トップジャーナルに通る論文の作り方

トップジャーナルにとっての新規性とは、その分野の本質的な問題、すなわち一般人が疑問に思うようなクエスチョンに答える明確なメッセージがあるものであり、学術的意義のみならず社会的意義もあるものなのである。トップジャーナルに限らず、論文を書くときに大事なのは、前面にだすメッセージ性はなにかといつも問いかけることである。次に論文作成に必要なのは、ロジックの強いストーリーを構築することである。論文構築は、絵を描いたり彫刻を造ったりするようなものである。まず、図を作って大まかな流れをデッサンすることからはじまって、結果の細部を描く過程で、おさえておかなくてはいけない実験や、結論をサポートする多角的アプローチからの実験を塗り重ねていく。そして、間違った解釈をせずに良いディスカッションをするためには、次にやるべき実験の結果がでているとよい。そして、最後に、英文校閲にだし、英語独特のロジックと文体を補強し色づけを鮮やかにする。作品のメッセージ、ストーリー性、そこから湧き上がるロジックをだすために、いつも美意識を忘れないようにすることである。美しい自然の摂理を描くのだから。(「化学」2009年5月号コラム 美しい論文は必ず通る 東原和成)   Drawing on his experience, Yokoyama focused on the perspective of journal editors and how their decision-making on high impact science affects ongoing research. Editors evaluate the potential impact of individual papers by judging their conceptual advance, that is, whether a study advances a field in a large leap, rather than an […]

書くことは、書き直すこと (Writing is rewriting)

文豪ヘミングウェイも、 「書くという行為には、書き直すという行為しかない(The only kind of writing is rewriting)」と言っています。 論文の原稿であれ何であれ、最初の草稿が一通り出来上がってから、ようやく書くという行為が始まります。どんな風に書き直すと良い文章になるのか、サイエンティフィックライティングにおける推敲の例を見てみましょう。伝えたいことが伝わる文章を書く際には、 Clarity(明晰), Concision(簡潔), Coherence(首尾一貫), Connection(つながり), Flow(流れ), Logic(論理)などがポイントになります。 How To Make Your Writing Flow 以下の動画は、スタンフォード大学のKristin Sainani博士によるサイエンティフィック・ライティングの講義。推敲のケーススタディ。 SciWrite Demo Edit 1 SciWrite Demo Edit 2 SciWrite Demo Edit 3 SciWrite Demo Edit 4 SciWrite Demo Edit 8.4 参考 How to Write a Great Research Paper by Professor Simon Peyton Jones, […]

科学論文の書き方:タイトル、要旨、序論、実験方法、実験結果、考察

科学論文は、タイトル、要旨、序論、材料と方法(ジャーナルによっては最後)、結果、そして考察から構成されています。頭文字をとって、IMRaD (Introduction、Method、Result and Discussion)と呼ばれることもあります。順序だけでなく、各々のセクションをどう書くべきかはある程度決まっており、その原則から外れた書き方をすると、科学論文としての体をなさなくなります。以下、論文の書き方を各セクションごとに説明したYOUTUBE動画やネット上の記事を紹介します。ちなみに、研究者が論文の原稿を書くときにこの順で書き進めるというわけではありません。 論文タイトル Title 論文タイトルは、論文の内容を簡潔に示したものになります。 論文要旨 Abstract 要旨には、限られた文字数の中で背景、目的、方法、重要な結果、結論、意義を含めるようにします。 Titles and abstracts イントロダクション Introduction The Introduction to a research paper needs to convince the reader that your work is important and relevant, frame the questions being addressed, and provide context for the findings being presented. (Getting a Strong Start: Best Practices for Writing an […]

