Category Archives: 科学出版

論文投稿先選びの最前線★論文投稿スレ19★

MDPIやFrontiersなどオープンアクセス(OA)ジャーナル花盛りの今、論文投稿先のジャーナル選び、査読の厳しさなどはどのようなものなのでしょうか。5ちゃんねるの記事★論文投稿スレ その19★で論文投稿の現在(いま)を見てみたいと思います。

MDPIとFRONTIERSのアクセプトのされやすさ

評価に関してはcontroversialなオープンアクセスジャーナルとしてMDPI社の雑誌群とFrontiers社の雑誌群があります。これらのジャーナルの評判や、通りやすさはどんなものなんでしょうか。

3「MDPIに出して楽して受理されたい」

4「MDPIの雑誌でエディタに蹴られまっくてサンドバッグ状態のオレが通りますよ。もう引退したい。誰か介錯してくれ。」

5「Frontiers出してみれば。あそこだいぶゆるいよ」

6「MDPIすら通らないなら、それはもはや論文の体裁になってないんだろ」

転載元:★論文投稿スレ その19★

関連記事 ⇒ FRONTIERSもハゲタカジャーナルだと?!

 

インパクトファクターの高さのナゾ

MDPIもFrontiersもアクセプトされるのが容易なジャーナルという認識の研究者が多いようです。それでいて、MDPIにしろFrontiersにしろ、インパクトファクターはそこそこ高いジャーナルが多いので、インパクトファクターがある雑誌に投稿する必要性がある研究者にとってはとても有難い存在となっています。

7「国内誌IFなしに落とされたのがMDPIに3週間くらいで通った IFは4くらいあるし意味不明」

転載元:★論文投稿スレ その19★

確かにMDPIのジャーナルはその評判とは裏腹にインパクトファクターは結構高いです。

関連記事 ⇒ MDPIはハゲタカジャーナルなのか?その評判

ジャーナルの評価や評判とインパクトファクターはだいたい比例していると思っていたのですが、時々おどろくほどインパクトファクターが高いジャーナルがあります。

9「チャイニーズの団体さんが投稿してるところは、IF高めだったりする j power sourceとか」

転載元:★論文投稿スレ その19★

Journal of Power Sourcesという雑誌は初めて知りました。インパクトファクターが9.127(2020年)というのは、かなり高い数字ですね。上の書き込みにある通り、論文の著者を見るとほとんどが中国人の名前のようです。

関連記事 ⇒ インパクトファクター2018学術誌ランキング

 

MDPIの評判・MDPIの見られ方

MDPIに対する評価がかなり低い人たちもいるようです。匿名掲示板ならではの本音が聞けます。

16「MDPIに出す研究者ってやっぱり、ゴミなん?」

17「もれなくな MPDIに出してるような研究室のDに行くと研究者としては終わり 企業に行     くのなら知らんが」

18「プロが投稿する雑誌ではないのは確か」

19「うちのボスはfrontiersとijmsばかりだす インパクトファクター高めだというがはっきりいってハゲタカだろ」

25「IJMSだけはやめとけ 業績にこれがあると惨めだぞ」

  • D:ドクター、博士課程
  • ijms: MDPI社の雑誌International Journal of Molecular Sciences

関連記事 ⇒ MDPIはハゲタカジャーナルなのか?その評判

関連記事 ⇒ 東大も京大もMDPI社のInt J Mol Sciが好き

MDPI社のジャーナルが論文業績にあるからどうというのは微妙な話で、本人次第、本人の思い描くキャリアパス次第としかいいようがありません。職の維持や昇進に論文数がどうしても必要だからMDPIに投稿して数を稼ぎたいという状況の人はいることでしょう。オープンアクセスで広く読んでもらえるのだからそれでいいではないかという考えもあると思います。MDPIに出すことは全く考えたことがないという人もいるはず。

 

MDPIにおける査読とアクセプト決定の真実

MDPIのアクセプトのされやすさに関する会話もありました。査読者の査読の厳しさもいろいろなので、リジェクトかどうかで意見が割れたときにエディターの判断で通るというパターンがあるようです。査読が厳しい雑誌だと、複数の査読者のうち一人でもリジェクトの判断をしているとリジェクトになることが自分の経験上は多いですが、MDPIだと採否の判断がその逆パターンになっているわけですね。

79「MDPIは査読が雑というよりは、査読の意見に関係なく全てアクセプトにしてしまう編集側が問題に見える。」

80「やさしい世界」

81「以前、mdpiから査読依頼が来て論文内容がかなり酷かったからリジェクトにした。

他の1人も自分と同じ理由でリジェクトで、なぜか1人は「そのままの形式でアクセプト」→これで編集の判断はmajor revision。

reviseも酷くて俺含めて2人が改めてリジェクトで例のもう1人はminor。→編集の判断はminor revision。

そしてminorは再査読にならず著者の返答見て編集が正式にアクセプト」

85「その3人目は編集部のダミーだろうな」

82「屑雑誌とわかってて何で査読に協力する?」

83「屑、屑、言われてるけど実際どうなんだろう。とおもってやったら屑だったパターンです。

まぁ臭いと知ってて嗅いじゃうようなもんよ」

88「査読付きと言いながらこれじゃあ査読なしと同じだわな」

随分とひどい言われようですね。しかし他人からの評価というのは、内容よりも出した雑誌で決まるところがあります。ネイチャーと聞いて凄いと反応する人がいるのと同じで、MDPIと聞いてネイチャーとは逆方向の反応をする人がいるわけです。

 

MDPIからの査読依頼を受けるべきか

MDPIからの査読依頼メールを頻繁に受け取っている人は多いことと思いますが、それを受けるかどうかで悩んでいる人も中にはいるのではないでしょうか。受けるかどうかの判断基準に関するコメントもありました。

89「査読を受けるかどうかの判断は今後自分が生涯のうちに投稿する可能性があるか否かにしてる。」

これはなかなか合理的な考え方だなあと思いました。

 

論文数での評価と内部昇進

論文数を稼ぐ処世術も話題になっていました。

113「ネガティブデータ、クソデータを集めてクソ論文を出すのもクソ教員の仕事です それを分かってない高齢ポスドク、高齢助教が大杉」

114「クソ論文を積み上げて逝くと教授になれまつか?」

116「はい」

117「短報積み重ねて教授になった奴いたな。まさかそんな事する奴いないだろうということで、明確なガイドラインが無かったところを突かれた感じ。」

118「遅刻のうちの学科の昇進条件は論文数だけ。そのため、業績が和文論文だけで科研費の採択実績0の教授が普通に存在する。」

上の例を見ると、とにかく若いときに助教でもぐりこんでいればその大学で教授にまで行けるところがあるようです。そういう教授の職が公募で出ていても応募するだけ無駄ですね。内部昇進と容易さと外で職を見つけることの困難さとの間の落差は本当にとてつもないものがあります。優秀な研究者でもなかなかパーマネント職が見つけられないのはこういう事情が存在するからなのではないかと思います。しかし、今でも内部昇進で教授まで上り詰めることができる国立大学が存在するというのは知りませんでした。

  • 遅刻(ちこく):ちほうこくりつだいがく(地方国立大学)
  • 逝く(いく):いく
  • なれまつか:なれますか のネット方言(?)
  • 大杉(おおすぎ):多過ぎ

関連記事 ⇒ 採用する人間がいるのに公募すんな!デキ公募

 

サイレポの評判の変遷と査読の厳しさ

MDPIとFRONTIERSが並べられて話題になることが多いようですが、サイレポも引き合いにだされて、みつどもえになっている会話を紹介。

168「mdpiとfrontierかやばすぎて、サイレポは再評価されている」

169「sci rep のどこがやばくないのかと」

170「最近のサイレポに出したことないの?」

171「サイレポは評判落ちてた分、査読もかなり厳しくなってる。2人のレビュワーを納得させる mdpiとfrontierは1人が折れなければokって聞いた」

172「サイレポそんなに厳しくなってるんか 専門誌どこにも引っかからなかったゴミ論文は、サイレポに出せばいいかって思ってた」

サイレポに対する最近の見られ方が垣間見れて面白いですね。雑誌の評価は時代とともに変わるようです。

しかし査読が緩い雑誌がこれほどあるのなら、どんな実験結果でも論文として出せるんじゃないかという気がしてきますが、どうなんでしょう。

190「ノー論文の奴ってMDPIにもサイレポにもプロワンにも出せない奴って事でいいの?」

192「mdpiは別にして、実際のところ、国内の研究者の大半はサイレポ、プロワンに論文を出せるレベルではないだろ」

193「そいつらは職業教員であって研究者じゃないから中高の教諭と同じ」

194「新学術の計画班の代表たちが懇親会で「サイレポやプロワンは方法が間違ってなければ
いいって話だけど、なんだかんだとケチつけられてリジェクトされるんですよー」って話してたぜ・・・。おれは「こいつらやばい」と思ったが、>>192は間違っていない」

研究者によってはサイレポ(Scientific Reports)やプロスワン(PLOS ONE)が最低ラインと考えているし、研究者によってはそうでもないということのようです。

関連記事 ⇒ PLOS ONEのIF、採択率、査読期間、評判

関連記事 ⇒  Scientific Reports(サイレポ)の評判、IF、採択率

 

MDPIに対する評価

MDPIに関しては、分野により研究者によりいろいろな見方があるようです。

366「楽してIF稼ぎたいならMDPIかな 業績がMDPIばかりだとヤバいやつだと思われるけど」

367「分野によるやろ うちの分野じゃMDPIはデータのお蔵入り回避程度の位置付けだし」

368「うちの分野はMDPIが一流紙一歩手前に上り詰めてる IFだけなら一流紙以上」

 

参考

  1. ★論文投稿スレ その19★ 2021/09/04(土) 12:10:57.96 – 2022/04/27(水) 11:27:26.91
  2. ★論文投稿スレ その18★ 2018/10/14(日) 18:35:05.76 – 2020/05/08(金) 17:59:35.10
  3. ★論文投稿スレ その17★ 2018/01/28(日) 17:35:35.36 – 2018/10/14(日) 16:55:23.06
  4. ★論文投稿スレ その16★ 2017/01/03(火) 08:26:16.71 – 2018/01/23(火) 21:37:43.90
  5. ★論文投稿スレ その15★ 2016/06/01(水) 00:57:12.91 – 2017/01/03(火) 08:21:37.09
  6. ★論文投稿スレ その14★ 2015/12/21(月) 07:50:44.67 – 2016/05/31(火) 21:50:35.68
  7. ★論文投稿スレ その13★ 2015/12/13(日) 23:49:15.52 –
  8. ★論文投稿スレ その12★ 2015/08/13(木) 21:44:07.00 – 2015/12/13(日) 22:35:59.24
  9. ★論文投稿スレ その10★ 2014/12/20(土) 00:18:12.08 – 2015/03/02(月) 23:47:23.26
  10. 論文投稿スレ                2010/09/20(月) 14:31:22 – 2011/01/31(月) 22:33:53

 

 

 

 

 

 

 

論文を投稿するジャーナルの選び方

論文をどのジャーナルに投稿しようかと悩む人がいるかもしれません。インパクトファクターが全てではないという研究者も多いですが、実際には、インパクトファクターが高いジャーナルに論文業績があるほうが、良い評価を受けられる可能性が高いことは間違いありません。

教員公募の際に、応募者の論文業績リストにインパクトファクターを書かせる大学がありますし、教員の任用・昇進に際して論文数だけでなくインパクトファクターを考慮する大学もあります。いろいろな学会が自分のところの学会誌のインパクトファクターの変化を一喜一憂したりもしています。

研究キャリア形成の途上にいる限り、研究者はインパクトファクターを度外視して論文投稿先のジャーナルを選ぶことは不可能でしょう。そこで、インパクトファクターの範囲を意識しつつ、どのジャーナルに論文を投稿したらいいのかについて自分の思うところを書いてみます。これが正しいというわけではなく、考えるための話題提供程度のつもり。

ジャーナルには歴然とした「ランク」が存在します。一つの出版社は、それぞれのランクの論文を取りこぼしなく取り込むために、異なるランクのジャーナルを用意していることが多いです。例えば、ネイチャー系であれば、Nature、Nature姉妹紙、Nature Communications、Nature Communications姉妹紙、Scientific Reportsといった感じです。セルプレスであれば、Cell、Cell姉妹紙、Cell Reports、iScienceといったところでしょうか。

ネイチャー系が一番段階付けが細かいので、これを参考に他の出版社の雑誌がどのあたりに相当するのかを考えて雑誌を選ぶのも一つの方法だと思います。

NatureかScienceかCellか(インパクトファクター40以上)

生物系の場合、「CNS持ち」という言葉があるくらいで、セル、ネイチャー、サイエンスは別格の扱いです。インパクトファクターはNature、Science、Cellのいづれも40を超えており、他のジャーナルとは一線を画しています。NatureとScienceが科学の総合誌なのに対して、Cellは名前が示す通り生物学の専門誌、特に細胞生物学の専門誌です。細胞生物学の研究成果であれば、専門誌であるCellの方が掲載されやすいはずで、総合誌と専門誌を同列に並べるは変な話なのですが、それでもCNSと一括りにされて語られることが多いです。

これらの雑誌は、既成概念を変えるような大発見であったり、長年にわたって誰も成功しえなかったようなことを成し遂げた研究成果が掲載されるものであり、conceptural advanceの大きさが絶対条件となります。

関連記事 ⇒ ネイチャー(Nature)に論文を出す方法

関連記事 ⇒ サイエンス(Science)に論文を出す方法

 

Nature姉妹紙かCell姉妹紙か (IF=15以上)

Nature Medicine、Nature Immunology、Nature Cell Biology、Nature Neuroscienceなど、Nature姉妹紙のトップには専門誌が位置しています。Cell Pressの専門誌としては、Neuron、Immunity、Molecular Cellなどがあります。

よくリジェクトされるときの決まり文句で「専門誌のほうに出したほうがよい」というものがありますが、Nature系の一般誌であるNature CommunicationsやScientific Reportsよりもこれらの専門誌の方が上位なので、これらの姉妹紙のトップジャーナルに蹴られた際に専門誌への投稿を勧められたとしても、それより「下位」の一般誌に掲載される可能性は十分にあります。

ネイチャーの姉妹紙の中のトップジャーナルやセルプレスの専門誌のトップジャーナルは、それぞれの研究領域における最高峰に位置するものであり、インパクトファクターの大小だけでは雑誌の評価や受理される難しさは測れません。業界ごとに、このジャーナルはこうだよねという見方が存在しています。

  1. Nature Medicine: Impact factor (2020) = 53.44
  2. Nature Genetics: Impact factor (2020) = 38.333
  3. Nature Cell Biology: Impact factor (2020) = 28.824
  4. Molecular Cell: Impact factor (2020) = 17.970
  5. Nature Immunology: Impact factor (2020) = 25.606
  6. Immunity: Impact factor (2020) = 31.745
  7. Nature Neuroscience: Impact factor (2020) = 24.884
  8. Neuron: Impact factor (2020) = 17.173

