「 月別アーカイブ:2015年01月 」 一覧

サイエンス(Science)に論文を出す方法

  2015/01/31    論文の書き方

ネイチャー(Nature)に論文を出す方法があるからには当然サイエンス(Science)に論文を出す方法もあります。サイエンスのエディターらが日本を含め世界各国のさまざまな大学でセミナーを行っており、そのスライドなどがインターネット上で閲覧できます。 ネイチャーとサイエンスの名前はどちらも最も権威のある学術誌としてよく並べて挙げられますが、サイエンスへの掲載に当たっては、著者らが高名な学者かどうか、権威のある研究所に属しているかどうかなどは一切関係がないことが明言されており、自分の研究分野の第一人者との議論や共同研究を論文掲載のための戦略の一つとして勧めているネイチャーとは若干異なるスタンスであるように思われます。 (PUblishing in Science: Outliers, Closers, & Leaders by Pamela J. Hines, Senior Editor, SCIENCE, AAAS http://www.docin.com/p-345432859.html) Hines noted that Science publishes research articles that “shine with quality”, stand out from the pack (i.e. are not similar to already published …

ネイチャー(Nature)に論文を出す方法

  2015/01/24    論文の書き方

論文が掲載された雑誌のインパクトファクターの高さと、その論文自体の価値の高さは必ずしも一致しません。そのため、雑誌のインパクトファクターにとらわれずに論文の内容そのものを評価すべきだという議論がよくなされます。しかしながら、分野外の論文の価値を評価するのは非常に難しいため、雑誌のネームバリューで論文業績が評価されるということは避けられません。 そんなこともあって、いまどき、ネイチャー(Nature)、サイエンス(Science)、セル(Cell)(生命科学分野の場合)、あるいはそれらの姉妹紙などにファーストオーサーの論文を出していないと、アカデミックな世界でジョブマーケットに出て行くことが難しいという現実があります。テニュアトラック制度に乗っているPI(Principal Investigator)も、自分のラボからこのようなトップジャーナルに論文を出さないとテニュア獲得の可能性が下がるでしょう。 それでは一体、Natureなどのハイプロファイルジャーナル(High-profile journals)に論文を出すための秘訣や戦略のようなものは存在するのでしょうか? 日本のラボで仕事をする日本人ポスドクよりも、海外のラボに留学した日本人ポスドクの方が一流誌に論文が出やすいということはよく言われます。なぜそうなるのかといえば、海外のトップラボのボスは良い論文を書く方法論を身につけているからです。そのため、せっかく同じような実験データを得ていながら、かたやネイチャー、かたやインパクトファクターの低い雑誌という結果にもなります。 Natureに論文を出すための方法論はどこでどう身につければよいのでしょうか?もちろん、良いボスがいる一流のラボで仕事をして直接学ぶのがベストの方法ですが、実は、良い論文を書くためのワークショップをNature自身が多数開催しています。また、インターネット上で、それらの内容が公開されています。 (参照:ネイチャーライティングワークショップ http://www.jbr-pub.org/UploadFile/Nature%20Writing%20Workshop.pdf 30ページ) 良い論文というのは、我々の自然に対する理解を深めるような研究報告です。つまりConceptual Advanceがなければいけません。Conceptual Advanceがどのようなもので、それが論文掲載の決定にどう関わってくるかに関しては、 Novelty and conceptual advance • Anything that has not been published before is novel, but not all novel findings are considered interesting, or of sufficient conceptual advance, for a …

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画像類似論文の疑義を文科省に告発 東大、阪大などが確認へ