プロフェッショナルな科学研究者になるためのキャリア形成ガイド:「10個のシンプルな原則」集

Ten Simple Rules(10のシンプルな原則)は、プロの研究者を目指す人が遭遇する数々のチャレンジを乗り越えるためのコツを教えるガイド集です。PLOS Computational Biology誌のヒット企画。 博士号をとるために 研究者になるためには、大学院を受験して研究室に所属し、数年間、研究のトレーニングを受けることになります。指導教官とは師弟関係としての付き合いが一生続くことになるので、研究室選び、指導教官選びは親を選ぶのと同じくらいに重要です。研究者としての運命を決定付けてしまうラボ選びで失敗しない方法は?理想的な大学院生のあり方は? Ten Simple Rules for Graduate Students 「大学院生のための10個のシンプルな原則」 Ten Simple Rules for Finishing Your PhD 「学位取得のための10個のシンプルな原則」 学会発表に必要なスキル 研究者にとって、発表能力を磨くことはとても大切。良いポスターの作り方や学会での口演をうまくこなすコツは? Ten Simple Rules for a Good Poster Presentation 「ポスター発表を成功させるための10個のシンプルな原則」 Ten Simple Rules for Making Good Oral Presentations 「学会発表を成功させるための10個のシンプルな原則」 論文の書き方と通し方 論文はどうやって書けばいいのでしょうか?研究者として生きていくための最重要スキルにもかかわらず、誰もちゃんと教えてくれないという落とし穴にはまらないように。 Ten Simple Rules for Writing Research Papers 「研究論文を書くための10個のシンプルな原則」 Ten Simple Rules for Better Figures 「論文の図作製のための10個のシンプルな原則」 Ten Simple […]

投稿した論文がリジェクトされてもへこたれないために~論文を出すための10個のシンプルな原則

あなたがこの世を去って長い年月が経ったとき、あなたの科学的遺産は、主として、あなたがこの世に書き残した論文とそれらの論文が放つインパクトです。(When you are long gone, your scientific legacy is, in large part, the literature you left behind and the impact it represents.) - フィリップ・E・ボーン データを取り終え、論文を書き上げ、学術雑誌に投稿してアクセプト(受理)されてようやく仕事が一つ完結します。しかし、投稿してすぐアクセプトされることなど滅多になく、多くの場合最初にリジェクト(却下)を食らいます。何年間も心血を注いだ仕事が却下されれば、誰でもへこむもの。そこからアクセプトに持っていくところで、研究者としての力量やタフさが問われます。 では、この「論文を出す力」はどうすれば身につくのでしょうか? 若い研究者向けに行われた講演の内容に加筆してまとめた、「論文を出すためのシンプルな10原則」という記事が、以前、PLoS Computational Biology誌に掲載されました。一番大事なことは、自分の仕事をどれだけ客観的に見ることができるか。その記事Bourne PE (2005) Ten Simple Rules for Getting Published. PLoS Comput Biol 1(5): e57. doi:10.1371/journal.pcbi.0010057を以下に訳出しました。 ーーーー 論文を出すためのシンプルな10原則 フィリップ・E・ボーン 原則1:たくさんの論文を読んで、他人の優れた仕事やダメな仕事から学びなさい 批評家になるのに早すぎるということはありません。ジャーナルクラブは、グループで論文の批評を行うものですが、そのような類の対話をする素晴らしい機会 です。毎日少なくとも論文2報を詳細に読み(あなたの専門分野だけでなく)、それらの論文のクオリティについて考えることも、役に立ちます。多読のもう一つの大きな効用ーそれは自分自身の仕事をよりよく客観視するのに役立つことです。コンピューターの画面の前やラボの実験ベンチで毎晩夜遅くまで過 ごしていると、自分の仕事が画期的なものだとあまりにも簡単に思い込んでしまいます。そうではない可能性がかなり高いのですが、あなたのメン ターも同じ罠にはまってしまう可能性があるため、原則2があります。 原則2:あなたが自分の仕事を客観的に捉えられるようになればなるほど、あなたの仕事は最終的により良いものになる。 悲しいかな、自分自身の仕事を客観的に捉えることができない科学者もいます。そういう人は決して一流の科学者にはなれないのです。エディター(編集者)やレビューアー(査読者)らの客観的な物の見方を早い時期に学びなさい。 原則3:良いエディターやレビューアーはあなたの仕事を客観的にみてくれます。 エディトリアルボード(編集委員会)のクオリティが、レビューの過程がどのようなものかを示す最初のヒントになります。自分が論文発表したいと思っているジャーナルの発行人欄を見てごらんなさい。一流のエディターは、レビューが一流であることを要求しそれを実現します。サブミット(投稿)する前に、エネルギーを注ぎ込んで原稿のクオリティを上げましょう。理想的なことを言えば、レビューはあなたの論文のクオリティを上げてくれるものなのです。しかし、もし根本的な欠陥があれば、レビューアーらはそんなアドバイスをしてくれないでしょう。 原則4:英語を使いこなして書くということができていないのなら、早めにレッスンを受けなさい。後々、非常に役に立ちます。 これは文法だけの問題ではなく、もっと重要なこととして、理解の問題です。優れた論文というものは、説明が巧みなので、全くの部外者にも複雑なア […]

