「 研究力強化 」 一覧

論文出版に向けての、ボスとの協同作業

  2015/05/05    研究の進め方

大学院に進学した学生や新しいポスドクが、新しいラボでしばらくの間研究テーマを模索し、やがて面白そうでしかも自分にできそうなことを見つけて研究を始める。ボスもそれを認めて、やりたいようにやらせる。数年後、ラッキーなことにそれなりに実験データが溜まってきて、論文を書き始める。しかし、いざ書くとなると、なかなか筆が思うように進まない。それはなぜかというと、せっかく得られた実験結果から導き出せる結論があまりにも弱いから。こうなってしまうと、良い論文を出すことは困難です。 研究プロジェクトを一度始めてしまうと、研究分野にもよりますが数ヶ月、あるいは数年間、その研究を続けることになります。その努力が良い論文として結実しないことには、本人の研究者としてのキャリアが危ぶまれますし、ラボも停滞します。最終的なアウトプットの段階でこのような後悔をしないためには、どうすればいいのでしょうか? 良い科学研究論文を能率よくラボから出すための指針を、ハーバード大学の化学者、ホワイトサイズ教授が短いエッセイにまとめています。この文章はかなり有名で、既にいろいろなところで紹介されています。 これを書いたジョージ・ホワイトサイズ教授は、これまで950本以上の論文を書いており、1981年から1997年の間でもっともよく引用された 1,000人の科学者のうち、5位にランキングされている人であり、さらに2011年12月の時点で、現存する科学者の中で一番h指標が高い研究者なので す。ハーバード大学でMITを取り、同大学で教授になって、300人を超える学生と学者を指導してきました。(http://www.editage.jp/insights/a-3-page-guide-to-scientific-writing) 以下のサイトでは、日本語訳も紹介されています。 今回紹介する文献“Whitesides’ Group: Writing a Paper”では、世界一線級の化学者であるGeorge M. Whitesides教授が自ら、優れた論文執筆法を解説しています。具体的には『アウトライン法』――すなわち、始めに論文の枠組み(アウトライン)を作り、研究データの蓄積と同時並行して何度も修正を加えてゆく、実験データはその時々で補完、図表重視のアピールを心がけ、テキストを書くのは一番最後、という論文作成法――の提唱を通じ、研究のプロダクティビティ・時間効率の向上に効果的たる仕事術にも触れています。(http://www.chem-station.com/blog/2009/12/whitesides_group_writing_a_pa.html) もともとAdvanced Materialsという学術誌に2004年に掲載されたものですが、このジャーナルのアクセスランキングでいまでも上位に入るほどの人気エッセイです。 英語の原文はこちら:Whitesides’ Group: Writing a Paper, Whitesides, G.M., Advanced Materials, 2004, 16, 1375-1377. (ラボのウェブサイト上のPDFリンク)。 ホワイトサイズ教授が論文執筆について語るインタビュー動画 Publishing Your Research 101 – Episode 1: How to Write a …

研究論文を能率よく書くためのコツ7個

  2015/05/02    論文の書き方

研究分野が違えば、論文のフォーマットは大きく異なります。以下の動画はコンピュータサイエンスの分野でConference paperをどうやって能率よく仕上げるかについてのサイモン・ペイトン・ジョーンズ(Simon Peyton Jones)氏によるセミナーです。研究の進め方や論文を書くことに関しては普遍的な部分があるため、実験科学など他の分野の研究者にとっても非常に示唆に富む内容です。 Professor Simon Peyton Jones (Computer Scientist) How to Write a Great Research Paper 00:20  #1 Don’t wait: write 04:13  #2 Identify your key idea 07:18  #3 Tell a story 09:34  #4 Nail your contributions 16:44  #5 …

サイエンス(Science)に論文を出す方法

  2015/01/31    論文の書き方

ネイチャー(Nature)に論文を出す方法があるからには当然サイエンス(Science)に論文を出す方法もあります。サイエンスのエディターらが日本を含め世界各国のさまざまな大学でセミナーを行っており、そのスライドなどがインターネット上で閲覧できます。 ネイチャーとサイエンスの名前はどちらも最も権威のある学術誌としてよく並べて挙げられますが、サイエンスへの掲載に当たっては、著者らが高名な学者かどうか、権威のある研究所に属しているかどうかなどは一切関係がないことが明言されており、自分の研究分野の第一人者との議論や共同研究を論文掲載のための戦略の一つとして勧めているネイチャーとは若干異なるスタンスであるように思われます。 (PUblishing in Science: Outliers, Closers, & Leaders by Pamela J. Hines, Senior Editor, SCIENCE, AAAS http://www.docin.com/p-345432859.html) Hines noted that Science publishes research articles that “shine with quality”, stand out from the pack (i.e. are not similar to already published …

