「 論文の書き方 」 一覧

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論文執筆時の注意点:曖昧さの排除

科学論文を書くときに気を付けるべきことは、自分の書いた英文に曖昧さがなく、どんな読者に対しても確実に一通りの意味、解釈しか許さない英語の文にすることです。そんなことは当たり前だと思われるかもしれませんが、いざ書いてみると、これが案外難しいのです。曖昧さがどのようにして生じるのか、その原因をいくつか考えてみたいと思います。   曖昧さが生じるmore Women like chocolate more than men. (http://www.helsinki.fi/kksc/language.services/AcadWrit.pdf) . 「女性は男性よりもチョコレートを好む。」と書いてしまうと、「女性は、男性のことを好むよりももっとチョコレートのほうを好む」という意味にも、「女性と男性とで比較すると、女性のほうがチョコレートをより好む」という意味にとれます。日本語でも英語でも、二通りの解釈が有り得るため、曖昧さが生じます。 論文においては、文脈から明らかだから問題ないと思うかもしれませんが、それまでに書いてきた部分の文脈がすでに読者にとって明らかでなくなっているかもしれません。また、英語が堪能でない読者には不親切な態度です。 moreの使用が、文法的に2つの意味を生じさせる文例をもうひとつ、および意味を一意に確定させる書き方を紹介します。 ‘… the starch yielded more glucose than maltose‘   say either ‘… than did maltose‘ or ‘… starch produced a greater yield of glucose than of …

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“using” vs “by using” それともbyかwith?

論文を書いていると、「手段」を表すときの英単語として、using とby usingのどちらを使うべきかでよく迷います。withやbyという選択肢もありますので、さらに迷います。 using? by using? with? by? 何を使えば良いのか、参考になりそうなウェブサイト、書籍、および、論文中の例を紹介します。 ‥‥ 「by using」と「using」はいずれも可能ですが、どちらにするかによって文意が微妙に異なります。「by using」によっては、Aを得るのに coupled cluster method だけで十分だというニュアンスが含まれます。(by, using, by using の使い分けについて エナゴ学術英語アカデミー)   (ある行為を描写している文の)動詞が受身形である場合には、byの目的語になりうるのはその行為を行う行為者を表す語のみだということである。つまり、その行為者が利用する道具、手段などがbyの目的語になることはありえない。(科学論文の英語用法百科 第1編 よく誤用される単語と表現 Chapter 29 147ページ) 能動態の場合でも、by の替わりに、(by) using、with、(by) employing、through、in terms of、by applying、(by) utilizing、(by) making use of、through use of、by means of、with …

なぜあなたは論文が書けないのか?を知る40問

実験を頑張って良い結果を得ることと、それらのデータに基づいて論文原稿をまとめることは、頭や体の使い方がまったく異なる別の作業です。事実、実験は楽しくてそれだけで満足感が得られるが、その後、論文を書くのは苦痛という大学院生やポスドク研究者は相当数います。さらに、論文原稿を書き上げてから、実際にどこかの学術誌にアクセプトされるまでがまた遠い道のりです。 Work, Finish, Publish. (Michael Faraday) 「はたらき、まとめ、出版せよ」(科学者として成功した秘訣をたずねられたときのマイケル・ファラデーの答え) (参考:学術論文作成の基本 2012エルゼビア ランチョンセミナー PDF) 論文掲載に至る途上には、研究者の気持ちをくじく障壁はたくさんあるわけですが、それを全てクリアしてめでたく論文アクセプトに持っていく底力が、研究者には要求されます。この力は論文を実際に出すことによってしか身につきません。ただし、その際、見通しが良くなるような指針があるとその苦労は軽減されます。   「なぜあなたは論文が書けないのか?」という、多くの研究者をギクッとさせるタイトルの本があります(メディカルレビュー社 2016年)。自分が責められているような気分になる人がいるかもしれませんが、ご安心を。副題は、「理由がわかれば見えてくる,論文を書ききるための処方箋」となっており、論文を書くという行動に心のブレーキをかけている研究者の心強い味方となる本です。 本書のプロローグのQ3では、まず、論文が書けない人、出せない人のパターンを4つに分けて分析しています。あなたの今の状況も、以下の4つの症状のどれかに当てはまるのではないでしょうか? 症状1:論文を書こうとパソコンに向かいはするが、どうも効率が悪い。いつまでたっても仕上がらない。 症状2:論文を書きたい、あるいは書かなければならないとは思っている。しかしどこから手をつけたらいいのかわからず、堂々巡りを繰り返している気がする。 症状3:論文を書いていはいるが、クオリティが低い気がする。それぞれのパートをどのように仕上げていったらいいかわからず、しっくりこない。 症状4:論文を一度は書き上げたもののpublicationに結びついていない。どこかの段階で止まってしまっている。 (Q3 論文作成のどこが律速段階になっているか─論文欠乏症の具体的症状を考えてみたか? より) 本書では、各々の症状に対する処方箋が章仕立てになっているので、解決策がすぐに見つかります。   IMRAD(Introduction, Methods, Results And Discussion)の解説本は多数ありますが、本当に論文をアクセプトにまで持っていくための心の持ち方、時間の遣い方や生活態度、論文の各セクションの書き方のポイントをここまで実践的に教えてくれる本は、他に例がありません。論文を書くときに一番悩ましいのがディスカッションのセクションだと思いますが、これに関しても、その必要性、目的、盛り込むべき内容、典型的な書き方のパターンなど、具体的かつ実際的な解説があります。 また、せっかく論文の原稿を書き上げたのにボスが読んでくれずに放置されているという悩みを大学院生やポスドクがしばしば口にします。この問題はQ38で取り上げられており、問題点の分析および対処法が述べられています。   論文を書かなきゃいけないのに億劫がっている人には、本書の目次だけでもかなり参考になるので、以下、目次を紹介します。 プロローグ Q1 何のためにあなたは論文を書くのか,明確な答えがあるか? Q2 論文を書くことはあなたの人生にとって無駄ではないと言い切れるか? Q3 論文作成のどこが律速段階になっているか─論文欠乏症の具体的症状を考えてみたか? CHAPTER 1 あなたが論文を書けないのには理由がある 執筆スタイルから取り組む論文作成術 Q4 学会発表は結構しているのに論文が書けていない,ということはないか? Q5 論文をイッキに書き上げようとしていないか? …

