大阪大学が物理入試出題ミスの検証結果を公表

      2018/05/09





追記20180411

問1について

物理の問題では問4,5が話題になっていましたが、問1についても正答が選択肢に無いという指摘がありますので紹介しておきます。

2017年物理の出題ミスで話題になった問題〔3〕Aの問4について解 説を書きました。 なお,この問題には,問1も出題ミスではないかという疑惑があります。問1については,大阪大学へ問い合わせをし回答を得ていて,それを掲載しています。問1の大阪大学による検証結果は,まさかこんな回答をするとはというびっくりする内容でした。(引用元:記事 大阪大学2017年物理出題ミス問題の解説と,さらなる出題ミスの疑惑  乱数と暗号の部屋(暗号工房)

弁明「問1は選択肢に正解がない」 に対する抗議にお答えします 。2018/3/11

脱帽 これは 苦しい! 問1は、いったい何を試したかったのでしょうか?

(引用元:冨田 博之 京都大学名誉教授のウェブサイト)

 


2017年2月25日に実施された大阪大学入学試験前期「物理」の問題で出題ミスがあり、1年近くも経った2018年1月6日に30名もの追加合格者が出ました(⇒記事)。ところが、ある意味、それ以上に世間を驚かせたのは、阪大が2018年1月12日に公表した言い訳でした。阪大は、はじめに正答とした解答が誤答だったとは決して認めず、それを本来の答えとした上で別の解も正答として認めるというのです。(⇒記事)。物理を捻じ曲げ、大学入試の出題のルールをも投げ捨てたこの説明は、物理の専門家や教育者をはじめとして世の中の多くの人を憤激させました。当然、検証委員会がこれを正すのだろうと思っていたのですが、期待は見事に裏切られました。また、出題ミスに組織として対応する体制が作られていなかったわけですから、組織としての責任が厳しく問われるべきです。しかしながら、2018年3月23日公開の報告書において、検証委員会は責任を全て問題作成者と通報を受けた現場の人間に押し付け、阪大執行部には高評価を与えました。

○ 被処分者等
① 大学院理学研究科教授(50歳代)平成29年度大阪大学一般入試(前期日程)等の理科(物理)における科目責任者…訓告
② 大学院理学研究科教授(50歳代)平成29年度大阪大学一般入試(前期日程)等の理科(物理)における副責任者…訓告
③ 教育・学生支援部長(50歳代) …厳重注意
④ 教育・学生支援部入試課長(40歳代) …厳重注意
⑤ 教育・学生支援部入試課課長補佐(50歳代) …厳重注意
⑥ 教育・学生支援部入試課係長(40歳代) …訓告 (引用元:処分の公表について

入試問題に関する誤り判明後の対応について
入試担当理事に第一報が入って以降、総長のリーダーシップのもと、大学としての対応は迅速であると同時に、合否判定に必要な手続きを慎重に踏んでおり、特段の問題点や課題はなかった。(引用元:検証報告書

阪大のこのような体質に対する批判的なコメントがいくつか目に留まったので紹介します。

3月23日付で大阪大学の「事案検証委員会」の検証結果が公表されました。いったい何を検証されたのか、すでに報じられている事実経過を羅列しただけで、1月12日のふざけた 「 解説 」 は不問に付されたままです。 これでは役員がいくら深々と頭を下げられても、白々しく映ってしまいます (引用元⇒検証「この大学では、間違ったときの世間の目の眩ませ方を学生に教えている!」 冨田 博之 京都大学名誉教授)

阪大は追加合格者に金銭的な保障をするといいます。それはそれで良いニュースだと思ったのですが、なんとその財源は阪大職員に寄付を募って賄う方針です。役職ごとに目安となる金額が通知されたそうで、このやり方だと任意の寄付というよりも、強制的な徴収に近いのではないでしょうか?この発表に対しても激しい批判が湧き起こりましたが、結局、撤回するつもりはなさそうです。