 

PLOS BiologyかeLifeかNature CommunicationsかCell ReportsかCurrent BiologyかPNASか(インパクトファクター10前後の総合生命科学雑誌)

生命科学分野における総合誌で、インパクトファクターが10前後のものが多数あります。

PLOS BiologyはPLOSのフラッグシップジャーナル。eLifeは独自の編集・査読方針を打ち出した生命科学専門誌で、どちらもインパクトファクター的には同じところに位置します。理念が素晴らしくてもインパクトファクターが低いと、高い雑誌に客を奪われる傾向が強いみたい。PNASは総合科学雑誌なので、他分野の研究者からも認められやすいため、雑誌の見られ方としては、インパクトファクターの影響を受けにくい。

  1. Nature Communications: Impact factor (2020)=14.914
  2. PNAS: Impact factor (2020)=12.291
  3. Current Biology: Impact factor (2020)=10.834
  4. Cell Reports: Impact factor (2020)=9.423
  5. PLOS Biology: Impact factor (2020)=8.029
  6. eLife: Impact factor (2020)=8.14

全然関係ないけど、PNASのことを「ピーナス」と発音する日本人研究者がいまだにいるけど、それはジャーナルの名前ではなくて、男性の外部生殖器であるところのpenisにしか聞こえないので、やめたほうが良いといつも思う。ピーエヌエイエスでいいんじゃないかな。

 

Communications BiologyかPLOS姉妹紙かFrontiers専門誌か(インパクトファクター5前後の専門誌)

  1. Communications Biology: Impact factor (2020)= 5.489
  2. Journal of Biological Chemistry: Impact factor (2020)= 5.157

 

Scientific ReportsかiScienceかPLOS ONEか(オープンアクセスメガジャーナルの総合誌)

サイエンティフィックリポーツはネイチャー系ジャーナルの一番下に位置付けられています。上で戦うのに疲れたら、サイレポにトランスファーするというのは一つの選択です。

  1. Scientific Reports: Impact factor (2020)= 4.379
  2. iScience: Impact factor (2020)= 5.08
  3. PLOS ONE: Impact factor (2020)= 3.240

 

インパクトファクターで選ぶ

研究は中身が大事と言いつつもインパクトファクターを重視する研究者がほとんどですので、上記のようにインパクトファクターを意識して投稿先を選ぶことは基本的な態度だと思います。

 

トランスファーか他社の同程度の雑誌に出し直すか

最近は投稿したファイル一式をトランスファーする制度があるので、同じ出版社で雑誌のレベルを落として投稿する場合には、出し直す手間がありません。レフリーーのコメントも次の雑誌に送られるので、採否の決定がスピードアップします。

この便利なトランスファー制度のおかげで、論文の投稿先は最初のサブミッションよりも、リジェクトされたあとの方が悩みます。つまり、同じ出版社の下位ジャーナルにトランスファーするか、それとも別の出版社の同じインパクトファクターの雑誌に出し直すかで悩むわけです。自分の論文の価値を信じるなら、雑誌の格を落としたくないのですが、さっさと通る雑誌に通して楽になって次に進みたい気持ちもよぎります。

 

専門誌か総合誌かで選ぶ

論文業績を誰に対してアピールする必要があるのか?生物系の人間が、物理化学系の人たちにも業績を認めてもらう必要がある状況が想定されるのであれば、生物、物理、化学と広いスコープを持つジャーナルを選ぶという戦略があります。

 

アクセプトまでが最短最速の雑誌を選ぶ

公募されていた教員の職の最有力候補に選ばれたが、規程の論文数に足りていないため、いついつまでに論文数を増やす必要がありという状況になることがあり得ます。また、有期の職を得た場合、何年間で何報という規定を満たさないと職が更新してもらえない場合がありえます。

関連記事 ⇒ 10年間で論文20報届かず富山大教授解雇

そんなときは、雑誌の評判に構っている場合ではないので、要件を満たすジャーナルであればどの雑誌でも良いでしょう。そんなニーズを満たすために作られた言われているのがMDPIのジャーナル群です。

関連記事 ⇒ MDPIはハゲタカジャーナルなのか?気になるMDPIの評判まとめ

PLOS ONEのIF、採択率、査読期間、評判

PLOS ONEとは

PLOS ONEは、PLOS(Public Library of Science)が2006年に創刊したオンラインジャーナルです。地球上のどこの誰でもネットにアクセスできさえすれば無料で科学論文を読むことができるという点が画期的でした。大学にいるときに文献検索していると、ほとんどの論文が無料で読めるのが当たり前だと錯覚しますが、たまに自宅からアクセスすると読みたい論文が40ドルなど支払い画面に誘導されて、所属大学が出版社と契約して高いお金を払っていただけであって、実は科学論文というものはほとんどの場合が無料ではなかったことに気付かされます。

また、PLOS ONEはデータが確かなものであれば、研究の意義は(あまり?)問わないという点も画期的でした。研究の意義を決めるのは、その論文が出版された後、その論文を読んだ読者にゆだねればよいという発想です。

PLOS ONEの守備範囲はもともと生物学や医学でしたが、後に工学や人文社会科学なども含むようになったようです。そのためか、基礎科学の研究者から見ると、非科学的と思える突飛な論文が出版されて物議を醸したりします。

関連記事 ⇒ 人間の手の精巧さは創造主なる神の賜物 PLOS ONE

こんな論文が掲載されてしまったということは、査読や編集がちゃんとしていたのかという疑念を生じさせますが、PLOS ONEをハゲタカジャーナルと見なす研究者はとりあえずいないはず。

PLOS ONEのインパクトファクター

PLOS ONEは2006年の創刊で、最初インパクトファクターが2009年4.351、そして2010年は4.411と好調な滑り出しだったと思います。しかし、2011年は4.092と翳りが見え始め、2012年には3.730と4を切ってしまいました。PLOS ONEに続いて同じコンセプトのオープンアクセスジャーナルが多数創刊されたせいか、その後インパクトファクターは下がり気味で、2020年のインパクトファクターは3.240になっています。

  1. The Rise and Fall of PLOS ONE’s Impact Factor (2012 = 3.730) By PHIL DAVISJUN 20, 2013  The scholarly kitchen
  2. PLOS One (Wikipedia)

PLOS ONEの採択率

PLOS ONEの採択率は、当初70%程度と非常に高かったような記憶がありますが、今みてみたら45%前後でした(2019年)。

  1. PLOS ONE Journal Information 

 

PLOS ONEの査読期間

投稿してから、エディターキックを食らうかそれとも査読にまわるかの決定までの日数は2週間程度。査読後の可否の決定までが45日前後、最終的にアクセプトかリジェクトかの決定までが3か月程度というのが、PLOS ONEが公表しているタイムスケジュール実績になっています。

  1. PLOS ONE Journal Information 

まあ普通それくらいかかるでしょうとは思いますが、MDPIなどのように査読の質を犠牲にしても速さ命で突き進むジャーナルを見慣れてしまうと、遅いと感じる人も多いのではないでしょうか。研究者のほとんどは、限られた年数の間に論文のアクセプトまでこぎつけないと次がないという崖っぷちの生活をしているので、アクセプトまでのスピード感は、論文投稿者が望む最大のサービスだと言えます。

  1. https://scirev.org/journal/plos-one/ 

 

PLOS ONEの評判

PLOS ONEは、創刊当初は採択率7割で出せば通る救済雑誌のイメージを自分は持っていたのですが、その後、採択率はもう少し厳しくなったようで、最近は4~5割の間みたいです。PLOS ONEを良い雑誌と見なすか、良い雑誌とは見ないかは、その人が普段どのレベルのジャーナルに出しているかにもよるので、何とも言えないところです。

ツイッターでは辛口の声も聞かれますが、リアルでどうかというと、自分はPLOS ONEを持ち上げる人に出会ったことはありませんが、かといって、PLOS ONEのことをことさらけなす人にも出会ったことがありません。

ネットのレビューサイトに、多数の経験談が掲載されているのでURLだけ紹介しておきます(英語読むのがめんどくさいので)。査読がどれくらい厳しいのか、などの情報が得られると思います。

  1. https://scirev.org/reviews/plos-one/ 

個人的なことをいうと、もともとPLOS (Public Library of Science)の理念は素晴らしいと思っていたので、そのPLOSが明確なコンセプトのもとにつくったPLOS ONEにも良い印象があります。高い採択率のオープンアクセスジャーナルでサイエンティフィックな意義にはこだわらないという以上、玉石混交になるのは想定内なのではないでしょうか。

PLOS ONEは創刊当初の勢いを失っているように思います。競合他社が同様の戦略を採用しており、Nature系のScientific ReportsやCell Press社のiScienceなどに勢いを感じます。

 

参考

  1. PLOS ONEのこれまで,いま,この先 佐藤 翔 情報管理/57 巻 (2014) 9 号 p. 607-617 DOI https://doi.org/10.1241/johokanri.57.607

医学系の学術雑誌インパクトファクター 2018ランキング

生命科学全般はコチラ ⇒ インパクト・ファクター(IF)2017学術誌ランキング(2018年発表)

 

基礎医学および臨床医学の主要な学術誌のインパクトファクターを纏めます。

臨床医学・基礎医学総合誌

  1. NEJM (New England Journal of Medicine) ニューイングランドジャーナルオブメディシン IF=79.258 (bioxbio.com) “Our mission is to bring physicians the best research and information at the intersection of biomedical science and clinical practice” (About)
  2. THE LANCET (ランセット) IF=53.254 (bioxbio.com)
  3. JAMA (The Journal of the American Medical Association;米国医師会雑誌)  Impact Factor of 47.7 “an international peer-reviewed general medical journal”
  4. Nature Medicine IF=32.621 (bioxbio.com)
  5. EBioMedicine (Published by Lancet) has an Impact Factor of 6·183
  6. Medicine  Impact Factor: 2.028 “a fully open access journal, providing authors with a distinctive new service offering continuous publication of original research across a broad spectrum of medical scientific disciplines and sub-specialties” (About)
  7. Journal of Clinical Investigation (JCI) Impact Factor: 13.25 (2017). “publishes basic and phase I/II clinical research submissions in all biomedical specialties, including Autoimmunity, Gastroenterology, Immunology, Metabolism, Nephrology, Neuroscience, Oncology, Pulmonology, Vascular Biology, and many others.” (About)
  8. Medicine (Baltimore)  2.028 (Wikipedia)
  9. Medicine (Elsevier)  “Elsevier’s Medicine is a continually updated, evidence-based learning resource for trainees.”
  10. JAMA Network Open “an international, peer-reviewed, open access, general medical journal that publishes research on clinical care, innovation in health care, health policy, and global health across all health disciplines and countries for clinicians, investigators, and policy makers.” (For Authors) “The journal started publishing in 2018.” (Wikipedia)
  11. JCI Insight Impact Factor (2017) N/A (Founded 2016) “a peer-reviewed journal published by the American Society for Clinical Investigation dedicated to well-executed preclinical and clinical research studies”
  12. Journal of Clinical Medicine(MDPI) Impact Factor: 5.583 (2017)

新谷 歩 『あなたの臨床研究応援しす』 

康永秀生『できる!臨床研究 最短攻略50の鉄則

木下晃吉『臨床医による臨床医のための3Step論文作成術

 

がん・腫瘍学

  1. Lancet Oncology has an Impact Factor of 36·421 “covers topics that advance clinical practice, challenge the status quo, advocate change in health policy, and tackle issues related to global oncology.” (About)
  2. Journal of Clinical Oncology (JCO) JCO‘s Impact Factor is 26.303 (About)
  3. Cancer Discovery (AACR Journals) Impact Factor 24.373
  4. Cancer Cell (Cell Press) Impact factor (2017) 22.844 (Wikipedia)
  5. JAMA Oncology Impact Factor of 20.9 “journal for scientists, clinicians, and trainees in the field of oncology” (About)
  6. Clinical Cancer Research Impact factor (2017) 10.199 (Wikipedia)
  7. Cancer Research (AACR) Impact Factor 9.1301 (AACR Journals Metrics)
  8. Liver Cancer (Karger) Impact Factor 2016: 7.854
  9. International Journal of Cancer (IJC) (Wiley) Impact factor:7.36 
  10. Cancer (Wilely) Impact factor:6.537 
  11. British Journal of Cancer (nature.com) 2 Year Impact Factor: 5.922 “publishing significant advances in translational and clinical cancer research” (About)
  12. European Journal of Cancer (EJC) Impact factor (2014) 5.417 (Wikipedia) “integrates preclinical, translational, and clinical research in cancer, from epidemiology, carcinogenesis and biology through to innovations in cancer treatment and patient care” (Aims and Scope)
  13. Cancers (MDPI) Impact Factor: 5.326 (2017)
  14. Frontiers in Oncology Impact Factor 4.416
  15. Clinical Lung Cancer (Elsevier) Impact Factor: 4.204
  16. BMC Cancer  3.288 – 2-year Impact Factor
  17. Oncology Reports Impact Factor: 2.976
  18. International Journal of Clinical Oncology (Springer) 2017 Impact Factor 2.610
  19. Cancer Science (Wilely)

 

免疫学

  1. Nature Immunology 2-year Impact Factor: 21.809 (About)
  2. Immunity (Cell Press) IF:19.734 (bioxbio.com)
  3. Science Immunology
  4. Frontiers in Immunology IMPACT FACTOR: 5.511
  5. Journal of Immunology   Impact factor:Two-year: 4.856 (2016 Journal Citation Reports)(About)
  6. Immunology (Wilely) Impact factor:3.358 

 

幹細胞・再生医療

  1. Stem Cell Reports (Cell Press) Journal Impact Factor: 6.537
  2. Stem Cell Research (Elsevier) Impact Factor: 3.902 
  3. Cell Stem Cell (Cell Press) IF:23.290 (bioxbio.com)

 

循環器科

  1. Journal of the American College of Cardiology (JACC) IF:16.834 (bioxbio.com)
  2. Circulation (AHA/ASA Journals) IF:18.88 (AHA/ASA Journals Metrics)
  3. Heart (BMJ Journals) Impact Factor 5.420

 

糖尿病

  1. Diabetes Care(American Diabetes Association) Impact factor (2017) 13.397 (About)
  2. Diabetes (American Diabetes Association) Impact factor (2017) 7.273 (About)
  3. Journal of Diabetes Investigation (JDI)(Wilely) Impact factor:3.147 

 

呼吸器科

  1. ブルージャーナル (AJRCCM; American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine) Impact Factor: 15.24   “publishes high-quality original papers, reviews, and clinical trials in respiratory, critical care, and sleep medicine to foster advances in translational research and clinical practice.” ” focuses on human biology and disease, as well as animal studies that contribute to the understanding of pathophysiology and treatment of diseases that affect the respiratory system and critically ill patients.” (About)

