雇止めや任期切れのために研究を辞めざるをえない研究者が多いと思います。自分が大学生だった当時は、業績が上げられなかった助手は定年まで助手、着実に業績を積み上げていけば、助手から、講師や助教授、教授へと昇っていけた良い時代でした。助手になったあと休職して海外に研究留学して戻ってきて復職できるなど、今から考えると楽園のような世界でした。
もちろん研究者間の競争はありましたが、競争に勝つだけの研究業績を挙げることに専念していればよかったわけで、職がおびやかされたり(すなわち、自分の生存や家族の生活がおびやかされたり)することはなかったわけです。それに対して、今の研究業界は、多少の業績があっても焼け石に水で多くの場合が任期切れの憂き目にあったり、雇止めされて研究者人生終了となります。パーマネントの教員になれず、それでも研究にこだわりたい人は、所属機関を変えながら1年契約の研究員を続けていくことになりますが、それにつきあわされる家族はたまったものではありません。家庭が壊れるか、最初から独身を貫くしかないのでしょう。研究者は、職業として成り立っていないのです。
無期転換の権利を述べた改正労働法が2013年に施行されたので、任期なしの職につけていない研究者は、無期転換の権利が発生するのが10年過ぎなので、2023年に雇止めの大きな波が日本じゅうの大学や研究所を襲うということになります。こうなることは誰にでも予見できたのに、国は無策のまま来て、いよいよ来年、2023年です。この研究者の雇用問題に言及せずに日本の研究力低下を嘆いて、今いる大勢の研究者を見殺しにしながら新たな施策を打ち出すのも無責任極まりないと思います。
研究者の2023年問題を文部科学大臣はどう認識しているのでしょうか。国会での議論の動画を見てみたい思います。(答えを先に書いておくと、雇止めや任期の問題は全部、大学や研究所の責任らしいです。)
以下の国会中継動画で、研究の話は14:03から。
物価高騰 年金減らすな/国立大の運営費交付金減額の抜本的転換を 2022.3.28 2022/03/28 にライブ配信 日本共産党
上の動画の自動書き起こしをもとに内容を書き留めておきます。項目名は自分が適当につけたもの。
田村智子共産党議員 の国会(2022年3月28日)での質問とそれに対する文科大臣らの回答。*太字強調は、当サイト。
日本の研究力の低迷に対する岸田首相の考え
14:03 次に、今日は、中心的に取り上げたいの日本の 研究力なんです。自然科学、人文社会科学の発展、社会全体の活力となって人類が直面 する問題だけでなく、20年30年後の問題への解決の力にもなります。ところが日本の 研究力は危機にあります。「科学技術立国日本にとって、20年近くも続く研究力の低迷は、国の将来を左右する深刻な事態」、これは2019年菅総理の施政方針演説なんです。研究力の低迷、岸田総理も同じ認識ですか?
14:47
議長:小林たかゆき国務大臣、岸田内閣総理大臣
14:56
岸田内閣総理大臣 :ご質問が私の認識ということでありました ので、具体的にはまた小林大臣にも答弁してもらいたいと思いますが、私の認識で 申し上げるならば、我が国の研究水準の状況、この20年近く 論文数などの実数は大きく低下して、わが国の論文数の実数などは低下してい ないものの中国やアメリカの論文数が著しく増加している、このこういった形で 相対的に我が国の立ち位置が低下している、これが現状で あると認識をしています。これは深刻な事態であるという認識、これは私も同様に持っているところであり ます。議長:田村智子さん
運営費交付金の削減と日本の研究力の低下
田村智子:グラフを示します。研究力を何で測るかは単純ではないんです けれども総理も言われた論文数これ指標の一つとされています。中国や韓国は90年代 後半から急速な伸び、アメリカはもはやグラフに入りきりません。ドイツ、イギリスも右肩たがり。ところが日本は90年代にグッと伸びた後、驚いたことに2000年代の半ばから減少に一時期転じるんです。その後もこの低迷状態 から抜け出せていません。どこに原因があるのかをさらに見てみたい と思います。次の資料です。論文数が劇的に減少に転じたのが国立大学なんです。 1998年から2003年の5年間は日本 全体の論文数の伸びを支えていた。ところが2003年以降の5年間で劇的な減少に 転じる。特にですねここには出してないんですけど 、引用数の多い質の高い論文は年を追うごとに大幅な減少となっていったんですよ。一体国立大学に何が起きたのか?2004年度、独立行政法人となって13 年間にわたって国からの運営費交付金が毎年減らされ、今も自由に使える研究予算 人件費などが2004年度と比べて1割以上減ったままの状態なんです。中国などは研究投資で大学の財政基盤が強化されてグングン成長した。同じ時期日本 は国が大学の財政基盤を掘り崩した。この政策こそが日本の研究力の低下をもたらし たと考えますがいかがですか?
