フォン・ノイマン John von Neumann(1903–1957) の業績と論文

ジョン・フォン・ノイマン(1903–1957)は、論理学・数学・物理学・化学・計算機科学・情報工学・生物学・気象学・経済学・心理学・社会学・政治学の分野で研究論文を発表した多才な人です。プリンストン高等研究所で「人間のフリをした悪魔」と呼ばれていたくらい頭が良かったのだそう。また、EDVACというコンピューターの設計に関する数学的な基礎づけを行い、EDVACが完成したときには「自分の次に計算の速い奴ができた」と言ったのだそうです。

フォン・ノイマンの論文

ノイマンの論文を集めた『フォン・ノイマン著作集』は、全六巻で、

  • 第一巻 Logic, Theory of Sets and Quantum Mechanics 論理学・集合論・量子力学
  • 第二巻 Operators, Ergodic Theory and almost Periodic Functions in a Group 作用素・エルゴード理論・群における概周期関数
  • 第三巻 Rings of Operators 作用素環論
  • 第四巻 Continuous Geometry and Other Topics 連続幾何学とその他の話題
  • 第五巻 Design of Computers, Theory of Automat and Numerical Analysis コンピュータ設計・オートメタ理論と数値解析
  • 第六巻 Theory of Games, Astrophysics, Hydrodynamics and Meteorology ゲーム理論・宇宙物理学・流体力学・気象学

となっています。一部は邦訳されています。

数理物理学の方法―ノイマン・コレクション (ちくま学芸文庫)  収載論文:

  • 量子力学の数学的基礎づけ
  • 量子力学におけるエルゴード定理とH‐定理の証明
  • 星のランダムな分布から生じる重力場の統計
  • 最近の乱流理論

作用素環の数理: ノイマン・コレクション (ちくま学芸文庫)

  • 数学者
  • 作用素環についてI
  • 作用素環についてII
  • 作用素環についてIII
  • 作用素環についてIV

ゲームの理論と経済行動〈1〉 (ちくま学芸文庫)

ゲームの理論と経済行動〈2〉 (ちくま学芸文庫)

ゲームの理論と経済行動〈3〉 (ちくま学芸文庫)

計算機と脳 (ちくま学芸文庫)

自己増殖オートマトンの理論 ‎ 岩波書店; オンデマンド版

 

フォン・ノイマンの業績に関する解説

双書20・大数学者の数学 フォン・ノイマン(2) /量子力学の数学定式化へ (双書・大数学者の数学 20) 単行本 – 2021/6/23 廣島 文生 (著)

双書19・大数学者の数学 フォン・ノイマン(1) /知の巨人と数理の黎明 (双書・大数学者の数学 19) 単行本 – 2021/4/21 廣島 文生 (著)

 

フォン・ノイマンの伝記および人物に関する解説

 

未来から来た男 ジョン・フォン・ノイマン  アナニヨ・バッタチャリヤ、 松井信彦 | 2023/9/21

フォン・ノイマンの生涯 (ちくま学芸文庫) ノーマン・マクレイ, 渡辺 正他 | 2021/4/12

フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔 (講談社現代新書) 高橋 昌一郎 | 2021/2/17

 

参考

  1. John von Neumann Collected Works : Vol. 1-6 明倫館書店 ¥ 300,000 税込 ISBN:0080095666
  2. フォン・ノイマンの哲学 高橋昌一郎 國學院雜誌 第 115 巻第 11 号(2014年)(PDF)
  3. John von Neumann 1903—1957 A Biographical Memoir by S. Bochner (PDF)
  4. 集合論における自然数の標準的な構成法(ペアノの公理 ウィキペディア)
  5. 俺の次に計算の速いヤツが出来たな。 ~ジョン・フォン・ノイマン【科学者の智慧 vol.04】  2016年7月30日 FUTURUS(フトゥールス)Livedoor News
  6. A (very) Brief History of John von Neumann moderndaymath チャンネル登録者数 1.52万人

パイドロス プラトン全集

エジプトのナゥクラティス地方に、こ.の国の古い神々のなかのひとりの神が住んでいた。この神には、イビスと呼ばれる鳥が聖鳥として仕えていたが、神自身の名はテゥトといった。この神様は、はじめて算術と計算、幾何学と天文学、さらに将棋と双六などを発明した神であるが、とくに注目すべきは文字の発明である。

ところで、一方、当時エジプトの全体に君臨していた王様の神はタモスであって、この国の上部地方の大都市に住んでいた。ギリシア人は、この都市をエジプトのテバィと 呼び、この王様の神をアンモンと 呼んでいる。

テゥト はこの タモス のところに行って、いろいろの技術 を披露し、ほかのエジプト人たちにもこれらの技術を広くつたえなければいけません、と言った。 タモスは その 技術のひとつひとつが、どのような役に立つものかをたずね、 テゥト がそれをくわしく説明すると、そのよいと 思った点を賞め、悪いと思った点をとがめた。このようにして タモスは、ひとつひとつの技術について、そうい った両様の意見を テゥトにむかって数多く述べたと言われている。

それらの内容をくわしく話すと長くなるだろ う。だが、話が文字のことに及んだ とき、テゥト はこう言った。 「王様、この文字というものを 学べば、エジプト人たちの知恵はたかまり、 もの覚えはよくなる でしょう。私の発見したのは、記憶と知恵の秘訣なのですから」。

—— しかし、 タモス は答えて言った。 「たぐいなき技術の主テゥトよ、技術上の事柄を生み出す力をもった人と、生み出された技術がそれを使う人 人にどのような害をあたえ、どのような益をもたらすかを判別する力をもった人とは、別の者なのだ。いまもあ なたは、文字の生みの親として、愛情にほだされ、文字が実際にもっている効能と正反対のことを言われた。な ぜなら、人々がこの文字というものを学ぶと、記憶力の訓練がなおざりにされるため、その人たちの魂の中には、 忘れっぽい性質が植えつけられることだろうから。それはほかでもない、彼らは、書いたものを信頼して、もの を思い出すのに、自分以外のものに彫りつけられたしるしによって外から思い出すようになり、自分で自分の力によって内から思い出すことをしないようになるからである。じじつ、あなたが発明したのは、記憶の秘訣では なくて、想起の秘訣なのだ。 また 他方、あなたがこれを学ぶ人たちに与える知恵というのは、知恵の外見で あっ て、 真実の知恵ではない。すなわち、彼らはあなたのおかげで、親しく教えを受けなくても物知りになるため、 多くの場合ほんとうは何も知らないでいながら、見かけだけはひじょうな 博識 家であると思われるようになるだ ろうし、 また 知者となる代りに知者であるといううぬぼれだけが発達するため、つき合いにくい人間となるだろ う」

(パイドロス プラトン全集 archive.org)*太字強調は当サイト

参考

  1. Full text of “プラトン全集” See other formats プラトン全集 5 パイドロス藤沢令夫訳 岩波書店 (archive.org)
  2. 東京大学大学院学際情報学府学際情報学専攻修士課程(学際理数情報学コース)入学試験問題 平成21(2009)年度(PDF)
  3. 京都精華大学 2021年度 国語入試問題(PDF)
  4. 第9回文字と記憶術 佐々木俊尚 2014.3.28 100年後の「本」

PI職を獲るのにセル、ネイチャー、サイエンス(CNS)の論文業績が必要かについて

一生に一度でもセル、ネイチャー、サイエンスに論文を出してみたいという研究者がいる一方で、コンスタントにセル、ネイチャー、サイエンスを出し続けるラボもあります。大学院生が自分の博士論文を当然セル、ネイチャー、サイエンスのいずれかに出すつもりで頑張っているような研究室もあります。セル、ネイチャー、サイエンスは生命科学の基礎研究においてトップジャーナルと言われるもので、まとめてCNSと呼ばれることもあるようです。このCNSの威力はどれほどのものでしょうか。

自分の過去の話ですが、面接まで行って不採用になり後から誰が採用されたのか確認してみたらCNS持ちだったということが何回もありました。それも知ると、ファーストでCNSに出していない自分は最初から勝ち目がなかったのかなと暗澹たる気持ちになりました。

CNS信仰は存在すると自分は思っていますが、それは自分の経験や自分の周りを見ていてそう思うだけで、アカデミックの世界は広いので分野が異なればまた違う状況かもしれません。CNSの価値ってどうなの?という観点でネット情報を纏めてみたいと思います。

CNS神話について

海外のトップラボで出したCNS業績の価値について

CNSが必要条件ではないことについて

CNSが十分条件ではないことについて

CNSよりもコネが大事なことについて

CNSの必要性について

CNSの普及について

テニュアの条件としてのCNS

CNSの威力

 

電子ペーパー製品が遂にカラー化の波

自分はPCモニタ(LCDモニタ)のブルーライトで目をやられやすいみたいで、2~3時間、保護無しでPCに向かうとてきめん、視野がキラキラしておかしな状態になります。PCのモニタにはブルーカットシートを貼り付け、自分はブルーカット眼鏡をかけて、さらにPCのモニタの設定で「夜間モード」をしてめいいっぱい青色を消した状態で普段PCを使っています。
そんなわけで、タブレットPCを使って読書したいとは思わず、読みたい書類をデジタルで読むときはソニーのデジタルペーパー(電子ペーパー)を使ってきました。

⇒ SONY DIGITAL PAPER DPT-RP1の使い心地と不満な点

ソニーのデジタルペーパーで一番不満だったのは、カラーでないことです。論文の図や生物系の教科書の図はカラフルなので、色の情報がなくなるのは厳しいと思います。色鮮やかでなくていいので、せめて白黒ではない程度のカラーにならないかと長年、心待ちにしてきました。

最近のデジタルペーパー市場をフォローしていなかったのですが、久しぶりにチェックしたら、なんと今年カラーのデジタルペーパー(ソニーではない)が市場に投入されていました。

 「iPad」などのカラーディスプレーとは見え方がまったく異なる。カラーとはいえ、全体に発色が悪くくすんでいる。液晶パネルや有機ELパネルと比べると「まったく美しくない」と感じる。だが、電子ペーパーがモノクロしかなかったことを考えると「すごい進化」となる。(カラー電子ペーパー搭載タブレット端末、ペン入力が優秀だった 戸田 覚 2023.05.23 xtech.nikkei.com)

e-inkのような「うだつのあがらない色彩」のカラーではなくて(最近は色がだいぶましになってきたそうですが)、RLCDを採用した普通のいわゆる「フルカラー」のものもあるようです(Eyemoo S1)。自分のようにブルーカラーで目がすぐにおかしくなる人間にしてみれば、これは最強のソリューションだと思いました。電子ペーパーというより、あらゆるPCのモニターをRLCDにして欲しい。

(まだ)カラーではないですがアマゾンがキンドルスクライブを投入してくるなど、電子ペーパー製品市場は戦国時代の様相です。一消費者としては、何を買えばいいの?と悩むところです。

 

カラーの電子ペーパー

BOOX

e-inkを採用した電子ペーパーでもカラーの製品が出ていたんですね。

  1. カラー化された10型電子ペーパータブレット「BOOX Note Air3 C」 太田 亮三2023年10月30日 14:22 ImpressWatch SKTは、ONYX Internatinal製の10.3型カラー電子ペーパー搭載タブレット「BOOX Note Air3 C」「BOOX Tab Ultra C Pro」の2製品を発表した。「BOOX Note Air3 C」の価格は86,800円で発売中、「BOOX Tab Ultra C Pro」は109,800円で11月2日発売。

BOOX Note Air3 C

  1. BOOX Note Air3 C sktgroup.co.jp カラフルで多機能、エレガントなデザイン。BOOX NoteAir3Cは書き心地がより紙に近づいた10.3インチAndroid12搭載のカラー電子ペーパータブレットです。
  1. カラー電子ペーパー搭載!「BOOX Note Air3 C」を販売開始 2023/11/05 ひつま

BOOX Tab Ultra C

  1. BOOX TabUltraC Pro sktgroup.co.jp 読み書き全てをこの一台に。TabUltraCのアップグレード版となるTabUltraC Proが登場しました。基本性能が向上し、ページめくりボタンが追加され、トラックパッド付キーボードまで利用可能。ビジネスプロに最適な一台です。
  2. カラー画面も進化、電子ペーパー端末が楽しくなってきた【IFA2023】 By 山根康宏 2023年10月10日 技術の手帖 「Onyx BOOX Tab Ultra C」は電子ペーパーはモノクロという常識を打ち破るモデルです。E Inkのカラー電子ペーパーも年々改良が進んでおり、Onyx BOOX Tab Ultra Cが搭載する「E Ink Kaleido 3」は4096色対応、彩度も前モデルより3割アップ、さらにフロントライトも青色光を減らした「E Ink ComfortGaze」を採用するなど、自然なカラー表現に一歩近づいています。
  3. カラー電子ペーパー搭載タブレット端末、ペン入力が優秀だった 戸田 覚 2023.05.23 xtech.nikkei.com 重量はカタログ値で約480g。10インチのタブレットとしては十分な軽さだが、長時間手に持って使い続けるには少々重たい。‥ 電子パーパーを採用したタブレット端末としては珍しく、キーボードケースがアクセサリーとして用意されている。普通のタブレット端末のようにキーボードをたたいてメモをとれる。
  4. ONYX、カラー表示対応の10.3型電子ペーパー端末「Tab Ultra C」 2023年05月09日 itmedia.co.jp 価格はオープン、予想実売価格は9万1800円前後(税込み)。

BOOX Tab Ultra C Pro 10インチカラー電子ペーパー Androidタブレット (SKT株式会社)

  1. カラー電子ペーパー端末の良い点、悪い点 ~モノクロ電子ペーパーと比べてみた E Ink採用のAndroid端末「BOOX Tab Mini C」と「BOOX Page」を比較してみた 山口 真弘2023年9月14日 06:45 窓の杜

 

BigMe

Bigme Cloud Literacy Technology Co., Ltd. は 2008 年に設立され、インテリジェント オフィス ノートブック E-ink スクリーン製品の研究開発、インテリジェント製造、業界チェーン全体にわたるブランド小売に注力しています。 14 年間の開発と変革を経て、【Bigme】は第 7 世代のカラー インク スクリーンを深く育成し、カラー インク スクリーン業界のリーディング ブランドの構築を主導してきました。製品ポートフォリオは6インチ、7インチ、7.8インチ、10.3インチ、13.3インチの5種類です。

  1. Android搭載のカラー電子インクタブレット「Bigme InkNote Color」がいい 2022.09.03 18:00 34,241 author Andrew Liszewski – Gizmodo US[原文]( そうこ ) GIZMODO

 

Lifiny

  1. Linfinyは2017年10月にE Ink社の電子ペーパーを用いた電子ノート(e-Note)の開発会社として、E Inkとソニーセミコンダクタソリューションズの合弁会社として設立されました。‥ 2023年4月よりLinfinyはE Ink社の100%子会社として従来の電子ノート開発事業に加え、電子ペーパーの最新技術を搭載したショーケースの開発も進めてまいります。(Lifiny会社情報)
  1. デジタルペーパー 4,096色カラーモデル ※2024春リリース予定 (Lifiny)4,096色カラーディスプレイ搭載でA4サイズでは世界最軽量368g!

 

株式会社ギャザテック Eyemoo S1

ギャザテックが企画した電子ペーパー電子ペーパータブレット Eyemoo S1は、e-inkではなくRLCD(Reflexive LCD)という表示装置だそう。そのため、普通のPCのLCDモニタと同様に綺麗なフルカラー表示ができます。e-inkがカラー化されたといっても、そちらはくすんだ色合いの、とりあえず色が付いているというレベルなので「カラー」といっても全く比較になりません。この製品の開発・製造・販売はクラウドファンディングによって支えられているようで、発売予定時期は2023年12月末とのこと。サイズは10インチ。

世界初!フロントライト搭載のRLCDカラー電子ペーパータブレット「Eyemoo S1」電子ペーパーなのにリフレッシュレート60Hz!Android12搭載!Google Play 対応!! Zukiのスマガジェ!/スマホ&ガジェットチャンネル チャンネル登録者数 12.6万人

 

「Eyemoo S1」世界初の60HzカラーRLCD電子ペーパーの商品紹介YOUTUBE動画は、下のプレスリリースのリンクからたどれます(YOUTUBEの限定公開となっているので、直リンクは貼らないでおきます)。

  1. 目に優しいディスプレイ・60Hzリフレッシュレートでスムーズに漫画や電子書籍をカラーで楽しめる!世界初・フロントライト搭載のRLCDカラー電子ペーパータブレット「Eyemoo S1」 Android 12搭載|Google Play対応|1,300万画素カメラ 株式会社ギャザテック 「Eyemoo S1」おすすめの理由: ・目の疲労軽減を促すRLCDテクノロジーが採用され、目に優しい。 ・鮮やかなカラー&滑らかな60Hz高リフレッシュレートのカラーRLCDディスプレイ。 ・10インチ大画面1300万画素リア&500万画素フロントカメラ、オフィス作業にも読書にも大活躍! ・Android 12搭載で豊富なアプリが利用可能。 長時間画面を凝視していると目の疲れや乾きにより不快感を感じることがありませんか?それは画面から放たれたブルーライトが原因です。 「Eyemoo S1」の革命的なフルリフレクションディスプレイ技術がこのような悩みを解決します。この技術は周囲の光を反射することでブルーライトと画面のちらつきを軽減し、長時間の使用においても快適な視聴体験を提供します。今回は、GREEN FUNDINGを通じて資金調達を行っています。 クラウドファンディングによって集まった資金はGREEN FUNDING手数料を除き、以下の用途に使用させていただきます。 ●「Eyemoo S1」の開発費の回収、商品仕入れ、販促、支援者の皆様への配送の費用 ●製品の改良、改善と新製品の開発、新規プロジェクト立ち上げの費用 ※お客様都合による返品は、お受けいたしかねます。 ※ご支援の数が想定を上回った場合、製造工程上の都合等により出荷時期が遅れる場合がございます。  支援総額 10,489,200円 2023年9月30日まで 目標200,000円 支援人数 151 人
  2. RLCDカラー電子ペーパータブレット「Eyemoo S1」のYoutberレビュー公開&クラウンドファンディングの挑戦はまもなく終了! E-inkディスプレイからRLCDディスプレイへ進化の時代が到来!目の疲労を軽減できるカラーディスプレイ&滑らかな映像、操作を実現! 株式会社ギャザテック 2023年9月28日 19時31分 PR Times

まだ発売前のようですが、Eyemoo S1はe-ink採用の現行の他社製品とは比べものにならないと思います。まさにゲームチェンジャーですね。

 

白黒の電子ペーパー

自分はソニーのデジタルペーパーしか世の中には電子ペーパーは存在しないのかと思っていましたが、そんなことはなくて海外にはいろいろな製品があるようです。無知でした。

OnyxBoox

OnyxBooxのシリーズにはさまざまな画面サイズが用意されています。BOOX Tab Xは、13.3インチでA4サイズの論文がそのままの大きさで読めるというのが嬉しいですね。2画面分割機能を用いて、電子書籍を読みながらデジタルでノートを取るということもできるそうです。これは自分が一番やりたかったことで、かなり魅力的な機能。本を電子書籍で読みながら、ノートに内容を纏めていくということができそうですし、理数系の教科書を読みながら、横で計算するという使い方もありかも。

  1. BOOX Tab X(SKT株式会社) 世界の買い物楽しもう!SKTはEInk製品の専門店です

【でかい!】13.3インチの大画面電子ペーパーは、ほぼA4サイズノート感覚で使えますよ!「BOOX Tab X」をレビュー 戸田覚:ガジェット【辛口】点数評価 チャンネル登録者数 22.7万人

 

電子ペーパーの製品をあれこれ見ているうちに、じゃあ、PCモニタを電子ペーパーにできないの?と思ったら、なんとそういう製品が既にありました。下の動画で使い方を紹介していますが、白黒であることに目をつむれば、目を傷めることなくPDFの論文を長時間読むことができそうです。なぜ今までこういう製品があることに気付かなかったんだろう。。

