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ディープウェブとダークウェブ

通常のインターネットブラウザでアクセスしているのは、インターネット全体のほんの氷山の一角なのだそうです。水面下にある部分はディープウェブと言われます。ディープウェブの一部に、ダークウェブがあります。

Why You Should Never Visit The Dark Web 2019/01/31 The Infographics Show

シェーグレン症候群 (Sjögren症候群)とは

シェーグレン症候群とは

シェーグレン症候群は1933年にスウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレンの発表した論文にちなんでその名前がつけられた疾患です。日本では1977年の厚生労働省研究班の研究によって医師の間に広く認識されるようになりました。 本疾患は主として中年女性に好発する涙腺唾液腺を標的とする臓器特異的自己免疫疾患ですが、全身性の臓器病変を伴う全身性の自己免疫疾患でもあります。シェーグレン症候群は膠原病(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎、混合性結合組織病) に合併する二次性シェーグレン症候群と、これらの合併のない原発性シェーグレン症候群に分類されます。(指定難病53 難病情報センター)

 

シェーグレン症候群の症状

一部の患者では、口または眼の乾燥だけがみられます。… 多数の臓器が侵される場合もあります。シェーグレン症候群では、鼻、咽頭、消化管、喉頭、気管、気管支、外陰部、腟の表面を覆っている粘膜が乾燥することがあります。(MSDマニュアル家庭版

  1. シェーグレン症候群 (SS)(MSDマニュアル プロフェッショナル版)

Sjögren’s syndrome 2014/02/25 Dr. Andras Fazakas

 

シェーグレン症候群の病態・診断・治療、診療ガイドライン

  1. シェーグレン症候群診療ガイドライン2017年版(130ページPDF) 厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患等政策研究事業 自己免疫疾患に関する調査研究班
  2. シェーグレン症候群:病態・診断・治療 (第 114 回日本内科学会講演会 超世代の内科学―GeneralityとSpecialtyの先へ― 本講演は,平成29年4月16日(日)東京都・東京国際フォーラムにて行われた.)
  3. 成人のシェーグレン症候群の特徴と治療(総 説 臨床リウマチ,29: 219~227,2017)

シェーグレン症候群の診断基準

シェーグレン症候群(SjS)改訂診断基準(厚生労働省研究班、1999 年)
1.生検病理組織検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)口唇腺組織でリンパ球浸潤が 1/4m ㎡当たり 1focus 以上
B)涙腺組織でリンパ球浸潤が 1/4m ㎡当たり 1focus 以上
2.口腔検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)唾液腺造影で stage I(直径 1mm 以下の小点状陰影)以上の異常所見
B)唾液分泌量低下(ガムテスト 10 分間で 10mL 以下,またはサクソンテスト 2 分間 2g 以下)があり、かつ唾液腺シンチグラフィーにて機能低下の所見
3.眼科検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)Schirmer 試験で 5mm/5min 以下で、かつローズベンガルテスト(van Bijsterveld スコア)で陽性
B)Schirmer 試験で 5mm/5min 以下で、かつ蛍光色素(フルオレセイン)試験で陽性
4.血清検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)抗 SS-A 抗体陽性
B)抗 SS-B 抗体陽性

診断    以上1、2、3、4のいずれか2項目が陽性であればシェーグレン症候群と診断する。(転載元

 

抗SS-A抗体と抗SS-B抗体

これらの自己抗体の名前の由来に関しては、下のレビューでわかりやすく解説されています。

Anti-Ro/SSA and anti-La/SSB antibodies were originally described in 1961 as two precipitating antibodies reacting with antigens contained in extracts from salivary and lacrimal glands of patients with SS, termed SjD, and SjT, respectively [9]. SjD antigen was reported to be insensitive to trypsin or heat, while SjT antigen could be destroyed by the same treatment. In 1969, Clark et al. described the presence of antibodies in the sera of patients with SLE that reacted with ribonucleoprotein (RNP) antigens present in extracts of rabbit and human spleen [10]. The authors named the antibody “anti-Ro antibody” after the original patient in whom the antibodies were identified. The same group also found antibodies to another soluble cytoplasmic RNA protein antigen, “La” [11]. At about the same time, Alspaugh and Tan noted the existence of autoantibodies in the sera of many SS patients, which react with antigens termed “SSA” and “SSB,” [12]. SSB antigen was described also as “Ha”, an antigen targeted by sera from patients with SLE and SS [13]. Later, Ro and La were demonstrated to be antigenically identical to SSA and SSB [14]. (Clinical and Developmental Immunology Volume 2012, Article ID 606195, 12 pages http://dx.doi.org/10.1155/2012/606195 Review Article Clinical and Pathological Roles of Ro/SSA Autoantibody System Ryusuke Yoshimi, Atsuhisa Ueda, Keiko Ozato, and Yoshiaki Ishigatsubo 著作権:CC BY 3.0)

抗SS-A/Ro抗体と抗SS-B/La抗体は共に非ヒストン核蛋白抗体のひとつであり,シェーグレン症候群と密接に関連している。しかし,抗SS-A抗体は多くの膠原病で陽性を示す。(抗SS-A/Ro抗体 SRL総合案内

異常値を示す主な疾患・状態・異常高値:シェーグレン症候群の50~70% 全身性エリテマトーデス(SLE)の40~60% 重複症候群の40~60% 強皮症の10~30% 多発性筋炎/皮膚筋炎の10~20% 関節リウマチの20~30%(抗SS-A/Ro抗体 FALCO臨床検査案内サイト

SS-A抗体はシェーグレン症候群70~90%と最も高頻度に検出されますが、疾患特異性は高くなく、全身性エリテマトーデス(SLE)強皮症混合性結合組織病(MCTD)関節リウマチなど他の膠原病でも広く陽性となります。RNAと蛋白の複合体に対する自己抗体で、対応抗原は細胞質に多く存在するため抗核抗体陰性でも抗SS-A抗体が検出されることがあります。 一方、抗SS-B抗体はシェーグレン症候群30~40%に検出され、特異性が高く、抗SS-B抗体陽性の場合、抗SS-A抗体も同時に陽性となります。RNAポリメラーゼIIIの転写産物と複合体を形成する蛋白に対する自己抗体で、対応抗原は核内に存在するため抗核抗体ではSpeckled型陽性を示します。(CRC)

  1. 抗 SS-A 抗体陽性女性の妊娠に関する診療の手引き (2013 年 3 月 平成 22 年度~平成 24 年度 厚生労働科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業)抗 SS-A 抗体は全身性エリテマトーデス(SLE)やシェーグレン症候群(SS)で高率に認められる自己抗体であるが、無症候性の女性が保有している場合もある。抗 SS-A 抗体陽性女性から出生する児における NLE の発症率は約 10%、そのうち CHBは約1%(すなわち、全国での年間発症数は約100 例)と推定されている[2]。
  2. シェーグレン症候群患者が妊娠する場合に注意することはありますでしょうか?(FAQ 指定難病53 難病情報センター) 抗SS-A抗体という抗体をお持ちですと、新生児に房室ブロックという不整脈が出ることがまれにあります。また、新生児ループスといって、生まれた赤ちゃんにお母さんの自己抗体が移行し、真っ赤になって(赤ちゃんはもともと赤いから赤ちゃんなのですがさらに真っ赤に)生まれる事がまれにあります。
  3. Franceschini F, Cavazzana. Anti-Ro/SSA and La/SSB antibodies.  Autoimmunity. 2005 Feb;38(1):55-63. (PubMed) The Ro/La system is considered as an heterogeneous antigenic complex, constituted by three different proteins (52 kDa Ro, 60 kDa Ro and La) and four small RNAs particles.
  4. Ben-Chetrit E. Target antigens of the SSA/Ro and SSB/La system. Am J Reprod Immunol. 1992 Oct-Dec;28(3-4):256-8. (PubMed) The SSA/Ro and SSB/La antigens are polypeptides which serve as autoantigens in systemic lupus erythematosus and Sjogren’s syndrome. The SSA/Ro contains two major isoforms of 60 kD and 52 kD. The former is the main native antigen while the latter is a major autoantigen in its denatured form. The SSB/La is a single phosphorylated protein of 48 kD. 
  5. Elaine L. AlexanderThomas T. Provost. Ro (SSA) and La (SSB) antibodies. Springer Seminars in Immunopathology September 1981, Volume 4, Issue 3, pp 253–273

残念ながら根本的にシェーグレン症候群を治癒させることはできません。乾燥症状に対しては症状を軽くすること、他の臓器障害に対してはそれらを抑えることを目的とした治療を行います。(シェーグレン症候群 (Sjögren’s syndrome: SS) しぇーぐれんしょうこうぐん KOMPAS 慶応義塾大学 医療・健康情報サイト)

  1. シェーグレン症候群 Sjögren’s syndrome,SjS (順天堂大学医学部 膠原病・リウマチ内科)
  2. シェーグレン症候群の臨床~シェーグレン症候群は最も身近な膠原病~ 2004年

 

シェーグレン症候群を罹患した著名人

  1. 和田アキ子が告白した難病「シェーングレン症候群」の怖さ (2011.03.03 16:00 女性セブン / livedoor NEWS) 和田アキ子(60)が2月26日、自身のラジオ番組で、シェーグレン症候群にかかっている可能性があることを告白した。翌27日放送の『アッコにおまかせ!』(TBS系)では、「大丈夫。寝込むほどの病気じゃないから」と語っていたが、実はこの病気、東京都などの自治体が指定する難病のひとつだ。
  2. 菊池桃子 離婚前から難病「シェーグレン症候群」を患っていた (2012.3.2 10:58週刊朝日 AERAdot.) 1月28日、プロゴルファーの西川哲(43)と17年続いた結婚生活にピリオドを打ったことを発表した菊池桃子(43)。中学3年と小学4年の子どもを抱え、今後は女優業に本格復帰すると思われていた……。 そんな矢先に衝撃的なニュースが飛び込んできた。 離婚をする以前から菊池が難病に苦しんでいたというのだ。 本誌の取材によると、菊池が患った病は「シェーグレン症候群」。

臨床医のための 臨床研究テーマの見つけ方

臨床研究を行う理由

T医師が漠然と感じているような疑問は、臨床に携わっていると日常的に沸き起こってくるはずです。

「臨床研究」とは、このような漠然とした疑問を、検証可能な「リサーチクエスチョン」として構造化させ、科学的な手法を用いて解決していく過程です。そして疑問を解決していく中で、また新たなリサーチクエスチョンが生まれて来る。そのような連鎖が、臨床医学を前へと進める推進力であり、臨床研究のだいご味です。(臨床研究者育成プログラムのご紹介 東京大学医学部

病気を深く知ろうとする行為そのものが研究であると考えれば、よい臨床医になるためには研究という作業が必ず伴うのではなかろうか。(京都大学大学院医学研究科・医学部 皮膚科学 教授エッセイ

 

臨床研究テーマの見つけ方

臨床研究の大きな流れとしては、まず「後向き研究」からスタートして糸口をつかみ、「前向き研究」の「観察研究」で方向性を定め、さらに「介入研究(臨床試験)」で確認する、というのが王道ですね。…

