような研究不正がどのようにして生じたのかという真相究明が絶対に必要です。それなくしては、理研への信頼が回復することはないでしょう。
「作製できた」とされた細胞は何だったのか。その裏付けとして論文に掲載されたデータや図表は何を示しているのか。どういう経緯で論文が発表されるに至ったのか。その過程で、それぞれの共著者がどういう役割を果たしたのか。こうした不正や混乱を二度と起こさないためにも、徹底して全容を解明し、説明責任を果たしてほしい。(毎日新聞 社説 2014年12月20日)
理化学研究所は検証実験を打ち切るが、存在しない細胞の論文がどのように作成されたのか、という問題の核心は、まだ、闇の中である。… STAP細胞と呼んでいたものは何だったのか。なぜ、存在しないSTAP細胞の論文がもっともらしく出来上がったのか。 … 不正が起きた経緯は、まだまだ闇の中である。その経緯を明らかにしなければ、社会の納得は得られないだろう。 … 科学には、独創的な発想と自由に研究できる環境が欠かせない。そうした研究環境を守るには、学術研究に対する国民の信頼感、期待感が欠かせない。(東京新聞 社説 2014年12月20日)
小保方氏らの方法ではSTAP細胞ができないことが、ほぼ裏づけられたといえる。だが、なぜ不正が起きたのか、核心はなおはっきりしない。日本の科学が失った信頼を取り戻すため、理研は徹底的に真相を究明すべきだ。 … この実験をもって幕引きにするのであれば、世界の科学界から失笑を買いかねない。 … 組織のあり方の検証と関係者の責任の究明、再発防止策の確立に力を傾けなければならない。(日本経済新聞 社説 2014年12月20日)
参考
小保方晴子氏が記者会見で発した「STAP細胞はあります」という言葉が『ネット流行語大賞2014』金賞に選ばれるなど、国民的な関心事になったSTAP細胞論文捏造事件ですが、「理化学研究所 STAP現象の検証結果に関する記者会見」が12月19日(金)午前10時30分頃から行われる予定です。出席者は、
会見の模様はニコニコ動画により生中継されます(ニコニコ動画「STAP現象の検証結果に関する記者会見」)。
小保方氏も作製できず STAP細胞の再現実験(14/12/19)
参考
青色LEDの開発により2014年ノーベル物理学賞を分け合った日本人3人による受賞講演が行われました。
Lectures: 2014 Nobel Prize in Physics
赤崎勇・名城大終身教授(85)の紹介 13分24秒ー
赤崎勇氏の講演 14分00秒ー
天野浩・名古屋大教授(54) の紹介 43分18秒ー
天野浩氏の講演 43分43秒ー
中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60) の紹介 1時間9分10秒ー
中村修二氏の講演 1時間9分40秒ー
参考