  1. BOOX Mira BOOX Miraは、WindowsやMac等の各種OSにおいて、USB-CポートやHDMIで接続してお使いいただける 13.3インチE Inkパネル搭載のセカンドモニターになります。(SKG株式会社)

【沼】驚きのモバイルディスプレイは、なんと! 電子ペーパーを採用。BOOX Miraをレビューしましょう。 戸田覚:ガジェット【辛口】点数評価

 

Amazon Kindle Scribe

そう、なんとアマゾンから電子ペーパーが出ていたのには驚きました。自分はキンドルの書籍を多数、過去に買ってしまっているのでキンドルとの相性を考えるとキンドルスクライブは魅力的です。

10.2インチなのであくまで読書用なのでしょう。自分は論文をA4サイズのまま読みたいので、13インチを出してほしいのですが、そういう使いかたをする人はごく一部なんだろうなぁ。

あと、自分は本を読むときいろいろ考えたことをページに書き込みたいので、キンドルに書き込めると最高なのですが、まだそういう機能はないみたい。ちなみに、PDFに注釈機能がありますがそれと同様に注釈をつけることならできるようです。自分がやりたいのは自分の自筆でごにょごにょ書き込むことなのですが、それはできないみたい。

  1. 最新・最大のAmazon「Kindle Scribe」は付属ペンの使い心地が良くてソソるゼ!!! スタパ齋藤2023年3月6日 00:00 2022年9月29日に発表され同年11月から出荷された最新KindleことAmazon「Kindle Scribe(キンドル スクライブ)」。手書きメモは電子書籍に対しても行える(電子書籍によっては手書きメモなどを加えられないなどの制限がある)。電子書籍内のフレーズなどに対して手書きやテキストでのメモを追加できるのだ。追加したメモなどは一覧することもできる。

富士通 クアデルノ

自分は日本で電子ペーパーを出しているのはソニーだけだと思い込んでいましたが実は富士通も出していました。しかもA4サイズもラインアップの中にあり、ソニーデジタルペーパーと完全に互角の製品のようです。

実物を見たことはありませんが、ウェブ上で写真を見る限り、ソニーデジタルペーパーと見間違うくらいに似たデザインです。

  1. QUADERNO(富士通)
  2. QUADERNO A4 (Gen. 2) 型名:FMVDP41 13.3型フレキシブル電子ペーパー(解像度 1650×2200ドット)搭載 16階調グレースケール サポートファイルフォーマット(拡張子)PDF(.pdf)
  3. 書き心地が劇的にアガった!富士通の電子ペーパー「クアデルノ」新型機レビュー 2021/07/08 山本敦 mynavi.jp 富士通クライアントコンピューティング(FCCL)が電子ペーパー「クアデルノ」(QUADERNO)の第2世代にあたる新製品を、7月8日に発売しました。2018年に発売された初代モデルと比較しながら、新しいクアデルノの魅力をレポートしたいと思います。
  4. 富士通の電子ペーパー「クアデルノ」がどーんと値下げ&スマホ対応、これは買い?  2019/07/28 小口覺 mynavi.jp イタリア語で「ノート」って意味ですから、QUADERNO。

 

ソニーデジタルペーパー

自分はDPT-S1が初めて使ったデジタルペーパーで、その後、後継機種のDPT-RP1も使っていました。普段の雑記帳として、また、論文PDFを読んだり、教科書のPDFを読んだりと、結構ヘビーユーザーだったと思います。デジタルペーパーにメモを取っていると、「何ソレ?」と興味を持たれることが非常に多かったです。

10万円を超える価格は、個人(貧乏な研究者)がポケットマネーで買えるものではなく、研究費を持っていたからこそ買えたものでした。まあそうはいってもスマホの本体価格が10万円を越えたりしますので、売れるかどうかは必要性とのバランスでしょう。白黒でPDFしか読めない(PDFへの手描きの書き込みはできる)製品に10万円も出すのは、かなりマニアックなので、非常にニッチな製品だと思います。いや、そう思っていたのですが、アマゾンサブスクライブが出たことで、ニッチとは言えなくなってきました。

そんな、自分にとっては思入れのあったソニーのデジタルペーパーですが、販売が終了していました。さらなる後継機種は見当たらないので、ソニーはデジタルペーパーから撤退したみたいですね。

  1. 「デジタルペーパーマイページ」終了のお知らせ 2023年7月21日 ソニーマーケティング株式会社  2023年12月18日をもちまして、製品登録サイト「デジタルペーパーマイページ」を終了する予定です。
  2. デジタルペーパーDPT-RP1 読みやすさと書き味を大きく進化させた「A4サイズ」デジタルペーパー販売終了
  3. デジタルペーパーDPT-S1 A4サイズがほぼそのまま読める大画面。紙のような「読みやすさ・書きやすさ」を備えた“新しい紙”それがデジタルペーパー
  4. ソニーデジタルペーパー sony.jp デジタルの紙はここから始まった。 SINCE 2013 紙のように読める、書き込める。 ソニーのデジタルペーパー。
  5. T教授の「戦略的衝動買い」 第472回 機能が衰退? ソニー「デジタルペーパー」の後継モデルを衝動買い 2018年03月14日 ascii.jp 文● T教授、編集●編集部ハシモト 新モデルの専用スタイラスペンはアップルペンシルと同じように面倒な充電式になった。加えて旧モデルでは背面にあった内蔵のmicroSDカードスロットがなくなった。‥ 内蔵のWi-Fiを利用して、自宅のWi-FiルーターやWi-Fiモバイルルーター経由でクラウドサービスに直接手書きデータをアップロードできなくなったことだ。加えて従来は内蔵されていたブラウザーアプリがなくなった。
  6.  “非常に薄いが意外に頑丈”A4サイズのデジタルペーパーが狙う市場 2013年11月13日 itmedia.co.jp ソニービジネスソリューションは11月8日、「教育ソリューションフォーラム2013」を都内で開催した。副題に「大学におけるデジタルペーパーの効用とその期待について」とあるように、早稲田大学、立命館大学、法政大学などで行われているデジタルペーパーの実証実験に関する最新情報や、ソニーが12月3日から発売するデジタルペーパー「DPT-S1」を体験できるとあって、多くの教育関係者が来場していた。
  7. ソニーが3週間バッテリーがもつA4サイズ「デジタルペーパー」端末を開発、2013年度内に商品化を目指すことに 2013年05月13日 12時19分 Gigazine ソニー独自のプラスチック基板上に薄膜トランジスタ(TFT)を高精度に形成する技術を用いた最新の13.3型(1200×1600ドット)フレキシブル電子ペーパー(E Ink社の「E Ink Mobius」)を採用し、細かい文字も紙のようにくっきりして読みやすく、さらに薄さ6.8mm・重さ358gの薄型軽量ボディを実現した端末を開発、ソニーは2013年度内に本端末の商品化を目指している、とのことです。‥ 早稲田大学・立命館大学・法政大学と「デジタルペーパー」端末を授業で活用する実証実験を2013年度後期より順次行う予定
  8. ソニー:13.3型デジタルペーパー端末のデモ(Sony Digital Paper) 38,658 回視聴 2013/05/15 Mac Otakara チャンネル登録者数 1.29万人 

 

どの電子ペーパーを次に買うか

なかなか、自分のやりたいことを全て叶えてくれる電子ペーパーは出てきません。

もうしばらく自分は既に持っているソニーのデジタルペーパー(もちろん白黒)を我慢してつかって、Eyemoo S1(フルカラー!)が広く売り出されるのを待つか、アマゾンスクライブ(キンドルを読むのには便利)を買ってしまうか、悩むところです。

PDFを読むのが自分の場合はメインですが、実は、ePUBもなかなか捨てがたいと最近感じています。カーソルをあてて知らない英単語の意味がサッと表示される機能はePUBならでは。また、ePUBだとPDFよりも活字が大きいです。この活字の大きさが実は、文の読みやすいさ、ひいては、頭への入りやすさに通じているように思います。単行本も文庫化されると、場所を取らなくてよいですが、活字が小さくなった分、頭に入りにくくなるような気がします。字の大きさって非常に大事。コントラストも大事。だからPCの画面上で読むより紙のほうが、内容の理解には良い(コントラストがはるかに高い)のです。

自分の理想の電子ペーパーは、

  1. 表示部分はA4サイズ(13.3インチ):論文PDFがA4サイズで読めて、余白などに手描きでメモを書き込める。(候補:Lifiny デジタルペーパー 4,096色カラーモデル ※2024春リリース予定)
  2. フォーマット:PDFだけでなくePUBにも対応している。(候補:アマゾンキンドルスクライブ ただし10.3インチしかない。カラーではない)
  3. 辞書機能:カーソル(指、ペン)を当てるだけで英単語の意味を表示してくれる。
  4. フルカラー:普通のPCモニタレベルの美しさでありながら、発光せず、目に優しい。(候補:RLCD採用のギャザテック Eyemoo S1 )
  5. 軽量:長時間手にもっていても腕がプルプルしない。(候補:Lifiny デジタルペーパー 4,096色カラーモデル ※2024春リリース予定 A4サイズでは世界最軽量368g)
  6. バッテリーの持ち:1週間以上充電しなくても連続して使えること。
  7. 記憶容量:最低でも数十GBは欲しい。SDカードなどが使えるといい。
  8. 通信機能:PCやクラウドなどにリアルタイムで送信できると便利。(仕事で使うメインはPCなので)
  9. 価格は10万円を税込みで切ってほしい。(候補:BOOX Note Air3 C 86,800円 10.3インチですが)

全部を満たす製品は、現在のところ見当たりません。

BOOXはモノクロなら「BOOX Tab X A4サイズ 13.3インチ 電子ペーパー Android11 タブレット」という製品を出していたので、これのカラーバージョンを出してくれないかなあと期待しています。BOOXはPC用のモニタも電子ペーパーでつくっていて(BOOX Mira,13.3インチEInkモニター)、まだ白黒しかありませんが、これでカラーになれば、持ち運びを諦めれば候補になります。PCでePUBやPDFを読むときに目に優しいモニタとして使えそう。自分は仕事のほとんどがPCのモニタに向かう時間なため、通常のLCDは本当に目に堪えます。PCモニタをカラーのeinkに変えるというのは、かなり現実味のある検討事項です。

アマゾンがもしキンドルスクライブで13.3インチを出してくれれば絶対買いますが、多分そこまで大型なものを作ることはないでしょう。PDFを諦めてePUBで論文や本を読むと決めてしまえば、キンドルスクライブが現状でも候補になります。

数学や物理の本をよむときに、計算を雑記帳にやるようなのりで電子ノートを使いたいという気持ちもあるのですが、そうなるとやはりA4でないと大きさがたりません。そうでなくても電子ペーパーのペンはいまいち細かい字が書けないので、なおさらです。ソニーのデジタルペーパーでそういうことをしてみたこともありますが、細かい字が書けないので諦めました。本物の紙に細いボールペンで書いたほうが、はるかに効率が良かったため。

 

eink市場の参考

  1. シャープ、IGZO搭載カラー電子ペーパーディスプレイ「ePoster」。0Wで表示保持。A2サイズ  山崎健太郎 2023年10月30日 impress.co.jp シャープは、電子ペーパー分野の世界最大手E Inkの協力のもと、IGZOバックプレーンを搭載したA2サイズのカラー電子ペーパーディスプレイ「ePoster」を開発。11月10日から12日まで東京ビッグサイトで開催するシャープの技術展示イベント「SHARP Tech-Day」で初披露する。 試作したePosterは、E Inkの最新電子ペーパープラットフォーム「Spectra 6」をいち早く搭載。表示できる色域が従来のプラットフォームから拡大し、コンテンツをより鮮やかに映し出せるという。
  2. The Greatest Looking EINK of All Time | Spectra 6 Good e-Reader 2023/04/21 We are on the Scene at TOUCH TAIWAN 2023
  3. ほぼ液晶並みのキレイさ。電子ペーパーがかなり進化してた… 2023.04.19 Andrew Liszewski – Gizmodo US[原文]( そうこ ) GIZMODE

 

博士課程がトレンド入り:覚悟は必要か

博士課程がトレンド入り

キーワード「博士課程」が1,615 postsでツイッターのキャリア・トレンドに入っていました。博士課程の一体何が話題になっていたのでしょうか。博士課程に対する考え方は、人それぞれのようです。死ぬ気で頑張る覚悟がある人だけが行くべき、いやそういうものではないというあたりが論点のようでした。

以下、必ずしも博士課程がトレンドになったここ最近のツイートとは限りません。

博士課程進学を迷う人へのアドバイス

博士課程の世間からの見られ方

博士号を取得する方法

博士課程の厳しさとは

博士課程の楽しさとは

博士課程進学者に必要な覚悟とは

博士課程を受け入れる教員に必要な覚悟

博士課程勧誘の無責任について

博士課程で(そしてそれ以降も)必要な能力:自律

self-driven, self-motivatedということが研究者に絶対必要な条件だと思います。誰も指示してくれない、だれも叱咤激励してくれない、誰も何も強制してこない、自分で自分を律して今日やるべきことを今日やってそれを毎日続けていくという自律した態度は博士課程をサバイブするための必要条件でしょう。

博士課程で大事なのは指導者選び

よい指導者の大学院へ進んで院生になり,研究の訓練,指導を受けて,よい学位論文を書いて発表することです。これがよい脳研究者になる一番の近道です。しかも,唯一の道といってもよいほどで,他の道は限られています。よい指導者ではない脳研究者の大学院生となって指導を受けて,よい研究者になれる確率はほとんどありません。 (久保田競編 『脳の謎を解く』(朝日文庫,1995)/優れた研究者になるには 脳科学者はかく稽ふ/【研究者の適性】自分が研究に向いている人か生き残れるかを占う30の質問)

 

博士課程でメンタルに支障をきたす恐れ

博士後のキャリアに関する危惧

博士号取得者の多彩なキャリアパスについて

企業の研究で論文博士に

社会人博士課程という選択肢

理系と文系の博士課程の違いについて

これは理系でもラボや当人が置かれた状況によると思います。

博士課程の味方

特定外来生物ガエツルノゲイトウの被害と駆除

ナガエツルノゲイトウ駆除マニュアル maffchannel チャンネル登録者数 3.47万人

  1. ナガエツルノゲイトウの駆除対策について 農林水産省

千葉県

  1. 令和5年度湖沼における外来水生植物防除事業補助金の公募について(PDF) 補助金の概要:印旛沼及び手賀沼とその流域河川の水環境の保全を図る ため、団体が自ら企画したナガエツルノゲイトウやオオバナ ミズキンバイ等の駆除活動の経費に対する補助金 補助対象:団体 主に県民で構成され、営利を目的としない団体 (町内会・PTA・NPO法人・ボランティア団体など)

静岡県

  1. 最悪の侵略的植物が静岡県に侵入 「ほかの植物が生息できない」 静岡・清水町 10/14(土) 22:19配信 173 コメント173件 静岡朝日テレビ 国交省によれば、柿田川で最初にナガエツルノゲイトウが確認されたのは去年8月。これまでに2回駆除しましたが、その後も同じ場所で繁殖が確認され、今回が3回目の駆除作業です。

滋賀県

特定外来生物ナガエツルノゲイトウ駆除作業 滋賀県公式YouTubeチャンネル(shigakoho)

論文を書き始めることができないんですけど?

論文を書き始めることが難しいと感じるのは一般的なことであり、多くの人が経験するものです。しかし、以下のステップやアドバイスを考慮に入れることで、論文執筆のハードルを下げ、効果的に始めることができるかもしれません:

  1. リサーチと計画:
    • まず、テーマに関する研究を行い、関連する情報とリソースを収集しましょう。
    • 論文の構造を計画し、アウトラインを作成します。これには序論、本文、結論、参考文献などが含まれます。
  2. フォーカスの設定:
    • 論文の焦点を明確にしましょう。論文が何について議論するものなのか、メインの論点や主張は何かを理解しましょう。
  3. タイトルと序論の書き起こし:
    • タイトルを考え、序論の最初の文や段落を書き起こしましょう。これは論文を始める一歩として助けになります。
  4. ラフドラフトの作成:
    • 完璧な文章を求めずに、ラフドラフトを書き始めましょう。まずはアイデアや情報を文章に落とし込むことを重視しましょう。後で編集や改善を行います。
  5. スケジュールを設定:
    • 書く時間を確保し、スケジュールを立てることが大切です。継続的な取り組みが進捗につながります。
  6. ライティングセンターや指導教員のサポート:
    • 大学やカレッジにはライティングセンターと呼ばれるサポート施設があり、論文執筆の支援をしてくれることがあります。また、指導教員にアドバイスを求めることもできます。
  7. プレッシャーを軽減:
    • 最初のラフドラフトは完璧である必要はありません。自分を過度にプレッシャーをかけないようにしましょう。書き進めることが大切です。
  8. 論理的な流れ:
    • 文章の構成と論理的な流れを意識して、段落を組織化しましょう。各段落は一つのアイデアや論点に焦点を当てるべきです。
  9. 編集と校正:
    • ラフドラフトを何度も読み返し、文法やスタイルのエラーを修正し、論文の質を向上させましょう。
  10. フィードバックを受ける:
    • 身近な友人や同僚、指導教員からフィードバックを受けることで、論文を改善する手助けができます。

論文執筆は時間と努力がかかりますが、段階的に進め、焦らず取り組んでいくことが成功の鍵です。

(回答者:GPT-3.5 https://chat.openai.com/)

科学論文で使える英語表現、語句、英単語

Introductionで多用される英語表現

分かっていること Known

すでに確立している

It is now well established that developmental decisions can be overridden by artificial induction of combinations of “core” TFs that yield induced pluripotent stem (iPS) cells or direct lineage conversion (Hanna et al., 2010, Morris and Daley, 2013, Orkin and Hochedlinger, 2011, Takahashi and Yamanaka, 2006, Vierbuchen and Wernig, 2011). https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(14)00229-3

証拠が増えつつある

Increasing evidence suggests that certain malignant tumors also depend on a cellular hierarchy, with privileged subpopulations driving tumor propagation and growth. https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(14)00229-3

分かっていないこと Unknown

わかっていない・明らかではない

However, despite extensive studies, many components of TLR and other biological networks are unknown, and many genes associated with disease have not been assigned to a function or a pathway.  引用元:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(11)01270-0

It has been difficult to reconcile some of these opposing data, and it is unclear whether these two effector T cell populations are related to one another or are independent subsets with distinct origins. 引用元:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(21)01333-7

While most of the studies have focused on the biology of virus-specific CD8 TRM cells, basic questions regarding CD4 TRM still remain unanswered. For example: Where do these cells come from; What is the cellular origin of CD4 TRM cells; Which environmental signals maintain them into the tissue; and finally, Are CD4 TRM cells able to rapidly respond to a second challenge? 引用元:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(19)30831-1

In contrast, mechanistic understanding of dietary modulation of small intestine (SI) physiology, where the majority of dietary exposures and interactions take place remains elusive.  引用元:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(20)31069-2

ほとんどわかっていない

However, the mechanisms and consequences of these multi-faceted interactions are still poorly understood.  引用元:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(20)31564-6

Which of the numerous cell subsets in a tumor contribute to the response, how their interactions are regulated, and how they are spatially organized within tumors remain poorly understood (Cardenas et al., 2021; Saltz et al., 2018). 引用元:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(21)00945-4

まだわかっていない・あまりわかっていない

In the nervous system, although multiple families of guidance cues have been found in the last decade, our understanding of intracellular signal transduction mechanisms leading from the cell membrane to the cytoskeleton remains limited (Mueller 1999).  引用元:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(01)00530-X

推測の域を出ない

Nevertheless, the true extent of TCR cross-reactivity, and its role in T cell immunity, remains a speculative issue, largely due to the absence of quantitative experimental approaches that could definitively address this question (Mason, 1998, Morris and Allen, 2012, Shih and Allen, 2004, Wilson et al., 2004, Wucherpfennig et al., 2007). 引用元:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(14)00476-0

理解が進んでいないこと

However, understanding the precise molecular mechanisms influencing progenitor cells is precluded by limited knowledge of stromal cell identities in the lung. 引用元:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(17)30864-4#%20

Mutations that cause TSC are spread over the entire sequences of both TSC1 and TSC2 (26,–29), but mechanistic understanding of the functional consequences is precluded by the lack of biochemical and structural information. 引用元:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5025687/