こうした疑問点をガイドラインなどで調べても、エビデンスがはっきりしない場合がしばしばあります。こういう時こそ問題解決の一つのチャンスなので、さあ後向き研究をやろう、となるわけです。…

後向き研究をやってみると、何かしら解決すべき問題が出てきて、これを前向きに調べることになります。そこまでやると、自分のテーマとしてこれを突き詰めたくなる。(インタビュー第6回:神山 圭介 教授 「治験」と「臨床研究」の違い 慶応義塾大学病院臨床研究推進センター)*太字強調は当サイト

 

書籍

  1. 実践対談編 臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意 (すべての臨床医そして指導医にも捧ぐ超現場型の臨床研究体験書) 2018/4/18 原 正彦
  2. 臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意 (すべての臨床医に捧ぐ超現場重視型の臨床研究指南書) 2017/12/4 原 正彦

臨床研究 英語論文 最速最短は臨床医に研究を勧めて、実際にアイデアの出し方から論文アクセプトに至るまでの道のりをガイドしてくれる本なのですが、基礎研究しか知らない自分が読んでも非常に面白く、大変役立つ内容でした。自分の研究の一番のブレーキになる上司とのかかわり方であるとか、論文原稿を教授が何か月も放置して読んでくれないときにどうすべきかなど、研究者がしばしば遭遇する困難への対処方法、実践的なアドバイスが満載です。

参考

  1. 臨床研究:実戦的基礎知識 国立国際医療研究センター「初期臨床で身につけたい臨床研究のエッセンス」Vol.2 第4章より抜粋・改変
  2. Douglas A. Mata. Once You’ve Found the Question: How to Take the Next Steps in Research Nov 08, 2017 (NEJM Resident 360)
  3. Sadaf Aslam and Patricia Emmanuel. Formulating a researchable question: A critical step for facilitating good clinical research. Indian J Sex Transm Dis AIDS. 2010 Jan-Jun; 31(1): 47–50. PMC3140151 step-by-step guidance on the formulation of a research question
  4. David A. Katzka. How to Balance Clinical Work and Research in the Current Era of Academic Medicine. Gastroenterology. November 2017; Volume 153, Issue 5, Pages 1177–1180.

皮膚は怪我の後、どうやって治癒していくのか?メカニズムの解説

怪我をして皮膚を切ったりしたときに、人間の体はどのようにして傷を修復するのでしょうか?下の動画が非常にわかりやすく説明してくれます。

創傷が治癒する過程
ケガはどのように治るのか? - サルタック・シンハ 2014/11/11 TED-Ed

Stages of Wound Healing Process 2014/09/28 usmlesteps123

 

傷の修復過程で線維芽細胞(Fibroblasts)が傷のところに集まってきますが、その過程を模倣した実験観察の動画(下)。

Wound Repair and Fibroblast Migration 2016/09/19 Zar

2019年度ノーベル化学賞はリチウムイオン電池の発明者 吉野彰、ジョン・グッドイナフ、スタンリー・ウィッティンガムの3氏に

2019年度ノーベル化学賞受賞者の発表

 吉野彰氏の記者会見

ノーベル化学賞の旭化成・吉野彰氏「リチウムイオン電池が受賞してうれしい」(2019年10月9日 THE PAGE ザ・ページ)

吉野彰氏の略歴:
1966年 – 大阪府立北野高等学校卒業
1970年 – 京都大学工学部石油化学科卒業
1972年 – 京都大学大学院工学研究科石油化学専攻修士課程修了
1972年 – 旭化成工業株式会社(現旭化成株式会社)入社
(参照:ウィキペディア

リチウムイオン電池の誕生

2018 Japan Prize Commemorative Lecture: Dr. Akira Yoshino  2018/04/23  JapanPrize 

16S rRNAのシーケンシングによる細菌の種類の同定

Detection and identification of bacteria in clinical samples by 16S rRNA gene sequencing:comparison of two different approaches in clinical practice
https://www.microbiologyresearch.org/docserver/fulltext/jmm/61/4/483_jmm030387.pdf?expires=1570540556&id=id&accname=guest&checksum=5420BE74E3BA950EA45B92F013CBE211

Efficient Nucleic Acid Extraction and 16S rRNA Gene Sequencing for Bacterial Community Characterization
https://www.jove.com/video/53939/efficient-nucleic-acid-extraction-16s-rrna-gene-sequencing-for

Using a 16S rRNA Sequence to Identify a Bacterial Isolate (2017/10/03 Oxford Academic (Oxford University Press))

What Is 16s rRNA sequencing? (2018/08/01 CD Genomics)
https://www.youtube.com/watch?v=3UHiveJ1jzM

2019年度ノーベル物理学賞受賞者はJames Peebles, Michel Mayor , Didier Queloz の3氏に

2019年度ノーベル物理学賞の授与

8 October 2019

The Royal Swedish Academy of Sciences has decided to award the Nobel Prize in Physics 2019

“for contributions to our understanding of the evolution of the universe and Earth’s place in the cosmos” with one half

to James Peebles Princeton University, USA

“for theoretical discoveries in physical cosmology” and the other half jointly

to Michel Mayor University of Geneva, Switzerland

and Didier Queloz University of Geneva, Switzerland University of Cambridge, UK

“for the discovery of an exoplanet orbiting a solar-type star” (nobelprize.org)

2019年度ノーベル物理学賞発表の様子

Announcement of the Nobel Prize in Physics 2019

参考

  1. New perspectives on our place in the universe (Nobelprize.org)
  2. Scientific Background on the Nobel Prize in Physics 2019 PHYSICAL COSMOLOGY AND AN EXOPLANET ORBITING A SOLAR-TYPE STAR (Nobelprize.org)

低酸素、腎臓、hypoxia-inducible factor (HIF) 、エリスロポエチン(Epo)について

2019年度ノーベル医学生理学賞は、低酸素刺激に対して生体がどのように反応するかに関する研究を行ったウィリアム・ケリン、ピーター・ラトクリフ、グレッグ・セメンザの3氏に贈られました。

hypoxia-inducible factor (HIF) の発見

HIF-1は,肝がん細胞株 Hep3B において「低酸素依存的 にエリスロポエチン(EPO)を誘導する因子」として1992 年に Semenza らによって発見された.

Semenza, G.L. & Wang, G.L.(1992)Mol. Cell. Biol., 12, 5447―5454.

(引用元:生化学 第85巻 第3号,pp.187―195,2013

 

エリスロポエチン(Epo)

エリスロポエチン(Epo)は赤血球産生を制御する造血ホルモンであり、組織の低酸素に応答して産生され、骨髄などの造血細胞に働いて赤血球産生を刺激します(図2)。高地トレーニングをしている運動選手の血液では赤血球数、および、酸素運搬に関わるヘモグロビン量が増加しますが、これも低酸素環境におけるEpo産生の亢進によるものです。また、ヒトの大人ではEpoは主に腎臓において産生されます。(引用元:エリスロポエチン遺伝子の発現制御 dmbc.med.tohoku.ac.jp)

 

腎臓と低酸素

腎臓は酸素消費が多く,更に動静脈シャントのため 酸素の取り込み効率が悪いため,低酸素状態になりや すい臓器であり,様々の要因によって引き起こされる 尿細管間質の慢性低酸素が腎臓病の final common pathway として注目されている。(引用元:日児腎誌 Vol. 25 No. 2

腎臓は生体が必要とする酸素の30%を消費する,非常に酸素需要の高い臓器となっている.このため,腎臓病のfinal common pathwayとして,尿細管間質の慢性低酸素状態が特に重要と考えられている.(第 113 回日本内科学会講演会 結実する内科学の挑戦~今,そしてこれから~ 平成28年4月17日(日)東京都・東京国際フォーラム 日本内科学会雑誌 105 巻 9 号

 

腎が低酸素になりやすい理由としては,エネルギー需要が高いことに加え,尿細管周囲毛細血管網による酸素供給が血行動態の変化により影響を受けやすいことや,解剖学的な理由により動静脈酸素シャントが存在するため酸素の利用効率が悪いことがあげられる.(慢性低酸素状態の腎臓 244巻4号 2013年1月26日 医学のあゆみ

 

HIF刺激薬

EPO遺伝子の転写を促進する低酸素誘導因子(hypoxia-inducible factor: HIF)が同定され、さらにその上流の調節機構が解明されたことを背景に、「HIF活性化薬」としてPHD阻害薬が開発されました。 PHDはHIF (α鎖)を水酸化し、ユビキチン・プロテアソーム分解を導く酵素で、PHDの酵素活性を阻害するとHIFは安定化し、HIFを介する低酸素応答が誘導されます。(第4回(1)EPOから生まれた「HIF刺激薬」ここがすごい!執筆:田中哲洋(東京大学医学部附属病院)、監修:南学正臣(東京大学医学部附属病院)2018年8月15日 m3.com

 

2019年ノーベル医学生理学賞はウィリアム・ケリン、ピーター・ラトクリフ、グレッグ・セメンザの3氏に

2019年ノーベル医学生理学賞はウィリアム・ケリン、ピーター・ラトクリフ、グレッグ・セメンザの3氏に贈られました。

The Nobel Assembly at Karolinska Institutet
has today decided to award
the 2019 Nobel Prize in Physiology or Medicine
jointly to
William G. Kaelin, Jr., Sir Peter J. Ratcliffe and Gregg L. Semenza.
for their discoveries of how cells sense and adapt to oxygen availability (PDF)

2019年ノーベル医学生理学賞発表の瞬間

Announcement of the Nobel Prize in Physiology or Medicine 2019 Nobel Prize

 

Sir Peter J. Ratcliffe

ノーベル賞受賞直後のピーター・ラトクリフ氏の電話インタビュー

 

 

ピーター・ラトクリフ博士の講演動画。
Elucidation of oxygen sensing pathways in human and animal cells // Peter Ratcliffe 2018/09/28 The Physiological Society

 

William G. Kaelin

ウィリアム・ケリンのレクチャー動画。
Signaling Pathways in Cancer Symposium: William Kaelin 2016/08/11 KochInstituteMIT

 

Gregg Semenza

グレッグ・セメンザ(Gregg Semenza)が語る研究者の日常、研究はいかに進むか。

 

Gregg Semenza on the discovery of HIF-1 

下の動画は、生い立ちから研究の話までのロング・インタビュー。
JCI’s Conversations with Giants in Medicine: Gregg Semenza 2016/11/02 Journal of Clinical Investigation

 

参考

  1. Scientific Background How cells sense and adapt to oxygen availability (nobelprizemedicine.org)
  2. ノーベル医学生理学賞に米、英の3氏 「細胞の低酸素応答の仕組みの解明」(201/10/7(月) 18:42 毎日新聞 YAHOO!JAPAN) スウェーデンのカロリンスカ研究所は7日、2019年のノーベル医学生理学賞を米国とイギリスの3氏に授与すると発表した。受賞理由は「細胞の低酸素応答の仕組みの解明」。 受賞が決まったのは、米ハーバード大のウィリアム・ケリン教授▽英オックスフォード大のピーター・ラトクリフ教授▽米ジョンズ・ホプキンズ大のグレッグ・セメンザ教授。