17:35
議長:小林鷹之国務大臣
17:41
小林鷹之国務大臣:お答え申し上げます。国立大学法人の 運営費交付金につきましては法人化以降、減少傾向にございましたが平成27年以降 は前年度同額程度が確保されているところでございます。政府としては第6期科学技術イノベーション、基本計画に基づきまして、大学などにおける研究活動を 安定的継続的に支える運営費交付金等の基盤的経費と また優れた研究や目的をと特定した研究を 支援する競争的研究費、この両者のバランスに配慮しながら大学に おける外部資金獲得の経営基盤の強化や資金の効率的効果的な活用を促すことに よって安定的な研究環境の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えます。議長:田村智子さん
18:34
田村智子:13年間減らしたままの状態だと 、それでね、一方で外部からお金とってきなさいよってやり方なんですよ。今ね、あの 大学ファンドっていうこともですねしきりに旗降っ てるんですけども、これで財政支援の基盤を強くするんだということを政府言ってき ましたが、これね、わずか5つか6つの大学にしか 入らないお金になるんですよね。ですからね、政府が打ち上げた新たな経済支援についても 大学ファンドで日本の研究が活性化すると 思ったら大間違いだと。運営費交付金を増やした方が良いこれ山梨大学の学長さん ですけれども、こういうふうにですね厳しい声が大学の学長から次々で上がっていて、与党席からも今そのとおりという声が上がるほどなんですよ。 研究もスポーツの文化もごく一握りのトップだけを強化する、これではね、全体の 強化にはなりません。まして研究は今や共同研究の時代です。一部 の大学や研究を選択して予算を集中させる、これね、安倍政権以降ずーっとやってきた。だ けどその結果が今日の低迷なんですね。もうちょっと示してきたんです。 なぜ私が基盤的経費ということを言うか。運営交付金の削減はそのまま人件費の 削減につながるんですよ。これ、国立大学など常勤職員と書いてありますが、教員です。常勤教員のグラフなんです。任期なしというのは、下のこの緑色のところな んですけどね、これは民間企業でいえば正規雇用ですね、いわゆる。この教員が2001年 には6万人弱いました。ところが2021年、4万人にまで減少します。そして任期付きの教員、民間で言えば非正規 雇用ですね、これはね、2万人以上増えているんですよ 。特に40歳未満ではこの任期付き、いわば非正規、この教員がですね7割近くにまで、 今なっているんです。多くの若手研究者は安定したポストも研究 予算もない。先ほど科学技術担当大臣が 言われたとおり、各省庁が持っている研究予算を競争して取ってこいと、 こっちの予算を増やしましたよっていうのが政府の言い方ですから、それを取ってこい というふうにされてしまいました。そうするとどうだろうかなんです。研究予算を取って 来るためには申請しなきゃいけない。中間報告もしなきゃいけない。予算が終了する前 に次の研究費の獲得のための活動もしなければならな い。研究時間が削られる 。そして予算が取れそうな研究テーマに偏重していく。 短期での成果が求められて長期的な研究が困難になる。 そして何より任期無しのポストがこれだけ 減ってしまったので将来が見通せない。日本で研究者になろうという若者が減って しまうのはね、これ当たり前だと思うんです よ。もう一度お聞きします。この運営費交付金の 削減で、大学の財政基盤を取り崩した。ここを変えなければ日本の研究力の向上など ありえないと思いますがいかがでしょうか?