 

神経内科・精神科・脳外科・神経科学

  1. THE LANCET Neurology has an Impact Factor of 27·144 (About)
  2. THE LANCET Psychiatry has an Impact Factor of 15·233 (About)
  3. Molecular Psychiatry (nature.com) 2017 Impact Factor 11.640 (About)
  4. Epilepsia (Wiley) Impact factor:5.067
  5. Journal of  Neurology (Springer) Impact Factor 3.743
  6. BMC Psychiatry   2.419 – 2-year Impact Factor
  7. World Neurosurgery (Elsevier) Impact Factor 2017: 1.924 
  8. Neurology and Clinical Neuroscience (Wilely) 日本神経学会の公式英文誌

 



症例報告

  1. Clinical Case Reports (Wiley)
  2. BMJ Case Reports
  3. American Journal of Case Reports (AJCR)

 

日本の医学関連学会の学会誌のインパクトファクター

  1. 日本の医学系学会英文誌、2018年6月発表 インパクトファクターのご案内 Wiley出版

 

その他

  1. Medical Research Archives (MRA)(KEI Journals) “publishing research and clinical medicine” (About)

新谷 歩『今日から使える 医療統計

新谷 歩『みんなの医療統計 多変量解析編

原 正彦『実践対談編 臨床研究 英語論文 最速最短

 

 

 

参考

  1. Anyone heard of the journal “Medical Research Archives”? Thoughts on it? Spam/predatory journal? 21:09 – 2015年10月21日

 

動画ジャーナルJoVEから投稿の勧誘が来たけど出すべき?個人的な利用体験談

ジョベかと思ったら、JoVEはジョウブ、ジョーブと読むようです。

JoVEが初めて世に登場したときは、実験のやり方の実際が動画で見られるとは、なんて画期的なんだと思いました。それから長い年月が経ってJOVEの動画も随分増えましたし、JoVEも勧誘メールを無差別に?論文著者に対して送り付けてきているようです。JoVEからメールをもらった研究者の、「JoVEってどうなの?」、「動画作ったほうがいいの?」という声をよく耳にします。

そこで、JOVEについて自分の印象をまとめておきます。個人的な偏った見方に過ぎないことはご理解ください。

 

JoVE設立の意義、コンセプト

科学論文のマテリアルズ&メソッズ(Materials and Methods)セクションを読んでも、自分がやったことがない実験の場合にはチンプンカンプンなことが多いです。実験手技を文字で説明されるよりも映像で見ることができればわかりやすいのに、という思いに答えたのがJoVEなわけです。

Academic Video Publishing: Moshe Pritsker, PhD, CEO, Co-founder JOVE Publishing (1 of 2)

 

 

JoVEの設立者は誰?

創立者は、Moshe Pritsker博士ら。

JoVEは2006年にKlaus KorakとMoshe Pritsker,Nikita Bernsteinらによって150万ドルをかけて米国において創刊された,初めてのオンラインビデオジャーナルである。CEOであるMoshe Pritskerの仕事は編集や出版の過程の調整,ビジネスモデルの確立やマーケティングといった通常の学術雑誌の編集長として行う仕事のほかに,IT関連や動画の撮影,編集システムや投稿システムの確立や改良,研究機関への広報やPRなど多岐にわたる。彼の積極的な働きにより,オンラインビデオジャーナルJoVEのシステムの確立に成功している。(JoVE オンラインビデオジャーナルの可能性 駒田 致和,高雄 啓三,中西 和男,宮川 剛 2009)

  1. August 2014 ATG Interviews Moshe Pritsker, CEO and CoFounder, JoVE Katina Strauch Against the Grain Volume 22 | Issue 6 Article 18
  2. Interview with Moshe Pritsker (January 24, 2009 by Martin Fenner in Interviews PLOS BLOGS)
  3. Visualize This! Interview with Moshe Pritsker (By clock on February 7, 2008 ScienceBlogs)
  4. https://www.jove.com/blog/author/moshe-pritsker/

 

JoVEから動画つくりませんか?ってメール来たんだけど、ぶっちゃけ、JoVEの評判ってどうなの?

自分および周りの研究者の状況から判断して、JoVEは論文を出した人になら誰に対してでも勧誘メールを送りつけているようです。別に「あなたの論文が凄いから」とか、「あなたの論文の実験手技は動画で説明したほうがわかりやすいから」という理由ではないみたい。悪く言えばスパム的な営業かも…(?💦)。まあ、向こうもビジネスですから。そのため、JoVEから勧誘メールが来たけど、どうしよう?と悩む研究者も多いのではないでしょうか?

JoVEの巷の評判はどうなんでしょうか?

  1. How is publishing in JoVE (a “video journal”) perceived (academia.stackexchange.com)
  2. Does anyone have experience with the Journal of Visualized Experiments? (ResearchGate)

  3. JoVE: Is this legit? (reddit.com)

スパム的に勧誘メールを送り付けていることや、価格の高さを快く思わない研究者がいるのは確かなようです。

 

JoVEで動画作成する場合の価格

たまにJoVEが研究者から動画を買い取ってくれるの?と勘違いする研究者もいますが、違います。普通の論文掲載と同じで、研究者がJoVEに高いお金を払って動画を作るのです!なお、JoVEの動画はJoVEを購読している人しか視聴できません。JoVEのウェブサイトで視聴できる動画が一部あるのは、著者が追加料金を払ってフリーアクセスにしているからです。

Standard access: $2,400
Open access(optional): additional $1,800 (https://www.jove.com/publish/editorial-policies/)

1800ドル追加してフリーアクセスにするかどうかは懐と相談でしょうか。自分はいつもJoVEのサイトで良さげな動画をクリックして最初の30秒くらいしか見られなくてガッカリすることが多いので、みんながお金を払ってフリーアクセスにしてくれればいいのにと思います。一つ耳よりな情報として、「標準アクセス」価格であっても、映像を自由に使う権利はもらえます。つまり自分の研究室のウェブサイトにJOVEの映像を埋め込んで(フルアクセスできるURLをもらえる)、全部を視聴してもらうことが可能です。自分のラボのウェブサイトにアクセスが期待できる人なら、JoVE動画を埋め込んで置けば全部見てもらえるので、それで十分かもしれません。

自分は、JoVEのサイトで検索をかけて見たい動画をリストアップするので、やはり全部自由に見られたらいいいのにとという不満が募っています。

 

JoVEに査読はあるの?

JoVEにも査読がありますよ。いきなり動画を撮るわけではなくて、最初にプロトコール論文の部分(文書)を書き上げてそれを投稿します。それが査読に回されて受理されてから、動画撮影用のスクリプト(ナレーション部分、動画撮影のステップバイステップの記述)を書き上げて、いざ撮影となります。原著論文の実験手技の部分を動画にするので、新しいデータはもちろん不要ですし、JoVEもビジネスなので、査読で落ちることはまずないでしょう。査読者は著者がサジェストするので、だいたい顔見知りの人が読んでくれるでしょうから、厳しいことは言われません。ただし、ハゲタカジャーナルのように査読があってないようなものとは意味が違うとは思います。友達のよしみでちゃんと読んでくれるのではないでしょうか。

 

JoVEの評価とインパクトファクター

Our impact factor is 1.184. (https://www.jove.com/journal)

JoVEは査読付きの論文で、雑誌のインパクトファクターが1.184もあるなんて、論文業績的にはずいぶんと魅力的ではありませんか?原著論文一報出せば、もれなくもう一報ついてくるなんて、素敵。Buy one, get one free!じゃないですけど、Publish one, get another at the cost of $2,400! です。

 

動画制作の実際 & JoVEに対する個人的な印象

自分の印象ですが、JoVEの動画制作はマクドナルドファーストフードみたいなものだと思いました。動画編集者はわかりませんが、カメラマンやナレーターは研究とは無縁の人たちでしょうから、それでもそういうスタッフによって科学研究の動画ができてしまうというわけです。つまり彼らJoVEのスタッフにはあまり頼れないので、科学的に良いもの、研究者に役立つものを作る責任は全て著者にあるということになります。撮影の段取りや撮影のためのスクリプトは研究者がしっかりと作りこまないと、撮影当日はカメラマンが「機械的に、さっさと」その手順書に沿って撮影をしていくだけですので、その場での変更はそうそうできないと思います。撮影の時には自分の書いたスクリプトに自分が縛られることになるので、きちんと練ったものを用意したほうがいいでしょう。日本にJoVEのカメラマンが何人いるのかわかりませんが、自分の撮影のときの印象はあまり「共同作業で何かを作り上げる」という熱気は感じませんでした。たんたんと撮るべき映像を撮影していくというスタンスでした。多分、日本在住のフリーランスのカメラマンがJOVEと契約をしているだけなので他の仕事もたくさんあって忙しいのでしょう。

日本人研究者が英語の文章をつくり、話すのは大変なのではと思われるかもしれませんが、テンプレート化された文章をJoVEがくれるので自分の研究の用語をテンプレートにはめ込むだけでナレーション用原稿が完成します。だからJoVEの動画をいくつか見るとわかるように、皆が同じ文章をしゃべっています(!!)これも、自分がJoVEはファーストフードだと思った理由の一つです。話すとき原稿を暗記しておく必要もありません。カメラの横に掲げらられたカンペ(プロンプター)に表示される原稿を読むだけです。ただし、いい動画に仕上げたければ、原稿を読みあげるのではなく、あたかも人に話しているように笑顔で演技して話すことが必要です。JoVEの動画をいくつかみて、お手本になりそうなものを探してください。

 

結局、JoVEはお勧めなのか?

自分はJoVE設立のコンセプトには共感しますが、スパム的な勧誘メールやファーストフード的な動画作成プロセスには若干の違和感を覚えます。そのようなマイナスの側面を承知のうえで、お金と時間と気持ちの余裕があるのなら作ってみるのも悪くないのでは?と思います。別に自分で勝手にプロトコール動画をつくってYOUTUBEに載せればいいという気がしないでもないのですが、”一定”の品質のものがお手軽にできるので、のっかるのも悪くないかと。

JoVEを推す理由を考えてみますと、

  1. 自分の研究の宣伝にはなるのではないか(自分も他人のJOVE動画を結構見るので)
  2. 自分自身のための実験手技の忘備録になる(カタチにして残しておかないと、結構忘れるものです)
  3. 自分の実験手技を人に教えるときの映像資料になる(JoVEW見てちょうだい、で済むので楽チン)
  4. 査読付き論文なので業績欄が1行増える(?)(原著論文をもう一報出すほうが勿論いいのですが)
  5. 自分が最近出した論文のマテメソの部分をステップバイステップに書き直して図をつけるだけの作業であり、新しいことは何もないので原著論文を出す苦労と比べればかなり楽。

といったことが挙げられます。

JoVEの難点も挙げておきます。

  1. 原著論文ほどでは全くないが、JoVEのための原稿を書くのも思ったよりは手間暇がかかる。
  2. 論文発表のために何年も前にやった実験を今更JoVEの動画撮影のためにあらためて実演するのはおっくうだったり、装置がなかったり、出来る人間がすでにラボを去っていたりする可能性がある。
  3. ナレーションがいまいち、というか、全然かも。
  4. 価格が結構高い。
  5. マテメソの文章をそのまま使うと剽窃チェックツールに引っかかるので、いちおうそれをクリアする程度の文章に書き直す必要がある。(メソッドの英文ってバリエーションが作りにくいんですよ。 ( ;∀;) 泣)

 

JoVEへの不満

JOVEのサイトで動画を視聴してすぐ気付くのは、ほとんどのナレーションの抑揚が極めて不自然で、ナレーターは自分がしゃべっている内容を全く理解せずに読んでいるように聞こえることです。ですから、聞いていて非常に内容を理解しづらいです。これなら英語の下手な日本人研究者の説明のほうがはるかにわかりやすい。ネイティブの英語話者なら誰でも良いわけではないというのが、自分の見方です。

そんなわけで、自分がJOVEに持っている一番大きな不満はナレーションのまずさですね。良さげなナレーターを研究者が選んで指名できるようにしてほしいものです。エディテージ(editage)で英文校正を頼むときに、以前頼んで直し方のうまかった校正者に再度頼んだり、良くなかった人を外すといった選択ができたと思いますが、それと同じことです。

内容を理解したイントネーションでナレーターが読んでくれて、全ての動画が見放題になれば、JoVE最高!!と手放しで褒めちぎりたいのですが、そんな日は来るのでしょうか。

 

JoVEは高いのか?

価格に関していうと、25万円($2,400)という価格設定は動画編集、カメラマン、ナレーター、編集者の手間暇を考えれば妥当かなと個人的には思います。しかし、フリーアクセスにする場合には、50万円近く( additional $1,800)にまで跳ね上がります。宣伝効果を考えればフリーアクセスにしておくほうが絶対にいいとは思いますが、ちょっと高いですかね。

 

JoVEのススメ

改善してほしい部分はありますが、予算と時間があれば、広報・宣伝・実験手技の普及のためにJoVEの動画を撮るのは悪くないと思います。自分にとっては日常的で当たり前すぎる実験で、何もたいしたことないんだけど、ちょっとでも分野違いの人、立ち場が違う人からすれば、それがとっても知りたい情報ってことが意外とあります。ですから、わざわざ人に見せるほどのものではないなどと思いこまずに、とりあえず動画を撮ってみてはいかがでしょうか?世に出しておけば、きっと誰かの役に立ちます。

 

JOVEのビジネスモデル

最近、JoVEが科学教育のための動画も作っていることに気付きました。これはなかなかいいアイデアだと思います。YOUTUBEには結構教育的な動画もありますが、ほとんどが論文投稿時のサプリメンターリームービーであって、断片的で一般の人が見ても何がどうなっているのかわからないものがほとんどです。ちゃんと解説付きでまとまった内容にすれば、教育的な効果が期待できます。

 

日本のJOVE

日本のJOVEの支社はありませんが、ユサコが国内総代理店になっています。

ユサコ株式会社はこのたび、世界初のビデオ学術誌”Journal of Visualized Experiments”(JoVE)と国内総代理店契約を締結した。[ニュースソース]メールマガジンUSACO News 2013.2.28 No.236 (ユサコ社、ビデオ学術誌”JoVE”の国内総代理店に 2013年03月04日 JST科学技術情報プラットフォーム

2006年に創刊された世界で初めてのビデオ学術誌です。生物学、医学、化学、物理などの研究分野をカバーし、文章だけでは理解が難しかった実験方法や技術を、動画で分かりやすく表現します。論文は権威ある編集者によってピアレビューされ、PubMedにも索引されています。多くの論文はアクセプト後に、JoVEの専門スタッフが、ビデオ収録・ナレーション・イラスト動画等の作成作業を担当し、高い品質を保っています。(Journal of Visualized Experiments(JoVE) 最終更新日:2018年11月30日 ユサコ株式会社)

日本の大学の研究室にどうやってアメリカの会社のスタッフが来るの?と疑問に思いましたが、日本在住の(フリーランスの?)カメラマンがJOVEと契約していて、日本のラボに来るようです。

  1. 営業 ★科学の実験内容などが配信される動画共有ツールの営業/在宅勤務の過去の転職・求人情報概要(掲載期間: 2017/02/23 – 2017/04/05) エン転職(キャッシュ

 

JoVEのアーカイブ

  1. Journal of Visualized Experiments : JoVE 2006 to 2018 The archive for this journal includes issues 1-140. The journal no longer participates in PMC.