 

RECIST(レシスト)、mRECIST

RECIST

  1. 固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン (RECIST ガイドライン) ー 改訂版 version 1.1ー 日本語訳 JCOG 版 ver.1.0
  2. 固形がんの治療効果判定のための 新ガイドライン (RECIST ガイドライン) ―日本語訳 JCOG版―

国際標準の治療効果判定規準である RECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)guidelines がその妥当性ならびに従前のWHO 規準との再現性から、2000年に固形がん治療効果判定の国際標準として認知されている。RECIST は 2009 年
に EORTC(European Organization for Research and Treatment of Cancer)より改定された(E.A. Eisenhauer, et al. Eur J Cancer 2009;45:228-47)。(20-15 画像によるがんの診断、治療法選択、治療効果判定に関する研究)

 

mRECISTとは

2010年に Lencioni らによって提唱された modified RECIST(mRECIST)は,早期濃染 部の径を測定することで肝癌治療効果判定に血流評価を加えた新しい基準である.(肝臓 53 巻 3 号 147―154(2012)

一般的に固形癌の治療効果判定基準として WHO 基準を簡略化した Response Evaluation Criteria in Solid Tumors version1.1(RECIST1.1)が用いられている.しかしながら,肝細胞癌の治療においては,腫瘍壊死を治療効果として考えることが一般的であり,腫瘍壊死を効果判定基準に考慮されていない RECIST1.1 は問題があるとされている.一方,肝細胞癌の治療効果判定基準として腫瘍壊死を考慮に入れた modified(m)RECISTと日本肝癌研究会による肝癌治療直接効果判定基準 Response Evaluation Criteria in Cancer ofthe Liver(RECICL)も使用されている.mRECISTと RECICL でも 1 方向測定と 2 方向測定で明らかな違いがあり,その実用性,有用性については議論が分かれている.(肝臓 53 巻 6 号 344―347(2012)

  1. Lencioni R, Llovet JM. Modified RECIST (mRECIST) assessment for hepatocellular carcinoma. Semin Liver Dis. 2010 Feb;30(1):52-60. doi: 10.1055/s-0030-1247132. Epub 2010 Feb 19.
  2. New Data Supporting Modified RECIST (mRECIST) for Hepatocellular Carcinoma. Riccardo Lencioni. Clinical Cancer Research 2013 

Dr. Lencioni on Assessing Response to HCC Therapy 2018/09/16

複数のタイムポイントの測定値と開始点との個別の比較 多重比較の問題

例えば、薬物投与前後で差があるかどうかを調べるために経時変化を追う実験を行ったとします。どの時刻で開始時刻(薬物投与前)と差が出るかを調べるために、複数のデータポイントの各々と測定開始時とをペアワイズに比較することにして、2群間の比較でよく使うt-検定やWilcoxon検定を単純に適用してよいものでしょうか?たまに、そのような解析をした論文をたまに見かけることがありますが、これは非常に初歩的な、統計の誤用だと思われます。

データを入力するだけで統計ソフトが出力を返してくれるので、適用する検定方法が間違っていたとしても、P値だけは簡単に得ることができてしまいます。その結果、有意差がないデータに有意差を見出して論文報告してしまう危険があるので、要注意です。

 

経時データ(反復測定値)の統計学的解析における誤用の多さ

鍼灸研究における統計誤用が多発しているため、この経時測定データの解析法について調べても、ほとんど誤用といってよい経時測定データの解析法 七堂利幸)

多群間の平均値の比較において,その目的に応じた多重比較法を用いることが一般化してきた.しかしながら,経時データのように複数の測定時点がある場合に,時点ごとに多重比較法を繰り返し適用することは,いずれかの時点で有意な差が出やすくなる「時点の多重性の問題」が新たに生じてしまう.(引用元:日薬理誌133,325~331(2009)

比較試験では各被験者について経時的に種々の評価や測定がなされ、経時的な薬効差の検討が行われる。この際の検定に当っては、薬剤群ごとに処置開始時点とそれ以降の評価時点とに対応のある場合の検定を繰返したり、各時点とに2群間での対応のない場合の検定を繰しがちであるが、それでは第1種の過誤の確率の増大する。(引用元:臨床試験の統計解析に関するガイドライン  平成4年3月4日)

 

経時データ(反復測定値)の統計学的解析に関する現状

一般に用量時間反型データに繁用されている統計解析は2種類ある.一っは「輪切り」検定であり,他の一っは2元配置分散分析である.(薬理試験における統計解析のQ&A 反復測定データの解析法への一提案 吉村功、大森崇 日薬理誌110、333~340(1997)

 

経時データ(反復測定値)の推奨される解析方法

13.経時的比較  

比較試験では各被験者について経時的に種々の評価や測定がなされ、経時的な薬効差の検討が行われる。この際の検定に当っては、薬剤群ごとに処置開始時点とそれ以降の評価時点とに対応のある場合の検定を繰返したり、各時点とに2群間での対応のない場合の検定を繰しがちであるが、それでは第1種の過誤の確率の増大する。このようなデータの場合には時点毎の比較ではなく、トレンドやプロフィルを比較するための特別な手法が必要である。

(引用元:臨床試験の統計解析に関するガイドライン  平成4年3月4日  http://home.att.ne.jp/red/akihiro/Old_stat_guideline_Japanese.pdf

  1. 臨床試験のための統計的原則 医薬審 第1047号 平成10年11月30日 各都道府県衛生主管部(局)長 殿 厚生省医薬安全局審査管理課長 本ガイドラインは、本通知の日以降施行し、これに伴い、「臨床試験の統計解析に関するガイドライン(平成4年3月4日薬新薬第20号)」(以下「旧ガイドライン」という。)は廃止する。

慢性疾患のための治療の研究で、経時的に機能の状態を評価する場合も、主要変数の選択に関して別の問題が生じる。可能な対処法としては、観察期間の最初と最後になされた評価の比較全期間を通じたすべての評価から求めた傾きの比較定めた閾値を超える若しくは下回る被験者の割合の比較、又は繰り返し測定データのための方法に基づいた比較といった多くのものがある。(引用元:2.2.2 主要変数と副次変数 臨床試験のための統計的原則 医薬審 第1047号 平成10年11月30日) *太字強調は当サイト

 

下は、なんでもかんでも検定して有意差を出せばよいと思っている人に対する警告。

では両者に共通な問題点は何だろうか.それは実験で知りたいことが反応の時間曲線であり,それが用量によってどうわるかであるのに,それに答えられるはずのない「検定という形式」の統計解析を行っていることである.ここで採用している検定という形式は,「反応が用量によって変わらない」あるいは,「反応が時間によって変わらない」という仮説が,実際に測定したデータから否定できるかどうかを判定するものである.だからそれによって得られる結論は,「反応が用量によって変わるところがあるかどうか」,あるいは「反応が時間によって変わるところがあるかどうか」ということでしかない.(薬理試験における統計解析のQ&A 反復測定データの解析法への一提案 吉村功、大森崇 日薬理誌110、333~340(1997))*太字下線強調は当サイト

 

参考

  1. 薬理試験における統計解析のQ&A 反復測定データの解析法への一提案 吉村功、大森崇 日薬理誌110、333~340(1997)一般に用量時間反型データに繁用されている統計解析は2種類ある.一っは「輪切り定」であり,他の一っは2元配置分散分析である
  2. 改訂増補版:統計検定を理解せずに使っている人のためにIII 池田 郁男 東北大学未来科学技術共同研究センター Published: 2019-10-01 © 2019 公益社団法人日本農芸化学会 ”たとえば,0分と5分後の2点の比較であれば,paired t testを行うことができる.しかし,ここでは4点あるので,paired t testは使えない.分散分析は何らかの変化が起こったことがわかるので,この例では有意差が得られれば,統計的に有意に増加が起こったと判断される.”
  3. 保健・医療研究の進め方入門 —R と EZR を用いて— (保健学共通特講 IV, VIII テキスト Rev. 0.9.9.4) 神戸大学大学院保健学研究科教授:中澤 港 2019 年 7 月 24 日  第 12 章 反復測定データの解析
  4. 薬理学研究における経時データ解析の考え方─血圧降下試験事例による解説─ 高橋 行雄 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)133,325~331(2009)
  5. 経時データの多重比較法 岸本 淳司 (SAS/慶應義塾大学/東京大学)
  6. 反復測定分散分析 Repeated-Measure Analysis of Variance (ANOVA) オーエムエス出版
  7. 多群・経時データの解析と多重比較 医学統計セミナー アドバンスコース 下川 敏雄 和歌⼭県⽴医科⼤学 臨床研究センター(スライドPDF)
  8. 経時的繰り返し測定データの解析 医学統計勉強会 東北大学病院循環器内科・東北大学臨床研究推進センター 共催 東北大学大学院医学系研究科EBM開発学寄附講座 宮田 敏 2013/10/31 第6回
  9. Bretz et al. (2011). Multiple Comparisons Using R.
  10. 基本的な回帰モデル • 混合モデル • 「混合モデル」手法の別例 • 反復測定の例 JMP13.2 オンラインマニュアル
  11. 臨床試験における多重性の諸問題 計量生物学 Vol. 36, Special Issue, S 87–S 98 (2015)   寒水孝司 東京理科大学工学部経営工学科 
  12. 臨床試験における統計的諸問題 明星大学・理工学部 広津 千尋 数理解析研究所講究録 1273 巻 2002 年 78-86 
  13. 経時測定データの解析法ーその文献とソフトの紹介ー 七堂利幸 鍼灸研究における統計御用が多発しているため、この経時測定データの解析法について調べても、ほとんど御用といってよい
  14. 生物医学研究文献の誰でも見つけられる20の統計学的誤り Tom Lang
  15. ウィルコクソンの順位和検定とは?t検定との違いは?(一番優しい、医薬品開発に必要な統計学の教本)
  16. 連載 第 2 回 医学データの統計解析の基本 2 つの平均の比較 朝倉こう子・濱﨑俊光 t検定は日常的に利用されるが、実際のデータ解析 でのt検定の利用について、「観測値数が極端に少ない場合、t検定は適用可能か(観 測値数がどの程度あればt検定が適用可能か)」、「観測値の正規性の検定をしたとこ ろ、正規分布に従わないとの結果が得られたから、t検定の代用としてWilcoxonの 順位和検定(あるいはMann-WhitneyのU検定)を用いたが、この判断に間違いない か」、「統計手法の手順書には、2つの群でデータの分散の大きさが異なる場合には、t 検定の代用としてWelchのt検定を適用すべきとの記載があったが、2つの群の分散 が異ならない場合にもWelchのt検定は適用可能か」といった疑問をよく耳にする。
  17. 毒性試験および生物を扱う研究者のための統計解析 小林 克己

 