22:04
議長:末松文部科学大臣
22:17
末松信介文部科学大臣:田村先生に 重要な点をご指摘をいただいたと思います。国立大学の 大学法人の運営費交付金、人件費、物件費の区分のない渡し切り予算でございまして 、おっしゃるとおり平成27年度以降、前年度と同額程度は確保しております 。令和4年度予算で1兆786億円を計上しておりまして、対前年度、4億の減となって おりますけれどもこれは特殊要因経費が減ったものであり各大学の基盤的な教育研究 活動に活用できる基盤運営費交付金は対前年度実質14億円 増の 額を確保したところでございます。国立大学の法人の人事は各法人の経営 判断で決定されるものですが、文部科学省としては引き続き 国立大学が我が国の人材育成 、学術研究の中核として継続的安定的に質の高い教育研究活動を実施して研究力の向上 に資するように、運営費交付金の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと思い ます 。この辺で下げ止まっておかなきゃならんと私はそう思います。それ と同時にですね、この任期付き教員が増えていることでございます 。国立大学の任期付き教員には競争的な環境において定義はテニュア審査、終身雇用ですね、目指す テニュアトラック期間にある教員、そして多様な人材の受け入れに教育研究の 活性化を図るため大学の教員との任期に関する法律に基づき任期を付して採用される教員、そして3つ目は、外部研究費により一定の期間プロジェクト研究に従事する研究者など、様々な対応がございます。任期付き教員が増加した理由というのは あくまで 各国立大学法人の経営方針を踏まえた人事によるものと考えております。他方、若手研究者が安心して研究に打ち込めるテニュアポストを増やしていくことは重要 であると思います。 各大学においては運営費交付金のみならず競争的な研究費や民間から人件費を捻出してテニュアポストを増やしていく取り組みも 行われておりますが、こうした取り組みの 周知も図ってまいりたいとそのように考えているところでございます 。色々とご指導していただきますようお願い 申し上げます。
24:39
議長:田村智子さん田村智子:でその競争的な資金は期間 限定だから、ここで若手研究者が育たないよと、基盤的経費をね削減したままじゃダメ だって、これはね、 ノーベル賞を受賞した科学者の方々はじめ、さんざん、たくさんの学者の皆さんが何年もにもわたって指摘をし続けてきたんですよ 。こういう科学者の声や意見が届かないような科学技術政策でどうして日本の研究力の低迷の克服ができますかってことだと思いますよ。
任期付き研究者の雇止め問題
今この国立大学や国立研究機関の中で、任期付きで、だけど頑張ってきたという研究者が大量に雇い止めもされようとしている。これも看過できないので取り上げたい。雇用の安定を図るためとして労働契約法が改定されて非正規雇用の労働者は2013年4月1日を基点として雇用契約が通算5年を超えると本人の申し出によって無期雇用に転換をされます。ところが研究職は通算10年だという特例法があとから作られたんです。来年4月、実はこの任期付きの研究者は無期転換の権利が発生するんです。この改正労働法が施行されて10年が経つので。ところがね、理化学研究所ではこの10年を超える手前で、多くの任期付きの研究者を雇い止めしようとしています。文科省はこのことを把握していますか?
26:18
議長:末松文部科学大臣
26:35
末松文部科学大臣:ご指摘の点に関しまして先週25日付 で理化学研究所労働組合等から私、文部科学大臣に対して要請書が掲出されました。その中で 2022年度末の研究員、職員の雇い止めを撤回するよう 理化学研究所に求めること等の要請が なされていることを承知をいたしてございます。先週、金曜日でしたかね。はいっ。
27:04
議長:田村智子さん田村智子:あの、もっと詳しく掴んでると思うんですよ。契約通算期間の上限10年以内っていう人が 296人いて、296人切られてしまうという危険性が今非常に強まっているんです。理化学研究所がですねこの労働契約法が改正された後に、任期付きの研究者に対する就業規則を変えました 。通算10年以内しか雇いませんという上限をつけたんですよ 。なぜそんな変更を行ったか。それは無期転換を避けるためでしかないわけですね 。研究者の方のほとんどが「この変更に同意をしなければ契約更新はできない」と言われて 泣く泣く了承しているんですよ。
27:54
厚生労働大臣に2点、聞きします。この無期 転換の申し出をさせないために、雇用契約に新たに上限を設けるという就業 規則の変更 これは違法なフリエ健康ではないですか?また労働契約法第19条雇止め法理に 照らせば、これまで上限なく雇ってきたその労働者はたとえ雇止めというふうに 通告されても契約更新を要求することができると思いますがいかがですか?議長:後藤厚生労働大臣
28:31
後藤茂之厚生労働大臣:個別の事案についてのお答えは差し替え ますけれども一般論として申し上げれば、今、委員の御指摘のあった就業規則の変更に より新たに更新上限を設けることの有効性については労働契約法第10条の労働契約法の就業規則に関する定めに基づきました 。2番目の点の、更新上限による雇い止めの有効性については労働契約を第99条の 雇い止め法理に基づきましてそれぞれ最終的には司法において判断されることとなり ます 。このため使用者が更新上限を一方的に設けたとしても当該条件に基づいて 雇い止めを行うことは許されない場合も。いずれにしても厚生労働相としてはこうし た内容について引き続き周知に取り組むとともに労働契約法等に照らして問題のある 事案を把握した場合には都道府県労働局において適切な啓発指導等を行って参りたい と思います