ネイチャー(Nature)に論文を出す方法

  2015/01/24    論文の書き方

論文が掲載された雑誌のインパクトファクターの高さと、その論文自体の価値の高さは必ずしも一致しません。そのため、雑誌のインパクトファクターにとらわれずに論文の内容そのものを評価すべきだという議論がよくなされます。しかしながら、分野外の論文の価値を評価するのは非常に難しいため、雑誌のネームバリューで論文業績が評価されるということは避けられません。 そんなこともあって、いまどき、ネイチャー(Nature)、サイエンス(Science)、セル(Cell)(生命科学分野の場合)、あるいはそれらの姉妹紙などにファーストオーサーの論文を出していないと、アカデミックな世界でジョブマーケットに出て行くことが難しいという現実があります。テニュアトラック制度に乗っているPI(Principal Investigator)も、自分のラボからこのようなトップジャーナルに論文を出さないとテニュア獲得の可能性が下がるでしょう。 それでは一体、Natureなどのハイプロファイルジャーナル(High-profile journals)に論文を出すための秘訣や戦略のようなものは存在するのでしょうか? 日本のラボで仕事をする日本人ポスドクよりも、海外のラボに留学した日本人ポスドクの方が一流誌に論文が出やすいということはよく言われます。なぜそうなるのかといえば、海外のトップラボのボスは良い論文を書く方法論を身につけているからです。そのため、せっかく同じような実験データを得ていながら、かたやネイチャー、かたやインパクトファクターの低い雑誌という結果にもなります。 Natureに論文を出すための方法論はどこでどう身につければよいのでしょうか?もちろん、良いボスがいる一流のラボで仕事をして直接学ぶのがベストの方法ですが、実は、良い論文を書くためのワークショップをNature自身が多数開催しています。また、インターネット上で、それらの内容が公開されています。 (参照:ネイチャーライティングワークショップ http://www.jbr-pub.org/UploadFile/Nature%20Writing%20Workshop.pdf 30ページ) 良い論文というのは、我々の自然に対する理解を深めるような研究報告です。つまりConceptual Advanceがなければいけません。Conceptual Advanceがどのようなもので、それが論文掲載の決定にどう関わってくるかに関しては、 Novelty and conceptual advance • Anything that has not been published before is novel, but not all novel findings are considered interesting, or of sufficient conceptual advance, for a …

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ここが変だよ日本人の英語

  2014/10/18    研究力強化

研究力を強化するためには、研究者は英語で科学論文を執筆する能力を向上させる必要があります。しかし英語の作文能力はどうやって鍛えれば良いのでしょうか?英語力アップに役立つ、非常に教育的で興味深い記事を紹介します。 ”日本から論文が通りにくい原因に英語のまずさがある” 金谷健一のここが変だよ日本人の英語(第1回) 情報・システムステムソサイエティ誌 第7巻第3号(通算28号)(PDFリンク) ”日本人はtheを「つけるか、つけないか」に悩むが、そうではなく「何を指すか」が課題である。” 金谷健一のここが変だよ日本人の英語(第2回) 情報・システムステムソサイエティ誌 第7巻第4号(通算29号)(PDFリンク) ”一語ごと,一文ごとに英文に置き換えると,指すものと指されるものの関係が不自然になる.” 金谷健一のここが変だよ日本人の英語(第3回) 第8巻第1号(通算30号)(PDFリンク) ”高度な作文技術にチャレンジして論文の採択率を上げよう” 金谷健一のここが変だよ日本人の英語(最終回)第8巻第2号(通算31号)(PDFリンク) ”論文発表でも最後にThank you (for your attention)という.これは聴衆に感謝しているのではなく,「これで私の発表は終わりです」という合図である.” 続・金谷健一のここが変だよ日本人の英語(第1回)第8巻第3号(通算32号)(PDFリンク) ”日本人は英語にあり得ない音声パタンで話しながら,自分は流暢に話していると思い込んでいる.” 続・金谷健一のここが変だよ日本人の英語(第2回)第8巻第4号(通算33号)(PDFリンク) ”(l とr の区別)私が日本人の英語発表を聞いた限りでは,l のほうが問題が多いようである.” 続・金谷健一のここが変だよ日本人の英語(第3回)第9巻第1号(通算34号)(PDFリンク) ”他の単語と聞き違えられないように異なる母音や子音を「区別する」ことが個々の音をどう発音するかよりも重要である.” 続・金谷健一のここが変だよ日本人の英語(第最終回)第9巻第2号(通算35号)(PDFリンク) 参考 金谷健一のホームページ:その他の論文・解説記事等(和文) 金谷 健一 理数系のための技術英語練習帳 さらなる上達を目指して(共立出版 2012年)

採択される科研費申請書の書き方

科研費獲得の方法とコツ 改訂第5版 科研費 採択される3要素 第2版 いかにして研究費を獲得するか   平成30年度 変わる科研費 平成30年度(平成29年申請)から科研費の制度が大きく変わります。主な変更点やその対策に関しては、以下のサイトをチェック! この速報では,「科研費獲得の方法とコツ 改訂第5版」では詳しく触れられなかった来年度からの新しい申請書への対応について解説していく.【速報】平成30年度公募の要点と申請書の書き方(児島将康/羊土社) 科研費改革説明会 「科研費審査システム改革2018」について(動画時間50:59) 講演者:山本 智 教授(東京大学理学系研究科 / 科研費改革特命主任研究員) 平成29年6月8日於東京大学本郷キャンパス安田講堂 科研費申請書の書き方のノウハウ 今回初めて科研費を申請する人は、具体的な書き方がわからなくて悩むことでしょう。毎年出し続けているのに採択されない人は、ひとりよがりな申請書になっているのかもしれません。 落ちる申請書には理由があった!京都大学で採択・不採択になった科研費申請書を網羅的に分析すると、明らかな差があることに気付いた。(「科研費申請書の教科書」学外非公開) 一番のおすすめは、実際に採択された人の申請書を見せてもらい、自分の書いた申請書を読んでもらうことです。大学でURA(リサーチアドミニストレーター)が研究支援活動を行っていれば、そのサポートを活用するとよいでしょう。 孤立無援で頑張るなら、科研費申請書の書き方に関する書籍がお勧めです(というより、必読!)。申請書の各セクションで、何をどう書くべきかがわかります。初心者が公式の記入要領に目を通しても思い及ばないことばかりです。豊富な実例、徹底的な解説、そして著者の情熱に触れながら自分の申請書を書くと、モチベーションも上がります。教科書に数千円投資して、科研費採択で数百万円以上を手にするのですから、費用対効果は抜群です。 科研費獲得の方法とコツ 改訂第5版 児島 将康 羊土社 2017年8月4日発売 科研費 採択される3要素 第2版 郡 健二郎 医学書院 2017年7月3日発売 さて、実はウェブ上でもさまざまな有益な情報が惜しみなく公開されています。そこで、採択される科研費の書き方のコツを解説したサイトをまとめてみました。 「本当に真剣に考えた申請書は、読む人を感動させるものになります。そういうものが、いい申請書だといえるでしょう」(JREC-IN Portal 研究人材のための5分間キャリアップ読本 インタビュー記事) 以下、科研費申請書作成上の心構え、極意、具体的に書きかたなど、次回の科研費獲得に向けて役立つこと間違いなしの情報です。 申請するたびに必ず通る先生がいました。その先生は研究者として特定の分野で有名人なわけでもありません。しかし、研究種目を変えても、審査区分を変えてもやっぱり通るのです。どのように計画調書を組み立てるのかを伺うと、目から鱗が落ちたものです。 ‥ そのような経験を事務方と教員全体で共有していった結果、10年間で科研費の獲得件数は実に25倍になりました。 科研費申請書類の書き方のコツ …

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科研費応募のすすめ

研究費のボスは、ラボの運営に必要な資金を得るために科研費に応募するのは当然です。その下の助教などのスタッフもラボの運営を助け、また自らの独立した研究を推進するうえで、科研費の獲得は非常に重要です。 ポスドクの場合はどうでしょうか?ボスがしっかりお金を取ってくるラボであれば、ポスドクは自分で研究費を稼いでくる必要性をあまり感じないかもしれません。もちろん科研費の申請を出せない雇用形態もあります。しかし応募資格があるのにチャレンジしないのだとしたらもったいない話です。なぜなら、科研費獲得実績は、近い将来PI(Principal Investigator 研究代表者)のポジションを獲得するためには、論文業績と同じくらいに重要になってくるからです。 お金を集めてくるのがうまいボスが率いる大きなラボで、ポスドクとして長い年数研究に専念してしまった場合、ジョブアプリケーションの外部資金獲得実績の欄が空欄になってしまうという落とし穴があります。今の自分の業績では無理、などと自分で決め付けてしまわずにチャレンジしましょう。仮に自分の申請が採択されなかったとしても、自分の研究の強みや弱みを再確認してよりよい実験計画へ修正するいい機会です。