細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)とは

細胞傷害性T細胞とは

細胞傷害性T細胞(cytotoxic T lymphocyte; CTL)は、リンパ球T細胞の一種で、宿主にとって異物である細胞すなわち、移植細胞、ウイルス感染細胞、癌細胞などを認識して破壊する。(参照:ウィキペディア

 

細胞傷害性T細胞の呼称

細胞傷害性T細胞は、キラーT細胞、CD8陽性T細胞、CD8+T細胞などとも呼ばれる。(参照:ウィキペディア

 

細胞傷害性T細胞の分化

未分化のT細胞は、CD4分子と、CD8分子の両方を発現している(ダブルポジティブ)。T細胞が成熟するにつれ、分化をしていき、CD4とCD8のどちらか一方しか発現しなくなる(シングルポジティブ)。CD8分子を発現しているT細胞がキラーT細胞へと分化する。他方、CD4分子を発現しているT細胞はヘルパーT細胞へ分化する。(参照:ウィキペディア

 

細胞傷害性T細胞の活性化

抗原刺激を受ける前のキラーT細胞は、細胞傷害活性を持たないナイーブCD8陽性T細胞であるが、抗原刺激を受けを受けて活性化し、細胞傷害活性を持つようになる。(参照:ウィキペディア

 

細胞傷害性T細胞の活性化のしくみ

抗原提示細胞(APC)が、ナイーブCD8陽性T細胞に対して、異物の「抗原ペプチド」(ウイルスや細菌などの抗原を分解したペプチドのこと)クラスI主要組織適合抗原(MHC-class I)と共に提示する。ナイーブCD8陽性T細胞は、T細胞受容体(TCR; T cell receptor)を介してそれを認識する。これと同時に「共刺激分子」からのシグナルが入っていると(後述)、ナイーブCD8陽性T細胞はこの異物の抗原ペプチドを提示する細胞に特異的な細胞傷害活性を持つようになる。(参照:ウィキペディア

 

共刺激

  1. T細胞活性化におけるCD137受容体の役割 (Immuno-Oncoloy)
  2. T細胞の活性化 (Immuno-Oncology) 

 

殺すべき細胞をキラーT細胞が認識する仕組み

ほとんどの細胞は、細胞表面にMHC(主要組織適合性複合体)クラスIという分子を持っていて、普段はMHCクラスIの上に自分自身の抗原をを乗せて細胞表面に提示している。この「目印」のおかげで、キラーT細胞からの攻撃を受けずにすんでいる。しかし、細胞が病原体に感染すると、MHCクラスIの上に(自分自身の抗原ではなく)病原体由来の抗原を乗せて細胞表面に提示する。これが目印となり、病原体に感染した細胞はキラーT細胞に殺傷される。(参照:理研プレスリリース解説 平成28年

病原体や癌細胞の抗原がT細胞に認識される様子をまとめた下の図がわかりやすい。

(出典:京府医大誌 126(6),377~389,2017

 

キラーT細胞が相手の細胞を殺す仕組み

CTLは細胞傷害物質であるパーフォリン、グランザイム、 TNF (tumor necrosis factor)などを放出したり、ターゲット細胞のFasを刺激してアポトーシスに陥らせることで異物を攻撃する。(参照:ウィキペディア

キラー細胞が標的細胞を認識すると細胞間隙にパーフォリングランザイムBなどを含む顆粒成分が放出される.また, キラー細胞表面上に発現したFasLTRAILTNF-αTWEAKといったTNFファミリー分子が標的細胞上に発現している各々の対応するレセプターに結合することによって,標的細胞に細胞死が誘導される.(Inflammation and Regeneration Vol.23 No.3 May 2003 PDF

心臓足首血管指数 Cardio Ankle Vascular Index – CAVI

CAVIとは

 CAVI(キャビィ)は大動脈を含む「心臓(Cardio)から足首(Ankle)まで」の動脈(Vascular)の硬さを反映する指標(Index)で、動脈硬化が進行するほど高い値となります。(CAVI(Cardio Ankle Vascular Index) 動脈の硬さの指標 CAVI フクダ電子

 

 

CAVI Video 2017/10/26 CareFor U.

 

参考

K.Hayashi, H.Handa, S.Nagasawa, A.Okumura, K.Moritake Stiffness and elastic behavior of human intracranial and extracranial arteries. Journal of Biomechanics Volume 13, Issue 2, 1980, Pages 175-179, , 181-184 Free abstract 

科研費は基盤Aか、手堅くBか、審査区分は?

審査区分導入の余波

2018年度(平成30年度)科研費(2017年秋の申請)から、審査のための領域の分け方が変更されました。それまでお馴染みだった「細目」がなくなり、「小区分」という呼び名に代わり、分け方や大きさも変わりました。

平成 30 年度助成(平成 29 年9月公募予定)からの審査は、「小区分・中区分・大区分」で構成される新しい審査区分で行う。それに伴い、現行の「系・分野・分科・細目表」は廃止し、新しく「審査区分表」を設定する。科研費審査システム改革2018

基盤(C)は小区分の中での相対評価となり、小区分の数は細目数の7割程度なので、やや分野が広がった程度といえます。それに対して、基盤(A)は中区分、基盤(S)にいたっては大区分という、かなり大雑把なわけ方の中での審査となります。

審査区分表(大区分、中区分、小区分)(JSPSのサイト)

このため、狭い研究分野でしっかりとした足場を築いてきた研究者の場合、これまではコンスタントに基盤研究で大型予算が獲得できていたのに、科研費審査システム改革以降は、自分の足場がどこ(の審査区分)にあるのかを見失ってしまい、思うように大型予算がとれなくなってしまったということもあるようです。場合によっては、基盤(A)をあきらめて基盤(B)を狙いにいこうかと悩むこともあるでしょう。

 

基盤(S)、基盤(A)と基盤(B)の審査のされ方の違いを理解する

基盤S,A,Bのどこに出すかを悩む前に、まずはそれらがどのように審査されるのかという審査の仕組みを理解する必要があります。

基盤研究(S)      審査区分:大区分 審査方式:総合審査(書面審査及び合議審査) ヒアリン グ審査を実施 
基盤研究(A)( 一般) 審査区分 :中区分 審査方式:総合審査(書面審査及び合議審査) 審査委員の人数:6人~8人
基盤研究(B)( 一般) 審査区分 :小区分 審査方式:2段階書面審査 審査委員の人数:6人
基盤研究(C)( 一般) 審査区分 :小区分 審査方式:2段階書面審査 審査委員の人数:4人

もう少し詳しい説明は、以下の通り。

「基盤研究(S)」は、研究計画調書及び専門分野が近い研究者が作成する審査意見書(国内の研究機関に所属する審査意見書作成者、3名程度が作成)等に基づき、大区分ごとに、6人の審査委員が全ての応募研究課題について、書面審査。その後、 書面審査と同一の審査委員が合議審査の場で各応募研究課題について幅広い視点から議論により審査を行い、ヒアリング対象課題を選定し、ヒアリング審査を行います。(総合審査)
「基盤研究(A)」(応募区分「一般」) 中区分ごとに、6人~8人の審査委員が、全ての応募研究課題について、書面審査を行った上で、同一の審査委員が合議審査審査。(「総合審査」)
「基盤研究(B・C)」(応募区分「一般」)及び「若手研究」は、小区分ごとに、「基盤研究(B)」は6人、「基盤研究(C)」「若手研究」は4人の審査委員が2段階にわたり書面審査

(参考:平成31年度 科学研究費助成事業 公募要項 PDF

こうしてみると、基盤Aと基盤Bは単に金額の大きさが異なるだけでなく、審査のされ方が大きく異なります。基盤Bと基盤Cの方が、審査のされ方という点では近いのです。

 

その審査区分におけるライバルの強さを把握する

例えば、科研費改革の前の細目の時代に分子生物学や遺伝学をやっていた人は、今はどこに出せばよいのでしょうか?大区分や中区分を選ぶ際に、その中の小区分の名称が一つの手がかりになります。

大区分G

中区分43分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野

小区分43010 分子生物学関連(染色体機能、クロマチン、エピジェネティクス、遺伝情報の維持、遺伝情報の継承、遺伝情報の再編、遺伝情報の発現、タンパク質の機能調節、分子遺伝、など)

小区分43050ゲノム生物学関連 (ゲノム構造、ゲノム機能、ゲノム多様性、ゲノム分子進化、ゲノム修復維持、トランスオミックス、エピゲノム、遺伝子資源、ゲノム動態、など)

中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野

小区分44010 細胞生物学関連(細胞骨格、タンパク質分解、オルガネラの動態、核の構造機能、細胞外マトリックス、シグナル伝達、細胞周期、細胞運動、細胞間相互作用、細胞遺伝、など)

小区分44020 発生生物学関連 (細胞分化、幹細胞、再生、胚葉形成、形態形成、器官形成、受精、生殖細胞、遺伝子発現調節、発生遺伝、進化発生、など分解、オルガネラの動態、核の構造機能、細胞外マトリックス、シグナル伝達、細胞周期、細胞運動、細胞間相互作用、細胞遺伝、など)

中区分 45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野

小区分45010 遺伝学関連 (遺伝機構、分子遺伝、細胞遺伝、集団遺伝、進化遺伝、発生遺伝、行動遺伝、遺伝的多様性、など)

ざっと見ただけでも、3つの中区分の中に遺伝学や分子生物学っぽい内容が含まれています。こうなると、どこにでも当てはまりそうという状態になりそうです。各々の小区分でどんな人が審査委員になっているのかがわかればよいのですが、審査委員氏名が公表されるのは2年後です。ただし、小区分名と以前の細目名との対応がつく場合は、その細目での過去の審査委員を調べることは可能でしょう。

 

ライバルチェックを実際にやってみよう

科研費の審査が区分ごとの相対評価である以上、ライバルが強い区分に出すのは避けたいものです。基盤Aなどはどんな先生方が獲得されているのでしょうか?KAKENデータベースを使えば直ちにわかります。例えば、中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野で2019年度に基盤(A)を採択されたものは、中区分名をキーワードに入れて検索すると、9件しかないことがわかります。

研究課題名 研究代表者
“記憶の局所フィードバック仮説”ーその中枢単一同定ニューロンでの検証 吉原 基二郎 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室, 総括研究員 (80222397)
プロテアソームの細胞生理学 田中 啓二 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 理事長 (10108871)
シグナルと力のゆらぎが上皮組織の可塑性を支配するしくみ 林 茂生 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (60183092)
抑制と抗抑制によるエピゲノム分化機構の解明と操作 角谷 徹仁 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 教授 (20332174)
細胞が材料を組み立てて体を「建築」する仕組みの解明 近藤 滋 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (10252503)
細胞増殖因子情報伝達系の活性波による細胞集団移動制御機構 松田 道行 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (10199812)
合成生物学のアプローチを導入したプロトン駆動力ネットワークの解明 鹿内 利治 京都大学, 理学研究科, 教授 (70273852)
気孔の発生とパターン形成を制御する新奇メカニズムに合成化学で切込む 鳥居 啓子 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 客員教授 (60506103)
脊椎動物の季節適応機構の解明 吉村 崇 名古屋大学, 生命農学研究科(WPI), 教授 (40291413)