ハゲタカ学会からのこんな座長依頼・参加勧誘メールに引っ掛かっちゃダメ!

同じカテゴリーの記事一覧

 

国際ハゲタカ学会という言葉が新聞記事タイトルにあって、一瞬、ハゲタカという動物に関する学会かと思いました。ハゲタカジャーナルから、ハゲタカ学会までくるとちょっとハゲタカに申し訳ない気がします。と思って、ウィキペディアをみたら、ハゲワシという動物はいますがハゲタカという生物種は存在しないようなので(=ハゲタカは俗称)、ホッとしました。

 

ハゲタカ学会の特徴

ハゲタカ学会に詳しい研究者によると、無関係の複数分野にまたがる学会を合同で開く▽参加を勧誘するメールを不特定多数に送る▽ホームページに運営者情報が明記されていない▽発表概要の審査が異常に速い――などの特徴がある。(「国際ハゲタカ学会」横行 料金払えば審査なく参加 「業績」ではく付け 2019年1月19日 毎日新聞

 

ハゲタカ学会の勧誘メールの文例

不特定多数に参加を勧誘しているメールの文例を紹介します。個人名と学会名と日程、セッション番号は、XXXX、YYYY, ZZZZ、OOOOと伏字にしておきます。分野違いの研究者にメールを送りつけて、学会のセッションの座長に勝手に勧誘し、あなたの研究分野でなければ別の人に回せという、チェーンメールまがいのことまで要求しています。

Dear Dr. XXXX YYYY,

I’m writing to follow-up my last invitation as below, would you please give me a tentative reply? Thank you very much. I apologize for the inconvenience if the letter disturbed you more than once.

It is our great pleasure and privilege to welcome you to join the 8th World ZZZZ Convention-2017, which will take place in Macao, China during November OO-OO, 2017 We would like to welcome you to be the chair/speaker in Theme OOO: Stem Cell and Regeneration while presenting about XXXX YYYY….

If the suggested thematic session is not your current focused core, you may look through the whole sessions and transfer another one that fit your interest (more info about the program is available at (以下、割愛)

 

新聞報道によれば、ハゲタカジャーナルを刊行する雑誌社が「ハゲタカ学会」を主催するケースが多いそうです。自分のメールボックスから過去に来た怪しいメールをチェックすると、こんなものもありました。transdisciplinaryとか、integrativeと言われると、全ての研究領域が含まれるので、分野違いだから怪しいという判断がしにくくなりますが、学会の権威をアピールするためにいきなりノーベル賞受賞者が招待講演者だと強調するあたりに、うさんくささを感じます。(名前はすべて伏字にしました)

Dear Dr.XXXXXX, Yyyyyy,

Greetings from Integrative Biology 2018!!

Hope this email finds you in best of health & spirit

We take the privilege to invite you to attend as a speaker at the “International Conference on Integrative Biology” during February 26-28, 2018 at Bangkok, Thailand. Integrative Biology 2018 will focus especially on collaborations among biologists and to share transdisciplinary integrative thinking to unravel the core principal mechanisms and process in biology and medicine related to health and disease.

For more details visit the event website: http://www.integrativebiologyconference.org/

Invited Guest Speakers @ Integrative Biology 2018 Conference

1. Prof. AAAA, Nobel Prize Laureate in Chemistry (2009)

2. Prof. BBBB, Twice Nominee for Nobel Prize

3. Dr. CCCC, Associate Professor, Texas Woman’s University, USA

4. Dr. DDDD, Professor of Biology and History, York University, Canada

5. Dr. EEEE, University of Almeria, Spain

If you are interested you can submit your abstract and proposals to integrativebiology@cenetriconferences.com

驚いたことに、今チェックしてみたらこの学会は開催された形跡がありません。http://www.integrativebiologyconference.org/のリンク先を見ると、

Hi,

Due to unforeseen circumstances, this event has been Postponed.

という簡単なメッセージが表示されただけでした。学会参加勧誘メールをランダムに送ったあげく、勝手に学会を”延期”して何の説明もなしなんて、まともな団体がやることではありません。学会名International conference on Integrative Biology で検索すると、2019年の案内ページがありました。しかしこのURLを見ると、http://integrativebiologyconference.blogspot.com/2014/05/conference-on-integrative-biology.html となっています。学会が無料ブログサイトを使う感覚ってどうなんでしょう?このURLの中の数字をみると投稿(ページ作成)が2014年5月のように見えるのも怪しさを増しています。この学会年会ウェブサイトのContact Usをクリックしたらとんだ先が、OMICS Internationalでした。やはりというか、ハゲタカジャーナルの嫌疑がかかっている雑誌社とつながりました。

  • ハゲタカ出版社疑惑のOMICSがカナダの著名出版社を買収(ジャヤシュリー・ラジャゴパラン | 2017年2月28日 EDITAGE INSIGHTS) 論理的根拠に乏しいいわゆる「ジャンクサイエンス」(疑似科学/ニセ科学)を流布しているとの非難を浴び、ハゲタカ出版社の疑惑がかけられている学術出版社、OMICS International(インド)が、カナダの定評ある著名出版社、Andrew John PublishingとPulsus Groupを買収しました。

毎日新聞の記事によれば、ハゲタカジャーナルで儲けている雑誌社がハゲタカ学会を開催してさらに研究者からお金を巻き上げるビジネスモデルがあるのだそうです。上のケースはそれに相当するのでしょうか?判断は読者に委ねます。

 

参考(ハゲタカ学会)

  1. 「国際ハゲタカ学会」横行 料金払えば審査なく参加 「業績」ではく付け(2019年1月19日 毎日新聞
  2. 「50分野同時開催」「1週間で参加決定」 手軽に“研究の跡” ハゲタカ学会体験者が証言 (2019年1月19日 毎日新聞)

 

同じカテゴリーの記事一覧

論文数世界ランキングで日本は6位に後退

全米科学財団(National Science Foundation, NSF)が、世界の科学技術の動向をまとめた報告書Science and Engineering Indicators 2018を発表しました。2016年の論文数世界ランキングで、日本は6位。論文総数が減少傾向にある国は日本だけで、その凋落ぶりが際立ちます。

論文数ランキング1位は中国 、以下、2.アメリカ、3.インド、4.ドイツ、5.イギリス、6.日本。7.フランス、8.イタリア、9.韓国、10.ロシア、11.カナダ、12.ブラジルの順。

(出典:Science and Engineering Indicators 2018)

中国の台頭は、総論文数だけでなく被引用数ランキングトップ1%論文のランキングで見ても、著しいものがあります。

(出典:Science and Engineering Indicators 2018)

 

ちなみに前回の報告書Science and Engineering Indicators 2016では、日本は3位でした。Science and Engineering Indicators 2018のレポートでは、ドイツ、イギリス、インドに抜かれて6位に転落したということになります。

(出典:Science and Engineering Indicators 2016)

 

10年前の報告書

日本が論文数2位という時代が、かつてありました。

(出典:Science and Engineering Indicators 2008)

 

報道

  1. 科学論文数、日本6位に低下…米抜き中国トップ (読売新聞 YOMIURI ONLINE2018年01月25日 15時13分):”【ワシントン=三井誠】科学技術の研究論文数で中国が初めて米国を抜いて世界トップになったとする報告書を、全米科学財団(NSF)がまとめた。 … 報告書は各国の科学技術力を分析するため、科学分野への助成を担当するNSFが2年ごとにまとめている。2016年に発表された中国の論文数は約43万本で、約41万本だった米国を抜いた。日本は15年にインドに抜かれ、16年は中米印、ドイツ、英国に続く6位。”
  2. 科学・工学分野の論文数、中国が初の首位 米国抜く 日本6位 米財団調査産経ニュース 2018.1.25 18:07更新)【ワシントン=塩原永久】各国の科学技術力の分析に当たる全米科学財団(NSF)がこのほどまとめた報告書で、科学技術の論文数で中国が初めて米国を上回り世界首位となったことが分かった。日本は6位となり、新興国ではインドにも追い抜かれており、科学技術立国としての基盤低下が懸念されそうだ。

 

Science and Engineering Indicators

  1. Science and Engineering Indicators
  2. Science and Engineering Indicators 2018 Chapter 5 Academic Research and Development > Outputs of S&E Research: Publications
  3. Science and Engineering Indicators 2016
  4. Science and Engineering Indicators 2014
  5. Science and Engineering Indicators 2012 (PDF, 592 pages)
  6. Science and Engineering Indicators 2010 (PDF, 566 pages)
  7. Science and Engineering Indicators 2008 DigestDigest PDF (36 pages)
  8. Science and Engineering Indicators 2006
  9. Science and Engineering Indicators 2004 (Archived page)
  10. Science and Engineering Indicators 2002 (Archived page)
  11. Science and Engineering Indicators 2000 (Archived page)
  12. Science and Engineering Indicators 1998 (Archived page)
  13. Science and Engineering Indicators 1996 (Archived page)
  14. Science and Engineering Indicators 1993 (Archived page)

 

参考

  1. 研究力向上 論点 平成29年11月 内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)(PDF 41 pages)
  2. 論文の引用動向による日本の研究機関ランキング(Clarivate Analytics)本分析は、後続の研究に大きな影響を与えている論文(高被引用論文)数をもとに、世界の中で日本が大きなインパクトを与えている分野における国内で存在感のある研究機関を把握しようという試みです。 研究機関や研究者個人が特定の集合の中でどのくらいの位置にいるのかを分析する指標として、高被引用論文などの相対的な指標による分析に注目が集まっています。
  3. 国立大学協会政策研究所所長自主研究 運営費交付金削減による国立大学への影響・評価に関する研究~国際学術論文データベースによる論文数分析を中心として~ 平成27年5月鈴鹿医療科学大学学長 豊田長康(PDF 148 pages)
  4. 論文数で日本は世界2位から4位に 複数国への特許出願数は1位維持 (Science Portal News 2017年8月17日):”科学技術・学術政策研究所が日本を含めた世界主要国の科学技術活動を体系的に分析した「科学技術指標2017」をまとめ、このほど公表した。そのうち論文については「科学研究のベンチマーキング2017」としてより詳細に分析した。公表資料によると、2013~15年の3年間に日本が出した論文数は、10年前の米国に次ぐ世界2位から4位に下がり、中国、ドイツに抜かれた。日本の科学研究力の低下傾向があらためて浮き彫りになったが、一方で特許出願に着目すると現時点ではまだ世界有数の技術力を維持していることがうかがえる。「科学技術指標2017」によると、2013~15年の年平均の論文数の世界一は20年前、10年前と変わらず米国がトップ。日本は64,013件で、03~05年の67,888件から減少している。これに対し13~15年の中国は219,608件。03~05年の51,930件と比べて約4倍も増えた。10年前より論文数が増えて13~15年の数が64,747件になったドイツにも抜かれて日本は世界4位に落ちた。日本の研究者数は2016年時点で66.2万人。中国、米国について3位で、論文数順位は研究者数順位を下回った。”
  5. 調査資料 – 262  科学研究のベンチマーキング 2017 -論文分析でみる世界の研究活動の変化と日本の状況- 2017年 8月 文部科学省 科学技術・学術政策研究所 科学技術・学術基盤調査研究室  村上 昭義 伊神 正貫 DOI: http://doi.org/10.15108/rm262(PDF 230 pages
  6. 科学技術・学術政策研究所 科学技術指標・科学計量学 » 科学技術指標 » 科学技術指標2016(目次) » 4.1.2研究活動の国別比較
  7. NISTEP科学技術・学術政策ブックレット Ver 2 日本の大学における研究力の現状と課題 科学技術政策研究所
    平成25年4月 (PDF 36 pages)
  8. 調査資料– 239  科学研究のベンチマーキング2015  -論文分析でみる世界の研究活動の変化と日本の状況-  2015年8月 文部科学省科学技術・学術政策研究所科学技術・学術基盤調査研究室 阪彩香 伊神正貫(PDF 199 pages)
  9. 論文データにみる日本の化学、アジアの化学 日本化学会春季年会2013年3月24日(日)トムソン・ロイター学術情報ソリューション棚橋佳子(PDF 33 pages)
  10. 科学技術政策研究レビュー 第3巻 研究レビュ- 3-1 研究活動の国際化 ~世界の変化を見る~ 研究レビュ- 3-1-1 OECD主要国中心の活動状況 ~論文生産における日本の位置の把握 国際共著論文にみる日本の位置の把握~ 科学技術基盤調査研究室 阪 彩香  研究レビュ- 3-1-2 論文の分析から見る開発途上国の研究活動と日本との国際共著 第1調査研究グループ 加藤 真紀  研究レビュ- 3-1-3 研究者国際流動性の論文著者情報に基づく定量分析 ~ロボティクス、コンピュータビジョン及び電子デバイス領域を対象として~ 科学技術動向研究センター 古川 貴雄 (PDF118ページ)
  11. 平成23年度研究開発評価シンポジウム~研究開発機関の現状分析に基づく研究戦略の在り方について~日本および世界の論文投稿状況の分析ー これからの方向性を探る ー東京大学評価支援室インスティテューショナル・リサーチ担当船守美穂2012年3月6日(PDF
  12. 平成22年(2010年)版科学技術白書  解説 論文成果に見る我が国の状況 国・地域別論文発表数(上位25か国・地域)1988年(昭和63年)ー1998年(平成10年)ー2008年(平成20年)
  13. 日本の「数学」研究の脆弱さ、露呈。 論文数の世界シェア、中国に抜かれ第6位! 旺文社 教育情報センター 18 年 6 月 文部科学省科学技術政策研究所(NISTEP; NationalInstituteofScienceand TechnologyPolicy)は先ごろ、諸科学の礎となる数学研究について、日本と主要国の現状及び他分野研究者の数学に対する認識などを分析、『忘れられた科学-数学』(POLICYSTUDYNo.12/2006 年 5 月)にまとめた。 (PDF 8 pages)

 