トップジャーナルに通る論文の作り方

  2017/03/24    研究力強化, 論文の書き方

トップジャーナルにとっての新規性とは、その分野の本質的な問題、すなわち一般人が疑問に思うようなクエスチョンに答える明確なメッセージがあるものであり、学術的意義のみならず社会的意義もあるものなのである。トップジャーナルに限らず、論文を書くときに大事なのは、前面にだすメッセージ性はなにかといつも問いかけることである。次に論文作成に必要なのは、ロジックの強いストーリーを構築することである。論文構築は、絵を描いたり彫刻を造ったりするようなものである。まず、図を作って大まかな流れをデッサンすることからはじまって、結果の細部を描く過程で、おさえておかなくてはいけない実験や、結論をサポートする多角的アプローチからの実験を塗り重ねていく。そして、間違った解釈をせずに良いディスカッションをするためには、次にやるべき実験の結果がでているとよい。そして、最後に、英文校閲にだし、英語独特のロジックと文体を補強し色づけを鮮やかにする。作品のメッセージ、ストーリー性、そこから湧き上がるロジックをだすために、いつも美意識を忘れないようにすることである。美しい自然の摂理を描くのだから。(「化学」2009年5月号コラム 美しい論文は必ず通る 東原和成)   Drawing on his experience, Yokoyama focused on the perspective of journal editors and how their decision-making on high impact science affects ongoing research. Editors evaluate the potential impact of individual papers by judging their conceptual advance, …

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aかtheか無しか?パケット英語用法百科II

日本人が英語で論文を書くときの壁のひとつが、正しい冠詞を選べないことです。辞書で可算名詞か不可算名詞か調べても、まったく解決しません。抽象名詞が文脈によって可算名詞として使われたり、修飾語句によって冠詞の選択が変わる可能性があるからです。「なぜここではこの冠詞なのか」とアメリカ人の研究者に聞いても、「なんとなく」という答えしか返ってこなくて、もやもやが残るだけです。冠詞の選択を誤ると文の意味が変わってしまうことが多く、論理が一貫しない読みにくい原稿になります。しかし、そんな日本人の冠詞の悩みを解決する、福音書とでもいうべき教科書がついに刊行されました。 グレン・パケット氏が『科学論文の英語用法百科 第1編 よく誤用される単語と表現』を世に送り出したのが2004年。それから実に12年もの歳月を経て、2016年に「科学論文の英語用法百科」待望の第2編が刊行されました(全5編の予定)。第2編「冠詞用法」は、書籍タイトル通り、一冊まるまる300ページが冠詞の選び方の説明に費やされています。 ネイティブなら自然に身につけてしまう正しい冠詞の選び方のルールを徹底的な理論的考察により炙り出し、悩める日本人研究者にそれを伝授するという、実に野心的かつ教育的な本です。 冠詞用法は、正式な指導を受けるとしても僅かなものにすぎないのに、ネイティブ・スピーカーはどうにかほとんど全ての人が完璧な直感的な理解を得る。… 上述のように冠詞の特殊性を認識した結果として、冠詞用法の理論を科学的理論と同様に構築することができるということに気付いた。…当然、英語における冠詞用法を説明する理論は他にも組み立てられ、異なった個人的観点から築かれた理論はどれも内容に多少の差異があるものとなるだろう。しかし、慎重に組み立てられたものであれば、そのいずれの理論でも、ネイティブ・スピーカーに共有される同一の直感的な理解に基づくため、冠詞用法についての帰結が必ず一致するという意味で同等のものでなければならない。…英語の場合は、冠詞があるため、日本語では普段示されない情報が各名詞に対して必ず示される。冠詞により名詞の意味するものがことごとく一定の形を持つかどうか、また特定、唯一、包括的などであるかどうかについて明確な情報が伝えられる。…原文を日本語として読むときは内容について何の違和感も感じないが、英語に訳そうとすると、初めて文章中に(英語から見れば)意味が曖昧な名詞があることに気付く、ということがしばしばある。その名詞が特定のものを意味しているのか、任意のものを意味しているのか、ある種類やある範囲内の全てのもの、あるいはその一部のみを意味しているのかなど、ということが判断できないわけである。また、その情報が文脈からでも分かり得ないことは少なくない。その多くの場合、訳文での冠詞用法を誤らないためには文献を調べる必要がある。…冠詞用法の基礎となるロジックをしっかり学習した上で、たくさんの用例を対象にそのロジックを熟考すると、冠詞の正しい使い方は徐々に直感的に理解できるようになる。本書が提供する指導はまさにそういった学び方を可能にするものである。 (前書きより) 参考 『科学論文の英語用法百科』とは(京都大学学術出版会) パケット道場~初級アカデミック英語講座~  (エナゴ学術英語アカデミー):パケット道場記事一覧 Paquette道場(phpBB掲示板)