こうしてみると基盤(A)で採択されるのは、全国的に名の知れた研究者ばかりということがわかります。試しに2018年度の中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野での基盤(A)採択者も見てみると、

研究課題名 研究代表者
哺乳類の複雑脳形成プログラムの解明 松崎 文雄 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (10173824)
小胞体における活性酸素除去に関わる新たな分子機構の解明 永田 和宏 京都産業大学, 生命科学部, 教授 (50127114)
植物の光受容体フィトクロムによる転写開始点制御の分子機構解明 松下 智直 九州大学, 農学研究院, 准教授 (20464399)
幹細胞における細胞周期制御と代謝系との連関に関する基盤的研究 中山 敬一 九州大学, 生体防御医学研究所, 主幹教授 (80291508)
上皮バリアの構築と機能を制御するタイトジャンクション・アピカル複合体の解析 月田 早智子 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00188517)
造血幹細胞を維持する微小環境(ニッチ)の形成と作用の分子機構の解明 長澤 丘司 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (80281690)
細胞間情報を担う糖鎖AMORの発見に基づく植物糖鎖シグナリングの解明 東山 哲也 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (00313205)
植物の浸透圧ストレスに対する感知システムと初期応答の分子機構の解明 篠崎 和子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30221295)
浸透圧ストレスの受容・認識から応答に至る分子機構の解明 一條 秀憲 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (00242206)
細胞競合と接触阻害を統合的に制御する分子メカニズムの解明 藤田 恭之 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (50580974)

やはり、メジャーな大学に所属する著名な研究者ばかりでしかもたったの10件しか採択されていません。厳しい戦いですね。全然その分野のことを知らない自分のような人間が見ても、面白そうな採択課題名が並んでいます。審査委員の専門分野が多岐にわたることを考えれば、広く興味を引くように、研究課題名にも工夫を凝らす必要がありそうです。

 

さて、基盤研究(A)のレベルの高さがわかったので、基盤(B)がそれに比べてどうなのかも見てみたいと思います。基盤研究(B)でのライバルのレベルを知るには、自分が出してみようと思っている小区分名を入れて同様の検索を行ってみるとよいでしょう。例えば、この同じ中区分の中の一つの小区分44050 動物生理化学、生理学および行動学関連で検索をかけてみると、2018年度、2019年度の採択課題は、

研究課題名 研究期間 (年度) 研究代表者
昼行性生物と夜行性生物における概日光受容体メラノプシンの機能解析 2019-04-01 – 2022-03-31 羽鳥 恵 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (90590472)
概日時計細胞間の接続様式とその役割 2019-04-01 – 2023-03-31 吉井 大志 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (50611357)
嗅覚受容体クラス選択の遺伝学的操作による嗅覚行動の制御とその分子基盤の解明 2019-04-01 – 2023-03-31 廣田 順二 東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 准教授 (60405339)
眠気の統合センシングシステムの理解 2019-04-01 – 2023-03-31 Liu Qinghua 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 教授 (90723792)
動物変態の進行を協調的に制御する神経伝達・ホルモン調節機構の解明 2019-04-01 – 2023-03-31 笹倉 靖徳 筑波大学, 生命環境系, 教授 (10400649)
微小脳における習慣記憶形成とその神経基盤の解明 2019-04-01 – 2022-03-31 水波 誠 北海道大学, 理学研究院, 教授 (30174030)
機能未知光受容タンパク質に着目した脊椎動物の脳内光受容とその多様性の解明 2018-04-01 – 2022-03-31 小柳 光正 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (30379276)
ショウジョウバエの睡眠覚醒制御機構の総合的研究 2018-04-01 – 2021-03-31 粂 和彦 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (30251218)
昆虫概日時計の複眼依存性光同調の分子機構 2018-04-01 – 2021-03-31 富岡 憲治 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (30136163)
メダカの顔認知の分子神経基盤の解明 2018-04-01 – 2021-03-31 竹内 秀明 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (00376534)
昆虫の光周性の分子・神経機構:概日時計と日長測定 2018-04-01 – 2021-03-31 沼田 英治 京都大学, 理学研究科, 教授 (70172749)
概日リズムの時刻情報変換に関わる神経回路動作原理の理解 2018-04-01 – 2021-03-31 小野 大輔 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (30634224)
ショウジョウバエにおける求愛定位行動解発の神経回路メカニズム 2018-04-01 – 2023-03-31 古波津 創 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室, 研究員 (40571930)

となっています。基盤(B)採択者も業績のある研究者ばかりで、やはり熾烈な戦いのようです。採択件数も少ないですし、手堅く基盤(B)などとはとても言えない厳しさであることがわかりました。

 

 

審査委員の顔ぶれを知る

ライバルチェックと並んでもう一つ重要なことが、いったい誰が審査しているのかを知ることです。科研費はピアレビューのシステムですから、審査委員も自分の友達、知人、同業者です。JSPSのウェブサイトに、2年たったら審査委員の氏名が公開されますので、2年前の科研費であれば自分の計画調書を誰が読んで採択してくれたのか、あるいは不採択にしてくれたのかがわかるわけです。

審査委員名簿 https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/14_kouho/meibo.html

 

応募件数を知る

もう一つ気になるのが、自分が出す研究種目、審査区分にどれくらいの応募件数があって、採択率はどれくらいなのかということです。このような個別のデータもJSPSのウェブサイトに公開されています。

https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/27_kdata/index.html 

審査区分別配分状況(平成31年2月14日更新) 平成30年度(2018年度) などが参考になります。

 

こういった、自分が戦う場所を知ることが、科研費を勝ち取るためには必要です。やみくもに計画調書を書いて出しても、実は土俵にすら上がれていなかったということになりかねません。

 

審査区分を選ぶときの考え方

どの審査区分に出すかの決断は難しいものです。研究テーマがマッチしており、なおかつ、その審査区分で採択されている人たちの業績などを調べて、自分が勝負を挑んだときに業績的に勝てる相手かどうかを見極めることが必要でしょう。その審査区分の中での相対評価で採択・不採択が決まるわけですから。自分の研究を高く評価してくれる審査委員がどの審査区分にいるのかを調べることもまた重要です。普段からいろいろな学会で発表していれば、自分の研究をどういう人たちが面白がってくれるかがわかります。自分の研究を面白いと言ってくれた研究者が審査委員をやっている審査区分を選んで出せば、採択される可能性は高まるでしょう。

 

基盤研究(B)か基盤研究(C)か

世の中には基盤(A)に出すか基盤(B)にするかで悩む研究者がいるのと同様に、基盤研究(B)と基盤研究(C)との間で悩んでいる研究者もいます。ここでも、考え方は同様です。しっかりと、自分が出そうとしている審査区分のライバルたちの業績を調べ上げましょう。勝てない人たちに喧嘩を売っても、勝てません。自分が買いたい測定装置が高価で、基盤(C)の金額を超えてしまうので基盤(B)に出そうなどとナイーブに考えたら、痛い目に合います。基盤(C)と基盤(B)との間のギャップは、単に申請できる金額の上限の差ではありません。採択される研究者の業績の差は、それよりもはるかに大きいのです。

そのへんの事情は、科研費の教科書を書かれている児島将康先生のウェブ記事(↓)が参考になります。

実際に審査した経験からいうと,基盤研究(B)と基盤研究(C)の間には,かなりのレベルの違いがある.両者の採択率はほとんど変わらないが,基盤研究(B)になると優れた業績(ということはインパクトファクターの高い雑誌に掲載された論文)をもっていて,これまでにも基盤研究(B)以上の研究費を獲得している研究者が多く,かなりハイレベルの競争になる.一方,基盤研究(C)になるとある程度の発表論文さえあれば十分に採択される.本来なら必要とする研究費の額に応じて基盤研究(A),基盤研究(B),基盤研究(C)のなかのどれに応募するか選択するのがよいのだろうが,実際には自分の研究レベルを考慮して選択するのがよい.(第1回 応募種目の選び方 科研費獲得のための応募戦略 Smart Lab Life 羊土社)*太字下線は当サイト

 

計画調書を人に読んでもらう

アドバイスをくれる人みんなが口を酸っぱくして言っていることなのに、それを聞いたみんながちっともやらないこと、それが「計画調書を人に読んでもらう」ということです。なぜ一人で書いてそのまま出してしうのでしょうか?「俺は今まで一人でやってきたんだ。だから一人でできる!」という自信でしょうか?「大型の科研費をとったこともないやつに何がわかる?!」というプライドでしょうか。「自分の計画調書を人に読まれるのはなんとなくいや。」という恥じらいでしょうか。サイコロジーはよくわかりませんが、書いたものを他人に見せられるだけのオープンマインドな人のほうが、採択される可能性が高いのは当たり前の話です。

 

科研費改革2018で審査のルール(区分)が変わりました。申請者はこの変化に対応する必要があります。基盤Aは、より広い分野の研究者が審査することになったため、今までと同じように書いても理解されない恐れがあります。ですから、書き上げた計画調書をできるだけいろいろな人に読んでもらい、研究の意義や目的が理解しやすいかどうかを聞いてみたほうがよいと思います。


 

科研費獲得の方法とコツ 改訂第7版
科研費 採択される3要素 第2版
いかにして研究費を獲得するか

日本で唯一保険適用のブレストインプラント自主回収で、多数の乳房再建中の患者に影響

日本で健康保険が適用されるアイルランド製薬大手アラガン社のブレスト・インプラント『ナトレル410』に副作用の報告があったため自主回収されたことにより、乳房再建中の多数の患者に影響が出ているそうです。エキスパンダー挿入の手術をうけ、インプラントまたは自家組織への入れ替え待ちで、現時点でエキスパンダーが入っている状態となっている患者数が、アンケートに回答のあった414施設で3,493名にも上るとのこと。

 

乳房再建を待つ患者数

乳がん手術後の再建に使われる人工乳房が副作用の報告で自主回収になった影響で、再建前に使う拡張器を体内に入れたまま治療の中断を迫られている患者が3千人以上に上るとの調査結果を、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会が21日までにまとめた。… 再建前に皮膚を伸ばす拡張器を挿入する治療を受けている患者は3493人いた。(乳房再建中断、3千人超 自主回収の影響、学会調査 2019/9/21(土) 19:51 共同通信 YAHOO!JAPAN コメント494件

拡張器(エキスパンダー)と、シリコンの乳房ではまるで違います。エキスパンダーは皮膚を伸ばすために入れるので、パツパツの固さになるまで水を入れて膨らませるので硬いです。裏側は水を入れる注射針が貫通しないよう鉄板が入っています。個人的な感想ですが、エキスパンダーで確かに胸は膨らむけれど、胸という感じがあまりしません。シリコンに入れ換えてやっと「胸」という感覚になります。柔らかさもあります。(YAHOOコメント

  1. 乳房再建中断、3000人超 自主回収の影響 学会調査 (2019.9.21 20:23 産経新聞)自主回収されたのは、アイルランド製薬大手アラガンの「ゲル充填人工乳房」。
  2. 乳房インプラント関連4学会、人工乳房メーカー自主回収を受け患者向け文書更新版を公表 (2019.8.22 Aging Style

 

回答施設: 414 件 調査結果:

Q1. 貴院においてエキスパンダー挿入の手術をうけ、現時点でエキスパンダーが入っている状態 (インプラントや自家組織への入れ替え待ち)となっている患者数をお教えください。 3,493 名

(2019 年 8 月 20 日 緊急調査結果報告 一般社団法人日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会 理事⻑ 朝⼾ 裕貴 PDF

 

アラガン社の製品の自主回収に関して

現在わが国で、健康保険を用いたブレスト・インプラントによる乳房再建の手術では、アラガン社ティッシュエキスパンダーインプラントのみが認可されています。2019 年 7 月 24 日、米国の厚生労働省にあたる FDA の指導のもとこれらの製品の全世界での自主回収が決定されました。これに伴い、日本でも流通が停止され、使用ができなくなりました。その理由として、近年、乳房再建術や豊胸術後に生じるまれな合併症として、ブレスト・インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(Breast Implant Associated-Anaplastic Large Cell Lymphoma (BIA-ALCL))という疾患が知られてきたことがあります。 …

現時点では、日本国内で健康保険で扱うことができるブレスト・インプラントは存在しません。

(2019 年 8 月 2 日 乳房再建用ティッシュエキスパンダーの手術を受け ブレスト・インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房再建を待機されている方へ 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会 日本形成外科学会 日本乳癌学会 日本美容外科学会(JSAPS)PDF)

  1. Allergan Recalls Natrelle Biocell Textured Breast Implants Due to Risk of BIA-ALCL Cancer (Content current as of: 09/12/2019 FDA)
  2. 製薬アラガン、人工乳房をリコール 安全性に懸念 (2019/7/25 7:36 日本経済新聞)
  3. The FDA Requests Allergan Voluntarily Recall Natrelle BIOCELL Textured Breast Implants and Tissue Expanders from the Market to Protect Patients: FDA Safety Communication (Content current as of:

ブレスト・インプラント関連 未分化大細胞型リンパ腫(Breast Implant Associated-Anaplastic Large Cell Lymphoma (BIA-ALCL))について

近年、乳房再建術や豊胸術後に生じるまれな合併症として、ブレスト・インプラント関連 未分化大細胞型リンパ腫(Breast Implant Associated-Anaplastic Large Cell Lymphoma (BIA-ALCL))という疾患が知られてきています。 この疾患はインプラントが挿入されている方のうち約 3800-30000 人に1人に発生すると され、T細胞性のリンパ腫と呼ばれるもので、乳がんとは異なる悪性腫瘍です。 海外からの報告では、インプラントを入れてから平均 9 年ほどで発生し、8 割の患者さん ではインプラント周囲に液体がたまり、大きく腫れてくることではじまるとされています。 ほとんどが表面の性状がザラザラテクスチャードタイプといいます)のインプラントを使 用した症例で発生しています。現在わが国の健康保険で許可され、乳房再建を目的として流 通している唯一のインプラントである、アラガン社のナトレル410テクスチャードタイ プに該当します。 日本では今年に入り 1 例の報告がありました。

(引用元:2019 年 6 月 ブレスト・インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房手術を受けた(受ける)方へ 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会 日本形成外科学会 日本乳癌学会 日本美容外科学会(JSAPS)PDF

  1. 人工乳房で血液がん発症の衝撃 (榎木英介 2019/6/10(月) 17:51 YAHOO!JAPAN)
  2. ゲル人工乳房でリンパ腫 国内初、厚労省が注意 (2019/6/8 8:58 日本経済新聞
  3. 主流の豊胸バッグに発がん性 仏当局、メーカーに禁止を通達 (年4月4日 22時38分 AFPBB News ライブドアニュース

 

アラガン社のゲル充填人工乳房「ナトレル410ブレスト・インプラント」

ナトレル 410 ブレスト・インプラントはアナトミカル型(しずく型)の人工乳房で、固さの異なる2種類のゲルを採用している。表面の加工は、組織との結合性を高め、皮膜内でのインプラントの移動抑制、皮膜収縮のリスクを軽減するために凹凸をつけたテクスチャードタイプ

厚生労働省中央社会保険医療協議会は2013年6月12日、乳房再建術に使用するラウンド型インプラントの保険適用を承認し、7月1日から適用が開始。次いで11月29日、アナトミカル型インプラントの保険適用も承認され、2014年1月8日からその適用が開始された。

(アラガン・ジャパン 保険適用となるアナトミカル型ゲル充填人工乳房を発売 読了時間:約 1分13秒 2014年01月22日 PM01:12 医療NEWS)

  1. アラガン 新しい型のゲル充填人工乳房で承認取得 しずく形で (2013/10/18 03:51 ミクスonline)
  2. ゲル充填人工乳房「ナトレル® 410(フォーテン) ブレスト・インプラント」乳がんによる乳房切除後の乳房再建で保険適用 (アラガン・ジャパン2013年12月2日 14時02分 PRTIMES

 

乳房再建手術について

人工物(シリコンインプラント)による再建と自家組織(腹直筋皮弁、腹部穿通枝皮弁や広背筋皮弁法など)による再建の二つがあります。… インプラントによる再建はティッシュエキスパンダー(皮膚拡張期)を挿入する手順が一般的です。

  1. 乳癌手術後(同時(1次)もしくは乳腺手術半年後以降(2次))にティッシュエキスパンダーを挿入する。
  2. 外来でエキスパンダーに2-4週おきに生理食塩水を注入する。
  3. 皮膚とその周辺組織が十分に伸びたら(術後6-24ヶ月の間)、同じ傷跡から切開しエキスパンダーとインプラントを入れ替える。

(引用元:乳房再建「新しい乳房を手に入れるために」 日本医科大学武蔵小杉病院

  1. 乳房再建手術について(順天堂大学医学部付属順天堂医院 形成外科)
  2. 乳房再建術について(国立がんセンター 東病院)
  3. 乳房再建法の比較 (YANAGA CLINIC) 2019年7月25日インプラントの製造メーカーであるアラガン社から、テクスチャードインプラントの製造を中止し、世界的にテクスチャードインプラントを回収する知らせがきました。 また、インプラントが新しいスムースタイプインプラントに変わるとの知らせが来ました。新しいインプラントは10月18日以降に販売開始されるとのことです。

 

参考

  1. 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会

人工知能の医療応用:DPC(診断群分類別包括評価)と機械学習(深層学習)

 

 

最近の人工知能学会にみるDPC活用事例

重み付きPLSAとDPCデータを用いた患者と診療行為等の同時クラスタリングにおける重み値によるクラスタリングの特徴の違い

DPCデータの蓄積が進みこれら医療ビッグデータの重要性が認識されその利活用に期待が寄せられている。現状ではDPCを用いた集中治療関連の報告は散見されるが、治療法の効果などを検証した結果が大半であり、新たな治療戦略の選択・比較への応用などの報告は少ない。我々はDPCデータとPLSA(確率的潜在意味解析)を用いて集中治療を要する患者と診療行為の同時クラスタリング及び患者のクラスタ時間遷移パターンを抽出し、医師の治療戦略決定支援アルゴリズムの実現可能性を検証してきた。さらに重み付きPLSAにより注目している「診療行為」や目的変数である死亡率在院日数医療費に重みを与える事で、注目変数の違いをより明確に示したクラスタリングが可能であることを確かめてきた。本研究ではこれまで用いていなかった項目も含め全てのDPC項目を変数として取り扱い、各変数の重みを変えることによるクラスタリングの特徴の違いを調べた。(2019年度人工知能学会全国大会 1H4-J-13-04) *太字強調は当サイト

重み付きPLSAを用いた敗血症患者のDPCデータ分析結果における各クラスタの特徴およびクラスタ遷移パターンの検討

医療ビッグデータの利活用として、これまで診断群包括分類(DPC)データに注目し、治療戦略や医師の意思決定支援への応用の可能性を検証してきた。本研究では、DPCデータ全体から死亡率と関連する要因を探索的に見つけることを目的とした解析を行い、抽出されたクラスタの特徴やクラスタ遷移パターンについて検討した。(2019年度人工知能学会全国大会 1H4-J-13

 

商品化されている医療支援のための人工知能

Logbii

Logbiiは、電子カルテやDPC、検査データなどの医療情報を解析することにより、医療現場の負担軽減や病院経営の効率化を行う人工知能(AI)だそうです。(参考:https://logbii.co.jp/medical)

 

 

人工知能に確定診断ができるか

(4)確定診断は無理である
• 上記の期待や予想に反して、現状の人工知能の延長では確定診断を行うことはできない。
• その理由として、医学特有の事情がある。特に、

1:人間の持つ情報量が多すぎること、

2:正解診断が確実に明確でないこと、

3:膨大な知識が医学の履行には必要なこと、

4:多くの意思決定を基に初めて治療方針が決まること

の4つは医学の本質でもあり解決が現実的には不可能となっている。

(引用元:4. 人工知能と診療支援 第Ⅸ次 学術推進会議 報告書 人工知能(AI)と医療 平成 30 年 6 月 日本医師会 学術推進会議

 

参考

  1. 電子カルテフォーラム『利用の達人』ホームページ
  2. 平成29年度 臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究事業(厚生労働省)
  3. 医療・介護データ活用のための情報科学と社会基盤 CRDS-FY2016-RR-03 調査報告書  国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター
  4. 平成28年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(医療・介護領域等における第4次産業革命の動向等に関する調査)
  5. 日立がデータ集積基盤を構築 国立病院機構の41病院で電子カルテ集積、一元的に分析へ 2016年04月13日 13時30分 川島弘之/TECH.ASCII.jp 各病院で個別に作成された電子カルテのデータを、診療情報の標準的な仕様であるSS-MIX2形式(2016年2月に厚生労働省標準規格に認定された)で収集するとともに、別途蓄積されたDPCデータ(急性期の入院医療を対象として、患者の入退院日、傷病名、治療方法などの診療実績を記録したデータ)やレセプトデータ(診療報酬明細書を電子化したもの)も統合してデータベース化
  6. 富士通の電子カルテフォーラム「利用の達人」の第13回総会が開かれる 2016-7-5 innervision.co.jp
  7. 国立循環器病研究センターの事例を中心とした 医療AI の応用に関して 平成29 年度 医薬品評価委員会 臨床評価部会 総会 H30 年 2 ⽉21⽇ 東京証券会館 「医療情報(リソース)の断片化」は臨床研究における情報科学の効率的な使用を妨げ、医療ビッグデータ研究の実施とそこからの社会還元へのプロセスの大きな課題となっている。

