サイレポ Scientific Reportsの評判,IF,採択率

 

ネイチャー系のオープンアクセスジャーナルScientific Reports

Scientific Reports(サイエンティフィックリポーツ)は、ネイチャースプリンガーが発行するオープンアクセスの学術誌です。紙媒体はなく、ネット上のみ。ネイチャーの姉妹紙という言い方がされることもあります。個人的には、ネイチャー姉妹紙と呼んでいいのは、Nature GeneticsとかNature Cell Biologyなど、Natureナントカという名称の雑誌までだと思います。「姉妹」と区別するためにNature本人をNature Natureという言い方も聞いたことがあります。

下のツイートの説明は、自分の理解とはズレていますが、こんな会話。


 

オープンアクセスジャーナルの先陣を切ったのはPLOS ONEだったと思いますが、その後を追ってネイチャーもScientific Reportsを発刊しました。

PLoS ONEの大きな成功を受け、近年多くの出版社が似たような雑誌を刊行しています(図 5)。‥ 興味深いのは、あのNatureが刊行しているという点です。雑誌に Nature の名称は入れていませんが、系列雑誌なのは明らかで、Nature のブランドが大きく影響しています。(第 5 回 SPARC Japan セミナー2011 「OA メガジャーナルの興隆」 PLoS ONE と OA メガジャーナルの興隆 ピーター・ビンフィールド (パブリック・ライブラリー・オブ・サイエンス) PDF

 

サイレポの査読の厳しさ・基準

サイエンティフィック・リポーツは、学術論文の意義や価値を問わず、実験内容がしっかりしているかどうかの評価で採択が決まるとしています。

Scientific Reports は、「技術的妥当性がある」という基準を満たした原著論文を掲載します。論文の査読は、この基準のみで行われます。個別論文の重要性については、出版後、読者の判断にゆだねます。(Scientific Reports の出版基準は? よくある質問)

At Scientific Reports, we focus on ensuring that all papers we publish are of high technical quality, and let the scientific community determine the impact of your work. Our editorial process focuses on the robustness and validity of your research, from methodological, analytical, statistical and ethical perspectives, rather than making subjective decisions on your manuscripts. (Editorial process

サイエンティフィック・リポーツは論文が通りやすいのかどうかはその研究がどのレベルのジャーナルを目指していたかによると思います。研究の意義を決めるのは編集部ではなく、出版後にその論文を読んだ読者であるというのですから、普通に堅い仕事をしている人であれば、誰にでも掲載されるチャンスがあると思います。

 

Scientific Reportsのインパクトファクター

サイエンティフィックリポーツのインパクトファクターの推移は、最新のものは2021年に発表された2020年の値(直近2年間すなわち2018年と2019年の論文が2020年に引用された回数の2年間の論文数に対する割合)で4.379です。創刊当初の勢いは失われていますが、4程度で安定して推移しています。

  • 2020年 4.379  
  • 2019年 3.998
  • 2018年 4.011
  • 2017年 4.122
  • 2016年 4.259
  • 2015年 5.228
  • 2014年 5.578
  • 2013年 5.078
  • 2012年 2.927 

参考

  1. https://academic-accelerator.com/Impact-Factor-IF/Scientific-Reports
  2. Open-access mega-journals: The future of scholarly communication or academic dumping ground? 13 March 2017

 

Scientific Reportsの採択率

サイレポの採択率は48%だそうです。結構高いですね。

  1. About Scientific Reports Why publish in Scientific Reports?

 

Scientific Reportsの査読にかかる時間

サイレポは査読が遅いという不満が聞かれますが、scirev.orgで、実体験レポートを見ることができます。確かに、かなり査読が遅いケースが見られます。


 

 

Scientific Reportsの掲載料

サイレポの特徴はオープンアクセスなので、論文掲載のコストに対して支払いをする人は論文読者ではなく、そのかわり論文著者がそのコストを請け負います。サイレポのarticle processing charge (APC) は、日本からの場合1990ドルです。日本円に換算すると約23万円です。オープンアクセスジャーナルとしては、そんなものでしょう。

  1. Open access funding and payment

何かと比較されるPLOSジャーナルは、ジャーナルごとに掲載料がことなりますが、PLOS ONEの場合は1749ドル(約20万円)で、同程度と言えます。

  1. Publication Fees (PLOS)

 

Scientific Reportsに投稿する理由

自分の研究成果の投稿先としてサイレポを選ぶ理由は人それぞれでしょうが、一つの考え方が紹介されていた記事を紹介。上を目指して研究していたが、期待した大きさの成果が出なかった場合の選択肢になり得るというものです。

なぜOAメガジャーナルは停滞しているのですか。

佐藤 要因は複数ありますが,研究者の志向が厳然として変わらない点は大きいでしょうね。NatureやCellなどの権威ある雑誌がまず目標としてあって,そのレベルに達しない場合にPLOS ONEやScientific Reportsを考慮する。これらの雑誌はインパクトファクターが適度にあって査読が迅速なので,一定のニーズに応える存在にはなった。でも投稿先の優先順位を覆すほどではなかったのです。(オープンアクセスの進展と査読のこれから(佐藤翔)インタビュー2019.03.04 医学書院

 

Scientific Reportsの評判

サイレポの論文は、掲載後に読者が評価するものということになっているので、サイレポに出した論文は人に読んでもらえるのかどうかが重要なポイントになると思います。研究成果の意義を問わず、採択率も5割近いという状況を考えれば、個々の論文を見たときに玉石混交になるのはやむを得ないでしょう。本来は、重要な科学研究の成果を迅速に発表するという意図があったはずの、紙媒体無しのオープンアクセスジャーナルなのに、査読期間をみると(scirev.org)思いのほか、遅いと思います。研究者にとって、アクセプトは1日でも早く欲しいものなので、査読&編集者の意思決定の遅さはかなりのマイナス要因になります。

 

Scientific Reportsの人気

2016年の東北大学の論文掲載数の多い雑誌の1位がScientific Reports (Springer Nature) で2位がPLOS ONEだったそうです。人気としては、PLOS ONEより後発のScientific Reportsが人気で逆転している印象があります。

  1. Scientific Reports誌が出版論文数でPLOS ONEを逆転(記事紹介) Posted 2017年4月11日 カレントアウェアネス・ポータル 2017年第一四半期PLOS ONEの出版論文数は5,541本であったのに対し、Scientific Reports誌は6,214本でした。
  2. 日本におけるOAの推進を阻むもの : 一(いち)生命科学者より 東北大学附属図書館長 東北大学大学院医学系研究科教授 大隅 典子

 

Scientific Reportsの信頼性

  1. 2017年に学術界を揺るがした衝撃的事件(後編) Jan 26, 2018 エナゴ学術英語アカデミー 多数の編集者を辞任に追い込んだScientific Reportsの剽窃問題

 

Scientific Reportsの略

Scientific Reportsは、Sci Repと略されます。日本語ではサイエンティフィックリポーツと表記され、ラボ内の会話ではサイレポと呼ぶ人が多いようです。