過去の報道

  1. 無残な科学技術立国、人口当たり論文数37位転落 (団藤保晴 | ネットジャーナリスト、元新聞記者 YAHOO!JAPANニュース 2015/5/10(日) 6:06):”科学技術立国を唱えてきた日本の無残な実情が見えました。人口当たり論文数を指標にすると東欧の小国にも抜かれて世界で37位に転落です。国立大学法人化で始まった論文総数の減少傾向が根深い意味を持つと知れます。国際的に例が無い、先進国での論文長期減少の異常を最初に指摘して反響を呼んだ元三重大学長、豊田長康氏が新たに作成したグラフを《いったい日本の論文数の国際ランキングはどこまで下がるのか!!》から引用します。 “
  2. India ranked fifth in region in paper publication (K. S. Jayaraman nature INDIA Published online 13 April 2015 doi:10.1038/nindia.2015.47):”Indian scientists published far less science papers than China in 2014 and trailed behind Japan, South Korea and Australia, according to an analysis of scientific output from countries in the Asia-pacific region1. “

学術機関が共闘 ELSEVIER購読を打ち切り

以下、Creative Commonsライセンスに基づく記事転載(出典元:エディテージ・インサイト


 

60以上の学術機関がエルゼビア発行誌へのアクセスを失う(ドイツ)

スネハ・クルカルニ (Sneha Kulkarni) 2017年7月7日

ドイツの60以上の学術機関が、オランダの大手出版社エルゼビアとの購読契約を打ち切りました。これにより、数千人の研究者が同社発行誌へのアクセスを失うことになりました。

高額な購読料は、学術機関と出版社の間で生じている論戦の争点となっています。また、ドイツの学術機関は、エルゼビアへのコストの支払いを困難と感じています。こうした状況の中、ドイツの大学、公共図書館、研究機関は2014年、「Project DEAL」というコンソーシアムを結成しました。これは、大手学術出版社との2017年度のライセンス契約を、全国規模で締結することを目指すものです。しかしながら、エルゼビアとの協議は2016年12月に中断されたことが発表されました。同コンソーシアムは、エルゼビアからの提示が「オープンアクセス方針と公正な価格体系に応じるものでなかった」ため、それを拒否したと説明しています。この結果、交渉に関わったすべての学術機関が、12月31日を最後に、エルゼビアのジャーナルへのアクセスを失うことになりました。ゲッティンゲン大学は次のような声明を発表しています。「ジャーナルへのアクセスを失うことで研究や指導にどのような影響が出るかは、交渉に参加している誰もが十分に理解しています。それでも我々は皆、多くの研究機関が手を携えて圧力をかけることが、現状では、ドイツの科学コミュニティに利益をもたらす唯一の方法であるという強い信念を持っています」。一方、エルゼビアは、来年以降も交渉を続ける意向があることを表明しています。

多くの国が同様の問題に直面しており、高騰する購読料によって学術機関の運営が難しくなってきています。2016年12月初頭には、国立台湾大学(NTU)図書館が、高額な購読料を理由に、2017年以降のエルゼビアのScienceDirectジャーナルの購読を打ち切る予定であることを発表しました。購読料の高騰は、科学の発展を阻害しかねない深刻な問題であり、全世界で解決していかなければならない課題と言えるでしょう。

参考文献:

Thousands of German researchers set to lose access to Elsevier journals

本記事:60以上の学術機関がエルゼビア発行誌へのアクセスを失う(ドイツ)は元々エディテージインサイトに掲載されたものです。


参考

  1. Thousands of German researchers set to lose access to Elsevier journals (By Gretchen Vogel,  Science News Dec. 22, 2016 , 12:30 PM)

インパクトファクター2018学術誌ランキング

 

なぜあなたの研究は進まないのか?
なぜあなたは論文が書けないのか?
なぜあなたの発表は伝わらないのか?

Science Research Writing 


医学雑誌のインパクトファクターは、記事を分けました。

関連記事⇒ 医学系の学術雑誌インパクトファクター 2018ランキング


インパクトファクター2019年6月発表

毎年6月にクラリベイト(Clarivate)がJournal Citation Reports (JCR) を発表しています。2019年6月には前年度の集計JCR2018 が発表されます。ClarivateのJCRは契約をしている大学や研究機関しか見ることができないのですが、各雑誌社が多くの場合に自分の雑誌のインパクトファクターを直ちにウェブサイトに掲載するので、最新の数値を雑誌サイトで調べることが簡単にできます。

以下、Nature 43.070(2018)と表記した場合、2019年6月に発表された2018年のジャーナルサイテーションインデックス(JCR)(つまり、インパクトファクター)という意味です。

主なジャーナルの最新のインパクトファクターを見てみます。

NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE 79.258(2017)-70.670(2018)
JAMA-JOURNAL OF THE AMERICAN MEDICAL ASSOCIATION 47.661(2017)-51.273(2018)
Nature 41.577(2017)-43.070(2018)
SCIENCE 41.058(2017)-41.037(2018)
NATURE MATERIALS 39.235(2017)-38.887(2018)
NATURE BIOTECHNOLOGY 35.724(2017)-31.864(2018)
NATURE MEDICINE 32.621(2017)-30.641(2018)
CELL 31.398(2017)-36.216(2018)
NATURE GENETICS 27.125(2017)-25.455(2018)
NATURE METHODS 26.919(2017)-28.467(2018)
Nature Chemistry 26.201(2017)-23.193(2018)
Cell Stem Cell 23.290(2017)-21.464(2018)
BMJ-British Medical Journal 23.259(2017)-27.604(2018)
CANCER CELL 22.844(2017)-23.916(2018)
NATURE NEUROSCIENCE 19.912(2017)-21.126(2018)
NATURE CELL BIOLOGY 19.064(2017)-17.728(2018)
NEURON 14.318(2017)-14.403(2018)
MOLECULAR CELL 14.248(2017)-14.548(2018)
NATURE STRUCTURAL & MOLECULAR BIOLOGY 13.333(2017)-12.109(2018)
Nature Protocols 12.423(2017)-11.334(2018)
Nature Communications 12.353(2017)-11.878(2018)
PLOS MEDICINE 11.675(2017)-11.048(2018)
Molecular Psychiatry 11.640 (2017)-11.973(2018)
Science Advances 11.511(2017)-12.804(2018)
Nature Plants 11.471(2017)-13.297(2018)
EMBO JOURNAL 10.557(2017)-11.227(2018)
GENOME RESEARCH 10.101(2017)-9.944(2018)
DEVELOPMENTAL CELL 9.616(2017)-9.190(2018)
PROCEEDINGS OF THE NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES OF THE UNITED STATES OF AMERICA (PNAS) 9.504(2017)-9.580(2018)
GENES & DEVELOPMENT 9.462(2017)-8.990(2018)
Molecular Plant 9.326(2017)-10.812(2018)
CURRENT BIOLOGY 9.251(2017)-9.193(2018)
PLOS BIOLOGY 9.163(2017)-8.386(2018)
PHYSICAL REVIEW LETTERS 8.839(2017)-9.227(2018)
JOURNAL OF CELL BIOLOGY 8.784(2017)-8.891(2018)
EMBO REPORTS 8.749(2017)-8.383(2018)
PLANT CELL 8.228(2017)
Cell Reports 8.032(2017)
eLife 7.616(2017)
NEURAL NETWORKS 7.197(2017)
Stem Cell Reports 6.537(2017)
Science Signaling 6.378(2017)
CEREBRAL CORTEX 6.308(2017)
GLIA 5.846(2017)
BMC BIOLOGY 5.770(2017)
FASEB JOURNAL 5.595(2017)
Journal of Molecular Cell Biology 5.595(2017)
PLoS Genetics 5.540(2017)
DEVELOPMENT 5.413(2017)
Scientific Data 5.305(2017)
SLEEP 5.135(2017)
Human Molecular Genetics 4.902(2017)
Cells 4.829(2017)
FEBS Journal 4.530(2017)
RNA 4.490(2017)
BIOESSAYS 4.419(2017)
Scientific Reports 4.122(2017)
GENETICS 4.075(2017)v
JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY 4.010(2017)
METHODS 3.998(2017)
Open Biology 3.286(2017)
CEREBELLUM 3.199(2017)
Frontiers in Neural Circuits 3.131(2017)
HIPPOCAMPUS 3.966(2017)
PLoS Computational Biology 3.955(2017)
Biochemical Journal 3.857 (2017)
BMC GENOMICS 3.730(2017)
CELL CALCIUM 3.718(2017)
NEUROSCIENCE 3.382(2017)
Zoological Letters 2.900(2017)
PLoS One 2.766(2017)
G3-Genes Genomes Genetics 2.742(2017)
BMC Developmental Biology 2.427(2017)
Neuroscience Research 2.277(2017)
Biology Open 2.217(2017)
Mechanisms of Development 1.900 (2017)
JoVE 1.184(2017)

参考

  1. 各雑誌社のウェブサイト
  2. クラリベイト プレスリリース
  3. 2018 Journal Citation Reports
  4. [2018年] 最新インパクトファクター 基礎医学・生命科学 負け犬主義。2018年06月27日02:13

 


インパクト・ファクターとは?

ジャーナル・インパクト・ファクター(Journal Impact Factor)は、学術雑誌の影響力を測る指標で、対象年における引用回数を、対象年に先立つ 2 年間にそのジャーナルが掲載したソース項目の総数で割ることによって計算されますインパクトファクターについて  Clarivate Analytics)。

The Impact Factor of journal J in the calendar year X is the number of citations received by J in X to any item published in J in (X-1) or (X-2), divided by the number of source items published in J in (X-1) or (X-2). (Measuring  a journal’s impact. ELSEVIER)

日本語で説明されたほうがわかりやすいですね。

2010年のIFは次のように計算されます。

IFX =2008年と2009年にジャーナルX誌が掲載した論文の2010年の総引用回数
2008年と2009年にジャーナルX誌が掲載した全ての引用可能な論文数

お気付きだと思いますが、2010年のIFは2011年以降に利用できるようになります。(nue.riec.tohoku.ac.jp

 

インパクトファクターが高いジャーナルに論文が通るかどうかで、研究者は一喜一憂しますが、インパクトファクターの動向が気がかりなのは、雑誌社にとっても同じです。ちなみに、研究分野や雑誌のスコープにより数字の出方がかなり異なるため、分野や性格の違う雑誌同士でインパクトファクターを比較して優劣を論じるのは無意味です。

しかし、現実的にはインパクトファクターは研究者の業績の目安として使われることが多く、ファカルティポジションへの応募書類の中の業績一覧にインパクトファファクターを併記させる大学があるなど、人物評価の基準として用いられることがあるようです。

インパクトファクターの調べ方

毎年クラリベイトという会社が学術誌のインパクトファクターを計算して、公表しているようです。多くの雑誌社は自分の雑誌のインパクトファクターをウェブサイト上で紹介しています。インターネットを検索すると、インパクトファクターの一覧表がヒットします。

 

2016年のインパクトファクターが、公表されました。その中から一部を紹介します(参照サイト: researchgate.net/post/New_Impact_factors_2017_for_Journals_are_released_nowbioxbio.com/ifCell Press Journal Metrics、個々のジャーナルサイトなど)

2017年の6月に発表されるインパクトファクターは、「2016年のインパクトファクター」です。ややこしいですが、当サイトでは、Nature 40.137(2016)-41.577(2017)のように表示することにします。

雑誌研究分野別インファクトファクター一覧

科学総合誌

  1. Nature (ネイチャー)40.137(2016) (推移:31.434 – 34.48 – 36.101 – 36.28 – 42.351 – 41.456 – 38.138 – 40.137(2016) bioxbio.com)
  2. Science (サイエンス)37.205(2016) (推移:28.103 – 29.747 – 31.364 – 31.201 – 31.027 – 31.477  –  33.611 – 34.661 –  37.205(2016)   bioxbio.com)
  3. Nature Communications (ネイチャーコミュニケーションズ)12.124(2016) (推移:7.396 – 10.015 – 10.742 – 11.470 – 11.329 – 12.124(2016) bioxbio.com)
  4. PNAS (Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America) (ピーエヌエイエス)9.661(2016) (推移:bioxbio.com
  5. Scientific Reports (サイエンティフィックリポーツ)4.259(2016) (推移:2.927 – 5.078 – 5.578 – 5.228 – 4.259(2016) bioxbio.com

 

生物学総合誌

  1. Cell 30.41(2016)(セル) (推移:32.242 – 28.71 – 30.41(2016) bioxbio.com)
  2. PLOS Biology (プロスバイオロジー)9.797(2016) (推移:9.343 – 8.668 – 9.797(2016) bioxbio.com)
  3. Current Biology (カレントバイオロジー) 8.851(2016) (推移:9.571 – 8.983 – 8.851(2016) bioxbio.com)
  4. Cell Reports (セルリポーツ)8.282(2016) ( 推移:7.87 – 8.358 – 8.282(2016) bioxbio.com)
  5. elife (イーライフ)7.725(2016) (推移:9.322 – 8.282 – 7.725(2016) bioxbio.com)
  6. BMC Biology 6.779(2016) (推移:7.984 – 6.967 – 6.779(2016) bioxbio.com)
  7. Proceedings of the Royal Society B-Biological Sciences  4.940(2016)
  8. PLOS ONE (プロスワン)2.806(2016) (推移:3.234 – 3.057 – 2.806(2016) bioxbio.com)
  9. Biology Open (バイオロジーオープン)2.095(2016) 

 



 

発生生物学

  1. Genes & Development 9.413(2016) (推移 13.623 – 12.075 – 12.889 – 11.659 – 12.444 – 12.639 – 10.798 – 10.042 – 9.413(2016) bioxbio.com)
  2. Developmental Cell 9.174(2016) (推移 12.882 – 13.363 – 13.946 – 14.03 – 12.861 – 10.366 – 9.708 – 9.338 – 9.174(2016) bioxbio.com)
  3. Development 5.843(2016) (推移 6.812 – 7.194 – 6.898 – 6.596 – 6.208 – 6.273 – 6.462 – 6.059 – 5.843(2016) bioxbio.com)
  4. Developmental Biology 2.944(2016) (推移 4.416 – 4.379 – 4.094 – 4.069 – 3.868 – 3.637 – 3.547 – 3.155 – 2.944(2016) bioxbio.com)
  5. Differentiation 2.567(2016)
  6. Development Growth & Differentiation 2.145(2016)
  7. Developmental Dynamics 2.004(2016)
  8. International Journal of Developmental Biology 1.981(2016)
  9. Mechanisms of Development 1.333(2016) (推移 2.534 – 2.827 – 2.958 – 2.833 – 2.383 – 2.238 – 2.440 – 2.041 – 1.333(2016) bioxbio.com)

 

ゲノム科学・遺伝学

  1. Nature Genetics 27.959(2016)
  2. Genome Research  11.922(2016)
  3. Genome Biology  11.908(2016)
  4. PLoS Genetics 6.100(2016)
  5. Genetics 4.556(2016)
  6. BMC Genomics 3.729(2016)
  7. Genomics 2.801(2016)

 