29:39
議長;田村智子さん田村智子:今ね、司法において判断って言われたんですけど、この労働契約法の雇止め法理っていうのはいくつもの裁判例で、 これまで非正規だったとしてもずーっと 雇われてきたと、今後も雇われるという期待があるんだから、それは雇い止めは無効だっていう判例がいくつもあると 、これを条文に落としたんですよ。
理化学研究所の雇止め、研究チーム廃止・解散
30:01
理研だってね、今切ろうとしている人たち、裁判やれば勝てますよ 。でもね、研究者が何年もかけて裁判戦うのか?ってことなんですよね。そんなことを やらせずに解決をしなければダメなんです。
30:14
先ほど文科大臣をおっしゃった通り先週 25日の金曜日、理化学研究所の労働組合は文科大臣への申し入れも行いそして記者 会見を行いました。 その中身よく聴いてますとね、先ほど上限10年とされた研究者296人と、だけど その中には研究チーム、ラボと言います、これを率いるリーダーが60人以上いて、 このチームリーダーが雇い止めになるとラボをそのものが消滅して約600人が 雇い止めになる危険性がある。このラボには博士課程の学生もいるんです けど 学位取得が困難になって行き場を失うことになってしまう。理化学研究所には12個の研究センターがあります。 特に神戸に本部を置く生命機能科学研究センター 、これBDRと略 しますけれども、 24の研究チーム、ラボが解散の危機にあってそのうち17 は移転先も決まりません。研究棟、ビル一つがこのまま行くと廃止さ れるんじゃないかっていう事態なんです。ここでは基礎研究の技術基盤の開発、科学の 手法での生物科学研究を行なってコロナウイルス関係の研究も現在進行形で 行っています 。来年から3年間のプロジェクト研究予算が決定して いるラボもあります。廃止する合理性はどこにもありませんね。 研究者の方はこれまでの研究、育成してきた人材、外部との共同研究の成果や取組み、 何年もかけて積み上げてきた研究設備、1億からに2億するといいます、これらもすべて 廃棄となる可能性がある。あまりにも大きな損失だ 。ちなみにこの分野で中国は今巨額の研究投資を行っています。 文科省大臣、研究所の合理性何もないですよ。こんな乱暴な研究者への雇い止め、研究 チームの廃止、こえr放置できないと思います。理研を監督指導すべきだと思いますが、いかが ですか ?議長:末松文部科学大臣
32:33
末松文部科学大臣:田村先生お答え申し上げます 。まずもうあげておかなきゃならないことは 、一般論として申し上げましたら無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的で雇い止めを行うこと は労働契約法の趣旨に照らしまして全く望ましくないと承知いたしてございます。それで、今の理化学研究所におきまして、国家的社会的なニーズの高い研究を機動的 に進めるため、プロジェクトの廃止も含めた見直しを適時適切に行っております。この プロジェクトの見直して当たっては、研究者の入れ替わりを含む人材の高い流動性の 確保は不可欠でありまして、平成28年、2016年の就業規程改正によりまして 、研究者には原則7年最大10年の雇用上限を設けているものと承知いたして ございます。また理化学研究所におきましては労働組合との協議を重ねまして労働者に 周知されてきた就業規定に基づき、雇用契約を結んでおりまして 、雇用上限についても労働者との対話を重ねてきているものと、そのように聞いており ます 。いづれにしましても独立行政法人であります理化学研究所において、先生から今ご指摘があってもっと監督すべきじゃないかって ことですけれども、ただ法人の自主性とか自立性のもとに業務運営は行われることが 基本ではございます。雇用上限については労働関係法令に基づきまして、法人において適切に定めたものと承知致しております。引き続き 理化学系所においてですね職員との対話を 継続しつつ適切な人事の運用を行っていただくことが重要と考えております。丁寧 な話し合いを継続してもらいたいと、そのように私は考えております。議長:田村智子さん
田村智子:これね、研究の成果を分析しての組織改編なんかと全然違いますよ。先ほど紹介したBDRっていうのは 外部の評価も受けていて国内外の大学研究者による外部評価では大変高い評価がさ れているんですよ。差し迫った問題は、このラボが閉鎖されて しまうことだと、雇い止めに対して厳しい指摘をしてるんですよ。これがね、足元でちゃんと文科大臣がね、文科省が指導監督しなくてどうするかってことですよね。研究所の必要性じゃないです よ。無期転換したくないから機械的な10年なんですよ。これでいいのかと。
大学のラボスタッフの雇止め
実は国立大学でも理研と同じようなことが起きようとしているんですね。雇い止めの 対象は任期付きの教員非常勤講師、研究をサポートするテクニカルスタッフ など広範囲に及びます。東北大学では約240人が10年以内とされて、来年4月までに来 られるんじゃないかとこういう事態です。ある国立大学に18年勤務してきた テクニカルスタッフの方から私の事務所にメール寄せられています.『先日上司にこのまま仕事を続けてもらいたいが大学に何度聞いてもこれ以上は 難しいと言われた。一旦止めて半年開けてクーリングオフして戻ってきたらまた10 年雇えるからもどって来るように言われました。国の教育機関が脱法のようなことをしているのもとても残念です。 職場には同じタイミングで雇用期限がついた人がたくさんいます。』 と 厚労大臣、 ねっ、 一旦止めて半年おけば継続じゃないから無期転換の申出できないからだから半年後 にまた来てねと、これは違法な雇い止めではないですか?