読売新聞の報道によれば、先日匿名でネット上で列挙されていた「類似」画像データを含む論文84本、研究者47人に関して、文科省宛に文書でも告発がなされました(ちなみに文科省へ告発したのは匿名A氏とは別の方のようです)。問題が指摘された論文は1996~2007年のものですが、この期間に限定する理由は全くないわけで、後からあれも、これもと出てこないように最新の論文まで全て調査してもらいたいものです。 PubPeer (pubpeer.com)という、発表された論文の内容に基づいて世界中の研究者がサイエンティフィックな議論を行うウェブサイトがあります。このウェブサイトで、日本人の苗字や名前、日本人研究者が取り組んでいる有名な遺伝子名などをキーワードにして検索すると、「類似画像データ」を指摘するコメントが付いた論文が山ほどヒットしてしまい、非常に残念な状態になっています。類似画像の指摘に対して著者からの説明が返ってきていない論文に関しては、データをどの程度信頼してよいのかどうかがわからないため、サイエンティフィックな議論のしようがありません。 参考 東大・阪大の論文に「使い回し」…文科省に告発(読売新聞YOMIURI ONLINE 2015年01月13日) PubPeer (pubpeer.com) 11jigen (TWITTER) 匿名A  ”… 私の指摘が告発に当たるかどうかについては、読み手の解釈に委ねた方が各方面にとって 好都合ではないかと思い、今後指摘される方にとっても良いのではないかと思い、単なる類似性の指摘であるという立場を私自身は取ることに最終的にしまし た。実際に、similarと書いているだけなのです。また、うっかりミスで済みそうと私が思うものも指摘していますから、私は告発のスタンスは取れませ ん。告発のスタンスを取るのであれば、もう少し論文は絞ったでしょう。ただ、不正指摘として世に受けとめられたのは事実のようであり、方策を検討していま す。なお、文科省に文書で告発したのは私ではありません(私は関係ないと言いたいわけではありません)。…”(http://www.peeep.us/aae06dcf)

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サルも鏡に映った自分の姿を自分と認識できるらしいことが報告される

  2015/01/12    科学ニュース

魚などの下等な動物は鏡に映った自分を他の個体だと思い込んで、鏡の中の自分に対して攻撃したりします。ヒトやチンパンジー(大型類人猿)は鏡に映った自分を自分自身と認識できることが知られており、イルカ、ゾウなどでもそのような「鏡像認知」能力を示す報告がありましたが、サルの仲間に関してはそのような能力はないと考えられていました。 今回、中国の研究グループがマカクザルも鏡に映った自分を自分だと認識している可能性があるという論文をカレントバイオロジー誌に発表しました。 Monkeys May Be Able To Recognize Themselves In A Mirror With Training Animals which have passed the mirror test are common chimpanzees, bonobos, orangutans, dolphins, elephants, humans and possibly pigeons. (ScienceDaily 2015-01-12) しかしながら、1970年にチンパンジーが鏡に映った自分を自分と認識していることを報告したゴードン・ギャラップ(Gordon Gallup)博士は、サルがそのように振舞うように訓練された結果に過ぎないとして、この研究結果の結論は誤っていると批判しています。 参考 Liangtang Chang,Qin Fang, …

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大学の非常勤講師が構内で全裸になっているのが見つかる:大学の説明責任