神経科学

  1. Nature Neuroscience 17.839(2016)
  2. Neuron 14.024(2016)
  3. Frontiers in Neuroendocrinology 9.425(2016)
  4. Journal of Neuroscience    5.988(2016) (推移 7.452 – 7.178 – 7.271 – 7.115 – 6.908 – 6.747 – 6.344 – 5.924 – 5.988(2016) bioxbio.com)
  5. Frontiers in Molecular Neuroscience 5.076(2016)
  6. Frontiers in Cellular Neuroscience 4.555(2016)
  7. Frontiers in Aging Neuroscience 4.504(2016)
  8. Frontiers in Neuroinformatics 3.870(2016)
  9. Frontiers in Neuroscience 3.566(2016)
  10. Frontiers in Neurology 3.552(2016)
  11. Frontiers in Neuroanatomy 3.267(2016)
  12. Frontiers in Neural Circuits 3.005(2016)
  13. European Journal of Neuroscience  2.941(2016)
  14. Journal of Neuroscience Methods 2.554(2016)
  15. Journal of Neuroscience Research 2.481(2016)
  16. BMC Neuroscience 2.312(2016)
  17. Neuroscience Letters 2.180(2016)
  18. Neuroscience Research 2.060(2016)

 

細胞生物学、分子生物学、その他の生物学専門誌

  1. Nature Biotechnology 41.667
  2. Nature Methods 25.062
  3. Nature Cell Biology 20.060
  4. Molecular Cell  14.714
  5. Nucleic Acids Research (NAR)  10.162(2016) (推移 6.878 – 7.479 – 7.836 – 8.026 – 8.278 – 8.808 – 9.112 – 9.202 – 10.162(2016) bioxbio.com)
  6. EMBO J 9.792(2016)
  7. Molecular Plant  8.827(2016)
  8. Plant Cell 8.688(2016)
  9. Journal of Cell Biology (JCB)  7.955(2016)
  10. Cell Reports 8.282(2016)
  11. Frontiers in Ecology and the Environment 8.039(2016)
  12. Biochimica et Biophysica Acta (BBA)- General subjects  4.702(2016)
  13. Frontiers in Pharmacology 4.400(2016)
  14. Journal of Biological Chemistry (JBC) 4.125(2016)
  15. Biochemical and Biophysical Research Communications (BBRC)  2.466(2016)
  16. Genes to Cells 1.993(2016)
  17. Cell Structure and Function 1.900(2016)

化学

  1. Nature Chemistry 25.870(2016)
  2. Journal of the American Chemical Society (JACS) 13.858(2016)
  3. Angewandte Chemie-International Edition  11.994(2016)
  4. Bulletin of the Chemical Society of Japan 2.297(2016)
  5. Chemistry Letters 1.801(2016)

 

物理 物理化学 材料科学 工学

  1. Nature Materials 39.737(2016)
  2. Nature Nanotechnology 38.986(2016)
  3. Nature Photonics 37.852(2016)
  4. Physical Review Letters 8.462(2016)
  5. Soft Robotics 8.649 (2016)

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

医学系雑誌のインパクトファクター

医学雑誌のインパクトファクターは、記事を分けました。

関連記事⇒ 医学系の学術雑誌インパクトファクター 2018ランキング

医学系総合誌

  1. New England Journal of Medicine (NEJM)  72.406(2016)
  2. LANCET 47.831(2016)-53.254(2017) –59.102(2018)
  3. JAMA (Journal of the American Medical Association) 44.405(2016)
  4. Nature Medicine 29.886(2016)

 

医学系専門誌

  1. LANCET Oncology   33.900(2016)
  2. Cancer Cell 27.407(2016)
  3. Journal of Clinical Oncology 24.008(2016)
  4. LANCET Neurology 26.284(2016)
  5. Immunity 22.845(2016)
  6. Nature Immunology 21.506(2016)
  7. JACC (Journal of the American College of Cardiology) 19.896(2016)
  8. Molecular Psychiatry 13.204(2016)
  9. Journal of Clinical Investigation 12.784(2016)
  10. Liver Cancer 7.854(2016)
  11. Frontiers in Immunology 6.429(2016)
  12. Epilepsia 5.295(2016)

 

参考

  1. New Impact factors (2017) for Journals are released now (https://www.researchgate.net/post/New_Impact_factors_2017_for_Journals_are_released_now)
  2. NATURE RESEARCH JOURNAL METRICS ネイチャーおよびネイチャー姉妹紙のインパクトファクター一覧など
  3. Cell Press Journal Metrics JCR(2016) セル・プレスジャーナルのインパクトファクター一覧
  4. Frontiers journals indexed in the 2016 Journal Citation Reports (Table 1) フロンティアジャーナルのインパクトファクター一覧
  5. ELSEVIER Journal Metrics: Find the latest metrics for Elsevier’s journals per subject area ELSEVER社が出版する学術雑誌のインパクトファクター総覧(分野別)
  6. Journal IF (bioxbio.com) ジャーナル・インパクトファクター検索サイト
  7. Journal Citation Reports (JCR) で最新版(2016年)のインパクトファクターが公表されました (鹿児島大学附属図書館 情報サービス課情報調査支援係 2017.6.15):” 2017年6月14日付(米国時間)で最新版Journal Citation Reports (JCR) がリリースされ、インパクトファクターをはじめとする、ジャーナルの各種指標の最新データ(2016年)が公表されました。世界81か国から236分野、11,459誌が収録されています。”
  8. World’s most influential journals for 2017 unveiled in the Journal Citation Reports from Clarivate Analytics (Clarivate Analytics News releases):”PHILADELPHIA, June 14, 2017 /PRNewswire/ — Clarivate Analytics today released the 2017 Journal Citation Reports (JCR), an annual update of the world’s most influential and comprehensive resource for information on highly cited, peer-reviewed publications and the source of Journal Impact Factor (JIF) scores. “
  9. World’s most influential journals for 2017 unveiled in the Journal Citation Reports (tass.com June 14,2017 16:00 UTC+3) :”Clarivate Analytics today released the 2017 Journal Citation Reports (JCR), an annual update of the world’s most influential and comprehensive resource for information on highly cited, peer-reviewed publications and the source of Journal Impact Factor (JIF) scores.”
  10. Scientific Reports 2017年発表インパクトファクター 4.259 (http://www.natureasia.com/ja-jp/srep/):”2016 Journal Citation Reports (Thomson Reuters, 2017) Scientific Reports は、一次研究論文を扱う、オープンアクセスの電子ジャーナルです。本誌は、自然科学(生物学、化学、物理学、地球科学)のあらゆる領域を対象としています。
  11. ACMG’s Genetics in Medicine Journal Receives Record High Impact Factor of 8.229 for 2016: GIM Now in Top 2.5% of All Indexed Journals (PR Newswire/American College of Medical Genetics and Genomics 15 Jun, 2017, 11:33 ET):”The American College of Medical Genetics and Genomics (ACMG) announced that the Thomson Reuters Impact Factor Journal Citation Reports has just increased the impact factor of the ACMG’s peer-reviewed medical genetics and genomics journal, Genetics in Medicine (GIM) to 8.229 for 2016, up from 7.710 in 2015. GIM is currently ranked 10 of 166 titles in the Genetics & Heredity category and is the top-ranked of genetic journal that has a primarily clinical focus.”
  12. Clinical Chemistry Impact Factor Rises to 8, the Highest in the History of the Journal (Newswise/American Association for Clinical Chemistry (AACC) 15-Jun-2017 1:00 PM EDT):”AACC, a global scientific and medical professional organization dedicated to better health through laboratory medicine, is pleased to announce that the impact factor of its journal, Clinical Chemistry, has risen to 8.008 in the 2016 Thomson Reuters Journal Citation Reports. This impact factor places Clinical Chemistry in the top 2.6% of 12,062 ranked academic journals and speaks to the significant influence of the science it publishes on laboratory medicine and patient care.”
  13. Celebrating a high performing new journal in quantum information (EurekAlert!/University of New South Wales Public Release: 15-Jun-2017):”UNSW Sydney is proud of the early publication performance, influence and reach of its Nature Partner Journal npj Quantum Information, from advancing discovery to affecting public discourse. At a time of the year when the Journal Citation ReportsTM are published, UNSW sees npj Quantum Information’s inaugural Impact Factor in the context of a variety of journal-based metrics that provide a richer view of the journal’s performance. For 2016, the range of performance metrics, which are made available on the journal website, include:2-year Impact Factor: 9.111   Immediacy Index: 1.560   Eigenfactor® score: 0.00060   Article Influence Score: 4.617″
  14. 日本発化学ジャーナルの行く末は? (日本最大の化学ポータルサイト Chem-Station 2015/11/20)

 

同じカテゴリーの記事一覧

 

リジェクトへの怒り・落胆【論文を出す力】

研究者には論文を書く能力が必要ですが、それだけでなく、論文を世に出す(=アクセプトに漕ぎ着ける)力も必要です。両者は重なる部分もありますが、質的に全く異なります。論文を書くうえで重要なのは知性ですが、論文を出すときに重要なのはリジェクトされたときの落胆、怒り、失望、疑念などの感情をコントロールする力、揺るぎない信念、状況を見極める客観性や判断力です。

リジェクトに対する心構えが出来ているだけで、受けるダメージ及び回復力が変わってくると思いますので、これから論文を出す人の参考になりそうな記事を紹介しようと思い立ちました。また、結果だけを見ると、みんな順調に論文を通しているように思えるかもしれませんが、実際には、他人には想像がつかないような苦労の末になんとかアクセプトまで漕ぎ着けたという場合がほとんどです。そんな論文出版の苦労を分かち合える記事を、以下に紹介します。

折れない心

何年もかけてやってきたプロジェクトの成果が、辛辣なコメントともにリジェクトとなった場合は、自分の研究者としての能力を否定された気分になり、相当なダメージを受けるが、折れないタフな心をもってアクセプトになるまで戦い続けるしかない。 …

散々追加実験を頑張った上での再投稿にも関わらず、やはりリジェクトとなった場合は時間的にも精神的にも相当ダメージは大きく、また半年〜1年前にもどって別のジャーナルにいちから投稿し直しとなる、、、 (有名ジャーナルに論文が掲載される意義 IMAYOSHI LAB 2013年11月22日)

最近、友人の一人の論文が、Natureにacceptされたのですが、それが実にすさまじい闘いだったのです。彼が最初の論文を書き上げたのが、3年ほど前。まず、Natureに送りました。Editorial kickにはならず、レビューに回りましたが(トップジャーナルでは、レビューに回るだけでも凄いのです)、rejectされました。レビューアーからのコメントがあったため、追加実験を行って全てのコメントに答えた上で再投稿した。しかし、結果はやはりreject。そこで、彼はScienceに投稿しました。Scienceでもレビューに回りましたがreject。これだけでも凄すぎるのに、これからが彼の凄いところでした。Scienceで得たコメントで指摘された点を改善し、なんと再びNatureへ投稿。再びレビューに回るも、reject。再実験を重ねた上、レビューアーのコメントに答えて、Editorへ抗議。その後、結局、acceptされたのです。(Never give up! Alltid Leende April 22nd, 2013

まず青い方からこの表をみる。サイエンスの689というのは、最初の投稿先がサイエンスでそのままサイエンスに採用された論文が689報あるということである。サイエンスに蹴られてnatureに採用されたのが82報あるということ。しかしcell誌にはサイエンスリジェクト論文は一つも載らなかった(natureリジェクト論文も載っていない)。(サイエンスに蹴られた論文がネイチャーに載る・・・ がんの分子腫瘍学・遺伝学 2012年10月22日)

 

批判を受け止める力

Coping with publication rejection is a key skill for any academic. It can require emotional fortitude, an ability to profit from criticism, and, sometimes, negotiating skills. Many papers in the scientific literature were initially rejected, often sparking vigorous scientific discussions before their eventual publication, whether in the same journal or a different one. (Riding Out Rejection By Kate Yandell The Scientist March 1, 2015)

 

リジェクトされた時にやるべきこと

一度リジェクトされただけであきらめてしまうのは、マラソンを走りながら、ゴールのわずか数センチ手前であきらめてしまうようなものだ。もし著者が掲載に強い意志を持っているならば、次に取るべきステップは、リジェクトのレターにあるコメントすべてを正確に理解することである。 (原稿がリジェクトされた時の対処法 根拠と経験に基づく見解 Karen L. Woolley, PhD; and J. Patrick Barron, BA. CHEST 2009; 135:573-577. Ronbun.jp 大鵬薬品工業株式会社)

論文を書き上げることとそれをアクセプトさせることには、恋愛と結婚ほどの違いがある。論文を書き続ける限りリジェクトとのつきあいは切れないと 思った方がよい。私の場合、二本目の論文がリジェクトされて、それはそのままお蔵入りとなった。思えばその時、それから合計 33 回もリジェクトされるようになるとはちょっと想像していなかった。最初のリジェクトの時には、自分の人格が否定されたようでずいぶん落ち込んだ。もちろん 今でも、リジェクトされたときのショックは大きい(とくに、一週間に二度リジェクトの手紙をもらったときなど)。しかしものは考えようで、リジェクトされたとは思わないようにしている。つまり、どこかの大先生に論文を読んでもらったのだと思うことである。たいていの場合、その論文のどこがいけないのか指摘 が付いてくる。それらを参考にして論文を改訂し、別の雑誌に投稿すればいいだけの話だ。(これから論文を書く若者のために 改訂第二版 1999.1.21. ver. 2.1 酒井 聡樹 )

 

リジェクトという名の授業料

論文に限らず、拒絶されるのは自分を見直す良い機会だと思います。

研究者、とくにチームのリーダーは、人から学ぶ機会が少なくなるものである。レビューアーのコメントの中には、書いた本人が気づかなかったような議論がなされていることがある。そして、論理の展開に落とし穴があることが指摘されている。そのような議論をクリアするために、追加実験を行い、実験結果を見直すと、新しい発見が生まれてきたことを経験している。また、確実な論拠を得て、論理の展開がしっかりしたものとなり、論文の価値が高まっていくのを実感することがある。レビューアーの中には、ここまで結果を出せば論文になるよと、到達目標を提示してくるケースがある。このような到達目標の多くは、研究者にとり、難度の高いものである場合が多い。「それができれば苦労しない」というわけである。しかし、ここで一念奮起をしてみると、目標を絞っているものなので、意外と短期間にブレークスルーしてしまうことがある。そうなるとレビューアーさまさまである。このような「良い」レビューアーは、まさに教師である。リジェクトという高い授業料を払う価値があるものでもある。査読に関する理想と現実

 

15回リジェクトされた論文

Lynn Margulis (1938-2011)

Her ground breaking endosymbiotic theory paper, which suggested that eukaryotic organelles have evolved from the symbiosis between multiple prokaryotic organisms, has been rejected by no less than 15 journals, until it was finally accepted by the Journal of Theoretical Biology. Prof. Margulis kept submitting her revolutionary paper again and again because she knew she’s right and believed in her hypothesis. (“I am sorry to inform you” or how to deal with paper rejection. labguru.com December 03, 2012 By Chen Guttman)

 