議長:後藤厚生労働大臣
36:26
後藤厚生労働大臣:個別の事案についてのお答えは差し控え させていただきますけれども雇い止めが有効か否かについては雇い止め法理に基づきまして最終的には司法において判断されることになります。その上で一般論 として申し上げればご指摘のような契約更新場上限を設けた上でクーリング期間を 設定し期間経過後に再雇用を約束した上で雇い止めを行うことなどは法の趣旨に 照らして望ましいものではないというふうに考えます。いずれにしても厚生労働相とし ては無期転換ルールの制度の内容、趣旨や円滑な運用を周知等していくとともに労働 契約法等に照らして問題のある事案を把握した場合には都道府県労働局等において 適切に啓発指導等を行ってまいります。
ラボスタッフの雇用を守れない大学教授の苦悩
37:21
議長:田村智子さん田村智子:実はね、この方からはその後もへメールが寄せ られているんですよ。
今この研究機関や大学での雇い止めっての がだんだん問題になってきてね私も内閣委員会でも質問しました。 その後にもメールが寄せられていて、『同僚と 2人で教授に呼ばれたと。大学から期待を持たせるなと、その教授に大学から言われた。2人が優秀なのはわかっているがこれは 仕方がない。他の人を募集するのでしっかり引き継ぎしてねと言われてしまいました』と 言うんですよ。 教授は引き続き雇いたいから、大学に雇えないかって相談を何度もかけてるんだけど 、また雇えるかのように期待を持たせるなと、だからきっぱり切れっていうやりとりだっ たってことですよ。 18年働き続けてきた。この方の就職氷河期の就職でとても やりがいをもって、この得た仕事をですね、たとえ短期契約の積み重ねであっても本当 にやりがいを持って働いてきたんですよ。しかも優秀で現場では働き続けてほしいと そう思ってるんですよ。それでも雇い止めが仕方がない 。こういう理由はね私はどこでもないと思いますよ。 文部大臣、来年3月までにはまだ時間があります。先ほどの利権の問題も含めてねほんとに 研究所に必要な雇止めと言えるのかどうか。大学で何が行われようとしているのか。これは調査をして相談窓口も設けて、実態を掴んで、機械的な雇い止めは止めるようにす べきだと思いますがいかがでしょうか?
39:05
議長:末松文部科学大臣
大学や研究所における雇止めに関する文部科学大臣の考え
39:16
末松文部科学大臣:先生から今 国立大学の雇止めの話が出ましたんですけれども、平成31年2月でも独立行政法人、特殊法人、国立大学法人におけ るう無期転換ルールの円滑な運用についてということで細かく指示はしております。 どういう結果で、なっておるかということについては定かで はありませんけれど。まあ先生から今日、理化学研究所の話をよく伺いました。そういうことでございます。答えとしましては国立大学の法人の教職員の雇用形態というのは労働 関係法令に基づきまして各法人が経営方針等に基づいて適切に定めた運用にすべき ものであると考えております。 文科省としては国立大学法人の学長が参加する会議において労働契約法の趣旨を 踏まえて適切に対応いただくよう繰り返しお願いしてきたところでございます。先ほど の、読んだこのペーパーがそうだと思います 。引き続き厚生労働省と連携しながら本日、田村先生からもご指摘なった事例も含め まして 国立大学法人に対して改めて無期転換ルールの適切な運用について周知徹底を 図りたいと考えております。
40:32
議長:田村智子さん
日本の科学技術政策における抜本的な見直しや転換の必要性
田村智子:人件費はコストで、 抑えるのが当たり前だと、安定した働き方では組織が停滞すると、雇用の流動化が必要だ と、こういう政策が経済だけでなく研究分野にも徹底されて、今や日本が成長する力が 奪われているということだと思います。最後総理に聞きたかったんですがちょっと 時間が来てしまいました。私はやっぱりね 、こういう新自由主義そのものの政策の抜本的な転換が必要だと思う、そのことを 申し上げて質問を終わります。