良い科学研究論文を能率よく書くために~実際に書くときに実践すべき7つの重要な事柄

研究分野が違えば、論文のフォーマットは大きく異なります。以下の動画はコンピュータサイエンスの分野でConference paperをどうやって能率よく仕上げるかについてのサイモン・ペイトン・ジョーンズ(Simon Peyton Jones)氏によるセミナーです。研究の進め方や論文を書くことに関しては普遍的な部分があるため、実験科学など他の分野の研究者にとっても非常に示唆に富む内容です。 Professor Simon Peyton Jones (Computer Scientist) How to Write a Great Research Paper(34分間の動画) 00:20  #1 Don’t wait: write 04:13  #2 Identify your key idea 07:18  #3 Tell a story 09:34  #4 Nail your contributions 16:44  #5 Related work: later 23:47  #6 Put your readers first 28:40  #7 Listen to your readers […]

サイエンス(Science)に論文を出す方法

ネイチャー(Nature)に論文を出す方法があるからには当然サイエンス(Science)に論文を出す方法もあります。サイエンスのエディターらが日本を含め世界各国のさまざまな大学でセミナーを行っており、そのスライドなどがインターネット上で閲覧できます。 ネイチャーとサイエンスの名前はどちらも最も権威のある学術誌としてよく並べて挙げられますが、サイエンスへの掲載に当たっては、著者らが高名な学者かどうか、権威のある研究所に属しているかどうかなどは一切関係がないことが明言されており、自分の研究分野の第一人者との議論や共同研究を論文掲載のための戦略の一つとして勧めているネイチャーとは若干異なるスタンスであるように思われます。 (PUblishing in Science: Outliers, Closers, & Leaders by Pamela J. Hines, Senior Editor, SCIENCE, AAAS http://www.docin.com/p-345432859.html) Hines noted that Science publishes research articles that “shine with quality”, stand out from the pack (i.e. are not similar to already published reports), and can be recognized as “outliers, closers, and leaders”. As she explained, an outlier […]

ネイチャー(Nature)に論文を出す方法

論文が掲載された雑誌のインパクトファクターの高さと、その論文自体の価値の高さは必ずしも一致しません。そのため、雑誌のインパクトファクターにとらわれずに論文の内容そのものを評価すべきだという議論がよくなされます。しかしながら、分野外の論文の価値を評価するのは非常に難しいため、雑誌のネームバリューで論文業績が評価されるということは避けられません。 そんなこともあって、いまどき、ネイチャー(Nature)、サイエンス(Science)、セル(Cell)(生命科学分野の場合)、あるいはそれらの姉妹紙などにファーストオーサーの論文を出していないと、アカデミックな世界でジョブマーケットに出て行くことが難しいという現実があります。テニュアトラック制度に乗っているPI(Principal Investigator)も、自分のラボからこのようなトップジャーナルに論文を出さないとテニュア獲得の可能性が下がるでしょう。 それでは一体、Natureなどのハイプロファイルジャーナル(High-profile journals)に論文を出すための秘訣や戦略のようなものは存在するのでしょうか? 日本のラボで仕事をする日本人ポスドクよりも、海外のラボに留学した日本人ポスドクの方が一流誌に論文が出やすいということはよく言われます。なぜそうなるのかといえば、海外のトップラボのボスは良い論文を書く方法論を身につけているからです。そのため、せっかく同じような実験データを得ていながら、かたやネイチャー、かたやインパクトファクターの低い雑誌という結果にもなります。 Natureに論文を出すための方法論はどこでどう身につければよいのでしょうか?もちろん、良いボスがいる一流のラボで仕事をして直接学ぶのがベストの方法ですが、実は、良い論文を書くためのワークショップをNature自身が多数開催しています。また、インターネット上で、それらの内容が公開されています。 (参照:ネイチャーライティングワークショップ http://www.jbr-pub.org/UploadFile/Nature%20Writing%20Workshop.pdf 30ページ) 良い論文というのは、我々の自然に対する理解を深めるような研究報告です。つまりConceptual Advanceがなければいけません。Conceptual Advanceがどのようなもので、それが論文掲載の決定にどう関わってくるかに関しては、 Novelty and conceptual advance • Anything that has not been published before is novel, but not all novel findings are considered interesting, or of sufficient conceptual advance, for a journal • Different journals use different criteria to gauge the level of conceptual advance and […]