リジェクト:苦難の始まり

最初の投稿から、すでに8ヶ月が経っていた。その後、別の雑誌に投稿し直してレビューされている最中に、ほんの少しだけ僕たちの仕事に似た論文が別の雑誌に出た。僕はその論文にはすぐに気がついたが、内容は一見似ていたが完全に違っていたので、全く影響はないだろうと思っていた。しかし、それは甘かった。(苦労の論文 2005年12月01日 ハエが星見た maplefly.exblog.jp)

 

アクセプトまでの苦難の道のり

それはもうここでは語り尽くせないほどの苫難の道のりでした。先ほどのCCS と油田の 研究は最初Natureに投稿しましたが,案の定, 3 日後にEditor reject されました。 … このEditor rejectを教訓にcover letterを徹底的に改定した後,次に投稿したのが Scienceでした。… 3 名のReviewer に回った結果のrejectでした。… わずか1 週間程度で必死に論文の改定と原稿よりも分厚いrebuttal 文書を作成してEditorに送り付けた結果, 再審査が 認められました。… Editor からの 返答は追加3名計5 名!のReviewerによる審査の結果, ポジティブが2 名,ネガティブが2 名, 超ネガティブが1名でのrejectでした。Reviewerが5人というところも驚きでしたが,超ネガティブなReviewerのコメントにはさらに驚かされ,A4 紙5枚に渡るコメントを頂き,最後に「まだまだ言いたいことは沢山あるが, もう疲れた」と書き添えられていました。… 半年間にも及んだScieneとの戦いもここで幕切れとなりました。 その後,仕方がないので次はPNASに出すかという気持ちが完全に間違いでした。原稿に「Scienceでいい所まで行ったんだぞ」といううぬぼれが出ていたのだと思います。あっさりとEditor rejectされました。… それからは気を入れなおしてNature Geoscienceを経由してNature Communicationsに投稿し,最終的に掲載が決定したのはNatureに投稿してから1 年半が経過していました。実のところ Natureにreject された時にNature Communicationsへの投稿を推薦されたのですが, この時に投稿してもアクセプトされなかったと思います。Scienceとの戦いで論文のクオリティ ーが上がったことは間違いなく,そう思うとあの時の戦いは無駄ではなかったと思っています。(CiNii地圏微生物学のおはなし〜論文投稿の厳しさと優しさ〜 Japanese Society of Microbial Ecology 微生態和文誌30巻1号)

 

2年にわたるNatureとの戦い

そこで、満を持して再投稿。今回はいけるんとちゃうか、という強い期待。そして……。平成26年1月16日、ドキドキしながらNatureからのメールを開けたところ、ああ3回目のreject。机の上に倒れ臥した。しばらく起き上がれなかった。… ほぼ倒れそうになりながらも、追加実験を行い、再投稿してみたが、「Yasu、もうリバイスももう4回目だし、Natureとしてもこれ以上この論文を扱うことはできない」とEditorから最終通告。再度、翻意を促すメールを送ってみたが、残念ながらゲームセット。2014年3月14日、2年にわたるNatureとの闘いが終わった。正直言って、Reviewerに恵まれなかったのが痛かった。… 3回目のリバイスの時に、laser ablation実験データについて、異なる記載をしていたらReviewer 3は追加実験を求めなかったのではないか。そもそも、最初の投稿時に、もっとデータを付けてから投稿するべきではなかったのか。色々な思いが胸をよぎる。YASUの呟き No. 10 激闘の果てに

 

論文投稿の苦しみ

論文投稿の苦しみ   2003年の冬頃だったと思いますが、ずっと研究してきた成果として、Natureに投稿しました。… 私の論文は、投稿から1週間以内にリジェクトされました。… 私の論文は、2-3週間かけて文面を書き換えて、Scienceに投稿しました。残念ながら、こちらも1週間でリジェクトされました。次は、順番通りCellです。Cellはフルペーパーなので、Figureの数量を増やしたり、章立てを見なおしたりといった大改訂が必要となり、投稿準備に数週間を要しました。この時点で既に季節は春を迎えていました。Cellへの投稿は、査読され、ネガティブコメントは多かったもののリバイズの機会まで辿り着きました。… この結果が来たのは既に初夏になっていました。そこから何としても論文を通したいと、追加実験を行うものの、狙ったデータが思い通りに出ません。… 苦し紛れに論点を変え、結論をやや弱くして再提出しました。残念ながらCellへの再提出もリジェクトとなりました。Cellに投稿した日から半年、Natureに出してからは1年の時がかかっています。当時の私は、研究の本質は何も進歩しないにも関わらず、1年経っても論文が通らないという日々に葛藤していました。「もうブランドジャーナルでなくて良いから論文として終わりにしたい」気を抜くとそんな弱音が出てしまう状態でした。しかし、私の上司が選んだ次の投稿先は、Natureの姉妹誌、Nature Cell Biol.(NCB)でした。… NCBの査読結果はCellと同様に、ネガティブなリバイズ。数ヶ月の追加実験をして、再提出したもののリジェクトでした。(medister Dr’sブログ 学術論文事業を始めたきっかけ ~オープン・アクセス学術誌立ち上げ記 ゼネラルヘルスケア 竹澤慎一郎 )

 

努力と結果

博士課程1年のとき、それまでの研究をまとめて『Cell』に投稿した。結果はエディターによるリジェクト。学位の取得を優先して論文のランクを下げたいと思ったが、武藤教授は実験を追加してもう1回『Cell』に出そうと言う。1年間努力し、コメントに応えるデータを出して再度投稿したが、またリジェクトされた。リジェクトを繰り返す中、上田泰己氏や木村暁氏のような優秀な人たちの活躍を論文などで知り、「自分なんかがこの世界で生きていくのはとても無理だ」という思いがあった。転機となったのは、2回目のリジェクトの後のことだ。次にどうするかについて、武藤教授は迷われていた。そこで青木さんは、いろいろな雑誌を見て、『Nature Genetics』に出しましょうと提案した。それほど下がっていないハードルに、厳しいのではないかとも言われたが、さらに実験を追加して博士課程3年の6月に投稿。すると、予想もしていなかったほどスムーズに、10月には受理されたのだ。「最初に『Cell』に蹴られた後、1年間必死に実験を行ったことが論文掲載というかたちで認められて、研究を続けてもいいんじゃないかという気持ちを少しもてるようになりました」。(制がんを目指して、真摯に研究に取り組み続ける (1)福井大学 医学部医学科 教授 青木 耕史さん jst.go.jp 科学者としての働き方。

 

Shooting for the moon

Nature reject → Science reject → Nature Chemical Biology reject → Nature Communications 2 vs 0でアクセプト,という経緯を辿りました.実験できるドクターが3人もこの研究に関わっていたし,内容が内容なのでNatureは当たり前,何か良からぬ事が起きてダメだったとしてもNature姉妹誌が下限レベルだと思っていました.結局その滑り止めの一つであるNature Communicationsに落ち着いたんですが,嬉しいというよりむしろ残念な結果となりました.(12 生きた細胞内の温度分布測定 詳細  内山聖一 研究内容)

初稿にあたる論文は、Natureとその姉妹紙、Science、そしてCellとエディターにリジェクトされ続けました。まあ、これはある程度想定の範囲内です。そして、ようやくMolecular CellというSopko2006が掲載された科学誌で、レビュー(審査員による査読)に回りました。カバーレターで、Sopkoらの論文を引き合いに出して「彼等の結果を覆す」と主張したおかげかもしれません。しかし、帰ってきたコメントはよいものではなく、エディターによってリジェクトという結論が下されました。

リジェクトしてきた審査員の1人は、どうもトロントのグループに近い人だったようで、「この仕事はSopkoらの仕事を否定するものではなく、補完的なものである」というコメントがありました。そう、私たちの戦略は見事に失敗したのです。自分の学会発表がそうであったように、私はこれまで闘いを挑むような論文を書いたことはありません。今回は御大にそそのかされて(?)、自分に出来ないことをやってしまったようです。そこで、論文の主旨を1から作り直しました。

真面目にSopkoらの仕事も引用し、比べ、私たちとの研究の違いを書きました。すると、実際にSopkoらの仕事が私たちの仕事と補完的な仕事であることが、私にも分かってきたのです。トップジャーナルに載せようとするばかりに見るべきところが見えていなかった、初稿の論文はいろんな意味で不完全でした。私の論文執筆能力が十分でないからなのかもしれませんが、これまでたいていの場合、初稿で書いた論文がリジェクトされて、繰り直し書き直して満足のいく論文になります。すんなり通ってしまったら不完全なものが発表されてしまう、それよりはいいのかもしれません。

さて、書き直した論文は、Genome Research誌に投稿しました。これは、ゲノム研究ではトップのジャーナルです。科学誌はしばしば、「インパクトファクター」と呼ばれる、どれだけその科学誌に掲載された論文がその先に引用されているかという指標をもとに評価されます。この指標には賛否両々論あるものの、やはりそれなりに、それぞれの科学誌に掲載される難しさ、要求するスタンダードの高さを反映しています。

今回の論文については、私はインパクトファクター10以上の科学誌に絶対に掲載するつもりでした。泥臭い話ですが、たくさんの研究費や人材をつぎ込んでもらったし、結果もしっかりとしたものが得られている。あとは私ががんばるしかない。この論文が「よい科学誌」とよばれるものに掲載されないのだとしたら、私の責任以外のなにものでもない。そういう意味では、インパクトファクター13以上のGenome Research誌は、次の候補としては適切だと思われました。(第4章:gTOW6000を世にはなつ HM’s webpage 2013-01-22)

 

味方を得てアクセプト

いよいよ、Nature に投稿されて……。古寺氏: はい。2009年10月のことです。でも、すぐには載らなかったのです。インパクトのある成果だし、推敲も重ねたし、論文には自信がありました。しかし、いきなりエディターリジェクト。紋切り型のお断り文章をもらって、かなりがっかりしました。どうしていいかわかりませんでしたね。… 仕方なく、次にScience にも投稿してみたのですが、これもエディターリジェクトでした。そこで、時間をかけてもう一度論文を推敲し直しました。どうしたらインパクトのある論文に仕上げることができるのだろうかと、文字通り昼も夜も考えながら。そしてその成果を、もう一度Nature に投稿したのです。2010年5月に、Letterとして。しかし、それでもまた、エディターリジェクトでした。

もうダメだと思ったのですが、安藤教授が、ミオシン研究の世界的な権威の研究者に見てもらおうと、論文を送ってくださったのです。筋肉の研究で有名な方と、ミオシンVの研究で有名な方です。そうしたら、その2人とも大絶賛してくれて。そのうえ、Nature のエディターに推薦の手紙を書いてくれたのです。… とうとうエディターから、「考え直したら、確かにすごい内容です」という連絡が来て、論文をレフリーに回してくれることになりました。そこからは、とんとん拍子でした。(動くミオシンの撮影に成功! 古寺 哲幸氏 Nature著者インタビュー2010年11月4日)

 

自身を客観的に見る

何回かリジェクト食らってたみたいですが、ストーリーを変えて、本人も納得した形になって投稿したら、好意的なコメントが来て、追加実験をいくつか加えたら、それなりにいいジャーナルに驚くほどあっさりと受理されたようです。ストーリーがやっぱり大事ですね。データをいっぱい出したい気持ちや、本当のいきさつをさておいて、読者が読んですんなり納得できる、無理のないストーリーにまとめるのが大事です。結局Reviewerも主張が裏付けられているかどうかを判断するだけで、筋が通っていたらそれ以上の批判は難しいものです。(研究雑話(1)Wunderbarな日々 2017-03-13)

 

私はリジェクトが好きだ

諸君 私はリジェクトが好きだ
諸君 私はリジェクトが好きだ
諸君 私はリジェクトが大好きだ

瑣末な批判が好きだ
追試要求が好きだ
データ追加が好きだ
検定やり直しが好きだ
大幅改訂が好きだ
文献追加が好きだ
図表削除が好きだ

Natureで、Scienceで
Cellで、PNASで
EmBioで、C.B.で
科研費で、学振で

この地上で行われるありとあらゆるリジェクト行動が大好きだ

文献をならべたレビューの一斉発射を無意味として査読無しでリジェクトするのが好きだ
再投稿された論文をリジェクトさせた時など心がおどる

(風流記 2007年10月5日 参考:「諸君 私は戦争が好きだ」)

 

リジェクトするときに使える英語表現

  • We regret to say that ~
  • We regret to inform you that ~
  • We regret that we are unable to publish it in XXXX.
  • We regret to say that we will not be able to accept this manuscript for publication in XXXX.

 

リジェクトの味

参考

  1. “Inside Nature” ―Nature誌編集の舞台裏(?) (かたつむりは電子図書館の夢をみるか 2008-06-21) 去る6/19、筑波大学若手イニシアティブセミナーとして行われたNature ジャパンのエグゼクティブディレクター、中村康一氏の講演会に行ってきました。… 「どんなに質がいい論文でもNatureとして興味持てなかったら落とす」とのことで、過去にはこの段階で後にノーベル賞を受賞する論文を落としてしまったこともあるそうだけど、未だにそのスタイルは崩していない、と。… ただ、ここでも他の学術出版と違うのは、査読者はあくまでコメントを求められるだけで、最終的な掲載の可否は全部編集者が決める、とのこと。
  2. サイエンスに蹴られた論文がネイチャーに載る・・・ (がんの分子腫瘍学・遺伝学 2012年10月22日) サイエンスの689というのは、最初の投稿先がサイエンスでそのままサイエンスに採用された論文が689報あるということである。サイエンスに蹴られてnatureに採用されたのが82報あるということ。しかしcell誌にはサイエンスリジェクト論文は一つも載らなかった(natureリジェクト論文も載っていない)。
  3. Nature Geoscienceからリジェクト、その反省と分析 (黒猫の旅 2013年9月18日)
  4. 論文がRejectされた時。~戦うべきか、否か、それが問題だ~ YASUの呟き No. 15
  5. 論文が却下されました – どうしたらよいでしょうか? (Ben Mudrak, PhD American Journal Experts):”3つめのオプションが最も一般的です。査定者から受け取ったコメントを慎重に考慮して、論文を修正して、別の雑誌に論文を投稿します。”
  6. 8 Scientific Papers That Were Rejected Before Going on to Win a Nobel Prize (Science Alert FIONA MACDONALD 19 AUG 2016)
  7. 論文リジェクトの種類 (むしのみち 2010-05-08):”リジェクトは研究者にとっての試練のようなものですが*1、どんな種類があるのか、自身の研究をもとにまとめておきたいと思います*2。”
  8. regectされた時のモチベーションの高め方というものを教えてください。(論文がregectになりました 教えて!goo 質問者:cueda 2005/08/05)

 

 