DPC(診断群分類別包括評価)とは

DPC(診断群分類別包括評価)とは

DPCとは「Diagnosis(診断) Procedure(診療行為) Combination(組み合わせ)」の略で患者さんの診断群分類病名ごとに1日当たりの入院費が決められており、これをもとに計算を行います。DPCで用いる診断群分類とは、約500種類の主な疾患(病名)を基本として手術・処置・副傷病名の有無などにより、さらに2494種類に分類したものです。 皆様が入院された場合、例外を除いて、この2494種類のうちのどれか1つに該当することになります。 外来の患者さんにつきましては、これまで通り出来高での計算です。(引用元: 入院医療費がDPC(診断群分類別包括評価)によって計算されます。 2012.4.1 光生会病院からのお知らせ) *太字強調は当サイト

 

MDC(主要診断群)

主要診断群(Major Diagnostic Category; MDC)の分類

MDCコード MDC名称
01 神経系疾患
02 眼科系疾患
03 耳鼻咽喉科系疾患
04 呼吸器系疾患
05 循環器系疾患
06 消化器系疾患、肝臓・胆道・膵臓疾患
07 筋骨格系疾患
08 皮膚・皮下組織の疾患
09 乳房の疾患
10 内分泌・栄養・代謝に関する疾患
11 腎・尿路系疾患及び男性生殖器系疾患
12 女性生殖器系疾患及び産褥期疾患・異常妊娠分娩
13 血液・造血器・免疫臓器の疾患
14 新生児疾患、先天性奇形
15 小児疾患
16 外傷・熱傷・中毒
17 精神疾患
18 その他