参考

Ⅱ 事案の概要 2. 経緯
(1)平成29 年2 月25 日に理科(物理)の試験が実施され、答案採点が行われた後、3 月9
日に合格発表が行われた。
(2)同年6 月10 日、大阪大学を会場として「物理教育を考える会Ⅰ」(大学入試問題検討会)
(以下「考える会」という。)が開催され、出席者から理科(物理)の問題〔3〕A の問4 に
ついて複数の解答があり得るのではないか等の指摘がなされた。この指摘に対し、参加し
ていた当該年度の理科(物理)の科目責任者は、大阪大学の解答例を正答として示した。
(3)同年8 月9 日、外部者から理学研究科学務係に、理科(物理)の問題〔3〕A の問4 及び
問5 の問題設定に不自然さがあるので、問4 の解答を教えてほしい旨メールにて連絡があ
った。翌10 日、同メールは、教育・学生支援部入試課(以下「入試課」という。)入試第一
係から、科目責任者及び副責任者(CC で同報)に転送され、本学の解答例で回答してよい
か照会がなされた。
8 月21 日、入試課入試第一係は、同外部者に、メールで、大阪大学の解答例を回答した。
8 月23 日、同外部者から、再度、大阪大学の解答には理論的な誤りがある旨とその理由
を記載したメールがあったが、大阪大学はこれに返信をしなかった。
(4)同年12 月4 日、上記(3)とは別の外部者から入試課入試第一係に、理科(物理)の問題
〔3〕A の問4 及び問5 に疑問がある旨及びその具体的な問題点を指摘するメールが届いた。
12 月12 日、入試課入試第一係は、同外部者に、メールで、大阪大学の解答例を回答し
た。
12 月15 日、同外部者から具体的説明を求める旨のメールがあった。
12 月19 日、大阪大学は、当該指摘が正しいことを確認したため、対応を協議し、同月20
日、同外部者に指摘が正しかったことをメールで回答した。
(5)同年12 月21 日から採点のやり直しを行った上、同月27 日から28 日の間に関係学部
において再度の合格者判定を行った。
平成30 年1 月6 日、大阪大学は、30 名を新たな合格者に、9 名を第一志望学科合格者に
それぞれ決定し、当該受験生等への連絡が行われるとともに、上記一連の事実と経緯等を
公表した。

(引用元:検証報告書

  1. 平成29年度大阪大学一般入試(前期日程)等の理科(物理)における出題及び採点の誤りについて大阪大学2018年3月23日(金)
  2. 平成29年度大阪大学一般入試(前期日程)等の理科(物理)における出題及び採点の誤りに関する検証報告書(公表用)(3月23日追記)
  3. 大阪大学入試に係る問題再発防止対策検討委員会報告書(3月23日追記)
  4. 平成29年度大阪大学一般入試(前期日程)等の理科(物理)における出題及び採点の誤りに係る補償の基本的な考え方について(3月23日追記)
  5. 処分の公表について(3月23日追記
  6. 平成30年度一般入試(前期日程)における再発防止の強化策について(2月20日追記)
  7. 参考資料(2月20日追記)
  8. 入学等の意向確認状況について(2月1日追記)
  9. 事案検証委員会等の設置について(1月12日追記)
  10. 役員報酬の自主返納について(1月12日追記)
  11. 理科問題(物理) 〔3〕Aの解説(1月12日追記)

報道

  1. 阪大入試ミス、問題作成責任者の教授ら処分 外部指摘3回も「自信があった」 (産経WEST 2018.3.24 07:51更新) 大阪大は23日、昨年2月の一般入試の物理科目でミスがあり30人が入学できなかった問題で、物理の問題作成責任者と副責任者のいずれも50代の教授2人を訓告処分とした。
  2. 大阪大、教授ら6人処分 入試ミス問題 (YOMIURI ONLINE 2018年03月24日) 大阪大は23日、昨年の入試ミスを受け、物理の試験問題作成責任者と副責任者の理学部教授2人を訓告とするなど計6人を処分した。
  3. 大阪大 入試ミス6人処分 外部指摘、対応ルールなし 検証結果公表 (毎日新聞2018年3月24日 大阪朝刊) 大阪大の昨年の一般入試の物理で出題ミスがあり、今年に入って30人を追加合格とした問題で、阪大は23日、「関係した教員の問題だけではなく、組織としてのルールがなかったことに大きな原因がある」とする検証結果を公表した。
  4. 阪大、入試ミスで教授ら処分=「組織のルール欠如が原因」(時事ドットコムニュース 2018/03/23-20:18) 大阪大は23日、昨年2月に実施した入学試験の物理であった出題ミスを受け、科目責任者の50代の大学院理学研究科教授ら6人を訓告や厳重注意処分とした。

以前の報道

  1. 阪大 入試出題ミス、学長が卒業式で謝罪 (毎日新聞2018年3月22日 16時44分 最終更新 3月22日 16時49分) 大阪大の西尾章治郎学長は22日、大阪市中央区の大阪城ホールで開かれた卒業式で、昨年の入試での出題ミスについて、「大変なご心配とご迷惑をお掛けしました」と謝罪した。
  2. 「大阪大学」入試ミス 発覚までに3度指摘(News 24 2018/01/08)

 

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