同じカテゴリーの記事一覧

論文投稿から採否までの査読期間早わかり

学術誌に論文を投稿すると、最初の数日間はエディターからの連絡が来ないことを祈ります。一週間もすると、レビューにまわしてもらえたのではないかという期待が芽生えます。1ヶ月もすると、早く返事がもらえないのかとやきもきし始めます。1ヶ月も待たされたあげく、エディターに蹴られて、レビューにすら回してもらえていなかったことがわかると、かなりがっかりです。オンラインでステータスをチェックしたり、あるいはエディターからの連絡により、自分の論文がレビューにとりあえず回ったことがわかると、ほっとします。しかし、それからさらに1ヶ月、2ヶ月と待たされると、落ち着かない日々を過ごすことになります。

さて、論文を投稿してから、エディターからの返事をもらうまで、どれくらい待てば良いのでしょうか?日数は、ジャーナルによってかなりの開きがあります。

SciRevというウェブサイトは、研究者の体験をまとめて、ジャーナルごとの統計を出しています。例えばネイチャーの場合、エディターキックは平均11日、レビューから返ってくるのが平均1.9ヶ月、アクセプトされた論文の場合、平均3.8ヶ月かかっています(n=22)。サイエンスの場合は査読に回らなかった場合の平均が13日、査読から返ってくるのが平均1.6ヶ月、アクセプトされた場合にトータルでかかった時間は平均5.6ヶ月となっています(n=19)。eLifeは査読にまわらなかった場合のリジェクションの平均は10日、査読が戻ってくるのは1.3ヶ月、受理された原稿の場合のトータルの日数は平均1.7ヶ月と迅速です(n=17)。PLOS ONEの場合は、レビューに回らず却下された場合の平均は16日、レビューが返ってくるまでの平均は2.6ヶ月、アクセプトされた場合の総日数は3.7ヶ月となっています(n=62)。

研究者は自分の体験をSciRevに投稿することができます。

 

いつまで待っても音沙汰が無い場合、エディターに催促のメールを出したほうがよいでしょう。すぐに結果が返ってくることがあります。

If, after many weeks you do not receive the reviews of your paper, you should make polite inquiries with the appropriate editor. When a journal takes a long time to process a paper, the bottleneck almost always is a tardy reviewer. Sometimes a note from the author provokes the editor to contact the overdue reviewer, who in turn could deliver the review in a day or two. (From Science to Citation By Stephen G. Lisberger)

催促のメールを書く場合、どのような英文が適切でしょうか?文例を挙げて説明しているウェブサイトを紹介します。

I would be grateful if you could let me know whether there has been any further progress on my submission.
(How do I write an inquiry to the editor about my manuscript’s current status? Editage Insights Mar 22, 2016)

Could you let me know when I can expect notice regarding the decision of the editorial board? (英語のメールで論文を寄稿した後の返信を事務局に催促する書き方:「私の論文はどうなりましたか?」と質問する場合 weblio英語の勉強コラム 英文メールフォーマット・テンプレ 2013/01/16)

I was wondering about the status of my manuscript [title, reference number] that I submitted on [date]. Have you heard back from the referees yet? (When / how should I ask about a manuscript’s status in review? http://academia.stackexchange.com)

参考

  1. SciRev:”Share your experience with the scientific review process and select an efficient journal for submitting your manuscripts.”
  2. Submission to first decision time (Cofactor 5th Apr 2013)
  3. Acceptance to publication time (Cofactor 13th Jun 2012)

 

サイエンス(Science)に論文を出す方法

ネイチャー(Nature)に論文を出す方法があるからには当然サイエンス(Science)に論文を出す方法もあります。サイエンスのエディターらが日本を含め世界各国のさまざまな大学でセミナーを行っており、そのスライドなどがインターネット上で閲覧できます。

ネイチャーとサイエンスの名前はどちらも最も権威のある学術誌としてよく並べて挙げられますが、サイエンスへの掲載に当たっては、著者らが高名な学者かどうか、権威のある研究所に属しているかどうかなどは一切関係がないことが明言されており、自分の研究分野の第一人者との議論や共同研究を論文掲載のための戦略の一つとして勧めているネイチャーとは若干異なるスタンスであるように思われます。

04 Pamela Hines(PUblishing in Science: Outliers, Closers, & Leaders by Pamela J. Hines, Senior Editor, SCIENCE, AAAS http://www.docin.com/p-345432859.html)

Hines noted that Science publishes research articles that “shine with quality”, stand out from the pack (i.e. are not similar to already published reports), and can be recognized as “outliers, closers, and leaders”. As she explained, an outlier is a research paper on a fresh, unexpected topic; a closer is one that presents unequivocal evidence to resolve a scientific debate; and a leader is one that moves science forward by “defining new questions”.

Manuscripts that are immediately rejected by Science are not of broad interest, report a minor scientific advance, draw conclusions not sufficiently supported by the evidence, are lacking in mechanistic insight, or report “permutations of known phenomena” (i.e. research repeated in a new biological model system); these latter papers are more suitable to publication by specialty journals. Hines’ suggestion for new authors is to focus on the “logic of thought flow”, as this aspect of good writing has a strong influence on the editorial decision.

(http://www.scielosp.org/scielo.php?pid=S0021-25712010000400014&script=sci_arttext)

参考

  1. Publishing in Science: Outliers, Closers, & Leaders by Pamela J. Hines, Senior Editor, SCIENCE, AAAS (http://www.docin.com/p-345432859.html
  2. Communications from the view at Science by Pamela J.Hines, SCIENCE, AAAS (https://arc.uchicago.edu/sites/default/files/Hines_REESE2010.pdf)
  3. A Guide to Writing the Model Article by Stella Hurtley, Senior Editor, Science (http://www.jsps.org/news/files/dr.%20Stella%20Hurtley.pdf)
  4. Valerie Matarese. Emerging concepts in high-impact publishing: insights from the First Brazilian Colloquium on High Impact Research and Publishing. Ann. Ist. Super. Sanità vol.46 n.4 Roma Oct./Dec. 2010 http://dx.doi.org/10.4415/ANN_10_04_14 (http://www.iss.it/binary/publ/cont/ANN_10_04_14.pdf

 

同じカテゴリーの記事一覧

ネイチャー(Nature)に論文を出す方法

論文が掲載された雑誌のインパクトファクターの高さと、その論文自体の価値の高さは必ずしも一致しません。そのため、雑誌のインパクトファクターにとらわれずに論文の内容そのものを評価すべきだという議論がよくなされます。しかしながら、分野外の論文の価値を評価するのは非常に難しいため、雑誌のネームバリューで論文業績が評価されるということは避けられません。

そんなこともあって、いまどき、ネイチャー(Nature)、サイエンス(Science)、セル(Cell)(生命科学分野の場合)、あるいはそれらの姉妹紙などにファーストオーサーの論文を出していないと、アカデミックな世界でジョブマーケットに出て行くことが難しいという現実があります。テニュアトラック制度に乗っているPI(Principal Investigator)も、自分のラボからこのようなトップジャーナルに論文を出さないとテニュア獲得の可能性が下がるでしょう。

それでは一体、Natureなどのハイプロファイルジャーナル(High-profile journals)に論文を出すための秘訣や戦略のようなものは存在するのでしょうか?

日本のラボで仕事をする日本人ポスドクよりも、海外のラボに留学した日本人ポスドクの方が一流誌に論文が出やすいということはよく言われます。なぜそうなるのかといえば、海外のトップラボのボスは良い論文を書く方法論を身につけているからです。そのため、せっかく同じような実験データを得ていながら、かたやネイチャー、かたやインパクトファクターの低い雑誌という結果にもなります。

Natureに論文を出すための方法論はどこでどう身につければよいのでしょうか?もちろん、良いボスがいる一流のラボで仕事をして直接学ぶのがベストの方法ですが、実は、良い論文を書くためのワークショップをNature自身が多数開催しています。また、インターネット上で、それらの内容が公開されています。

planyourpaper(参照:ネイチャーライティングワークショップ http://www.jbr-pub.org/UploadFile/Nature%20Writing%20Workshop.pdf 30ページ)

良い論文というのは、我々の自然に対する理解を深めるような研究報告です。つまりConceptual Advanceがなければいけません。Conceptual Advanceがどのようなもので、それが論文掲載の決定にどう関わってくるかに関しては、

Novelty and conceptual advance
• Anything that has not been published before is novel, but not all
novel findings are considered interesting, or of sufficient conceptual
advance, for a journal
• Different journals use different criteria to gauge the level of
conceptual advance and readers’ potential interest

Common types of conceptual advance
• Unexpected phenomenon
• Never before seen
• Mechanistic insight
• Technical breakthrough
• Resource value

(参照:ネイチャーライティングワークショップ http://www.jbr-pub.org/UploadFile/Nature%20Writing%20Workshop.pdf 19ページ)

と説明されています。

ネイチャーに論文を出す方法について、ネイチャーのエディターが解説した動画。

How to Publish in Nature – Leslie Sage (SETI Talks)

ネイチャーが論文をアクセプトするかどうかは一体誰が決めているのでしょうか?それは、レビューアー(差読者)ではなくネイチャーの編集者であると明言されています。

The judgement about which papers will interest a broad readership is made by Nature‘s editors, not its referees. One reason is because each referee sees only a tiny fraction of the papers submitted and is deeply knowledgeable about one field, whereas the editors, who see all the papers submitted, can have a broader perspective and a wider context from which to view the paper. (http://www.nature.com/nature/authors/get_published/)

Nature, Nature Physics and Nature Communicationsなどの編集者も務めたDan Csontos博士が、ネイチャーに論文を出す秘訣を解説。

How to get published in top-ranked journals

Dr Dan Csontos. He is a science writer, editor and publishing consultant at Elevate Scientific, based in Lund, Sweden. Before founding Elevate he was a science editor with the international journals Nature, Nature Physics and Nature Communications, and a science editor and project manager with Macmillan Science Communications in London.

 

ネイチャー論文の要旨の書き方

ABSTRACTの書き方だけでなく、ネイチャーに投稿する際の要点が、https://www.natureasia.com/pdf/ja-jp/nature/authors/gta-2017.pdfにまとめられています。

 

参考

  1. Foundation Scientific Writing and Publishing Workshop:Trainers: Dr.Myles Axton (Nature Genetics Chief Editor), Dr.Wayne Peng (Formerly an Associate Editor, Nature)(ネイチャーライティングワークショップ 284 page PDF)
  2. How to get published in Nature (and its sister journals) Ed Gerstner,Executive Editor. Nature Communications. March 2014 (PDF link)
  3. How to get published in Nature Publishing Group Journals. By Nick Campbell.Assistant Publisher and Executive Editor NPG Nature Asia-Pacific (PDFリンク
  4. Publishing your research in Nature journals,  Myles Axton, Chief Editor, Nature Genetics. Taiwan, November 2014. (37 pages PDFリンク)
  5. How to get published in Nature Communications. Nicky Dean, Associate Editor Nature Communications. (PDF link)
  6. Scientific writing 101 (Nature Structural & Molecular Biology, Feb 2010;17(29):139 EDITORIAL)(PDF link)
  7. Getting published in Nature: the editorial process (nature.com)
  8. サイエンス(Science)に論文を出す方法
  9. 圧倒的に生産性の高い人(サイエンティスト)の研究スタイル (ニューロサイエンスとマーケティングの間 – Being between Neuroscience and Marketing 2008-10-18) :1. まずイシューありき 2. 仮説ドリブン 3. アウトプットドリブン 4. メッセージドリブン

 

同じカテゴリーの記事一覧

Cell、Nature、Scienceには出しません

生命科学の研究者にとって、セル、ネイチャー、サイエンスなどのいわゆる一流誌に論文を出すことは研究の世界で生き残る上で非常に大切なことです。

ところが、今年のノーベル生理学・医学賞を受賞したランディ・シェックマン博士が、セル、ネイチャー、サイエンスの姿勢を批判し今後これらの雑誌には論文を投稿しないと宣言しました。

これはすでにノーベル賞を獲った人だからこそ言えることです。これからキャリアを築かなければならない人の場合は、セル、ネイチャー、サイエンスに論文を出せるかどうかは研究者人生の明暗を分ける分岐点になりかねません。

研究者は論文の質や量で評価され、研究費やポストの獲得に直結する。英国の「ネイチャー」や米国の「サイエンス」「セル」など有名科学誌は世界の研究者の注目度が高く、加藤氏も「(研究者としての)世界が変わる」とメンバーに投稿を強く勧めた。毎日新聞、2013.7.26

一般的にほとんどの教授は競争的資金を利用して研究している。その資金を得るためには良い業績が必要で殆どの場合、ImpactFactorが高い雑誌、特にCell,Nature,Scienceという通称CNSと呼ばれる雑誌に論文が載ることで大きなadvantageを得ることができる。http://d.hatena.ne.jp/AMOKN/20100801

CNSに論文が載ればそのポスドクは帰国してアカポス取れる可能性が高まる。http://scienceinjapan.org/topics/20130611.html

現在の日本のバイオ系の研究レベルの上昇によりアカポスを得るにはCNS(Cell, Nature, Science)は最低1報は要るというくらいの状況になってきています。http://ameblo.jp/bio-post-doctor/entry-10072353783.html 2008-02-13)

三大誌の一つであるScienceに初めて筆頭著者として論文が受理されたときの興奮はすさまじいものであった。若かったし、これで世界に認められる研究者になれたという恍惚感もあった。そして、実際、その論文のおかげで教授になれた。http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/nakano/essay_009.html

やっぱり皆、Nature、Cell、Science、インパクトファクターの高い論文を狙ってます。それはですね、もしある職に対して3人の候補者が挙がった場合に、Nature、Cell、Scienceに載ってる人が基本的に優先的に選ばれる可能性が高い。科学研究費もそうなんです。(http://www.mbsj.jp/admins/ethics_and_edu/doc/081209_wakate_sympo_all_final.pdf)

参考

  1. How journals like Nature, Cell and Science are damaging science.  Randy Schekman (The Guardian, Monday 9 December 2013 19.30 GMT)
  2. Nobel winner declares boycott of top science journals  (The Guardian, Monday 9 December 2013 19.42 GMT): Randy Schekman, a US biologist who won the Nobel prize in physiology or medicine this year and receives his prize in Stockholm on Tuesday, said his lab would no longer send research papers to the top-tier journals, Nature, Cell and Science.
  3. 3科学誌は商業主義…ノーベル受賞者が「絶縁」(読売新聞2013年12月13日15時23分):今年のノーベル生理学・医学賞を受賞した米カリフォルニア大バークレー校のランディ・シェックマン教授(64)が、世界的に有名な3大科学誌は商業主義的な体質で科学研究の現場をゆがめているとして、今後、3誌に論文を投稿しないとの考えを明らかにした。
  4. ノーベル賞学者が有名なエリートジャーナル誌をボイコット。「科学者はサイエンスコミュニティの歪んだ印象を正すべく立ち上がるべき」(irorio.jp 2013年12月13日)
  5. The widely held notion that high-impact publications determine who gets academic jobs, grants and tenure is wrong. Stop using it as an excuse. By Michael Eisen | Published: February 4, 2012: