「 論文の書き方 」 一覧

no image

“using” vs “by using” それとも”by”, “with”? 実験・解析の手段・方法を表す語句を正しく選ぶ

論文を書いていると、「手段」を表すときの英単語として、using とby usingのどちらを使うべきかでよく迷います。withやbyという選択肢もありますので、さらに迷います。 using? by using? with? by? 何を使えば良いのか、参考になりそうなウェブサイト、書籍、および、論文中の例を紹介します。 ‥‥ 「by using」と「using」はいずれも可能ですが、どちらにするかによって文意が微妙に異なります。「by using」によっては、Aを得るのに coupled cluster method だけで十分だというニュアンスが含まれます。(by, using, by using の使い分けについて エナゴ学術英語アカデミー)   (ある行為を描写している文の)動詞が受身形である場合には、byの目的語になりうるのはその行為を行う行為者を表す語のみだということである。つまり、その行為者が利用する道具、手段などがbyの目的語になることはありえない。(科学論文の英語用法百科 第1編 よく誤用される単語と表現 Chapter 29 147ページ) 能動態の場合でも、by の替わりに、(by) using、with、(by) employing、through、in terms of、by applying、(by) utilizing、(by) making use of、through use of、by means of、with …

なぜあなたは論文が書けないのか? 論文執筆開始からアクセプトまでの道筋が見えてくる40の質問 【書籍紹介】

実験を頑張って良い結果を得ることと、それらのデータに基づいて論文原稿をまとめることは、頭や体の使い方がまったく異なる別の作業です。事実、実験は楽しくてそれだけで満足感が得られるが、その後、論文を書くのは苦痛という大学院生やポスドク研究者は相当数います。さらに、論文原稿を書き上げてから、実際にどこかの学術誌にアクセプトされるまでがまた遠い道のりです。 Work, Finish, Publish. (Michael Faraday) 「はたらき、まとめ、出版せよ」(科学者として成功した秘訣をたずねられたときのマイケル・ファラデーの答え) (参考:学術論文作成の基本 2012エルゼビア ランチョンセミナー PDF) 論文掲載に至る途上には、研究者の気持ちをくじく障壁はたくさんあるわけですが、それを全てクリアしてめでたく論文アクセプトに持っていく底力が、研究者には要求されます。この力は論文を実際に出すことによってしか身につきません。ただし、その際、見通しが良くなるような指針があるとその苦労は軽減されます。   「なぜあなたは論文が書けないのか?」という、多くの研究者をギクッとさせるタイトルの本があります(メディカルレビュー社 2016年)。自分が責められているような気分になる人がいるかもしれませんが、ご安心を。副題は、「理由がわかれば見えてくる,論文を書ききるための処方箋」となっており、論文を書くという行動に心のブレーキをかけている研究者の心強い味方となる本です。 本書のプロローグのQ3では、まず、論文が書けない人、出せない人のパターンを4つに分けて分析しています。あなたの今の状況も、以下の4つの症状のどれかに当てはまるのではないでしょうか? 症状1:論文を書こうとパソコンに向かいはするが、どうも効率が悪い。いつまでたっても仕上がらない。 症状2:論文を書きたい、あるいは書かなければならないとは思っている。しかしどこから手をつけたらいいのかわからず、堂々巡りを繰り返している気がする。 症状3:論文を書いていはいるが、クオリティが低い気がする。それぞれのパートをどのように仕上げていったらいいかわからず、しっくりこない。 症状4:論文を一度は書き上げたもののpublicationに結びついていない。どこかの段階で止まってしまっている。 (Q3 論文作成のどこが律速段階になっているか─論文欠乏症の具体的症状を考えてみたか? より) 本書では、各々の症状に対する処方箋が章仕立てになっているので、解決策がすぐに見つかります。   IMRAD(Introduction, Methods, Results And Discussion)の解説本は多数ありますが、本当に論文をアクセプトにまで持っていくための心の持ち方、時間の遣い方や生活態度、論文の各セクションの書き方のポイントをここまで実践的に教えてくれる本は、他に例がありません。論文を書くときに一番悩ましいのがディスカッションのセクションだと思いますが、これに関しても、その必要性、目的、盛り込むべき内容、典型的な書き方のパターンなど、具体的かつ実際的な解説があります。 また、せっかく論文の原稿を書き上げたのにボスが読んでくれずに放置されているという悩みを大学院生やポスドクがしばしば口にします。この問題はQ38で取り上げられており、問題点の分析および対処法が述べられています。   論文を書かなきゃいけないのに億劫がっている人には、本書の目次だけでもかなり参考になるので、以下、目次を紹介します。 プロローグ Q1 何のためにあなたは論文を書くのか,明確な答えがあるか? Q2 論文を書くことはあなたの人生にとって無駄ではないと言い切れるか? Q3 論文作成のどこが律速段階になっているか─論文欠乏症の具体的症状を考えてみたか? CHAPTER 1 あなたが論文を書けないのには理由がある 執筆スタイルから取り組む論文作成術 Q4 学会発表は結構しているのに論文が書けていない,ということはないか? Q5 論文をイッキに書き上げようとしていないか? …

