Category Archives: 医学

ギネス公認世界男性最高齢だった足寄町の野中正造(のなか まさぞう)さん(113)が死去

1905年(明治38年)7月25日生まれで、ギネスワールドレコーズ社に世界最高齢の男性と認定されていた北海道足寄町の野中正造さんが、2019年1月20日未明に自宅で死去しました。

 

野中正造さんのギネス認定

Guinness World Records has officially awarded Japan’s Masazo Nonaka the title of Oldest person living (male), at the incredible age of 112 years and 259 days. (Japan’s Masazo Nonaka confirmed as world’s oldest living man aged 112 (By Rachel SwatmanPublished 10 April 2018 guinnessworldrecords.com/news)

 

野中正造さんの長寿の秘訣

亡くなられた野中正造さんは113歳という長寿でしたが、その長生きの秘訣は何だったのでしょうか?

自由気ままに過ごし、我慢しないのが長寿の秘訣だと思う。(野中正造さんの長男の妻の徳子さん(78)談)(世界最高齢男性が113歳に 北海道の野中正造さん 3食欠かさず相撲テレビ観戦 2018.7.25 18:39 産経新聞

野中さん自身が語る長寿の秘訣は「温泉とあまいもの、こだわらないこと」とのこと。(【祝113歳】世界最高齢男性・北海道の野中正造さんが誕生日を迎える K.ナガハシ 2018年7月26日 ロケットニュース24

 

野中正造さんの旅館

野中さんは1905(明治38)年7月25日に足寄で生まれ、旅館「野中温泉」の経営を父から継承。家族と旅館内で暮らしていた。(男性世界最高齢113歳、野中正造さん死去 北海道 2019年1月20日 19時51分 毎日新聞

  1. 山の宿 野中温泉 〒089-3964 北海道足寄郡足寄町茂足寄159(民営国民宿舎Webガイド  民営国民宿舎協議会)

 

参考

  1. 野中正造(ウィキペディア)
  2. 世界最高齢男性が死去 北海道の野中正造さん(2019.1.20 16:30 産経ニュース)

 

世界初のゲノム編集ベビーを誕生させたJiankui He博士の学会発表講演動画

2018年11月27日~29日に香港で開催された第2回ヒトゲノム編集国際会議の2日目のセッション3の講演動画です。Jiankui He博士は、ヒト受精卵にCRISPR/Cas9というゲノム編集技術を適用しCCR5遺伝子を破壊した後、その胚を母親に移植し、この母親は双子の赤ちゃんを無事出産しました。

Jiankui He博士のトークのスタートは、1:18:20~。終了は1:38:29。パネルディスカッションは1:39:02~。講演タイトルは、CCR5 gene editing in mouse, monkey and human embryos using CRSPR/Cas9 です。

ゲノム編集技術を用いて「デザイナーベビー」を誕生させることは、少なくとも現時点ではオフターゲット(意図した遺伝子以外の遺伝子が破壊されること)の懸念があることから、時期尚早というのが研究者の一致した考えだと思います。そのため、Jiankui He博士のこの研究は研究倫理を逸脱したものとみなされており、新聞で多数報道されているように、強い非難を浴びています。

2018年ノーベル生理学医学賞は本庶佑博士とJames Allison博士が受賞

2018年ノーベル生理学医学賞が日本時間2018年18時30分に発表されました。

2018年ノーベル生理学医学賞発表の瞬間

Announcement of the Nobel Prize in Physiology or Medicine 2018
 

免疫制御分子の発見とがん治療への応用の研究に関して、本庶佑博士とジェームズ・P・アリソン(James Patrick Allison)博士が共同受賞しました。

【ノーベル賞受賞】本庶佑 京都大学名誉教授 記者会見

【ノーベル賞受賞】本庶佑 京都大学名誉教授 記者会見 生中継(ニコニコ生放送)(20:20終了)
ノーベル医学生理学賞に京大・本庶氏 午後7時20分から会見(2018年10月1日)

(06:06~)この度はノーベル医学生理学賞を頂くことになりまして大変名誉なことだと喜んでおります。これはひとえに、長いこと苦労してきました共同研究者、学生諸君、また、さまざまな形で応援して下さった方々、また、長い間支えてくれました家族、ほんとに言い尽くせない多くの人に感謝いたしております。1992年のPD-1の発見とそれに続く極めて基礎的な研究が、新しいがん免疫療法として臨床に応用され、そして、たまにではありますが、この治療法によって重い病気から回復して元気になった、あなたのおかげだと言われる時があると、本当に私としては自分の研究がほんとに意味があったということを実感し何よりもうれしく思っております。そのうえにこのような賞を頂き大変、私は幸運な人間だというふうに思っております。今後この免疫療法がこれまで以上に多くのがん患者を救うことになるように、一層、私自身ももうしばらく研究を続けたいと思いますし、世界中の多くの研究者がそういう目標に向かって努力を重ねておりますので、この治療法がさらに発展するようになると期待しております。また、今回の基礎的な研究から臨床につながるような発展ということで授賞できたことによりまして、基礎医学分野の発展がいっそう加速し、基礎研究に関わる多くの研究者を勇気付けるということになればわたしとしてはまさに望外の喜びでございます。
(質疑応答 10:05~)

本庶佑 京都大学名誉教授・特別教授のノーベル賞受賞記者会見【動画&書き起こし】 

報道

<ノーベル賞>医学生理学賞に 本庶佑氏 京都大名誉教授

 

2018年ノーベル生理学医学賞は本庶佑博士とジェームズ・P・アリソン博士

 

免疫制御分子の発見とがん治療への応用

 

ジェームズ・P・アリソン博士および本庶佑博士のノーベル賞授賞対象となった研究内容の説明

 

PD-1の発見とオプジーボの開発

  1. 脚光を浴びる新たな「がん免疫療法」:小野薬品のオプジーボ-京都大学・本庶佑研究室が開発をけん引(塚崎 朝子 2015.04.22 nippon.com

ゲノム編集技術CRISPR/Cas9の原理とその発見から応用までの歴史

 

CRISPR/Cas9の発明に2020年ノーベル化学賞

2020年10月7日のノーベル財団の発表によりますと、2020年のノーベル化学賞が、Jennifer A. Doudna(ジェニファー・ダウドナ)、 Emmanuel Charpentier(エマニュエル・シャルパンティエ)の両氏に与えられることになりました。

Announcement of the 2020 Nobel Prize in Chemistry  Nobel Prize

 

祝☆ノーベル化学賞2020

ノーベル賞の枠は3人。CRISPR/Cas9の有用性は直ちに認識されて熾烈な特許戦争が勃発していたわけですが、Jennifer A. Doudna(ジェニファー・ダウドナ)、 Emmanuel Charpentier(エマニュエル・シャルパンティエ)の二人がノーベル賞3人枠の中に入ることは、誰の目にも明らかでした。ノーベル賞をもらって当然と言われてきましたが、それでも、実際に本当に授賞が決まるとこれほど嬉しいものなんだなあとこの映像を見ていて思いました。

First Day in a Nobel Life: Jennifer Doudna 2020/10/07 UC Berkeley

別にノーベル賞をもらうために研究をするわけではありませんが、研究が正当に認めらることは研究者にとって非常に大事な部分なのだと思います。
 


 

ゲノム編集技術の革命的なツールであるCRISPR/Cas9(くりすぱー きゃすないん)ですが、もとはといえば、自然界においてバクテリアがウイルスから身を守るために備えているシステムです。2012年にこれがゲノム編集のツールとして利用できることが示され、わずか数年の間に、この技術を使わないラボがあるのか?というくらいにまで、研究の世界の隅々にまで浸透しました。

CRISPR技術の説明

適度な詳しさで、CRISPRをわかりやすく簡潔に説明した動画。

What is CRISPR?

  • 総説 ゲノムから見た最近の進化ーCRISPによる生存戦略ー 中川一路 Dental Medicine Research 33(3):236-241. (2013). PDFリンク 図1(A)CRISPRによる外来性因子の取り込みの機構。(2)CRISPRによる外来性因子の認識と排除

CRISPRの発見と応用技術の進展のタイムライン

CRISPR/Casが働く仕組みの解明には多くの研究者が関与しており、メジャーな発見だけでも論文が多数になるため、時系列にまとめたサイトを紹介しておきます。

 

CRISPRの発見

大阪大学微生物病研究所の研究グループが奇妙な繰り返し配列を大腸菌のゲノムで見つけ、石野 良純(いしの よしずみ)博士らが1987年に論文報告をしたのが、CRISPRが見出された最初の例です。この配列は、後の研究者によって、CRISPR、Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeatsと名付けられることになります。

Ishino Y, Shinagawa H, Makino K, Amemura M, Nakata A. (1987). Nucleotide sequence of the iap gene, responsible for alkaline phosphatase isozyme conversion in Escherichia coli, and identification of the gene product. J Bacteriol 169: 5429-5433. PDFリンク

石野博士らは、大腸菌(E. coli)のiap遺伝子の構造を調べた際に、iap遺伝子の近傍に不思議な配列があることを見出しました。29塩基からなる共通配列が、32塩基からなるスペーサー配列を挟むようにして、5回繰り返し配置されていたのです。この共通配列の内部はパリンドーム(回文構造)になっていました。

FIG. 5. Comparison of direct-repeat sequences consisting of 61 base pairs in the 3′-end flanking region of iap. The 29 highly conserved nucleotides, which contain a dyad symmetry of 14 base pairs (underlined), are shown at the bottom. Homologous nucleotides found in at least two DNA segments are shown in boldface type. The second translational termination codon is boxed. The nucleotide numbers are in parentheses.

An unusual structure was found in the 3′-end flanking region of iap (Fig. 5). Five highly homologous sequences of 29 nucleotides were arranged as direct repeats with 32 nucleotides as spacing. The first sequence was included in the putative transcriptional termination site and had less homology than the others. Well-conserved nucleotide sequences containing a dyad symmetry, named REP sequences, have been found in E. coli and Salmonella typhimurium (28) and may act to stabilize mRNA (18). A dyad symmetry with 14 nucleotide pairs was also found in the middle of these sequences (underlining, Fig. 5), but no homology was found between these sequences and the REP sequence. So far, no sequence homologous to these has been found elsewhere in procaryotes, and the biological significance of these sequences is not known.

この論文では、「現在のところ、今回見つかった配列と相同性を示す配列は他の原核生物では見つかっていない。また、この配列の生物学的な意義は不明である(So far, no sequence homologous to these has been found elsewhere in procaryotes, and the biological significance of these sequences is not known)」と述べています。

石野博士らが大腸菌で初めて見つけたこの不思議な構造が、実は他の細菌(Bacteria)や古細菌(Archaea)にも存在していることが、他の研究者らによって徐々に明らかにされていき、Mojicaらが、DNA配列のこの特徴的な構造が実は原核生物のゲノムにおいては広く一般的に存在しているのだということを2000年に報告しました。

Mojica, F.J.M., Dıez-Villasenor, C., Soria, E., and Juez, G. (2000). Biological
significance of a family of regularly spaced repeats in the genomes of Archaea,
Bacteria and mitochondria. Mol. Microbiol. 36, 244–246. HTMLリンク

この論文で、Mojicaらはこの不思議な配列をShort Regularly Spaced Repeats (SRSRs)と名づけましたが、定着しませんでした。また、論文の結論は、多くの原核生物で見出されたのだから何か共通する機能があるのではないかという問題提起にとどまっています。

The question emerges here as to whether the SRSRs have a common function in prokaryotes, or whether their presence is reminiscent of ancient sequences and their role diverged with evolution. The universality, phylogeny and biological significance of this peculiar family of repeats arises as an item to be elucidated. (Mojica eta l., 2000 結論のセクションより)

 

Cas遺伝子の発見

CRISPRという繰り返し配列が原核生物のゲノム中に広く存在することはわかりましたが、その配列の意味するところはいっこうにわからないままでした。このミステリーを解き明かす手がかりを与えたのが、Jensenらによる、CRISPR近傍に存在する遺伝子群の発見です。

Identification of genes that are associated with DNA repeats in prokaryotes. Jansen R, Embden JD, Gaastra W, Schouls LM. Mol Microbiol. 2002 Mar;43(6):1565-75. PDF link

Cas遺伝子(Cas1, Cas2, Cas3, Cas4)を報告したこの論文では、奇妙な繰り返し配列をCRISPRと名付けており、この呼称が定着しています。

To appreciate their characteri-stic structure, we will refer to this family as the clustered regularly interspaced short palindromic repeats (CRISPR). In most species with two or more CRISPR loci, these loci were flanked on one side by a common leader sequence of 300-500 b. (中略)Four CRISPR-associated (cas) genes were identified in CRISPR-containing prokaryotes that were absent from CRISPR-negative prokaryotes. The cas genes were invariably located adjacent to a CRISPR locus, indicating that the cas genes and CRISPR loci have a functional relationship. The cas3 gene showed motifs characteristic for helicases of the superfamily 2, and the cas4 gene showed motifs of the RecB family of exonucleases, suggesting that these genes are involved in DNA metabolism or gene expression. (Jansen et al., Mol Microbiol. 2002 Mar;43(6):1565-75.の論文の要旨から一部抜粋)

Cas遺伝子がヘリカーゼやエクソヌクレアーゼといったDNAの代謝に関わる酵素のモチーフを持っていたことから、この論文では、この謎の繰り返し配列を作るのにこれらのCasタンパク質が関与しているのではないかと、正しく推測していました。

The finding in this study that the CRISPR loci were strictly associated with a set of homologous genes, one of which has nucleic acid helicase motifs (the Cas3 homologues), one of which has exonuclease activity (the Cas4 homologues) and one of which has a high pI (the CasI homologues), as is often found for DNA-binding proteins, may be suggestive of a role for the Cas proteins in the genesis of CRISPR loci. (Jansen et al., Mol Microbiol. 2002 Mar;43(6):1565-75.の論文の議論のセクションから抜粋)

 

CRISPRスペーサー配列の正体

繰り返し配列の間に挟みこまれた配列の起源があいかわらず謎でしたが、ほどなくして、これがファージの配列だということがわかってきました。その結果、CRISPRはバクテリアが外敵であるファージから身を守るための仕組みなのではないかという推測がなされました。

CRISPR elements in Yersinia pestis acquire new repeats by preferential uptake of bacteriophage DNA, and provide additional tools for evolutionary studies. C. Pourcel, G. Salvignol, G. Vergnaud. First Published Online: 01 March 2005, Microbiology 151: 653-663.  HTML link

One possible explanation for that finding could be that CRISPRs are structures able to take up pieces of foreign DNA as part of a defence mechanism. In this view, it is tempting to further speculate that CRISPRs may represent a memory of past ‘genetic aggressions’. The fact that most of the spacers described in other bacteria have no homologue in the databases could still be explained by such a phage origin, as only a very small number of the existing bacteriophages have so far been sequenced. (Pourcel et al., Microbiology 151: 653-663. ディスカッションセクションより抜粋)

Clustered regularly interspaced short palindrome repeats (CRISPRs) have spacers of extrachromosomal origin. Bolotin A, Quinquis B, Sorokin A, Ehrlich SD. Microbiology. 2005 Aug;151(Pt 8):2551-61. HTML link

Here we report a correlation between the number of spacers in a locus and the resistance of  to phage infection, suggesting that CRISPRs can have a different biological role, protecting the bacteria against phage attack. (Bolotin et al., Microbiology 151(Pt 8):2551-61)

 

CRISPR-Casシステムの作用機序と生物学的な意味の解明

CRISPRの配列の中の、スペーサー配列の正体がファージなど外来ゲノム断片であることがわかり、CRISPR-Casシステムはいわばバクテリアにとっての免疫システムだと予想され、実際にそのように働くことが実証されました。

CRISPR provides acquired resistance against viruses in prokaryotes. Barrangou R, Fremaux C, Deveau H, Richards M, Boyaval P, Moineau S, Romero DA, Horvath P. Science 2007 Mar 23;315(5819):1709-12.

Clustered regularly interspaced short palindromic repeats (CRISPR) are a distinctive feature of the genomes of most Bacteria and Archaea and are thought to be involved in resistance to bacteriophages. We found that, after viral challenge, bacteria integrated new spacers derived from phage genomic sequences. Removal or addition of particular spacers modified the phage-resistance phenotype of the cell. Thus, CRISPR, together with associated cas genes, provided resistance against phages, and resistance specificity is determined by spacer-phage sequence similarity. (Barrangou et al., 2007 要旨)

Cas9–crRNA ribonucleoprotein complex mediates specific DNA cleavage for adaptive immunity in bacteria. Giedrius GasiunasRodolphe BarrangouPhilippe Horvath, and Virginijus Siksnys. 

Here, we demonstrate that the Cas9–crRNA complex of the Streptococcus thermophilusCRISPR3/Cas system introduces in vitro a double-strand break at a specific site in DNA containing a sequence complementary to crRNA. DNA cleavage is executed by Cas9, which uses two distinct active sites, RuvC and HNH, to generate site-specific nicks on opposite DNA strands. Results demonstrate that the Cas9–crRNA complex functions as an RNA-guided endonuclease with RNA-directed target sequence recognition and protein-mediated DNA cleavage. (要旨より一部抜粋)

 

CRISPRの遺伝子編集技術への応用

バクテリアなどの原核生物が持っているCRISPR/Casシステムにおいて、標的DNA配列を特異的に認識され、標的DNAが正確に切断されることがわかると、ゲノム編集ツールとしての有用性が直ちに認識されました。Casタンパク質のグループには、複合体を作って働くものや、ひとつで全ての役割を備えたものなど種類があります。Cas9は一人で全ての役割をこなす巨大なタンパク質で、これとガイドRNA(クリスパーRNA(標的配列)とトレーサーRNAを、人工的に一本鎖にまとめたもの)の2つのプレーヤーだけでゲノム編集ができてしまうという驚くべき簡便さが、応用の広さを生み出しました

A programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity.
Jinek M, Chylinski K, Fonfara I, Hauer M, Doudna JA, Charpentier E. Science. 2012 Aug 17;337(6096):816-21.

We propose an alternative methodology based on RNA-programmed Cas9 that could offer considerable potential for gene-targeting and genome-editing applications. (Jinek et al., 2012)

George Church博士やFeng Zhang博士の研究グループにより、CRISPR/Cas9システムが真核生物においても働くことが示され、ゲノム編集ツールとして人間を含めた全ての真核生物に応用する道が開かれました。

RNA-Guided Human Genome Engineering via Cas9. Prashant Mali, Luhan Yang, Kevin M. Esvelt, John Aach, Marc Guell, James E. DiCarlo, Julie E. Norville, George M. Church. Science 15 Feb 2013; Vol. 339, Issue 6121, pp. 823-826

The fully defined nature of this two-component system suggested that it might function in the cells of eukaryotic organisms such as yeast, plants, and even mammals. By cleaving genomic sequences targeted by RNA sequences (46), such a system could greatly enhance the ease of genome engineering. (Mali et al., 2013 のイントロダクションより。太字強調は当サイト)

Multiplex Genome Engineering Using CRISPR/Cas Systems. Le Cong, F. Ann Ran, David Cox, Shuailiang Lin, Robert Barretto, Naomi Habib, Patrick D. Hsu, Xuebing Wu, Wenyan Jiang, Luciano A. Marraffini, Feng Zhang. Science 15 Feb 2013:Vol. 339, Issue 6121, pp. 819-823

KS Community Lecture: Genome Editing Using CRISPR-Cas Systems

フェン・ジャン(Feng Zhang)博士による解説

ちなみに、フェン・ジャン(Feng Zhang)博士は、大学院時代にスタンフォード大学のカール・ダイセロス博士のラボでオプトジェネティクスに関する仕事をしています。

Zhang studied chemistry and physics at Harvard and graduated with the highest honors.  He then headed to Stanford University for his doctoral work, where he joined the newly formed lab of Karl Deisseroth, who had just begun to develop optogenetics as a method for manipulating brain activity. Over the next five years, Zhang played a central role in making optogenetics a reality.

In 2009, after earning a PhD in chemistry, Zhang switched his focus to genome editing. That same year, he received a prestigious three-year Harvard Junior Fellowship, during which he worked in the laboratories of two Harvard Medical School professors, Paola Arlotta and George Church. There, he helped develop a new method of gene editing through the adaptation of TAL effectors (TALEs), sequence-specific DNA-binding proteins found in plant pathogens that alter gene expression in plants.

Zhang joined the MIT faculty in January 2011 and became a core member of the Broad Institute of MIT and Harvard. (https://lemelson.mit.edu/winners/feng-zhang

 

ダウドナ博士によるCRISPRに関する基本事項の解説

  • Biology and Applications of CRISPR Systems: Harnessing Nature’s Toolbox for Genome Engineering. Addison V.Wright, James K.Nuñez, Jennifer A.Doudna. Cell Volume 164, Issues 1–2, 14 January 2016, Pages 29-44. PDF link

Jennifer Doudna: CRISPR Basics (2017 CRISPR Workshop YOUTUBE動画 Innovative Genomics Institute – IGI 2017/11/04)

 

CRISPRの発見者は誰?

CRISPRという自然現象の謎解きには多くの研究者が関わっています。また、CRISPR/Cas9を有効なゲノム編集技術のツールにするための技術開発も複数の研究グループが熾烈な競争を繰り広げています。そのため、誰がCRISPRの発見者なのか、誰が一番大きな貢献をしたといえるのかについては、見解が分かれるかもしれません。2017年度のJapan Prize(日本国際賞)は、「生命科学分野」ではエマニュエル・シャルパンティエ博士とジェニファー・ダウドナ博士の両氏が受賞しています。

シャルパンティエ博士とダウドナ博士は、「生命科学」分野において「CRISPR-Casによるゲノム編集機構の解明」という顕著な功績をあげたことが受賞理由となりました。両氏によって発表されたCRISPR-Casシステムによるゲノム編集は、遺伝子工学において従来方法と比べてはるかに安価で時間をとらず、圧倒的に容易な革命的な新技術です。どんな生物においても目的とするDNAを任意の部位で切断し、削除、置換、挿入など自在な編集を可能にしました。本技術は生命科学研究のツールとして爆発的に広がっただけでなく、育種、創薬、医療など幅広い分野で応用研究が進んでいます。(Japan Prize News No.57 Feb. 2017  PDFリンク

また、2018年度カブリ賞ナノサイエンス分野では、エマニュエル・シャルパンティエ博士、ジェニファー・ダウドナ博士、および、リトアニアのヴィルギニユス・シクスニス (Virginijus Šikšnys)博士の3人が受賞しました。

2018 Kavli Prize Winners – NANOSCIENCE (World Science Festival YOUTUBE動画)

 

ゲノム編集技術CRISPR/Cas9の特許をめぐる熾烈な争い

特許に関しては、フェン・ジャン(Feng Zhang)博士ら(ブロード・インスティチュート)の陣営と、ジェニファー・ダウドナ博士(カリフォルニア大学バークレー校)らの陣営との間で熾烈な訴訟合戦が繰り広げられており、アメリカでの裁定とヨーロッパでの裁定が異なるなど、混沌とした印象があります。

The CRISPR Patent Battle: Implications for Downstream Innovation in Gene Editing

  • 終わらないCRISPR特許論争、UCバークレーが不服申し立てMIT Technology Review エミリー マリン (Emily Mullin) 2018.05.01, 16:58)

 

CRISPRの発見からツールとしての利用まで

  • The Heroes of CRISPR  (Eric S. Lander, Cell 164, January 14, 2016) 研究者に焦点を当てた、CRISPR発見の裏話的な内容

 

CRISPR関連の略語、用語

CRISPR: clustered regularly interspaced palindromic repeats (Jansen et al., 2002 Mol Microbiol)

spacer ( スペーサー ): CRISPRに保存されたウイルスDNAの小さな断片 (参考:PDBj)

Cas: CRISPR-associated protein (Jansen et al., 2002 Mol Microbiol)

PAM: protospacer adjacent motif

crRNA: CRISPR RNA (Brouns et al., 2008 Science) 標的となる外来遺伝子配列の断片であるスペーサー配列を含む。

tracrRNAtrans-acting CRISPR RNA (Deltcheva et al., 2011 Nature) Casタンパク質と結合するための足場としての役割を担う部分。

gRNA: guide RNA (sgRNA (single-strand guide RNA, single guide RNA, short guide RNA)とも表記) 自然界では複合体を形成して働くcrRNAとtracrRNAを、ゲノム編集ツールとして利用しやすいよう、人工的にひと続きのRNAにしたもの。

Cascade: CRISPR-Associated Complex for Antiviral Defense (Brouns et al., 2008 Science) タンパク質からなる巨大な複合体で内部にCRISPR配列のRNA転写物があり、これを使って感染によるウイルスDNAと適合するものがいないか監視している。(参考:PDBj

Cas9: Cascade 9 (もしくはCRISPR associated protein 9)(参考: Roy et al., 2018 Front Genet.)2018 Cas9は、II型CRISPR系に分類される。監視タンパク質と切断を実行する部分の両方が1本のタンパク質鎖の中に収められている。(参考:PDBj) cas9 (formerly named “cas5” or “csn1”) is the signature gene for type II systems (8)(出典:Gasiunas et al., 2012;PNAS 109(39)E2579-E2586)

 

一般読者向けCRISPR解説記事

  1. CRISPR Part 1: A Brief History of CRISPR (TWIST BIOSCIENCE Dec 12, 2017)

 

遺伝子編集技術CRISPR-Casシステムの技術的な問題点

  1. ゲノム遺伝子の欠失には非常に効率の良い方法ではあるが、塩基置換や挿入の効率はまだ十分ではなく、目的の変異の導入には多くの受精卵または胚が必要である。
  2. 現在使用されているガイドRNAが認識するDNA配列は20塩基であるため、特異性はそれほど高くなく、目的としないゲノム配列にも変異が導入される可能性は否定できない。

http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/life/haihu94/shiryo2-2.pdf

 

遺伝子編集技術CRISPR-Casシステムの社会的な問題点

動物や植物の品種改良技術として使われる可能性が高い。その場合に、原理的には自然突然変異と区別がつかな
いが、遺伝子組換え食品として扱わないかは、合意が得られていない。

http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/life/haihu94/shiryo2-2.pdf

 

CRIPR-Casの種類と分類

  1. Annotation and Classification of CRISPR-Cas Systems. Kira S. Makarova and Eugene V. Koonin. Methods Mol Biol. 2015; 1311: 47–75. PDF link
  2. Cpf1 Is a Single RNA-Guided Endonuclease of a Class 2 CRISPR-Cas System. BerndZetsche, Jonathan S.Gootenberg, Omar O.Abudayyeh, Ian M.Slaymaker, Kira S.Makarova, PatrickEssletzbichler, Sara E.Volz, JuliaJoung, Johnvan der Oost, AvivRegev, Eugene V.Koonin, Feng Zhang. Cell
    Volume 163, Issue 3, 22 October 2015, Pages 759-771. Here, we report characterization of Cpf1, a putative class 2 CRISPR effector. We demonstrate that Cpf1 mediates robust DNA interference with features distinct from Cas9. Cpf1 is a single RNA-guided endonuclease lacking tracrRNA, and it utilizes a T-rich protospacer-adjacent motif. Moreover, Cpf1 cleaves DNA via a staggered DNA double-stranded break.
  3. Expanding the catalog of cas genes with metagenomes. Quan Zhang, Thomas G. Doak, and Yuzhen Ye. Nucleic Acids Res. 2014 Feb; 42(4): 2448–2459.
  4. Evolution and classification of the CRISPR–Cas systems. Makarova et al., 2011. Nature Reviews Microbiology volume 9, pages 467–477(無料Abstract

 

バイオ関連企業による研究者向けのCRISPR-Cas技術解説

 

レビュー論文

  • CRISPR/Cascade 9-Mediated Genome Editing-Challenges and Opportunities. Bhaskar Roy, Jing Zhao, Chao Yang, Wen Luo, Teng Xiong, Yong Li, Xiaodong Fang, Guanjun Gao, Chabungbam O. Singh, Lise Madsen, Yong Zhou, and Karsten Kristiansen. Front Genet. 2018; 9: 240.
  • Genome editing: A breakthrough in life science and medicine. Izuho Hatada and Takuro Horii. Endocrine Journal 63(2):105-110. (2016) PDFリンク
  • 総説 ゲノムから見た最近の進化ーCRISPによる生存戦略ー 中川一路 Dental Medicine Research 33(3):236-241. (2013). PDFリンク

 

原著論文

数が多いため主要な論文のみ挙げています。

CRISPRの発見

  1. Nucleotide sequence of the iap gene, responsible for alkaline phosphatase isozyme conversion in Escherichia coli, and identification of the gene product. Ishino Y, Shinagawa H, Makino K, Amemura M, Nakata A. (1987). J Bacteriol 169: 5429-5433. PDFリンク
  2. Unusual Nucleotide Arrangement with Repeated Sequences in the Escherichia coli K-12 Chromosome. ATSUO NAKATA,* MITSUKO AMEMURA, AND KOZO MAKINO. Department of Experimental Chemotherapy, Research Institute for Microbial Diseases, Osaka University, 3-1, Yamadaoka, Suita, Osaka, Japan 565. Received 19 December 1988/Accepted 13 March 1989 JOURNAL OF BACTERIOLOGY, June 1989, Vol. 171, No. 6 p. 3553-3556 PDF link
  3. Long stretches of short tandem repeats are present in the largest replicons of the Archaea Haloferax mediterranei and Haloferax volcanii and could be involved in replicon partitioning. F.J.M. Mojica C. Ferrer G. Juez F. Rodríguez‐Valera. molecular microbiology July 1995;17(1):85-93
  4. Biological significance of a family of regularly spaced repeats in the genomes of Archaea,
    Bacteria and mitochondria. Mojica, F.J.M., Dıez-Villasenor, C., Soria, E., and Juez, G. (2000). Mol. Microbiol. 36, 244–246. PDFリンク

Casの発見

  1. Identification of genes that are associated with DNA repeats in prokaryotes. Jansen R, Embden JD, Gaastra W, Schouls LM. Mol Microbiol. 2002 Mar;43(6):1565-75. PDF link

CRISPRが働くメカニズム と生物学的な意義(細菌に備わる防御機構)

  1. CRISPR provides acquired resistance against viruses in prokaryotes. Barrangou R, Fremaux C, Deveau H, Richards M, Boyaval P, Moineau S, Romero DA, Horvath P. Science 2007 Mar 23;315(5819):1709-12.
  2. Cas9–crRNA ribonucleoprotein complex mediates specific DNA cleavage for adaptive immunity in bacteria. Giedrius GasiunasRodolphe BarrangouPhilippe Horvath, and Virginijus Siksnys. 

ゲノム編集技術としてのCRISPR

  1. A programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity. Jinek M, Chylinski K, Fonfara I, Hauer M, Doudna JA, Charpentier E. Science 2012 Aug 17;337(6096):816-21.
  2. Multiplex Genome Engineering Using CRISPR/Cas Systems. Le Cong, F. Ann Ran, David Cox, Shuailiang Lin, Robert Barretto, Naomi Habib, Patrick D. Hsu, Xuebing Wu, Wenyan Jiang, Luciano A. Marraffini, Feng Zhang. Science 15 Feb 2013; Vol. 339, Issue 6121, pp. 819-823

CRISPRに関する最近の論文

  1. C2c2 is a single-component programmable RNA-guided RNA-targeting CRISPR effector.
    Omar O. Abudayyeh, Jonathan S. Gootenberg, Silvana Konermann, Julia Joung, Ian M. Slaymaker, David B.T. Cox, Sergey Shmakov, Kira S. Makarova, Ekaterina Semenova, Leonid Minakhin, Konstantin Severinov, Aviv Regev, Eric S. Lander, Eugene V. Koonin, Feng Zhang. Science 02 Jun 2016.
  2. Direct CRISPR spacer acquisition from RNA by a natural reverse transcriptase–Cas1 fusion protein. Sukrit Silas, Georg Mohr, David J. Sidote, Laura M. Markham, Antonio Sanchez-Amat, Devaki Bhaya, Alan M. Lambowitz, Andrew Z. Fire. Science 26 Feb 2016;Vol. 351, Issue 6276

その他のCRISPR-CASに関する論文

  1. Protospacer adjacent motif (PAM)-distal sequences engage CRISPR Cas9 DNA target cleavage.
    Cencic R, Miura H, Malina A, Robert F, Ethier S, Schmeing TM, Dostie J, Pelletier J. PLoS One. 2014 Oct 2;9(10):e109213.

 

参考

  1. Genome damage from CRISPR/Cas9 gene editing higher than thought July 16, 2018, phys.org
  2. CRISPR (ウィキペディア)
  3. Virginijus Šikšnys (Wikipedia)
  4. „Imam genų žirkles, iškerpam klaidą, ligos nelieka“ – Virginijus Šikšnys | Laikykitės ten pokalbiai(YOUTUBE動画トークショー)
  5. Lithuanian Lesson 2 – Alphabet (YOUTUBE) リトアニア語の発音
  6. Lesson One: Lithuanian Video Course (YOUTUBE) リトアニア語の発音

イタリア美女コンテスト(Miss Italia 2018)で義足のキアラ・ボルディ(Chiara Bordi)さんが3位に

イタリア美女コンテスト(Miss Italia 2018)の決勝進出を決めた義足のキアラ・ボルディ(Chiara Bordi)さんは、足がないから選ばれただけだという誹謗中傷を受けていたそうです。決勝大会においてボルディさんは3位に入賞しました。キアラ・ボルディさんはモデルの仕事をしているそうです。

ミスイタリア2018上位3位の発表の瞬間

Miss Italia 2018 Top 3 Announcement

ミスイタリア2018で3位に入ったキアラ・ボルディ(Chiara Bordi)さんのインスタグラム報告

 

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Il mio percorso a @missitalia si conclude con un bellissimo terzo posto ed io non potrei essere più felice di così! Dire che è stata un’esperienza fantastica penso sia scontato, non mi aspettavo tutta questa soddisfazione che, dopo tutto lo sforzo, la fatica, la stanchezza credo sia anche normale dietro alla diretta di ieri c’è tanto tantissimo lavoro e tante persone e io mi sento di ringraziare ognuna di loro. Hostess, fotografi, organizzatori, truccatori, parrucchieri, sarti, coreografi, (e chi più ne ha più ne metta) tutti che ci mettono il proprio e tutti che subiscono lo stress che spesso questo ambiente può portare ma che, alla fine, da tante soddisfazioni. E poi non posso non ringraziare le altre 32 finaliste, ho avuto modo di conoscere caratteri, personalità, storie diverse che provengono da tutte le parti d’Italia e mi sono affezionata ad ognuno di loro in un modo unico. Nonostante tutto c’è sempre stato un clima gioioso e, alla fine, posso dire di essermi trovata veramente come in una seconda famiglia. Che dire, ho aspettato tantissimo il momento di tornare a casa e, ora che si avvicina, ora che è il momento dei saluti mi cresce un nodo in gola e sì, mi mancherà tutto questo. Di me posso dire che mi sento cambiata, mi sento più forte, più sicura. Ho sempre detto che “speravo” che il mio messaggio arrivasse a quante più persone possibili, oggi, il giorno dopo la finale, mi sento veramente bene con me stessa perché io ci ho messo veramente tutto, e tutto questo è ripagato da tutti i messaggi che mi sono arrivati, da tutto il sostegno (e vi faccio un ringraziamento enorme perché mi avete dato sempre un motivo in più per non buttarmi giù), da tutte le persone che mi hanno salutato dicendomi “ti porterò sempre nel cuore”. Non c’è cosa che mi rende più felice, non c’è vittoria più bella! GRAZIE per avermi fatto vivere tutto questo, sarà sempre uno dei ricordi più belli da portare con me. #missitaliafaladifferenza #MissItalia2018 #terzaclassificata #ilimitisonosolomentali #grazie

Chiara Bordiさん(@chiarabordi_)がシェアした投稿 –

(https://www.instagram.com/p/Bn4Lq97hMzm/ イタリア語→英語 グーグル翻訳)
My path to @missitalia ends with a beautiful third place and I could not be happier than that! To say it was a fantastic experience I think it was obvious, I did not expect all this satisfaction that, after all the effort, fatigue, fatigue I think is also normal behind yesterday’s live there is so much work and so many people and I feel like thanking each one of them. Hostesses, photographers, organizers, make-up artists, hairdressers, tailors, choreographers, (and so on and so forth) everyone who puts their own and everyone who undergo the stress that often this environment can bring but that, in the end, from many satisfactions. And then I can not but thank the other 32 finalists, I got to know characters, personalities, different stories that come from all parts of Italy and I am attached to each of them in a unique way. Despite everything there has always been a joyful atmosphere and, in the end, I can say that I really found myself in a second family. What can I say, I have waited so long to go home and now that it is approaching, now that is the time of greetings I grow a knot in my throat and yes, I will miss all this. I can say that I feel changed, I feel stronger, more confident. I have always said that “I hoped” that my message would reach as many people as possible, today, the day after the final, I feel really good about myself because I have really put it all, and all this is repaid by all the messages that I have received, from all the support (and I thank you so much because you have always given me one more reason not to throw me down), from all the people who greeted me saying “I will always carry you in the heart”. There is nothing that makes me happier, there is no more beautiful victory!
THANK YOU for letting me experience all this, it will always be one of the best memories to take with me.

 

報道

【9月18日 AFP】イタリアのミスコンテスト「ミス・イタリア(Miss Italy)」で、ソーシャルメディア上で激しい中傷を浴びていた義足の女性が18日、ファイナリストとして決勝大会に出場した。 ファイナリスト3人のうちの1人に選ばれたキアラ・ボルディ(Chiara Bordi)さん(18)は、13歳の時に交通事故で脚を失った。 だが決勝大会前の数日間、ボルディさんを中傷する人々と応援する人々の間では言い争いが続いていた。 決勝大会に進出できたのは「単に体が不自由だから」との中傷を受けたボルディさんはフェイスブック(Facebook)に、「私には脚がない。けれどあなたたちは心と頭を失っている」と投稿。(義足の女性がミス・イタリア決勝大会に進出、激しい中傷浴びる中 AFP BB NEWS 2018年9月18日 23:27)

  1. Model who lost her leg in a moped accident when she was just 13 comes THIRD in Miss Italy finals – despite online trolls saying she was only in the competition because she’s ‘crippled’ (Mail Online By EMILY CHAN FOR MAIL ONLINE PUBLISHED: 15:44 BST, 18 September 2018 | UPDATED: 19:01 BST, 18 September 2018)
  2. A Prosthetic Leg & Insults Didn’t Stop This Italian Teen From Being A Beauty Pageant Finalist ( KC Archana India Times Updated: September 19, 2018)
  3. Handicap, Insults Don’t Deter This Italian Beauty From Being A Finalist   Chiara Bordi, lost her leg in a bike accident when she was 13, was chosen as one of three finalists of Miss Italy 2018
    (NDTV Updated: September 19, 2018 04:10 IST )

 

ミスイタリア2018の模様

Miss Italia 2018 La Finale 17-09-2018 19-20 Parte 1

Miss Italia 2018 – La Finale 17-09-2018 21-15 Parte 2. Vince Carlotta Maggiorana

 

キアラ・ボルディ(Chiara Bordi)さん

キアラ・ボルディ(Chiara Bordi)さんのインタビュー動画

Teen Model Slays In Crystal Prosthetic Leg | SHAKE MY BEAUTY

NHKスペシャル「ニッポン“精子力”クライシス」

NHKスペシャル「ニッポン“精子力”クライシス」7月28日(土) 21:00〜21:49

以下、番組の内容をかいつまんで紹介します。

ニッポン“精子力”クライシス

驚きの精子数減少

過去数十年の間に男性の精子数が半減していたという研究があるそうです。さらに、日本人の精子数は他国と比べても少なかったとか。

NHKスペシャルでは精子力をアップさせる方法を紹介。2週間で精子力を取り戻せ!番組の後ろには、「精子くん」たちがうごめいていて、ゲストの方たちはやりにくそうにしています。

【出演】YOU,徳井義実,鈴木おさむ,獨協医科大学 医師…岡田弘,【司会】武田真一,【語り】小倉久寛 (NHK)

「精子くん」たちは何のためにいるのかと思いきや、「精子減少」とか「運動率の低下」、「精子のDNAの損傷」などを演じてみせてくれていました。この3つが、精子力クライシスの中身だそうです。

日本人の精子力調査:28人平均35歳男性

番組の調査に参加した人たちは、精子力に自信のある人たちが多かったようです。検査当日の朝に採取した精液を持ち寄って、いざ検査。受精のためには、精液1ml中に1500万以上、運動率は40%が望まれるそうです。

精子数はOKなのに、多くがとまっていて運動率が足りない人も。また、精子数や運動率はOKなのに、DNAの損傷している割合が全体の26%もあった人など。22%超で自然妊娠が困難といわれているそうです。

自信満々で参加したのに、28人中9人は、基準を下回ったという結果になりました。

722人の精子力 大規模調査

不妊リスクが21%というデータも。現在の日本の初婚平均年齢は31歳だそうですが、この年齢だともう精子力が低下しているということだそうです。ゲストの徳井さんは42歳だそうですが、かなりショックを受けた模様。ヨーロッパでは過去50年間で精子数が半減したというデータがありますが、医師らは日本でも同様の傾向になっているのではないかと疑っています。

折角受精しても流産になる原因には、精子の問題があるそうです。医師の解説では50%は男性側の問題とのこと。

 

性欲と精子力は必ずしも一致しない

ゲストが盛り上がっていましたが、医師も同様の意見で、お盛んな男性の精子力も高いとはいえないとのこと。ゲストの徳井さんの精子力が番組で公開されました。精子数は3636万(自然妊娠のための基準は1500万)、運動率は31%(動いていた精子の数の割合が31%ということ。基準は40%)DNA損傷率は10.4%(基準は22%)という結果でした。一応、面目を保ったようです。

 

精子の受精能力が低下している原因は?

交際相手の女性を喜ばせてあげたいと思って番組の調査に参加した40代男性の結果は、運動率がかなり悪いという結果に。タバコは吸わず、お酒もそれほど飲んでいないというこの男性、なぜ精子力が低下しているのか、精密検査を受けることに。体に活性酸素が溜まり、酸化ストレスが上昇している状態ということが指摘されました。医師の解説によれば、生活習慣の影響を指摘されていました。

 

精子力を低下させる生活習慣

会社から帰宅してずっとPCやテレビを1時間以上も流し見しながら、ずっと座りこんでいるのは、血行に悪いし良くないということ。精巣の血管の血流が悪くなるのは精子にダメージを及ぼすのだそうです。1日5時間以上もテレビを座ってみる人は精子数が30%も少なくなっていたという外国での調査結果があるそうです。ほとんど座りこんだり寝そべっているだけで動かない生活というのはかなり良くないみたいです。

食生活ももちろん大事です。動物性脂肪酸が多い油ものばかり食べているような男性の1人暮らしにありがちの食生活はまずいのです。食事においては、飽和脂肪酸を減らし、オメガ3など魚から摂取するのが良いという医師の解説。

他の要因としても男性ホルモンの一種であるテストステロンの量が低いということを指摘された、番組調査参加者の男性も。この男性は部屋が明るい状態で寝ていることが多くて、それを医師に指摘されていました。睡眠不足はまずいのだそうです。夜勤もあって深く眠れない日が多いというこの男性の場合は、睡眠の量や質の問題を指摘されていました。

 

精子力を低下させる要因

番組では、運動不足、座りすぎ、過度な飲酒、喫煙、脂肪過多、睡眠不足、ストレス、カフェイン取りすぎ、などが挙げられていました。

 

精子バンク

番組では、男性不妊がどうしようもない場合に、精子バンクを利用したという例も紹介されていました。欧米の精子バンクを利用する日本人が増加傾向にあるんだそうです。世界最大の精子バンクはデンマークにあって、日本を含む世界中の国々に提供しているのだそうです。女性からのリクエストはこの10年で5倍という人気。身長、学歴、精子力などで価格が決まっています。

 

精子力の衰えとさまざまな病気との関係

精子の数が少ない人は、糖尿病リスクが50%、心臓疾患のリスクが40%高いという調査結果もあるそうです。これは因果関係を示すわけではなく、生活習慣などのせいで相関関係が生じていると解釈されるようです。つまり、精子数が健康のバロメーターになっているという解説でした。

精液を遠心分離して得られる「精しょう」を分析すると、血液を分析するよりももっと詳細に現在の健康状態がわかるのだそうです。

 

精子力アップのための生活改善

精子はおよそ74日のサイクルでできてくるそうです。番組では、精子力が低かった男性らに、精子力アップの提案をしました。コタツを片付けて、へやの中でも動きまわる機会を増やす。ジョギングをする。食生活を改善する。遮光カーテンをつかって睡眠の質を上げる、など。半月ほど生活を改善した後に、精液検査をしたところ、2週間でテストステロンが倍増していました。また酸化ストレスの指標が3週間でかなり減少したりしました。精子数、運動率、DNA損傷の指標においても、これらの被験者の数値は改善が見られました。薬を飲んだりしたわけでなく、手軽に始められる生活の改善を実行した結果だというのが、みそですね。

 

禁欲の是非

ちなみに、精子力アップのためには、「禁欲」はしなくて良いそうです。禁欲する日数は2日くらいで十分だろうというのが医師のアドバイスでした。何日間も「溜める」ことは勧めないとのこと。

以上、NHKスペシャル「ニッポン“精子力”クライシス」の番組の内容を、概要ですが紹介しました。

 

男性不妊

不妊の責任が男性側にあることが半数

日本で2016年に行われた体外受精は44万7790件で、出生児の約18人に1人に当たる5万4110人が誕生。件数も出生数も過去最多を更新した。日本において最初に体外受精児が誕生したのは1983年、東北大でのことである。それから24年で、合計約53万6710人が誕生している。 しかし、日本の不妊治療には、大きな問題がありそうだ。というのも、不妊治療を受けている患者数が世界第1位にもかかわらず、その治療による出産率が世界最下位。つまり、世界で「一番不妊治療が行われている国」であるにもかかわらず、「一番出産できない国」なのだ。 日本の不妊治療の成績がなぜ振るわないのか。原因の1つには、「精子の異常」に対する認識の低さがある。一般的に不妊原因は女性側にあると思われがちだが、実は約半数を男性側が占める。2017年のWHO(世界保健機関)の報告では、男性不妊が24%、男女両方の不妊が24%であり、不妊の約半数に当たる48%が男性側に何らかの原因があることがわかる。(不妊の半数は男性が原因!「精子自体の異常」に関心高まる 2018.9.18 草薙厚子 DIAMOND online)

 

不妊治療で最初に精子検査をすべき理由

なかなか赤ちゃんを授からない場合、不妊原因は女性側にあると思われがちですが、実は、約半数は男性側の精子にも原因があるのです。 また、あまり知られていませんが、精子の機能を正確に把握することによって、女性側の不妊検査の項目(どの検査をやるべきなのか)と治療方針(どのような不妊治療技術を試みるべきなのか)を見通すことができますので、最初に精子の検査を受けていただく方が大変効率が良いのです。当院では精子の検査(精子機能の精密検査:後述)を最初に実施しております。(黒田優佳子先生 黒田インターナショナルメディカルリプロダクション院長)(妊活は一番初めに男性の「精子検査」をやるべき理由 2018.08.27
草薙厚子 女子SPA!)

 

精子異常に関して

『本当は怖い不妊治療』(SB新書)の監修者でヒト精子の専門家である黒田優佳子医師の解説が掲載された最近の記事も紹介しておきます。

「実は男性不妊が不妊原因の約半数を占め、その大半は精子形成障害です。精子形成障害の場合、単に精子数や運動率が低下するだけではなく、ほとんどの場合に精子の品質の低下、すなわち精子の機能異常を伴います。その背景には、遺伝子の問題が関与している場合が多いため、原因が明らかとなることはむしろ少ないのです。 そのため、精子形成障害に対する根治療法は、いまだに確立していません。そこで、顕微授精という技術が登場して1匹でも精子がいれば妊娠できるというイメージが先行した結果、対症療法として顕微授精が男性不妊治療の主流になり、全体の80%を占めるまでに至りました」(黒田優佳子医師)(不妊の半数は男性が原因!「精子自体の異常」に関心高まるDIAMOND online 草薙厚子 2018.9.18)

 

精子力アップのヒント

陰嚢(いんのう)を体に密着させるブリーフよりも、ゆったりとした構造で陰嚢が体に密着しないトランクスのほうが、精子の生成に関して良い影響を与える――。こうした通説が、米ハーバード大学の研究者らによる大規模な調査で裏付けられた。 トランクス着用で「精子の量と質」が向上:最新調査で裏付け (2018年8月13日(月)15時00分 高森郁哉 Newsweekニュースウィーク日本版)

不妊に悩む男性の8割は、精子をつくる機能に問題があるとされる。食事や生活習慣を見直して精子の状態が改善する人もいて、治療の選択肢は広がっている。 横浜市立大生殖医療センターの湯村寧(やすし)部長らは2012年4月~15年9月、不妊男性66人にビタミン剤や漢方薬をのんでもらった。 治療前と治療後1カ月、3カ月で精子の運動率や濃度が上がり続けた人は約半数の34人、うち13人は妊娠に結びついた。ビタミンEは抗酸化作用、ビタミンB12は精子をつくる機能を高めると期待されるという。(不妊男性8割、精子に問題 専門家「生活習慣見直しを」 2018年8月23日12時33分 福地慶太郎  朝日新聞デジタル)

 

精子で健康診断

精液検査を専門に行うベンチャー企業も登場している。 自宅で採取した精液を専用の検査キットで郵送することで、男性医療の面からわかる健康状態を判断するサービスの実用化が進んでいるのだ。 検体を採取する――という行為を考えたとき、血液や尿が医療機関で簡単に取れるのに対して、精液を取り出すにはひと手間かかる。この問題を「郵送キット」はクリアする。自宅で採取して郵送する――という形をとることで、プライバシーが保たれるのだ。(男性の「精液」が医療検査で注目されている理由 「性差医療」の最先端で何が起きているのか 2018/08/25 長田 昭二 文春オンライン)

 

卵の老化と不妊

話題が別になりますが、女性側の問題として卵の老化に関しても過去のNHKスペシャルで特集されています。

卵の老化

NHKスペシャル「産みたいのに産めない~卵子老化の衝撃~」

 


 

参考

  1. 徳井義実 ヨギータ 「性欲ノ、バケモノヤデ!」

 

関連記事

 

東京医科大、東邦大学医療センター、資生堂が自家毛髪培養細胞を用いた臨床研究を開始

脱毛症や薄毛に悩む人たちを対象とした毛髪再生医療の臨床研究を開始することを、2016年6月27日に東京医科大学が発表しました。この臨床研究は、東京医科大学の坪井良治主任教授、東邦大学医療センター大橋病院の新山史朗准教授および株式会社資生堂再医療開発室からなる共同研究チームにより行われます。

毛髪再生の方法は、まだ毛が残っている後頭部から数ミリの広さの頭皮を採取し、毛球部毛根鞘という特定の細胞だけを取り出して培養した後、毛が無い部分にその細胞を移植するというものです。頭皮組織の採取は東京医科大学病院および東邦大学医療センター大橋病院で行い、特定の細胞を取り出して培養する過程は資生堂の細胞加工培養施設で行われます。おなじ被験者の脱毛部へ培養した細胞を戻すステップは再び病院で行われます。

この臨床研究で毛髪再生のカギとなるのが、毛根鞘という特定の細胞を増殖させる技術で、資生堂は、この技術を開発したRepliCel(レプリセルライフサイエンス社)と提携しています。

RepliCel(レプリセルライフサイエンス社)は、健康な細胞の不足により引き起こされた症状の治療、機能回復のための細胞治療の開発を行う再生医療開発会社です。

製品概要:RCT-01、RCS-01及びRCH-01はそれぞれ慢性腱症、老化・紫外線等による皮膚ダメージ及び脱毛症の治療を目的とした細胞治療製品です。

パートナー契約:当社は、資生堂と2013年に日本、中国、韓国を含むアジア全域を対象としたRCH-01(毛髪再生医療技術)のライセンス契約を行いました。(RepliCel-Fact-Sheet-Feb-2016-Japanese1.pdf)

Shiseido Talks RepliCel Technology – Part 1

Shiseido Talks RepliCel Technology – Part 2

参考

  1. 毛髪再生医療の確立へ向けた臨床研究を開始~東京医科大学が、東邦大学医療センター大橋病院および株式会社資生堂と提携し、脱毛症や薄毛に悩む患者さんのQOK向上に貢献へ~ プレスリリース 2016年6月27日 東京医科大学 東邦大学医療センター大橋病院 株式会社資生堂
  2. 生涯フサフサ時代がやってくる?自分の頭皮細胞から毛髪を再生 東京医科大などが年内に臨床研究 (日刊工業新聞 2016年6月29日):”東京医科大学皮膚科学分野の坪井良治主任教授らの研究グループは、東邦大学、資生堂と共同で、加齢に伴い薄毛になる症状「壮年性脱毛症」の患者の毛髪を細胞移植により再生する治療法の臨床研究を2016年中に始める。”
  3. 朗報!「毛髪再生」へ臨床研究始まる 「自分の細胞」培養、女性にも優しい技術 (J-Cast 2016/6/29 18:30):”東京医科大学と東邦大学、資生堂は2016年6月27日、中年以降に脱毛症や薄毛になる患者の毛髪を再生させる臨床研究を今年から始めると発表した。”
  4. 東京医大や資生堂、毛髪再生へ今年から臨床研究 (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2016年06月28日 08時03分):”東京医科大学や資生堂などは27日、中年以降に薄毛となる脱毛症の患者の、毛髪を再生させる臨床研究を今年から始めると発表した。”
  5. 東京医大など、自家細胞移植による毛髪再生医療確立に向けた臨床研究を開始 (マイナビニュース 小林行雄 2016/06/27):”東京医科大学(東京医大)、東邦大学、資生堂の3者は6月27日、脱毛症や薄毛に悩む患者を対象に、医師主導の臨床研究を開始すると発表した。”
  6. 資生堂が研究する画期的新技術 あと2年で薄毛が治る? (NEWSポストセブン 2016.03.09 07:00):”まず、脱毛症や薄毛に悩む患者の後頭部から毛がある頭皮を直径5mmほど切り取り、「底部毛根鞘細胞」を取り出す。続いて特殊な技術を用いてこの細胞を数百万個まで培養した後、患者の脱毛部位(主に頭頂部や生え際)に注射器で注入する。”
  7. NHK サイエンスZERO No.502細胞技術が毛髪再生を変える2015年4月19日 放送 (NHK): “大手化粧品メーカー 再生医療開発室・室長 岸本治郎さん 細胞培養で毛髪の再生医療をめざす。 理化学研究所 多細胞システム形成研究センター 器官誘導研究チーム・リーダー 辻孝さん 上皮系と間葉系の2種類の細胞を使って、マウスの毛の再生に成功した。 杏林大学 医学部 皮膚科 教授 大山学さん ヒトiPS細胞を上皮系細胞に分化させ、マウスで「毛包」の部分的な再生に成功した。”
  8. 髪フサフサ再び 資生堂、再生医療で商機探る 慶応大、iPSで毛包作成(日本経済新聞2014/6/1 7:00):”資生堂は毛髪の再生医療事業に参入する。神戸市に拠点を開設、今秋にもカナダのベンチャーが開発した再生医療製品の提供を開始する予定だ。”
  9. Shiseido Opens Research Facility Dedicated to Hair Regeneration – Shiseido Cell-Processing and Expansion Center –  (businesswire.com April 21, 2014 10:00 PM Eastern Daylight Time): “Shiseido Co., Ltd. (TOKYO:4911) announces plans to open the Shiseido Cell-Processing and Expansion Center (SPEC) on May 1, 2014. The center, located in the in the Kobe Biomedical Innovation Cluster in Kobe, Japan, will centralize research and development on hair regenerative medicine with an aim toward commercialization.”
  10. RepliCel Receives Japanese Patent Covering its Hair Regeneration Technology (replicel.com January 13, 2014): “RepliCel Life Sciences Inc. (OTCQB: REPCF) (TSXV: RP) today announced that it has been granted a patent by Japan’s Ministry of International Trade and Industry for hair follicle mesenchymal stem cells and their use thereof. These cells are used in RepliCel’s RCH-01 treatment for androgenetic alopecia, also known as pattern hair loss. With the issuance of this patent, RepliCel now has patents issued in Japan, the United States, Australia and the European Union protecting its technology with other jurisdictions still pending. This patent approval is an important milestone as RepliCel’s licensing partner, Shiseido Company, prepares to conduct human clinical trials using RCH-01. Shiseido has an exclusive license to use RCH-01 in Japan, China, South Korea, Taiwan and the ASEAN countries representing a population of approximately 2.1 billion people.”
  11. RCH-01 – Hair Regeneration DSC Cell Therapy – Treatment for Androgenetic Alopecia (replicel.com):”RCH-01 is an autologous cell therapy utilizing dermal sheath cup (DSC) cells isolated from the hair follicle to treat androgenetic alopecia. ” Replicel.com | RCH-01 Technology Video  

若年者では抗うつ剤とプラセボに差なし LANCET

  1. 9~18歳の5260人を対象に行われた34件の臨床試験を調査
  2. 有効成分を含有しない偽薬より高い抗うつ作用がみられたのはフルオキセチンのみ(YAHOO!JAPANニュース/AFPBB News  6月9日

Comparative efficacy and tolerability of antidepressants for major depressive disorder in children and adolescents: a network meta-analysis (THE LANCET Published Online: 08 June 2016 DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(16)30385-3)

この論文で調査対象とされたのは、以下の14種類の抗うつ剤です。

  1. amitriptyline アミトリプチリン(トリプタノール、ラントロン) 第1世代三環系抗うつ薬
  2. citalopram シタロプラム(セレクサ)選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)。日本では未承認
  3. clomipramine クロミプラミン (アナフラニール)第1世代三環系抗うつ薬
  4. desipramine デシプラミン(パ-トフラン) 三環系抗うつ剤
  5. duloxetine デュロキセチン(サインバルタ) セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
  6. escitalopram エスシタロプラム (レクサプロ)  選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI)。シタロプラムの光学異性体のうちのS体
  7. fluoxetine フルオキセチン(プロザック) 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)。日本では未承認
  8. imipramine イミプラミン (イミドール、トフラニール) 第1世代三環系抗うつ薬
  9. mirtazapine ミルタザピン(レメロン、リフレックス) 四環系抗うつ薬。ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSA) 。
  10. nefazodone ネファゾドン(サーゾーン) セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
  11. nortriptyline ノルトリプチリン(ノリトレン) 第1世代三環系抗うつ薬
  12. paroxetine パロキセチン(パキシル) 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
  13. sertraline セルトラリン(ジェイゾロフト) 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
  14. venlafaxine ベンラファキシン(イフェクサー) セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)