  2015/01/10    Uncategorized

大学の非常勤講師がキャンパス内で全裸になっているところを見つかるという事件がありました。事の顛末を大学が公表したところ、思わぬ反響を呼んでいます。大学の説明責任とは何なのかを考えさせられる対応でした。 本学非常勤講師による不適切な行動について(報告) 2015/01/10 各 位  1月8日付、本学ホームページに「本学非常勤講師による不適切な行動について」として報告いたしましたが、その後判明した事実およびその背景等について説明させていただきます。  まず、今回の出来事に関する事実関係を記述いたします。  1月8日、午後3時ごろ、本学巣鴨キャンパスの建物間の通路で、男性が全裸になっているとの情報が、学生より事務局に入りました。  職員が駆けつけると、その男性は本学非常勤講師(男性・55歳)であったので、保護し事情を聴取いたしました。  それによると、当該講師は本学女子学生(21歳)と学内で出会い、話をしているうちに口論となり、「私に信じてほしいならば、ここで裸になってくれ」と要求されたということです。  当該講師は独身で半年ほど前よりこの学生と親も同意の上で生活をともにしていました。  この学生は日頃より情緒不安定な面があり、当該講師の言葉によると、感情が高まると突発的にどんな行動を取るか分からず、彼女の言う通りにしないと収ま らないということを経験的に知っており、その言葉に従ってしまったということです。その際、衣服は学生が持ち去ってしまったので、当該講師はしばらくその ままの状態でおり、他の学生の目にするところとなりました。  当該講師は彼女の不安感を払拭させるために取った行動であるものの、極めて軽率な行為であることを深く反省し、本学に対して辞意を表明いたしました。  どのような事情であれ、当該講師の行為は公序良俗に反するものであり、本学の規定にも違反します。本学は厳正なる対処をすべく判断して、理事長が辞表を受理いたしました。  その後、学生が落ち着いてからこの間の事情を聴取し調査をいたしましが、事実関係についてはこの通りであることを確認いたしました。  当該講師は、本学学生に向けて、次のようなメッセージを残しております。  (この文章は公開を前提として書かれたものではありませんが、本人の了解のもとに掲載いたします。 —————————————————————————————————————- このたび、皆さんに多大な迷惑、ご心配をおかけしたことを深くお詫びいたします。 今回、私事ではありますが、自分の大事な人を守るために行ったことが、結果としてこのような事態に至ったこと、重ねてお詫びいたします。  皆さんには、自分の信頼すること、信じることを貫き通して欲しいと思います。そのとき少しの冷静さも忘れないようにしてください。 —————————————————————————————————————-  以上の事実確認を踏まえ、本学は真摯な反省にもとづき学生指導に邁進することを誓います。また、この間にWeb上に混乱した情報が流れ、多くの皆さまにご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。  本学では今回の事案に関して、関係部署等で慎重な検討を行うことを指示し、当該講師の行為の動機に関しては同情すべき点があることを確認しました。しか しその動機のいかんにかかわらず、行為の結果に責任を取るということで当該講師と同意いたしましたので、辞表を受理いたしました。  このような行為は、学内の諸規定に抵触するかを問う以前に、社会人としての良識が問われます。そのことも踏まえ、学生、教職員に本学の建学の精神にもとづく行動をあらためて要請いたします。  なお今回の事案に関係した学生への指導に鑑み、当該学生の詳細な情報を秘匿し、保護することをご理解ください。       平成27年1月10日             大正大学 学長  勝崎裕彦 (http://www.tais.ac.jp/other/news/latest_news/blog/2015/01/10-182032.html) インターネット上の反応の一部 @kaerudayo 考えさせられた。きちんと説明したのは良かったと思う @kaleidosan2すごく細かいな。最後、なぜか若干、いい話になってる 大学からの説明が詳しすぎる。そして講師が可哀想過ぎる。From: u4k @uepon1975とかく何でも覆い隠したがる現代において、よくぞここまで…! ‏@ikeay大学の不祥事報告がこれだけ人間味にあふれたことがあっただろうか …

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ネット上で指摘された「類似画像」論文に関して大学側が調査へ しかし疑惑はさらに拡大する恐れ

別々の実験結果に対して同一画像データを使用した生命科学・医学系の論文が多数存在していることがインターネット上で明らかにされたのを受け、研究不正の疑義として大学が調査する動きが出ています。 匿名A氏が指摘した84報に関しては、画像データの類似性を解説したPDFファイル(https://infotomb.com/r3hso.pdf)を見る限り、明らかに同一画像データが使われている例が多いようです。しかし、似ているが一致しない例、画素レベルでの一致はないが同一画像データである疑いが拭えない例があるなど、類似の程度は様々です。研究不正の有無を確認するためには、指摘された類似画像データの精査、実験ノート、生データとの突合せ作業が必要となるでしょう。 今回、匿名A氏が指摘した論文は、匿名A氏が掲示板にて「今回の調査は網羅性は全然ないです。」と説明しているように、調べた年代も雑誌の種類も非常に限局されたものになっています。大学が本気で研究不正を許さないと考えているのなら、調査をこの84報に限ってしまうのは無意味です。捏造する人、捏造するラボは不正行為を繰り返している可能性があります。現在に至るまでのすべての論文を調べておかないと、調査終了後に再び疑惑が出てくるでしょう。 これは面白い • 10 hours ago ((Osaka[Affiliation]) AND Medicine[Affiliation]) AND “The Journal of biological chemistry”[Journal] で検索して2000年代前半の論文を見たらここに挙げられている以外にも5分で二つ不審なデータが見つかった。 今回インターネット上でなされた匿名の告発を数日以内に文部科学省や大学が確認し、大手メディアがそれを取り上げて一般向けに報道したのは画期的な出来事です。 匿名A • a day ago マスコミがこれだけ一斉に触れるのがいまいち納得いきません。 私はたしかに80報くらい記載しましたが、11jigenサイトに行けば、300報くらい載ってる訳です。少し増やしただけでは? また、Pubpeerに既に記載されているものを日本人著者だけ集めたら、100報は軽くいくのでは? やったことはありませんが。 しかし、個人でできることには限りがあります。不正疑惑論文調査を個人のボランティア活動に任せ切りにせず、網羅的に不正を検出・防止する制度を国が導入すべき時期が来ているのではないでしょうか? 本当にキリがありません。(1月11日追記) 617 :名無しゲノムのクローンさん:2015/01/10(土) 09:04:47.46 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10336474 Fig1Bのレーン1とFig2Cのレーン1 641 :名無しゲノムのクローンさん:2015/01/11(日) 00:35:54.70  http://www.jbc.org/content/283/18/12468.long fig.1Aの上から2レーン目、3レーンが酷似 …

酷似する画像を含む生命科学論文が インターネット上で大量に指摘される

追記 20170205 2015年にネットで公開されていた、画像データの類似性を解説したPDFファイル r3hso.pdf (https://t.co/zfttZKmgZr)。 追記 関連記事 ⇒ 東京大学が類似画像論文に関する予備調査結果を発表: ”不正行為が存在する疑いはない”論文12報のリスト ⇒ 大阪大学、類似画像データ論文の調査を打ち切り 本調査を行わないことを決定 ——– 日本分子生物学会2013年年会組織委員会がシンポジウム「生命科学を考えるガチ議論」のための準備としてウェブ上に設置した議論用のサイトで、「日本の科学を考える」(http://scienceinjapan.org/)というものがあります。このウェブサイト上で、年末年始の数日間の間に、異なる実験結果に同一画像データが使いまわされている可能性のある「画像酷似論文」が大量に指摘されました。NATUREを筆頭に、NATUREの姉妹紙など一流の雑誌を含めて、全部で84報に上ります。「捏造問題にもっと怒りを」の記事のコメント欄を利用して書き込まれました。 画像酷似論文の指摘を行った匿名A氏は、このウェブサイト「日本の科学を考える」を選んだ心情を吐露しています。 匿名A • 7 days ago 申し訳ありませんが、やはり、投下させてください。 このサイトを使わせてください。 このガチ議論スタッフは、科学の世界の王になるべき人達です。 情報や権限を持つべき人です。 わたしは2ちゃんねるではなく、ガチ議論スタッフに科学の未来を委ねたいと思います。 すなわち、科学の世界に生きる私自身を、2ちゃんねるではなくガチ議論スタッフに委ねたいということです。 わたしは、捏造に本当に苦しんだ人間です。 前任者の捏造が何を現場で生むか、知っています。 現場を本当に救うのはどんな人か、知っています。 そのような人でなければこのサイトは作れないことを、知っています。 膿みは、今出すべきです。 STAPと分生研が終わって一段落なんて雰囲気は許しません。 それに、東大の事例を考えるに、コピペがあっても半分近くは不正ではない。 さらにその半分くらいは実行犯がわからない。 コピペの指摘はそこまで重いものではないということです。 ストックは82報になりました。コレスポ53人。 旧帝を全部揃えることも出来ました。 最近疎かだった同じ著者について掘り下げることをまた始めます。100はすぐ超えて、悪質なグループだけに投下を絞ることも出来るでしょう。 匿名A氏は、ここで指摘された論文の著者らが直ちに実験ノートを公開すれば画像が酷似していることに関する疑問も氷解するであろうと期待しています。 匿名A • 3 days ago 以下、80報ほどの類似画像を含む論文を記載しました。(中略)トータルで100報にはなりました。(中略)全 部当然生データが直ぐに公開され、石井先生のようにうっかりミスと納得できますように。私は石井先生のすぐ公開されたノートを見て、石井先生はしっかりし …

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がん抑制遺伝子Fbxw7の「がん幹細胞ニッチ」における働きを九大の研究グループが発見 細胞外環境を標的とする新しい治療戦略の可能性も

  2015/01/03    がん

がんの細胞外環境(”がん幹細胞ニッチ”)を標的とする新しい治療戦略の可能性を示す研究成果を、九州大学の研究グループがThe Journal of Clinical Investigation誌に発表しました。 九州大学プレスリリースによると、この研究成果のポイントは、 がんニッチの形成に関わる重要たんぱく質「Fbxw7」が「CCL2」を抑制する作用をもつことを発見 Fbxw7が低下するとCCL2が上昇し、がん転移が増加する。 上昇したCCL2を阻害するプロパゲルマニウム(既に肝炎治療薬として臨床的に使用されている既存薬)によって、がん転移を強力に抑制することに成功。 とのことです。 論文の要旨 The gene encoding F-box protein FBXW7 is frequently mutated in many human cancers. Although most previous studies have focused on the tumor-suppressive capacity of FBXW7 in tumor cells themselves, …