トップジャーナルに通る論文の作り方

  2017/03/24    研究力強化, 論文の書き方

トップジャーナルにとっての新規性とは、その分野の本質的な問題、すなわち一般人が疑問に思うようなクエスチョンに答える明確なメッセージがあるものであり、学術的意義のみならず社会的意義もあるものなのである。トップジャーナルに限らず、論文を書くときに大事なのは、前面にだすメッセージ性はなにかといつも問いかけることである。次に論文作成に必要なのは、ロジックの強いストーリーを構築することである。論文構築は、絵を描いたり彫刻を造ったりするようなものである。まず、図を作って大まかな流れをデッサンすることからはじまって、結果の細部を描く過程で、おさえておかなくてはいけない実験や、結論をサポートする多角的アプローチからの実験を塗り重ねていく。そして、間違った解釈をせずに良いディスカッションをするためには、次にやるべき実験の結果がでているとよい。そして、最後に、英文校閲にだし、英語独特のロジックと文体を補強し色づけを鮮やかにする。作品のメッセージ、ストーリー性、そこから湧き上がるロジックをだすために、いつも美意識を忘れないようにすることである。美しい自然の摂理を描くのだから。(「化学」2009年5月号コラム 美しい論文は必ず通る 東原和成)   Drawing on his experience, Yokoyama focused on the perspective of journal editors and how their decision-making on high impact science affects ongoing research. Editors evaluate the potential impact of individual papers by judging their conceptual advance, …