(引用元:診断群分類(DPC)電子点数表(平成29年11月22日更新) 診断群分類(DPC)電子点数表について 厚生労働省

分類名称

MDCコード 分類コード 名称
1 10 脳腫瘍
1 20 くも膜下出血、破裂脳動脈瘤
1 30 未破裂脳動脈瘤
1 40 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)
1 50 非外傷性硬膜下血腫
1 60 脳梗塞
1 61 一過性脳虚血発作
1 69 脳卒中の続発症
1 70 脳血管障害
1 80 脳脊髄の感染を伴う炎症
1 83 結核性髄膜炎、髄膜脳炎
1 86 プリオン病
1 89 亜急性硬化性全脳炎
1 90 多発性硬化症
1 100 脱髄性疾患(その他)
1 110 免疫介在性・炎症性ニューロパチー
1 111 遺伝性ニューロパチー
1 120 特発性(単)ニューロパチー
1 130 重症筋無力症
1 140 筋疾患(その他)
1 155 運動ニューロン疾患等
1 160 パーキンソン病
1 170 基底核等の変性疾患
1 180 不随意運動
1 190 遺伝性運動失調症
1 200 水頭症
1 021x 認知症
1 220 その他の変性疾患
1 230 てんかん
1 240 片頭痛、頭痛症候群(その他)
1 250 アルコール依存症候群
1 260 ウェルニッケ脳症
1 270 中毒性脳症
1 280 ジストニー、筋無力症
1 290 自律神経系の障害
1 300 睡眠障害
1 310 脳の障害(その他)
2 001x 角膜・眼及び付属器の悪性腫瘍
2 40 網膜芽細胞腫
2 006x 眼の良性腫瘍
2 80 眼窩腫瘍
2 100 涙嚢腫瘍
2 110 白内障、水晶体の疾患
2 120 急性前部ぶどう膜炎
2 130 原田病
2 140 網脈絡膜炎・網膜炎・急性網膜壊死
2 150 斜視(外傷性・癒着性を除く。)
2 160 網膜剥離
2 180 糖尿病性増殖性網膜症
2 190 未熟児網膜症
2 200 黄斑、後極変性
2 210 網膜血管閉塞症
2 220 緑内障
2 230 眼瞼下垂
2 240 硝子体疾患
2 250 結膜の障害
2 270 強膜の障害
2 280 角膜の障害
2 290 涙器の疾患
2 320 眼瞼、涙器、眼窩の疾患
2 325 甲状腺機能異常性眼球突出(症)
2 340 虹彩毛様体炎、虹彩・毛様体の障害
2 350 脈絡膜の疾患
2 360 眼球の障害
2 370 視神経の疾患
2 380 眼球運動障害
2 390 視覚・視野障害
2 400 眼、付属器の障害
3 001x 頭頸部悪性腫瘍
3 150 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍
3 180 口内炎、口腔疾患
3 190 唾液腺炎、唾液腺膿瘍
3 200 腺内唾石
3 220 ガマ腫
3 230 扁桃、アデノイドの慢性疾患
3 240 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎
3 245 伝染性単核球症
3 250 睡眠時無呼吸
3 270 上気道炎
3 280 声帯ポリープ、結節
3 290 声帯麻痺
3 300 声帯の疾患(その他)
3 320 鼻中隔弯曲症
3 330 急性副鼻腔炎
3 340 血管運動性鼻炎、アレルギー性鼻炎<鼻アレルギー>
3 350 慢性副鼻腔炎
3 360 副鼻腔嚢胞、鼻前庭嚢胞
3 370 鼻ポリープ
3 380 鼻出血
3 390 顔面神経障害
3 400 前庭機能障害
3 410 めまい(末梢前庭以外)
3 425 聴覚の障害(その他)
3 428 突発性難聴
3 430 滲出性中耳炎、耳管炎、耳管閉塞
3 440 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫
3 450 外耳の障害(その他)
3 460 中耳・乳様突起の障害
3 470 内耳の障害(その他)
3 475 耳硬化症
3 490 上気道の疾患(その他)
3 500 唾液腺の疾患(その他)
4 10 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍
4 20 縦隔の良性腫瘍
4 30 呼吸器系の良性腫瘍
4 40 肺の悪性腫瘍
4 50 胸壁腫瘍、胸膜腫瘍
4 70 インフルエンザ、ウイルス性肺炎
4 80 肺炎等
4 81 誤嚥性肺炎
4 90 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他)
4 100 喘息
4 110 間質性肺炎
4 120 慢性閉塞性肺疾患
4 130 呼吸不全(その他)
4 140 気道出血(その他)
4 150 肺・縦隔の感染、膿瘍形成
4 151 呼吸器のアスペルギルス症
4 160 呼吸器の結核
4 170 抗酸菌関連疾患(肺結核以外)
4 180 気管支狭窄など気管通過障害
4 190 胸水、胸膜の疾患(その他)
4 200 気胸
4 210 気管支拡張症
4 220 横隔膜腫瘍・横隔膜疾患(新生児を含む。)
4 230 血胸、血気胸、乳び胸
4 240 肺循環疾患
4 250 急性呼吸窮<促>迫症候群
4 026x 肺高血圧性疾患
4 310 その他の呼吸器の障害
5 10 心臓の悪性腫瘍
5 20 心臓の良性腫瘍
5 30 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞
5 50 狭心症、慢性虚血性心疾患
5 60 心筋症(拡張型心筋症を含む。)
5 70 頻脈性不整脈
5 80 弁膜症(連合弁膜症を含む。)
5 90 心内膜炎
5 100 心筋炎
5 110 急性心膜炎
5 120 収縮性心膜炎
5 130 心不全
5 140 高血圧性疾患
5 161 解離性大動脈瘤
5 162 破裂性大動脈瘤
5 163 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤
5 170 閉塞性動脈疾患
5 180 静脈・リンパ管疾患
5 190 肺塞栓症
5 200 循環器疾患(その他)
5 210 徐脈性不整脈
5 340 その他の循環器の障害
6 10 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。)
6 20 胃の悪性腫瘍
6 30 小腸の悪性腫瘍、腹膜の悪性腫瘍
6 35 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍
6 40 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍
6 50 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。)
6 60 胆嚢、肝外胆管の悪性腫瘍
6 007x 膵臓、脾臓の腫瘍
6 80 食道の良性腫瘍
6 90 胃の良性腫瘍
6 100 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)
6 102 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患
6 110 肝の良性腫瘍
6 130 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患)
6 140 胃十二指腸潰瘍、胃憩室症、幽門狭窄(穿孔を伴わないもの)
6 141 胃十二指腸潰瘍、胃憩室症、幽門狭窄(穿孔を伴うもの)
6 150 虫垂炎
6 160 鼠径ヘルニア
6 170 閉塞、壊疽のない腹腔のヘルニア
6 180 クローン病等
6 185 潰瘍性大腸炎
6 190 虚血性腸炎
6 200 腸重積
6 210 ヘルニアの記載のない腸閉塞
6 220 直腸脱、肛門脱
6 230 肛門周囲膿瘍
6 235 痔瘻
6 240 外痔核
6 245 内痔核
6 250 尖圭コンジローム
6 260 肛門狭窄、肛門裂溝
6 270 劇症肝炎、急性肝不全、急性肝炎
6 280 アルコール性肝障害
6 290 慢性肝炎(慢性C型肝炎を除く。)
6 295 慢性C型肝炎
6 300 肝硬変(胆汁性肝硬変を含む。)
6 310 肝膿瘍(細菌性・寄生虫性疾患を含む。)
6 320 肝嚢胞
6 330 胆嚢疾患(胆嚢結石など)
6 335 胆嚢水腫、胆嚢炎等
6 340 胆管(肝内外)結石、胆管炎
6 350 急性膵炎
6 360 慢性膵炎(膵嚢胞を含む。)
6 370 腹膜炎、腹腔内膿瘍(女性器臓器を除く。)
6 565 顎変形症
6 570 その他の消化管の障害
7 10 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。)
7 20 神経の良性腫瘍
7 30 脊椎・脊髄腫瘍
7 40 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く。)
7 41 軟部の悪性腫瘍(脊髄を除く。)
7 50 肩関節炎、肩の障害(その他)
7 60 手肘の関節炎
7 70 骨髄炎(上肢)
7 71 骨髄炎(上肢以外)
7 80 滑膜炎、腱鞘炎、軟骨などの炎症(上肢)
7 85 滑膜炎、腱鞘炎、軟骨などの炎症(上肢以外)
7 90 筋炎(感染性を含む。)
7 010x 化膿性関節炎(下肢)
7 150 上肢神経障害(胸郭出口症候群を含む。)
7 160 上肢末梢神経麻痺
7 170 下肢神経疾患
7 180 脊椎変形
7 190 上肢・手の変形(偽関節を除く。)
7 200 手関節症(変形性を含む。)
7 210 下肢の変形
7 230 膝関節症(変形性を含む。)
7 240 動揺関節症
7 250 関節内障、関節内遊離体
7 270 膝蓋骨の障害
7 280 骨端症、骨軟骨障害・骨壊死、発育期の膝関節障害
7 290 上肢関節拘縮・強直
7 310 下肢関節拘縮・強直
7 330 脊椎感染(感染を含む。)
7 034x 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。)
7 341 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 頸部
7 343 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎
7 350 椎間板変性、ヘルニア
7 370 脊椎骨粗鬆症
7 380 ガングリオン
7 390 線維芽細胞性障害
7 395 壊死性筋膜炎
7 040x 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。)
7 420 大腿骨頭すべり症
7 430 神経異栄養症、骨成長障害、骨障害(その他)
7 440 色素性絨毛結節性滑膜炎
7 460 股関節ペルテス病
7 470 関節リウマチ
7 510 痛風、関節の障害(その他)
7 520 リンパ節、リンパ管の疾患
7 560 全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患
7 570 瘢痕拘縮
7 580 斜頸
7 590 血管腫、リンパ管腫
7 600 骨折変形癒合、癒合不全などによる変形(上肢以外)
7 610 骨折変形癒合、癒合不全などによる変形(上肢)
7 1030 その他の筋骨格系・結合組織の疾患
8 5 黒色腫
8 6 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)
8 7 皮膚の良性新生物
8 11 急性膿皮症
8 20 帯状疱疹
8 30 疱疹(帯状疱疹を除く。)、その類症
8 40 ウイルス性急性発疹症
8 50 湿疹、皮膚炎群
8 70 慢性膿皮症
8 80 痒疹、蕁麻疹
8 90 紅斑症
8 100 薬疹、中毒疹
8 105 重症薬疹
8 110 水疱症
8 120 紅皮症
8 130 角化症、角皮症
8 140 炎症性角化症
8 150 爪の疾患
8 160 皮膚の萎縮性障害
8 180 母斑、母斑症
8 190 脱毛症
8 210 ざ瘡、皮膚の障害(その他)
8 220 エクリン汗腺の障害、アポクリン汗腺の障害
8 230 皮膚色素異常症
8 240 多汗症
8 245 放射線皮膚障害
8 250 褥瘡潰瘍
8 260 その他の皮膚の疾患
8 270 食物アレルギー
9 10 乳房の悪性腫瘍
9 20 乳房の良性腫瘍
9 30 乳房の炎症性障害
9 40 乳房の形態異常、女性化乳房、乳腺症など
10 10 多発性内分泌腺腫症
10 20 甲状腺の悪性腫瘍
10 30 内分泌腺および関連組織の腫瘍
10 40 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡
10 50 低血糖症(糖尿病治療に伴う場合)
10 60
1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。)
10 61
1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全あり。)
10 70
2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。)
10 71
2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全あり。)
10 80
その他の糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全なし。)
10 81
その他の糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全あり。)
10 100 糖尿病足病変
10 120 肥満症
10 130 甲状腺の良性結節
10 140 甲状腺機能亢進症
10 150 慢性甲状腺炎
10 160 甲状腺機能低下症
10 170 急性甲状腺炎
10 180 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍
10 190 褐色細胞腫、パラガングリオーマ
10 202 その他の副腎皮質機能低下症
10 210 低血糖症
10 220 原発性副甲状腺機能亢進症、副甲状腺腫瘍
10 230 続発性副甲状腺機能亢進症
10 240 副甲状腺機能低下症
10 250 下垂体機能低下症
10 260 下垂体機能亢進症
10 270 間脳下垂体疾患(その他)
10 280 尿崩症
10 285 ADH分泌異常症
10 290 グルコース調節・膵内分泌障害、その他の内分泌疾患
10 300 代謝性疾患(糖尿病を除く。)
10 310 腎血管性高血圧症
10 320 内分泌性高血圧症(その他)
10 330 栄養障害(その他)
10 335 代謝障害(その他)
10 360 小人症
10 370 アミロイドーシス
10 380 体液量減少症
10 391 低カリウム血症
10 392 カルシウム代謝障害
10 393 その他の体液・電解質・酸塩基平衡障害
11 001x 腎腫瘍
11 002x 性器の悪性腫瘍
11 004x 尿道・性器の良性腫瘍
11 50 後腹膜疾患
11 60 腎盂・尿管の悪性腫瘍
11 70 膀胱腫瘍
11 80 前立腺の悪性腫瘍
11 100 精巣腫瘍
11 012x 上部尿路疾患
11 013x 下部尿路疾患
11 200 前立腺肥大症等
11 022x 男性生殖器疾患
11 260 ネフローゼ症候群
11 270 急速進行性腎炎症候群
11 275 急性腎炎症候群
11 280 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全
11 290 急性腎不全
11 310 腎臓または尿路の感染症
11 320 腎、泌尿器の疾患(その他)
11 420 水腎症(その他)
11 430 腎動脈塞栓症
12 10 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍
12 002x 子宮頸・体部の悪性腫瘍
12 30 外陰の悪性腫瘍
12 40 腟の悪性腫瘍
12 50 絨毛性疾患
12 60 子宮の良性腫瘍
12 70 卵巣の良性腫瘍
12 80 女性生殖器の良性腫瘍(その他)
12 90 生殖器脱出症
12 100 子宮内膜症
12 110 子宮・子宮附属器の炎症性疾患
12 120 卵巣・卵管・広間膜の非炎症性疾患
12 130 異所性妊娠(子宮外妊娠)
12 140 流産
12 150 妊娠早期の出血
12 160 妊娠高血圧症候群関連疾患
12 165 妊娠合併症等
12 170 早産、切迫早産
12 180 胎児及び胎児付属物の異常
12 182 前置胎盤および低置胎盤
12 185 (常位)胎盤早期剥離
12 190 女性生殖系の炎症性疾患(その他)
12 200 妊娠中の糖尿病
12 210 女性性器を含む瘻
12 220 女性性器のポリープ
12 230 子宮の非炎症性障害
12 240 腟及び外陰の非炎症性障害
12 250 生殖・月経周期に関連する病態
12 260 分娩の異常
12 270 産褥期を中心とするその他の疾患
12 271 産褥期の乳房障害
12 280 骨盤静脈瘤、外陰静脈瘤
12 290 産科播種性血管内凝固症
12 300 人工授精に関する合併症
13 10 急性白血病
13 20 ホジキン病
13 30 非ホジキンリンパ腫
13 40 多発性骨髄腫、免疫系悪性新生物
13 50 慢性白血病、骨髄増殖性疾患
13 60 骨髄異形成症候群
13 70 白血球疾患(その他)
13 80 再生不良性貧血
13 90 貧血(その他)
13 100 播種性血管内凝固症候群
13 110 出血性疾患(その他)
13 111 アレルギー性紫斑病
13 120 血液疾患(その他)
13 130 凝固異常(その他)
13 140 造血器疾患(その他)
13 150 原発性免疫不全症候群
13 160 後天性免疫不全症候群
13 170 血友病
14 10 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害
14 70 頭蓋、顔面骨の先天異常
14 80 脳、脊髄の先天異常
14 90 先天性鼻涙管閉塞
14 100 眼の先天異常
14 110 鼻の先天異常
14 140 口蓋・口唇先天性疾患
14 170 正中頸嚢胞・側頸嚢胞
14 190 小耳症・耳介異常・外耳道閉鎖
14 210 先天性耳瘻孔、副耳
14 220 耳の疾患(その他)
14 230 喉頭の疾患(その他)
14 245 舌・口腔・咽頭の先天異常
14 260 胸郭の変形および先天異常
14 270 肺の先天性異常
14 280 気道の先天異常
14 029x 動脈管開存症、心房中隔欠損症
14 031x 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)
14 390 食道の先天異常
14 410 先天性肥厚性幽門狭窄症
14 430 腸管の先天異常
14 044x 直腸肛門奇形、ヒルシュスプルング病
14 450 胆道の先天異常(拡張症)
14 460 胆道の先天異常(閉鎖症)
14 480 先天性腹壁異常
14 490 手足先天性疾患
14 500 骨軟骨先天性形成異常
14 510 股関節先天性疾患、大腿骨先天性疾患
14 550 先天性嚢胞性腎疾患
14 056x 先天性水腎症、先天性上部尿路疾患
14 580 先天性下部尿路疾患
14 590 停留精巣
14 600 女性性器の先天性異常
14 620 その他の先天異常
15 10 ウイルス性腸炎
15 20 細菌性腸炎
15 21 偽膜性腸炎
15 40 熱性けいれん
15 70 川崎病
15 100 虐待症候群
15 110 染色体異常(ターナー症候群及びクラインフェルター症候群を除く。)
15 120 脳性麻痺
16 100 頭蓋・頭蓋内損傷
16 200 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。)
16 250 眼損傷
16 300 喉頭・頸部気管損傷
16 350 頸部損傷(喉頭・頸部気管損傷、頸椎頸髄損傷を除く。)
16 400 胸郭・横隔膜損傷
16 440 外耳・中耳損傷(異物を含む。)
16 450 肺・胸部気管・気管支損傷
16 480 心・大血管損傷
16 500 食道・胃損傷
16 510 肝・胆道・膵・脾損傷
16 054x 腸管損傷(胃以外)
16 570 腹部血管損傷
16 575 その他腹腔内臓器の損傷
16 580 腹壁損傷
16 590 四肢神経損傷
16 600 四肢血管損傷
16 610 四肢筋腱損傷
16 620 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む。)
16 640 外傷性切断
16 650 コンパートメント症候群
16 660 皮下軟部損傷・挫滅損傷、開放創
16 690 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。)
16 700 鎖骨骨折、肩甲骨骨折
16 710 鎖骨骨折、肩甲骨骨折の開放骨折
16 720 肩関節周辺の骨折脱臼
16 730 肩関節周辺開放骨折
16 740 肘関節周辺の骨折・脱臼
16 750 肘関節周辺開放骨折
16 760 前腕の骨折
16 770 前腕開放骨折
16 780 手関節周辺骨折脱臼
16 790 手関節周辺開放骨折
16 800 股関節大腿近位骨折
16 810 股関節大腿近位開放骨折
16 820 膝関節周辺骨折・脱臼
16 830 膝関節周辺開放骨折
16 835 下腿足関節周辺骨折
16 840 下腿足関節周辺開放骨折
16 850 足関節・足部の骨折、脱臼
16 860 足関節・足部の骨折、脱臼、開放骨折
16 870 頸椎頸髄損傷
16 950 腎・尿管損傷
16 960 膀胱・尿道損傷
16 970 生殖器損傷
16 980 骨盤損傷
16 990 多部位外傷
16 995 気道熱傷
16 1000 熱傷・化学熱傷・凍傷・電撃傷
16 1020 体温異常
16 1030 気圧による損傷
16 1040 損傷の続発性、後遺症
16 1060 詳細不明の損傷等
16 1070 薬物中毒(その他の中毒)
17 20 精神作用物質使用による精神および行動の障害
17 30 統合失調症,統合失調症型障害および妄想性障害
17 40 気分[感情]障害
17 50 神経症性障害,ストレス関連障害および身体表現性障害
17 60 その他の精神及び行動の障害
18 10 敗血症
18 20 性感染症
18 30 その他の感染症(真菌を除く。)
18 35 その他の真菌感染症
18 40 手術・処置等の合併症
18 41 移植臓器および組織の不全および拒絶反応
18 50 その他の悪性腫瘍
18 60 その他の新生物

(引用元:診断群分類(DPC)電子点数表(平成29年11月22日更新) 診断群分類(DPC)電子点数表について 厚生労働省

 

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参考

  1. DPC病院として生き残る上での課題とは 2019-05-21 ヘルスケア・コンパス