論争の的であること

議論がある・決着していない

The extent to which unidirectional differentiation hierarchies underlie tumor heterogeneity remains controversial (Visvader and Lindeman, 2012).
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(14)00229-3

可能性の提唱

This raises the intriguing possibility that sensory neurons targeting distinct peripheral sites may contribute differently to immune responses by engaging in local tissue-specific sensory neuro-immune circuits. 引用元:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(20)31564-6

仮説の提示

戦略の正しさ

仮説は自然現象の説明に関するものが一般的だと思いますが、論文を書く際に自分たちの研究戦略の正しさを仮説として書くスタイルも見かけることがあります。

We hypothesize that mapping the routes toward tumorigenesis in precursors of MSI-H and MSS CRCs will uncover mechanisms that define the CRC cellular landscape and identify targets with diagnostic or therapeutic utility. 引用元:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(21)01381-7

実験モデルを使うことの妥当性

only a subset of such genes is activated in response to a given signal. Thus, a central problem in signal transduction is how this specificity is achieved. 中略 An excellent model for studying this problem is provided by the virus-inducible enhancer of the human interferon-p (IFND) gene (reviewed by Maniatis et al., 1992; Thanos et al., 1993; Tjian and Maniatis, 1994). https://www.cell.com/action/showPdf?pii=0092-8674%2895%2990136-1

 

モデル動物を使うことの妥当性

ショウジョウバエ

Drosophila provides an attractive system to understand the logic of olfactory perception because flies exhibit complex behaviors controlled by an olfactory system that is anatomically and genetically simpler than that of vertebrates. 引用元:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(03)00004-7

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論文執筆のための英語表現

  1. “using” vs “by using” それとも”by”, “with”? 実験・解析の手段・方法を表す語句を正しく選ぶ

嗅覚と記憶:プルースト効果

歳を経るとどんどんいろいろなことを忘れていきます。最近のことほど最初に忘れるようです。数か月前に呼んだ論文の内容は忘れていますし、それどころかその論文を読んだことすら忘れています。本を読みかけていても、読んだところにしおりを挟んでおかないと、前に読んだところから読み始めたつもりでも同じところを何ページにもわたって読んでしまうことがあります。

大学で勉強したことはほとんど忘れていますし、高校で勉強したこともだいぶ忘れています。中学で学んだことも結構抜けていて、今、中学の理科の教科書を読むと随分とややこしいことを勉強してたんだなあと思います。確実に残っていると思えるのは小学校時代の知識かと思っていたのですが、漢字がどんどん書けなくなってきてそれすら怪しくなってきました。

そうやって記憶は薄れていくものなのですが、雨上がりの晴れた日のアスファルトの臭いをかいだときになんだか子供時代もしくは若いころの何かしらの感情が湧きおこることがあります。かならずしもエピソードまでは思い出せないのですが、このにおいをかいでいたそのときの気分まで含めて思い起こされるのです。自分はこれがとても不思議に思えていたのですが、実際のところそういうことは周知の事実で「プルースト効果」と名前がついており、研究もなされているようです。

プルースト効果

  1. theProust Phenomenon プルースト効果[現象]香りや味などが特定の出来事や人などを思い出させる現象のこと。(アルク)

味覚となるとまた別かなと思います。味覚でなく嗅覚のほうが記憶の強さが強いのではないかと自分は思います。しかし世間でプルースト効果と言った場合には嗅覚と味覚をごっちゃにしているようです。

Odor-evoked memory or the “Proust phenomenon” from the eponymous literary anecdote where Marcel Proust took a bite of madeleine biscuit that had been dipped in Linden tea and was suddenly transported to a long forgotten moment in his childhood, occurs when an odor triggers the recollection of a meaningful past personal episode. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5039451/

プルースト効果というのは、プルーストが書いた小説の中のエピソードに由来します。

I raised to my lips a spoonful of the tea in which I had soaked a morsel of the cake. No sooner had the warm liquid, and the crumbs with it, touched my palate than a shudder ran through my whole body, and I stopped, intent upon the extraordinary changes that were taking place. An exquisite pleasure had invaded my senses, but individual, detached, with no suggestion of its origin. 中略 I was conscious that it was connected with the taste of tea and cake, but that it infinitely transcended those savours, could not, indeed, be of the same nature as theirs.  中略 And suddenly the memory returns. The taste was that of the little crumb of madeleine which on Sunday mornings at Combray (because on those mornings I did not go out before church-time), when I went to say good day to her in her bedroom, my aunt Léonie used to give me, dipping it first in her own cup of real or of lime-flower tea. (SWANN’S WAY Remembrance Of Things Past, Volume One 『失われた時を求めて』第1篇『スワン家のほうへ』By Marcel Proust  フランス語の原書の英訳)

この小説ではどちらかというと味覚と記憶と書いているので、嗅覚と記憶の結合の強さをいう例としては全然ベストではないようが気が自分はするのですが、どうなのでしょう。食べたものに関して味覚と関連した記憶というのは自分は全く思い当たりません。強いていえば、ブルボンの紫色のパッケージのルマンドとか、おなじくブルボンのホワイトロリータを子供の頃によくおやつとして食べていましたが、別に今これを食べても何もエピソードは蘇りません。 ボンタンアメも子供時代によく食べた記憶がありますが、これまた出来事とは結び付きません。

  1. 失われた時を求めて ウィキペディア

嗅覚と記憶に関連した研究

  1. Odor-evoked memories: The importance of choosing the right odor Acta Psychologica Volume 236, June 2023, 103932
  2. Development of the function of autobiographical memories evoked by odor scale for older Japanese people Kohsuke Yamamoto, Kengo Yokomitsu, and Takefumi Kobayashi  Front Psychol. 2022; 13: 945002.
  3. An in-depth review of the methods, findings, and theories associated with odor-evoked autobiographical memory Ryan P. M. Hackländer, Steve M. J. Janssen & Christina Bermeitinger Psychonomic Bulletin & Review volume 26, pages401–429 (2019)
  4. An intrinsic association between olfactory identification and spatial memory in humans Louisa Dahmani, Raihaan M. Patel, Yiling Yang, M. Mallar Chakravarty, Lesley K. Fellows & Véronique D. Bohbot Nature Communications volume 9, Article number: 4162 (2018)
  5. Olfactory Context-Dependent Memory and the Effects of Affective Congruency Ryan PM Hackländer, Christina Bermeitinger Chemical Senses, Volume 42, Issue 9, November 2017, Pages 777–788,
  6. 嗅覚と自伝的記憶に関する研究の展望 Japanese Psychological Review 2015,Vol. 58, No. 4, 423-450 最も初期の研究は,Laird(1935)による調査研究であるといわれる(Chu&Downes,2000a)。Laird(1935)は,254名を対象に匂い手がかりによる想起経験を調査した。その結果,参加者の5人に4人以上の確率で,日常生活で匂い手がかりによって記憶を思い出した経験があり,しかもその記憶の多くは鮮明であり,かつ情動的2)なものであった。
  7. A review on the neural bases of episodic odor memory: from laboratory-based to autobiographical approaches Anne-Lise Saive, Jean-Pierre Royet, and Jane Plailly Front Behav Neurosci. 2014; 8: 240. Published online 2014 Jul 7. doi: 10.3389/fnbeh.2014.00240 PMCID: PMC4083449 PMID: 25071494
  8. The functional neuroanatomy of odor evoked autobiographical memories cued by odors and words Emilia Iannilli Maria Larsson 2013, Neuropsychologia
  9. 匂い手がかりが自伝的記憶の特定性におよぼす影響 嗅皮質である梨状皮質は嗅球との神経経路を持つとともに、眼窩前頭皮質への直接経路を持つ。‥ 匂いが引き出す感情的な記憶について、Herz, Eliassen, Beland, & Souza(2004)は fMRI を用い た研究を行っている。思い出を想起させる匂い手がかりによって扁桃体と海馬の活動が活発になる 結果から、Herz らは匂いと感情の関連性を指摘している。
  10. Proust Remembered: Has Proust’s Account of Odor-cued Autobiographical Memory Recall Really been Investigated? Chem. Senses 29: 455–458, 2004
  11. A Naturalistic Study of Autobiographical Memories Evoked by Olfactory and Visual Cues: Testing the Proustian Hypothesis Rachel S. Herz and Jonathan W. Schooler The American Journal of Psychology Vol. 115, No. 1 (Spring, 2002), pp. 21-32
  12. Laird, D. A. (1935).What can you do with your nose? Scientific Monthly, 41, 126-130 (JSTORE)

嗅覚だけが五感の他の感覚とは異なる理由

人間の五感のうち、視覚・聴覚・触覚・味覚による刺激は、脳の視床を通り、理性や知性を司る大脳新皮質へと送られます。しかし嗅覚による刺激は、感情や本能を司る大脳辺縁系に直接送られます。https://solution.toppan.co.jp/creative/contents/fragranceidentity_column05.html

英語論文の書き方:文と文とをつなげる

文と文はどのようにつながっているものなのでしょうか。

一般論→具体例

例文 Several studies have shown important roles for immune cells in tissue homeostasis. Tissue-resident innate immune cells can play a role in regeneration of the gut (Lindemans et al., 2015, Saha et al., 2016) and other tissues (Aurora and Olson, 2014, Stappenbeck and Miyoshi, 2009). (例文の引用元:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(18)31316-3)

この例文では、一つ目の文では一般的な事柄、抽象的な事柄が述べられていて、次の文ではそれを具体化した内容が書かれています。For example, など具体例を出すためのつなぎ言葉は使われていませんが、意味的に明らかなので文のつながりはスムーズに感じられます。

several studies (一般)→論文紹介(具体)

immune cells (一般)→tissue-resident innate immune cells(具体)

tissue homeostasis(一般)→regeneration of the gut(具体)

という構造になっています。

疑問→答え

例文 How does the anatomic map translate into a functional map? Previous imaging studies in large insects and vertebrates demonstrate that different odors elicit defined spatial patterns of glomerular activation, revealing a functional representation of anatomic map (文献).(例文の引用元:https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(03)00004-7)

疑問を提示すした文に続けて答えとなる文を書けば、文と文とのつながりは明瞭です。なぜなら疑問を読んだ読者は、次に答えを期待するからです。読者が期待したり予測したことが次にくれば、スムーズなつながりとして受け入れられます。

大学院生・研究者・大学教員・教育者のYOUTUBE動画チャンネル

大学院生・研究者・大学教員(”元”も含む)個人による、研究、研究生活、教育などをメインのトピックにしたYOUTUBERを紹介します。

 

予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」 @yobinori チャンネル登録者数 105万人851 本の動画

大学の勉強はおそろしく難しい。そして、大学の授業はおそろしく分かりにくい。高校レベルの勉強でさえ教えるプロが求められているこの時代に、大学の勉強では何故それがないのか。学部生の頃から不思議でたまらなかった。 ‥ そこでふと、こんな考えが芽生え始める「自分なら変えられるかもしれない」 ‥ やってみようかな ‥ そしてその1週間後、1本目の動画「行列式の求め方」を投稿した。(暇人の機動力。大学院生がYouTubeをはじめるまで  ヨビノリたくみ 2018年9月2日 20:26 note.com)

上記の大学の勉強に関する印象は、自分も同様に持っていました。大学受験に関してはそもそも予備校というものがあって、至れり尽くせりの指導をしてくれるわけですし、受験参考書も選ぶのに迷うほどたくさんの名著が存在します。それに対して、一度大学に放り込まれると「あとは勝手にやって」状態です。しかし、大学レベルの勉強は、高校の勉強とは比較にならないくらい難易度が上がりますし、範囲も広くなります。高校生や受験生のときには大学入試の出題範囲をある程度意識した勉強をしていましたが、ひとたび大学に入ると、そもそも、何をどこまで勉強すればいいのかすらよくわかりません。

 

天文物理学者BossB@bossb5553 チャンネル登録者数 18.5万人116 本の動画

引き寄せの法則?パラレルワールドでポジティブ思考YES

米国内科専門医 安川康介の医学チャンネル@yasukawa チャンネル登録者数 13.3万人51 本の動画

早稲田大学 早水桃子研究室@hayamizu チャンネル登録者数 3.4万人34 本の動画

早稲田大学の動画収録スタジオでアドリブの3分授業を撮ってみた

もろぴー有機化学・研究ちゃんねる@morop_ チャンネル登録者数 3.24万人318 本の動画

げのむ / 理系大学院生の日常@user-oo2df8vm4x チャンネル登録者数 1.09万人52 本の動画

Plannergirl 777@plannergirl777 チャンネル登録者数 6890人144 本の動画

たけださんの4コマ宇宙@yonkomauchu チャンネル登録者数 6650人18 本の動画

Hal Tasaki / 田崎晴明@haltasaki チャンネル登録者数 4480人102 本の動画

どうして時間は過去から未来に流れて行くのだろう? マクロな系における不可逆性 / 田崎晴明

研究者ゲンキ@PhD-genki チャンネル登録者数 4250人149 本の動画
国立大学工学部准教授が研究に関する情報を日々発信中!

Osaki / ゴキと大学院生の生態log@osakilog2738 チャンネル登録者数 3550人24 本の動画

「とものラボ」の楽単ちゃんねる@tomonoLab チャンネル登録者数 3250人185 本の動画

永井俊哉チャンネル@nagai-ja チャンネル登録者数 604人28 本の動画

Shinichi Sasa@shinichisasa2629 チャンネル登録者数 436人1 本の動画

エントロピー入門

2023年9月27日(水)学振の選考結果が発表される:令和6(2024)年度採用分特別研究員(PD、DC2、DC1)の第一次選考結果について

2023年9月29日(金)海外学振の発表

2日遅れで海外学振の発表があったようです。下のツイートが一番早いみたいなので14時前に出ていたんですね。

海外学振の評定要素

海外学振の採択される申請書の書き方

この体験談は一読の価値があります。海外学振に限らず科研費もそうですし、多分DC1,DC2,PDも同様だと思います。

1)資金があれば目標が達成できる(「できそう」ではない)、2)目標達成のための準備が整っている、の2点が大きなポイント

自分の場合、3つの研究内容を書いたが、それぞれに対して既に実験基盤が整っていることを示したり、予備データが豊富にあることを示し、派遣先との融合研究さえあれば、目標達成できるという風にした。実際ラボのビッグボスからも予備データを貯めましょうと言われていた。実際、ビッグボスの申請書を見ても、半分以上予備データの話なのではないかと思うくらい下地が整っていることがわかる。

(5度目の挑戦で採択された海外学振 KPN KPN 2023年9月30日 22:24 note.com)

学振DC1,DC2,PDの採否発表

2023年9月27日(水)14:00に学振DC1, DC2, PDの選考結果が発表されました。二次採用内定候補の発表もあったようです(最終結果は、1月頃)。海外学振の発表はまた別みたいですね。

ツイッターを見ていると悲喜こもごもです。

学振採択者生存者バイアス

「学振落ちたけどおじさん」たち

学振落ちたけど研究者として生き残っている人もいるそうです。

「現在の若手研究者をめぐる状況への無理解」と聞くと、東北大学副学長の言葉「優秀な若手男性がポストに恵まれないことは周囲を見ていて無いと思います。」を思い出してしまいます。DC1やDC2やPDがとれても、研究者への道がいばらの道であることには変わりません。

 

学振不採択だった人へのメッセージ

学振DC1/DC2に落ちたら考えるべきこと【博士課程】 もろぴー有機化学・研究ちゃんねる チャンネル登録者数 3.24万人

学振不採択者の気持ち

学振不採択でも研究者を目指す人へのメッセージ

今回は学振不採択でも次回再度応募予定の人へのメッセージ

多くの学生が誤解していることとして、学振DCが「博士課程の給付奨学金」のようなものだと思っているという点が挙げられます。((ふたたび)学振にチャレンジするときに 読んでほしいアドバイス 下地理則(九州大学人文科学研究院准教授) 2023年9月28日 17:32 note.com)

学振採択が研究者として生き残るための必要条件でも十分条件でもないことについて

学振以外の助成の機会

学振落ちをアカデミアを見切る機会と捉えるかどうかについて

キャリアに対するひとつの考え方

求められている場所で出来ることをやれば生きていけるというのは真理だと思います。

  1. 【研究者の適性】自分が研究に向いている人か生き残れるかを占う30の質問

2023年9月27日(水)14:00

学振の採択率

学振発表当日、発表前のソワソワ

発表前

日本学術振興会のウェブサイトにある、「令和6(2024)年度採用分特別研究員(DC1・DC2・PD)の募集から採用までのスケジュール」を見ると、二段階目の書面審査が実施される時期が「2023年8月~9月頃」で、第一次選考結果開示が「2023年10月上旬頃まで」となっています。ちなみに二次選考内定候補者がそのあとに決められて、第二次選考結果が開示されるのが2024年1月上旬頃までとされています。

最近の発表日がいつだったか確認してみますと、

令和5(2023)年度採用分特別研究員(PD、DC2、DC1)の第一次選考結果について
(2022年9月28日)
令和5(2023)年度採用分特別研究員(PD、DC2、DC1)の第一次選考の結果を令和4(2022)年9月28日付けで電子申請システムにて開示しました。

2022年9月28日は水曜日。

令和4年度(2022年度)採用分特別研究員(PD、DC2、DC1)の第一次選考結果について(2021年9月27日)
令和4年度(2022年度)採用分特別研究員(PD、DC2、DC1)の第一次選考の結果を令和3年9月27日付けで電子申請システムにて開示しました。

2021年9月27日は月曜日。

令和3年度(2021年度)採用分特別研究員(PD、DC2、DC1)の第一次選考結果について(2020年9月25日)
令和3年度(2021年度)採用分特別研究員(PD、DC2、DC1)の第一次選考の結果を令和2年9月25日付けで電子申請システムにて開示しました。

2020年9月25日は金曜日。

これだとあまり法則性が見いだせませんが、巷での予測はというと:

なんでわかんねん?って思いますが、教科書を書かれている方には裏情報ネットワークがあるのかそれとも超能力でしょうか。

  1. 大上 雅史『学振申請書の書き方とコツ 改訂第2版 DC/PD獲得を目指す若者へ』(講談社)

 

学振の内定通知日は予告したほうがよいと思う

科研費の内定通知日がはっきりしないのもそうですが、学振もまったく同じで、発表がいつなのかとソワソワして仕事が手につかなくなる人が多いんじゃないでしょうか。研究者の能率を下げないためにも、学振の内定通知日は予告したほうがよいと思います。

申請書作成のノウハウに関する情報格差についての雑感

匿名掲示板などでは、学振はメジャーな大学、メジャーなラボのほうが(ボスのコネのおかげで)採択されやすいんじゃないかという書き込みを見かけたことがありますが、自分は科研費や学振はフェアに審査されているという印象を持っています。研究が盛んでない大学や研究のアクティビティが低い研究室の学生は、申請書を書くノウハウがラボに存在していなくて圧倒的に不利なだけでしょう。申請書以前の話として、日本語を正しく書けない大学院生も結構たくさんいます(自分も修士論文を口語体で書いてしまって全部直された経験がある)。正確で分かりやすい科学的な文章が書けていない人は、まず日本語を徹底的に鍛えたほうが早道かもしれません(お勧めはコレ↓だが、真面目に課題をやるとかなりヘビー、しかし得るものが大きい)。

  1. 林 健一『こうすれば医学情報が伝わる !! わかりやすい文章の書き方ガイド』(ライフサイエンス出版株式会社)

幸い最近は申請書の書き方に関する書籍もありますしYOUTUBEで情報を発信している人、ネットに採択された申請書を公開している人もいて、ノウハウはそこらじゅうに転がっています。それを取りにいってちゃんと理解して、そのノウハウを自分の申請書に落とし込めるかどうかです。実際のところ教科書に書いてあることを、「自分ごと」として気付いて自分の申請書を修正する能力というのは決して当たり前のものではありません。そこがつながらないひとは結構多いようです。

そうなると科研費や学振に採択された先輩がたくさんいるラボに所属していて、面倒見のよい先輩や先生に申請書の添削をしてもらえる大学院生のほうが圧倒的に採択される可能性が高くなるのは当然のことです。

また、申請書を書きなれた人であっても自分で書いた文章のアラは自分では気づけないものです。自分の周りに申請書を読んでくれる人がいない場合は、

  1. 書いた申請書をしばらく寝かせて自分で内容を忘れた頃に読み返してみる。
  2. 紙に印刷して読み返してみる。その際、フォントをいろいろ変えて印刷するとさらに効果的。
  3. 自分で声に出して読み返してみる。

といった方法がお勧めです。音読は本当にお勧め。

お気に入りのAI音声に読み上げてもらうのもいいかも。

  1. https://coefont.cloud/coefonts

上のサイトは無料の利用だと音声をほぼ選べないみたいですが、面白いサイトだと思いました。お金を払えば、自分の読ませたい文章を好みの声で読み上げてもらえます。

 

学振申請応援YOUTUBE動画

ワークショップ「より良い学振申請書(DC1/DC2)を作ろう」(2022年4月10日実施) 東京大学 吉田塁 研究室 チャンネル登録者数 2850人

 

採用者にインタビュー~苦労人が得た学振の極意~【学振“必勝”講座・2023;其の肆】 水族館マスター · クラゲさんラボ (Dr. クラゲさん) チャンネル登録者数 2540人

 

【博士課程の前に】やっておくべき3つのこと【最後が一番重要かも】 Osaki / ゴキと大学院生の生態log チャンネル登録者数 3550人

  1. 【学振】オーサキのリアルな申請書作成を公開【与えられた時間はたった2週間】

学振の最近の大きな制度変更について

令和4年度の学振から面接審査が廃止され、令和5年度の学振からは二段階の書面審査になったそうです。また審査が二段階になったため、選考結果の発表も二段階、つまり2回の時期に分かれたそうです。

第一段階の書面審査では、これまで通り6名の審査委員が書面審査を対象区分内の申請者全員を対象に行います。その後、第一段階の審査で「ボーダーゾーン」となった申請を対象に、第二段階の審査が行われます。この際、審査者は第一段階審査と同じ6名の審査員になります。

選考結果の通知も2回に分けてされます。第一段階で高評価を得た申請者に対しては早い段階で通知が行われ、その後第二段階で採用された申請者に対して通知が行われるということです。

(学振あれこれ:2023年(令和5年度)採用分の変更点およびアドバイス  アカリク公式note 2022年3月15日 15:04)

令和6(2024)年度採用分特別研究員(PD、DC2、DC1)の第一次選考結果について

NHK日曜討論 岐路に立つ大学 “学び”をどう守るか 初回放送日: 2023年9月10日

NHK日曜討論 岐路に立つ大学 “学び”をどう守るか

出演者・キャストほか:

  • 科学・政策と社会研究室 代表理事 榎木 英介
  • 金沢工業大学大学院教授 高橋 真木子
  • BNPパリバ証券GM統括本部副会長/経済財政諮問会議議員 中空 麻奈
  • 東京大学教授 横山 広美
  1. どうする“研究力低下” これからの大学は 初回放送日: 2023年9月10日(NHKオンデマンド)

SNSでみる番組への反響

日本の研究の終わりの始まり

選択と集中について

 

日本の研究予算について

研究の本質について

研究に何を求めるのか

研究人材の育成について

博士人材のキャリアについて

競争力について

国の予算をどう使うべきなのかについて

研究者の雇用の安定について

上のツイートにある通り、人を大切にしていない今の研究業界の制度、研究者がみな有期雇用で使い捨てられていく現状、これが一番根本的な、日本の研究力低下の要因だと思います。

大学の存在意義について

大学院進学率を上げる施策に関して

科学政策決定の仕組みに関して

科学政策の無責任について

番組の構成に関して

番組視聴後に残る絶望感

その他の感想

将来に向けた課題

  1. 日本が国際競争力を失った納得の理由。先進的な研究開発も“宝の持ち腐れ”にする「企業文化」の残念さ 湯田陽子 Oct. 13, 2021 BUSINESS INSIDER 日本では、意思決定者に対する科学者の助言、科学者と政策決定者のコミュニケーションが行われていません

 

 

利根川進博士のぶっちゃけ話:研究者として成功できた理由および成功戦略

利根川進博士がマサチューセッツ工科大学(MIT)の学生に対して研究者のキャリアに関してざっくばらんに話をし、学生からの質問に答えている動画がYOUTUBEにありました(2008年7月15日開催の会)。

自分がどうして研究者として成功できたのかという話と、どうすれば研究の世界で成功できるのか(大きなインパクトを残せるのかという要件と戦略にについての非常に興味深いアドバイスが聴けます。

大学院進学を考えている野心的な学部学生、ポスドク先をどこにしようか悩んでいる博士号取得予定の大学院生、セカンドポスドクのラボ選びを考えている研究者、もう一花咲かせたいPIの人などに是非見て欲しい動画です。

「精神と物質」(利根川進、立花隆)でも研究キャリアの話がかなり詳細に書かれていて自分は研究キャリア形成の素晴らしい教科書だと思っていますが、このMITでの対談の場では、くだけた雰囲気の中でいろいろなことが赤裸々に語られていて、本の印象とはまた違った面白さがあります。

A Conversation with Susumu Tonegawa
MIT Department of Biology

目次

挨拶

(13:13~)はい。このプログラムは素晴らしいと思います。まあ、どうなるかはこれからですが。冗談めかして言うんですが、生物学科もずいぶん人間味が出てきたというか、文化的になってきたなと思っていて、これもその流れの一環なんでしょうね。ここに来られてとても嬉しいです。正直なところ、自分が何をすればいいのかよく分かっていないんです。これまでの回には一度も参加する機会がなかったので。[聞き取り不能]なので、手探りでやっています。時間は45分ほどあって、質疑応答の時間を残しておくのがいいと理解しています。対話の場ということですよね? いずれにせよ、話のきっかけになるようなことを少しお話しします。

(13:13~)OK. So I find that this program is great. OK, I mean, we’ll see how it goes. But I think, I joke, but I think the department of biology is really getting humanized and culturalized and this is the part of that direction and I’m very pleased to be here. I don’t exactly know what I’m supposed to do but I have never had the chance to attend the previous ones. [INAUDIBLE] So I am guessing. We have about 45 minutes and my understanding is it will good if we save some time for questions and answers because it’s supposed to be a conversation, right? In any case I give you a little bit of a sort of a lead for conversations.

生い立ち&京都大学の学部学生のときの決断:分子生物学者になる

(14:10~)まず最初に、皆さんのほとんどが生まれるずっと前、ハーマン・アイゼンは別ですが[笑い]、私は京都大学の学生でした。日本の京都です。専攻は化学でした。でも4年間の学部生活が終わりに近づいた頃、このまま化学の分野に残りたいのかどうか、確信が持てなくなっていました。もちろん化学は今でもとても刺激的な分野だと分かっていますが、当時の私はそれを十分に理解していなかったんです。それで大学院では何か新しいことをやりたいと思って探していました。そんなとき、ある人が教えてくれたんです。1962年のことですから、ずいぶん昔の話です。アメリカ、主に合衆国で、一部はヨーロッパでも、新しい生物学が生まれつつあって、それは分子生物学と呼ばれているのだと。私はそれが何なのかまったく知りませんでしたが、その人が読むようにと何本かの論文を勧めてくれました。それがパスツール研究所のジャコブとモノーの論文で、生物学の学生なら名前を知っていると思いますが。それで私は、当時でいえば今の『Cell』のような存在だった『Journal of Molecular Biology』という雑誌に載ったそれらの論文をすべて読みました。長い論文でした。オペロン説についての論文で、私はものすごく感銘を受けました。そしてすぐに、その場で、分子生物学者としての訓練を受けようと決めたんです。

※文字起こしの「adored paper」「It opened on theory」は、文脈からそれぞれ「operon paper(オペロンの論文)」「It’s the operon theory(オペロン説)」の聞き間違いと判断して訳しています。

(14:10~) First of all, many years before most of you were born except Herman Eisen, [LAUGHING] I was a student at University of Kyoto, you know, Kyoto in Japan. I was in chemistry major. But toward the end of the four year schooling, I wasn’t sure whether I want to stay in the field of chemistry. And of course, chemistry turned out to be it’s still very exciting field but I did not know enough of it.  And I was looking for something new to do for graduate school. And someone told me that– this is 1962. So many, many years ago. Someone told me that the new biology emerging in America, primarily in the United States and partly in Europe, that it’s called the molecular biology. And I had no idea what it was but he introduced me to a couple of papers he recommended to me to read. And those adored paper were by Jacob and Monod, from Pasteur institute, and I hope biology student know these names. And so I read all those papers in the Journal called Journal of Molecular Biology, which was the cell of today at that time. And a long paper.  It opened on theory, and I was so impressed by this. And I immediately, instantaneously decided I’m going to be trained as a molecular biologist.

大学院:UCSDでの博士研究

でも日本には分子生物学の研究室がまったくありませんでした。指導教授が親切にも留学の手配をしてくださって、私はアメリカで最も美しい町のひとつ、ラホヤにたどり着きました。UCSDはちょうど始まったばかりで、大学院には私より上の学年がひとつしかありませんでした。UCSDの歴史の中で2年目だったんです。当時は学部生もいませんでした。つまり大学院大学として始まったわけです。私はそこで分子遺伝学者として、分子生物学、分子遺伝学の訓練を受けました。当時は今と違って、分子生物学の主な流れは真核生物の系ではなく原核生物の系でした。細菌と、細菌に感染するウイルス、つまりファージです。分子遺伝学ですね。博士論文では、λファージの転写制御について、遺伝学的な要素も少し取り入れて研究しました。それはそれで悪くはないのですが、特に誇れるようなものではありません。

※「viruses which infect the phages」は文脈上「viruses which infect bacteria, the phages(細菌に感染するウイルス、つまりファージ)」の意と判断して訳しています。

But in Japan there was no molecular biology lab at all. My professor was kind enough to arrange me to study abroad and I ended up one of the most beautiful town in the United States, which is the La Jolla, UCSD was just starting. They had only one more year above me in a graduate school at UCSD. The second year in the history of the UCSD. There were no undergraduate student at the time. So it started as a graduate school university. I was trained as a molecular geneticist, molecular biology, molecular genetics. At that time unlike now, major thrust in molecular biology was not in eukaryotic systems but in the prokaryotic system. Bacteria and viruses which infect the phages. Molecular Genetics  I worked on phage lambda, transcriptional control  with some genetic components into it at my PhD thesis. This is all OK, but not something I’m particularly proud of.

研究者としてのキャリアを見据えたときに、ポスドク先で何を研究テーマにすべきか

その後、60年代、60年代の終わり、1968年に、私はポスドクに行くことになっていました。さて、当時、仲間の学生たちの間では、分子生物学の将来について不安がありました。分子生物学や分子遺伝学の根本的な大問題が、すべて解かれてしまったように見えたからです。遺伝暗号、タンパク質合成、メッセンジャーRNA、そういったものはすべて発見されていて、数年間のポスドク修行を終えて独立したとき、自分たちに未来はあるのだろうかと考えていたわけです。私たちの間では、というか私の身近な仲間たちは、もっと複雑な系に進むべきだと考えていました。動物細胞や植物、そういったもので発生を研究する。分化、細胞増殖、その制御、といったことです。でも当時は、原核生物の系で行われていたような厳密な研究をするための、本当に優れた技術がありませんでした。ですから、ポスドクにどこへ行くかは難しい決断でした。

※「it was down in prokaryotic system」は「as was done in prokaryotic system(原核生物の系で行われていたような)」の聞き間違いと判断して訳しています。

Then in the ’60, late ’60s 1968, I was going to go do postdoc. Now, among at that time, among the students, my fellow students there was some concern about the future when molecular biology because it looked like the major fundamental problem in molecular biology, molecular genetics all being solved. Genetic code, protein synthesis, messenger RNA, all of those things were discovered and we are wondering  is there a future for us when we become independent after several years of postdoc training. Among us, I mean, my close surrounding thought we should go to a more complex system. So the animal cells or plants, something like that,  to study at development. Differentiation, cell growth, control, and things like that. But at that time there was no really good technology to do that in order to do rigorous research, and it was down in prokaryotic system. It was a difficult decision to make as to where to go for the postdoc.

1stポスドク:ダルベッコの研究室での20カ月

それで私は、ソーク研究所という研究所のことを聞きました。UCSDからノース・トーリー・パインズ・ロードを挟んだちょうど向かい側にあって、そこにレナート・ダルベッコという人が率いる研究室がありました。さて、驚くべきことに、ここにいる若い人たちの中で、ダルベッコが誰か知っている人は何パーセントくらいいるでしょうか。知っている人は手を挙げてください。ほら、年配の人だけですね[笑い]。組織培養でダルベッコ培地って使いますよね、今でも使っています。培地が彼にちなんで名付けられたことは知られていますが、それは彼の研究上の主な貢献ではありません。彼は実はウイルス学者なんです。でも彼は、カリフォルニア工科大学やほかのいくつかの場所で始まった、分子遺伝学、分子生物学の古い学派の出身です。[聞き取り不能]がリーダーで、ダルベッコはすでにそこにいた若手教員でした。彼は医師で、ウイルス学者でしたが、当時分子生物学と呼ばれていたものにすでに触れていました。彼は大きな研究室を持っていて、主な関心は腫瘍ウイルス学、つまり腫瘍形成におけるウイルスの役割を研究することでした。そこでは動物細胞の組織培養を使い、そこにウイルスがあります。当時彼らは、ゲノムの小さいウイルス、シミアンウイルス40やポリオーマウイルスに焦点を当てていました。遺伝子は4つか5つしかなく、DNA、つまりウイルスゲノムを精製できて、それを培養細胞に感染させられる。溶解サイクル、つまり宿主細胞が死ぬ条件でもいいし、別の種類の細胞でやれば、細胞をいわば形質転換させて、増殖の制御を失わせることができる。ですから私には、これは私たちが慣れ親しんだ原核生物の分子遺伝学と、同時に動物細胞について、動物細胞の調節について何かを学べるものとの、いわばハイブリッドのように思えたんです。私はそこに応募することにして、幸いレナートが受け入れてくれました。後で分かったのですが、私と同じ頃に研究室に入ったポスドクの何人かは、まったく同じことを考えていました。彼らも自分の将来を心配していて、真核生物の系で研究したいけれども、純粋な動物の系や植物などではないものを、と考えていたんです。こうして私は真核生物の系に触れることになりました。その研究室ではたくさんのことを学びました。いたのはたった20か月でしたが。なぜ20か月しかいなかったのかは、後ほどお話しします。でも研究室は素晴らしかった。とても優秀なポスドク、シニアのポスドクがいました。30人くらいの大きな研究室です。そしてレナートは、行っても何をしろとは言わないんです。「まあ、いろんな人と話してみて、自分にとって面白いことを見つけてみたらどうかな」と言うんです。そして、プロジェクトのアイデアを持ってきたら喜んで議論すると。でも何をしろとは言わない。私はそこのポスドクたちからたくさん学びました。とても優秀な人たちで、[聞き取り不能]、後にとても優れたシニアの科学者になった人たちです。ともかく、私はそこでいろいろ学びましたが、さっきも言ったように比較的短く、20か月足らずでした。

※文字起こしの誤りと思われる箇所は、文脈に沿って次のように解釈しています。「I had of」→「I heard of(聞いた)」、「We don’t use Dulbecco medium anymore」→「Don’t we use…(使いますよね)」、「load of viruses」→「role of viruses(ウイルスの役割)」、「make actual control for growth」→「lose control(制御を失わせる)」、「But he will tell you what to do」→「won’t(言わない)」。また、文中に挿入されている「Tumor Biology」「Postdocs」「Trade Practical Training」は話の一部ではなく見出し的な挿入と判断し、訳から省いています。カルテクの[聞き取り不能]部分は、時代と文脈からマックス・デルブリュックの可能性が高いと思います。

And I had of this institute called the Salk Institute, which is right across the street from North Torrey Pine road from UCSD and there was a lab which is run by someone called Renato Dulbecco. Now, amazing thing is among younger people here I don’t know how many percent of you know who Dulbecco is. Those who know please raise hands. You see it’s only older people. [LAUGHING] We don’t use Dulbecco medium anymore in tissue culture, we still use that. People know by the medium was named after him  but that’s not his major contribution to research science. And he is a virologist actually. But he comes from this old School of molecular genetics– molecular biology, which was started in Caltech and a few other places.  [INAUDIBLE] was a leader and Dulbecco was already there and a younger faculty member. He was the M.D. He was a virologist, but he was already exposed to what used to be called the molecular biology. He had a big lab and he’s main interest was tumor virology, to study load of viruses in tumorigenesis. Tumor Biology There you use the tissue culture from animal cells, and then you have a virus. They were at that time focusing on small genome virus, simian 40 virus, polyoma virus. They had no more than four or five genes in there, you can purify DNA, viral genome, and then you can infect in a culture in a condition where– lytic cycle where the cell host will die or you’ve done in a different type of cell that you can sort of transform them to make actual control for growth. So it sounded to me these are sort of a hybrid between the molecular genetics of prokaryotic system which we are used to, and at the same time you can learn something about the animal cell, the regulation in animal cells. I chose to apply that place and fortunately Renato took me and afterwards I found out several of the postdoc who joined the lab around the time I joined they had exactly the same consideration. They worried about their future and they wanted to have– they wanted [INAUDIBLE] work on the eukaryotic system but not purely animal system or plants or something like that. Postdocs That’s how I was exposed to the eukaryotic system, same eukaryotic system. And I also learned a lot in that lab although I was there only 20 months. And I tell you why I was there only 20 months in a minute. But lab was fantastic. They were very good postdocs, senior postdoc. The big lab, like 30 people. And Renato doesn’t, when you go there Renato doesn’t tell you what to do. He will say, oh, why don’t you just talk to people and try to find something interesting to you. And then he said he is happy to discuss it if I bring up some project ideas. But he will tell you what to do. And I learned a lot from these postdoctoral people, very good people, [INAUDIBLE]. And those people who later became very good senior scientist. Anyway, so I learned something there Trade Practical Training but it was relatively short as I said, less than 20 months.

J1ビザによる滞在年数の制限

20か月足らずだった理由は、私がJ1ビザ、つまり交流訪問者ビザという種類のビザでUCSDに来ていたからです。今はある程度抜け道もあるのですが、当時はとても厳しかった。実際、博士号を取ってから18か月、この期間は実務研修と呼ばれていますが、それが過ぎたら国を出なければならないんです。母国に帰る必要はないのですが、少なくとも2年間はアメリカ国外に出ていなければならず、そうしないと戻ってこられない。私はアメリカを出なければなりませんでした。レナートの研究室でのことにはとても満足していましたが、出なければならなかったんです。レナートは心配してくれて、私にとても親切にしてくれました。カナダの何人かに話をつけてくれたんです。カナダはアメリカに近いですからね。それで、そこに2、3年いれば、また戻ってこられるかもしれないと[笑い]。いや、笑うかもしれませんが、当時はそうした人がたくさんいたんですよ。

※「trade practical training」は「practical training(実務研修)」、「if I stay at the shelter they are for a few years」は「if I stay there for a few years(そこに2、3年いれば)」の聞き間違いと判断して訳しています。

And the reason why it was less than 20 months is because I came to UCSD with a visa called  J1 visa, exchange visitor visa. And nowadays there is some way to get around a little bit but at that time it was very strict. So actually 18 months after you finished PhD, which is called– this period it’s called trade practical training, you have to leave the country. You don’t have to go back to your native country but you have to go out of United States for at least two years, two years to come back. I had to leave the US. Leaving the US I was very happy with what was going on in Renato’s lab but I had to leave. Renato was concerned, very nice to me and he talked to some people in Canada, but Canada is close to US. And then if I stay at the shelter they are for a few years I may be able to come back. [LAUGHING] No, you may laugh this but a lot of people did that at that time.

カナダでのアシスタントプロフェッサー職

でも、私のポスドクでの研究はそれほど目覚ましいものではありませんでした。ですから一流のポジションは期待できなかったのですが、結局、モントリオールから東へ2、3時間ほどの小さな町、シャーブルックという町で、助教授のオファーをもらいました。大きな病院のある小さな町です。そこにいくつか研究部門がありました。オファーをもらって、グラント、MRCグラント、カナダのMRCのグラントを書いて、それが採択されました。

※「Shellbrook」は、モントリオールの東という位置関係から、シャーブルック大学のあるシャーブルック(Sherbrooke)と判断しています。「best [INAUDIBLE] petitions」は「best positions(一流のポジション)」と解釈し、途中の「Offer Assistant Professor」は見出し的な挿入として訳から省いています。

But my postdoc work was not so spectacular. So I could not expect to have best [INAUDIBLE] petitions Offer Assistant Professor but I ended up having offer assistant professorship in a small town about two or three hours east of Montreal in a town called Shellbrook. It’s a small town with a large hospital. And there were some research division there. I got an offer, I wrote a grant, MRC grant, Canadian MRC grant, and I got it.

ダルベッコからの手紙

手紙では1968年と言いかけて1969年と訂正していますので、そのまま訳しています。

あと3か月ほどで向こうに行くことになっていたとき、レナートから短い手紙を受け取りました。彼は旅行中だったんです。イタリア系アメリカ人なので、よくヨーロッパに行くんですね。ヨーロッパを旅行していて、その手紙は今も持っています。コピーを持ってくればよかったんですが、持ってきませんでした[笑い]。ローマのとても有名なホテル、ホテル・ハスラーのロゴが入った小さな便箋に書かれていました。ホテル・ハスラーはスペイン階段のすぐ上にあって、今もあります。彼はこの手書きの手紙を私にくれたんです。小さな便箋でたった1枚半でした。そこにはこんなことが書いてありました。「私の研究室を出た後にどこへ行くか、君がどう決めたのかは知らない。でも、まだ完全に決めていないなら、別の選択肢を提案したい」と。そして彼は、こんなふうに考えていると書いていました。1968年、いや1969年のことですが、良い分子生物学の訓練を受けた若い科学者が免疫学に進む機は熟していると思う、と。そして、もし興味があるなら、所長の[聞き取り不能]宛てに手紙を書きなさい、住所は487[聞き取り不能]、CH-4058[聞き取り不能]、スイス、と[笑い]。その手紙を見て、私はそれを持ってソーク研究所の下の階に行きました。そこには[聞き取り不能]がいて、ご存じのとおり[聞き取り不能]は免疫学者ということになっていますが、分子生物学の出身でもあります。そこへ行って、ジム・ワトソンという名前のポスドクにこの手紙を見せました。皆さんがご存じのあの人ではなく、別の人です[笑い]。彼とは知り合いで、分子生物学の出身だったので、親近感があったんです。それで彼に、免疫学で私にできることで、何か意味のあることはあるだろうかと聞いてみました。さっき言ったように、彼には分子生物学のバックグラウンドがありました。彼は即座に「いや、何もないよ」と言いました。私は戻って、その手紙を引き出しにしまい、忘れてしまいました。

※聞き取り不能の住所部分は、文脈から、当時ニールス・イェルネが所長を務めていたバーゼル免疫学研究所(Grenzacherstrasse 487, CH-4058 Basel)を指していると考えられます。ソーク研究所の免疫学者の[聞き取り不能]は、モノーの研究室出身でソークにいたメルヴィン・コーンの可能性がありますが、確証はありません。「when I saw that email」は直後に「letter」と言い直しているので「手紙」と訳し、途中の「Jim Watson」は見出し的な挿入として省いています。

And I was supposed to go in about three months when I received a letter, short letter from Renato who was traveling– he’s Italian-American, so he often goes to Europe. He was traveling in Europe and I still have that letter, I could have brought the copy, but I didn’t do it. [LAUGHING] It’s written in a small stationery with the logo of a very famous hotel in Rome, it’s called the hotel Hassler. Hotel Hassler is just above Spanish steps, it’s still there. He wrote this handwritten letter and to me, only 1 and 1/2 pages, small ones. And he said something like I don’t know what you decided about the place you have to go after you leave my lab. But if you have not completely decided here’s I want to suggest an alternative, that’s what he said. And he said something like, he believes. This is 1968. No, 1969 he said, he believes time is ripe for young scientists with good molecular biology training to go into immunology, that’s what he said. And if you are interested, he said, right to doctor– director [INAUDIBLE] 487 [INAUDIBLE] C84058 [INAUDIBLE],, Switzerland. [LAUGHING] And when I saw that email– Jim Watson the letter I took it downstairs in the Salk Institute, where  [INAUDIBLE],, you know [INAUDIBLE] is supposed to be an immunologist,  but also come from molecular biology. I went there and I showed this letter  to a postdoc whose name was Jim Watson. But not the one you know but another one. [LAUGHING] And because I knew him and he come from molecular biology, so I had some affinity to him. So I asked him, is there anything I can do in immunology which could be significant. And as I said he had some molecular biology background. He said, immediately said, no, they had nothing. I went back and put it in my– the letter in my drawer and I forgot it.

ダルベッコの直言

「ススム、これは本当に面白い方向だから、真剣に考えたほうがいいよ。」

それから1か月ほど経って、自発的に出国しなければ国外退去になる期限まで、あと2か月ほどという頃でした。レナートが戻ってきて、私のところに来て、[聞き取り不能]に手紙を書いたかと聞きました。私は書いていないと説明して、免疫学のことは何も知らないし、バーゼルがどこにあるのかも知らないし、[聞き取り不能]が誰なのかも知らなかったと言いました。良い考えだとは思わない、と彼に言ったんです。でもここで、ひとつ大事なことをお話ししたいと思います。レナートは、さっき言ったように、普段は何をしろとは言わない人です。何かを強く勧めることさえしない。でもこのときはなぜか違っていて、それが印象に残ったんです。彼は私に「ススム、これは本当に面白い方向性だから、ちゃんと考えてみるべきだよ」というようなことを言ったんです。その10日ほど後、私はモントリオールを訪れました。12月の終わりでした[笑い]。着任は4月の予定だったのですが、まあ、とにかく恐ろしく寒かった[笑い]。戻ってきて、気持ちがひっくり返ってしまいました。よし、レナートを信じよう、バーゼルに行こう、と決めたんです。

※[聞き取り不能]の人物は、前の段落と同じくバーゼル免疫学研究所の所長ニールス・イェルネと考えられます。「but this case some way and it struck me」は「でもこのときはなぜか違っていて、それが印象に残った」と文脈から補って訳しています。途中の「Montreal」は見出し的な挿入として省いています。

And then about a month later, and it was almost two months before I was supposed to be deported unless I voluntarily leave. Renato came back and he came to tell me– he asked me whether I wrote the letter to [INAUDIBLE].. I explained to him that I did not, and I told him I don’t know anything about immunology, and I don’t even know Basel is, I didn’t know who [INAUDIBLE] is. I didn’t think that this is a good idea I told him. But now, I want to tell you something, it is really important. Renato as I told you doesn’t tell you what to do usually. Even do not recommend strongly to do anything but this case some way and it struck me because he said to me Susumu, this is really interesting direction you should really think about it or something like that. Montreal Then about 10 days later I visited Montreal which was the end of December.  [LAUGHING] And I was supposed to start in April but, I mean, and it was damn cold. [LAUGHING] I came back and I just–my mind flipped. I said, OK, I’m going to trust Renato  and I’m going to go to Basel.

バーゼル免疫学研究所に到着

「お前の研究は免疫学となんか関係あるのか?」「いや、なんの関係もないと思う。」

「T細胞とB細胞の違いを知ってるか?」「いや、知らない」

実際には2月に出国して、バーゼルに行きました。私のつもりとしては、ここでも2年間だけそこにいて、研究を続けるということでした。当時、私はポリオーマウイルスの変異株、温度感受性変異株を作っていて、それは形質転換、つまり細胞の形質転換ができない変異株なんですが、その研究を続けたいと思っていました。幸い、[聞き取り不能]はそれを許してくれました。ただ、私が着いて1週間後に会ったとき、彼は、それが免疫学と何か関係があるのかと聞いてきました。私は「いいえ、何の関係も思いつきません」と答えました。2つ目に彼が聞いたのは、T細胞とB細胞の違いを知っているかということでしたが、私はそんな言葉を聞いたこともなかった。それで「いいえ」と答えました。でも彼は私をクビにはせず、好きにやらせてくれたんです。

※[聞き取り不能]は所長のニールス・イェルネと考えられます。冒頭の「Basel」は見出し的な挿入として省いています。

Basel Actually in February I left and went to Basel. And my intention was again, just stay there for two years  and continue to work– I was making some polyoma virus mutant, temperature sensitive mutants, which will be defective in transformation, cellular transformation. I wanted to continue that research. Fortunately, [INAUDIBLE] allowed me to do that although when he saw me a week after I arrived he asked me whether this had anything to do with immunology. So I said no, I can’t think of any connection. And the second thing he asked me is do I know the difference between T cell and B cells, and I had never heard of that. So I said no. And but he did not fire me, he let me do.

バーゼル免疫学研究所のフラットな体制:博士研究者はみな独立

バーゼル研究所には、いわゆる「水平構造」というものがありました。つまり、博士号かそれに相当するものを持っていれば、それで独立した研究者になれるということです。ポスドクの経験があるかどうかは関係ありません。誰とでも共同研究ができますし、テクニシャンが1人、部屋が半分、つまり研究室が半分と、オフィスが半分与えられて、好きなことをやっていいんです。本来は免疫学に関係のあることをやるべきだったんですが、私はそれを無視していました[笑い]。

※「corroborate」は「collaborate(共同研究する)」の聞き間違いと判断しています。冒頭の「Horizontal Structure」と末尾の「Cellular Cellular Immunology」は見出し的な挿入として省いています。

Horizontal Structure And in Basel institute actually they had this what is called horizontal structure, which means if you have a PhD or a PhD equivalent you’re independent. It doesn’t matter whether you haven’t had any postdoc period or not. And you can corroborate that with anybody but you are given one technician and a half of a room, half of a lab, and a half of a office, and you can do whatever you want to. And you are supposed to do something relevant for immunology but I was ignoring that. [LAUGHING] Cellular Cellular Immunology

心境の変化:免疫学の世界へ

でも2年ほどの間、私は実際かなり苦しみました。みんなが何の話をしているのか分からなかったからです。セミナーがたくさんありました。どうやらとても優秀な免疫学者たちがそこに集まっていたようなのですが、分子生物学者や生化学者といった人はいませんでした。純粋な免疫学です。当時、免疫学で主流だった分野、主流のアプローチは、いわゆる細胞性免疫学でした。セミナーがあって、まあ、出るようにはしていたんですが、本当には理解できていませんでした。でもそのうち、私の考え方が少しずつ変わっていきました。どうやらとても優秀な免疫学者たちに囲まれてここにいるのなら、免疫学を少しは学ぶべきだし、彼らが興味を持つような研究をしてみるべきだと思ったんです。そうしないと、彼らと科学の話をする機会がないですから。

※途中の「Research」は見出し的な挿入として省いています。

But in about two years I suffered actually, because I didn’t understand what they are talking about. There were a lot of seminars. Apparently there were very good immunologists who assemble there but there was no molecular biologist  or biochemist or anything like that. It’s pure immunology. At that time dominant area, dominant approach of immunology well it’s called cellular immunology. There are seminars and I mean, I try Research to go but I didn’t really understand. But then gradually my thinking sort of changed. I thought if I’m going to stay here surrounded by apparently very good immunologist I should learn something in immunology and I should try to do some research which interest them. Otherwise I don’t have opportunity to talk with them science.

免疫学における重要課題:抗体の多様性を生み出す遺伝学的なしくみ

あれこれ探っているうちに、抗体多様性の遺伝的起源という問題に行き当たりました。この問題に初めて触れたとき、正直に言うと、なぜみんな抗体分子そのものではなく抗体遺伝子を研究しないのか理解できませんでした。というのも、当時みんながやっていたのは、リサが言ったように、ほかにも[聞き取り不能]などたくさんの人たちが[聞き取り不能]、ミエローマタンパク質、つまりモノクローナルな免疫グロブリンタンパク質の配列を決めることだけだったんです。十分な数の配列を決めれば、そのパターンから抗体多様性の遺伝的起源に答えられるかもしれないと期待していたわけです。私はこれはどうかしていると思いました。だって、遺伝子を見て、遺伝子とタンパク質を比べなければならないのに、片側だけを見ても問題は解けないでしょう。幸い、バーゼルにいたとき、いや、レナートの研究室にいたときに、私はすでに制限酵素のことを知っていましたし、遺伝子クローニングもほぼ、もうすぐ実現しそうなところまで来ていました。それがレナートの研究室の素晴らしいところでした。レナートの研究室は腫瘍生物学の分野のメッカだったんです。ですから、多くの人が実際にプレプリントをレナートの研究室に送ってきていました。意見をもらうためか何かだったんでしょう。私はすでに知っていたんです、たしか1968年だったと思いますが、スミスと、もう一人は誰でしたっけ? 制限酵素を応用した最初の論文で——

聴衆:ダン・ネイサンズ。

利根川進:そうそう、ネイサンズ。スミスとネイサンズです。それで、それを聞いたとき、私はすぐに、後に実行することになるアイデアを思いついたんです。

※「Unfortunately」は文脈から「Fortunately(幸い)」、「Radar the idea」は「of the idea(そのアイデアを)」と判断して訳しています。冒頭付近の「Antibody Diversity」は見出し的な挿入として省いています。なお、スミスとネイサンズの制限酵素の論文は実際には1970〜71年頃のもので、講演者の「1968年」は記憶違いの可能性があります。

I fished around and I ran into this problem of genetic origin Antibody Diversity of antibody diversity. When I was exposed to this problem. I actually honestly speaking I didn’t understand why they don’t study antibody genes rather than antibody molecules themselves because the only thing that people are doing at that time, as Lisa said but a lot of other people like [INAUDIBLE] and other people are [INAUDIBLE].. They were sequencing myeloma proteins which is monoclonal immunoglobin proteins. And they are hoping that if you sequence enough of them from that pattern you may be able to answer the genetic origin of antibody diversity and I thought that this is crazy. I mean, how can you do that when you have to look at the gene and compare the genes with the proteins, not just on one side it’s not going to solve the problem. Unfortunately, when I was in Basel– I mean Renato’s lab I already knew about restriction enzyme and also almost gene cloning, it almost becoming coming. That was the great thing about Renat’s lab. Renato’s in tumor biology was the Meca in tumor biology field. So a lot of people actually sent pre-prints to Renato’s lab to I guess to get some opinions or something like that. I already knew they are this in I think 1968, first paper with Smith and what is the other guy? Restriction enzyme applied to– AUDIENCE: Dan Nathan. SUSUMU TONEGAWA: Yeah, Nathan. Smith and Nathan. So I thought– when I heard that I immediately thought Radar the idea that I executed later.

抗体の多様性がDNAの組換えで生じているかを検証するアイデア(サザンブロット法以前の時代に)

つまり、抗体を産生している細胞の遺伝子と、抗体を産生していない細胞の遺伝子を、ゲノムごと切断してみる。もし何らかのDNA再編成があれば、切断して、ちなみにハイブリダイゼーション用のプローブがあればですが、ゲルで泳動してプローブで検出されるパターンを見る。基本的にはサザンブロットですが、当時サザンブロットはまだ存在していませんでした。ですから、存在しないサザンブロットに相当することをどうやるかという技術的な問題がありました。でも理論的には、そういうことができれば、遺伝子が再編成しているかどうかはおのずと分かるはずです。私はまずミエローマ細胞株を手に入れて培養するところから始めましたが[聞き取り不能]、同時に、制限酵素で切断したゲノムDNAをどうやって展開するかをずっと考えていました。そして、あまりエレガントではないやり方をしました。サザンブロットはとてもエレガントですからね。血清中のタンパク質を分離する研究をしている人たちは電気泳動を使っていました。水平式の電気泳動です。彼らは分取用のものを使っていて、それがとても大きくて、長さ50センチ、幅40センチくらいだったでしょうか。ゲルがとても大きいので、長時間泳動しなければなりません。免疫学者たちが低温室でそれを使っているのを見て、これを使って、制限酵素で切ったDNAを入れて電気泳動で展開できるかもしれないと思ったんです。試行錯誤はたくさんありましたが、結局、とてもゆっくり泳動しなければならないことが分かりました。急ぐと[聞き取り不能]バンドが詰まって歪んでしまうんです。泳動には3日半ほどかかります。そして、それを切り分けて、各画分、60画分くらいからDNAを抽出する。サザンブロットではありません。それからプローブ、免疫グロブリン遺伝子のプローブとハイブリダイゼーションさせるわけですが、そのプローブ自体、当時はcDNAがありませんでした。私たちがやったのは、ミエローマ細胞株から特定の免疫グロブリン軽鎖のmRNAをできる限り精製することでした。精製を何段階も重ねても、純度は97%か98%を超えなかったと思います。でもそれをヨウ素化する。標識するためにヨウ素で標識して、それをプローブとして使ったんです。そうやって進めました。細かいことを全部はお話ししませんが。

でも残り時間が20分しかないので、ここでやめておいたほうがいいでしょう。若い人たちに伝えたいメッセージはひとつだけです。私はもちろん、ダルベッコにとても感謝しています。彼は、意図的な計画などなしに、最も洗練された指導者だったと思います。私の見るところ、彼にはビジョンがありました。科学がどこへ向かっているのか、5年後、10年後、もしかしたら30年後に、どこで面白いことが展開するのかという。彼は免疫学者ではありませんでしたが、どういうわけか、野心のある若い学生やポスドクに挑戦を勧められるだけのことは分かっていたんです。実はもう少しお話ししておくと、彼はあの手紙の中で、さっきは省略しましたが、とても具体的なことを提案していたんです。「イミューンRNA」と呼ばれるものです。

※文字起こしの誤りと思われる箇所は次のように解釈しています。「probe patent」→「pattern(パターン)」、「lichen mRNA」→「light chain mRNA(軽鎖のmRNA)」、「We owned the preparative thing」→「they used the preparative…(分取用のものを使っていた)」、「constricted and distorted」→ バンドが詰まって歪む意と判断。途中の「Restriction」「Electrophoresis」「Iodine」「Immune RNA」は見出し的な挿入として省いています。

That if you cut up genomic genes antibody producing gene versus no antibody producing genes, if there is any DNA rearrangement, if we cut them up, and if we have a probe by the way, hybridization probe, run the gel and the probe patent. Basically Southern blot, but Southern blot didn’t exist at that time. So that was a technical issue of how to do Southern blot equivalent because it didn’t exist. But theoretically, if you can do something like that one should be able to tell whether gene is rearranging or not automatically. Restriction I started by getting my myeloma cell line to grow them [INAUDIBLE] but at the same time I was always thinking about how to spread out restricted the genomic DNA. And we did something really not elegant because Southern blot it’s very elegant. But we run– people who works on the serum on the separate Electrophoresis proteins in the serum they use electrophoresis, horizontal electro– other electrophoresis. And we owned the preparative thing, they used very large one like 50 centimeter long and maybe 40 centimeter wide, or something like that. You have to run long time because it is a very large gel. And I saw that in the cold room the immunologist were using, so I thought, oh, maybe I can use this one put the DNA, restricted DNA and develop it electrophoretically. And there were a lot of trial and error but it turned out you have to do it very slowly because otherwise if you rush [INAUDIBLE] get constricted and distorted. It takes about 3 and 1/2 days to run. But and then you cut it up, and then extract DNA from each fraction, like 60 fractions. It’s not the Southern blot. And then they do the hybridization with probe, immunoglobulin gene probe, which itself there were no cDNA then. What we did is we purified as much as possible from myeloma cell line, the specific immunoglobulin lichen mRNA. I don’t think it went any more than 97%, 98% pure even if we did the many steps of purification. But then you iodinate. To label you iodinate and then use that as the probe. Iodine That’s how it went. I don’t tell you all of the detail.

But we have only 20 minutes left so maybe I should stop here. And only message I will give to young people is I’m so– of course, I’m so grateful to Dulbecco. And I think that he is a most sophisticated mentor without any intentional planning. He had this, in my view, he had this vision, where the science is going, where the exciting things are going to develop in five years 10 years, maybe 30 years. Immune RNA And he was not immunologist but someway he knew enough to suggest to I guess ambitious young student postdoc, to try. And I think as a matter of fact I’ll tell you a little bit more because he actually in the letter– I abbreviated– but he suggested something very specific it’s called immune RNA.

免疫RNA(でっちあげられた話)

さて、ちょうどその少し前に、ある主張がなされていました。ハーバードのあるグループと、NYUだったかのあるグループが、それぞれ独立に報告したものです。ウサギを抗原で免疫して、その後で脾臓からRNAを抽出し、そのRNAを未感作のウサギに注射すると、そのウサギがその抗原に対して免疫を獲得する、というもので、そのRNAがイミューンRNAと呼ばれていました。でもこれはとても大雑把な話です。RNAを取り出して注射するだけですからね。そういう論文が2本ありました。レナートはたまたまその論文を目にしていて、彼が考えていたことのひとつがそれだったんです。もっと慎重にこれを研究して、RNAの性質を明らかにし、何が起きているのかを突き止めるべきかもしれない、と考えていた。それでおそらく、あの小さな手紙の中で、私がやってみてもいいことの一例としてそれを挙げたのでしょう。結局、その2本の論文は捏造だったことが分かりました。ですから間違いだったわけです。ハーバードのその教授が誰か、ご存じの方もいるかもしれません。いずれにせよ、すでにかなり有名な若手教授でしたが、その大部分は間違い、いや捏造でした。でっち上げだったんです。

※「spring」は「spleen(脾臓)」、「in this small letter I was wrong」は「in this small letter he wrote(彼が書いたあの小さな手紙の中で)」の聞き間違いと判断して訳しています。途中の「Two papers」は見出し的な挿入として省いています。

Now, there was a claim was made around that, just before that one group in Harvard and one group in NYU or something. Independent. If you take a rabbit immunize with antigen Two papers and then afterwards extract RNA from spring, and they inject that RNA to a naive rabbit, that rabbit to become immune to that antigen and that RNA is called immune RNA. But it’s very crude. I mean you just take RNA and inject it. And there was a paper, there were two papers. And Renato happened to see those papers and he was– one thing he was thinking about is that. He was thinking, well, maybe one should study this more carefully and tried to characterize RNA and find out what’s going on. And that probably he mentioned that in this small letter I was wrong as an example of what I might consider doing. It turned out those two papers are fraud, so it was wrong. And some of you may know who the professor at Harvard. But in any case, it is already quite well-known, young professor and most of them are wrong– fraud. They’re made up.

メンターとしてのダルベッコ

具体的に何かを提案したという点では、彼はまったく間違っていました。でも、大きな絵、全体的な方向性を示したという点では正しかったんです。そしてこれは、指導者が心に留めておくべきとても大切なことだと思います。指導者は単なるコーチであってはいけない。指導者は[聞き取り不能]を与える人であるべきです。私はそう感じています。ほかにもお話ししたいことはたくさんありますが、ここでやめて、皆さんからの質問を受けたいと思います。

※[聞き取り不能]の部分は、直前の文脈から「方向性」や「ビジョン」を与える人、という趣旨と考えられます。

He was completely wrong when he suggested something very specific to me but he was right in suggesting big picture, general direction. And I think this is a very important thing mentors should keep in mind. Mentor should not be just a coach, mentor should be a some [INAUDIBLE] giving person. This is the way I feel and– There are a lot of other things but I’ll stop stopped hereand then I’ll let you ask questions.

質疑応答 質問1:アメリカ留学後に京大に戻らなくても大丈夫だったの?

聴衆:京都の先生があなたをアメリカに送り出したとき、先生はあなたが戻ってくることを期待していたのではありませんか?

利根川進:ええ。ビザが切れそうになったとき、もちろん先生には手紙を書きました。でも、先生は私にとって魅力的なポジションを用意することができなかったんです。それで、ああ、つまり、私には戻る道義的な義務があったかということですか?[笑い]いいえ。そう感じたことは一度もありません[笑い]。いや、先生は私が戻らなかったことを不満に思ってはいませんでしたよ。不満には思っていなかった。それで問題なかったんです。皆さんに伝えたいメッセージのひとつは、若い人は海外に行くべきだということです。つまり、世界を見て、いろいろな人と交流して、彼らから学ぶ。私は記憶、脳を研究しています。脳は環境によってとても簡単に形づくられます。人は頭の中にある情報でしか考えられません。新しい場所に行って、新しい人たちと交流し、新しいことを探求することで、それを広げなければならないんです。まあ、ともかく。

AUDIENCE: So when your professor from Kyoto sent you to US, didn’t he expect you to go back? SUSUMU TONEGAWA: Yeah. So when my visa is going to expire I did write to him of course. But I could not– he could not come up with attractive position for me. So oh, you mean, do I have a moral obligation to go back? [LAUGHING] No. I never feel that way. [LAUGHING] No, he was not unhappy that I didn’t come back. He was not unhappy. It was OK. People, one of the message I have is young people should go abroad. I mean, see the world and interact with the different people, and learn from them. I study memory, brain. Brain is so easily shaped by environment. You only think about with information you have in the head. You have to expand it by going to a new place interacting, with new people and exploring new things. But anyway so.

質疑応答 質問2:ダルベッコ研究室の人々について

(43:04~)

聴衆:レナートの研究室からは、ほかにもたくさんの人が出ていますよね。その人たちは——

利根川進:レナートの研究室ね、そうです。

聴衆:[聞き取り不能]

利根川進:ええ、ええ、すごいですよね。[聞き取り不能]

聴衆:[聞き取り不能]もいますよね?

利根川進:[聞き取り不能]はすごいです、ええ。

じゃあ、皆さんに手伝ってもらって、また少し話をしましょう。レナートの研究室ですが、レナート自身がノーベル賞受賞者で、ご存じのとおりです。そして彼の師もノーベル賞受賞者で、サルバドール・ルリアです。そして、レナートのポスドク時代と重なっていたサルバドール・ルリアの大学院生が[聞き取り不能]です。それからレナートの研究室では、デビッド・ボルティモア、ハワード・テミン、リー・ハートウェル、そして私。時期はそれぞれ違いますけどね。リー・ハートウェルは、彼(レナート)がカルテクの教授だった頃の大学院生でした。彼の研究室から4人のノーベル賞受賞者が出ているんです。

聴衆:それに、ポール・バーグもいたと記憶していますが。

利根川進:そうです。ポール・バーグがタンパク質合成、分子遺伝学から真核生物の系に転向したとき、それが後に組換えDNA技術につながるわけですが、彼はサバティカルで1年間レナートの研究室で過ごしたんです。ですから彼はレナートの研究室で真核生物の系に触れたわけです。これは本当にすごいことです。どうやったんでしょうね。つまり、私たちは彼に「どうやっているんですか?」と聞きました。でももちろん、彼は答えない。答えを持っていないんです。ただそうなっただけだ、と言うんです。

ひとつ言えるのは、彼は自分の研究、自分の実験をやっていたということです。彼が何をしているのか、私たちにはまったく分かりませんでした。そして6か月に1回くらい、研究室で話をするというお知らせを出すんです。メールじゃないですよ、当時メールはありませんでしたから。それで彼が話をするんですが、彼があまりにも先を行っているので、何の話をしているのか私たちには分からない。だって1960年、いや60年代の終わりに、彼はすでに細胞の増殖因子、細胞の増殖を調節する因子について考え、話していたんです。そして、特定の増殖因子に対する受容体が細胞表面にあって、それがシグナル伝達を行い、転写や複製の状態を変える、という仮説のもとで研究していました。彼はそういうことを考えていたんです。でもこれはほかの誰にとっても、あまりにも先を行き過ぎていた。それで私たちは、うーん、これは……どうなんだろう、ちゃんとした科学には見えないな、と思っていました。でも後になって、彼はただ、ほかの誰よりもはるかに先を行っていただけなんだと気づいたんです。

※途中のタイムスタンプは省略しています。ルリアの大学院生でダルベッコのポスドク時代と重なっていた[聞き取り不能]の人物は、時期から見てジェームズ・ワトソン(DNA二重らせんの発見者)と考えられます。「Lee Hartwell was when he was a Cal Tech professor graduate student」は、「ダルベッコがカルテクの教授だったときの大学院生」の意と解釈しています。

43:04 AUDIENCE: Renato’s lab produced many other people. Where people– SUSUMU TONEGAWA: Renato’s lab, yes. AUDIENCE: [INAUDIBLE] SUSUMU TONEGAWA: Yeah, yeah, it’s amazing. [INAUDIBLE] AUDIENCE: [INAUDIBLE] is out there, right? SUSUMU TONEGAWA: [INAUDIBLE] is amazing, OK. 43:17 Now, you help me to tell you a little story again. You know Renato’s lab, Renato himself is a Nobel laureate 43:25 and you know. And his mentor is a Nobel laureate who is Salvador Luria. 43:31 And Salvador Luria graduate student who overlapped with Renato’s postdoc period [INAUDIBLE].. 43:39 And then in Renato’s lab. So David Baltimore, Howard Temin, Lee Hartwell, 43:45 and myself. I mean at a different time. Lee Hartwell was when he was a Cal Tech professor graduate 43:52 student. He had four Nobel laureate from his lab. AUDIENCE: And I think I remember Paul Berg. 43:59 SUSUMU TONEGAWA: Yes, Paul Berg when he changed from protein synthesis, molecular genetics 44:07 to eukaryotic system, which led to this recombinant DNA 44:12 technology he spend the one year in Renato’s lab for a sabbatical. 44:18 So he was exposed to eukaryotic system in Renato’s lab. This is quite amazing. How did he do it 44:24 I mean, we asked him how you do it? How he does it? And of course, he doesn’t answer. 44:31 He doesn’t have any answer. That it just happened, he says. 44:38 The only thing is he does his own research, his own experiments. We had no idea what he was doing. And it was every six months or so, he send out notice– not the email. No email then— that he’s going to give a talk in the lab. So he gives a talk, and we don’t understand what he’s talking about when he is so far ahead. You know, 1960– just in the late ’60s, he was already thinking, talking about growth factor in a cell, which would regulate the growth of cells. And he was working under the assumption there was a receptor for the specific growth factor on the cell surface and then did a signal transduction for changing a transcriptional or replicational state. And he was thinking about that. But this is very ahead for everybody else. So we thought, oh, this is– I don’t know. This doesn’t look like hard science. 45:53 But later, we realized that he was just very ahead of everybody else, I think.

質疑応答 質問3:ノーベル賞の連絡があったときの状況

聴衆:スウェーデンからかかってきた電話のことを話していただけますか? どこにいらっしゃったんですか?

利根川進:ベッドの中でした。早朝でしたから。ボストン時間ではかなりの早朝なんです。なので寝ていました。でも実は、電話はストックホルムからではありませんでした。東京からだったんです。記者がストックホルムより先に電話してきたものですから。

まあ、ともかく。はい、どうぞ。

Telephone call

AUDIENCE: Can you describe the telephone call you got from Sweden? I mean, where you were?

SUSUMU TONEGAWA: I was in bed. It’s early morning. So Boston time is a very early morning. So I was sleeping. But also, call was not from Stockholm. Call was from Tokyo because a reporter called earlier than Stockholm.

Anyway, yes, please?

質疑応答 質問4:脳科学で発展性のある分野は?

聴衆:では、もしご自身の学生やポスドクに何か提案するとしたら、面白い分野はどこでしょうか——

利根川進:将来についてですか?

聴衆:5年後、10年後とか[聞き取り不能]。

利根川進:脳ですね、脳です。まあ、知っておいてほしいのは、誰もが——客観的な先見性などというものは存在しないということです。それぞれの人が持っているものは、実は頭の中にある記憶と、いわゆる「好み」に基づいているんです。そのうえで言えば、私は脳には途方もない未来があると考えています。脳研究はいろいろなやり方でできます。完全に学際的な研究です。生物学的にもできるし、生理学的にもできるし、行動からもできる。それに新しい技術もたくさん必要です。もっと技術を発明しなければならない。特に、最終的に動物ではなくヒトの脳を研究したいのであれば、そうです。ヒトの脳の中で何が起きているかを見るための非侵襲的な技術に、本当の革命が必要です。それはまだこれからです。MRIは今は優れていますが、人間の心を本当に理解するには十分ではありません。ですから、工学は間違いなく関わってきます。私に言えるのはそれくらいですね。

つまり、多くの人が同じことを言っていますが、脳研究に深く関われば関わるほど、私はそう確信するようになっています。そして大事なのは、脳研究のその学際性をしっかり意識することです。ですから、ひとつのレベルの解析だけでなく、少なくとも2つ、できれば3つ、複数のレベルで学ぶ、訓練を受けるようにすべきです。そうすれば、異なる複雑さのレベル、つまり細胞、細胞間相互作用、生理学、行動などで起きているプロセスや事象を結びつけることができます。それと、ここは生物学科ですから言っておくと、分子生物学は強力な手段であり、今後も強力であり続けます。それは間違いありません。皆さんご存じですよね? 分子生物学は生命科学のどの分野にも応用できます。ですから、ちなみに、若いうちに優れた分子生物学者としての訓練を受けておくのは良いことです。でもそのうえで、新しい問題を探求することを考えてほしいんです。

※途中のタイムスタンプと、「Future of brain research」「Interdisciplinarity」などの見出し的な挿入は省いています。

AUDIENCE: So if you had to make a suggestion Future of brain research to your student or the postdoc, what would be some exciting area– 46:47 SUSUMU TONEGAWA: For the future? AUDIENCE: Five, 10 years or [INAUDIBLE].. 46:53

SUSUMU TONEGAWA: Brain, brain. Well, you should know that everybody– there’s no such a thing as objective visionary. 47:05 So each one has their– is based on their– actually, based on the memory they have in their head 47:13 and what is called a taste. And well, I consider brain is a tremendous future. 47:24 And brain research can be done in many different ways. It’s totally interdisciplinary research. 47:30 You can do biologically. You can do physiologically. You can do behaviors. And a lot of new technology is needed, also. 47:38 More technology has to be invented, particularly if eventually, if we want to study human brain, rather than animals. 47:45 We need a real revolution in a non-invasive technology 47:50 to look at what’s going on in the human brain. So this is yet to come. 47:56 MRI– it’s good now, but it’s not good enough 48:03 for real understanding of human mind. So engineering is definitely there. 48:09 And I think that that’s all I can say. Interdisciplinarity I mean, a lot of people say the same thing. But the more I get involved in brain research, 48:24 the more I’m convinced. And important thing is you are very aware of that interdisciplinarity of brain research. So one should try to learn– train– trained in not in one level of analysis, 48:50 but at least two, maybe three levels, multiple levels, so that you can make a connection between processes, events happening in the different level of complexity– cellular, cellular interactions and physiology behavior, 49:05 and so on. But I also say that since this is a biology department, molecular biology will be powerful– continue to be powerful. There’s no doubt about it. You know this, right? Molecular biology is applicable for any area of life science. So it’s good to be trained as a good molecular biologist, by the way, when you are young. But then, you want to think about exploring new problems.

質疑応答 質問5:なぜ科学研究者に?

聴衆:科学の道に進むうえで、人生の早い時期に影響を受けたことについてお話しいただけますか? たとえば、ご家族に科学者がいたとか。化学実験セットを持っていたとか。地下室であれこれいじっていたとか。

利根川進:そうですね、これもさっき言ったことの確認になりますが、人間の脳は環境によって簡単に形づくられます。ですから、医者の子どもはよく医者になるし、弁護士の子どもはよく弁護士になる。科学者や技術者の子どもはよく科学者や技術者になる、といった具合です。私もその例外ではありません。親戚、おじや祖父は、ほとんどが科学か工学の分野にいました。父も兄もそうです。兄は物理学者になりましたし。ですから、若い頃、10代の頃に私が知っていた世界はそれだけでした。何らかの科学の道に進むのは、私にとってごく自然なことだったんです。では、なぜ化学だったのか。それは難しい質問です。たぶん高校で化学の成績が良かったからでしょう。それで、自分には化学の才能があるかもしれないと思ったんです。でもそれは——まあ、ただ[聞き取り不能]だったというだけです。

※途中のタイムスタンプと、末尾の「How to become a scientist」は見出し的な挿入として省いています。

AUDIENCE: Can you say something about early influences in your life going into the scientific direction? I mean, did you have family members? Did you have a chemistry set? Did you tinker around in the basement?

SUSUMU TONEGAWA: Well, just again, I’m confirming what I already said. Human brain is easily shaped by environment. So the doctors’ children often become a doctor. Lawyers’ children often become a lawyer. Scientists’ or engineers’ children often become scientists or engineers, and so on. So I am not an exception to that. So in my bigger family, and the uncles, grandfather, they are mostly in science or engineering, including my father and my brother. My elder brother became a physicist, and so on. So that’s only world I knew when I was younger– you know, 50:39 teenagers. And it was very natural for me to go into some kind of science. 50:46 Then why chemistry? That’s a difficult question. I guess in high school, my grade in chemistry was good. So that’s why I thought I may have some talent in there. 51:00 But that’s not– yeah, they was just [INAUDIBLE].. How to become a scientist 51:06

質疑応答 質問6:免疫学から神経科学への転向について

聴衆:神経生物学への転向と、そのためにどう準備されたかについて、少しお話しいただけますか?

利根川進:どのように? 移行ですか? 転向?

聴衆:〜からの転向です——

利根川進:ええ、転向ね。これもまたよく聞かれる質問です。あなたは若いけれど、そこまで若くはないですね。私はもっと若い人たちに向けて話しています。そこはご容赦ください。

科学者として、もし科学者になりたいのであれば、いちばん大事なのは、おっしゃるとおり、好奇心や興味、科学的な興味だと思います。ある分野で研究をしていると、もちろんそこにはほかにも面白いことがあります。そして本当の意味で終わらせることは決してできません。問題は、それが本当に自分にとって面白いのかどうかです。つまり、人は常に、数週間ごとに、自分は本当に——今ここでやっていること、研究は、ほかのことと比べて本当にやる価値があるのか、と考えるべきだと思うんです。言い換えれば、いわゆる「重要性」を常に評価すべきです。それもまた非常に主観的な判断ですが、それでいいんです。この世のことはすべて主観的ですから。ですから、自分が本当に見ているもの、追い求めているものが、自分にとって本当に「重要」と言えるものなのかどうかを評価すべきです。それで、免疫学では、私はいわゆる免疫学の研究をしていました。ちなみに、私は自分が免疫学者だと感じたことは一度もないんですよ。いつも自分は分子生物学者だと感じていました。ただ分子生物学を使って免疫学の問題を研究していただけです。それを、15年くらいでしょうか、やっていました。もう少し長いかもしれません。もちろん問題はまだたくさん残っています。でも私は、何か本当に新しいことを探求したいと感じ始めたんです。新しいことを探求したい、と。そしてこれについては、もっと微妙な考えもあります。

※途中のタイムスタンプは省略しています。「I really explore something new」は「I really want to explore something new(本当に新しいことを探求したい)」の意と判断して訳しています。

AUDIENCE: Can you say a few words about your transition to neurobiology and how you prepared for it? SUSUMU TONEGAWA: How? 51:12 Transfer? Transition? AUDIENCE: Transition from– SUSUMU TONEGAWA: Yeah, transition– so that’s another thing. 51:17 That question is often asked. 51:24 You are young, but not so young. And I’m talking to younger people. You’ll excuse me for that. 51:35 You know, I think as a scientist, if we want to become a scientist, 51:41 I think the most important thing is your, as you say, 51:46 curiosity or your interest, scientific interest. 51:52 So as you do some research in some areas, of course, 52:00 there are other interesting things there. And you can never really finish it. 52:06 The question is, is it really interesting for you? 52:13 I mean, I think people should always think about, every few weeks, am I really doing– what I’m doing here, research, is it really worthwhile doing it compared to something else? And in other words, you should always assess what is called “importance,” which is also very subjective judgment. But that’s OK. Everything is subjective in this world. So you should assess whether you’re really looking at, seeking, something really– what is called “important” for you, important. So in immunology, I worked in so-called immunology. By the way, I never felt I’d been an immunologist, OK? I always felt that I’m a molecular biologist. I just use the molecular biology to study immunological problems. So I did that for, what, 15 years or so? 53:14 Maybe a bit more. And of course, there are still a lot of problems. But I started feeling I really explore something new. 53:24 I said explore something new. And there’s more subtle thinking on this.

サイエンスで成功するために必要なこと(53:32)

ひとつは、強い興味。

もう一つは、その研究領域の重要な問題にアプローチするための、自分だけの方法論を持っていること。

科学では、ご存じのとおり、自分が取り組んでいる分野に本当にインパクトを与えたいなら、いくつか必要なものがあると思います。ひとつは強い興味です。そして2つ目は、何らかのアプローチ、専門性、技術、そういったもので、自分が好きで、かなり得意だと思えるけれど、その分野のある問題を研究するのにほかの人たちが使っていないものです。ですから、いわゆる学際的アプローチに近いものですね。そうでなければ、後から参入した者がその分野に大きく貢献するのは不可能だと思います。分かりますか? だって、何千人、もしかしたら何万人もの優秀な人たちが、何年も何年もその問題について考えてきたわけです。そこに突然、自分が入っていく。そこで彼らと同じアプローチを使ったり、同じ考え方を当てはめたりしても、貢献できる見込みはとても小さいと思います。ですから、誰もやったことのないものに行き当たらなければならないんです。

私が免疫学研究所に行ったとき、核酸の分子生物学をやっている人は誰もいませんでした。免疫学の問題に関心を持つ人で、それをやっている人は世界中に誰もいなかったんです。そして私はたまたま、ほかの分野でその訓練を受けていた。私がやったことといえば、その問題と自分の持っていたアプローチを組み合わせただけです。幸い、ほかに誰もやっていませんでした。ちなみに、後になって競争相手は現れました。セーサル・ミルスタインや[聞き取り不能]も参入してきたんです。

※途中のタイムスタンプと、紛れ込んだ数字(「5」)は省いています。

In science, as you know, if we want to have a really impact to that field that you are working on, I think you need a few things. One is keen interest. And the second thing is some kind of approaches, expertise, or techniques, or something, which you like, and that you think that you are pretty good at, but other people are not using to study certain problems in the field. So it’s almost like what is called interdisciplinary approach. Otherwise, I think it’s impossible to be able to contribute significantly to a field as a latecomer. You understand that? Because there are thousands of, maybe tens of thousands of bright people who have been thinking about the problems for many, many years. And then all of a sudden, you go in there. 5And if you use the same approach as they are using, or their same thought, applying the same thoughts, I think the chances are very small that you can contribute. So you have to run into something that nobody has done. 55:05 So when I went to Immunology Institute, nobody was doing the molecular biology of nucleic acids. Nobody in the world interested in the immunological problem was doing that. And I happened to be trained in that field in other areas. And all I did is combine the problem with the approach I had. Now, fortunately, nobody else was doing. And I did have competition later, by the way. César Milstein, [INAUDIBLE],, they also came into that.

免疫学の研究から離れた理由

いずれにせよ、免疫学でも同じことで、免疫学は、医学的な訓練、つまり医学と博士課程の両方の訓練を受けた人たちのほうが、免疫学に残っている問題、たとえば免疫寛容や免疫そのものといった問題の研究を続けるのに、より向いている、より楽しめる段階に来ていると感じたんです。私には医学の訓練がまったくありませんし、それに——何と言えばいいでしょうか。そういったことを全部研究すべきなのは自分ではない、と感じたんです。

But in any case, so the same thing in immunology, so I felt immunology is coming to the point where the people who have more medical training, medical, as well as PhD training, will probably have a better– more fun– to continue to study some of the remaining problem in the immunology, like tolerance and so on, or the immunity, or things like that. And I don’t have any medical training, and I didn’t want to let– how do I say? I didn’t feel that I’m the one who should be studying all those things.

神経科学領域への転身:分子生物学を脳研究に持ち込む

そこで私は何か新しいことをやりたいと思いました。つまり、押し出す力と引き寄せる力があったんです。押し出す力は今言ったことです。引き寄せる力は、脳に興味があったこと。心に興味があったことです。でも何年もの間、どうやって研究すればいいのか分かりませんでした。言い換えれば、自分や自分の研究室に独自の、あるいは「ほぼ独自の」アプローチを持っていなかったんです。でも幸い、免疫学研究の終わりの頃、私たちはトランスジェニックや遺伝子ノックアウトの系を使って、免疫系をシステムとして研究していました。そしてある日、[聞き取り不能]、今はUCLAの教授ですが、彼がポスドクとしてやってきました。彼と話しているうちに、マウスの行動の基盤にあるメカニズムを研究するのに、トランスジェニックやノックアウトマウスの技術を応用した人はまだ誰もいないことに気づいたんです。ショウジョウバエの研究者たちはすでにそれをやっていました。その数年前から研究していたんです。でも今やマウスでもできるようになっていたのに、誰もやっていなかった。まだ誰も始めていなかったんです。それで私は、これはもしかしたら、と思いました。そしてそれが、私が、私たちが入っていく突破口になりました。免疫学を段階的に終わらせて神経科学に移るのに、7年ほどかかりました。でも、とても良い転換でした。私の学生やポスドクたちの多くも一緒に転向して、みんなで一緒に学んだからです。そして中には私より詳しい人もいました。たとえばMDのポスドクは、すでに脳の解剖学を知っているわけです。私にとっては聞き慣れない名前をいろいろ教えてくれる。私は彼らから学びました。解剖学だけでなく、いろいろなことをね。ですから、問題ありませんでした。本当に、私が幸運だったのは、ハワード・ヒューズの支援を受けていたことです。だから安定した資金があった。でも実は、マックス・コーエン——私はハワード・ヒューズの免疫学プログラムに入っていたんです。それで、私が転向すると聞いたマックス・コーエンは、どうしたんだったか、手紙をくれたのか電話をくれたのか、私の転向に不満を表明しました。「おい、ススム、君は免疫学プログラムに入っているんだぞ」と。

聴衆:彼が何と言ったか、お話しできますよ。

利根川進:え?

聴衆:彼が何と言ったか、お話しできます。というのも——

利根川進:で、彼は何と言ったんです?

聴衆:ええ、あなたが転向しようとしていた当時、私はがんセンターの所長だったんです。それで、あなたは電気生理学の実験をするための部屋を欲しがっていた。覚えていらっしゃるかもしれませんが、私が1部屋用意しました。するとマックスから電話がかかってきて、「その部屋の費用はうちでは払わない」と言うんです。[聞き取り不能]しようとしたんですが。それで[聞き取り不能]に1部屋確保して。

利根川進:そうそう、そうでした。

聴衆:それで私は「費用を誰が払うかなんてどうでもいい。彼には部屋があるんだし、彼は神経生物学をやるんだ」と言いました。

利根川進:よかった。

聴衆:そして後になって、彼も考えを改めました。

利根川進:後になってね。ええ、考えを改めてくれました。最初の論文が出た途端に、転向を認めてくれて、「いや、素晴らしいじゃないか」と言ってくれました。そういう意味で、ハワード・ヒューズの人たちはとても良くしてくれました。

※途中のタイムスタンプは省略しています。「マックス・コーエン」は、当時HHMI(ハワード・ヒューズ医学研究所)の科学部門の責任者だったW・マクスウェル・コーワン(Max Cowan)を指していると考えられますが、訳では発言どおりの表記にしています。UCLAの教授になった[聞き取り不能]のポスドクは、利根川研でαCaMKIIノックアウトマウスの研究をしたアルシーノ・シルバの可能性が高いと思います。聴衆の「Cancer Center Electrophysiology」の「Electrophysiology」は見出し的な挿入と判断しました。また、「my students are now postdocs」は「my students and postdocs(学生やポスドク)」の意と解釈しています。

So I wanted to have something new. So there is a push and a pull. The push is what I just said. Pull is I was interested in the brain. I was interested in mind. 56:44 But I didn’t know for several years, I didn’t know how to study. In other words, I didn’t have this approach, which is unique, 56:51 or “almost unique,” to me or to my lab. But fortunately, toward the end of immunological research, we are using this transgenic gene knockout system to study immune system as a system. And then one day, [INAUDIBLE],, who is now professor at UCLA, came as a postdoc. When I was talking with him, we realized nobody has applied the transgenic or knockout mouse technology to study the mechanism underlying mouse behavior. Now, there are Drosophila people are already doing that– 57:38 been the study of that several years before that. But it was now possible also to do with mouse, but nobody was doing that. Never had anybody is starting doing that. So I thought this may be– 57:56 and that was a break with which I went in. We went in. It took about seven years to phase out immunology and go up 58:05 neuroscience. But it was a great change because my students are now postdocs. 58:11 Many of them also switched, and we learned together. 58:16 And then some of them know better than me. You know, like an MD postdoc, they know the anatomy of the brain already. 58:23 They tell me all these foreign names to me. And I learn from them. 58:31 And they’re not just anatomy, but many things. So it was OK. Really, I had– the luck I had is had Howard Hughes. 58:41 So we had stable funding. But actually, Max Cohen– I was on Howard Hughes’s own immunology program. 58:49 So when Max Cohen heard that I’m switching, he– 58:55 I don’t know what he did. He wrote to me or he called me, and he expressed his displeasure for my changing it. 59:04 He goes, hey, Susumu, you are in the immunology program. AUDIENCE: I can tell you what he said. 59:10 SUSUMU TONEGAWA: Huh? AUDIENCE: I can tell you what he said because– SUSUMU TONEGAWA: Well, what did he say? AUDIENCE: Yeah, because I was director of the Cancer Center Electrophysiology 59:15 at the time when you were making the switch. And you wanted a room to do electrophysiology. 59:21 And if you remember, I gave you one. And Max called me up and said, we’re not paying for that room. 59:30 We tried [INAUDIBLE]. And we got one to [INAUDIBLE]. SUSUMU TONEGAWA: Right, right. AUDIENCE: And I said, well, I don’t care what we pay for it. 59:38 He’s got the room, and he’s going to do neurobiology. SUSUMU TONEGAWA: Good. AUDIENCE: And he came around later. SUSUMU TONEGAWA: Later. 59:43 Yeah, came around. He came around. As soon the first paper was coming out, we agreed– change. 59:51 And he said, oh, it’s great. 59:58 So in that sense, Howard Hughes people are very good, very nice to us.

質疑応答 質問7:科学研究の最高峰に上り詰めてもなお自分を研究に駆り立てるものは何か?人生を楽しむため

生きている限り、何か面白いことをやらなきゃね。でないと死ぬほど退屈でしょ。

はい、どうぞ。

聴衆:何がモチベーションになっているんでしょうか? つまり——

利根川進:聞こえません。

聴衆:今やっている研究を続けるモチベーションは何ですか? やっていることへの興味だけなんでしょうか? つまり、科学の世界で前に進み続ける、走り続けるモチベーションは何なのか。というのも、あなたはもう科学的業績の頂点に到達したと言う人もいるかもしれませんよね。その先も続けていける原動力は何なんでしょうか?

※途中のタイムスタンプは省略しています。

Yes, please? 1:00:04 AUDIENCE: What keeps you motivated? I mean– SUSUMU TONEGAWA: I can’t hear you. AUDIENCE: What keeps you motivated to continue 1:00:09 the work that you’re doing? Is it just the interest in what you’re doing? I mean, just what keeps you motivated to keep 1:00:16 going, to keep pushing forward in science? Because some people might have said that you have attained the peak of scientific achievement. So what keeps you going beyond that point?

利根川進:自分が頂点にいると思ったことは一度もありませんよ。どういう意味です? まだ生きていかなきゃならないんですから。だったら、何か面白いことをしたいでしょう? 生きている限り、人生を楽しみたい。だから、自分がわくわくできる何かを見つけなきゃいけないんです。そうでしょう?

SUSUMU TONEGAWA: I never thought that I was at the peak. What do you mean? You still have to live. 1:00:39 So you want to do something interesting, right? You want to have fun in your life, as long as you are living. So you have to find something which you get excited about. Right?

素早く学ぶためには耳から情報を入れる

ですから、私のように遅く、遅い時期に分野を変えるのはとてもいいことなんです。また戻れるからです。学生になるんです。学生に戻る。だから、たくさんのことをものすごい速さで学ぶ。授業で勉強したり、本や教科書を読んだりするのとは違います。[聞き取り不能]分野を変えるときには、それでは遅すぎるんです。だって、明日には、とても有名な神経科学者と共同研究の話をしなければならない。だから明日までに、話す内容の基本を知っておかなければならない。それで、周りの人たちにとにかく聞いて回って、耳から学ぶんです。まあ、このやり方だと情報はおそらくあまり正確ではないでしょう。でも少なくとも、だいたいの感じはつかめる。科学はそういうふうにやるべきだと私は思っています。まあ、科学のやり方は、それぞれ次第ですけどね。

※「It’s a lot like studying in a class」は、直後の「that’s too slow(それでは遅すぎる)」とのつながりから、「It’s not like…(〜とは違う)」の意と判断して訳しています。「you get the sound」は「だいたいの感じ(sense)がつかめる」と解釈しています。

So it’s great if you change your field late, late, like I did, because you go back. You become student. You become a student. So you learn a lot of things very fast. It’s a lot like studying in a class and reading a book, textbooks, or things like that.  [INAUDIBLE] that’s too slow if we are changing a field. Because tomorrow, I have to talk to a very well-known neuroscientist for collaboration. So by tomorrow, I have to know the basics of what we are going to talk about. So I just ask around, the people, and by ears we learn things. I mean, it’s probably information is not very accurate this way. But at least you get the sound. That’s the way I think the sciences should be done. I mean, the science– it’s up to you.

面白いと思ったことをやる以外ない

つまり、興味があるならやる。それ以外に選択肢はないんです。そうでなければ、退屈で死んでしまいますよ。お役に立てたならいいのですが。どうでしょうね。大丈夫でしたか? 未来は脳、神経科学にあるとはいえ、分子生物学が大切だということは強調しておきたいと思います。

I mean, if you’re interested, you do it. We have no other choice. Otherwise, you are bored to death– die. I hope it’s useful. I’m not sure. It’s OK? I want to emphasize molecular biology is important, although future is in brain neuroscience.

質疑応答 質問8(1:02:25)ヒトの脳をロボットで実現する日はいつ?

聴衆:ひとつ質問があります。ロボットで実際にヒトの脳をモデル化できるようになるまで、どれくらいかかると思われますか?

利根川進:おっと。どれくらいかかるか? その質問はきっとほかの人にしたほうが、もっと良い答えが返ってきますよ。でも難しいですね。人間のように振る舞い、考えるロボットの話ですよね。それは、そんなにすぐには実現しないと思いますよ。

聴衆:実現するかもしれませんよ。

利根川進:いや、実はね、それをやるのはかなり危険なんです。もしロボットがあなたのことを気に入らなかったら、ロボットのほうがずっと大きな力、桁違いの力を持ちうるわけですから。攻撃してくるかもしれない。ですから私たちは——その意味では、ロボットが人間のようになることはないと思います。人間がそれを許さないでしょうから。でも問題は、ロボットが、ソフトウェアを与えられなくても、この機械が自発的に、刺激に反応するだけでなく、思考を持てるかどうか。行動を計画できるかどうか。それはまだ達成されていないと思います。ですから、進歩はするでしょう。そういう技術は進歩していく[聞き取り不能]。でも、どこまでできるのか、私には分かりません。それにいつなのか。どんなロボットの話をしているのか、どの段階のロボットなのかにもよります。たとえば、ロボットは今では患者の世話ができますよね。決まった時間に薬を渡して、患者に何か気持ちが和らぐような言葉をかける。でもそれは全部ソフトウェアがあるからです。つまり、人間がそうするように指示を与えているわけです。ですから、ロボットは自分自身の——つまり、ヒトの脳を見てみると、ヒトの脳のハードウェアは環境に応じて変化するんです。ハードウェア、つまりネットワークそのものが、環境に適応するように変わる。私たちは環境から情報を取り込んでいる。環境と完全に相互作用する機械なんです。ですから、MITの人工知能の研究者に聞いてみてください。実はとても面白いんですよ。本格的に思考する機械を考えている人たち、それにロボット工学を考えている人たち、そして同時に神経科学者とでは、見方がまったく違うんです。

※途中のタイムスタンプは省略しています。冒頭の質問は聴衆によるものとして表記しました。「I don’t think people have agreed to do that」は「achieved(達成した)」の聞き間違いと判断し、末尾の「they are viewed completely different」は「見方がまったく違う」と解釈して訳しています。

I have one question. How long do you think it’s going to take to actually model 1:02:32 the human brain with robots? SUSUMU TONEGAWA: Oh. 1:02:38 How long it’s going to take? I’m sure you can ask that question to somebody else. 1:02:45 You will get a better answer. But it’s tough. 1:02:51 You’re talking about a robot who behave, think, like human beings. That– I don’t think it will happen very soon, OK? 1:03:05 AUDIENCE: It could. SUSUMU TONEGAWA: I mean, actually– actually, it’s quite dangerous to do that because if a robot doesn’t like you, they could have much more power than you have, and a different order of magnitude of power. So they may attack you. So we have to– I don’t think– in that way, I don’t  think a robot will be ever be like a human being because human being will not allow that, right? But the question is, can robot– without given software– can this machine proactively not only respond to the stimulation, but have a thought? Planning of the behavior? I don’t think people have agreed to do that. So I think it will advance. Technology like that will advance [INAUDIBLE].. But to what extent we can do that, I don’t know. And when? It depends on what robot you’re talking about, what stage of robot. I mean, robot can now take care of patients, for instance– give the pills in the right time and say something soothing to you, to the patients. But that’s all software is there.  I mean, the human is giving them to do that. So they have to create their own– I mean, if you look at the human brain, the human brain’s hardware changes in response to environment. Hardware– it’s a network itself– changes to adapt to the environment. We incorporate information from environment. It’s a totally interactive machine with environment. So please ask someone in the– artificial intelligence people at MIT. You know, it’s very interesting because people who are really hardcore thinking-machine people, plus it’s people who are think about robotics, but also at the same time, a neuroscientist, they are viewed completely different.

テレンス・セジノウスキー

それで思い出しました——そうだ、ひとつだけちょっとした話をして、それで終わりにしますね。テリー・セイノウスキーは、ソーク研究所のとても優秀で尊敬されている神経科学者で、生物学からロボット工学、計算論まで、あらゆることに幅広い理解を持っている人です。私は彼をとても尊敬しています。その彼が先日、こんな話をしてくれました。何年も前、MITの「思考する機械」の研究者たちが、まさに生産性の絶頂にあった頃、彼はセミナーに招かれました。講義室に向かう途中、ホスト役の教授から、うちのロボットやコンピュータ、スーパーコンピュータを批判しないでくれと釘を刺されたそうです。それで彼は考えた。そして、ちょうど講演を始めようとしたとき、ハエが、小さなハエがここに飛んできたんです。彼はとっさにこう考えた。「皆さん、今このハエがここに飛んでくるのを見ましたよね。この小さなやつは、どこに食べ物があるかを見つけ出せる。そこへどうやってたどり着くかも知っている。それを蓄えておく方法まで知っている。自分で繁殖することさえできる。一方、私は昨日ここの地下で、あの巨大なスーパーコンピュータを見ました。動くことすらできない。もちろん自分で繁殖することもできない」。これは、さっき言ったように、何年も、10年くらい前の話です。それが、小さくて単純な、比較的単純な脳と、巨大なスーパーコンピュータとの違いなんです。以上です[拍手]。ありがとうございました。

So I remember someone– yes, I tell you one little thing. I’m going to finish it, OK? Terry Sejnowski is a very good, respected neuroscientist at the Salk Institute who has a very broad understanding– biology to robotics to computational– everything. I really respect him. So he was telling me the other day that some years ago, when the thinking machine at MIT– people who are at the height of productivity– he was invited to give a seminar. And on the way to the lecture room, the host professor warned him not to criticize their robotics or their computers, supercomputers. So he thought about it. And then he said he started– just about he was try to start the lecture, fly, little fly, flew here. And immediately, he thought, you know, you just saw this fly flying here. You know, this little guy can find out where the food is. He knows how to reach there. He knows how to even store it. He can even reproduce himself. Now, I just saw this huge supercomputer in the basement yesterday in here. They can’t even move. They certainly cannot reproduce by themselves. So this was, as I said, many years, 10 years ago. So that’s the difference of a little, simple, relatively simple brain and a huge supercomputer. OK? [APPLAUSE] Thank you.