参考

  1. Comparative efficacy and tolerability of antidepressants for major depressive disorder in children and adolescents: a network meta-analysis (THE LANCET Published Online: 08 June 2016)
  2. The Lancet: Most antidepressant drugs ineffective for children and teens, according to study (EurekAlert! Public Release: 8-Jun-2016)
  3. Most antidepressants not working for children and teenagers – study (The Guardian Thursday 9 June 2016 01.48 BST)
  4.  「サインバルタがこんなに効くなんて思いませんでした」という言葉 (kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ) 2016-02-26 20:57:39):”結果だが、サインバルタの10㎎は目が覚めるように奏功したのである。同時に、もはや必要でなくなった薬を整理できた。彼女は、「サインバルタがこんなに効くなんて夢にも思いませんでした」と話していた。また、全ての感性が生き返ったと表現していた。臨床的に、患者さんの忍容性は時間が経つと変化することは良く経験する。”
  5. 『うつの8割に薬は無意味』 (井原 裕 朝日新聞出版 2015/5/13)
  6. サインバルタカプセル(デュロキセチン)の効果・特徴 (せせらぎメンタルクリニック|精神科・心療内科 2014.03.25) :”効果が強いわりには副作用も少なく、従来の抗うつ剤が苦手としていた「意欲」へ効果を示す点が、サインバルタが支持されている理由でしょう。意欲低下が主体のうつ病の患者さんや他の抗うつ剤で意欲が今ひとつ改善しない患者さんによく用いられます。”
  7. Irving Kirsch. Antidepressants and the Placebo Effect. Z Psychol. 2014; 222(3): 128–134. Abstract: Antidepressants are supposed to work by fixing a chemical imbalance, specifically, a lack of serotonin in the brain. Indeed, their supposed effectiveness is the primary evidence for the chemical imbalance theory. But analyses of the published data and the unpublished data that were hidden by drug companies reveals that most (if not all) of the benefits are due to the placebo effect. Some antidepressants increase serotonin levels, some decrease it, and some have no effect at all on serotonin. Nevertheless, they all show the same therapeutic benefit. Even the small statistical difference between antidepressants and placebos may be an enhanced placebo effect, due to the fact that most patients and doctors in clinical trials successfully break blind. The serotonin theory is as close as any theory in the history of science to having been proved wrong. Instead of curing depression, popular antidepressants may induce a biological vulnerability making people more likely to become depressed in the future.
  8. 抗うつ薬は本当に効くのか アービング・カーシュ (Irving Kirsch) 2010年 エクスナレッジ
  9. Irving Kirsch. Challenging Received Wisdom: Antidepressants and the Placebo Effect. Mcgill J Med. 2008 Nov; 11(2): 219–222.
  10. 抗うつ薬の時代―うつ病治療薬の光と影 デーヴィッド ヒーリー (David Healy) 2004年 星和書店
  11. 獨協医科大学越谷病院 こころの診療科 “当科は本邦の大学病院で唯一の「薬に頼らない精神科」です。患者さまは精神科に、薬物療法だけを求めているわけではないはずです。本邦精神医学の薬物療法偏重(いわゆる「薬漬け」)の現状に抗して、私どもは一石を投じるべく療養指導・精神療法中心の治療をめざしています。過量処方に疑問をお感じの患者さま、強力な薬物療法を希望しない患者さまは、どうぞ当科へおこしください。” “うつ・不安の患者さまのほとんどは、睡眠時間の極度の不足、不安定な睡眠相、過度の飲酒(成人の場合)、極端な運動不足、対人交流の乏しさなど、生活習慣 上の問題を伴っています。それらを医師の指導のもとに少しずつ是正していけば、必ずしも薬物を使わなくても、諸症状は軽快します。不眠の場合も、就床・起 床パターンと日中の活動量の見直しによって、強い睡眠薬を使わなくても治っていきます。”
  12. プラセボとは?(武田薬品工業株式会社):”乳糖やでんぷんなど、くすりとしての効き目のないもので錠剤やカプセル剤をつくり、頭痛の患者に本物のくすりとして服用してもらう実験をすると、半数くら いの人が治ってしまうこともあります。くすり(に似たもの)を飲んだという安心感が、体にひそむ自然治癒力を引き出すのかもしれません。これを「プラセボ効果」といいます。”

 

死亡原因第1位心疾患 2位がん 3位は医療ミス

死亡原因第1位心疾患、2位がん、3位は医療ミス。年間少なくとも25万人が医療ミスで死亡と米国ジョンズホプキンス大学の研究者が英医学誌BMJ誌に報告

医師が切除部位を間違えたり患者を取り違えたりといった医療ミスがこのほど、米国で心疾患とがんに続く3大死因に浮上する可能性があるという研究結果が、英医学誌BMJの最新号に発表された。…米国では年間少なくとも25万1454人が医療ミスで死亡していると研究チームは推計。この数字には自宅や老人ホームで死亡した症例は含まれないことから、実際の死者数はこれを大幅に上回ると推測している。米国人の死因、第3位は「医療ミス」か 推計25万人が死亡 ヤフーニュース / CNN.co.jp 5月4日(水)16時18分配信

In fact, the study, from doctors at Johns Hopkins, suggests medical errors may kill more people than lower respiratory diseases like emphysema and bronchitis do. That would make these medical mistakes the third leading cause of death in the United States. That would place medical errors right behind heart disease and cancer. (Medical errors may be third leading cause of death in the U.S. By Jen Christensen and Elizabeth Cohen, CNN Updated 0147 GMT (0947 HKT) May 4, 2016)

 

Medical error—the third leading cause of death in the US
BMJ 2016; 353 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i2139 (Published 03 May 2016)

論文中の図によると、2013年のアメリカにおける死亡原因の第1位は心疾患で61万1000人、2位はがんで58万5000人、3位が医療ミスで25万1000人、4位はCOPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease 慢性閉塞肺疾患)で14万9000人、5位は自殺で4万1000人、6位と7位はそれぞれ3万4000人で銃器による死亡と交通事故死が同位に並んでいます。

武田薬品が10年間で200億円を京大CiRAに提供

傷害誘導筋細胞由来幹細胞様細胞iMuSCs

Injury induced population of muscle-derived stem cell-like cells (iMuSCs)

かつてSTAP細胞の論文を掲載し取り下げたネイチャー誌を発行するネイチャー・パブリッシング・グループのオープン・アクセス・ジャーナル「サイエンティフィック・リポーツ」にCharacterization of an Injury Induced Population of Muscle-Derived Stem Cell-Like Cells“(doi:10.1038/srep17355)と題する論文が2015年11月27日に発表されました。筋肉を傷付けたあとで取り出して培養すると、筋肉に分化していた細胞が脱分化して多能性を獲得した細胞(iMuSCs)ができたという内容です。

IMuSCsFig1a

“changes in microenvironmental factors, such as skeletal muscle with injuries, can partially reprogram terminally differentiated myogenic cells into a pluripotent-like state”doi:10.1038/srep17355)

“the most remarkable discovery of this study was that iMuSCs fulfilled several in vitro and in vivo criteria for pluripotency; however, we could not obtain iMuSCs with germline transmission after blastocyst microinjection.” doi:10.1038/srep17355)

参考

  1. 米研究者が「STAP細胞」の再現に成功!?対象も方法も結果もまったく異なる研究。1万歩譲っても「研究不正」は揺るがない(Medエッジ 2015年12月13日 粥川準二 寄稿)
  2. 繰り返し言う~研究不正と「STAP現象」ありなしは別次元の問題榎木英介  | 病理専門医かつ科学・技術政策ウォッチャー 2015年12月13日

新規遺伝子型ノロウイルスGII.P17-GII.17

嘔吐、下痢などを引き起こすノロウイルスは、抗ウイルス剤が存在しないため、輸液などの対症療法に頼るしかありません。そのため、予防が非常に重要です。近年、特に日本や中国で新型のノロウイルスが流行していますが、この新型ウイルスは川崎市の健康安全研究所により発見、同定されたものだそうです。

川崎市健康安全研究所が昨年3月、新型のノロウイルスを世界で初めて見つけた。…新型ウイルスは、ウイルス・衛生動物担 当の職員5人が発見。昨夏に国際機関で登録され、今夏には英文の感染症専門誌にも掲載された。5人は功績をたたえられ、10月に市から表彰を受けた。新型ノロウイルス、川崎市職員が発見 世界初の快挙 朝日新聞 DIGITAL 2015年11月23日)

ノロウイルスの遺伝子型について

ノロウイルスには 5 つの遺伝子群 (GI-GV) が存在し、ヒトに感染するのは GI、II、IV であると言われています。さらに、GI は 9 種類 (GI.1-GI.9)、GII は 22 種類 (GII.1-GII.22) の遺伝子型に細かく分類されています。(川崎市健康安全研究所 2015年9月25日)

新型ノロウイルスについて

2014 年 3 月に健康安全研究所が新たな遺伝子型を含むノロウイルスを検知しました。このノロウイルスは、以前に検出された GII.17 とは異なる変異ウイルスで、2013 年までは川崎市では検出されたことはなく、世界的にも初めての確認となり国際的に GII.P17-GII.17 という遺伝子型に命名されました。(川崎市健康安全研究所 2015年9月25日)

新型ノロウイルスに対する警戒の呼びかけ

ノロウイルスは、遺伝子型ごとに殻の表面の形が異なることから、これまでの主要遺伝子型である GII.4 に感染したことがあり GII.4 に対する免疫を獲得している人でも GII.17 変異株に感染する可能性があるため注意が必要です。(川崎市健康安全研究所 2015年9月25日)

新型ノロウイルス 大流行のおそれ高まる ((日本放送協会 YOUTUEB 2015/10/23 に公開)(動画削除)

Emergence of a novel GII.17 norovirus – End of the GII.4 era? In the winter of 2014/15 a novel GII.P17-GII.17 norovirus strain (GII.17 Kawasaki 2014) emerged, as a major cause of gastroenteritis outbreaks in China and Japan. Since their emergence these novel GII.P17-GII.17 viruses have replaced the previously dominant GII.4 genotype Sydney 2012 variant in some areas in Asia but were only detected in a limited number of cases on other continents. This perspective provides an overview of the available information on GII.17 viruses in order to gain insight in the viral and host characteristics of this norovirus genotype. We further discuss the emergence of this novel GII.P17-GII.17 norovirus in context of current knowledge on the epidemiology of noroviruses. It remains to be seen if the currently dominant norovirus strain GII.4 Sydney 2012 will be replaced in other parts of the world. Nevertheless, the public health community and surveillance systems need to be prepared in case of a potential increase of norovirus activity in the next seasons caused by this novel GII.P17-GII.17 norovirus. (de Graaf  et al., Euro Surveill. 2015 Jul 2;20(26). pii: 21178.)