no image

aかtheか無冠詞か?理詰めで学ぶ、正しい冠詞の選び方  グレン・パケット著『科学論文の英語用法百科』第2編 冠詞用法

日本人が英語で論文を書くときの壁のひとつが、正しい冠詞を選べないことです。辞書で可算名詞か不可算名詞か調べても、まったく解決しません。抽象名詞が文脈によって可算名詞として使われたり、修飾語句によって冠詞の選択が変わる可能性があるからです。「なぜここではこの冠詞なのか」とアメリカ人の研究者に聞いても、「なんとなく」という答えしか返ってこなくて、もやもやが残るだけです。冠詞の選択を誤ると文の意味が変わってしまうことが多く、論理が一貫しない読みにくい原稿になります。しかし、そんな日本人の冠詞の悩みを解決する、福音書とでもいうべき教科書がついに刊行されました。 グレン・パケット氏が『科学論文の英語用法百科 第1編 よく誤用される単語と表現』を世に送り出したのが2004年。それから実に12年もの歳月を経て、2016年に「科学論文の英語用法百科」待望の第2編が刊行されました(全5編の予定)。第2編「冠詞用法」は、書籍タイトル通り、一冊まるまる300ページが冠詞の選び方の説明に費やされています。 ネイティブなら自然に身につけてしまう正しい冠詞の選び方のルールを徹底的な理論的考察により炙り出し、悩める日本人研究者にそれを伝授するという、実に野心的かつ教育的な本です。 冠詞用法は、正式な指導を受けるとしても僅かなものにすぎないのに、ネイティブ・スピーカーはどうにかほとんど全ての人が完璧な直感的な理解を得る。… 上述のように冠詞の特殊性を認識した結果として、冠詞用法の理論を科学的理論と同様に構築することができるということに気付いた。…当然、英語における冠詞用法を説明する理論は他にも組み立てられ、異なった個人的観点から築かれた理論はどれも内容に多少の差異があるものとなるだろう。しかし、慎重に組み立てられたものであれば、そのいずれの理論でも、ネイティブ・スピーカーに共有される同一の直感的な理解に基づくため、冠詞用法についての帰結が必ず一致するという意味で同等のものでなければならない。…英語の場合は、冠詞があるため、日本語では普段示されない情報が各名詞に対して必ず示される。冠詞により名詞の意味するものがことごとく一定の形を持つかどうか、また特定、唯一、包括的などであるかどうかについて明確な情報が伝えられる。…原文を日本語として読むときは内容について何の違和感も感じないが、英語に訳そうとすると、初めて文章中に(英語から見れば)意味が曖昧な名詞があることに気付く、ということがしばしばある。その名詞が特定のものを意味しているのか、任意のものを意味しているのか、ある種類やある範囲内の全てのもの、あるいはその一部のみを意味しているのかなど、ということが判断できないわけである。また、その情報が文脈からでも分かり得ないことは少なくない。その多くの場合、訳文での冠詞用法を誤らないためには文献を調べる必要がある。…冠詞用法の基礎となるロジックをしっかり学習した上で、たくさんの用例を対象にそのロジックを熟考すると、冠詞の正しい使い方は徐々に直感的に理解できるようになる。本書が提供する指導はまさにそういった学び方を可能にするものである。 (前書きより) 参考 『科学論文の英語用法百科』とは(京都大学学術出版会) パケット道場~初級アカデミック英語講座~  (エナゴ学術英語アカデミー):パケット道場記事一覧 Paquette道場(phpBB掲示板)

書くことは、書き直すこと (Writing is rewriting)

  2016/02/20    論文の書き方

文豪ヘミングウェイも、 「書くという行為には、書き直すという行為の一種類しかない(The only kind of writing is rewriting)」と言っています。 論文の原稿であれ何であれ、最初の草稿が一通り出来上がってから、ようやく書くという行為が始まります。どんな風に書き直すと良い文章になるのか、サイエンティフィックライティングにおける推敲の例を見てみましょう。伝えたいことが伝わる文章を書く際には、 Clarity(明晰), Concision(簡潔), Coherence(首尾一貫), Connection(つながり), Flow(流れ), Logic(論理)などがポイントになります。 How To Make Your Writing Flow 以下の動画は、スタンフォード大学のKristin Sainani博士によるサイエンティフィック・ライティングの講義。推敲のケーススタディ。 SciWrite Demo Edit 1 SciWrite Demo Edit 2 SciWrite Demo Edit 3 SciWrite Demo Edit 4 SciWrite Demo …

科学論文の書き方: タイトル、要旨、序論、実験方法、実験結果、考察

  2016/02/20    論文の書き方

科学論文は、タイトル、要旨、序論、材料と方法(ジャーナルによっては最後)、結果、そして考察から構成されています。頭文字をとって、IMRaD (Introduction、Method、Result and Discussion)と呼ばれることもあります。順序だけでなく、各々のセクションをどう書くべきかはある程度決まっており、その原則から外れた書き方をすると、科学論文としての体をなさなくなります。以下、論文の書き方を各セクションごとに説明したYOUTUBE動画やネット上の記事を紹介します。ちなみに、研究者が論文の原稿を書くときにこの順で書き進めるというわけではありません。 論文タイトル Title 論文タイトルは、論文の内容を簡潔に示したものになります。 論文要旨 Abstract 要旨には、限られた文字数の中で背景、目的、方法、重要な結果、結論、意義を含めるようにします。 Titles and abstracts イントロダクション Introduction The Introduction to a research paper needs to convince the reader that your work is important and relevant, frame the questions being addressed, and provide …