参考

難しい物理学や数学のトピックを子供から大人までそれぞれのレベルで解説5段階のレベルで説明: WIREDの5 Levels

レベル1 子供向けの解説、レベル2 少年少女(ティーン)向けの解説、レベル3 大学生向けの解説、レベル4 大学院生向けの解説、レベル後 プロ向けの解説となっています。

量子コンピュータとは

「量子コンピュータ」って何?5段階のレベルで説明 | 5 Levels | WIRED.jp WIRED.jp チャンネル登録者数 43.1万

無限とは

「無限」って何? 数学者が5段階のレベルで説明 | 5 Levels | WIRED Japan WIRED.jp チャンネル登録者数 43.1万

SNSによる日本の大学・学部・学科紹介

SNSでは古いネタが掘り返されてしばらくぶりに再度流行するという現象が起きるようです。

自分のサイトでも、

【研究者の適性】自分が研究に向いているかを知る30の質問

の記事は、時々、フォロワーの多い人に紹介される度にアクセスが集まる現象がみられます。

賛否両論あるようですが、自分は前回の流行を知らず、今回、見ていて各大学(の学生や教員)の個性を感じて面白いと思ったので、大学選びの参考に纏めてみました。

目次

東北大学

東北大学理学部生物学科

東北大学工学部材料科学総合学科

東北大学工学研究科ロボティクス専攻

 

慶應義塾大学

慶應義塾大学法学部法律学科

【炎上中】元ミス慶応ファイナリストの竹内えりかです YouTube始めます❗️❗️#ミス慶応2020 たえりかチャンネル チャンネル登録者数 784人

ミス慶應に聞く!実績なしから難関AO入試に合格できた理由【学校推薦・総合型選抜】 学校推薦・総合型選抜専門塾 KOSKOSチャンネル チャンネル登録者数 2160人

【衝撃】竹内えりか、ゴリゴリのすっぴん公開 ⏩ メイクしますwww #ミス慶応2020 たえりかチャンネル チャンネル登録者数 784人

慶應義塾大学文学部 人文社会学科 民族学考古学専攻

早稲田大学

早稲田大学法学部

早稲田大学教育学部教育学科教育学専攻教育学専修

 

東京農業大学

東京農業大学地域環境科学部森林総合科学科

東洋大学

東洋大学文学部英米文学科

日本大学

日本大学芸術学部放送学科

日本大学芸術学部演劇学科演技コース

日本大学芸術学部演劇学科演出専攻

東京藝術大学

東京藝術大学音楽学部声楽科

東京大学

東京大学法学部第一類(法学総合コース)

東京大学前期教養学部文科3類

東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻

東京大学農学部獣医学課程獣医学専修

東京大学工学部航空宇宙工学科

東京都立大学

東京都立大学理学部生命科学科

中央大学

中央大学理工学部数学科

大正大学

大正大学心理社会学部臨床心理学科

デジタルハリウッド大学

デジタルハリウッド大学デジタルコミュニケーション学部デジタルコンテンツ学科

横浜国立大学

横浜国立大学理工学部建築学科

北里大学

北里大学海洋生命科学部海洋生命科学科

山梨大学

山梨大学生命環境学部地域社会システム学科

信州国際学院大学

信州国際学院大学国際コミュニケーション学部フランス語学科

名古屋大学

名古屋大学大学院情報学研究科

京都大学法学部

京都大学法学部

同志社大学

同志社大学神学部

  1. 佐藤 優 神学生だった佐藤優が外交官の道に進むきっかけとなった意外な小説 神なしに生きる現代人の姿  2016.10.26 gendai.media
  2. 内村鑑三(著) 佐藤優(解説) 人生、何を成したかよりどう生きるか 文響社 2021年
  3. 佐藤優 同志社大学神学部 私はいかに学び、考え、議論したか 光文社 2015年

京都芸術大学

京都芸術大学 芸術学部 文芸表現学科

佛教大学

佛教大学文学部仏教学科浄土学コース

嵯峨美術大学

嵯峨美術大学芸術学部造形学科油画領域

嵯峨美術大学造形学科彫刻領域

  1. 学校法人 大覚寺学園 嵯峨美術大学 嵯峨美術短期大学

近畿大学

近畿大学農学部水産学科

  1. 近畿大学水産研究所

奈良女子大学

奈良女子大学理学部化学生物環境学科

  1. 奈良女子大教授・数学者 岡潔=自宅前 吉永小百合も佐藤栄作もあの人も…ジャンプ! 週刊朝日飾った27枚 有料記事 大和久将志2023年5月30日 5時00分

長崎大学

長崎大学水産学部水産学科

熊本大学

熊本大学工学部機械数理工学科

スマラン国立大学

スマラン国立大学教育学科

  1. 世界の日本語教育の現場から(国際交流基金日本語専門家レポート)中部ジャワ「つながりのたね」を置き土産に インドネシア スマラン国立大学 三宅直子 「スマランに日本語学習者が!?」-いるんです!

ZEN大学(オンライン大学)構想の発表 宇宙際タイヒミュラー理論(IUT理論)が研究の目玉の一つに

新しいオンライン大学「ZEN大学」設立に関する発表会 N高等学校・S高等学校 チャンネル登録者数 5.3万人

ZEN大学は、教育、研究、実学を柱にしているそうで、研究に関しては宇宙際タイヒミュラー理論(IUT理論)の研究者 加藤 文元(かとう ふみはる)博士を教授に招いて、日本において宇宙際タイヒミュラー理論(IUT理論)研究のすそ野を広げることを意図しているようです。

  1. 宇宙際タイヒミュラー理論(IUT理論) の紹介部分 https://www.youtube.com/live/kuC1GxJ7KMs?feature=share&t=2275

関連記事⇒宇宙際タイヒミュラー理論の誕生、論争、浸透

説明が丁寧でわかりやすい大学の有機化学の教科書

大学で学ぶ有機化学の難しさについて

大学の有機化学は高校時代と比べてなぜ難しくなるのか、どのように勉強すればいいのか、もろぴーさんが解説。

大学有機化学詰む人の特徴と解決法 もろぴー有機化学・研究ちゃんねる チャンネル登録者数 2.88万人

 

そんな難しい大学の有機化学を易しく学べる教科書を知ったので紹介したいと思います。

大学の有機化学のわかりやすい教科書

有機化学の反応機構の説明で、電子対の移動を「巻き矢印」で示しているのをよく見かけます。自分はあれが一体何を意味するのかがちゃんとわかっていませんでした。矢印の始点は何なのか、終点は何なのか、矢印本体の意味するところは何なのか、新しくつくられる結合は何であり、結合が切れたり脱離するのはどの部分なのか、なぜ正電荷や負電荷を帯びるのか、なんとなくわかっているようで本当に理解してはいなかったのです。そこのところを非常に丁寧に説明している本に出合いました。化学同人の『基礎講座有機化学』です。大学で学ぶ内容をここまでわかりやすく噛み砕いて説明した教科書って作れるものなんですね。

  1. 基礎講座 有機化学(化学同人)  2022/04/05 チャレンジ問題,確認問題,実戦問題の解答と解説 訂正表(1刷)『基礎講座 有機化学』動画集

自分が『基礎講座有機化学』を手にした理由は、生物化学の勉強のために『マクマリー 生化学反応機構』を読んでもちんぷんかんぷんだったからなのですが、『基礎講座有機化学』で巻矢印の意味を理解し、主要な化学反応をおさえたうえで、『マクマリー 生化学反応機構』をあらためて読んだら、書いてある内容がとてもスムーズに頭に入ってきて、生物化学の勉強が面白いと思えました。特に酵素の活性中心に酸や塩基として働くアミノ酸の側鎖がちゃんとあって、それらの助けで化学反応が進むことを学ぶと、本当に生命はうまいことできているものだと感心します。

自分の大学時代ははるか彼方の大昔ですが、その当時は、理数系の講義をやっている先生たちは自分の講義の原稿?みたいな教科書を書いていて、無駄をそぎ落とした理路整然と書かれたものであったせいか、無味乾燥すぎてとても予習復習などの独学に使えるものではありませんでした。そんなわかりにくい教科書で勉強していても、クラスメイトの優秀な人たちはその道のプロになっていったので自分がアホなだけだったのでしょう。しかし、当時、この本のようなわかりやすい教科書があればもっと頑張って勉強できたのになあと思います。

自分は専門を生物のほうに進んだので、有機化学は学部の授業でちょろっとやった程度です。パズルのようにプラスとマイナスが引き合うだけという単純な理屈で好きなものを合成する経路がわかるのは、他の科目(量子力学や統計力学など)とは随分毛色がちがう学問だなあと思っていました。学生時代に難しいという印象を持った記憶はないのですが、今から振り返るとどれだけ理解できていたのか怪しいものです。仮に当時理解できていたとしても、大学卒業以来何十年もご無沙汰していて、今やほとんど記憶に残っていませんでした。しかし、生物が専門である以上、生体で起こっている反応はちゃんと理解しておきたいものです。化合物の構造式と反応を司る酵素の名前を覚えたところで、どんな反応が起きているのかを理解したことにはなりません。

子供の理系離れをどうやって防ぐかという議論が良くなされますが、理系大学生が勉強に落ちこぼれずに自学自習できて、さらなる高みを目指すように(=大学院進学、研究者への道に)仕向けるのも一つの方策だと思います。そのためには独学可能な親切な教科書が不可欠で、有機化学の場合、この教科書はその役割を担うものだと思いました。理解できないものは面白くないですが、理解できるとなんでも面白くなります。また、最近はアクティブラーニングや反転学習など、講義前に内容を学習して理解することを学生に対して要求する傾向があります。その場合は、「わかりやすい授業」なみにわかりやすい、自習可能な教科書は不可欠であり、この本はそういう要求にも応えるものだと思いました。

 

基幹教員制度とは

基幹教員という言葉をネットで見かけて、何ソレ?状態なので調べてみました。

令和四年十月一日から施行されている改正された大学設置基準法において、新たに導入された制度のようです。

基幹教員制度導入の目的

教員が十分に養成されていない成長分野等において、民間企業からの実務家教員の登用や、複数大学等でのクロスアポイントメント等による人材確保を期待して導入するものです。(令和4年度大学設置基準等の改正に係るQ&A 文部科学省)

文科省による解説動画

令和4年度大学設置基準等の改正について 文部科学省/mextchannel チャンネル登録者数 9.49万人

  1. 令和4年度大学設置基準等の改正について(文部科学省)
  2. 大学設置基準 施行日: 令和四年十月一日 (令和四年文部科学省令第三十四号による改正)昭和三十一年文部省令第二十八号 (e-gov)

基幹教員制度に関する解説記事

  1. 大学設置基準改正のポイント。基幹教員制度、教育課程等に係る特例制度とは? 月刊先端教育 編集部 2023年1月号
  2. 大学改革を知るガバナンス・経営教学改革教育行政設置基準改正へ①「専任教員」は複数大学・学部で兼務可の「基幹教員」に 2022年05月30日 Between情報サイト

専任教員制度が基幹教員制度に変更されたことで何が変わるのか

大学関係者によるブログ解説記事を紹介。

  1. 実務担当者必見!?基幹教員への意向で意識するべき3つの視点について考察! 2022.11.17 地方私大職員のステップアップブログ(univ-stepup.com)
  2. 大学設置基準 基幹教員の理解と検討のためのメモ 2022-10-23  大学アドミニストレーターを目指す大学職員のブログ
  3. 基幹教員とは!?今後の教員組織について解説します! 2022.06.21 地方私大職員のステップアップブログ(univ-stepup.com)

その他参考記事

  1. 「基幹」教員って?|大学から専任教員がいなくなる?  2022年9月8日 いとばや

クロスアポイントメント制度とは

  1. クロスアポイントメント制度について 経済産業省 クロスアポイントメント制度とは、研究者等が大学、公的研究機関、企業の中で、二つ以上の機関に雇用されつつ、一定のエフォート管理の下で、それぞれの機関における役割に応じて研究・開発及び教育に従事することを可能にする制度です。

世界初のCRISPR遺伝子組み換えベビー(Lulu, Nana双子姉妹)

CRISPR/CAS9法は、非常に簡単に遺伝子組換えが起こせる技術として、瞬く間に世界中に広まりました。分子生物学実験と動物実験ができるラボであれば、どんな学生でもできる簡便さです。しかし、ヒトに適用するとなると話は全く別で、安全性の問題、倫理的な問題などが山積しています。そういった問題を全部無視して、2018年に中国の科学者賀建奎(He Jiankui)氏がクリスパーベビーを世界で初めて誕生させことを発表し大問題になりました。生まれたのは双子の姉妹でニックネームとしてlulu、Nanaと呼ばれています。実験を実施した賀建奎氏らは逮捕され実刑判決を受けました。

世界初クリスパーベビーの成長

  1. chinese scientist behind world’s first gene-edited babies shares children’s status Carl Samson Sat, February 11, 2023
  2. ゲノム編集の子、順調に成長 実刑の中国人研究者が主張 2/8(水)/2023 17:04 共同通信 YAHOO!JAPAN
  3. ‘Respect them,’ says He Jiankui, creator of world’s first gene-edited humans 7 Feb, 2023 South Cnina Morning Post The world’s first genetically edited children are living happily with their parents, according to He Jiankui, the controversial scientist who created three gene-edited babies in 2018 and 2019.

 

2022年 賀建奎 He Jiankui氏 出所

  1. 「ゲノム編集ベビー」事件の中国人科学者が出所=研究再開については沈黙―米華字メディア Record China 2022年4月8日(金) 18時20分
  2. 「遺伝子編集ベビー」誕生から3年、実刑の中国人科学者が釈放 by Antonio Regalado2022.04.07 MIT Technology Review

 

未発表論文Birth of Twins After Genome Editing for HIV Resistance

  1. 未公表論文を独占入手中国・遺伝子編集ベビー問題専門家が語る13の疑問 by Antonio Regalado2019.12.13 MIT Technology Review
  2. China’s CRISPR babies: Read exclusive excerpts from the unseen original research By Antonio Regaladoarchive page December 3, 2019 MIT Technology Review
  3. 賀建奎 (He Jiankui)の未発表論文原稿“Birth of Twins After Genome Editing for HIV Resistance”を読む 2019年12月04日 crisp-bio.blog.jp

 

2019年クリスパーベビーを誕生させた賀建奎 He Jiankui氏に懲役3年の実刑

賀建奎 He Jiankui氏は、HIV感染男性と感染女性のカップルの受精卵に対して、ウイルスが免疫細胞に感染するときに必要とする使うタンパク質CCR5(C-C chemokine receptor type 5)ができなくなるように受精卵のCCR5遺伝子をCRISPR/CAS9法によって改変しました。CCR5遺伝子の変異は、なぜかAIDSにならない人たちが存在していて、かれらの間で自然に起きている変異(32塩基の欠失 CCR5∆32)として同定されたものです。He Jiankui氏の操作の結果、ルルにはCCR5遺伝子の意図していない箇所で遺伝子の改変が起きており、ナナは2つある遺伝子コピーのうち、1つはまったく改変できていなかったとのこと。意図した遺伝子操作ができていないことがわかっていたにもかかわらず、受精卵を女性の胎内に戻したのだそうです。またルルの胚は遺伝子操作に関してはモザイクになっていたそうです(参考記事 2019/12/31(火) 1:43 YAHOO!JAPAN)。

He Jiankui氏は「Birth of Twins After Genome Editing for HIV Resistance」という論文を書いて発表しようとしたそうですが、どの雑誌社も掲載を見送ったために公開されていないようです。

  1. ゲノム編集ベビーの賀建奎博士に懲役3年の実刑判決 では、日本で起きたら? 詫摩雅子科学ライター&科学編集者 2019/12/31(火) 1:43 YAHOO!JAPAN
  2. China jails ‘gene-edited babies’ scientist for three years Published 30 December 2019 BBC
  3. CRISPR’d babies: human germline genome editing in the ‘He Jiankui affair’ Henry T Greely J Law Biosci. 2019 Oct; 6(1): 111–183. Published online 2019 Aug 13. doi: 10.1093/jlb/lsz010
  4. He Jiankui, embryo editing, CCR5, the London patient, and jumping to conclusions By Henry T. Greely April 15, 2019 STAT
  5. ゲノム編集「悪魔のハサミ」への憂慮 2019年3月20日 張田勘(特別寄稿)/李明子 楊智傑(『中国新聞週刊』記者)/江瑞(翻訳) Science Portal China
  6. 中国「世界初のゲノム編集赤ちゃん」 双子の誕生と、別の女性の妊娠を確認 2019年1月22日 BBC
  • 2019年12月30日の中国国営の新華社通信によると深セン市の裁判所が賀氏に対して懲役3年の実刑、罰金300万人民元(4700万円相当)の判決
  • 2019年1月21日 広東省当局が、ゲノム編集ベビーが実際に誕生していたという予備調査の結果を新華社通信を通して発表。南方科技大学は同日付で賀氏を解雇
  • 2018年11月28日 香港大学で開催された国際会議で中国広東省深セン市 方科技大学副教授(当時)賀建奎氏がゲノム編集技術を施した双子の女の子を誕生させと発表

(ゲノム編集ベビーの賀建奎博士に懲役3年の実刑判決 では、日本で起きたら? 詫摩雅子科学ライター&科学編集者 2019/12/31(火) 1:43 YAHOO!JAPAN

2018年クリスパーベビー誕生が学会報告される

About Lulu and Nana: Twin Girls Born Healthy After Gene Surgery As Single-Cell Embryos The He Lab 2018/11/26

  1. “ゲノム編集で双子誕生”の衝撃 2018.12.03  NHK 11月28日、香港で開かれた第2回ヒトゲノム編集国際サミットで登壇した中国・南方科技大学の賀建奎(が・けんけい)准教授。‥ この日議長を務めた、デビッド・バルティモア博士は壇上で、「医学的にみてこのケースではゲノム編集を行う必要はなかった。透明性も確保されておらず、科学界の自己規制は失敗した」と痛烈に批判しました。
  2. ゲノム編集ベビー誕生の報告に非難殺到 Natureダイジェスト 26 NOVEMBER 2018

 

参考論文

  1. CRISPR’d babies: human germline genome editing in the ‘He Jiankui affair’ Henry T Greely J Law Biosci. 2019 Oct; 6(1): 111–183. Published online 2019 Aug 13. doi: 10.1093/jlb/lsz010
  2. Lulu and Nana open Pandora’s box far beyond Louise Brown Shiva M. Singh, PhD CMAJ. 2019 Jun 10; 191(23): E642–E643. doi: 10.1503/cmaj.71979 PMCID: PMC6565397 PMID: 31182462
  3. Global distribution of the CCR5 gene 32-basepair deletion Nat Genet . 1997 May;16(1):100-3. doi: 10.1038/ng0597-100.

 

参考(遺伝子治療)

  1. ゲノム編集技術を用いた画期的な遺伝子治療開発と課題 2019年9月14日山口照英金沢工業大学日本薬科大学
  2. 遺伝子治療とゲノム編集治療の 研究開発の現状と課題 国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子医薬部第1室 (遺伝子治療担当室) 内田 恵理子 NIHS

参考(ゲノム編集)

  1. ゲノム編集の歴史と基礎

参考(日本での議論)

  1. 第1回ゲノム編集専門部会 議事録 平成30年11月8日
  2. 遺伝子治療とゲノム編集の臨床研究に関する日本と欧米の規制の現状 国立医薬品食品衛生研究所 遺伝子医薬部 内田 恵理子 第2回遺伝子治療等臨床研究に関する指針の 見直しに関する専門委員会 2017.5.15