参考

  1. 新規ノロウイルス GII.17 変異株を健康安全研究所が発見~今後の動向に注意!~ (川崎市 健康安全研究所 2015年9月25日)
  2. 新規遺伝子型ノロウイルスGII.P17-GII.17の流行 (国立感染症研究所 IASR Vol. 36 p. 175-178: 2015年9月号):”川崎市内で発生した食中毒事例を含む感染性胃腸炎患者から、新たな遺伝子型のノロウイルス(NoV)GII.P17-GII.17が検出された。流行状況調査と遺伝子解析を行った結果、2014/15冬季シーズンの1月以降に広域流行を引き起こしていたことが明らかになった。この新規NoV GII.P17-GII.17は、中国、台湾などでも流行が確認されており、2015/16シーズンに大流行する可能性がある。そのため今季の流行の立ち上がりに厳重な監視が必要である。”
  3. Genetic analyses of GII.17 norovirus strains in diarrheal disease outbreaks from December 2014 to March 2015 in Japan reveal a novel polymerase sequence and amino acid substitutions in the capsid region. (Matsushima et al., Eurosurveillance, Volume 20, Issue 26, 02 July 2015)

がん幹細胞ニッチ内のがん抑制遺伝子Fbxw7

がん抑制遺伝子Fbxw7の「がん幹細胞ニッチ」における働きを九大の研究グループが発見 細胞外環境を標的とする新しい治療戦略の可能性も

がんの細胞外環境(”がん幹細胞ニッチ”)を標的とする新しい治療戦略の可能性を示す研究成果を、九州大学の研究グループがThe Journal of Clinical Investigation誌に発表しました。

九州大学プレスリリースによると、この研究成果のポイントは、

  1. がんニッチの形成に関わる重要たんぱく質「Fbxw7」が「CCL2」を抑制する作用をもつことを発見
  2. Fbxw7が低下するとCCL2が上昇し、がん転移が増加する。
  3. 上昇したCCL2を阻害するプロパゲルマニウム(既に肝炎治療薬として臨床的に使用されている既存薬)によって、がん転移を強力に抑制することに成功。

とのことです。

論文の要旨

The gene encoding F-box protein FBXW7 is frequently mutated in many human cancers. Although most previous studies have focused on the tumor-suppressive capacity of FBXW7 in tumor cells themselves, we determined that FBXW7 in the host microenvironment also suppresses cancer metastasis. Deletion of Fbxw7 in murine BM-derived stromal cells induced accumulation of NOTCH and consequent transcriptional activation of Ccl2. FBXW7-deficient mice exhibited increased serum levels of the chemokine CCL2, which resulted in the recruitment of both monocytic myeloid-derived suppressor cells and macrophages, thereby promoting metastatic tumor growth. Administration of a CCL2 receptor antagonist blocked the enhancement of metastasis in FBXW7-deficient mice. Furthermore, in human breast cancer patients, FBXW7 expression in peripheral blood was associated with serum CCL2 concentration and disease prognosis. Together, these results suggest that FBXW7 antagonizes cancer development in not only a cell-autonomous manner, but also a non-cell-autonomous manner, and that modulation of the FBXW7/NOTCH/CCL2 axis may provide a potential approach to suppression of cancer metastasis. (http://www.jci.org/articles/view/78782

参考

  1. F-box protein FBXW7 inhibits cancer metastasis in a non-cell-autonomous manner.  J Clin Invest. doi:10.1172/JCI78782. Published January 2, 2015
  2. がんの転移を強力に抑制する既存薬を発見 (九州大学 プレスリリース 平成26年12月17日)
  3. 九大 がん転移抑える薬 (NHK NEWSWEB 2015年1月3日):”中山主幹教授は「既存の薬の成分ならば新薬に比べて格段に早く実用化できる可能性があり、今回の発見のメリットは大きい。今後、臨床を重ねて早くがんの患者に届けたい」と話しています。”
  4. 既存薬で転移抑制 九大教授ら、マウス実験で確認(毎日新聞 1月3日):”がんを転移しやすくするたんぱく質を世界で初めて突き止めたとの研究成果を、中山敬一・九州大教授(分子医科学)らのチームが2日の米科学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーションに発表した。既存の肝炎治療薬に、このたんぱく質の働きを妨げて転移を抑える効果があることもマウスの実験で確かめた。研究チームは「ヒトへの有効性は今後の治験(臨床試験)を待つ必要があるが、副作用が少ない薬なので期待が持てる」と話す。”
  5. がん転移を抑える薬剤 九大、マウス実験で確認(日本経済新聞 2015/1/3):”この薬剤はB型慢性肝炎の治療薬として処方されているプロパゲルマニウム。ニッチを狙い転移を抑える初めての薬となり得るが、現段階ではがん患者への効果は未確認。チームは「国の承認が出るまで使用しないで」と警告している。”
  6. がん転移、たんぱく質関与=薬で抑制、マウスで確認-九州大(時事ドットコム):”がんの周りにあり、増殖や転移を促す細胞の集まり「がんニッチ」に関わるたんぱく質を発見したと、中山敬一九州大教授らの研究グループが発表した。論文は3日、米医学誌に掲載される。”
  7. B型肝炎治療薬、がん転移抑制の可能性 九州大チーム(朝日新聞APITAL):”B型肝炎治療用の飲み薬に、がんの転移を抑える可能性があるとするマウスでの研究結果を、九州大の研究チームがまとめた。ヒトでの臨床試験(治験)で有効性や安全性を確かめ、5年程度で公的医療保険の適用を目指すという。”

STAP細胞作製プロトコールの詳細を理化学研究所が公開へ

理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子・研究ユニットリーダー(30)がNATUREに発表したSTAP細胞の作製ですが、世界中で多くの研究室が追試しているにもかかわらず再現できていません。毎日新聞の報道によると、理化学研究所ではこのような状況を受けて、詳細な作製手順を公開する準備を進めているとのことです。

他人には再現できないように、肝心な部分をわざと論文に含めていなかったのだとしたら、現在追試に励む研究者たちの時間とお金を無駄にしていることになり、とても無責任で身勝手な行為です。自分が論文発表した実験条件に関して問い合わせがあれば速やかに返答するのが、研究者の常識的な行動です。

参考記事

  1. STAP細胞:発表1カ月再現失敗相次ぎ 理研手順公開へ (毎日新聞 2014年03月02日 11時45分(最終更新 03月02日 12時12分)):あらゆる細胞に変化できる万能細胞、STAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)の作製に成功したと、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)が発表し、1カ月がたった。作製方法が「簡単」とされた点も注目を集めたが、国内外の研究者からは「実験が再現できない」との報告が上がり、論文の不備も指摘されている。理研は、詳細な作製手順を公開する準備を進め、論文の不備についても調査を始めた。

ハゲが治る? ふさふさの髪の毛を取り戻す

人の毛髪を再生することは大きなチャレンジです。しかし、今回コロンビア大学の研究者らは脱毛症の男性から採取した「毛乳頭細胞」を髪の毛を生やす能力を保たせたまま培養する方法を発見。培養した毛乳頭細胞が人の皮膚に作用して髪の毛を生えさせたと報告しました。

同様の実験はマウスなどの細胞では既にうまくいっていましたが、なぜか人の毛乳頭細胞を培養しても、皮膚に働きかけて「毛包」を誘導する作用が失われてしまうという困難がありました。マウスでは培養した細胞が塊りを作っているという観察がブレークスルーになりました。人の毛乳頭細胞の培養でも平面的に増殖させるのではなく、立体的な塊りになるような培養条件にしてみたら、うまくいったというものです。

今回の研究では、人の皮膚(新生児の陰茎の皮膚)をマウスの背中に移植しておき、その人の皮膚に脱毛症の男性から取った毛乳頭細胞を培養して増やした塊りを移植して、皮膚から髪の毛が生えてくるかどうかを実験で調べました。まだ全ての実験を人間に対して行える段階ではないため、このようにマウスの背中を借りた実験が行われました。しかし、生えてきた毛髪はマウスの細胞に由来するものではなく、人の細胞由来だったということが確かめられています。

新生児の陰茎の皮膚を用いたというのはちょっとびっくりしますが、もともと毛がまったく生えていないので毛が生えてくるかどうかの実験に適しているとのことです。アメリカでは生まれた赤ちゃんに割礼(男性の陰茎包皮の切除手術)を行うことが多いので、材料として入手しやすいのも一つの理由でしょう。

参考

  1. Microenvironmental reprogramming by three-dimensional culture enables dermal papilla cells to induce de novo human hair-follicle growth. Claire A. Higgins, James C. Chen, Jane E. Cerise, Colin A. B. Jahoda,and Angela M. Christiano, Published online before print October 21, 2013, doi: 10.1073/pnas.1309970110 PNAS (米国科学アカデミー紀要)
  2. Hair Regeneration Method is First to Induce New Human Hair Growth(コロンビア大学ニュースルームOctober 21, 2013)
  3. 毛乳頭細胞で毛を再生=立体的な培養法工夫、移植で―脱毛症治療に期待・米英チーム(ヤフーニュース・時事通信 10月22日(火)1時36分配信
  4. 脱毛症患者に新たな希望(ウォールストリートジャーナル2013年 10月 22日 15:37 JST
  5. New Hope for Baldness(The Wall Street Journal Oct. 21, 2013 2:07 p.m. ET)
  6. マルホ皮膚科セミナー ラジオNIKKEI2011 年8 月25 日放送第74 回日本皮膚科学会東京支部学術大会①会長講演「毛成長誘導の主役は毛乳頭細胞?毛包幹細胞?」北里大学 皮膚科教授 勝岡 憲生(PDF)
  7. 東京理科大学辻孝研究室「毛髪再生医療の実現を目指して
  8. 株式会社エーセル「毛乳頭細胞の活性化試験(養毛・育毛・発毛試験)
  9. 割礼、するべき?(わいわい! ママのブログ2010-08-14 15:03:22)

この論文の責任著者である2人、アメリカ・コロンビア大学のAngela M. Christianoさんとイギリス・ダラム大学のColin A. B. Jahodaさん(3分25秒~)による解説。

Angela Christiano: New Method for Hair Regeneration