「10個のシンプルな原則」集 ~プロフェッショナルな科学研究者になるためのキャリア形成ガイド~

Ten Simple Rules(10のシンプルな原則)は、プロの研究者を目指す人が遭遇する数々のチャレンジを乗り越えるためのコツを教えるガイド集です。PLOS Computational Biology誌のヒット企画。 博士号をとるために 研究者になるためには、大学院を受験して研究室に所属し、数年間、研究のトレーニングを受けることになります。指導教官とは師弟関係としての付き合いが一生続くことになるので、研究室選び、指導教官選びは親を選ぶのと同じくらいに重要です。研究者としての運命を決定付けてしまうラボ選びで失敗しない方法は?理想的な大学院生のあり方は? Ten Simple Rules for Graduate Students 「大学院生のための10個のシンプルな原則」 Ten Simple Rules for Finishing Your PhD 「学位取得のための10個のシンプルな原則」 学会発表に必要なスキル 研究者にとって、発表能力を磨くことはとても大切。良いポスターの作り方や学会での口演をうまくこなすコツは? Ten Simple Rules for a Good Poster Presentation 「ポスター発表を成功させるための10個のシンプルな原則」 Ten Simple Rules for Making Good Oral Presentations 「学会発表を成功させるための10個のシンプルな原則」 論文の書き方と通し方 論文はどうやって書けばいいのでしょうか?研究者として生きていくための最重要スキルにもかかわらず、誰もちゃんと教えてくれないという落とし穴にはまらないように。 …

論文を出すための10個のシンプルな原則

あなたがこの世を去って長い年月が経ったとき、あなたの科学的遺産は、主として、あなたがこの世に書き残した論文とそれらの論文が放つインパクトです。(When you are long gone, your scientific legacy is, in large part, the literature you left behind and the impact it represents.) - フィリップ・E・ボーン データを取り終え、論文を書き上げ、学術雑誌に投稿してアクセプト(受理)されてようやく仕事が一つ完結します。しかし、投稿してすぐアクセプトされることなど滅多になく、多くの場合最初にリジェクト(却下)を食らいます。何年間も心血を注いだ仕事が却下されれば、誰でもへこむもの。そこからアクセプトに持っていくところで、研究者としての力量やタフさが問われます。 では、この「論文を出す力」はどうすれば身につくのでしょうか? 若い研究者向けに行われた講演の内容に加筆してまとめた、「論文を出すためのシンプルな10原則」という記事が、以前、PLoS Computational Biology誌に掲載されました。一番大事なことは、自分の仕事をどれだけ客観的に見ることができるか。その記事Bourne PE (2005) Ten Simple Rules for Getting Published. PLoS Comput Biol 1(5): e57. …

良い科学研究論文を能率よく書くために ~ 実際に書くときに実践すべき7つの重要な事柄

  2015/05/02    論文の書き方

研究分野が違えば、論文のフォーマットは大きく異なります。以下の動画はコンピュータサイエンスの分野でConference paperをどうやって能率よく仕上げるかについてのサイモン・ペイトン・ジョーンズ(Simon Peyton Jones)氏によるセミナーです。研究の進め方や論文を書くことに関しては普遍的な部分があるため、実験科学など他の分野の研究者にとっても非常に示唆に富む内容です。 Professor Simon Peyton Jones (Computer Scientist) How to Write a Great Research Paper(34分間の動画) 00:20  #1 Don’t wait: write 04:13  #2 Identify your key idea 07:18  #3 Tell a story 09:34  #4 Nail your contributions 16:44  #5 …

サイエンス(Science)に論文を出す方法

  2015/01/31    論文の書き方

ネイチャー(Nature)に論文を出す方法があるからには当然サイエンス(Science)に論文を出す方法もあります。サイエンスのエディターらが日本を含め世界各国のさまざまな大学でセミナーを行っており、そのスライドなどがインターネット上で閲覧できます。 ネイチャーとサイエンスの名前はどちらも最も権威のある学術誌としてよく並べて挙げられますが、サイエンスへの掲載に当たっては、著者らが高名な学者かどうか、権威のある研究所に属しているかどうかなどは一切関係がないことが明言されており、自分の研究分野の第一人者との議論や共同研究を論文掲載のための戦略の一つとして勧めているネイチャーとは若干異なるスタンスであるように思われます。 (PUblishing in Science: Outliers, Closers, & Leaders by Pamela J. Hines, Senior Editor, SCIENCE, AAAS http://www.docin.com/p-345432859.html) Hines noted that Science publishes research articles that “shine with quality”, stand out from the pack (i.e. are not similar to already published …